JP2003071352A - 液体塗布方法及び装置、並びにこれを用いた陰極線管の製造方法及び装置 - Google Patents

液体塗布方法及び装置、並びにこれを用いた陰極線管の製造方法及び装置

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JP2003071352A
JP2003071352A JP2001270435A JP2001270435A JP2003071352A JP 2003071352 A JP2003071352 A JP 2003071352A JP 2001270435 A JP2001270435 A JP 2001270435A JP 2001270435 A JP2001270435 A JP 2001270435A JP 2003071352 A JP2003071352 A JP 2003071352A
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cathode ray
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Daido Komyoji
大道 光明寺
Nobuyuki Aoki
延之 青木
Masato Mitani
眞人 三谷
Naoko Matsuda
直子 松田
Hiroyuki Naka
裕之 中
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布液の気泡発生による泡むらが生じること
がなく、均一な蛍光面形成を高い精度で実現できる液体
塗布方法及び装置、並びにこれを用いた陰極線管の製造
方法及び装置を提供する。 【解決手段】 塗布面21を水平方向から傾けて保持す
る保持部3と、この傾斜した塗布面21に塗布液を塗布
する塗布装置4と、この塗布装置4と塗布面21との相
対位置関係を制御する制御装置とを備え、塗布面21を
水平方向から傾けて保持し、この傾斜した塗布面21に
沿って下から上へ向かい塗布液を塗布するように構成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、液体塗布方法及
び装置、並びに前面ガラス内面に蛍光体スラリーを塗布
むらなく塗布し、塗布パターンの均一蛍光面を高いレベ
ルで実現することが可能な陰極線管の製造方法及び装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的なテレビジョン受信機用の陰極線
管は、主に、ロート状の陰極線管本体と、透明ガラスか
らなる陰極線管本体を塞ぐ前面ガラスとで構成されてい
る。前面ガラスの構造は、緩やかに湾曲した中央面と、
この中央面の外周に立設された枠状の外周壁とを有する
深皿状を呈している。外周壁の端部が前記した陰極線管
本体の先端面に接合されており、陰極線管が組み立てら
れる。
【0003】前面ガラスの内周面には、蛍光体層が形成
され、電子銃から照射された電子線によって蛍光体層が
発光することで、画像を表示することができる。カラー
テレビジョン受信機用の陰極線管では、複数色の蛍光体
層がドット状或いはストライプ状などのパターン形状で
形成されている。
【0004】前面ガラスに蛍光体層を形成するには、蛍
光体スラリーを、ノズルなどの吐出手段を用いて、前面
ガラスの内表面に供給し、前面ガラスを傾斜、旋回させ
て蛍光体塗布膜を形成させたあと、蛍光体塗布膜を乾燥
・硬化させたり、蛍光体塗布膜を所定のパターンで形成
したりする作業を行う。
【0005】蛍光体スラリーの吐出手段として、前面ガ
ラスの上方を横断する液吐出アームに軸方向に沿って複
数の小孔を並べて開口しておき、蛍光体スラリーを複数
の小孔から同時に全体がカーテン状になるような状態で
吐出させるとともに、前記蛍光体スラリーを吐出させる
液吐出アームを、前面ガラスの上方で平行移動させるこ
とで、前面ガラスの内表面全体に所定量の蛍光体スラリ
ーを効率的に供給する方法及び装置が知られている。
【0006】このような液体の供給方法及び装置につい
ては、本願出願と同一出願人によって先に出願されてい
る特開平10−174904号公報、特開平11−26
7567号公報、特開2000−93865号公報、特
開2001−62378号公報、特開2001−680
22号公報などに具体的に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな蛍光面形成方法及び装置では、以下のような問題を
有している。即ち、蛍光体スラリーを吐出する液吐出手
段を、前面ガラスの上方で平行移動させながら蛍光体ス
ラリーを複数の小孔から吐出する際、吐出された蛍光体
スラリー液が前面ガラスの中央分に落下し、衝突したと
きの衝撃で気泡を発生していた。そして、この塗布中に
発した気泡が、その後の前面ガラスを傾斜、旋回して蛍
光体塗布膜を形成する際に前面ガラスの蛍光体形成箇所
に残ってしまうと、蛍光体塗布膜に、例えばほうき星状
などの塗布むらが発生し、陰極線管の蛍光面の品質を著
しく低下させていた。
【0008】この蛍光体スラリーを塗布中にその液の落
下速度によって発生する気泡は、液吐出手段と前面ガラ
ス中央面との間の距離が大きくなるほど、即ち前面ガラ
スのサイズが大きくなって枠状の外周壁が高くなるほど
顕著に発生していた。
【0009】そこで、この発明は、上記した事情に鑑
み、塗布液の気泡発生による泡むらが生じることがな
く、均一な塗布面の形成を高い精度で実現することがで
きる液体塗布方法及び装置、並びにこれを用いた陰極線
管の製造方法及び装置を提供することを目的とするもの
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明の液体塗布方法
は、塗布面を水平方向から傾けて保持する工程と、この
傾斜した塗布面に沿って下から上へ向かい塗布液を塗布
する工程とを有することを特徴としている。
【0011】これにより、塗布液の気泡発生による泡む
らが生じるのを防止できる。
【0012】また、この発明の液体塗布方法は、塗布面
を水平方向から傾けて保持する工程と、この傾斜した塗
布面に沿って、前記傾斜方向と直角方向に水平に塗布液
を塗布する工程とを有することを特徴としている。
【0013】第1の発明と同様に、塗布液の気泡発生に
よる泡むらが生じるのを防止できる。
【0014】また、連続する一連の塗布工程では、重ね
て塗布する部位を設けないことが好ましい。
【0015】これにより、最小限の時間内で、塗布ムラ
のない均一な状態に仕上げることができる。
【0016】また、塗布液を塗布する工程では、この塗
布液の粘度に応じて塗布手段と塗布面の距離を制御し、
粘度が高まるにつれて距離を短くすることが好ましい。
【0017】これにより、いかなる有効サイズの前面ガ
ラスに対しても、蛍光体スラリー液が前面ガラス内面に
落下、衝突したときの衝撃で発生する気泡を解消させる
ことができるようになり、泡ムラのない、均質な蛍光面
を高い精度で実現することができる。
【0018】また、所定の塗布部位の一部を塗布した
後、塗布面を旋回させる工程を有することが好ましい。
【0019】また、この発明の液体塗布装置は、塗布面
を水平方向から傾けて保持する保持手段と、この傾斜し
た塗布面に塗布液を塗布する塗布手段と、この塗布手段
と塗布面との相対位置関係を制御する制御装置とを有す
ることを特徴としている。
【0020】また、塗布面を旋回させる旋回手段を有す
ることが好ましい。
【0021】また、この発明の陰極線管の製造方法は、
陰極線管の前面ガラス内面に請求項1〜5のいずれか1
項に記載の方法により蛍光体を塗布する工程と、この蛍
光体が塗布された前面ガラスを露光する工程と、この露
光された前面ガラスを現像処理する工程とを有すること
を特徴としている。
【0022】また、蛍光体の粘度をxmPa・s、塗布
手段と塗布面との距離をymmとすると、x・yの値が
1000以下であることが好ましい。
【0023】また、前記前面ガラス面内の塗布面の傾斜
角度が3から10度であることが好ましい。
【0024】また、前記塗布液の粘度がxmPa・sで
あって、前記塗布面のうちz%を塗布したときに、対粘
度面積比が z/x≧2.4 を満したところで塗布面を旋回させる工程を有すること
が好ましい。
【0025】また、この発明の陰極線管の製造装置は、
陰極線管の前面ガラス面内に蛍光体を塗布する請求項6
〜9のいずれか1項に記載の液体塗布装置と、前記蛍光
体が塗布された前面ガラスを露光する露光装置と、この
露光された前面ガラスを現像処理する現像装置とを備え
たことを特徴としている。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る実施の形態
について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。 [第1の実施形態]図1及び図2は、この発明の液体塗
布方法及びこれを用いた陰極線管の製造方法が適用され
た第1の実施形態に係る陰極線管の製造装置を示すもの
であり、液体塗布方法及びこれを用いた陰極線管の製造
方法の説明に先立ち、この陰極線管の製造装置から説明
する。この陰極線管の製造装置1には、大略構成とし
て、前面ガラス2の塗布面を水平方向から傾けて保持す
る保持部3と、この保持部3の前面ガラス2の傾斜した
塗布面に塗布液を塗布する塗布装置4と、この塗布装置
4と塗布面との相対位置関係を制御する図示しない制御
装置と、塗布液が塗布された前面ガラス2を露光する図
示しない露光装置と、この露光された前面ガラス2を現
像処理する図示しない現像装置とを備えている。
【0027】前面ガラス2は、縦横の長さの比が4:3
である51cmサイズの陰極線管を使用しており、保持
部3により、水平方向に対してある特定の傾斜角度θ
(図2参照)で傾斜状態に保持されている。この前面ガ
ラス2は、外方に向けて凸状に緩やかに湾曲した中央面
部2Aと、この中央面部2Aの外周に立設された外周壁
2Bとを有している。なお、中央面部2Aは、殆ど湾曲
のない実質的に平面であってもよい。また、この中央面
部2Aと外周壁2Bとは一体成形されたものでもよい
し、別個に形成されたものを一体に接合させたものでも
よい。
【0028】保持部3は、前面ガラス2の中央面部2A
の内面、即ち図2では凹状に窪んだ内面を上向きにした
状態で保持するように構成されている。なお、前面ガラ
ス2の姿勢については、水平方向にセットするよりも、
斜め方向に傾けてセットした方がよい。これは、水平方
向にセットした前面ガラス2に塗布液を塗布すると泡が
発生しやすいからである。但し、吐出部5の後述する小
孔51と前面ガラス2との間の距離を極端に短くした
り、塗布液の粘度を下げると、泡が発生し難くなる。ま
た、この保持部3には、底部にモータなどの回転駆動装
置を有し、旋回手段を構成する旋回部30を有してお
り、この旋回部30での駆動により、保持部3を旋回さ
せるようになっている。この旋回部30では、後述する
ように、所定の塗布部位の一部を塗布した後、塗布面を
旋回させるように構成されている。
【0029】塗布装置4は、保持部3に収容・保持され
た前面ガラス2の上方空間を横断して前面ガラス2の内
面に塗布液、具体的には前面ガラス2の傾斜した塗布面
に沿って下から上に向かって、或いはこの傾斜した塗布
面に沿って、傾斜方向と直角方向に水平に蛍光体スラリ
ーを塗布させるものであり、吐出部5と、移動機構6
と、供給機構7とを備えている。このように、塗布液
は、下から上に向かって塗布する方が、上から下に塗布
するよりもよい。なぜならば、上から塗布すると、塗布
した液が流れてきて、塗布した液とぶつかり泡を発生し
やすいからである。一方、下から塗布すると、塗布する
面は新しい面であり、かつ、泡が発生しても、上から流
れてきた泡が消されることが多いのである。なお、この
塗布装置4は、図1では、簡単のため1個のみしか図示
されていないが、1つの塗布装置4には、青、緑、赤の
うち1つのみ蛍光体スラリーが塗布されるものであり、
青、緑、赤の各色毎に塗布部4を用意しており、各色毎
の塗布装置4から各色の蛍光体スラリーが塗布されるよ
うに構成されている。
【0030】吐出部5は、前面ガラス2の上方を横断し
て水平に配置された横木(長尺)状に形成されており、塗
布液を吐出しながら移動機構6によって往復移動するよ
うになっている。この吐出部5は、具体的には、図3に
示すように、長手方向に沿って下面に一直線状に複数の
小孔51が開口されており、供給機構7によりこの吐出
部の内部へ供給されてきた蛍光体スラリーは、全ての小
孔51から同時に吐出されるようになっている。また、
この吐出部5内の上部には、図1に示すように、可撓性
ホースなどから構成される空気抜き通路52と、この空
気抜き通路52に設けた開閉手段53と、この開閉手段
53に一端が接続された吐出管54と、この吐出管54
の他端を取り付けた回収タンク55とを有する気泡排出
機構を備えており、これらを通して空気の混入した蛍光
体スラリーを外部排出させるようになっている。
【0031】開閉手段53には、空気抜き通路52の開
閉と流量調整が可能な例えばボールバルブが用いられ
る。空気抜き通路52の液圧力損失は、小孔51の液圧
力損失に比較して十分に小さくしてある。具体的には、
図3に示すように、空気抜き通路52の内径を、吐出部
5の小孔51の内径に比較して十分に大きく取ればよ
い。例えば、空気抜き通路52の内径を吐出部5の小孔
51の内径に比較して10倍程度大きく取れば十分であ
る。
【0032】即ち、これは、一般に、圧力損失は、管路
の長さに比例し、内径の4乗に反比例するので、空気抜
き通路52の内径が小孔の内径に対して10倍程度の寸
法であれば、圧力損失は1/104、即ち10000分
の1程度となり、空気抜き通路52の管路長が多少長く
ても、圧力損失が十分小さくなるものである。このよう
に、空気抜き通路52の液圧力損失を、吐出部5の小孔
51の液圧力損失に比較して十分小さくすれば、吐出部
5の内部に存在する空気を空気抜き通路52を通して外
部へ容易に排出することができる。
【0033】移動機構6は、互いに直交する3本のX軸
移動部6A、Y軸機構部6B、Z軸機構部6Cを有する
3軸直交ロボットで構成されており、各軸機構部には、
図示しないがボールねじ軸、ガイドレール、モータがそ
れぞれ設置されており、各軸部は独立別個に動作が可能
に構成されている。従って、吐出部5は、X軸移動部6
Aを作動させることで、前面ガラス2の上方を吐出部5
の短手方向に平行なX軸方行に平行移動したり、Y軸機
構部6Bを作動させることで、吐出部5の前面ガラス2
の上方を吐出部5の長手方向に平行なY軸方行に平行移
動したり、Z軸機構部6Cを作動させることで、前面ガ
ラスに接近したり離間できるように構成されている。例
えば、これらの各機構部を同時に作動させることもでき
る。
【0034】一方、供給機構7は、塗布部に設けた後述
する塗布液の供給管74を通して蛍光体スラリーを供給
せせるものであり、供給タンク71と、ポンプ72と、
流量調整弁73と、供給管74と、これらを連通する循
環路75とを備えている。供給タンク71は、前面ガラ
ス2の外側で、かつ、前面ガラス2の片側に配置されて
おり、塗布作業前の吐出部5は、図2に示すように、前
面ガラス2の外側の供給タンク71の上方のA位置に
て、小孔51から蛍光体スラリー8を吐出するようにな
っており、供給タンク71内に回収するように構成され
ている。また、この実施形態では、図1に示すように、
空気抜き通路52の一端が回収タンクの内部に固定され
ている。
【0035】制御装置は、塗布装置4と前面ガラス2の
塗布面との相対位置関係を制御するものであり、具体的
には、蛍光体スラリー8を塗布する工程で、この蛍光体
スラリー8の粘度に応じて塗布装置4の吐出部5の小孔
51と前面ガラス2の内面との距離を制御し、粘度が高
まるにつれて距離を短くするように構成されている。
【0036】次に、この発明に係る液体塗布方法及び陰
極線管の製造方法について、図4を参照しながら、前述
した塗布装置4及び陰極線管の製造装置を用いて説明す
る。
【0037】(1)第1ステップS1:まず、同図にお
いて、この第1ステップS1では、前面ガラス2の内面
に、フォトリソグラフ法を用いて、ドット又はストライ
プ状のブラックマトリクスを形成する。
【0038】(2)第2ステップS2:この第2ステッ
プS2では、一例として、青色蛍光体(日亜化学工業
製、粒子径7μm)25重量%、ポリビニルアルコール
(デンカ製ポバールB−24)2.5重量%、重クロム
酸アンモニウム(関東化学製ニクロム酸アンモニウム)
0.25重量%、界面活性剤0.04重量%、分散材
0.02重量%、及び脱イオン水からなる組成物をミキ
サ又はディスポーザなどの攪拌機により攪拌混濁させ
て、粘性係数20mPa・sの蛍光体スラリーを準備す
る。そして、青色蛍光体スラリー用のタンク、即ち図1
の供給タンク71内に収容させておく。さらに、この青
色蛍光体スラリー用の供給タンク71内に、アンモニア
水溶液を滴下し、青色蛍光体スラリーのPHを8.0に
調整しておく。
【0039】次に、この第2ステップS2において、前
面ガラス2の内面に青色蛍光体スラリーの塗布を行う。
この塗布を行う前に、予め、吐出部5の小孔51から青
色蛍光体スラリーを吐出並びに吐出量の流量調整を行っ
ておく。具体的には、ポンプ72を駆動して、流量調整
弁73及び供給管74を通して、この青色蛍光体スラリ
ーを青色蛍光体スラリー用の供給タンク71内から吐出
部5に送り込み、吐出部5の小孔51から青色蛍光体ス
ラリーを吐出させる。続いて、吐出部5の内部に送り込
む青色蛍光体スラリーの供給量を流量調整弁73により
調整するとともに、空気抜き通路52の開閉手段53で
あるボールバルブにより、空気抜き通路52の流量を調
整する。
【0040】例えば、吐出部5の小孔51から青色蛍光
体スラリーが連続的に吐出しているとき、吐出部5の小
孔51から吐出される青色蛍光体スラリーの総吐出量を
800cc/分に調整するとともに、空気抜き通路5
2、開閉手段53、吐出路54を介して回収タンク55
へ排出される青色蛍光体スラリー量を50cc/分に調
整する。このように、吐出部5の複数の小孔51から青
色蛍光体スラリーの一部を連続して排出できるようにし
ている。
【0041】なお、空気抜き通路52からの排出量が多
いと泡が小孔51の方に行かないが、空気抜き通路52
からの排出量が少ないと、泡が小孔51の方から吐出さ
れ易い。泡が小孔51の方に行かないようにするために
は、開閉手段53であるボールバルブにより、塗布液の
小孔51からの吐出量に対して、空気抜き通路52から
の排出量、つまり吐出量比を3〜10%に調整するのが
好ましい。また、泡が小孔51の方に行かないようにす
るためには、この空気抜き通路52からの排出量が多い
ほどよいので、相対比(粘度/吐出量比)は小さいほど
よい。一方、この蛍光体スラリーの粘度、吐出量比及び
相対比(粘度/吐出量比)は、表1に示すように、各色
によって微妙に異なるので、前述の制御装置で調整する
のが好ましい。
【0042】
【表1】
【0043】また、吐出部5の小孔51と前面ガラス2
との間の距離が大きいと、泡が発生しやすく、また塗布
液の粘度が下がると泡が発生し難くなる、といった傾向
がある。そこで、この吐出部5では、塗布液を塗布する
工程で、この塗布液の粘度に応じて吐出部5の小孔51
と前面ガラス2との間の距離を制御し、粘度が高まるに
つれてその距離を短くするように、前述の制御装置で制
御するようになっている。なお、蛍光体スラリーの粘度
をxmPa・s、吐出部5の小孔51と前面ガラス2と
の距離をymmとすると、x・yの値が1000以下で
あるのが好ましい。
【0044】また、前述の制御装置では、蛍光体の色に
よって、下記のようにその距離と粘度との関係を微妙に
調整している。 小孔51と前面ガラス2との距離が40mmであっ
て、青色、緑の液の粘度が20mPaS 小孔51と前面ガラス2との距離が30mmであっ
て、赤の液の粘度が25mPaS なお、上記の「距離」×「粘度」の値は、750から8
00が最適であり、さらには550から1000の範囲
までよい。
【0045】上記の青色蛍光体スラリー吐出並びに吐出
流量調整を行った後、前面ガラス2の内面に青色蛍光体
スラリーの塗布を行う。即ち、(i)流量調整弁73を
閉じて吐出部5からの青色蛍光体スラリー吐出を一時的
に所定の時間停止する停止動作と、(ii)この停止動
作中に吐出部5と前面ガラス2の内面とを接近する方向
に相対的に移動させる接近動作と、(iii)この接近
動作終了後、流量調整弁73を開いて再び吐出部5から
の青色蛍光体スラリーの吐出を再開する吐出再開動作
と、(iv)この吐出再開動作終了後、再び流量調整弁
73を閉じて吐出部5からの青色蛍光体スラリー吐出を
一時的に所定時間停止する2回目の停止動作と、(v)
この2回目の停止動作中に吐出部5と前面ガラス2の内
面とを離間する方向に相対的に移動させる離間動作と
を、所定回数繰り返して前面ガラス2の内面に青色蛍光
体スラリーを塗布する。
【0046】なお、空気抜き通路の開閉手段53は常に
「開」の状態となっており、小孔51からの青色蛍光体
スラリーの吐出動作が停止しているとき、吐出部5の内
部の残留液圧力により、微量であるが連続的に空気抜き
通路52からの青色蛍光体スラリーの排出動作が発生す
る。従って、小孔51からの吐出が停止している間も、
連続的に泡抜きを実施することができる。
【0047】前述した第2ステップS2(スラリーの塗
布方法)については、具体的には、以下のような第2−
1ステップS2−1から第2−9ステップS2−9で構
成されている。
【0048】(I)第2−1ステップS2−1;この工
程では、吐出部5が供給タンク71の真上の位置(図2
のA位置)にて青色蛍光体スラリーを吐出していると
き、吐出部5への青色蛍光体スラリー供給を遮断する。
この遮断動作は、流量調整弁73として供給管74に設
けられたボールバルブなどの開閉手段の閉じ操作によっ
て行うことができる。この遮断動作により、吐出部5の
小孔51からの青色蛍光体スラリー吐出動作が停止す
る。
【0049】(II)第2−2ステップS2−2;この
工程では、移動機構6のX軸移動部6Aを移動させて吐
出部5を、図2に示すA位置から前面ガラス2の一端の
上方位置(同図B位置)まで、小孔51からの青色蛍光
体スラリー吐出が停止した状態で移動させる。
【0050】(III)第2−3ステップS2−3;こ
の工程では、移動機構6のZ軸移動部6Cを作動させ、
吐出部5をB位置から前面ガラス2の中央面部21の一
端の位置(同図C位置)まで、引き続き小孔51からの
青色蛍光体スラリー吐出が停止した状態で移動させ、吐
出部5を前面ガラス2の内面に接近させる。この実施形
態では、青色蛍光体スラリー塗布時の吐出部5と前面ガ
ラス2の中央面部21との相対距離は、40mm以下で
あることが好ましい。なお、この第2−3ステップS2
−3の工程において、Z軸移動部6Cによる吐出部5の
移動距離は予め設定されている。
【0051】(IV)第2−4ステップS2−4;この
工程では、流量調整弁73を構成するボールバルブを開
けることにより、C位置まで移動した吐出部5への青色
蛍光体スラリー供給を再開し、吐出部5の小孔51より
青色蛍光体スラリーの吐出を再開する。
【0052】(V)第2−5ステップS2−5;この工
程では、吐出を再開した吐出部5を、移動機構6のX軸
移動部6Aを作動させ、100mm/秒の速度でC位置
から前面ガラス2の中央面部21の他端(図2のD位
置)まで掃引し、前面ガラス2の内面に青色蛍光体スラ
リーを塗布する。
【0053】(VI)第2−6ステップS2−6;そし
て、D位置まで吐出部5が戻ってきたときに、この工程
では、流量調整弁73のボールバルブなどの開閉手段の
閉じ操作により、再び、吐出部5の青色蛍光体スラリー
供給を停止する。
【0054】(VII)第2−7ステップS2−7;青
色蛍光体スラリー吐出が停止した吐出部5を、D位置か
ら前面ガラス2の他端の上方位置(図2のE位置)ま
で、移動機構6のZ軸移動部6Cを作動させ移動させ
る。
【0055】(VIII)第2−8ステップS2−8;
この工程では、X軸移動部6Aを作動させて、青色蛍光
体スラリー吐出が停止した吐出部5を、E位置から供給
タンク71の真上のA位置まで移動させる。
【0056】(IX)第2−9ステップS2−9;A位
置まで戻った吐出部5への青色蛍光体スラリー供給を再
開し、小孔51から青色蛍光体スラリー吐出動作を再開
する。この第2−9ステップS2−9の後には、再び、
第2−1ステップS2−1に戻り、陰極線管の前面ガラ
ス2を次工程へ向けて搬出した後、別の陰極線管の前面
ガラス2を搬入して、この前面ガラス2の内面に青色蛍
光体スラリーの塗布作業を開始する。
【0057】なお、ここで、青色蛍光体スラリー塗布時
の吐出部5と前面ガラス2の中央面部21との相対距離
を各種変化させて、泡の発生頻度を実際に実験して調べ
てみたところ、表2のような結果が得られた。この表2
において、ノズルとパネルとの間の距離と、泡の発生個
数との関係を示す。
【0058】
【表2】
【0059】この表2からわかるように、前面ガラス2
の中央面部21が殆ど湾曲のない実質的に平面である場
合、吐出部5と前面ガラス2の中央面部21との相対距
離が50mmのとき、青色蛍光体スラリー塗布10回に
3回の頻度で、落下、衝突時の衝撃にため塗布膜に気泡
が発生することが判明した。同じく、55mmの距離の
ときでは、全ての青色蛍光体スラリー塗布で塗布膜に気
泡が発生した。従って、青色蛍光体スラリー塗布時の吐
出部5と前面ガラス2の中央面部21との相対距離は4
5mm以下であることが好ましい、という知見が得られ
た。
【0060】また、第2−5ステップS2−5及び第2
−6ステップS2−6において、蛍光体スラリー液をパ
ネル(前面ガラス2)に塗布するときに、図2に示すよ
うに、前面ガラス2を水平方向に対して角度θだけ傾斜
させておく実験を行ったところ、ノズル(吐出部5)よ
り吐出された蛍光体液の吐出方向とパネル面とのなす角
度が垂直の場合と異なり、泡ができ難いことが判明し
た。表3にそのときの角度と泡の発生個数との関係を示
す。
【0061】
【表3】
【0062】この表3において、前面ガラス2の傾斜角
度θは2度以上必要である。この前面ガラス2の面内の
塗布面の傾斜角度が3度から10度の範囲であるのが好
ましいが、5度以上が良い。なお、傾斜角度が11度以
上になると、蛍光体スラリー液がパネルに塗布されたパ
ネル内部を流れていき、パネル端部に衝突し、泡が発生
する。
【0063】また、この実験では、前面ガラス2をノズ
ルの移動方向に傾斜させたが、図6のように、水平方向
から傾けて保持する前面ガラス2の塗布面を、この傾斜
した塗布面に沿って、傾斜方向と直角方向に、しかも水
平方向に塗布液を塗布するようにしても良い。しかしな
がら、この場合、図6からわかるように、ノズルとパネ
ル間の距離が離れてしまい、泡が発生する虞があるの
で、図7(A)のように、2つのノズルを用いても良
い。当然、図7(B)のように、斜めノズルでも、多数
個のノズルでも良い。
【0064】以上のような実験結果から、図1に示す第
1の実施形態にかかる陰極線管の製造装置において、吐
出部5と前面ガラス2の中央面部21との相対距離は3
0mm以下となるようにして、吐出部5を前面ガラス2
と平行に移動するのが好ましい、という知見が得られ
た。
【0065】(3)第3ステップS3:以上のように、
第2ステップS2で前面ガラス2の内面に青色蛍光体ス
ラリーの塗布を行った後、この第3ステップS3では、
保持部3を傾斜、旋回させて青色蛍光体粒子を十分に沈
殿・堆積させ、遠赤外線ヒータを用いて余分な水分を乾
燥させる。なお、塗布面を旋回させる工程は、所定の塗
布部位の一部を塗布した後、即ち、塗布液の粘度をxm
Pa・s、塗布部位の塗布面積がz%とすると、次式で
示す対粘度面積比、つまりz/xの値が2.5以上とな
った後に行うのが好ましい。
【0066】また、この対粘度面積比については、表4
で示すように、各色によって微妙に異なるので、前述の
制御装置で調整するのが好ましい。なお、粘度が低いほ
ど塗布液が前面ガラス2内の広がるが、対粘度面積比が
2.5より大きいことが必要である。好ましくは、2.
8以上であるのがよい。つまり、これは、対粘度面積比
が小さくなると、塗布液が広がらずに不均一になるから
である。
【0067】
【表4】
【0068】(4)第4ステップS4:さらに、この第
4ステップS4では、乾燥された塗布膜をシャドーマス
クを介して紫外線露光し、水洗などで現像処理すること
により、前面ガラス2の内面のブラックマトリクス間の
所定位置に青色蛍光体ドットを形成する。
【0069】(5)第5ステップS5〜第7ステップS
7:同様にして、この第5ステップS5〜第7ステップ
S7では、青色蛍光体スラリーの次に、緑色蛍光体(日
亜化学工業製の粒子径7μmの緑色蛍光体、緑色蛍光体
スラリーの粘性係数20mPa・s)を使用し、第2ス
テップS2から第4S4と同様の動作を行い、露光、現
像処理して、緑色蛍光体ドットを前面ガラス2のブラッ
クマトリクス間の所定位置に形成する。
【0070】(6)第8ステップS8〜第10ステップ
S10:次に、同様にして、この第8ステップS8〜第
10ステップS10において、緑色蛍光体の代わりに赤
色蛍光体(日亜化学工業製の粒子径6μmの赤色蛍光
体、赤色蛍光体スラリーの粘性係数25mPa・s)を
使用し、第2ステップS2から第4ステップS4と同様
の動作を行い、露光、現像処理して、緑色蛍光体ドット
を前面ガラス2のブラックマトリクス間の所定位置に形
成する。
【0071】なお、緑色蛍光体スラリーを塗布する際の
吐出部5と前面ガラス2の中央面部21との相対距離
は、青色蛍光体スラリーの場合と同様に、30mm以下
に設定する。緑色蛍光体スラリーを塗布するとき、既に
青色蛍光体ドットが前面ガラス2のブラックマトリクス
間の所定位置に形成されているが、緑色蛍光体スラリー
の粘性係数と青色蛍光体スラリーの粘性係数とがほぼ同
じであるため、緑色蛍光体スラリーが前面ガラス2の中
央面部21に落下し、衝突したときの衝撃が、青色蛍光
体スラリーの場合と大差ない。このため、青色蛍光体ス
ラリーの場合と同様に、吐出された青色蛍光体スラリー
液が前面ガラス2の中央面部21に落下、衝突したとき
の衝撃で気泡を発生することがないように構成されてい
る。
【0072】また、赤色蛍光体スラリーを塗布する際の
吐出部5と前面ガラス2の中央面部21との相対距離
は、20mm以下に設定する。赤色蛍光体スラリーを塗
布するときは、既に青色蛍光体ドット及び緑色蛍光体ド
ットが前面ガラス2のブラックマトリクス間の所定位置
に形成されており、これらのドット上に赤色蛍光体スラ
リーが落下、衝突するため、より泡立ち易い状況になっ
ている。前述したように、赤色蛍光体スラリーの粘性係
数を、青色蛍光体スラリー又は緑色蛍光体スラリーの粘
性係数に比較して高めに設定しており、泡が一旦発生し
た場合には、消失し難くなっている。そこで、この実施
形態では、青色蛍光体スラリー又は緑色蛍光体スラリー
を塗布する場合に比べて、吐出部5と前面ガラス2の中
央面部21との相対距離を、20mm以下に短く設定し
ている。
【0073】なお、ここで、赤の蛍光体液を使用する場
合のノズルとパネルとの間の距離と泡の発生個数との関
係について実際に実験を行ってみたところ、表5に示す
ような結果が得られた。
【0074】
【表5】
【0075】即ち、前面ガラス2の中央面部21が殆ど
湾曲のない実質的に平面である場合には、吐出部5と前
面ガラス2の中央面部21との相対距離が、40mmの
とき、赤色蛍光体塗布10回につき3回の頻度で、落
下、衝突時の衝撃により塗布膜に気泡が発生した。同じ
く、45mmの距離のときには、全ての赤色蛍光体塗布
で塗布膜に気泡が発生した。なお、このときに用いる蛍
光体には、他の色を吸収し、自色のみを反射するように
同色の顔料を被着したものを用いても差し支えないし、
蛍光体の粒子径もこれに限定されるものではない。
【0076】(7)第11ステップS11:このように
して、第2ステップS2から第10ステップS10にお
いて、青色蛍光体ドット、緑色蛍光体ドット、赤色蛍光
体ドットを前面ガラス2のブラックマトリクス間の所定
位置にそれぞれ形成した後、この第11ステップS11
において、ラッカー膜を介してアルミニウム蒸着により
メタリックバック層を形成する。
【0077】(8)第12ステップS12:続いて、こ
の第12ステップS12では、蛍光体形成済みの前面ガ
ラス2とファンネルをガラスフットにより接合し、電子
銃を封入して真空排気により陰極線管を形成する。
【0078】このようにして、実際に陰極線管を形成し
てみたところ、前面ガラス2の内面に形成された蛍光体
塗布膜81(図2参照)は、蛍光体スラリーが前面ガラ
ス2の内面に落下、衝突したときの衝撃で発生していた
気泡による蛍光体塗布膜のほうき星状の塗布むらのない
均一な膜が形成されていることが確認された。また、前
面ガラス2の中央部面21が殆ど湾曲のない実質的に平
面である場合、ほうき星状の塗布むらを発生する不良率
が、7.2%から0.2%に著しく減少することが確認
された。
【0079】また、形成された陰極線管の輝度を測定し
た結果、有効面のいずれの部位においても、高い輝度
(周辺部輝度分布平均値97%。最悪値95%)と、安
定した色差(X方向3/1000,Y方向5/100
0)を示した。
【0080】なお、吐出部5と前面ガラス2の内面との
間の相対距離は、30mm程度以下であることが好まし
い。40mmを越える場合、蛍光体スラリー液が前面ガ
ラス2の中央面部21に落下し、衝突したときの衝撃が
大きくなり、蛍光体塗布10回中、3回から10回の頻
度で気泡が発生し、40mmを大きく越える場合には、
蛍光体塗布の全回で気泡が発生するからである。
【0081】次に、この実施形態に係る作用について説
明する。この実施形態の第2ステップS2によれば、青
色蛍光体スラリーの塗布を行うとき、前面ガラス2のサ
イズに関わらず、吐出部5と前面ガラスの中央面部21
との距離を一定以下に保ちながら、換言すれば近接位置
から塗布を行うことができるから、吐出された青色蛍光
体スラリー液が前面ガラス2の中央面部21に落下、衝
突したときの衝撃で発生する気泡を解消することができ
る。
【0082】また、吐出部5と前面ガラス2の中央面部
21とを接近する方向に相対的に移動させる接近動作
時、並びに、吐出部5と前面ガラス2の中央面部21と
を離間する方向に相対的に移動させる離間動作時に、吐
出部5の小孔51からの青色蛍光体スラリー吐出を停止
しているため、これらの動作時にも、吐出された青色蛍
光体スラリー液が前面ガラス2の中央面部21に落下、
衝突したときの衝撃で気泡を発生することがない。従っ
て、落下、衝突したときの衝撃で発生していた気泡によ
って引き起こされていた蛍光体塗布膜のほうき星状の塗
布むらの発生を防止することができる。
【0083】しかも、吐出部5が外周壁20の上方を通
過するとき、小孔51からの青色蛍光体スラリーの吐出
動作が停止しているため、外周壁20をカバーするため
の遮蔽部材を必要とせずに、外周壁を青色蛍光体スラリ
ーで汚損するのが防止できるようになる。
【0084】以上説明してきたように、この第1の実施
形態によれば、吐出停止再開工程において、停止動作時
に上記近接離間工程を行い、前面ガラス2内面に蛍光体
塗布膜81(図2参照)を形成する際の塗布液吐出部5
と前面ガラス2内面の相対距離を、前面ガラス2の有効
サイズに関わらず一定以下に保つことにより、前面ガラ
ス2がいかなる有効サイズに対しても、蛍光体スラリー
液8が前面ガラス2の中央面部21に落下、衝突したと
きの衝撃で発生する気泡を防止することができ、泡むら
のない、均質な蛍光面を高い輝度で実現することができ
る。しかも、前面ガラス2の傾斜により、塗布された蛍
光体スラリーは前面ガラス2の表面を流れることで、た
とえ泡が発生しても、流れ広がるうちにその泡をかき消
すことができる。このように、この発明による実用効果
は大なるものがある。
【0085】なお、本発明では、上記の実施形態に限定
されるものではなく、その他の各種の態様で実施するこ
とができる。例えば、この第1の実施形態では、51c
mサイズの陰極線管を使用したが、これに限定されるも
のではなく、陰極線管の前面ガラス2の有効サイズに応
じて、液吐出量や吐出部の掃引速度を自由に設定・調整
可能である。
【0086】また、この実施形態では、陰極線管の前面
ガラス2の内面に蛍光体スラリーを塗布したが、前面ガ
ラス2以外にも、同様の構造を有し、各種の塗布液が塗
布される部材・部品であれば適用可能である。さらに、
この実施形態では、前面ガラス2の傾斜方向と、吐出部
5の塗布移動方向を一致させたが、図6に示すように、
掃引(塗布)方向に直交する方向に前面ガラス2を傾斜
させてもよい。但し、吐出部5と前面ガラス2との間の
相対距離が30mmを越えると、泡が発生する虞があ
る。
【0087】[第2の実施形態]図8は、この発明の第
2の実施形態に係る液体塗布方法及びこれを用いた陰極
線管の製造方法が適用された陰極線管の製造装置を示す
ものであり、この実施形態でも液体塗布方法及びこれを
用いた陰極線管の製造方法の説明に先立ち、この陰極線
管の製造装置から説明する。なお、この実施形態におい
て、先の第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し
て重複説明を避ける。
【0088】この陰極線管の製造装置でも、第1の実施
形態のものと同一の陰極線管用の前面ガラス2に塗布液
を塗布するものであり、前面ガラス2を保持する保持部
3と、この保持部3の前面ガラス2に塗布液を塗布する
塗布装置4と、この塗布装置4を構成する吐出部5と、
移動機構6と、供給機構7と、図示しない露光装置と、
図示しない現像装置とは、第1の実施形態のものと同一
構成である。なお、この実施形態の陰極線管の製造装置
で第1の実施形態のものと異なるところは、塗布装置4
の一部を構成する吐出部5の長手方向の長さが、前面ガ
ラス2の外周壁20の短辺側長さの40%に短縮されて
いる(短尺状である)点である。
【0089】以上のように構成された第2実施液体にか
かる陰極線管の製造装置を用いて、この発明の第2の実
施形態に係る陰極線管の製造工程について、以下に説明
する。
【0090】(1)第1ステップS1:まず、この第1
ステップS1では、第1の実施形態と同様に、即ち第1
の実施形態における陰極線管の製造工程を示す図4にお
いて、一例である51cmサイズの前面ガラス2の内面
に、フォトリソグラフ法を用いて、ドット又はストライ
プ状のブラックマトリクスを形成する。
【0091】(2)第2ステップS2:次に、この第2
ステップS2では、第1の実施形態と同様に、前面ガラ
ス2の内面に青色蛍光体スラリーの塗布を行う。即ち、
この塗布を行う前に、予め、吐出部5の小孔51からの
青色蛍光体スラリーの吐出並びに吐出量の流量調整を行
っておく。具体的には、ポンプ72を駆動して、流量調
整弁73及び供給管74を通して、この青色蛍光体スラ
リーを青色蛍光体スラリー用の供給タンク71内から吐
出部5に送り込み、吐出部5の小孔51から青色蛍光体
スラリーを吐出させる。続いて、吐出部5の内部に送り
込む青色蛍光体スラリーの供給量を流量調整弁73によ
り調整するとともに、空気抜き通路52の開閉手段53
であるボールバルブにより、空気抜き通路52の流量を
調整する。
【0092】例えば、一例としては、吐出部5の小孔5
1から青色蛍光体スラリーが連続的に吐出していると
き、吐出部5の小孔51から吐出される青色蛍光体スラ
リーの総吐出量を400cc/分に調整するとともに、
空気抜き通路52、開閉手段53、吐出管54を介して
回収タンク55へ排出される青色蛍光体スラリー量を3
5cc/分に調整する。このように、吐出部5の複数の
小孔51から青色蛍光体スラリーを吐出させるとき、小
孔51に比較して液圧力損失の小さい空気抜き通路から
も、青色蛍光体スラリーの一部を連続して排出できるよ
うに構成している。
【0093】上記の青色蛍光体スラリー吐出並びに吐出
流量調整を行った後、前面ガラス2の内面に青色蛍光体
スラリーの塗布を行う。即ち、(i)流量調整弁73を
閉じて吐出部5からの青色蛍光体スラリー吐出を一時的
に所定の時間停止する停止動作と、(ii)この停止動
作中に吐出部5と前面ガラス2の内面とを接近する方向
に相対的に移動させる接近動作と、(iii)この接近
動作終了後、流量調整弁73を開いて再び吐出部5から
の青色蛍光体スラリーの吐出を再開する吐出再開動作
と、(iv)並びに吐出再開動作中に前面ガラス2の外
周壁20の短辺側長さが40%に設定されている前面ガ
ラス2の内面を、吐出部5により、重ねて塗布する部位
を設けないようにして、別言すれば、一筆書き状にくま
なく移動させる動作と、(v)吐出再開動作終了後、再
び流量調整弁73を閉じて吐出部5からの青色蛍光体ス
ラリー吐出を一時的に所定時間停止する停止動作と、
(vi)この停止動作中に吐出部5と前面ガラス2の内
面と離間する方向に相対的に移動させる離間動作とを、
所定回数繰り返して前面ガラス2の内面に塗布動作を行
う。
【0094】なお、空気抜き通路の開閉手段53は常に
「開」の状態となっており、小孔51からの青色蛍光体
スラリーの吐出動作が停止しているとき、吐出部5の内
部の残留液圧力により、微量であるが連続的に空気抜き
通路52からの青色蛍光体スラリー排出が発生する。従
って、小孔51からの吐出が停止している間も、連続的
に泡抜きを実施することができる。
【0095】前述した第2ステップS2は、具体的に
は、図11に示す以下のような第2−1´ステップS2
−1´から第2−13´ステップS2−13´で構成さ
れている。
【0096】(I)第2−1´ステップS2−1´;こ
の工程では、吐出部5が供給タンク71の真上の位置
(図9のA位置、かつ、図10のa位置)にて青色蛍光
体スラリーを吐出しているとき、吐出部5への青色蛍光
体スラリー供給を遮断する。この遮断動作は、流量調整
弁73として供給管4に設けられたボールバルブなどの
開閉手段の閉じ操作によって行うことができる。この遮
断動作により、吐出部5の小孔51からの青色蛍光体ス
ラリー吐出動作が停止する。
【0097】(II)第2−2´ステップS2−2´;
この工程では、移動機構6のX軸移動部6Aを作動させ
て、吐出部5を、図9のA位置、かつ、図10のa位置
から前面ガラス2の一端の上方位置(図9のE位置、か
つ、図10のb位置)まで、小孔51からの青色蛍光体
スラリーの吐出動作が停止した状態で移動させる。
【0098】(III)第2−3´ステップS2−3
´;この工程では、移動機構6のZ軸移動部6Cを作動
させ、吐出部5を図9のE位置、かつ、図10のb位置
から前面ガラス2の中央面部21の一端の位置(図9の
D位置、かつ、図10のb位置)まで、引き続き小孔5
1からの青色蛍光体スラリー吐出が停止した状態で移動
させ、吐出部5を前面ガラス2の内面に接近させる。こ
の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、青色蛍光体
スラリー塗布時の吐出部5と前面ガラス2の中央面部2
1との相対距離は、40mm以下、好ましくは30mm
以下であることが好ましい。
【0099】(IV)第2−4´ステップS2−4´;
この工程では、流量調整弁73を構成する、例えばボー
ルバルブを開けることにより、図9のD位置、かつ、図
10のb位置まで移動した吐出部5への青色蛍光体スラ
リー供給を再開し、吐出部5の小孔51より青色蛍光体
スラリーの吐出動作を再開する。
【0100】(V)第2−5´ステップS2−5´;こ
の工程では、吐出動作を再開した吐出部5を、移動機構
6のX軸移動部6Aを作動させ、100mm/秒の速度
で図9のD位置、かつ、図10のb位置から前面ガラス
2の中央面部21の他端の位置(図9のC位置かつ、図
10のc位置)まで掃引し、図10における前面ガラス
2の内面の上側半分に、青色蛍光体スラリーを塗布す
る。このとき、吐出部5と前面ガラス2の中央面部21
との相対距離は30mm以下となるように、第2−13
´ステップS2−13´の工程において、Z軸移動部6
Cによる吐出部5の移動距離が予め設定されている。
【0101】(VI)第2−6´ステップS2−6´;
そして、図9のC位置かつ、図10のc位置まで吐出部
5が移動してきたときに、この工程において、流量調整
弁73のボールバルブなどの開閉手段の閉じ動作によ
り、再び、吐出部5への青色蛍光体スラリー供給を遮断
して、小孔51からの青色蛍光体スラリーの吐出動作を
停止する。
【0102】(VII)第2−7´ステップS2−7
´;青色蛍光体スラリー吐出動作が停止した吐出部5
を、図9のC位置かつ、図10のc位置から前面ガラス
2の他端のまだ塗布がなされていない部分の上方位置
(図9のC位置かつ、図10のd位置)まで、移動機構
6のY軸移動部6Bを作動させて、移動させる。このと
き、移動機構6のZ軸移動部6Cは作動させず、吐出部
5と前面ガラス2の中央面部21との相対距離は定めら
れた設定値を保持させる。
【0103】(VIII)第2−8´ステップS2−8
´;続いて、この工程では、流量調整弁73の例として
のボールバルブを開けることにより、図9のC位置か
つ、図10のd位置まで移動した吐出部5への青色蛍光
体スラリーの供給動作を再開し、吐出部5の小孔51よ
り青色蛍光体スラリーの吐出動作を再開する。
【0104】(IX)第2−9´ステップS2−9´;
この工程では、吐出動作を再開した吐出部5を、移動機
構6のX軸移動部6Aを作動させて、100mm/秒の
速度で、図9のC位置かつ、図10のd位置から前面ガ
ラス2の中央面部21の他端位置(図9のD位置かつ、
図10のe位置)まで掃引する。これにより、図10に
おける前面ガラス2の内面の下側半分に青色蛍光体スラ
リー塗布を行い、前面ガラス2の内面を一筆書き状に塗
り上げる。
【0105】なお、第2−7´ステップS2−7´で塗
布した領域と、第2−9´ステップS2−9´で塗布し
た領域とは、図10に示すように、25mmの距離に近
接させている。次に、この領域について、蛍光体の塗布
方法について説明する。なお、この領域の塗布動作で
も、吐出部5と前面ガラス2の中央面部21との相対距
離は、40mm以下となるように、引き続き相対距離が
保持されている。
【0106】(X)第2−10´ステップS2−10
´;図9のD位置かつ、図10のe位置まで吐出部5が
戻ってきたときに、この工程では、流量調整弁73の一
例として、例えばボールバルブなどの開閉手段の閉じ動
作により、再び、吐出部5への青色蛍光体スラリーの供
給動作を遮断して、小孔51からの青色蛍光体スラリー
の吐出動作を停止する。
【0107】(XI)第2−11´ステップS2−11
´;次に、この工程では、青色蛍光体スラリーの吐出動
作が停止した吐出部5を、図9のD位置かつ、図10の
e位置から前面ガラス2の他端の上方の位置(図9のE
位置かつ、図10のe位置)まで、移動機構6のZ軸移
動部6Cを作動させて、移動させる。
【0108】(XII)第2−12´ステップS2−1
2´;そして、移動機構6のX軸移動部6Aを作動させ
て、青色蛍光体スラリーの吐出動作が停止した吐出部5
を、図9のE位置かつ、図10のe位置から供給タンク
71の真上の位置(図9のA位置かつ、図10のa位
置)まで移動させる。
【0109】(XIII)第2−13´ステップS2−
13´;最後に、図9のA位置かつ、図10のa位置ま
で戻った吐出部5への青色蛍光体スラリーの供給動作を
再開し、小孔51より青色蛍光体スラリー吐出動作を再
開する。なお、この第2−13´ステップS2−13´
の次には、再び、第2−1´ステップS2−1´に戻
り、陰極線管を次工程へ向けて搬出させた後、別の陰極
線管を搬入して、この陰極線管の前面ガラス2への青色
蛍光体スラリーの塗布動作を開始する。
【0110】(3)第3ステップS3:以上のように、
第2ステップS2で前面ガラス2の内面に青色蛍光体ス
ラリーの塗布を行った後、この第3ステップS3では、
第1の実施形態と同様に、保持部3を傾斜、旋回させて
青色蛍光体粒子を十分に沈殿・堆積させ、余分な水分を
遠赤外線ヒータを用いて乾燥させる。なお、第2−7´
ステップS2−7´で塗布した領域と、第2−9´ステ
ップS2−9´で塗布した領域とを、図10に示すよう
に、25mmの距離に近接させて塗布を行ったが、40
mm以下であることが好ましい。40mmを大きく越え
てそれぞれの塗布領域が離れてしまった場合には、第3
ステップS3における保持部3の傾斜、旋回中にそれぞ
れの塗布領域の間が速やかに蛍光体スラリー液でつなが
らずに、つながりの遅い部分が塗布むらとなってしまう
ためである。
【0111】(4)第4ステップS4:さらに、この第
4ステップS4では、乾燥された塗布膜をシャドーマス
クを介して紫外線露光し、水洗などで現像処理すること
により、前面ガラス2の内面のブラックマトリクス間の
所定位置に青色蛍光体ドットを形成する。
【0112】(5)第5ステップS5〜第7ステップS
7:同様にして、この第5ステップS5〜第7ステップ
S7では、青色蛍光体スラリーの代わりに、緑色蛍光体
(日亜化学工業製の粒子径7μmの緑色蛍光体、緑色蛍
光体スラリーの粘性係数20mPa・s)を使用し、第
2ステップS2から第4ステップS4と同様の動作を行
い、緑色蛍光体ドットを前面ガラス2のブラックマトリ
クス間の所定位置に形成する。
【0113】(6)第8ステップS8〜第10ステップ
S10:次に、同様にして、この第8ステップS8〜第
10ステップS10において、緑色蛍光体の代わりに赤
色蛍光体(日亜化学工業製の粒子径6μmの赤色蛍光
体、赤色蛍光体スラリーの粘性係数25mPa・s)を
使用し、第2ステップS2から第4ステップS4と同様
の動作を行い、緑色蛍光体ドットを前面ガラス2のブラ
ックマトリクス間の所定位置に形成する。
【0114】なお、緑色蛍光体スラリーを塗布する際の
吐出部5と前面ガラス2の中央面部21との相対距離
は、第1の実施形態で述べた理由と同様の利用により、
40mm以下に設定する。また、緑色蛍光体スラリーを
一筆書きで塗布していく際の個々の塗布領域間の隙間
は、青色蛍光体スラリーを一筆書きで塗布する場合に述
べた理由と同様の理由により、40mm以下であること
が好ましい。
【0115】また、赤色蛍光体スラリーを塗布する際の
吐出部5と前面ガラス2の中央面部21との相対距離に
ついても、第1の実施形態で述べた理由と同様の利用に
より、20mm以下に設定する。また、赤色蛍光体スラ
リーを一筆書きで塗布していく際の個々の塗布領域間の
隙間は、青色蛍光体スラリーを塗布する一筆書きで塗布
していく際に述べた理由と同様の理由により、40mm
以下であることが好ましい。なお、この実施形態でも、
塗布装置4と前面ガラス2の塗布面との相対位置関係を
制御する図示しない制御装置により、この塗布液の粘度
に応じて塗布装置4の吐出部5の小孔51と前面ガラス
2の塗布面の距離を制御し、粘度が高まるにつれて距離
を短くしている。
【0116】なお、このときに用いる蛍光体には、他色
光を吸収し、自色のみを反射するように同色の顔料を被
着したものを用いても差し支えないし、蛍光体の粒子径
もこれに限定されるものではない。
【0117】なお、この実施形態でも、緑色蛍光体スラ
リーを塗布するとき、既に青色蛍光体ドットが前面ガラ
ス2のブラックマトリクス間の所定位置に形成されてい
るが、緑色蛍光体スラリーの粘性係数と青色蛍光体スラ
リーの粘性係数とがほぼ同じであるため、緑色蛍光体ス
ラリーが前面ガラス2の中央面部21に落下し、衝突し
たときの衝撃が、青色蛍光体スラリーの場合と大差な
い。このため、この実施形態でも、青色蛍光体スラリー
の場合と同様に、吐出された青色蛍光体スラリー液が前
面ガラス2の中央面部21に落下、衝突したときの衝撃
で気泡を発生することがないように構成されている。
【0118】また、前述したように、吐出部5の小孔5
1と前面ガラス2との間の距離が大きいと、泡が発生し
やすいので、赤色蛍光体スラリーを塗布する際の吐出部
5と前面ガラス2の中央面部21との相対距離は、液の
粘度にもよるが、例えば20mm以下に設定するのが好
ましい。しかも、この相対距離は、青色蛍光体スラリー
や緑色蛍光体スラリーの場合よりも短めがよい。つま
り、これは、赤色蛍光体スラリーを塗布するときは、既
に青色蛍光体ドット及び緑色蛍光体ドットが前面ガラス
2のブラックマトリクス間の所定位置に形成されてお
り、これらのドット上に赤色蛍光体スラリーが落下、衝
突するため、より泡立ち易い状況になっているからであ
る。前述したように、この実施形態でも、赤色蛍光体ス
ラリーの粘性係数を、青色蛍光体スラリー又は緑色蛍光
体スラリーの粘性係数に比較して高めに設定しており、
泡が一旦発生した場合には、消失し難くなっている。そ
こで、この実施形態でも、青色蛍光体スラリー又は緑色
蛍光体スラリーを塗布する場合に比べて、吐出部5と前
面ガラス2の中央面部21との相対距離を、20mm以
下に短く設定している。
【0119】(7)第11ステップS11:このように
して、第2ステップS2から第10ステップS10にお
いて、青色蛍光体ドット、緑色蛍光体ドット、赤色蛍光
体ドットを前面ガラス2のブラックマトリクス間の所定
位置にそれぞれ形成した後、この第11ステップS11
において、第1の実施形態と同様に、ラッカー膜を介し
てアルミニウム蒸着によりメタリックバック層を形成す
る。
【0120】(8)第12ステップS12:続いて、こ
の第12ステップS12でも、第1の実施形態と同様
に、蛍光体形成済みの前面ガラス2とファンネルをガラ
スフットにより接合し、電子銃を封入して真空排気によ
り陰極線管を形成する。
【0121】なお、この実施形態でも、第2ステップS
2によれば、青色蛍光体スラリーの塗布を行うとき、前
面ガラス2のサイズに関わらず、吐出部5と前面ガラス
の中央面部21との距離を一定以下に保ちながら、換言
すれば近接位置から塗布を行うことができるから、吐出
された青色蛍光体スラリー液が前面ガラス2の中央面部
21に落下、衝突したときの衝撃で発生する気泡を解消
することができる。
【0122】また、この実施形態でも、吐出部5と前面
ガラス2の中央面部21とを接近する方向に相対的に移
動させる接近動作時、並びに、吐出部5と前面ガラス2
の中央面部21とを離間する方向に相対的に移動させる
離間動作時に、吐出部5の小孔51からの青色蛍光体ス
ラリー吐出を停止しているため、これらの動作時にも、
吐出された青色蛍光体スラリー液が前面ガラス2の中央
面部21に落下、衝突したときの衝撃で気泡を発生する
ことがない。従って、落下、衝突したときの衝撃で発生
していた気泡によって引き起こされていた蛍光体塗布膜
のほうき星状の塗布むらの発生を防止することができ
る。
【0123】しかも、第1の実施形態と同様に、吐出部
5が外周壁20の上方を通過するとき、小孔51からの
青色蛍光体スラリーの吐出動作が停止しているため、外
周壁20をカバーするための遮蔽部材を必要とせずに、
外周壁を青色蛍光体スラリーで汚損するのが防止できる
ようになる。
【0124】このようにして、この実施形態でも、実際
に陰極線管を形成してみたところ、前面ガラス2の内面
に形成された蛍光体塗布膜81(図9参照)は、蛍光体
スラリーが前面ガラス2の内面に落下、衝突したときの
衝撃で発生していた気泡による蛍光体塗布膜のほうき星
状の塗布むらのない均一な膜が形成されていることが確
認された。また、前面ガラス2の中央部面21が殆ど湾
曲のない実質的に平面である場合、ほうき星状の塗布む
らを発生する不良率が、7.2%から0.2%に著しく
減少したことも判明した。
【0125】さらに、この実施形態でも、形成された陰
極線管の輝度を測定した結果、有効面のいずれの部位に
おいても、高い輝度(周辺部輝度分布平均値97%。最
悪値95%)と、安定した色差(X方向3/1000,
Y方向5/1000)を示すことも確認された。
【0126】さらに、別の効果として、異なる有効サイ
ズの前面ガラス(パネル)2が搬入された場合でも、吐
出部5自体を交換することなく、この吐出部5を一筆書
き状に掃引する経路を変えるだけで、塗布が可能になる
といった効果も得られる。例えば、縦横の比が4:3で
ある71cmサイズの陰極線管の前面ガラス2が搬入を
された場合、この実施形態で示した吐出部5をそのまま
利用し、3領域に分けて一筆書きの要領で塗布を行うこ
とで、前面を塗布することが可能となる。また、この塗
布動作を、一筆書き状ではなく、吐出部5を蛇行させな
がら移動させても良い。
【0127】また、ここで、塗布面積と前面ガラス2の
有効面積との割合が各種異なるパネルに対して、一筆書
きの要領で塗布を行うときの輝度のばらつきに関する実
験を行ってみたところ、表6及び表7に示すような結果
が得られた。なお、この場合、塗布動作は前面ガラス2
の中央部を中心にして行った。
【0128】
【表6】
【0129】
【表7】
【0130】この実験から、有効面積に対する塗布面積
の割合が、50%程度まで低いと、塗布された蛍光体液
が広がりきれないために膜厚がばらつき、その結果、輝
度もばらついて不良品となることが判明した。逆に、良
品を得るためには、その割合が60%以上、好ましくは
70%以上必要であることも確認された。なお、青色蛍
光体スラリー塗布時の吐出部5と前面ガラス2の中央面
部21との間の相対距離は、第1の実施形態による陰極
線管の製造方法に用いる陰極線管の製造装置の説明にお
いて述べた理由と同様の理由により、40mm以下であ
ることが好ましい。
【0131】以上説明してきたように、この第2の実施
形態によれば、吐出停止再開工程において、停止動作時
に上記近接離間工程を行い、前面ガラス内面に蛍光体塗
布膜を形成する際の塗布液吐出部と前面ガラス内面の相
対距離を、前面ガラスの有効サイズに関わらず一定以下
に保ちながら、前面ガラス2の内面を一筆書き状に塗り
上げていくことにより、いかなる有効サイズの前面ガラ
スに対しても、蛍光体スラリー液が前面ガラス2の中央
面部21に落下、衝突したときの衝撃で発生する気泡を
消失させることができ、泡むらのない、均質な蛍光面を
高い精度で実現することができる。しかも、このこの第
2の実施形態でも、前面ガラス2の傾斜により、塗布さ
れたスラリーは前面ガラス2の表面を流れることで、た
とえ泡が発生しても、流れ広がるうちにかき消すことが
できる。
【0132】なお、本発明では、上記の実施形態に限定
されるものではなく、その他の各種の態様で実施するこ
とができる。例えば、この第2の実施形態でも、51c
mサイズの陰極線管を使用したが、これに限定されるも
のではなく、陰極線管の前面ガラスの有効サイズに応じ
て、液吐出量や吐出部の掃引速度を自由に設定・調整可
能である。
【0133】また、この実施形態では、陰極線管の前面
ガラスの内面に蛍光体スラリーを塗布したが、前面ガラ
ス以外にも、同様の構造を有し、各種の塗布液が塗布さ
れる部品・部材であれば適用可能である。
【0134】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明の液
体塗布方法によれば、塗布面を水平方向から傾けて保持
する工程と、この傾斜した塗布面に沿って下から上へ向
かい塗布液を塗布する工程とを有しており、塗布液の気
泡発生による泡むらが生じることがなく、均一な塗布面
の形成を高い精度で実現することができる。
【0135】また、この発明の液体塗布方法を用いた陰
極線管の製造方法よれば、いかなる有効サイズの前面ガ
ラスに対しても、蛍光体スラリー液が前面ガラスの内面
に落下し、衝突する時の衝撃で発生する気泡を解消させ
ることができるので、泡むらのない、均質な蛍光面を高
い精度で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る陰極線管の製
造方法が用いられた陰極線管の製造装置を示す斜視図で
ある。
【図2】第1の実施形態に係る陰極線管の製造方法を示
す説明図である。
【図3】図1に示す陰極線管の製造装置に設けた吐出部
を示す概略断面図である。
【図4】この発明の第1の実施形態に係る陰極線管の製
造方法を示すフローチャートである。
【図5】図4に示す陰極線管の製造方法における第2ス
テップの詳細を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態に係る陰極線管の製造装置の変
形例を示す概略断面である。である。
【図7】(A),(B)は、ともに、第1の実施形態に
係る陰極線管の製造装置の他の変形例を示す概略断面で
ある。
【図8】この発明の第2の実施形態に係る陰極線管の製
造方法が用いられた陰極線管の製造装置を示す斜視図で
ある。
【図9】第2の実施形態に係る陰極線管の製造方法を示
す説明図である。
【図10】第2の実施形態に係る陰極線管の製造方法を
示す説明図である。
【図11】第2の実施形態に係る陰極線管の製造方法に
おける第2ステップの詳細を示すフローチャートであ
る。
【符号の説明】
1 陰極線管の製造装置 2 前面ガラス 21 中央面部(塗布面) 2A 中央面部 2B 外周壁 3 保持部(保持手段) 30 旋回部(旋回手段) 4 塗布装置(塗布手段) 5 吐出部 51 小孔 52 空気抜き通路 53 開閉手段 54 吐出管 55 回収タンク 6 移動機構 6A X軸移動部 6B Y軸移動部 6C Z軸移動部 7 供給機構 71 供給タンク 72 ポンプ 73 流量調整弁 74 供給管 75 循環路 8 蛍光体スラリー 81 塗布膜
フロントページの続き (72)発明者 三谷 眞人 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 松田 直子 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 中 裕之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AC06 AC08 AC09 AC64 AC73 AC78 AC88 AC91 AC93 AC96 BB14Y BB14Z BB42Z BB46Z CA01 CA47 CB09 DA19 DB13 DC19 DC24 EA10 EB19 EC11 4F041 AA05 AA17 AB02 BA07 BA13 BA22 BA56 5C028 HH04

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗布面を水平方向から傾けて保持する工
    程と、 この傾斜した塗布面に沿って下から上へ向かい塗布液を
    塗布する工程とを有することを特徴とする液体塗布方
    法。
  2. 【請求項2】 塗布面を水平方向から傾けて保持する工
    程と、 この傾斜した塗布面に沿って、前記傾斜方向と直角方向
    に水平に塗布液を塗布する工程とを有することを特徴と
    する液体塗布方法。
  3. 【請求項3】 連続する一連の塗布工程では、重ねて塗
    布する部位を設けないことを特徴とする請求項1又は2
    に記載の液体塗布方法。
  4. 【請求項4】 塗布液を塗布する工程では、この塗布液
    の粘度に応じて塗布手段と塗布面の距離を制御し、粘度
    が高まるにつれて距離を短くすることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか1項に記載の液体塗布方法。
  5. 【請求項5】 所定の塗布部位の一部を塗布した後、塗
    布面を旋回させる工程を有することを特徴とする請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の液体塗布方法。
  6. 【請求項6】 塗布面を水平方向から傾けて保持する保
    持手段と、 この傾斜した塗布面に塗布液を塗布する塗布手段と、 この塗布手段と塗布面との相対位置関係を制御する制御
    装置とを有することを特徴とする液体塗布装置。
  7. 【請求項7】 塗布面を旋回させる旋回手段を有するこ
    とを特徴とする請求項6に記載の液体塗布装置。
  8. 【請求項8】 陰極線管の前面ガラス内面に請求項1〜
    5のいずれか1項に記載の方法により蛍光体を塗布する
    工程と、 この蛍光体が塗布された前面ガラスを露光する工程と、 この露光された前面ガラスを現像処理する工程とを有す
    ることを特徴とする陰極線管の製造方法。
  9. 【請求項9】 蛍光体の粘度をxmPa・s、塗布手段
    と塗布面との距離をymmとすると、x・yの値が10
    00以下であることを特徴とする請求項8に記載の陰極
    線管の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記前面ガラス面内の塗布面の傾斜角
    度が3から10度であることを特徴とする請求項8又は
    9に記載の陰極線管の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記塗布液の粘度がxmPa・sであ
    って、前記塗布面のうちz%を塗布したときに、対粘度
    面積比が z/x≧2.4 を満したところで塗布面を旋回させる工程を有すること
    を特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の
    陰極線管の製造方法。
  12. 【請求項12】 陰極線管の前面ガラス面内に蛍光体を
    塗布する請求項6〜9のいずれか1項に記載の液体塗布
    装置と、 前記蛍光体が塗布された前面ガラスを露光する露光装置
    と、 この露光された前面ガラスを現像処理する現像装置とを
    備えたことを特徴とする陰極線管の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101854103B1 (ko) 2016-03-24 2018-05-02 쥬가이로 고교 가부시키가이샤 곡면 기재로의 도포액의 도포 장치 및 도포 방법

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