JP2003055330A - 3−アミノプロピオニトリルの安定化方法 - Google Patents

3−アミノプロピオニトリルの安定化方法

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JP2003055330A
JP2003055330A JP2001244196A JP2001244196A JP2003055330A JP 2003055330 A JP2003055330 A JP 2003055330A JP 2001244196 A JP2001244196 A JP 2001244196A JP 2001244196 A JP2001244196 A JP 2001244196A JP 2003055330 A JP2003055330 A JP 2003055330A
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aminopropionitrile
sulfate
sulfuric acid
aqueous solution
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Takeo Komata
武夫 古俣
Matsue Kawamura
松江 河村
Nariaki Ii
斉昭 井伊
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Central Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 3−アミノプロピオニトリルの安定性を向上
させ、工業的な使用を容易にする。 【解決手段】 3−アミノプロピオニトリルを硫酸と反
応させて、pHを8.0以下にし、3−アミノプロピオ
ニトリル硫酸塩を生成させる。得られる3−アミノプロ
ピオニトリル硫酸塩を水溶液の状態で、もしくはメタノ
ールを添加して結晶を析出させ、結晶の状態で保存す
る。本発明によって、特別な装置や操作を必要とせず、
有用性の高い3−アミノプロピオニトリルの貯蔵や取り
扱いが容易となり、工業的な使用が容易になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬、農薬等の合
成中間体として有用な化合物である3−アミノプロピオ
ニトリルの安定化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】3−アミノプロピオニトリルは医薬、農
薬等の合成中間体として有用な化合物である。例えば、
Organic Synthesis Collect
iveVolume Vol. III (1955)
P.34 によれば、水酸化バリウム水溶液中に3−ア
ミノプロピオニトリルを滴下し、加熱条件下で二酸化炭
素と水を作用させることにより、工業的に有用な化合物
である、β−アラニンを合成できることが記載されてい
る。
【0003】また、WO/00/18754号公報によ
れば、含フッ素ベンゾピランカルボン酸化合物を、3−
アミノプロピオニトリルによって酸アミド化すること
で、有用な合成中間体が得られることが記載されてい
る。
【0004】これら公知の文献においては、3−アミノ
プロピオニトリルの保存方法に関する記述はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】The Merck
Index Twelveth Edition、 P
age 82によれば、3−アミノプロピオニトリルは
常温で液体であるが、徐々に分解し、特に空気と接触す
ると急速に重合を起こす場合がある。このような保存中
の品質劣化を回避するために、3−アミノプロピオニト
リルは密栓の上、冷蔵庫中に貯蔵することが一般的であ
る。そのため、有用性が高い化合物であるにもかかわら
ず、貯蔵、輸送が困難であり、工業原料として大量に使
用し難いという問題点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために3−アミノプロピオニトリルの安定化
方法につき、鋭意、検討を行った結果、3−アミノプロ
ピオニトリルを硫酸と混合し、硫酸塩に変換するという
操作によって、ごく簡便に、その保存安定性が飛躍的に
向上することを見いだし、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、3−アミノプロピオ
ニトリルに硫酸を添加してpHを8.0以下にし、式
[1]で表される3−アミノプロピオニトリル・1/2
硫酸塩の水溶液とすることを特徴とする、3−アミノプ
ロピオニトリルの安定化方法、ならびに、この水溶液に
さらにアルコール類を添加することにより3−アミノプ
ロピオニトリル・1/2硫酸塩の結晶を析出させること
を特徴とする、3−アミノプロピオニトリルの安定化方
法である。
【0008】以下、本発明につき、詳細に説明する。
【0009】本発明は、3−アミノプロピオニトリルと
硫酸とを、水溶液中にて反応させ、硫酸塩を形成するこ
とによってなるものである。
【0010】硫酸は、3−アミノプロピオニトリルと定
量的に反応すると式[1]で表される3−アミノプロピ
オニトリル・1/2硫酸塩を形成する。式[1]は下記
の式[2]で表記することもできる。
【0011】
【化2】
【0012】また、これら以外の表記法もあり得る。こ
の化合物は水溶液中でも安定であるが、この水溶液にメ
タノール等のアルコール類を添加すると、高純度の3−
アミノプロピオニトリル・1/2硫酸塩を安定な白色結
晶として単離できることを、本発明者らは見いだした。
この3−アミノプロピオニトリル・1/2硫酸塩は少な
くとも160℃まで分解せず、常温では長期間保存して
も変質のない、安定性の高い化合物であることが見いだ
された。
【0013】本発明における、3−アミノプロピオニト
リル・1/2硫酸塩は、式[1]または式[2]で示さ
れる無溶媒の結晶であってもよいが、水などの溶媒を含
む溶媒和した結晶であっても、また溶媒に溶解して溶液
となっていてもかまわない。
【0014】反応温度に特に制限はないが、3−アミノ
プロピオニトリルが安定性の低い化合物であることを考
えると100℃を超えないことが好ましい。3−アミノ
プロピオニトリルと硫酸とを一時に混合することもでき
るが、3−アミノプロピオニトリルまたは硫酸の一方を
反応器に予め投入した後、もう一方を逐次的あるいは連
続的に導入すると、反応温度の上昇を抑えやすく、好ま
しい。
【0015】硫酸は理論量以上、必要である。すなわち
3−アミノプロピオニトリル1モルに対し、硫酸は0.
5モル以上、必要となる。理論量より硫酸の添加量が少
ないと、3−アミノプロピオニトリルが完全に塩に変換
されず、3−アミノプロピオニトリルが残存するため、
十分な安定化効果が得られず好ましくない。硫酸の添加
量には特に上限はなく、大過剰の硫酸を加えても同様の
安定化効果は得られるが、あまり過剰の硫酸を添加する
と、経済的に不利であるので、好ましくない。具体的に
は、上記、理論量に対して小過剰量(1から2倍の範
囲)の硫酸を添加することが経済的な観点から好まし
い。
【0016】実際の反応工程中においては、必要十分な
硫酸を添加するための方法として、溶液のpHを測定す
る方法も簡便で好ましい。本発明者らは、3−アミノプ
ロピオニトリルに対し、硫酸を上記理論量以上添加する
と溶液のpHが8.0以下になることを知り、pHが
8.0以下であれば系は着色、変質しにくく、高い安定
性が維持されることを確認した。すなわち3−アミノプ
ロピオニトリルおよび硫酸の適切な量を、秤量した上で
混合する代わりに、溶液のpHが8.0以下となるよう
に、3−アミノプロピオニトリルと硫酸を混合しても良
い。
【0017】また、得られた3−アミノプロピオニトリ
ル・1/2硫酸塩の水溶液にアルコール類を添加するこ
とにより、3−アミノプロピオニトリル・1/2硫酸塩
を高純度の結晶として単離することができる。アルコー
ルの種類に特に制限はないが、メタノール、エタノール
など、汎用のアルコールを用いればよい。使用すべきア
ルコールの量に特に制限はなく、上記水溶液の濃度、p
Hによって異なるが、十分な結晶の析出が認められるま
でアルコールを添加することが必要である。
【0018】また、このようにして得られた3−アミノ
プロピオニトリル・1/2硫酸塩に塩基を添加してpH
を高めれば、容易に3−アミノプロピオニトリルを再生
することができる。塩基の種類に特に制限はないが、例
えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カル
シウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミンなど、汎用
の塩基を用いればよい。塩基の添加の仕方に、特に制限
はないが、例えば、3−アミノプロピオニトリル・1/
2硫酸塩を予め反応器に投入したあと、塩基を連続的ま
たは逐次的に投入すると反応温度を抑制しやすく、好ま
しい。反応温度にも特に制限はないが、3−アミノプロ
ピオニトリルが安定性の低い化合物であることを考える
と、100℃を超えないことが望ましい。
【0019】以下に、本発明を実施例をもって詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されな
い。
【0020】
【実施例】「実施例1」滴下ロ−ト及び温度計を備えた
200ml三口フラスコに30%硫酸57g(0.17
4mol)を入れ、撹拌しながら15〜25℃の温度を
保つように3−アミノプロピオニトリル20g(0.2
86mol)を滴下した。滴下終了後、20〜25℃で
30分間撹拌した後、メタノ−ル100mlを加えた。
析出した白色の固体を桐山ロ−トで吸引濾過し、少量の
メタノ−ルで洗浄した後、減圧乾燥して白色の結晶性固
体の3−アミノプロピオニトリル・1/2硫酸塩23.
6g(0.198mol)を得た。 1H−NMR(基準物質:TMS、溶媒:D2O) σ
(ppm):2.81(t,J=6.8Hz,2H)、
3.21(t,J=6.8Hz,2H)。
【0021】得られた3−アミノプロピオニトリル・1
/2硫酸塩7.1mgを示差走査熱量測定(DSC)用
アルミニウム製容器に充填し、窒素雰囲気下、示差走査
熱量測定(DSC)を実施した。75℃から330℃に
かけて、5[℃/分]の速度で昇温を行い、図1に示す
結果を得た。図1において、横軸が摂氏温度、縦軸が試
料の発生する熱量を表し上側が発熱、下側が吸熱であ
る。
【0022】また得られた3−アミノプロピオニトリル
・1/2硫酸塩9.5mgを差動型示差熱天秤(Tg−
DTA)用アルミニウム製容器に充填し、窒素雰囲気
下、差動型示差熱天秤測定(Tg−DTA)を実施し
た。50℃から300℃にかけて、5[℃/分]の速度
で昇温を行い、図2に示す結果を得た。図2において、
横軸は摂氏温度を示す。図中、TGと表される曲線は、
温度上昇に伴う、試料重量の相対的な変化を表し、上側
が重量大、下側が重量小を意味する。図中、DTAと示
される曲線は、温度上昇に伴い、試料が発生する熱量を
表し上側が発熱、下側が吸熱を意味する。
【0023】図1及び図2の結果から、本発明の3−ア
ミノプロピオニトリル・1/2硫酸塩は200℃以下の
温度領域では有意な発熱を起こすことがなく、かつ16
0℃以下の温度領域では重量減少が認められない。これ
らの結果を総合すると、3−アミノプロピオニトリル・
1/2硫酸塩は少なくとも160℃まで安定な化合物で
あると結論される。
【0024】「実施例2」滴下ロ−ト及び温度計を備え
た50ml三口フラスコに3−アミノプロピオニトリル
10g、水20mlを入れ、撹拌しながら15〜25℃
で98%硫酸を滴下し、任意のpHに調整した後、これ
をガラス製サンプルビンに移し密栓した。室温で4週間
放置し、外観を調査した。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】以上の結果より、3−アミノプロピオニト
リル−硫酸水溶液は、pH8.5以上で変質するのに対
し、pH8.0以下であれば変質しないことが分かる。
【0027】
【発明の効果】本発明の方法は、有用性の高い3−アミ
ノプロピオニトリルを硫酸と混合する操作によって、保
存安定性が飛躍的に向上した3−アミノプロピオニトリ
ル・1/2硫酸塩を提供する。このことにより、3−ア
ミノプロピオニトリルが常温で長期の保存に耐える程度
に安定化し、3−アミノプロピオニトリルの工業的な使
用を容易にするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1によって得られた3−アミノ
プロピオニトリル・1/2硫酸塩の差動型示差熱天秤
(DSC)の測定結果を表すグラフである。
【図2】図2は、実施例1によって得られた3−アミノ
プロピオニトリル・1/2硫酸塩の差動型示差熱天秤
(Tg−DTA)の測定結果を表すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井伊 斉昭 埼玉県川越市今福中台2805番地 セントラ ル硝子株式会社化学研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AB84 AD15 AD40 BC17 BE03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式[1]で表される3−アミノプロピオ
    ニトリル・1/2硫酸塩。 【化1】
  2. 【請求項2】3−アミノプロピオニトリルに硫酸を添加
    してpHを8.0以下にし、式[1]の3−アミノプロ
    ピオニトリル・1/2硫酸塩の水溶液とすることを特徴
    とする、3−アミノプロピオニトリルの安定化方法。
  3. 【請求項3】3−アミノプロピオニトリルに硫酸を添加
    してpHを8.0以下にし、式[1]の3−アミノプロ
    ピオニトリル・1/2硫酸塩の水溶液とした後、さらに
    アルコール類を添加することにより3−アミノプロピオ
    ニトリル・1/2硫酸塩塩の結晶を析出させることを特
    徴とする、3−アミノプロピオニトリルの安定化方法。
JP2001244196A 2001-08-10 2001-08-10 3−アミノプロピオニトリルの安定化方法 Pending JP2003055330A (ja)

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