JP2003048539A - 鉄道車両における分割車体の連結装置 - Google Patents

鉄道車両における分割車体の連結装置

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JP2003048539A JP2001237692A JP2001237692A JP2003048539A JP 2003048539 A JP2003048539 A JP 2003048539A JP 2001237692 A JP2001237692 A JP 2001237692A JP 2001237692 A JP2001237692 A JP 2001237692A JP 2003048539 A JP2003048539 A JP 2003048539A
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Tatsuya Tajima
辰哉 田島
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ALNA SHARYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車体の揺れを極力緩和できるようにした鉄
道車両における中間部車体と各端部車体との連結装置を
提供すること。 【解決手段】 車体を中間部と前後両端部とに分離し、
前後各端部車体2,3に台車ユニット4を設けた鉄道車
両における中間部車体1と各端部車体2,3との連結装
置であり、中間部車体1と各端部車体2,3との対向面
間には上部側の幅方向中央部に、両車体の上下方向の相
対揺動を拘束して左右方向の相対揺動のみを許すように
両車体を枢支連結する上部連結手段5を設け、下部側の
幅方向中央部に、中間部車体1側の垂直荷重を端部車体
2,3側で受けた状態で両車体を左右方向相対揺動可能
に枢支連結する下部連結手段6を設け、下部連結手段6
の左右両側に、両車体の左右方向の相対揺動を抑制する
ダンパー7を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電車等の鉄道車両
に関するもので、特に、車両の車体を中間部と前後両端
部とに分割し、前後各端部車体に台車ユニットを設けた
鉄道車両における中間部車体と各端部車体との連結装置
に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】本願の出願人は、以前に、
中間の客室部を挟んで前後両端に運転室部を有する電車
の車体を中間部と前後両端部とに分割し、前後各端部車
体に台車ユニットを設けた電車について出願している
(特願2000−120054号)。この電車によれ
ば、電車がカーブ走行経路部を走行するときの端部車体
と中間部車体の間の左右方向の相対揺動中心が、前後各
運転室部と中間客室部との連結位置(端部車体の中心位
置)よりも電車中間部の客室部側に寄った位置にくるた
め、カーブ走行経路部における中間部車体のカーブ中心
側への偏心量が小さくなり、従ってカーブ走行経路部の
内側レールの外側に安全のために確保しなければならな
い空間部が狭くて済み、また、車体は長いが構造がシン
プルな中間客室部と、車体は短いが精密機械部品や電気
部品の集合体であって構造が極めて複雑な前後の運転室
部とに3分割されるので、中間客室部と前後各運転室部
とを別々の製造設備を利用して夫々独自の日程で製造
し、最終的に組立工場で連結一体化できるので、生産効
率を高めてコストダウンを図ることができる、等の利点
がある。
【0003】ところで、上記のように車両の車体を中間
部と前後両端部とに分割し、前後各端部車体に台車ユニ
ットを設けた車両では、車輪の無い中間部車体を前後の
端部車体で支えるようになっているため、各端部車体と
中間部車体との互いの連結部が倒れ込むように上下方向
に揺動(ピッチング)し易く、また各端部車体と中間部
車体とが左右方向に揺動(ヨーイング)し易くなって、
各車体が上下左右に烈しく揺れる傾向にある。
【0004】本発明は、上記の問題点に鑑み、車体の揺
れを極力緩和できるようにした鉄道車両における中間部
車体と各端部車体との連結装置を提供することを目的と
している。
【0005】尚、一般に、航空機、車両、船舶の機体、
車体、船体などの上下方向を向く軸周りの振動をヨーイ
ングと言い、またそれらの左右方向を向く軸周りの振動
をピッチングと言うが、この明細書中に記載している本
発明の連結装置における車体1,2,3の上下方向の揺
動は上記ピッチングに相当するものとし、またそれらの
左右方向の揺動は上記ヨーイングに相当するものとす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
車体を中間部と前後両端部とに分割し、前後各端部車体
2,3に台車ユニット4を設けた鉄道車両における中間
部車体1と各端部車体2,3との連結装置であって、中
間部車体1と各端部車体2,3との対向面間にはその上
部側の幅方向中央部に、両車体の上下方向の相対揺動を
拘束して左右方向の相対揺動のみを許すように両車体を
枢支連結する上部連結手段5を設け、下部側の幅方向中
央部には、中間部車体1側の垂直荷重を端部車体2,3
側で受けた状態で両車体を左右方向に相対揺動可能に枢
支連結する下部連結手段6を設け、この下部連結手段6
の左右両側に、両車体の左右方向の相対揺動を抑制する
ダンパー7を設けてなることを特徴とする。
【0007】請求項2は、請求項1に記載の鉄道車両に
おける分割車体の連結装置において、前記上部連結手段
5は、図6の(A)、及び図7〜図9、特に図9に明瞭
に示すように、両車体1及び2又は3の何れか一方に取
り付けられる取付枠11のピン挿通孔12付き上下端板
13,13間に、ピン挿通孔14付き中子15を前記上
下端板13のピン挿通孔12,12と同心状で且つ上下
方向移動調整可能に配置して、前記上下端板13のピン
挿通孔12から中子15のピン挿通孔14にわたって枢
支ピン16を挿着し、他方の車体に取り付けられる取付
枠17の夫々ネジ孔18付き左右端板19,19を前記
中子15の左右両側に配置し、基端部側にネジ軸部20
を形成し且つ先端部側に非ネジ軸部21を形成した中子
取付軸22のネジ軸部20を、前記左右各端板19のネ
ジ孔18に螺合すると共に、その非ネジ軸部21を前記
中子15の左右各端部に設けた軸孔27に対し軸方向移
動調整可能に嵌合する構成よりなることを特徴とする。
【0008】請求項3は、請求項1又は2に記載の鉄道
車両における分割車体の連結装置において、前記下部連
結手段6は、図6の(B)、図10及び図11、特に図
11の(B)に明瞭に示すように、端部車体2,3側に
取り付けられる取付枠31に上向きに突出する凸形球面
部32を設け、中間部車体1側に取り付けられる取付枠
33には前記凸形球面部32に対応する凹形球面部34
を設け、この凹形球面部34を前記凸形球面部32に嵌
合させた状態で、両球面部32,34の夫々中心部を貫
通する枢軸36によって両球面部32,34を枢軸36
周りに相対回動可能に枢着する構成よりなることを特徴
とする。
【0009】請求項4は、請求項1〜3の何れかに記載
の鉄道車両における分割車体の連結装置において、前記
ダンパー7は、図5、及び図12〜図14、特に図14
に明瞭に示すように、下面に水平支持面38を形成した
支持枠39を中間部車体1側に取り付ける一方、端部車
体2,3側に取り付けられる座枠40に擦り板取付用軸
体41をネジによって高さ調整可能に設け、この軸体4
1の上部にバネ42を介して擦り板43を取り付け、こ
の擦り板43の上面を前記支持枠39の水平支持面38
に前記バネ42により圧接した状態で相対摺動可能に当
接支持させ、両車体が左右方向に相対揺動する時に擦り
板43の上面43aと支持枠39の水平支持面38との
間に生ずる摩擦力によって両車体の左右方向の相対揺動
を抑制するようにしてなることを特徴とする。
【0010】請求項5は、請求項4に記載の鉄道車両に
おける分割車体の連結装置において、前記擦り板取付用
軸体41には、バネ42の撓み量を測定するための目盛
り51を設けてなることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】図1の(A)は車体が中間部と前
後両端部とに3分割された車両の垂直断面図、(B)は
(A)のM−M線断面図、図2は同車両の水平断面図で
ある。この車両の車体は、中間部車体1と前端部車体2
と後端部車体3とからなるもので、前後各端部車体2,
3に台車ユニット4が設けられている。台車ユニット4
は、左右一対前後二組の車輪8a,8b及び9a,9b
を備えたもので、例えば左右横置きのモーターにより前
後二組の車輪8a,8b及び9a,9bの内の少なくと
も一組が正逆回転駆動される。中間部車体1と各端部車
体2,3とを連結する本発明の連結装置は、中間部車体
1と前後各端部車体2,3との対向面間の上部側で車体
幅方向中央部に設けられた上部連結手段5と、この上部
連結手段5の下方部に設けられた下部連結手段6とから
なる。
【0012】上部連結手段5は、中間部車体1及び各端
部車体2,3の上下方向の相対揺動を拘束して左右方向
の相対揺動のみを許すように両車体(中間部車体1及び
各端部車体2,3)を枢支連結するものである。下部連
結手段6は、中間部車体1側の垂直荷重を端部車体2,
3側で受けた状態で両車体を左右方向に相対揺動可能に
枢支連結するものである。この下部連結手段6の左右両
側には、両車体の左右方向の相対揺動を抑制するダンパ
ー7が設けられている。図3の(A)は上部連結手段5
の側面図、(B)は下部連結手段6の側面図、(C)は
ダンパー7の側面図である。また、図4は上部連結手段
5を示す平面図、図5は下部連結手段6及びダンパー7
を示す平面図である。
【0013】上部連結手段5の構造について、図6の
(A)、図7の(A)〜(C)、図8の(A)〜(C)
及び図9によって詳細に説明する。この上部連結手段5
は、中間部車体1に取り付けられる取付枠11のピン挿
通孔12付き上下端板13,13間に、ピン挿通孔14
付き中子15を前記上下端板13,13のピン挿通孔1
2,12と同心状で且つ上下方向移動調整可能に配置し
て、前記上下端板13,13のピン挿通孔12,12か
ら中子15のピン挿通孔14にわたって枢支ピン16を
挿着し、前後各端部車体2,3に取り付けられる取付枠
17の夫々ネジ孔18,18付き左右端板19,19を
前記中子15の左右両側に配置し、基端部側にネジ軸部
20を形成し且つ先端部側に非ネジ軸部21を形成した
中子取付軸22のネジ軸部20を、前記左右各端板1
9,19のネジ孔18,18に螺合すると共に、その非
ネジ軸部21,21を前記中子14の左右各端部に設け
た軸孔27,27に対し軸方向移動調整可能に嵌合する
ようにしたもので、一方の取付枠11を中間部車体1に
取り付け、他方の取付枠17を各端部車体2,3に取り
付けることによって、中間部車体1と各端部車体2,3
とは、軸線が上下方向に延びた枢支ピン16を中心とし
て左右方向に相対揺動することができるが、中間部車体
1と各端部車体2,3との上下方向の相対揺動は、取付
枠11の上下端板13,13間に介在する中子15によ
って拘束されることになる。
【0014】特に、この上部連結手段5によれば、中子
15が、中間部車体1に取り付けられる取付枠11の上
下端板13,13間で上下方向に移動調整可能であると
共に、各端部車体2,3に取り付けられる取付枠17の
左右端板19,19間で左右方向に移動調整可能である
ため、この上部連結手段5を中間部車体1と各端部車体
2,3との間に介装する際に、製作誤差によって中間部
車体1側での取付枠11の取付位置や各端部車体2,3
側での取付枠17の取付位置に多少ずれていたりして
も、中子15を上下及び又は左右方向に適宜移動調整す
ることによって、この上部連結手段5を適正な状態に組
み付けることができる。
【0015】上部連結手段5の構造について更に説明す
ると、中子15は、図9から分かるように、上下両端面
23a,23aが平行である中子本体23と、この中子
本体23の左右両端に突設されたリング状の耳片24,
24とからなり、中子本体23にはその上下両端面23
a,23aに亘って前記ピン挿通孔14が貫設され、こ
のピン挿通孔14にブッシュ25が嵌挿してあって、前
記枢支ピン16は、このブッシュ25に嵌合される。中
子本体23の下端面23aにはピン挿通孔14を下端開
口を塞ぐ塞ぎ板26が装着してある(図7及び図8参
照)。また、中子15の各耳片24に前記軸孔27が設
けてあり、この軸孔27にはブッシュ28を介して前記
中子取付軸22の非ネジ軸部21が嵌合される。
【0016】また図9に示すように、取付枠11の上下
端板13,13間の間隔aは、中子本体23の厚みb
(上下両端面23a,23a間の距離)よりも大きく、
この差異分(a−b)が取付枠11に対する中子15の
上下方向移動調整範囲となる。中子15の両端耳片2
4,24の間隔cは取付枠11の上下各端板13の左右
方向幅dと殆ど同一であるため、中子15は取付枠11
に対しては左右方向移動が制限される(図8の(C)参
照)。このように取付枠11に対しては中子15の左右
方向移動が制限されるが、図9に示すように、取付枠1
7の左右端板19,19の間隔Sが、この両端板19,
19間に納められる中子15の長さLよりも長くなって
いる(図8の(C)も参照)ため、中子15は取付枠1
7に対して左右方向に移動調整可能となる。
【0017】この上部連結手段5の組立にあたっては、
中子15を取付枠11の上下端板13,13間に挿入し
て、その上下端板13,13を中子本体23の上下両端
面23a,23a側で左右耳片24,24間に介在させ
た状態とし、この状態で上部端板13のピン挿通孔12
から、中子15のピン挿通孔14に嵌められたブッシュ
25及び下部端板13のピン挿通孔14に亘って枢支ピ
ン16を嵌挿した後、上蓋29を取付枠11の上部端板
13に被せてボルト30で固定する。この後、取付枠1
7の左右端板19,19を、上記取付枠11の上下端板
13,13の左右両端から突出した中子15の左右耳片
24,24の両側に位置させ、左右各端板19のネジ孔
18から中子取付軸22を挿入して、そのネジ軸部20
を端板19のネジ孔18に螺合すると共に、非ネジ軸部
21を耳片24の軸孔27にブッシュ28を介して嵌合
する。
【0018】上記のようにして組み立てた上部連結手段
5を中間部車体1と各端部車体2,3とに取り付けるに
は、図3の(A)及び図4に示すように、一方の取付枠
11を中間部車体1の所定箇所にボルト51及びナット
52(図7及び図8参照)によって取り付け、他方の取
付枠17は、各端部車体2,3の所要部に予め取り付け
られたブラケット53の所定箇所にボルト51及びナッ
ト52によって取り付ける。
【0019】次に、下部連結手段6の構造について図6
の(B)、図11及び図12によって説明すると、この
下部連結手段6は、端部車体2,3側に取り付けられる
取付枠31に上向きに突出する凸形球面部32を設け、
中間部車体1側に取り付けられる取付枠33には前記凸
形球面部32に対応する形状の凹形球面部34を設け、
この凹形球面部34を、椀状の介在物35を介して前記
凸形球面部32に嵌合させた状態で、両球面部32,3
4の夫々中心部を貫通するボルト36(枢軸)によって
両球面部32,34をボルト36の周りに相対回動可能
に連結してなるものである。介在物35は、剛性材料に
よって上面側が凹形球面部34の内周面に対応する凸形
球面形状に形成され且つ下面側が凸形球面部32の外周
面に対応する凹形球面形状に形成される。またボルト3
6は、ボルト頭部に近い側の非ネジ軸部36aと、中間
部側ネジ軸部36bと、このネジ軸部36bより小径の
先端側ネジ軸部36cとからなる。
【0020】この下部連結手段6を組み立てるには、取
付枠31の凸形球面部32に介在物35を挟んで取付枠
33の凹形球面部34を嵌合させ、凹形球面部34側の
ボルト挿通孔34a及び介在物35のボルト挿通孔35
aにボルト36の非ネジ軸部36aを挿通させると共
に、凸形球面部32の中心部のネジ孔32bにボルト3
6の大径ネジ軸部36bを螺合し、更にボルト36先端
側の小径ネジ軸部36cにナット37を螺合すればよ
い。
【0021】こうして組み立てた下部連結手段6を中間
部車体1と各端部車体2,3とに取り付けるには、図3
の(B)及び図5に示すように、各端部車体2,3の所
要部に予め取り付けられたブラケット54の所定箇所に
一方の取付枠31をボルト55及びナット56によって
取り付け、他方の取付枠33を中間部車体1の所要部に
ボルト55及びナット56によって取り付ければよく、
これによって中間部車体1側の垂直荷重を各端部車体
2,3側で受けた状態で中間部車体1と各端部車体2,
3とを左右方向に相対揺動可能に枢支連結することがで
きる。特に、この下部連結手段6では、凸形球面部32
と凹形球面部34との凹凸嵌合となっているため、中間
部車体1側と各端部車体2,3側との微妙なずれに対応
できて、両車体をスムーズに相対揺動させることができ
る。
【0022】更に、ダンパー7の構造について図12〜
図14を参照して詳細に説明する。図12の(A)はダ
ンパー本体部分の平面図、(B)は側面図であり、図1
3の(A)はダンパー本体部分の正面図、(B)は背面
図、(C)は底面図で、(A)の矢示Zから見た図面で
ある。図14はダンパー7の使用状態を示すもので、
(A)はダンパー本体部分の縦断側面図、(B)は外観
側面図である。
【0023】このダンパー7は、図3の(C)及び図1
4に示すように下面に水平支持面38を形成した支持枠
39を中間部車体1側に取り付ける一方、各端部車体
2,3側に取り付けられる座枠40に擦り板取付用軸体
41をねじによって高さ調整可能に設け、この軸体41
の上部に皿バネ42を介して擦り板43を取り付け、こ
の擦り板43の上面43aを前記支持枠39の水平支持
面38に上記皿バネ42によって圧接した状態で相対摺
動可能に当接支持させるようにしたもので、中間部車体
1及び各端部車体2,3が左右方向に相対揺動する時
に、擦り板43の上面43aと支持枠39の水平支持面
38との間に生ずる摩擦力によって両車体1、2,3の
左右方向の相対揺動が抑制されるようになっている。
【0024】上記ダンパー7の構造について更に詳しく
説明すると、先ず、座枠40は、各端部車体2,3側に
ボルト止めされる取付枠部40bと、この取付枠部40
bから水平に延びるように突設された座枠本体40aと
からなる。擦り板取付用軸体41は、ネジ軸44と、こ
のネジ軸44の上端側に取り外し可能に同軸に接続され
るバネ取付軸45とからなり、ネジ軸44は、座枠本体
40aに上下方向に貫通形成してあるネジ孔46に螺合
されていて、このネジ孔46から下方へ突出したネジ軸
44の下端部側にナット47が螺嵌され、このナット4
7と座枠本体40aの下面との間に皿バネ座金48が介
装される。バネ取付軸45はネジ軸44よりも径大の鍔
部49を有し、この鍔部49より下方の軸部45aが、
ネジ軸44の上端面に同心状に設けられた嵌合穴50に
嵌脱可能に嵌合されて接続され、また鍔部49より上方
の軸部45bに前記皿バネ42が嵌装されている。また
バネ取付軸45の鍔部49にはその上端側に更に径大の
フランジ部49aが同軸一体に形成され、このフランジ
部49aの外周面に、前記皿バネ42の撓み量を測定す
るための目盛り51が刻設されている。
【0025】また、擦り板43は、図14の(A)に示
すように、耐摩耗性に優れた材料によって円板状に形成
されたもので、これと同径の円筒状台座43b上に一体
に固着されている。この台座43bは、下面側に皿バネ
収容部52を有すると共に、その奥部中央に嵌合穴部5
3を有し、この嵌合穴部53に前記バネ取付軸45の軸
部45b上端側を嵌合させ且つ皿バネ収容部52に皿バ
ネ42を収容した状態で取り付けられている。尚、図1
2及び図13において、57はネジ軸44の落下を防止
するための部材で、ボルト58で座枠40の取付枠部4
0bに取り付けてある。また14の(A)に示すよう
に、ネジ軸44の下端面にはレンチ等の回転操作具を嵌
合させる嵌合孔部44aが凹設されている。
【0026】上記のように構成されるダンパー7の本体
部分の組立にあたっては、図14の(A)に示すよう
に、座枠本体40aのネジ孔46に擦り板取付用軸体4
1のネジ軸44を螺入し、このネジ軸44に皿バネ座金
48を介してナット47を螺嵌し、このネジ軸44の嵌
合穴50にバネ取付軸45の下方軸部45aを嵌合し、
このバネ取付軸45の上方軸部45bに皿バネ42を取
り付け、その上に擦り板43と一体の台座53bを嵌装
すればよい。こうして組み立てたダンパー7の本体部分
は、図3の(C)及び図14の(A)に示すように、各
端部車体2,3の所要部に予め取り付けられたブラケッ
ト59の先端にボルト60及びナット61で取り付け
る。また、下面に水平支持面38を形成した支持枠39
を、図14の(A)の仮想線で示すような位置で中間部
車体1側に取り付ける。
【0027】図14の(A)は、ダンパー7の非使用状
態、即ち擦り板43を支持枠39下面の水平支持面38
に圧接してない無負荷状態を示す。しかして、このダン
パー7を使用状態にセットするには、擦り板取付用軸体
41のネジ軸44をねじ込み方向に回してバネ取付軸4
5を押し上げることにより、擦り板43の上面43aを
支持枠39下面の水平支持面38に当接させる。この状
態から、ネジ軸44を更にねじ込み方向に回して、バネ
取付軸45を更に押し上げることにより皿バネ42を圧
縮し、この皿バネ42の圧縮による撓み反力によって擦
り板43の上面43aを支持枠39の水平支持面38に
圧接する。この後、ナット47を締め付けて、ネジ軸4
4を座枠40bにロックする。
【0028】上記支持枠39の水平支持面38に対する
擦り板43の圧接力は、ネジ軸44を回して上下動させ
ることによって、所望に調整可能である。また、この圧
接力の調整にあたっては、バネ取付軸45の鍔部49の
径大フランジ部49a外周に目盛り51が刻設してある
ため、この目盛り51を読み取ることによって、皿バネ
42の撓み量λが分かり、この撓み量λから擦り板43
の圧接力を把握することができる。この目盛り51を読
み取るにあたっては、図14の(A)に示すように擦り
板43が支持枠39の水平支持面38に当接してない無
負荷状態の時、擦り板43の円筒状台座43bの下端縁
が目盛り51の上端に位置するように配設されているか
ら、擦り板43を支持枠39の水平支持面38に当接さ
せた後、ネジ軸44を回してバネ取付軸45を押し上げ
るにつれて、同図の(B)に示すように目盛り51が擦
り板43の円筒状台座43b内に入り込んでゆくことに
なり、従って円筒状台座43bの下端縁が指す目盛り5
1を読み取ることにより、撓み量λを容易に確認するこ
とができる。
【0029】上記のような構成のダンパー7によれば、
各端部車体2,3側にダンパー7の本体部分を取り付
け、支持枠39を中間部車体1側に取り付けて、ダンパ
ー7本体部分の擦り板43を支持枠39の水平支持面3
8に前記皿バネ42により圧接した状態に相対摺動可能
に当接支持させておけば、各端部車体2,3と中間部車
体1とが左右方向に相対揺動する時に、擦り板43の上
面43aと支持枠39の水平支持面38との間に生ずる
摩擦力により減衰力(制動力)が作用して、各端部車体
2,3及び中間部車体1の左右方向の相対揺動が抑制さ
れ、それによって車体1,2,3の激しい横揺れや蛇行
が防止される。この場合の減衰力(制動力)は、上記の
ように皿バネ42の撓み量λを加減することによって容
易に調整可能である。図2には、前端部車体2が中間部
車体1に対し左方向へ揺動して擦り板43が支持枠39
の水平支持面38に沿って摺動した状態を仮想線で示
す。
【0030】このダンパー7では、擦り板43を支持枠
39の水平支持面38に圧接するバネとして皿バネ42
を使用したが、皿バネ42に限らず、コイルバネでもよ
い。また、擦り板取付用軸体41を、ネジ軸44とバネ
取付軸45とに分割構成したが、両軸44,45を分割
することなく、一体に構成してもよい。
【0031】
【発明の効果】請求項1に係る発明の連結装置によれ
ば、中間部車体と端部車体との対向面間には上部側の幅
方向中央部に、両車体の上下方向の相対揺動を拘束して
左右方向の相対揺動のみを許すように両車体を枢支連結
する上部連結手段を、また下部側の幅方向中央部に、中
間部車体側の垂直荷重を端部車体側で受けた状態で両車
体を左右方向に相対揺動可能に枢支連結する下部連結手
段を設け、この下部連結手段の左右両側に両車体の左右
方向の相対揺動を抑制するダンパーを設けたから、上部
連結手段及び下部連結手段によって、各端部車体と中間
部車体とが左右方向の相対揺動を可能としながら、両車
体が上下に揺動するのを防止し、またダンパーによっ
て、各端部車体と中間部車体とが激しく横揺れしたり、
蛇行するのを防止することができる。
【0032】請求項2に係る発明の連結装置によれば、
上部連結手段を中間部車体と各端部車体との間に介装す
る際に、製作誤差によって中間部車体側での取付枠の取
付位置や各端部車体側での取付枠の取付位置に多少ずれ
ていたりしても、中子を上下左右方向に適宜移動調整す
ることによって、この上部連結手段を適正な状態に組み
付けることができる。
【0033】請求項3に係る発明の連結装置によれば、
下部連結手段において、端部車体側に取り付けられる取
付枠に上向きに突出するように設けた凸形球面部と、中
間部車体側に取り付けられる取付枠に設けた凹形球面部
とが凹凸嵌合するようになっているから、中間部車体側
の垂直荷重を端部車体側で有効に支持できると共に、中
間部車体側と各端部車体側との微妙なずれに対応でき
て、両者をスムーズに相対揺動させることができる。
【0034】請求項4に係る発明の連結装置によれば、
端部車体と中間部車体とが左右方向に相対揺動する時
に、擦り板上面と支持枠の水平支持面との間に生ずる摩
擦力により減衰力(制動力)が作用して、端部車体及び
中間部車体の左右方向の相対揺動を抑制し、それによっ
て車体の激しい横揺れや蛇行を防止することができる。
また、支持枠の水平支持面に対する擦り板の圧接力は、
ネジ軸を回して上下動させ、バネの撓み量を加減するこ
とによって、容易に調整することができる。
【0035】因みに、油圧式ダンパーの場合は、制動力
が車体の揺動速度に比例して働くため、制動力の調整が
非常に難しい。その点、この発明のダンパーは、擦り板
が支持枠の水平支持面に対し圧接状態で摺動する摺動式
であって、摺動速度に関係なく一定の減衰特性がえられ
るから、必要な減衰力(制動力)が得られ易い。
【0036】請求項5に係る発明の連結装置によれば、
擦り板取付用軸体にバネの撓み量を測定するための目盛
りを設けているから、この目盛りを読み取ることによっ
て、バネの撓み量が分かり、この撓み量から擦り板の圧
接力を容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は車体が中間部と前後両端部とに3分
割された車両の垂直断面図、(B)は(A)のM−M線
断面図である。
【図2】 同車両の水平断面図である。
【図3】 (A)は上部連結手段の側面図、(B)は下
部連結手段の側面図、(C)はダンパーの側面図であ
る。
【図4】 上部連結手段の取付状態を示す平面図であ
る。
【図5】 下部連結手段及びダンパーの取付状態を示す
平面図である。
【図6】 (A)は上部連結手段を示す斜視図、(B)
は下部連結手段を示す斜視図である。
【図7】 (A)は上部連結手段の平面図、(B)は側
面図、(C)は底面図である。
【図8】 (A)は上部連結手段の背面図、(B)は図
7(A)のV−V線断面図、(C)は図7(A)のW−
W線断面図である。
【図9】 上部連結手段の分解斜視図である。
【図10】 (A)は下部連結手段の平面図、(B)は
側面図である。
【図11】 (A)は下部連結手段の正面図、(B)は
図10(A)のX−X線断面図である。
【図12】 (A)はダンパー本体部の平面図、(B)
は側面図である。
【図13】 (A)はダンパー本体部分の正面図、
(B)は背面図、(C)は底面図で、(A)の矢示Zか
ら見た図面である。
【図14】 ダンパーの使用状態を示すもので、(A)
はダンパー本体部分の縦断側面図、(B)は外観側面図
である。
【符号の説明】
1 中間部車体 2 前端部車体 3 後端部車体 4 台車ユニット 5 上部連結手段 6 下部連結手段 7 ダンパー 11 取付枠 12 ピン挿通孔 13 上下端板 14 ピン挿通孔 15 中子 16 枢支ピン 17 取付枠 18 ネジ孔 19 左右端板 20 ネジ軸部 21 非ネジ軸部 22 中子取付軸 32 凸形球面部 33 取付枠 34 凹形球面部 36 ボルト(枢軸) 38 支持枠の水平支持面 39 支持枠 40 座枠 40a 座枠本体 41 擦り板取付用軸体 42 皿バネ 43 擦り板 51 目盛り

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体を中間部と前後両端部とに分割し、
    前後各端部車体に台車ユニットを設けた鉄道車両におけ
    る中間部車体と各端部車体との連結装置であって、中間
    部車体と各端部車体との対向面間にはその上部側の幅方
    向中央部に、両車体の上下方向の相対揺動を拘束して左
    右方向の相対揺動のみを許すように両車体を枢支連結す
    る上部連結手段を設け、下部側の幅方向中央部には、中
    間部車体側の垂直荷重を端部車体側で受けた状態で両車
    体を左右方向に相対揺動可能に枢支連結する下部連結手
    段を設け、この下部連結手段の左右両側に、両車体の左
    右方向の相対揺動を抑制するダンパーを設けてなる鉄道
    車両における分割車体の連結装置。
  2. 【請求項2】 前記上部連結手段は、両車体の何れか一
    方に取り付けられる取付枠のピン挿通孔付き上下端板間
    に、ピン挿通孔付き中子を前記上下端板のピン挿通孔と
    同心状で且つ上下方向移動調整可能に配置して、前記上
    下端板のピン挿通孔から中子のピン挿通孔にわたって枢
    支ピンを挿着し、他方の車体に取り付けられる取付枠の
    夫々ネジ孔付き左右端板を前記中子の左右両側に配置
    し、基端部側にネジ軸部を形成し且つ先端部側に非ネジ
    軸部を形成した中子取付軸のネジ軸部を、前記左右各端
    板のネジ孔に螺合すると共に、その非ネジ軸部を前記中
    子の左右各端部に設けた軸孔に対し軸方向移動調整可能
    に嵌合する構成よりなる請求項1に記載の鉄道車両にお
    ける分割車体の連結装置。
  3. 【請求項3】 前記下部連結手段は、端部車体側に取り
    付けられる取付枠に上向きに突出する凸形球面部を設
    け、中間部車体側に取り付けられる取付枠には前記凸形
    球面部に対応する凹形球面部を設け、この凹形球面部を
    前記凸形球面部に嵌合させた状態で、両球面部の夫々中
    心部を貫通する枢軸によって両球面部を枢軸周りに相対
    回動可能に枢着する構成よりなる請求項1又は2に記載
    の鉄道車両における分割車体の連結装置。
  4. 【請求項4】 前記ダンパーは、下面に水平支持面を形
    成した支持枠を中間部車体側に取り付ける一方、端部車
    体側に取り付けられる座枠に擦り板取付用軸体をねじに
    よって高さ調整可能に設け、この軸体の上部にバネを介
    して擦り板を取り付け、この擦り板の上面を前記支持枠
    の水平支持面に前記バネにより圧接した状態で相対摺動
    可能に当接支持させ、両車体が左右方向に相対揺動する
    時に擦り板の上面と支持枠の水平支持面との間に生ずる
    摩擦力によって両車体の左右方向の相対揺動を抑制する
    ようにしてなる請求項1〜3の何れかに記載の鉄道車両
    における分割車体の連結装置。
  5. 【請求項5】 前記擦り板取付用軸体には、バネの撓み
    量を測定するための目盛りを設けてなる請求項4に記載
    の鉄道車両における分割車体の連結装置。
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