JP2003065906A - 液体の移動装置と液体の成分分析装置ならびにそれらの製造方法 - Google Patents

液体の移動装置と液体の成分分析装置ならびにそれらの製造方法

Info

Publication number
JP2003065906A
JP2003065906A JP2001304177A JP2001304177A JP2003065906A JP 2003065906 A JP2003065906 A JP 2003065906A JP 2001304177 A JP2001304177 A JP 2001304177A JP 2001304177 A JP2001304177 A JP 2001304177A JP 2003065906 A JP2003065906 A JP 2003065906A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
groove
substrate
liquid component
component analyzer
flow path
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001304177A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiro Horiike
靖浩 堀池
Akio Oki
明男 沖
Zen Takamura
禅 高村
Yoki Ogawa
洋輝 小川
Jun Kikuchi
純 菊地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2001304177A priority Critical patent/JP2003065906A/ja
Publication of JP2003065906A publication Critical patent/JP2003065906A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)
  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】安価に血液分析装置を含む液体の成分分析装置
を提供するために樹脂基板を用いた場合、その表面のゼ
ータ電位が低いために血液等を移動させるために用いる
電気浸透流ポンプの能力が低下してしまう。また人に危
害のないような低電圧駆動の高性能な当該ポンプが切望
されていた。 【解決手段】材質の異なる複数の基板を組み合わせてこ
れらを一体化し、液体の成分分析装置を構成する。また
同一種類の基板でも表面処理を施す。また微細な溝群を
絶縁体あるいは絶縁体被覆を施した基板上に構成し、低
電圧駆動のポンプを実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石英板や高分子板
などの絶縁材基板に作製した超小型の溝流路によって構
成されたマイクロキャピラリと呼ばれているチップ装置
とその製造方法と、当該キャピラリ内に電解質溶液を移
動させるために低い電圧で駆動させるポンプ装置および
その製造方法に関する。特に微量(1マイクロリットル
以下)の血液などの電解質溶液をキャピラリ内に注入
し、これをキャピラリ中のバイオセンサー上に移動さ
せ、その成分分析測定を行い、血液の場合にはこの測定
結果から人間の健康状態を診断する検査診断機構及び装
置と電解質溶液を移動させる電気浸透流ポンプ装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来の健康や疾病状態は、数ccの多量
の血液を採取し、その分析に大規模な自動血液分析装置
で得た測定値より診断されてきた。しかし、近年、極度
に進歩した半導体装置作製に用いられる微細加工技術を
応用し、たかだか数mmから数cm四方のチップ上に種
々の分析器、分析装置を配置して、そこに被験者の血液
などの体液を導き、被験者の健康状態を瞬時に把握する
ことができる新しいデバイスの開発とその実用化の気運
が高まってきている。これはこのような安価なデバイス
の出現により、来たるべき高齢化社会において老人の日
々の健康管理を在宅で可能にすることなどで増加の一途
を辿る健康保険給付金の圧縮を図れることや救急医療の
現場においては被験者が感染症(肝炎、後天性免疫不全
症など)などを保持しているか否かを本デバイスを用い
て迅速に判断できれば適切な対応ができるなど、種々の
社会的な効果が期待されるために非常に注目されつつあ
る技術分野である。
【0003】通常、このような自動分析装置は、病院な
どの医療機関に設置されており、規模が大きく、また、
その操作は専門の資格を有するものに限られるのもであ
った。ところが、近年、このような自動分析装置に替わ
って、血液分析を各家庭で自らの手で実施することを目
指した小型簡便な血液分析方法ならびに血液分析装置が
開発されている(特願2000−120189)。
【0004】図1にこのような血液分析装置の一例を示
す。101は基板であり、以下に示す本装置の各手段は
マイクロキャピラリによって構成される。102は血液
の採取手段である。103は中空の針であり、採取手段
に付属する。この針を体内に刺して基板内への血液の取
り入れ口とする104、105は電極であり、この電極
間に印加した電圧のため生じる電気浸透流による吸引力
によって、体内より基板内に血液を取り入れる。106
は血液の濾過手段であり、血液の流れの上流から下流に
向かって、次第に間隔の狭くなる複数のスリットを有す
る。このスリットにより、血液中の赤血球、白血球、リ
ンパ球、血小板を濾過して取り除き、濾過手段の下流側
に血漿を得る。107は分離手段であり、例えばU字型
のマイクロキャピラリからなる。採取した血液を濾過し
て得られる血漿をこのU字型のマイクロキャピラリに導
いた後、本基板を遠心分離器により一定方向に加速度を
加えることによって、U字部に血漿より凝固因子を分離
除去した血清が得られる。108は分析手段であり、血
液中のpH値、酸素、二酸化炭素、ナトリウム、カリウ
ム、カルシウム、グルコース、乳酸などの各濃度を測定
するためのセンサを有する。109は採取手段、濾過手
段、分離手段、分析手段のそれぞれを接続する流路手段
であり、基板をエッチングして製作したマイクロキャピ
ラリからなる。110はマイクロキャピラリ中で血液を
電気浸透流により移動させるための移動手段である。1
11は分析手段から情報を取出すための出力手段であ
り、電極などから構成される。112は、以上の採取手
段、濾過手段、分離手段、分析手段、移動手段、出力手
段を必要に応じて制御するための制御手段である。図示
していないが、基板上のマイクロキャピラリ内に血液を
保持しておくための保持手段を有し、この板は基板10
1に接着あるいは圧着されている。
【0005】採取手段102により採取された血液は、
濾過手段104にて濾過され血漿となり、さらに分離手
段105にて凝固因子を分離除去して血清が得られ、こ
れを分析手段においてpH値、酸素、二酸化炭素、ナト
リウム、カリウム、カルシウム、グルコース、乳酸など
の各濃度を測定する。各手段間の血液の移動は、電気泳
動法を用いた移動手段110により行う。
【0006】このような血液分析装置の基板には石英な
どのガラス材料が用いられることが多かったが、装置を
大量にまた費用を抑えて製作するのにより適するものと
して、樹脂素材が用いられるようになってきている。
【0007】また、図1で述べた移動手段110は、超
小型マイクロキャピラリチップに血液を引き込んだり、
バイオセンサーの校正用の溶液を導入するために用いら
れ、超小型で且つ低電力駆動のポンプで構成される。従
来の超小型ポンプは、マイクロマシーン技術によってダ
イヤフラムをピエソ素子で駆動したものが主であるが、
その他、キャピラリ内にメッシュ電極を入れ、これに高
DC電圧を印加して電解質溶液中の電荷を有する分子を
駆動して溶液を移動させるものや、キャピラリ内に電極
アレーを挿入して、それに位相シフトさせながら矩形波
の電圧を印加して、電解質溶液を移動させるものなどが
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】樹脂素材を基板として
用いた場合には、血液血清成分要素を含むほぼ中性の溶
液を浸したときの表面の界面動電位(ゼータ電位)の絶
対値が比較的低いために、電気浸透流を利用する移動手
段110におけるポンプ作用の能力が低下するとういう
問題が生じている。一方では、採取手段102、濾過手
段106、分離手段107、分析手段108、流路手段
109の全血あるいは血清が接触する部分ではたんぱく
質や血球の付着を抑えるために生体適合性を有する有機
材料、例えばMPC(2 methacryloylo
xyethylphorylcholine)ポリマ
ー、ポリエチレングリコール(PEG)の直鎖を表面に
有する高分子ミセルなどを表面に被覆する必要がある。
これらの生体適合膜の効果については既に特願2000
−116091において述べられている。
【0009】これらの問題を解決するために、特願20
00−116091においては図1に示したような同一
樹脂基板上の種々の手段中の採取手段102、濾過手段
106、分離手段107、分析手段108、流路手段1
09の表面は生体適合性を有する有機材料で被覆し、そ
の一方で移動手段110の表面は中性の電解質溶液を浸
したときの表面のゼータ電位の絶対値が大きい材料、例
えば珪素酸化物で部分的に被覆したり、プラズマ処理に
よって当該移動手段表面を構成する樹脂の改質を図りゼ
ータ電位の絶対値を向上させる方法が示されている。し
かしこれらの方法の場合、所望の部位に所望の材料の被
覆あるいは表面改質を行う必要があるが、もともと基板
上の各々の手段の大きさがマイクロメートルのオーダー
であるため精度良くこのような表面の被覆の仕分けや表
面処理を行うことが難しいという問題があった。
【0010】また従来用いられている超小型ポンプのダ
イヤフラム駆動は複雑な構造であり、ダイヤフラムに寿
命もあり、材質によっては血液や電解質溶液を汚染させ
ることも懸念される。また、その他の溶液を移動させる
部位に電極を設けることは製作上そう容易でなく、同じ
汚染の問題もある。本発明が目指す在宅で健康状態を診
断できるチップは使い捨てが可能な安価なものでなけれ
ばならないが、従来の方法は安価とは云えず、更に高電
圧や高周波を必要とするため、人が在宅で使用するには
安全とは云えない。本発明の目的は、微量血液を極細針
を用いてマイクロキャピラリチップに注入するために、
構造が簡単で、且つ低電圧駆動で強力に電解質溶液を移
動させることができる電気浸透流ポンプ装置を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上で述べたような従来技
術の所望の部位に所望の材料の被覆あるいは表面改質を
行う際の問題点は、同一の基板上に様々な手段を形成
し、これらの表面の一部に適宜必要な表面処理を施して
いることから派生したものである。本発明の発明者らは
必要な表面処理ごとに多く手段をの分け、それらごとに
用いる基板を変えてこれらの手段をそれぞれ形成し、必
要な表面処理を施した後にこれらの基板を貼り合わせて
一体化し、血液分析装置を構成すればよいと考えた。例
えば図1においては採取手段102、濾過手段106、
分離手段107、分析手段108、流路手段109等の
手段と、移動手段110を各々異なる基板上に独立に作
製し、しかるべき表面被覆や表面改質などをそれぞれの
基板に対して施した後に両者を貼り付け一体化する。こ
のようにすることによって表面被覆や表面改質を従来の
ように局所的に行う必要がなくなり、特殊な手間の必要
とされる被覆あるいは改質装置および方法が必要とされ
ないという利点がある。
【0012】具体的にはまず、移動手段110以外の採
取手段102、濾過手段106、分離手段107、分析
手段108、流路手段109等の手段は廉価な樹脂製の
基板上に形成する。このときこれら手段を構成する表面
の少なくとも一部はMPCポリマー等の生体適合性を有
する材料で被覆しておく。一方、移動手段110は前述
の樹脂製基板よりも表面積の小さい基板上に形成する。
このとき少なくとも移動手段110を構成する表面の少
なくとも一部は、中性領域の電解質溶液を浸したときに
ゼータ電位の絶対値が、前述の樹脂製基板上に形成した
種々の手段の表面のそれよりも高い材料で構成される。
そしてこれらの樹脂製の基板と移動手段110が形成さ
れている基板を貼り合わせて一体化する。このとき樹脂
基板上の分析手段108と、当該樹脂基板より表面積の
小さい基板上の移動手段110との間には流路が確実に
接続されている。以上のようにすることによって、採取
手段102、濾過手段106、分離手段107、分析手
段108、流路手段109等の手段においては血液成分
に含まれるタンパク質や種々の血球などの付着が抑制さ
れて、血液血清成分は滞りなくこれらの手段を通過する
ことができ、また、移動手段110の表面の少なくとも
一部は、中性領域の電解質溶液を浸したときにゼータ電
位の絶対値が、前述の樹脂製基板上に形成した種々の手
段の表面のそれよりも高い材料で構成されることから、
電気浸透流を移動手段として用いる場合、低い電極間電
位で高い引き込み、あるいは押し出し能力を得ることが
できる。
【0013】また、本発明の一部の基となる電気浸透流
の原理を図2を用いて簡単に説明する。201は石英板
であり、石英表面202は通常水酸基で覆われている
が、電解質溶液203を石英製キャピラリ204に注入
すると、水素イオンが電解質溶液中に移動し、その結
果、石英の表面には負の電荷205が生じ、電解質溶液
中のカチオン(陽イオン)206が表面に移動し、ヘル
ムホルツの電気二重層207を生じる。この電位をゼー
タ電位と呼び、その電位の大きい方が電気浸透流が大き
く、石英は特にその電位が高い。そこで、キャピラリの
両端に正208と負209の高電圧を印加すると、その
カチオンが負電圧側に流れ、その粘性流210により電
解質溶液自体が負電圧方向に移動する現象が電気浸透流
である。従って、このような石英製キャピラリを流路の
一部に接続し、キャピラリの両端にのみ電圧を印加し
て、流路共に電解質溶液で満たすと、そのキャピラリに
流れる電気浸透流によって流路全体に電解質溶液を移動
させることができる。この石英製キャピラリに相当する
ものが電気浸透流ポンプと呼んでいる。しかし、図2の
ような流路の一部に電圧を印加するだけでは、電解質溶
液を移動させるためには、従来、数百から数kVも必要
であった。一方、電気浸透流ポンプ能力に相当する電解
質溶液を移動させる圧力は、キャピラリの断面にほぼ反
比例するので、カチオンの付着を増すために幅が広く、
溶液は流れ易くするために長さは短く、ポンプ部分のみ
に高電界が印加させるために狭いギャップの構造が必要
になる。
【0014】
【発明の実施の形態】図3に本発明に基づく装置の概略
図を示す。図中で図1と同じものは、図1と同じ番号で
示す。採取手段102、分離手段107、分析手段10
8、流路手段109等の手段は樹脂基板A303と樹脂
基板B304の間に形成され、これらの表面はMPCポ
リマーで被覆しておく。一方、移動手段110は基板A
306と基板B307の間に形成され、少なくとも当該
移動手段の表面の少なくとも一部は中性領域の電解質溶
液を浸したときにゼータ電位の絶対値が、前述の樹脂製
基板上に形成した種々の手段の表面のそれよりも高い材
料で構成される。これは基板自体にこのようにゼータ電
位の高い材料を用いても良いし、基板に安価な樹脂を用
いてその表面をゼータ電位の高い材料で被覆しても良い
し、表面改質処理によりゼータ電位を向上させても良
い。このような処理を施した後に樹脂基板A303と樹
脂基板B304、および基板A306と基板B307を
貼り合わせて一体化する。このとき流路接続部302に
おいては樹脂基板A303と基板B307に貫通させた
孔を合致させながら貼り合わせることで分析手段108
と移動手段110の間の流路を接続することができる。
【0015】図4に本発明の電気浸透流ポンプの構造の
概略図を示す。401は石英板などの絶縁材板、または
珪素基板であり、402はマイクロキャピラリとなる溝
流路であり、その一部に403の多数本からなる深い溝
群を形成し、404と405は其々注入口と放出口であ
る。珪素基板の場合は、まず402と403を加工形成
後、酸化する。図5は、図4で示した溝が形成された基
板の蓋501であり、石英基板、または珪素基板を酸化
したものである。401と501を接着する。502と
503は其々404と405に対応して、電解質溶液の
注入口と放出口用の孔であり、504と505は其々電
極であり、線状の白金などの金属やAg/AgCl電
極、または金属薄膜である。
【0016】次に、図4に構造において本発明のポンプ
作用を起す様子を、図6を用いて説明する。まず、電解
質溶液が流れる溝流路全体601の一部に、溝幅は狭
く、深さは溝流路と同じ深さで、その溝を多数本設けた
溝群602を形成する。そして、溝流路全体に電解質溶
液を満たし、この複数本溝群の両側に、603と604
の電極から電圧を印加すると、この溝群以外の605と
606ではイオンが流れ易く、溝群の部分602では流
れ難く、抵抗は極めて高くなる。従って、溝群の両端に
印加電圧の大部分が集中し、その結果、図6に示すよう
に電界607は、溝群内の狭い溝ギャップには高電界が
印加されることになるので、溝に付着したカチオンが印
加した電圧が低くても移動し易くなる。
【0017】
【実施例】〔第一の実施例〕図2において樹脂基板A,
B,Cの材料としてポリエチレンテレフタレート(PE
T)を用い、また基板材料A,Bの材料として石英を用
いて、それぞれの基板上に採取手段102、分離手段1
07、分析手段108、流路手段109等の手段と電気
浸透流を用いた移動手段110を形成し、PET基板上
の各手段の表面にはMPCポリマーを被覆した後に、P
ET基板と石英基板を貼り合わせ一体化し、血液分析装
置を構成する。移動手段内のみにリン酸緩衝液を満た
し、電気浸透流を用いて、実際に採取手段102から血
液を引き込み、分離手段107で血清血球分離を行い、
血清成分を分析手段に導くことを試みたところ血液およ
び血液成分の移動が問題なく、石英基板のみを用いて作
製した場合よりも短時間に行えることを確認した。石英
基板のみの場合よりも短時間に移動させることができる
のは、図1の採取手段102、分離手段107、分析手
段108、流路手段109のみにMPCポリマーを被覆
する工程で、わずかながらMPCポリマーを含む溶媒が
移動手段110まで浸透し、ここが一部MPCポリマー
で被覆されてしまいゼータ電位が低下したためであると
考えられる。このように本発明によって必要な表面状態
によって用いる基板を複数にすることでこのような表面
処理に伴う問題を抑制しながら液体の移動手段を含む分
析装置を安価に作製することができる。また、珪素基板
を熱酸化して計粗餐下層が形成されている表面に移動手
段110を形成し、これと採取手段102、分離手段1
07、分析手段108、流路手段109等の手段を形成
したPET基板と貼り付け一体化した場合においてもほ
ぼ同じ様な良好な結果が得られた。
【0018】〔第二の実施例〕第一の実施例中で用いた
石英基板の代わりに安価なプラスチックであるPETを
基板として用い、これに移動手段を形成した後、この内
壁表面への珪素酸化膜被覆を目的に、移動手段内に珪素
を構成元素として含む分子としてTEOS(テトラエト
キシシラン、Si(OC)、また酸素を構成
元素として含む分子として酸素を希釈剤としてのヘリウ
ム(He)とともに導入し、移動手段の基板外側に電極
を設置して、これに高周波(周波数:13.56MH
z)を5W印加して、移動手段内大気圧下でマイクロプ
ラズマを生成した。本処理を1分間行った後に、採取手
段102、分離手段107、分析手段108、流路手段
109を形成したPET基板と貼り合わして一体化し、
血液分析装置を形成する。実際に採取手段102から血
液を引き込み、分離手段107で血清血球分離を行い、
血清成分を分析手段に導くという、血液および血液成分
の移動が問題なく行えることを確認した。また同様に移
動手段内にヘリウムで希釈した酸素ガスを導入し、マイ
クロプラズマ処理を施した後においてもTEOSを導入
して内壁に珪素酸化膜を被覆した場合とほぼ同等の血液
および血液成分の移動特性が得られた。これは内壁表面
が酸素プラズマにより酸化されるような表面改質処理に
よって表面を構成する分子が分極した結果、高いゼータ
電位が得られたことによると考えられる。さらにPET
の代わりにやはり安価なプラスチック材料であるポリカ
ーボネイト(PC)を用いた場合にも、PETのときと
同様に良好な結果が得られた。
【0019】〔第三の実施例〕図4に示したような電気
浸透流ポンプを作製し、性能を調べた。作製法は、石英
板と珪素基板を用い、石英板の場合は、石英板表面にク
ロム(Cr)膜を1.5μmの厚さでスパッタ堆積し
た。珪素の場合は、珪素基板を1000℃でウェット酸
化して、800nmの熱酸化膜を形成した。石英板の場
合はCr膜上、珪素の場合は酸化膜上に、電子ビームレ
ジスト(ZEP7000)を約700nmスピン塗布
し、電子ビーム描画機でパターンを形成した。それをマ
スクに、Cr膜の場合は、塩素+30%酸素の混合ガス
をICP(誘導結合プラズマ)を1巻きアンテナ型に1
3.56MHzの高周波電力を500kWで投入し、ア
ンテナから19cmの下流の位置でDCバイアス印加用
に13.56MHzの高周波と結合した水冷基盤にウェ
ハを載置して、120eVのイオンエネルギでCr膜を
エッチングした。このCr膜をマスクに、C+7
0%SFのICPを用いて下地の石英基板をエッチン
グした。
【0020】熱酸化膜の場合は、C+40%H
を用い、ICPの1巻きアンテナに13.56MHzの
高周波電力を600kWで投入し、DCバイアス印加用
に13.56MHzの高周波と結合した水冷基盤にウェ
ハを載置して、300eVのイオンエネルギでこのレジ
ストマスクでエッチングした。レジストを除去後、酸化
膜をマスクにして下地のSi基板を改良ボッシュ法でエ
ッチングした。通常のボッシュ法は、(1)SFなど
のプラズマでSiを等方性形状にエッチング、(2)C
HFなどのプラズマにより等方性形状の内壁にフロロ
カーボン膜を堆積、(3)アルゴンプラズマ中で基盤に
高周波バイアスを印加して、Arイオンを衝撃し、底
面の堆積膜のみを除去の一サイクルを多数回繰り返し
て、Si基板の深堀(ディープ)エッチングを行うが、
Arイオンにより熱酸化膜がスパッタエッチングさ
れ、耐マスク性が悪るかった。そこでこの改良として、
図7にその工程を示すように、まず(1)珪素酸化膜7
01をマスクにしてSFを用いたRIE(反応性イオ
ンエッチング)を行うと、アンダーカット702が生じ
るが、底部703はアンダーカット量より多くエッチン
グされる。ここで、704は珪素基板である。(2)C
+20%Hを用いて浮遊電位でフロロカーボン
膜705を溝内に均一に堆積させる。(3)再び(1)
のプロセスにより底部堆積膜を除去する同時に、下地の
珪素基板704をエッチングする。(4)Oプラズマ
により溝内堆積膜を除去する。この工程から成る一サイ
クルを多数回繰り返し、珪素基板を深くエッチングす
る。しかし、703のアンダーカットに起因して、本質
的に溝側壁に波状形状が発生する。そこで、CF+3
00%Oを用いた2.45GHzのマイクロ波放電で
生じたフッ素原子と過剰な酸素原子によってダウンフロ
ーでこの溝を処理して、波状形状の平滑化を行う。当該
プロセス後、珪素の溝を含む全表面を酸化する。その
際、Oを用いたドライ酸化では、図8(イ)に示すよ
うに、溝の開口部には酸化膜が盛り上がって形成される
が、蒸留水の蒸気と酸素の混合ガスや、酸素と水素の混
合ガスのパイロジェニック反応にって生じた水を高温の
電気炉に導入して珪素を酸化するウェット酸化法を用い
ると、図8(ロ)に示すように溝内が均一に酸化される
事が判明した。
【0021】こうして形成した珪素溝を1000℃で1
0分と13分の二種類のウェット酸化をした。この溝流
路と溝群から成るチップと、電極孔を超音波ドリルで開
けた石英板とを1%フッ酸溶液中に浸漬して、1.3M
paの圧力を24時間印加して接着した。これはフッ酸
ボンディングと呼んでいる。石英基板の場合は、1μm
以下の幅の深溝の製作は困難だったので、図9は、珪素
基板に製作した電気浸透流ポンプを用いて性能を調べた
ときの構成図を示す。幅0.5mm、深さ10μmの溝
流路901の両側の直径1.5mmの電極孔にAg/A
gCl電極902と白金電極903を設け、その間の
0.5mm×0.5mm領域に、0.85μm(a)と
0.6μm(b)の二種類のギャップ、深さ10μmの
SiO/Si溝を316列に設けた溝群ポンプ部90
4を作製した。902のAg/AgCl電極には、+電
圧を印加し、903の白金電極には−電圧を印加した。
Ag/AgCl電極を用いた理由は、低電圧の印加では
電解質溶液を電気分解して水素を発生する現象が無いか
らである。従って、電解質溶液の流れは902から90
3に向かって流れるので、902の孔からの空気の流入
を防ぐため、Ag/AgCl電極を挿入後、接着剤で孔
を封じた。902と903の孔の間隔は3mmであり、
結局3mm×10μm×0.5mmの容積の電解質溶液
を負荷として移動させた。電解質溶液としては、イオン
強度が1/10、pHが7.4のPBS(リン酸緩衝
液)を用いた。当該ポンプを用いて、血液を905の注
入口からキャピラリ906に引き込み、参照電極907
とバイオセンサー、例えばISFET(イオン敏感電界
型トランジスタ)908により健康マーカーを測定する
際、ISFETのゲート絶縁膜の静電破壊や当該ポンプ
に印加した電位の影響を防ぐためには、902のAg/
AgCl電極は接地電位にする。
【0022】図10は、この珪素基板製のポンプを用
い、流量(ナノリットル/秒)と印加電圧の関係を示
す。(a)は、溝間のギャツプが0.85μmの場合で
あり、10Vまではほぼ線形的に流量が増加し、その後
飽和の傾向を示した。これは、Siを酸化した膜の厚さ
が200nmなので、10Vの印加でその酸化膜には5
×10V/cmの電界が印加されたため、酸化膜の電
流リークか一部の絶縁破壊が生じ、印加電圧が低下した
ためと考えられる。しかし、10Vの電圧で前記容積の
PBSが0.5ナノリットル/秒の流速が得られ、これ
は、水を25mmの高さに押し上げる力がある。耐圧劣
化は酸化膜厚を厚くすることで改善でき、(b)は、溝
間のギャツプが0.6μmの場合であり、耐圧と流量の
両方とも向上している。この溝群型を縦型と呼ぶと、比
較として、図10中に幅1mm、長さ100μm、ギャ
ップ0.85μm平板型と呼ぶ構造の電気浸透流ポンプ
を石英板にドライエッチング加工して作製した結果を
(c)として示した。その結果、同じギャップの0.8
5μmの場合のポンプ力を比較すると、縦型は平面型と
比べて10Vの印加電圧で約10倍優れていると考えら
れる。
【0023】〔第四の実施例〕図4の縦型の平面部も利
用するため、縦型と図10中に示した平板型を組み合わ
せた構造のものを図11に示す。この場合、電解質溶液
は紙面と垂直方向に流れる。1101は溝流路と溝群を
形成する石英などの絶縁板や珪素基板、1102は溝
群、1103は石英などの絶縁板や珪素基板であり、そ
の一部に平板の溝1104が加工されている。珪素基板
の場合は前述同様、酸化を行う。1101と1103の
基板の接着には前述のフッ酸ボンディングを行う。当該
構造により、図2の単なる溝型に比べて約10%のポン
プ力を増加させることができた。
【0024】図12は、本実施例の変形であり、はじめ
に石英板のような絶縁材基板や珪素基板に、平板型の溝
1201を形成し、その中に多数本溝群1202を形成
止、絶縁材基板1203で蓋をする。効果は図9の構造
と同じであった。
【0025】〔第五の実施例〕図13は、更にポンプ力
を増すため、図4に示した多数本溝群を複数個にして間
隔をあけて直列に接続した構造を示す。1301は溝流
路、1302と1303は電極孔、1304は溝群、1
305は血液などを引き込む負荷としてのキャピラリ流
路である。複数個の当該溝と同じ長さの溝を用いてもポ
ンプ力は当然向上するが、イオン電流がこのような長い
溝を流れると、ジュール加熱が起こり、ポンプが破損し
たり、細い溝に異物が詰まることがある。従って、これ
らの問題は、溝構造を分割し、直列にすることで解決で
きた。
【0026】〔第六の実施例〕図14は、ポンプ力の向
上を目指し、図4の溝構造において、溝群の溝数を増
し、更に図10と同様直列に間隔をあけて接続したポン
プ構造を示す。1401は溝流路、1402と1403
は電極孔、1404は溝数を増した溝群、1405は1
401の溝流路から1404の多数本溝群へ電解質溶液
がスムーズに流し、且つ電界を緩やかに印加するための
テーパ構造、1406は血液などを引き込む負荷として
のキャピラリ流路である。本実施例では、単一の多数本
溝群を図13と同様に、複数個を直列に接続することに
より、更に大きなポンプ力を得ることが出来た。
【0027】〔第七の実施例〕図10に示した珪素溝を
酸化した構造の結果では、酸化膜の耐圧が悪いと、電流
リークなどで電圧印加に対してポンプ力が飽和する。こ
の原因は、酸化膜にリークが生じるということは、電解
質溶液と下地の珪素基板の電位が接近、又は同じになる
ことを意味する。これを防止するには、珪素基板が電気
的に浮遊していればよく、そのため、SOI(Sili
con on Insulator)基板を用いた溝構
造を図15に示す。図15において、1501は珪素基
板、1502は珪素酸化膜、1503は珪素層、150
4は珪素酸化膜、1505は溝群、1506は珪素酸化
膜の蓋である。当該SOI基板を用いることで、耐圧を
更に大きくすることができ、20Vを印加しても図16
に示すように飽和すること無く、線形的に流量が増加し
た。
【0028】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により複数
の基板を組み合わせることで安価に高性能な血液を含む
電解質溶液の成分分析装置を実現することができた。ま
た、当該装置の重要な構成要素である電気浸透流ポンプ
の高性能化を達成することができた。これにより在宅で
微量血液から健康状態などを診断するデバイスを安価、
且つ人体に安全に用いることが可能になった。さらに本
発明は血液のみには止まらず、微小量液体の成分分析装
置にも寄与している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来装置を説明する図である。
【図2】 本発明の一部の基となる電気浸透流の原理の
説明する図である。
【図3】 本発明による装置の概略図である。
【図4】 本発明の溝流路と複数本溝群からなる電気浸
透流ポンプの構造の概略図である。
【図5】 図4で示した溝流路と複数本溝群が形成され
た基板の絶縁材料の蓋であり、電解質溶液の注入口と放
出口用に其々電極を挿入した構造を示す。
【図6】 図2に構造において本発明の複数本溝群に強
力な電気浸透流作用を生じる基となる複数本溝のギャッ
プに強い電界が生じることを説明する図である。
【図7】 珪素基板に深い溝を形成するボッシュ法を改
良したエッチング法として、当該4工程を一サイクルと
して多数回繰り返すエッチングプロセスを説明する図で
ある。
【図8】 珪素溝を酸化する際、(イ)はO2ドライ酸
化、(ロ)はウェット酸化によって酸化膜が形成される
様子の違いを示した図である。
【図9】 珪素基板に製作した多数本溝群による電気浸
透流ポンプの性能を調べるための構成図を示している。
【図10】 珪素基板に製作した多数本溝群による電気
浸透流ポンプ(ここでは縦型と呼んでいる)を用い、流
量と印加電圧の関係を示す。(a)は、溝間のギャツプ
が0.85μmと0.6μmの場合であり、(c)は図
中に示した平面型の構造の特性を示している。
【図11】 縦型と平板型を組み合わせた構造のポンプ
を示している。
【図12】 図11の変型例を示す図である。
【図13】 多数本溝群を複数個にして間隔をあけて直
列に接続しポンプ力増強を図った構造を示している。
【図14】 図4の溝構造において、溝群の溝数を増
し、更に図10と同様直列に間隔をあけて接続ポンプ力
増強を図った構造を示している。
【図15】 SOI(Silicon on Insu
lator)基板を用いた珪素層に多数本溝群を形成し
た際に珪素酸化膜にリークが存在しても高電圧が印加で
きるポンプ構造を示している。
【図16】 図15に示した多数本溝群を用いた電気浸
透流特性を示す図である。
【符号の説明】
101 基板 102 採取手段 103 針 104 電極 105 電極 106 濾過手段 107 分離機構 108 分析手段 109 流路手段 110 移動手段 111 出力手段 112 制御手段 201 石英板 202 石英表面 203 電解質溶液 204 石英製キャピラリ 205 負の電荷 206 カチオン 207 ヘルムホルツの電気二重層 208 正の電極 209 負の電極 210 粘性流 301 液貯め 302 流路接続部 303 樹脂基板A 304 樹脂基板B 305 樹脂基板C 306 基板A 307 基板B 401 石英板 402 溝流路 403 溝群 404 注入口 405 放出口 501 蓋 502 注入口用の孔 503 放出口用の孔 504 電極 505 電極 601 溝流路全体 602 溝群 603 電極 604 電極 605 溝群以外の溝流路 606 溝群以外の溝流路 607 電界 701 珪素酸化膜 702 アンダーカット 703 底部 704 珪素基板 705 フロロカーボン膜 801 珪素酸化膜 802 珪素基板 901 溝流路 902 Ag/AgCl電極 903 白金電極 904 溝群ポンプ部 905 注入口 906 キャピラリ 907 参照電極 908 ISFET 1101 基板 1102 溝群 1103 基板 1104 溝 1201 溝 1202 多数本溝群 1203 基板 1204 基板 1301 溝流路 1302 電極 1303 電極 1304 溝群 1305 キャピラリ流路 1401 溝流路 1402 電極 1403 電極 1404 溝群 1405 テーパ構造 1406 キャピラリ流路 1501 珪素基板 1502 珪素酸化膜 1503 珪素層 1504 珪素酸化膜 1505 溝群 1506 珪素酸化膜の蓋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/84 G01N 27/46 338 27/26 331E (72)発明者 高村 禅 東京都荒川区南千住四丁目9番地2 リバ ーハープ南千住 401号 (72)発明者 小川 洋輝 神奈川県横浜市港北区新横浜2丁目18番地 1 センチュリー新横浜701号室 (72)発明者 菊地 純 東京都港区白金台2丁目14番地6号 Fターム(参考) 2G045 AA13 AA25 BA08 BA10 BB05 BB10 CA25 CA26 DA04 DA31 DB01 DB03 DB07 DB09 DB10 FA05 FA34 FB05 2G052 AA30 AB01 AB02 AB06 AD09 AD29 AD46 BA14 CA02 CA03 CA04 CA07 ED17 JA01

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁材基板に溝流路を形成し、当該溝流路
    中に当該溝流路と平行に、且つ当該溝流路と同じ深さで
    一定の長さを有する複数本からなる溝群を形成し、当該
    溝群を含む溝流路の表面を、当該溝群の両側に対応する
    位置に一対の孔を設けた絶縁材基板で蓋をし、当該孔か
    ら電解質溶液を注入し、当該一対の孔に電極を設け、当
    該電極間に電圧を印加することにより、両電極の一方か
    ら他方に電解質溶液を移動させることを特徴とした溝流
    路内での電解質溶液の移動装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の当該絶縁材基板の代わり
    に珪素基板を用い、当該珪素基板に溝流路を形成し、当
    該溝流路中に当該溝流路と平行に、且つ当該溝流路と同
    じ深さで一定の長さを有する複数本からなる溝群を形成
    し、当該溝群を含む溝流路の全表面を酸化し、当該溝群
    の両側に対応する位置に一対の孔を設けた絶縁材基板で
    蓋をし、当該孔から電解質溶液を注入し、当該一対の孔
    に電極を設け、当該電極間に電圧を印加することによ
    り、両電極の一方から他方に電解質溶液を移動させるこ
    とを特徴とした溝流路内での電解質溶液の移動装置。
  3. 【請求項3】請求項1及び2に記載の溝流路の上流に、
    電界液を当該溝流路に移動させる溝流路が接続されてい
    ることを特徴とする溝流路内での電解質溶液の移動装
    置。
  4. 【請求項4】請求項1及び2に記載の一対の電極に印加
    される電圧は、電解質溶液が移動する上流側の電極孔に
    設けた電極は接地電位に、下流側の電極孔に設けた電極
    には電圧を印加することを特徴とした溝流路内での電解
    質溶液の移動装置。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の下流側の電極に印加され
    る電圧は−電圧であることを特徴とした溝流路内での電
    解質溶液の移動装置。
  6. 【請求項6】請求項2に記載の珪素基板を加工し、当該
    溝流路と複数本溝群を形成後に酸化膜の厚さを変えて当
    該複数本溝群の溝間の幅を変化させることを特徴とする
    溝流路内での電解質溶液の移動装置。
  7. 【請求項7】請求項1及び2に記載の一対の電極のう
    ち、電解質溶液が流れる上流側の電極に銀/塩化銀電極
    を用い、封止することを特徴とする溝流路内での電解質
    溶液の移動装置。
  8. 【請求項8】請求項1及び2に記載の当該複数本溝群が
    間隔を置いて直列に配置されることを特徴とする溝流路
    内での電解質溶液の移動装置。
  9. 【請求項9】請求項1及び2に記載の当該複数本溝群は
    当該溝流路の幅より広く配置され、且つ当該溝流路と接
    続されていることを特徴とする溝流路内での電解質溶液
    の移動装置。
  10. 【請求項10】請求項2に記載の当該流路、および複数
    本溝群はSOI(Siliconon Insulat
    or)基板上の珪素層に形成されることを特徴とする溝
    流路内での電解質溶液の移動装置。
  11. 【請求項11】請求項2と10に記載の珪素基板、およ
    び珪素層に当該溝流路と複数本溝群の形成に際して、フ
    ッ素原子を含むガス用いた反応性イオンエッチングと、
    フロロカーボンガスと水素の混合ガスを用いて浮遊電位
    でフロロカーボン膜の溝内の均一な堆積と、フッ素原子
    を含むガス用いた反応性イオンエッチングによる底部堆
    積膜の除去と、珪素のエッチングと、酸素プラズマによ
    る溝内堆積膜の除去からなる一サイクルを多数回繰り返
    すことによって当該構造を形成することを特徴とする溝
    流路、および複数本溝群形成の方法。
  12. 【請求項12】請求項2と10に記載の珪素基板、およ
    び珪素層に当該溝流路と複数本溝群の形成に際して、請
    求項11の溝流路、および複数本溝群のエッチング形成
    後、全ての溝の側壁に生じた波状の疎表面に、フッ素原
    子を含むガスに当該ガス濃度の2.5倍以上の酸素を混
    合したガスを2.45GHzのマイクロ波で放電せし
    め、生じた活性ガス種をプラズマが存在しない下流域に
    輸送して暴露することを特徴とする珪素溝流路、および
    複数本珪素溝群の側壁の平滑化の方法。
  13. 【請求項13】請求項12記載の珪素溝流路の平滑化
    後、珪素溝を含む全ての珪素表面を酸化する際、ウェッ
    ト酸化を行うことを特徴とする溝流路、および複数本溝
    群形成の方法。
  14. 【請求項14】同一の電解質溶液に浸漬したときに、当
    該溶液との界面での界面動電位が互いに異なるような複
    数の基板材料を用いた部品を組み合わせて構成した液体
    の成分分析装置。
  15. 【請求項15】複数の基板部品を組み合わせて構成した
    液体の成分分析装置であって、当該複数の基板の中の一
    部の基板の表面の少なくとも一部が表面処理を施され、
    特にこの表面処理後の表面を同一の電解質溶液に浸漬し
    たときの当該溶液との界面での界面動電位が表面処理前
    の基板材料のそれと異なることを特徴とする液体の成分
    分析装置。
  16. 【請求項16】請求項14に記載の基板材料の一つとし
    て、特に珪素酸化物を主成分として含むものを用いるこ
    とを特徴とする液体の成分分析装置。
  17. 【請求項17】請求項14に記載の基板材料の一つとし
    て、特に珪素を主成分としてワむものを用い、かつ当該
    珪素基板表面が酸化されていることを特徴とする液体の
    成分分析装置。
  18. 【請求項18】請求項15に記載の表面処理が珪素酸化
    膜の被覆であることを特徴とする液体の成分分析装置。
  19. 【請求項19】請求項18に記載の珪素酸化膜が少なく
    とも珪素を構成元素として含む分子の気体と酸素を構成
    元素として含む分子の気体のプラズマ処理を用いて形成
    されることを特徴とする液体の成分分析装置ならびに液
    体の成分分析装置の製造方法。
  20. 【請求項20】請求項15に記載の表面処理が表面を構
    成する分子の酸化処理に伴う改質であることを特徴とす
    る液体の成分分析装置ならびに液体の成分分析装置の製
    造方法。
  21. 【請求項21】請求項15に記載の表面処理を施す基板
    材料がプラスチックであることを特徴とする液体の成分
    分析装置。
  22. 【請求項22】請求項16に記載の珪素酸化物を主成分
    として含む基板材料の他に、基板材料として少なくとも
    プラスチックが用いられていることを特徴とする液体の
    成分分析装置。
  23. 【請求項23】請求項17に記載の表面に酸化層が形成
    されている珪素を主成分とする基板材料の他に、基板材
    料としてプラスチックが用いられていることを特徴とす
    る液体の成分分析装置。
  24. 【請求項24】請求項21乃至23に記載のプラスチッ
    クが、特にポリエチレンテレフタレート(PET)であ
    ることを特徴とする液体の成分分析装置。
  25. 【請求項25】請求項21乃至23に記載のプラスチッ
    クが、特にポリカーボネート(PC)であることを特徴
    とする液体の成分分析装置。
  26. 【請求項26】請求項14および15に記載の液体は特
    に水素イオン濃度が中性(pHが7程度)であることを
    特徴とする液体の成分分析装置。
  27. 【請求項27】請求項14および15に記載の液体は、
    特に血液であることを特徴とする液体の成分分析装置。
  28. 【請求項28】請求項27に記載の液体の成分分析装置
    が、生体内より血液を採取する採取手段と、少なくとも
    採取した当該血液をろ過し血漿を得るろ過手段あるいは
    当該血液から血清を分離する分離手段の内いずれかの手
    段と、当該血液中の物質を分析する分析手段と、当該採
    取手段、当該ろ過手段、当該分離手段、当該分析手段を
    接続する流路手段と、当該採取手段、当該ろ過手段、当
    該分離手段、当該分析手段、当該流路手段内に存在する
    当該血液の成分を移動させる移動手段と、当該分析手段
    からの情報を外部に取出すための出力手段と、当該採取
    手段、当該ろ過手段、当該分離手段、当該分析手段、当
    該移動手段、当該出力手段の少なくとも一つの手段の動
    作を制御するための制御手段を備えることを特徴とする
    液体の成分分析装置。
  29. 【請求項29】請求項28に記載の種々の手段の内、少
    なくとも移動手段を含むいくつかの手段とその他の手段
    は、一旦異なる基板上にそれぞれ形成された後にそれら
    を貼り付け、一体化されていることを特徴とする液体の
    成分分析装置ならびに液体の成分分析装置の製造方法。
  30. 【請求項30】請求項29に記載の少なくとも移動手段
    を含むいくつかの手段を形成する基板材料が、特に珪素
    酸化物を主成分として含むものを用いることを特徴とす
    る液体の成分分析装置。
  31. 【請求項31】請求項29に記載の少なくとも移動手段
    を含むいくつかの手段を形成する基板材料が、特に珪素
    を主成分として含むものを用い、かつ当該珪素基板表面
    が酸化されていることを特徴とする液体の成分分析装
    置。
  32. 【請求項32】請求項29に記載の少なくとも移動手段
    を含むいくつかの手段を形成する基板材料が、特にプラ
    スチックであり、かつ少なくとも移動手段部分の一部表
    面は主として珪素酸化膜で被覆されていることを特徴と
    する液体の成分分析装置。
  33. 【請求項33】請求項29に記載の少なくとも移動手段
    を含むいくつかの手段を形成する基板材料が、特にプラ
    スチックであり、かつ少なくとも移動手段部分の一部表
    面は主として珪素酸化膜で被覆されていることを特徴と
    する液体の成分分析装置。
  34. 【請求項34】請求項29に記載の少なくとも移動手段
    を含むいくつかの手段の表面の少なくとも一部が、表面
    を構成する分子の酸化処理に伴う改質を施されているこ
    とを特徴とする液体の成分分析装置。
  35. 【請求項35】請求項33及び34に記載のプラスチッ
    クは、特にポリエチレンテレフタレートであることを特
    徴とする液体の成分分析装置。
  36. 【請求項36】請求項33及び34に記載のプラスチッ
    クは、特にポリカーボネートであることを特徴とする液
    体の成分分析装置。
  37. 【請求項37】請求項29に記載の少なくとも移動手段
    を含むいくつかの手段以外の手段を形成する基板内の種
    々の手段の少なくとも一部の表面は、生体適合性を有す
    る有機分子で被覆されていることを特徴とする液体の成
    分分析装置ならびに液体の成分分析装置の製造方法。
  38. 【請求項38】請求項29に記載の生体適合性を有する
    有機分子が、特にMPC(2−methacryloy
    loxyethylphorylcholine)ポリ
    マーであることを特徴とする液体の成分分析装置。
  39. 【請求項39】請求項29に記載の生体適合性を有する
    有機分子が、特にポリエチレングルコースであることを
    特徴とす液体の成分分析装置。
  40. 【請求項40】請求項29に記載の種々の手段を形成し
    た基板同士の貼り付け、一体化に伴う基板境界の各手段
    の接続は、その他の手段間の接続面内と直角方向に流路
    を形成して行うことを特徴とする液体の成分分析装置な
    らびに液体の成分分析装置の製造方法。
JP2001304177A 2001-08-23 2001-08-23 液体の移動装置と液体の成分分析装置ならびにそれらの製造方法 Pending JP2003065906A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001304177A JP2003065906A (ja) 2001-08-23 2001-08-23 液体の移動装置と液体の成分分析装置ならびにそれらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001304177A JP2003065906A (ja) 2001-08-23 2001-08-23 液体の移動装置と液体の成分分析装置ならびにそれらの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003065906A true JP2003065906A (ja) 2003-03-05

Family

ID=19124137

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001304177A Pending JP2003065906A (ja) 2001-08-23 2001-08-23 液体の移動装置と液体の成分分析装置ならびにそれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003065906A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011152474A1 (ja) * 2010-06-01 2011-12-08 国立大学法人広島大学 解析装置及び解析装置の製造方法
JP2014533839A (ja) * 2011-11-22 2014-12-15 シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッドSiemens Healthcare Diagnostics Inc. キャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液として再構成用の乾燥試薬を含むデバイスとその製造および使用方法
JP2021519394A (ja) * 2018-03-21 2021-08-10 リンテック・オブ・アメリカ・インコーポレイテッド カーボンナノチューブ紡績糸電気浸透流ポンプ

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011152474A1 (ja) * 2010-06-01 2011-12-08 国立大学法人広島大学 解析装置及び解析装置の製造方法
JP2011252776A (ja) * 2010-06-01 2011-12-15 Hiroshima Univ 解析装置及び解析装置の製造方法
JP2014533839A (ja) * 2011-11-22 2014-12-15 シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッドSiemens Healthcare Diagnostics Inc. キャリブレーションおよび/またはクオリティ・コントロール溶液として再構成用の乾燥試薬を含むデバイスとその製造および使用方法
JP2021519394A (ja) * 2018-03-21 2021-08-10 リンテック・オブ・アメリカ・インコーポレイテッド カーボンナノチューブ紡績糸電気浸透流ポンプ
JP7339273B2 (ja) 2018-03-21 2023-09-05 リンテック・オブ・アメリカ・インコーポレイテッド カーボンナノチューブ紡績糸電気浸透流ポンプ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3847053B2 (ja) 血液分析装置
JP2001258868A5 (ja)
Guijt et al. Capillary electrophoresis with on‐chip four‐electrode capacitively coupled conductivity detection for application in bioanalysis
US8927988B2 (en) Self-sealed fluidic channels for a nanopore array
KR20050057477A (ko) 혈액 분석장치 및 혈장 분리방법
DE112014000923B4 (de) Mikrofluidchip mit dielektrophoretischen Elektroden, die sich in einem hydrophilen Fließweg erstrecken
JP5904958B2 (ja) 半導体マイクロ分析チップ及びその製造方法
JP2016187353A (ja) 超高速の核酸配列決定のための電界効果トランジスタ装置
CN1417574A (zh) 芯片上的微电子检测器
JP5563601B2 (ja) 試料中の荷電種の濃度を測定するための装置
KR20160097639A (ko) 생체분자 농축 기능 일체형 센서 및 그 제조방법
Vickers et al. Simplified current decoupler for microchip capillary electrophoresis with electrochemical and pulsed amperometric detection
Lee et al. Fabrication and characterization of semicircular detection electrodes for contactless conductivity detector–CE microchips
Scarff et al. Radial sample preconcentration
JPH10104188A (ja) ゼータ電位測定装置
Coltro et al. Fabrication and integration of planar electrodes for contactless conductivity detection on polyester‐toner electrophoresis microchips
KR20170034951A (ko) 샘플 농축 장치 및 이를 이용하여 농축된 샘플 추출 방법
JP2003065906A (ja) 液体の移動装置と液体の成分分析装置ならびにそれらの製造方法
KR102064388B1 (ko) 단일 지점 검출 방식 미소유체 등전점 전기영동 및 미소유체 칩
JP3847414B2 (ja) 電気泳動装置
Liu et al. Conductivity detection for monitoring mixing reactions in microfluidic devices
US20190310225A1 (en) Microfluidic organic electrochemical transistor sensors for real time nitric oxide detection
KR20040032884A (ko) 분리 장치 및 분리 장치의 제조 방법
CN111001451A (zh) 一种微流控芯片及基于微流控芯片的全血分离方法
Webster et al. An inexpensive plastic technology for microfabricated capillary electrophoresis chips