JP2003077514A - 燃料電池システム - Google Patents

燃料電池システム

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JP2003077514A JP2001263950A JP2001263950A JP2003077514A JP 2003077514 A JP2003077514 A JP 2003077514A JP 2001263950 A JP2001263950 A JP 2001263950A JP 2001263950 A JP2001263950 A JP 2001263950A JP 2003077514 A JP2003077514 A JP 2003077514A
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哲浩 石川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料電池用補機の駆動系を小型化すると共
に、車両停止時の燃費を向上する技術を提供する。 【解決手段】 電気自動車10は、プラネタリギヤ50
を備える。駆動軸47に駆動力を出力する駆動モータ3
2と、燃料電池20に酸化ガスを供給するエアコンプレ
ッサ42と、エアコンプレッサ42に駆動力を出力する
補機モータ38は、プラネタリギヤ50の各ギヤの回転
軸と、それぞれ接続する。これにより、エアコンプレッ
サ42を駆動するのに要するエネルギの一部は、駆動モ
ータ32によって出力される。シフトポジションが非走
行レンジのときには、燃料電池20と駆動モータ32の
運転を停止する。このとき、車両補機70が電力を要求
する場合には、駆動モータ32でエネルギを消費するこ
となく、2次電池40から車両補機70に電力を供給す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、燃料電池と、こ
の燃料電池から電力の供給を受けるモータとを備える燃
料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】電気自動車の駆動エネルギを供給するた
めに、燃料電池と2次電池とを搭載する車両が知られて
いる(例えば、特開平11−164402号公報)。燃
料電池を稼働させるためには、燃料電池にガスを供給す
るためのポンプなどの燃料電池補機およびこの燃料電池
補機を駆動するためのモータを、燃料電池と同時に稼働
させる必要がある。また、車両停止時において、車両補
機を稼働させるための電力を必要とするときには、燃料
電池の稼働が必要な場合がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、燃料電
池補機を駆動するために専用のモータを用いる場合に
は、燃料電池補機に対して充分な動力を供給するために
はモータが大型化し、コストも増大するという問題があ
った。特に燃料電池を車載する場合には、スペース上の
大きな制約があり、燃料電池補機用のモータの小型化、
燃料電池用補機の駆動系の簡略化が望まれていた。ま
た、燃料電池を用いる際に、車両停止時における効率の
低下を防止することも望まれている。
【0004】本発明は、上述した従来の課題を解決する
ためになされたものであり、燃料電池用補機の駆動系を
小型化する技術を提供すると共に、車両停止時の燃費を
向上することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記目的を達成するために、本発明は、ガスの供給を受け
て電気化学反応により発電を行なう燃料電池を備える燃
料電池システムであって、前記燃料電池から電力の供給
を受けて駆動され、少なくとも所定の主負荷に対して第
1の出力軸から動力を出力する第1のモータと、前記燃
料電池を稼働させるために用いられる燃料電池補機と、
前記燃料電池から電力の供給を受けて、前記燃料電池補
機を駆動するための動力を出力する第2のモータと、前
記燃料電池補機を駆動するために要するエネルギの一部
を、前記第1の出力軸を介して前記第1のモータから前
記燃料電池補機に伝達するエネルギ分配機構と、前記燃
料電池と前記第1のモータと前記第2のモータとの稼働
状態を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記
主負荷への動力供給が要求されていないときに、前記燃
料電池と前記第1のモータと前記第2のモータとの稼働
状態を停止させる第1の停止モードを有することを要旨
とする。
【0006】このような構成によれば、燃料電池補機を
駆動するために要するエネルギの一部が、前記第1の出
力軸を介して前記第1のモータから前記燃料電池補機に
伝達されるので、燃料電池補機を駆動するために第2の
モータが出力する動力をより小さくすることができる。
したがって、第2のモータをより小型化し、燃料電池用
補機の駆動系をより小型化することができる。
【0007】さらに、本発明では、主負荷への動力供給
が要求されていないときには、前記燃料電池と前記第1
のモータと前記第2のモータとの稼働を停止させるとい
う特徴を有している。燃料電池を運転するときには、燃
料電池補機を駆動するために要するエネルギの一部が、
前記第1のモータから前記燃料電池補機に伝達されるた
め、主負荷が動力を要求しないときに、第1のモータを
停止させない場合には、第1のモータがエネルギを消費
することになる。本発明は、上記各部の稼働を停止させ
ることで、主負荷が動力を要求しないときに第1のモー
タがエネルギを消費することがなくなり、システム全体
のエネルギ効率が低下するのを抑えることができる。
【0008】本発明の燃料電池システムにおいて、前記
燃料電池の稼働状態の停止は、前記燃料電池に供給され
る燃料ガスと酸化ガスの少なくとも一方の供給を止める
ことによって行なうこととしても良い。
【0009】また、本発明の燃料電池システムにおい
て、前記エネルギ分配機構は、サンギヤとプラネタリキ
ャリアとリングギヤとを備えるプラネタリギヤであり、
前記第1のモータが有する前記第1の出力軸と、前記第
2のモータが動力を出力する第2の出力軸と、前記燃料
電池補機を駆動するための動力が前記燃料電池補機に伝
えられる駆動軸とが、前記サンギヤとプラネタリキャリ
アとリングギヤの回転軸のうちのいずれか一つとそれぞ
れ接続されていることとしても良い。
【0010】本発明の燃料電池システムにおいて、前記
燃料電池補機は、前記燃料電池に対して前記電気化学反
応に供するガスを供給するポンプであることとしても良
い。
【0011】ガスを供給するポンプを駆動するための第
2のモータは、一般的に、主負荷に対して動力を出力す
るための第1のモータに比べて小さい。したがって、ポ
ンプを駆動するために要するエネルギの一部を第1のモ
ータから得て、第2のモータを小さくすることによる効
果を、より顕著に得ることができる。また、電気化学反
応に供するガスを供給するポンプの動作は、燃料電池に
おける発電とほぼ同期させることができるため、上記制
御を容易に行なうことができる。
【0012】本発明の燃料電池システムにおいて、前記
燃料電池によって充電可能であって、前記燃料電池と共
に所定の副負荷に対して電力を供給可能である2次電池
をさらに備え、前記燃料電池の稼働状態を停止させたと
きには、前記2次電池によって前記副負荷に対して電力
を供給することとしても良い。
【0013】このような本発明の燃料電池システムにお
いて、前記制御部は、さらに、前記主負荷への動力供給
が要求されていないときに、前記2次電池の残存容量が
所定の値以下である場合には、前記燃料電池と前記第1
のモータと前記第2のモータとを稼働させて、前記燃料
電池を用いて前記2次電池の充電を行なう第2の停止モ
ードを有することとしても良い。
【0014】このような構成とすれば、2次電池の残存
容量を適正な範囲に維持することができる。
【0015】本発明の燃料電池システムにおいて、該燃
料電池システムは、電気自動車に搭載されており、前記
主負荷は、前記電気自動車の駆動軸の負荷であって、前
記副負荷は、前記電気自動車が搭載する電気機器による
負荷であることとしても良い。
【0016】このような本発明の燃料電池システムにお
いて、前記主負荷への動力供給が要求されていないとき
とは、前記電気自動車において、シフトポジションが、
非走行レンジとなっているときであることとしても良
い。
【0017】このような本発明の燃料電池システムにお
いて、前記制御部は、前記シフトポジションがNポジシ
ョンのときには、前記2次電池の残存容量に関わらず、
前記燃料電池と前記第1のモータと前記第2のモータと
の稼働状態を停止させ、前記シフトポジションがPポジ
ションであって、前記2次電池の残存容量が所定の値以
下であるときには、前記燃料電池を用いて前記2次電池
の充電を行なうこととしても良い。
【0018】このような構成とすれば、第1のモータと
電気自動車の駆動軸とが接続されていないときには、上
記各部の稼働状態は停止される。また、第1のモータと
電気自動車の駆動軸とが接続されているときには、2次
電池の残存容量が不足する場合には2次電池の充電が行
なわれて、2次電池の残存容量を適正な範囲に回復可能
となる。
【0019】本発明は、例えば、燃料電池システムにお
ける運転制御方法や、燃料電池システムを搭載する電気
自動車等、種々の形態で実現することが可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて以下の順序で説明する。 A.装置の全体構成: B.プラネタリギヤの働き: C.走行レンジにおける制御: D.非走行レンジにおける制御: E.変形例:
【0021】A.装置の構成:図1は、本実施例の電気
自動車10の構成を表わす説明図である。電気自動車1
0は、電源として燃料電池部15と2次電池40とを備
えている。
【0022】図2は、燃料電池部15の構成を示す説明
図である。燃料電池部15は、改質燃料を貯蔵する燃料
タンク62と、水を貯蔵する水タンク63と、改質燃料
および水の昇温と混合を行なう蒸発・混合部64と、改
質反応を促進する改質触媒を備える改質器65と、改質
ガス中の一酸化炭素濃度を低減するCO低減部66と、
燃料電池20と、エアコンプレッサ42とを備えてい
る。
【0023】燃料タンク62が貯蔵する改質燃料として
は、ガソリンなどの液体炭化水素や、メタノールなどの
アルコールやアルデヒド類、あるいは天然ガスなど、改
質反応によって水素を生成可能な種々の炭化水素系燃料
を選択することができる。蒸発・混合部64は、燃料タ
ンク62から供給される改質燃料および水タンク63か
ら供給される水を気化・昇温させると共に両者を混合す
るためのものである。
【0024】蒸発・混合部64から排出された改質燃料
と水との混合ガスは、改質器65において改質反応に供
されて改質ガス(水素リッチガス)を生成する。ここ
で、改質器65には、用いる改質燃料に応じた改質触媒
が備えられており、この改質燃料を改質する反応に適し
た温度となるように、改質器65の内部温度が制御され
る。また、改質器65で進行する改質反応は、水蒸気改
質反応や部分酸化反応、あるいは両者を組み合わせたも
のなど種々の態様を選択することができ、改質触媒は、
このように改質器65内で進行させる改質反応に応じた
ものを選択すればよい。
【0025】改質器65で生成された改質ガスは、CO
低減部66において一酸化炭素濃度が低減されて、燃料
電池20のアノード側に対して燃料ガスとして供給され
る。CO低減部66は、一酸化炭素と水蒸気とから二酸
化炭素と水素とを生じるシフト反応を促進する触媒を備
え、シフト反応によって水素リッチガス中の一酸化炭素
濃度を低減するシフト部とすることができる。あるい
は、水素に優先して一酸化炭素を酸化する選択酸化反応
を促進する触媒を備え、一酸化炭素選択酸化反応によっ
て水素リッチガス中の一酸化炭素濃度を低減する一酸化
炭素選択酸化部とすることができる。また、これらの両
方を備えることとしても良い。
【0026】燃料電池20のカソード側に対しては、エ
アコンプレッサ42から圧縮空気が酸化ガスとして供給
される。これら燃料ガスおよび酸化ガスを利用して、燃
料電池20では電気化学反応によって起電力が生じる。
【0027】燃料電池20は、本実施例では、固体高分
子型燃料電池を用いており、単セルを複数積層したスタ
ック構造を有している。なお、図1には、図示の便宜
上、エアコンプレッサ42が燃料電池部15の外に描か
れている。燃料電池部15の各部の駆動状態は、制御ユ
ニット25(図1)によって制御される。
【0028】2次電池40としては、鉛蓄電池や、ニッ
ケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−水素蓄電池、リチ
ウム2次電池など種々の2次電池を用いることができ
る。なお、2次電池40には、2次電池40の残存容量
(SOC)を検出するための残存容量モニタ41が併設
されている。本実施例では、残存容量モニタ41は、2
次電池40における充電・放電の電流値と時間とを積算
するSOCメータとして構成されている。残存容量モニ
タ41は、制御ユニット25に接続されており、制御ユ
ニット25は、上記SOCメータから得られた値に基づ
いて、2次電池40の残存容量を算出する。ここで残存
容量モニタ41は、SOCメータの代わりに電圧センサ
によって構成することとしてもよい。2次電池40は、
その残存容量が少なくなるにつれて電圧値が低下するた
め、この性質を利用して電圧を測定することによって2
次電池40の残存容量を検出することができる。このよ
うな場合には、電圧値と残存容量との関係を予め制御ユ
ニット25に記憶しておくこととすれば、電圧センサか
ら入力される測定値を基に制御ユニット25は2次電池
40の残存容量を求めることができる。あるいは、残存
容量モニタ41は、2次電池40の電解液の比重を測定
して残存容量を検出する構成としてもよい。
【0029】燃料電池20および2次電池40の負荷と
しては、車両の駆動力を発生する駆動モータ32と、燃
料電池20に酸化ガスを供給するエアコンプレッサ42
を駆動するための補機モータ38と、車両に搭載されて
車両の駆動状態とは独立して動作する電気機器である車
両補機70(エアコンやカーオーディオ等)とが存在す
る。
【0030】駆動モータ32と補機モータ38とは同期
モータであって、回転磁界を形成するための三相コイル
をそれぞれ備えている。これら駆動モータ32および補
機モータ38は、それぞれ、駆動モータインバータ30
あるいは補機モータインバータ36を介して燃料電池2
0および/または2次電池40から電力の供給を受け
る。駆動モータインバータ30および補機モータインバ
ータ36は、上記モータの各相に対応してスイッチング
素子としてのトランジスタを備えるトランジスタインバ
ータであって、制御ユニット25に接続されている。
【0031】駆動モータ32の出力軸は、減速ギヤ46
を介して車両駆動軸47に接続している。減速ギヤ46
は、駆動モータ32が出力する動力を、その回転数を調
節した上で車両駆動軸47に伝える。車両駆動軸47
は、左右の車輪の回転数の差を吸収するための差動ギヤ
48を介して、各車輪に接続されている。
【0032】電気自動車10には、さらに、DC/DC
コンバータ34が設けられている。このDC/DCコン
バータ34は、燃料電池20からの出力電圧を調節する
ためのものである。制御ユニット25は、車両における
車速やアクセル開度に基づいて、所望の走行状態を実現
するために必要な電力を算出する。制御ユニット25
は、また、車両補機70が要求する電力や、2次電池4
0の残存容量にさらに基づいて、燃料電池20が出力す
べき電力を算出する。図3に、燃料電池20における出
力電流と、出力電圧あるいは出力電力との関係を示す。
図3に示すように、燃料電池20から出力すべき電力P
1 が定まれば、そのときの燃料電池20の出力電流の大
きさC1 が定まる。燃料電池20の出力特性より、出力
電流C1 が定まれば、そのときの燃料電池20の出力電
圧V1 が定まる。後述する制御ユニット25からDC/
DCコンバータ34に対して、このようにして求めた出
力電圧V1 を目標電圧として指令することによって、燃
料電池20の発電量を所望量とすることができる。
【0033】制御ユニット25マイクロコンピュータを
中心とした論理回路として構成され、詳しくは、予め設
定された制御プログラムに従って所定の演算などを実行
するCPUと、CPUで各種演算処理を実行するのに必
要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたR
OMと、同じくCPUで各種演算処理をするのに必要な
各種データが一時的に読み書きされるRAMと、各種セ
ンサからの検出信号を入力すると共にCPUでの演算結
果に応じて信号を出力する入出力ポート等を備える。
【0034】なお、駆動モータ32と、補機モータ38
と、エアコンプレッサ42とは、プラネタリギヤ50を
介して機械的に結合されている。プラネタリギヤ50
は、遊星歯車とも呼ばれ、以下に示すそれぞれのギヤに
結合された3つの回転軸を有している。プラネタリギヤ
50を構成するギヤは、中心で回転するサンギヤ52、
サンギヤ52の外周で自転しながら公転するプラネタリ
ピニオンギヤ54、さらにその外周で回転するリングギ
ヤ56である。プラネタリピニオンギヤ54は、プラネ
タリキャリア55に軸支されている。図1の電気自動車
10では、車両の駆動力を出力する駆動モータ32の出
力軸は、プラネタリキャリア55の回転軸と結合して、
プラネタリキャリア軸58を形成している。また、補機
モータ38の出力軸は、サンギヤ52の回転軸に結合し
てサンギヤ軸57を形成し、エアコンプレッサ42の駆
動軸は、リングギヤ56の回転軸に結合してリングギヤ
軸59を形成する。
【0035】B.プラネタリギヤの働き:プラネタリギ
ヤ50は、3つの回転軸のうち、2つの回転軸の回転数
および一つの回転軸のトルク(以下、所定の回転軸にお
ける回転数とトルクとを合わせて回転状態と呼ぶ)が決
定されると、すべての回転軸の回転状態が決まるという
性質を有している。
【0036】本実施例では、燃料電池20に対する要求
発電量に従ってリングギヤ軸59の目標トルクTr* が
定まることにより、プラネタリキャリア軸58の目標ト
ルクTc* およびサンギヤ軸57の目標トルクTs*が
求められる。プラネタリギヤ50は、サンギヤ軸57に
作用するトルクをTs 、プラネタリキャリア軸58に作
用するトルクをTc 、リングギヤ軸59に作用するトル
クをTr とすると、以下の式(1)、(2)に示す関係
が成り立つという性質を有している。
【0037】 Ts =−ρ/(1+ρ)×Tc …(1) Tr =−1/(1+ρ)×Tc …(2) なお、ここで、ρ=(サンギヤ52の歯数)/(リング
ギヤ56の歯数)を表わす。
【0038】電気自動車10において、燃料電池20に
対する要求発電量が定まると、発電に必要な量の空気を
供給するために、エアコンプレッサ42、すなわちリン
グギヤ軸59の目標回転状態(目標トルクTr* および
目標回転数Nr* )が定まる。リングギヤ軸59の目標
回転状態が定まると、上記リングギヤ軸59の目標トル
クTr* を(2)式に代入することで、以下の(3)式
のように、プラネタリキャリア軸58の目標トルクTc
* が求められる。 Tc* =−(1+ρ)×Tr* …(3)
【0039】さらに、この結果を(1)式に代入するこ
とで、以下の(4)式のように、サンギヤ軸57の目標
トルクTs*が求められる。なお、サンギヤ軸57の目
標トルクTs*によって、補機モータ38の目標トルク
が定まる。 Ts* =ρTr* …(4)
【0040】リングギヤ軸59の目標回転数Nr* は、
上記のように燃料電池20に対する要求発電量に基づい
て定まる。また、プラネタリキャリア軸58の回転数N
c は、電気自動車の車速に基づいて定まる。すなわち、
電気自動車の車速に対応した車両駆動軸47の回転数に
応じて、駆動モータ32の回転数が定まるため、駆動モ
ータ32と接続するプラネタリキャリア軸58の回転数
Nc は、車速に応じて定まる。これらリングギヤ軸59
の目標回転数Nr* と、プラネタリキャリア軸58の回
転数Nc とに基づいて、補機モータ38に接続するサン
ギヤ軸57の目標トルクTs* を求める式を、以下に
(5)式として示す。
【0041】 Ns* =(1+ρ)/ρ×Nc −1/ρ×Nr …(5)
【0042】C.走行レンジにおける制御:本実施例の
電気自動車においては、図1に示すように、シフトレバ
ー72で選択可能なシフトポジションとして、パーキン
グ(P)、リバース(R)、ニュートラル(N)、ドラ
イブポジション(D)、4ポジション(4)、3ポジシ
ョン(3)、2ポジション(2)およびローポジション
(L)が設けられている。PポジションとNポジション
は、非走行レンジであって、それ以外は走行レンジであ
る。
【0043】シフトポジションとして走行レンジが選択
されているときには、制御ユニット25は、図示しない
車速センサが検出する車速と、アクセルポジションセン
サ74が検出するアクセル開度(アクセルペダルの踏み
込み量)とに基づいて、車両の要求動力を算出する。さ
らに、そのときの車両補機70の消費電力量や、2次電
池40のSOCに基づいて、燃料電池20に対する要求
電力が定められる。燃料電池20に対する要求電力が定
まると、これに応じてエアコンプレッサ42の運転状
態、すなわちリングギヤ軸59の目標回転状態が定ま
る。また、車速に基づいて、プラネタリキャリア軸58
の回転数が定まる。したがって、上述したように、プラ
ネタリギヤ50に接続する各ギヤ軸の目標回転状態が定
まる。
【0044】補機モータ38の目標回転状態は、既述し
たようにして求めたサンギヤ軸57の目標回転状態に基
づいて定まる。駆動モータ32の回転数は、車軸47の
回転数に基づいて定まる。また、駆動モータ32は、プ
ラネタリキャリア軸58に出力すべき動力(プラネタリ
キャリア軸58の目標回転状態に基づいて定まる)と、
車両駆動軸47に出力すべき車両の要求動力との両方を
合わせた合計動力を出力できるように駆動される。した
がって、駆動モータ32の目標回転状態は、上記合計動
力と車速とに基づいて定められる。
【0045】燃料電池20が要求電力を発電するよう燃
料電池部15の各部を稼働させると共に、各モータの回
転状態が上記目標回転状態となるように駆動モータイン
バータ30および補機モータインバータ36に対して駆
動信号を出力する。これによって、燃料電池20から上
記要求電力を得ることができると共に、所望の走行状態
を実現できる。
【0046】D.非走行レンジにおける制御:図4は、
本実施例の電気自動車10の制御ユニット25で実行さ
れるシフトポジション判断処理ルーチンを表わすフロー
チャートである。本ルーチンは、通常のガソリン自動車
のイグニションスイッチに対応する所定のスタートスイ
ッチがオンとなったときに、所定の時間ごとに実行され
る。
【0047】非走行レンジ処理ルーチンが開始される
と、制御ユニット25はまず、シフトポジションセンサ
より信号を読み込んで(ステップS100)、シフトポ
ジションを判断する(ステップS110)。シフトポジ
ションがNポジションのときには、燃料電池20の運転
を停止させると共に、駆動モータインバータ30をシャ
ットダウンして(ステップS150)、本ルーチンを終
了する。
【0048】ここで、燃料電池20の運転の停止とは、
燃料電池20へのガスの供給を停止することによって行
なわれる。具体的には、ステップS150において、補
機モータインバータ36をシャットダウンしてエアコン
プレッサ42を停止させることによって、酸化ガスの供
給を停止して、燃料電池20の運転を停止させる。な
お、このように燃料電池20の運転を停止させたときに
は、車両補機70に対しては、2次電池40から電力が
供給される。
【0049】ステップS110においてシフトポジショ
ンがPポジションであると判断されたときには、制御ユ
ニット25は、残存容量モニタ41から2次電池40の
残存容量(SOC)を入力する(ステップS120)。
入力した2次電池40のSOCを、予め設定した所定の
値S0 と比較して(ステップS130)、所定の値S 0
よりも小さいと判断されるときには、2次電池40を充
電するために、燃料電池20の発電を続けて駆動モータ
インバータ30を作動させる(ステップS140)。
【0050】その後再びステップS120に戻り、2次
電池40のSOCが上記所定の値S 0 以上となるまで上
記動作を繰り返して、2次電池40を充電する。
【0051】ステップS130において、2次電池40
のSOCが上記所定の値S0 以上であると判断される
と、ステップS150に移行して本ルーチンを終了す
る。ステップS150では、既述したように、燃料電池
20の運転を停止すると共に、駆動モータインバータ3
0をシャットダウンする。
【0052】ステップS110において、シフトポジシ
ョンが走行レンジにあると判断されたときには、通常走
行処理ルーチンに移行して(ステップS160)、本ル
ーチンを終了する。通常走行処理ルーチンでは、燃料電
池20が稼働されると共に、プラネタリギヤ50の性質
に従って、既述した各部の稼働状態が制御されて、所望
の走行状態が実現される。
【0053】以上のように構成した本実施例の電気自動
車10によれば、エアコンプレッサ42を駆動するため
に要する動力を、すべて補機モータ38によって出力す
るのではなく、その一部を、駆動モータ32によって出
力している。したがって、補機であるエアコンプレッサ
42を駆動するために設ける補機モータ38を、エアコ
ンプレッサ42が要求する動力を単独で供給する場合に
比べて、より小型化することが可能となる。
【0054】ただし、車両駆動用の駆動モータ32は、
補機モータ38を補うためのトルクを出力させるため
に、やや大型化する必要がある。しかしながら、駆動モ
ータ32は、本来、車両を駆動するために充分な大きさ
のトルクを出力可能な大きさを有している。このように
元々大きなモータにおいて、さらに補機動力を補うトル
クを出させるとしても、その大型化の程度は充分に許容
できる程度である。これに対して、駆動軸よりもはるか
に要求動力が小さい補機を駆動するための補機モータ3
8では、動力が補われることによって小型化できる効果
は非常に大きいものとなる。補機モータ38を小型化で
きることは、燃料電池システムを車載する場合のよう
に、搭載可能なスペースに制約がある場合には特に有利
である。小型化によって、軽量化も同時に図ることがで
き、また、製造コストの引き下げも可能となる。
【0055】また、本実施例の電気自動車10は、車両
のシフトポジションが非走行レンジにあるときには、燃
料電池20の運転を停止するとともに、駆動モータイン
バータ30をシャットダウンする。したがって、車両が
走行しないときに、駆動モータ32がトルクを出力する
必要が無く、エネルギ効率の低下を抑えることができ
る。車両が停止しており車両補機70が動力を要求して
いるときに、燃料電池20から車両補機70に電力を供
給する場合には、駆動モータ32に接続するプラネタリ
キャリア軸58は、回転はしないが、所定の大きさのト
ルクを出力する必要がある((3)式参照)。したがっ
て、このような場合には、駆動モータインバータ30に
おいて電力を消費してしまう。これに対して、本実施例
のように、停車時には燃料電池20の運転を停止して駆
動モータインバータ30をシャットダウンすれば、停車
時に、駆動モータインバータ30を介して駆動モータ3
2で電力を消費してしまうことがなく、システム全体の
エネルギ効率の低下を抑えることができる。
【0056】本実施例の電気自動車10では、上記のよ
うに停車時(主要な負荷である駆動軸が動力を要求しな
いとき)に燃料電池20の運転を停止するときには、車
両補機70に対しては、2次電池40から電力を供給す
る。このような制御を行なう際には、2次電池40の残
存容量を検出し、残存容量が、予め定めた所定の値を下
回るときには、燃料電池20による発電を行なわせて2
次電池40を充電する。すなわち、駆動モータ32,補
機モータ38,エアコンプレッサ42を駆動して、2次
電池40を充電する。したがって、停車時に燃料電池2
0の運転を停止する上記制御を行なう際にも、2次電池
40の残存容量を適正な値に維持することができる。
【0057】図5は、燃料電池20の出力の大きさと、
エネルギ効率との関係を表わす説明図である。図5
(A)は、燃料電池20の出力と、燃料電池20の効率
および燃料電池補機の動力の関係を示す。図5(B)
は、燃料電池20の出力と、燃料電池システム全体の効
率との関係を示す。図5(A)に示すように、燃料電池
20の出力が大きくなるほど、燃料電池20の効率は次
第に低下する。また、燃料電池20の出力が大きくなる
ほど、補機動力、すなわち補機を駆動するために消費す
るエネルギが大きくなる。図5(A)に示した燃料電池
20の効率と補機動力に基づいて、燃料電池システム全
体の効率を求めると、図5(B)に示すように、システ
ム効率は、燃料電池20の出力が所定の値のときにピー
クとなる。
【0058】車両補機70の消費電力の大きさは駆動軸
47に比べてはるかに小さい。したがって、車両が停止
しているときに、燃料電池20によって車両補機70に
電力を供給する場合には、燃料電池20は、図5(B)
に点αとして示すように、システム効率の低い運転ポイ
ントで発電を行なうことになる。これに対して、燃料電
池20によって、車両補機70に電力を供給すると共
に、2次電池40の充電も行なう場合には、燃料電池2
0は、図5(B)に示す点βのように、システム効率が
より高くなる運転ポイントで発電を行なうことができ
る。したがって、2次電池40の残存容量が充分である
ときには2次電池から車両補機70に電力を供給し、2
次電池40の残存容量が少なくなると燃料電池20によ
って充電することで、燃料電池20を用いる際のシステ
ム全体の効率を高く維持することができる。
【0059】なお、シフトポジションがNポジションの
ときには、駆動軸47と駆動モータ32の出力軸とは接
続されない状態となり、本実施例では、駆動モータ32
からプラネタリギヤ50を介してトルクが伝達されるこ
とがない。したがって、本実施例では、シフトポジショ
ンがNポジションのときには、2次電池40の残存容量
に関わらず、燃料電池20の運転を停止している。
【0060】E.変形例:なお、この発明は上記の実施
例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱
しない範囲において種々の態様において実施することが
可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0061】E1.変形例1:上記実施例では、駆動モ
ータ32はプラネタリキャリア軸58と、補機モータ3
8はサンギヤ軸57と、エアコンプレッサ42はリング
ギヤ軸59と接続することとしたが、異なる構成として
も良い。プラネタリキャリア軸とサンギヤ軸とリングギ
ヤ軸とを、駆動モータ32と補機モータ38とエアコン
プレッサ42とのうちのいずれかとそれぞれ接続させる
ことで、同様の効果を奏することができる。図6から図
8は、上記実施例の変形例としての電気自動車10A、
10B、10Cをそれぞれ表わす。これらの図では、図
1に示した電気自動車と共通する部分には同じ参照番号
を付しており、詳しい説明は省略する。
【0062】図6に示す電気自動車10Aでは、駆動モ
ータ32の出力軸はプラネタリキャリア軸58と、補機
モータ38の出力軸はリングギヤ軸59と、エアコンプ
レッサ42の駆動軸はサンギヤ軸57と、それぞれ接続
している。図7に示す電気自動車10Bでは、駆動モー
タ32の出力軸はサンギヤ軸57と、補機モータ38の
出力軸はリングギヤ軸59と、エアコンプレッサ42の
駆動軸はプラネタリキャリア軸58と、それぞれ接続し
ている。図8に示す電気自動車10Cでは、駆動モータ
32の出力軸はリングギヤ軸59と、補機モータ38の
出力軸はサンギヤ軸57と、エアコンプレッサ42の駆
動軸はプラネタリキャリア軸58と、それぞれ接続して
いる。駆動モータ32、補機モータ38、およびエアコ
ンプレッサ42と、対応する各ギヤとの間は、直接接続
する他、回転数を調節するための変速ギヤを介在させる
こととしても良い。
【0063】駆動モータ32、補機モータ38、および
エアコンプレッサ42と、プラネタリギヤを構成する各
ギヤとの間の接続関係は、各部の具体的な条件を考慮し
て適宜設定すればよい。例えば、エアコンプレッサ42
が流すべき空気流量に基づくエアコンプレッサ42の回
転数の範囲や、車両の運転状態から考えられるギヤの回
転数の範囲や、ギヤの回転数の機械的な限界、種々の運
転状態での各モータの回転数などを考慮すればよい。そ
の上で、補機モータ38を最も小さくできるように接続
状態を設定すれば、既述した小型化の効果をより充分に
得ることができる。
【0064】E2.変形例2:上記実施例では、プラネ
タリギヤ50を介して駆動モータ32から駆動エネルギ
の一部を補われる燃料電池補機として、エアコンプレッ
サ42を用いたが、異なる燃料電池補機を用いることと
しても良い。エアコンプレッサ42は、燃料電池補機の
中でも特に大きく、小型化による効果を顕著に得ること
ができるが、例えば、水素ポンプや冷却水ポンプを用い
ることとしても良い。
【0065】水素ポンプとは、燃料ガスとして水素ガス
を用いる場合に、アノードオフガスとして排出される水
素ガスを再び燃料ガスとして用いるために、燃料電池の
出口部から入り口部へと水素ガスを循環させるためのポ
ンプである。既述した実施例では、燃料電池20は、図
2に示したように燃料ガスとして改質ガスを用いたが、
水素吸蔵合金を備える水素タンクや水素ボンベに貯蔵し
た水素を、燃料ガスとして用いる場合には、このような
水素ポンプを設けて水素の利用率の向上を図る場合があ
る。
【0066】冷却水ポンプとは、燃料電池20の内部に
冷却水を循環させるためのポンプである。燃料電池20
では、発電に伴って熱が生じるため、燃料電池の内部温
度を所定の範囲に保つために、このように内部に冷却水
を循環させる。
【0067】このような水素ポンプあるいは冷却水ポン
プを、エアコンプレッサ42に代えてプラネタリギヤ5
0に接続することで、水素ポンプあるいは冷却水ポンプ
を小型化してエネルギ効率の低下を抑える同様の効果を
得ることができる。なお、プラネタリギヤに接続する燃
料電池補機として、エアコンプレッサや水素ポンプのよ
うに、燃料電池へのガス供給に関わる補機を用いれば、
その動作が燃料電池とほぼ同期するため、特に好まし
い。また、プラネタリギヤと接続する燃料電池補機は、
一つである必要はなく、さらにギヤを介するなどして複
数の燃料電池補機を接続し、動作を連動させることとし
ても良い。
【0068】E3.変形例3:主要な負荷である駆動軸
47が動力を要求しないときに燃料電池20の運転を停
止する際には、上記実施例では、エアコンプレッサ42
を停止して酸化ガスの供給を停止することとしたが、燃
料ガスの供給を停止することとしても良い。燃料ガスと
して水素ガスを用いる場合には、水素ガスの供給を止め
ることによっても燃料電池20の運転を停止することが
でき、少なくともいずれか一方のガスの供給を停止すれ
ばよい。
【0069】E4.変形例4:また、既述した実施例で
は、車両補機70は、燃料電池20と2次電池40との
両方から電力を供給可能としたが、燃料電池20からは
電力の供給を受けず、2次電池40からのみ電力の供給
を受けることとしても良い。このような場合にも、燃料
電池20によって2次電池40を充電することで、同様
の効果を得ることができる。
【0070】E5.変形例5:また、既述した実施例で
は、エアコンプレッサ42で要するエネルギを駆動モー
タ32によって補うためにプラネタリギヤ50を用いた
が、異なるエネルギ分配機構を用いることとしても良
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気自動車10の構成を表わす説明図である。
【図2】燃料電池部15の構成を表わす説明図である。
【図3】燃料電池20における出力電流と、出力電圧あ
るいは出力電力との関係を示す説明図である。
【図4】シフトポジション判断処理ルーチンを表わすフ
ローチャートである。
【図5】燃料電池20の出力の大きさと、エネルギ効率
との関係を表わす説明図である。
【図6】電気自動車10Aの構成を表わす説明図であ
る。
【図7】電子自動車10Bの構成を表わす説明図であ
る。
【図8】電気自動車10Cの構成を表わす説明図であ
る。
【符号の説明】
10,10A,10B,10C…燃料電池システム 15…燃料電池部 20…燃料電池 25…制御ユニット 30…駆動モータインバータ 32…駆動モータ 34…DC/DCコンバータ 36…補機モータインバータ 38…補機モータ 41…残存容量モニタ 42…エアコンプレッサ 46…減速ギヤ 47…駆動軸 48…差動ギヤ 50…プラネタリギヤ 52…サンギヤ 54…プラネタリピニオンギヤ 55…プラネタリキャリア 56…リングギヤ 57…サンギヤ軸 58…プラネタリキャリア軸 59…リングギヤ軸 62…燃料タンク 63…水タンク 64…混合部 65…改質器 66…CO低減部 70…車両補機 74…アクセルポジションセンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 哲浩 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 中脇 康則 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3D035 AA00 5H026 AA06 5H027 AA06 BA01 DD03 KK52 MM04 MM09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスの供給を受けて電気化学反応により
    発電を行なう燃料電池を備える燃料電池システムであっ
    て、 前記燃料電池から電力の供給を受けて駆動され、少なく
    とも所定の主負荷に対して第1の出力軸から動力を出力
    する第1のモータと、 前記燃料電池を稼働させるために用いられる燃料電池補
    機と、 前記燃料電池から電力の供給を受けて、前記燃料電池補
    機を駆動するための動力を出力する第2のモータと、 前記燃料電池補機を駆動するために要するエネルギの一
    部を、前記第1の出力軸を介して前記第1のモータから
    前記燃料電池補機に伝達するエネルギ分配機構と、 前記燃料電池と前記第1のモータと前記第2のモータと
    の稼働状態を制御する制御部と、 を備え、 前記制御部は、前記主負荷への動力供給が要求されてい
    ないときに、前記燃料電池と前記第1のモータと前記第
    2のモータとの稼働状態を停止させる第1の停止モード
    を有する燃料電池システム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の燃料電池システムであっ
    て、 前記燃料電池の稼働状態の停止は、前記燃料電池に供給
    される燃料ガスと酸化ガスの少なくとも一方の供給を止
    めることによって行なう燃料電池システム。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の燃料電池システ
    ムであって、 前記エネルギ分配機構は、サンギヤとプラネタリキャリ
    アとリングギヤとを備えるプラネタリギヤであり、 前記第1のモータが有する前記第1の出力軸と、前記第
    2のモータが動力を出力する第2の出力軸と、前記燃料
    電池補機を駆動するための動力が前記燃料電池補機に伝
    えられる駆動軸とが、前記サンギヤとプラネタリキャリ
    アとリングギヤの回転軸のうちのいずれか一つとそれぞ
    れ接続されている燃料電池システム。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3いずれか記載の燃料電
    池システムであって、 前記燃料電池補機は、前記燃料電池に対して前記電気化
    学反応に供するガスを供給するポンプである燃料電池シ
    ステム。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4いずれか記載の燃料電
    池システムであって、 前記燃料電池によって充電可能であって、前記燃料電池
    と共に所定の副負荷に対して電力を供給可能である2次
    電池をさらに備え、 前記燃料電池の稼働状態を停止させたときには、前記2
    次電池によって前記副負荷に対して電力を供給する燃料
    電池システム。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の燃料電池システムであっ
    て、 前記制御部は、さらに、前記主負荷への動力供給が要求
    されていないときに、前記2次電池の残存容量が所定の
    値以下である場合には、前記燃料電池と前記第1のモー
    タと前記第2のモータとを稼働させて、前記燃料電池を
    用いて前記2次電池の充電を行なう第2の停止モードを
    有する燃料電池システム。
  7. 【請求項7】 請求項5または6記載の燃料電池システ
    ムであって、 該燃料電池システムは、電気自動車に搭載されており、 前記主負荷は、前記電気自動車の駆動軸の負荷であっ
    て、 前記副負荷は、前記電気自動車が搭載する電気機器によ
    る負荷である燃料電池システム。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の燃料電池システムであっ
    て、 前記主負荷への動力供給が要求されていないときとは、
    前記電気自動車において、シフトポジションが、非走行
    レンジとなっているときである燃料電池システム。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の燃料電池システムであっ
    て、 前記制御部は、 前記シフトポジションがNポジションのときには、前記
    2次電池の残存容量に関わらず、前記燃料電池と前記第
    1のモータと前記第2のモータとの稼働状態を停止さ
    せ、 前記シフトポジションがPポジションであって、前記2
    次電池の残存容量が所定の値以下であるときには、前記
    燃料電池を用いて前記2次電池の充電を行なう燃料電池
    システム。
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