JP2003048889A - 新規核酸系化合物 - Google Patents

新規核酸系化合物

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JP2003048889A
JP2003048889A JP2001233123A JP2001233123A JP2003048889A JP 2003048889 A JP2003048889 A JP 2003048889A JP 2001233123 A JP2001233123 A JP 2001233123A JP 2001233123 A JP2001233123 A JP 2001233123A JP 2003048889 A JP2003048889 A JP 2003048889A
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JP2001233123A
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Seiichi Sato
誠一 佐藤
Kenichi Kaida
健一 開田
Naoyuki Fukuchi
直之 福地
Fumie Futaki
史恵 二木
Hideyuki Nagao
英幸 長尾
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インテグリン阻害作用を有する新規化合物を
提供すること。 【解決手段】 特定の糸状菌から産生される化合物は、
インテグリン阻害作用を有し、これをインテグリンに関
与する各種疾病の治療薬又は予防薬として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗血小板作用を有す
る新規化合物又はその薬学的に許容しうる塩を有効成分
とする抗血小板薬に関する。本発明の化合物はα2β1
インテグリンを阻害(GPIa/IIaとコラーゲンとの結合を
阻害)することにより抗血小板活性、抗血栓活性を示
し、血栓症、動脈硬化症、高脂血症、心筋梗塞、狭心
症、急性冠性症候群(acute coronary syndrome)、末
梢動脈閉塞症、深部静脈血栓症、脳梗塞、脳卒中、肺塞
栓症などの動脈および静脈における血栓を原因とする疾
患に対する治療薬あるいは予防薬として有用である。
【0002】
【従来の技術】心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳卒中な
どの虚血性脳疾患は、いずれも動脈内に血栓が生じるこ
とによって引き起こされる動脈血栓症である。血小板血
栓は、動脈硬化、高脂血症、喫煙、ストレスなどの原因
により、血管内皮細胞が傷害されると、その部位に血小
板が粘着し、血小板が活性化され血小板同士の凝集反応
が起きることにより生じる。さらにその部位で血液凝固
系が亢進し赤色血栓が生じることによって血管が狭窄、
さらには閉塞することによって血栓症が生じると考えら
れている。そこでこの血栓形成を阻止するためには血小
板の粘着、活性化を阻害すような「抗血小板薬」が用い
られる。抗血小板薬としては古くよりaspirinが用いら
れてきた。Aspirinは血小板のシクロオキシゲナーゼを
阻害することによって血小板に対する活性化因子である
トロンボキサンA2の生成を押さえることによって抗血小
板作用を発揮する。Aspirinは動脈血栓症の再発(二次
予防)効果が認められているものの、その効果は十分で
ない。さらにticlopidine、clopidogrel等の薬剤も臨床
で多く使われており同様の動脈血栓症の二次予防効果が
示されているが、これらの薬剤はその有効性は十分では
なく、さらに強力な効果を発揮する抗血小板薬が望まれ
てきた。そこで近年登場したのが、血小板上のフィブリ
ノーゲン受容体であるグリコプロテインIIb/IIIa(glyc
optotein IIb/IIIa; GPIIb/IIIa)に対する拮抗薬であ
る(E. J. Topol et al., Lancet, 353, 227-231, 199
9)。フィブリノーゲンは血小板凝集が起きる際、血小
板同士を架橋する血清蛋白質であり、血小板は活性化に
よってGPIIb/IIIaの構造を変化させフィブリノーゲンを
介して血小板同士が結合する。GPIIb/IIIa拮抗薬はこの
凝集反応を阻害することによって血小板血栓の形成、す
なわち血栓の形成を阻害することができる。GPIIb/IIIa
拮抗薬として現在最も有効であると考えられているもの
は、抗GPIIb/IIIaキメラ抗体であるReo-Pro(Abcixima
b)である(M. Madan etal., Circulation, 98, 2629-2
635, 1998)。本薬剤は多くの大規模臨床試験で高い有効
性を示しているものの、蛋白質であるため連続投与が困
難であり、投与が容易な低分子量化合物のGPIIb/IIIa拮
抗薬も開発されている。しかしながら、現在臨床使用が
認められているGPIIb/IIIa拮抗薬はintegrelin、tirofi
ban等のいずれも静脈内投与による薬剤であり、経口剤
として開発されてきたものは現在までのところ臨床試験
での有効性が示されていない(E. J. Topol et al., La
ncet, 353, 227-231, 1999、M. Madan et al., Circula
tion, 98, 2629-2635, 1998)。
【0003】ところで、血小板膜表面蛋白質をターゲッ
トとした抗血小板薬のターゲットとしては、GPIIb/IIIa
とフィブリノーゲンの結合以外に、血小板グリコプロテ
インIb/IX(glycoprotein Ib/IX; GPIb/IX)と血漿蛋白
質であるフォンビルブランド因子の結合、グリコプロテ
インIa/IIa(glycoprotein Ia/IIa; GPIa/IIa)とコラ
ーゲンの結合等、血小板の初期の血管壁への粘着反応が
挙げられる(池田、医学のあゆみ、193,1222 (200
0))。このうち、GPIbとvWFの結合を阻害することは、G
PIIb/IIIa拮抗薬に比べ出血リスクが低いことが報告さ
れており(S. Kageyama et al., Br. J. Pharmacol., 1
22, 165-171, 1997)、血小板の初期の血管壁への粘着
反応を阻害することの有効性、GPIIb/IIIa拮抗薬に対す
る優位性は明らかである。
【0004】GPIa/IIaとコラーゲンの結合に関しては、
近年多くの報告により、有効な抗血小板薬のターゲット
であることが示されてきている。例えばSavageらは近年
血管内皮下組織をガラス上にコーティングした上に血液
を流して、高いずり応力(shear stress)をかけた際に
おこるECM上への血小板粘着をGPIb-vWFを阻害する抗vWF
-A1(A1;GPIb結合部位)抗体だけでなく、抗vWF-A3(A
3;コラーゲン結合部位)抗体、抗GPIa/IIa(α2β1)抗
体も同等に阻害することを報告している(B. Savage et
al., Cell, 94, 657-666, 1998)。すなわち、血小板
粘着を阻害するターゲットはGPIb/IX-vWFの結合を阻害
することだけでなく、GPIa/IIa-コラーゲンの結合、vWF
とコラーゲンの結合のいずれかを阻害することによりな
し得ると考えられる。さらに、GPIa/IIaが血栓症発症に
重要な役割を果たしていることは、近年報告されたGPIa
の遺伝子多型(polymorphism)と血栓症発症との関係を
見ても明らかである。すなわち、GPIa/IIaには遺伝的に
3種類の遺伝子多型し、このうち807番目の塩基がTであ
る遺伝子を持つ人はGPIa/IIaの発現量が高く、高いずり
応力(shear stress)下でのコラーゲンへの血小板粘着
が高いこと(M. Kritzik et al., Blood, 92, 2382-238
8, 1998)、若年における心筋梗塞の発症リスクが有意
に高いことが報告されている(S. Santoso et al., Blo
od, 93, 2449-2453, 1999)。
【0005】以上のことより、GPIa/IIa-コラーゲンの
結合の阻害は、抗血小板薬、すなわち抗血栓薬の重要な
ターゲットの一つであると考えられる。しかしながらGP
Ia/IIa-コラーゲンの結合を阻害する物質の報告は少な
く、特異的なモノクローナル抗体を含めいずれも蛋白質
あるいはペプチドに限られている。例えばヒル唾液由来
のコラーゲン結合蛋白質calin(J. Harsfalvi et al.,
Blood, 85, 705-711,1995)、LAPP(T. M. Connolly et
al., J. Biol. Chem., 267, 6893-6898, 1992)、ある
いは環状ペプチドcyclic-Cys-Thr-Arg-Lys-Lys-His-Asp
-Cys(O. Pentikainen et al., J. Biol. Chem., 274,
31493-31505, 1999)等にGPIa/IIa-コラーゲンの結合を
阻害する活性が報告されているが、さらに低分子量の、
たとえば経口投与可能な阻害物質はこれまで報告されて
いない。また、GPIa/IIa-コラーゲンの結合を阻害する
合成ペプチドとしては、Gly-Pro-Ala-Gly-Lys-Asp-Gly-
Glu-Ala-Gly-Ala-Gln-Gly(コラーゲンI α1 chainの43
0-442番に相当する配列)、Lys-Asp-Gly-Glu-Ala(とも
にW. D. Staatz et al., J. Biol. Chem., 266,7363-73
67, 1991)、Tyr-Gly-Tyr-Tyr-Gly-Asp-Ala-Leu-Arg
(Laminin-1 β1chainの993-1001番に相当する配列)
(P. Underwood et al., Biochem. J., 309, 765-771,
1995)、Gly-Gly-Pro-Hyp-Gly-Pro-Arg (triple-helica
l)(コラーゲンIIIの522-528番に相当する配列)(L.
F. Morten et al., J. Biol. Chem.,272, 11044-11048,
1997)、Cyclic-Cys-Gly-Arg-Gly-Asp-Ser-Pro-Cys
(P. M.Carderelli et al., J. Biol. Chem., 267, 231
59-23164, 1992)等が報告されているが、現在までのと
ころこれらの配列をもとにした低分子阻害物質創出の報
告はない。また、GPIa/IIa-コラーゲンの結合を阻害す
る物質が実際に抗血栓活性示すことは、例えば前述のca
linはハムスター血栓モデル(damaged femoral vein)
に対して有効であることが報告されており(H. Dyckmyn
et al., Blood, 85, 712-719, 1995)、また前述した
通りGPIa/IIaの発現量が高い遺伝子多型を持つ人が、若
年における心筋梗塞の発症リスクが有意に高いこと(S.
Santoso etal., Blood, 93, 2449-2453, 1999)などか
らも明らかであり、心筋梗塞をはじめとする血栓症に有
効な薬剤となり得る。なお、血栓症としては心筋梗塞、
狭心症、急性冠性症候群(acute coronary syndrom)、
末梢動脈閉塞症、深部静脈血栓症、脳梗塞、脳卒中、肺
塞栓症などの動脈および静脈における血栓を原因とする
疾患が挙げられる。インテグリンα2β1とコラーゲンの
結合は、血栓形成の初期段階である血小板粘着に重要で
あると考えられ、これを阻害する高分子物質は血小板血
栓形成阻害作用を示すことが報告されている〔Cell, 9
4, 657(1998)〕。一方、同様な活性を有する低分子化合
物はペプチド性の化合物以外には未だ報告がない〔J. B
iol.Chem., 274, 31493(1999)〕。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、インテグリ
ンα2β1阻害作用を有する新規な非ペプチド性低分子
化合物を提供することを課題とする。本発明はまた、上
記化合物を有効成分とする抗血小板薬を提供することを
課題とする。本発明はまた、上記化合物又はその薬学的
に許容し得る塩の製造方法を提供することを課題とす
る。本発明はまた、血栓症、動脈硬化症、高脂血症、心
筋梗塞、狭心症、急性冠性症候群、末梢動脈閉塞症、深
部静脈血栓症、脳梗塞、脳卒中、肺塞栓症のいずれかに
対する治療薬または予防剤を提供することを課題とす
る。本発明はまた、上記新規化合物を含有する医薬組成
物を提供することを課題とする。本発明はまた、上記化
合物の使用を提供することを課題とする。本発明はま
た、インテグリン阻害剤、特にα2β1インテグリン阻
害剤を提供することを課題とする。本発明はまた、GPIa
/IIa-コラーゲン結合阻害剤を提供することを課題とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
インテグリンα2β1とコラーゲンの結合を阻害する物質
について、微生物二次代謝産物をスクリーニングした結
果、未同定糸状菌AJ117510株が生産する下記式(II)で示
される化合物が強い阻害活性を示すことを見いだした。
さらに該化合物を変換した化合物にも同様の強い阻害活
性が見いだされ、本発明を完成させるに至った。すなわ
ち、本発明は、下記式(I)で示される化合物又はその薬
学的に許容し得る塩を提供する。
【0008】
【化3】 〔式中、R1は水素原子、低級アルキル基、アリール基又
はアラルキル基を示し、R2は水素原子又は低級アルキル
基を示し、-A-B-は-CH2-CH2-又は-CH(OR3)-CH(OR 4)-
(式中、R3およびR4は同一又は異なっていてもよく、水
素原子または低級アシル基を示す)を示す。ただし、R1
が水素原子、-A-B-が-CH(OH)-CH(OH)-である場合、R2
エチル基ではない。また、R1が水素原子、R2がエチル基
の場合、-A-B-は-CH(OAc)-CH(OAc)-ではない。〕
【0009】また、本発明は上記化合物とその薬学的に
許容しうる塩を有効成分とする抗血小板薬であり、血栓
症、動脈硬化症、高脂血症、心筋梗塞、狭心症、急性冠
性症候群、末梢動脈閉塞症、深部静脈血栓症などの虚血
性心疾患又は脳梗塞、脳卒中、肺塞栓症脳卒中などの虚
血性脳疾患などの動脈および静脈における血栓を原因と
する疾患の治療薬又は予防薬として用いることができ
る。
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
下記式IIで表される化合物を生産する微生物としては、
糸状菌AJ117510株が挙げられる。また、本発明におい
て、AJ117510株の自然的および人工的変異株を使用する
こともできる。
【0010】
【化4】
【0011】上記AJ117510株は山梨県丹波山村にて採集
されたリター上の盤菌類と思われる子実体から落下法で
本菌の胞子を取得した。この胞子から4〜5日目に培地
上に伸長してくる菌糸の先端を細針で釣り上げ、新しい
培地に移植し、純化した。以下にこのようにして分離さ
れたAJ117510株の菌学的性質を記す。 (a)各種寒天培地に於ける生育形態 LCA寒天培地上での生育は遅く、25℃、14日間でコロニ
ー径は20mmである。コロニー表面は白色フェルト状で、
裏面は白色を呈する。培地中への色素の浸出や油滴の生
成は認められない。CMA寒天培地上での生育は遅く、25
℃、14日間でコロニー径は24mmである。コロニー表面は
白色フェルト状で、裏面は白色を呈する。培地中への色
素の浸出や油滴の生成は認められない。MA寒天培地上で
の生育は遅く、25℃、14日間でコロニー径は24mmであ
る。コロニー表面は白色フェルト状で、裏面は白色を呈
する。培地中への色素の浸出や油滴の生成は認められな
い。PDA寒天培地上での生育は遅く、25℃、14日間でコ
ロニー径は20mmである。コロニー表面は灰白色フェルト
状で、裏面は灰味黄茶色を呈する。培地中へわずかに橙
色の色素の浸出が観られる。油滴の生成は認められな
い。これらのいずれの培地上で分生子の形成は観られな
かった。また、これらいずれの培地でも完全世代は認め
られなかった。
【0012】(b)形態的性状 本菌株のLCA培地上での菌糸の形態的性状は、無色、直
径1〜5mm、隔壁あり、分岐性であった。生育温度は10〜
30℃であり、至適生育温度は22〜27℃である。また、生
育pHは3〜10である。本菌は、分類学的位置を決定する
ことができず、分類学的位置付けが不明確であるため、
糸状菌AJ117510株と称した。本菌株は、2000年12月21日
より、通商産業省工業技術院生命工学技術研究所(現;
経済産業省産業技術総合研究所、郵便番号305-0046日本
国茨城県つくば市東一丁目1番3号)に寄託されており、
FERMP-18149の受託番号が付与されている。
【0013】式IIで示される化合物は、糸状菌AJ117510
株を培地中で培養し、その培養物から採取する事によっ
て得られる。このような糸状菌AJ117510株は一般的な糸
状菌の培養方法を用いて培養することが可能である。
【0014】液体振盪培養や液体静置培養に用いられる
培地としては、式IIで示される生産菌が利用できる栄養
源を含有するものであればよい。例えば、炭素源として
グルコースやデキストリン等が用いられ、窒素源として
大豆粉、棉実粕、菜種油粕、酵母エキス等などの各種ア
ミノ酸混合物が用いられる。この他、例えばリン酸水素
ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の無
機塩の必要に応じ用いることが出来る。固体培養では、
オートミール等の食品素材等を固層として、添加液を固
層に加え高圧蒸気滅菌した培地を用いることが出来る。
【0015】糸状菌AJ117510株は10℃〜30℃で培養する
ことができるが、特に20℃〜25℃で培養することが最も
望ましい。培養期間は14日〜21日であるが、培養条件に
より適宜変更することが可能である。
【0016】上記のような培養物から、代謝産物を採取
するのに通常使用される手段を適宜利用して式IIで示さ
れる化合物を採取することができる。たとえば、式IIで
示される化合物を培養液中に含まれる他の物質との溶解
度の差を利用する手段、イオン結合力の差を利用する手
段、吸着親和力の差を利用する手段、分子量の差を利用
する手段のいずれもを、それぞれ単独で、または適宜組
み合わせて、あるいは反復して使用することができる。
具体的には、AJ117510株の培養液体および菌体の抽出液
をゲル濾過クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィ
ー、液体クロマトグラフィー等を組み合わせて、精製す
ると式IIで示される化合物を含む画分が得られる。この
画分を減圧濃縮して得られる固形物をさらに高速液体ク
ロマトグラフィーに付して、精製し、活性のある主な画
分を溶媒により晶析することにより式IIで示される化合
物の結晶が得られる。
【0017】上記のようにして得られた式IIで示される
化合物の理化学的性質は以下の通りである。 物質の色:白色 分子式:C10H12O7N2 HR-FABMS(M-H)-: 実測値 271.0551 計算値 271.0566 旋光度:[a]D 28 +42°(c 1.1, H2O). 紫外部吸収スペクトル:205(17600), 261(19100)1 H-NMR(400MHz, D2O):d 2.65(1H, dd, J=8.8, 16.4H
z), 2.81(1H, dd, J=4.4,16.4Hz), 4.02(1H, t, J=5.6H
z), 4.23(1H, ddd, J=4.4, 5.6, 8.8Hz), 4.26(1H, dd,
J=4.4, 5.6Hz), 5.70(1H, d, J=4.4Hz, 5.75(1H, d, J
=8.0Hz), 7.52(1H,d, J=8.0Hz).13 C-NMR(100MHz, D2O):d 39.7, 74.5, 75.1, 82.0, 9
2.5, 104.6, 144.3, 153.7, 168.4, 176.9. 溶解性:水に溶けやすく、クロロホルムなどの有機溶媒
に溶けにくい。
【0018】本発明の化合物は、例えば、上記で得られ
た式IIで示される化合物を原料に用いて変換を行うこと
により製造することができる。本明細書において、低級
アルキル基とは、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐鎖も
しくは環状のアルキル基を示す。本発明における低級ア
ルキル基は、置換又は無置換の低級アルキル基でよい。
具体的には例えばメチル基、エチル基、n-プロピル
基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イ
ソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、te
rt-ブチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル
基、ネオペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、
n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、シクロプロピル基、シ
クロブチル基、シクロペンチル基などがあげられる。こ
のうち、直鎖低級アルキル基が好ましく、より好ましく
は炭素数1〜8の直鎖低級アルキル基であり、さらに好
ましくは炭素数1〜6の直鎖低級アルキル基である。さ
らに特に好ましいのは、メチル基、エチル基である。本
明細書において低級アルキル基の置換基としては、ハロ
ゲン原子、水酸基、カルボキシル基、炭素数1〜8(好
ましくは炭素数1〜6)の低級アルコキシ基、アミノ基
があげられる。アルキル基の置換位置は特に限定され
ず、一置換であるか多置換であるかも特に限定されな
い。低級アルキル基の置換基としては、アミノ基、特に
低級アルキル基で置換されたアミノ基が好ましい。
【0019】アリール基とは、炭素原子で構成される炭
素数5〜12の単環または2環よりなる芳香族置換基を
示す。本発明におけるアリール基は、置換又は無置換の
アリール基でよく、窒素、酸素又は硫黄等のヘテロ原子
を含んでいてもよい。具体的には、例えばフェニル基、
ナフチル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、
ピラゾリル基、ピロリル基、トリアジル基、フリル基、
チエニル基、イソキサゾイル基、イソキサゾリル基、イ
ソチアゾリル基、インドリル基、キノリル基、イソキノ
リル基、ベンゾイミダゾリル基などがあげられる。この
うち、フェニル基、ピリジル基が好ましい。本明細書に
おいて、アリール基の置換基としては、ハロゲン原子、
水酸基、カルボキシル基、炭素数1〜8(好ましくは炭
素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜4)の低級ア
ルコキシ基、低級アルキル基、アミノ基、アリール基が
あげられる。このうち、カルボキシル基、アミノ基、フ
ェニル基が好ましい。アリール基の置換位置は特に限定
されないが、アリール基がフェニル基の場合、2位及び
/又は4位で置換されているのが好ましい。特に4位で
置換されているのが好ましい。また、一置換であるか多
置換であるかも限定されないが、一置換であるのが好ま
しい。
【0020】本明細書において、アラルキル基のアルキ
ル部分は低級アルキル基であり、好ましくは炭素数1〜
8、より好ましくは炭素数1〜4、さらに好ましくは炭
素数1〜4の直鎖アルキル基である。アラルキル基のア
リール部分は、上述のアリール基と同じ定義を有する。
アリール部分としては、フェニル基、ピリジル基が好ま
しい。なかでも、フェニル基が好ましく、特に、無置換
のフェニル基並びに水酸基、カルボキシル基、低級アル
コキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭
素数1〜4の低級アルコキシ基、さらに好ましくはメト
キシ基)又はアミノ基により置換されたフェニル基が好
ましい。本発明において、アミノ基とは、無置換のもの
及び低級アルキル基で一−又は二−置換されたものを含
む。このうち、低級アルキル基で置換されたアミノ基が
好ましい。特にメチル基で二置換されたアミノ基が好ま
しい。
【0021】低級アシル基とは、ホルミル基、または炭
素数1〜8の直鎖もしくは分岐鎖もしくは環状のアルキ
ル基を有するアシル基であり、具体的に例えばホルミル
基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基などがあ
げられる。このうち好ましいのは、炭素数1〜8、より
好ましくは炭素数1〜6の直鎖低級アルキル基を有する
アシル基であり、特に好ましいのは、アセチル基、ホル
ミル基である。
【0022】本明細書において、水酸基の保護基とは、
水酸基を保護するのに通常用いられる保護基であり、水
酸基を諸反応から保護するものであれば特に限定されな
い。具体的には、アセトナイドなどのケタール、ベンジ
ルエーテルやシリルエーテル等のエーテル、アセテルや
ベンゾイルなどのエステルなどがあげられる。本明細書
において、カルボキシル基の保護基とは、カルボキシル
基を保護するのに通常用いられる保護基であり、カルボ
キシル基を諸反応から保護するものであれば特に限定さ
れない。具体的には、メチル基、エチル基、ベンジル
基、p−ニトロベンジル基、t−ブチル基、p−ニトロ
フェニル基、2,4,5−トリクロロフェニル基などが
あげられる。
【0023】本発明では、また、一般式(I)で示される
請求項1記載の化合物または薬学的に許容しうるその塩
としては、次のものが好ましい。R1としては水素原
子、メチル基、ベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-
ヒドロキシベンジル基、4-カルボキシベンジル基、4-ア
ミノベンジル基、2-ピリジルメチル基、4-ピリジルメチ
ル基、N,N-ジメチルアミノエチル基、4-ビフェニル基、
4-カルボキシフェニル基またはN,N-ジメチル-4-アミノ
フェニル基が好ましく、4-ビフェニル基がさらに好まし
い。R2としては水素原子または低級アルキル基が好ま
しく、水素原子またはメチル基がより好ましい。
【0024】-A-B-としては-CH2-CH2-、-CH(OR3)-CH(OR
4)-(R3、R4は水素原子または低級アシル基を示す)が
好ましく、-CH2-CH2-、-CH(OH)-CH(OH)-または-CH(OCOC
H3)-CH(OCOCH3)-がより好ましい。特に、一般式(I)に
おいて、R1が水素原子、R2がメチル基、-A-B-が-CH(OH)
-CH(OH)-であるのが好ましい。また、一般式(I)にお
いて、R1が低級アルキル基、R2が水素原子、-A-B-が-CH
(OH)-CH(OH)-であるのが好ましい。また、一般式(I)
において、R1がアリール基で置換された低級アルキル
基、R 2が水素原子、-A-B-が-CH(OH)-CH(OH)-であるのが
好ましい。また、一般式(I)において、R1がアリール
基、R2が水素原子、-A-B-が-CH(OH)-CH(OH)-であるのが
好ましい。また、一般式(I)において、R1およびR2
水素原子、-A-B-が-CH2-CH2-であるのが好ましい。
【0025】薬学的に許容しうる塩とは、具体的に例え
ば十分に酸性である本発明化合物についてはそのアンモ
ニウム塩、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩
などが例示され、これらが好ましい)、アルカリ土類金
属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩などが例示され、
これらが好ましい)、有機塩基の塩としてはたとえばジ
シクロヘキシルアミン塩、ベンザチン塩、N-メチル-D-
グルカン塩、ヒドラバミン塩、アルギニンまたはリジン
のようなアミノ酸の塩などが挙げられる。さらに十分に
塩基性である本発明化合物ついてはその酸付加塩、例え
ば塩酸、硫酸、硝酸、りん酸などの無機酸塩、または酢
酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、
モノメチル硫酸等の有機酸塩などが挙げられる。また、
場合によっては含水物あるいは水和物であってもよい。
また本発明の化合物は、全ての光学異性体及び幾何異性
体などの異性体、水和物、溶媒和物もしくは結晶形を包
含するものである。従って、本発明の化合物は、一般式
(I)の化合物のエナンチオマー混合物、ジアステレオマ
ー混合物、ラセミ体も含む。また本発明の化合物の立体
配置は、一般式(I)のA、Bの位置において、(A,B)=(R-,S
-)、(S-,R-)、(R-,R-)、(S-,S-)のいずれの配置も取り
得るが、(A,B)=(S-,R-)であるのが好ましい。
【0026】本発明の化合物は以下の方法により合成す
ることができる。例えば本発明の化合物式(I)におい
て、R1が低級アルキル基または置換された低級アルキル
基、R2が水素原子、-A-B-が-CH(OH)-CH(OH)-であるもの
は、下記に示すように式IIで示される化合物のカルボキ
シル基および水酸基を保護し、さらに対応するハロゲン
化アルキルあるいはアルコールを反応させることにより
合成できる。
【0027】
【化5】 (式中、R1は置換されても良い低級アルキル基、Rは
カルボキシル基の保護基、R3およびR4は水酸基の保護
基を示す。)
【0028】またR1がアリール基または置換されたア
リール基、R2が水素原子、-A-B-が-CH(OH)-CH(OH)-で
あるものは、下記に示すように上記のカルボキシル基お
よび水酸基を保護したあと対応するボロン酸を反応させ
ることにより合成できる。
【0029】
【化6】 (式中、R1は置換されても良いアリール基、Rはカル
ボキシル基の保護基、R3およびR4は水酸基の保護基を
示す。)
【0030】一方、R1およびR2が水素原子、-A-B-が-
CH2-CH2-は下記に示すように式(II)で表される化合物
のカルボキシル基を保護した後、水酸基を除去すること
により合成することができる。
【0031】
【化7】 (式中、Rはカルボキシル基の保護基を示す。)
【0032】なお、上記の方法で得られる本発明の化合
物は、通常有機合成で用いられる、抽出、蒸留、結晶
化、カラムクロマトグラフィー等の手法を用いて精製す
ることができる。本発明の化合物を有効成分とする本発
明の医薬品は、化合物そのままの形態でもよく、薬学的
に許容される塩とされていてもよい。また他の有効成分
を有していてもよい。通常、一般的に製剤に配合される
その他の材料、例えば界面活性剤、緩衝作用、浸透圧調
整のための塩、担体、賦型剤等の成分を配合して医薬組
成物として投与される。
【0033】得られた本発明の化合物は後述するよう
に、インテグリンα2β1とコラーゲンの結合阻害活性を
有し、この作用を介した疾患に対する治療を行うのに有
用である。すなわち、本発明の化合物又はその薬学的に
許容し得る塩は、インテグリンα2β1とコラーゲンの結
合阻害作用により抗血小板活性を示し、血栓症、動脈硬
化症、高脂血症、心筋梗塞、狭心症、急性冠性症候群、
末梢動脈閉塞症、深部静脈血栓症、脳梗塞、脳卒中、肺
塞栓症などの動脈および静脈における血栓を原因とする
疾患に対する治療薬又は予防薬として有用である。した
がって、本発明の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
は、α2β1インテグリン阻害剤として使用することが
でき、また、動脈又は静脈において血小板が形成される
ことを抑制することができる。上記式IIで表される化合
物を産生する能力を有する微生物もまた、血栓症、動脈
硬化症、高脂血症、心筋梗塞、狭心症、急性冠性症候
群、末梢動脈閉塞症、深部静脈血栓症、脳梗塞、脳卒
中、肺塞栓症などの動脈および静脈における血栓を原因
とする疾患に対する治療薬又は予防薬として使用するこ
とができる。
【0034】本発明の化合物を使用する場合、経口投
与、静脈内投与、または経皮投与することができる。投
与量は投与する患者の症状、年齢、投与方法によって異
なるが、通常0.001〜1000mg/kg/日である。
【0035】本発明の化合物は常法により製剤化するこ
とができる。製剤の形としては注射剤、錠剤、顆粒剤、
細粒剤、散剤、カプセル剤、クリーム剤、座薬などが挙
げられ、製剤用担体としては、例えば、乳糖、ブドウ
糖、D-マンニトール、澱粉、結晶セルロース、炭酸カ
ルシウム、カオリン、デンプン、ゼラチン、ヒドロキシ
プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース、ポリビニルピロリドン、エタノール、カルボキシ
メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシ
ウム塩、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アセチル
セルロース、白糖、酸化チタン、安息香酸、パラオキシ
安息香酸エステル、デヒドロ酢酸ナトリウム、アラビア
ゴム、トラガント、メチルセルロース、卵黄、界面活性
剤、白糖、単シロップ、クエン酸、蒸留水、エタノー
ル、グリセリン、プロピレングリコール、マクロゴー
ル、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウ
ム、リン酸ナトリウム、ブドウ糖、塩化ナトリウム、フ
ェノール、チメロサール、パラオキシ安息香酸エステ
ル、亜硫酸水素ナトリウム等があり、製剤の形に応じ
て、本発明の化合物と混合して使用される。さらに、本
発明の製剤中における本発明の有効成分の含有量は、製
剤の形によって大きく変動し、特に限定されるものでは
ないが、通常は、組成物全量に対して好ましくは0.01〜
100重量%、より好ましくは1〜100重量%である。
【0036】
【実施例】以下に、本発明を実施例及び試験例により具
体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0037】(実施例1) 式IIで示される化合物の製
造 (工程1)バレイショ・ブドウ糖寒天培地に、糸状菌AJ
117510株を接種し、25℃で28日間培養を行った。こ
のバレイショ・ブドウ糖寒天培地からアガーピースを切
り出し、グルコース(2g/L)、フルクトース(5g
/L)、シュークロース(8g/L)、NZアミン(2g
/L)、MgSO4・7H2O(0.5g/L)、KCl( 0.
5g/L)、ZnSO4・7H2O(0.5g/L)、KH2PO
4(1g/L)の組成の液体培地(pH6.0)および
オートミール(20g)を含むルー型フラスコ(20本)
に接種し、25℃で14日間培養した。
【0038】(工程2)このようにして得られた培養菌
体にアセトン(200ml/ルー型フラスコ)を加えて抽出
した。このアセトン抽出液を減圧下に濃縮してから濃縮
物を水とn-ブタノールで分配した。水移行部を陰イオン
交換樹脂〔ダウエックス1x8(AcO-)〕のカラムを用い
て、10%酢酸水溶液で溶出した。得られた活性画分は、
陽イオン交換樹脂〔ダウエックス50Wx4(H+)〕のカラム
を用いて、水で溶出した。同画分をトヨパールパックDE
AE650S(AcO-)カラムを用いて、水−酢酸水系の直線グラ
ジエントにより精製し、実施例1化合物(式II)の白色固
体510mgを得た。
【0039】(参考例) 式IIIで示される化合物の合
成 実施例1化合物(式II) (200mg,0.73mmol)のDMF溶液(3m
L)に、パラトルエンスルホン酸(15mg,0.087mmol)およ
びアセトンジメチルアセタール(1.5mL)を加え、室温に
て14時間撹拌した。反応液に水(30mL)を加えた後、n-ブ
タノール(15mL x2)で抽出した。有機層は減圧により濃
縮乾固した。残渣をDMF(3mL)に溶解し、ジシクロヘキシ
ルアミン(0.14mL,0.70mmol)および臭化ベンジル(90m
L,0.75mmol)を加え、室温にて18時間撹拌した。反応液
に水(50mL)を加えた後、酢酸エチル(20mL x 3)抽出し
た。有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧により
濃縮乾固した。残渣をn-ヘキサンで洗浄することによ
り、参考例化合物(式III)(253mg)を白色固体として得
た。 収率86%; ESI MS m/z 401(M-H)-; 1H NMR(300MHz, CDCl
3) d 1.34(3H, s), 1.57(3H, s), 2.84(1H, dd, J=6.3,
16.2Hz), 2.90(1H, dd, J=5.4, 16.2Hz), 4.48(1H,
m), 4.86(1H, dd, J=4.2, 6.6Hz), 4.99(1H, dd, J=2.
7, 6.6Hz), 5.14(2H,s), 5.66(1H, d, J=2.7Hz), 5.68
(1H, d, J=7.8Hz), 7.25(1H, d, J=7.8Hz), 7.34(5H,
s), 9.22(1H, br).
【0040】
【化8】
【0041】(実施例2) (工程1) 化合物IVaの合成 参考例化合物(式III) (25mg,0.062mmol)、トリフェニ
ルホスフィン(35mg,0.13mmol)およびアニスアルコール
(18mL,0.14mmol)のTHF溶液(0.3mL)に、氷冷下、アゾジ
カルボン酸ジエチルエステルの40%トルエン溶液(50mL,
0.11mmol)を加え、室温にて4時間撹拌した。反応液は減
圧により濃縮乾固した。残渣をシリカゲルTLC〔クロロ
ホルム/酢酸エチル(4:1)〕より精製し、式IVaで示され
る化合物(25mg)を白色固体として得た。 収率76%; ESI MS m/z 523(M+H)+; 1H NMR(300MHz, CDCl
3) d 1.34(3H, s), 1.57(3H, s), 2.81(1H, dd, J=6.3,
16.5Hz), 2.88(1H, dd, J=5.1, 16.5Hz), 3.75(3H,
s), 4.48(1H, m), 4.86(1H, dd, J=3.9, 6.9Hz), 4.95
(1H, dd, J=2.4, 6.9Hz), 4.98(1H, d, J=13.5Hz), 5.0
5(1H, d, J=13.5Hz), 5.14(2H, s), 5.67(1H,d, J=2.4H
z), 5.71(1H, d, J=8.1Hz), 6.80(2H, brd, J=8.7Hz),
7.18(1H, d,J=8.1Hz), 7.34(5H, s), 7.42(2H, brd, J=
8.7Hz).
【0042】
【化9】
【0043】(工程2) 実施例2化合物の合成 式IVaで示される化合物(24mg,0.046mmol)のクロロホル
ム溶液(1mL)にパラジウム炭素(6mg)を加え、水素雰囲気
下、室温にて18時間撹拌した。反応液はセライト濾過
後、減圧により濃縮乾固した。残渣を80%蟻酸水溶液(1m
L)に溶解し、37℃にて1時間撹拌した。反応液を減圧に
より濃縮して得られる残渣を、ODSを用いたHPLC (0.1%
蟻酸を含む水−アセトニトリル)により精製し、実施例
2化合物(13mg)を白色固体として得た。 収率72%; ESI MS m/z 391(M-H)-; 1H NMR(300MHz,CD3O
D) d 2.62(1H, dd, J=7.8, 15.9Hz), 2.78(1H, dd, J=
4.5, 15.9Hz), 3.75(3H, s), 4.01(1H, t, J=5.7Hz),
4.20(1H, dd, J=4.2, 5.4Hz), 4.26(1H, m), 5.01(2H,
s), 5.80(1H, d, J=7.8Hz), 5.83(1H, d, J=4.2Hz), 6.
82(2H, d, J=8.7Hz), 7.32(2H, d, J=8.7Hz), 7.64(1H,
d, J=7.8Hz).
【0044】(実施例3)実施例2の方法に従い、参考
例化合物(式III)と4−ベンジルオキシベンジルアルコ
ールとを原料に用いることにより実施例3化合物を合成
した。 収率28%; ESI MS m/z 377(M-H)-; 1H NMR(300MHz,CD3O
D) d 2.65(1H, dd, J=8.1, 15.9Hz), 2.80(1H, dd, J=
4.2, 15.9Hz), 4.01(1H, t, J=5.7Hz), 4.18-4.29(2H,
m), 4.97(2H, s), 5.79(1H, d, J=7.8Hz), 5.83(1H, d,
J=4.2Hz), 6.68(2H, d, J=8.7Hz), 7.23(2H, d, J=8.7
Hz), 7.62(1H, d, J=7.8Hz).
【0045】(実施例4)実施例2の方法に従い、参考
例化合物(式III)と4−ベンジルオキシカルボニルベン
ジルアルコールとを原料に用いることにより実施例4化
合物を合成した。 収率24%: ESI MS m/z 405(M-H)-; 1H NMR〔300MHz,D2O
/acetone-d6(3:1)〕 d 2.63(1H, dd, J=9.0, 15.6Hz),
2.81(1H, dd, J=3.6, 15.6Hz), 4.04(1H, t, J=5.7Hz),
4.22-4.30(2H, m), 5.03(1H, d, J=15.3Hz), 5.09(1H,
d, J=15.3Hz), 5.75(1H, d, J=4.2Hz), 5.90(1H, d, J
=7.8Hz), 7.34(2H, d, J=8.1Hz), 7.63(1H, d, J=7.8H
z), 7.85(2H, d, J=8.1Hz).
【0046】(実施例5) (工程1)実施例2の工程1に従い、参考例化合物(式II
I)と4-ピリジンメタノールを原料に用いることにより式
IVbで示される化合物を合成した。 収率49%; ESI MS m/z 494(M+H)+; 1H NMR(300MHz, CDCl
3) d 1.34(3H, s), 1.57(3H, s), 2.80(1H, dd, J=6.3,
16.8Hz), 2.87(1H, dd, J=5.4, 16.8Hz), 4.49(1H,
m), 4.84(1H, dd, J=3.6, 6.6Hz), 4.95(1H, dd, J=2.
7, 6.6Hz), 5.03(1H,d, J=14.1Hz), 5.10(1H, d, J=14.
1Hz), 5.14(2H, s), 5.70(1H, d, J=2.7Hz),5.76(1H,
d, J=8.1Hz), 7.26(4H, brs), 7.35(4H, brs), 8.51(2
H, brd, J=5.7Hz).
【0047】
【化10】
【0048】(工程2)式IVbで示される化合物((12mg,
0.024mmol)の酢酸溶液(1mL)にパラジウム炭素(3mg)を加
え、水素雰囲気下、室温にて5時間撹拌した。反応液は
セライト濾過後、減圧により濃縮乾固した。残渣を80%
蟻酸水溶液(0.5mL)に溶解し、37℃にて1時間撹拌した。
反応液を減圧により濃縮して得られる残渣を、ODSを用
いたHPLC(0.1%蟻酸を含む水−アセトニトリル)により精
製し、実施例5化合物(3mg)を白色固体として得た。 収率34%; ESI MS m/z 362(M-H)-; 1H NMR(300MHz, CD3C
O2D) d 2.82(1H, dd, J=7.8, 16.5Hz), 2.96(1H, dd, J
=4.5, 16.5Hz), 4.26(1H, t, J=5.7Hz), 4.37-4.48(2H,
m), 5.37(2H, s), 5.90(1H, d, J=3.9Hz), 6.07(1H,
d, J=8.1Hz), 7.70(1H, d, J=8.1Hz), 7.87(2H, brd, J
=5.4Hz), 8.84(2H, brd, J=5.4Hz).
【0049】(実施例6)実施例2の工程1および実施
例5の工程2の方法に従い、参考例化合物(式III)と2-ピ
リジンメタノールを原料に用いることにより実施例6化
合物を合成した。 収率21%; ESI MS m/z 364(M+H)+; 1H NMR(300MHz, D2O)
d 2.55(1H, dd, J=8.1,15.6Hz), 2.71(1H, dd, J=4.5,
15.6Hz), 3.99(1H, t, J=5.7Hz), 4.22-4.28(2H, m),
5.20(2H, s), 5.73(1H, d, J=4.2Hz), 5.91(1H, d, J=
7.8Hz), 7.46-7.50(2H, m), 7.63(1H, d, J=8.1Hz), 7.
99(1H, dd, J=7.8, 8.1Hz), 8.40(1H, d,J=5.7Hz).
【0050】(実施例7)実施例2の工程1および実施
例5の工程2の方法に従い、参考例化合物(式III)とN,N-
ジメチルアミノエタノールを原料に用いることにより実
施例7化合物(蟻酸塩)を合成した。 収率30%; ESI MS m/z 344(M+H)+; 1H NMR(300MHz, D2O)
d 2.50(1H, dd, J=8.7,15.0Hz), 2.66(1H, dd, J=4.2,
15.0Hz), 2.86(6H, s), 3.33(2H, t, J=6.0Hz), 3.98
(1H, t, J=5.4Hz), 4.18-4.29(3H, m), 5.75(1H, d, J=
4.2Hz), 5.86(1H,d, J=8.4Hz), 7.58(1H, d, J=8.4Hz),
8.28(1H, brs).
【0051】(実施例8) (工程1)参考例化合物(式III) (10mg,0.025mmol) のD
MF溶液(0.3mL)に、炭酸カリウム(4mg,0.029mmol)およ
びヨウ化メチル(5mL,0.080mmol)を加え、室温にて18時
間撹拌した。反応液に水(2mL)を加え、酢酸エチル抽出
(2mL x 2)した。有機層は硫酸ナトリウムで乾燥後、減
圧により濃縮乾固した。残渣をODSを用いたHPLC (0.1%
蟻酸を含む水−アセトニトリル)より精製し、式IVcで示
される化合物 (8mg)を白色固体として得た。 収率77%; ESI MS m/z 475(M+AcO-)-; 1H NMR(300MHz, C
DCl3) d 1.34(3H, s), 1.57(3H, s), 2.84(1H, dd, J=
6.6, 16.5Hz), 2.90(1H, dd, J=5.4, 16.5Hz), 3.30(3
H, s), 4.49(1H, ddd, J=3.9, 5.4, 6.6Hz), 4.85(1H,
dd, J=3.9, 6.6Hz),4.97(1H, dd, J=2.7, 6.6Hz), 5.15
(2H, s), 5.66(1H, d, J=2.7Hz), 5.72(1H,d, J=7.8H
z), 7.21(1H, d, J=7.8Hz), 7.34(5H, s).
【0052】
【化11】
【0053】(工程2)実施例2の工程2の方法に従
い、実施例8化合物を合成した。 収率52%; ESI MS m/z 285(M-H)-; 1H NMR(300MHz, D2O)
d 2.63(1H, dd, J=8.7,15.9Hz), 2.79(1H, dd, J=4.5,
15.9Hz), 3.16(3H, s), 4.01(1H, t, J=5.7Hz), 4.22-
4.29(2H, m), 5.73(1H, d, J=4.2Hz), 5.83(1H, d, J=
8.1Hz), 7.52(1H,d, J=8.1Hz).
【0054】(実施例9)実施例8の方法に従い、参考
例化合物(式III)と臭化ベンジルを原料に用いることに
より実施例9化合物を合成した。 収率78%; ESI MS m/z 361(M-H)-; 1H NMR(300MHz,CD3O
D) d 2.66(1H, dd, J=7.8, 15.9Hz), 2.80(1H, dd, J=
4.5, 15.9Hz), 4.02(1H, t, J=5.4Hz), 4.20-4.30(2H,
m), 5.07(2H, s), 5.81(1H, d, J=8.1Hz), 5.83(1H, d,
J=3.3Hz), 7.21-7.36(5H, m), 7.64(1H, d, J=8.1Hz).
【0055】(実施例10)実施例8の工程1および実
施例5の工程2の方法に従い、参考例化合物(式III)と臭
化4-ニトロベンジルを原料に用いることにより実施例1
0化合物を合成した。 収率36%; ESI MS m/z 378(M+H)+; 1H NMR(300MHz, D2O)
d 2.51(1H, dd, J=8.7,15.9Hz), 2.71(1H, dd, J=4.5,
15.9Hz), 3.97(1H, t, J=5.7Hz), 4.21-4.27(2H, m),
4.94(1H, d, J=15.0Hz), 5.00(1H, d, J=15.0Hz), 5.72
(1H, d, J=4.2Hz), 5.87(1H, d, J=7.8Hz), 7.09(2H,
d, J=7.8Hz), 7.26(2H, d, J=7.8Hz), 7.59(1H, d, J=
7.8Hz).
【0056】(実施例11) (工程1)参考例化合物(式III) (40mg,0.099mmol)のジ
クロロメタン溶液(1.0mL)に、酢酸銅(II)(18mg,0.099m
mol)、トリエチルアミン(40mL,0.29mmol)、4-カルボキ
シボロン酸(35mg,0.21mmol)を加え、室温にて2日間撹
拌した。反応液をセライト濾過し、減圧により濃縮乾固
した。残渣はODSを用いたHPLC (0.1%蟻酸を含む水−ア
セトニトリル)により精製し、式IVdで示される化合物
(25mg)を白色固体として得た。 収率48%; ESI MS m/z 521(M-H)-; 1H NMR(300MHz, CDCl
3) d 1.33(3H, s), 1.56(3H, s), 2.85(1H, d, J=6.3H
z), 4.52(1H, dt, J=4.2, 6.3Hz), 4.82(1H, dd,J=4.2,
6.3Hz), 5.08(1H, dd, J=2.4, 6.3Hz), 5.12(1H, d, J
=12.3Hz), 5.18(1H, d, J=12.3Hz), 5.68(1H, d, J=2.4
Hz), 5.87(1H, d, J=8.1Hz), 7.26-7.36(8H, m), 8.21
(1H, d, J=8.7Hz).
【0057】
【化12】
【0058】(工程2)式IVdで示される化合物 (20mg,
0.038mmol)のジクロロメタン溶液(1mL)にパラジウム炭
素(6mg)を加え、水素雰囲気下、室温にて6時間撹拌し
た。反応液はセライト濾過後、減圧により濃縮乾固し
た。残渣を80%蟻酸水溶液(0.5mL)に溶解し、37℃にて1
時間撹拌した。反応液を減圧により濃縮して得られる残
渣を、ODSを用いたHPLC(0.1%蟻酸を含む水−アセトニト
リル)により精製し、実施例11化合物(12mg)を白色固
体として得た。 収率80%; ESI MS m/z 391(M-H)-; 1H NMR〔300MHz,D2O
/acetone-d6(3:1)〕 d 2.65(1H, dd, J=8.7, 16.2Hz),
2.81(1H, dd, J=4.2, 16.2Hz), 4.02(1H, t, J=5.7Hz),
4.22-4.33(2H, m), 5.69(1H, d, J=3.9Hz), 5.94(1H,
d, J=8.4Hz), 7.47(2H, d, J=8.1Hz), 7.64(1H, d, J=
8.4Hz), 8.05(2H, d, J=8.1Hz).
【0059】(実施例12)実施例11の方法に従い、
参考例化合物(式III)を原料に用いることにより実施例
12化合物を合成した。 収率56%; ESI MS m/z 425(M+H)+; 1H NMR(300MHz,CD3O
D) d 2.71(1H, dd, J=8.1, 15.9Hz), 2.87(1H, dd, J=
4.2, 15.9Hz), 4.09(1H, t, J=6.0Hz), 4.29-4.37(2H,
m), 5.84(1H, d, J=4.2Hz), 6.01(1H, d, J=8.1Hz), 7.
30(2H, d, J=8.1Hz), 7.35-7.50(3H, m), 7.66(1H, d,
J=8.1Hz), 7.75(2H, d, J=8.1Hz), 7.76(2H, d, J=7.8H
z).
【0060】(実施例13)実施例11の工程1および
実施例5の工程2の方法に従い、参考例化合物(式III)と
N,N-ジメチル4-アミノフェニルボロン酸を原料に用いる
ことにより実施例13化合物を合成した。 収率20%; ESI MS m/z 390(M-H)-; 1H NMR(300MHz,CD3O
D) d 2.66(1H, dd, J=7.8, 15.9Hz), 2.80(1H, dd, J=
4.5, 15.9Hz), 2.97(6H, s), 4.03(1H, t, J=5.7Hz),
4.24-4.30(2H, m), 5.82(1H, d, J=4.5Hz), 5.87(1H,
d, J=8.1Hz), 6.81(2H, d, J=9.0Hz), 7.01(2H, d, J=
9.0Hz), 7.72(1H, d, J=8.1Hz).
【0061】(実施例14) (工程1)実施例1化合物(式II)(65mg,0.24mmol)のDMF
溶液(1mL)に、ジシクロヘキシルアミン(50mL,0.25mmo
l)および臭化ベンジル(30mL,0.25mmol)を加え、室温に
て14時間撹拌した。反応液に水(20mL)を加えた後、n-ブ
タノール(10mL x 2)で抽出した。有機層は減圧により濃
縮乾固した。残渣をODSを用いたHPLC(0.1%蟻酸を含む水
−アセトニトリル)により精製し、式Vで示される化合物
(71mg)を白色固体として得た。 収率82%; ESI MS m/z 361(M-H)-.
【0062】
【化13】
【0063】(工程2)式Vで示される化合物(35 mg,0.
097mmol)をDMF/1,2-ジクロロエタン(1:2)溶液(2mL)に溶
解し、1,1'-チオカルボジイミダゾール(19 mg,0.11mmo
l)を加え、室温にて12 時間撹拌した。反応液に水(15m
L)を加え、pHを4.0に調整後、クロロホルム(5mL x 2)抽
出した。有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧に
て濃縮乾固した。残渣はシリカゲルTLC〔クロロホルム/
メタノール(95:5)〕により精製し、式VIで示される化合
物(25mg)を淡黄色固体として得た。 収率64%; ESI MS m/z 403(M-H)-; 1H NMR(300MHz, CDCl
3) d 4.75(1H, m), 5.57(1H, dd, J=3.9, 7.5Hz), 5.14
(2H, s), 5.64(1H, d, J=1.5Hz), 7.22(1H, d, J=8.4H
z), 7.34-7.36(5H, m), 9.85(1H, brs).
【0064】
【化14】
【0065】(工程3)式VIで示される化合物(15mg,0.
037mmol)の亜リン酸トリエチル縣濁液(0.5mL)を、120℃
にて2.5時間撹拌した。過剰の亜リン酸トリエチルを減
圧にて留去し、残渣をシリカゲルTLC〔クロロホルム/
メタノール(95:5)〕により精製し、式VIIで示される化
合物 (8mg)を白色固体として得た。 収率66%; ESI MS m/z 327(M-H)-;
【0066】
【化15】
【0067】(工程4)実施例14化合物の合成 式VIIで示される化合物(3mg,0.0091mmol)のメタノール
溶液(1mL)を、水素雰囲気下、室温にて5時間撹拌した。
反応液は、セライト濾過後、減圧により濃縮乾固した。
残渣をODSを用いたHPLC(0.1%蟻酸を含む水−アセトニト
リル)により精製し、実施例14化合物(1.8mg)を白色固
体として得た。 収率82%; ESI MS m/z 239(M-H)-; 1H NMR(300MHz, CD3O
D) d 1.76(1H, m), 2.07(1H, m), 2.18(1H, m), 2.41(1
H, m), 2.71(2H, d, J=6.9Hz), 4.40(1H, m), 5.70(1H,
d, J=8.4Hz), 6.00(1H, dd, J=3.6, 6.9Hz), 7.71(1H,
d, J=8.4Hz).
【0068】(実施例15)実施例1化合物(式II)(6m
g,0.022mmol)のピリジン溶液(0.2mL)に、氷冷下無水酢
酸(0.2mL)を加え、室温にて一晩放置した。反応液は減
圧により濃縮乾固した。残渣をODSを用いたHPLC(0.5%酢
酸を含む水−アセトニトリル)により精製し、実施例1
5化合物(4.5mg)を白色固体として得た。 収率57%; ESI MS m/z 388(M+MeOH)+; 1H NMR(300MHz, C
DCl3) d 2.10(3H, s), 2.11(3H, s), 2.86(2H, d, J=4.
8Hz), 4.33(1H, q, J=4.8Hz), 5.34(1H, dd, J=4.8, 6.
3Hz), 5.46(1H, t, J=6.3Hz), 5.79(1H, d, J=8.4Hz),
6.00(1H, d, J=6.3Hz), 7.40(1H, d, J=8.4Hz).
【0069】(実施例16)実施例1化合物(式II)(8m
g,0.029mmol)のメタノール/クロロホルム溶液(4:1)(1
mL)に、氷冷下ジアゾメタンのエーテル溶液(1mL)を加
え、1時間撹拌した。反応液は減圧により濃縮乾固し
た。残渣をODSを用いたHPLC(0.1%蟻酸を含む水−アセト
ニトリル)により精製し、実施例16化合物(7.5mg)を白
色固体として得た。 収率89%; FAB MS m/z 285(M-H)-; 1H NMR(300MHz, CD3O
D) d 2.71(1H, dd, J=7.8, 15.6Hz), 2.83(1H, dd, J=
4.8, 15.6Hz), 4.02(1H, t, J=5.7Hz), 4.20-4.28(2H,
m), 5.71(1H, d, J=8.1Hz), 5.78(1H, d, J=4.2Hz), 7.
60(1H, d, J=8.1Hz).
【0070】以下に実施例1で単離した化合物および実
施例2から16で合成した化合物の構造を示す。
【化16】
【0071】
【化17】
【0072】(実施例17) コラーゲン固相化ビーズ
惹起血小板凝集によるGPIa/IIa−コラーゲン結合阻害活
性の測定 コラーゲン固相化ビーズ惹起血小板凝集の測定は、B.S.
Coller(Blood, 74, 182-192, 1989)らによって報告さ
れた方法を参考に行った。B.S.CollerらはGPIa/IIaに対
するモノクローナル抗体6F1が多血小板血漿(Platelet
rich plasma; PRP)を用いたコラーゲン凝集を阻害せ
ず、コラーゲン固相化ポリスチレンビーズによる血小板
凝集を強く阻害することを報告している。同時にGPIIa/
IIIaに対するモノクローナル抗体10E5もこのコラーゲン
固相化ポリスチレンビーズによる血小板凝集を強く阻害
することを報告している。また、血小板のコラーゲンへ
の粘着、凝集に関与する受容体GPIb、GPVIに対する阻
害、あるいは血小板の活性化を阻害する物質によって
も、このコラーゲン固相化ポリスチレンビーズによる血
小板凝集は阻害されると考えられた。そこで、コラーゲ
ン固相化ポリスチレンビーズによる血小板凝集を阻害
し、他の血小板凝集惹起物質であるADP、コラーゲン
(溶液)、リストセチンによる血小板凝集を阻害しない
物質を、特異的にGPIa/IIa−コラーゲンの結合を阻害す
る物質であると判断できると考えた。
【0073】コラーゲン固相化ポリスチレンビーズは、
直径4.5μmのポリスチレンビーズ(Polyscience社製)
を使用し、30μg/mlのコラーゲン(Cellmatrix typeI-
C、新田ゼラチン社製)のTBS(Tris-buffered saline;
20mM Tris-HCl pH7.4、0.15MNaCl)溶液中、室温で約2
時間転倒混和することによりコラーゲンの固相化を行っ
た。0.1% BSA(bovine serum albumin)/0.85% NaCl溶
液で洗浄後、2% BSA/0.85% NaCl中でブロッキングを行
った後、さらに0.1% BSA/0.85% NaCl溶液で十分洗浄し
た後、1〜2 x 108 beads/mlの濃度になるように調製し
た。ヒト多血小板血漿(PRP)の調製は、健康なボラン
ティアによって提供された血液を、1/10容の3.8&クエン
酸三ナトリウムを加えることによって抗凝固処理を行っ
た後、1000rpm、15分の遠心分離を行い、上清を採取す
ることによって行った。貧血小板血漿(Platelet-poor
plasma; PPP)の調製は上記PRPを採取した血液をさらに
2300rpm、15分の遠心分離を行い、上清を採取すること
によっておこなった。
【0074】コラーゲン固相化ビーズ惹起血小板凝集に
対する被検物質の阻害活性の測定は、終濃度2mMのMgCl2
および被検物質を添加したPRPをHematracer 801(ニ光
バイオサイエンス社製)にセットし、37℃で2分間撹拌
した後、上述したコラーゲン固相化ビーズの懸濁液をPR
Pの1/9容量添加し、光の透過率の変化を測定した。被検
物質の阻害活性(凝集阻害率)は、ビーズ添加直後の光
の透過率を0%、PPPの透過率を100%として凝集率を凝集
曲線として記録し、ビーズ添加1分後から10分後まで
の凝集曲線の面積値を計算し、さらに下記式を用いて計
算した。GPIaに対するモノクローナル抗体A2-II10(ア
ップステートバイオテクノロジー社製)の数点の異なる
濃度における凝集阻害率を測定し、IC50値を計算したと
ころ、2.9μg/mlであった。
【0075】凝集阻害率(%)=被検物質の面積値/コント
ロールの面積値 × 100
【0076】また、ADP(終濃度10μM、エムシーメディ
カル社製)、コラーゲン(溶液)(終濃度10μg/ml、ホ
ルム社製)、リストセチン(終濃度1.2mg/ml、シグマ社
製)惹起血小板凝集に対する被検物質の阻害活性は、同
様に被検物質を添加したPRPをHematracer 801(ニ光バ
イオサイエンス社製)にセットし、37℃で2分間撹拌し
た後、各凝集惹起物質の10倍濃度の溶液をPRPの1/9容量
添加し、光の透過率の変化を測定した。被検物質の阻害
活性(凝集阻害率)は、凝集惹起物質添加直前の光の透
過率を0%、PPPの透過率を100%として凝集率を凝集曲線
として記録し、凝集惹起物質添加8分後までの最大凝集
率を記録し、さらに下記式を用いて計算した。GPIaに対
するモノクローナル抗体A2-II10(アップステートバイ
オテクノロジー社製)は上記いずれの血小板凝集に対し
て阻害活性を示さなかった。
【0077】凝集阻害率(%)=被検物質の最大凝集率/コ
ントロールの最大凝集率 × 100
【0078】ADP、コラーゲン(溶液)、リストセチン
によって惹起される血小板凝集を阻害しないことから、
本物質がGPIIb/IIIaとフィブリノーゲンの結合、GPIb/I
Xとフォンビルブランド因子の結合、血小板の活性化カ
スケードを阻害するものでないことは明らかであり、GP
Ia/IIaとコラーゲンとの結合を阻害するものであるとい
える。
【0079】(実施例18) 各種血小板凝集に対する
化合物の阻害活性の測定 実施例1に記載の化合物について、実施例17に示した
コラーゲン固相化ビーズ惹起血小板凝集に対する阻害活
性を、数点の異なる濃度において測定し、IC50値を計算
したところ、137μMであった。また実施例1の化合物に
ついて、ADP、コラーゲン(溶液)、リストセチン惹起
血小板凝集に対する阻害活性を測定したが、該化合物は
阻害活性を示さずGPIa/IIa−コラーゲン結合を特異的に
阻害する物質であることを確認した。
【0080】
【発明の効果】上記評価にて本発明の化合物はインテグ
リンα2β1とコラーゲンの結合阻害作用を示した。従っ
て本発明の化合物はインテグリンα2β1とコラーゲンの
結合阻害作用により抗血小板活性を示し、血栓症、動脈
硬化症、高脂血症、心筋梗塞、狭心症、急性冠性症候
群、末梢動脈閉塞症、深部静脈血栓症、脳梗塞、脳卒
中、肺塞栓症などの動脈および静脈における血栓を原因
とする疾患に対する治療薬又は予防薬として有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/00 A61P 9/00 9/10 9/10 101 101 9/14 9/14 C07H 19/067 C07H 19/067 C12P 19/38 C12P 19/38 //(C12P 19/38 C12R 1:645 C12R 1:645) C07M 7:00 C07M 7:00 (72)発明者 福地 直之 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社医薬研究所内 (72)発明者 二木 史恵 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社医薬研究所内 (72)発明者 長尾 英幸 茨城県筑波郡谷和原村絹の台6丁目1−15 Fターム(参考) 4B064 AF33 CA05 DA01 4C057 AA03 LL10 LL18 4C063 AA01 BB02 CC73 DD29 EE01 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 BC42 EA04 GA02 GA07 MA01 MA04 NA14 ZA36 ZA39 ZA40 ZA45 ZA54 ZA59 ZC33

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で示される化合物又はそ
    の薬学的に許容しうる塩。 【化1】 〔式中、R1は水素原子、低級アルキル基、アリール基又
    はアラルキル基を示し、R2は水素原子又は低級アルキル
    基を示し、-A-B-は-CH2-CH2-又は-CH(OR3)-CH(OR 4)-
    (式中、R3およびR4は同一又は異なっていてもよく、水
    素原子または低級アシル基を示す)を示す。ただし、R1
    が水素原子、-A-B-が-CH(OH)-CH(OH)-である場合、R2
    エチル基ではない。また、R1が水素原子、R2がエチル基
    の場合、-A-B-は-CH(OAc)-CH(OAc)-ではない。〕
  2. 【請求項2】 R1およびR2が水素原子、-A-B-が-CH(OH)
    -CH(OH)-である請求項1記載の化合物又は薬学的に許容
    しうる塩。
  3. 【請求項3】 R1およびR2が水素原子、-A-B-が-CH(OCO
    CH3)-CH(OCOCH3)-である請求項1記載の化合物又は薬学
    的に許容しうる塩。
  4. 【請求項4】 R1が水素原子、R2がメチル基、-A-B-が-
    CH(OH)-CH(OH)-である請求項1記載の化合物。
  5. 【請求項5】 R1が低級アルキル基、R2が水素原子、-A
    -B-が-CH(OH)-CH(OH)-である請求項1記載の化合物又は
    薬学的に許容しうる塩。
  6. 【請求項6】 R1がアリール基で置換された低級アルキ
    ル基、R2が水素原子、-A-B-が-CH(OH)-CH(OH)-である請
    求項1記載の化合物又は薬学的に許容しうる塩。
  7. 【請求項7】 R1がアリール基、R2が水素原子、-A-B-
    が-CH(OH)-CH(OH)-である請求項1記載の化合物又は薬
    学的に許容しうる塩。
  8. 【請求項8】 R1およびR2が水素原子、-A-B-が-CH2-CH
    2-である請求項1記載の化合物又は薬学的に許容しうる
    塩。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8いずれか1項記載の化合物
    を有効成分とする抗血小板薬。
  10. 【請求項10】 請求項2記載の化合物であって下記式
    IIで表される化合物を産生する能力を有する微生物又は
    その変異体を培養し、その培養液及び菌体から式IIで示
    される化合物を採取することを特徴とする式IIで示され
    る化合物又はその薬学的に許容しうる塩の製造法。 【化2】
  11. 【請求項11】 請求項1〜8のいずれか1項記載の化
    合物またはその薬学的に許容しうる塩を有効成分とする
    血栓症、動脈硬化症、高脂血症、心筋梗塞、狭心症、急
    性冠性症候群、末梢動脈閉塞症、深部静脈血栓症、脳梗
    塞、脳卒中、肺塞栓症のいずれかに対する治療薬または
    予防薬。
  12. 【請求項12】 請求項1〜8のいずれか1項記載の化
    合物またはその薬学的に許容しうる塩を含有する医薬組
    成物。
  13. 【請求項13】 動脈又は静脈において血小板が形成さ
    れることを抑制するための請求項1〜8のいずれか1項
    記載の化合物またはその薬学的に許容しうる塩の使用。
  14. 【請求項14】 請求項1〜8のいずれか1項記載の化
    合物またはその薬学的に許容しうる塩を有効成分とする
    インテグリン阻害剤。
  15. 【請求項15】 インテグリン阻害が、α2β1インテ
    グリン阻害である請求項14記載のインテグリン阻害
    剤。
  16. 【請求項16】 請求項1〜8のいずれか1項記載の化
    合物またはその薬学的に許容しうる塩を有効成分とする
    GPIa/IIa-コラーゲン結合阻害剤。
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