JP2003041204A - 環境にやさしい塗装用マスキングフィルムロール体及びその製造方法 - Google Patents

環境にやさしい塗装用マスキングフィルムロール体及びその製造方法

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JP2003041204A
JP2003041204A JP2001227401A JP2001227401A JP2003041204A JP 2003041204 A JP2003041204 A JP 2003041204A JP 2001227401 A JP2001227401 A JP 2001227401A JP 2001227401 A JP2001227401 A JP 2001227401A JP 2003041204 A JP2003041204 A JP 2003041204A
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density polyethylene
masking film
weight
film roll
ldpe
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Tatsumi Serizawa
達巳 芹澤
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Fujiclean Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 マスキングフィルム及び粘着テープの双方に
塩化水素ガス等の有害物質除去機能を持たせ、ダイオキ
シンの発生を発生源で抑制する環境にやさしい塗装用マ
スキングフィルムロール体及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 カルシウム及びマグネシウムを主成分と
する炭酸化合物を粉砕して微粉化した複合セラミックス
1〜30重量%、高密度ポリエチレン(HDPE)又は
低密度ポリエチレン(LDPE)70〜99重量%から
なるマスキングフィルムに、既存の粘着剤60〜95重
量%に水酸化アルミニウム5〜40重量%を添加してな
る粘着剤を布テープに塗布した粘着テープをフィルムの
端部に貼付した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は環境にやさしい塗装
用のマスキングフィルムロール体に関し、更に詳しく
は、使用後の廃棄処分に際して、焼却炉等での燃焼時、
発生する塩化水素などの有害成分を無害な塩化物等に化
学変化させ、ダイオキシンの発生を発生源で抑制する効
果をもつ塗装用マスキングフィルムロール体及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、各種建築物、自動車、その他各種
物品等には、各種の塗装が施されている。そして、塗装
に際して塗装部分と非塗装部分を分けるために、非塗装
部分に紙、合成紙、プラスチックフィルム等の塗装用マ
スキングフィルム等を被覆し、非塗装部分を塗料から遮
断し、保護していた。
【0003】これらのマスキングフィルムは、フィルム
表面に塗料が付着しやすく、流れにくく、しかも乾燥し
てもフィルム表面から剥離しにくい性質のものが必要と
され、これらに最適なものとして、ポリオリフィンフィ
ルム、ポリエチレンフィルム等が使用されていた。この
塗装用マスキングフィルムとしては、例えば、図1に示
す特開平7ー8857号の塗装用マスキングフィルムロ
ール体が提案されている。このロール体は、紙管1、フ
ィルム2、粘着テープ3、コロナ放電処理面a、非コロ
ナ放電処理面b、粘着剤層cとから構成されている。
【0004】しかし、これらの合成樹脂フィルムは、使
用後は廃棄物として処理しなければならず、一部が資源
ごみとして埋立て処理されるほか、大部分が焼却炉で他
の可燃物と一緒に焼却処理され、その際に、燃焼時に有
害成分の塩化水素ガス等を発生し、これがダイオキシン
生成の要因ともなっていた。
【0005】そこで、この焼却時に発生する塩化水素の
発生を防止するものとして各種の提案がなされていた。
先ず、特開平11ー152146号では、熱可塑性樹脂
中に、水酸化アルミニウム、ゼオライト、粘土、ケイ酸
塩、活性白土、活性アルミナの無機化合物を充填して熱
可塑性樹脂製袋とし、焼却炉における燃焼時に、発熱量
が少なく、かつ燃焼時或いは焼成後に同時に燃焼される
塵より生じる重金属、ダイオキシン等の有毒物質を吸着
し環境への放出を抑制する効果をもつ熱可塑性樹脂製袋
の発明が提案されている。
【0006】次に、特開2000ー297179号で
は、アラフェロン、イモゴライトもしくは軽石粉末を含
有した樹脂組成物またはゴム組成物とすることにより、
これらの組成物が廃棄物として焼却されるとき、排出さ
れる煙中の有害成分を吸着し、除去するので、環境中に
排出する有害成分を減少することができるとする発明が
提案されている。
【0007】また、特開2000ー7825号では、合
成樹脂とハイドロキシソーダライトからなる焼却炉中の
塩化水素除去作用を有する樹脂組成物を得ることで、可
燃ごみと一緒に焼却処分した場合においても塩化水素ガ
ス発生の抑制、あるいはダイオキシンの発生を抑制する
ことができる焼却炉中の塩化水素除去作用を有する樹脂
組成物の発明が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
焼却時に発生する塩化水素の発生を防止する提案は、い
ずれにおいても、熱可塑性樹脂中に各種の充填剤を含有
させた樹脂組成物に関するものであるが、塗装用マスキ
ングフィルムの分野において、実際には燃焼時に発生す
る塩化水素ガス等の有害物質を効果的に抑制することが
期待できず、これらの有害物質の発生の防止をより効果
的になされる塗装用マスキングフィルムロール体の開発
が強く望まれていた。
【0009】本発明の目的は、前述した従来の問題点を
解決すべくなされたもので、マスキングフィルム及び粘
着テープの双方に塩化水素ガス等の有害物質除去機能を
持たせ、使用後の廃棄処分に際して、焼却炉等での燃焼
時、発生する塩化水素などの有害成分を無害な塩化物等
に化学変化させ、又は塩化水素ガス等を吸着し、ダイオ
キシンの発生を発生源で抑制する環境にやさしい塗装用
マスキングフィルムロール体及びその製造方法を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の環境にやさしい
塗装用マスキングフィルムロール体は、カルシウム及び
マグネシウムを主成分とする炭酸化合物を粉砕して微粉
化して得られた複合セラミックス1〜30重量%、高密
度ポリエチレン(HDPE)又は低密度ポリエチレン
(LDPE)70〜99重量%からなるマスキングフィ
ルムに、既存の粘着剤60〜95重量%に水酸化アルミ
ニウム5〜40重量%を添加してなる粘着剤を布テープ
に塗布した粘着テープを前記フィルムの端部に貼付した
ことを特徴とする。
【0011】また、本発明の環境にやさしい塗装用マス
キングフィルムロール体は、前記炭酸化合物が、石灰
石、大理石、白亜、あられ石、その他の鉱石から抽出し
てなる炭酸カルシウム及び菱苦土鉱、その他の鉱物から
抽出してなる炭酸マグネシウムを主成分とすることを特
徴とする。
【0012】次に、本発明の環境にやさしい塗装用マス
キングフィルムロール体の製造方法は、カルシウム及び
マグネシウムを主成分とする炭酸化合物を粉砕して微粉
化し、これを結合して複合セラミックスとし、この複合
セラミックスの表面を酸性処理し、高密度ポリエチレン
(HDPE)又は低密度ポリエチレン(LDPE)と前
記セラミックスを混合し、混練して押出機にてペレット
状のマスターバッチとし、高密度ポリエチレン(HDP
E)又は低密度ポリエチレン(LDPE)に前記マスタ
ーバッチを加えて溶融混練し、インフレーション押出機
でチューブラーフィルムとし、既存の粘着剤に水酸化ア
ルミニウムを添加し、混練して粘着剤を形成し、この粘
着剤を布テープに塗布して粘着テープとし、この粘着テ
ープを前記フィルムの端部に貼付したことを特徴とす
る。
【0013】また、本発明の環境にやさしい塗装用マス
キングフィルムロール体の製造方法は、前記複合セラミ
ックスの配合割合を1〜30重量%、高密度ポリエチレ
ン(HDPE)又は低密度ポリエチレン(LDPE)の
配合割合を70〜99重量%としたことを特徴とする。
前記既存の粘着剤の配合割合を60〜95重量%、水酸
化アルミニウムの配合割合を5〜40重量%としたこと
を特徴とする。
【0014】また、本発明の環境にやさしい塗装用マス
キングフィルムロール体の製造方法は、前記炭酸化合物
が、石灰石、大理石、白亜、あられ石、その他の鉱石か
ら抽出してなる炭酸カルシウム及び菱苦土鉱、その他の
鉱物から抽出してなる炭酸マグネシウムを主成分とする
ことを特徴とする。
【0015】更にまた、本発明の環境にやさしい塗装用
マスキングフィルムロール体の製造方法は、前記高密度
ポリエチレン(HDPE)又は前記低密度ポリエチレン
(LDPE)と前記セラミックスを150℃前後で混練
して押出機にてペレット状のマスターバッチとしたこと
を特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を挙げて更に詳細に説明する。本発明の環境にやさし
い塗装用マスキングフィルムロール体は、カルシウム及
びマグネシウムを主成分とする炭酸化合物を粉砕して微
粉化して得られた複合セラミックス1〜30重量%、好
ましくは3〜10重量%、高密度ポリエチレン(HDP
E)又は低密度ポリエチレン(LDPE)70〜99重
量%、好ましくは90〜97重量%からなるマスキング
フィルムに、既存の粘着剤60〜95重量%、好ましく
は85〜95重量%に水酸化アルミニウム5〜40重量
%、好ましくは5〜15重量%を添加してなる粘着剤を
布テープに塗布した粘着テープを前記フィルムの端部に
貼付して形成される。前記高密度ポリエチレン(HDP
E)又は低密度ポリエチレン(LDPE)は、それぞれ
マスキングフィルムの用途に合わせて適宜選択される。
【0017】前記炭酸化合物は、石灰石、大理石、白
亜、あられ石、その他の鉱石から抽出される炭酸カルシ
ウム及び菱苦土鉱、その他の鉱物から抽出される炭酸マ
グネシウムを主成分とし、これらの微粉体が複合セラミ
ックスを構成している。
【0018】この複合セラミックスの原子吸光分析結果
は下記の通りである。 1.分析方法 供給試料を高温乾燥器中で120℃、1hr乾燥。乾燥
試料0.200gを秤量後、HCl(1+1)20ml
で強熱溶解。蒸留水で希釈後、原子吸光分析装置で定量
分析。EPMA定性分析で検出された元素を分析対象と
した。 2.定量分析結果 複合セラミックス(MHC−F)の定量分析結果は、下
記の表1の通りであった。
【0019】
【表1】
【0020】この天然の複合セラミックスには、カルシ
ウムやマグネシウムの水酸化物が含まれているため、系
の雰囲気は塩基性になり、マスキングフィルムが焼却炉
内で燃焼する時に発生する塩化水素などの強酸の存在下
では中和反応が進展し、複合セラミックスによる塩化水
素の抑制が効果的になされる。そして、前記の中和反応
を例示すると以下の通りとなる。 Ca(OH)2+HCl → CaCl2+2H2O Mg(OH)2+HCl → MgCl2+2H2O CaCO3+2HCl → CaCl2+CO2+H2O MgO+2HCl → MgCl2+H2O 塩化水素の発生が抑制された結果、有害物質であるダイ
オキシンの生成も抑制される。
【0021】次に、前記マスキングフィルムに貼付され
ている粘着テープには、水酸化アルミニウムが添加され
ているため、水酸化アルミニウムによる塩化水素の抑制
は効果的になされる。すなわち、粘着テープをマスキン
グフィルムと一緒に焼却すると、水酸化アルミニウムが
活性アルミナに変り、焼却炉内で活性アルミナは塩化水
素ガスやダイオキシンなどの有毒ガスを吸着し、焼却時
に発生する大気汚染物質を抑制する効果がある。
【0022】次に、本発明の環境にやさしい塗装用マス
キングフィルムロール体の製造方法を説明する。先ず、
複合セラミックスは、石灰石、大理石、白亜、あられ
石、その他の鉱石から抽出してなる炭酸カルシウム及び
菱苦土鉱、その他の鉱物から抽出してなる炭酸マグネシ
ウムを主成分とする炭酸化合物を粉砕して微粉化し、こ
れを結合して形成される。前記複合セラミックスは、粉
砕機にて微粉化した後、その表面は酸性処理される。こ
の表面処理は混合する樹脂との相溶性及び複合セラミッ
クス自身の二次凝集防止が目的である。
【0023】前記表面処理された複合セラミックスは、
高密度ポリエチレン(HDPE)又は低密度ポリエチレ
ン(LDPE)と混合され、150℃前後で混練されて
押出機にてペレット状のマスターバッチとして形成され
る。前記高密度ポリエチレン(HDPE)又は低密度ポ
リエチレン(LDPE)は、それぞれマスキングフィル
ムの用途に合わせて適宜選択される。前記複合セラミッ
クスの混合割合は、複合セラミックス1〜30重量%、
好ましくは3〜10重量%、高密度ポリエチレン(HD
PE)又は低密度ポリエチレン(LDPE)の混合割合
は、70〜99重量%、好ましくは90〜97重量%で
ある。
【0024】次に、前記マスターバッチは、高密度ポリ
エチレン(HDPE)又は低密度ポリエチレン(LDP
E)に添加されて溶融混練され、インフレーション押出
機で厚さ10μm〜30μmのチューブラーフィルムと
して形成され、紙管に巻き取られる。前記高密度ポリエ
チレン(HDPE)又は低密度ポリエチレン(LDP
E)は、それぞれマスキングフィルムの用途に合わせて
適宜選択される。
【0025】前記マスターバッチの混合割合は、例え
ば、3%複合セラミックスを添加しようとした場合、マ
スターバッチの内容量を80%にすれば、マスターバッ
チ3.75%を高密度ポリエチレン(HDPE)又は低
密度ポリエチレン(LDPE)の原料に添加すればよ
い。このように高濃度のマスターバッチを使用すれば、
少ない添加量でチューブラーフィルムを得ることがで
き、製造コストを低減することができる。
【0026】粘着テープは次のような加工手段を採る。
先ず、既知の方法で天然ゴム及び炭酸カルシウムその他
の無機フィラー等を混練りして粘着剤を作り上げるとき
に水酸化アルミニウムを投入する。すなわち、既存の粘
着剤60〜95重量%、好ましくは85〜95重量%に
水酸化アルミニウム5〜40重量%、好ましくは5〜1
5重量%を添加し、混練して粘着剤を形成し、この粘着
剤を布テープに塗布し、厚さを調整し、広幅でロールに
巻き取り、再度100m巻きし、必要幅(例えば、10
mm〜50mm)に巻き取り粘着テープを形成する。
【0027】前記紙管に巻き取られたチューブラーフィ
ルムを、フィルムマスカーの機械で折り畳み、左〜右の
一部を切り開き、開いた箇所4mm程度のところで前記
粘着テープを重ね貼りし、紙管に巻き取り、12.5m
〜35mにて塗装用マスキングフィルムロール体とす
る。
【0028】
【実施例1】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。石灰石から抽出してなる炭酸カルシウム68
重量%及び菱苦土鉱から抽出してなる炭酸マグネシウム
32重量%を主成分とする炭酸化合物を粉砕機で粉砕し
て微粉化し、これを結合して複合セラミックスを形成す
る。この複合セラミックスは、粉砕機にて微粉化した
後、その表面を酸性処理して、次工程で混合する樹脂と
の相溶性及び複合セラミックス自身の二次凝集防止を図
る。
【0029】前記表面処理された複合セラミックス5重
量%を、高密度ポリエチレン(HDPE)95重量%と
混合し、150℃前後で混練して押出機にてペレット状
のマスターバッチが得られた。次に、前記マスターバッ
チ3.75重量%を高密度ポリエチレン(HDPE)9
6.25重量%に添加して溶融混練し、インフレーショ
ン押出機で厚さ10μm〜30μmのチューブラーフィ
ルムとして形成し、紙管に巻き取る。
【0030】粘着テープは次のような加工手段を採る。
先ず、既知の方法で天然ゴム及び炭酸カルシウムその他
の無機フィラー等を混練りして粘着剤を作り上げるとき
に水酸化アルミニウムを投入する。すなわち、既存の粘
着剤90重量%に水酸化アルミニウム10重量%を添加
し、混練して粘着剤を形成し、この粘着剤を布テープに
塗布し、厚さを調整し、広幅でロールに巻き取り、再度
100m巻きし、必要幅の10mmに巻き取り粘着テー
プを形成する。
【0031】前記紙管に巻き取られたチューブラーフィ
ルムを、フィルムマスカーの機械で折り畳み、左〜右の
一部を切り開き、開いた箇所4mm程度のところで前記
粘着テープを重ね貼りし、紙管に巻き取り、12.5m
の塗装用マスキングフィルムロール体が得られた。
【0032】
【実施例2】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。石灰石から抽出してなる炭酸カルシウム68
重量%及び菱苦土鉱から抽出してなる炭酸マグネシウム
32重量%を主成分とする炭酸化合物を粉砕機で粉砕し
て微粉化し、これを結合して複合セラミックスを形成す
る。この複合セラミックスは、粉砕機にて微粉化した
後、その表面を酸性処理して、次工程で混合する樹脂と
の相溶性及び複合セラミックス自身の二次凝集防止を図
る。
【0033】前記表面処理された複合セラミックス5重
量%を、低密度ポリエチレン(LDPE)95重量%と
混合し、150℃前後で混練して押出機にてペレット状
のマスターバッチが得られた。次に、前記マスターバッ
チ3.75重量%を低密度ポリエチレン(LDPE)9
6.25重量%に添加して溶融混練し、インフレーショ
ン押出機で厚さ10μm〜30μmのチューブラーフィ
ルムとして形成し、紙管に巻き取る。
【0034】粘着テープは次のような加工手段を採る。
先ず、既知の方法で天然ゴム及び炭酸カルシウムその他
の無機フィラー等を混練りして粘着剤を作り上げるとき
に水酸化アルミニウムを投入する。すなわち、既存の粘
着剤90重量%に水酸化アルミニウム10重量%を添加
し、混練して粘着剤を形成し、この粘着剤を布テープに
塗布し、厚さを調整し、広幅でロールに巻き取り、再度
100m巻きし、必要幅の50mmに巻き取り粘着テー
プを形成する。
【0035】前記紙管に巻き取られたチューブラーフィ
ルムを、フィルムマスカーの機械で折り畳み、左〜右の
一部を切り開き、開いた箇所4mm程度のところで前記
粘着テープを重ね貼りし、紙管に巻き取り、35mの塗
装用マスキングフィルムロール体が得られた。
【0036】前記実施例1で得られたマスキングフィル
ムの基礎物性及び塩化水素抑制効果の試験を行った結果
は、以下の通りである。
【表2】
【0037】従来のマスキングフィルムに軟質塩化ビニ
ール(塩ビ量68%)を溶融混練させたもの1.0g
と、本発明のマスキングフィルムに軟質塩化ビニール
(塩ビ量68%)を溶融混練させたもの1.0gを、そ
れぞれ燃焼させ、発生した塩化水素発生量を測定した。
試験方法は、試料1.0gを温度約350℃で送風量
0.5L/minとした管状電気炉に入れ、その温度を
10分間保った後、25分間で700℃とし、その温度
で30分間燃焼させる。燃焼ガスはバブリング瓶を用い
て0.2N水酸化ナトリウム溶液に吸収させた。この溶
液を硝酸で中和した後、三菱化学製自動滴定装置GT−
07を使用し、沈殿滴定法を用いて硝酸銀で滴定し、試
料1.0g当りの塩化水素発生量を求めた。
【0038】
【表3】
【0039】本発明の複合セラミックスのダイオキシン
類の測定データは、以下の通りである。 [試験1] 排ガス測定を以下の試験方法で行った。 (1)燃焼物 ポリ塩化ビニリデンコートポリエチレンフィルム廃材及
び廃材100に対して複合セラミックス0.8%を練り
込んだもの (2)使用炉 プラスチック焼却炉(バッチ式)、焼却能力95kg/
hr、燃焼温度800℃以上 (3)測定機関 財団法人広島県環境保健協会
【0040】試験結果は、表4の通りである。
【表4】
【0041】[試験2] 残灰中ダイオキシン濃度測定
を以下の試験方法で行った。 (1)採取機関 株式会社東レテクノ(東レグループ分析機関) (2)分析機関 株式会社東レテクノ(東レグループ分析機関) (3)使用焼却炉 小型焼却炉 (4)試験方法 財団法人鳥取県保健事業団の指導の下、塩化ビニール管
100g(外形32mm×長さ1m)・複合セラミック
ス100g、木材100g、堤防除草後の枯草50kg
を10回に分けて焼却炉へ投入し、4時間かけて燃焼さ
せた。
【0042】試験結果は、表5の通りである。
【表5】
【0043】[比較例]本発明のマスキングフィルム
と、ポリエチレンフィルムからなるA製品、B製品、C
製品、D製品について以下の比較試験を行った。 [本発明のマスキングフィルム/透明]熱可塑性樹脂に
複合セラミックスを添加し、燃焼時の際、ダイオキシン
になり得る不安定な塩素を安全な化合物(塩化物)に化
学変化させることにより、発生源より抑制する。 [A製品/半透明]熱可塑性樹脂に水酸化アルミニウム
を添加し、焼却時の有毒ガスや塩化水素などを吸着、固
定化してダイオキシンの発生を抑制する。 [B製品/褐色]熱可塑性樹脂に活性フェロキサイド
(酸化鉄)を添加し、酸化鉄の持つ燃焼促進機能を生か
し、ゴミを完全燃焼しやすくし、有害物質の生成を防
ぐ。 [C製品/半透明]熱可塑性樹脂に人口ゼオライトを添
加し、焼却時の有毒ガスや塩化水素などを吸着、固定化
してダイオキシンの発生を抑制する。 [D製品/白色]熱可塑性樹脂に消石灰を添加し、燃焼
時の際、ダイオキシンになり得る不安定な塩素を安全な
化合物(塩化物)に化学変化させることにより、発生源
より抑制する。
【0044】(1)使用炉 ヤマト化学製マッフル炉FM48(炉内設定温度650
℃) 煙道内流速1m/s (2)測定方法 各製品(ゴミ袋)2.25gを折り畳み、中に塩素系ラ
ップフィルム0.1gを挟んだ状態で燃焼させた。その
時に発生する塩化水素の濃度を、マッフル炉に取り付け
た煙突の測定口にてガステック検知管で測定した。 (3)結果 経時変化に伴う煙突内の塩化水素濃度を表6に示す。
【表6】
【0045】本発明のマスキングフィルムは、抗菌特性
を有しており、その試験結果は以下の通りである。従来
のポリエチレンフィルム(50mm×50mm)の試料
3枚と、本発明のマスキングフィルム(50mm×50
mm)の試料3枚を用意し、生理的食塩水に大腸菌を懸
濁した菌液を前記各試料3枚に0.5mlずつ滴下し、
その上に滅菌したフィルム(45mm×45mm)を被
せ、室温で静置し、24時間後にフィルムを静かに剥が
して、速やかにピペットで菌液を全量回収し、混釈培養
法で菌数を測定した。その結果を表7に示す。
【表7】
【0046】本発明の複合セラミックスの抗菌特性につ
いての試験結果は以下の通りである。生理的食塩水に試
験菌を懸濁した菌液40mlに検体2.0gを加え、3
7℃で振とうし、経時的に菌数を測定した(財団法人日
本食品分析センターにて試験)。測定結果は、表8、表
9及び表10に示す。
【表8】
【表9】
【表10】
【0047】水酸化アルミニウムを配合した本発明の粘
着剤のダイオキシン抑制効果測定結果は次の通りであ
る。上記の測定試験は、水酸化アルミニウムの配合量を
変更して行い、ダイオキシン抑制効果(塩化水素抑制
率)の測定結果を表11に示す。試験方法は、試料1g
±当りに塩化水素に換算して、9.7mg相当量(理論
値)を各試料(粘着剤)に添加する。試料0.5mg±
0.1mgを温度約350℃で送付風量0.5L/分と
した管状電気炉に入れ、その温度を10分間保った後、
25分間で700℃とし、その温度で30分間燃焼させ
る。燃焼ガスは、バブリング瓶を用いて0.2Nの水酸
化ナトリウム溶液に吸収させた。この溶液を硝酸で中和
した後、三菱化学製自動滴定装置GT−07を使用し、
沈殿滴定法を用いて硝酸銀で滴定し、試料1g当りの塩
化水素発生量を求めた。
【0048】
【表11】
【0049】水酸化アルミニウムの配合量を変更した本
発明の粘着剤について、セラミック製造メーカーにダイ
オキシンの発生原因と考えられるHClの抑制率を測定
依頼した。 1.測定の結果から、各試料の塩ビ添加量9.7mg/
g(HCl換算値)に対して、HCl発生量と残灰中の
HCl換算量の合計が2.6〜5.1mg/gと低く、
HClの捕捉が不十分であるため、試験結果の信頼性は
低いと考えられる。そこで、表11のHCl抑制率は、
試料中のHCl理論含有値9.7mg/gを用いて、残
灰中のHCl換算量からHCl抑制率を算出している。 2.粘着剤中の成分が阻害要因となり、この燃焼試験方
法による解析には限界があると考えられる。水酸化アル
ミニウム配合粘着剤のHCl抑制率については、配合量
を変更しても、HCl抑制率はほとんど変化せず、1
3.4〜17.5%と低い結果となった。ただし、粘着
剤中の成分が阻害要因となっていると推定されるため、
実際のダイオキシン抑制効果よりも低くなっている可能
性がある。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の環境にや
さしい塗装用マスキングフィルムロール体及びその製造
方法によれば、マスキングフィルム及び粘着テープの双
方に塩化水素ガス等の有害物質除去機能を持たせ、使用
後の廃棄処分に際して、焼却炉等での燃焼時、発生する
塩化水素などの有害成分を無害な塩化物等に化学変化さ
せ、又は塩化水素ガス等の有害成分を吸着し、ダイオキ
シンの発生を発生源で抑制する効果を奏することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の塗装用マスキングフィルムロール体を示
す斜視図である。
【符号の説明】
1 紙管 2 フィルム 3 粘着テープ a コロナ放電処理面 b 非コロナ放電処理面 c 粘着剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D073 AA01 DB03 DB13 DB32 4J004 AA04 AB01 CA04 CC02 CD08 CE03 EA01 EA06 FA04 GA01 4J040 CA011 HA136 HA156 HA196 JA09 JB09 KA03 KA36 KA43 LA08 MA01 MA02 MB03 NA12 NA16 PA23 PA33

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウム及びマグネシウムを主成分と
    する炭酸化合物を粉砕して微粉化して得られた複合セラ
    ミックス1〜30重量%、高密度ポリエチレン(HDP
    E)又は低密度ポリエチレン(LDPE)70〜99重
    量%からなるマスキングフィルムに、既存の粘着剤60
    〜95重量%に水酸化アルミニウム5〜40重量%を添
    加してなる粘着剤を布テープに塗布した粘着テープを前
    記フィルムの端部に貼付したことを特徴とする環境にや
    さしい塗装用マスキングフィルムロール体。
  2. 【請求項2】 前記炭酸化合物が、石灰石、大理石、白
    亜、あられ石、その他の鉱石から抽出してなる炭酸カル
    シウム及び菱苦土鉱、その他の鉱物から抽出してなる炭
    酸マグネシウムを主成分とすることを特徴とする請求項
    1に記載の環境にやさしい塗装用マスキングフィルムロ
    ール体。
  3. 【請求項3】 カルシウム及びマグネシウムを主成分と
    する炭酸化合物を粉砕して微粉化し、これを結合して複
    合セラミックスとし、この複合セラミックスの表面を酸
    性処理し、高密度ポリエチレン(HDPE)又は低密度
    ポリエチレン(LDPE)と前記セラミックスを混合
    し、混練して押出機にてペレット状のマスターバッチと
    し、高密度ポリエチレン(HDPE)又は低密度ポリエ
    チレン(LDPE)に前記マスターバッチを加えて溶融
    混練し、インフレーション押出機でチューブラーフィル
    ムとし、既存の粘着剤に水酸化アルミニウムを添加し、
    混練して粘着剤を形成し、この粘着剤を布テープに塗布
    して粘着テープとし、この粘着テープを前記フィルムの
    端部に貼付したことを特徴とする環境にやさしい塗装用
    マスキングフィルムロール体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記複合セラミックスの配合割合を1〜
    30重量%、高密度ポリエチレン(HDPE)又は低密
    度ポリエチレン(LDPE)の配合割合を70〜99重
    量%としたことを特徴とする請求項3に記載の環境にや
    さしい塗装用マスキングフィルムロール体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記既存の粘着剤の配合割合を60〜9
    5重量%、水酸化アルミニウムの配合割合を5〜40重
    量%としたことを特徴とする請求項3又は4に記載の環
    境にやさしい塗装用マスキングフィルムロール体の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記炭酸化合物が、石灰石、大理石、白
    亜、あられ石、その他の鉱石から抽出してなる炭酸カル
    シウム及び菱苦土鉱、その他の鉱物から抽出してなる炭
    酸マグネシウムを主成分とすることを特徴とする請求項
    3又は4に記載の環境にやさしい塗装用マスキングフィ
    ルムロール体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記高密度ポリエチレン(HDPE)又
    は前記低密度ポリエチレン(LDPE)と前記セラミッ
    クスを150℃前後で混練して押出機にてペレット状の
    マスターバッチとしたことを特徴とする請求項3、4又
    は6に記載の環境にやさしい塗装用マスキングフィルム
    ロール体の製造方法。
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JP5640742B2 (ja) * 2008-09-26 2014-12-17 日本ゼオン株式会社 熱伝導性感圧接着剤組成物、熱伝導性感圧接着性シート、及び電子部品
CN114574119A (zh) * 2022-03-24 2022-06-03 江苏日邦节能科技有限公司 一种三层共挤芯层微发泡pp膜胶带的制作方法

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