JP2003074701A - ピストン耐摩環およびピストン耐摩環の製造方法 - Google Patents

ピストン耐摩環およびピストン耐摩環の製造方法

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JP2003074701A JP2001262233A JP2001262233A JP2003074701A JP 2003074701 A JP2003074701 A JP 2003074701A JP 2001262233 A JP2001262233 A JP 2001262233A JP 2001262233 A JP2001262233 A JP 2001262233A JP 2003074701 A JP2003074701 A JP 2003074701A
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Kinya Kawase
欣也 川瀬
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピストンリングを効果的に冷却でき、生産性
に優れ、製品信頼性の高いピストン耐摩環およびその製
造方法を提供する。 【解決手段】 ピストン本体に固定され、ピストンリン
グ溝と環状の冷却用空洞部Sとを有するピストン耐摩環
20であって、ピストンリング溝が形成される面とは異
なるいずれかの面に開口する環状溝21aが設けられた
耐摩環本体21と、環状溝21aを閉鎖して冷却用空洞
部Sを形成する閉鎖部材22とが接合されてなり、耐摩
環本体21および閉鎖部材22は、鉄系の原料粉末の焼
結により形成され、少なくともいずれか一方の原料粉末
に、焼結時に液相となり両部材を接合するCuが含ま
れ、耐摩環本体21と閉鎖部材22との接合面Pをまた
ぐCu浸透層を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関用エンジ
ン等に利用される冷却用の空洞を有するピストン耐摩環
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に内燃機関用のエンジンに用いられ
るピストンは、たとえばアルミニウム合金の鋳造により
形成されたピストン本体の外周面に、ピストンリングが
取り付けられた構成となっている。ピストンリングは、
ピストン本体の先端側に形成されたピストンリング溝に
組み込まれ、シリンダ内周面に摺接している。なおピス
トンリングとしては、ガスシール、散熱作用を果たすも
ののほかに、潤滑管理用のオイルリング等があり、各目
的に応じてそれぞれ必要数取り付けられる。
【0003】燃焼室(シリンダ内面とピストン外面との
間)のガスを効果的に排出するには、ピストンリングを
極力ピストン本体の先端側に設けて、ガス排出時の燃焼
室容積を小さくすることが望ましい。しかし、ピストン
本体は先端に近づくほど高温となるため、ピストンリン
グによるピストンリング溝(ピストン本体)の摩耗が大
きくなり、ここからガス漏れが発生するおそれがある。
そこで、ピストン本体を形成するアルミニウム合金材よ
りも高温耐摩耗性に優れる鉄系材料で形成した耐摩環
(トレーガともいう)でピストンリングを保持する構成
が採用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ピストンリング溝およ
びピストンリングは、ピストンリング溝の内周側に設け
られた冷却用空洞部の内部に冷却用のオイルが通される
ことにより冷却される。この冷却用空洞部は、従来はた
とえば実公昭58−52346号公報などにも記載され
ているように、ピストン本体の鋳造に際して塩中子を鋳
込み、鋳造後に水によって溶解されてピストン本体から
塩中子を取り出すことによって形成することができる。
冷却効果を高めるには、冷却用空洞部をピストンリング
溝(トレーガ)に近接させることが望ましいが、塩中子
を用いて形成される冷却用空洞部とピストンリング溝
(すなわちトレーガ)との間隔を小さくすることは難し
いため、冷却用空洞部をより精度よく配置することが求
められていた。
【0005】これに対して、冷却用空洞部とピストンリ
ング溝とをさらに近づけるために、たとえば特開平5−
240347号公報等に記載されているように、ピスト
ンリング溝を有する部材(耐摩環本体)の内周側に環状
の部品(成型体)を接合することにより、あらかじめピ
ストンリング溝近傍に冷却用空洞部を備えたトレーガ
(胴環部)を形成しておき、このトレーガを鋳込んでピ
ストン本体を鋳造することも提案されている。しかし、
耐摩環本体と成型体とをアーク溶接を用いて接合した場
合、接合部にブローホールなどの溶接欠陥が生じやすい
など、接合が不確実で製品としての信頼性が低いという
問題がある。
【0006】さらに、焼結材により形成した耐摩環本体
と、管材からなる管状の空洞形成材とをろう付けにより
接合する技術も提案されているが、ろう付けによる接合
は強度が弱く、ピストンリングがシリンダに摺動するこ
とにより接合部分が破損するおそれがあった。
【0007】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたもので、ピストンリングを効果的に冷却でき、生産
性に優れ、製品信頼性の高いピストン耐摩環およびその
製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1の発明に係るピストン耐摩環は、ピストン
本体に固定され、ピストンリング溝と環状の冷却用空洞
部とを有するピストン耐摩環であって、ピストンリング
溝が形成される面とは異なるいずれかの面に開口する環
状溝が設けられた耐摩環本体と、環状溝を閉鎖して冷却
用空洞部を形成する閉鎖部材とが接合されてなり、耐摩
環本体および閉鎖部材は、鉄系の原料粉末の焼結により
形成され、少なくともいずれか一方の原料粉末に、焼結
時に液相となり両部材を接合するCuが含まれ、耐摩環
本体と閉鎖部材との接合面をまたぐCu浸透層を有する
ことを特徴としている。
【0009】この発明によれば、ピストン耐摩環におけ
る冷却用空洞部の位置が正確に設定されるので、ピスト
ンリング溝と冷却用空洞部とを近接させて設けることが
でき、生産性に優れるとともに、ピストンリング溝およ
びピストンリングを冷却する効果が高い。また、耐摩環
本体と閉鎖部材との接合面をまたぐCu浸透層で両部材
が接合されているので、接合部分の密閉性に優れ、ピス
トン本体の鋳造時に冷却用空洞部が埋められることがな
く、製品信頼性が高い。
【0010】請求項2の発明に係るピストン耐摩環は、
請求項1のピストン耐摩環において、耐摩環本体および
閉鎖部材のうち少なくともいずれか一方の原料粉末に含
まれるCuが、15〜30質量%であることを特徴とし
ている。
【0011】この発明によれば、耐摩環本体および閉鎖
部材を形成する原料粉末が、各部材の機械強度を確保し
かつ両部材を接合させるのに十分な量のCuを含むもの
であるので、確実に接合されて機械強度に優れるピスト
ン耐摩環の実現が可能となる。
【0012】請求項3の発明に係るピストン耐摩環は、
請求項2のピストン耐摩環において、耐摩環本体および
閉鎖部材のうち、他方の原料粉末に含まれるCuが8質
量%以下であることを特徴としている。
【0013】この発明によれば、耐摩環本体および閉鎖
部材を形成する原料粉末のCuの量がそれぞれ異なるこ
とにより、焼結時に生じるCu液相が濃度差により両部
材間を移動しやすいので、両部材間を接合するCuのブ
リッジが容易に形成され、確実に接合されたピストン耐
摩環を得ることができる。
【0014】請求項4の発明に係るピストン耐摩環は、
請求項1または2のピストン耐摩環において、耐摩環本
体と閉鎖部材との接合面が、ピストン耐摩環の内外周面
を除く面に位置することを特徴としている。
【0015】この発明によれば、ピストンリングにより
ピストンリング溝に加えられる力が耐摩環本体と閉鎖部
材との接合面に作用しにくいので、両部材の接合部が破
損されにくく、高強度のピストン耐摩環の実現が可能と
なる。また、焼結時に両部材が上下に配置されるので、
Cu液相が浸透しやすく、確実な接合が可能となる。
【0016】請求項5の発明に係るピストン耐摩環は、
ピストン本体に固定され、ピストンリング溝と環状の冷
却用空洞部とを有するピストン耐摩環の製造方法であっ
て、環状溝を有する耐摩環本体となる圧粉体と、この環
状溝を閉鎖して冷却用空洞部を構成するための閉鎖部材
となる圧粉体とを、少なくともいずれか一方には15〜
30%のCuを含有させた鉄系原料粉末を圧縮して成形
し、環状溝の開口を閉鎖部材で閉鎖するように接触させ
て、Cuを溶融させる焼結温度でこれらを焼結し、Cu
液相が耐摩環本体および閉鎖部材の双方に浸透するCu
浸透層を形成することにより両部材を接合することを特
徴としている。
【0017】この発明によれば、粉末の圧縮成形により
形成した部材を接合してピストン耐摩環を形成している
ため、ピストン耐摩環における冷却用空洞部の位置を正
確に設定することが容易となるので、冷却用空洞部に近
接させてピストンリング溝を設けることが容易となり、
生産性に優れ、ピストンリング溝およびピストンリング
を冷却する効果が高いピストン耐摩環を形成が可能とな
る。また、耐摩環本体および閉鎖部材の少なくとも一方
から溶融したCuを両部材に浸透させることにより両部
材を接合するので、接合部分の密閉性に優れ、ピストン
本体の鋳造時に冷却用空洞部が埋められることがなく、
製品信頼性の高いピストン耐摩環を提供することができ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施
形態によるピストン耐摩環20が鋳ぐるまれたピストン
本体10を示す断面図である。このピストン本体10
は、アルミニウム合金を材料として鋳造された自動車の
エンジン用のもので、内部に設けられた空洞部11と、
この空洞部11に臨むピストンピン孔12と、燃焼室に
面する先端面に設けられた凹部13とを有している。
【0019】ピストン本体10の外周面には、鋳造され
たピストン本体10に後加工により彫り込まれたピスト
ンリング溝14、15、16が形成されており、それぞ
れにシリンダ(図示せず)内周面に摺接するピストンリ
ング(図示せず)が取り付けられる。ピストンリング溝
14、15の内周側には、冷却用のオイルを通すための
冷却用空洞部Sが設けられていて、この冷却用空洞部S
に連通するオイル供給孔(図示せず)がピストン本体1
0に形成されている。この冷却用空洞部Sは、あらかじ
めピストン耐摩環20(図1の点線部分)内に形成され
たものであって、ピストン本体10は、冷却用空洞部S
を有するピストン耐摩環20を鋳ぐるむように鋳造され
ている。なお、ピストンリング溝16は鋳造されたピス
トン本体10に直接形成され、ピストンリング溝14、
15は、冷却用空洞部Sの外周側すなわちピストン耐摩
環20の外周面に形成されている。
【0020】ピストン本体10に鋳ぐるまれるピストン
耐摩環20は、鉄系の原料粉末の圧縮により成形され
た、環状溝21aが設けられた耐摩環本体21と、鉄系
の原料粉末の圧縮により成形された、環状溝21aを閉
鎖する閉鎖部材22とが接合されて形成されている。耐
摩環本体21および閉鎖部材22の原料粉末には、焼結
時に液相となるCuが含まれており、両部材は焼結時の
Cu液相により接合されている。環状溝21aおよび環
状溝21aを閉鎖する閉鎖部材22は、耐摩環本体21
と閉鎖部材22とが接合されることにより、冷却用空洞
部Sを構成している。
【0021】なお、耐摩環本体21と閉鎖部材22との
接合面Pが、ピストン耐摩環20の内外周面(すなわち
ピストンリング溝14、15が形成される面)を除く面
に位置しているので、後にピストンリング溝14、15
が機械加工により形成されてピストンリングが取り付け
られても、両部材の接合が弱められることはない。
【0022】ここで、ピストン耐摩環20の製造方法に
ついて説明する。まず、耐摩環本体21となる圧粉体お
よび閉鎖部材22となる圧粉体を、Cuを含む鉄系原料
粉末を圧縮して粉末成形する(粉末成形工程)。このと
き、図2に示すように、耐摩環本体21となる圧粉体
は、その軸方向の一端面に開口する環状溝21aを有す
る環状に形成され、環状溝21aには幅広部21bが形
成されている。閉鎖部材22となる圧粉体は、この幅広
部21bに嵌合して環状溝21aを閉鎖する環状に形成
されている。このような形状は単純であるので、圧粉体
の製造が容易である。
【0023】原料粉末の成分はたとえば、質量%で、耐
摩環本体21がFe―5Ni―2Cr−2Cu−2Ti
―1.5C−0.7Mn−0.3Mo−0.3B−0.
2S、閉鎖部材22がFe−22Cu−7Ni−3Mo
−1.5Cである。
【0024】つぎに、圧粉体である耐摩環本体21およ
び閉鎖部材22を、図2に示すように、環状溝21aが
下方に向けて開口するように耐摩環本体21を配置し、
この耐摩環本体21の下側に閉鎖部材22を配置して閉
鎖部材22によって環状溝21aを閉鎖した状態で、焼
結炉にてCuが溶融する温度で焼結する(焼結工程)。
このときの焼結条件は通常の条件でよく、たとえば、弱
還元性雰囲気中で焼結温度1100〜1150℃、焼結
時間10分〜1時間とする。
【0025】耐摩環本体21および閉鎖部材22はこの
焼結により、原料粉末中の鉄粉部分が固相拡散接合によ
り接合される一方、Cu材Mは液相となる。Cu液相
は、Cuが多く含まれる閉鎖部材22側から、相対的に
Cuが少ない耐摩環本体21側へと吸収される。このと
き、耐摩環本体21の気孔内のガスが下方から浸透して
きたCu液相により押し出されて上方に抜けるので、C
uは閉鎖部材22から耐摩環本体21への浸透は円滑に
行われる。
【0026】これにより、図3に示すように、耐摩環本
体21と閉鎖部材22との接合面Pにおいて両部材に架
橋するCu浸透層Lが形成され、両部材が強固に接合さ
れる。このように形成されるピストン耐摩環20は、C
u浸透層Lにより封孔されるので、ピストン耐摩環20
を鋳ぐるむピストン本体10の鋳造時にアルミニウム合
金が冷却用空洞部Sへ侵入しにくく、冷却用空洞部Sが
確実に形成されたピストン本体10を製造することがで
きる。
【0027】なお、Cuは少なくともどちらか一方の部
材に15〜30質量%含まれていることが好ましく、本
実施形態では、耐摩環本体21には2質量%のCuを含
む鉄系の原料粉末、閉鎖部材22には22質量%のCu
を含む鉄系の原料粉末を用いているが、本実施形態とは
反対に、耐摩環本体21に22質量%のCuを含む鉄系
の原料粉末、閉鎖部材22に2質量%のCuを含む鉄系
の原料粉末を用いてもよい。この場合は、耐摩環本体2
1と閉鎖部材22の上下位置を逆にして、Cuが多く含
まれる部材を下側に配置することが好ましい。
【0028】いずれにしても、一方の部材が15〜30
質量%のCuを含むことにより両部材を接合するために
十分なCu液相を生じさせることができるとともに、他
方の部材に含まれるCuを8質量%以下とすることによ
り、Cuの多い部材側で溶融したCu液相は濃度差から
Cuの少ない部材側へと浸透(移動)するので、図3に
示すように架橋するCu浸透層Lが形成されやすく、容
易に両部材を接合させることができる。
【0029】また、耐摩環本体および閉鎖部材双方の原
料粉末に、15〜30質量%のCuが含まれていてもよ
い。すなわち、両部材の原料粉末に20質量%のCuが
含まれる場合には、両部材中で溶融したCuがそれぞれ
Cu液相となって、上記の実施形態同様、図3に示すよ
うに架橋するCu浸透層Lを形成するので、両部材を接
合させることができる。
【0030】以上のように、耐摩環本体21と閉鎖部材
22とを接合してピストン耐摩環20を形成することに
より、ピストン耐摩環20の冷却用空洞部Sが位置精度
よく形成されるので、ピストンリング溝14、15を冷
却用空洞部Sの近傍に形成することが容易となり、冷却
効果の高いピストン本体10を製造することができる。
【0031】したがって、ピストンリング溝14、15
の摩耗を抑制することができるので、ピストンリング溝
14、15をピストン本体10の先端に設けることがで
き、効率よく排気ガスを排出させることができるピスト
ン本体10の実現が可能となる。また、ピストン本体1
0を構成する耐摩環本体21および閉鎖部材22を焼結
材により形成するので、ピストン本体10の軽量化を図
ることができる。
【0032】なお、前記実施形態において示した各構成
部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の
趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種
々変更可能である。図示のものでは、閉鎖部材22上に
耐摩環本体21を載置して焼結しているが、耐摩環本体
21上に閉鎖部材22を載置して焼結してもよい。
【0033】また、耐摩環本体および閉鎖部材を形成す
る原料粉末に含まれるCu濃度を、それぞれ15〜30
質量%の範囲で異ならせて、焼結時に両部材間で濃度差
によりCu液相が移動しやすくなるようにすることも可
能である。
【0034】さらに、耐摩環本体と閉鎖部材とを焼結填
めにより固定しつつ、上述したようにCu液相による接
合を行わせるような構成としてもよい。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
係るピストン耐摩環によれば、ピストン耐摩環における
冷却用空洞部の位置を正確に設定できるので、ピストン
リング溝と冷却用空洞部とを近接させて設けることがで
き、生産性に優れ、ピストンリング溝およびピストンリ
ングを冷却する効果が高いピストン耐摩環を得ることが
できる。したがって、より高温のピストン本体先端側に
ピストンリング溝すなわちピストン耐摩環を配置するこ
とが可能となるので、効率のよい排気が可能なピストン
本体の製造が可能となる。
【0036】また、溶融したCuが両部材に浸透して両
部材の接合がなされるので、接合部分の密閉性に優れ、
確実に封孔されている。したがって、高精度のピストン
本体を得るために高温高圧の鋳造を行っても、ピストン
本体の材料が接合部から冷却用空洞部内に侵入しにくい
ので、冷却用空洞部が埋められることがなく、より高精
度かつ製品信頼性が高いピストン耐摩環の実現が可能と
なる。
【0037】請求項2の発明に係るピストン耐摩環によ
れば、耐摩環本体および閉鎖部材を形成する原料粉末
が、各部材の機械強度を確保しかつ両部材を接合させる
のに十分な量のCuを含むものであるので、両部材が確
実に接合されかつ機械強度に優れるピストン耐摩環の実
現が可能となる。
【0038】請求項3の発明に係るピストン耐摩環によ
れば、耐摩環本体および閉鎖部材を形成する原料粉末の
Cuの量を異ならせることにより、焼結時に生じるCu
液相が両部材間を移動しやすくなり、両部材間を接合す
るCuのブリッジが容易に形成され、耐摩環本体と閉鎖
部材とが確実に接合されたピストン耐摩環を得ることが
できる。
【0039】請求項4の発明に係るピストン耐摩環によ
れば、ピストンリングによりピストンリング溝に加えら
れる力が耐摩環本体と閉鎖部材との接合面に作用しにく
く、また、ピストン本体の鋳造後にピストンリング溝が
形成される際、接合部に対して彫り込む加工が行われな
いので、両部材の接合部が破損されにくく、高強度のピ
ストン耐摩環の実現が可能となる。
【0040】請求項5の発明に係るピストン耐摩環によ
れば、粉末成形により所望の位置に冷却用空洞部を有す
るピストン耐摩環を容易に形成することができるので、
冷却用空洞部に近接させてピストンリング溝を設けるこ
とが容易となり、生産性に優れ、ピストンリング溝およ
びピストンリングを冷却する効果が高いピストン耐摩環
を形成することができる。したがって、より高温のピス
トン本体先端側にピストンリング溝すなわちピストン耐
摩環を配置することが可能となるので、効率のよい排気
が可能なピストン本体の製造が実現される。
【0041】また、耐摩環本体および閉鎖部材の少なく
とも一方から溶融したCuを両部材に浸透させることに
より両部材を接合するので、接合部分の密閉性に優れ、
ピストン本体の鋳造時に冷却用空洞部がピストン本体の
材料が侵入して埋められることがなく、製品信頼性の高
いピストン耐摩環を提供することができる。また、焼結
時に接合と同時に封孔処理を行うこととなるので、製造
コストを抑えてピストン耐摩環を製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態によるピストン耐摩環を
鋳ぐるんだピストン本体を示す断面図である。
【図2】 本発明の一実施形態によるピストン耐摩環を
示す断面図である。
【図3】 本発明の耐摩環本体と閉鎖部材との接合部分
の詳細を示す断面図である。
【符号の説明】
10 ピストン本体 14、15、16 ピストンリング溝 20 ピストン耐摩環 21 耐摩環本体 21a 環状溝 22 閉鎖部材 P 接合面 S 冷却用空洞
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16J 1/00 F16J 1/00 9/00 9/00 A Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピストン本体に固定され、ピストンリン
    グ溝と環状の冷却用空洞部とを有するピストン耐摩環で
    あって、 前記ピストンリング溝が形成される面とは異なるいずれ
    かの面に開口する環状溝が設けられた耐摩環本体と、前
    記環状溝を閉鎖して前記冷却用空洞部を形成する閉鎖部
    材とが接合されてなり、 前記耐摩環本体および閉鎖部材は、鉄系の原料粉末の焼
    結により形成され、少なくともいずれか一方の原料粉末
    に、焼結時に液相となり両部材を接合するCuが含ま
    れ、 前記耐摩環本体と閉鎖部材との接合面をまたぐCu浸透
    層を有することを特徴とするピストン耐摩環。
  2. 【請求項2】 前記耐摩環本体および閉鎖部材のうち、
    少なくともいずれか一方の原料粉末に含まれるCuが1
    5〜30質量%であることを特徴とする請求項1記載の
    ピストン耐摩環。
  3. 【請求項3】 前記耐摩環本体および閉鎖部材のうち、
    他方の原料粉末に含まれるCuが8質量%以下であるこ
    とを特徴とする請求項2記載のピストン耐摩環。
  4. 【請求項4】 前記耐摩環本体と閉鎖部材との接合面
    が、前記ピストン耐摩環の内外周面を除く面に位置する
    ことを特徴とする請求項1または2記載のピストン耐摩
    環。
  5. 【請求項5】 ピストン本体に固定され、ピストンリン
    グ溝と環状の冷却用空洞部とを有するピストン耐摩環の
    製造方法であって、 環状溝を有する耐摩環本体となる圧粉体と、該環状溝を
    閉鎖して前記冷却用空洞部を構成するための閉鎖部材と
    なる圧粉体とを、少なくともいずれか一方には15〜3
    0%のCuを含有させた鉄系原料粉末を圧縮して成形
    し、 前記環状溝の開口を前記閉鎖部材で閉鎖するように接触
    させて、Cuを溶融させる焼結温度でこれらを焼結し、 Cu液相が前記耐摩環本体および閉鎖部材の双方に浸透
    するCu浸透層を形成することにより両部材を接合する
    ことを特徴とするピストン耐摩環の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102008031862A1 (de) * 2008-07-05 2010-01-07 Mahle International Gmbh Einlegeteil für einen Kolben eines Verbrennungsmotors sowie mit dem Einlegeteil versehener Kolben oder Kolbenkopf

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DE102008031862A1 (de) * 2008-07-05 2010-01-07 Mahle International Gmbh Einlegeteil für einen Kolben eines Verbrennungsmotors sowie mit dem Einlegeteil versehener Kolben oder Kolbenkopf

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