JP2003073732A - Mx型炭窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方法 - Google Patents
Mx型炭窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方法Info
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Abstract
における高温クリープ強度を改善し、耐熱鋼の設計に普
遍的な技術的指針を与える。 【解決手段】 600〜650℃におけるMX型炭窒化物の総析
出量が0.1重量%以上のMX型炭窒化物析出強化型耐熱鋼の
製造する際、Feを主な化学成分とし、少なくともMX型炭
窒化物の構成元素として、重量%で、Cを0.06%以上0.15%
以下、Nを0.01%以上0.06%以下、Nbを0.02%以上0.10%以
下、及びVを0.10%以上0.50%以下含有する鋼を溶製し、
成形後、MX型炭窒化物の完全固溶温度において熱平衡到
達時間で溶体化処理し、Ms点の直上まで10K/s以上の冷
却速度で急冷し、焼き入れ後のMX型炭窒化物の存在率を
0.1重量%以下とし、700〜800℃において焼き戻し、NbC
及びVNの複合MX型炭窒化物を全析出MX型炭窒化物に対し
30重量%未満とする。
Description
化物析出強化型耐熱鋼の製造方法に関するものである。
さらに詳しくは、この出願の発明は、MX型炭窒化物の析
出による強化機構を利用する耐熱鋼の、600〜650℃にお
ける高温クリープ強度の改善に有望であり、また、耐熱
鋼の設計に普遍的な技術的指針を与える可能性のあるMX
型炭窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方法に関するもので
ある。
ら、石炭焚き火力発電プラントの運転蒸気条件は、段階
的に高温・高圧化してきた。これに対応して、ボイラー
において使用される蒸気配管などの部材用として多くの
高強度耐熱鋼の開発がなされ、実証試験を経て規格化に
まで至っており、その幾つかは、近年運転を開始した商
用の超々臨界圧力火力発電プラントに適用されはじめて
いる。
長時間の性能維持を図るために、たとえば、Crを9-12重
量%程度含有するいわゆる高Cr鋼については、もっぱら
冶金的に600〜650℃における高温クリープ強度を改善す
る試みがなされている。代表的なものとして、Moよりも
固溶強化能の高いWの使用、MX型炭窒化物の析出強化に
おけるMX型炭窒化物の構成元素であるV及びNbの量的バ
ランスの最適化、Bの微量添加などが行われている。こ
れらのアプローチは、それぞれにおいて多大な成果をも
たらし、火力発電プラントの上限温度を、現在、630℃
にまで引き上げている。
上の試みは結果的に成功をおさめているが、複雑な金属
組織を有するすべての耐熱鋼の設計にそれら強化機構の
最適化が必ずしも行われているとはいえない状況にあ
る。
r鋼は、溶体化処理後の冷却速度により変態組織が敏感
に変化するため、450〜550℃でのクリープ特性に良不良
が現れるが、600℃を超える高温でのクリープ特性は、
組織回復が急速に進行するため、溶体化処理後の冷却速
度による違いは現れないことが知られている。
織の冷却速度依存性が小さい。高温強度の設計という観
点から溶体化処理温度及び焼き戻し条件、そして合金成
分の最適化について検討されているが、溶体化処理後の
冷却速度による析出形態の制御は行われていない。
域では、焼き戻しマルテンサイト組織が、転位や各種境
界の移動によるサブグレイン化によって急速に回復し、
変形が進行する。このとき、固溶強化能の大きな溶質原
子や大量に析出するM23C6系炭化物が、クリープ変形過
程での組織回復を遅延させ、クリープ抵抗としての効果
を発揮する。だが、高温での析出物の粗大化及び固溶元
素の枯渇により、上記効果は時間とともに薄れていく。
これが、耐熱鋼の長時間クリープ強度を支配し、寿命に
決定的な制限を与えているのである。
に比べ熱的安定性に優れていることから、600℃を超え
る高温における耐熱鋼の長時間クリープ強度の向上に有
効であり、より安定なMX型炭窒化物を構成する元素Mを
模索するという試みがある。現在、コスト及び効果の確
実性という観点から、V及びNbの複合添加が一般的とさ
れている。そして、その含有量に関し、たとえば12%Cr-
2%Mo鋼では、Vが0.2重量%、Nbが0.05重量%が最適である
との報告がある。もちろん、Mばかりでなく、XであるC
及びNについても検討がなされ、たとえば10%Cr-Mo-Nb,V
鋼では、高Cかつ低Nの複合含有が望ましいと報告されて
もいる。
鋼の化学組成と600〜650℃における高温クリープ特性と
の関係のみから得られたものであり、長時間クリープ強
度の向上に有効とされるMX型炭窒化物の時系列的な析出
挙動についてはまったく調査されていない。したがっ
て、これまで得られた知見は貴重ではあっても、耐熱鋼
の設計に関して普遍的な技術的指針を与えるものとはい
いがたい。
みてなされたものであり、MX型炭窒化物の析出による強
化機構を利用する耐熱鋼の、600〜650℃における高温ク
リープ強度の改善に有望であり、また、耐熱鋼の設計に
普遍的な技術的指針を与える可能性のあるMX型炭窒化物
析出強化型耐熱鋼の製造方法を提供することを解決すべ
き課題としている。
らは、前述の課題を解決するために、高温クリープ特性
の長寿命化に最も寄与してきたMX型炭窒化物の析出挙動
に着目し、鋭意研究した結果、600〜650℃という高温で
の長時間に及ぶMX型炭窒化物による強化機能が、MX型炭
窒化物のマトリックス中における初期の分散形態に強く
依存し、MX型炭窒化物を構成する元素の組成バランスで
ほぼ決定するMX型炭窒化物の析出量に対して、長時間ク
リープ強度を維持することのできるMX型炭窒化物の理想
的析出挙動があることを見出し、この出願の発明を完成
したのである。したがって、この出願の発明のMX型炭窒
化物析出強化型耐熱鋼の製造方法は、MX型炭窒化物析出
強化型耐熱鋼である限り、耐熱鋼の化学組成は問わず
に、600〜650℃における高温クリープ強度の改善に有望
であり、また、耐熱鋼の設計に普遍的な技術的指針を与
える可能性があると考えられる。
におけるMX型炭窒化物の総析出量が重量%で0.1%以上と
なるMX型炭窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方法であり、
化学成分としてFeを主成分とし、少なくともMX型炭窒化
物の構成元素として、重量%で、Cを0.06%以上0.15%以
下、Nを0.01%以上0.06%以下、Nbを0.02%以上0.10%以下
(Nbの代替としてTaを重量%で0.01%以上0.05%以下)、
及びVを0.10%以上0.50%以下含有する鋼を溶製し、成形
後、MX型炭窒化物が完全固溶する温度において熱平衡に
達する時間で溶体化処理し、次いでMs点の直上まで10K/
s以上の冷却速度で急冷して焼き入れ後のMX型炭窒化物
の存在率を重量%で0.1%以下とし、室温に徐冷後、700〜
800℃において焼き戻し、NbC(TaC)とVNとからなる複合M
X型炭窒化物の全析出MX型炭窒化物に対する重量%を30%
未満とすることを特徴とするMX型炭窒化物析出強化型耐
熱鋼の製造方法を提供する。
て、重量%で、Crを8.0%以上13.0%以下とともに、0%以上
4.0%以下のW又は0%以上2.0%以下のMoの少なくとも一方
又は両方(ただし、両方の場合は、W+2Mo<4.0%)を含有
すること(請求項2)、鋼は、補助化学成分として、重
量%で、0%以上0.1%以下のSi、0%以上1.5%以下のMn、0%
以上0.03%以下のP、0%以上0.015%以下のS、0%以上0.01%
以下のB、0%以上0.010%以下のO、0%以上0.01%以下のso
l.Al、0%以上5.0%以下のCo、0%以上0.5%以下のNi、及び
0%以上1.0以下のCuのいずれか一種若しくは二種以上、
さらに、その他不可避的不純物を含有すること(請求項
3)をそれぞれ一態様として提供する。
いずれかに係る発明のMX型炭窒化物析出強化型耐熱鋼の
製造方法により製造され、600〜650℃における長時間ク
リープ破断強度が110MPaを超えることを特徴とするMX型
炭窒化物析出強化型耐熱鋼(請求項4)を提供するもの
でもある。
のMX型炭窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方法についてさ
らに詳しく説明する。
出強化型耐熱鋼の製造方法は、600〜650℃におけるMX型
炭窒化物の総析出量が重量%で0.1%以上となることを一
つの特徴としているが、前述の通り、600〜650℃におけ
るMX型炭窒化物の総析出量は、MX型炭窒化物を構成する
元素の組成バランスでほぼ決定される。そして、この出
願の発明のMX型炭窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方法に
おいて、MX型炭窒化物の総析出量の下限値を0.1重量%と
する規定は、650℃×10000hのクリープ破断強度で110MP
aを超える長時間クリープ強度が実現されるための一条
件である。
強化型耐熱鋼の製造方法が対象とする鋼は、化学成分と
してFeを主成分とし、少なくともMX型炭窒化物の構成元
素として、重量%で、Cを0.06%以上0.15%以下、Nを0.01%
以上0.06%以下、Nbを0.02%以上0.10%以下(Nbの代替と
してTaを重量%で0.01%以上0.05%以下)、及びVを0.10%
以上0.50%以下含有するMX型炭窒化物析出強化型耐熱鋼
であり、その他の化学成分は特に必須成分とはしていな
い。部材が使用される時の使用条件、使用環境などを考
慮し、適宜な化学成分を選択し、含有したものとするこ
とができる。
化学成分であり、その含有量の限定理由は以下に示す通
りである。 [1] C クリープ強化に必要なMX型炭窒化物の形成に必須な化学
成分であり、有効な析出量を得るためには、0.06重量%
以上必要である。過剰になると、未固溶MX型炭窒化物が
増加し、また、溶体化処理温度からの冷却過程において
NbC(TaC)の析出を促進するため、0.15重量%を上限とす
る。 [2] N クリープ強化に必要なMX型炭窒化物の形成に必須な化学
成分であり、長時間クリープ抵抗として有効な析出量を
得るためには、0.01重量%以上必要である。過剰になる
と、未固溶MX型炭窒化物の増加を促進し、また、焼き戻
し時のMX型炭窒化物の複合・粗大化を招くため、0.06重
量%を上限とする。 [3] Nb, Ta クリープ強化に必要なMX型炭窒化物の形成に必須な化学
成分であり、有効な析出量を得るためには、Nbについて
は、0.02重量%以上必要であり、過剰になると、未固溶M
X型炭窒化物が増加し、また、溶体化温度からの冷却過
程においてNbCの析出を促進するため、0.10重量%を上限
とする。Taは、Nbの代替成分として用いることのできる
ものであり、含有量は、Nbの半分で同様の機能を果た
す。 [4] V クリープ強化に必要なMX型炭窒化物の形成に必須な化学
成分であり、有効な析出量を得るためには、0. 10重量%
以上必要であり、過剰になると、焼き戻し時のMX型炭窒
化物の複合・粗大化を招くため、0.50重量%を上限とす
る。
出強化型耐熱鋼の製造方法では、まず、以上の化学成分
を含有する鋼を溶製し、板材、管材などの所定形状の部
材に成形後、MX型炭窒化物が完全固溶する温度において
熱平衡に達する時間で溶体化処理する。この溶体化処理
が十分に行われないと、元来体積分率の小さいMX型炭窒
化物の微細析出による強化機能が発揮されない。溶体化
処理の温度は、前記の通り、MX型炭窒化物が完全固溶す
る温度と規定されるが、その温度は、鋼の化学成分によ
り若干のばらつきがあり、また、溶体化処理の時間は、
熱処理炉の大きさ、溶製する鋼の大きさなどによりばら
つく。一般には、1100〜1200℃で1.0h以上が例示され
るが、これは、決して限定的でなく、MX型炭窒化物が完
全固溶する温度及び溶体化処理の時間は、鋼の化学組
成、熱処理炉の大きさ、溶製する鋼の大きさなど考慮し
て適宜設計することができる。溶体化処理の温度は、具
体的には、MX炭窒化物が完全固溶する温度の±50℃とい
う幅を持たせることができる。下限は、鋼の化学成分の
ばらつきに基づく、MX型炭窒化物の完全固溶温度に変動
が生ずることを考慮したものであり、上限は、溶体化処
理時のγ結晶粒の極端な粒成長及びδ−フェライトの生
成を抑制するためである。γ結晶粒の極端な粒成長が起
こると、その後の焼き戻し組織の靱性が低下する。
Ms点、すなわち、炭素鋼などにおいてオーステナイトの
冷却中にマルテンサイト変態が始まる温度の直上まで10
K/s以上の冷却速度で急冷する。この出願の発明のMX型
炭窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方法では、この急冷に
より、焼き入れ後のMX型炭窒化物の存在率を重量%で0.1
%以下とする。Ms点未満に急冷すると、変態割れなどの
重大な構造欠陥を起こす可能性が高くなる。冷媒として
は、10k/s以上の冷却速度が得られる水を好ましく例示
することができる。
度の冷却速度(10K/s未満)では、析出駆動力の大きなN
b系炭化物が冷却途中で析出することを抑制することが
できず、引き続き行う焼き戻し時に、MX型炭窒化物の複
合・粗大化が起こりやすくなる。このために、この出願
の発明のMX型炭窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方法にお
ける前述のMX型炭窒化物の析出挙動の第1の条件、すな
わち、焼き入れ後のMX型炭窒化物の存在率を重量%で0.1
%以下を満たさなくなる。これは、その後の焼き戻し時
においてMX型炭窒化物の複合・粗大化を招き、この出願
の発明のMX型炭窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方法にお
けるMX型炭窒化物の析出挙動の後述する第2の条件を満
たさないことにつながる。この意味において、焼き入れ
後のMX型炭窒化物の存在率を重量%で0.1%以下というこ
の出願の発明のMX型炭窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方
法におけるMX型炭窒化物の析出挙動の第1の条件は、き
わめて重要な技術的意義を持つことが理解される。
て焼き戻し、NbC(TaC)とVNとからなる複合MX型炭窒化物
の全析出MX型炭窒化物に対する重量%を30%未満とする
(MX型炭窒化物の析出挙動の第2の条件)。MX型炭窒化
物は、焼き戻し時に複合・粗大化しやすい。このMX型炭
窒化物の複合・粗大化が進行すると、焼き戻し温度(70
0〜800℃)より低い温度、すなわち、600〜650℃の使用
環境下において固溶強化、クラスター強化、及び微細析
出強化という機能が著しく損なわれることとなり、鋼の
長時間クリープ特性の低下を招き、もはや長時間クリー
プ特性に優れた耐熱鋼として機能しなくなる。焼き戻し
温度は、使用環境下の温度の600〜650℃よりもやや高め
に設定するが、その上限は、800℃とする。これは、800
℃を超えると、オーステナイトへの逆変態が起こるため
である。
窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方法により製造されるMX
型炭窒化物析出強化型耐熱鋼は、MX型炭窒化物を構成す
る元素の組成バランスでほぼ決定されるMX型炭窒化物の
析出量に対して、600〜650℃という高温での長時間に及
ぶMX型炭窒化物による強化機能が強く依存する、MX型炭
窒化物のマトリックス中における初期の理想的な析出・
分散形態を有するため、鋼の化学組成は、MX型炭窒化物
析出強化型耐熱鋼である限り、特に詳細には問わず、60
0〜650℃におけるMX型炭窒化物の総析出量が重量%で0.1
%以上(MX型炭窒化物の析出挙動の第3の条件)を満た
せば、650℃×10000hのクリープ破断強度で110MPaを超
える長時間クリープ強度が実現される。したがって、60
0〜650℃における高温クリープ強度の改善に有望である
と考えられ、耐熱鋼の設計に普遍的な技術的指針を与え
る可能性があると推測される。
窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方法において、耐熱鋼が
高Cr鋼の場合、以下のような化学組成が例示される。
で、Crを8.0%以上13.0%以下とともに、0%以上4.0%以下
のW又は0%以上2.0%以下のMoの少なくとも一方又は両方
(ただし、両方の場合は、W+2Mo<4.0%)を含有するもの
を例示することができる。
化性を確保する。また、Crは、炭化物を形成してクリー
プ強度を向上させる機能を有する。これらの機能は、8.
0重量%で顕著となり、13.0重量%を超えると、δ-フェラ
イトが生成し、靱性の低下が起こりやすくなる。
学成分であり、固溶状態においてはマルテンサイト相母
相を強化し、鋼が高温下で使用される場合、Fe7W6型の
μ相、Fe2W型のLaves相などを主体とする金属間化合物
を形成し、長時間クリープ強度を向上させる。これに加
え、Wは、M23C6系炭化物中に一部固溶し、炭化物の複合
・粗大化を抑制する機能も有する。これらの機能は、1.
0重量%を超えると顕著となるが、他の化学成分によりす
でに鋼の強化が十分行われている場合には、省略も可能
である。一方、4.0重量%を超えると、δ-フェライトが
生成し、靱性の低下が起こりやすくなる。
含むM23C6系炭化物又はM7C3系炭化物は、高温で安定で
あり、長時間クリープ強度の確保に有効となる。一方、
Moの析出強化する温度範囲は、Wに比べ低温側(600℃以
下)で顕著である。これらの機能は、1.0重量%を超える
と顕著となるが、他の化学成分によりすでに鋼の強化が
十分行われている場合には、省略も可能である。一方、
2.0重量%を超えると、δ-フェライトが生成し、靱性の
低下が起こりやすくなる。
成分とする場合には、上記機能が損なわれず、有効に発
揮されるには、W+2Mo<4.0%とするのが適当である。
量%で、0%以上0.1%以下のSi、0%以上1.5%以下のMn、0%
以上0.03%以下のP、0%以上0.015%以下のS、0%以上0.01%
以下のB、0%以上0.010%以下のO、0%以上0.01%以下のso
l.Al、0%以上5.0%以下のCo、0%以上0.5%以下のNi、及び
0%以上1.0以下のCuのいずれか一種若しくは二種以上、
さらに、その他不可避的不純物を含有することもでき
る。
た、高温における耐水蒸気酸化性を向上させるのに有効
である。ただ、0.1重量%を超えると、靱性の低下をきた
す。また、溶鋼が十分なsol.Alにより脱酸される場合に
は、含有は省略することができる。
性を向上させる。したがって、十分脱硫されている場合
には、含有は省略することができる。この他、Mnは、高
応力下での短時間クリープ強度を向上させる機能を有す
る。ただ、1.5重量%を超えると、靱性の低下が起こりや
すくなる。
工性、溶接部の靱性などに悪影響を及ぼす。したがっ
て、含有量はできる限り低いことが好ましく、Pは、0.0
3重量%以下、Sは、0.015重量%以下とする。
化物が微細に分散析出し、複合・粗大化を抑制すること
ができ、高温長時間クリープ強度が向上する。また、焼
入性を高めて高温強度を向上させる機能をも有する。B
は、その含有を省略することができるが、含有する場合
には、粗大な析出物の形成にともなう靱性の低下を防止
するために、0.01重量%以下とする。
化物として鋼中に偏在すると、靱性などに悪影響を及ぼ
すため、0.010重量%以下を上限とする。
鋼の脱酸剤として用いられる。したがって、Siにより溶
鋼が脱酸されている場合には省略可能である。一方、含
有する場合には、クリープ強度の低下を招くことないよ
うに、0.01重量%以下とする。
イト母相を安定化させ、高温での耐酸化性に寄与する。
それらの含有は省略可能とすることもできるが、含有す
る場合には、Coは5.0重量%以下、Niは0.5%重量以下、Cu
は1.0重量%以下とするのが効果的である。
強化型耐熱鋼の製造方法の実施例を示す。
25kgずつ実験用真空誘導溶解炉において溶製した後、12
00℃に加熱後、熱間圧延及び鍛造により15mm径の丸棒を
作製した。
化処理を行った後、空冷、油冷、及び水冷の3つの操作
で冷却した。なお、油冷と水冷は400℃付近までとし、
その後空冷により徐冷した。冷却速度は、400℃付近ま
での平均速度で示すと、空冷が>5K/s、油冷が〜10K/s、
水冷が〜30k/sに相当した。
で4hの焼き戻し処理を行った。
クリープ試験を650℃、100〜140MPaの条件で行い、外挿
により650℃×10000hの破断強度を求めた。
なうMX型炭窒化物の析出挙動の変化は、各処理後の試料
から採取した抽出レプリカ試料を用いて透過型電子顕微
鏡により観察した。溶体化処理後のMX型炭窒化物の存在
率は、電解抽出残さ分析の結果から重量比で示した。MX
型炭窒化物の析出総量は、650℃×1000h時効材の電解抽
出残さの定量値から重量比として示した。
の存在率が重量%で0.1%以下であり、室温に徐冷後、700
〜800℃において焼き戻し、NbCとVNとからなる複合MX型
炭窒化物の全析出MX型炭窒化物に対する重量%が30%未満
の時、600〜650℃におけるMX型炭窒化物の総析出量が重
量%で0.1%以上であれば、650℃×10000hのクリープ破断
強度で110MPaを超える長時間クリープ強度が実現される
ことが確認される。
いるため、MX型炭窒化物の絶対析出量が鋼No.4に比べ多
い。鋼No.4は、Nをほとんど含有しないことからMX炭窒
化物の複合化度は低いものの、絶対析出量に不足を生
じ、クリープ特性が満足なものとはなっていない。
理温度が高いと、未固溶のMX型炭窒化物が減り、その結
果、焼き戻し時若しくはクリープ時に二次析出するMX型
炭窒化物の量が増大するものと考えられる。しかしなが
ら、溶体化処理後の冷却速度が遅いと、冷却中に主にNb
C系のMX型炭窒化物が析出し、焼き戻し時のNbC-VN複合
型MX型炭窒化物の析出を促進するようであり、この複
合、そして粗大化によりMX型炭窒化物の理想的な微細分
散密度が低下し、クリープ特性に反映している。一方、
複合型MX型炭窒化物の核となるNbCが焼き戻し時に存在
したとしても、Nの固溶量が低ければ、複合化は容易に
は起こらないようである。したがって、焼き戻し時の複
合型MX型炭窒化物の成長、促進を防止するためには、過
剰なNの含有は控えるべきであると結論される。
型炭窒化物の複合頻度と650℃×10000hのクリープ破断
強度の外挿値をプロットした図である。
し処理後の試料におけるMX型炭窒化物の複合頻度が高い
と、110MPaを超える長時間クリープ強度は得られない。
Nの含有量が高くなる(鋼No.1)につれ、焼き戻し処理
後のMX型炭窒化物の複合頻度は高くなりやすいが、その
場合にもより高温の溶体化処理及び急冷により、焼き戻
し処理後のMX型炭窒化物の複合頻度を抑制し、長時間ク
リープ強度の実現は可能であると理解される。
形態及び実施例によって限定されるものではない。耐熱
鋼の化学組成、溶体化処理温度及び時間、冷却速度など
の細部については様々な態様が可能であることはいうま
でもない。
明によって、MX型炭窒化物の析出による強化機構を利用
する耐熱鋼の、600〜650℃における高温クリープ強度の
改善を図ることができ、また、耐熱鋼の設計に普遍的な
技術的指針を与える可能性がある。
複合頻度と650℃×10000hのクリープ破断強度の外挿値
をプロットした図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 600〜650℃におけるMX型炭窒化物の総析
出量が重量%で0.1%以上となるMX型炭窒化物析出強化型
耐熱鋼の製造方法であり、化学成分としてFeを主成分と
し、少なくともMX型炭窒化物の構成元素として、重量%
で、Cを0.06%以上0.15%以下、Nを0.01%以上0.06%以下、
Nbを0.02%以上0.10%以下(Nbの代替としてTaを重量%で
0.01%以上0.05%以下)、及びVを0.10%以上0.50%以下含
有する鋼を溶製し、成形後、MX型炭窒化物が完全固溶す
る温度において熱平衡に達する時間で溶体化処理し、次
いでMs点の直上まで10K/s以上の冷却速度で急冷して焼
き入れ後のMX型炭窒化物の存在率を重量%で0.1%以下と
し、室温に徐冷後、700〜800℃において焼き戻し、NbC
(TaC)とVNとからなる複合MX型炭窒化物の全析出MX型炭
窒化物に対する重量%を30%未満とすることを特徴とする
MX型炭窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方法。 - 【請求項2】 鋼は、化学成分として、重量%で、Crを
8.0%以上13.0%以下とともに、0%以上4.0%以下のW又は0%
以上2.0%以下のMoの少なくとも一方又は両方(ただし、
両方の場合は、W+2Mo<4.0%)を含有する請求項1記載の
MX型炭窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方法。 - 【請求項3】 鋼は、補助化学成分として、重量%で、0
%以上0.1%以下のSi、0%以上1.5%以下のMn、0%以上0.03%
以下のP、0%以上0.015%以下のS、0%以上0.01%以下のB、
0%以上0.010%以下のO、0%以上0.01%以下のsol.Al、0%以
上5.0%以下のCo、0%以上0.5%以下のNi、及び0%以上1.0
以下のCuのいずれか一種若しくは二種以上、さらに、そ
の他不可避的不純物を含有する請求項1又は2記載のMX
型炭窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1乃至3いずれかに記載のMX型炭
窒化物析出強化型耐熱鋼の製造方法により製造され、60
0〜650℃における長時間クリープ破断強度が110MPaを超
えることを特徴とするMX型炭窒化物析出強化型耐熱鋼。
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CN115181915A (zh) * | 2022-07-05 | 2022-10-14 | 中国科学院合肥物质科学研究院 | 一种聚变堆包层用改进型rafm钢及其加工工艺 |
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