JP2003041492A - 繊維の染色方法 - Google Patents

繊維の染色方法

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JP2003041492A
JP2003041492A JP2001226266A JP2001226266A JP2003041492A JP 2003041492 A JP2003041492 A JP 2003041492A JP 2001226266 A JP2001226266 A JP 2001226266A JP 2001226266 A JP2001226266 A JP 2001226266A JP 2003041492 A JP2003041492 A JP 2003041492A
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fiber
dyeing
dye
bag
fibers
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Toshikazu Abe
俊和 安部
Michimasa Kubota
道正 久保田
Yoshimasa Shinpo
善正 新保
Mitsugi Kimizu
貢 木水
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KAETSU SANGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 染色液を繊維に吸着させ易くするために用い
る多種多量の化学薬品を削減し、処理労力の軽減を図る
ことを目的とする。 【解決手段】 繊維と、染色液と、を少なくとも用いる
染色方法において、繊維に、染色液を含有させる工程P
1と、高圧を加える工程P5と、を少なくとも有する染
色方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衣料用繊維資材の
分野で有用な繊維製品の染色方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、衣料用繊維資材の染色を行う場
合、一般的には、繊維資材を染色液中に浸漬させ、繊維
表面及び繊維内に染料を拡散させた後、反応及びイオン
結合や分子間力によって染料分子を繊維内に吸着させて
いる。
【0003】また、繊維内に染料を拡散させた後、反応
及びイオン結合や分子間力によって、染料分子を繊維内
に吸着させる際、染色を工業的、かつ効率良く行うた
め、染色液中に様々な薬品助剤を加えることによって、
染色を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の染色方
法では、染色液を繊維に吸着させることが比較的困難で
あった。例えば、合成繊維のような化学繊維は、吸水率
が極めて低いため、染色液を繊維に吸収、及び吸着させ
ることが困難であった。
【0005】一方、染色液を繊維へ吸着し易くするため
に、薬品助剤として多くの化学薬品が使用されていた。
しかし、拡散した染料や、染色を補助するため使用した
化学薬品は、すべて反応に関与するわけではなかった。
反応に関与しない化学薬品、または、反応に関与した後
に排出される化学薬品のうちのほとんどが廃液中に排出
されるため、廃液処理を行わなければならなかった。こ
の未吸着の染料や化学薬品の廃液処理に要する処理労力
及び処理コスト等は、極めて多大な負担となっていた。
さらに、廃液中の化学薬品は、環境汚染の原因にもなっ
ていた。
【0006】従って、以上より、本発明は、上記問題点
を解決することを目的とする。具体的には、染色液を繊
維に吸着させ易くするために用いる多種多量の化学薬品
を削減し、廃液の処理労力の軽減を図ることを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するた
め、本発明は、繊維を染色する染色方法において、染色
液を繊維に含有させる第1工程と、高圧を加える第2工
程と、を少なくとも有する繊維の染色方法を提供する。
【0008】染色液を繊維に含有させた後、高圧を加え
ることにより、化学薬品を用いることなく、物理的及び
化学的促進作用によって、染色液を繊維に吸着すること
ができる。化学薬品を用いることがないため、廃液処理
を行う必要がなく、廃液処理に要する処理労力及び処理
コストを削減することができる。
【0009】染色液は、アゾ染料、アントラキノン系染
料、インジゴ系染料、トリフェニルメタン系染料、ジフ
ェニルメタン系染料、トリフェニルアミン系染料、反応
染料、硫化染料等が使用できる。特にアゾ染料のうち、
酸性アゾ染料、直接染料、塩基性アゾ染料、媒染アゾ染
料、金属錯塩アゾ染料、分散アゾ染料、ナフトール染料
等が使用できる。そのうち特に、直接染料及び反応染料
若しくはこれらの混合物が好ましい。直接染料とは、繊
維に、媒染しないで直接によく染まる染料をいう。反応
染料とは、繊維の水酸基と結合することのできる反応性
基をもつ染料をいう。
【0010】染色液を繊維に含有させる方法としては、
染色液を噴霧して繊維に染み込ませる方法や、染色液中
に繊維を浸漬させる方法などがある。さらに、染み込ま
せた後、または浸漬させた後、乾燥させることが好まし
い。乾燥させることにより、繊維表面における染色液の
吸着の促進が図れ、また、余分な染色液の除去も図れ、
染色液の無駄を省くことができる。
【0011】前記第1工程は、前記繊維と、前記染色液
とを圧力容器内に入れる工程であることが好ましい。
【0012】これにより、染色液と繊維との吸着率を高
めるからである。また、同色に染色する場合は、やや多
めの染色液を圧力容器内に入れて、繊維を次々に挿入す
ることにより、連続操作が可能となるからである。
【0013】前記第1工程は、前記繊維と、前記染色液
とを同一の袋に入れる工程であることが好ましい。
【0014】これにより、圧力容器内は染色液で汚染さ
れることがないため、圧力容器内の洗浄が不要である。
よって、圧力容器内を常に清潔に保つことができる。ま
た、袋を用いることによって、異なる色の染色液を含有
した繊維同士であっても、同一の圧力容器内で処理を行
うことができるため、繊維生産効率を高めることができ
る。つまり、異なる色の染色液が混じり合うことなし
に、一回の高圧処理により、複数色の染色作業が同時に
行うことができる。
【0015】前記第1工程は、さらに薬剤を含有する工
程を含むものでも良い。
【0016】薬剤を含有することにより、繊維と染色液
との吸着を高めたり、染色以外の種々の機能を付加した
りするためである。薬剤は、媒染剤、帯電防止剤、分散
剤、マイグレーション防止剤などが使用できる。
【0017】例えば、薬剤に媒染剤を使用する場合、媒
染剤を染色液中に混入することにより、繊維と染色液と
の吸着を一層高めることができる。
【0018】また、繊維間は、擦れ合うことにより、帯
電し、静電気が発生するため、薬剤に帯電防止剤を使用
するすることにより、帯電防止機能を付加することがで
きる。
【0019】さらに、薬剤に分散剤を使用する場合は、
染色のムラを無くし、染色を均一に行うことができる。
【0020】染料は、上述した直接染料、反応染料の他
に、建染染料、間接染料等も使用することができる。建
染染料は、還元して水溶性とし、繊維に付着させてから
酸化して発色させる染料の総称である。間接染料は、媒
染剤を用いたり、還元操作を行ったりした後でなければ
染色しない染料である。従って、間接染料は、上記薬剤
と共に、使用することにより、染色を行う。
【0021】前記第2工程は、0℃以上の温度において
100気圧以上の圧力を加える工程であることが好まし
い。
【0022】これにより、染色液と繊維との吸着を極め
て短時間に行うことができるからである。また、従来の
染色処理方法と比較して、使用する染色液及び薬剤は、
極めて少量であっても、効率よく吸着することができる
からである。
【0023】本発明は、前記染色方法により染色された
繊維を提供する。
【0024】以上の染色方法により、染色液を繊維に吸
着し易くするために用いる多種多量の化学薬品の削減を
図ることができ、廃液の処理労力の軽減も図ることがで
きるという技術的意義を有する。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
を用いて説明する。図1は、本発明の染色方法の一例を
示す処理工程である。
【0026】ステップP1において、繊維に染色液を染
み込ませる。
【0027】ステップP1は、染色液から繊維表面まで
の染料を拡散する工程である。
【0028】繊維は、絹、木綿、麻、羊毛などの天然繊
維が好ましいが、レーヨン、キュプラなどの再生繊維、
アセテートなどの半合成繊維、ナイロンに代表されるポ
リアミド系繊維の他、ポリエステル系繊維、ポリウレタ
ン系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリオレフィ
ン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニ
リデン系繊維等の合成繊維も使用できる。
【0029】染色液は、直接染料が好ましいが、反応染
料、間接染料なども使用できる。天然繊維に対する、堅
牢度の向上効果及び染色コスト面などから、直接染料及
び反応染料若しくはこれらの混合物を使用することが好
ましい。
【0030】繊維に染色液をピックアップ率50〜15
0%で染み込ませた繊維であることが好ましい。繊維に
対する染色液のピックアップ率は、繊維の混用率や生地
形態により異なるため、ピックアップ率を適宜変更して
使用することが好ましい。ただし、本発明の実施形態
は、これに限定されない。ピックアップ率は、水溶液
(染色液)と対象物(繊維)との重量比を示す。つま
り、ピックアップ率50%とは、繊維の重量1kgに対
して、染色液の重量0.5kgを含有させた繊維をい
う。
【0031】染色液を繊維に染み込ませる方法として、
浸染や捺染による方法がある。例えば、染色機の染流噴
射ノズルより、繊維に染料を噴射する。染流噴射ノズル
により染料を噴射する方法によれば、繊維全体にムラな
く均一に染色が行え、染料の無駄を省くことができる。
また、染料を入れた容器内に、繊維を浸し、染色液を染
み込ませることもできる。
【0032】また、染色液中に、薬剤を混入し、分散さ
せておくこともできる。
【0033】薬剤は、媒染剤、帯電防止剤、分散剤、マ
イグレーション防止剤などを1又は2以上を含ませるこ
とができる。これらの薬剤は、従来染色加工で使用され
る薬剤の量と比べて、極めて少量であっても、その機能
を十分に発揮させることができる。また、上記薬剤を使
用することにより、上記薬剤を使用しない時と比較し
て、繊維と染料との化学結合を一層促進し、繊維と染料
との吸着を一層図ることができる。
【0034】ステップP2において、染色液を染み込ま
せた繊維を乾燥させる。
【0035】ステップP2は、繊維表面における染料の
吸着を促進する工程である。また、乾燥させることによ
り、繊維から流出する余分な染色液を除去し、染色液の
無駄を省くこともできる。
【0036】乾燥は、予備乾燥及び加熱の二段加熱処理
法や、加熱のみの一段加熱処理法が採られる。通常は、
80乃至100℃で20秒乃至2分間の予備乾燥を事前
に行い、100乃至130℃で、5秒乃至3分間加熱を
行う。これにより、乾燥時に繊維に付着した染色液の繊
維表面へのマイグレーションを防止することができる。
【0037】ステップP3において、乾燥させた繊維を
袋に詰める。
【0038】繊維毎に袋に詰めることにより、染色液に
よる目的とする繊維以外への色移りを防止することがで
きる。これによって、異なる色を用いる繊維同士であっ
ても、1つの圧力容器内で処理することができる。
【0039】袋の材質は、ポリプロピレンが好ましい
が、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどが使用で
きる。袋は、密閉することができる絞止機構を備えてい
ることが好ましい。また、袋は、引張り強さが良く、染
色液が漏洩せず、破損し難い、丈夫な素材が好ましい。
【0040】繊維を袋に詰めた後、吸引ポンプで、袋内
に残っている空気を抜き取る。袋内に空気が滞留してい
ると、空気が滞留している箇所は、染色がされない事態
が生じ、染色にムラが生じるからである。また、袋は圧
力容器内で加圧及び減圧を行うため、袋内に空気が滞留
していると、空気の膨張により、袋が破損し、染色液
が、漏洩するおそれがあるからである。
【0041】ステップP4において、圧力容器に繊維を
詰めた袋を充填する。
【0042】圧力容器は、高温高圧染色機に備え付けら
れており、圧力容器内を加圧、減圧することができる。
【0043】繊維を詰めた袋を、圧力容器内に均等に充
填した。繊維を詰めた袋は、1個に限る必要はなく、複
数個でもよいが、加圧に要する処理コスト面から、複数
個充填することが好ましい。圧力容器内に袋を複数個充
填する場合であっても、袋から染色液の漏洩が生じない
ため、隣り合う繊維に他の染色液の色が移ることはな
い。従って、赤色の染色液を含有した繊維を詰めた袋
と、青色の染色液を含有した繊維を詰めた袋とを、1つ
の圧力容器内に充填して、染色を行うことができる。こ
れにより、一度に、異なる色の染色を行うことができ
る。
【0044】ステップP5において、圧力容器に圧力を
加える。
【0045】ステップP5は、繊維表面から内部への染
料の拡散を促進する工程である。繊維内部へ拡散した染
料は繊維と結合して染着する。
【0046】繊維を詰めた袋を充填した後、圧力容器を
密閉し、高温高圧染色機により、加圧する。加圧時間、
圧力状態は、所望により適宜変更を行う。
【0047】加圧時間は、繊維及び染色液の状態、染色
液の繊維への吸着力の違いなどにより、所望の時間、加
圧する。50乃至1000気圧が好ましいが、80乃至
120気圧、50乃至70℃、2分乃至30分程度の高
圧状態がより好ましい。但し、この圧力状態、温度状態
は、所望により適宜変更する。
【0048】加圧後、減圧し、常圧、常温状態に戻す。
減圧は、袋が破損しない程度に、緩やかに行う。
【0049】ステップP6において、常圧に戻した後、
圧力容器内から袋を取り出し、その取り出した袋から染
色された繊維Xを取り出す。
【0050】袋から取り出した繊維Xには、繊維に吸着
せずに付着している染色液が残っているため、余分な染
色液を除去するため、水溶性溶媒若しくは有機溶媒など
に浸漬し溶解させた後、複数回水洗いを行った。
【0051】以上のステップにより、染色した繊維を得
た。
【0052】但し、本発明に係る繊維の染色方法は、上
述の実施の形態に限定されるものではない。
【0053】
【実施例1】以下、本発明を実施例により説明するが、
本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
図1は、実施例1を示す処理工程である。図2は、実施
例1の処理工程を図示してものであり、(a)は、ステ
ップP1およびP2、(b)は、ステップP3、(c)
は、ステップP4及びP5にそれぞれ対応する。
【0054】ステップP1において、繊維に染色液(染
料溶液)を染み込ませる。
【0055】繊維は、セルロース繊維を使用する。セル
ロース繊維は、拡布状の布にしたものを使用する。
【0056】セルロース繊維布1を、染料溶液2を入れ
たパッド浴3に浸漬する。染料溶液2は、直接染料であ
るダイレクトファストブラックBを使用する。このダイ
レクトファストブラックBは、次の化学式で示される構
造を有している。
【0057】
【化1】
【0058】この直接染料は、浴比1:10に調節す
る。浴比、すなわち繊維に対する処理浴の重量比(繊
維:処理浴)は、1:1乃至1:10が好ましいが、
1:30程度でもよい。
【0059】セルロース繊維布1を、パッド浴3に浸漬
し、ロール4を回転させて布を送りだす。ロール4の回
転スピードは、20cm/分でセルロース繊維布1を送
り出している。セルロース繊維布1の一片が、パッド浴
3の染料溶液2中に浸漬するに要する時間は、3分程度
である。
【0060】セルロース繊維布1を染料溶液2中に浸漬
させた後、ロール4を回転させて、セルロース繊維布1
を絞液工程に送る。絞液工程で、パッド浴3から送られ
てくるセルロース繊維布1に余分に付着した染料溶液2
を絞り出し、次工程の乾燥を行いやすくするためであ
る。
【0061】ステップP2において、染料溶液2を染み
込ませた繊維を、乾燥させる。
【0062】セルロース繊維布1は、絞液工程を経た
後、乾燥工程に送られる。乾燥工程は、セルロース繊維
布1の表面及び裏面の両面から、80乃至100℃の熱
風を吹き付ける。この熱風の温度と風速は、所望により
変更する。乾燥工程を通過する時間は、約3分程度であ
る。
【0063】乾燥後、セルロース繊維布1を所望の長さ
に切断する。この長さは、次工程における袋詰めに用い
る袋5の大きさに相当する長さに切断する。
【0064】図2(b)に示すように、ステップP3に
おいて、乾燥させたセルロース繊維布1を、袋5に詰め
る。
【0065】袋5は、ポリプロピレン製の袋を使用し
た。ポリプロピレン製の袋は、耐熱性のある丈夫な袋を
使用した。セルロース繊維布1を袋5に詰めた後、吸引
ポンプにて、袋5から空気を抜き、シールド5bで粘着
し密閉する。
【0066】図2(c)に示すように、ステップP4に
おいて、圧力容器6にセルロース繊維布1を詰めた袋5
を充填する。
【0067】袋5は、圧力容器6内で加圧した時に、い
ずれの袋についても、均等に圧力が加わるように、同心
円状に均一に充填した。充填後、圧力容器6の蓋を閉
じ、高圧に耐え得るように、強固に蓋と圧力容器6とを
固定した。
【0068】ステップP5において、圧力容器6に圧力
を加えた。
【0069】70乃至120気圧、40乃至70℃の条
件下で、5分間、加圧を行った。この気圧、温度条件
は、繊維と染料との吸着度合いにより、所望により適宜
変更するステップP6において、常圧に戻した後、圧力
容器6内から袋5を取り出し、その取り出した袋5から
染色されたセルロース繊維布1を取り出す。
【0070】セルロース繊維布1は、化学反応により、
直接染料であるダイレクトファストブラックBがセルロ
ース繊維布1に吸着し、黒色に染色される。
【0071】本実施例に係る染色方法により染色された
セルロース繊維布1は、染料の吸着力が極めて良く、洗
濯による色落ちはなく、鮮やかな黒色を呈する繊維が製
造できた。さらに、分散剤等の薬剤を使用しないため、
これらの薬剤の廃液処理に要するコストがかからず、経
済的である。
【0072】
【実施例2】本発明に係る実施例2は、異なる実施形態
による繊維の染色方法についてである。本実施例2に係
る染色方法についての処理工程は、実施例1の処理工程
と、ほぼ同様な処理工程であるため、図示を省略する。
【0073】まず、染色液を繊維に染み込ませる。
【0074】繊維は、セルロース繊維とナイロンとの混
毛である編織物を使用する。セルロース繊維及びナイロ
ンの編織物は、糸状にしたものを数10本乃至数100
本、編み込んだものを使用する。あまり太い編織物にす
ると、繊維内に染料が浸透せず、十分な染色が行えな
ず、一方、細い編織物にすると、染色加工に長時間を要
するため、適度な太さの編織物とする。
【0075】編織物を、染料溶液2を入れたパッド浴に
浸漬する。染料溶液2は、プロシオンオレンジMX−G
を使用した。このプロシオンオレンジMX−Gは、次の
化学式で示される構造を有している。
【0076】
【化2】
【0077】この反応染料は、浴比(繊維:染料溶液)
1:5に調節する。
【0078】この反応染料を入れたパッド浴に、マイグ
レーション防止剤、分散剤及び帯電防止剤の助剤を浴比
(助剤:染料溶液)1:100の割合で加える。
【0079】編織物を、パッド浴に浸漬し、ロールを回
転させて編織物を送りだす。ロールの回転スピードは、
30cm/分で編織物を送り出している。編織物の一部
が、パッド浴の染料溶液2中に浸漬するに要する時間
は、5分程度である。
【0080】染料溶液2に浸漬させた後、ロールを回転
させて、編織物をローラーに巻いていく。ローラーへの
巻き付けは、編織物と空気との接触面積を広くとるよう
に巻き付ける。ローラーは、円形のものを使用したが、
板状、直方体のものも使用できる。ローラーは、圧力容
器に層状に積み重ねられる形状をなしている。
【0081】ローラーに巻き付けた編織物は、ローラー
ごとに袋に詰める。
【0082】袋は、ポリ塩化ビニリデン製のものを使用
する。ポリ塩化ビニリデンは、耐熱性が良好で、空気や
液体の透過を抑えることができる。編織物を袋に詰めた
後、吸引ポンプにて、袋から空気を抜き、密閉する。
【0083】次に、圧力容器に編織物を詰めた袋を充填
する。
【0084】袋は、圧力容器内で加圧した時に、いずれ
の袋についても、均等に圧力が加わるように、層状に積
み重ねて充填する。充填後、圧力容器の蓋を閉じ、強固
に蓋と圧力容器とを固定する。
【0085】次に、圧力容器に圧力を加える。
【0086】150乃至200気圧、60乃至100℃
の条件下で、10分間、加圧を行う。
【0087】最後に、常圧に戻した後、圧力容器内から
袋を取り出し、その取り出した袋から染色された編織物
を取り出す。
【0088】編織物は、化学反応により、反応染料であ
るプロシオンオレンジMX−Gが編織物に吸着し、鮮や
かなオレンジ色に染色できた。
【0089】本実施例に係る染色方法により染色された
編織物は、マイグレーション防止剤、分散剤、帯電防止
剤などの薬剤と、反応染料とを、吸着したものであり、
染料の吸着力が極めて良く、染色以外の帯電防止機能等
を有している。これにより、反応に関与しない薬剤の無
駄を省くことができ、薬剤の無駄を省くことにより、薬
剤の除去に要していた作業時間、作業コストなどの削減
を図ることができる。また、薬剤の除去に伴う廃液処理
も少なくなるため、環境保護の観点からも極めて優れて
いる。
【0090】
【実施例3】本発明に係る実施例3は、異なる実施形態
による染色方法についてである。図3は、本発明の染色
方法の実施例3を示す処理工程である。
【0091】ステップP11において、圧力容器内に、
繊維と、染色液と、薬剤とを混入する。
【0092】繊維は、ポリエステル繊維を使用する。ポ
リエステル繊維は、拡布状の布にしたものを使用する。
【0093】染色液は、分散染料であるセリトンオレン
ジGRを使用する。このセリトンオレンジGRは、次の
化学式で示される構造を有している。
【0094】
【化3】
【0095】この染色液は、浴比(繊維:染色液)1:
1に調節する。
【0096】薬剤は、分散剤及び帯電防止剤を浴比(薬
剤:染色液)1:100の割合で加える。
【0097】ポリエステル繊維布は、圧力容器内で加圧
した時に、繊維布全体に、均等に圧力が加わるように
し、かつ、繊維布と分散染料との接触面積を広くとるよ
うに充填する。ポリエステル繊維布は、層状に折り畳
み、所望の厚さにする。最初、分散染料を圧力容器内に
八分の一程度入れ、次に、ポリエステル繊維布を圧力容
器内に数枚浸し、分散染料を浸漬する。次に、圧力容器
の八分の一程度の高さまで、ポリエステル繊維布を浸し
たら、再度、分散染料を八分の一程度加える。更に、ポ
リエステル繊維布を浸す。これを圧力容器がいっぱいに
なるまで繰り返し、ポリエステル繊維布に分散染料を浸
漬させる。充填後、圧力容器の蓋を閉じ、強固に蓋と圧
力容器とを固定する。
【0098】ステップP12において、圧力容器に圧力
を加える。
【0099】80乃至120気圧、50乃至70℃の条
件下で、10分間、加圧を行う。この気圧、温度条件
は、繊維と染料との吸着度合いにより、所望により適宜
変更する。実施例3においては、実施例1及び2と異な
り、繊維を袋に詰めていないため、袋の破損を問題とす
ることがないため、加圧条件をより厳しいものとするこ
とができる。また、袋に詰める作業が省略できるため、
大量の繊維布の染色が可能である。
【0100】ステップP13において、常圧に戻した
後、圧力容器内から染色されたポリエステル繊維布を取
り出す。
【0101】ポリエステル繊維布は、化学反応により、
分散染料であるセリトンオレンジGRがポリエステル繊
維布に吸着し、オレンジ色に染色された。
【0102】本実施例に係る染色方法では、一般に染色
が困難なポリエステル繊維布の染色を、容易に行うこと
ができ、また、一度吸着した染料は、吸着力が極めて良
い。さらに、繊維布を袋に詰める作業がないため、大量
の繊維布の染色が、極めて短時間に行うことができる。
【0103】
【発明の効果】本発明によれば、繊維と染色液のみで染
色が可能であり、染色液を繊維に吸着するために用いる
多種多量の化学薬品を削減し、処理労力の軽減を図るこ
とができる。
【0104】また、分散剤やマイグレーション防止剤な
どの薬剤を使用する場合であっても、その使用量は、極
めて少量であっても、吸着を促進する。
【0105】さらに、圧力容器内に繊維と染色液とを混
入することにより、大量の繊維布の染色が、極めて短時
間に容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の染色方法の一例を示す処理工程であ
る。
【図2】 本発明の染色方法の一例を示す処理工程であ
る。
【図3】 本発明の染色方法の実施例3を示す処理工程
である。
【符号の説明】
P1 繊維に、染色液を含有させる工程 P5 高圧を加える工程 1 セルロース繊維布 2 染料溶液 3 パッド浴 4 ロール 5 袋 5b シールド 6 圧力容器
フロントページの続き (72)発明者 安部 俊和 石川県加賀市大聖寺上福田町に77番地4号 加越産業株式会社内 (72)発明者 久保田 道正 石川県加賀市大聖寺上福田町に77番地4号 加越産業株式会社内 (72)発明者 新保 善正 石川県金沢市泉野町1丁目16番26号 (72)発明者 木水 貢 石川県金沢市戸水町ロ1番地 石川県工業 試験場内 Fターム(参考) 4H057 AA02 BA81 DA01 FA16 GA07 HA01 HA02 JA14 JB02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維を染色する染色方法において、染色
    液を繊維に含有させる第1工程と、高圧を加える第2工
    程と、を少なくとも有する繊維の染色方法。
  2. 【請求項2】 前記第1工程は、前記繊維と、前記染色
    液とを圧力容器内に入れる工程であることを特徴とする
    請求項1に記載の繊維の染色方法。
  3. 【請求項3】 前記第1工程は、前記繊維と、前記染色
    液とを同一の袋に入れる工程であることを特徴とする請
    求項1又は2に記載の繊維の染色方法。
  4. 【請求項4】 前記第1工程は、さらに薬剤を含有させ
    る工程を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
    か一項に記載の繊維の染色方法。
  5. 【請求項5】 前記第2工程は、0℃以上の温度におい
    て、100気圧以上の圧力を加える工程であることを特
    徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の繊維の染
    色方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5の何れか一項に記載する
    前記染色方法により染色された繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016519724A (ja) * 2013-03-25 2016-07-07 ユニヴァーシティ オブ リーズUniversity Of Leeds 基質の染色および処理のための新規方法

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