JP2003055822A - 浸漬ゴム製品 - Google Patents

浸漬ゴム製品

Info

Publication number
JP2003055822A
JP2003055822A JP2001249208A JP2001249208A JP2003055822A JP 2003055822 A JP2003055822 A JP 2003055822A JP 2001249208 A JP2001249208 A JP 2001249208A JP 2001249208 A JP2001249208 A JP 2001249208A JP 2003055822 A JP2003055822 A JP 2003055822A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
latex
rubber
natural rubber
film
nbr
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001249208A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoya Ichikawa
直哉 市川
Hideo Nobuchika
英男 信近
Ai Matsuura
亜衣 松浦
Yoshiaki Miyamoto
芳明 宮本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2001249208A priority Critical patent/JP2003055822A/ja
Publication of JP2003055822A publication Critical patent/JP2003055822A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Gloves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリロニトリル−ブタジエンゴムの特長で
ある優れた耐油性と、天然ゴムの特長である優れた柔軟
性や高い皮膜強度とを兼ね備えるとともに、層間剥離の
発生が防止されており、しかも簡易な方法で製造するこ
とのできる、ゴム手袋等の浸漬ゴム製品を提供する。 【解決手段】 本発明の浸漬ゴム製品は、アクリロニト
リル−ブタジエンゴムラテックスと極性基を有する変性
天然ゴムラテックスとの混合ラテックスにより形成され
る皮膜と、天然ゴムラテックスにより形成される皮膜と
の2層からなることを特徴とする。かかる浸漬ゴム製品
は、例えば手袋である場合に、前記混合ラテックスによ
り形成される皮膜が外層、前記天然ゴムラテックスによ
り形成される皮膜が内層をなす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐油性および柔軟
性に優れた浸漬ゴム製品に関し、より詳しくは、手術用
手袋や家庭用手袋等への利用に適した浸漬ゴム製品に関
する。
【0002】
【従来の技術】天然ゴムは伸びが大きい、弾性が高い、
被膜の強さが良好であるなどの特徴を有することから、
ゴム手袋を始めとする幅広い分野で利用されている。し
かしながら、天然ゴム(NR)ラテックスを原料とする
浸漬製品には、各種の油や有機溶剤に対する耐性、すな
わち耐油性が不十分であるという問題があることから、
耐油性が要求される分野においては、天然ゴムラテック
スに代えて、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NB
R)ラテックスが使用されている。
【0003】一方、NBRラテックスを原料とする浸漬
製品は、一般にモジュラスが高く、柔軟性が十分ではな
い。それゆえ、NBR製の手袋にはごわごわとした感触
が生じてしまい、手へのフィット感が乏しくなったり、
作業性が低下したりするという問題が生じる。NBRラ
テックスの配合を調節することで、具体的には架橋剤の
使用量を減らすことによって、NBR手袋に柔軟性を付
与することもできるが、天然ゴム手袋並みの柔軟性を得
ることができず、さらにこの場合には、皮膜の強度が不
十分になるという別の問題が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、ゴム皮膜の柔
軟性と耐油性との両立を目的として、天然ゴム皮膜とN
BR皮膜とを積層してなるゴム手袋が提案されている
が、天然ゴムとNBRとは極性が大きく異なることか
ら、天然ゴム層とNBR層との間に層間剥離が生じ易い
という問題があった。かかる問題を解決する手袋とし
て、実開平6−42915号公報には、天然ゴム層とN
BR層との間に、両者の中間極性である変性ウレタンな
どをバインダーとして設けることが提案されている。
【0005】しかしながら、上記公報に開示の方法で
は、皮膜の形成(積層)回数が多いために、手袋の製造
に手間がかかり、製造コストがかかるという問題があ
る。そこで本発明の目的は、アクリロニトリル−ブタジ
エンゴムの特長である優れた耐油性と、天然ゴムの特長
である優れた柔軟性や高い皮膜強度とを兼ね備えるとと
もに、層間剥離の発生が防止されており、しかも簡易な
方法で製造することのできる、ゴム手袋等の浸漬ゴム製
品を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明
者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結
果、凝固液法または直接浸漬法によるゴム製品の製造に
際して、まず、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(N
BR)ラテックスと極性基を有する変性天然ゴムラテッ
クスとの混合ラテックスを用いて成膜を行い、次いで天
然ゴムラテックスを用いて成膜したときには、耐油性と
柔軟性とに優れており、皮膜強度や層間の強度が高い浸
漬ゴム製品を得ることができ、しかも当該浸漬ゴム製品
を簡易な方法で製造することができるという新たな事実
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明に係る浸漬ゴム製品は、
アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックスと極性基
を有する変性天然ゴムラテックスとの混合ラテックスに
より形成される皮膜と、天然ゴムラテックスにより形成
される皮膜との2層からなることを特徴とする。一般
に、直接法や凝固液法による浸漬製品において、異なる
種類のゴム皮膜を積層した場合には、両者の親和性や極
性の違いなどに起因して、層間の強度が不十分になる傾
向が見られる。特に、極性が大きく異なる天然ゴムとN
BRとを積層した場合には、前述のように、層間の強度
が低下するという問題が顕著に表れる。
【0008】これに対し、上記本発明に係る浸漬ゴム製
品においては、NBRを単独で成膜せずに、極性基を有
する変性天然ゴムと混合した状態で成膜して、これに天
然ゴムからなる皮膜と積層している。その結果、当該混
合ゴムからなる皮膜と天然ゴムからなる皮膜との接着強
度が高まり、両層間に剥離が生じるのを防止することが
できる。また、本発明に係る浸漬ゴム製品によれば、N
BRと変性天然ゴムラテックスとの混合ゴムラテックス
からなる皮膜側の面において実作業上十分な耐油性を発
揮することができ、天然ゴムラテックスからなる皮膜側
の面において、優れた柔軟性と皮膜強度とを発揮するこ
とができる。
【0009】本発明の浸漬ゴム製品において、前記変性
天然ゴムは、天然ゴムに、メタクリル酸アルキルをグラ
フト共重合してなるものであるのが好ましい。変性天然
ゴムとして上記のものを用いることによって、NBRと
天然ゴムとの相溶性をより一層高くすることができ、層
間剥離の発生を確実に防止することができる。また、本
発明の浸漬ゴム製品において、前記天然ゴムラテックス
は、窒素含有率0.1%以下の脱蛋白天然ゴム(DPN
R)ラテックスであるのが好ましい。脱蛋白天然ゴムを
用いることによって、より柔軟で、しかも低アレルギー
性の浸漬ゴム製品を得ることができる。
【0010】本発明の浸漬ゴム製品の具体例としては、
例えば、NBRと変性天然ゴムラテックスとの混合ゴム
ラテックスにより形成される皮膜が外層、天然ゴムラテ
ックス(または脱蛋白天然ゴムラテックス)により形成
される皮膜が内層をなす手袋が挙げられる。本発明の浸
漬ゴム製品を手袋に応用する場合には、天然ゴムラテッ
クスからなる皮膜側の面を内表面側とすることによっ
て、その装着・脱着感を良好なものとすることもでき
る。また、本発明の浸漬ゴム製品をゴム手袋の用途に応
用することで、作業性だけでなく耐油性についても一定
のレベルが要求される分野に好適な手袋を提供すること
ができる。かかる手袋は、具体的には、手術用手袋や家
庭用手袋として好適である。
【0011】なお、特開平9−310209号公報に
は、脱蛋白天然ゴム(DPNR)ラテックスとNBRラ
テックスとの混合ゴムラテックスを用いて、浸漬法によ
り製造されたゴム手袋が開示されている。上記公報に開
示のゴム手袋によれば、従来の天然ゴムのみからなる手
袋に比べて耐油性を向上させることができ、NBRのみ
からなる手袋に比べて柔軟性や皮膜強度を向上させるこ
とができる。しかしながら、例えば手術用手袋や家庭用
手袋においては、作業性の観点から、手へのフィット感
や柔軟性が極めて優れていることが求められており、そ
れゆえ手と直接接触する面(内表面)においては皮膜が
天然ゴムからなるのが好ましい。一方、手袋の外表面に
おいては、NBR単独の皮膜からなる手袋ほどではない
ものの、一定の耐油性が求められる。このような要求に
対し、上記公報の手袋では依然として改良の余地がある
ものの、上記本発明に係る浸漬ゴム製品を手袋に応用し
た場合には、前述の外表面に対する要求と内表面に対す
る要求とを同時に達成することができる。
【0012】本発明の浸漬ゴム製品は、300%伸び時
の引張応力が3MPa以下、引張強さが20MPa以上
であり、かつヘキサンの透過時間が60分以上であるの
が好ましい。上記の物性を満足することで、ゴム皮膜の
機械的強度と耐油性とがともに優れたものとなる。本発
明の浸漬ゴム製品を手袋に、とりわけ手術用手袋や家庭
用手袋に応用する場合においては、上記の物性値を満足
することが極めて重要である。
【0013】なお、本発明において、「ヘキサンの透過
時間」とは、European Standard EN374−3「glov
es for chemical protection」に記載の規定に従って測
定したものである。すなわち、耐油性を評価する側のゴ
ム皮膜表面をヘキサンに接した状態とし、他方の表面に
キャリアガスとしての窒素ガスを流したときに、ガスク
ロマトグラフによってヘキサンが検出されるまでの時間
をいう。この時間が長いほど、ゴム皮膜の耐油性が優れ
ていることを示す。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る浸漬ゴム製品
について詳細に説明する。本発明に係る浸漬ゴム製品
は、前述のように、NBRラテックスと極性基を有する
変性天然ゴムラテックスとの混合ラテックスにより形成
される皮膜と、天然ゴムラテックス(または脱蛋白天然
ゴムラテックス)により形成される皮膜との2層からな
るものである。
【0015】(浸漬ゴム製品の成形方法)本発明に係る
浸漬ゴム製品は、凝固液法または直接浸漬法で形成され
てなるものである。本発明において、凝固液法または直
接浸漬法によるゴム製品の成形時における条件は特に限
定されるものではなく、例えば形成するゴム皮膜の厚み
等に応じて、適宜成形条件を設定することができる。本
発明に係る浸漬ゴム製品は、凝固液法または直接浸漬法
のいずれの浸漬方法によって形成する場合であっても、
通常、下記(1) および(2) の工程を経て製造される。
【0016】(1) まず、NBRラテックスと変性天然ゴ
ムラテックスとの混合ラテックスを用いて成膜を行い、
必要に応じてリーチングを施した後、ゴム皮膜を乾燥さ
せる。 (2) 次いで、前記ゴム皮膜の表面に、天然ゴムラテック
ス(またはDPNRラテックス)を用いて成膜を行い、
必要に応じてリーチングを施した後、ゴム皮膜を乾燥さ
せつつ、全体を加硫する。
【0017】本発明の浸漬ゴム製品を手袋に応用する場
合においては、上記(1) および(2)の手順で成膜を行っ
た後、反転脱型することによって、前記混合ラテックス
により形成される皮膜を外層とし、天然ゴムラテックス
により形成される皮膜を内層とすることができる。前記
混合ラテックスと天然ゴムラテックスとの成膜順序は上
記順序に限定されるものではなく、形成する皮膜の用途
に応じて適宜変更すればよい。
【0018】凝固液法により浸漬ゴム製品を形成する場
合において、型表面に塗布される凝固剤としては特に限
定されるものではなく、従来公知の種々の凝固剤を用い
ることができる。具体的には、例えば硝酸カルシウム、
塩化カルシウム、シクロヘキシルアミン酢酸塩等が挙げ
られる。 (浸漬ゴム製品の層構成)本発明に係る浸漬ゴム製品
は、前述のように、前記混合ラテックスにより形成され
る皮膜と、天然ゴムラテックス(またはDPNRラテッ
クス)により形成される皮膜との2層からなるものであ
る。
【0019】前記混合ラテックスからなる皮膜(「混合
ラテックス層」という。)と、NR(またはDPNR)
ラテックスからなる皮膜(「天然ゴムラテックス層」と
いう。)との厚みの比率については特に限定されるもの
ではなく、浸漬ゴム製品の用途に応じて適宜設定すれば
よい。浸漬ゴム製品が手袋である場合には、混合ラテッ
クス層と天然ゴムラテックス層との厚みの比は、90:
10〜30:70の範囲に設定するのが好ましく、8
0:20〜40:60の範囲に設定するのがより好まし
い。
【0020】混合ゴムラテックス層の厚みの比率が上記
範囲を超えたときは、後述する混合ゴムラテックスの組
成に応じてその程度に大小が生じるものの、一般的にゴ
ム手袋全体の引張応力が大きくなり、引張強さや伸びが
小さくなるおそれがある。この場合、ごわごわとした感
触になったり、手へのフィット感や脱着性が損なわれた
りするなど、ゴム手袋の品質が低下するおそれがある。
逆に、混合ゴムラテックス層の厚みの比率が上記範囲を
下回ったときは、後述する混合ゴムラテックスの組成に
応じてその程度に大小が生じるものの、一般的にゴム手
袋に耐油性が不十分になるおそれがある。
【0021】混合ラテックス層と天然ゴムラテックス層
との厚みについても特に限定されるものではなく、浸漬
ゴム製品の用途に応じて適宜設定すればよい。浸漬ゴム
製品が手術用手袋や家庭用手袋である場合には、ゴム皮
膜に要求される厚みが手術用手袋で0.15〜0.35
mm、家庭用手袋で0.30〜0.60mmであること
から、前述の混合ラテックス層と天然ゴムラテックス層
との厚みの比率に応じて個々の層の厚みを設定すればよ
い。
【0022】(アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテ
ックス)本発明に用いられるアクリロニトリル−ブタジ
エンゴム(NBR)ラテックスとしては、特に限定され
るものではなく、従来公知の種々のNBRラテックスを
用いることができる。すなわち、NBRのアクリロニト
リル含有量(以下、「ニトリル含量」という。)につい
ては特に限定されるものではなく、本発明においては、
ニトリル含量が36%以上であるいわゆる高ニトリルN
BRから、ニトリル含量が24%以下であるいわゆる低
ニトリルNBRまでの幅広い品種のものを使用すること
ができる。なお、皮膜強度、耐油性、耐磨耗性等の観点
からは、ニトリル含量の高いNBR(いわゆる高ニトリ
ルNBRまたは極高ニトリルNBR)を用いるのが好ま
しい。
【0023】(極性基を有する変性天然ゴムラテック
ス)本発明に用いられる変性天然ゴムラテックスにおい
て、当該天然ゴム中に導入される極性基としては、例え
ばカルボニル基、カルボキシル基、エポキシ基、エステ
ル結合を伴う置換基(アルコキシカルボニル基、アリー
ルオキシカルボニル基、アシルオキシ基等)などが挙げ
られる。極性基を有する変性天然ゴムラテックスの具体
例としては、例えばメタクリル酸アルキルグラフト天然
ゴムラテックス、エポキシ化天然ゴムラテックス等が挙
げられる。
【0024】さらに詳しくは、メタクリル酸メチルグラ
フト天然ゴムラテックス〔レジテックス社製の商品名
「MG25」など〕、メタクリル酸エチルグラフト天然
ゴムラテックス、メタクリル酸ブチルグラフト天然ゴム
ラテックス等の市販品が挙げられる。 (混合ラテックスの組成・物性)本発明に用いられる混
合ラテックスにおいて、上記NBRラテックスと、極性
基を有する変性天然ゴムラテックスとの混合比率につい
ては特に限定されるものではないが、NBR成分によっ
て十分な耐油性を発揮させつつ、変性天然ゴム成分によ
ってNBRと天然ゴムとの親和性を十分に発揮させると
いう所要の目的を達成するには、NBRラテックスと前
記変性天然ゴムラテックスとの混合比率が、95:5〜
40:60(重量比)となるように設定するのが好まし
い。
【0025】NBRラテックスの混合比率が上記範囲を
超えたときは、前記混合ラテックス層と天然ゴム層との
層間剥離が生じ易くなるおそれがある。逆に、NBRラ
テックスの混合比率が上記範囲を下回ったときは、浸漬
ゴム製品の耐油性が不十分になるおそれがある。NBR
ラテックスと前記変性天然ゴムラテックスとの混合比率
は、上記範囲の中でも特に、90:10〜50:50
(重量比)となるように設定するのが好ましく、80:
20〜60:40(重量比)となるように設定するのが
より好ましい。
【0026】(天然ゴムラテックス)本発明に用いられ
る天然ゴム(NR)ラテックスとしては、特に限定され
るものではなく、フィールドラテックス、アンモニア処
理ラテックスのほか、脱蛋白処理が施された、いわゆる
脱蛋白天然ゴムラテックス(DPNR)等の、従来公知
の種々のNRラテックスを用いることができる。 (脱蛋白天然ゴムラテックス)本発明に用いられるNR
ラテックスは、天然ゴムに含まれる蛋白質を除去してな
る、いわゆる脱蛋白天然ゴム(DPNR)ラテックスで
あってもよい。蛋白質の除去は、一般に、酵素による分
解によって行われる。
【0027】DPNRラテックスを調製する方法、脱蛋
白処理に使用する酵素の種類、添加量、脱蛋白処理の条
件等については特に限定されるものではなく、常法に従
って適宜設定すればよい。 (機械的強度)本発明の浸漬ゴム製品、とりわけ当該浸
漬ゴム製品がゴム手袋である場合においては、引張応力
(モジュラス)が低く、引張強さが大きく、かつ伸びが
大きいのが好ましい。
【0028】(a) 引張応力 本発明の浸漬ゴム製品についての引張応力(JIS K
6251)は、これに限定されるものではないが、例
えば100%伸張時の引張応力M100 が1.5MPa以
下であるのが好ましい。また、300%伸張時の引張応
力M300 が3MPa以下であるのが好ましい。引張応力
の値が上記範囲を満足するときには、ゴム製品が柔軟性
に優れたものとなる。本発明の浸漬ゴム製品を手袋に、
とりわけ手術用手袋や家庭用手袋に応用する場合におい
ては、上記範囲を満足することが極めて重要である。
【0029】(b) 引張強さ 本発明の浸漬ゴム製品についての引張強さTB (JIS
K 6251)は、これに限定されるものではない
が、20MPa以上であるのが好ましい。引張強さTB
の値が上記範囲を満足するときには、ゴム製品の皮膜強
度が優れたものとなる。本発明の浸漬ゴム製品を手袋
に、とりわけ手術用手袋や家庭用手袋に応用する場合に
おいては、上記範囲を満足することが極めて重要であ
る。
【0030】(c) 伸び 本発明の浸漬ゴム製品についての切断時伸びEB (JI
S K 6251)は、これに限定されるものではない
が、500%以上であるのが好ましい。切断時伸びEB
の値が上記範囲を満足するときには、ゴム製品の皮膜強
度が優れたものとなる。本発明の浸漬ゴム製品を手袋
に、とりわけ手術用手袋や家庭用手袋に応用する場合に
おいては、上記範囲を満足することが極めて重要であ
る。
【0031】(耐油性)本発明の浸漬ゴム製品について
の耐油性は、前述の手順によってヘキサンの透過時間を
測定することにより評価した。透過時間が60分以上で
あるのが好ましい。ヘキサンの透過時間が上記範囲を満
足するときは、ゴム製品の耐油性が優れたものとなる。
本発明の浸漬ゴム製品を手袋に、とりわけ手術用手袋や
家庭用手袋に応用する場合においては、上記範囲を満足
することが極めて重要である。
【0032】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
説明する。 〔配合ラテックスの調整〕アクリロニトリル−ブタジエ
ンゴムラテックス(NBRラテックス)、変性天然ゴム
ラテックスとしてのメタクリル酸メチルグラフト天然ゴ
ムラテックス(MGラテックス)、ハイアンモニアラテ
ックス(HAラテックス)または脱蛋白天然ゴムラテッ
クス(DPNRラテックス)に、オレイン酸カリウム、
硫黄、亜鉛華、加硫促進剤ZnBDC〔ジブチルジチオ
カルバミン酸亜鉛(BZ)〕および老化防止剤CPL
(p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反
応生成物)を表1に示す分量で混合することにより、本
発明に係る浸漬ゴム製品(ゴム手袋)の製造に使用する
配合ラテックスを得た。
【0033】なお、配合ゴムラテックス「NBR−MG
#1」および「NBR−MG #2」においては、ゴ
ム成分として、NBRラテックスとMGラテックスとの
混合ラテックスを使用した。また、「NBR−DPNR
#1」および「NBR−DPNR #2」において
は、ゴム成分として、NBRラテックスとDPNRラテ
ックスとの混合ラテックスを使用した。上記配合成分
中、NBRラテックスには日本ゼオン(株)製の商品名
「Nipol LX550」(TSC46%,ニトリル
含量27%,中ニトリル量)を、MGラテックスには
(株)レヂテックス製の商品名「MG25」(TSC5
0%)を、HAラテックスには市販のハイアンモニアタ
イプのラテックス(TSC60%,アンモニア含有量
0.7%,ケルダール法による窒素含有率0.3%)
を、それぞれ使用した。
【0034】脱蛋白天然ゴムラテックスには、上記HA
ラテックスを希釈してゴム分の含有量を30重量%とな
るように調整した後、細菌由来の蛋白分解酵素(プロテ
アーゼ)と安定剤とを添加して30℃で24時間静置
し、静置後の処理液を13000rpmで30分間遠心
分離して、分離した上層のクリーム分を同量の水に再分
散させたもの(ケルダール法による窒素含有率0.08
%)を使用した。各種配合ゴムラテックスの組成を表1
に示す。なお、表1中の配合量は、ゴムラテックスにつ
いてはゴム固形分の量を、その他の成分については使用
した試薬内の有効成分の量(全固形分量)を、それぞれ
示している。
【0035】
【表1】
【0036】〔ゴム手袋の製造〕 実施例1 凝固液(10%硝酸カルシウム水溶液)に、あらかじめ
50℃に加温しておいた陶器製の手型を浸漬し、乾燥さ
せた。次いで、前記手型を70℃に加温して、表1に示
す配合ラテックス「NBR−MG #1」に浸漬するこ
とによって、手型の表面にNBRラテックスとMGラテ
ックスとの混合ラテックスからなる皮膜(第1層,膜厚
0.15mm)を形成した。
【0037】前記混合ラテックスによる成膜後、手型を
室温で1分間放置し、さらにこの手型を表1に示す配合
ラテックス「HA」に浸漬することによって、前記混合
ラテックスからなる皮膜の表面にHAラテックスからな
る皮膜(第2層,膜厚0.17mm)を形成した。前記
HAラテックスによる成膜後、手型を50℃の水中に1
分間浸漬してリーチングを行い、さらに120℃で30
分間加硫、乾燥を行った。
【0038】加硫、乾燥後、手型からゴム皮膜を反転脱
型することによって、NBRラテックスとMGラテック
スとの混合ラテックスにより形成された皮膜(外層)
と、HAラテックスにより形成された皮膜(内層)を備
えたゴム手袋(浸漬製品,総厚み0.32mm)を得
た。 実施例2 第2層(内層)を形成するための配合ラテックスとし
て、表1に示す配合ラテックス「DPNR」を使用し、
かつ、第2層の膜厚を0.16mmとなるように調整し
たほかは、実施例1と同様にしてゴム手袋(総厚み0.
31mm)を得た。
【0039】実施例3 第1層(外層)を形成するための配合ラテックスとし
て、表1に示す配合ラテックス「NBR−MG #2」
を使用し、かつ、第1層の膜厚を0.14mm、第2層
の膜厚を0.16mmとなるようにそれぞれ調整したほ
かは、実施例1と同様にしてゴム手袋(総厚み0.30
mm)を得た。 実施例4 第1層の膜厚を0.19mm、第2層の膜厚を0.11
mmとなるようにそれぞれ調整したほかは、実施例3と
同様にしてゴム手袋(総厚み0.30mm)を得た。
【0040】比較例1 第1層(外層)を形成するための配合ラテックスとし
て、表1に示す配合ラテックス「NBR」を使用し、か
つ、第1層の膜厚を0.16mmとなるように調整した
ほかは、実施例1と同様にしてゴム手袋(総厚み0.3
3mm)を得た。 比較例2 第1層(外層)を形成するための配合ラテックスとし
て、表1に示す配合ラテックス「NBR」を使用し、か
つ、第2層の膜厚を0.17mmとなるように調整した
ほかは、実施例2と同様にしてゴム手袋(総厚み0.3
2mm)を得た。
【0041】対照1 凝固液(10%硝酸カルシウム水溶液)に、あらかじめ
50℃に加温しておいた陶器製の手型を浸漬し、乾燥さ
せた。次いで、前記手型を70℃に加温して、表1に示
す配合ラテックス「NBR」に浸漬することによって、
手型の表面にNBRラテックスからなる皮膜(膜厚0.
20mm)を形成した。前記配合ラテックスによる成膜
後、手型を50℃の水中に1分間浸漬してリーチングを
行い、さらに120℃で30分間加硫、乾燥を行った。
【0042】加硫、乾燥後、手型からゴム皮膜を脱型す
ることによって、NBRラテックスにより形成された皮
膜を備えたゴム手袋を得た。 対照2 配合ラテックスとして、表1に示す配合ラテックス「H
A」を使用し、かつ、膜厚を0.21mmとなるように
調整したほかは、対照1と同様にしてゴム手袋を得た。
【0043】対照3 配合ラテックスとして、表1に示す配合ラテックス「N
BR−DPNR #1」を使用したほかは、対照1と同
様にしてゴム手袋を得た。 対照4 配合ラテックスとして、表1に示す配合ラテックス「N
BR−DPNR #2」を使用したほかは、対照1と同
様にしてゴム手袋を得た。
【0044】対照5 配合ラテックスとして、表1に示す配合ラテックス「N
BR−MG #1」を使用したほかは、対照1と同様に
してゴム手袋を得た。 対照6 配合ラテックスとして、表1に示す配合ラテックス「N
BR−MG #2」を使用したほかは、対照1と同様に
してゴム手袋を得た。
【0045】〔引張試験〕実施例、比較例および対照で
得られたゴム皮膜についての機械的特性を評価すべく、
JIS K 6251「加硫ゴムの引張試験方法」に記
載の規定に従って、引張試験を行った。試験は、100
%伸び時の引張応力M100 (MPa)、300%伸び時
の引張応力M300 (MPa)、引張強さTB (MPa)
および切断時伸びEB (%)の4項目について行った。
【0046】〔透過試験〕実施例、比較例および対照で
得られたゴム皮膜についての耐油性を評価すべく、Euro
pean Standard EN374−3「gloves for chemical
protection」に記載の規定に従って、ヘキサンの透過試
験を行った。試験は、NBR−MG混合ラテックスまた
はNBRラテックスにより形成された皮膜側(対照の場
合はゴム皮膜の一方の表面)をヘキサンに接した状態と
し、HAラテックスまたはDPNRラテックスにより形
成された皮膜側(対照の場合はヘキサンに接しているの
とは反対側の表面)に窒素ガスをキャリアガスとして流
し、ガスクロマトグラフによってヘキサンを検出するま
での時間を測定することによって行った。
【0047】実施例、比較例および対照についてのゴム
皮膜の層構成と、引張試験および透過試験の結果を表2
および表3に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】表2および表3より明らかなように、NB
Rラテックスと変性天然ゴム(実施例ではMGラテック
ス)との混合ゴムにより形成される皮膜と、天然ゴムま
たは脱蛋白天然ゴムにより形成される皮膜との2層から
なるゴム手袋(実施例1〜4)においては、層間剥離を
生じることがなく、引張応力、引張強さ、切断時伸びの
いずれの機械的特性も良好な値を示している。しかも、
ヘキサンの透過時間が長いことから、耐油性に優れてい
ることが分かった。
【0051】これに対し、NBRラテックスのみにより
形成される皮膜と、天然ゴムまたは脱蛋白天然ゴムによ
り形成される皮膜との2層からなるゴム手袋(比較例1
および2)では、層間剥離が生じてしまい、実用に供し
得る手袋を得ることができなかった。一方、NBRラテ
ックスにより形成される皮膜のみからなる手袋(対照
1)は、単層であることから層間剥離を生じることがな
く。また、皮膜がNBRからなることで耐油性が極めて
良好である。しかしながら、300%伸び時の引張応力
300 が4以上と高い値を示し、引張強さが20%未満
と低い値を示していることからも明らかなように、ゴム
皮膜の柔軟性が乏しく、皮膜強度が低いという問題があ
った。
【0052】逆に、NRラテックス(HAラテックス)
により形成される皮膜のみからなる手袋(対照2)は、
単層であることから層間剥離を生じることがなく、皮膜
がNRからなることで、柔軟性や強度が極めて良好であ
る。しかしながら、ヘキサンの透過時間が3分と極めて
短く、耐油性が極めて低いという問題があった。NBR
ラテックスとDPNRラテックスとの混合ラテックスに
より形成される皮膜のみからなる手袋(対照3および
4)では、DPNRの混合比率が低い場合には皮膜が硬
くなり、DPNRの混合比率が高い場合には耐油性が低
くなるという問題があった。
【0053】また、NBRラテックスとMGラテックス
との混合ラテックスにより形成される皮膜のみからなる
手袋(対照5および6)では、NBRラテックスのみに
より形成される場合と同様に、モジュラスが高く、手へ
のフィット感が劣るという問題があった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松浦 亜衣 兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内 (72)発明者 宮本 芳明 兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内 Fターム(参考) 3B033 AB08 AB09 AB10 AB20 AC03 BA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテッ
    クスと極性基を有する変性天然ゴムラテックスとの混合
    ラテックスにより形成される皮膜と、天然ゴムラテック
    スにより形成される皮膜との2層からなる浸漬ゴム製
    品。
  2. 【請求項2】前記変性天然ゴムが、天然ゴムに、メタク
    リル酸アルキルをグラフト共重合してなるものである請
    求項1記載の浸漬ゴム製品。
  3. 【請求項3】前記天然ゴムラテックスが、窒素含有率
    0.1%以下の脱蛋白天然ゴムラテックスである請求項
    1または2記載の浸漬ゴム製品。
  4. 【請求項4】前記浸漬ゴム製品が手袋であって、前記混
    合ラテックスにより形成される皮膜が外層、前記天然ゴ
    ムラテックスにより形成される皮膜が内層をなすもので
    ある、請求項1〜3のいずれかに記載の浸漬ゴム製品。
  5. 【請求項5】300%伸び時の引張応力が3MPa以
    下、引張強さが20MPa以上であり、かつヘキサンの
    透過時間が60分以上である請求項1〜4のいずれかに
    記載の浸漬ゴム製品。
JP2001249208A 2001-08-20 2001-08-20 浸漬ゴム製品 Pending JP2003055822A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001249208A JP2003055822A (ja) 2001-08-20 2001-08-20 浸漬ゴム製品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001249208A JP2003055822A (ja) 2001-08-20 2001-08-20 浸漬ゴム製品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003055822A true JP2003055822A (ja) 2003-02-26

Family

ID=19078250

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001249208A Pending JP2003055822A (ja) 2001-08-20 2001-08-20 浸漬ゴム製品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003055822A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2119730A1 (en) * 2008-05-13 2009-11-18 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Modified natural rubber, method for producing modified natural rubber, rubber composition, and tire
JP2019176710A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 住電機器システム株式会社 ゴムモールド部品、及び電力ケーブルの接続部

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2119730A1 (en) * 2008-05-13 2009-11-18 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Modified natural rubber, method for producing modified natural rubber, rubber composition, and tire
JP2019176710A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 住電機器システム株式会社 ゴムモールド部品、及び電力ケーブルの接続部

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101424856B1 (ko) 딥 성형용 카르본산 변성 니트릴계 공중합체 라텍스, 이를 포함하는 딥 성형용 라텍스 조성물 및 이로부터 제조된 성형품
US20020114943A1 (en) Elastomeric articles made from a synthetic polymer
KR101599583B1 (ko) 카르본산 변성 니트릴계 공중합체 라텍스 조성물 및 이를 포함하는 딥 성형품
EA005871B1 (ru) Свободные от ускорителя латексные композиции, способы их получения и изделия, выполненные из них
RU2008106479A (ru) Эластомерные пленки и перчатки
MX2007014205A (es) Articulo de hule natural teniendo caracteristicas de hule natural.
AU781491B2 (en) Acrylic resin glove and internal surface treating agent thereof
KR20170060254A (ko) 카르본산 변성 니트릴계 공중합체 라텍스, 이의 제조방법, 이를 포함하는 딥 성형용 라텍스 조성물, 및 딥 성형품
AU2023282269A1 (en) Polymer compositions and products formed therewith
EP0568333A2 (en) Thread wound golf ball
US7001941B2 (en) Elastomeric composition and process for producing glove having interpenetrating network structure
EP1435374A2 (en) Accelerator free nitrile gloves
JPH1161527A (ja) 着脱性に優れたゴム製手袋及びその製造方法
JP2003055822A (ja) 浸漬ゴム製品
JP6021198B2 (ja) ゴム手袋の製造方法
KR20190031896A (ko) 열가소성 수지 조성물, 이의 제조방법 및 성형품
KR20200040994A (ko) 카르본산 변성 라텍스를 포함하는 딥 성형용 조성물 및 딥 성형품의 제조방법
JP2001032115A (ja) ラテックスコーティング手袋およびその製造方法
JP4350831B2 (ja) 手袋
JP2002103355A (ja) 脱蛋白天然ゴムラテックスを用いたゴム製品の製造方法
JP2002309043A (ja) ゴムラテックス組成物およびそれを用いた手袋
JP2002522661A (ja) 耐溶剤性手袋
CN110894327A (zh) 高透光软硬共挤pvc胶条制造方法
JPH08294930A (ja) ゴム手袋の製造方法およびゴム手袋の内面形成用組成物
EP1482009B1 (en) Elastromeric composition and process for producing glove having interpenetrating network structure