JP2003074113A - 汚水槽用スカム除去装置 - Google Patents

汚水槽用スカム除去装置

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JP2003074113A
JP2003074113A JP2001348875A JP2001348875A JP2003074113A JP 2003074113 A JP2003074113 A JP 2003074113A JP 2001348875 A JP2001348875 A JP 2001348875A JP 2001348875 A JP2001348875 A JP 2001348875A JP 2003074113 A JP2003074113 A JP 2003074113A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 汚水槽内から汲み上げた汚水の一部を、吐出
管を介して汚水槽内壁面向けに噴出させて汚水槽内で発
生したスカムを除去するのに、吐出管からの汚水の噴出
時間が簡単に調整できる汚水槽用スカム除去装置を提供
する。 【解決手段】 汚水槽内に発生したスカムに向けて汚水
を吐出する吐出管30にバルブA、Bを設け、該バルブ
A、Bの弁室41内にあって進退動するボールロック部4
6、54を設けたダイヤフラム45を配装し、常態におい
て、ボール待機位置43にあるボール42をロックし、弁室
41内の汚水の圧力でダイヤフラム45の変形に伴うボール
ロック部46、54の動作でボール42のロックを解除してボ
ール42で流路を閉鎖し、吐出管30からの汚水の噴出を止
める。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本願発明は、汚水槽内に発生
するスカムを除去するためのスカム除去装置に関し、特
に、汚水を汲み上げて汚水槽外に排出するための水中ポ
ンプからの圧送水を利用してスカムを除去するスカム除
去装置に関する。
【従来の技術】マンホール等の汚水槽に汚水が流入する
と、流入した汚水の有機物質や油脂成分のために、汚水
槽の内壁面、水中ポンプ、水位計、配管、ケーブル等に
スカムが付着する。スカムが例えばフロート式の水位計
に付着すると、水位計が誤動作する原因となる。スカム
はそのまま放置すると有害で異臭を放つ硫化水素を発生
させる。硫化水素は腐食性があるため汚水槽を腐食させ
る原因となる。そこで、汚水槽の内壁面に付着するスカ
ムを除去するために、本出願人は、特開2000−35
5970号公報において、汚水流入管を接続したマンホ
ール(汚水槽)の内部下方位置に水中ポンプを設け、こ
の水中ポンプにマンホール外へ汚水を排出する圧送管を
接続し、この圧送管から分岐して吐出管を設け、この吐
出管を水平方向に伸延して吐出管先端の吐出口を、マン
ホールの内壁面近傍に位置させ、圧送管を流れる汚水の
一部を吐出管に分岐させ、この汚水をマンホールの内壁
面に衝突させて内壁面に付着したスカムを洗い流す構成
の汚水槽用スカム除去装置を提案している。また、この
スカム除去装置において、吐出管にバルブを挿設し、吐
出管に汚水が流れている状態で、バルブの弁室内に生じ
る負圧でダイヤフラムを弁室内に持ち上げ、所定の位置
に達したところで、ダイヤフラム上に載せたボール(弁
体)が弁室内の負圧の影響を受けて浮上し、流路出口に
形成した弁座に着座して流路を閉鎖し、吐出管からの汚
水の噴出を止めるようにしたものがある。この場合は、
バルブの一連の動作によって、水中ポンプの起動時から
一定の時間だけ、吐出管から汚水を噴出させることがで
きるので、スカムを除去するのに必要な汚水を吐出管か
ら噴出した後は、吐出管からの汚水の噴出を止め、水中
ポンプの駆動力を、マンホールから外部に汚水を排出す
るためだけに有効利用することができる。
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記するよ
うに、吐出管にバルブを挿設した構成のものは、吐出管
に汚水が流れている状態で、弁室内に生じる負圧でボー
ルの載ったダイヤフラムを弁室内に持ち上げ、所定の位
置に達したところで、ボールがダイヤフラム上に浮上し
て弁座位置まで移動して流路を閉鎖するため、弁室内の
圧力が高い場合は、弁室内の汚水の流れで簡単にボール
がダイヤフラム上に浮上してが弁座に移動してしまうこ
とがある。また、弁室内に生じる負圧を利用する場合
に、圧力が低いと、ダイヤフラムを弁室内に持ち上げる
力が不足し、ダイヤフラムの持ち上がりがなかなか所定
の位置に達することができず、流路を閉鎖する時間が長
引くことがある。そこで、本発明は、吐出管にバルブを
挿設した構成のものにおいて、常態においては、バルブ
内のボールをロックするようにし、弁室内の汚水の圧力
(正圧)を利用してボールのロック解除を的確に行うこ
とによって、水中ポンプの起動時から一定の時間だけ、
吐出管から汚水を確実に噴出させることができ、しか
も、吐出管から汚水を噴出させる時間(洗浄時間)の調
整が簡単にできて、管内圧力(水頭)が異なるポンプ場
(汚水槽が設置されている場所)毎に、最適な洗浄時間
の設定ができる取り扱いに便利な汚水槽用スカム除去装
置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本願発明の汚水槽用スカム除去装置は、汚水槽内の
汚水を汲み上げて外部に排出するための水中ポンプと、
該ポンプが汲み上げた汚水の一部を、ポンプ起動水位近
傍で汚水槽内に発生するスカムに向けて吐出する吐出管
とを備えた汚水槽用スカム除去装置において、前記吐出
管にバルブを設け、該バルブの弁室内に、待機位置と流
路閉鎖位置間を移動するボールを配装するとともに、弁
室内にあってボール向けに進退動するボールロック部を
設けたダイヤフラムを配装し、常態において、ボールロ
ック部によりボールをボール待機位置にロックし、弁室
内の汚水の圧力によるダイヤフラムの変形でボールのロ
ックを解除し、ボールを流路閉鎖位置に移動させること
を特徴とする。このように構成された本発明の汚水槽用
スカム除去装置によれば、常態においては、ボールロッ
ク部によりボールがボール待機位置にロックされ、弁室
内に汚水が流入して汚水の圧力(正圧)がダイヤフラム
に作用すると、ダイヤフラムが変形してボールロック部
によるボールのロックが解除され、ボールはボール待機
位置から汚水の流れにのって移動して流路を閉鎖するの
で、ボールの動作が的確に行われて、水中ポンプの起動
時から一定の時間だけ、吐出管から汚水を確実に噴出さ
せることができる。従って、汚水槽の内壁面でスカムが
最も溜まりやすいポンプ起動水位近傍に吐出管の吐出口
を位置させることで、スカムをきれいに除去することが
できる。こうして、スカムを除去する一定の時間が経過
した後の水中ポンプの駆動力は、汚水を外部へ排出する
ことだけに有効利用される。また、弁室中間部に、吐出
管の流路入口を設け、該流路入口より下方の弁室下部に
ボール待機部を形成し、該ボール待機部に対向して弁室
上部に流路出口を下向きに設けて弁座を形成した構成に
すると、ロックが解除されたボールは、ボール待機部か
ら上向きに移動してそのまま流路出口の弁座に着座して
流路を閉鎖し、流路閉鎖後も、水中ポンプの運転中は、
弁室内に汚水が充満してボールとダイヤフラムには汚水
の圧力が継続して掛かるので、水中ポンプ運転中はボー
ルによる流路の閉鎖は続き、水中ポンプが停止すると、
弁室内の汚水の圧力が低下するので、ボールは直ぐに弁
座を離れてボール待機位置に落下して安定し、この後
に、ダイヤフラムの変形が除々に戻り、ボール待機位置
にあるボールはボールロック部によってロックされるの
で、ボールのロックは確実に行われる。ここで、ボール
をロックするボールロック部が、ダイヤフラムに設けら
れ、ボールの移動経路に横向きに出入りする膨出部から
なるものは、常態において、膨出部をボールの移動経路
に突出させてボール待機位置にあるボールをロックし、
弁室内の汚水の圧力により膨出部が変形してボールのロ
ックは解除される。また、ボールロック部が、ダイヤフ
ラムに突設され、弁室内にあってボール待機位置で横向
きに進退動する突起体からなるものは、常態において、
ボール待機位置にあるボールに突起体を当接してボール
をロックする。この時、ボール待機部に、突起体に対応
してボールの一部が押入される待避凹部が形成してある
と、ボールのロックはより確実なものとなる。そして、
弁室内の汚水の圧力によりダイヤフラムが変形して突起
体が後退動しボールから離れると、ボールのロックは解
除される。本発明に係る装置においては、弁室内に汚水
が流入し、汚水の圧力がダイヤフラムに作用してダイヤ
フラムが変形を開始してボールロック部が弁室内で動
き、ボールのロックが解除されるまでの時間が、吐出管
から汚水を噴出させる時間(洗浄時間)に相当する。そ
こで、この洗浄時間を調整するに当たって、前記するボ
ールロック部が、ダイヤフラムに設けた膨出部からなる
ものでは、ダイヤフラムをバルブケーシングに取着する
取着板に、膨出部内に充満させたオイルの出入りを受容
し、且つ、膨出部内に出入りするオイルの流量を外部か
ら任意に調整できる作動時間調整機構を設けた構成にす
ると、管内圧力が異なるポンプ場毎に適用して、それぞ
れに吐出管から汚水を噴出させる時間(洗浄時間)を最
適に調整できるので、取り扱いに便利で汎用性の高いも
のとなる。ここで、作動時間調整機構の具体的構成とし
て、伸縮によって体内空間容積を変えるベローズ体と、
該ベローズ体と取着板に明けた通孔を介してダイヤフラ
ムの膨出部を連通させ、オイルを充満した連通路と、該
連通路に介装されて外部から操作される流量調整弁を備
えた構成にすると、膨出部の変形に伴うオイルの出入り
が、この膨出部と体内空間容積が変えられるベローズ体
間で行われるので、機構の小型化が図られる。また、流
量調整弁を操作するだけで、洗浄時間の変更が簡単にで
きるので、操作性が良くなる。また、前記ベローズ体を
ダイヤフラムの膨出部より高い位置に配し、縦向きにし
て下部で支え、上部に重りを載せて、常時、縮小傾向を
示すように構成すると、水中ポンプが停止してボールが
ボール待機位置に落下してから、膨出部の変形が元に戻
るのに伴ってベローズ体側から膨出部向けのオイルの戻
りは、ベローズ体内に押し上げられたオイルの落差に、
ベローズ体上の重りの重さが加わって円滑に押し戻され
るので、ボール待機部に落ち込んだボールのロックが確
実にできる。また、前記ボールロック部が、ダイヤフラ
ムに突設した突起体からなるものでは、ダイヤフラムを
バルブケーシングに取着する制御ブロックに、ダイヤフ
ラムに連係して作動時間調整機構を設けることができ
る。この場合の作動時間調整機構の具体的構成として、
制御ブロックに作動空間を形成して設けた作動部材と、
制御ブロックに設けられ、ダイヤフラム背面中央に設け
たスライドシャフトを摺動自在に支持する支持孔と、該
支持孔と作動空間を連通させ、オイルを充満した連通路
と、該連通路に介装されて外部から操作される流量調整
弁と、スライドシャフトに配装され、ダイヤフラムを弁
室側に押圧付勢するスプリングを備えた構成にすると、
ダイヤフラムの変形及びこれに伴う突起体の移動は、ス
プリングの付勢下において、支持孔内にスライドシャフ
トが摺動して直線的に行われるので、待機位置にあるボ
ールに対する突起体先端の当接位置が変わることがな
く、常に確実なロックを可能にする。また、ダイヤフラ
ムの変形に伴うオイルの移動は、スライドシャフトを支
持する支持孔と、作動部材によって形成された作動空間
との間で行われるので、機構の小型化が図られる。ま
た、流量調整弁を外部から操作して洗浄時間の変更が簡
単にできるので、操作性が良くなる。前記作動空間を形
成する作動部材は、作動空間を仕切り、作動空間容積を
変更可能なものであれば、特に、構造的な制約はない
が、実用的にはダイヤフラムが好適する。また、作動部
材は、制御ブロックの外部に露出するので、作動部材を
覆うカバー体を設け、該カバー体下部に、下向きに開口
する呼吸口を設けた構成にすると、一時的に汚水の水位
が上昇して装置本体が汚水に水没することがあっても、
下部呼吸口を設けたカバー内には空気が残留して作動部
材(ダイヤフラム)が汚水に浸かることがなく、ダイヤ
フラムが汚水に触れて生じるトラブルを解消できる。ま
た、弁室の流路出口に連通してバルブケーシング上部に
突出する吐出管に、該吐出管の吐出口方向を調整する吐
出口方向調整機構を設けた構成にすると、吐出口から噴
出する汚水を、ポンプ起動水位付近で汚水槽内で発生し
たスカムに向けて噴出させて効果的な洗浄ができ、噴出
(洗浄)力の効率を上げることができる。
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1はマンホール10の縦断面図で
ある。このマンホール10内に本願発明に係るスカム除去
装置が適用されている。マンホール10は主に、砕石基礎
3の上に載置された底板2と、この底板2上に取り付けら
れた筒状のマンホール本体部1と、マンホール本体部1の
上端開口を塞ぐマンホール蓋4とで構成されている。マ
ンホール10は地中に埋め込まれている。マンホール10に
は下水流入管5が接続されており、この下水流入管5から
マンホール10内に汚水たる下水が供給される。マンホー
ル10には汚水を汲み上げて排出するための配管系が施さ
れている。配管系は、主に、水中ポンプ11、圧送管12、
逆止弁13、仕切弁14、排出管15等から構成されている。
水中ポンプ11、圧送管12、逆止弁13、仕切弁14は対称に
2つづつ配されているが、同一符号の部材は同一の構造
のものである。そして、水中ポンプ11、圧送管12、逆止
弁13、仕切弁14、排出管15によって、主流通路が形成さ
れている。排出管15は二又管15aと直管15bとが接続され
て構成されており、2つの仕切弁14が二又管15aに接続
され、両仕切弁14を通過する汚水が直管15bを介して外
部に流出できるようになっている。水中ポンプ11はマン
ホール10の底部近傍に設置されている。水中ポンプ11は
その底部に吸込口11aを備えており、吸込口11aから吸い
込んだ汚水を圧送管12に圧送する。圧送された汚水は排
出管15内を流れてマンホール10の外部に排出される。マ
ンホール10内部には、マンホール蓋4の付近から鎖21が
垂下している。鎖21の先端には気泡式水位計22が取り付
けらており、鎖21の中間部には満水警報用フロートスイ
ッチ23が取り付けられている。また、圧送管12には、先
端から汚水を吐出する吐出管30が分岐している。この吐
出管30は、スカム除去装置の主要な構成部材である。W1
は、水中ポンプ11が起動を開始するポンプ起動水位を示
す。このポンプ起動水位近傍は、特に、スカムの溜まり
やすいところである。W2は、水中ポンプ11を停止させる
までの時間を計測するタイマーが作動を開始する、ポン
プ停止タイマー作動水位である。W3は、水中ポンプ11停
止時の汚水の水位を示すポンプ自動停止水位である。W4
は満水警報水位である。汚水の水位がこの満水警報水位
W4に達すると、満水警報用フロートスイッチ23が起動
し、汚水が満水状態に達したことを制御装置(図示せ
ず)に知らせる。吐出管30は圧送管12の側面のポンプ起
動水位W1近傍から分岐し、マンホール本体部1の内壁面1
a近傍まで、水平方向に伸延しており、吐出管30の先端
の吐出口30aはマンホール本体部1の内壁面1a近傍に位置
してマンホール本体部1の内壁面1aに向けられている。
次に、図1に示される吐出管30の作用を説明する。下水
流入管5からマンホール10内に汚水が流入し、汚水の水
位がポンプ起動水位W1に達すると、気泡式水位計22から
の出力信号を入力している図示しない制御装置がそのこ
とを検知し、水中ポンプ11に対して起動指令を発する。
水中ポンプ11は起動を開始し、吸込口11aから吸い込ん
だ汚水を圧送管12に圧送する。そして、圧送された汚水
は排出管15を介して外部に排出される。一方、圧送管12
を流れる汚水の一部は吐出管30にも分岐する。そして汚
水は吐出管30に導かれて、吐出管30の先端の吐出口30a
から吐出される。吐出口30aはノズル機能を奏するよう
に構成されており、汚水は吐出口30aで加速されて噴出
する。こうして噴出した汚水はマンホール本体部1で発
生したスカムに向け噴射され、この衝突点は、内壁面1a
のポンプ起動水位W1の近傍であり、スカムが最も付着・
堆積しやすい高さである。吐出口30aから吐出された汚
水は、この内壁面1aに付着したスカムを洗い流す。ま
た、この噴出された汚水は、内壁面1aに付着したスカム
を洗い流すのみならず、その勢いによってマンホール10
内において汚水の循環を生ぜしめる。吐出口30aはポン
プ起動水位W1近傍に位置しており、ポンプ起動水位W1近
傍において汚水が吐出されるので、汚水はポンプ起動水
位W1近傍において強く旋回する。すなわち、スカムが最
も溜まりやすい水位において、最も強い循環が生ずる。
よって、ポンプ起動水位W1近傍に溜まったスカムは分散
され、内壁面1aにも付着しにくくなる。また、ポンプ起
動水位W1近傍にすでに付着しているスカムも、除去され
やすくなる。水中ポンプ11がマンホール10内の汚水を外
部に圧送し続けると、汚水の水位がポンプ停止タイマー
作動水位W2に達する。すると、気泡式水位計22からの出
力信号によって制御装置がそのことを知り、水中ポンプ
11を停止させるまでの時間を計測するためのタイマーを
作動させる。そして、タイマー作動から所定時間が経過
すると、制御装置は水中ポンプ11に対して停止指令を発
する。このとき、汚水の水位は、ポンプ自動停止水位W3
に略一致する。なお、吐出管30は圧送管12から分岐して
いるので、水中ポンプ11の起動時に圧送管12内の空気を
ここから排出して、水中ポンプ11のエアロックを回避す
る。すなわち、空気抜きとしても機能する。本発明にお
いては、図1に示すように、前記する吐出管30の中間
に、第1の実施の形態に係るバルブAを挿設している。
図2はこの第1の実施の形態に係るバルブAの縦断面図
である。図2において、バルブケーシング40内には、弁
体たるゴム製のボール42が組み込まれた弁室41を形成し
ている。この弁室41の中間部に、吐出管30の流路入口30
bを設け、この流路入口30bの開口よりも下方の弁室下部
を、ボール42を流路入口30bから外れた位置に待機させ
るボール待機部43とし、このボール待機部43に対向して
弁室上部に流路出口30cを下向きに設けて弁座44を形成
し、弁室41内でボール42はボール待機部43と弁座44間を
移動できるようにしている。バルブケーシング40には、
流路入口30bに対向してゴム製のダイヤフラム45を設け
て弁室41を仕切っている。このダイヤフラム45は、取付
座部を残し、前面に丸みを付けた膨出部46を深絞り状に
形成した形態のもので、この膨出部46をボールロック部
として横向きにボール42の移動経路に出入りさせるよう
にし、常態では、膨出部46によりボール42の移動経路を
狭めてボール42の移動を阻止(ロック)している。ダイ
ヤフラム45は、その外側に取着板40aが当てられてバル
ブケーシング40に取着され、この取着板40aに、作動時
間調整機構50を設けている。この作動時間調整機構50
は、伸縮によって体内空間容積を変えるベローズ体51
と、このベローズ体51と取着板40aに明けた通孔を介し
てダイヤフラム45の膨出部46内と連通路(図示せず)で
連通させ、この連結路に外部から操作される流量調整弁
52を介装し、膨出部46からベローズ体51に掛けてオイル
を充満している。なお、流量調整弁52は、連通路の通路
断面積が変えられるものであれば、特に、制約されたも
のではなく、市販の製品が使用されるが、実施の形態で
は、ニードル弁を用いている。また、ベローズ体51はダ
イヤフラム45より高い位置に配し、縦向きにして下部で
支え、上部に重り53を載せ、常時では、縮小傾向を示す
ようにしている。上記構成において、図1及び図3を参
照しながらバルブAの作用を説明する。マンホール10内
での汚水の水位が低水位にあれば、水中ポンプ11は停止
状態にあり、流路入口30bから弁室41への汚水の流れは
ない。この状態では、図3(a)のように、ベローズ体
51は縮小状態にあってベローズ体51内からオイルが押し
出され、ダイヤフラム45の膨出部46がボール42の移動経
路に突出してボール42の移動経路を狭め、ボール42をボ
ール待機部43にロックしている。下水流入管5からマン
ホール10内に汚水が流れ込み、汚水の水位が上昇し、汚
水の水位がポンプ起動水位W1に達すると、水中ポンプ11
が起動し、吐出管30に汚水が流れ、バルブAを経て汚水
は吐出管30先端の吐出口30aから噴出し、マンホール10
の内壁面1aに付着するスカムを洗い流すと同時に、マン
ホール10内の汚水に循環を生ぜしめる。ここで、弁室41
内に流入する汚水の圧力がダイヤフラム45に作用し、図
3(b)のようにダイヤフラム45の膨出部46の先端が変形
する。この膨出部46の変形が進行するのに伴い、膨出部
46内からオイルが流量調整弁52によって通路断面積が変
えられた連通路を通ってベローズ体51に入るので、膨出
部46の変形は急速に進行することはなく、比較的ゆっく
りと変形し、所定の時間を要してボール42の移動経路か
ら退出する。こうして、膨出部46が変形してボール42が
その移動経路から退出すると、図3(c)のようにボール
42がボール待機部43から汚水の流れにのって浮上し、弁
座44に着座して流路出口30cを閉鎖する。この流路出口3
0cの閉鎖で、吐出口30aからの汚水の噴出はなくなる
が、水中ポンプ11の運転は続くので、弁室41内には汚水
が充満し、ダイヤフラム45の膨出部46とボール42への汚
水の圧力は継続して掛けられて、ボール42による流路出
口30cの閉鎖は続く。従って、この流路出口30cの閉鎖後
の水中ポンプ11の駆動力は、汚水を外部へ排出すること
だけに利用される。そして、水中ポンプ11が停止する
と、図3(d)のように弁室41内の汚水の圧力が低下して
ボール42が弁座44から離れてボール待機部43に落下し、
この後に、ベローズ体51からオイルがダイヤフラム45の
膨出部46内に戻り、図3(e)のようにボール42上方で膨
出部46の変形が元に戻ってボール42はボール待機部43に
ロック状態になる。図4は、第2の実施の形態に係るバ
ルブBの断面図である。なお、以下の説明において、図
2に示す第1の実施の形態に係るバルブAと共通部分に
ついては、同一符号を付し、重複した詳細は省略する。
この第2の実施の形態に係るバルブBのバルブケーシン
グ40には、流路入口30bの下方で、流路入口30bに対向的
にゴム製のダイヤフラム45を設けて弁室41を仕切り、こ
のダイヤフラム45の前面中央に突起体54を突設し、この
突起体54をボールロック部としてボール待機位置43内に
あって横向きに進退動させるようにし、常態では、突起
体54が進出動してその先端がボール42に当接し、ボール
42をボール待機部43にロックしている。ダイヤフラム45
は、その外側に制御ブロック55が当てられてバルブケー
シング40間に取着され、制御ブロック55に、作動時間調
整機構50を設けている。この作動時間調整機構50は、制
御ブロック55に作動空間56を形成して設けた作動部材57
と、制御ブロック55に設けられ、ダイヤフラム45の背面
中央に設けたスライドシャフト58を摺動自在に支持する
支持孔59と、この支持孔59と作動空間56を連通してオイ
ルを充満した連通路60と、この連通路60に介装されて外
部から操作される流量調整弁52と、スライドシャフト58
に配装され、ダイヤフラム45を弁室41側に押圧付勢する
スプリング61を備えている。前記作動部材57は、作動空
間56を仕切り、作動空間56内容積を変更可能なものであ
れば、特に、構造的な制約はなく、実施の形態ではダイ
ヤフラムを使用している。この場合のダイヤフラムは、
制御ブロック55の外部に露出するので、ダイヤフラムを
覆うカバー体62を設け、該カバー体62下部に、下向きに
開口する呼吸口63を設け、一時的に汚水の水位が上昇し
て装置本体が汚水に水没することがあっても、下部呼吸
口63を設けたカバー体62内には空気が残留してダイヤフ
ラムが汚水に浸かることがないようにしている。弁室41
の流路出口30cに連通してバルブケーシング40上部に突
出する吐出管30には、該吐出管30の吐出口30a方向を調
整する吐出口方向調整機構64を設けている。この吐出口
方向調整機構64は、吐出管30全体又はその一部を屈曲可
能な可撓性管で構成して吐出口30a方向を調整できるよ
うにしてもよいが、実施の形態では、吐出管30の基部に
ユニオンを設けて水平方向の吐出口30a方向はこのユニ
オン部分で調整可能にするとともに、吐出口30a方向を
水平よりやや下向きに設定し、吐出口30aから噴出する
汚水を、ポンプ起動水位付近でスカムが最も溜まりやす
いマンホール本体部1の内壁面1aに向けて噴出させてス
カムを効果的に洗浄ができるようにしている。なお、図
中65は突起体54に対応してボール待機部43に設けた待避
凹部で、突起体54によってロック状態にあるボール42の
一部をこの待機凹部65に押入させてボール42のロックを
確実にするためのものである。上記構成において、第2
の実施の形態に係るバルブBの使用は、第1の実施の形
態に係るバルブAと置換してそのまま使用することがで
きる。そこで、図1に示す第1の実施の形態に係るバル
ブAを、第2の実施の形態に係るバルブBに置換した場
合について、図1及び図5を参照しながらバルブBの作
用を説明する。マンホール10内での汚水の水位が低水位
にあれば、水中ポンプ11は停止状態にあり、流路入口30
bから弁室41への汚水の流れはない。この状態では、図
5(a)のように、作動部材57によって作動空間56の容
積は縮小状態にあって作動空間56内からオイルが押し出
され、ダイヤフラム45はスプリング61の付勢下に弁室41
側に膨出し、これに伴い突起体54がボール待機位置43側
に進出動し、その先端をボール42に当接させ、ボール42
の一部を待機凹部65に押入させてボール待機位置43にボ
ール42をロックしている。下水流入管5からマンホール1
0内に汚水が流れ込み、汚水の水位が上昇し、汚水の水
位がポンプ起動水位W1に達すると、水中ポンプ11が起動
し、吐出管30に汚水が流れ、バルブBを経て汚水は吐出
管30先端の吐出口30aから噴出し、マンホール10の内壁
面1aに付着するスカムを洗い流すと同時に、マンホール
10内の汚水に循環を生ぜしめる。ここで、弁室41内に流
入する汚水の圧力がダイヤフラム45に作用し、図5(b)
のようにダイヤフラム45がスプリング61に抗して変形
し、この変形に伴い突起体54が後退動する。この突起体
54の後退動が進行するのに伴い、支持孔59側からオイル
が流量調整弁52によって通路断面積が変えられた連通路
60を通って作動空間56に入るので、ダイヤフラム45の変
形は急速に進行することはなく、比較的ゆっくりと変形
し、所定の時間を要してボール42は突起体54によるロッ
ク状態から開放される。こうして、開放されたボール42
は、図5(c)のようにボール待機部43から汚水の流れに
のって浮上し、弁座44に着座して流路出口30cを閉鎖す
る。この流路出口30cの閉鎖で、吐出口30aからの汚水の
噴出はなくなるが、水中ポンプ11の運転は続くので、弁
室41内には汚水が充満し、ダイヤフラム45とボール42に
は汚水の圧力が継続して掛けられて、ボール42による流
路出口30cの閉鎖は続く。従って、この流路出口30cの閉
鎖後の水中ポンプ11の駆動力は、汚水を外部へ排出する
ことだけに利用される。そして、水中ポンプ11が停止す
ると、図5(d)のように弁室41内の汚水の圧力が低下し
てボール42が弁座44から離れてボール待機部43に落下
し、この後に作動空間56内からオイルを支持孔59側に戻
しながら、ダイヤフラム45はスプリング61の付勢下に比
較的ゆっくりと弁室41側に膨出して突起体54をボール待
機位置43にあるボール42向けに進出動させてボール42を
ロックする。この際、ダイヤフラム45の変形に伴う突起
体54の移動は、支持孔59内にスライドシャフト58が摺動
して直線的に行われるので、ボール待機位置43にあるボ
ール42に対して突起体54の先端が当接する位置が変わる
ことがなく、常に、定位置で確実にロックされる。
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、本発明によれば、吐出管にバルブを挿設した構
成のものにおいて、バルブの弁室内のボールを、常時、
ダイヤフラムに形成したボールロック部でボール待機位
置にロックし、弁室内を流れる汚水の圧力(正圧)を利
用し、ダイヤフラムの変形によりボールのロック解除が
的確に行われるようにしたので、水中ポンプの起動時か
ら一定の時間を、吐出管から汚水を確実に噴出させて汚
水槽に発生するスカムをきれいに除去することができ
る。また、吐出管から汚水を噴出させる洗浄時間の調整
が、バルブに付設する調整弁によって簡単にできるの
で、管内圧力(水頭)が異なるポンプ場(汚水槽が設置
されている場所)毎に、最適な洗浄時間を現場で調整で
き、取り扱いが便利な汎用性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】マンホールの縦断面図である。
【図2】吐出管に挿設される第1の実施の形態に係るバ
ルブの縦断面図である。
【図3】(a)〜(e)は第1の実施の形態に係るバルブの
動作を説明するためのバルブの縦断面図である。
【図4】吐出管に挿設される第2の実施の形態に係るバ
ルブの縦断面図である。
【図5】(a)〜(d)は第2の実施の形態に係るバルブの
動作を説明するためのバルブの縦断面図である。
【符号の説明】
30 吐出管 30b 流路入口 30c 流路出口 40 バルブケーシング 40a 取着板 41 弁室 42 ボール 43 ボール待機部 44 弁座 45 ダイヤフラム 46 膨出部 50 作動時間調整機構 54 突起体 55 制御ブロック 64 吐出口方向調整機構 A バルブ B バルブ

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 汚水槽内の汚水を汲み上げて外部に排出
    するための水中ポンプと、該ポンプが汲み上げた汚水の
    一部を、ポンプ起動水位近傍で汚水槽内に発生したスカ
    ムに向けて吐出する吐出管とを備えた汚水槽用スカム除
    去装置において、前記吐出管にバルブを設け、該バルブ
    の弁室内に、待機位置と流路閉鎖位置間を移動するボー
    ルを配装するとともに、弁室内にあってボール向けに進
    退動するボールロック部を設けたダイヤフラムを配装
    し、常態において、ボールロック部によりボールをボー
    ル待機位置にロックし、弁室内の汚水の圧力によるダイ
    ヤフラムの変形でボールのロックを解除し、ボールを流
    路閉鎖位置に移動させることを特徴とする汚水槽用スカ
    ム除去装置。
  2. 【請求項2】 弁室中間部に、吐出管の流路入口を設
    け、該流路入口より下方の弁室下部にボール待機部を形
    成し、該ボール待機部に対向して弁室上部に流路出口を
    下向きに設けて弁座を形成したことを特徴とする請求項
    1記載の汚水槽用スカム除去装置。
  3. 【請求項3】 ボールロック部が、ダイヤフラムに設け
    られ、ボールの移動経路に横向きに出入りする膨出部か
    らなり、常態において、膨出部をボールの移動経路に突
    出させてボール待機位置にあるボールをロックし、弁室
    内の汚水の圧力による膨出部の変形でボールのロックを
    解除することを特徴とする請求項1又は2記載の汚水槽
    用スカム除去装置。
  4. 【請求項4】 ボールロック部が、ダイヤフラムに突設
    され、ボール待機位置で横向きに進退動する突起体から
    なり、常態において、ボール待機位置にあるボールに突
    起体を当接してボールをロックし、弁室内の汚水の圧力
    によるダイヤフラムの変形で突起体をボールから離して
    ボールのロックを解除することを特徴とする請求項1又
    は2記載の汚水槽用スカム除去装置。
  5. 【請求項5】 ボール待機部に、突起体に対応してボー
    ルの一部が押入される待避凹部を形成したことを特徴と
    する請求項4記載の汚水槽用スカム除去装置。
  6. 【請求項6】 膨出部を設けたダイヤフラムをバルブケ
    ーシングに取着する取着板に、膨出部内に充満させたオ
    イルの出入りを受容し、且つ、膨出部内に出入りするオ
    イルの流量を外部から任意に調整できる作動時間調整機
    構を設けたことを特徴とする請求項1又は3記載の汚水
    槽用スカム除去装置。
  7. 【請求項7】 作動時間調整機構が、伸縮によって体内
    空間容積を変えるベローズ体と、該ベローズ体と取着板
    に明けた通孔を介してダイヤフラムの膨出部を連通さ
    せ、オイルを充満した連通路と、該連通路に介装されて
    外部から操作される流量調整弁を備えたことを特徴とす
    る請求項6記載の汚水槽用スカム除去装置。
  8. 【請求項8】 ベローズ体をダイヤフラムの膨出部より
    高い位置に配し、縦向きにして下部で支え、上部に重り
    を載せて、常時、縮小傾向を示すようにしたことを特徴
    とする請求項7記載の汚水槽用スカム除去装置。
  9. 【請求項9】 突起体を有するダイヤフラムをバルブケ
    ーシングに取着した制御ブロックに、ダイヤフラムに連
    係して作動時間調整機構を設けたことを特徴とする請求
    項1又は4記載の汚水槽用スカム除去装置。
  10. 【請求項10】 作動時間調整機構が、制御ブロックに
    作動空間を形成して設けた作動部材と、制御ブロックに
    設けられ、ダイヤフラム背面中央に設けたスライドシャ
    フトを摺動自在に支持する支持孔と、該支持孔と作動空
    間を連通させ、オイルを充満した連通路と、該連通路に
    介装されて外部から操作される流量調整弁と、スライド
    シャフトに配装され、ダイヤフラムを弁室側に押圧付勢
    するスプリングを備えたことを特徴とする請求項9記載
    の汚水槽用スカム除去装置。
  11. 【請求項11】 作動部材を覆うカバー体を設け、該カ
    バー体下部に、下向きに開口する呼吸口を設けたことを
    特徴とする請求項9又は10記載の汚水槽用スカム除去
    装置。
  12. 【請求項12】 弁室の流路出口に連通してバルブケー
    シング上部に突出する吐出管に、該吐出管の吐出口方向
    を調整する吐出口方向調整機構を設けたことを特徴とす
    る請求項1又は2記載の汚水槽用スカム除去装置。
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