JP4318867B2 - 非水電解質電池用電極の製造に用いるスリッター装置及び非水電解質電池用電極の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質電池用電極の製造においてシート状物を所定の幅にスリットするためのスリッター装置に関する。また、本発明は、前記スリッター装置を用いた非水電解質電池用電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の各種OA機器、VTRカメラ、携帯電話等の電子機器の小型軽量化に伴い、これら電子機器の駆動電源として用いられる二次電池の小型軽量化や高性能化が要求されている。このような要求に答えるべく、高放電電位、高放電容量の非水電解質電池としてリチウムイオン二次電池の開発が急速にすすめられ、実用化されている。
【0003】
非水電解質電池の正極及び負極の各電極は、一般に、電極活物質をバインダーと混合して電極塗料(合剤)を調製し、電極集電体の片面又は両面上に電極塗料を塗布し、乾燥し、電極集電体の片面又は両面上に電極活物質層を有するシート状電極を形成し、その後、シート状電極を圧延加工し、所定の寸法に切断することにより製造されている。
【0004】
電池用電極製造における切断は、一般に、シート状電極を製造流れ方向に沿って所定の幅にするスリット工程と、所定幅とされた電極を所定の長さにする裁断工程とからなる。
【0005】
スリット工程における電池用電極の切断は、通常、シアー方式、ギャング方式等のスリッター装置により行われる。スリッター装置はよく知られ、複数の円形上刃が所定間隔で装着された回転軸と、複数の円形下刃が所定間隔で装着された回転軸とが、互いに平行に且つ上刃と下刃とが接触して所定の噛み合わせ深さが得られるような間隔で配設され、両回転軸を回転させることにより、剪断力でシート状物を所定の幅にスリットできるように構成されているものである。
シアー方式は、上刃として刃先角度85〜90°の厚み1mm未満の薄い丸刃を用いるものである。一方、ギャング方式は、上刃として刃先角度90°でシアー方式の上刃よりも厚い丸刃を用いるものである。
【0006】
スリッター装置は、切断対象シート状物を剪断力で切断するものであり、鋭利な刃で切断するものではない。そのため、従来のシアー方式やギャング方式の上刃を備えたスリッター装置を用いて、電極集電体の片面又は両面に電極活物質層が形成された電池用電極を切断すると、切断面に電極集電体のバリが発生する。これは、電極集電体面上に存在する電極活物質層によって切断刃からの切断荷重が分散され電極集電体に集中せず、このため金属からなる電極集電体に延びが生じ、この状態で集電体が切断されるので電極集電体にバリが発生すると考えられる。
【0007】
特にリチウムイオン二次電池用の負極電極では圧延銅箔が電極集電体として使用されているため、上記のような切断面における銅箔のバリや銅粉の発生が見られる。電極活物質層上まで突出するような大きな電極集電体のバリは、セパレーターを突き破り、電池内部で負極電極と正極電極とが短絡する等の不具合を生じていた。また、負極電極表面や負極電極エッジ部分に付着した銅粉も同様の不具合を引き起こすおそれがあり、切断工程後に銅粉除去のためのクリーニング工程が必要となっていた。その結果、製造工程の煩雑化を来たし、製造コスト低減の支障となった。
【0008】
特開平11−144713号公報には、刃先角度25°〜65°の上刃を備えるシアー方式の切断装置が記載されている。このような上刃を用いることによって、銅箔を電極集電体とする負極電極の切断においては、バリの発生を防止することが可能となった。
【0009】
しかしながら、上述のいずれの上刃を備えるスリッター装置によっても、アルミニウム箔を電極集電体とする正極電極の切断においては、バリの発生や上刃側面へのアルミニウムの融着が起こるという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、非水電解質電池用電極の製造におけるシート状電極の切断工程に用いるためのスリッター装置を提供することにある。また、本発明は、前記スリッター装置を用いた非水電解質電池用電極の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上刃の刃先角度のみならず、上刃の厚み及び刃先形状にも着目して鋭意検討し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、複数の円形上刃が所定間隔で装着された回転軸と、複数の円形下刃が所定間隔で装着された回転軸とが、互いに平行に且つ上刃の周縁部側面と下刃の周縁部側面とが接触して所定の噛み合わせ深さが得られるような間隔で配設され、両回転軸を回転させて剪断力でシート状物を所定の幅にスリットするためのスリッター装置において、
非水電解質電池用電極の製造におけるシート状電極の切断工程に用いるためのスリッター装置であって、
前記円形上刃は、断面に見て、下刃との所定の噛み合わせ深さd、上刃の厚みt、上刃の刃先角度θとすると、θは75°〜88°の範囲であり、tは1mm以上であることを特徴とする、非水電解質電池用電極の製造に用いるスリッター装置である。
【0013】
本発明は、前記円形上刃は、tanθ=t/dの関係が満たされるものである、前記のスリッター装置である。本発明は、下刃との所定の噛み合わせ深さdが200〜400μmである、前記のスリッター装置である。
【0014】
また、本発明は、電極活物質及びバインダーを含む電極合剤塗料を電極集電体上に塗布し、乾燥して、電極集電体の少なくとも片面に電極活物質層を有するシート状電極を形成し、その後、シート状電極を前記のスリッター装置を用いて切断する、非水電解質電池用電極の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明を説明する。図1は、本発明のスリッター装置の一例の要部概略を示す垂直断面図である。図2は、本発明のスリッター装置に用いられる上刃の刃先形状を示す垂直断面図である。図3は、本発明のスリッター装置に用いられる上刃と下刃の噛み合わせを示す垂直断面図である。図4は、本発明のスリッター装置によるシート状物の切断の様子を説明するための垂直断面図である。
【0016】
図1、図2及び図3を参照して、本発明のスリッター装置(1) において、回転軸(2) (軸線:(C2))に、丸刃である上刃(4) が所定間隔をおいて複数装着されている。隣り合う上刃(4) 同士の間には、前記回転軸方向に所定幅を有するスペーサー(3) が介在する。一方、回転軸(5) (軸線:(C5))に、丸刃である下刃(7) が所定間隔をおいて複数装着されている。隣り合う下刃(7) 同士の間には、前記回転軸方向に所定幅を有するスペーサー(6) が介在する。両回転軸(2)(5)は、互いに平行に且つ上刃(4) の周縁部側面(4a)と下刃(7) の周縁部側面(7a)とが接触して所定の噛み合わせ深さ(d) が得られるような間隔で配設されている。上刃(4) は、板バネ(8) によって、図における左方(図1、図3中の矢印)に付勢され、上刃(4) の周縁部側面(4a)と下刃(7) の周縁部側面(7a)とが常に接触して良好な噛み合わせが得られるように成されている。
【0017】
本発明において、前記上刃(4) は、下刃(7) との所定の噛み合わせ深さd、上刃(4) の厚みt、上刃(4) の刃先角度θとすると、θは75°〜88°の範囲であり、tは1mm以上である。
【0018】
刃先角度θが75°未満であると、アルミニウム集電体を切断するとアルミニウムの上刃(4) 側面への融着が起こり易くなる。また、上刃(4) にチッピング(刃欠け)が発生し易くなる。一方、刃先角度θが88°を超えると、電極活物質層への上刃(4) の侵入が不十分となり、電極集電体に延びが生じて切断面に電極集電体の大きなバリが発生したり粉体が生じることになる。刃先角度θは、好ましくは80°〜85°の範囲である。上刃の厚みtが1mm未満であると、従来のシアー方式と同様の問題が生ずる。
【0019】
本発明において、前記円形上刃は、tanθ=t/dの関係式が満たされるものであることが非常に好ましい。
通常、上刃(4) と下刃(7) との噛み合わせ深さdは200〜400μmとされることが多く、好ましくは250〜350μmである。
上刃(4) の厚みtは、tanθ=t/dの関係が満たされる値とすることが非常に好ましく、θ及びdにより変化するが、1mm以上12mm以下の値であり、好ましくは1.1mm以上5mm以下の値、より好ましくは1.7mm以上4mm以下の値である。
【0020】
本発明において用いられる非常に好ましい上刃(4) は、上記式tanθ=t/dを満たす刃先形状をしている。すなわち、図3に示すように、上刃(4) の刃先部の傾斜面(4c)は、下刃(7) の周縁部側面(7a)との接触面(4a)から、接触面(4a)とは反対側の面(4b)にわたって、下刃(7) の周端面(7c)と同じ水平高さ位置まで形成されている。
【0021】
上刃(4) の特徴的刃先形状によって、アルミニウム箔を電極集電体とする正極電極の切断においても、上刃側面へのアルミニウムの融着が防止され、電極集電体のバリの発生もない。もちろん、銅箔を電極集電体とする負極電極の切断においても、上刃側面への銅の融着がなく、電極集電体のバリの発生がない。
【0022】
図4を参照して、搬送されてきたシート状物(10)は、共に回転する上刃(4) と下刃(7) との噛み合わせ位置において、剪断力によって切断される。この際、上刃(4) の刃先部の傾斜面(4c)が、下刃(7) の周端面(7c)と同じ水平高さ位置まで存在するために、シート状物(10)をガイドする役割を果たし、従来の装置に比べ、よりスムーズ且つ的確な切断が達成される。切断により得られたシート状物(10)のストリップは、2つの切断面、すなわち上刃(4) の側面(4a)と接触した切断面(A) と、下刃(7) の側面(7a)と接触した切断面(B) を有する。上刃(4) の特徴的刃先形状によって、切断面(A) 及び切断面(B) のいずれの面においても、バリの発生がなく良好な切断が得られる。
【0023】
上刃(4) の材質は特に限定されるものではなく、例えば、ダイス鋼、ハイス鋼、超硬鋼等が挙げられる。これらのうち、アルミニウム箔を切断するためには、ダイス鋼が最も好ましく、ハイス鋼も好ましい。上刃と次に述べる下刃の材質が共に、ダイス鋼が最も好ましく、ハイス鋼も好ましい。
【0024】
下刃(7) は、特に限定されることなく、公知のものを用いることができる。例えば、下刃(7) の厚みは、5〜20mm程度であり、材質としては、上刃の材質として挙げたものを用いるとよい。
【0025】
本発明は、前記スリッター装置を用いた非水電解質電池用電極の製造方法にも関する。
本発明の方法においては、まず、電極活物質及びバインダーを溶剤と共に混合することによって、スラリー状の電極合剤塗料を調製する。この際、さらに必要に応じて導電剤や添加剤を加えることもある。
【0026】
電極活物質としては、従来より電極活物質として使用されているものであれば特に制限なく、各種の材料を使用することができる。
正極活物質としては、例えば、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な酸化物又は炭素材料を用いることができる。このような酸化物としては、リチウムを含む複合酸化物が挙げられ、例えば、コバルト酸リチウムLix CoO2 (0<x≦1.0)、マンガン酸リチウムLi1+x Mn2-x O4 (0≦x≦1/3)、ニッケル酸リチウムLix NiO2 (0<x≦1.0)などが挙げられる。これら酸化物粉末の平均粒子径は1〜40μm程度が好ましい。
【0027】
負極活物質としては、例えば、炭素質材料、リチウム金属、リチウム合金、スズ酸化物等の酸化物が用いられる。炭素質材料としては、特に制限されるものではなく、例えば、無定形炭素、アセチレンブラック、石油コークス、石炭コークス、人造黒鉛、天然黒鉛、グラファイト系炭素繊維、難黒鉛化炭素等を用いることができる。これらの中から、目的とする電池の特性に応じて、当業者が適宜選択することができる。
【0028】
電極塗料用のバインダーとしては、特に制限されるものではなく、従来より使用されている結晶性樹脂、非結晶性樹脂等の各種バインダーを使用することができる。例えば、バインダーとして、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリエチレンテレフタレートや、ポリフッ化ビニリデン(PVDF) 、ポリフッ化ビニル、フッ素ゴム等のフルオロカーボン系樹脂等を用いることができる。
バインダーは、電極活物質100重量部に対して、通常1〜40重量部、好ましくは2〜25重量部、特に好ましくは5〜15重量部の量で使用される。
【0029】
電極塗料用の溶剤としては、特に制限されるものではなく、電極塗料の調製する際に従来より使用されている各種の溶剤を使用することができる。例えば、N−メチルピロリドン(NMP)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、トルエン等が挙げられる。
【0030】
導電剤は、必要に応じて、電極活物質の電子伝導性を補足する目的等のため加えることができる。導電剤としては、特に制限されるものではなく、公知の各種導電剤を用いるとよい。例えば、アセチレンブラック、グラファイト、金・銀・銅微粒子等が挙げられる。
また、さらに炭酸リチウム、シュウ酸、マレイン酸等の公知の各種添加剤を加えることもできる。
【0031】
電極活物質、バインダー、導電剤、溶剤等の混合は、常法により行うことができる。例えば、ロールミル法により、乾燥空気下や不活性ガス雰囲気下で混合する。
【0032】
次に、得られたスラリー状の電極塗料を帯状の電極集電体上に塗布する。塗布は電極の目的に応じて、集電体の両面に行ってもよいし、片面のみに行ってもよい。また、集電体の両面に電極塗料を塗布する場合には、同時に両面に塗布して次の乾燥工程を行ってもよいし、片面に塗布して乾燥工程を行い、続いて他面に塗布して乾燥工程を行ってもよい。
【0033】
本発明において、電極集電体としては、金属箔、金属シート、パンチィングメタル、金属網等が使用され、金属箔、パンチィングメタルが好適である。電極集電体の金属材料としては、特に制限されるものではなく、従来より電極集電体に使用されている各種の金属材料を使用することができる。このような金属材料としては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、鉄等が挙げられ、銅、アルミニウム等が好ましい。電極集電体の厚みは、通常1〜30μm、好ましくは5〜20μmである。
【0034】
電極塗料の電極集電体への塗布は、公知の方法、例えば、エクストルージョンコート、グラビアコート、リバースロールコート、ディップコート、キスコート、ドクターコート、ナイフコート、カーテンコート、ノズルコート、スクリーン印刷等の塗布方法より行うことができる。
【0035】
電極塗料の塗布に続いて、乾燥を行い、溶剤を除去する。乾燥は常法により行うことができる。例えば、30〜150℃で、5〜15分間程度の乾燥を行う。このようにして、電極集電体の片面又は両面に電極活物質層が形成される。
【0036】
乾燥後、電極活物質層が形成された電極集電体を、ローラープレス機により圧延し、電極活物質層の厚みを薄くし且つ一定に整え、電極体積当たりの活物質の密度を高める。この際のプレス圧は、5〜1000kg/cm程度である。また、電極活物質層の厚みは、用途にもよるが、特に限定されることなく、40〜400μm程度である。
【0037】
圧延加工の後、シート状電極を所定の寸法に切断する。切断は、一般に、電極を製造流れ方向に沿って所定の幅にするスリット工程と、所望の長さにする裁断工程からなる。また、圧延加工に先立ってスリット工程を行い、スリット工程後に圧延加工を行うこともある。
【0038】
本発明においては、シート状電極の切断を上述したスリッター装置を用いて行う。このスリッター装置を用いることにより、銅箔を電極集電体とする負極電極の切断においてのみならず、アルミニウム箔を電極集電体とする正極電極の切断においても、上刃側面への金属の融着が防止され、電極集電体のバリの発生もない。
【0039】
スリット工程におけるシート状電極の搬送速度は5〜150m/分、シート状電極のテンションは1〜50kg/電極幅程度の範囲で設定することができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
[実施例1:正極の製造]
下記組成のスラリー状の正極用塗料を調製した。
【0041】
(正極用塗料の組成)
正極活物質:コバルト酸リチウム 100重量部
導電剤:アセチレンブラック 6.7重量部
バインダー:ポリフッ化ビニリデン(PVDF) 4.4重量部
溶剤:N−メチルピロリドン(NMP) 73重量部
【0042】
まず、バインダー4.4重量部をNMP40重量部に溶解してラッカーを作製した。次に、導電剤6.7重量部とコバルト酸リチウム粉100重量部の混合粉に上記ラッカー44.4重量部を加えて混練し、その後、混練物にNMP33重量部を加えて、正極用塗料とした。
【0043】
次に、厚さ20μmのアルミニウム箔からなる帯状電極集電体の片面にノズルコートにより上記の正極用塗料を塗布した後、80〜130℃の乾燥炉で乾燥して電極活物質層を形成した。その後、アルミニウム箔の他の面に、同様の塗布及び乾燥操作を行って電極活物質層を形成した。
乾燥工程後の正極をローラープレス機により圧延し、片面の電極活物質層の厚みが86μmであるシート状正極を得た。
【0044】
このシート状正極を図1に示すスリッター(噛み合わせ深さd=300μmに設定)によって、幅60mmにスリットして、正極を得た。
スリッターの上刃としては、図2を参照して、d=300μm、θ=85°、t=3.429mmであり、直径105mmのハイス鋼からなる上刃を用いた。シート状正極の搬送速度は20m/分とした。
【0045】
得られた電極の2つの切断面(A) 及び(B) を、電子顕微鏡(SEM)によって観察した。図5に、上刃(4) の側面(4a)と接触した切断面(A) のSEM写真(×1,000 倍)、図6に、下刃(7) の側面(7a)と接触した切断面(B) のSEM写真(×1,000 倍)を示す。いずれの切断面も、バリの発生も認められず良好であった。また、上刃側面へのアルミニウムの融着も認められなかった。
【0046】
[実施例2]
スリッターの上刃として、d=300μm、θ=80°、t=1.701mmであり、直径105mmのハイス鋼からなる上刃を用いた以外は、実施例1と同様にして、正極を得た。
図7に、切断面(A) のSEM写真(×1,000 倍)、図8に、切断面(B) のSEM写真(×1,000 倍)を示す。いずれの切断面も、バリの発生も認められず良好であった。また、上刃側面へのアルミニウムの融着も認められなかった。
【0047】
[実施例3]
スリッターの上刃として、d=300μm、θ=75°、t=1.120mmであり、直径105mmのハイス鋼からなる上刃を用いた以外は、実施例1と同様にして、正極を得た。
図9に、切断面(A) のSEM写真(×1,000 倍)、図10に、切断面(B) のSEM写真(×1,000 倍)を示す。いずれの切断面も、バリの発生も認められず良好であった。また、上刃側面へのアルミニウムの融着も認められなかった。
【0048】
[比較例1]
スリッターの上刃として、d=300μm、θ=90°、t=5.00mmであり、直径130mmのハイス鋼からなるギャング方式上刃を用いた以外は、実施例1と同様にして、正極を得た。
図11に、切断面(A) のSEM写真(×1,000 倍)、図12に、切断面(B) のSEM写真(×1,000 倍)を示す。切断面(A) では表層部にバリの発生があった。また、上刃側面へのアルミニウムの融着が認められた。
【0049】
[比較例2]
スリッターの上刃として、d=300μm、θ=15°、t=1.00mmであり、直径105mmのハイス鋼からなる上刃を用いた以外は、実施例1と同様にして、正極を得た。
図13に、切断面(A) のSEM写真(×1,000 倍)、図14に、切断面(B) のSEM写真(×1,000 倍)を示す。切断面(B) では表層部にバリの発生があった。
【0050】
[実施例4:負極の製造]
下記組成のスラリー状の負極用塗料を調製した。
【0051】
(負極用塗料の組成)
負極活物質:グラファイト 100重量部
導電剤:アセチレンブラック 3.5重量部
バインダー:ポリフッ化ビニリデン(PVDF) 11.5重量部
溶剤:N−メチルピロリドン(NMP) 156.4重量部
【0052】
まず、バインダー11.5重量部をNMP132重量部に溶解してラッカー143.5重量部を作製した。次に、アセチレンブラック3.5重量部とグラファイト100重量部の混合粉にNMP24.4重量部と上記ラッカー143.5重量部を加えてよく混合し、負極用塗料とした。
【0053】
次に、厚さ18μmの圧延銅箔からなる帯状電極集電体の片面にノズルコートにより上記の負極用塗料を塗布した後、90℃〜130℃の乾燥炉で乾燥して電極活物質層を形成した。その後、銅箔の他の面に、同様の塗布及び乾燥操作を行って電極活物質層を形成した。
乾燥工程後の負極をローラープレス機により圧延し、片面の電極活物質層の厚みが75μmであるシート状負極を得た。
【0054】
このシート状負極を、実施例1で用いたのと同じ上刃が装着されたスリッターによって、幅60mmにスリットして、負極を得た。得られた電極の2つの切断面(A) 及び(B) を、電子顕微鏡(SEM)によって観察した。いずれの切断面も、バリの発生も認められず良好であった。また、上刃側面への銅の融着も認められなかった。
【0055】
【発明の効果】
本発明のスリッター装置は、非水電解質電池用電極の製造におけるシート状電極の切断工程に好適に用いられる。このスリッター装置を用いることにより、銅箔を電極集電体とする負極電極の切断においてのみならず、アルミニウム箔を電極集電体とする正極電極の切断においても、上刃側面への金属の融着が防止され、電極集電体のバリの発生もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のスリッター装置の一例の要部概略を示す垂直断面図である。
【図2】 本発明のスリッター装置に用いられる上刃の刃先形状を示す垂直断面図である。
【図3】 本発明のスリッター装置に用いられる上刃と下刃の噛み合わせを示す垂直断面図である。
【図4】 本発明のスリッター装置によるシート状物の切断の様子を説明するための垂直断面図である。
【図5】 実施例1で得られた正極電極の切断面(A) の写真である。
【図6】 実施例1で得られた正極電極の切断面(B) の写真である。
【図7】 実施例2で得られた正極電極の切断面(A) の写真である。
【図8】 実施例2で得られた正極電極の切断面(B) の写真である。
【図9】 実施例3で得られた正極電極の切断面(A) の写真である。
【図10】 実施例3で得られた正極電極の切断面(B) の写真である。
【図11】 比較例1で得られた正極電極の切断面(A) の写真である。
【図12】 比較例1で得られた正極電極の切断面(B) の写真である。
【図13】 比較例2で得られた正極電極の切断面(A) の写真である。
【図14】 比較例2で得られた正極電極の切断面(B) の写真である。
【符号の説明】
(1) :スリッター装置
(2) :回転軸
(3) :スペーサー
(4) :上刃
(4a):上刃(4) の周縁部側面
(t) :上刃(4) の厚み
θ:上刃(4) の刃先角度
(d) :噛み合わせ深さ
(5) :回転軸
(6) :スペーサー
(7) :下刃
(7a):下刃(7) の周縁部側面
(8) :板バネ
Claims (4)
- 複数の円形上刃が所定間隔で装着された回転軸と、複数の円形下刃が所定間隔で装着された回転軸とが、互いに平行に且つ上刃の周縁部側面と下刃の周縁部側面とが接触して所定の噛み合わせ深さが得られるような間隔で配設され、両回転軸を回転させて剪断力でシート状物を所定の幅にスリットするためのスリッター装置において、
非水電解質電池用電極の製造におけるシート状電極の切断工程に用いるためのスリッター装置であって、
前記円形上刃は、断面に見て、下刃との所定の噛み合わせ深さd、上刃の厚みt、上刃の刃先角度θとすると、θは75°〜88°の範囲であり、tは1mm以上であることを特徴とする、非水電解質電池用電極の製造に用いるスリッター装置。 - 前記円形上刃は、tanθ=t/dの関係が満たされるものである、請求項1に記載のスリッター装置。
- 下刃との所定の噛み合わせ深さdが、200〜400μmである、請求項1又は2に記載のスリッター装置。
- 電極活物質及びバインダーを含む電極合剤塗料を電極集電体上に塗布し、乾燥して、電極集電体の少なくとも片面に電極活物質層を有するシート状電極を形成し、その後、シート状電極を請求項1〜3のいずれか1項に記載のスリッター装置を用いて切断する、非水電解質電池用電極の製造方法。
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