JP2003068286A5 - - Google Patents
Download PDFInfo
- Publication number
- JP2003068286A5 JP2003068286A5 JP2001259382A JP2001259382A JP2003068286A5 JP 2003068286 A5 JP2003068286 A5 JP 2003068286A5 JP 2001259382 A JP2001259382 A JP 2001259382A JP 2001259382 A JP2001259382 A JP 2001259382A JP 2003068286 A5 JP2003068286 A5 JP 2003068286A5
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrode
- sheet
- current collector
- rolls
- active material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Description
【書類名】 明細書
【発明の名称】 シート状電極製造用プレス装置及びシート状電極の製造方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】 帯状電極集電体の少なくとも片面に形成された電極活物質層を有し且つ一定経路に沿って搬送されるシート状電極を両面側から挟んで相対する一対の加圧ロールを備えており、両ロール外周面の両端部間に、衝撃吸収用スペーサがそれぞれ介在させられているシート状電極製造用プレス装置。
【請求項2】 スペーサが、少なくともいずれか一方のロール外周面の両端部に貼付けられ且つロール外周面の周方向にのびた環状テープ片からなる、請求項1に記載のシート状電極製造用プレス装置。
【請求項3】 両ロールのシート状電極搬送経路上流に繰出装置が、その下流に巻取装置がそれぞれ配置されており、スペーサが、繰出装置から繰出され、両ロール外周面の両端部間を通過させられて、巻取装置に巻取られる有端状テープからなる、請求項1に記載のシート状電極製造用プレス装置。
【請求項4】 スペーサが、両ロール外周面の両端部間を通過して循環させられる無端状テープからなる、請求項1に記載のシート状電極製造用プレス装置。
【請求項5】 スペーサが、両ロール外周面の両端部間を通過してシート状電極搬送経路と平行にのびた所要長さのテープ片からなり、テープ片のシート状電極搬送経路上流側端部を上流方向に付勢する弾性手段を備えている、請求項1に記載のシート状電極製造用プレス装置。
【請求項6】 スペーサの厚さが、電極集電体の厚さ以上であり且つ加圧後のシート状電極の目標厚さ以下である、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載のシート状電極製造用プレス装置。
【請求項7】 スペーサの硬度が、両ロールの硬度以下である、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載のシート状電極製造用プレス装置。
【請求項8】 電極活物質及びバインダーを含む電極合剤塗料を電極集電体上に塗布し、乾燥して、電極集電体の少なくとも片面に電極活物質層を有するシート状電極を形成し、その後、シート状電極を請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載のシート状電極製造用プレス装置を用いて加圧することを含む、シート状電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池用電極等のシート状電極製造用プレス装置に関し、より詳しくは、帯状電極集電体上に長さ方向に一定間隔をおいて形成された電極活物質層を有するシート状電極を加圧するためのプレス装置に関する。また、本発明は、前記シート状電極製造用プレス装置を用いたシート状電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の各種OA機器、VTRカメラ、携帯電話等の電子機器の小型軽量化に伴い、これら電子機器の駆動電源として用いられる二次電池の小型軽量化や高性能化が要求されている。このような要求に答えるべく、高放電電位、高放電容量の非水電解質電池としてリチウムイオン二次電池の開発が急速にすすめられ、実用化されている。
【0003】
非水電解質電池の正極及び負極の各電極は、一般に、電極活物質をバインダーと混合して電極塗料(合剤)を調製し、電極集電体の片面上に電極塗料を塗布し、乾燥し、続いて、電極集電体の他面上に電極塗料を塗布し、乾燥し、電極集電体の両面上に電極活物質層を有するシート状電極を形成し、その後、シート状電極を圧延加工し、所定の寸法に切断することにより製造されている。電極活物質層が電極集電体の片面のみに形成されている場合もある。
【0004】
シート状電極の形成に際しては、電極集電体面の長さ方向に一定間隔をおいて電極活物質層を塗布形成し、一方、隣り合う電極活物質層同士の間には、電極リード線の溶接のために電極塗料を塗布せずに、電極集電体面が露出した部分を確保しておくことが必要である。このように、シート状電極は、その各面において、長さ方向に一定間隔をおいて電極活物質層が塗布形成された塗布区間と、隣り合う電極活物質層同士の間の非塗布区間とを有する。
【0005】
シート状電極を加圧加工する従来装置として、例えば、特開平10−64521号公報には、帯状電極集電体上にこれの長さ方向に所定ピッチで形成された電極活物質層を有し且つ一定経路に沿って搬送されるシート状電極を両面側から挟んで相対する一対の加圧ロールと、各ロールのロール軸両端をそれぞれ対をなして支持している二対のベアリングユニットと、両ローラ外周面間に厚さ調整間隙を形成するように二対のベアリングユニットの同じ側の端にあるもの同士間にそれぞれ介在させられている一対のスペーサとを備えているローラプレス装置が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来装置では、両ロール間を活物質層が通過する場合、両ロール間の間隙を拡げるように両ロールがロール軸を含めて撓まされ、活物質層が形成された塗布区間から電極集電体が露出した非塗布区間に移行すると、その撓みの戻りによって、非塗布区間で両ロールが電極集電体に衝突して電極集電体にダメージを与えてしまうことがあった。
また、ベアリングユニットには、どうしても避けられない遊び、がたつきがあるため、その衝撃が助長される嫌いがあった。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、シート状電極の活物質層が形成された塗布区間から電極集電体が露出した非塗布区間に移行する際に、電極集電体にロールが衝突することを防止できるシート状電極製造用プレス装置を提供することにある。また、本発明の目的は、前記シート状電極製造用プレス装置を用いた電池用電極、特に非水電解質電池用電極等のシート状電極の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、帯状電極集電体の少なくとも片面に形成された電極活物質層を有し且つ一定経路に沿って搬送されるシート状電極を両面側から挟んで相対する一対の加圧ロールを備えており、両ロール外周面の両端部間に、衝撃吸収用スペーサがそれぞれ介在させられているシート状電極製造用プレス装置である。
この発明によるシート状電極製造用プレス装置では、両ロール間に衝撃吸収用スペーサが直接介在させられているから、両ロール間をシート状電極の活物質層が形成された塗布区間から電極集電体が露出した非塗布区間に移行する際に、ロールの撓みによる衝撃が発生しても、ロールの表面をスペーサが直接押さえるため、衝撃が緩和される。しかも、ベアリングユニットの遊び等の影響を受けることがない。従って、シート状電極の活物質層が形成された塗布区間から電極集電体が露出した非塗布区間に移行する際に、電極集電体にロールが衝突することを防止できる。
【0009】
本発明において、スペーサが、少なくともいずれか一方のロール外周面の両端部に貼付けられ且つロール外周面の周方向にのびた環状テープ片からなることが好ましい。
【0010】
本発明において、両ロールのシート状電極搬送経路上流に繰出装置が、その下流に巻取装置がそれぞれ配置されており、スペーサが、繰出装置から繰出され、両ロール外周面の両端部間を通過させられて、巻取装置に巻取られる有端状テープ片からなるものでもよい。
【0011】
本発明において、スペーサが、両ロール外周面の両端部間を通過して循環させられる無端状テープからなるものでもよい。
【0012】
本発明において、スペーサが、両ロール外周面の両端部間を通過してシート状電極搬送経路と平行にのびた所要長さのテープ片からなるものでもよい。この場合、プレス装置には、テープ片のシート状電極搬送経路上流側端部を上流方向に付勢する弾性手段が備わっていることが好ましい。
【0013】
本発明において、スペーサの厚さが、電極集電体の厚さ以上であり且つ加圧後のシート状電極の目標厚さ以下であることが好ましい。このようなスペーサの厚さにより、ロールが電極集電体に衝突することを確実に防止できると共に、電極活物質層を十分に加圧することができる。
【0014】
本発明において、スペーサの硬度が、両ロールの硬度以下であることが好ましい。ロール表面へのスペーサによる傷付きを防止できる。
【0015】
また、本発明は、電極活物質及びバインダーを含む電極合剤塗料を電極集電体上に塗布し、乾燥して、電極集電体の少なくとも片面に電極活物質層を有するシート状電極を形成し、その後、シート状電極を前記のいずれかのシート状電極製造用プレス装置を用いて加圧することを含む、シート状電極の製造方法である。電極活物質層は、電極集電体の長さ方向に所定ピッチで形成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のシート状電極製造用プレス装置の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明において電池用電極等のシート状電極を製造するためのシート状電極Mを示す平面図である。シート状電極Mは、帯状電極集電体Bの両面に多数の方形状電極活物質層Cが形成されたものである。活物質層Cは、電極集電体長さ方向に一定ピッチPで隣り合うもの同士間に間隙をおいて1列に並んでいる。これにより、帯状電極集電体B上には電極活物質層Cが形成された塗布区間S及び電極集電体面が露出した非塗布区間Nが交互に並んで形成されている。図1中、矢印Aで示す方向にシート状電極Mが搬送される。なお、目的とするシート状電極の種類に応じて、集電体Bの両面について塗布区間S及び非塗布区間Nの形成パターンが同じ場合もあれば、異なる場合もある。また、活物質層Cが集電体Bの片面のみに形成されている場合もある。
【0018】
図2は、本発明のプレス装置の一例の概略側面図である。図3は、本発明のプレス装置の一例の概略正面図である。以下の説明において、シート状電極M搬送方向の上流側から下流側を見て、その左右の側を左右というものとする。
【0019】
プレス装置は、矢印Aで示す方向に搬送されるシート状電極Mを挟んで相対するように配置されている左右方向にのびた水平状上ロール11及び下ロール12を有している。これらの上下ロール11、12 は、シート状電極Mの幅よりも広い長さをもっている。
【0020】
図2及び図3において、シート状電極Mは形状を誇張するように模式的に示されている。活物質層Cは、電極集電体Mの上下両面に同一パターンで形成されているが、上面と下面とで異なるパターンで形成される場合もある。また、活物質層Cが、電極集電体Mの片面のみに形成される場合もある。また、上ロール11の上側及び下ロール12の下側に、図示しないが、ロールを支持するバックアップロールを配備し、多段式のプレス装置としてもよい。
【0021】
上ロール11には上回転軸13がその左右両端を上ロール11端面より左右にそれぞれ突出させるように設けられている。同様に、下ロール12にも下回転軸14がその左右両端を下ロール12端面より左右にそれぞれ突出させるように設けられている。上回転軸13の左右両端部は、左右一対の上ベアリングユニット15で支持されている。下回転軸14の左右両端部は、左右一対の下ベアリングユニット16で支持されている。左右一対ずつの上下ベアリングユニット15、16の左右同じ側にあるもの同士間には左右一対の、ロール間隙調整機能を有する圧力機構17が介在させられている。さらに、両ロール11、12 外周面の左右両端部間には左右一対の衝撃吸収用スペーサ18が介在させられている。図2において、衝撃吸収用スペーサ18の図示は省略され、図3においては、衝撃吸収用スペーサ18は概念的に示されている。衝撃吸収用スペーサ18により、両ロール11、12 外周面間にはシート状電極厚さ調整間隙が形成されている。この間隙の大きさは、勿論、衝撃吸収用スペーサ18の高さと実質的に等しい。また、上記において、圧力機構17は、必ずしも用いる必要はない。
【0022】
電極集電体Bの厚さをT0 、加圧後の電極集電体B及び活物質層Cを加えた目標厚さをT1 、衝撃吸収用スペーサ18の厚さをHとすると、T0 ≦H≦T1 の関係にあり、最適には、T0 <H<T1 である。T0 ≦Hとすることにより、非塗布区間Nにおいて、両ロール11、12 が電極集電体Bに衝突することを確実に防止できる。H≦T1 とすることにより、塗布区間Sにおいて、電極活物質層Cを十分に加圧することができる。
【0023】
両ロール11、12 の材質としては、一般的に、鉄鋼等の金属か、硬質合成樹脂が用いられる。両ロール11、12 は、同一の材質の組合せか、異種の材質を組合わせても良い。使用に際し、ロール11、12 の表面温度は、一般的に、常温から200℃の範囲で一定に保たれる。
【0024】
衝撃吸収用スペーサ18の材質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、鉛等の金属や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリイミド、テフロン、セロハン、ナイロン、ポリプロピレン等の樹脂や、ガラス繊維、炭素繊維、不織布等や、これら材料の複合体等が用いられる。後述の図4に示される環状衝撃吸収用スペーサ18の場合には、前述の材料基体に接着層を設けたテープ等が用いられる。具体的には、住友スリーエム(株)製の型番471、型番5421、型番5413、テサ(株)製の型番4169のものを用いても良い。
【0025】
シート状電極Bの塗布区間S及び非塗布区間Nが交互に両ロール11、12 の間を通過していく。塗布区間Sが両ロールの間を通過する際に、活物質層Cが加圧されて圧縮される。非塗布区間Nが両ロール11、12 の間を通過する際は、両ロール11、12 の外周面左右両端部に衝撃吸収用スペーサ18が直接接触させられ、電極集電体表面に両ロール11、12 の外周面が接触することが防止される。両ロール11、12 の硬度以下の硬度のスペーサ18を用いれば、スペーサ18によってロール外周面が傷付けられる心配がない。
【0026】
次に、図4〜図7を参照しながら、衝撃吸収用スペーサ18の具体的配置態様を様々に説明する。以下の説明においても、シート状電極Mは、矢印Aで示す方向に搬送される。
【0027】
図4には、下ロール12の外周面左右両端部に貼付けられた環状テープ片21からなるスペーサ18が示されている。テープ片21は、ロール外周面左右両端縁部に沿ってロール周方向にのびている。テープ片21は、下ロール12のみならず、上ロール11にも貼付けるようにしてもよい。
【0028】
図5を参照すると、上下ロール11、12 のシート状電極搬送方向上流には繰出ロール31が、その下流には巻取ロール32がそれぞれ配置されている。また、上下ロール11、12 及び繰出ロール31間には上流ガイドローラ33が、上下ロール11、12 及び巻取ロール32間には下流ガイドローラ34がそれぞれ配置されている。
スペーサ18は、有端状テープ41からなる。テープ41は、繰出ロール31から繰出され、両ロール11、12 外周面の左右両端部間を通過させられて、巻取ロール32に巻取られる。
【0029】
図6には、無端状テープ51からなるスペーサ18が示されている。テープ51は、適宜数のガイドローラ52に巻掛けられて、両ロール11、12 外周面の左右両端部間を通過して垂直面内を循環させられるようになっている。
【0030】
図7には、両ロール11、12 外周面の左右両端部間を通過してシート状電極搬送方向Aと平行に真っ直ぐのびた所要長さのテープ片61からなるスペーサ18が示されている。テープ片61のシート状電極搬送方向上流側端には引張りばね62の一端が掛け止められている。同ばね62の他端は、地上側の適宜支持部材63に掛け止められている。
シート状電極Mの非塗布区間Nが両ロール11、12 間を通過する際、テープ片61は両ロール11、12 との摩擦力によってシート状電極搬送下流側に移動させられ、非塗布区間Nが両ロール11、12 間を通過した後、塗布区間Sが両ロール11、12 のところに差し掛かると、両ロール11、12 との摩擦力をテープ片61は失い、ばね62の力によって、テープ片61はシート状電極搬送上流側に引戻される。この配置の態様において、ばね62に代わり、ごむ、アキュムレータ等の他の弾性手段を用いるようにしてもよい。
この場合には、テープ片61の厚さを、塗布区間Sが両ロール11、12 間を通過する際に、テープ片61が両ロール11、12 間に挟まれない程度にすることが必要である。
【0031】
本発明は、前記プレス装置を用いた電池用電極等のシート状電極の製造方法にも関する。
本発明の方法においては、まず、電極活物質及びバインダーを溶剤と共に混合することによって、スラリー状の電極合剤塗料を調製する。この際、さらに必要に応じて導電剤や添加剤を加えることもある。
【0032】
電極活物質としては、従来より電極活物質として使用されているものであれば特に制限なく、各種の材料を使用することができる。
正極活物質としては、例えば、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な酸化物又は炭素材料を用いることができる。このような酸化物としては、リチウムを含む複合酸化物が挙げられ、例えば、コバルト酸リチウムLix CoO2 (0<x≦1.0)、マンガン酸リチウムLi1+x Mn2-x O4 (0≦x≦1/3)、ニッケル酸リチウムLix NiO2 (0<x≦1.0)などが挙げられる。これら酸化物粉末の平均粒子径は1〜40μm程度が好ましい。
【0033】
負極活物質としては、例えば、炭素質材料、リチウム金属、リチウム合金、スズ酸化物等の酸化物が用いられる。炭素質材料としては、特に制限されるものではなく、例えば、無定形炭素、アセチレンブラック、石油コークス、石炭コークス、人造黒鉛、天然黒鉛、グラファイト系炭素繊維、難黒鉛化炭素等を用いることができる。これらの中から、目的とする電池の特性に応じて、当業者が適宜選択することができる。
【0034】
電極塗料用のバインダーとしては、特に制限されるものではなく、従来より使用されている結晶性樹脂、非結晶性樹脂等の各種バインダーを使用することができる。例えば、バインダーとして、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリエチレンテレフタレートや、ポリフッ化ビニリデン(PVDF) 、ポリフッ化ビニル、フッ素ゴム等のフルオロカーボン系樹脂等を用いることができる。
バインダーは、電極活物質100重量部に対して、通常1〜40重量部、好ましくは2〜25重量部、特に好ましくは5〜15重量部の量で使用される。
【0035】
電極塗料用の溶剤としては、特に制限されるものではなく、電極塗料の調製する際に従来より使用されている各種の溶剤を使用することができる。例えば、N−メチルピロリドン(NMP)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、トルエン等が挙げられる。
【0036】
導電剤は、必要に応じて、電極活物質の電子伝導性を補足する目的等のため加えることができる。導電剤としては、特に制限されるものではなく、公知の各種導電剤を用いるとよい。例えば、アセチレンブラック、グラファイト、金・銀・銅微粒子等が挙げられる。
また、さらに炭酸リチウム、シュウ酸、マレイン酸等の公知の各種添加剤を加えることもできる。
【0037】
電極活物質、バインダー、導電剤、溶剤等の混合は、常法により行うことができる。例えば、ロールミル法により、乾燥空気下や不活性ガス雰囲気下で混合する。
【0038】
次に、得られたスラリー状の電極塗料を帯状の電極集電体上に塗布する。塗布は電極の目的に応じて、集電体の両面に行ってもよいし、片面のみに行ってもよい。また、集電体の両面に電極塗料を塗布する場合には、同時に両面に塗布して次の乾燥工程を行ってもよいし、片面に塗布して乾燥工程を行い、続いて他面に塗布して乾燥工程を行ってもよい。
【0039】
電極塗料の塗布に際して、塗布区間S及び非塗布区間Nを集電体長さ方向に所定ピッチで形成するには、例えば、ダイノズルへの塗布液の供給を間欠的に行う方法(特開2000−149929号公報)、非塗布区間Nを予めマスキングしておく方法(本出願人による特願2001−119140号、平成13年4月18日出願)等を適用するとよい。もちろん、その他の種々の方法を適用してもよい。
【0040】
電極塗料の電極集電体への塗布は、公知の方法、例えば、エクストルージョンコート、グラビアコート、リバースロールコート、ディップコート、キスコート、ドクターコート、ナイフコート、カーテンコート、ノズルコート、スクリーン印刷等の塗布方法より行うことができる。
【0041】
本発明において、電極集電体としては、金属箔、金属シート、パンチィングメタル、金属網等が使用され、金属箔、パンチィングメタルが好適である。電極集電体の金属材料としては、特に制限されるものではなく、従来より電極集電体に使用されている各種の金属材料を使用することができる。このような金属材料としては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、鉄等が挙げられ、銅、アルミニウム等が好ましい。電極集電体の厚さは、通常1〜30μm、好ましくは5〜20μmである。
【0042】
電極塗料の塗布に続いて、乾燥を行い、溶剤を除去する。乾燥は常法により行うことができる。例えば、30〜150℃で、5〜15分間程度の乾燥を行う。このようにして、電極集電体の片面又は両面に電極活物質層が形成され、塗布区間S及び非塗布区間Nが電極集電体長さ方向に所定ピッチで形成されたシート状電極を得る。
【0043】
乾燥後、シート状電極を、本発明のロールプレス装置により圧延加工し、電極活物質層の厚さを薄くし且つ一定に整え、電極体積当たりの活物質の密度を高める。この際のプレス圧は、5〜1000kg/cm程度である。また、電極活物質層の厚さ(片面として)は、用途にもよるが、特に限定されることなく、40〜400μm程度である。
【0044】
圧延加工の後、シート状電極を所定の寸法に切断する。切断は、一般に、電極を製造流れ方向に沿って所定の幅にするスリット工程と、所望の長さにする裁断工程からなる。また、圧延加工に先立ってスリット工程を行い、スリット工程後に圧延加工を行うこともある。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
[実施例1:正極の製造]
下記組成のスラリー状の正極用塗料を調製した。
【0046】
(正極用塗料の組成)
正極活物質:コバルト酸リチウム 100重量部
導電剤:アセチレンブラック 6.7重量部
バインダー:ポリフッ化ビニリデン(PVDF) 4.4重量部
溶剤:N−メチルピロリドン(NMP) 73重量部
【0047】
まず、バインダー4.4重量部をNMP40重量部に溶解してラッカーを作製した。次に、導電剤6.7重量部とコバルト酸リチウム粉100重量部の混合粉に上記ラッカー44.4重量部を加えて混練し、その後、混練物にNMP33重量部を加えて、正極用塗料とした。
【0048】
次に、厚さ20μm、幅400mmのアルミニウム箔からなる電極集電体の片面にノズルコートにより上記正極用塗料を間欠的に塗布した後、80〜130℃の乾燥炉で乾燥して電極活物質層を形成した。塗布区間Sの集電体長さ方向長400mm、非塗布区間の集電体長さ方向長20mmとした。その後、アルミニウム箔の他面に同様の塗布操作を行って電極活物質層を形成した。これにより、電極集電体及び両面の電極活物質層の全体の厚さが350μmであるシート状電極Mを得た。
【0049】
得られたシート状電極を、図3及び図4に示された本発明のプレス装置を用いて加圧した。図3及び図4を参照して、直径420mmの金属製両ロール11、12 を用いた。加圧前の厚さ350μmのシート状電極を目標厚さ235mmに圧縮できるように、下ロール12の外周面左右両端部に、厚さ190μmの塩化ビニール製テープ(幅49mm)を貼付けて衝撃吸収用スペーサ18とし、シート状電極Mを加圧(負荷荷重:1000kg/cm、搬送速度:20m/分)し、電池用電極を製造した。
【0050】
[実施例2]
衝撃吸収用スペーサ18として、塩化ビニール製テープの代わりに、厚さ150μmのステンレス箔(幅50mm)を粘着剤で貼付けた以外は、実施例1と同様のプレス装置を用いて、実施例1と同様の加圧条件で、シート状電極Mを加圧し、電池用電極を製造した。
【0051】
[比較例1]
スペーサが取り付けられていない下ロール12を用いた以外は、実施例1と同様のプレス装置を用いて、実施例1と同様の加圧条件で、シート状電極Mを加圧し、電池用電極を製造した。
【0052】
実施例1、2及び比較例1で得られた電池用電極の非塗布区間の状態を観察した。実施例1、2では、非塗布区間の露出した電極集電体にダメージは見られなかった。一方、比較例1では、非塗布区間の露出した電極集電体にロールが衝突し、電極集電体が衝撃で破断した。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、シート状電極の活物質層が形成された塗布区間から電極集電体が露出した非塗布区間に移行する際に、電極集電体にロールが衝突することを防止でき、電極集電体がダメージを受けることがない。シート状電極の活物質層を所望の厚さに加圧・圧縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明において電池用電極等のシート状電極を製造するためのシート状電極Mを示す平面図である。
【図2】 本発明のプレス装置の一例の概略側面図である。
【図3】 本発明のプレス装置の一例の概略正面図である。
【図4】 スペーサの一例を具体的に示す説明図である。
【図5】 スペーサの他の一例を具体的に示す説明図である。
【図6】 スペーサのさらなる他の一例を具体的に示す説明図である。
【図7】 スペーサのさらなる他の一例を具体的に示す説明図である。
【符号の説明】
11:上ロール
12:下ロール
18:衝撃吸収用スペーサ
B:電極集電体
C:活物質層
M:シート状電極
【発明の名称】 シート状電極製造用プレス装置及びシート状電極の製造方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】 帯状電極集電体の少なくとも片面に形成された電極活物質層を有し且つ一定経路に沿って搬送されるシート状電極を両面側から挟んで相対する一対の加圧ロールを備えており、両ロール外周面の両端部間に、衝撃吸収用スペーサがそれぞれ介在させられているシート状電極製造用プレス装置。
【請求項2】 スペーサが、少なくともいずれか一方のロール外周面の両端部に貼付けられ且つロール外周面の周方向にのびた環状テープ片からなる、請求項1に記載のシート状電極製造用プレス装置。
【請求項3】 両ロールのシート状電極搬送経路上流に繰出装置が、その下流に巻取装置がそれぞれ配置されており、スペーサが、繰出装置から繰出され、両ロール外周面の両端部間を通過させられて、巻取装置に巻取られる有端状テープからなる、請求項1に記載のシート状電極製造用プレス装置。
【請求項4】 スペーサが、両ロール外周面の両端部間を通過して循環させられる無端状テープからなる、請求項1に記載のシート状電極製造用プレス装置。
【請求項5】 スペーサが、両ロール外周面の両端部間を通過してシート状電極搬送経路と平行にのびた所要長さのテープ片からなり、テープ片のシート状電極搬送経路上流側端部を上流方向に付勢する弾性手段を備えている、請求項1に記載のシート状電極製造用プレス装置。
【請求項6】 スペーサの厚さが、電極集電体の厚さ以上であり且つ加圧後のシート状電極の目標厚さ以下である、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載のシート状電極製造用プレス装置。
【請求項7】 スペーサの硬度が、両ロールの硬度以下である、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載のシート状電極製造用プレス装置。
【請求項8】 電極活物質及びバインダーを含む電極合剤塗料を電極集電体上に塗布し、乾燥して、電極集電体の少なくとも片面に電極活物質層を有するシート状電極を形成し、その後、シート状電極を請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載のシート状電極製造用プレス装置を用いて加圧することを含む、シート状電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池用電極等のシート状電極製造用プレス装置に関し、より詳しくは、帯状電極集電体上に長さ方向に一定間隔をおいて形成された電極活物質層を有するシート状電極を加圧するためのプレス装置に関する。また、本発明は、前記シート状電極製造用プレス装置を用いたシート状電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の各種OA機器、VTRカメラ、携帯電話等の電子機器の小型軽量化に伴い、これら電子機器の駆動電源として用いられる二次電池の小型軽量化や高性能化が要求されている。このような要求に答えるべく、高放電電位、高放電容量の非水電解質電池としてリチウムイオン二次電池の開発が急速にすすめられ、実用化されている。
【0003】
非水電解質電池の正極及び負極の各電極は、一般に、電極活物質をバインダーと混合して電極塗料(合剤)を調製し、電極集電体の片面上に電極塗料を塗布し、乾燥し、続いて、電極集電体の他面上に電極塗料を塗布し、乾燥し、電極集電体の両面上に電極活物質層を有するシート状電極を形成し、その後、シート状電極を圧延加工し、所定の寸法に切断することにより製造されている。電極活物質層が電極集電体の片面のみに形成されている場合もある。
【0004】
シート状電極の形成に際しては、電極集電体面の長さ方向に一定間隔をおいて電極活物質層を塗布形成し、一方、隣り合う電極活物質層同士の間には、電極リード線の溶接のために電極塗料を塗布せずに、電極集電体面が露出した部分を確保しておくことが必要である。このように、シート状電極は、その各面において、長さ方向に一定間隔をおいて電極活物質層が塗布形成された塗布区間と、隣り合う電極活物質層同士の間の非塗布区間とを有する。
【0005】
シート状電極を加圧加工する従来装置として、例えば、特開平10−64521号公報には、帯状電極集電体上にこれの長さ方向に所定ピッチで形成された電極活物質層を有し且つ一定経路に沿って搬送されるシート状電極を両面側から挟んで相対する一対の加圧ロールと、各ロールのロール軸両端をそれぞれ対をなして支持している二対のベアリングユニットと、両ローラ外周面間に厚さ調整間隙を形成するように二対のベアリングユニットの同じ側の端にあるもの同士間にそれぞれ介在させられている一対のスペーサとを備えているローラプレス装置が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来装置では、両ロール間を活物質層が通過する場合、両ロール間の間隙を拡げるように両ロールがロール軸を含めて撓まされ、活物質層が形成された塗布区間から電極集電体が露出した非塗布区間に移行すると、その撓みの戻りによって、非塗布区間で両ロールが電極集電体に衝突して電極集電体にダメージを与えてしまうことがあった。
また、ベアリングユニットには、どうしても避けられない遊び、がたつきがあるため、その衝撃が助長される嫌いがあった。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、シート状電極の活物質層が形成された塗布区間から電極集電体が露出した非塗布区間に移行する際に、電極集電体にロールが衝突することを防止できるシート状電極製造用プレス装置を提供することにある。また、本発明の目的は、前記シート状電極製造用プレス装置を用いた電池用電極、特に非水電解質電池用電極等のシート状電極の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、帯状電極集電体の少なくとも片面に形成された電極活物質層を有し且つ一定経路に沿って搬送されるシート状電極を両面側から挟んで相対する一対の加圧ロールを備えており、両ロール外周面の両端部間に、衝撃吸収用スペーサがそれぞれ介在させられているシート状電極製造用プレス装置である。
この発明によるシート状電極製造用プレス装置では、両ロール間に衝撃吸収用スペーサが直接介在させられているから、両ロール間をシート状電極の活物質層が形成された塗布区間から電極集電体が露出した非塗布区間に移行する際に、ロールの撓みによる衝撃が発生しても、ロールの表面をスペーサが直接押さえるため、衝撃が緩和される。しかも、ベアリングユニットの遊び等の影響を受けることがない。従って、シート状電極の活物質層が形成された塗布区間から電極集電体が露出した非塗布区間に移行する際に、電極集電体にロールが衝突することを防止できる。
【0009】
本発明において、スペーサが、少なくともいずれか一方のロール外周面の両端部に貼付けられ且つロール外周面の周方向にのびた環状テープ片からなることが好ましい。
【0010】
本発明において、両ロールのシート状電極搬送経路上流に繰出装置が、その下流に巻取装置がそれぞれ配置されており、スペーサが、繰出装置から繰出され、両ロール外周面の両端部間を通過させられて、巻取装置に巻取られる有端状テープ片からなるものでもよい。
【0011】
本発明において、スペーサが、両ロール外周面の両端部間を通過して循環させられる無端状テープからなるものでもよい。
【0012】
本発明において、スペーサが、両ロール外周面の両端部間を通過してシート状電極搬送経路と平行にのびた所要長さのテープ片からなるものでもよい。この場合、プレス装置には、テープ片のシート状電極搬送経路上流側端部を上流方向に付勢する弾性手段が備わっていることが好ましい。
【0013】
本発明において、スペーサの厚さが、電極集電体の厚さ以上であり且つ加圧後のシート状電極の目標厚さ以下であることが好ましい。このようなスペーサの厚さにより、ロールが電極集電体に衝突することを確実に防止できると共に、電極活物質層を十分に加圧することができる。
【0014】
本発明において、スペーサの硬度が、両ロールの硬度以下であることが好ましい。ロール表面へのスペーサによる傷付きを防止できる。
【0015】
また、本発明は、電極活物質及びバインダーを含む電極合剤塗料を電極集電体上に塗布し、乾燥して、電極集電体の少なくとも片面に電極活物質層を有するシート状電極を形成し、その後、シート状電極を前記のいずれかのシート状電極製造用プレス装置を用いて加圧することを含む、シート状電極の製造方法である。電極活物質層は、電極集電体の長さ方向に所定ピッチで形成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のシート状電極製造用プレス装置の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明において電池用電極等のシート状電極を製造するためのシート状電極Mを示す平面図である。シート状電極Mは、帯状電極集電体Bの両面に多数の方形状電極活物質層Cが形成されたものである。活物質層Cは、電極集電体長さ方向に一定ピッチPで隣り合うもの同士間に間隙をおいて1列に並んでいる。これにより、帯状電極集電体B上には電極活物質層Cが形成された塗布区間S及び電極集電体面が露出した非塗布区間Nが交互に並んで形成されている。図1中、矢印Aで示す方向にシート状電極Mが搬送される。なお、目的とするシート状電極の種類に応じて、集電体Bの両面について塗布区間S及び非塗布区間Nの形成パターンが同じ場合もあれば、異なる場合もある。また、活物質層Cが集電体Bの片面のみに形成されている場合もある。
【0018】
図2は、本発明のプレス装置の一例の概略側面図である。図3は、本発明のプレス装置の一例の概略正面図である。以下の説明において、シート状電極M搬送方向の上流側から下流側を見て、その左右の側を左右というものとする。
【0019】
プレス装置は、矢印Aで示す方向に搬送されるシート状電極Mを挟んで相対するように配置されている左右方向にのびた水平状上ロール11及び下ロール12を有している。これらの上下ロール11、12 は、シート状電極Mの幅よりも広い長さをもっている。
【0020】
図2及び図3において、シート状電極Mは形状を誇張するように模式的に示されている。活物質層Cは、電極集電体Mの上下両面に同一パターンで形成されているが、上面と下面とで異なるパターンで形成される場合もある。また、活物質層Cが、電極集電体Mの片面のみに形成される場合もある。また、上ロール11の上側及び下ロール12の下側に、図示しないが、ロールを支持するバックアップロールを配備し、多段式のプレス装置としてもよい。
【0021】
上ロール11には上回転軸13がその左右両端を上ロール11端面より左右にそれぞれ突出させるように設けられている。同様に、下ロール12にも下回転軸14がその左右両端を下ロール12端面より左右にそれぞれ突出させるように設けられている。上回転軸13の左右両端部は、左右一対の上ベアリングユニット15で支持されている。下回転軸14の左右両端部は、左右一対の下ベアリングユニット16で支持されている。左右一対ずつの上下ベアリングユニット15、16の左右同じ側にあるもの同士間には左右一対の、ロール間隙調整機能を有する圧力機構17が介在させられている。さらに、両ロール11、12 外周面の左右両端部間には左右一対の衝撃吸収用スペーサ18が介在させられている。図2において、衝撃吸収用スペーサ18の図示は省略され、図3においては、衝撃吸収用スペーサ18は概念的に示されている。衝撃吸収用スペーサ18により、両ロール11、12 外周面間にはシート状電極厚さ調整間隙が形成されている。この間隙の大きさは、勿論、衝撃吸収用スペーサ18の高さと実質的に等しい。また、上記において、圧力機構17は、必ずしも用いる必要はない。
【0022】
電極集電体Bの厚さをT0 、加圧後の電極集電体B及び活物質層Cを加えた目標厚さをT1 、衝撃吸収用スペーサ18の厚さをHとすると、T0 ≦H≦T1 の関係にあり、最適には、T0 <H<T1 である。T0 ≦Hとすることにより、非塗布区間Nにおいて、両ロール11、12 が電極集電体Bに衝突することを確実に防止できる。H≦T1 とすることにより、塗布区間Sにおいて、電極活物質層Cを十分に加圧することができる。
【0023】
両ロール11、12 の材質としては、一般的に、鉄鋼等の金属か、硬質合成樹脂が用いられる。両ロール11、12 は、同一の材質の組合せか、異種の材質を組合わせても良い。使用に際し、ロール11、12 の表面温度は、一般的に、常温から200℃の範囲で一定に保たれる。
【0024】
衝撃吸収用スペーサ18の材質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、鉛等の金属や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリイミド、テフロン、セロハン、ナイロン、ポリプロピレン等の樹脂や、ガラス繊維、炭素繊維、不織布等や、これら材料の複合体等が用いられる。後述の図4に示される環状衝撃吸収用スペーサ18の場合には、前述の材料基体に接着層を設けたテープ等が用いられる。具体的には、住友スリーエム(株)製の型番471、型番5421、型番5413、テサ(株)製の型番4169のものを用いても良い。
【0025】
シート状電極Bの塗布区間S及び非塗布区間Nが交互に両ロール11、12 の間を通過していく。塗布区間Sが両ロールの間を通過する際に、活物質層Cが加圧されて圧縮される。非塗布区間Nが両ロール11、12 の間を通過する際は、両ロール11、12 の外周面左右両端部に衝撃吸収用スペーサ18が直接接触させられ、電極集電体表面に両ロール11、12 の外周面が接触することが防止される。両ロール11、12 の硬度以下の硬度のスペーサ18を用いれば、スペーサ18によってロール外周面が傷付けられる心配がない。
【0026】
次に、図4〜図7を参照しながら、衝撃吸収用スペーサ18の具体的配置態様を様々に説明する。以下の説明においても、シート状電極Mは、矢印Aで示す方向に搬送される。
【0027】
図4には、下ロール12の外周面左右両端部に貼付けられた環状テープ片21からなるスペーサ18が示されている。テープ片21は、ロール外周面左右両端縁部に沿ってロール周方向にのびている。テープ片21は、下ロール12のみならず、上ロール11にも貼付けるようにしてもよい。
【0028】
図5を参照すると、上下ロール11、12 のシート状電極搬送方向上流には繰出ロール31が、その下流には巻取ロール32がそれぞれ配置されている。また、上下ロール11、12 及び繰出ロール31間には上流ガイドローラ33が、上下ロール11、12 及び巻取ロール32間には下流ガイドローラ34がそれぞれ配置されている。
スペーサ18は、有端状テープ41からなる。テープ41は、繰出ロール31から繰出され、両ロール11、12 外周面の左右両端部間を通過させられて、巻取ロール32に巻取られる。
【0029】
図6には、無端状テープ51からなるスペーサ18が示されている。テープ51は、適宜数のガイドローラ52に巻掛けられて、両ロール11、12 外周面の左右両端部間を通過して垂直面内を循環させられるようになっている。
【0030】
図7には、両ロール11、12 外周面の左右両端部間を通過してシート状電極搬送方向Aと平行に真っ直ぐのびた所要長さのテープ片61からなるスペーサ18が示されている。テープ片61のシート状電極搬送方向上流側端には引張りばね62の一端が掛け止められている。同ばね62の他端は、地上側の適宜支持部材63に掛け止められている。
シート状電極Mの非塗布区間Nが両ロール11、12 間を通過する際、テープ片61は両ロール11、12 との摩擦力によってシート状電極搬送下流側に移動させられ、非塗布区間Nが両ロール11、12 間を通過した後、塗布区間Sが両ロール11、12 のところに差し掛かると、両ロール11、12 との摩擦力をテープ片61は失い、ばね62の力によって、テープ片61はシート状電極搬送上流側に引戻される。この配置の態様において、ばね62に代わり、ごむ、アキュムレータ等の他の弾性手段を用いるようにしてもよい。
この場合には、テープ片61の厚さを、塗布区間Sが両ロール11、12 間を通過する際に、テープ片61が両ロール11、12 間に挟まれない程度にすることが必要である。
【0031】
本発明は、前記プレス装置を用いた電池用電極等のシート状電極の製造方法にも関する。
本発明の方法においては、まず、電極活物質及びバインダーを溶剤と共に混合することによって、スラリー状の電極合剤塗料を調製する。この際、さらに必要に応じて導電剤や添加剤を加えることもある。
【0032】
電極活物質としては、従来より電極活物質として使用されているものであれば特に制限なく、各種の材料を使用することができる。
正極活物質としては、例えば、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な酸化物又は炭素材料を用いることができる。このような酸化物としては、リチウムを含む複合酸化物が挙げられ、例えば、コバルト酸リチウムLix CoO2 (0<x≦1.0)、マンガン酸リチウムLi1+x Mn2-x O4 (0≦x≦1/3)、ニッケル酸リチウムLix NiO2 (0<x≦1.0)などが挙げられる。これら酸化物粉末の平均粒子径は1〜40μm程度が好ましい。
【0033】
負極活物質としては、例えば、炭素質材料、リチウム金属、リチウム合金、スズ酸化物等の酸化物が用いられる。炭素質材料としては、特に制限されるものではなく、例えば、無定形炭素、アセチレンブラック、石油コークス、石炭コークス、人造黒鉛、天然黒鉛、グラファイト系炭素繊維、難黒鉛化炭素等を用いることができる。これらの中から、目的とする電池の特性に応じて、当業者が適宜選択することができる。
【0034】
電極塗料用のバインダーとしては、特に制限されるものではなく、従来より使用されている結晶性樹脂、非結晶性樹脂等の各種バインダーを使用することができる。例えば、バインダーとして、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリエチレンテレフタレートや、ポリフッ化ビニリデン(PVDF) 、ポリフッ化ビニル、フッ素ゴム等のフルオロカーボン系樹脂等を用いることができる。
バインダーは、電極活物質100重量部に対して、通常1〜40重量部、好ましくは2〜25重量部、特に好ましくは5〜15重量部の量で使用される。
【0035】
電極塗料用の溶剤としては、特に制限されるものではなく、電極塗料の調製する際に従来より使用されている各種の溶剤を使用することができる。例えば、N−メチルピロリドン(NMP)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、トルエン等が挙げられる。
【0036】
導電剤は、必要に応じて、電極活物質の電子伝導性を補足する目的等のため加えることができる。導電剤としては、特に制限されるものではなく、公知の各種導電剤を用いるとよい。例えば、アセチレンブラック、グラファイト、金・銀・銅微粒子等が挙げられる。
また、さらに炭酸リチウム、シュウ酸、マレイン酸等の公知の各種添加剤を加えることもできる。
【0037】
電極活物質、バインダー、導電剤、溶剤等の混合は、常法により行うことができる。例えば、ロールミル法により、乾燥空気下や不活性ガス雰囲気下で混合する。
【0038】
次に、得られたスラリー状の電極塗料を帯状の電極集電体上に塗布する。塗布は電極の目的に応じて、集電体の両面に行ってもよいし、片面のみに行ってもよい。また、集電体の両面に電極塗料を塗布する場合には、同時に両面に塗布して次の乾燥工程を行ってもよいし、片面に塗布して乾燥工程を行い、続いて他面に塗布して乾燥工程を行ってもよい。
【0039】
電極塗料の塗布に際して、塗布区間S及び非塗布区間Nを集電体長さ方向に所定ピッチで形成するには、例えば、ダイノズルへの塗布液の供給を間欠的に行う方法(特開2000−149929号公報)、非塗布区間Nを予めマスキングしておく方法(本出願人による特願2001−119140号、平成13年4月18日出願)等を適用するとよい。もちろん、その他の種々の方法を適用してもよい。
【0040】
電極塗料の電極集電体への塗布は、公知の方法、例えば、エクストルージョンコート、グラビアコート、リバースロールコート、ディップコート、キスコート、ドクターコート、ナイフコート、カーテンコート、ノズルコート、スクリーン印刷等の塗布方法より行うことができる。
【0041】
本発明において、電極集電体としては、金属箔、金属シート、パンチィングメタル、金属網等が使用され、金属箔、パンチィングメタルが好適である。電極集電体の金属材料としては、特に制限されるものではなく、従来より電極集電体に使用されている各種の金属材料を使用することができる。このような金属材料としては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、鉄等が挙げられ、銅、アルミニウム等が好ましい。電極集電体の厚さは、通常1〜30μm、好ましくは5〜20μmである。
【0042】
電極塗料の塗布に続いて、乾燥を行い、溶剤を除去する。乾燥は常法により行うことができる。例えば、30〜150℃で、5〜15分間程度の乾燥を行う。このようにして、電極集電体の片面又は両面に電極活物質層が形成され、塗布区間S及び非塗布区間Nが電極集電体長さ方向に所定ピッチで形成されたシート状電極を得る。
【0043】
乾燥後、シート状電極を、本発明のロールプレス装置により圧延加工し、電極活物質層の厚さを薄くし且つ一定に整え、電極体積当たりの活物質の密度を高める。この際のプレス圧は、5〜1000kg/cm程度である。また、電極活物質層の厚さ(片面として)は、用途にもよるが、特に限定されることなく、40〜400μm程度である。
【0044】
圧延加工の後、シート状電極を所定の寸法に切断する。切断は、一般に、電極を製造流れ方向に沿って所定の幅にするスリット工程と、所望の長さにする裁断工程からなる。また、圧延加工に先立ってスリット工程を行い、スリット工程後に圧延加工を行うこともある。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
[実施例1:正極の製造]
下記組成のスラリー状の正極用塗料を調製した。
【0046】
(正極用塗料の組成)
正極活物質:コバルト酸リチウム 100重量部
導電剤:アセチレンブラック 6.7重量部
バインダー:ポリフッ化ビニリデン(PVDF) 4.4重量部
溶剤:N−メチルピロリドン(NMP) 73重量部
【0047】
まず、バインダー4.4重量部をNMP40重量部に溶解してラッカーを作製した。次に、導電剤6.7重量部とコバルト酸リチウム粉100重量部の混合粉に上記ラッカー44.4重量部を加えて混練し、その後、混練物にNMP33重量部を加えて、正極用塗料とした。
【0048】
次に、厚さ20μm、幅400mmのアルミニウム箔からなる電極集電体の片面にノズルコートにより上記正極用塗料を間欠的に塗布した後、80〜130℃の乾燥炉で乾燥して電極活物質層を形成した。塗布区間Sの集電体長さ方向長400mm、非塗布区間の集電体長さ方向長20mmとした。その後、アルミニウム箔の他面に同様の塗布操作を行って電極活物質層を形成した。これにより、電極集電体及び両面の電極活物質層の全体の厚さが350μmであるシート状電極Mを得た。
【0049】
得られたシート状電極を、図3及び図4に示された本発明のプレス装置を用いて加圧した。図3及び図4を参照して、直径420mmの金属製両ロール11、12 を用いた。加圧前の厚さ350μmのシート状電極を目標厚さ235mmに圧縮できるように、下ロール12の外周面左右両端部に、厚さ190μmの塩化ビニール製テープ(幅49mm)を貼付けて衝撃吸収用スペーサ18とし、シート状電極Mを加圧(負荷荷重:1000kg/cm、搬送速度:20m/分)し、電池用電極を製造した。
【0050】
[実施例2]
衝撃吸収用スペーサ18として、塩化ビニール製テープの代わりに、厚さ150μmのステンレス箔(幅50mm)を粘着剤で貼付けた以外は、実施例1と同様のプレス装置を用いて、実施例1と同様の加圧条件で、シート状電極Mを加圧し、電池用電極を製造した。
【0051】
[比較例1]
スペーサが取り付けられていない下ロール12を用いた以外は、実施例1と同様のプレス装置を用いて、実施例1と同様の加圧条件で、シート状電極Mを加圧し、電池用電極を製造した。
【0052】
実施例1、2及び比較例1で得られた電池用電極の非塗布区間の状態を観察した。実施例1、2では、非塗布区間の露出した電極集電体にダメージは見られなかった。一方、比較例1では、非塗布区間の露出した電極集電体にロールが衝突し、電極集電体が衝撃で破断した。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、シート状電極の活物質層が形成された塗布区間から電極集電体が露出した非塗布区間に移行する際に、電極集電体にロールが衝突することを防止でき、電極集電体がダメージを受けることがない。シート状電極の活物質層を所望の厚さに加圧・圧縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明において電池用電極等のシート状電極を製造するためのシート状電極Mを示す平面図である。
【図2】 本発明のプレス装置の一例の概略側面図である。
【図3】 本発明のプレス装置の一例の概略正面図である。
【図4】 スペーサの一例を具体的に示す説明図である。
【図5】 スペーサの他の一例を具体的に示す説明図である。
【図6】 スペーサのさらなる他の一例を具体的に示す説明図である。
【図7】 スペーサのさらなる他の一例を具体的に示す説明図である。
【符号の説明】
11:上ロール
12:下ロール
18:衝撃吸収用スペーサ
B:電極集電体
C:活物質層
M:シート状電極
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001259382A JP3934374B2 (ja) | 2001-08-29 | 2001-08-29 | シート状電極製造用プレス装置及びシート状電極の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001259382A JP3934374B2 (ja) | 2001-08-29 | 2001-08-29 | シート状電極製造用プレス装置及びシート状電極の製造方法 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003068286A JP2003068286A (ja) | 2003-03-07 |
JP2003068286A5 true JP2003068286A5 (ja) | 2005-05-19 |
JP3934374B2 JP3934374B2 (ja) | 2007-06-20 |
Family
ID=19086763
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001259382A Expired - Lifetime JP3934374B2 (ja) | 2001-08-29 | 2001-08-29 | シート状電極製造用プレス装置及びシート状電極の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3934374B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011181391A (ja) * | 2010-03-02 | 2011-09-15 | Nagano Automation Kk | 電池用の電極部材の加圧装置 |
JP5737617B2 (ja) * | 2011-04-01 | 2015-06-17 | 株式会社Ihi | 電極帯板の連続圧縮装置と方法 |
JP6154624B2 (ja) * | 2013-03-01 | 2017-06-28 | 株式会社ダイセル | 繊維シートの製造方法 |
KR101480137B1 (ko) * | 2013-04-01 | 2015-01-07 | (주)피엔티 | 시트 코팅 두께 조절 장치 |
-
2001
- 2001-08-29 JP JP2001259382A patent/JP3934374B2/ja not_active Expired - Lifetime
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102253785B1 (ko) | 전리튬화 장치, 이를 이용한 음극부의 제조 방법 및 음극부 | |
US7575606B2 (en) | Method for producing lithium ion secondary battery | |
EP1067612B1 (en) | Method of manufacturing electrode for non-aqueous electrolytic cell | |
US8163332B2 (en) | Electrode manufacturing apparatus and electrode manufacturing method | |
US20060006063A1 (en) | Method of manufacturing electrode and electrode | |
WO2020170543A1 (ja) | 非水電解質二次電池、および、それに用いる正極板の製造方法 | |
US8088444B2 (en) | Method and apparatus for applying electrode mixture paste | |
CN107112509B (zh) | 锂离子电池用电极的制造方法 | |
JP4043956B2 (ja) | 電池用電極板の製造方法 | |
JP3851195B2 (ja) | 電池用電極製造用乾燥装置及び電池用電極の製造方法 | |
JP2002313327A (ja) | 電極構造体の加圧方法 | |
JP4166973B2 (ja) | 電池用電極製造用プレス装置及び電池用電極の製造方法 | |
JP2014194882A (ja) | リチウムイオン電池の製造装置および製造方法 | |
JP3934374B2 (ja) | シート状電極製造用プレス装置及びシート状電極の製造方法 | |
JP2003068286A5 (ja) | ||
EP2800174A1 (en) | Method for producing electrode and method for producing non-aqueous electrolyte battery | |
JP4669641B2 (ja) | 電池電極切断装置 | |
JP2009252349A (ja) | 非水電解液二次電池用電極板とその製造方法 | |
JP2002361152A (ja) | 両面塗布装置及び電池用電極の製造方法 | |
EP1067613A1 (en) | Method of manufacturing electrode of nonaqueous electrolytic battery | |
US12021241B2 (en) | Electrode for secondary battery, secondary battery using the electrode and method for manufacturing thereof | |
JP3460267B2 (ja) | 電池電極巻回装置 | |
JP4318867B2 (ja) | 非水電解質電池用電極の製造に用いるスリッター装置及び非水電解質電池用電極の製造方法 | |
JP2001110456A (ja) | リチウム二次電池と捲回型電極体の作製方法 | |
JPH09213312A (ja) | 帯状部材のホットプレス装置 |