JP2003059455A - ショートアーク型超高圧放電ランプ - Google Patents

ショートアーク型超高圧放電ランプ

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JP2003059455A JP2002177291A JP2002177291A JP2003059455A JP 2003059455 A JP2003059455 A JP 2003059455A JP 2002177291 A JP2002177291 A JP 2002177291A JP 2002177291 A JP2002177291 A JP 2002177291A JP 2003059455 A JP2003059455 A JP 2003059455A
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峰男 中山
Izumi Takatani
泉 高谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プロジェクタ用光源に適した点灯方式を有する
放電ランプを提供することである。 【解決手段】両端に封止部が形成された放電容器(1
2)内に0.15mg/mm以上の水銀を含み、電極
(14,15)間隔が2.5mm以下である一対の主電
極が対向配置され、前記放電容器(11)の外表面に
は、一方の封止部の根元から他方の封止部に向けて伸び
る導電ワイヤ(We)が配設され、この導電ワイヤ(W
e)は前記主電極と直接電気的接続がされておらず、起
動器より別途に電気的接続がされることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、プロジェ
クタ用の光源として使用される、高圧水銀放電ランプを
用いた光源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶プロジェクタやDLPTM(テキサ
スインスツルメンツ社)プロジェクタ等の光学装置ため
の光源装置においては、高輝度放電ランプ(HIDラン
プ)が使用される。しかし近年、前記光学装置を明るい
ものとするために、従来よりも放電ランプに封入する水
銀量を多くすることが求められて来ている。この種の放
電ランプにおいては、始動時にスタータを用いて高電圧
を発生させ、放電空間を絶縁破壊させて放電を開始させ
る必要がある。
【0003】従来の放電ランプ光源装置の構成を図6に
示す。光学装置用光源装置において、通常はスタータと
して、両極の電極(E1,E2)の間に高電圧を印加す
る方式のスタータ(Ui)が用いられる。この方式の場
合、スタータの高電圧トランス(Ti)の2次側巻線
(Si)はランプ(Li)に直列に接続されるため、放
電が開始してスタータ(Ui)の機能はもう必要ないに
もかかわらず、ランプ(Li)に供給する放電電流は、
巻数の大きい高電圧トランス2次側巻線(Si)を介し
て流さなければならない。このときの巻線(Si)での
発熱損失発生を抑えるためには、巻線の線径を太くする
必要があり、スタータ(Ui)の大型化、重量化が避け
られない問題があった。
【0004】この問題を解決するための方策として、フ
ラッシュランプのトリガのために多用されている、外部
トリガ方式を利用することができる。この方式は、主た
る放電、すなわち始動後のアーク放電のための第1およ
び第2の両極の電極以外に、補助電極を設け、これと前
記第1または第2の電極との間に高電圧を印加して、誘
電体バリア放電により放電空間にプラズマを発生させ、
このプラズマを種として、第1の電極と第2の電極の間
に予め印加された電圧(無負荷開放電圧)によって主た
る放電を開始させるものである。
【0005】このような構造にすることにより、ランプ
の放電開始後は、スタータの高電圧トランスの1次およ
び2次側巻線にはランプの放電電流は流れないため、ス
タータの高電圧トランスの1次および2次側巻線におい
て発熱損失は発生せず、スタータの大型化、重量化を避
けることができる。
【0006】しかし、この外部トリガ方式の場合、ラン
プと電気回路との間に、両極の主電極のために2本、外
部トリガ用補助電極のために1本、合わせて少なくとも
3本の電気配線が必要であるため、これまでは、2本の
電気配線にて実現可能な内部トリガ方式が採用されてい
た。また、フラッシュランプの場合と異なり、高圧水銀
放電ランプの場合は、定常点灯中のランプ封体の温度が
1000℃にも達することに起因して、外部トリガ用補
助電極が熱的損傷を受け易いという弱点があるため、こ
れまでは、補助電極が不要な内部トリガ方式が採用され
ていた。さらに、フラッシュランプの場合は、その封体
が円筒形状で補助電極が設置し易いのに対し、高圧水銀
放電ランプ場合は、その封体が球もしくは回転楕円体の
ような形状で中央部が膨らんだ構造であるのために、例
えばワイヤを巻きつけて補助電極を形成しようとして
も、その位置が定まらず固定が困難であるため、これま
では、補助電極が不要な内部トリガ方式が採用されてい
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明が解決しよう
とする課題は、プロジェクタ用光源に適した点灯方式を
有する放電ランプを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明に係るショートアーク型超高圧放電ランプ
は、両端に封止部が形成された放電容器内に0.15m
g/mm以上の水銀を含み、電極間隔が2.5mm以
下である一対の主電極が対向配置され、前記放電容器の
外表面には、一方の封止部の根元から他方の封止部に向
けて伸びる導電ワイヤが配設され、この導電ワイヤは前
記主電極と直接電気的接続がされておらず、起動器より
別途に電気的接続がされることを特徴とする。
【0009】さらに、請求項2に係る発明では、前記導
電ワイヤは、前記放電容器の途中まで伸びていることを
特徴とする。さらに、請求項3に係る発明では、前記導
電ワイヤは、その先端が前記放電容器の外表面に接触し
ていないが、近接配置していることを特徴とする。さら
に、請求項4に係る発明では、前記封止部のうち少なく
とも一方の封止部には空間が形成されていることを特徴
とする。さらに、請求項5に係る発明では、前記ショー
トアーク型超高圧放電ランプは、直流点灯型であって、
前記導電ワイヤは、陰極側の封止部において数回巻きつ
けられていることを特徴とする。
【0010】
【作用】このように、放電容器内に0.15mg/mm
以上の水銀を含み、電極間隔が2.5mm以下である
ショートアーク型超高圧水銀ランプにおいて、内部トリ
ガ方式ではなく、外部トリガ方式を採用することによ
り、ランプの放電開始後は、スタータの高電圧トランス
の1次側巻線および2次側巻線にはランプの放電電流は
流れないため、スタータの高電圧トランスの1次側巻線
および2次側巻線において発熱損失は発生せず、スター
タの大型化、重量化を避けることができる。
【0011】つまり、外部トリガー方式を採用すること
で、内部トリガー方式に比べて、スタータの小型化、軽
量化を実現することができるものである。本発明の外部
トリガー方式とは、放電容器の外表面に、一方の封止部
の根元から他方の封止部に向けて伸びる導電ワイヤが配
設され、この導電ワイヤは主電極と通ずる外部リードに
は直接接続がされておらず、起動器の二次巻線と直接に
電気的接続がされるものである。つまり、主電極には起
動器内の高電圧トランス二次側巻線に生じる高電圧は直
接に印加されていない。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のショートアーク型超高圧
水銀ランプを説明する前に、まず、本発明のショートア
ーク型超高圧水銀ランプを点灯させる光源装置について
説明する。図1は、本発明のショートアーク型超高圧水
銀ランプを点灯させるための光源装置の簡略化された実
施例である。降圧チョッパ型の給電回路(Bx)は、P
FCなどが接続される。給電回路(Bx)においては、
FET等のスイッチ素子(Qx)によってDC電源(M
x)よりの電流をオン・オフし、チョークコイル(L
x)を介して平滑コンデンサ(Cx)に充電が行われ
る。
【0013】ランプ(Ld)の主たる放電のための電極
(E1,E2)間を流れる放電電流、または主たる放電
のための電極(E1,E2)間の電圧、あるいはこれら
電流と電圧の積であるランプ電力が、その時点における
ランプ(Ld)の状態に応じた適切な値になるように、
ゲート駆動回路(Gx)から適当なデューティサイクル
比を有するゲート信号が、スイッチ素子(Qx)に加え
られる。
【0014】通常は、上記ランプ電流または電圧、電力
を適切に制御するために、平滑コンデンサ(Cx)の電
圧、平滑コンデンサ(Cx)からランプ(Ld)に供給
される電流を検出するための分圧抵抗やシャント抵抗が
設けられ、ゲート駆動回路(Gx)が適切なゲート信号
を発生できるようにするための制御回路が設けられる
が、これらは同図においては省略されている。
【0015】ランプ(Ld)を点灯させる場合は、始動
に先立ち、前記無負荷開放電圧をランプ(Ld)の主た
る放電のための電極(E1,E2)間に印加する。スタ
ータ(Ue)の入力端(F1)およびグランド端(F
2)は、ランプ(Ld)に並列に接続されているから、
ランプ(Ld)に印加される電圧と同じ電圧が、スター
タ(Ue)にも供給される。この電圧を受けて、スター
タ(Ue)では、抵抗(Re)を介してコンデンサ(C
e)が充電される。
【0016】適当なタイミングでゲート駆動回路(G
e)によって、SCRサイリスタ等のスイッチ素子Qe
を導通させることにより、高電圧トランス(Te)の1
次側巻線(Pe)にはコンデンサ(Ce)の充電電圧が
印加されるから、高電圧トランス(Te)の2次側巻線
(Se)には、高電圧トランス(Te)の構造に応じ
た、昇圧された電圧が発生する。この場合、1次側巻線
(Pe)に印加される電圧は、コンデンサ(Ce)の放
電に伴って急速に低下するから、2次側巻線(Se)に
発生する電圧も同様に急速に低下するため、2次側巻線
(Se)に発生する電圧はパルスとなる。
【0017】高電圧トランス(Te)の2次側巻線(S
e)の一端はランプ(Ld)一方の電極(E1)(いま
の場合は陰極)に接続され、高電圧トランス(Te)の
2次側巻線(Se)の他端はランプ(Ld)の放電容器
(11)の外部に設けた補助電極(Et)に接続されて
いるから、高電圧トランス(Te)の2次側巻線(S
e)に発生した高電圧は、ランプ(Ld)一方の電極
(E1)とランプ(Ld)の放電容器(11)の内面と
の間で、誘電体バリア放電により放電が発生する。
【0018】スタータ(Ue)の設計に際しては、前記
無負荷開放電圧が印加されたスタータを動作させたと
き、スタータ(Ue)の出力端(F3)とグランド端
(F2)に発生する高電圧のピーク値が、前記したよう
に、ランプ(Ld)が室温状態であるときに、前記主た
る放電を始動させるために必要な電圧 Vtmin の2
〜5倍の値になるようにする。
【0019】一般に、トランスの2次側電圧は、近似的
に1次側電圧に1次と2次の巻数比を乗じて見積ること
ができるが、いまの場合は、前記したようにパルスであ
るため、2次側巻線(Se)に発生する電圧波形は、高
電圧トランス(Te)の漏洩インダクタンスや寄生静電
容量の影響を受ける。そのため、高電圧トランス(T
e)の2次側巻線(Se)巻数については、種々の巻数
のものを試作して決定するとよい。
【0020】なお、スタータが適正に設計されているか
どうかについては、ランプ(Ld)を接続しない無負荷
状態でスタータ(Ue)の出力端(F3)とグランド端
(F2))に発生する電圧のピーク値V1と、室温状態
のランプ(Ld)を接続した状態で、スタータの電圧出
力能力を制限できる状態にして、その能力を徐々に上げ
て行き、ランプ始動に成功する確率が概ね50%となる
ときのスタータ(Ue)の出力端(F3)とグランド端
(F2)に発生する電圧のピーク値V2とを測定し、V
1をV2で除算した値が2〜5になっていることにより
確認することができる。
【0021】前記したスタータの電圧出力能力を制限で
きるようにする方法として、高電圧トランス(Teまた
はTk)の1次2次巻線の巻数比を変える方法や、スタ
ータ(Ue)への電源入力端(F1)への供給電圧を可
変電圧源からのものとする方法、コンデンサ(Ce)の
充電電圧をクリップするためにコンデンサ(Ce)に並
列にツェナダイオードを付加する方法、スイッチ素子
(Qe)を導通させるタイミングを制御してスイッチ素
子(Qe)が導通する瞬間のコンデンサ(Ce)の電圧
を制御し、高電圧トランスの1次側巻線(Pe)に掛か
る電圧を制御する方法、あるいは、図7に記載するよう
な、アレスタなどの放電ギャップ(Ak)等が使用さ
れ、この動作電圧がスタータの電圧出力能力を規定する
方式のスタータ(Uk)の場合は、前記放電ギャップ
(Ak)等を動作電圧が異なるものに交換する方法など
の方法を使うことができる。
【0022】なお、図7に記載のスタータ(Uk)は、
抵抗(Rj)を介してコンデンサ(Cj)の充電が開始
される。サイダック等のスイッチ素子(Qj)は、コン
デンサ(Cj)の電圧が所定のスレショルド電圧まで充
電されると自ら導通し、トランス(Tj)の1次側巻線
(Pj)にその電圧を印加し、2次側巻線(Sj)に接
続されたダイオード(Dj)を介して、2次側のコンデ
ンサ(Ck)を充電する。1次側のコンデンサ(Cj)
の放電が進んで、電流が所定値以下になると、スイッチ
素子(Qj)は自ら非導通に転じることにより、再度コ
ンデンサ(Cj)の充電が開始される。コンデンサ(C
j)の充放電の度毎に、2次側のコンデンサ(Ck)の
充電が累積されて、その電圧が上昇して行く。コンデン
サ(Ck)の電圧が所定のスレショルド電圧まで充電さ
れると、アレスタなどの放電ギャップ(Ak)が自ら導
通し、トランス(Tk)の1次側巻線(Pk)にその電
圧を印加し、2次側巻線(Sk)に高電圧を発生する。
【0023】図1においては、スタータの高電圧を、ラ
ンプの陰極側と補助電極との間に印加するものを示した
が、これをランプの陽極側と補助電極との間に印加する
ものとしてもよい。
【0024】図2は、本発明のショートアーク型超高圧
放電ランプの実施例である。放電空間包囲部(11)内
に形成される放電空間(12)には、例えば、0.2ナ
ノモル/mmの臭素、0.15mg/mmの水銀、
およびアルゴンが封入されており、電極間距離は0.6
〜2.5mmである。補助電極(Et)を、主たる放電
のための放電空間(12)に接しないように放電ランプ
に設けるに際しては、補助電極(Et)を放電空間包囲
部(17)の中に埋め込む、あるいは放電空間包囲部
(17)の外面に接触させる、あるいは、放電空間包囲
部(17)の外面の近傍に配置するなどの設置方法を採
用することができる。図2(a)、(b)は共に、放電
ランプの放電空間包囲部(17)の外面に接しせしめて
補助電極(Et、Et1、Et2)を設置する構造の一
例をそれぞれ示すもので、放電容器11によって形成さ
れた放電空間(12)内に一対の主たる放電のための電
極(E1、E2)(図1参照)が対向配置されると共
に、前記主たる放電のための電極以外の補助電極(E
t)を主たる放電のための放電空間(12)内に接しな
いように設けた放電ランプ(Ld)であって、前記放電
ランプ(Ld)の放電空間(12)を囲む放電空間包囲
部(17)の外形の最も太い部分(90)の周囲長より
も周囲長が短い導体環Et1を、前記放電空間包囲部
(17)の外形の最も太い部分(90)よりも前記主た
る放電のための電極(E1、E2)の一方に近い側に第
1の設置し、かつ放電空間包囲部(17)の外形の最も
太い部分(90)の周囲長よりも周囲長が短い導体環
(Et2)を、前記放電空間包囲部1の外形の最も太い
部分(90)よりも前記主たる放電のための電極(E
1、E2)の他方に近い側に第2の導体環(Et2)を
設置し、前記第1の導体環Et1と前記第2の導体環
(Et2)を導体ワイヤ(W1)で結線したものを前記
補助電極(Et)とすることを特徴とするものである。
【0025】前記した放電空間包囲部(17)の中に埋
め込む設置方法は、ランプ放電容器のバーナー加工によ
る設置を要し、手間が掛かる欠点があるばかりでなく、
石英ガラスなどの放電容器材料に金属などの補助電極材
料を、すなわち異種材料を埋め込むことによる、熱膨張
率の違いに起因する放電容器のクラック発生の危険性を
生ずる欠点がある。
【0026】また、前記した放電空間包囲部(17)の
外面の近傍に配置する設置方法は、ランプ放電容器と補
助電極との位置関係を確定させるために、堅牢な補助電
極の保持構造を必要とするが、点灯状態のランプの表面
温度が1000℃程度になり、前記保持構造には特別の
耐熱性と機械的精度を要求されるため、コストが高くつ
く欠点がある。さらに、そのような堅牢な補助電極の保
持構造をランプの近傍に設置することは、ランプ発光を
遮蔽するため、ランプ発光の利用効率が低下する欠点が
ある。
【0027】一方、前記した放電空間包囲部(17))
外面に接しせしめる設置方法の、例えば放電空間包囲部
(17)の周囲に細い導体ワイヤを巻き付ける方法の場
合、前記した放電空間包囲部(17)の中に埋め込む設
置方法のような手間が掛かる欠点や放電容器のクラック
発生の危険性を生ずる欠点が無く、また、前記した放電
空間包囲部(17)の外面の近傍に配置する設置方法の
ようなコストが高くつく欠点や、ランプ発光の利用効率
が低下する欠点が無い。
【0028】しかし、放電空間包囲部(17)の形状
が、中央部が膨らんだ構造を有するランプの場合、細い
導体ワイヤを巻き付ける方式による補助電極(Et)の
設置方法では、誘電体バリア放電によってランプの主た
る放電を始動させるために有効な補助電極(Et)の設
置位置である、放電空間包囲部(17)の中央部近辺に
それを設置しようとすると重大な問題が発生する。
【0029】すなわち、放電空間包囲部(17)の中央
部が膨らんでいるため、この近辺に補助電極(Et)で
ある細い導体ワイヤを巻き付けたとしても、滑りによっ
て巻き付けられたワイヤが前記主たる放電のための何れ
かの電極(E1またはE2)の方向へ移動してしまう問
題が発生する。
【0030】この移動が発生すると、巻き付けられたワ
イヤが囲む断面積よりも小さい断面積を有する放電空間
包囲部(17)の部分や封止部(13)へ移動すること
を意味するため、補助電極(Et)と放電空間包囲部
(17)との間隙が増加し、誘電体バリア放電によるラ
ンプの主たる放電を始動させるための効果が減縮されて
しまう。
【0031】さらに、補助電極(Et)の前記移動が封
止部13を超えて、外部リード棒(21A,21B)に
達した場合には、これらに対して、補助電極(Et)に
印加された電圧が短絡してしまうことになるため、ラン
プの始動不能に陥る危険性や、給電回路Bx等の破損の
危険性が生じる。
【0032】これに対して、前記図1の補助電極(E
t)の設置方法の場合は、前記放電空間包囲部(17)
の外形の最も太い部分(90)を挟んで両方の導体環
(Et1,Et2)が配置され、これらが導体ワイヤ
(W1)で結ばれるため、これらの導体(Et1,Et
2,W1)から構成される補助電極(Et)が、ランプ
の主たる放電を始動させるための誘電体バリア放電とし
て好適な位置から外れてしまう不都合が防止できる利点
がある。
【0033】なお、導体ワイヤ(Et1,Et2,W
1)から構成される補助電極(Et)は、接続された導
体ワイヤ(We)を介して、スタータ(Ue)の出力端
(F3)に接続される。これら導体ワイヤとしては、ラ
ンプ点灯中の放電容器(11)が高温になるため、タン
クステン等の耐熱性の高い材料を使用すべきである。
【0034】図3は、本発明のショートアーク型超高圧
水銀ランプの他の実施例である。図3においては、ラン
プ(Ld)の陰極側の外部リード棒(21A)は、スタ
ータ(Ue)のグランド端(F2)と給電回路(Bx)
のグランド出力端(T2)とに接続され、陽極側の外部
リード棒(21B)は、給電回路(Bx)のプラス出力
端(T1)に接続される。
【0035】一方、補助電極(Et)は、導体ワイヤ
(We)を介してスタータ(Ue)の出力端(F3)に
接続されるが、封止部(13)の陰極側の方を囲むよう
に設置された導体(Et3)に対しても、導体ワイヤ
(W2)を介して接続される。なお、図3においては、
前記封止部(13)の陰極側の方を囲むように設置され
た導体(Et3)は、前記封止部(13)の陰極側に巻
かれた導体コイルにより実現されている。
【0036】スタータ(Ue)の出力端(F3)とグラ
ンド端(F2)とは、高電圧トランス(Te)の2次側
巻線(Se)の両端に接続されているから、スタータ
(Te)が動作していない期間、とりわけランプ始動が
完了した後の、点灯中においては、スタータ(Ue)の
出力端(F3)とグランド端(F2)との間には電圧は
発生しない。
【0037】前記したように、陰極側の外部リード棒
(21A)は、スタータ(Ue)のグランド端(F2)
に接続され、封止部(13)の陰極側の方を囲むように
設置された導体(Et3)は、導体ワイヤ(W2)、補
助電極(Et)、導体ワイヤ(We)を介して接続され
るため、点灯中においては、陰極側の外部リード棒(2
1A)から給電回路(Bx)のグランド出力端(T2)
に至る配線中の、スタータ(Ue)のグランド端(F
2)との接続点(Fz)と、封止部(13)の陰極側の
方を囲むように設置された導体(Et3)とは同電位状
態が維持される。
【0038】ところで、ランプ(Ld)の点灯状態にお
いては、陰極(14)先端から陰極側の外部リード棒
(21A)を経由して接続点(Fz)に至る経路にラン
プ(Ld)の主たる放電電流が流れるため、その経路の
抵抗値と流れる電流値の積に比例した電圧降下が発生
し、陰極(14)先端に近づくほど電位が高くなる。
【0039】前記したように、接続点(Fz)と導体
(Et3)とは同電位であるため、陰極、とりわけその
封止部(13)付近の部分は、その周りを囲む導体(E
t3)より電位が高くなる。
【0040】このため、日本国特許庁公報特公平4−4
0828号に記載されているように、点灯状態において
高温になったランプの放電容器(11)について、その
封止部(13)付近の部分において、放電容器(11)
の材料に含まれる不純物金属陽イオンは、陰極を構成す
る電極材料から離れる方向に駆動されることになり、前
記電極材料表面に不純物金属陽イオンが蓄積することに
よる、放電容器封止部の石英等のガラス材料と前記電極
材料との剥がれ現象が防止されるため、ランプを前記図
3に記載の構造を有するように構成することにより、前
記剥がれ現象に起因する、ランプの破損の問題を未然に
防止する効果を享受することができる。
【0041】図4は、本発明のショートアーク型超超高
圧水銀ランプの概略構成を示す。図4のランプは、放電
容器(11)によって形成された放電空間(12)内に
一対の主たる放電のための電極(E1,E2)が対向配
置されると共に、前記一対の主たる放電のための電極
(E1,E2)に通電する導電用金属体(20,20
A)が配置された封止部が形成され、当該封止部の少な
くとも一方に長尺な導電用金属体(20A)が配置され
て、その長さ方向に離間する2個所において気密シール
部(13A,13B)が形成され、この2つの気密シー
ル部(13A,13B)の間に気密空間部(25)が形
成されており、前記主たる放電のための電極以外の補助
電極(Et)を、主たる放電のための放電空間(12)
に接しないように設けた放電ランプ(Ld)であって、
前記気密空間部(25)の少なくとも一部に対向させ
て、気密シール部(13Aおよび/または13B)の外
部に導体(Et3)を設置すると共に、前記導体(Et
3)が前記補助電極(Et)に対して電気的に接続され
ていることを特徴とするものである。
【0042】なお、図4においては、前記気密空間部
(25)の少なくとも一部に対向させて設置された導体
(Et3)は、前記気密シール部(13Aおよび/また
は13B)に巻かれた導体コイルにより実現されてい
る。また、前記気密空間部(25)は、陰極(14)と
外部リード棒(21A)とを接続するための、モリブデ
ン等よりなる導電用金属箔(20A)に接して形成され
ている。
【0043】日本国特許庁公報特開2000−3486
80号に記載されているように、前記気密空間部(2
5)を設けたことにより、封止部の2個所に形成されて
いる気密シール部のうち、内方側のものに箔浮きが生じ
てその気密性が失われたときには、放電空間部(12)
内の水銀蒸気が気密空間部(25)に流れ込んで凝縮す
るため、当該高圧放電ランプ内の圧力が大幅低下し、そ
の結果、当該高圧放電ランプの放電状態が維持されなく
なり、当該高圧放電ランプが破裂することがない利点を
享受することができる。
【0044】そして、前記主たる放電のための両極の電
極(E1,E2)のうちの前記気密空間部(25)を設
けた側の外部リード棒(21A)と前記補助電極(E
t)の間にスタータを接続することにより、本発明の図
10に記載の実施例は、以下で説明するように、さらな
る利点を享受することができる。
【0045】すなわち、前記気密空間部(25)と前記
放電空間部(12)とは、空間内の導体が共通に接続さ
れた導体(すなわち導電用金属箔(20A)と陰極(1
4)でこれらは接続されている)であり、また、ガラス
バルブ外の導体が共通に接続された導体(すなわち補助
電極(Et)と導体コイル(Et3)でこれらは接続さ
れている)であるため、スタータから見れば、2個の誘
電体バリア放電器が並列に接続されていることになる。
【0046】ここで、前記気密空間部(25)は、前記
放電空間部(12)に比して、ランプ点灯時の温度が低
く保たれ、単位体積あたりの水銀封入量を少なくするか
実質的に皆無にされることが可能であるため、圧力につ
いて、前記気密空間部(25)は、前記放電空間部(1
2)に比して低く、したがって、スタータが高電圧を発
生した際には、前記気密空間部(25)の方が誘電体バ
リア放電をはるかに発生し易い。この放電が発生する
と、紫外線が発生され、発生された紫外線は、気密シー
ル部(13A)を透過して前記放電空間部(12)に入
射し、前記放電空間部(12)内のガスを電離すること
により、前記放電空間部(12)の誘電体バリア放電も
また発生し易くなる。すなわち、前記気密空間部(2
5)は、前記放電空間部(12)のための光励起用光源
として機能するため、本発明の図4に記載の実施例は、
スタータが発生すべき高電圧値を下げることができる大
きな利点を享受することができる。
【0047】なお、図4に記載の実施例においては、前
記気密空間部(25)は、導電用金属箔(20A)に接
して形成されているが、電極(14)の延長部、または
外部リード棒(21A)の延長部に接して形成されるよ
うなものでもよい。しかし、導電用金属箔(20A)の
厚さは、通常、数十ミクロン以下の程度と薄いことによ
り、また、そのエッジ部分には、製作過程で生ずるバリ
などの不可避的に発生する突起(または意図的に形成し
た突起)が存在することにより、エッジ部分に電界が集
中する効果があるため、前記気密空間部(25)は、導
電用金属箔(20A)に接して、とりわけそのエッジ部
分に接して形成することが、前記した誘電体バリア放電
をより発生し易くする観点から有利である。
【0048】また、図4に記載の実施例においては、前
記気密空間部(25)は、陰極側の気密シール部に形成
したが、これは、前記図3に記載の実施例に関して説明
した、不純物金属陽イオンに起因する、放電容器封止部
の石英等のガラス材料と前記電極材料との剥がれ現象の
防止の観点から好適だからである。もし、この剥がれ現
象が無視できる場合、あるいは他の手段でこれを防止で
きる場合は、前記気密空間部(25)は、陽極側の気密
シール部に形成してもよい。
【0049】さらに、前記した前記気密空間部(25)
が有する、前記放電空間部(12)のための光励起用光
源としてはたらく機能は、主たる放電のために印加する
電圧が、直流であるか交流であるかには無関係に、ま
た、スタータが、高電圧パルスを発生させるものである
か、比較的ゆっくりと電圧が上昇する高電圧を発生させ
るものであるかにも無関係に良好に発揮される。
【0050】図5は、本発明のショートアーク型超高圧
水銀ランプを使ったランプハウスの概略構成を示す。こ
の図においては、ランプ(Ld)と前記スタータの高電
圧トランス回路部(Ub)とが一体化され、ランプハウ
ス(Ly)として構成される様子が示されている。ラン
プハウス(Ly)は、ランプからの発光を特定の方向に
向けて出力するための反射鏡(Y1)、反射鏡(Y1)
の前面を覆う光出力窓(Y2)、給電回路部(By)と
ランプハウス(Ly)とを電気的に接続するためのコネ
クタ(Cn)もまた一体化されて構成される場合が示さ
れている。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、外部トリガー方式を採
用することで、内部トリガー方式に比べて、スタータの
小型化、軽量化を実現することができるとともに、電極
間距離が短い放電ランプにおいて採用することで従来、
外部トリガー方式において問題とされていたアーク起点
の移動という問題の発生を良好に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】直流点灯方式で高電圧パルススタータを用い
た、本願発明に係るショートアーク型超高圧放電ランプ
の光源装置の実施例である。
【図2】本発明に係るショートアーク型超高圧放電ラン
プの実施例で、(a)は一例、(b)は他の一例であ
る。
【図3】本発明に係るショートアーク型超高圧放電ラン
プの実施例で、(a)は外観、(b)は断面の一部を示
すものである
【図4】本発明に係るショートアーク型超高圧放電ラン
プの実施例で、(a)は外観、(b)は断面を示すもの
である。
【図5】本発明に放電ランプを使ったランプハウスの実
施例である。
【図6】従来の放電ランプ光源装置の構成図である。
【図7】アレスタなどの放電ギャップを使用したスター
タ図である。
【符号の説明】
Mx DC電源 Bx 給電回路 Qx スイッチ素子 Gx ゲート駆動回路 Dx ダイオード Lx チョークコイル Cx 平滑コンデンサ T1 プラス出力端 T2 グランド出力端 Vp 可変電圧源 Ue スタータ Ue' スタータ Re 抵抗 Qe スイッチ素子 Ge ゲート駆動回路 Ce コンデンサ Te 高電圧トランス Pe 1次側巻線 Se 2次側巻線 F1 スタータ入力端 F2 スタータグランド端 F2' スタータグランド端 F2" スタータグランド端 F3 スタータ出力端 F3' スタータ出力端 F4 高電圧トランス回路部入力端 Fh ランプハウス入力端 Fp ランプハウス高電圧トランス入力端 Fg ランプハウスグランド端 Fz 接続点 Ld 放電ランプ E1 主たる放電のための電極 E2 主たる放電のための電極 Et 補助電極 Uf DCスタータ Rf 抵抗 Cf1 コンデンサ Qf スイッチ素子 Tf 高電圧トランス Pf 1次側巻線 Sf 2次側巻線 Df ダイオード Cf2 コンデンサ Q1 スイッチ素子 Q2 スイッチ素子 Q3 スイッチ素子 Q4 スイッチ素子 G1 ゲート駆動回路 G2 ゲート駆動回路 G3 ゲート駆動回路 G4 ゲート駆動回路 Hc フルブリッジインバータ制御回路 Ld' 放電ランプ E1' 主たる放電のための電極 E2' 主たる放電のための電極 By 給電回路部 Ly ランプハウス Ua スタータトランス駆動回路部 Ub 高電圧トランス回路部 We 導体ワイヤ W1 導体ワイヤ W2 導体ワイヤ Et1 導体環 Et2 導体環 Et3 導体 Cn コネクタ Y1 反射鏡 Y2 光出力窓 11 放電容器 12 放電空間部 13 封止部 13A 気密シール部 13B 気密シール部 14 陰極 15 陽極 17 放電空間包囲部 20 導電用金属箔 20A 導電用金属箔 21 外部リード棒 21A 外部リード棒 21B 外部リード棒 25 気密空間部 90 放電空間包囲部の外形の最も太い部分 Ni 給電装置 Ui スタータ Ri 抵抗 Qi スイッチ素子 Gi ゲート駆動回路 Ci コンデンサ Ti 高電圧トランス Pi 1次側巻線 Si 2次側巻線 K1 給電線 K2 給電線 Li 放電ランプ Rj 抵抗 Qj サイダック等のスイッチ素子 Cj コンデンサ Tj トランス Pj 1次側巻線 Sj 2次側巻線 Dj ダイオード Ck コンデンサ Ak アレスタ等の放電ギャップ Tk 高電圧トランス Pk 1次側巻線 Sk 2次側巻線 移動という問題の発生を良好に抑えることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高谷 泉 兵庫県姫路市別所町佐土1194番地 ウシオ 電機株式会社内 Fターム(参考) 5C039 BA07 HH02 HH04 HH11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両端に封止部が形成された放電容器内に
    0.15mg/mm以上の水銀を含み、電極間隔が2.
    5mm以下である一対の主電極が対向配置されたショー
    トアーク型超高圧放電ランプにおいて、 前記放電容器の外表面には、一方の封止部の根元から他
    方の封止部に向けて伸びる導電ワイヤが配設され、この
    導電ワイヤは前記主電極と直接電気的接続がされておら
    ず、起動器から別途に電気的接続がされることを特徴と
    するショートアーク型超高圧放電ランプ。
  2. 【請求項2】前記導電ワイヤは、前記放電容器の途中ま
    で伸びていることを特徴とする請求項1のショートアー
    ク型超高圧放電ランプ。
  3. 【請求項3】前記導電ワイヤは、その先端が前記放電容
    器の外表面に接触していないが、近接配置していること
    を特徴とする請求項1のショートアーク型超高圧放電ラ
    ンプ。
  4. 【請求項4】前記封止部のうち少なくとも一方の封止部
    には空間が形成されていることを特徴とする請求項1の
    ショートアーク型超高圧放電ランプ。
  5. 【請求項5】前記ショートアーク型超高圧放電ランプ
    は、直流点灯型であって、 前記導電ワイヤは、陰極側の封止部において複数回巻き
    つけられていることを特徴とする請求項1のショートア
    ーク型超高圧放電ランプ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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