JP2003049837A - プーリユニット用玉軸受 - Google Patents

プーリユニット用玉軸受

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JP2003049837A
JP2003049837A JP2001240108A JP2001240108A JP2003049837A JP 2003049837 A JP2003049837 A JP 2003049837A JP 2001240108 A JP2001240108 A JP 2001240108A JP 2001240108 A JP2001240108 A JP 2001240108A JP 2003049837 A JP2003049837 A JP 2003049837A
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pulley
ball bearing
raceway
ball
pulley unit
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JP2001240108A
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Takeshi Nakamura
中村  剛
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プーリユニット用玉軸受11の耐久性を確保
しつつ異音の発生を防止する。 【解決手段】 プーリユニットに組み込む玉軸受11の
ラジアル隙間を−10μm〜+7μmに規制する。又、
これと共に、内輪軌道17及び外輪軌道18の曲率半径
をrとし、各玉20、20の外径をDとした場合に、
0.51≦r/D≦0.55に規制する。これにより、
上記玉軸受11の転がり寿命を確保しつつ、異音の発生
を抑えられる。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明に係るプーリユニット用
玉軸受は、例えば自動車用エンジンの補機或はカムシャ
フトを駆動する為のベルト或はタイミングベルト(以
下、単に「無端ベルト」とする。)に、所望の張力を付
与するアイドラプーリユニット等に組み込んで、アイド
ラプーリを回転自在に支持する。 【0002】 【従来の技術】自動車用エンジンの補機或はカムシャフ
トを駆動する為の無端ベルトに所望の張力を付与する
為、或はこの無端ベルトと駆動プーリ或は従動プーリと
の滑り防止を図るべく、これら各プーリに対する無端ベ
ルトの巻き付け角度を確保する為、図1に示す様なアイ
ドラプーリユニットを使用している。 【0003】図1に示すアイドラプーリユニットを構成
するベースプレート1はシリンダブロック等の固定の部
分に、図示しないフランジの円孔に挿通したボルトによ
り結合固定する。上記ベースプレート1に形成した長孔
2には支持軸3を、この長孔2に沿う変位自在に遊合さ
せている。この支持軸3の基端部(図1の右端部)に固
設した頭部4にはねじ孔を形成し、このねじ孔に調整ボ
ルト5の先端部を螺合させている。この調整ボルト5の
基端部は、上記ベースプレート1の一端部(図1の上端
部)に設けた折り曲げ板部6に形成した通孔7に挿通し
ている。又、上記調整ボルト5の中間部で上記折り曲げ
板部6よりも上記頭部4寄り部分には、固定ナット8、
9を螺合させている。 【0004】又、上記支持軸3には、支持スリーブ10
を介して、玉軸受11の内輪12を支持している。即
ち、断面L字形の支持スリーブ10に内輪12を外嵌し
た状態で、上記支持軸3の先端部にワッシャ13を外嵌
し、更に抑えナット14を螺合して、上記内輪12を上
記支持軸3の周囲に固定している。この内輪12を含ん
で構成する、深溝型ラジアル玉軸受である上記玉軸受1
1の外輪15には、アイドラプーリ16を外嵌固定して
いる。 【0005】上記玉軸受11は、上記内輪12の外周面
に深溝型の内輪軌道17を、上記外輪15の内周面に深
溝型の外輪軌道18を、それぞれ形成し、これら内輪軌
道17と外輪軌道18との間に、保持器19により転動
自在に保持した複数個の玉20、20を設けている。こ
れにより、上記支持軸3(支持スリーブ10)に対して
上記アイドラプーリ16を回転自在としている。 【0006】上述の様に構成するアイドラプーリユニッ
トにより、例えばクランクシャフトの端部に固定した駆
動プーリと、オルタネータ、ウォータポンプ等の補機の
回転軸の端部に固定した従動プーリとの間に掛け渡した
無端ベルトに所望の張力を付与するには、この無端ベル
トを、上記アイドラプーリ16に掛け渡す。そして、上
記調整ボルト5を回転させる事により上記アイドラプー
リ16の位置を変えて、このアイドラプーリ16により
上記無端ベルトに付与する張力を調節する。そして、こ
の張力が所望の値になった状態で、上記抑えナット14
を緊締し、上記アイドラプーリ16の位置を固定する。 【0007】尚、上述したアイドラプーリユニット以外
に、図2に示す様なアイドラプーリユニットも、従来か
ら使用されている。この図2に示すアイドラプーリユニ
ットは、上述した図1のアイドラプーリユニットと同様
に、アイドラプーリ16を、軟鋼板等の金属板に絞り加
工等の塑性加工を施す事により全体を円輪状に形成して
成る、プレスプーリとしている。但し、図1の例と異な
り、無端ベルトに付与する張力を調節する機能がない。
又、アイドラプーリユニットを構成するアイドラプーリ
16として、上述した様なプレスプーリ以外にも、図3
(a)、(b)に示す様なプーリも知られている。この
うちの図3(a)に示すアイドラプーリ16aは、合成
樹脂を射出成形する事により形成した樹脂プーリであ
り、図3(b)に示すアイドラプーリ16bは、鋳鉄等
に切削加工を施す事により形成した削りプーリである。
基本的な構造及び作用は上述した図1の例と同様であ
る。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】上述の様なアイドラプ
ーリユニットを構成する上記アイドラプーリ16(16
a、16bを含む)により、上記駆動プーリと従動プー
リとの間に掛け渡した無端ベルトに張力を付与した場
合、この駆動プーリ及び従動プーリの中心軸に対してア
イドラプーリ16の中心軸が完全に平行で、且つ、これ
ら各プーリが単一平面上に存在すれば、特に問題を生じ
ない。即ち、この様に各プーリ同士の位置関係が正しく
規制されていれば、これら各プーリに掛け渡した無端ベ
ルトや、上記アイドラプーリ16を回転自在に支持した
玉軸受11に無理な力が作用する事はない。ところが、
上記各プーリ同士の位置関係は、構成各部材の製造誤差
や組み付け誤差に起因して、必ずしも正しく規制される
とは限らない。 【0009】即ち、これら各誤差に起因して、図4に誇
張して示す様に、駆動プーリ21と従動プーリ22とが
存在する平面に対してアイドラプーリ16が存在する平
面が軸方向(図4の左右方向)にずれたり、或は、図5
に誇張して示す様に、アイドラプーリ16の中心軸と無
端ベルト23の走行平面とが非垂直方向にずれたりする
場合がある。そして、この様なずれが大きくなると、上
記無端ベルト23や玉軸受11に無理な力が作用する。
例えば、上記無端ベルト23がアイドラプーリ16部分
で拗れていた場合には、このアイドラプーリ16から上
記玉軸受11の外輪15(図1)に、この外輪15を傾
斜させる方向のモーメントが加わる。 【0010】この結果この外輪15が、図6(a)に誇
張して示す様に、上記モーメントMに基づいて、上記内
輪12に対して傾斜する。即ち、この外輪15が、上記
無端ベルト23(図4〜5参照)からの荷重を受ける部
分(図6で上側部分)を作用点として、上記内輪12に
対し軸方向{図6(a)の左右方向}にずれる様に傾斜
する。そして、この様に外輪15が傾斜した状態で、こ
の外輪15から各玉20、20に、図6(b)に矢印で
示す様な大きさの荷重α、βが負荷される。より具体的
には、この図6(b)で上記外輪15の上側となる位置
で、上記無端ベルト23から加わるラジアル荷重Fとモ
ーメントMに基づく上記荷重αが、同じく外輪15の下
側となる位置で、上記モーメントMに基づく荷重βが、
それぞれ負荷される。 【0011】この様に荷重α、βが負荷されると、上記
各玉20、20が、これら各荷重α、βが負荷される負
荷圏部分と、この様な荷重が負荷されない非負荷圏部分
との間を絶えず移動する様になる。そして、これら各玉
20、20が上記非負荷圏部分から上記負荷圏部分に進
入する際に、これら各玉20、20に急激な拘束力が加
わると共に、これら各玉20、20の転動面と上記内輪
軌道17及び外輪軌道18とが勢い良く衝突し、耳障り
な異音を発生する。しかも、この様に負荷圏部分に上記
各玉20、20が移動する際、これら各玉20、20に
拘束力(制動力)が加わる結果、これら各玉20、20
の転動面が、これら各玉20、20を保持する保持器1
9(図1参照)のポケットの内面とも勢い良く衝突し、
この衝突によっても耳障りな異音が発生する。 【0012】近年自動車用エンジンの静粛性が向上して
いる為、この様な異音が問題となり始めている。上述の
様な原因で発生する玉軸受11の異音は、この玉軸受1
1に外嵌したアイドラプーリ16を介して拡大(増幅)
され、耳障りな音(エンジン音の周波数と異なる異質な
音)として、自動車の運転者等に不快感と不安感とを与
える。尚、駆動プーリ21を固定したクランクシャフト
は、軸受メタルによりエンジンのシリンダブロックにし
っかりと支持している為、上述の様な異音は発生しにく
い。又、従動プーリ22を固定した回転軸は、少なくと
も1対の玉軸受により回転自在に支持している為、やは
り上述の様な異音は発生しにくい。本発明は、この様な
事情に鑑みて、異音が発生しにくく、しかも、高寿命の
プーリユニット用玉軸受を実現すべく発明したものであ
る。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明のプーリユニット
用玉軸受は、前述した従来のプーリユニット用玉軸受と
同様に、外周面に深溝型の内輪軌道を有する内輪と、内
周面に深溝型の外輪軌道を有する外輪と、これら内輪軌
道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉
とを備える。そして、上記外輪と上記内輪との相対回転
に基づき、プーリの相対回転を自在とする。特に、本発
明のプーリユニット用玉軸受に於いては、プーリユニッ
トに組み込み、ラジアル荷重を付与しない状態での、こ
のプーリユニット用玉軸受のラジアル隙間を、全周に亙
り−10〜+7μmの範囲内に規制している。又、これ
と共に、上記内輪軌道及び外輪軌道の曲率半径をrと
し、上記各玉の外径をDとした場合に、0.51≦r/
D≦0.55としている。尚、内輪軌道の曲率半径と外
輪軌道の曲率半径とは同じである必要はない。一般的に
は、内輪軌道の曲率半径を、外輪軌道の曲率半径より
も、少しだけ小さくする。 【0014】 【作用】上述の様に構成する本発明のプーリユニット用
玉軸受の場合には、プーリユニットに組み込んだ状態で
のラジアル隙間(外輪軌道の最大外径から内輪軌道の最
小外径と玉の外径の2倍とを引いた値)を、全周に亙っ
て−10〜+7μmの範囲に規制している為、運転時に
この玉軸受にモーメントが加わった場合にも、異音の発
生を効果的に抑える事ができる。しかも、内輪軌道及び
外輪軌道の曲率半径rを、各玉の外径Dの0.51〜
0.55倍としている為、これら各軌道の軌道面と玉の
転動面との転がり接触部にグリース等の潤滑剤が行き渡
り易くなり、潤滑不良が起きにくくなる。この為、上述
の様に従来のプーリユニット用玉軸受に比べてラジアル
隙間を、−10〜+7μmと狭く規制しても、上記転が
り接触部での発熱を抑えて、この玉軸受の耐久性を向上
させると共に、プーリユニットの製品寿命の延長も図れ
る。 【0015】尚、上記ラジアル隙間が−10μm未満の
場合、即ち、このラジアル隙間が負の値で、その絶対値
が10μmよりも大きい場合には、上記内輪軌道及び外
輪軌道と上記各玉の転動面との転がり接触部の接触面圧
が大きくなるだけでなく、接触面積が大きくなり過ぎ
て、この転がり接触部で滑りが増加すると共に、この転
がり接触部にグリースが行き渡りにくくなる。この結
果、これら各軌道面や転動面に剥離、焼き付き等の損傷
が生じ易くなって、転がり寿命が低下(短縮)する可能
性がある。一方、上記ラジアル隙間が+7μmを越える
場合、即ち、このラジアル隙間が正の値で、その絶対値
が7μmよりも大きい場合には、このラジアル隙間が大
きくなる事により、玉軸受にモーメントが加わった際
に、この玉軸受の負荷圏部分と非負荷圏部分とのラジア
ル隙間の差が大きく(顕著に)なる。この結果、上記玉
軸受を構成する各玉が上記非負荷圏部分から負荷圏部分
に進入する際に、これら各玉に拘束力が加わり易くなる
と共に、これら各玉の転動面と上記内輪軌道及び外輪軌
道とが勢い良く衝突し、上記異音が増大する可能性があ
る。しかも、この様に転動面と各軌道面とが衝突を繰り
返す事により、転がり寿命が低下する事も避けられな
い。 【0016】又、上記曲率半径rが玉の外径Dの0.5
1倍未満の場合には、上記各玉の転動面と上記各軌道面
との転がり接触部の接触面積が大きくなり過ぎて、この
転がり接触部で滑りが増加すると共に、この転がり接触
部にグリースが行き渡りにくくなる。この結果、この転
がり接触部での発熱量が増大し、剥離や焼き付き等の損
傷が生じ易くなる。一方、上記曲率半径rが玉の外径D
の0.55倍を越える場合には、転がり接触部の接触面
積が小さくなり過ぎて、この転がり接触部の面圧が大き
くなり過ぎ、転がり疲れ寿命の確保が難しくなる。更に
は、上記各玉の転動面と上記各軌道面との間の実質的隙
間が大きくなり過ぎて、外輪及び内輪がアキシアル方向
に変位し易くなる。この結果、玉軸受にモーメントが加
わると、前述の解決しようとする課題の項で説明した様
に、異音が増大する可能性がある。 【0017】 【実施例】先ず、従来のプーリユニット用玉軸受の異音
の発生状況を詳しく知る為に、本発明者が行なった実験
に就いて説明する。尚、プレス成形により造られたプー
リ16(各部材に付した符号は、図1〜6による。)の
内周面は、加工精度の関係で真円にならず、大きいもの
では真円度が15μm程度の、楕円形状となる場合があ
る。そして、この様なプーリ16の内周面にプーリユニ
ット用玉軸受11を構成する外輪15を締まり嵌めで外
嵌固定すると、この外輪15に上記楕円形状のプーリ1
6の内周面形状が転写され、この外輪15の内周面に設
けた外輪軌道18の円周方向の形状も楕円形状となる事
が避けられない。 【0018】そこで、本発明者はこの点を踏まえ、上記
プーリユニット用玉軸受11の異音の発生状況を、この
様なプーリ16の内周面が楕円形状の場合(真円度が大
きい場合)、並びに、鋳鉄製のプーリ16bの内周面に
機械加工(切削加工)を施す事により、このプーリ16
bの内周面を真円に近く(真円度を小さく)した場合に
就いて、それぞれ調べた。尚、上記プーリユニット用玉
軸受11を構成する内輪12に関しては、この内輪12
を外嵌固定する支持軸3や支持スリーブ10の外周面の
加工精度を、上記プーリ16の内周面に比べて高度に維
持できる為、この内輪12の内周面に設けた内輪軌道1
7が楕円形状になる事は少ない。 【0019】先ず、上記プーリ16の内周面が楕円形状
の場合(真円度が大きい場合)に就いて説明する。この
様なプーリ16の内周面が楕円形状の場合は、前述の図
4〜5に示す様にプーリ16が傾いた状態で回転する
と、このプーリ16の回転中心軸に対する傾き量が円周
方向位置によって異なる為、異音が発生し易い位置とし
にくい位置とがある事が分かった。そして、このプーリ
16の内周面に内嵌固定した玉軸受11のラジアル隙間
(以下、特に断りのない場合は、玉軸受11をプーリユ
ニットに組み込んだ状態でのラジアル隙間を言う。)の
うちの、楕円形状となった外輪軌道18の長径側部分の
ラジアル隙間の大きさが一定の値以上になると、上記異
音が無視できない程大きくなる事が分かった。 【0020】この理由は、次の様に考えられる。即ち、
上記玉軸受11を構成する各玉20、20が、楕円形状
となった上記外輪軌道18の短径側、即ち、この外輪軌
道18と内輪軌道17との径方向の間隔が小さくなる部
分(ラジアル隙間が小さくなる部分)に進入する際に、
これら各玉20、20に拘束力が加わり易くなると共
に、これら各玉20、20の転動面がこれら両軌道1
7、18面並びに保持器21の各ポケットの内面と衝突
し易くなる為である。そして、上記楕円の長径側部分の
ラジアル隙間の大きさが一定の値以上になると、このラ
ジアル隙間の大きい部分と小さい部分との差が大きく
(顕著に)なり、上記各玉20、20に拘束力が加わる
部分と加わらない部分とが顕著になって、上記異音が無
視できない程の大きさになると考えられる。 【0021】一方、プーリ16bの内周面が真円に近い
(真円度が小さい)場合は、このプーリ16bに内嵌し
た玉軸受11のラジアル隙間の大きさが一定の値以上に
なると、やはり前述の図4〜5に示す様にプーリ16が
傾いた状態で回転した場合に、異音が無視できない程大
きくなる事が分かった。この理由は、ラジアル隙間が大
きくなれば、上記プーリ16bから加わる荷重による玉
軸受11の負荷圏部分のラジアル隙間の大きさと、非負
荷圏部分のラジアル隙間との大きさとの差が大きく(顕
著に)なり、各玉20、20に拘束力が加わる部分と加
わらない部分とが顕著になる為と考えられる。 【0022】更に本発明者は、この様な無視できない異
音の発生状況に就いてより詳しく知る為に、この異音を
エンベロープ処理(周波数分析)し、周波数毎の音の強
さを調べた。この結果を、図7及び図9に示す。このう
ちの図7は、上記プーリユニット用玉軸受11の外輪1
5を固定した状態で内輪12を回転速度1800min -1
で回転させた際に発生した異音をエンベロープ処理した
結果を示している。この様な内輪回転の場合は、この図
7に示す様に、音の強さのピークとなる周波数が、各玉
20、20の通過周波数(Zfe )の整数倍となる。即
ち、音の強さのピークとなる各周波数のうちの一番低い
周波数が、上記各玉20、20の公転速度(fe)の玉数
(Z )倍(Zfe )、言い換えれば、これら各玉20、2
0がラジアル隙間の小さい部分(負荷圏部分)を通過す
る周波数(Zfe )となる。そして、この様な音の強さの
ピークとなる周波数を、上記内輪12の回転速度が0〜
3600min -1の範囲で調べたところ、図8に示す様
に、上記各玉20、20の通過周波数(Zfe )の計算値
を表す実線と実測値を表す黒点(●)とが、ほぼ一致し
た。尚、外輪15と保持器21との相対速度(fc)は、
この外輪15を固定している為、上記玉の公転速度(f
e)と同じである(fe=fc)。 【0023】一方、図9は、上記プーリユニット用玉軸
受11の内輪12を固定した状態で外輪15を回転速度
1800min -1で回転させた際に発生した異音をエンベ
ロープ処理した結果を示している。この様な外輪回転の
場合、音の強さのピークとなる周波数は、周波数の低い
側から順に、内輪12の回転速度(fr)、外輪15と保
持器21との相対速度(fe)の玉数(Z )倍(Zfe )、
内輪12の回転速度(fr)の3倍(3fr)、玉20の公
転速度(fc)の玉数(Z )倍(Zfc )となる。そして、
この様な音の強さのピークとなる上記Zfe 及びZfc の周
波数を、上記外輪15の回転速度が0〜2150min -1
の範囲で調べたところ、図10に示す様に、上記Zfe の
計算値を表す実線と実測値を表す黒点(●)とがほぼ一
致すると共に、上記Zfc の計算値を表す破線と実測値を
表す白点(○)とがほぼ一致した。この様な図7〜10
に示した結果から、上記プーリユニット用玉軸受11の
異音は、この玉軸受11を構成する上記各玉20、20
が、ラジアル隙間の大きい部分から小さい部分に進入す
る際に、言い換えれば、上記各玉20、20に拘束力が
加わる際に、発生する事が分かる。 【0024】又、本発明者は、上記プーリユニット用玉
軸受11のラジアル隙間と、この玉軸受11にモーメン
トを加えた場合に外輪15が内輪12に対して傾く量
(以下「角振れ量」という)との関係を調べた。この結
果を図11に示す。この図11から明らかな様に、ラジ
アル隙間が小さい程、上記角振れ量を小さくできる。即
ち、ラジアル隙間を小さくすれば、上記外輪15(プー
リ16)の傾きに基づく異音の発生を低減できる事が分
かる。 【0025】次に、プーリ16の内周面の真円度及びこ
のプーリ16に内嵌固定した状態での玉軸受11のラジ
アル隙間の大きさ毎に、異音の大きさを評価した結果に
就いて説明する。即ち、内周面の真円度が15μm、5
μm及び2μm以下の3種類のプーリ16に就いて、そ
れぞれの玉軸受11のラジアル隙間を変化させ、これら
各プーリを回転速度1800min -1で回転させた際の異
音の大きさの評価を行なった。この結果を、表1に示
す。尚、真円度が15μm、5μmのプーリ16として
は、軟鋼板に塑性加工を施した、図1〜2に示すプレス
プーリ16を使用し、2μm以下のプーリ16として
は、鋳鉄に切削加工を施した、図3(b)に示す削りプ
ーリ16bを使用した。又、このプーリ16に図6
(a)で示す様なモーメントMを約0.4N・m負荷す
ると共に、このプーリ16の円周方向位置とモーメント
の負荷位置との関係を明らかにすべく、内輪12を回転
させると共に、外輪15を固定して、異音の大きさの評
価を行なった。但し、内輪12を固定すると共に外輪1
5を回転させた場合でも、上記異音は発生する。 【0026】 【表1】 【0027】この表1中、◎印は、負荷位置、即ち、前
述の図4〜5に示す様に駆動プーリ21と従動プーリ2
2の存在する平面に対して上記プーリ16が存在する位
置のずれによって加わる荷重の位置に関係なく、異音が
発生しなかった事を表している。又、同じく○印は、異
音がほとんど聞こえなかった事を、△印は、負荷位置に
よっては異音が発生した事を、×印は、負荷位置に関係
なく異音が発生した事を、それぞれ表している。この様
な表1に示した結果から分かる様に、ラジアル隙間の最
大値を小さくすれば、より具体的には、このラジアル隙
間の最大値を10μm(より好ましく7μm、更に好ま
しくは4μm)以下とすれば、異音を発生しにくくする
事ができる。 【0028】ところで、従来のプーリユニット用玉軸受
11は、プーリユニットに組み込む前の単品時の状態で
のラジアル隙間を、+10μm程度としていた。そし
て、プーリユニットに組み込んだ状態でのラジアル隙間
は、プーリ16の内周面の加工精度の影響を受けて部分
的に拡大する為、最もラジアル隙間が大きな部分で、+
20〜25μm程度となっていた。この様に従来のプー
リユニット用玉軸受11のラジアル隙間が、上記異音を
発生しにくくできる10μmに比べて大きかったのは、
次の様な理由の為である。即ち、このラジアル隙間を小
さくすると、転がり寿命を十分に確保できなくなる為で
ある。より具体的には、この様にラジアル隙間を小さく
すると、各玉20、20の転動面と内輪軌道17及び外
輪軌道18との転がり接触部の接触面積が大きくなり過
ぎて、この転がり接触部にグリース等の潤滑剤が行き渡
りにくくなる。そして、この転がり接触部での発熱量が
増大し、剥離や焼き付き等の損傷が生じ易くなり、上記
寿命を十分に確保できなくなる。 【0029】これに対して、本発明者は、上述の様に異
音の発生を防止するべく、プーリユニット用玉軸受11
のラジアル隙間を10μm以下にした場合でも、内輪軌
道17及び外輪軌道18の曲率半径rと各玉20、20
の外径D(図1参照)とを規制する事により、この玉軸
受11の転がり寿命を確保できる事を実験で確かめた。
この結果を、図12に示す。尚、この図12にその結果
を示す実験の際には、上記内輪軌道17及び外輪軌道1
8の曲率半径rと上記各玉20、20の外径Dとの比
(r/D)を、0.51≦r/D≦0.55の範囲に規
制した。 【0030】上記図12の竪軸に示した寿命比は、ラジ
アル隙間を0とした場合の転がり寿命を1として、これ
との比で表わしている。又、同じく実線αは玉軸受に5
88N(60kgf )のラジアル負荷を加えた場合を、破
線βは同じく1176N(120kgf )のラジアル負荷
を加えた場合を、それぞれ示している。この図12から
明らかな様に、上記内輪軌道17及び外輪軌道18の曲
率半径rと上記各玉20、20の外径Dとの比(r/
D)を0.51〜0.55と規制した場合は、ラジアル
隙間が若干マイナス側のところで寿命が最大となり、こ
のラジアル隙間を−10〜+7μmの範囲内に規制すれ
ば、転がり寿命を十分に確保できる。従って、ラジアル
隙間を−10〜+7μmとすると共に、上記曲率半径r
と外径Dとの比(r/D)を0.51≦r/D≦0.5
5の範囲に規制すれば、前述の様に異音の発生を防止で
きると共に、転がり寿命も十分に確保できる。 【0031】尚、上記ラジアル隙間が−10μm未満の
場合、即ち、このラジアル隙間が負の値で絶対値が10
μmよりも大きい場合には、上記内輪軌道17及び外輪
軌道18と上記各玉20、20の転動面との転がり接触
部の接触面圧が大きくなるだけでなく、この転がり接触
部の接触面積が大きくなり過ぎて、この転がり接触部で
滑りが増加すると共に、この転がり接触部にグリースが
行き渡りにくくなる。この結果、これら各軌道面や転動
面に剥離、焼き付き等の損傷が生じ易くなって、転がり
寿命が低下(短縮)する可能性がある。一方、上記ラジ
アル隙間が+7μmを越える場合には、このラジアル隙
間が大きくなる事により、上記玉軸受11の負荷圏部分
と非負荷圏部分のラジアル隙間の差が大きく(顕著に)
なる。この結果、この玉軸受11を構成する各玉20、
20の転動面が、ラジアル隙間の大きい部分から小さい
部分に進入する際に、上記各軌道面と衝突し、上記異音
が増大する可能性がある。しかも、この様に転動面と各
軌道面とが衝突を繰り返す事により、転がり寿命が低下
する事も避けられない。 【0032】又、上記曲率半径rが玉20、20の外径
Dの0.51倍未満の場合には、これら各玉20、20
の転動面と上記各軌道面との転がり接触部の接触面積が
大きくなり過ぎて、この転がり接触部で滑りが増加する
と共に、この転がり接触部にグリースが行き渡りにくく
なる。この結果、この転がり接触部での発熱量が増大
し、剥離や焼き付き等の損傷が生じ易くなる。一方、上
記曲率半径rが玉20、20の外径Dの0.55倍を越
える場合には、これら各玉20、20の転動面と上記各
軌道面との転がり接触部の接触面積が小さくなり過ぎて
各面の転がり疲れ寿命の確保が難しくなる他、これら各
面同士の間の実質的隙間が大きくなり過ぎて、外輪15
及び内輪12がアキシアル方向に変位し易くなる。この
結果、玉軸受11にモーメントが加わると、前述の解決
しようとする課題の項で説明した様に、異音が増大する
可能性がある。 【0033】尚、上述の様にプーリユニット用玉軸受1
1のラジアル隙間を−10〜+7μmに規制する為に
は、次の様にする。即ち、この玉軸受11の単品時(プ
ーリユニットに組み込む前)のラジアル隙間の範囲を、
少なくとも8μm以下となる様にする。又、これと共
に、プーリ16の内周面の真円度を、可及的に小さくす
る(真円に近付ける)。この際、このプーリ16の内周
面に切削加工等の機械加工を施さないで済ます事が、コ
スト低減の面からは好ましい。この様にすれば、上記玉
軸受11を上記プーリユニットに組み込んだ状態で、ラ
ジアル隙間のばらつきの範囲(円周方向に関して最大値
と最小値との差)を15μm以下に抑える事ができる。 【0034】 【発明の効果】本発明のプーリユニット用玉軸受は、以
上に述べた通り構成され作用するので、寿命を低下させ
ることなく、異音防止効果の高いプーリユニット用玉軸
受を実現できる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の対象となるプーリユニット用玉軸受を
組み込んだアイドラプーリユニットを示す断面図。 【図2】アイドラプーリユニットの別例を示す断面図。 【図3】アイドラプーリユニットの別例を示す図で、
(a)は樹脂プーリを、(b)は削りプーリを、それぞ
れ示す断面図。 【図4】従来構造で生じる問題点を説明する為の無端ベ
ルト設置部分の略側面図。 【図5】図4と同様の図。 【図6】アイドラプーリにモーメントが加わった際の玉
軸受の状態を誇張して示す図で、(a)は断面図、
(b)は側面図。 【図7】外輪を固定して内輪を回転させた際に発生した
異音をエンベロープ処理した結果を示す線図。 【図8】内輪回転で異音がピークとなる周波数に就いて
説明する為の図。 【図9】内輪を固定して外輪を回転させた際に発生した
異音をエンベロープ処理した結果を示す線図。 【図10】外輪回転で異音がピークとなる周波数に就い
て説明する為の図。 【図11】プーリユニットに組み込んだ玉軸受のラジア
ル隙間と角振れ量との関係を示す図。 【図12】プーリユニットに組み込んだ玉軸受のラジア
ル隙間と転がり寿命との関係を示す線図。 【符号の説明】 1 ベースプレート 2 長孔 3 支持軸 4 頭部 5 調整ボルト 6 折り曲げ板部 7 通孔 8、9 固定ナット 10 支持スリーブ 11 玉 12 内輪 13 ワッシャ 14 抑えナット 15 外輪 16、16a、16b アイドラプーリ 17 内輪軌道 18 外輪軌道 19 保持器 20 玉 21 駆動プーリ 22 従動プーリ 23 無端ベルト

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 外周面に深溝型の内輪軌道を有する内輪
    と、内周面に深溝型の外輪軌道を有する外輪と、これら
    内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数
    個の玉とを備え、上記外輪と上記内輪との相対回転に基
    づき、プーリの回転を自在とするプーリユニット用玉軸
    受に於いて、プーリユニットに組み込んだ状態でのこの
    プーリユニット用玉軸受のラジアル隙間を−10〜+7
    μmとすると共に、上記内輪軌道及び外輪軌道の曲率半
    径をrとし、上記各玉の外径をDとした場合に、0.5
    1≦r/D≦0.55とした事を特徴とするプーリユニ
    ット用玉軸受。
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