JP2003070350A - きのこの人工培養基およびそれを用いたきのこの人工栽培方法 - Google Patents

きのこの人工培養基およびそれを用いたきのこの人工栽培方法

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実 盛岡
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光男 高橋
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雅弘 城石
Kenichi Nishizawa
賢一 西澤
Rikiya Tokoo
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Denki Kagaku Kogyo KK
Nagano Ken Noson Kogyo Research Institute
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 きのこを大量に連続栽培するには、収率も低
く、かつ、栽培期間がかなり長いため、その生産コスト
は安価とは言えず、生産性の改善が切望されている菌床
人工栽培において、きのこを高収率で得ることが可能と
なるきのこの人工培養基及びそれを用いたきのこの人工
栽培方法を提供すること。 【解決手段】 石灰類とポゾラン反応性物質を含有して
なるきのこの人工培養基、石灰類とポゾラン反応性物質
を含有してなるきのこの人工培養基を用いてなるきのこ
の人工栽培方法を構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、きのこの人工培養
基及びそれを用いたきのこの人工栽培方法に関する。な
お、本発明でいう部や%は特に規定のないかぎり質量基
準である。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来、きのこの栽培は、くぬ
ぎ、ぶな、及びならなどの原木を利用したほだ木栽培が
ほとんどであり、そのため気象条件により収穫が左右さ
れることが多い。また、最近では、ほだ木栽培用の原木
の切り出しのための労働力が不足していることなどによ
って、原木の入手が困難になりつつある。さらに、ほだ
木栽培では栽培期間が長いこと、即ち、種菌の接種から
きのこの収穫までに1年半〜2年も要するので、生産コ
ストが相当高くつくのが現状である。
【0003】近年、えのきたけ、ひらたけ、なめこ、及
びしいたけなどは、鋸屑に米糠を配合した人工培養基を
用い、瓶又は箱で培養を行う菌床人工栽培方法が確立さ
れ、一年を通じて、四季に関係なく安定してこれらのき
のこが収穫できるようになっている。即ち、農家での副
業的性格が強く、小規模生産に頼っていた従来のきのこ
の栽培が、現在では大規模専業生産が可能で、かつ、原
料が入手しやすい菌床人工栽培方法に移りつつある。
【0004】しかしながら、菌床人工栽培においても、
きのこを大量に連続栽培するには、いまだ収率も低く、
かつ、栽培期間がかなり長いため、その生産コストは安
価とは言えず、今後、これら生産性の改善が切望されて
いる。
【0005】生産性を改善する方法としては、例えば、
特定組成を有するアルミノシリケート系化合物や特定組
成を有するマグネシウムアルミニウムシリケート系化合
物を人工培養基中に含有させる方法が提案されている
(特開平03-210126号公報、特開平03-58716号公報)。
【0006】しかしながら、これらの方法では充分な収
率できのこを生産することができていないのが実状であ
る。
【0007】一方、フライアッシュや高炉スラグなどは
産業廃棄物として多量に排出され、その大半が埋立て処
分されており、その有効利用が求められている。
【0008】本発明者は、きのこの人工栽培における課
題を解消するために、鋭意努力を重ねた結果、特定の人
工培養基を用いることによって、きのこを高収率で栽培
できることを知見して本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、石灰類
とポゾラン反応性物質を含有してなるきのこの人工培養
基であり、該人工培養基を用いてなるきのこの人工栽培
方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳しく説明
する。
【0011】本発明で使用する石灰類は、生石灰(CaO)
や消石灰(Ca(OH)2)であって、特に限定されるものでは
なく、市販品でも使用可能であり、各種副産物として生
成するものでも使用可能である。石灰類の粒度は特に限
定されるものではないが、少量添加できのこの収率を向
上させるためには、細かければ細かい程好ましい。具体
的には粒子直径で1,000μm以下が好ましく、100μm以
下がより好ましい。この範囲外では、充分なきのこの収
率の向上がみられない場合がある。
【0012】また、本発明で使用するポゾラン反応性物
質(以下、ポゾラン物質という)は、フライアッシュ、シ
リカフューム、及び高炉スラグであって、特に限定され
るものではなく、ポゾラン反応性を示すものであれば、
いかなるものも使用可能である。なおポゾラン反応性と
は、Ca(OH)2がSiO2やAl2O3と反応して、カルシウムシリ
ケート水和物やカルシウムアルミネート水和物を生成す
る反応である。ポゾラン物質の粒度は特に限定されるも
のではないが、少量添加できのこの収率を向上させるた
めには、細かければ細かい程好ましい。具体的には粒子
直径で1,000μm以下が好ましく、100μm以下がより好
ましい。この範囲外では、充分なきのこの収率の向上が
みられない場合がある。
【0013】石灰類とポゾラン物質の配合割合は、使用
するポゾラン物質の種類によって異なるが、石灰類とポ
ゾラン物質の合計100部中、石灰類が30〜80部が好まし
く、40〜70部がより好ましい。この範囲外では所定の効
果が得られない場合がある。
【0014】本発明で使用する人工培養基とは、通常、
鋸屑、ふすま、及びもみがらなどの炭素源と、米糠や大
豆粕等の窒素源との混合物、また、この混合物に水を適
当量加え、これを瓶又は箱に圧詰めして調製したもの、
さらに、これらに、石灰類とポゾラン物質を添加したも
のである。
【0015】炭素源量、窒素源量、及び水量は、その種
類や含有水分量等により変化し、一義的に決定されるも
のではない。
【0016】例えば、炭素源として鋸屑を用いる場合、
鋸屑は、乾燥状態で培地全乾物量の20〜90%程度の範囲
で使用することができるが、この量は窒素源として用い
る培地成分によって変動する。例えば、窒素源に米糠を
使用する場合、鋸屑は乾物量として培地全乾物量の20〜
90%の範囲で使用するが、鋸屑と米糠を重量比で1:1
で混合した混合物に水を加えて、水分含水率を55〜70%
に調整したものを、瓶又は箱に圧詰めして調製すること
が好ましい。
【0017】また、鋸屑としては広葉樹鋸屑あるいは針
葉樹鋸屑をそれぞれ単独あるいは混合して使用すること
も可能である。
【0018】石灰類とポゾラン物質との混合物(以下、
培地活性材という)の、人工培養基中の混合割合は、炭
素源と窒素源からなる人工培養基100部に対して、0.01
〜20部が好ましく、1〜10部がより好ましい。培地活性
材の混合割合がこの範囲外では本発明の効果が充分に得
られない場合がある。
【0019】本発明に係るきのこは、人工栽培できるき
のこであれば特に限定されるものではない。その具体例
としては、例えば、えのきたけ、ひらたけ、なめこ、ぶ
なしめじ、及びしいたけなどが挙げられる。
【0020】本発明では、培地活性材、鋸屑等の炭素
源、米糠等の窒素源、及び水のほかに、従来より利用さ
れている、きのこの収率を向上させる材料である、アル
ミノシリケート系化合物、マグネシウムアルミニウムシ
リケート系化合物、マグネシウムシリケート系化合物、
カルシウムシリケート系化合物、マグネシウムアルミネ
ート系化合物、カルシウムアルミネート系化合物、スラ
グ粉末、エトリンガイト、リン化合物、水酸化カルシウ
ム、炭酸カルシウム、及び無機硫酸塩等を本発明の目的
を実質的に阻害しない範囲で併用することが可能であ
る。
【0021】
【実施例】以下、実験例により本発明を詳細に説明す
る。
【0022】実験例1 広葉樹鋸屑500g、針葉樹鋸屑500g、及び米糠1,000g
をビニール袋に入れ充分に混合して人工培養基を調製し
た。調製した人工培養基200gに表1に示す平均粒子径1
0μm程度の石灰類とポゾラン物質からなる培地活性材1
0gを添加し、水分含有率を65%に調整して混合物とし、
この混合物200gをプラスチック製1リットル広口瓶に
圧詰めした。それぞれの瓶の中央に直径1cm程度の穴を
開け、打栓後、120℃で90分間殺菌した。冷却後、ひら
たけの鋸屑菌種を植菌し、暗所で温度25℃、相対湿度55
%の条件下で30日間培養(菌まわし工程)し、さらに、30
日間培養を続けて熟成させた。次に、栓を外して培養基
の上部から約1cm程度菌かきをして菌糸層を除いた後、
水道水20mlを添加して充分に吸水させた。4時間放置
後、上部に残った水を取り除いて、温度15℃、相対湿度
95%、及び照度20ルクスの条件下で、4日間培養して子
実体原基を形成させ、さらに照度を200ルクスに上げ
て、10日間培養を続け、培地活性材の重量比が子実体収
量におよぼす影響について検討した。結果を表1に併記
する。なお、比較のために、石灰類とポゾラン物質をそ
れぞれ単独で培地活性材として用いて同様の実験を行っ
た。結果を表1に併記する。
【0023】<使用材料> 広葉樹鋸屑:ぶな材の鋸屑 針葉樹鋸屑:すぎ材の鋸屑 米糠 :市販品 石灰類A :消石灰、試薬1級 石灰類B :生石灰、試薬1級 ポゾラン物質a:東北フライアッシュ、酒田共同火力製 ポゾラン物質b:シリカフューム、市販品 ポゾラン物質c:高炉スラグ、市販品
【0024】<測定方法> コントロール対比:培地活性材添加の人工培養基の子実
体収量(g)/培地活性材無添加の人工培養基の子実体収
量(g)×100(%)
【0025】
【表1】
【0026】実験例2 人工培養基100部に対して、表2に示す石灰類Aとポゾ
ラン物質aからなる培地活性材を添加したこと以外は実
験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
【0027】
【表2】
【0028】実験例3 表3に示す平均粒子径の石灰類Aとポゾラン物質aから
なる培地活性材を添加したこと以外は、実験例1と同様
に行った。結果を表3に併記する。
【0029】
【表3】
【0030】
【発明の効果】本発明のきのこの人工培養基を用いるこ
とによって、きのこを高収率で栽培可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 光男 新潟県西頸城郡青海町大字青海2209番地 電気化学工業株式会社青海工場内 (72)発明者 城石 雅弘 長野県須坂市大字須坂787番地1 社団法 人 長野県農村工業研究所内 (72)発明者 西澤 賢一 長野県須坂市大字須坂787番地1 社団法 人 長野県農村工業研究所内 (72)発明者 床尾 力哉 長野県須坂市大字須坂787番地1 社団法 人 長野県農村工業研究所内 Fターム(参考) 2B011 BA06 BA13 BA14 GA04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石灰類とポゾラン反応性物質を含有して
    なるきのこの人工培養基。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のきのこの人工培養基を用
    いてなるきのこの人工栽培方法。
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