JP2003073149A - 二酸化チタンを含むガラス繊維用集束剤 - Google Patents

二酸化チタンを含むガラス繊維用集束剤

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JP2003073149A
JP2003073149A JP2001261885A JP2001261885A JP2003073149A JP 2003073149 A JP2003073149 A JP 2003073149A JP 2001261885 A JP2001261885 A JP 2001261885A JP 2001261885 A JP2001261885 A JP 2001261885A JP 2003073149 A JP2003073149 A JP 2003073149A
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Yoshiharu Suzuki
芳治 鈴木
Koichi Nakamura
幸一 中村
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Nitto Boseki Co Ltd
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Nitto Boseki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱による脱油性に優れているのみならず、
少ないエネルギー消費量でも実用上充分なレベルの脱油
が可能なガラス繊維用集束剤を提供すること。 【解決手段】 澱粉及びポリビニルアルコールからなる
群より選ばれる少なくとも1つの皮膜形成剤と、二酸化
チタン粒子と、潤滑剤と、水とを含むことを特徴とする
ガラス繊維用集束剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス繊維用集束
剤、そのガラス繊維用集束剤を用いたガラス繊維束、そ
のガラス繊維用集束剤を用いたガラス繊維織物の製造方
法、及びその製造方法により得られるガラス繊維織物に
関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス繊維織物は、溶融ガラスを延伸し
て得られたガラス繊維フィラメントを複数本集束したガ
ラス繊維束をエアージェット織機等により製織すること
により製造される。ガラス繊維フィラメントを集束する
に当たっては、澱粉や潤滑剤等を水に溶解又は分散させ
た集束剤が一般に用いられており、かかる集束剤でガラ
ス繊維フィラメントを被覆することにより、ガラス繊維
織物製造工程における摩擦に起因するガラス繊維フィラ
メントの毛羽立ち等が低減される。
【0003】このように、集束剤はガラス繊維織物の製
造工程において必要不可欠である一方で、得られたガラ
ス繊維織物を樹脂の補強材等として用いる時には、集束
剤の存在は却って補強材としての性能を損なう場合があ
るため、集束剤が付着したガラス繊維織物(ガラス繊維
織物原反)を、350〜450℃程度の高温で加熱する
ことにより、集束剤を焼却除去することが通常行われる
(これを一般に「脱油」と呼ぶ。)。
【0004】従って、集束剤には、ガラス繊維を束ねる
能力(集束性)に加えて、脱油により燃焼する性質(脱
油性)が要求され、この要求に応えることのできる集束
剤の配合が様々研究なされてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在実
用化されている集束剤や文献等で公知の集束剤では脱油
性が必ずしも充分とは言えず、また、実用上問題のない
レベルの脱油を行うためには高温加熱や長時間加熱が必
要な場合が多く、脱油のために必要なエネルギーが過大
になってしまうという問題があった。
【0006】本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み
てなされたものであり、加熱による脱油性に優れている
のみならず、少ないエネルギー消費量でも実用上充分な
レベルの脱油が可能なガラス繊維用集束剤を提供するこ
とを目的とする。本発明は、また、かかるガラス繊維用
集束剤を用いたガラス繊維束、かかるガラス繊維用集束
剤を用いたガラス繊維織物の製造方法、及びかかる製造
方法により得られるガラス繊維織物を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、澱粉及び/又はポ
リビニルアルコールと潤滑剤とを含有する水系のガラス
繊維用集束剤に二酸化チタン粒子を添加することによ
り、上記目的が達成可能であることを見出し、本発明を
完成させた。
【0008】すなわち、本発明のガラス繊維用集束剤
は、澱粉及びポリビニルアルコールからなる群より選ば
れる少なくとも1つの皮膜形成剤と、二酸化チタン粒子
と、潤滑剤と、水とを含むことを特徴とするものであ
る。
【0009】本発明のガラス繊維集束剤は上記構成を有
することから、これを用いて得られるガラス繊維束やガ
ラス繊維織物原反の表面、及びこれらを構成するガラス
繊維フィラメント間に、二酸化チタン粒子を配すること
が可能になる。したがって、脱油に先立って光を照射す
ることにより、二酸化チタン粒子の光触媒作用に基づい
てその周囲に存在する皮膜形成剤や潤滑剤等の有機成分
を分解させることが可能になるため、通常の条件で脱油
を行った場合であっても脱油性を顕著に向上させること
ができる。また、分解によって皮膜形成剤や潤滑剤等が
低分子量化するため、少ないエネルギー消費量でも実用
上充分なレベルの脱油が可能になる。なお、本発明のガ
ラス繊維用集束剤においては、有機成分の分解効率を高
めることができることから、二酸化チタン粒子の平均粒
径は5〜30nmであることが好ましい。
【0010】本発明は、上記ガラス繊維用集束剤の他、
かかる集束剤を用いたガラス繊維束を提供する。すなわ
ち、本発明のガラス繊維束は、上記ガラス繊維用集束剤
により、ガラス繊維フィラメントを複数本集束してなる
ガラス繊維束であって、ガラス繊維束の表面及び内部に
二酸化チタン粒子を有することを特徴とするものであ
る。かかる構造を有するガラス繊維束は、光照射により
皮膜形成剤や潤滑剤等の有機成分を分解させることが可
能であるため、脱油性の向上が可能となる。
【0011】本発明は、更に、上記ガラス繊維用集束剤
を用いたガラス繊維織物の製造方法及びかかる製造方法
により得られるガラス繊維織物を提供するものである。
すなわち、本発明のガラス繊維織物の製造方法は、上記
ガラス繊維用集束剤により、複数のガラス繊維フィラメ
ントを集束してガラス繊維束を得る集束工程と、集束工
程で得られるガラス繊維束を経糸及び緯糸の少なくとも
一方として製織することにより、ガラス繊維織物原反を
得る製織工程と、ガラス繊維織物原反を加熱する脱油工
程と、を含む製造方法であって、集束工程と脱油工程と
の間に、ガラス繊維束を光に晒す光照射工程を備えるこ
とを特徴とするものであり、本発明のガラス繊維織物
は、かかる製造方法により得られるものである。なお、
本発明のガラス繊維織物の製造方法は、光照射工程を、
前記製織工程と前記脱油工程との間に備えるものである
ことが好ましい。
【0012】本発明のガラス繊維織物の製造方法は、上
記工程を備えるものであるため、脱油工程の前に、ガラ
ス繊維束に存在する皮膜形成剤や潤滑剤等の有機成分が
分解されるため、脱油工程における脱油性が顕著に向上
し、分解による有機成分の低分子量化により、脱油に要
するエネルギーを低く抑えることができるようになる。
【0013】また、かかる製造方法により得られるガラ
ス繊維織物は、脱油が高レベルでなされているために染
みや着色が発生せず外観が優れており、また、ガラス繊
維強化樹脂を作製した場合のマトリックス樹脂とガラス
繊維フィラメントとの界面接着性も向上する。上記製造
方法によるガラス繊維織物は、経糸及び緯糸の少なくと
も一方が、ガラス繊維フィラメント間に二酸化チタン粒
子を含んだものとすることができるため、ガラス繊維フ
ィラメント間にある程度の間隙が存在し、ガラス繊維強
化樹脂を作製する場合のマトリックス樹脂の含浸性が顕
著に向上する。したがって、本発明のガラス繊維織物を
用いて作製されたガラス繊維強化樹脂は、ボイド等の発
生が抑制され力学特性に優れるという効果を奏する。
【0014】
【発明の実施の形態】上述のように、本発明のガラス繊
維用集束剤は、皮膜形成剤(澱粉及び/又はポリビニル
アルコール)、二酸化チタン粒子、潤滑剤及び水を必須
成分として含有するものである。以下、かかる必須成分
について詳述する。先ず、澱粉について説明する。
【0015】本発明において用いられる澱粉としては、
コーン澱粉(コーンスターチ)、タピオカ澱粉、小麦澱
粉、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、ハイアミロースコーン澱
粉、サゴ澱粉、米澱粉等が挙げられる。また、馬鈴薯澱
粉のアミロース抽出物や、酵素により合成された特殊な
澱粉も使用することができる。これらの澱粉は、エーテ
ル化、エステル化、グラフト化、架橋等の加工が施され
たものであってもよい。
【0016】エーテル化された澱粉としては、カルボキ
シメチルエーテル化澱粉、ヒドロキシアルキルエーテル
化澱粉、アルキルエーテル化澱粉、ベンジルエーテル化
澱粉、カチオンエーテル化澱粉等が挙げられる。また、
エステル化された澱粉としては、酢酸エステル化澱粉、
燐酸エステル化澱粉、硫酸エステル化澱粉、硝酸エステ
ル化澱粉、キサントゲン酸エステル化澱粉等が挙げられ
る。このエーテル化及びエステル化のいずれにおいて
も、澱粉の置換度には特に制限はない。
【0017】グラフト化された澱粉としては、アクリル
酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸
エステル、アクリルアミド、スチレン、マレイン酸等の
不飽和二重結合を有するモノマーの少なくとも1種を澱
粉にグラフト重合させたものが例示可能である。
【0018】澱粉としては、更に、未加工の澱粉に対し
て架橋を導入したもの、又は上記のエーテル化、エステ
ル化、グラフト化が施された澱粉に対して架橋を導入し
たものを挙げることができる。架橋を導入する場合にお
いては、澱粉中の水酸基と反応性の官能基を2以上有す
る化合物や、澱粉中の水酸基との反応により水酸基反応
性の官能基を新たに生じるような化合物が架橋剤として
用いられる。このような架橋剤としては、エピクロルヒ
ドリン、ホルムアルデヒド、ジエポキシド化合物、ジア
ルデヒド化合物等を挙げることができる。
【0019】本発明において用いられる澱粉におけるア
ミロース成分の量及びアミロペクチン成分の量は任意で
ある。アミロース成分が50重量%未満の通常型澱粉
(典型的にはアミロース成分を約30重量%、アミロペ
クチン成分を約70重量%含む)、及び、アミロース成
分を50重量%以上含むハイアミロース型澱粉(典型的
にはアミロース成分を約70重量%、アミロペクチン成
分を約30重量%含む)のいずれもが使用可能である。
通常型澱粉を含有する集束剤は接着性に優れ、ハイアミ
ロース型澱粉を含有する澱粉は皮膜形成性に優れると一
般的に言われている。本発明においては、用いる澱粉の
少なくとも一部は、ハイアミロース型澱粉であることが
好ましく、通常型澱粉とハイアミロース型澱粉を組み合
わせて使用することがより好ましい。
【0020】次に、本発明におけるポリビニルアルコー
ルについて説明する。本発明におけるポリビニルアルコ
ールとは、ビニルアルコールからなる繰返し単位を有す
るポリマーをいい、本発明においては、ポリ酢酸ビニル
を鹸化することにより得られるものであることが好まし
い。ポリビニルアルコールとしては、いわゆる完全鹸化
品、中間鹸化品、部分鹸化品、低鹸化品を単独若しくは
組み合わせて用いることができる。好適な鹸化度は80
〜100モル%であり、水溶性の観点からは、鹸化度が
90〜100モル%のものがより好ましく、98〜10
0%のいわゆる完全鹸化品が更に好ましい。
【0021】ポリビニルアルコールの平均重合度は任意
であるが、400〜3000が好ましく、ガラス繊維フ
ィラメントの集束力の観点からは、平均重合度は100
0〜3000程度の高重合度であることが好ましく、水
溶液を低粘度にすることを考慮すれば、平均重合度は4
00〜2000の低重合度であることが好ましい。
【0022】ポリビニルアルコールは、集束力及び水溶
性を極端に低下させない限りは、エステル化、エーテル
化、アセタール化(分子内アセタール化、分子間アセタ
ール化等)等の変成がなされたものを、その少なくとも
1部として含有していてもよい。
【0023】本発明においては、上述した澱粉及びポリ
ビニルアルコールを皮膜形成剤として使用する。かかる
皮膜形成剤は水に溶解及び/又は膨潤した状態でガラス
繊維用集束剤に含有される。澱粉及びポリビニルアルコ
ールは、混合して用いることも可能であるが、脱油の安
定性の観点からは、いずれか一方のみを皮膜形成剤とし
て用いることが好ましい。例えば、澱粉を皮膜形成剤と
して含むガラス繊維用集束剤は、溶融ガラスを延伸して
得られるガラス繊維フィラメントを集束してガラス繊維
束を作製する場合や、製織時に経糸として用いるガラス
繊維束に二次サイズ剤として塗布する場合等に好適に適
用可能であるが、ポリビニルアルコールをを皮膜形成剤
として含むガラス繊維用集束剤は後者の場合に適用する
ことが好ましい。
【0024】次に、本発明における二酸化チタン粒子に
ついて説明する。本発明のガラス繊維用集束剤は二酸化
チタン粒子を含有することをその特徴としている。本発
明において用いられる二酸化チタン粒子は、結晶構造が
異なるものの混合物であっても同一結晶構造のみからな
るものであってもよいが、本発明の二酸化チタン粒子
は、アナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタン粒子
を含有するものであることが好ましい。
【0025】また、二酸化チタン粒子の平均粒径は5〜
30nmが好ましい。二酸化チタン粒子の平均粒径が5
nm未満である場合は、工業的に入手困難であり、30
nmを超す場合は、比表面積が小さく光触媒効率が低下
し、また、ガラス繊維用集束剤中で沈殿することがあり
作業性が低下する傾向がある。なお、上記平均粒径は二
酸化チタンの一次粒子の平均粒径を意味し、本発明にお
いては上記平均粒径の二酸化チタン粒子は、ガラス繊維
用集束剤中又はガラス繊維集束剤の不揮発成分中(不揮
発成分については後述する。)において、二次粒子を形
成していてもよい。
【0026】次に、本発明における潤滑剤について説明
する。本発明のガラス繊維用集束剤は、ガラス繊維の製
造工程における機械摩擦からガラス繊維を保護するため
に、潤滑剤を必須構成成分とする。かかる潤滑剤として
は、変性シリコーンオイル、牛脂油等の動物油及びこの
水素添加物;ゴマ油、ナタネ油、パーム油等の植物油及
びこの水素添加物;高級飽和脂肪酸と高級飽和アルコー
ルの縮合物(ラウリルステアレート等のステアリン酸エ
ステル等);パラフィンワックス;ポリエチレンイミン
等が例示できる。
【0027】本発明のガラス繊維用集束剤は、上述した
澱粉、ポリビニルアルコール及び潤滑剤の他に、水を必
須成分とする。水は上述した成分を溶解又は分散可能で
あればよく、例えば、イオン交換水、蒸留水が好適に用
いられる。
【0028】本発明のガラス繊維用集束剤は、上述した
澱粉、ポリビニルアルコール及び潤滑剤に加えて、界面
活性剤、防腐剤及び帯電防止剤等の添加成分を更に含ん
でいてもよい。また、本発明のガラス繊維用集束剤に対
して、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の
アルコールやその他有機溶剤を少量添加してもよい。
【0029】界面活性剤としては、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、脂肪族
4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、カルボ
キシベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレン
ポリアルキレンエーテル、ポリオキシエチレンラウリル
エーテル等のノニオン性界面活性剤等を用いることがで
きる。本発明においては、テトラエチレンペンタミンと
ステアリン酸の縮合物に酢酸を加えpHを4.5〜5.
5に調整した調整物(以下、該調整物における固形分を
「TEPA/SA」と記す。)を界面活性剤として用い
ることが好ましい。TEPA/SAにおけるテトラエチ
レンペンタミンとステアリン酸の反応比率はモル比とし
て、前者/後者=1/1〜1/2が好適である。また、
TEPAとノニオン性界面活性剤とを組み合わせて用い
ることが特に好ましい。上記のような界面活性剤を用い
ることにより、ガラス繊維用集束剤における、潤滑剤等
の疎水成分、並びに澱粉やポリビニルアルコール等の親
水性成分を安定化することができる。
【0030】本発明において用いることのできる防腐剤
は、黴や細菌等により分解を受けやすい澱粉等の成分を
保護できるものであればよく、その種類は特に制限され
ない。好適な防腐剤としては、ホルムアルデヒドを挙げ
ることができる。
【0031】本発明において用いることのできる帯電防
止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ア
ルキルスルホネート、第4級アンモニウムクロライドが
例示可能である。ガラス繊維用集束剤に帯電防止剤を添
加することにより、ガラス繊維に生じる静電気の発生を
低減させることができる。
【0032】上述した本発明のガラス繊維用集束剤の構
成成分は、不揮発成分(澱粉、ポリビニルアルコール、
潤滑剤、帯電防止剤、界面活性剤等)と、揮発成分
(水、有機溶剤、防腐剤として用いられるホルムアルデ
ヒド等)とに大別することができる。ここで、不揮発成
分とは110℃の乾燥により揮発しない成分を意味す
る。したがって、例えば、防腐剤に分類される化合物で
あっても化合物種によっては不揮発成分に属する場合が
ある。
【0033】本発明のガラス繊維用集束剤における揮発
成分の重量は、ガラス繊維用集束剤全重量を基準とし
て、90〜99重量%であることが好ましく、94〜9
8重量%であることが好ましい。そして、揮発成分中、
水の重量は90〜100重量%が好ましく、95〜10
0重量%がより好ましく、100重量%が特に好まし
い。なお、揮発成分における水以外の成分は、上記のよ
うに有機溶剤、防腐剤として用いられるホルムアルデヒ
ド等である。
【0034】したがって、本発明のガラス繊維用集束剤
における不揮発成分の重量は、ガラス繊維用集束剤全重
量を基準として、1〜10重量%であることが好まし
く、2〜6重量%であることが好ましい。そして、不揮
発成分の全重量を基準として、澱粉とポリビニルアルコ
ールは合計で30〜75重量%(更には40〜70重量
%)が好ましく、潤滑剤は10〜40重量%(更には1
5〜30重量%)が好ましく、二酸化チタン粒子は5〜
50重量%(更には10〜40重量%)が好ましい。
【0035】不揮発成分の重量が1重量%未満である場
合は、1回の塗布によるガラス繊維に対する付着量が少
なく重ね塗りが必要になる場合があり、10重量%を超
す場合には粘度が上昇して塗布性に悪影響を及ぼす場合
がある。また、澱粉とポリビニルアルコールの合計量が
上記下限値未満である場合は、ガラス繊維用集束剤の皮
膜形成性が不充分になる傾向にあり、上記上限値を超す
場合は、ガラス繊維用集束剤の不揮発成分の柔軟性が不
充分となる場合がある。そして、潤滑剤の重量が上記下
限値未満である場合は、ガラス繊維フィラメントやガラ
ス繊維束に毛羽立ちや切れが生じやすくなり、上記上限
値を超す場合は、ガラス繊維集束剤の集束性が低下する
傾向にある。一方、二酸化チタン粒子の重量が上記下限
値未満である場合は、光触媒反応が充分に生じず脱油性
が充分でなくなる傾向にあり、上記上限値を超す場合
は、ガラス繊維束及びガラス繊維織物の製造工程におい
てガラス繊維フィラメントが切れやすくなる。
【0036】本発明のガラス繊維用集束剤が、界面活性
剤、防腐剤、帯電防止剤を含む場合は、これらの含有量
は以下のような値であることが好ましい。すなわち、界
面活性剤はガラス繊維用集束剤の不揮発成分の全重量を
基準として1〜10重量%(更には2〜8重量%)が好
ましく、防腐剤は、澱粉100重量部に対して0.1〜
5重量部(更には、0.1〜3重量部)が好ましい。ま
た、帯電防止剤はガラス繊維用集束剤の不揮発成分の全
重量を基準として1〜5重量%(更には1〜3重量%)
が好ましい。
【0037】本発明のガラス繊維用集束剤は以下に述べ
るような製造方法により効率的に製造することができ
る。すなわち、澱粉及び/又はポリビニルアルコールを
水に分散させた後、90〜98℃に加熱し糊化させて8
0℃以下に冷却し、これに、二酸化チタン粒子及び潤滑
剤の水溶液(又は水分散物)をそれぞれ単独で、若しく
は混合した状態で添加し、必要に応じて更に水で希釈す
る。上記必須成分以外の、防腐剤や帯電防止剤等を添加
する場合も、これらを単独又は水溶液(又は水分散物)
として、糊化した澱粉溶液に加えればよい。また、界面
活性剤は、澱粉及び/又はポリビニルアルコール以外の
成分(潤滑剤等)の水溶液(又は水分散物)を作製する
ときに用いることができる。
【0038】次に、本発明のガラス繊維束について説明
する。本発明のガラス繊維束は、上述のガラス繊維用集
束剤により、ガラス繊維フィラメントを複数本集束して
なるガラス繊維束であって、ガラス繊維束の表面及び内
部に二酸化チタン粒子を有することを特徴とするもので
ある。
【0039】すなわち、本発明のガラス繊維束は、複数
本のガラス繊維フィラメントと本発明のガラス繊維用集
束剤とから構成されており、ガラス繊維用集束剤は、ガ
ラス繊維フィラメントの周囲を連続又は不連続膜として
被覆し、且つ、ガラス繊維フィラメントを束ねるように
ガラス繊維フィラメント間に存在している。そして、二
酸化チタン粒子はガラス繊維用集束剤中に分散されてい
る。なお、本発明において、ガラス繊維束に存在するガ
ラス繊維用集束剤は、該集束剤の不揮発成分であること
が好ましい。
【0040】ガラス繊維用集束剤は、ガラス繊維束の使
用時にガラス繊維フィラメントを束状に保っておくだけ
の強度を有していればよく、ガラス繊維束内に一様に分
布している必要はない。すなわち、ガラス繊維フィラメ
ント同士の接着性の観点からは、ガラス繊維用集束剤は
ガラス繊維束の外縁部から中心部へ向けて略均一の濃度
で分布していることが好ましいが、例えば、外縁部の濃
度が高く中心部の濃度が低い場合であってもガラス繊維
フィラメントを保持可能であり実用上問題とならないた
め、かかる構成のガラス繊維束も本発明において採用可
能である。
【0041】図1、図2及び図3は、本発明のガラス繊
維束の長さ方向と垂直の断面の模式図である。図1に示
すガラス繊維束1(第1の態様)は、ガラス繊維フィラ
メント10とガラス繊維用集束剤12(二酸化チタンを
除く成分、図1〜3について以下同様)と二酸化チタン
粒子14とから構成されており、ガラス繊維フィラメン
ト10はガラス繊維束1内部に均一に分布するガラス繊
維用集束剤12により束ねられている。そして、二酸化
チタン粒子14はガラス繊維束1の内部及び表面に配さ
れている。
【0042】一方、図2に示すガラス繊維束1(第2の
態様)は、第1の態様と同様に、ガラス繊維フィラメン
ト10とガラス繊維用集束剤12と二酸化チタン粒子1
4とから構成されており、ガラス繊維フィラメント10
は、ガラス繊維束1の外縁部において高濃度、内部にお
いて低濃度となるように(空隙が存在する)、ガラス繊
維用集束剤12で束ねられている。そして、二酸化チタ
ン粒子14はガラス繊維束1の内部及び表面に配されて
いる。
【0043】また、図3に示すガラス繊維束1(第3の
態様)は、第2の態様のガラス繊維束の周囲に本発明の
ガラス繊維集束剤を二次サイズ剤として塗布した態様
(第3の態様)を示すものであり、最表面に存在するガ
ラス繊維フィラメント10がガラス繊維用集束剤12で
被覆されている。そして、二酸化チタン粒子14はガラ
ス繊維束1の内部及び表面に配されている。
【0044】本発明のガラス繊維束に用いられるガラス
繊維フィラメントのフィラメント径は3〜23μmが好
ましく、ガラス繊維束はかかるガラス繊維フィラメント
が50〜1200本集束されてなるものであることが好
ましい。ガラス繊維フィラメントのガラス組成として
は、例えば、Eガラス、Sガラス、Cガラス等が挙げら
れる。本発明のガラス繊維束におけるガラス繊維フィラ
メントの総重量とガラス繊維用集束剤の重量との比は、
前者100重量部に対して、後者が不揮発成分として
0.2〜5.0重量部であることが好ましく、0.5〜
2.0重量部であることがより好ましい。また、本発明
のガラス繊維束の態様としては、ガラス繊維ヤーン、ガ
ラス繊維ロービング及びガラス繊維チョップドストラン
ドが挙げられる。なお、本発明のガラス繊維束は、例え
ば、後述する本発明のガラス繊維織物の製造方法におけ
る「集束工程」を実施することにより製造することがで
きる。
【0045】次に、本発明のガラス繊維織物の製造方法
について説明する。本発明のガラス繊維織物の製造方法
は、(1)上述した本発明のガラス繊維用集束剤によ
り、複数のガラス繊維フィラメントを集束してガラス繊
維束を得る集束工程と、(2)集束工程で得られるガラ
ス繊維束を経糸及び緯糸の少なくとも一方として製織す
ることにより、ガラス繊維織物原反を得る製織工程と、
(3)ガラス繊維織物原反を加熱する脱油工程と、を含
み、集束工程と脱油工程との間に、ガラス繊維束を光に
晒す光照射工程を備えるものである。
【0046】集束工程は、例えば、Eガラス、Sガラ
ス、Cガラス等の溶融ガラスを白金ノズル(ブッシン
グ)からガラス繊維フィラメントを引き出し、引き出し
直後にローラー型アプリケーターやベルト型アプリケー
ター等を用いてガラス繊維用集束剤を塗布し、次いで、
集束機を用いることによりガラス繊維フィラメントを束
ね、更に、これを室温〜150℃で乾燥し、水等の揮発
成分を除去することにより製造することができる。な
お、集束後に、適宜加撚を施してもよく、また、ガラス
繊維束は、巻取りチューブ(外径:15〜40cm、長
さ:10〜60cm程度)の周囲に10〜200km程
度巻き付けて巻糸体としてもよい。ガラス繊維フィラメ
ントのフィラメント径及びガラス繊維束におけるガラス
繊維フィラメント数は、上述のとおりである。
【0047】製織工程においてはガラス繊維束の製織を
行うが、本発明において製織とは、ガラス繊維束からな
る経糸及び緯糸を、これらが交差するように織ることを
いう。また、製織工程において得られるガラス繊維織物
原反は、脱油が行われておらずガラス繊維用集束剤の少
なくとも一部が付着した状態のガラス繊維織物を意味す
る。
【0048】本発明のガラス繊維織物の製造方法におい
ては、経糸及び緯糸の少なくとも一方が集束工程で得ら
れたガラス繊維束であればよいが、脱油性の観点から、
経糸及び緯糸の両方が集束工程で得られたガラス繊維束
であることがより好ましい。製織は、エアージェット織
機等の織機を用いて行うことが好ましく、かかる場合に
おいては、上記巻糸体からガラス繊維束を解舒して製織
に供することが製造工程上好ましい。なお、ガラス繊維
束を経糸として用いる場合は、製織に先立って経糸に二
次サイズ剤を塗布してもよい。そして、かかる二次サイ
ズ剤は、本発明のガラス繊維用集束剤であることが好ま
しい。
【0049】ガラス繊維織物原反は、5〜500TEX
(好ましくは22〜68TEX)のガラス繊維束を経糸
及び緯糸として用い、織り密度が、経方向で16〜64
本/25mm、緯方向で15〜60本/25mmになる
ように織られたものであることが好ましい。
【0050】本発明において光照射工程は、集束工程と
脱油工程との間に実施する。したがって、光照射工程は
集束工程と製織工程との間若しくは製織工程と脱油工程
との間又はこれらの両方において実施することができ
る。光照射工程は、ガラス繊維束におけるガラス繊維用
集束剤(二酸化チタン粒子を除く)の少なくとも一部
を、二酸化チタンの光触媒作用により分解させるために
実施する。したがって、光照射工程においてガラス繊維
束(ガラス繊維織物原反中のガラス繊維束を含む)を晒
す光は、紫外線を含有する光であることが好ましく、特
に360〜400nmの光を含むものであることがより
好ましい。かかる光としては、太陽光、蛍光燈光、紫外
線(ブラックライト等)が挙げられる。また、光量及び
照射時間は任意であり、例えば0.1〜10mW/cm
2の光量で、分解対象物の少なくとも一部が分解を生じ
る時間だけ、ガラス繊維束を光に晒せばよい。
【0051】光照射工程を集束工程と製織工程との間に
実施する場合は、上記光をガラス繊維束に照射しても、
ガラス繊維束が巻き取られた巻糸体に照射してもよい。
光照射工程を製織工程と脱油工程との間に実施する場合
は、ガラス繊維織物原反を上記光に晒せばよい。なお、
本発明においては、光照射工程を、製織工程と脱油工程
との間に実施することが好ましい。集束工程と製織工程
との間に光照射を行うと、製織前のガラス繊維束におけ
るガラス繊維用集束剤の分解が進行しすぎる場合があ
り、製織が困難になることがあるためである。
【0052】上記のように光照射が行われ、付着するガ
ラス繊維用集束剤の少なくとも一部が分解したガラス繊
維織物原反は、脱油工程において脱油に供される。
【0053】本発明のガラス繊維用集束剤は、有機成分
(澱粉及び/又はポリビニルアルコール、潤滑剤、乳化
剤等)と無機成分(二酸化チタン粒子、帯電防止剤等)
とに大別することができ、脱油工程においては、加熱に
よりこれらの少なくとも一部の熱分解及び減量を生じせ
しめればよい。この場合において、ガラス繊維フィラメ
ントの熱劣化を考慮すると、二酸化チタン等の無機成分
の全てを熱分解させる必要はなく、ガラス繊維用集束剤
中の有機成分を積極的に熱分解せしめて減量させること
が好ましい。むしろ、有機成分のみを熱分解させて、二
酸化チタン粒子を残存させた方が、ガラス繊維強化樹脂
を作製する際のマトリックス樹脂含浸性の観点から好ま
しい。なお、有機成分は、例えば、二酸化炭素や水等に
熱分解され、これらが揮発することにより減量が生じ
る。
【0054】脱油工程の加熱温度は、350〜450℃
が好ましく、加熱時間は40〜120時間が好ましい。
加熱温度が350℃未満又は加熱時間が40時間未満で
ある場合は脱油が不充分となる傾向にある。一方、加熱
温度が450℃を超す場合又は加熱時間が120時間を
超す場合はガラス繊維フィラメントが劣化する可能性が
ある。なお、脱油は酸素の存在下(例えば、空気中)で
行うことが熱分解及び減量の効率の観点から好ましい。
【0055】脱油工程は、連続的に行っても(以下「連
続法」という。)、バッチ式で行っても(以下「バッチ
法」という。)よく、連続法とバッチ法を組み合わせて
行ってもよい。連続法においては、製織工程で得られた
ガラス繊維織物が連続的に供給されつつ加熱が行われ、
バッチ式ではロール状に巻き取られたガラス繊維織物を
加熱する。脱油効率を考慮すると、連続法で一次脱油を
行った後に、ガラス繊維織物をロール状に巻取り、バッ
チ法で二次脱油を行うことが好ましい。
【0056】次に、本発明のガラス繊維織物について説
明する。本発明のガラス繊維織物は上述した本発明のガ
ラス繊維織物の製造方法により得られることを特徴とす
るものである。
【0057】本発明のガラス繊維織物の製造方法による
ガラス繊維織物は、経糸及び緯糸の少なくとも一方が、
ガラス繊維フィラメント間に二酸化チタン粒子を含んだ
ものとすることができるため、ガラス繊維フィラメント
間にある程度の間隙が存在する。図4は、本発明のガラ
ス繊維織物における緯糸の長さ方向と垂直の断面の模式
図である。図4に示されたガラス繊維織物2は、緯糸2
0及び経糸22が交差してなるものであり、緯糸20及
び経糸22はガラス繊維フィラメント10が複数束ねら
れたものである。そして、ガラス繊維繊維フィラメント
10の表面及びガラス繊維フィラメント10間には二酸
化チタン粒子14が配されている。
【0058】したがって、緯糸20及び経糸22におけ
るガラス繊維フィラメント間には間隙が存在する。この
ために、ガラス繊維織物2を用いて、ガラス繊維強化樹
脂を作製する場合、マトリックス樹脂が間隙を通して緯
糸20及び経糸22中に侵入したすく、含浸性が顕著に
向上する。したがって、本発明のガラス繊維織物を用い
て作製されたガラス繊維強化樹脂は、ボイド等の発生が
抑制され力学特性に優れるようになる。なお、本発明の
ガラス繊維織物における、ガラス繊維束の好適なTEX
数及び織り密度は、上記ガラス繊維織物原反におけるの
と同様である。
【0059】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例についてさらに
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
【0060】[ガラス繊維用集束剤の製造] (実施例1)エーテル化ハイアミロースコーンスターチ
2.20kg及びエーテル化コーンスターチ2.20k
gに70kgの水を加え分散させた。次いで、これを加
熱昇温し95℃で30分間糊化した後、65℃まで冷却
した(得られた液をA液とする)。一方、加熱溶解させ
た牛脂油1.4kg、パラフィンワックス(融点:11
5°F)0.5kg、二酸化チタン粒子(日本アエロジ
ル社製、titan oxide P25、平均粒径25nm)3.4
kg、ポリオキシエチレンポリプロピレンエーテル(H
LB=16、以下「PO/EO」と略す。)0.1kg
及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB=
9)0.1kgに熱湯を加えながらミキサーで攪拌し
た。攪拌を5分間継続した後に熱湯で希釈して、総重量
を5kgとした(得られた液をB液とする)。また、T
EPA/SA(テトラエチレンペンタミンとステアリン
酸とのモル比:前者/後者=1/2)150gに熱湯を
加えて総重量を2kgとした(得られた液をC液とす
る)。更に、ホルマリン液(ホルムアルデヒド30重量
%水溶液)100gを水で10倍に希釈した(得られた
液をD液とする)。次いで、65℃のA液に、B液、C
液及びD液を順次全量添加した後、総重量が100kg
になるように湯を加えてガラス繊維用集束剤を得、60
℃で保温した。
【0061】(実施例2)二酸化チタン粒子の重量を、
0.68kgとした他は、実施例1と同様にして、それ
ぞれ実施例2のガラス繊維用集束剤を得た。
【0062】(比較例1〜2)二酸化チタン粒子に代え
て、コロイダルシリカ(触媒化成工業社製、CataloidS-
30H、シリカ含有量:30重量%)をシリカの重量が、
実施例1及び2における二酸化チタンの含有量と同一と
なるようにした他は、実施例1及び2と同様にして、そ
れぞれ比較例1及び2のガラス繊維用集束剤を得た。
【0063】(比較例3)二酸化チタン粒子を用いなか
った他は、実施例1と同様にして比較例3のガラス繊維
用集束剤を得た。
【0064】[ガラス繊維束の製造] (実施例3〜4及び比較例4〜6)ロールコーターを用
いて、Eガラスのガラス繊維フィラメント(フィラメン
ト径9μm)に、実施例1〜2及び比較例1〜3で得ら
れたガラス繊維用集束剤それぞれを塗布し400本集束
して巻き取った後、常温で10時間放置乾燥させた。次
いで、巻き返し機を用いてこれを雰囲気温度40℃でボ
ビンに巻き返し、ガラス繊維束を風乾させてガラス繊維
束を得た。なお、得られたガラス繊維束におけるガラス
繊維用集束剤(不揮発成分)の付着量は、ガラス繊維フ
ィラメント100重量部に対して、1.0重量部であっ
た。なお、実施例1〜2及び比較例1〜3で得られたガ
ラス繊維用集束剤を用いたものが、それぞれ実施例3〜
4及び比較例4〜6に該当する。
【0065】[ガラス繊維織物原反の製造] (実施例5〜6及び比較例7〜9)実施例3〜4及び比
較例4〜6で得られたガラス繊維束を経糸及び緯糸とし
て用い、高速エアージェット織機(津田駒工業社製、Z
A)にて製織を行い、IPCスペック7628タイプの
ガラス繊維織物原反を得た。なお、実施例1〜2及び比
較例1〜3のガラス繊維用集束剤が塗布された経糸に対
して、それぞれ実施例1〜2及び比較例1〜3のガラス
繊維用集束剤が塗布された緯糸を用いた。そして、実施
例1〜2及び比較例1〜3のガラス繊維用集束剤が塗布
された経糸及び緯糸を用いたものが、それぞれ実施例5
〜6及び比較例7〜9に該当する。
【0066】[光照射工程及び脱油工程の実施]実施例
5〜6及び比較例7〜9で得られたガラス繊維織物原反
に対して、ブラックライトを用いて光量1mW/c
2、波長360nmの紫外線を100時間照射し光照
射工程を実施した。次いで、紫外線照射後のガラス繊維
織物原反を380℃のマッフル炉に入れ24時間保持し
て、脱油工程を実施した。そして、脱油工程により得ら
れたガラス繊維織物について、表1に示す基準により目
視で脱油性の評価を行った。
【0067】
【表1】
【0068】[光照射工程による二酸化炭素の発生量の
測定]実施例5〜6及び比較例7〜9で得られたガラス
繊維織物原反を20cm×17cmに切断して、1.5
mLの密封容器内に入れ、ブラックライトを用いて光量
1mW/cm2、波長360nmの紫外線を240時間
照射した。そして、密封容器内の二酸化炭素の濃度を、
ガステック社製ガステック検知管2LLにより測定し、
紫外線照射前と後の二酸化炭素量の差から二酸化炭素発
生量(ppm/30日)を計算した。
【0069】[マトリックス樹脂の含浸性]実施例5〜
6及び比較例7〜9で得られたガラス繊維織物原反に対
して光照射工程及び脱油工程を実施することにより得ら
れたガラス繊維織物を、10cm×10cmに切断し、
その上に以下の表2の組成を有するマトリックス樹脂組
成物10mLを垂らし、ガラス繊維中の気泡が抜けるま
での時間を計測し、以下の式により含浸性(含浸改良
率)を算出した。 含浸改良率(%)=(t1−t2)/t1×100 なお、上記式において、t1は二酸化チタン及びシリカ
のいずれも含有しないガラス繊維用集束剤(比較例3)
を用いて得られたガラス繊維織物における含浸所要時間
(秒)、t2は二酸化チタン又はシリカのいずれかを含
有するガラス繊維用集束剤(実施例1〜2及び比較例1
〜2)を用いて得られたガラス繊維織物における含浸所
要時間(秒)を意味する。
【0070】
【表2】
【0071】以上の評価結果を、塗布されたガラス繊維
用集束剤の種類に基づいて(実施例1〜2及び比較例1
〜3と表記)以下の表3に示した。そして、ガラス繊維
用集束剤の含有成分のうち不揮発成分の重量%も併記し
た。
【0072】
【表3】
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
加熱による脱油性に優れているのみならず、少ないエネ
ルギー消費量でも実用上充分なレベルの脱油が可能なガ
ラス繊維用集束剤を提供することが可能になる。また、
かかるガラス繊維用集束剤を用いたガラス繊維束、かか
るガラス繊維用集束剤を用いたガラス繊維織物の製造方
法、及びかかる製造方法により得られるガラス繊維織物
を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラス繊維束(第1の態様)の断面の
模式図である。
【図2】本発明のガラス繊維束(第2の態様)の断面の
模式図である。
【図3】本発明のガラス繊維束(第3の態様)の断面の
模式図である。
【図4】本発明のガラス繊維織物の断面の模式図であ
る。
【符号の説明】
1…ガラス繊維束、2…ガラス繊維織物、10…ガラス
繊維フィラメント、12…ガラス繊維用集束剤、14…
二酸化チタン粒子、20…緯糸、22…経糸。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 澱粉及びポリビニルアルコールからなる
    群より選ばれる少なくとも1つの皮膜形成剤と、二酸化
    チタン粒子と、潤滑剤と、水とを含むことを特徴とする
    ガラス繊維用集束剤。
  2. 【請求項2】 前記二酸化チタン粒子の平均粒径が、5
    〜30nmであることを特徴とする請求項1記載のガラ
    ス繊維用集束剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のガラス繊維用集束
    剤により、ガラス繊維フィラメントを複数本集束してな
    るガラス繊維束であって、 前記ガラス繊維束の表面及び内部に前記二酸化チタン粒
    子を有することを特徴とするガラス繊維束。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のガラス繊維用集束
    剤により、複数のガラス繊維フィラメントを集束してガ
    ラス繊維束を得る集束工程と、前記集束工程で得られる
    ガラス繊維束を経糸及び緯糸の少なくとも一方として製
    織することにより、ガラス繊維織物原反を得る製織工程
    と、前記ガラス繊維織物原反を加熱する脱油工程と、を
    含むガラス繊維織物の製造方法であって、 前記集束工程と脱油工程との間に、前記ガラス繊維束を
    光に晒す光照射工程を備えることを特徴とするガラス繊
    維織物の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記光照射工程を、前記製織工程と前記
    脱油工程との間に備えることを特徴とする請求項4記載
    のガラス繊維織物の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5記載の製造方法により得
    られることを特徴とするガラス繊維織物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011184291A (ja) * 2010-03-09 2011-09-22 Nan Ya Plast Corp クラック剤含有スラリー組成物
WO2013136552A1 (ja) * 2012-03-16 2013-09-19 日東紡績株式会社 樹脂被覆難燃性繊維糸及び樹脂被覆難燃性繊維織物

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