JP2003055028A - 無機バインダ組成物、耐熱性シート材料、三次元中空構造体及び三次元中空構造体の製造方法 - Google Patents

無機バインダ組成物、耐熱性シート材料、三次元中空構造体及び三次元中空構造体の製造方法

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JP2003055028A
JP2003055028A JP2001244714A JP2001244714A JP2003055028A JP 2003055028 A JP2003055028 A JP 2003055028A JP 2001244714 A JP2001244714 A JP 2001244714A JP 2001244714 A JP2001244714 A JP 2001244714A JP 2003055028 A JP2003055028 A JP 2003055028A
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sheet material
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Kyoichi Fujimoto
恭一 藤本
Kozo Hayashi
宏三 林
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Tokiwa Electric Co Ltd
Original Assignee
Tokiwa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 比較的簡単な構成により、安価な製造コスト
で、高い耐熱性等の顕著な効果を発揮する無機質材料よ
り形成した三次元中空構造体及び中芯の破損等を有効に
防止する方法を提供する。 【解決手段】 平板状のシート材料を三次元中空構造と
なるように形成し、メタカオリン、凝集剤等からなる外
添剤としての無機バインダ液を、シート材料に含浸す
る。或いは、主材としての無機粉末等に対して前記無機
バインダ液を内添剤として配合したスラリーを付形して
シート材料を形成する。また、デルタコア構造体は、受
型50と押型60とを使用し、シート材料Sを両型間に
挟んだ状態で、押型60の下端縁を受型50のプレス溝
52の一方の傾斜面の上端縁に対向する位置から、その
一方の傾斜面に沿って下端縁まで移動することにより、
シート材料Sを正三角形をなす断面形状に折り曲げて付
形し、その付形物を直線状に多数連続配置することによ
り断面鋸歯状に成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機バインダ組成
物、耐熱性シート材料、三次元中空構造体及び三次元中
空構造体の製造方法に関する。三次元中空構造体は、ハ
ニカムコア状、デルタコア状、コルゲートコア状等の三
次元中空構造を有し、特に、無機バインダ等の無機材料
により耐熱性を付与されるものである。三次元中空構造
体は、例えば、ガラス繊維等の無機質材料を主材とする
シート材料を断面鋸歯状に付形して中芯とした無機質デ
ルタコア構造体に具体化することができる。この三次元
中空構造体は、エアフィルタ、ガソリンエンジンやディ
ーゼルエンジンの排ガス浄化用触媒フィルタ等の各種フ
ィルタ材料に好適に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来、ハニカム構造体、デルタコア構造
体等の三次元中空構造体は、エアフィルタ、自動車の触
媒フィルタ等のフィルタ材料、建築用壁パネル等の建材
等として使用されている。かかる三次元中空構造体は、
その用途に応じて、種々の特性が要求される。例えば、
三次元中空構造体を建材に適用する場合、不燃性、耐火
性等の耐熱性能が要求される。また、三次元中空構造体
を自動車の触媒フィルタに適用する場合、不燃性、耐火
性等の耐熱性能に加え、高い空気流通性能が要求され
る。
【0003】ここで、三次元中空構造体のうち、例え
ば、デルタコア構造体の製造過程を説明すると、このデ
ルタコア構造体は、断面鋸歯状をなす中芯の厚さ方向一
側に平板状のライナを接合し、その中芯及びライナを多
段に積み重ねて形成される。また、中芯を前記断面鋸歯
状に形成するには、段ボールの製造に使用されるような
コルゲートマシンを使用する。具体的には、上下一対の
ローラ歯車を噛み合せ、それらのローラ歯車間に平板状
のシート材料を供給する。これにより、前記シート材料
が、前記ローラ歯車の回転に伴いその歯形に対応する断
面二等辺三角形状に順次付形される。最終的に、シート
材料は、全長にわたって前記断面二等辺三角形状を直線
状に配置した前記断面鋸歯状に付形される。そして、こ
の中芯にライナを接合することにより、中芯とライナと
の間に、断面二等辺三角形状の多数のセルが形成され、
デルタコア構造体を例えばフィルタとして使用した場合
の通気空間として機能する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記三次元中空構造体
を建材、自動車用触媒フィルタ等、高い耐熱性が要求さ
れる用途に使用する場合、従来は、原材料としてのシー
ト材料に無機材料を配合したり、液状の無機材料を含浸
したりしている。そして、本発明者等は、かかる三次元
中空構造体について研究した結果、比較的簡単な構成に
より、かつ、安価な製造コストで、高い耐熱性等、従来
にない顕著な効果を発揮する三次元中空構造体を開発す
ることができた。
【0005】一方、前記デルタコア構造体をフィルタと
して使用する場合、デルタコア構造体の各セルの断面形
状は、正三角形とすることが最も好ましい。この場合、
各セルの断面積を大きくし、同一セル密度の場合に空気
との接触面積または通気断面をできるだけ大きくした
り、圧力損失をできるだけ小さくしたりすることができ
る。しかし、従来、デルタコア構造体で、セル断面を正
三角形としたものは存在しない。これは、以下の理由に
よると考えられる。
【0006】図6は従来のデルタコア構造体の中芯の付
形動作を概念的に示す説明図である。中芯の付形(セル
の成形)にローラ歯車を使用する場合、図6に示すよう
に、上側のローラ歯車110の歯111が下側のローラ
歯車100の歯溝102に進入することにより、シート
材料Sを断面三角形状に付形する。具体的には、上側の
ローラ歯車110の歯111の下端縁(先端縁)が、下
側のローラ歯車100の隣接する歯101の上端縁(先
端縁)間に掛け渡した状態のシート材料Sの中央を下方
にプレスし、図6中二点鎖線で示すように、シート材料
Sを下方に折り曲げる。このとき、シート材料Sの一端
側(図6中右端側)は、下側のローラ歯車100の右側
の歯101の上端縁に掛止されて移動を拘束される。一
方、シート材料Sの他端側(図6中左端側)が、下側の
ローラ歯車100の左側の歯101の上端縁を右方に滑
って移動することにより、シート材料Sの折り曲げ部分
に相当する長さを供給する。
【0007】しかし、実際は、シート材料Sの下方への
折り曲げにより、シート材料Sの他端側も、下側のロー
ラ歯車100の左側の歯101の上端縁にある程度掛止
される。また、その折り曲げ動作の直後に、シート材料
Sのうち折り曲げ部分に隣接して図6中左側に位置する
部分が、上側のローラ歯車110の次の歯111により
下方にプレス開始されるため、シート材料Sの図6中の
右方への供給が更に妨げられることになる。その結果、
従来は、折り曲げに伴いシート材料Sを十分な長さだけ
供給することができず、ある程度、シート材料Sの塑性
変形または延性を利用してその折り曲げ加工を行ってい
る。その結果、断面三角形となる中芯の折り曲げ部分の
頂角を小さくすることはできず、例えば、正三角形の場
合のようにその頂角を60度とすることは不可能であ
る。よって、従来のデルタコア構造体では、頂角を鈍角
とした断面二等辺三角形状のセルしか得ることはできな
い。特に、シート材料を無機質材料により形成する場
合、その延性が大きくないことから、セルの頂角を小さ
くするとシート材料が破損したり断裂したりする可能性
も考えられる。
【0008】そこで、本発明は、シート材料や三次元構
造体等の基材の外添剤として使用でき、比較的簡単な構
成により、安価な製造コストで、高い耐熱性等の特性を
基材に付与することができる無機バインダ組成物の提供
を課題とする。
【0009】また、本発明は、比較的簡単な構成によ
り、安価な製造コストで、高い耐熱性等の顕著な効果を
発揮することができる耐熱性シート材料及び三次元中空
構造体の提供を課題とする。
【0010】更に、本発明は、デルタコア構造体に具体
化した場合、各セルの断面形状を正三角形とすることが
でき、特に、無機質材料より形成した場合でも、中芯の
破損等を有効に防止することができる三次元中空構造体
及びその製造方法の提供を課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る無機バイ
ンダ組成物は、メタカオリンと、前記メタカオリンと反
応する凝集剤とからなる無機複合体の溶液または分散液
により構成され、外添剤としてシート材料に含浸または
塗布される。
【0012】したがって、請求項1に係る無機バインダ
組成物を外添剤としてシート材料に含浸処理または被覆
処理した場合、前記特定組成の無機複合体の溶液または
分散液が、シート材料内部または表面で硬化して固定さ
れ、シート材料に高い不燃性、耐火性等の耐熱性能を付
与する。
【0013】請求項2に係る無機バインダ組成物は、メ
タカオリンと、リン酸アルミニウムと、エタノールと、
前記リン酸アルミニウムと反応して前記リン酸アルミニ
ウムを固定する酸化マグネシウム、水酸化マグネシウ
ム、ブルーサイト、雲母及び改質処理済ロックウールの
少なくともいずれか1種からなる硬化剤と、溶媒または
分散媒としての水とを含む。
【0014】したがって、請求項2に係る無機バインダ
組成物は、リン酸アルミニウムと硬化剤とが反応すると
共に、リン酸アルミニウムとメタカオリンとが反応し、
それらが無機複合体(無機硬化体)を形成する。なお、
これらの反応は、常温で行うことができる。そして、こ
のような無機複合体により構成される無機バインダ組成
物は、耐熱性等の機能性付与・向上の目的で、各種材料
(シート材料、三次元構造体等)の内部または表面を含
浸処理したり被覆処理(コーティング処理)したりする
ために好適に使用することができる。
【0015】請求項3に係る無機バインダ組成物は、リ
ン酸アルミニウム水溶液(固形分50%)にエタノール
を混合し、これに対して酸化マグネシウム、水酸化マグ
ネシウム、ブルーサイト、雲母及び改質処理済ロックウ
ールの少なくともいずれか1種からなる硬化剤の水溶液
または水分散液を混合し、更に、これに対してメタカオ
リンを混合してなる。この無機バインダ組成物は、前記
リン酸アルミニウム水溶液100重量部に対して、前記
エタノールを10〜20重量部、前記硬化剤を4〜20
重量部、前記メタカオリンを2.5〜25重量部の割合
でそれぞれ配合している。
【0016】請求項3に係る無機バインダ組成物は、請
求項2に係る無機バインダ組成物と同様の組成であり、
同様の作用を奏し、同様の特性及び効果を発揮する。特
に、各成分の配合比を請求項3に係る無機バインダ組成
物のように構成した場合、全体の反応が非常に良好に進
行する。
【0017】請求項4に係る耐熱性シート材料は、請求
項1乃至3のいずれか1項記載の無機バインダ組成物を
外添剤として含浸処理または被覆処理したものである。
【0018】したがって、請求項4に係る耐熱性シート
材料は、外添剤として含浸処理または被覆処理した前記
特定組成の無機複合体の溶液または分散液が、内部また
は表面で硬化して固定され、内部の無機硬化体充填層ま
たは表面の無機硬化体皮膜を形成する。その結果、請求
項4に係る耐熱性シート材料は、これらの内部の無機硬
化体充填層または表面の無機硬化体皮膜により、高い不
燃性、耐火性等の耐熱性能を発揮する。
【0019】請求項5に係る三次元中空構造体は、平板
状のシート材料を三次元中空構造となるように形成し、
請求項1乃至3のいずれか1項記載の無機バインダ組成
物を含浸処理または被覆処理したものである。
【0020】したがって、請求項5に係る三次元中空構
造体は、シート材料に外添剤として含浸処理または被覆
処理した前記特定組成の無機バインダ組成物(無機複合
体の溶液または分散液)が、シート材料内部または表面
で硬化して固定され、シート材料に高い不燃性、耐火性
等の耐熱性能を付与する。
【0021】請求項6に係る三次元中空構造体は、平板
状の無機質のシート材料を三次元中空構造となるように
形成し、主材としての無機粉末及び/または無機繊維
と、メタカオリン及び前記メタカオリンと反応する凝集
剤からなる無機複合体より構成され、前記無機粉末及び
/または無機繊維を凝集して互いに結合する内添剤とし
ての無機バインダとを必須成分として含有するスラリー
を、シート状に付形して前記無機質のシート材料を形成
したものである。
【0022】したがって、請求項6に係る三次元中空構
造体は、シート材料に内添剤として配合した前記特性組
成の無機バインダの無機複合体が、凝集反応により主材
等を凝集して結合し、シート材料の形成に寄与すると共
に、得られたシート材料の内部に固定され、シート材料
に高い不燃性、耐火性等の耐熱性能を付与する。
【0023】請求項7に係る三次元中空構造体は、平板
状の無機質のシート材料を三次元中空構造となるように
形成し、主材としての無機粉末及び/または無機繊維
と、無機長繊維と、メタカオリン及び前記メタカオリン
と反応する凝集剤からなる無機複合体より構成され、前
記無機粉末及び/または無機繊維を凝集して互いに結合
する内添剤としての無機バインダとを必須成分として含
有するスラリーを、シート状に付形して前記無機質のシ
ート材料を形成したものである。
【0024】したがって、請求項7に係る三次元中空構
造体は、請求項6の場合と同様、シート材料に内添剤と
して配合した前記特性組成の無機バインダの無機複合体
が、凝集反応により主材及び無機長繊維等を凝集して結
合し、シート材料の形成に寄与すると共に、得られたシ
ート材料の内部に固定され、シート材料に高い不燃性、
耐火性等の耐熱性能を付与する。
【0025】請求項7に係る三次元中空構造体のシート
材料は、例えば、従来の湿式抄造法により製造すること
ができる。この場合、まず、(必要な場合は解繊等の必
要な処理を施した後で)主材としての無機粉末及び/ま
たは無機繊維と無機長繊維とを希釈水中に分散して分散
液(主材分散液)を得る。次に、原料混合工程で、この
主材分散液に無機バインダを混合して、スラリーを調製
する。このとき、無機バインダとしては、メタカオリン
と凝集剤とを予め反応させた分散液状のものを使用する
ことが好ましい。例えば、分散媒としての水中でメタカ
オリン及び凝集剤を分散し、予めそれらを反応させて無
機複合体を形成する。そして、この無機複合体の分散液
を主材分散液に投入して混合し、混合原料液(スラリ
ー)を得る。これにより、無機複合体が主材分散液中の
主材及び無機長繊維と反応する。即ち、混合原料液中
で、無機複合体が主材及び無機長繊維の表面に付着し、
それらが凝集してフロックを形成する(集束化工程)。
このとき、無機複合体と主材及び無機長繊維との反応が
均一に行われるよう、混合原料液を攪拌する等、必要な
処理を行う。
【0026】そして、このスラリーの分散状態を均一に
維持したまま、抄造機の抄具(長網等の抄網)に上方か
ら流入させる(抄造工程)。これにより、前記フロック
を介してスラリー中の水分が抄具の網から速やかに流下
すると共に、フロックが抄具の網上に絡め取られて均一
な厚さで積層し、紙層(湿潤ウェブ)を形成する。その
後、この紙層をプレス及び乾燥することにより、紙層内
部の水分が流出及び蒸発して除去されると共に、無機バ
インダによる主材と無機長繊維との凝集及び結合が促進
される。そして、紙層が乾燥固化し、主材と無機長繊維
とが無機バインダを介して強固に結合した無機質シート
材料が形成される。このとき、上記凝集反応を概念的に
見ると、無機長繊維同士が絡み有った交点部分に、無機
粉体等の主材が無機バインダを介して付着し、その交点
部分で強固な結合が行われることにより、均一な厚さ
で、かつ、均一かつ強固な紙力の無機質シート材料が形
成される。なお、上記のような抄造法を利用する場合、
希釈水の分量は、重量比で、主材等の原料の100倍以
上とする。
【0027】請求項8に係る三次元中空構造体は、請求
項5乃至7のいずれかの構成において、前記三次元中空
構造を、ハニカムコア状、デルタコア状及びコルゲート
コア状のいずれかの形状としたものである。したがっ
て、請求項8に係る三次元中空構造体は、ハニカムコア
状等の各三次元中空構造に応じた特性を発揮し、フィル
タ材料、建材等、各種特性を要求される材料として好適
に使用することができる。
【0028】請求項9に係る三次元中空構造体は、請求
項5乃至7のいずれかの構成において、前記三次元中空
構造を、前記シート材料を正三角形の単位断面形状を直
線状に連続配置した断面鋸歯状に付形してなる中芯と、
前記中芯の厚さ方向一側に接合された前記シート材料か
らなるライナとを備えるデルタコア状としたものであ
る。したがって、請求項9に係る三次元中空構造体で
は、中芯とライナとの間に形成されるセルの断面形状
は、中芯の単位断面形状である正三角形となる。
【0029】請求項10に係る三次元中空構造体は、請
求項5乃至9のいずれかの構成において、前記メタカオ
リンと反応する凝集剤が、アルカリ金属ケイ酸塩、コロ
イダルシリカ及び無機リン酸塩の少なくともいずれか1
種を含有する。
【0030】したがって、請求項10に係る三次元中空
構造体は、シート材料において、メタカオリンとアルカ
リ金属ケイ酸塩、コロイダルシリカ及び無機リン酸塩の
少なくともいずれか1種とが反応して凝集し、前記無機
複合体が生成される。この場合、例えば、前記凝集剤を
溶媒または分散媒としての水中に溶解または分散し、こ
の水溶液または分散液中にメタカオリンを混合して、メ
タカオリンと凝集剤とを反応させる。これにより、メタ
カオリンが、アルカリ金属ケイ酸塩、コロイダルシリカ
または無機リン酸塩と反応して凝集し、無機複合体を形
成する。なお、前記無機リン酸塩としては、重リン酸ア
ルミニウム等のリン酸アルミニウムを好適に使用するこ
とができる。
【0031】ここで、メタカオリンは、カオリナイトを
約500〜600℃で熱処理してその構造水を揮散させ
ることにより得られるものである。このカオリナイト
は、層状の格子が積み重なった積層構造を有し、その粒
子は板状をなす。板状の粒子のエッジ部分には正及び負
の吸着サイトが存在し、プレート面(表裏面)には負の
吸着サイトが存在する。よって、例えば、シート材料を
上記抄造法により製造する場合、アルカリ金属ケイ酸塩
またはコロイダルシリカの水溶液または分散液のような
アルカリ域では、メタカオリンの表面にアルカリ金属ケ
イ酸塩またはコロイダルシリカのシリカ(SiO)が
吸着して結合する。
【0032】なお、このとき、アルカリ金属ケイ酸塩の
アルカリ金属は、メタカオリン粒子の表面から比較的容
易に解離及び溶出するため、ホウ酸亜鉛等の硬化剤(定
着助剤)により固定することが好ましい。硬化剤として
ホウ酸亜鉛を使用する場合、ホウ酸亜鉛のホウ酸及び亜
鉛がアルカリ金属と反応して結合し、アルカリ金属を固
定する。
【0033】一方、無機リン酸塩の水溶液または分散液
のような酸性域では、メタカオリンの表面に無機リン酸
塩が吸着して結合する。なお、このとき、リン酸アルミ
ニウム等の無機リン酸塩は、メタカオリン粒子の表面か
ら比較的容易に解離及び溶出する傾向にあるため、酸化
マグネシウム等の硬化剤(触媒としての定着助剤)によ
り固定することが好ましい。
【0034】なお、前記メタカオリンとアルカリ金属ケ
イ酸塩との無機複合体、または、メタカオリンとコロイ
ダルシリカとの無機複合体は、抄造後は、非常に強固で
高い強度の硬化体を構成する。同様に、メタカオリンと
無機リン酸塩との無機複合体も、抄造後は、非常に強固
で高い強度の硬化体を構成する。
【0035】請求項11に係る三次元中空構造体は、請
求項5乃至9のいずれかの構成において、前記メタカオ
リンと反応する凝集剤が、第1の凝集剤としてのアルカ
リ金属ケイ酸塩またはコロイダルシリカと、第2の凝集
剤としてのリン酸アルミニウムとを含有する。
【0036】したがって、請求項11に係る三次元中空
構造体は、シート材料において、メタカオリンと、アル
カリ金属ケイ酸塩またはコロイダルシリカと、リン酸ア
ルミニウムとが反応して凝集し、前記無機複合体が生成
される。この場合、例えば、前記アルカリ金属ケイ酸塩
またはコロイダルシリカを溶媒または分散媒としての水
中に溶解または分散し、この水溶液または分散液中にメ
タカオリンを混合して、メタカオリンとアルカリ金属ケ
イ酸塩またはコロイダルシリカとを反応させる。これに
より、メタカオリンが、アルカリ金属ケイ酸塩またはコ
ロイダルシリカと反応して凝集し、無機複合体を形成す
る。なお、この無機複合体の分散液を、上記のように、
主材の分散液に投入して混合することにより、無機複合
体が主材と反応し、それらが凝集してフロックを形成す
る(集束化工程)。そして、この水溶液または分散液中
に、リン酸アルミニウムを混合することにより、リン酸
アルミニウムが、メタカオリン及びアルカリ金属ケイ酸
塩またはコロイダルシリカの無機複合体と反応して凝集
する。
【0037】なお、前記メタカオリンとアルカリ金属ケ
イ酸塩またはコロイダルシリカとの無機複合体は、抄造
後は、非常に強固で高い強度の硬化体を構成する。同様
に、メタカオリンとリン酸アルミニウムとの無機複合体
も、抄造後は、非常に強固で高い強度の硬化体を構成す
る。
【0038】請求項12に係る三次元中空構造体は、請
求項10または11の構成において、前記メタカオリン
と反応する凝集剤が、少なくともアルカリ金属ケイ酸塩
を含有し、更に、前記アルカリ金属ケイ酸塩のアルカリ
金属と反応して前記アルカリ金属を固定するホウ酸亜鉛
を含有する。
【0039】したがって、請求項12に係る三次元中空
構造体は、シート材料において、上記のような抄造時
に、ホウ酸亜鉛のホウ酸及び亜鉛がアルカリ金属ケイ酸
塩のアルカリ金属と反応して結合し、アルカリ金属をメ
タカオリンに固定する。よって、アルカリ金属ケイ酸塩
のアルカリ金属が、メタカオリン粒子の表面から解離及
び溶出することを防止できる。
【0040】請求項13に係る三次元中空構造体は、請
求項10または11の構成において、前記メタカオリン
と反応する凝集剤が、少なくともリン酸アルミニウムを
含有し、更に、前記リン酸アルミニウムと反応して前記
リン酸アルミニウムを固定する酸化マグネシウム、水酸
化マグネシウム、ブルーサイト、雲母及び改質処理済ロ
ックウールの少なくともいずれか1種を含有する。
【0041】ここで、一般的なロックウールは、原料鉱
石を溶融炉(キュポラ)で溶融し、その溶融材料を繊維
化して製造される。一方、“改質処理済ロックウール”
は、一般的なロックウールに対して、その物性を改善す
るための処理を施したロックウール(engineered rock
wool)を言い、例えば、上記のような一般的なロックウ
ールを純化(purifying)または清浄化(cleaning)
し、かつ、(例えば、コーティング剤またはカップリン
グ剤による)表面処理(surface-treatment)を施すこ
とにより製造したものを言う。この改質処理済ロックウ
ールは、一般的なロックウールとは異なる新規な構造を
有し、改質処理により化学組成や繊維長等の繊維物性を
制御可能である。また、改質処理済ロックウールは、化
学組成、純度、繊維長及び繊維径にばらつきが無い。更
に、改質処理済ロックウールは、非常に短い繊維であ
り、ごく低いショット含有量で容易に分散する繊維であ
る。加えて、改質処理済ロックウールは、発がん物質と
しての分類にも入らず、高い安全性を有する。更にま
た、改質処理済ロックウールは、多量の無機繊維の使用
を可能とし、温度特性を向上し、寸法安定性や表面の滑
らかさを改善するものである。
【0042】したがって、請求項13に係る三次元中空
構造体は、上記のような抄造時に、まず、酸化マグネシ
ウム、水酸化マグネシウム、ブルーサイト、雲母及び改
質処理済ロックウールの少なくともいずれか1種が、リ
ン酸アルミニウムをメタカオリンに固定する。よって、
リン酸アルミニウムがメタカオリン粒子の表面から解離
及び溶出することを防止できる。特に、改質処理済ロッ
クウールの場合、リン酸アルミニウムと混合することに
より、リン酸アルミニウムと発熱反応を起こして固化
し、リン酸アルミニウムのメタカオリンへの固定を促進
する。なお、改質処理済ロックウールは、前記無機長繊
維として配合することができる。
【0043】請求項14に係る三次元中空構造体は、請
求項11の構成において、前記メタカオリンと反応する
凝集剤が、少なくともアルカリ金属ケイ酸塩とリン酸ア
ルミニウムとを含有し、更に、前記アルカリ金属ケイ酸
塩のアルカリ金属を固定するホウ酸亜鉛からなる第1の
硬化剤と、前記リン酸アルミニウムを固定する酸化マグ
ネシウム、水酸化マグネシウム、ブルーサイト、雲母及
び改質処理済ロックウールの少なくともいずれか1種か
らなる第2の硬化剤とを含有する。
【0044】したがって、請求項14に係る三次元中空
構造体は、シート材料において、上記のような抄造時
に、まず、第1の硬化剤としてのホウ酸亜鉛のホウ酸及
び亜鉛がアルカリ金属ケイ酸塩のアルカリ金属と反応し
て結合し、アルカリ金属をメタカオリンに固定する。よ
って、アルカリ金属ケイ酸塩のアルカリ金属が、メタカ
オリン粒子の表面から解離及び溶出することを防止でき
る。また、第2の硬化剤としての酸化マグネシウム、水
酸化マグネシウム、ブルーサイト、雲母及び改質処理済
ロックウールの少なくともいずれか1種が、リン酸アル
ミニウムをメタカオリンに固定する。よって、リン酸ア
ルミニウムがメタカオリン粒子の表面から解離及び溶出
することを防止できる。特に、改質処理済ロックウール
の場合、リン酸アルミニウムと混合することにより、リ
ン酸アルミニウムと発熱反応を起こして固化し、リン酸
アルミニウムのメタカオリンへの固定を促進する。な
お、改質処理済ロックウールは、前記無機長繊維として
配合することができる。
【0045】請求項15に係る三次元中空構造体は、請
求項5乃至14のいずれかの構成において、前記主材と
して、セピオライト及びブルーサイトの少なくともいず
れか一つを含有する。
【0046】したがって、請求項15に係る三次元中空
構造体は、主材としてのセピオライトまたはブルーサイ
トが、その高い反応性により、前記無機バインダを介し
て互いに容易に凝集してフロックを形成する。即ち、セ
ピオライトは、一般に、繊維状または鱗片状をなす含水
ケイ酸マグネシウム鉱物であり、その表面に水酸基を有
して、スラリー中において優れた分散性、なじみ性等の
諸特性を発揮すると共に、無機バインダによる凝集時
に、優れた吸着性及び固結性等の諸特性を発揮する。よ
って、上記抄造法等により、容易にシートを形成するこ
とができ、かつ、形成されたシートは十分な紙力を有す
る。一方、ブルーサイトは、一般に、不定形板状(偏平
状)をなす水酸化マグネシウム鉱物であり、その表面に
水酸基を有して、スラリー中において優れた分散性、な
じみ性等の諸特性を発揮すると共に、無機バインダによ
る凝集時に、優れた吸着性及び固結性等の諸特性を発揮
する。
【0047】請求項16に係る三次元中空構造体は、請
求項6乃至15のいずれかの構成において、前記主材と
しての無機粉末及び/または無機繊維と前記無機バイン
ダとに水を加えて混練することによりペースト状のスラ
リーを調製し、そのスラリーをウェットシート状に成形
して前記無機質のシート材料を形成した。
【0048】したがって、請求項16に係る三次元中空
構造体は、シート材料の製造において、無機粉末及び/
または無機繊維と無機バインダとに水を加えて混練する
ことにより、ペースト状のスラリーを調製することがで
きる。この混練中に、無機バインダによる無機粉末及び
/または無機繊維同士の結合、凝集等の化学反応が進行
する。このとき、投入した材料の全て、即ち、無機粉末
及び/または無機繊維と無機バインダとからなる材料の
全てをスラリーの調製に使用することができる。即ち、
従来の湿式抄造法の場合のように投入材料の抄網(抄
具)からの流出といった事態は発生しない。
【0049】特に、主材として無機粉末を使用する場
合、ペースト状のスラリー中で無機粉末同士を無機バイ
ンダにより直接結合できるため、スラリーに必ずしも担
体繊維を配合する必要がない。したがって、実質的に無
機粉末のみを主材とする無機質湿潤材料の製造が可能と
なる。加えて、上記のように、投入材料の全て、即ち、
投入した無機粉末の全てを、スラリーの調製、ひいては
目的物としての無機質湿潤材料の形成に使用することが
できるため、無機質湿潤材料において無機粉末の密度を
非常に高くすることができる。
【0050】ここで、主材としては、無機粉末または無
機繊維のいずれか一方のみを使用してもよく、または、
その両方を同時に使用してもよい。更に、全体として、
不燃性、難燃性等、無機質材料としての特性を維持でき
る限りにおいて、有機粉末及び/または有機繊維を主材
として追加的に配合してもよい。無機粉末のみを主材と
する場合、(主材としてではなく充填剤としての)無機
繊維及び/または有機繊維を配合してもよい。この場合
の無機繊維及び/または有機繊維は、湿式抄造の場合の
ように無機粉末を担持する担体繊維として用いるわけで
はなく、単に、目的物としての無機質湿潤シート材料へ
の強度付与等の目的で使用する。このため、その配合量
は、無機質湿潤シート材料への強度付与等の目的の範囲
内で最小限使用すればよい。また、無論、その他の添加
剤、充填剤等を配合してもよい。
【0051】更に、無機粉末は、従来例(湿式抄造)の
場合のように抄網からの脱落を考慮する必要がないた
め、その粒径は任意であり、例えば、1ミクロン未満の
微粒子状とすることもできる。更にまた、従来の湿式抄
造法の場合、粗大粒子状の無機粉末を使用すると抄網に
目詰まりを起こす可能性があるが、請求項16の無機質
シート材料では、かかる事情を考慮しなくてもよいた
め、例えば、500ミクロン以上の粗大粒子状の無機粉
末を使用することもできる。また、無機繊維を使用する
場合も、同様の理由から、その繊維径及び繊維長は任意
である。なお、本明細書中における「粉末」は、繊維状
以外の全ての形状のものを含む意味で使用する。
【0052】無機バインダは、メタカオリンと、前記メ
タカオリンと反応する凝集剤とからなる無機複合体より
構成され、前記無機粉末及び/または無機繊維を凝集し
て互いに結合できる限りにおいて、任意のものを使用す
ることができる。なお、本明細書中における「バイン
ダ」は、凝集剤も含む意味で使用する。
【0053】スラリー調製のために加える水の配合量
は、スラリーをペースト状とすることができる限りにお
いて最小限の量とすればよい。通常は、材料に対して2
倍以下の水を配合する。また、混練には任意の混練装置
を使用することができる。更に、目的物としてのウェッ
トシート状の無機質シート材料は、通常想定される肉厚
のシート状の他、厚肉のシート状(ボード状)に成形す
ることもできる。このような無機質シート材料を、ハニ
カムコア状、デルタコア状、コルゲートコア状等、任意
の三次元中空形状に二次成形することができる。更に、
所定形状への成形には、押出成形、ローラ延伸による成
形等、任意の成形手段を使用することができる。
【0054】請求項17に係る三次元中空構造体は、請
求項7乃至15のいずれかの構成において、前記主材と
しての無機粉末及び/または無機繊維と前記無機長繊維
と前記無機バインダとに水を加えて混練することにより
ペースト状のスラリーを調製し、そのスラリーをウェッ
トシート状に成形して前記無機質のシート材料を形成し
た。
【0055】したがって、請求項17に係る三次元中空
構造体は、シート材料の製造において、無機粉末及び/
または無機繊維と無機長繊維と無機バインダとに水を加
えて混練することにより、ペースト状のスラリーを調製
することができる。この混練中に、無機バインダによる
無機粉末及び/または無機繊維と無機長繊維との結合、
凝集等の化学反応が進行する。このとき、投入した材料
の全て、即ち、無機粉末及び/または無機繊維と無機長
繊維と無機バインダとからなる材料の全てをスラリーの
調製に使用することができる。即ち、従来の湿式抄造法
の場合のように投入材料の抄網(抄具)からの流出とい
った事態は発生しない。
【0056】請求項18に係る三次元中空構造体は、請
求項16の構成において、前記主材として前記無機粉末
以外の成分を実質的に含まず、前記主材としての無機粉
末と前記無機バインダとに水を加えて混練することによ
りペースト状のスラリーを調製し、そのスラリーをウェ
ットシート状に成形して前記無機質のシート材料を形成
した。
【0057】したがって、請求項18に係る三次元中空
構造体は、シート材料の製造において、無機粉末と無機
バインダとに水を加えて混練することにより、ペースト
状のスラリーを調製することができる。この混練中に、
無機バインダによる無機粉末同士の結合、凝集等の化学
反応が進行する。このとき、投入した材料の全て、即
ち、無機粉末と無機バインダとからなる材料の全てをス
ラリーの調製に使用することができる。即ち、従来例の
湿式抄造法の場合のように投入材料の抄網からの流出と
いった事態は発生しない。
【0058】特に、主材としての無機粉末同士を、ペー
スト状のスラリー中で無機バインダにより直接結合でき
るため、スラリーに担体繊維を配合する必要がない。し
たがって、実質的に無機粉末のみを主材とする無機質湿
潤材料の製造が可能となる。加えて、上記のように、投
入材料の全て、即ち、投入した無機粉末の全てをスラリ
ーの調製、ひいては目的物としてのウェットシート状の
無機質シート材料の形成に使用することができるため、
無機質シート材料において無機粉末の密度を非常に高く
することができる。
【0059】請求項19に係る三次元中空構造体の製造
方法は、断面正三角形の谷状をなすプレス溝を一定方向
に多数連続配置した断面鋸歯状の受型と、前記受型の各
プレス溝により形成される谷状の空間に進入自在な断面
形状をなすと共に前記各プレス溝の下端縁と整合する下
端縁を有する押型とを使用する。この製造方法は、前記
受型上に平板状のシート材料を配置するシート配置工程
と、前記シート材料を間に挟んだ状態で、前記押型の下
端縁を前記受型のプレス溝の一方の傾斜面の上端縁に対
向する位置から、その一方の傾斜面に沿って前記下端縁
まで移動することにより、前記シート材料を前記プレス
溝の断面正三角形と略同一の正三角形をなす単位断面形
状に折り曲げて付形するシート付形工程と、前記付形工
程を繰り返して、前記シート材料に対して前記正三角形
の単位断面形状が直線状に多数連続するよう付形するこ
とにより、断面鋸歯状の中芯を形成する中芯形成工程
と、前記中芯の厚さ方向一側に、平板状のシート材料か
らなるライナを接合するライナ接合工程とを具備する。
【0060】したがって、請求項19に係る三次元中空
構造体の製造方法によれば、前記受型のプレス溝は断面
逆正三角形をなすため、プレス溝の両上端縁間の距離
(正三角形の底辺)と各傾斜面の上下両端縁間の距離
(正三角形の斜辺)とは同一である。よって、シート材
料のうちプレス溝の上端縁間(正三角形の底辺)の部分
は、そのまま、プレス溝の他方の傾斜面に過不足なく重
なり、中芯の単位断面形状の他方の斜辺(シート供給方
向上流側の斜辺)部分となる。同時に、シート材料のう
ち押型の下端縁により受型のプレス溝内に引き込まれる
部分が、中芯の単位断面形状の一方の斜辺(シート供給
方向下流側の斜辺)部分となる。これにより、各単位断
面形状の一対の斜辺が形成される。また、押型によるシ
ート材料のプレス動作において、シート材料は、押型の
下端縁により、プレス溝の一方の傾斜面に押し当てられ
た状態でプレス溝内に引き込まれ、一方の傾斜面の上端
縁から下端縁まで円滑に移動する。
【0061】請求項20に係る三次元中空構造体の製造
方法は、請求項19の構成において、前記中芯のシート
材料及び前記ライナのシート材料が、それぞれ、無機質
材料を主材とするペースト状のスラリーをウェットシー
ト状に延伸成形してなる無機質のシート材料からなる。
【0062】したがって、請求項20に係る三次元中空
構造体の製造方法によれば、まず、中芯のシート材料
が、ウェットシート状の無機質シート材料(無機質湿潤
シート材料)から構成されるため、押型及び受型間で無
機質湿潤シート材料を容易にプレス成形して、中芯の単
位断面形状を正確な正三角形とすることができる。ま
た、無機質湿潤シート材料は、無機質材料を主材とする
ペースト状のスラリーをシート状に延伸成形してなるた
め、主材としてスラリーに配合する無機質材料が、湿式
抄造法のように抄造時に脱落することはない。
【0063】なお、請求項20において、スラリーの延
伸成形には、スラリーを所定のシート形状に付形できる
限りにおいて、任意の成形手段を使用することができ
る。例えば、スラリーを押出成形機から押し出し、その
押出したスラリーを延伸ローラにより必要とする厚さの
シート状に延伸成形することができる。
【0064】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。まず、本発明の無機バインダ組成物について実施
の形態1として説明する。次に、三次元中空構造体のシ
ート材料として好適に使用することができる無機質シー
ト材料について、実施の形態2として説明する。更に、
実施の形態1の無機バインダ組成物等を外添剤として含
浸処理または被覆処理した耐熱性シート材料について、
実施の形態3として説明する。そして、実施の形態2の
無機質シート材料や実施の形態3の耐熱性シート材料等
のシート材料を使用した三次元中空構造体について、実
施の形態4として説明する。
【0065】1.実施の形態1 [概要]実施の形態1に係る無機バインダ組成物は、メ
タカオリンと、リン酸アルミニウムと、エタノールと、
前記リン酸アルミニウムと反応して前記リン酸アルミニ
ウムを固定する酸化マグネシウム、水酸化マグネシウ
ム、ブルーサイト、雲母及び改質処理済ロックウールの
少なくともいずれか1種からなる硬化剤と、溶媒または
分散媒としての水とを含む。リン酸アルミニウムとして
は、各種リン酸アルミニウムを使用することができる
が、特に、第1リン酸アルミニウムを好適に使用するこ
とができる。
【0066】好ましくは、実施の形態1に係る無機バイ
ンダ組成物は、リン酸アルミニウム水溶液(固形分50
%)にエタノールを混合し、これに対して酸化マグネシ
ウム、水酸化マグネシウム、ブルーサイト、雲母及び改
質処理済ロックウールの少なくともいずれか1種からな
る硬化剤の水溶液または水分散液を混合し、更に、これ
に対してメタカオリンを混合してなる。この無機バイン
ダ組成物は、前記リン酸アルミニウム水溶液100重量
部に対して、前記エタノールを10〜20重量部、前記
硬化剤を4〜20重量部、前記メタカオリンを2.5〜
25重量部の割合でそれぞれ配合することがより好まし
い。更に、無機バインダ組成物は、前記リン酸アルミニ
ウム水溶液100重量部に対して、前記エタノールを約
10重量部、前記硬化剤を4重量部、前記メタカオリン
を2.5重量部の割合でそれぞれ配合することがより一
層好ましい。
【0067】実施の形態1に係る無機バインダ組成物
は、リン酸アルミニウムと硬化剤とが反応すると共に、
リン酸アルミニウムとメタカオリンとが反応し、それら
が無機複合体(無機硬化体)を形成する。なお、これら
の反応は、常温で行うことができる。そして、このよう
な無機複合体により構成される無機バインダ組成物は、
耐熱性等の機能性付与・向上の目的で、各種基材または
基体材料(シート材料、三次元構造体等)の内部または
表面を含浸処理したり被覆処理(コーティング処理)し
たりするために好適に使用することができる。
【0068】例えば、実施の形態1に係る無機バインダ
組成物を外添剤としてシート材料に含浸処理または被覆
処理した場合、前記特定組成の無機バインダ組成物(無
機複合体の溶液または分散液)が、シート材料内部また
は表面で硬化して固定され、シート材料に高い不燃性、
耐火性等の耐熱性能を付与する。ここで、シート材料へ
の含浸処理または被覆処理において、リン酸アルミニウ
ム水溶液を単独で使用し、これに硬化剤及びメタカオリ
ンを混合した溶液または分散液の場合、通常は、シート
材料の内部に浸透することはない。
【0069】しかし、実施の形態1に係る無機バインダ
組成物は、リン酸アルミニウム水溶液にエタノールを混
合したことにより、シート材料の内部に浸透する。特
に、この場合、無機バインダ組成物の一部がシート材料
の内部に浸透し、かつ、他の一部がシート材料の表面に
層状に浮き上がる。
【0070】なお、無機バインダ組成物がシート材料に
浸透した後、エタノールは早期に完全に揮散する。これ
により、加熱乾燥等により溶媒または分散媒としての水
が蒸発揮散すると、シート材料の内部及び表面に、強固
で耐熱性に富む無機複合体(無機硬化体)が固定され
る。即ち、無機複合体の一部が、シート材料の内部の特
性(耐熱性等)を向上すると共に、他の一部が、シート
材料の表面の特性を向上する。更に、無機複合体(無機
硬化体)の一部がシート材料の内部に、他の一部がシー
ト材料の表面に、それぞれ連続的に存在するため、無機
硬化体全体に柔軟性が付与される。その結果、無機硬化
体からなる無機浸透層及び無機皮膜層は、シート材料の
屈曲、湾曲等の変形に伴う応力に対して柔軟に追随し、
容易に亀裂等を生じることがない。
【0071】特に、実施の形態1に係る無機バインダ組
成物の各成分の配合比を上記のように構成した場合、全
体の反応が非常に良好に進行する。即ち、前記リン酸ア
ルミニウム水溶液100重量部に対して、前記エタノー
ルの配合量が10重量部未満の場合、無機バインダ組成
物の上記のようなシート材料への浸透性が低下する可能
性がある。一方、エタノールの配合量が20重量部を超
えても、上記浸透性は特段向上しない。また、硬化剤の
配合量が4重量部未満の場合、リン酸アルミニウムの硬
化が不十分となる可能性がある。一方、硬化剤の配合量
が20重量部を超えると、無機硬化体の柔軟性が低下す
る可能性がある。更に、前記メタカオリンの配合量が
2.5重量部未満の場合、無機硬化体の形成が十分に行
われない可能性がある。一方、メタカオリンの配合量が
25重量部を超えると、無機硬化体の強度が低下する可
能性がある。
【0072】実施の形態1に係る無機バインダ組成物
は、特に、鋼板に対するコーティング処理の用途に好適
に使用することができる。例えば、表面にアルミニウム
めっき層を有する鋼板では、従来、そのコーティング処
理剤として、水ガラス等のアルカリケイ酸塩水溶液を使
用している。この場合、アルカリケイ酸塩水溶液は鋼板
のアルミニウムめっき層に浸透する。しかし、アルカリ
ケイ酸塩は、硬化後の柔軟性または可撓性に乏しく、曲
げ、撓み等の応力に対して破断、亀裂等を生じ易い。更
に、アルカリケイ酸塩の硬化時の収縮に伴い、アルカリ
ケイ酸塩のコーティング層が厚さ方向に変形し、アルカ
リケイ酸塩のコーティング層がアルミニウムめっき層と
共に鋼板から剥離する可能性がある。一方、実施の形態
1に係る無機バインダ組成物は、エタノールの存在によ
り、鋼板のアルミニウムめっき層の内部及び表面に、柔
軟性及び可撓性を有する無機複合体(無機硬化体)の内
層及び表面層(塗膜)が連続して一体的に設けられる。
その結果、無機硬化体からなる無機浸透層(内層)及び
無機皮膜層(表面層)が、応力により厚さ方向に変形し
たとしても、鋼板から剥離したり、亀裂等の不具合を生
じたりすることはない。
【0073】2.実施の形態2 [概要]実施の形態2に係る無機質シート材料は、主材
としての無機粉末及び/または無機繊維と、内添剤とし
ての無機バインダとを必須成分として含有する。無機バ
インダは、メタカオリンと、前記メタカオリンと反応す
る凝集剤とからなる無機複合体より構成され、前記主材
としての無機粉末及び/または無機繊維を凝集して互い
に結合する。実施の形態2に係る無機質シート材料は、
従来と同様の湿式抄造法により製造することができる。
或いは、実施の形態2に係る無機質シート材料は、前記
無機粉末及び/または無機繊維と前記無機バインダとに
水を加えて混練することによりペースト状のスラリーを
調製し、そのスラリーをロール延伸等によりウェットシ
ート状に成形して製造することもできる。
【0074】[無機粉末(主材)]実施の形態2では、
主材として、無機粉末または無機繊維のいずれか一方の
みを使用してもよく、または、その両方を同時に使用し
てもよい。ここで、「粉末」とは、その形状が、繊維状
以外の全ての形状のものをいい、略球形状以外にも、板
状、鱗片状等、種々の形状のものを含む。無機粉末とし
ては、必要とする無機質湿潤材料の物性等に応じて、粘
土鉱物等の無機天然物粉末、無機化合物粉末、セラミッ
ク粉末、金属粉末等、各種の無機粉末を使用することが
できる。また、各種無機粉末を適宜組み合わせて使用し
てもよい。
【0075】例えば、無機質シート材料に、耐火性、不
燃性等の諸特性に加えて、調湿性または吸湿性、微生物
吸着性等の吸着性能を付与するため、無機粉末として、
セピオライト(鱗片状)、ベントナイト(板状)、スメ
クタイト(板状)、合成スメクタイト(板状)、バーミ
キュライト(板状)、合成膨潤性雲母(板状)等の吸着
性を有する無機粉末を使用することができる。なお、セ
ピオライトは、含水ケイ酸マグネシウム粘土鉱物であ
り、一般に、繊維状のものが従来の湿式抄造によるシー
ト状物の製造に使用される。しかし、ここでは、主材と
しての無機粉末としては、不定形鱗片状(結晶度β型)
のセピオライトを使用する。
【0076】更に、例えば、無機質シート材料に、耐火
性、不燃性等の諸特性に加えて、自己消化性を付与する
ため、主材としての無機粉末として、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、ブルーサイト、含水ホウ酸カ
ルシウム(灰硼石)、炭酸カルシウム等の自己消化性を
有する無機粉末を使用することもできる。なお、ブルー
サイトは、水酸化マグネシウム鉱物であり、原石をジェ
ット粉砕機等で微粒子状に粉砕した不定形板状(偏平
状)の粒子形態のものを使用することができる。また、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムまたはブルー
サイトの場合、加熱に対しては、構造水が揮散すること
により自己消化性を発揮する。よって、構造水が揮散し
た後の自己消化性は期待できない。一方、炭酸カルシウ
ムは、約500℃で分解し、炭酸ガスを放出し、自己消
化性を発揮する。よって、水酸化アルミニウム、水酸化
マグネシウムまたはブルーサイト等のように、構造水に
より自己消化性を発揮する第1の主材成分と、炭酸カル
シウムのように炭酸ガスにより自己消化性を発揮する第
2の主材成分とを混合することが好ましい。この場合、
加熱に対して、まず、第1の主材成分の構造水が揮散し
て自己消化性を発揮する。次いで、構造水が全て揮散し
た後は、第2の主材成分の炭酸ガスが放出され、更なる
自己消化性を発揮する。
【0077】更にまた、牡蠣殻等の貝殻を粉砕して得た
貝殻粉、牛骨等の骨を粉砕して得た骨粉、卵殻を粉砕し
て得た卵殻粉等の炭酸カルシウム粉末を、主材としての
無機粉末として使用することもできる。この場合、一般
に廃棄される貝殻等を材料として有効かつ大量に再利用
することができ、資源循環、省資源等の点で、持続可能
な環境適応型社会の形成に寄与することができる。
【0078】なお、主材としては、無機質シート材料の
製造時のシート成形性、製造後の紙力、不燃性等の点
で、セピオライト及びブルーサイトの少なくともいずれ
か1種を配合することが好ましい。主材としてのセピオ
ライトまたはブルーサイトは、その高い反応性により、
前記無機バインダを介して互いに容易に凝集してフロッ
クを形成する。即ち、セピオライトは、一般に、繊維状
または鱗片状をなす含水ケイ酸マグネシウム鉱物であ
り、その表面に水酸基を有して、スラリー中において優
れた分散性、なじみ性等の諸特性を発揮すると共に、無
機バインダによる凝集時に、優れた吸着性及び固結性等
の諸特性を発揮する。よって、上記抄造法等により、容
易にシートを形成することができ、かつ、形成されたシ
ートは十分な紙力を有する。一方、ブルーサイトは、一
般に、不定形板状(偏平状)をなす水酸化マグネシウム
鉱物であり、その表面に水酸基を有して、スラリー中に
おいて優れた分散性、なじみ性等の諸特性を発揮すると
共に、無機バインダによる凝集時に、優れた吸着性及び
固結性等の諸特性を発揮する。
【0079】更に、無機質シート材料をペースト状のス
ラリーから成形する場合、主材としての無機粉末は、従
来の湿式抄造の場合のように抄網からの脱落を考慮する
必要がないため、その粒径は任意であり、例えば、1ミ
クロン未満の微粒子状とすることもできる。更にまた、
従来例の湿式抄造の場合、粗大粒子状の無機粉末を使用
すると抄網に目詰まりを起こす可能性があるが、無機質
シート材料をペースト状のスラリーから成形する場合、
かかる事情を考慮しなくてもよいため、例えば、500
ミクロン以上の粗大粒子状の無機粉末を使用することも
できる。また、無機繊維を使用する場合も、同様の理由
から、その繊維径及び繊維長は任意である。
【0080】[無機繊維(主材)]主材としての無機繊
維としては、必要とする無機質湿潤材料の物性等に応じ
て、粘土鉱物等の無機天然物繊維、無機化合物繊維、セ
ラミック繊維、金属繊維等、各種の無機繊維を使用する
ことができる。また、各種無機繊維を適宜組合わせて使
用してもよい。例えば、無機質シート材料に、耐火性、
不燃性等の諸特性に加えて、調湿性または吸湿性、微生
物吸着性等の吸着性能を付与するため、無機粉末とし
て、セピオライト(繊維状)、アタパルジャイト(繊維
状)、パリゴルスカイト(繊維状)等の吸着性を有する
無機繊維を使用することができる。なお、この場合のセ
ピオライトとしては、繊維状(結晶度α型)のものを使
用する。
【0081】[無機長繊維]無機長繊維としては、主材
としての無機粉末及び/または無機繊維を担持すること
ができる限りにおいて、一般に使用される任意の無機質
担体長繊維を使用することができる。例えば、ガラス繊
維、ロックウール繊維等の鉱物繊維、ステンレス繊維等
の金属繊維、チタン酸カリウム繊維等のセラミック繊維
またはウィスカー、石膏繊維等の無機化合物繊維等を使
用することができる。ただし、材料コスト等の点から
は、これらの中でもロックウール、ガラス繊維が好まし
い。そして、これらの無機質繊維は、無機質シート材料
全体に対して、3〜30重量%の割合で配合することが
好ましい。なお、担体長繊維として、無機長繊維に加
え、若干の有機長繊維を配合することもできる。かかる
有機長繊維としては、木材パルプ、またはこれを難燃化
したリン酸パルプ、アラミド繊維、ビニロン繊維等の織
物繊維等の有機質繊維を使用することができる。しか
し、その配合量は、無機質シート材料における不燃性、
耐火性、及び熱分解後の保形性等を十分なものとするた
めに、無機質シート材料全体に対して10重量%以下で
あることが好ましく、更には、5重量%以下がより好ま
しい。
【0082】また、無機長繊維として、改質処理済ロッ
クウール(engineered rock wool)を使用することがで
きる。この改質処理済ロックウールは、一般的なロック
ウールに対して、その物性を改善するための処理を施し
たロックウールを言い、例えば、上記のような一般的な
ロックウールを純化または清浄化し、かつ、(例えば、
コーティング剤またはカップリング剤による)表面処理
を施すことにより製造したものを言う。この改質処理済
ロックウールは、一般的なロックウールとは異なる新規
な構造を有し、改質処理により化学組成や繊維長等の繊
維物性を制御可能である。また、改質処理済ロックウー
ルは、化学組成、純度、繊維長及び繊維径にばらつきが
無い。更に、改質処理済ロックウールは、非常に短い繊
維であり、ごく低いショット含有量で容易に分散する繊
維である。加えて、改質処理済ロックウールは、発がん
物質としての分類にも入らず、高い安全性を有する。更
にまた、改質処理済ロックウールは、多量の無機繊維の
使用を可能とし、温度特性を向上し、寸法安定性や表面
の滑らかさを改善するものである。かかる改質処理済ロ
ックウールとしては、ラピナスファイバーズBV(Lapi
nus Fibres BV)社のロックウール製品であるラピナス
ロックシールRS400−ロクスル1000(Lapinus
Rockseal RS 400-Roxul 1000)を好適に使用することが
できる。このロックウールは、平均繊維径(数値平均)
5.5ミクロン、平均繊維径(質量平均)9.0ミクロ
ン、平均比表面積0.20m/g、平均繊維長125
±25ミクロンという構造を有する。また、このロック
ウールの組成は、SiOが38.0〜42.0%、A
が19.5〜23.5%、CaOが15.0
(最低)〜19.0(最高)%、MgOが7.0〜1
1.0%、FeOが4.5〜8.0%、その他の成分が
最高16.0%となっている。また、このロックウール
の物性は、硬度がビッカース硬さで645N/mm
融点が1000℃以上、燃焼損失が最大で0.3%、含
水率が最大で0.1%、比密度が2.75±0.15g
/cmとなっている。
【0083】[その他の主材(有機粉末/有機繊維)及
び充填剤等]更に、全体として、不燃性、難燃性等、無
機質材料としての特性を維持できる限りにおいて、有機
粉末及び/または有機繊維を主材として追加的に配合し
てもよい。例えば、木材パルプ等の天然セルロース繊
維、アラミド繊維等の合成繊維を主材として配合しても
よい。
【0084】無機質シート材料をペースト状のスラリー
から成形する場合、主材として無機繊維を配合せず、無
機粉末のみを主材として使用することもできる。この場
合、(主材としてではなく)充填剤として無機繊維及び
/または有機繊維を配合してもよい。この場合の無機繊
維及び/または有機繊維は、湿式抄造の場合のように無
機粉末を担持する担体繊維として用いるわけではなく、
単に、目的物としての無機質湿潤材料への強度付与等の
目的で使用する。無論、充填剤としての無機繊維を配合
した場合、無機粉末の一部が無機繊維及び/または有機
繊維に吸着し、結果的に無機繊維及び/または有機繊維
に担持されることもあるが、この場合でも、無機粉末の
結合には担体繊維としての無機繊維及び/または有機繊
維の存在は不要である(無機バインダにより無機粉末同
士を結合することができる)。このため、無機繊維及び
/または有機繊維の配合量は、無機質シート材料への強
度付与等の目的の範囲内で最小限使用すればよい。例え
ば、従来の湿式抄造では、無機粉末の抄造には、通常、
担体繊維を5〜10重量%配合する必要があるが、無機
質シート材料をペースト状のスラリーから成形する場
合、充填剤としての無機繊維及び/または有機繊維の配
合量は、5重量%未満、例えば、1重量%未満としても、
所期の効果を得ることができる。更に、その配合量をゼ
ロとし、主材として無機粉末を100%使用することも
できる。
【0085】また、本実施の形態では、無論、その他の
添加剤、充填剤等を配合してもよい。例えば、補強繊維
として、ガラス繊維、ロックウール繊維等の鉱物繊維、
ステンレス繊維等の金属繊維、チタン酸カリウム繊維等
のセラミック繊維またはウィスカー、石膏繊維等の無機
化合物繊維等を使用することができる。ただし、材料コ
スト等の点からは、これらの中でもガラス繊維が最適で
ある。そして、これらの無機質繊維は、無機質シート材
料全体に対して、一般に3〜20重量%の割合で配合す
ることができる。
【0086】更に、補強繊維としては、無機質繊維だけ
でなく、木材パルプ、またはこれを難燃化したリン酸パ
ルプ、アラミド繊維、ビニロン繊維等の織物繊維等の有
機質繊維も使用することができる。しかし、その配合量
は、不燃性、耐火性、及び熱分解後の保形性等を十分な
ものとするために、無機質シート材料全体に対して10
重量%以下であることが好ましく、更には、5重量%以
下がより好ましい。
【0087】更にまた、これらの補強繊維の他にも、必
要に応じて、各種の無機質フィラを配合することができ
る。そのような無機質フィラとしては、水酸化アルミニ
ム、含水ホウ酸カルシウム(灰硼石)、水酸化マグネシ
ウム(ブルーサイト)、炭酸カルシウム等の自己消火性
を有する無機質粉体が特に好ましい。なお、この場合
も、上記自己消化性の主材の場合と同様、水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウムまたはブルーサイト等のよ
うに、構造水により自己消化性を発揮する第1の無機質
フィラ成分と、炭酸カルシウムのように炭酸ガスにより
自己消化性を発揮する第2の無機質フィラ成分とを混合
することが好ましい。また、コロイダルシリカ等の結合
性の無機質フィラ、バーミキュライト、合成膨潤性雲母
または合成スメクタイト等の板状粒子も、無機質シート
材料に強度を与えるために好ましい。ただし、これらの
無機質フィラは、主材としての無機粉末及び/または無
機繊維の特性を阻害しない程度に比較的少ない割合で使
用することが好ましい。更に、充填剤として、シラスバ
ルーン、シリカバルーン、ガラスバルーン等の微小中空
球(バルーン)を配合して軽量化を図ることもできる。
【0088】[無機バインダ]無機バインダは、上記の
ように、メタカオリン及び前記メタカオリンと反応する
凝集剤からなる無機複合体より構成される。具体的に
は、メタカオリンと、メタカオリンと反応する所定の凝
集剤とを溶媒または分散媒としての水中で混合すること
により、それらを予め反応(凝集)させる。このとき、
水中で、メタカオリン及び凝集剤が凝集して無機複合体
を形成する。そして、かかる無機バインダ液(液中の無
機複合体)を主材のバインダ(凝集剤)として使用す
る。なお、前記メタカオリンと反応する凝集剤として
は、メタカオリンと反応して無機複合体を形成し、主材
としての無機粉末及び/または無機繊維同士、或いは、
主材としての無機粉末及び/または無機繊維と無機長繊
維とを凝集して互いに結合できる限りにおいて、任意の
ものを使用することができる。なお、本明細書中におけ
る「バインダ」は、凝集剤も含む意味で使用する。
【0089】前記メタカオリンと反応する凝集剤として
は、アルカリ金属ケイ酸塩、コロイダルシリカ及び無機
リン酸塩の少なくともいずれか1種を使用することが好
ましい。即ち、これらを単独で、或いは、適宜組み合わ
せて使用することが好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩と
しては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リ
チウム等のケイ酸アルカリ金属塩、ケイ酸カルシウム、
ケイ酸マグネシウム等のケイ酸アルカリ土類金属塩、ま
たは、ケイ酸アルミニウム等、任意のものを使用できる
が、製造コスト、結合力等の点から、ケイ酸ナトリウ
ム、ケイ酸ソーダまたはケイ酸リチウムのいずれかを単
独で、或いは、適宜組み合わせて使用することが好まし
い。アルカリケイ酸塩としては、例えば、愛知珪曹
(株)製のケイ酸ナトリウム3号を好適に使用すること
ができる。無機リン酸塩としては、任意のものを使用で
きるが、製造コスト、結合力等の点から、重リン酸アル
ミニウム等のリン酸アルミニウムを使用することが好ま
しい。
【0090】また、前記メタカオリンと反応する凝集剤
としては、第1の凝集剤としてのアルカリ金属ケイ酸塩
またはコロイダルシリカと、第2の凝集剤としてのリン
酸アルミニウムとを併せて使用することが好ましい。メ
タカオリンとアルカリ金属ケイ酸塩またはコロイダルシ
リカとの無機複合体に対してリン酸アルミニウムを添加
すると、急速な凝集を得ることができ、この凝集によっ
て無機長繊維と主材との接合にメタカオリンの無機複合
体を有効に用いることができる。更に、前記メタカオリ
ンと反応する凝集剤として少なくともアルカリ金属ケイ
酸塩を含有する場合、前記アルカリ金属ケイ酸塩のアル
カリ金属と反応して前記アルカリ金属を固定するホウ酸
亜鉛を配合することが好ましい。更にまた、前記メタカ
オリンと反応する凝集剤として、リン酸アルミニウムを
含有する場合、前記リン酸アルミニウムを固定する硬化
剤を配合することが好ましい。メタカオリンと反応する
凝集剤として少なくともアルカリ金属ケイ酸塩とリン酸
アルミニウムとを含有する場合は、アルカリ金属ケイ酸
塩のアルカリ金属を固定するホウ酸亜鉛からなる第1の
硬化剤と、前記リン酸アルミニウムを固定する第2の硬
化剤とを配合することが好ましい。なお、リン酸アルミ
ニウムを固定する硬化剤としては、リン酸アルミニウム
を固定する任意のものを使用でき、例えば、酸化マグネ
シウム、水酸化マグネシウム、ブルーサイト、雲母(マ
イカ)及び改質処理済ロックウールの少なくともいずれ
か1種等を好適に使用することができる。
【0091】[有機バインダ]上記無機バインダに加え
て、有機バインダを配合することもできる。有機バイン
ダは、主材としての無機粉末及び/または無機繊維同
士、或いは、主材としての無機粉末及び/または無機繊
維と無機長繊維とを凝集して結合できる限りにおいて、
任意のものを使用することができる。バインダとして
は、グアーガム、でんぷん等の天然高分子化合物も使用
可能であるが、好ましくは、合成物である合成樹脂が使
用される。そして、合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と
熱硬化性樹脂脂のいずれも適宜に用いることができ、好
ましくは、スラリー調整時に凝集剤としても作用するカ
チオン系、アニオン系、またはノニオン系のものが使用
される。熱可塑性樹脂は、主に、無機質シート材料の乾
燥時のシート力(乾燥紙力)を高めるもので、例えば、
ポリアミド、またはポリアクリルアミド等のアクリル系
樹脂、ポリエステル樹脂等を好適に使用することができ
る。また、熱硬化性樹脂は、主に、無機質シート材料の
湿潤時のシート力(湿潤紙力)を高めるもので、例え
ば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムア
ルデヒド樹脂、エピクロルヒドリン系ポリアミド樹脂等
を好適に使用することができる。そして、これらの高分
子化合物からなる有機バインダはそれぞれ単独で、また
は、適宜組み合わせて使用することができるが、十分な
不燃性を得るため、無機質シート材料全体に対して一般
に5重量%までの割合となるように調製することが好ま
しい。
【0092】具体的には、有機バインダとして、ノニオ
ン系であるポリエチレンオキシド(PEO)の水溶液
(例えば0.5%水溶液)、ポリビニルアルコール(P
VA)の水溶液(例えば10%水溶液)、熱可塑性樹脂
であるポリエステルの水性エマルジョン(20%)等を
それぞれ単独で、或いは適宜組み合わせて使用すること
ができる。また、強カチオン性ポリマーとしてのジメチ
ルアミノエチルメタクリレート(DMAEM)と強アニ
オン性ポリマーとしてアクリルアミドアクリル酸共重合
体(AA)とを組み合わせて使用することもできる。こ
れらの凝集剤は、液状の高分子ポリマーである。なお、
一般に、「強カチオン性ポリマー」、「強アニオン性ポ
リマー」の厳密な定義はないが、本明細書では、「強カ
チオン性ポリマー」とは、カチオンが3.5meq/g 以上
のものをいうものとし、また、「強アニオン性ポリマ
ー」とは、アニオン性高分子凝集剤の種類が限定されて
いるので、一般的な用途からイオン性を判断して、水中
でアニオンに解離する割合が20%以上即ち解離してい
ない割合が80%以下のものをいうものとする。
【0093】更に、第1バインダー(シート力増強用)
としての熱可塑性樹脂である分子量80万〜100万の
PAA(ポリアクリルアミド)と、第2バインダー(凝
集性、耐水性付与用)としての網目状の三次元構造を持
った熱硬化性樹脂のEPA(ポリアミドポリアミンエピ
クロルヒドリン)と、第3バインダーとしてのアニオン
性の熱可塑性樹脂からなる凝集剤としてのAA(アクリ
ルアミドアクリル酸共重合体)と、第4バインダーとし
てのカチオン性の熱可塑性樹脂からなる凝集剤としての
DMAEM(ジメチルアミノエチルメタクリレート)を
併用することもできる。この場合、第1〜第4バインダ
ーは、PAA、EPA、AA及びDMAEMの順に添加
することが好ましい。カチオン性のジメチルアミノエチ
ルメタクリレート(DMAEM)及びアニオン性のアク
リルアミドアクリル酸共重合体(AA)としては、それ
ぞれ、1%水溶液を使用することができる。
【0094】[製造方法(その1)]次に、実施の形態
2に係る無機質シート材料の製造方法(その1)につい
て説明する。無機質シート材料の製造方法(その1)
は、従来と同様の湿式抄造法により無機質シート材料を
製造するものである。詳細には、まず、必要な場合は解
繊等の必要な処理を施した後で、主材としての無機粉末
(例えばセピオライト)と無機長繊維(例えばロックウ
ール)とを希釈水中に分散して分散液(主材分散液)を
得る。次に、原料混合工程で、この主材分散液に無機バ
インダを混合して、スラリーを調製する。このとき、無
機バインダとしては、メタカオリンと凝集剤(例えばア
ルカリ金属ケイ酸塩水溶液としてのケイ酸ナトリウム水
溶液)とを予め反応させた分散液状のものを使用するこ
とが好ましい。例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液中にメ
タカオリンを分散し、予めそれらを反応させて無機複合
体を形成する。このとき、メタカオリンとケイ酸ナトリ
ウムとが反応して凝集し、前記無機複合体が生成され
る。そして、この無機複合体の分散液を主材分散液に投
入して混合し、混合原料液(スラリー)を得る。これに
より、無機複合体が主材分散液中の主材及び無機長繊維
と反応する。即ち、混合原料液中で、無機複合体が主材
及び無機長繊維の表面に付着し、それらが凝集してフロ
ックを形成する(集束化工程)。このとき、無機複合体
と主材及び無機長繊維との反応が均一に行われるよう、
混合原料液を攪拌する等、必要な処理を行う。更に、こ
のスラリー中に、無機リン酸塩(例えばリン酸アルミニ
ウム)を混合することにより、リン酸アルミニウムが、
無機複合体のメタカオリン及び/またはケイ酸ナトリウ
ムと反応して凝集する。
【0095】ここで、メタカオリンは、カオリナイトを
約500〜600℃で熱処理してその構造水を揮散させ
ることにより得られるものである。このカオリナイト
は、層状の格子が積み重なった積層構造を有し、その粒
子は板状をなす。板状の粒子のエッジ部分には正及び負
の吸着サイトが存在し、プレート面(表裏面)には負の
吸着サイトが存在する。よって、例えば、無機質シート
材料を上記のように湿式抄造法により製造する場合、ケ
イ酸ナトリウム水溶液のようなアルカリ域では、メタカ
オリンの表面にケイ酸ナトリウムのシリカ(SiO
が吸着して結合し、メタカオリンの各粒子のエッジ部分
及びプレート面が負に帯電する。
【0096】なお、このとき、ケイ酸ナトリウムのアル
カリ金属(ナトリウム)は、メタカオリン粒子の表面か
ら比較的容易に解離及び溶出するため、ホウ酸亜鉛等の
第1の硬化剤(定着助剤)により固定することが好まし
い。例えば、上記メタカオリンとアルカリ金属ケイ酸塩
(ケイ酸ナトリウム)との混合時または混合後に、第1
の硬化剤としてホウ酸亜鉛を配合する。この場合、ホウ
酸亜鉛のホウ酸及び亜鉛がアルカリ金属(ナトリウム)
と反応して結合し、ナトリウムをメタカオリンに固定す
る。即ち、上記のように、ケイ酸塩に対してホウ酸亜鉛
を混合した場合、ケイ酸塩のシリカがメタカオリンと反
応して硬化すると共に、ホウ酸亜鉛がケイ酸塩の金属と
反応して金属を固定し、全体が硬化する。ここで、ホウ
酸亜鉛は、ケイ酸ナトリウム等のアルカリケイ酸塩に対
して5〜10%の割合で配合すると一層効果的である。
【0097】一方、リン酸アルミニウムの水溶液または
分散液のような酸性域では、メタカオリンの表面にリン
酸アルミニウムが吸着して結合し、メタカオリンの各粒
子のエッジ部分が正に帯電する。なお、このとき、リン
酸アルミニウムは、メタカオリン粒子の表面から比較的
容易に解離及び溶出する傾向にあるため、酸化マグネシ
ウム等の第2の硬化剤(触媒としての定着助剤)により
固定することが好ましい。例えば、上記メタカオリン及
びケイ酸ナトリウムの混合液へのリン酸アルミニウムの
混合時または混合後に、第2の硬化剤として酸化マグネ
シウムを配合する。この場合、酸化マグネシウムがリン
酸アルミニウムをメタカオリンに固定する。即ち、上記
のように、リン酸アルミニウムに対して酸化マグネシウ
ム、水酸化マグネシウム、ブルーサイト及び雲母の少な
くとも1種を混合した場合、リン酸アルミニウムがメタ
カオリンと反応して硬化すると共に、酸化マグネシウム
等の硬化剤がリン酸アルミニウムと反応してリン酸アル
ミニウムを固定し、全体が硬化する。よって、リン酸ア
ルミニウムがメタカオリン粒子の表面から解離及び溶出
することを防止できる。
【0098】特に、改質処理済ロックウールの場合、リ
ン酸アルミニウムと混合することにより、リン酸アルミ
ニウムと発熱反応を起こして固化し、リン酸アルミニウ
ムのメタカオリンへの固定を促進する。詳細には、リン
酸アルミニウムのリン酸により改質処理済ロックウール
の表面が溶解し、リン酸アルミニウムのリン酸と改質処
理済ロックウールのMgO(酸化マグネシウム)とが反
応する。なお、改質処理済ロックウールは、前記無機長
繊維として配合することができる。この場合、改質処理
済ロックウールは、リン酸アルミニウムの混合前に既に
無機粉末(主材)との混合水溶液または混合分散液中に
配合されている。よって、酸化マグネシウム等の場合の
ように、新たな硬化剤を用意する必要はなく、全体の材
料の種類を削減して、製造コストを低減することができ
る。
【0099】なお、本発明では、メタカオリンと反応す
る凝集剤として、ケイ酸塩を配合することなく、リン酸
アルミニウムを単独で使用することも可能である。この
場合、リン酸アルミニウムの硬化剤(酸化マグネシウム
等)は、メタカオリンとリン酸アルミニウムとの混合時
または混合後に配合する。すると、上記と同様にして、
リン酸アルミニウムがメタカオリンと反応して硬化する
と共に、酸化マグネシウム等の硬化剤がリン酸アルミニ
ウムと反応してリン酸アルミニウムを固定し、全体が硬
化する。
【0100】更に、本発明では、メタカオリンと反応す
る凝集剤として、リン酸アルミニウムを配合することな
く、ケイ酸塩またはコロイダルシリカの一方を単独で使
用することも可能である。なお、メタカオリンと反応す
る凝集剤としてコロイダルシリカを単独で使用する場
合、上記ケイ酸塩やリン酸アルミニウムの場合のような
硬化剤(ホウ酸亜鉛、酸化マグネシウム等)は不要であ
る。即ち、コロイダルシリカの水溶液または分散液にメ
タカオリンを配合すると、コロイダルシリカがメタカオ
リンと反応して硬化する。
【0101】更にまた、本発明では、無機バインダの各
成分の配合順序として、上記の配合順序以外にも、各成
分の反応を妨げない限りにおいて任意の配合順序とする
ことができる。例えば、ケイ酸塩水溶液とホウ酸亜鉛等
の第1の硬化剤との混合液(第1の混合液)を用意する
と共に、リン酸アルミニウムと酸化マグネシウム等の第
2の硬化剤との混合液(第2の混合液)を用意し、第1
の混合液、第2の混合液及びメタカオリンを任意の順序
で混合することもできる。いずれの場合も、各成分の
(シリカ等との)反応が容易に行われる。
【0102】そして、このスラリーの分散状態を均一に
維持したまま、抄造機の抄具(長網等の抄網)に上方か
ら流入させる(抄造工程)。これにより、前記フロック
を介してスラリー中の水分が抄具の網から速やかに流下
すると共に、フロックが抄具の網上に絡め取られて均一
な厚さで積層し、紙層(湿潤ウェブ)を形成する。その
後、この紙層をプレス及び乾燥することにより、紙層内
部の水分が流出及び蒸発して除去されると共に、無機バ
インダによる主材と無機長繊維との凝集及び結合が促進
される。そして、紙層が乾燥固化し、主材と無機長繊維
とが無機バインダを介して強固に結合した無機質シート
材料が形成される。このとき、上記凝集反応を概念的に
見ると、無機長繊維同士が絡み有った交点部分に、無機
粉体等の主材が無機バインダを介して付着し、その交点
部分で強固な結合が行われることにより、均一な厚さ
で、かつ、均一かつ強固な紙力の無機質シート材料が形
成される。なお、上記のような抄造法を利用する場合、
希釈水の分量は、重量比で、主材等の原料の100倍以
上とする。
【0103】なお、抄造後は、前記メタカオリン等から
なる無機複合体は、主材と無機長繊維の交点部分で、非
常に強固で高い強度の硬化体を構成し、主材と無機長繊
維とを強固に結合する。また、その硬化体は水に不溶と
なる。
【0104】[製造方法(その2)]次に、実施の形態
2に係る無機質シート材料の製造方法(その2)につい
て説明する。無機質シート材料の製造方法(その2)
は、ペースト状のスラリーを使用した方法であり、前記
無機粉末及び/または無機繊維(並びに無機長繊維)と
前記無機バインダとに水を加えて混練することによりペ
ースト状のスラリーを調製し、そのスラリーをロール延
伸等によりウェットシート状に成形して製造するもので
ある。なお、原料の混合順序等を含むスラリーの調製方
法は、スラリーに配合する水の量が少ないことを除き、
上記製造方法(その1)の場合と同様である。
【0105】{原料混合工程}まず、主材としての無機
粉末及び/または無機繊維と、(必要な場合、担体繊維
としての無機長繊維と)、内添剤としての無機バインダ
(メタカオリン、アルカリ金属ケイ酸塩、リン酸アルミ
ニウム)とを混合し、これらに水を加える。なお、必要
な場合、硬化剤としてのホウ酸亜鉛及び酸化マグネシウ
ム等を更に配合する。これらの混合順序は、上記製造方
法(その1)の場合と同様である。このときに加える水
の量(配合量)は、後段の混練工程(スラリー調製工
程)でスラリーをペースト状とすることができる限りに
おいて最小限の量とすればよい。ここで、湿式抄造で
は、スラリー中の水の配合量は、少なくとも材料(固形
分)の10〜100倍程度(好ましくは100倍以
上)、通常は97重量%以上であり、スラリー(希釈水
溶液)中に主材等を均一に分散して抄造を可能にするた
め、80重量%未満とすることは困難である。しかし、
本製造方法(その2)では、水は、主材等を溶解または
分散する溶媒または分散媒としてではなく、主材等を混
練してペースト状のスラリーを得るために配合する。よ
って、本製造方法(その2)では、水の配合量は、例え
ば、材料の2倍以下とすることができる。特に、上記の
ように、無機バインダとしてのメタカオリンと各種材料
とを反応させる場合、非常に少ない水量で上記混合ペー
ストを作成することができる。
【0106】{混練工程(スラリー調製工程)}次に、
原料混合工程において水を加えた主材及び無機バインダ
等からなる混合材料を混練してペースト状(高粘度流動
体状)のスラリーを調製する。このとき、混合材料の混
練によるスラリーの調製は、任意の混練装置を使用する
ことができる。なお、前記主材、無機長繊維、無機バイ
ンダ等の反応は、前記原料混合工程からこの混練工程に
かけて発生する。このとき、例えば、前記無機長繊維と
して改質処理済ロックウールを使用し、前記凝集剤とし
てリン酸アルミニウムを使用する場合、リン酸アルミニ
ウムと改質処理済ロックウールとの混合比は、リン酸ア
ルミニウム100重量部に対して、改質処理済ロックウ
ールを5〜20重両部とすることが好ましい。
【0107】{成形工程}次に、目的物としてのウェッ
トシート状の無機質シート材料を得るため、混練工程で
得たスラリーをシート状に延伸成形する。このとき、ス
ラリーの延伸成形には、スラリーを所定のシート形状に
付形できる限りにおいて、任意の成形手段を使用するこ
とができる。例えば、押出成形機及びローラ延伸装置
(カレンダー圧延装置等)を併用し、スラリーを押出成
形機のダイ(吐出口)から所定厚さの一次シート形状に
押し出した後、その押出した一次シート形状のスラリー
をローラ延伸装置の延伸ローラにより、必要とする厚さ
のシート状(二次シート形状)に延伸成形することがで
きる。なお、押出成形機またはローラ延伸装置を単独で
使用し、シート状物を成形することもできる。更に、延
伸方法としては、一軸延伸(縦延伸若しくは横延伸)ま
たは二軸延伸(縦横延伸)等を使用することができる。
【0108】更に、このとき、延伸ローラの表面にスラ
リーの一部が付着して剥ぎ取れられる等の不具合を防止
するための手段を設けることが好ましい。例えば、延伸
ローラの表面にテフロン(登録商標)加工等の非粘着加
工を施すことにより、延伸ローラ表面へのスラリーの粘
着を防止することができる。或いは、延伸ローラを加熱
し、接触するスラリー表面から内部の水分を蒸発させる
ことにより、延伸ローラ表面とスラリー表面との間に水
分膜(分離膜)を形成して、延伸ローラ表面へのスラリ
ーの粘着を防止することもできる。或いは、シート状の
スラリーの両面にビニルフィルム等の保護フィルムを配
置して、延伸ローラ表面へのスラリーの粘着を防止する
こともできる。
【0109】なお、本実施の形態の無機質シート材料
は、通常想定される肉厚のシート状の他、厚肉のシート
状(ボード状)に成形することもできる。ウェットシー
ト状の無機質シート材料は、二次成形により、三次元中
空構造として、ハニカムコア状、デルタコア状、コルゲ
ートコア状等の形状に付形したり、それらを接合して更
に多種多様な形状を提供したりすることができるため、
シート状物からなる三次元中空構造体製品の原材料シー
トとして好適に使用できる。また、所定形状への成形に
は、押出成形、ローラ延伸による成形等、任意の成形手
段を使用することができる。
【0110】[作用]実施の形態2に係る無機質シート
材料は、主材、無機長繊維及び主材と無機長繊維とを結
合する無機バインダが全て無機質であるため、全体の組
成を実質的に無機質とすることができ、耐熱性、不燃
性、耐火性を向上することができる。また、ペースト状
のスラリーをウェットシート状に成形してなる無機質シ
ート材料の場合、無機粉末及び/または無機繊維とバイ
ンダとに水を加えて混練することにより、ペースト状の
スラリーを調製することができる。この混練中に、バイ
ンダによる無機粉末及び/または無機繊維同士の結合、
凝集等の化学反応が進行する。このとき、投入した材料
の全て、即ち、無機粉末及び/または無機繊維とバイン
ダとからなる材料の全てをスラリーの調製に使用するこ
とができる。即ち、従来の湿式抄造の場合のように投入
材料の抄網からの流出といった事態は発生しない。
【0111】特に、主材として無機粉末を使用する場
合、ペースト状のスラリー中で無機粉末同士を無機バイ
ンダにより直接結合できるため、スラリーに必ずしも担
体繊維を配合する必要がない。したがって、実質的に無
機粉末のみを主材とする無機質シート材料の製造が可能
となる。加えて、上記のように、投入材料の全て、即
ち、投入した無機粉末の全てをスラリーの調製、ひいて
は目的物としての無機質シート材料の形成に使用するこ
とができるため、無機質シート材料において無機粉末の
密度を非常に高くすることができる。即ち、ペースト状
のスラリーをウェットシート状に成形してなる無機質シ
ート材料の場合、主材としての無機粉末と、前記無機粉
末を結合する内添剤としての無機バインダとを含み、か
つ、主材として前記無機粉末以外の成分を実質的に含ま
ないよう構成することができる。その結果、実質的に無
機粉末のみを主材とすることができ、投入材料の全てを
目的物の形成に使用することができ、無機粉末を高密度
に充填することができる。
【0112】[用途]上記ウェットシート状の無機質シ
ート材料は、そのまま加熱乾燥することにより、通常の
不燃性シートと同様、三次元中空構造体の製造に使用す
ることができる。更に、ウェットシート状の無機質シー
ト材料(無機質湿潤シート材料)は、ハニカムコア状、
デルタコア状、コルゲートコア状等の三次元中空構造体
の形状に付形(二次成形)することも容易である。例え
ば、無機質湿潤シート材料を、湾曲、屈曲等して付形す
ることにより、ハニカムコアの一部構成単位(断面台形
状の部分を連続したコルゲート板状物)を形成する。そ
して、この一部構成単位を多数厚さ方向に積層して接着
等により接合することにより、ハニカムコア状の無機質
構造材を容易に製造することができる。或いは、無機質
湿潤シート材料を、湾曲、屈曲等して付形することによ
り、デルタコアの中芯(断面三角形状の部分を連続した
板状物)またはコルゲートコアの中芯(波板)を形成す
る。そして、デルタコアまたはコルゲートコアの中芯の
厚さ方向一側面または両側面に、例えば、平板シート状
とした無機質湿潤シート材料を接着等により接合するこ
とにより、デルタコア状またはコルゲートコア状の無機
質構造材(三次元中空構造体)を容易に製造することが
できる。なお、無機質構造材(三次元中空構造体)の製
造においては、上記のような所定形状へと付形した無機
質湿潤シート材料を加熱乾燥した後で、上記の接合作業
を行うことが好ましい。
【0113】上記湾曲、屈曲等の付形作業において、原
材料シートとしての無機質湿潤材料は、湿潤シート(ウ
ェットシート)であり、付形が非常に容易である。ま
た、通常の無機質構造材の形成に使用する乾燥シート材
料では、その硬度によっては、湾曲、屈曲等の付形に伴
い、亀裂、破断などの不具合を生じる可能性もある。し
かし、上記のように、無機質湿潤シート材料を三次元中
空構造体の原材料シートとして使用した場合、このよう
な不具合はなく、ハニカムコア状等の所定立体形状へ
と、容易、安全、かつ、確実に二次成形して三次元中空
構造体を効率良く製造することができる。
【0114】なお、湿潤シートの湾曲、屈曲等による付
形作業は、ハニカムコア形状、デルタコアの中芯形状
等、目的の無機質構造材の形状に対応するプレス面形状
を有する上型及び下型を使用して行うことができる。例
えば、デルタコア状の無機質構造材を形成する場合、断
面三角形状が一定方向に多数連続する断面鋸歯形状のプ
レス面を有する上型及び下型を使用し、それら上型及び
下型の間で湿潤シートをプレスして、デルタコアの中芯
に対応する所定形状に付形する。
【0115】3.実施の形態3 実施の形態3に係る耐熱性シート材料は、実施の形態1
の無機バインダ組成物を外添剤として含浸処理または被
覆処理したものである。或いは、実施の形態2に記載の
無機バインダを外添剤として含浸処理または被覆処理し
て作成することもできる。
【0116】したがって、実施の形態3に係る耐熱性シ
ート材料は、外添剤として含浸処理または被覆処理した
前記特定組成の無機複合体の溶液または分散液が、内部
または表面で硬化して固定され、内部の無機硬化体充填
層または表面の無機硬化体皮膜を形成する。その結果、
実施の形態3に係る耐熱性シート材料は、これらの内部
の無機硬化体充填層または表面の無機硬化体皮膜によ
り、高い不燃性、耐火性等の耐熱性能を発揮する。その
結果、外添剤として実施の形態1の無機バインダ組成物
や実施の形態2の無機バインダを含浸処理または被覆処
理するという比較的簡単な構成により、無機バインダ組
成物(無機バインダ)により形成された内部の無機硬化
体充填層または表面の無機硬化体皮膜を介して、高い不
燃性、耐火性等の耐熱性能を発揮する。
【0117】4.実施の形態4 [三次元中空構造体の全体構成]図1は本発明の実施の
形態4に係る三次元中空構造体の一例としてのデルタコ
ア構造体の全体構成を示す正面図である。図1に示すよ
うに、本実施の形態に係る三次元中空構造体は、デルタ
コア構造体に具体化される。実施の形態4のデルタコア
構造体は、中芯10とライナ20とを具備する。中芯1
0は、平板状のシート材料を、正三角形の単位断面形状
11を直線状(図1中水平方向)に連続配置した断面鋸
歯状に付形してなる。ライナ20は、前記中芯10の厚
さ方向一側(図1中下側)に接合された平板状のシート
材料からなる。前記中芯10とその下側に接合されたラ
イナ20とを、それらと直交する方向(図1中垂直方
向)に所望数の多段となるよう積み重ねて互いに接合す
ることにより、所望寸法のデルタコア構造体を構成する
ことができる。本実施の形態においては、中芯10とラ
イナ20との間に形成されるセル15の断面形状は、中
芯10の単位断面形状11と同一の正三角形状となる。
【0118】前記中芯10及びライナ20のシート材料
として、本実施の形態では、例えば、実施の形態2また
は実施の形態3の耐熱性シート材料を好適に使用するこ
とができる。或いは、実施の形態2の無機質シート材料
以外の無機質シート材料を使用し、実施の形態1の無機
バインダ組成物または実施の形態2の無機バインダ液を
含浸して、デルタコア構造体を製造することもできる。
【0119】以下、実施の形態2の無機質シート材料以
外の無機質シート材料を使用する場合について説明す
る。即ち、本実施の形態のデルタコア構造体は、各種無
機質材料を主材としてシート状に成形したものを使用す
ることができる。例えば、シート材料として、無機質材
料を主材としたスラリ(希釈水溶液)を湿式抄造法によ
り抄造し乾燥固結してなる無機質湿式シートや、無機質
材料をバインダで直接結合してなる無機質乾式シートを
使用することができる。また、無機質材料を主材とする
ペースト状のスラリーをシート状に延伸成形してなる無
機質湿潤シート材料を使用することもできる。或いは、
その無機質湿潤シート材料を乾燥してなる無機質シート
材料を使用することもできる。なお、前記ペースト状の
スラリは、無機粉末及び/または無機繊維とバインダと
に水を加えて混練することにより調製することができ
る。また、スラリの延伸成形には、押出成形、ローラ延
伸による成形等、任意の成形手段を使用することができ
る。例えば、スラリーを押出成形機から押し出し、その
押出したスラリーを延伸ローラにより必要とする厚さの
シート状に延伸成形することができる。なお、中芯10
及びライナ20は、通常、同一のシート材料より形成す
るが、異なる材料及び物性のシート材料より形成するこ
とも可能である。
【0120】シート材料の主材となる無機質材料として
は、無機粉末及び/または無機繊維を使用することがで
きる。即ち、主材としては、無機粉末または無機繊維の
いずれか一方のみを使用してもよく、または、その両方
を同時に使用してもよい。このように、本実施の形態に
係る三次元中空構造体は、無機質デルタコア構造体に具
体化している。なお、全体として、不燃性、難燃性等、
無機質材料としての特性を維持できる限りにおいて、有
機粉末及び/または有機繊維を主材として追加的に配合
してもよい。また、スラリには、主材を結合するための
バインダが添加され、或いは、必要に応じて、充填剤、
補強材等が配合される。
【0121】前記無機質湿潤シート材料の成形におい
て、無機粉末のみを主材とする場合、(主材としてでは
なく充填剤としての)無機繊維及び/または有機繊維を
配合してもよい。この場合の無機繊維及び/または有機
繊維は、湿式抄造法の場合のように無機粉末を担持する
担体繊維として用いるわけではなく、単に、目的物とし
ての無機質湿潤シート材料への強度付与等の目的で使用
する。このため、その配合量は、無機質湿潤シート材料
への強度付与等の目的の範囲内で最小限使用すればよ
い。また、無論、その他の添加剤、充填剤等を配合して
もよい。更に、無機粉末の粒径は任意であり、例えば、
1ミクロン未満の微粒子状とすることもできる。また、
500ミクロン以上の粗大粒子状の無機粉末を使用する
こともできる。更に、無機繊維を使用する場合も、同様
の理由から、その繊維径及び繊維長は任意である。そし
て、バインダは、無機粉末及び/または無機繊維を結合
できる限りにおいて、任意のものを使用することができ
る。スラリー調製のために加える水の配合量は、スラリ
ーをペースト状とすることができる限りにおいて最小限
の量とすればよい。通常は、材料に対して2倍以下の水
を配合する。
【0122】前記無機粉末としては、必要とする無機質
湿潤材料の物性等に応じて、粘土鉱物等の無機天然物粉
末、無機化合物粉末、セラミック粉末、金属粉末等、各
種の無機粉末を使用することができる。また、各種無機
粉末を適宜組合わせて使用してもよい。例えば、無機質
湿潤材料に、耐火性、不燃性等の諸特性に加えて、調湿
性または吸湿性、微生物吸着性等の吸着性能を付与する
ため、無機粉末として、セピオライト(鱗片状)、ベン
トナイト(板状)、スメクタイト(板状)、合成スメク
タイト(板状)、バーミキュライト(板状)、合成膨潤
性雲母(板状)等の吸着性を有する無機粉末を使用する
ことができる。更にまた、牡蠣殻等の貝殻を粉砕して得
た貝殻粉、牛骨等の骨を粉砕して得た骨粉、卵殻を粉砕
して得た卵殻粉等の炭酸カルシウム粉末を、無機粉末と
して使用することもできる。
【0123】前記無機繊維としては、粘土鉱物等の無機
天然物繊維、無機化合物繊維、セラミック繊維、金属繊
維等、各種の無機繊維を使用することができる。また、
各種無機繊維を適宜組み合わせて使用してもよい。例え
ば、無機繊維として、セピオライト(繊維状)、アタパ
ルジャイト(繊維状)、パリゴルスカイト(繊維状)等
の吸着性を有する無機繊維を使用することができる。更
に、ガラス繊維、ロックウール繊維等の鉱物繊維、ステ
ンレス繊維等の金属繊維、チタン酸カリウム繊維等のセ
ラミック繊維またはウィスカー、石膏繊維等の無機化合
物繊維等を使用することもできる。ただし、材料コスト
等の点からは、これらの中でもガラス繊維が最適であ
る。また、これらの無機繊維のうち、一つ以上を主材と
して使用し、それ以外の一つ以上を補強繊維として配合
しても良い。
【0124】前記バインダは、無機粉末及び/または無
機繊維を結合できる限りにおいて、任意のものを使用す
ることができる。例えば、バインダとして、グアーガ
ム、でんぷん等の天然高分子化合物も使用可能である
が、好ましくは、合成物である合成樹脂を使用する。そ
して、合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂
脂のいずれも適宜に用いることができ、好ましくは、ス
ラリー調整時に凝集剤としても作用するカチオン系、ア
ニオン系、またはノニオン系のものが使用される。熱可
塑性樹脂は、主に、無機質湿潤材料の乾燥時のシート力
を高めるもので、例えば、ポリアミド、またはポリアク
リルアミド等のアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等を
好適に使用することができる。また、熱硬化性樹脂は、
主に、無機質湿潤材料の湿潤時のシート力を高めるもの
で、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−
ホルムアルデヒド樹脂、エピクロルヒドリン系ポリアミ
ド樹脂等を好適に使用することができる。そして、これ
らの高分子化合物からなるバインダはそれぞれ単独で、
または、適宜組み合わせて使用することができるが、無
機質湿潤材料全体に対して一般に5重量%までの割合と
なるように調製することが好ましい。
【0125】[デルタコア構造体の製造方法]本実施の
形態に係るデルタコア構造体は、例えば、以下のように
して製造することができる。図2及び図3は、それぞ
れ、本発明の実施の形態4に係る三次元中空構造体とし
てのデルタコア構造体の中芯のプレス型を概略的に示す
説明図であり、図2は多数の押型を受型の上方に配置し
た状態を示し、図3は1つの押型によりシート材料をプ
レスした状態を示す。図4及び図5は、それぞれ、本発
明の実施の形態4に係る三次元中空構造体としてのデル
タコア構造体の中芯の付形動作を拡大して示す説明図で
あり、図4は押型を受型に対して付形開始位置に配置し
た状態を示し、図5は押型を受型に対して付形完了位置
まで移動した状態を示す。
【0126】まず、中芯10は、図2に示す受型50と
押型60とを備えるプレス型を使用して断面鋸歯状に付
形して成形される。受型50は、断面正三角形の谷状を
なすプレス溝52を図2中の水平方向(左右方向)に直
線状に多数連続して配置した断面鋸歯状をなす。詳細に
は、受型50は、断面正三角形の山状をなす突部51を
図2中の水平方向に直線状に多数連続して配置する。こ
れにより、隣接する突部51間に1つのプレス溝52が
形成される。各プレス溝52は、左右一対の同一長さの
傾斜面からなり、両傾斜面間の角度は60度である。ま
た、プレス溝52の上端縁間の距離(突部51の上端縁
間の距離)は、各傾斜面の長さと同一であり、プレス溝
52の上端縁間を結ぶ仮想線と各傾斜面との間の角度は
60度となる。
【0127】一方、押型60は、前記受型50の各プレ
ス溝52により形成される谷状の空間に進入自在な断面
形状をなすと共に、前記各プレス溝52の下端縁(下端
コーナ)と整合する下端縁を有する。詳細には、押型6
0は、図2〜図5に示すように、断面長方形の平板状を
なす主部61の下側に、断面正三角形のプレス部62を
有する断面形状をなす。前記押型60の主部61の上端
側は、プレス駆動装置(図示略)に駆動連結され、主部
61を介してプレス部62が、受型50のプレス溝52
に対して進入及び退避自在となっている。図2及び図3
では、受型50の多数のプレス溝52にそれぞれ対応し
て、多数の押型60が、シート材料Sの供給方向(図2
中左右方向、以下、単に「シート供給方向」という)に
一定間隔で配置されている。なお、多数連続して配置さ
れる押型60が互いに干渉しないよう、押型60の主部
61の厚みは、受型50のプレス溝52の上端縁間の距
離より小さく設定されている。これにより、押型60の
プレス部62は、受型50のプレス溝52より若干小さ
い断面正三角形状となっている。
【0128】シート材料を付形して中芯10を成形する
には、まず、シート材料配置工程で、図2に示すよう
に、受型50上にシート材料Sを供給して配置する。次
に、押型配置工程で、前記シート材料Sを間に挟んだ状
態で、受型50の各プレス溝52上に押型60を対向配
置する。このとき、シート材料Sのシート供給方向への
移動を妨げないよう、押型60は図2に示す退避位置に
配置し、その下端縁をシート材料Sから離間させてお
く。また、このとき、押型60は、上端側をシート材料
Sまたは水平面に対してシート供給方向上流側(図2中
右方)に傾斜させた状態で配置される。
【0129】次に、プレス工程で、シート供給方向上流
側の押型60から順に受型50のプレス溝52内に進入
させ、シート材料Sをシート供給方向上流側から下流側
にかけて順にプレスする。詳細には、まず、図4中実線
で示すように、押型60の下端縁を、シート材料Sのう
ち、受型50の突部51上端縁に位置する部分に押し当
てる(付形開始位置)。そして、その押し当て状態を維
持したまま、図4中二点鎖線で示すように、押型60の
下端縁を受型50のプレス溝52の一方(図4中左側)
の傾斜面に沿って移動し、押型60を受型50のプレス
溝52内に進入させていく。すると、シート材料Sは、
押型60の下端縁の移動に伴って、図4中矢印で示す方
向に引っ張られ、受型50のプレス溝52の一方の傾斜
面に沿ってプレス溝52内に引き込まれていく。このと
き、受型50のプレス溝52内へシート材料Sを円滑に
引き込むため、押型60の移動に同期してシート材料S
をシート供給方向に能動的に供給することが好ましい。
【0130】その後、図5に示すように、押型60の下
端縁を受型50のプレス溝52の下端縁にシート材料S
を挟んで対向する位置(付形完了位置)まで移動する
と、中芯10の一つの単位断面形状11の付形動作(プ
レス動作)が完了する。このとき、押し型60は垂直状
態となり、そのプレス部62は受型50のプレス溝52
内に完全に進入し、シート材料Sを挟んでプレス溝52
に完全に対向する。よって、押型60のプレス部62と
受型50のプレス溝52との間で、シート材料Sがプレ
スされ、中芯10の単位断面形状11である断面正三角
形状に成形される。即ち、シート材料Sを受型50のプ
レス溝52の断面正三角形と略同一の正三角形をなす単
位断面形状に折り曲げて付形することができる。このよ
うにして、以下、下流側の押型により順次シート材料S
をプレスしていくことにより、正三角形の単位断面形状
11を水平方向に直線状に多数連続配置し、断面鋸歯状
の中芯10を成形することができる。
【0131】前記プレス工程において、受型50のプレ
ス溝52は断面逆正三角形をなすため、プレス溝52の
両上端縁間の距離(正三角形の底辺)と各傾斜面の上下
両端縁間の距離(正三角形の斜辺)とは同一である。よ
って、プレス工程において、シート材料Sのうちプレス
溝52の上端縁間(正三角形の底辺)の部分は、そのま
ま、プレス溝52の他方の傾斜面に過不足なく重なり、
中芯10の単位断面形状11の他方の斜辺(シート供給
方向上流側の斜辺)部分となる。同時に、シート材料S
のうち押型60の下端縁により受型50のプレス溝52
内に引き込まれる部分が、中芯10の単位断面形状11
の一方の斜辺(シート供給方向下流側の斜辺)部分とな
る。これにより、各単位断面形状11の一対の斜辺が形
成される。
【0132】前記押型60によるシート材料Sの初回の
プレス動作において、シート材料Sのシート供給方向上
流側は、シート供給方向下流側に移動しないようその移
動を拘束される。また、押型60による以降のプレス動
作では、シート材料Sは、受型50のプレス溝52の他
方の傾斜面の上端縁に掛止され、シート供給方向下流側
への移動を拘束される。一方、シート材料Sのシート供
給方向下流側は、押型60の下端縁により、プレス溝5
2の一方の傾斜面に押し当てられた状態でプレス溝52
内に引き込まれ、一方の傾斜面の上端縁から下端縁まで
円滑に移動する。よって、従来のようにシート材料Sに
折り曲げ方向の応力や伸張方向の応力が加わることはな
い。その結果、中芯10のシート材料Sを無機質材料か
ら形成した場合でも、中芯10のシート材料Sの破損等
を有効に防止することができる。
【0133】上記のようにして中芯10を成形したら、
ライナ接合工程で、平板状のシート材料からなるライナ
20を、接着剤等の接合手段を介して、中芯10の厚さ
方向一側(上側または下側)に接合する。例えば、中芯
10の単位断面形状11の下端縁とライナ20とを接着
剤により接着することにより、中芯10の下側にライナ
20を接着する。これにより、デルタコア構造体の一層
分の中芯10及びライナ20が形成される。なお、ライ
ナ20のシート材料としては、中芯10のシート材料S
と同一のものを使用することが好ましいが、別個のシー
ト材料を使用することも可能である。そして、この一層
分の中芯10及びライナ20を、接着剤等の接合手段を
介して、その厚さ方向に多段に積み重ねて互いに接合す
ることにより、デルタコア構造体を形成することができ
る。例えば、中芯10の下側にライナ20を接合して一
層分を形成した場合、ライナ20の存在しない上側方向
に積み重ねる。そして、最上段の層にライナ20を接合
して、図1に示すようなデルタコア構造体を完成する。
【0134】[デルタコア構造体の作用及び効果]本実
施の形態に係るデルタコア構造体は、中芯10とライナ
20との間に形成されるセル15の断面形状が、中芯1
0の単位断面形状11である正三角形となる。その結
果、各セル15の断面積を大きくし、同一セル密度の場
合に空気との接触面積または通気断面をできるだけ大き
くしたり、圧力損失をできるだけ小さくしたりすること
ができる。
【0135】また、本実施の形態では、中芯10のシー
ト材料S及びライナ20のシート材料Sを、それぞれ、
無機質材料を主材として形成している。よって、本実施
の形態に係るデルタコア構造体は、全体が無機質材料に
より形成され、不燃性、耐火性等に優れ、また、燃焼に
よる有毒ガスの発生がない等の利点を有する。その結
果、本実施の形態に係るデルタコア構造体は、設置箇所
が高温となる触媒フィルタや、不燃建材等の材料として
好適に使用することができる。
【0136】更に、本実施の形態では、中芯10のシー
ト材料S及びライナ20のシート材料Sを、それぞれ、
無機質材料を主材とするペースト状のスラリーをシート
状に延伸成形してなる無機質湿潤シート材料から構成す
ることもできる。この場合、デルタコア構造体は、ま
ず、中芯10のシート材料Sが無機質湿潤シート材料か
ら構成されるため、押型60及び受型50間で無機質湿
潤シート材料を容易にプレス成形して、中芯10の単位
断面形状11を正確な正三角形とすることができる。ま
た、無機質湿潤シート材料は、無機質材料を主材とする
ペースト状のスラリーをシート状に延伸成形してなるた
め、主材としてスラリーに配合する無機質材料が、湿式
抄造法のように抄造時に脱落することはない。よって、
このデルタコア構造体は、配合した無機質材料の全てが
中芯10及びライナ20に残り、製造時の歩留まりを向
上することができると共に、無機質材料を高密度で充填
した無機質構造体となる。更に、湿式抄造法のように主
材(特に粉末)が抄網から脱落することがないため、無
機質材料として無機粉末のみを使用し、担体繊維として
の無機繊維を省略することもできる。加えて、無機質湿
潤シート材料の乾燥後は、デルタコア構造体の全体が無
機質材料により形成され、不燃性、耐火性等に優れ、ま
た、燃焼による有毒ガスの発生がない等の利点を有す
る。
【0137】[デルタコア構造体の用途]本実施の形態
に係るデルタコア構造体は、エアフィルタ、自動車のガ
ソリンエンジンまたはディーゼルエンジンの排ガス浄化
用触媒フィルタ等の各種フィルタ材料に好適に使用する
ことができる。例えば、デルタコア構造体は、触媒フィ
ルタの土台となる担体(支持体)に適用される。この場
合、デルタコア構造体からなる担体の各セル内面に、ア
ルミナ等を主成分とするウォッシュコート層を被覆し、
そのウォッシュコート層に、Pt(パラジウム)、Pd
(白金)、Rh(ロジウム)等の貴金属からなる触媒金
属を担持する。
【0138】[変更例]実施の形態4では、受型50の
プレス溝52より少ない数の押型60を使用しても良
い。例えば、受型50及び押型60をシート供給方向に
相対移動することにより、同一(単一)の押型60を一
定サイクルで受型50の複数のプレス溝52に対して進
入及び退避し、同一の押型60により中芯10の複数の
単位断面形状11を付形するようにすることもできる。
理論的には、1個の押型60を受型50の全てのプレス
溝52に対してシート供給方向に相対移動し、中芯10
の全ての単位断面形状11をプレス成形することもでき
る。
【0139】また、本発明のシート材料Sとしてペース
ト状のスラリーを延伸成形した無機質湿潤シート材料を
使用する場合、例えば、押出成形機及びローラ延伸装置
(カレンダー圧延装置等)を併用し、スラリーを押出成
形機のダイ(吐出口)から所定厚さの一次シート形状に
押し出した後、その押出した一次シート形状のスラリー
をローラ延伸装置の延伸ローラにより、必要とする厚さ
のシート状(二次シート形状)に延伸成形することがで
きる。なお、押出成形機またはローラ延伸装置を単独で
使用し、シート状物を成形することもできる。更に、延
伸方法としては、一軸延伸(縦延伸若しくは横延伸)ま
たは二軸延伸(縦横延伸)等を使用することができる。
【0140】更に、このとき、延伸ローラの表面にスラ
リーの一部が付着して剥ぎ取れられる等の不具合を防止
するための手段を設けることが好ましい。例えば、延伸
ローラの表面にテフロン加工等の非粘着加工を施すこと
により、延伸ローラ表面へのスラリーの粘着を防止する
ことができる。或いは、延伸ローラを加熱し、接触する
スラリー表面から内部の水分を蒸発させることにより、
延伸ローラ表面とスラリー表面との間に水分膜(分離
膜)を形成して、延伸ローラ表面へのスラリーの粘着を
防止することもできる。或いは、シート状のスラリーの
両面にビニルフィルム等の保護フィルムを配置して、延
伸ローラ表面へのスラリーの粘着を防止することもでき
る。
【0141】
【実施例】[実施例1]実施の形態2に係る無機質シー
ト材料の組成例1を実施例1として次に示す。
【表1】
【0142】実施例1の無機質シート材料は、湿式抄造
(製造方法その1)により製造する。なお、セピオライ
トとしては、楠本化成社製のS−9を、ロックウール繊
維としては、LAPINUS社製のRS−460(繊維
長約600μm)を例示することができる。メタカオリ
ンとしては、USAのポールスターNO.450を、ケ
イ酸ナトリウムとしてはJIS3号を、リン酸アルミニ
ウムとしては日本無機社製の50%中リン酸アルミニウ
ムを例示することができる。また、有機バインダとして
は、PAA、EPDM等、実施の形態2に挙げた任意の
ものを適宜選択して使用することができる。しかし、上
記表1から明らかなように、有機バインダ成分は、無機
質シート材料中にはごくわずかな量しか含まれず、その
物性や特性(不燃性等)に及ぼす影響は実質的に無機で
きる。即ち、本組成の無機質シート材料は、実質的に、
全ての成分が無機質であるということができる。
【0143】[実施例2]実施の形態2に係る無機質シ
ート材料の組成例2を実施例2として次に示す。
【表2】
【0144】実施例2の無機質シート材料は、湿式抄造
(製造方法その1)により製造する。また、実施例2
は、無機バインダと有機バインダとを併用した無機・有
機複合抄造の場合を示す。なお、セピオライト等の原料
としては、実施例1と同様のものを使用する。この場
合、実施の形態2の製造方法(その1)で述べたよう
に、まず、メタカオリンと凝集剤とを予め反応させた無
機バインダを用意し、この無機バインダ液を主材及び無
機長繊維を分散した主材分散液に混合して、それらを反
応させ、主材及び無機長繊維を凝集する必要がある。有
機バインダは、メタカオリンによる凝集体が形成された
後で添加する。有機バインダ溶液にメタカオリン或いは
他の無機バインダ(凝集剤)を単純に添加、混合するだ
けでは、有効なメタカオリンとの反応体は形成されず、
有機バインダと無機バインダとの凝集となってしまう。
なお、実施例2の無機質シート材料には、有機成分が含
まれるが、有機バインダのみを使用したものに比較する
と、不燃性等の耐熱性の点ではるかに有利である。
【0145】[実施例3]実施の形態2に係る無機質シ
ート材料の組成例3を実施例3として次に示す。
【表3】
【0146】実施例3の無機質シート材料は、ペースト
状のスラリーを使用して製造する(製造方法その2)。
なお、セピオライト等の原料としては、実施例1と同様
のものを使用する。上記表3から明らかなように、有機
バインダ成分は、無機質シート材料中にはごくわずかな
量しか含まれず、その物性や特性(不燃性等)に及ぼす
影響は実質的に無機できる。即ち、本組成の無機質シー
ト材料は、実質的に、全ての成分が無機質であるという
ことができる。
【0147】[実施例4]実施の形態2に係る無機質シ
ート材料の組成例4を実施例4として次に示す。
【表4】
【0148】実施例4の無機質シート材料は、ペースト
状のスラリーを使用して製造する(製造方法その2)。
なお、セピオライト等の原料としては、実施例1と同様
のものを使用する。また、実施例4は、無機バインダと
有機バインダとを併用した無機・有機複合成形の場合を
示す。なお、実施例2の場合と同様、有機バインダは、
メタカオリンによる凝集体が形成された後で添加する。
なお、実施例4の無機質シート材料には、有機成分が含
まれるが、有機バインダのみを使用したものに比較する
と、不燃性等の耐熱性の点ではるかに有利である。
【0149】[実施例5]実施の形態2に係る無機質シ
ート材料の組成5を実施例5として次に示す。
【表5】
【0150】実施例5の無機質シート材料は、ペースト
状のスラリーを使用して製造する(製造方法その2)。
なお、ロックウール繊維としては、実施例1より短繊維
(約70μm)のものを使用する。また、実施例5で
は、主材としての無機粉末(ブルーサイト)を多量に配
合し、かつ、無機長繊維(ロックウール)の配合量を非
常にわずかなものとすることができる。
【0151】
【発明の効果】請求項1及び請求項2に係る無機バイン
ダ組成物は、それぞれ、上記のように構成したため、シ
ート材料や三次元構造体等の外添剤として使用するとい
う比較的簡単な構成により、安価な製造コストで、シー
ト材料等に高い耐熱性等の特性を付与することができ
る。
【0152】特に、請求項2に係る無機バインダ組成物
は、その無機複合体(無機硬化体)が、シート材料等の
内部及び表面に連続して形成され、耐熱性等の本来の特
性に加え、柔軟性、可撓性等を十分に発揮し、無機複合
体の皮膜等の破損等を有効に防止することができる。
【0153】請求項3に係る無機バインダ組成物は、上
記のように構成したため、請求項2と同様の特性及び効
果に加え、全体の反応が非常に良好に進行するという効
果が得られる。
【0154】請求項4に係る耐熱性シート材料は、上記
のように構成したため、外添剤として請求項1乃至3の
いずれか1項記載の無機バインダ組成物を含浸処理また
は被覆処理するという比較的簡単な構成により、無機バ
インダ組成物により形成された内部の無機硬化体充填層
または表面の無機硬化体皮膜を介して、高い不燃性、耐
火性等の耐熱性能を発揮する。
【0155】請求項5に係る三次元中空構造体は、上記
のように構成したため、シート材料に外添剤として請求
項1乃至3のいずれか1項記載の無機バインダ組成物を
含浸処理または被覆処理するという比較的簡単な構成に
より、無機バインダ組成物により形成されたシート材料
内部の無機硬化体充填層または表面の無機硬化体皮膜を
介して、高い不燃性、耐火性等の耐熱性能を発揮する。
【0156】請求項6に係る三次元中空構造体は、上記
のように構成したため、主材に対する前記無機バインダ
の配合処理という比較的簡単な構成により、安価な製造
コストで、高い耐熱性等の顕著な効果を発揮することが
できる。また、主材及び主材を結合する無機バインダが
共に無機質であるため、シート材料の全体の組成を実質
的に無機質とすることができ、耐熱性、不燃性、耐火性
を向上することができる。
【0157】請求項7に係る三次元中空構造体は、上記
のように構成したため、請求項6の場合と同様、主材及
び無機長繊維に対する前記無機バインダの配合処理とい
う比較的簡単な構成により、安価な製造コストで、高い
耐熱性等の顕著な効果を発揮することができる。また、
主材、無機長繊維及びそれらを結合する無機バインダが
全て無機質であるため、シート材料の全体の組成を実質
的に無機質とすることができ、耐熱性、不燃性、耐火性
を向上することができる。
【0158】請求項8に係る三次元中空構造体は、上記
のように構成したため、フィルタ材料、建材等、各種特
性を要求される材料として好適に使用することができ
る。
【0159】請求項9に係る三次元中空構造体は、各セ
ルの断面積を大きくし、同一セル密度の場合に空気との
接触面積または通気断面をできるだけ大きくしたり、圧
力損失をできるだけ小さくしたりすることができる。
【0160】請求項10に係る三次元中空構造体は、上
記のように構成したため、請求項5乃至9のいずれかの
特性及び効果に加え、メタカオリンとアルカリ金属ケイ
酸塩等との無機複合体により、非常に強固で高い強度の
硬化体を構成し、主材等を強固に結合してシート力を高
めることができる。
【0161】請求項11に係る三次元中空構造体は、請
求項5乃至9のいずれかの特性及び効果に加え、メタカ
オリンとアルカリ金属ケイ酸塩等による主材の凝集作用
を、リン酸アルミニウムにより更に促進することができ
る。
【0162】請求項12に係る三次元中空構造体は、上
記のように構成したため、請求項10または11の特性
及び効果に加え、ホウ酸亜鉛によりアルカリ金属をメタ
カオリンに固定することができ、アルカリ金属がメタカ
オリン粒子の表面から解離及び溶出することを防止でき
る。
【0163】請求項13に係る三次元中空構造体は、請
求項10または11の特性及び効果に加え、酸化マグネ
シウム、水酸化マグネシウム、ブルーサイト、雲母及び
改質処理済ロックウールの少なくともいずれか1種によ
り、リン酸アルミニウムをメタカオリンに固定すること
ができ、リン酸アルミニウムがメタカオリン粒子の表面
から解離及び溶出することを防止できる。
【0164】請求項14に係る三次元中空構造体は、請
求項11の特性及び効果に加え、第1の硬化剤としての
ホウ酸亜鉛によりアルカリ金属をメタカオリンに固定す
ることができ、アルカリ金属がメタカオリン粒子の表面
から解離及び溶出することを防止できる。また、第2の
硬化剤としての酸化マグネシウム、水酸化マグネシウ
ム、ブルーサイト、雲母及び改質処理済ロックウールの
少なくともいずれか1種によりリン酸アルミニウムをメ
タカオリンに固定することができ、リン酸アルミニウム
がメタカオリン粒子の表面から解離及び溶出することを
防止できる。
【0165】請求項15に係る三次元中空構造体は、請
求項5乃至14のいずれかの特性及び効果に加え、主材
としてのセピオライトまたはブルーサイトを、その高い
反応性により、前記無機バインダを介して互いに容易に
凝集してフロックを形成することができる。
【0166】請求項16に係る三次元中空構造体は、上
記のように構成したため、請求項6乃至15のいずれか
の特性及び効果に加え、実質的に無機粉末のみを主材と
することができ、投入材料の全てを目的物の形成に使用
することができ、無機粉末を高密度に充填することがで
きるという効果を発揮する。
【0167】請求項17に係る三次元中空構造体は、上
記のように構成したため、請求項7乃至15のいずれか
の特性及び効果に加え、無機粉末の充填料を飛躍的に増
大することができる。
【0168】請求項18に係る三次元中空構造体は、上
記のように構成したため、請求項16と同様、実質的に
無機粉末のみを主材とすることができ、投入材料の全て
を目的物の形成に使用することができ、無機粉末を高密
度に充填することができるという効果を発揮する。
【0169】請求項19に係る三次元中空構造体の製造
方法によれば、中芯とライナとの間に形成される各セル
の断面形状を中芯の単位断面形状である正三角形とした
デルタコア構造体を、安定的に効率良く製造することが
できる。特に、シート材料を無機質材料より形成した場
合でも、中芯の破損等を有効に防止することができる。
【0170】請求項20に係る三次元中空構造体の製造
方法によれば、請求項19の効果に加え、配合した無機
質材料の全てが中芯及びライナに残り、製造時の歩留ま
りを向上することができると共に、無機質材料を高密度
で充填した無機質構造体となる。更に、湿式抄造法のよ
うに主材(特に粉末)が抄網から脱落することがないた
め、無機質材料として無機粉末のみを使用し、担体繊維
としての無機繊維を省略することもできる。加えて、無
機質湿潤シート材料の乾燥後は、デルタコア構造体の全
体が無機質材料により形成され、不燃性、耐火性等に優
れ、また、燃焼による有毒ガスの発生がない等の利点を
有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施の形態4に係る三次元中空
構造体の一例としてのデルタコア構造体の全体構成を示
す正面図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態4に係る三次元中空
構造体としてのデルタコア構造体の中芯のプレス型を概
略的に示す説明図であり、多数の押型を受型の上方に配
置した状態を示す。
【図3】図3は本発明の実施の形態4に係る三次元中空
構造体としてのデルタコア構造体の中芯のプレス型を概
略的に示す説明図であり、1つの押型によりシート材料
をプレスした状態を示す。
【図4】図4は本発明の実施の形態4に係る三次元中空
構造体としてのデルタコア構造体の中芯の付形動作を拡
大して示す説明図であり、押型を受型に対して付形開始
位置に配置した状態を示す。
【図5】図5は本発明の実施の形態4に係る三次元中空
構造体としてのデルタコア構造体の中芯の付形動作を拡
大して示す説明図であり、押型を受型に対して付形完了
位置まで移動した状態を示す。
【図6】図6は従来のデルタコア構造体の中芯の付形動
作を概念的に示す説明図である。
【符号の説明】
10:中芯、11:単位断面形状、20:ライナ 50:受型、52:プレス溝、60:押型
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 32/02 C04B 32/02 Z //(C04B 28/34 22:08 A 22:08 22:06 A 22:06 Z 14:38 Z 14:38 22:08 Z 22:08) 111:28 111:28 Fターム(参考) 4G012 MB00 MB01 PA15 PB03 PB04 PB05 PB06 PC15 PE03 4G052 GA01 GA21 GB33 GC04 GC06 4G055 AA01 AB05 AC08 AC09 AC10 BA22 BA43

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタカオリンと、前記メタカオリンと反
    応する凝集剤とからなる無機複合体の溶液または分散液
    により構成され、 外添剤としてシート材料に含浸または塗布されることを
    特徴とする無機バインダ組成物。
  2. 【請求項2】 メタカオリンと、リン酸アルミニウム
    と、エタノールと、前記リン酸アルミニウムと反応して
    前記リン酸アルミニウムを固定する酸化マグネシウム、
    水酸化マグネシウム、ブルーサイト、雲母及び改質処理
    済ロックウールの少なくともいずれか1種からなる硬化
    剤と、溶媒または分散媒としての水とを含むことを特徴
    とする無機バインダ組成物。
  3. 【請求項3】 リン酸アルミニウム水溶液(固形分50
    %)にエタノールを混合し、これに対して酸化マグネシ
    ウム、水酸化マグネシウム、ブルーサイト、雲母及び改
    質処理済ロックウールの少なくともいずれか1種からな
    る硬化剤の水溶液または水分散液を混合し、更に、これ
    に対してメタカオリンを混合してなる無機バインダ組成
    物であって、 前記リン酸アルミニウム水溶液100重量部に対して、
    前記エタノールを10〜20重量部、前記硬化剤を4〜
    20重量部、前記メタカオリンを2.5〜25重量部の
    割合でそれぞれ配合したことを特徴とする無機バインダ
    組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項記載の無
    機バインダ組成物を外添剤として含浸処理または被覆処
    理したことを特徴とする耐熱性シート材料。
  5. 【請求項5】 平板状のシート材料を三次元中空構造と
    なるように形成し、 請求項1乃至3のいずれか1項記載の無機バインダ組成
    物を含浸処理または被覆処理したことを特徴とする三次
    元中空構造体。
  6. 【請求項6】 平板状の無機質のシート材料を三次元中
    空構造となるように形成し、 主材としての無機粉末及び/または無機繊維と、メタカ
    オリン及び前記メタカオリンと反応する凝集剤からなる
    無機複合体より構成され、前記無機粉末及び/または無
    機繊維を凝集して互いに結合する内添剤としての無機バ
    インダとを必須成分として含有するスラリーを、シート
    状に付形して前記無機質のシート材料を形成したことを
    特徴とする三次元中空構造体。
  7. 【請求項7】 平板状の無機質のシート材料を三次元中
    空構造となるように形成し、 主材としての無機粉末及び/または無機繊維と、無機長
    繊維と、メタカオリン及び前記メタカオリンと反応する
    凝集剤からなる無機複合体より構成され、前記無機粉末
    及び/または無機繊維を凝集して互いに結合する内添剤
    としての無機バインダとを必須成分として含有するスラ
    リーを、シート状に付形して前記無機質のシート材料を
    形成したことを特徴とする三次元中空構造体。
  8. 【請求項8】 前記三次元中空構造を、ハニカムコア
    状、デルタコア状及びコルゲートコア状のいずれかの形
    状としたことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1
    項記載の三次元中空構造体。
  9. 【請求項9】 前記三次元中空構造を、前記シート材料
    を正三角形の単位断面形状を直線状に連続配置した断面
    鋸歯状に付形してなる中芯と、前記中芯の厚さ方向一側
    に接合された前記シート材料からなるライナとを備える
    デルタコア状としたことを特徴とする請求項5乃至7の
    いずれか1項記載の三次元中空構造体。
  10. 【請求項10】 前記メタカオリンと反応する凝集剤
    は、アルカリ金属ケイ酸塩、コロイダルシリカ及び無機
    リン酸塩の少なくともいずれか1種を含有することを特
    徴とする請求項5乃至9のいずれか1項記載の三次元中
    空構造体。
  11. 【請求項11】 前記メタカオリンと反応する凝集剤
    は、第1の凝集剤としてのアルカリ金属ケイ酸塩または
    コロイダルシリカと、第2の凝集剤としてのリン酸アル
    ミニウムとを含有することを特徴とする請求項5乃至9
    のいずれか1項記載の三次元中空構造体。
  12. 【請求項12】 前記メタカオリンと反応する凝集剤
    は、少なくともアルカリ金属ケイ酸塩を含有し、 更に、前記アルカリ金属ケイ酸塩のアルカリ金属と反応
    して前記アルカリ金属を固定するホウ酸亜鉛を含有する
    ことを特徴とする請求項10または11記載の三次元中
    空構造体。
  13. 【請求項13】 前記メタカオリンと反応する凝集剤
    は、少なくともリン酸アルミニウムを含有し、 更に、前記リン酸アルミニウムと反応して前記リン酸ア
    ルミニウムを固定する酸化マグネシウム、水酸化マグネ
    シウム、ブルーサイト、雲母及び改質処理済ロックウー
    ルの少なくともいずれか1種を含有することを特徴とす
    る請求項10または11記載の三次元中空構造体。
  14. 【請求項14】 前記メタカオリンと反応する凝集剤
    は、少なくともアルカリ金属ケイ酸塩とリン酸アルミニ
    ウムとを含有し、 更に、前記アルカリ金属ケイ酸塩のアルカリ金属を固定
    するホウ酸亜鉛からなる第1の硬化剤と、前記リン酸ア
    ルミニウムを固定する酸化マグネシウム、水酸化マグネ
    シウム、ブルーサイト、雲母及び改質処理済ロックウー
    ルの少なくともいずれか1種からなる第2の硬化剤とを
    含有することを特徴とする請求項11記載の三次元中空
    構造体。
  15. 【請求項15】 前記主材として、セピオライト及びブ
    ルーサイトの少なくともいずれか一つを含有することを
    特徴とする請求項5乃至14のいずれか1項記載の三次
    元中空構造体。
  16. 【請求項16】 前記主材としての無機粉末及び/また
    は無機繊維と前記無機バインダとに水を加えて混練する
    ことによりペースト状のスラリーを調製し、そのスラリ
    ーをウェットシート状に成形して前記無機質のシート材
    料を形成したことを特徴とする請求項6乃至15のいず
    れか1項記載の三次元中空構造体。
  17. 【請求項17】 前記主材としての無機粉末及び/また
    は無機繊維と前記無機長繊維と前記無機バインダとに水
    を加えて混練することによりペースト状のスラリーを調
    製し、そのスラリーをウェットシート状に成形して前記
    無機質のシート材料を形成したことを特徴とする請求項
    7乃至15のいずれか1項記載の三次元中空構造体。
  18. 【請求項18】 前記主材として前記無機粉末以外の成
    分を実質的に含まず、 前記主材としての無機粉末と前記無機バインダとに水を
    加えて混練することによりペースト状のスラリーを調製
    し、そのスラリーをウェットシート状に成形して前記無
    機質のシート材料を形成したことを特徴とする請求項1
    6記載の三次元中空構造体。
  19. 【請求項19】 断面正三角形の谷状をなすプレス溝を
    一定方向に多数連続配置した断面鋸歯状の受型と、前記
    受型の各プレス溝により形成される谷状の空間に進入自
    在な断面形状をなすと共に前記各プレス溝の下端縁と整
    合する下端縁を有する押型とを使用し、 前記受型上に平板状のシート材料を配置するシート配置
    工程と、 前記シート材料を間に挟んだ状態で、前記押型の下端縁
    を前記受型のプレス溝の一方の傾斜面の上端縁に対向す
    る位置から、その一方の傾斜面に沿って前記下端縁まで
    移動することにより、前記シート材料を前記プレス溝の
    断面正三角形と略同一の正三角形をなす単位断面形状に
    折り曲げて付形するシート付形工程と、 前記付形工程を繰り返して、前記シート材料に対して前
    記正三角形の単位断面形状が直線状に多数連続するよう
    付形することにより、断面鋸歯状の中芯を形成する中芯
    形成工程と、 前記中芯の厚さ方向一側に、平板状のシート材料からな
    るライナを接合するライナ接合工程とを具備することを
    特徴とする三次元中空構造体の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記中芯のシート材料及び前記ライナ
    のシート材料は、それぞれ、無機質材料を主材とするペ
    ースト状のスラリーをウェットシート状に延伸成形して
    なる無機質のシート材料からなることを特徴とする請求
    項19記載の三次元中空構造体の製造方法。
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