JP2003072017A - 印刷版面の彫刻機及び該彫刻機により彫刻した印刷版 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷版面を彫刻する彫刻機の加工軸の中心と
これに取り付ける彫刻工具の中心を一致させる。 【解決手段】 印刷版の基材表面に模様を彫刻する彫刻
機は加工軸を有し、該加工軸は３次元空間を任意に位置
決め且つ移動可能で回転角度を任意に制御する。加工軸
は主軸１、工具保持固定部２、工具保持Ｘ方向可動部３
及び工具保持Ｙ方向可動部３’からなり、工具保持Ｙ方
向可動部３’の下部に彫刻工具５が取付けられる。工具
保持Ｘ方向可動部３及び工具保持Ｙ方向可動部３’各々
設けられたＸ方向移動量調節ネジ４及びＹ方向移動量調
節ネジ４’を調節することにより主軸１の中心と彫刻工
具５の中心を一致させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】模様を基材表面に彫刻した印
刷版、特に凹版版面において彫刻工具の位置決め精度を
高め、高精度で細密な凹版画線を彫刻することができる
印刷版面の彫刻機及び該彫刻機により彫刻した印刷版に
関する。

【０００２】

【従来の技術】３軸のNCフライス盤のような加工機で金
型等の立体形状を加工する際、一般的には回転バイトが
用いられる。この回転バイトの先端が加工軸の中心とず
れていた場合、その補正には１軸を補正すればよい。図
４に示すような一方向にのみ調整可能な工具ホルダーは
実際に市販されている。しかし、凹版版面の彫刻には、
高速に連続回転するエンドミルのようなバイトではな
く、特許第2538947号に開示されているように、彫刻刀
状のバイト（ヘールバイト）をホルダーに保持しバイト
の刃先を任意の方位に向けられる制御機構、ヘール加工
と呼ばれる機能を併用することが多い。このようにバイ
トの刃先の方位と加工軸の進行方向とを一致させながら
行う加工方法においては、バイトの先端と彫刻機の加工
軸の中心との間に１〜５０μmほどのずれがある場合、
凹版版面の彫刻においては画線幅１０μm程の微細な線
を彫刻するのに影響がある。

【０００３】また、一方向にのみ調整可能な工具ホルダ
ーで彫刻バイトの偏芯を調整しようとしても、バイトの
中心は１軸方向にしか移動しないので、バイトの先端点
が加工軸の中心にない場合は、どうやっても補正は不可
能である。

【０００４】彫刻機の加工軸の中心と彫刻の先端部の中
心が完全に一致していれば、精密凹版画線の彫刻にはな
んら問題はない。しかし、実際にはバイトの加工精度に
よるバイトの偏芯や、バイト保持具の精度が原因で完全
に一致していない。このようにバイトの先端と彫刻機の
加工軸の中心との間にわずかでもずれがある場合、凹版
版面の彫刻においては微細な線を彫刻するのに影響があ
る。特にバイトの進行方向が変わる位置付近で工具軌跡
が著しく乱れる現象が生じる。

【０００５】その様子を図５の(ａ)から（ｄ）に示す。
図５はバイトを保持した加工軸を軸の真上から見た図で
あり、６はバイトを保持する加工軸、７は加工軸の中心
点、８が保持されたバイトの中心点である。そのときの
加工軸の軌跡が９であり、バイト中心点の軌跡が10であ
る。このようにNC制御命令の軌跡が９のような軌跡であ
っても、実際の工具軌跡は10のようになり、進行方向の
変わる点（変曲点）でバイトの進行方向にバイトの正面
が向くようにバイトを回転させるため工具軌跡が著しく
乱れる問題があった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】以上の課題を解決する
ため、本発明は少なくとも三次元空間を任意に位置決め
移動可能な加工軸に彫刻工具を保持して彫刻をする彫刻
機の加工軸の中心と彫刻工具の中心を一致させることが
できる印刷版面の彫刻機及び該彫刻機により彫刻した印
刷版を提案することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、印刷版基材表
面に文字、画線等の模様を彫刻する印刷版面の彫刻機で
あって、前記彫刻機は少なくとも三次元空間を任意に位
置決め、移動及び回転可能な加工軸に彫刻工具を保持す
る彫刻工具保持手段を設け、前記彫刻工具により印刷版
基材表面を彫刻するもので、前記彫刻工具保持手段に彫
刻工具をｘ方向及びｙ方向に移動調整機能を設け、加工
軸の中心と彫刻工具の中心を一致させることを特徴とす
る印刷版面の彫刻機である。

【０００８】本発明は前記印刷版が凹版または凸版であ
る印刷版面の彫刻機である。

【０００９】本発明は、前記印刷版面の彫刻機により彫
刻された印刷版である。

【００１０】本発明は、前記印刷版が凹版または凸版で
ある印刷版である。

【００１１】

【発明の実施の形態】印刷版の基材表面に模様を彫刻す
る彫刻機は、図１に示すように加工軸を有し、該加工軸
は３次元空間を任意に位置決め且つ移動可能で回転角度
を任意に制御する。加工軸は主軸１、工具保持固定部
２、工具保持Ｘ方向可動部３及び工具保持Ｙ方向可動部
３’からなり、工具保持Ｙ方向可動部３’の下部に彫刻
工具５が取付けられる。工具保持Ｘ方向可動部３及び工
具保持Ｙ方向可動部３’各々設けられたＸ方向移動量調
節ネジ４及びＹ方向移動量調節ネジ４’を調節すること
により主軸１の中心と彫刻工具５の中心を一致させる。
図２は、偏芯のある彫刻バイトによってアルファベット
の「N」を彫刻したときの彫刻画線である。図２に示す
ように彫刻バイトの刃先方向が変わる点において彫刻画
線が乱れ文字として認識しずらい彫刻になる。そこでこ
の偏芯を補正するためのバイトの芯出し方法について述
べる。

【００１２】図１において彫刻機の正面の向きを０°と
すると、まず、彫刻機の主軸１を回転させてｘ軸及びｙ
軸の２軸方向に調整可能な工具ホルダー固定部２の向き
を０°にした後、テストインジケータなどの測定工具を
用い彫刻バイト５を工具ホルダー固定部２に対し０°に
取り付ける。彫刻機上に設置したマイクロスコープでバ
イトの先端を観察しながら、工具ホルダーのｘ軸の偏芯
をｘ方向の移動量調節ネジ４をまわして主軸１の原点と
彫刻工具の先端が一致するようにｘ方向に移動して調整
した後、彫刻機の主軸１を９０°回転させてｙ軸の偏芯
を調整する。ｘ軸と同様に彫刻機上に設置したマイクロ
スコープでバイトの先端を観察しながら、工具ホルダー
のｙ軸の偏芯をｙ方向の移動量調節ネジ４’をまわして
主軸１の原点と彫刻工具の先端が一致するようにｙ方向
に移動して調整する。

【００１３】補正した後に彫刻したアルファベット文字
「N」の彫刻画線を図３に示す。図３の彫刻バイトの刃
先方向が変わる点において、線がつながり文字として認
識可能な彫刻となっている。

【００１４】以上のように正確に彫刻される印刷版は、
凹版印刷版、凸版印刷版として用いることが可能であ
る。

【００１５】

【発明の効果】本発明は、加工軸方向が三次元空間のｚ
方向である彫刻機において、彫刻工具をｘ方向及びｙ方
向の２方向に微調整可能としたことにより、彫刻機の主
軸と彫刻工具の先端が一致するので、彫刻の進行方向の
変わる点（変曲点）で軌跡が乱れることなく、意図した
通りの彫刻画線を得ることができる。

【００１６】

【図面の簡単な説明】

【図１】二方向に調整可能な工具ホルダーを示す図であ
る。

【図２】偏芯のあるバイトによって文字「Ｎ」を彫刻し
た場合の図である。

【図３】二方向に調整可能な工具ホルダーを用いて偏芯
を補正し文字「Ｎ」を彫刻した場合の図である。

【図４】一方向のみ調整可能な工具ホルダーを示す図で
ある。

【図５】バイトの偏芯が微小加工に及ぼす影響を示す図
である。

【符号の説明】

１ 彫刻機の主軸 ２ バイトホルダーの固定部 ３ バイトホルダーのｘ方向可動部 ３’バイトホルダーのｙ方向可動部 ４ ｘ方向移動量調整ネジ ４’ｙ方向移動量調整ネジ ５ バイト ６ バイトを保持する加工軸 ７ 加工軸の中心点 ８ バイトの中心点 ９ 加工軸の中心軌跡 10 バイトの中心軌跡

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 印刷版基材表面に文字、画線等の模様を
   彫刻する印刷版面の彫刻機であって、前記彫刻機は少な
   くとも三次元空間を任意に位置決め、移動及び回転可能
   な加工軸に彫刻工具を保持する彫刻工具保持手段を設
   け、前記彫刻工具により印刷版基材表面を彫刻するもの
   で、前記彫刻工具保持手段に彫刻工具をｘ方向及びｙ方
   向に移動調整機能を設け、加工軸の中心と彫刻工具の中
   心を一致させることを特徴とする印刷版面の彫刻機。
2. 【請求項２】 前記印刷版は凹版または凸版であること
   を特徴とする請求項１に記載の印刷版面の彫刻機。
3. 【請求項３】 前記請求項１又は２に記載の印刷版面の
   彫刻機により彫刻されたことを特徴とする印刷版。
4. 【請求項４】 前記印刷版は凹版または凸版であること
   を特徴とする請求項３に記載の印刷版。