JP2003075325A - 水の腐食性診断方法 - Google Patents
水の腐食性診断方法Info
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- JP2003075325A JP2003075325A JP2001265472A JP2001265472A JP2003075325A JP 2003075325 A JP2003075325 A JP 2003075325A JP 2001265472 A JP2001265472 A JP 2001265472A JP 2001265472 A JP2001265472 A JP 2001265472A JP 2003075325 A JP2003075325 A JP 2003075325A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 金属に対する水の腐食性を短時間で評価でき
る方法を提供する。 【解決手段】 被診断水のpH、導電率、塩化物イオン
濃度、硫酸イオン濃度、酸消費量(pH4.8)、全硬
度、およびイオン状シリカ濃度を変量とし、予め求めら
れている腐食性を有さない水のデータを用いてマハラノ
ビスの距離を求め、その値が10以上である場合に腐食
性を有する水であると判定する。また、マハラノビスの
距離が1.5以下である場合に腐食性を有さない水であ
ると判定する。
る方法を提供する。 【解決手段】 被診断水のpH、導電率、塩化物イオン
濃度、硫酸イオン濃度、酸消費量(pH4.8)、全硬
度、およびイオン状シリカ濃度を変量とし、予め求めら
れている腐食性を有さない水のデータを用いてマハラノ
ビスの距離を求め、その値が10以上である場合に腐食
性を有する水であると判定する。また、マハラノビスの
距離が1.5以下である場合に腐食性を有さない水であ
ると判定する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばファンコイ
ルユニット、エアハンドリングユニット、氷蓄熱槽等の
冷凍空調設備や、温水器等の給湯設備のような金属と水
とが接触する構造物において、金属に対する水の腐食性
の有無を診断する方法に関するものである。
ルユニット、エアハンドリングユニット、氷蓄熱槽等の
冷凍空調設備や、温水器等の給湯設備のような金属と水
とが接触する構造物において、金属に対する水の腐食性
の有無を診断する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】冷凍空調設備や給湯設備に使用するステ
ンレス鋼管や銅管等の金属配管において、配管内を流れ
る淡水の水質条件によっては孔食や隙間腐食等の局部腐
食が発生し、水漏れ事故に至ることが知られている。こ
のような水中における金属の腐食の兆候を予知する方法
として、金属の腐食電位をモニタリングする方法が提案
されている。図1はこのような従来の方法で用いられる
金属の腐食電位をモニタリングする装置であり、図にお
いて、1は金属からなる腐食電位測定用試験管、2は電
位測定装置、3は参照電極、4は試験水容器、5はポン
プである。ポンプ5によって試験水4を金属からなる腐
食電位測定用試験管1に通水し、試験管1の腐食電位を
モニタリングすることにより、腐食の兆候を予知する。
すなわち、腐食電位をモニタリングし、腐食電位が上昇
傾向にあるか否かを調べ、上昇傾向にある場合に腐食の
兆候にあると判断する。なお、このような金属の腐食電
位をモニタリングする方法は、例えば、特開平11−5
1849号公報「金属の腐食モニタリング方法」に記載
されている。
ンレス鋼管や銅管等の金属配管において、配管内を流れ
る淡水の水質条件によっては孔食や隙間腐食等の局部腐
食が発生し、水漏れ事故に至ることが知られている。こ
のような水中における金属の腐食の兆候を予知する方法
として、金属の腐食電位をモニタリングする方法が提案
されている。図1はこのような従来の方法で用いられる
金属の腐食電位をモニタリングする装置であり、図にお
いて、1は金属からなる腐食電位測定用試験管、2は電
位測定装置、3は参照電極、4は試験水容器、5はポン
プである。ポンプ5によって試験水4を金属からなる腐
食電位測定用試験管1に通水し、試験管1の腐食電位を
モニタリングすることにより、腐食の兆候を予知する。
すなわち、腐食電位をモニタリングし、腐食電位が上昇
傾向にあるか否かを調べ、上昇傾向にある場合に腐食の
兆候にあると判断する。なお、このような金属の腐食電
位をモニタリングする方法は、例えば、特開平11−5
1849号公報「金属の腐食モニタリング方法」に記載
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の金属の腐食の兆
候を予知する方法は、上記のようなものであり、この方
法で金属の腐食の兆候を見極めるには、腐食電位を所定
期間モニタリングする必要があるため、金属の腐食電位
測定のための試験装置の準備から実際の試験完了まで長
期間を要し、水の腐食性を短時間で診断することは不可
能であった。
候を予知する方法は、上記のようなものであり、この方
法で金属の腐食の兆候を見極めるには、腐食電位を所定
期間モニタリングする必要があるため、金属の腐食電位
測定のための試験装置の準備から実際の試験完了まで長
期間を要し、水の腐食性を短時間で診断することは不可
能であった。
【0004】本発明は、上記のような従来のものの問題
点を解決するためになされたものであり、金属に対する
水の腐食性を短時間で評価できる方法を提供することを
目的とする。
点を解決するためになされたものであり、金属に対する
水の腐食性を短時間で評価できる方法を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る水の腐食性
診断方法は、腐食性を有さない水と被診断水とのpH、
導電率、塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度、酸消費量
(pH4.8)、全硬度、およびイオン状シリカ濃度を
変量とし、腐食性を有さない水のデータを基準データ群
として用いて被診断水のマハラノビスの距離を求め、そ
の値が10以上である場合に腐食性を有する水であると
判定するものである。
診断方法は、腐食性を有さない水と被診断水とのpH、
導電率、塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度、酸消費量
(pH4.8)、全硬度、およびイオン状シリカ濃度を
変量とし、腐食性を有さない水のデータを基準データ群
として用いて被診断水のマハラノビスの距離を求め、そ
の値が10以上である場合に腐食性を有する水であると
判定するものである。
【0006】また、腐食性を有さない水と被診断水との
pH、導電率、塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度、酸
消費量(pH4.8)、全硬度、およびイオン状シリカ
濃度を変量とし、腐食性を有さない水のデータを基準デ
ータ群として用いて被診断水のマハラノビスの距離を求
め、その値が1.5以下である場合に腐食性を有さない
水であると判定するものである。
pH、導電率、塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度、酸
消費量(pH4.8)、全硬度、およびイオン状シリカ
濃度を変量とし、腐食性を有さない水のデータを基準デ
ータ群として用いて被診断水のマハラノビスの距離を求
め、その値が1.5以下である場合に腐食性を有さない
水であると判定するものである。
【0007】また、金属としては、銅、銅合金、ステン
レス鋼、炭素鋼、亜鉛めっき鋼、または鋳鉄を挙げるこ
とができる。
レス鋼、炭素鋼、亜鉛めっき鋼、または鋳鉄を挙げるこ
とができる。
【0008】さらに、水としては、水道水、工業用水、
河川水、または地下水を挙げることができる。
河川水、または地下水を挙げることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、金属に対する水の
腐食性を診断する新しい方法として多変量解析の判別分
析の1つであるマハラノビスの距離に着目し、pH、導
電率、塩化物イオン等の水質項目を変量としてマハラノ
ビスの距離を求めた結果、マハラノビスの距離がある値
以上である場合に局部腐食を発生させる可能性の強い水
であると判定できる、あるいは、マハラノビスの距離が
ある値以下である場合に局部腐食を発生させる可能性の
ほとんど無い水であると判定できることを見出した。す
なわち、これから使用しようとしている水(被診断水)
の水質項目を変量としてマハラノビスの距離を求めるこ
とにより、金属に対する水の腐食性を診断することがで
きる。
腐食性を診断する新しい方法として多変量解析の判別分
析の1つであるマハラノビスの距離に着目し、pH、導
電率、塩化物イオン等の水質項目を変量としてマハラノ
ビスの距離を求めた結果、マハラノビスの距離がある値
以上である場合に局部腐食を発生させる可能性の強い水
であると判定できる、あるいは、マハラノビスの距離が
ある値以下である場合に局部腐食を発生させる可能性の
ほとんど無い水であると判定できることを見出した。す
なわち、これから使用しようとしている水(被診断水)
の水質項目を変量としてマハラノビスの距離を求めるこ
とにより、金属に対する水の腐食性を診断することがで
きる。
【0010】本発明による腐食性診断の対象となる水と
しては、例えば冷凍空調設備や給湯設備に使用される水
道水、工業用水、河川水、地下水などの淡水が挙げられ
る。また、金属としては、例えば銅、銅合金、ステンレ
ス鋼、炭素鋼、亜鉛めっき鋼、鋳鉄などが挙げられ、例
えば配管などに用いられている。
しては、例えば冷凍空調設備や給湯設備に使用される水
道水、工業用水、河川水、地下水などの淡水が挙げられ
る。また、金属としては、例えば銅、銅合金、ステンレ
ス鋼、炭素鋼、亜鉛めっき鋼、鋳鉄などが挙げられ、例
えば配管などに用いられている。
【0011】次に水質項目について社団法人である日本
冷凍空調工業会(JRA)設定の水質ガイドラインであ
る(社団法人 日本冷凍空調工業会編:「冷凍空調機器
用水質ガイドライン」JRA−GL−02−199
4.)に従って説明する。JRAが設定している水質基
準項目はpH、導電率、塩化物イオン、硫酸イオン、酸
消費量(pH4.8)、全硬度、カルシウム硬度、イオ
ン状シリカである。
冷凍空調工業会(JRA)設定の水質ガイドラインであ
る(社団法人 日本冷凍空調工業会編:「冷凍空調機器
用水質ガイドライン」JRA−GL−02−199
4.)に従って説明する。JRAが設定している水質基
準項目はpH、導電率、塩化物イオン、硫酸イオン、酸
消費量(pH4.8)、全硬度、カルシウム硬度、イオ
ン状シリカである。
【0012】以下、各水質基準項目について詳細に説明
する。 ・pH 水中の水素イオン濃度H+(mol/L)の逆数での対
数と定義されており、材料腐食やスケール析出の傾向を
判定する上で基本的な水質因子の1つとなっている。 ・導電率 水の導電率(μS/cm)はその水に含まれる陽イオ
ン、陰イオンの総量に関係する。導電率の高い水は腐食
性因子やスケール成分因子を多く含んでいる可能性があ
り、腐食およびスケール析出の両方の観点から好ましく
ない。 ・塩化物イオン 水に溶存する塩化物をいい、その値は塩化物中の塩素の
量(mgCl―/L)で表す。塩化物イオンは水の腐食
性を高める因子の1つである。 ・硫酸イオン 水に溶存する硫酸塩をいい、その値は硫酸塩中の硫酸根
の量(mgSO4 2―/L)で表す。硫酸イオンは塩化
物イオンとともに水の腐食性を高める因子である。 ・酸消費量(pH4.8) 水に溶存する炭酸水素塩、水酸化物等のアルカリ成分を
pH4.8にするために必要な酸の量をいい、この酸の
量を、相当する炭酸カルシウムの量(mgCaCO3/
L)に換算する。酸消費量(pH4.8)の値が大きい
水は腐食を抑制する側面とスケール障害を起こりやすく
する側面とがある。 ・全硬度 水に溶存するカルシウムイオンによる硬度とマグネシウ
ムイオンによる硬度の合量をいい、その合量を相当する
炭酸カルシウムの量(mgCaCO3/L)に換算す
る。スケール障害の主要因子であり、硬度の高い水はス
ケール障害が起こりやすい。 ・カルシウム硬度 水に溶存するカルシウムイオンによる硬度の量を、相当
する炭酸カルシウムの量(mgCaCO3/L)に換算
する。スケール障害の因子であり、硬度の高い水はスケ
ール障害が起こりやすい。 ・イオン状シリカ 水中に溶存しているシリカをいい、mgSiO2/Lで
表す。水中の金属イオン(Fe,Zn等)が増加すると
シリカと結合してシリカスケールを生成する。
する。 ・pH 水中の水素イオン濃度H+(mol/L)の逆数での対
数と定義されており、材料腐食やスケール析出の傾向を
判定する上で基本的な水質因子の1つとなっている。 ・導電率 水の導電率(μS/cm)はその水に含まれる陽イオ
ン、陰イオンの総量に関係する。導電率の高い水は腐食
性因子やスケール成分因子を多く含んでいる可能性があ
り、腐食およびスケール析出の両方の観点から好ましく
ない。 ・塩化物イオン 水に溶存する塩化物をいい、その値は塩化物中の塩素の
量(mgCl―/L)で表す。塩化物イオンは水の腐食
性を高める因子の1つである。 ・硫酸イオン 水に溶存する硫酸塩をいい、その値は硫酸塩中の硫酸根
の量(mgSO4 2―/L)で表す。硫酸イオンは塩化
物イオンとともに水の腐食性を高める因子である。 ・酸消費量(pH4.8) 水に溶存する炭酸水素塩、水酸化物等のアルカリ成分を
pH4.8にするために必要な酸の量をいい、この酸の
量を、相当する炭酸カルシウムの量(mgCaCO3/
L)に換算する。酸消費量(pH4.8)の値が大きい
水は腐食を抑制する側面とスケール障害を起こりやすく
する側面とがある。 ・全硬度 水に溶存するカルシウムイオンによる硬度とマグネシウ
ムイオンによる硬度の合量をいい、その合量を相当する
炭酸カルシウムの量(mgCaCO3/L)に換算す
る。スケール障害の主要因子であり、硬度の高い水はス
ケール障害が起こりやすい。 ・カルシウム硬度 水に溶存するカルシウムイオンによる硬度の量を、相当
する炭酸カルシウムの量(mgCaCO3/L)に換算
する。スケール障害の因子であり、硬度の高い水はスケ
ール障害が起こりやすい。 ・イオン状シリカ 水中に溶存しているシリカをいい、mgSiO2/Lで
表す。水中の金属イオン(Fe,Zn等)が増加すると
シリカと結合してシリカスケールを生成する。
【0013】以上のように、JRAでは腐食に関係する
因子として、pH、導電率、塩化物イオン、および硫酸
イオンを挙げている。しかしながら、本発明者らは種々
の金属配管の腐食事例を基に腐食要因を分析および解析
した結果、pH、導電率、塩化物イオン、および硫酸イ
オンの他に、酸消費量(pH4.8)、全硬度、および
イオン状シリカも腐食要因として関与する場合があるこ
とを見出した。従って、本発明に関わる水の腐食性診断
に使用する水質項目は、pH、導電率、塩化物イオン、
硫酸イオン、酸消費量(pH4.8)、全硬度、および
イオン状シリカである。
因子として、pH、導電率、塩化物イオン、および硫酸
イオンを挙げている。しかしながら、本発明者らは種々
の金属配管の腐食事例を基に腐食要因を分析および解析
した結果、pH、導電率、塩化物イオン、および硫酸イ
オンの他に、酸消費量(pH4.8)、全硬度、および
イオン状シリカも腐食要因として関与する場合があるこ
とを見出した。従って、本発明に関わる水の腐食性診断
に使用する水質項目は、pH、導電率、塩化物イオン、
硫酸イオン、酸消費量(pH4.8)、全硬度、および
イオン状シリカである。
【0014】次に、多変量解析の判別分析の1つである
マハラノビスの距離について説明する。このマハラノビ
スの距離については、例えば刊行物(救仁郷 誠,「マ
ハラノビスの距離入門―MTS法を理解するために
―」,品質工学,Vol.9,No.1,p.13(2
001))に詳細に記載されている。マハラノビスの距
離は、基準としたデータ群にどれだけ似ているかを示す
尺度である。以下にマハラノビスの距離の計算手順を述
べる。
マハラノビスの距離について説明する。このマハラノビ
スの距離については、例えば刊行物(救仁郷 誠,「マ
ハラノビスの距離入門―MTS法を理解するために
―」,品質工学,Vol.9,No.1,p.13(2
001))に詳細に記載されている。マハラノビスの距
離は、基準としたデータ群にどれだけ似ているかを示す
尺度である。以下にマハラノビスの距離の計算手順を述
べる。
【0015】基準データ群の用意
K個の変量を持つn組のデータを用意する。
【0016】
【表1】
【0017】本発明の場合、基準データ群は腐食事例の
ない水(腐食性を有さない水)であり、変量はpH、導
電率、塩化物イオン、硫酸イオン、酸消費量(pH4.
8)、全硬度、およびイオン状シリカである。
ない水(腐食性を有さない水)であり、変量はpH、導
電率、塩化物イオン、硫酸イオン、酸消費量(pH4.
8)、全硬度、およびイオン状シリカである。
【0018】基準データ群の正規化
式(1)により、変量ごとにそれらの平均値と標準偏差
を用いてそれぞれのデータを正規化する。 Yij=(yij−y* j)/σj …(1)
を用いてそれぞれのデータを正規化する。 Yij=(yij−y* j)/σj …(1)
【0019】
【表2】
【0020】変量間の相関係数行列の算出
式(2)により、k個の変量から、2個を取り出す組み
合わせ(kC2)について、相関係数を求める。
合わせ(kC2)について、相関係数を求める。
【0021】
【数1】
【0022】式(3)に示すように、対角要素を1、そ
の他のp行q列の要素を式(2)のrpqとしたk×k
の相関係数行列Rを求める。
の他のp行q列の要素を式(2)のrpqとしたk×k
の相関係数行列Rを求める。
【0023】
【数2】
【0024】相関係数行列の逆行列の算出
式(4)に示すように、相関係数行列Rの逆行列Aを求
める。
める。
【0025】
【数3】
【0026】マハラノビスの距離の算出
式(5)により、マハラノビスの距離Dを求める。
【0027】
【数4】
【0028】以上により、腐食事例のない水(腐食性を
有さない水)のマハラノビスの距離が求まる。
有さない水)のマハラノビスの距離が求まる。
【0029】次に、被診断水のマハラノビスの距離の求
め方について説明する。まず、被診断水のデータを用意
する。腐食事例のない水の場合と同様に、変量は、p
H、導電率、塩化物イオン、硫酸イオン、酸消費量(p
H4.8)、全硬度、およびイオン状シリカである。
め方について説明する。まず、被診断水のデータを用意
する。腐食事例のない水の場合と同様に、変量は、p
H、導電率、塩化物イオン、硫酸イオン、酸消費量(p
H4.8)、全硬度、およびイオン状シリカである。
【0030】
【表3】
【0031】式(6)により、腐食性を有さない水のデ
ータを基準データ群として求められた平均値y* jと標
準偏差σjを用いて被診断水のデータを変量ごとに正規
化する。 Hij=(hij−y* j)/σj …(6)
ータを基準データ群として求められた平均値y* jと標
準偏差σjを用いて被診断水のデータを変量ごとに正規
化する。 Hij=(hij−y* j)/σj …(6)
【0032】
【表4】
【0033】式(7)により被診断水のマハラノビスの
距離Dhを算出する。なお、式(7)のapqは基準デ
ータ群(腐食性を有さない水のデータ)から式(4)で
求められたものである。
距離Dhを算出する。なお、式(7)のapqは基準デ
ータ群(腐食性を有さない水のデータ)から式(4)で
求められたものである。
【0034】
【数5】
【0035】なお、基準データ群(腐食性を有さない
水)は、変量ごとにそれらの平均値と標準偏差を用いて
それぞれのデータを正規化するので、データ数は複数個
ある必要があるが、被診断水のデータの正規化には、基
準データ群の平均値y* jと標準偏差σjを用いるの
で、データ数nは複数個に限らず1個あってもよいのは
言うまでもない。
水)は、変量ごとにそれらの平均値と標準偏差を用いて
それぞれのデータを正規化するので、データ数は複数個
ある必要があるが、被診断水のデータの正規化には、基
準データ群の平均値y* jと標準偏差σjを用いるの
で、データ数nは複数個に限らず1個あってもよいのは
言うまでもない。
【0036】本発明に関わる水の腐食性診断方法におい
て、種々の金属配管の腐食事例を基に腐食要因を分析・
解析した結果、マハラノビスの距離が10以上である場
合に腐食性を有する水であると判定できることを見出し
た。また、マハラノビスの距離が1.5以下である場合
に腐食性を有さない水であると判定できることを見出し
た。
て、種々の金属配管の腐食事例を基に腐食要因を分析・
解析した結果、マハラノビスの距離が10以上である場
合に腐食性を有する水であると判定できることを見出し
た。また、マハラノビスの距離が1.5以下である場合
に腐食性を有さない水であると判定できることを見出し
た。
【0037】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。 実施例1.冷水中の銅管の使用事例において腐食事例の
ない水質の分析結果(本発明者らが分析で得たもの)お
よび腐食事例のあった水質の分析結果(出典:佐藤 史
郎、匂坂 喜代治、山内 重徳:住友軽金属技報,Vo
l.18,No.3,No.4,P.1,(197
7))を用いて、本発明による方法により、水の腐食性
を診断した。表5および表6に、設置後3年以上経過し
ても銅管の腐食事例のない水質(腐食性を有さない水)
および腐食事例のあった水質(腐食性を有する水)を示
す。表5および表6から、pH、導電率、塩化物イオ
ン、硫酸イオン、酸消費量(pH4.8)、全硬度、お
よびイオン状シリカの各水質項目について、腐食性を有
さない水群と腐食性を有する水群とを比較しても、差別
化は不可能であることが分かる。
説明する。 実施例1.冷水中の銅管の使用事例において腐食事例の
ない水質の分析結果(本発明者らが分析で得たもの)お
よび腐食事例のあった水質の分析結果(出典:佐藤 史
郎、匂坂 喜代治、山内 重徳:住友軽金属技報,Vo
l.18,No.3,No.4,P.1,(197
7))を用いて、本発明による方法により、水の腐食性
を診断した。表5および表6に、設置後3年以上経過し
ても銅管の腐食事例のない水質(腐食性を有さない水)
および腐食事例のあった水質(腐食性を有する水)を示
す。表5および表6から、pH、導電率、塩化物イオ
ン、硫酸イオン、酸消費量(pH4.8)、全硬度、お
よびイオン状シリカの各水質項目について、腐食性を有
さない水群と腐食性を有する水群とを比較しても、差別
化は不可能であることが分かる。
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】まず、腐食性を有さない水を基準データ群
とし(計算手順)、変量ごとにそれらの平均値と標準
偏差を求めて基準データ群を正規化した(計算手順
)。次に、変量間の相関係数行列の算出および相関係
数行列の逆行列の算出を行い(計算手順および)、
マハラノビスの距離を算出した(計算手順)。次に、
腐食性を有する各水について、これらの水をそれぞれ被
診断水としてそのpH、導電率、塩化物イオン濃度、硫
酸イオン濃度、酸消費量(pH4.8)、全硬度、およ
びイオン状シリカ濃度を変量とし、上記計算手順で求
めた変量ごとの平均値と標準偏差、および計算手順で
求めた相関係数行列の逆行列を用いて式(7)よりマハ
ラノビスの距離を求めた。
とし(計算手順)、変量ごとにそれらの平均値と標準
偏差を求めて基準データ群を正規化した(計算手順
)。次に、変量間の相関係数行列の算出および相関係
数行列の逆行列の算出を行い(計算手順および)、
マハラノビスの距離を算出した(計算手順)。次に、
腐食性を有する各水について、これらの水をそれぞれ被
診断水としてそのpH、導電率、塩化物イオン濃度、硫
酸イオン濃度、酸消費量(pH4.8)、全硬度、およ
びイオン状シリカ濃度を変量とし、上記計算手順で求
めた変量ごとの平均値と標準偏差、および計算手順で
求めた相関係数行列の逆行列を用いて式(7)よりマハ
ラノビスの距離を求めた。
【0041】腐食性を有さない水および腐食性を有する
水のマハラノビスの距離を表7に示す。なお、表7で
は、腐食性を有さない水を正常水と記載し、腐食性を有
する水を腐食水と記載している。腐食性を有さない水の
マハラノビスの距離は、0.1のオーダーまたは1のオ
ーダーであるのに対して、腐食性を有する水のマハラノ
ビスの距離は10のオーダーである。従って、被診断水
の水質項目(pH、導電率、塩化物イオン、硫酸イオ
ン、酸消費量(pH4.8)、全硬度、およびイオン状
シリカ)を変量とし、予め求められている腐食性を有さ
ない水のデータを用いてマハラノビスの距離を求めるこ
とにより、その水が腐食水か否かを判定することができ
ることが分かる。すなわち、被診断水のマハラノビスの
距離が10以上である場合に、腐食水であると判定して
も問題はないことが分かる。また、マハラノビスの距離
が1.5以下である場合に腐食性を有さない水であると
判定しても問題はないことが分かる。
水のマハラノビスの距離を表7に示す。なお、表7で
は、腐食性を有さない水を正常水と記載し、腐食性を有
する水を腐食水と記載している。腐食性を有さない水の
マハラノビスの距離は、0.1のオーダーまたは1のオ
ーダーであるのに対して、腐食性を有する水のマハラノ
ビスの距離は10のオーダーである。従って、被診断水
の水質項目(pH、導電率、塩化物イオン、硫酸イオ
ン、酸消費量(pH4.8)、全硬度、およびイオン状
シリカ)を変量とし、予め求められている腐食性を有さ
ない水のデータを用いてマハラノビスの距離を求めるこ
とにより、その水が腐食水か否かを判定することができ
ることが分かる。すなわち、被診断水のマハラノビスの
距離が10以上である場合に、腐食水であると判定して
も問題はないことが分かる。また、マハラノビスの距離
が1.5以下である場合に腐食性を有さない水であると
判定しても問題はないことが分かる。
【0042】
【表7】
【0043】実施例2.建築設備用(給湯用)ステンレ
ス鋼管の使用事例において腐食事例のない水質および腐
食事例のあった水質のデータ(出典:ステンレス協会
配管システム普及専門委員会:ステンレス,Vol.1
2,p.8,(1998))を用いて、本発明による方
法により、水の腐食性を診断した。表8および表9に、
設置後5年以上経過してもステンレス鋼管の腐食事例の
ない水質(腐食性を有さない水)および腐食事例のあっ
た水質(腐食性を有する水)を示す。表8および表9か
ら、pH、導電率、塩化物イオン、硫酸イオン、酸消費
量(pH4.8)、全硬度、およびイオン状シリカの各
水質項目について、腐食性を有さない水群と腐食性を有
する水群とを比較しても、差別化は不可能であることが
分かる。
ス鋼管の使用事例において腐食事例のない水質および腐
食事例のあった水質のデータ(出典:ステンレス協会
配管システム普及専門委員会:ステンレス,Vol.1
2,p.8,(1998))を用いて、本発明による方
法により、水の腐食性を診断した。表8および表9に、
設置後5年以上経過してもステンレス鋼管の腐食事例の
ない水質(腐食性を有さない水)および腐食事例のあっ
た水質(腐食性を有する水)を示す。表8および表9か
ら、pH、導電率、塩化物イオン、硫酸イオン、酸消費
量(pH4.8)、全硬度、およびイオン状シリカの各
水質項目について、腐食性を有さない水群と腐食性を有
する水群とを比較しても、差別化は不可能であることが
分かる。
【0044】
【表8】
【0045】
【表9】
【0046】次に、実施例1の場合と同様に、各水につ
いてマハラノビスの距離を求めた。腐食性を有さない水
および腐食性を有する水のマハラノビスの距離を表10
に示す。なお、表10では、腐食性を有さない水を正常
水と記載し、腐食性を有する水を腐食水と記載してい
る。表10より、マハラノビスの距離が10以下である
(すなわち、0.1のオーダーまたは1のオーダーであ
る。)正常水群(基準空間)の中に3つの腐食水が入っ
ているものの、他の腐食水のマハラノビスの距離は10
以上であり(すなわち、100のオーダーまたは100
0のオーダーである。)、少なくともマハラノビスの距
離が10以上である場合に、腐食水であると判定しても
問題はないことが分かる。また、マハラノビスの距離が
1.5以下である場合に、腐食性を有さない水であると
判定しても問題はないことが分かる。
いてマハラノビスの距離を求めた。腐食性を有さない水
および腐食性を有する水のマハラノビスの距離を表10
に示す。なお、表10では、腐食性を有さない水を正常
水と記載し、腐食性を有する水を腐食水と記載してい
る。表10より、マハラノビスの距離が10以下である
(すなわち、0.1のオーダーまたは1のオーダーであ
る。)正常水群(基準空間)の中に3つの腐食水が入っ
ているものの、他の腐食水のマハラノビスの距離は10
以上であり(すなわち、100のオーダーまたは100
0のオーダーである。)、少なくともマハラノビスの距
離が10以上である場合に、腐食水であると判定しても
問題はないことが分かる。また、マハラノビスの距離が
1.5以下である場合に、腐食性を有さない水であると
判定しても問題はないことが分かる。
【0047】
【表10】
【0048】なお、上記実施例では、金属が銅である場
合とステンレス鋼である場合について示したが、これに
限るものではなく、銅合金はもちろんのこと、炭素鋼、
亜鉛めっき鋼、鋳鉄などであっても同様にして金属に対
する水の腐食性を診断することができる。
合とステンレス鋼である場合について示したが、これに
限るものではなく、銅合金はもちろんのこと、炭素鋼、
亜鉛めっき鋼、鋳鉄などであっても同様にして金属に対
する水の腐食性を診断することができる。
【0049】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の水の腐食
性診断方法によれば、金属に対する水の腐食性を短時間
で評価でき、腐食性を有する水に対して迅速に脱酸素や
アルカリ剤の添加などの適切な腐食対策を実施すること
が可能となる。
性診断方法によれば、金属に対する水の腐食性を短時間
で評価でき、腐食性を有する水に対して迅速に脱酸素や
アルカリ剤の添加などの適切な腐食対策を実施すること
が可能となる。
【図1】 従来の金属の腐食電位をモニタリングする装
置の構成を示す図である。
置の構成を示す図である。
1 金属からなる腐食電位測定用試験管、2 電位測定
装置、3 参照電極、4試験水容器、5 ポンプ。
装置、3 参照電極、4試験水容器、5 ポンプ。
Claims (4)
- 【請求項1】 金属に対する水の腐食性を診断する方法
であって、腐食性を有さない水と被診断水とのpH、導
電率、塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度、酸消費量
(pH4.8)、全硬度、およびイオン状シリカ濃度を
変量とし、腐食性を有さない水のデータを基準データ群
として用いて被診断水のマハラノビスの距離を求め、そ
の値が10以上である場合に腐食性を有する水であると
判定することを特徴とする水の腐食性診断方法。 - 【請求項2】 金属に対する水の腐食性を診断する方法
であって、腐食性を有さない水と被診断水とのpH、導
電率、塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度、酸消費量
(pH4.8)、全硬度、およびイオン状シリカ濃度を
変量とし、腐食性を有さない水のデータを基準データ群
として用いて被診断水のマハラノビスの距離を求め、そ
の値が1.5以下である場合に腐食性を有さない水であ
ると判定することを特徴とする水の腐食性診断方法。 - 【請求項3】 金属が、銅、銅合金、ステンレス鋼、炭
素鋼、亜鉛めっき鋼、または鋳鉄であることを特徴とす
る請求項1または2記載の水の腐食性診断方法。 - 【請求項4】 水が、水道水、工業用水、河川水、また
は地下水であることを特徴とする請求項1または2記載
の水の腐食性診断方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001265472A JP2003075325A (ja) | 2001-09-03 | 2001-09-03 | 水の腐食性診断方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001265472A JP2003075325A (ja) | 2001-09-03 | 2001-09-03 | 水の腐食性診断方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003075325A true JP2003075325A (ja) | 2003-03-12 |
Family
ID=19091930
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001265472A Pending JP2003075325A (ja) | 2001-09-03 | 2001-09-03 | 水の腐食性診断方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003075325A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006349230A (ja) * | 2005-06-14 | 2006-12-28 | Mitsubishi Electric Building Techno Service Co Ltd | 洗浄周期算出システム |
JP2021021584A (ja) * | 2019-07-25 | 2021-02-18 | 新菱冷熱工業株式会社 | 金属材料の腐食性評価システム及びその方法 |
-
2001
- 2001-09-03 JP JP2001265472A patent/JP2003075325A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006349230A (ja) * | 2005-06-14 | 2006-12-28 | Mitsubishi Electric Building Techno Service Co Ltd | 洗浄周期算出システム |
JP4532356B2 (ja) * | 2005-06-14 | 2010-08-25 | 三菱電機ビルテクノサービス株式会社 | 冷凍空調機器の洗浄周期算出システム |
JP2021021584A (ja) * | 2019-07-25 | 2021-02-18 | 新菱冷熱工業株式会社 | 金属材料の腐食性評価システム及びその方法 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
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