JP2003070848A - 電動車椅子の制御装置 - Google Patents

電動車椅子の制御装置

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JP2003070848A
JP2003070848A JP2001262341A JP2001262341A JP2003070848A JP 2003070848 A JP2003070848 A JP 2003070848A JP 2001262341 A JP2001262341 A JP 2001262341A JP 2001262341 A JP2001262341 A JP 2001262341A JP 2003070848 A JP2003070848 A JP 2003070848A
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JP
Japan
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straight
traveling
controller
electric wheelchair
value
Prior art date
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Application number
JP2001262341A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Ono
宏行 小野
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Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
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  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な直進性を得ることのできる電動車椅子
の制御装置を提供する。 【解決手段】 コントローラ20は、直進制御距離St
rKyoriL,StrKyoriRを用いて直進補正
値Strを算出するに際し、直進制御距離StrKyo
riL,StrKyoriR算出の基準値となる直進補
正基準値baseL,baseRを所定時間毎に更新す
ることにより、直進制御距離StrKyoriL,St
rKyoriRが外乱等の影響を受けることを低減す
る。この場合、直進補正値Strが所定の補正値範囲外
であるとの判定時には直進補正基準値baseL,ba
seRの更新を行わないことにより、直進補正基準値b
aseL,baseRの更新によって直進補正値Str
が大きく変動することを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、左右の駆動輪が個
別の電動モータによって駆動される電動車椅子の制御装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電動車椅子においては、一対の
電動モータを有し、各電動モータによって左右の駆動輪
を夫々独立して駆動制御することにより、直進走行や旋
回走行等を実現する方式のものが広く採用されている。
この種の電動車椅子の制御において、各電動モータに対
する指示速度は実際の走行状態を用いてフィードバック
制御されることが一般的であり、例えば特開平11−1
88065号公報には、実際の旋回角速度が旋回指令値
に等しくなるよう比例積分制御を行うとともに、実際の
重心速度が重心速度指令値に等しくなるよう比例積分制
御を行い、これらの結果を用いて左右駆動輪の速度指令
値を算出する技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
特開平11−188065号公報に開示された技術のよ
うに、単に走行状態に基づくフィードバック制御を繰り
返し実行するだけの制御では、旋回走行から直進走行に
切り替わった直後に、旋回走行時の状態がフィードバッ
ク制御に強く影響されて良好な直進性を得ることが困難
な場合がある。また、特に補助駆動装置が車椅子本体に
着脱自在に装着されて構成された電動車椅子においては
左右駆動輪のトレッド幅が狭くしかも駆動輪径が小さい
ため、路面の凹凸等の外乱によって走行状態の検出に誤
差が生じ易く、このような検出誤差が継続してフィード
バックされた場合、良好な直進性を得ることが困難な場
合がある。
【0004】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、良好な直進性を得ることのできる電動車椅子の制御
装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1記載の発明は、左右駆動輪を個別に駆動す
る一対の電動モータに対するモータ指示速度を、ユーザ
ーによって操作された操作スイッチの直進方向及び旋回
方向への操作量に基づいてそれぞれ算出し、上記各電動
モータを駆動制御する電動車椅子の制御装置において、
直進走行時の左右駆動輪の走行距離を算出する走行距離
算出手段と、上記左右駆動輪の走行距離の差に基づいて
左右の上記モータ指示速度に対する直進補正値を算出し
て上記モータ指示速度を直進補正する直進補正手段と、
上記左右駆動輪の走行距離を算出するための基準値を設
定時間毎に更新する基準値更新手段とを備えたことを特
徴とする。
【0006】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の発明において、上記基準値更新手段は、上記直進補
正値による補正量が所定量を超えているとき上記基準値
の更新を行わないことを特徴とする。
【0007】また、請求項3記載の発明は、請求項1ま
たは請求項2記載の発明において、上記各モータ指示速
度を少なくとも各車輪速の積分成分を用いてフィードバ
ック制御するフィードバック制御手段と、直進走行時に
上記車輪速の積分成分を補正する積分成分補正手段とを
備えたことを特徴とする。
【0008】また、請求項4記載の発明は、左右駆動輪
を個別に駆動する一対の電動モータに対するモータ指示
速度を、ユーザーによって操作された操作スイッチの直
進方向及び旋回方向への操作量に基づいてそれぞれ算出
し、上記電動モータを駆動制御する電動車椅子の制御装
置において、上記各モータ指示速度を少なくとも各車輪
速の積分成分を用いてフィードバック制御するフィード
バック制御手段と、直進走行時に上記車輪速の積分成分
を補正する積分成分補正手段とを備えたことを特徴とす
る。
【0009】また、請求項5記載の発明は、請求項3ま
たは請求項4記載の発明において、上記積分成分補正手
段は、直進走行開始直後の積分成分を左右で逆転補正す
ることを特徴とする。
【0010】また、請求項6記載の発明は、請求項5記
載の発明において、上記積分成分補正手段は、直進走行
開始から所定時間後の積分成分を左右で平均化すること
を特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図面は本発明の実施の一形態に係
わり、図1は電動車椅子の概略構成図、図2は動力制御
システムの構成図、図3は全体制御ルーチンのフローチ
ャート、図4はジョイスティック信号処理ルーチンのフ
ローチャート、図5は直進補正制御ルーチンのフローチ
ャート、図6は通常制動時デューティ比算出ルーチンの
フローチャート、図7は旋回制動時デューティ比算出ル
ーチンのフローチャート、図8は直進指示速度信号リミ
ッタ値の算出方法を示す説明図、である。
【0012】図1において、符号1は電動車椅子を示
す。本実施の形態において、電動車椅子1は、既存の折
り畳み式手動車椅子本体2に、補助駆動装置3が着脱自
在に装着されて要部が構成されている。
【0013】車椅子本体2は、左右両側で略対称のパイ
プ枠状のフレーム5が、左右一対のキャスタ6と車輪7
とで前後部を支持されて要部が構成されている。
【0014】フレーム5は、キャスタ6及び車輪7が回
動自在に取付けられたメインフレームパイプ5aと、メ
インフレームパイプ5aの中途から前方に延出されたシ
ートフレームパイプ5bと、シートフレームパイプ5b
よりも上方でメインフレームパイプ5aから前方に延出
されたアームレストパイプ5cと、シートフレームパイ
プ5b及びアームレストパイプ5cの前端をメインフレ
ームパイプ5aと一体的に連結するステー5dとを備え
て構成されている。また、メインフレームパイプ5aの
上端は後方に折曲され、この部分が介助者用のグリップ
5eとして形成されている。
【0015】補助駆動装置3は、例えば油圧シリンダ等
を有して構成されたクランプ機構(図示せず)が左右の
メインフレームパイプ5aに圧着されることで車椅子本
体2に装着されるもので、左右の駆動輪10L,10R
と、その前方に配設された単一のキャスタ11とを備え
て構成されている。
【0016】左右の駆動輪10L,10Rは、図2の内
蔵コントローラ20によって個別に駆動制御され、これ
により、補助駆動装置3は、車椅子本体2の前後進動
作、旋回動作、及び、停止動作等を可能とする。
【0017】具体的には、図2に示すように、コントロ
ーラ20には、左右の駆動輪10L,10Rをそれぞれ
独立して駆動するための電動モータ19L,19Rが接
続されている。
【0018】また、コントローラ20には、左右の駆動
輪10L,10Rの回転を検出するためのロータリエン
コーダ13L,13Rと、電動車椅子1の回転角速度
(ヨーレート)を検出するための角速度センサ(ヨーレ
ートセンサ)14と、ユーザーによって操作スイッチと
してのジョイスティック15が操作された際に当該ジョ
イスティック15の前後方向(X軸方向)の操作量を示
す倒れ角信号xと左右方向(Y軸方向)の操作量を示す
傾れ角信号yをそれぞれ検出するポテンションメータ1
5a,15bとが接続されている。そして、コントロー
ラ20は、各入力信号に基づいて左右の電動モータ19
L,19Rに対するデューティ比を算出し、これらに基
づくPWM制御(パルスワイドモジュレータ制御)を行
う。
【0019】尚、図1に示すように、ジョイスティック
15はアームレストパイプ5cに固設され、ポテンショ
ンメータ15a,15bからの信号はケーブルを介して
コントローラ20に入力されるようになっている。ま
た、ロータリエンコーダ13L,13R、及び、角速度
センサ14は、補助駆動装置3に内蔵されている。
【0020】コントローラ20は、本発明に係る走行距
離算出手段、直進補正手段、基準値更新手段、フィード
バック手段、積分成分補正手段の機能を有し、具体的に
は、図3乃至7に示すルーチンによって各手段の機能を
実現する。以下、コントローラ20によって実行される
補助駆動装置3の制御に係わる処理について、図3乃至
図7のフローチャートを用いて説明する。
【0021】図3は、図示しないメインスイッチがON
されてスタートする全体制御ルーチンである。このルー
チンは、所定時間毎(例えば8msec毎)に実行され
るもので、コントローラ20は、先ず、ステップS10
1において、各種スイッチ・センサ類からの信号を読み
込む。具体的には、コントローラ20は、ロータリエン
コーダ13L,13Rからの出力パルス、角速度センサ
14からの角速度(ヨーレート)信号Yaw、ポテンシ
ョンメータ15a,15bからの倒れ角信号x,y等を
読み込む。この場合、ヨーレート信号Yawは、右旋回
のヨーレートが検出された際に正の値を示し、左旋回の
ヨーレートが検出された際に負の値を示す。また、直進
方向倒れ角信号xは、ジョイスティック15が前方に傾
倒された際に正の値を示し、後方に傾倒された際に負の
値を示す。また、旋回方向倒れ角信号yは、ジョイステ
ィック15が右方向に傾倒された際に正の値を示し、左
方向に傾倒された際に負の値を示す。
【0022】続くステップS102において、コントロ
ーラ20は、ロータリエンコーダ13L,13R、及
び、ポテンションメータ15a,15bからの信号に基
づき、後述するジョイスティック信号処理ルーチンに従
って、直進指示速度信号Spd及び旋回指示速度信号R
otを算出する。ここで、直進指示速度信号Spdは、
正の値であるとき補助駆動装置3(すなわち、電動車椅
子1)の前進を指示し、負の値であるとき補助駆動装置
3の後進を指示するものである。また、旋回指示速度信
号Rotは、正の値であるとき補助駆動装置3の右旋回
を指示し、負の値であるとき補助駆動装置3の左旋回を
指示するものである。
【0023】ステップS102からステップS103に
進むと、コントローラ20は、ステップS102で算出
した直進指示速度信号Spd及び旋回指示速度信号Ro
tがともに”0”であるか否かを調べる。そして、ステ
ップS103において直進指示速度信号Spd或いは旋
回指示速度信号Rotの少なくとも何れか一方が”0”
でないと判定されると、コントローラ20は、ステップ
S104以降の処理により補助駆動装置3の走行制御を
行う。一方、ステップS103において直進指示速度信
号Spd及び旋回指示速度信号Rotがともに”0”で
あると判定された場合には、コントローラ20はステッ
プS111以降の処理により補助駆動装置3の制動制御
を行う。
【0024】ステップS103からステップS104に
進むと、コントローラ20は、旋回指示速度信号Rot
が”0”であるか否かを調べる。
【0025】そして、ステップS104において旋回指
示速度信号Rotが”0”であると判定されると、コン
トローラ20は、補助駆動装置3の直進制御を行うべ
く、ステップS105に進み、後述する直進補正制御ル
ーチンに従って直進補正値Strを算出する。その後、
コントローラ20は、ステップS106に進み、 SpdL=Spd+Str …(1) SpdR=Spd−Str …(2) によって、左右のモータ指示速度SpdL,SpdRを
設定する。すなわち、直進制御時において、コントロー
ラ20は、ジョイスティック15からの信号に基づいて
算出された左右のモータ指示速度(=Spd)を直進補
正値Strで補正することにより、最終的なモータ指示
速度SpdL,SpdRを設定する。この場合、(1)
(2)式からも明らかなように、直進補正値Strは、
正の値であるとき左側電動モータ19Lのモータ指示速
度SpdLを増加補正し、負の値であるとき右側電動モ
ータ19Rのモータ指示速度SpdRを増加補正する。
【0026】一方、ステップS104において旋回指示
速度信号Rotが”0”でないと判定された場合には、
コントローラ20は、ステップS107の処理に進み、 SpdL=Spd+Rot …(3) SpdR=Spd−Rot …(4) によって、左右のモータ指示速度SpdL,SpdRを
算出する。
【0027】ステップS106或いはステップS107
からステップS108に進むと、コントローラ20は、
ロータリエンコーダ13L,13Rからの出力パルスか
ら算出した左右駆動輪速VelL,VelRに基づい
て、左右のモータ指示速度SpdL,SpdRに対する
フィードバック(PID)制御を行う。すなわち、コン
トローラ20は、左側電動モータ19Lの速度の比例成
分LP、積分成分LI、微分成分LDを、 LP=SpdL−VelL …(5) LI=LIf+LP …(6) LD=LPf−LP …(7) によって算出するとともに、右側電動モータ19Rの速
度の比例成分RP、積分成分RI、微分成分RDを、 RP=SpdR−VelR …(8) RI=RIf+RP …(9) RD=RPf−RP …(10) によって算出する。なお、LPf及びRPfは前回の比
例成分を表し、LIf及びRIfは前回の積分成分を表
す。
【0028】そして、コントローラ20は、ステップS
109の処理に進み、左右の電動モータ19L,19R
に対するデューティ比DutyL,DutyRを、 DutyL= LP・GeinP+LI・GeinI+LD・GeinD …(11) DutyR= RP・GeinP+RI・GeinI+RD・GeinD …(12) によって算出する。ここで、GeinP、GeinI、
及び、GeinDは、予め設定されたゲイン定数であ
る。
【0029】続くステップS110において、コントロ
ーラ20は、左右のデューティ比DutyL,Duty
Rに基づいて、電動モータ19L,19RのPWM制御
を行った後、ルーチンを抜ける。
【0030】一方、ステップS103からステップS1
11に進むと、コントローラ20は、左右駆動輪速Ve
lL,VelRがともに正の値であるか否か、或いは、
左右駆動輪速VelL,VelRがともに負の値である
か否かを調べることにより、補助駆動装置3が通常走行
状態であるか否かを調べる。ここで、通常走行状態と
は、補助駆動装置3が、直進走行状態、或いは、微小な
旋回を行いながらの走行状態にある場合を指す。
【0031】そして、ステップS111において補助駆
動装置3が通常走行状態にあると判定されると、コント
ローラ20は、ステップS112に進み、後述する通常
制動時デューティ比算出ルーチンに従って通常制動時に
おける左右の電動モータ19L,19Rに対するデュー
ティ比DutyL,DutyRを算出する。
【0032】一方、ステップS111において補助駆動
装置3が通常走行状態ではないと判定されてステップS
113に進むと、コントローラ20は、左右駆動輪速V
elL,VelRが所定速度以上であって且つ互いに逆
方向の速度成分を有するか否かを調べることにより、補
助駆動装置3が旋回状態にあるか否かを調べる。ここ
で、ステップS113で判定される旋回状態とは、定置
旋回等のように左右の駆動輪が互いに逆方向に駆動され
る旋回状態である。
【0033】そして、ステップS113において補助駆
動装置3が旋回状態にあると判定された場合には、コン
トローラ20は、ステップS114に進み、後述する旋
回制動時デューティ比算出ルーチンに従って旋回制動時
における左右の電動モータ19L,19Rに対するデュ
ーティ比DutyL,DutyRを算出する。
【0034】ステップS112或いはステップS114
で制動時におけるデューティ比DutyL,DutyR
が算出されると、コントローラ20は、ステップS11
5に進み、左側電動モータ19Lに対するデューティ比
DutyLとこのデューティ比DutyLのリミッタ値
±Brakeとを比較する。すなわち、ステップS11
5において、コントローラ20は、デューティ比Dut
yLが、−Brake<DutyL<Brakeである
か否かを調べる。
【0035】そして、ステップS115においてデュー
ティ比DutyLがリミッタ値±Brakeの範囲外に
あると判定されると、コントローラ20は、ステップS
112或いはステップS114で算出されたデューティ
比DutyLをそのまま維持してステップS119の処
理に進む。
【0036】一方、ステップS115においてデューテ
ィ比DutyLがリミッタ値±Brakeの範囲内にあ
ると判定されると、コントローラ20は、ステップS1
16においてデューティ比DutyLの正負を調べ、デ
ューティ比DutyLが負の値である場合にはその値を
−Brakeに再設定し(ステップS117)、デュー
ティ比DutyLが正の値である場合にはその値をBr
akeに再設定した後(ステップS118)、ステップ
S119に進む。
【0037】同様に、ステップS119において、コン
トローラ20は、右側電動モータ19Rに対するデュー
ティ比が−Brake<DutyR<Brakeである
か否かを調べる。そして、ステップS119においてデ
ューティ比DutyRがリミッタ値±Brakeの範囲
外にあると判定されると、コントローラ20は、ステッ
プS112或いはステップS114で算出されたデュー
ティ比DutyRをそのまま維持してステップS110
の処理に進む。
【0038】一方、ステップS119においてデューテ
ィ比DutyRがリミッタ値±Brakeの範囲内にあ
ると判定されると、コントローラ20は、ステップS1
20においてデューティ比DutyRの正負を調べ、デ
ューティ比DutyRが負の値である場合にはその値を
−Brakeに再設定し(ステップS121)、デュー
ティ比DutyRが正の値である場合にはその値をBr
akeに再設定した後(ステップS122)、ステップ
S110に進む。
【0039】すなわち、コントローラ20は、ステップ
S115〜ステップS118の処理及びステップS11
9〜ステップS122の処理において、ステップS11
2或いはステップS114で算出したデューティ比Du
tyL,DutyRの値に対するリミッタ値±Brak
eを設け、デューティ比DutyL,DutyRの成分
がリミッタ値を下回った場合はデューティ比Duty
L,DutyRをリミッタ値に下限規制することで、効
果的な制動性の維持を図る。
【0040】次に、全体制御ルーチンのステップS10
2における直進指示速度信号Spd及び旋回指示速度信
号Rotの算出は、図4に示すジョイスティック信号処
理ルーチンに従って行われる。この場合、ジョイスティ
ック信号処理ルーチンは、倒れ角信号xに基づいて算出
した1次直進指示速度信号SpdPに対し、補助駆動装
置3の走行状態に基づいて算出した直進指示速度信号の
リミッタ値SpdTによる上限規制を加えて最終的な直
進指示速度信号Spdを設定することにより、補助駆動
装置3の急発進の防止を図るとともに、坂道登坂時等や
加速時等における旋回性の確保を図る。また、ジョイス
ティック信号処理ルーチンは、倒れ角信号yに基づいて
旋回指示速度信号Rotをダイレクトに算出することに
より、旋回時の応答性の向上を図る。
【0041】図4に示すルーチンがスタートすると、コ
ントローラ20は、ステップS201において、ジョイ
スティック15の操作時の微小な動きによるハンチング
を防止するため、所定時間内のサンプリング周期毎に検
出された倒れ角信号x,yを平均化して倒れ角信号X,
Yを算出する。
【0042】続くステップS202において、コントロ
ーラ20は、旋回方向倒れ角信号Yが−Fy≦Y≦Fy
であるかを調べ、−Fy≦Y≦Fyであると判定された
場合には、旋回指示速度信号Rotを”0”に設定する
(ステップS203)。すなわち、±Fyは、ジョイス
ティック15による左右方向(旋回方向)への操作の不
感帯域を規定するためのものであり、旋回方向倒れ角信
号Yが不感帯域内にある場合の旋回指示速度信号Rot
を”0”に設定することにより、ジョイスティック15
操作時の微小なブレやズレによる意図しない旋回を防止
する。
【0043】一方、ステップS202において旋回方向
倒れ角信号Yが±Fyの不感帯域外であると判定される
と、コントローラ20は、ステップS204に進み、旋
回方向倒れ角信号Yが正であるか否かを調べる。
【0044】そして、ステップS204において、旋回
方向倒れ角信号Yが正であると判定された場合には、コ
ントローラ20は、 Rot=RotMax・(Y−Fy)/(YMax−Fy) …(13) によって旋回指示速度信号Rotを設定する(ステップ
S205)。一方、ステップS204において、旋回方
向倒れ角信号Yが負であると判定された場合には、コン
トローラ20は、 Rot=RotMax・(Y+Fy)/(YMax−Fy) …(14) によって旋回指示速度信号Rotを設定する(ステップ
S206)。ここで、(13)(14)式において、R
otMaxは旋回指示速度信号の最大値を示し、YMaxはジ
ョイスティック15のY軸方向への最大倒れ角を示す。
【0045】ステップS203、ステップS205、或
いはステップS206からステップS207に進むと、
コントローラ20は、ステップS211までの処理によ
って1次直進指示速度信号SpdPを算出する。
【0046】すなわち、ステップS207において、コ
ントローラ20は、直進方向倒れ角信号Xが−Fx≦X
≦Fxであるかを調べ、−Fx≦X≦Fxであると判定
された場合には、1次直進指示速度信号SpdPを”
0”に設定する(ステップS208)。すなわち、±F
xは、ジョイスティック15による前後方向(直進方
向)への操作の不感帯域を規定するためのものであり、
直進方向倒れ角信号Xが不感帯域内にある場合の1次直
進指示速度信号SpdPを”0”に設定することによ
り、ジョイスティック15操作の微小なブレやズレによ
る意図しない直進を防止する。
【0047】一方、ステップS207において直進方向
倒れ角信号Xが±Fxの不感帯域外であると判定される
と、コントローラ20は、ステップS209の処理に進
み、直進方向倒れ角信号Xが正であるか否かを調べる。
【0048】そして、ステップS209において、直進
方向倒れ角信号Xが正であると判定された場合には、コ
ントローラ20は、ステップS210に進み、 SpdP=SpdMax・(X−Fx)/(XMax−Fx) …(15) によって1次直進指示速度信号SpdPを設定する。一
方、ステップS209において、直進方向倒れ角信号X
が負であると判定された場合には、コントローラ20
は、ステップS211に進み、 SpdP=SpdMax・(X+Fx)/(XMax−Fx) …(16) によって1次直進指示速度信号SpdPを設定する。こ
こで、(15)(16)式において、SpdMaxは直進
指示速度信号の最大値を示し、XMaxはジョイスティッ
ク15のX軸方向への最大倒れ角を示す。
【0049】ステップS208、ステップS210、或
いはステップS211からステップS212に進むと、
コントローラ20は、ステップS221までの処理によ
って、直進指示速度信号のリミッタ値SpdTを算出す
る。
【0050】ここで、本実施の形態においては、リミッ
タ値SpdTは、図8に示すように、−SpdMaxから
SpdMaxまでの直進指示速度信号領域を例えば前後進
各10段に等分割する速度段SpdStepに基づいて
設定されるようになっている。この場合、前進開始時の
速度段SpdStepの初期値は例えば”1”に設定さ
れ、後進開始時の速度段SpdStepの初期値は例え
ば”−1”に設定される。リミッタ値SpdTの算出時
には、当該リミッタ値SpdTよりも1段低速側の第1
の速度閾値SpdTaと、リミッタ値SpdTよりも2
段低速側の第2の速度閾値SpdTdが設定され、速度
段SpdStepの更新は、左右駆動輪速VelL,V
elRの平均値である補助駆動装置3の実走行速度V
と、第1,第2の速度閾値SpdTa,SpdTdとの
比較により行われる。
【0051】具体的に説明すると、ステップS212に
おいて、コントローラ20は、速度Vの絶対値が第2の
閾値SpdTdの絶対値以下の状態が一定時間(例え
ば、0.5sec)以上継続したか否かを調べる。ここ
で、|V|<|SpdTd|の状態が一定時間以上継続
する場合としては、例えば、ユーザーがジョイスティッ
ク15を中立位置側に戻して減速を試みた場合や、電動
車椅子1が登坂路にさしかかった場合等が考えられる。
【0052】そして、ステップS212において|V|
<|SpdTd|の状態が一定時間以上継続したと判定
された場合には、コントローラ20はステップS213
に進み、速度段SpdStepの絶対値が”2”よりも
小さいか否かを調べる。ステップS212において|S
pdStep|<2であると判定された場合には、コン
トローラ20は、ステップS215に進み、SpdSt
ep>0である場合には速度段SpdStepを”1”
に設定し、SpdStep<0である場合には速度段S
pdStepを”−1”に設定する。一方、ステップS
212において|SpdStep|≧2であると判定さ
れた場合には、コントローラ20は、ステップS214
に進み、速度段SpdStepを1段低速側の値に更新
する。
【0053】一方、ステップS212において|V|<
|SpdStep|の状態が一定時間以上継続していな
いと判定された場合には、ステップS216に進む。ス
テップS216において、コントローラ20は、旋回指
示速度信号Rot=0であり、且つ、速度Vの絶対値が
第1の閾値SpdTaの絶対値以上の状態が一定時間
(例えば、0.5sec)以上継続したか否かを調べ
る。
【0054】そして、ステップS216において、旋回
指示速度信号Rot=0であり、且つ、|V|>|Sp
dTa|の状態が一定時間以上継続したと判定された場
合には、コントローラ20はステップS217に進み、
|SpdStep|<|StepMax|−1であるか否
かを調べる。ステップS217において|SpdSte
p|<|StepMax|−1であると判定された場合に
は、コントローラ20はステップS218に進み、Sp
dStep>0である場合には速度段SpdStepを
StepMax−1に設定し、SpdStep<0である
場合には速度段SpdStepをStepMax+1に設
定する。一方、ステップS217において|SpdSt
ep|≧|StepMax|−1であると判定された場合
には、コントローラ20は、ステップS219に進み、
速度段SpdStepを1段高速側の値に更新する。
【0055】一方、ステップS216において、旋回指
示速度信号Rot≠0との判定、或いは、|V|>|S
pdTa|が一定時間以上継続していないとの判定の少
なくとも何れか一方がなされた場合には、コントローラ
20は、ステップS220に進み、現在の速度段Spd
Stepを維持する。
【0056】ステップS214、ステップS215、ス
テップS218、ステップS219、或いは、ステップ
S220からステップS221に進むと、コントローラ
20は、設定された速度段SpdStepに基づいて、
リミッタ値SpdT、第1の閾値SpdTa、及び、第
2の閾値SpdTdを算出する。
【0057】これらの算出は、速度段SpdStep>
0の場合には、以下の(17)(18)(19)式によ
り算出される。 SpdT= SpdMax・(SpdStep+1)/StepMax …(17) SpdTa= SpdMax・SpdStep/StepMax …(18) SpdTd= SpdMax・(SpdStep−1)/StepMax …(19) 一方、速度段SpdStep<0の場合には、以下の
(20)(21)(22)式により算出される。 SpdT= SpdMax・(SpdStep−1)/StepMax …(20) SpdTa= SpdMax・SpdStep/StepMax …(21) SpdTd= SpdMax・(SpdStep+1)/StepMax …(22) すなわち、図8に示すように、例えば速度段SpdSt
ep=5である場合には、SpdT=6/10・Spd
Max、SpdTa=5/10・SpdMax、SpdTd=
4/10・SpdMaxとなる。
【0058】ステップS221からステップS222に
進むと、コントローラ20は、1次直進指示速度信号S
pdPの絶対値とリミッタ値SpdTの絶対値とを比較
し、|SpdP|<|SpdT|である場合には、最終
的な直進指示速度信号Spdを1次直進指示速度信号S
pdPに設定した後(ステップS223)、ルーチンを
抜ける。一方、|SpdP|≧|SpdT|である場合
には、最終的な直進指示速度信号Spdをリミッタ値S
pdTに設定した後(ステップS224)、ルーチンを
抜ける。
【0059】このように、ジョイスティック信号処理ル
ーチンにおいて、コントローラ20は、所定時間内のサ
ンプリング周期毎に算出された倒れ角信号x,yを平均
化して求めた倒れ角信号X,Yに基づいて直進指示速度
信号Spd及び旋回指示速度信号Rotを算出するの
で、ジョイスティック15の操作時における微少な動き
に起因するハンチング等を防止することができる。
【0060】また、倒れ角信号X,Yに不感帯(±F
x,±Fy)を設けることにより、ユーザーのジョイス
ティック15操作時の微小なブレやひずみによる意図し
ない直進や旋回を防止することができる。
【0061】また、コントローラ20は、補助駆動装置
3(すなわち、電動車椅子1)の実走行速度Vに基づい
てリミッタ値SpdTを設定し、直進方向の倒れ角信号
Xに基づいて算出した直進指示速度信号(1次直進指示
速度信号SpdP)にリミッタ値SpdTによる上限規
制を加えて最終的な直進指示速度信号Spdを設定する
ので、電動車椅子1の急加速等を防止することができ
る。
【0062】従って、ユーザーの熟練を必要とすること
なく急加速等を防止できる等、ジョイスティック15の
操作性を向上することができる。また、1次直進指示速
度信号Spdにリミッタ値SpdTによる上限規制を加
えて最終的な直進指示速度信号Spdを設定すること
は、電動モータ19L,19Rを最大出力で駆動するこ
とで直進してしまうことを防止でき、加速走行時や登坂
路走行時等においても十分な旋回応答性を確保すること
ができる。
【0063】また、コントローラ20は、リミッタ値S
pdTよりも低速側に第1の閾値SpdTaを設定し、
実走行速度Vが第1の閾値SpdTaよりも高速な状態
が一定時間以上継続した場合にリミッタ値SpdTを高
速側にシフトさせるので、電動車椅子1の加速状態がリ
ミッタ値SpdTによって必要以上に制限されることを
防止でき、円滑な加速制御を行うことができる。
【0064】また、コントローラ20は、第1の閾値S
pdTaよりも低速側に第2の閾値SpdTdを設定
し、実走行速度Vが第2の閾値SpdTよりも低速な状
態が一定時間以上継続した場合にリミッタ値SpdTを
低速側にシフトさせるので、登坂路走行時等にリミッタ
値SpdTを緩やかに低速側にシフトさせることがで
き、必要以上の減速を防止できる。
【0065】また、コントローラ20は、旋回指示速度
Rot≠0である場合には、リミッタ値SpdTの高速
側へのシフトを行わず、旋回中の加速を制限するので、
より効果的に旋回応答性を向上させることができる。
【0066】また、コントローラ20は、旋回指示速度
信号Rotを、倒れ角信号Yに基づいてダイレクトに算
出するので、より効果的に旋回応答性を向上させること
ができる。
【0067】次に、全体制御ルーチンのステップS10
5における直進補正制御は、図5に示す直進補正制御ル
ーチンに従って行われる。ここで、コントローラ20で
は、例えば左右駆動輪速VelL,VelRに基づいて
補助駆動装置3の始動時からの左右駆動輪10L,10
Rによる走行距離成分KyoriL,KyoriRが継
続的に算出されており、直進補正制御ルーチンでは、各
走行距離成分KyoriL,KyoriRに基づいて直
進補正値Strの算出を行う。また、直進補正制御ルー
チンでは、旋回走行状態から直進走行状態に切り替わっ
た直後及びS1秒経過後は、全体制御ルーチンのステッ
プS108で算出される速度の積分成分LI,RIを補
正すべく、積分成分LI,RIを別途設定する。この場
合、直進補正制御ルーチンによって積分成分LI,RI
が設定された際には、この設定値を用いて、全体制御ル
ーチンのステップS109におけるデューティ比Dut
yL、DutyRの算出が行われる。
【0068】図5に示すルーチンがスタートすると、コ
ントローラ20は、ステップS301において、今回の
ルーチンが直進走行開始直後の初回のルーチンであるか
否かを調べる。
【0069】そして、ステップS301において、今回
のルーチンが直進走行開始直後のルーチンであると判定
された場合にはステップS302に進み、コントローラ
20は、直進補正値Strを算出に用いられる走行距離
である直進制御距離StrKyoriL,StrKyo
riRを算出するための基準値となる直進補正基準値b
aseL,baseRを設定する。これら直進補正基準
値baseL,baseRには、補助駆動装置3の始動
時から現在までの左右の駆動輪10L,10Rの各走行
距離成分KyoriL,KyoriRが夫々用いられ
る。
【0070】ステップS302からステップS303に
進むと、コントローラ20は、積分成分LI,RIの設
定を行う。これらの積分成分LI,RIは、前回の全体
制御ルーチンにおいて設定された積分成分LIf,RI
fを用いて設定されるもので、 LI=RIf/HoseiS …(23) RI=LIf/HoseiS …(24) により設定される。なお、HoseiSは、Hosei
S≧1に設定される定数である。すなわち、旋回走行状
態から直進走行状態に切り替わった直後において、旋回
走行時の旋回モーメントが強く残って直進補正の応答性
が低下することを防止するため、コントローラ20は、
直進走行に切り替わった直後には、PID制御の積分成
分を左右で交換して逆転補正する。
【0071】一方、ステップS301において、直進走
行開始直後ではないと判定されると、コントローラ20
は、ステップS304に進み、今回のルーチンが直進走
行開始からS1秒(例えば、0.5sec)経過時のも
のであるか否かを調べる。
【0072】そして、ステップS304において、今回
のルーチンが直進走行開始からS1秒経過時のものであ
ると判定された場合には、コントローラ20は、ステッ
プS305に進み、直進補正基準値baseL,bas
eRを更新する。これら直進補正基準値baseL,b
aseRには、補助駆動装置3の始動時から現在までの
左右の駆動輪10L,10Rの各走行距離成分Kyor
iL,KyoriRが夫々用いられる。
【0073】ステップS305からステップS306に
進むと、コントローラ20は、積分成分LI,RIの設
定を行う。これらの積分成分LI,RIは、前回の全体
制御ルーチンにおいて設定された積分成分LIf,RI
fを用いて設定されるもので、 LI=RI=(LIf+RIf)/2 …(25) により設定される。すなわち、コントローラ20は、直
進開始からS1秒経過後に左右の積分成分LI,RIを
平均化して均等に補正することで、初回に逆転補正して
設定した積分成分LI,RIが以降のPID制御に必要
以上に影響することを防止する。
【0074】一方、ステップS304において、今回の
ルーチンが直進開始からS1秒経過時のものではないと
判定された場合には、コントローラ20は、ステップS
307に進み、今回のルーチンが直進補正基準値bas
eL,baseRを更新してからS2秒(例えば、0.
5sec)経過時のものであるか否かを調べる。
【0075】そして、ステップS307において、今回
のルーチンが直進補正基準値baseL,baseRを
更新してからS2秒経過時のものであると判定された場
合には、コントローラ20は、ステップS308に進
み、前回設定された直進補正値Strが所定の補正値範
囲内(−HoseiM<Str<HoseiM)である
か否かを調べる。
【0076】ここで、直進補正値Strが所定の補正値
範囲外にある場合とは比較的大幅な直進補正が行われて
いる場合であり、このように大幅な直進補正が行われて
いる最中に直進補正値Str設定の基となる直進補正基
準値baseL,baseRを更新することは、直進性
を維持する上で好ましくない。そこで、ステップS30
8において直進補正値Strが所定の補正値範囲外であ
ると判定された場合には、コントローラ20は、ステッ
プS309に進み、直進補正基準値baseL,bas
eRの更新を行うことなく、現在の値をそのまま再設定
する。
【0077】一方、ステップS308において直進補正
値Strが所定の補正値範囲内にあると判定された場合
には、コントローラ20は、ステップS310に進み、
直進補正基準値baseL,baseRを更新する。こ
れら直進補正基準値baseL,baseRには、補助
駆動装置3の始動時から現在までの左右の駆動輪10
L,10Rの各走行距離成分KyoriL,Kyori
Rが夫々用いられる。
【0078】ステップS303、ステップS306、ス
テップS307、ステップS309、或いはステップS
310からステップS311に進むと、コントローラ2
0は、現在の左右駆動輪10L,10Rの各走行距離成
分KyoriL,KyoriRと直進補正基準値bas
eL,baseRとの差を夫々算出し、これらの値を直
進制御距離StrKyoriL,StrKyoriRと
して夫々設定する。
【0079】ステップS311からステップS312に
進むと、コントローラ20は、直進指示速度信号Spd
の正負を調べ、直進指示速度信号Spdが正の値である
と判定された場合には、 StrGein=Spd・StrGeinF …(26) によって、直進補正ゲイン定数StrGein(前進
時)を算出する(ステップS313)。一方、ステップ
S311において直進指示速度信号Spdが負の値であ
ると判定された場合には、 StrGein=−Spd・StrGeinB …(27) によって、直進補正ゲイン定数StrGein(後進
時)を算出する(ステップS314)。
【0080】そして、ステップS313或いはステップ
S314からステップS315に進むと、コントローラ
20は、Str= (StrKyoriR−StrKyoriL)・StrGein …(28) によって直進補正値Strを算出した後、ルーチンを抜
ける。
【0081】このように、直進補正制御ルーチンにおい
て、コントローラ20は、直進制御距離StrKyor
iL,StrKyoriRを用いて直進補正値Strを
算出するに際し、直進制御距離StrKyoriL,S
trKyoriR算出の基準値となる直進補正基準値b
aseL,baseRを所定時間毎に更新することによ
り、直進制御距離StrKyoriL,StrKyor
iRが外乱等に強く影響されることを防止することがで
き、適切な直進補正値Strを算出することができる。
この場合、直進補正値Strが所定の補正値範囲外であ
るとの判定時には直進補正基準値baseL,base
Rの更新を行わないことにより、直進補正基準値bas
eL,baseRの更新によって直進補正値Strが大
きく変動することを防止して良好な直進制御性を得るこ
とができる。
【0082】また、コントローラ20は、旋回制御から
直進制御に切り替わった直後のPID制御において急激
に変化しにくい積分成分LI,RIを逆転補正すること
により、旋回走行時の旋回モーメントが強く残ってしま
うことを防止でき、直進走行状態への切り替わりの応答
性を向上することができる。さらに、直進走行開始から
S1秒後の積分成分LI,RIを平均化することによ
り、逆転補正して設定した積分成分LI,RIが以降の
PID制御に必要以上に影響することを防止することが
できる。
【0083】次に、全体制御ルーチンのステップS11
2における通常制動時の左右電動モータ19L,19R
に対するデューティ比DutyL,DutyRの算出
は、図6に示す通常制動時デューティ比算出ルーチンに
従って行われる。
【0084】図6に示すルーチンがスタートすると、コ
ントローラ20は、ステップS401において、今回の
ルーチンが制動開始直後の初回のルーチンであるか否か
を調べる。
【0085】そして、ステップS401において今回の
ルーチンが制動開始直後の初回のルーチンであると判定
された場合には、コントローラ20は、ステップS40
2に進み、積分成分LI,RIを”0”に再設定した
後、ステップS403に進む。すなわち、コントローラ
20は、ステップS402において、前回の走行制御時
に全体制御ルーチンのステップS105或いはステップ
S108において設定したフィードバック制御の積分成
分を”0”とすることにより、制動動作の応答性の向上
を図る。換言すれば、フィードバック制御において、急
激に変化しにくい積分成分LI,RIを”0”とするこ
とにより、制動動作の応答性の向上を図る。
【0086】一方、ステップS401において、今回の
ルーチンが制動開始直後の初回のルーチンではないと判
定された場合には、コントローラ20は、そのままステ
ップS403の処理に進む。
【0087】ステップS401或いはステップS402
からステップS403に進むと、コントローラ20は、
左右のモータ指示速度SpdL,SpdRを”0”に設
定し、ステップS404において、左右駆動輪速Vel
L,VelRに基づいて、左右のモータ指示速度Spd
L,SpdRに対するフィードバック(PID)制御を
行う。なお、ステップS404において行われるPID
制御は、上述の(5)〜(10)式を用いて行われるも
のである。
【0088】そして、ステップS404からステップS
405に進むと、コントローラ20は、上述の(11)
(12)式を用いて左右の電動モータ19L,19Rに
対するデューティ比DutyL,DutyRを算出した
後、ルーチンを抜ける。
【0089】次に、全体制御ルーチンのステップS11
4における旋回制動時の左右電動モータ19L,19R
に対するデューティ比DutyL,DutyRの算出
は、図7に示す旋回制動時デューティ比算出ルーチンに
従って行われる。旋回制動時デューティ比算出ルーチン
は、旋回走行状態から制動状態に移行した際に駆動輪1
0L,10Rのスリップ等に起因して電動車椅子1がオ
ーバーシュート気味に制動されることを防止するため、
電動車椅子1の旋回方向の成分をキャンセルするための
ものである。従って、本ルーチンにおいては、左右駆動
輪速VelL,VelRを用いたフィードバック(PI
D)制御に代えて、電動車椅子1のヨーレートYawを
用いたフィードバック(P)制御によってヨーレートの
比例成分LPy,RPyを算出し、これらの比例成分L
Py,RPyを用いてデューティ比DutyL,Dut
yRを算出する。なお、制動時において旋回方向の成分
が微小となった際には、全体制御ルーチンにおけるステ
ップS111の判定によって、上述の通常制動時デュー
ティ比算出ルーチンが実行される。
【0090】図7に示すルーチンがスタートすると、コ
ントローラ20は、ステップS501において、左右の
車輪速に基づくフィードバック制御の比例成分LP,R
P、積分成分LI,RI、及び微分成分LD,RDを”
0”に設定し、続くステップS502において、左右の
モータ指示速度SpdL,SpdRを”0”に設定した
後、ステップS503に進む。
【0091】そして、コントローラ20は、ステップS
503において、目標角速度YawTを”0”に設定
し、ステップS504において、ヨーレート(角速度)
Yawに基づくフィードバック制御の比例成分LPy,
RPyを LPy=YawT−Yaw …(29) RPy=YawT+Yaw …(30) によって算出する。この場合、ステップS503におい
て目標角速度YawTが”0”に設定されているため、
LPy=−Yaw、RPy=Yawとなる。
【0092】ステップS504からステップS505に
進むと、コントローラ20は、左右の電動モータ19
L,19Rに対するデューティ比DutyL,Duty
Rを、 DutyL=LPy・GeinY …(31) DutyR=RPy・GeinY …(32) によって算出した後、ルーチンを抜ける。ここで、Ge
inYは、予め設定されたゲイン定数である。
【0093】このように、定置旋回状態等の旋回状態か
らの制動制御を行う際には、コントローラ20は、旋回
制動時デューティ比算出ルーチンを実行し、ヨーレート
Yawに基づくフィードバック制御を行って電動車椅子
1の旋回方向の成分をキャンセルすることにより、左右
駆動輪10L,10Rのスリップ等を防止することがで
き、電動車椅子1がオーバーシュート気味に移動するこ
とを防止できる。
【0094】そして、旋回方向の成分が微小となった際
には、コントローラ20は、通常制動時デューティ比算
出ルーチンを実行し、左右駆動輪速VelL,VelR
に基づくフィードバック制御を行うことにより、確実な
制動性を得ることができる。
【0095】なお、上述の実施の形態においては、電動
車椅子の一例として既存の折り畳み式の手動車椅子本体
に補助駆動装置が着脱自在に装着された電動車椅子につ
いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではな
く、例えば、車椅子本体の左右輪が電動モータによって
それぞれ駆動される構成の電動車椅子に上述の制御を適
用することも可能である。
【0096】また、上述の実施の形態において操作スイ
ッチはジョイスティックに限定されるものではなく、例
えば、スロットルレバーを有するハンドル等であっても
よい。
【0097】また、上述の実施の形態においてヨーレー
トYawの検出は、角速度センサを用いたものに限定さ
れるものではなく、例えば、ロータリエンコーダ等を用
いて検出された左右駆動輪速の差をヨーレートとして代
用することも可能である。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、良
好な直進性を得ることのできる電動車椅子の制御装置を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動車椅子の概略構成図
【図2】動力制御システムの構成図
【図3】全体制御ルーチンのフローチャート
【図4】ジョイスティック信号処理ルーチンのフローチ
ャート
【図5】直進補正制御ルーチンのフローチャート
【図6】通常制動時デューティ比算出ルーチンのフロー
チャート
【図7】旋回制動時デューティ比算出ルーチンのフロー
チャート
【図8】直進指示速度信号リミッタ値の算出方法を示す
説明図
【符号の説明】
1 … 電動車椅子 10L … 左側駆動輪 10R … 右側駆動輪 15 … ジョイスティック(操作スイッチ) 20 … コントローラ(走行距離算出手段、直進補正
手段、基準値更新手段 、フィードバック手段、積分成分補正手段) 19L … 左側電動モータ 19R … 右側電動モータ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右駆動輪を個別に駆動する一対の電動
    モータに対するモータ指示速度を、ユーザーによって操
    作された操作スイッチの直進方向及び旋回方向への操作
    量に基づいてそれぞれ算出し、上記各電動モータを駆動
    制御する電動車椅子の制御装置において、 直進走行時に左右駆動輪の走行距離を算出する走行距離
    算出手段と、 上記左右駆動輪の走行距離の差に基づいて左右の上記モ
    ータ指示速度に対する直進補正値を算出して上記モータ
    指示速度を直進補正する直進補正手段と、 上記左右駆動輪の走行距離を算出するための基準値を設
    定時間毎に更新する基準値更新手段とを備えたことを特
    徴とする電動車椅子の制御装置。
  2. 【請求項2】 上記基準値更新手段は、上記直進補正値
    による補正量が所定量を超えているとき上記基準値の更
    新を行わないことを特徴とする請求項1記載の電動車椅
    子の制御装置。
  3. 【請求項3】 上記各モータ指示速度を少なくとも各車
    輪速の積分成分を用いてフィードバック制御するフィー
    ドバック制御手段と、 直進走行時に上記車輪速の積分成分を補正する積分成分
    補正手段とを備えたことを特徴とする請求項1または請
    求項2記載の電動車椅子の制御装置。
  4. 【請求項4】 左右駆動輪を個別に駆動する一対の電動
    モータに対するモータ指示速度をユーザーによって操作
    された操作スイッチの直進方向及び旋回方向への操作量
    に基づいてそれぞれ算出し、上記電動モータを駆動制御
    する電動車椅子の制御装置において、 上記各モータ指示速度を少なくとも各車輪速の積分成分
    を用いてフィードバック制御するフィードバック制御手
    段と、 直進走行時に上記車輪速の積分成分を補正する積分成分
    補正手段とを備えたことを特徴とする電動車椅子の制御
    装置。
  5. 【請求項5】 上記積分成分補正手段は、直進走行開始
    直後の積分成分を左右で逆転補正することを特徴とする
    請求項3または請求項4記載の電動車椅子の制御装置。
  6. 【請求項6】 上記積分成分補正手段は、直進走行開始
    から所定時間後の積分成分を左右で平均化することを特
    徴とする請求項5記載の電動車椅子の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019193750A (ja) * 2018-05-02 2019-11-07 Rt.ワークス株式会社 手押し車
CN114041934A (zh) * 2021-10-25 2022-02-15 中国科学院自动化研究所 一种电动轮椅的控制方法及控制器

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