JP2003040897A - 有機リン系組成物およびそれを含有する樹脂組成物 - Google Patents

有機リン系組成物およびそれを含有する樹脂組成物

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JP2003040897A
JP2003040897A JP2001224796A JP2001224796A JP2003040897A JP 2003040897 A JP2003040897 A JP 2003040897A JP 2001224796 A JP2001224796 A JP 2001224796A JP 2001224796 A JP2001224796 A JP 2001224796A JP 2003040897 A JP2003040897 A JP 2003040897A
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dop
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organic
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organic phosphorus
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JP2001224796A
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Minako Shimizu
美奈子 清水
Kazunori Sato
万紀 佐藤
Shigeru Yasuda
滋 安田
Hideo Takeuchi
秀夫 竹内
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】DOPを有機化合物と反応させた際にコンプレ
ックスを形成せず、熱可塑性樹脂に添加混合する時に、
計量精度が向上し、かつ容易に均一混合が可能となり、
着色防止を可能とし色調の良好な熱可塑性樹脂を提供す
ること。 【解決手段】一般式(1): 【化1】 (式中、R1 及びR2 は有機基又はハロゲン原子を示
し、m及びnは0〜4の整数を示し、mまたはnが2〜
4の整数の場合にR1 及びR2 はそれぞれ同一又は異な
っていてもよい。)で表される有機リン系化合物を主成
分として含有してなる有機リン系組成物であって、該有
機リン系組成物の嵩密度が2.00cm3/g以下であ
ることを特徴とする有機リン系組成物。および該有機リ
ン系組成物を含有する透明性、着色性の優れた熱可塑性
樹脂組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般式(1):
【0002】
【化3】 (式中、R1 及びR2 は有機基又はハロゲン原子を示
し、m及びnは0〜4の整数を示し、mまたはnが2〜
4の整数の場合にR1 及びR2 はそれぞれ同一又は異な
っていてもよい。)で表される有機リン系化合物を主成
分として含有してなる有機リン系組成物に関し、さらに
詳しくは該組成物の嵩密度が2.00cm3/g以下の
有機リン系組成物に関するものである。
【0003】また、本発明は、前記有機リン系組成物中
の前記一般式(1)で示される有機リン系化合物を、一
般式(4):
【0004】
【化4】 (式中、R1 、R2 、m、nは前記と同じ。また、Aは
1 及びR2 と同一又は異なる有機基を示す。)で表さ
れる有機リン系化合物に誘導してなる有機リン系組成物
に関する。
【0005】さらに本発明は、一般式(4)を主成分と
して含有してなる熱可塑性樹脂組成物に関する。前記一
般式(1)または一般式(4)で示される有機リン系化
合物を含有してなる有機リン系組成物は、たとえば、高
分子化合物原料、潤滑油、有機化合物の酸化防止剤、難
燃剤、可塑剤、殺虫剤、着色防止剤、重合開始剤などの
各種の用途に使用される。特に一般式(1)で表される
化合物は熱可塑性樹脂の添加剤、可塑剤、好ましくは酸
化防止剤として優れている。また、純度があがることに
より、オレフィン系ポリマーの重合開始剤としても効果
がある。
【0006】
【従来の技術】従来より、前記一般式(1)で表され
る、6−オキソ−(6H)−ジベンゾ−(c,e)
(1,2 )−オキサホスホリンに代表される有機リン系
化合物(以下、当該化合物をDOPともいう。)は、特
公昭47−1643号公報、特公昭49−45397号
公報、特公昭50−1799号公報、また最近では、特
開平10−1490号公報、特開平7−145185号
公報、特開平8−99983号公報、特表平10−51
0545号公報などに記載の製造方法により記載されて
いる。
【0007】すなわち、DOPは、一般式(2):
【0008】
【化5】 (式中、R1 、R2 、m、nは前記と同じ。)で表され
るオルソフェニルフェノール系化合物(以下、当該化合
物をOPPともいう)に三ハロゲン化リン(PX3 :
Xはハロゲン原子を示す)等のリン化合物を反応させ、
さらに塩化亜鉛等のフリーデル・クラフツ型触媒の存在
下に加熱縮合させて、一般式(3):
【0009】
【化6】 (式中、R1 、R2 、m、nは前記と同じ。Xはハロゲ
ン原子を示す。)で表される化合物(以下、当該化合物
をDOP−Xともいう。)を製造し、次いでDOP−X
を加熱下に水により加水分解する方法により製造してい
る。
【0010】しかし、かかる方法においては、DOP−
Xを製造する際に用いるフリーデル・クラフツ型触媒で
ある塩化亜鉛等の亜鉛化合物が、得られるDOP中に残
存する。当該亜鉛化合物等の二価金属化合物は、DOP
を他の有機化合物と反応させる際にDOPとコンプレッ
クスを形成して、不溶物を形成するため、二価金属含有
量の少ないDOPが望まれている。
【0011】また得られた一般式(1)の化合物はフロ
ック状であり、熱可塑性化合物に混合する場合粉砕する
必要があり、このため均一混合が十分にできず、透明
性、着色防止に対して不十分であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、DOPを有
機化合物と反応させた際にコンプレックスを形成せず、
熱可塑性樹脂に添加混合する時に、計量精度が向上し、
かつ容易に均一混合が可能となり、着色防止を可能とし
色調の良好な熱可塑性樹脂を提供することを課題とする
ものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、DOPから誘導さ
れた化合物を微粉末状にすることにより前記目的を達成
しうることを見出し、遂に本発明を完成するに到った。
すなわち本発明は、一般式(1):
【化7】 (式中、R1 及びR2 は有機基又はハロゲン原子を示
し、m及びnは0〜4の整数を示し、mまたはnが2〜
4の整数の場合にR1 及びR2 はそれぞれ同一又は異な
っていてもよい。)で表される有機リン系化合物を主成
分として含有してなる有機リン系組成物であって、該有
機リン系組成物の嵩密度が2.00cm3/g以下であ
ることを特徴とする有機リン系組成物。 有機リン系化合物以外の化合物として、当該有機リン
系化合物に対し、二価金属量として、二価金属量≦30
ppmの範囲の二価金属化合物を含有してなる前記記
載の有機リン系組成物。 二価金属が亜鉛である前記記載の有機リン系組成
物。 ハロゲン化合物の含有量が、前記有機リン系化合物に
対し、ハロゲン原子量として、250ppm以下である
前記〜3のいずれかに記載の有機リン系組成物。 前記有機リン系化合物以外に実質的に有機化合物を含
有しない前記〜記載の有機リン系組成物。 前記〜のいずれかに記載の有機リン系組成物中の
有機リン系化合物を、一般式(4):
【化8】 (式中、R1 及びR2 は有機基又はハロゲン原子を示
し、m及びnは0〜4の整数を示し、mまたはnが2〜
4の整数の場合にR1 及びR2 はそれぞれ同一又は異な
っていてもよい。また、AはR1 及びR2 と同一又は異
なる有機基を示す。)で表される有機リン系化合物に誘
導してなる有機リン系組成物。 前記〜に記載のリン化合物を含有する透明性、着
色性の優れた熱可塑性樹脂組成物である。
【0014】本発明において、前記DOPを主成分とす
る有機リン系組成物中には、通常、製造で生じるハロゲ
ン化合物が残存するが、当該ハロゲン化合物の含有量
は、DOPに対し、ハロゲン原子量として、250pp
m以下とするのが好ましい。DOPに対する、ハロゲン
原子量は少ない程よく、150ppm以下とするのがよ
り好ましい。ハロゲン原子量を低減させることにより、
他の添加剤と組み合わせた時に着色防止の効果を顕著に
発現させる。また、前記DOPを主成分とする有機リン
系組成物に、DOPの原料であるOPP等のDOP以外
の有機化合物を実質的に除去したものは、高度に白色で
あり、減圧蒸留などの溶融精製工程を特に必要とせず、
精製工程の簡略化が可能である。また、かかる有機リン
系組成物は、通常、粉末状を呈し、粉末状物は取り扱い
が容易であり計量精度があがり、特に嵩密度が2.00
cm3/g以下、好ましくは1.82cm3/g以下なら
有機溶媒への溶解も迅速になり溶解性も良好であり生産
性に優れる。なお、DOP以外の有機化合物を実質的に
含有していないとは、有機リン系組成物が粉末状を呈す
る程度に、有機リン系組成物中のDOPの純度が高いこ
とをいい、たとえば、有機リン系組成物におけるDOP
以外の有機化合物の含有量が10000ppm以下の場
合をいう。
【0015】本発明のDOPの製造方法においては、加
水分解工程における、DOP−Xと水の割合は等モル比
に設定することにより、ハロゲン化水素ガスを含む廃液
(たとえば、塩酸廃液等)の生成がなくなり、しかもハ
ロゲン化水素ガスを定量的に分離でき、DOP中のハロ
ゲン化合物の含有量を低減できる。また、得られたDO
Pの純度を向上するための、精製工程(b)として、D
OPをさらに加水分解し、脱水環化する工程を設けるこ
とにより、触媒残渣、ハロゲン化合物、OPPに含まれ
る不純物をより効果的に除去できる。
【0016】また、DOP−Xの製造にあたり、原料で
ある粗OPPを有機溶媒で洗浄して高純度化する工程
(c)を施すことにより、DOP−X、DOP中の目的
化合物以外の有機化合物の含有率を低減でき、DOP−
X、DOPの純度を簡易な操作により向上することがで
きる。
【0017】さらに、DOP−Xに精製工程(a)を施
した後に、加水分解する工程を施すことにより、触媒残
渣、ハロゲン化合物、OPPに含まれる不純物の除去
や、DOP中の亜鉛化合物の含有量等の調整により有効
に行うことができる。
【0018】また前記DOPを主成分とする有機リン系
組成物中の有機リン系化合物から誘導される、一般式
(4)で表される有機リン系誘導体は、DOPに各種の
用途に応じて適宜に有機基(A)を導入したDOP誘導
体であり、リン原子含有量は15000ppm以下、さ
らには6500ppm以下とするのがより好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の一般式(1):
【0020】
【化9】 (式中、R1 及びR2 は有機基又はハロゲン原子を示
し、m及びnは0〜4の整数を示し、mまたはnが2〜
4の整数の場合にR1 及びR2 はそれぞれ同一又は異な
っていてもよい。)で表される有機リン系化合物(DO
P)を主成分とする有機リン系組成物は、その調製法は
特に制限されるものではない。
【0021】なお、本発明において多少含有される二価
金属化合物としては、各種の亜鉛化合物、マンガン化合
物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、バリウム
化合物、銅化合物、鉄化合物、コバルト化合物などが挙
げられる。
【0022】なお、前記一般式(1)中のR1 、R2
有機基としては、たとえば、直鎖もしくは分岐鎖の炭素
数1〜4程度のアルキル基、フェニル基等のアリール
基、ベンジル基等のアラルキル基、シクロアルキル基等
の炭化水素基、当該アルキル基、アリール基、アラルキ
ル基等の炭化水素基に対応するアルコキシル基、アリー
ルオキシ基等、カルボキシル基またはそのエステル基等
の各種のものを例示でき、ハロゲン原子としては塩素原
子、臭素原子等を例示できる。DOPの調製は、たとえ
ば、一般式(2):
【0023】
【化10】 (式中、R1 、R2 、n、mは前記と同じ。)で表され
るオルソフェニルフェノール誘導体(OPP)に三ハロ
ゲン化リン(PX3 :Xは塩素原子または臭素原子等
のハロゲン原子を示す)等のリン化合物を反応させ、さ
らにフリーデル・クラフツ型触媒の存在下に加熱縮合さ
せて、一般式(3):
【0024】
【化11】 (式中、R1 、R2 、n、mは前記と同じ。Xはハロゲ
ン原子を示す。)で表される化合物(DOP−X)を製
造する。前記OPPと三ハロゲン化リンのモル比(OP
P:三ハロゲン化リン)は、通常1:1〜2程度、好ま
しくは1:1.1〜1.5程度である。
【0025】三ハロゲン化リンとしては三塩化リン、三
臭化リンがあげられるが、通常、三ハロゲン化リンとし
ては、三塩化リンが用いられる。なお、本発明の有機リ
ン系組成物に残存するハロゲン化合物の殆どは、三ハロ
ゲン化リンに由来するため、三ハロゲン化リンとして三
塩化リンを用いた場合のハロゲン化合物含有量は、塩素
化合物含有量である。
【0026】フリーデル・クラフツ型触媒としては、通
常、塩化亜鉛を用いるのが好ましいが、塩化亜鉛以外に
も塩化第一銅、塩化第二銅、塩化スズ、塩化水銀、塩化
鉄などの金属ハロゲン化物、そのほかに、金属亜鉛、金
属アルミニュウム、金属銅またはこれらの金属酸化物で
反応系内においてハロゲン化物に変化しうるものを用い
ることができる。
【0027】前記触媒の使用量は、本発明の有機リン系
組成物が少なくとも前記所定量の二価金属化合物を含む
ように用いるが、通常は、OPP100重量部に対し
0.05〜3部程度、好ましくは0.1〜1部程度であ
る。
【0028】反応温度は、通常、30〜250℃程度、
好ましくは50〜230℃程度で、あり、反応時間は反
応温度、触媒使用量等他の反応条件によるが、通常3〜
35時間程度、好ましくは5〜15時間である。反応の
終了は、反応進行に伴なって発生するハロゲン化水素ガ
スがなくなった時点とする。
【0029】次いで、DOP−Xを加熱下に水により加
水分解することによりDOPを製造する。加水分解の反
応温度は、50〜250℃程度、反応時間は1〜10時
間程度である。
【0030】水の使用割合は、DOP−Xの等モル相当
量以上であれば特に制限はないが、DOP−Xと水を等
モル相当比で反応させた場合には、ハロゲン化水素ガス
を含む廃液(たとえば、塩酸廃液等)の生成がなく、し
かもハロゲン化水素ガスを定量的に分離でき、好まし
い。DOP−Xと水を等モル比で反応させる方法では、
DOP−Xと水をモル比で1:1の割合で反応させ、反
応により生成するハロゲン化水素ガスをその生成速度に
合わせて除去しながら反応させる。加水分解反応の終了
は、反応進行に伴なって発生するハロゲン化水素ガスが
なくなった時点とする。
【0031】一方、加水分解に過剰量の水を用いた場合
には、DOPはさらに加水分解されるため、DOPの加
水分解物を単離した後に、DOPの加水分解物を加熱脱
水環化してDOPにする。加熱脱水環化は、通常10〜
15kPa程度の減圧下、110〜180℃程度で行
う。
【0032】また、前記加水分解は、有機溶媒の存在下
に行うこともできる。有機溶媒としては、トルエン、o
−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベン
ゼン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族系
溶媒等があげられる。有機溶媒の使用量は原料OPP1
00重量部に対し1000重量部程度以下、好ましくは
500重量部以下である。
【0033】このようにして、通常、DOPが製造され
るが、本発明の有機リン系組成物は、かかるDOPの製
造工程において、得られるDOP中に前記所定量の二価
金属化合物が含まれるように、またハロゲン化合物、D
OP以外の有機化合物の含有率が少なくなるように調製
される。
【0034】本発明有機リン系組成物は、嵩密度が2.
00cm3/g以下の微粉末状であることを必須として
いるが、有機リン系組成物を微粉末状にする手段として
は、粉砕等の他、以下に示す方法により、有機リン系組
成物中の不純物を除去することにより、有機リン系組成
物を微粉末状物で収得しうる。
【0035】たとえば、前記DOPの製造方法におい
て、(a)DOP−Xを製造した後に精製する方法、
(b)DOP−Xを加水分解した後に精製する方法によ
り、前記本発明の有機リン系組成物を調製することがで
きる。 (a)DOP−Xを製造した後に精製する方法では、触
媒残渣およびハロゲン化合物を除去可能であり、得られ
る有機リン系組成物中の二価金属化合物の含有量を調整
できる。またOPPに含まれる不純物も除去できる。
(a)の精製方法としては、具体的には得られたDOP
−Xを、(a1 )有機溶媒で洗浄する方法、(a2 )減
圧蒸留する方法、(a3 )再結晶する方法等があげられ
る。(a1 )有機溶媒で洗浄する方法に用いる有機溶媒
としては、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p
−キシレン、エチルベンゼン、クロルベンゼン、ジクロ
ルベンゼン等の芳香族系溶媒等があげられる。これらの
なかでも、トルエンがOPP中の不純物をよく溶解し好
ましい。有機溶媒の使用量は、通常、DOP−Xに対し
て0.05重量%以上であり、少量の有機溶媒によりD
OP−Xを洗浄できる。有機溶媒の使用量の上限に制限
はないが、通常、DOP−Xに対して50重量%以下と
するのが適当である。洗浄精製はDOP−Xに有機溶媒
を所定量添加して攪拌溶解した後に、上澄みを除去する
ことにより行う。(a2 )減圧蒸留する方法は、133
Pa程度の減圧下、220〜250℃程度で行う。(a
3 )再結晶する方法は、アルコール等で再結晶すること
により行う。これら精製(a)のなかでも、(a1 )の
操作が簡易であり好ましい。 (b)DOPを加水分解した後に精製する方法では、触
媒残渣、ハロゲン化合物、OPPに含まれる不純物を除
去して、DOPの純度を向上させる。こうして得られた
DOPは、高純度白色で微粉末状を呈する。(b)の精
製は、DOP−Xの加水分解に過剰量の水を用いた場合
には、DOPの加水分解物を単離した後に、これを加熱
脱水環化するため、DOPの加水分解物に精製を(b
1)施す。精製したDOPの加水分解物は白色結晶にな
る。
【0036】また、DOPの加水分解物の精製(b1)
は、加水分解時の有機溶剤の存在の有無により、それに
応じた精製を適宜に行う。たとえば、加水分解時に有機
溶剤が存在しない場合(b1−1)には、DOPの加水
分解物を蒸留する方法、再結晶する方法、アルカリ金属
水酸化物を添加して加熱した後、脱色処理して、さらに
酸析する方法等によりDOPの加水分解物の精製を行
う。蒸留する方法、再結晶する方法は、精製(a)と同
様の方法を採用できる。アルカリ金属水酸化物として
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシ
ウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等があ
げられ、脱色処理には活性炭、活性白土等が用いられ、
酸析には硫酸、塩酸等が用いられる。
【0037】加水分解時に有機溶剤が存在する場合(b
1−2 )には、水層を分離した後、必要に応じて加圧加
熱下に油層を水で数回洗浄し、さらに油層から残留水分
を除去した後、脱色処理することにより精製を行う。さ
らに必要により、水洗浄、有機溶媒洗浄、ろ過を行い、
DOPの加水分解物の精製を行う。なお、脱色処理は上
記同様の方法を採用できる。
【0038】一方、DOP−Xと等モル相当量の水を用
いて加水分解反応を行った場合には、反応生成物として
DOPが得られるため、反応終了後、得られたDOPに
精製(b2)を施す。DOPの精製(b2)は、DOP
に有機溶媒を加えて冷却した後、生成物をろ過し、さら
に有機溶媒で洗浄する方法、蒸留する方法、再結晶する
方法などにより行うことができる(b2−1)。また、
DOP−Xと等モル相当量の水を用いた加水分解反応に
より得られたDOPは、前記DOPの精製(b2−1)
を施すことができる他に、得られたDOPに、さらに温
水を添加して加水分解し、DOPを加水分解物に変換し
て(b1:b1−1、b1−2 のいずれも)と同様の精
製を施すことができる(b2−2)。この場合には、D
OPの加水分解物は、精製(b2−2)の後、脱水環化
する。なお、DOPの精製(b2)は、DOPに精製
(b1)を施した後に、さらに施すこともできる。これ
ら精製(b)のなかでも、得られたDOPを、さらに加
水分解した後、DOPの加水分解物に精製を施してから
脱水環化する方法が好ましい(b2−2)。(b2−
2)における精製手段としては(b1−1)と同様の操
作が好ましい。特に、かかる精製を、DOP−Xと等モ
ル相当量の水を用いて、加水分解反応を行うと塩酸廃水
がなく、また効果的にDOPの加水分解精製を行うこと
ができDOPの純度を向上できる。
【0039】上記方法の他、(c)原料として高純度の
OPPを用いる方法によれば、DOP以外の有機化合物
の含有率を低減できる。高純度のOPPの調製は、通
常、純度80%以上のOPPを、有機溶媒で洗浄するこ
とにより行う。有機溶媒としては、トルエン、o−キシ
レン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、
クロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族系溶媒等
があげられる。これらのなかでも、トルエンがOPP中
の不純物を最もよく溶解し好ましい。有機溶媒の使用量
は、通常、OPPに対して0.05重量%以上であり、
少量の有機溶媒によりOPPを洗浄できる。有機溶媒の
使用量の上限に制限はないが、通常、OPPに対して5
0重量%以下とするのが適当である。洗浄精製はOPP
に有機溶媒を所定量添加して攪拌溶解した後に、上澄み
を除去することにより行う。なお、OPPの合成方法
は、特開昭50−18444号公報、特開昭55−33
417号公報、特開昭56−20533号公報、特開昭
62−4442号公報、特開平5−201904号公報
などに記載されているが、これらの方法では、OPPの
出発原料であるジベンゾフラン、o−シクロヘキセニル
シクロヘキサン、2−シクロヘキシルフェノールなど
が、得られるOPP中に不純物として残存している。
【0040】DOPを主成分としてなる本発明有機リン
系組成物は、上述のような製法により、嵩密度2.00
cm3/g以下の微粉末状のものを得ることができる
が、得られた本発明有機リン系組成物の融点は116±
3℃、ニ価金属量含有量、特に亜鉛金属の含有量は30
ppm以下、好ましくは15ppm以下、さらに好ましくは5
ppm以下である。また塩素含有量も200ppm以下、好ま
しくは150ppm以下である。つまり、本発明組成物の
純度は99.5%以上、さらには99.9%以上が好ま
しく、限りなく一般式(1)で示される有機リン化合物
単独に近いものであるが、嵩密度2.00cm3/g以
下の微粉末状を呈していることを特徴とするものであ
る。
【0041】このようにして得られる本発明有機リン系
組成物中のDOPは、一般式(4):
【0042】
【化12】 (式中、R1 及びR2 は有機基又はハロゲン原子を示
し、m及びnは0〜4の整数を示し、mまたはnが2〜
4の整数の場合にR1 及びR2 はそれぞれ同一又は異な
っていてもよい。また、AはR1 及びR2 と同一又は異
なる有機基を示す。)で表される有機リン系化合物に誘
導される。
【0043】DOPの一般式(4)で表される有機リン
系化合物への誘導は、たとえば、DOPを、α,βー不
飽和カルボン酸系化合物にマイケル付加反応させる方
法、アルデヒド化合物、カルボニル化合物等に付加させ
る方法、オキシラン化合物に付加する方法、DOPとフ
リーデル・クラフツ反応しうるフェノール系化合物等の
芳香族系化合物を反応させる方法、DOPと脱水縮合し
うる水酸基等を有する化合物を反応させる方法により合
成できる。
【0044】なお、一般式(4)において有機基(A)
は、特に制限されず、また有機基(A)は誘導体に直接
導入されるものに限られない。有機基(A)が官能基を
有する場合には、DOPに官能基を有する有機基(A)
を導入する際にまたは導入した後に、当該官能基にさら
に有機化合物等を反応させたものを含む。
【0045】かかる有機基(A)を有する一般式(4)
で示される有機リン系化合物としては、具体的には、下
記化学式(a)〜(z)、(α)〜(δ)で表されるも
のを例示できる。
【0046】
【化13】
【0047】
【化14】
【0048】
【化15】
【0049】
【化16】
【0050】
【化17】
【0051】
【化18】
【0052】次に、本発明有機リン系組成物は、たとえ
ば、高分子化合物原料、潤滑油、有機化合物の酸化防止
剤、難燃剤、可塑剤、殺虫剤、着色防止剤、重合開始剤
などの各種の用途に使用される。特に一般式(1)で表
される化合物は熱可塑性樹脂の添加剤、可塑剤、好まし
くは酸化防止剤として優れている。この場合の本発明に
供せられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹
脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン
・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・スチレン共
重合樹脂、メタクリル酸・スチレン共重合樹脂、メタク
リル樹脂、ブタジエン・スチレン共重合樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、
ポリスルホン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリエー
テルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミ
ド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポブチレン
テレフタレート樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂ま
たはそれらのアロイ樹脂などが例示される。エポキシ樹
脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビ
スフェノールS、フェノールノボラック、オルソクレゾ
ールノボラック等のジグリシジルエーテル化合物、ジア
ミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等
のテトラグリシジル化合物のような公知なエポキシ樹脂
を単独または混合して使用することができる。また、硬
化剤としては有機酸無水物、ポリアミン系化合物、フェ
ノール系化合物など通常使用されるものが例示される。
【0053】さらに本発明において、ヒンダードアミン
系、含窒素ヒンダードフェノール系、金属塩ヒンダード
フェノール系、フェノール系、ヒンダードフェノール
系、フェノール系硫黄系耐候性付与剤から選ばれた少な
くとも1種を含み、かつ前記ヒンダードアミン系、含窒
素ヒンダードフェノール系、金属塩ヒンダードフェノー
ル系、フェノール系、ヒンダードフェノール系、フェノ
ール系硫黄系耐候性付与剤1重量部あたり0.01〜1
0重量部の一般式(1)または(2)であらわされるア
ルキルホスフィン酸化合物とを配合した場合に特に耐着
色性に優れた熱可塑性樹脂が得られる。
【0054】たとえば、具体的に併用する添加剤として
は、ヒンダードアミンの場合、ポリ[{(6−(1,
1,3,3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,
5−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチ
レン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)イミノ}}(チバガイギー社商品名でキマソーブ9
44LD)、コハク酸ジメチル−1−ヒドロキシエチ
ル]−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン重縮合物(チバガイギー社商品名でチヌビン
622LD)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)(チバガイギー社商品名でチヌビン144)などが
ある。
【0055】含窒素ヒンダードフェノールでは、1,
3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−
2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸(日本サイ
アナミド社商品名サイアノックス1790)あるいは、
1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)イソシアヌル酸(チバガイギー社商
品名でIR3114)などがある。
【0056】金属塩ヒンダードフェノールでは、3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジツル−モノ
−エチル−ホスホネートのカルシウム(IR1425W
L)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベン
ジル−モノ−エチル−ホスホネートのニッケル(チバガ
イギー社商品名でイルガスターブ2002)、あるい
は、同上化合物のマグネシウム塩などがある。
【0057】フェノール系では、1,3,5−トリメチ
ル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシル)ベンゼン(チバガイギー社商品名でI
R1330)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート(チバガイギー社商品名でIR101
0)などがある。
【0058】ヒンダードフェノール系では、2,6−ジ
−t−ブチル−4−メチルフェノール(スミライザーB
HT)、n−オクタデシル−3−(3‘,5’−ジ−t
−ブチル−4‘−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t
−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3‘−
t−ブチル−5’−メチル−2‘−ヒドロキシベンジ
ル)−4−メチルフェニルアクリレート、1,3,5−
トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ
メチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メ
チレン−3−(3’,5‘−ジ−t−ブチル−4’−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]−メタン(スミラ
イザーBP−101)、3,9−ビス−[2−3−(3
−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)
プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウン
デカンなどがある。
【0059】硫黄系安定剤としては、ジラウリルチオジ
プロピオネート(DLTDP)、ジミリスチリルチオジ
プロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート
(DSTDP)、ペンタエリスリトール−テトラキス−
(β−ラウリルチオプロピオネート)、2−メルカプト
ベンゾイミダゾーなどがある。
【0060】これら添加剤の配合量としては、高分子重
合体100重量部に対して、これらの耐候付与剤から選
ばれた少なくとも1種を配合し、0.01重量部以上1
0重量部以下、好ましくは0.01重量部以上8重量部
以下配合し、さらにかつ下記一般式(1)または(2)
であらわされるアルキルホスフィン酸化合物をこれらの
耐候付与剤に対して0.01重量部以上10重量部以
下、好ましくは0.01重量部以上8重量部以下配合し
て耐着色を持たせるとともに透明性にも優れた熱可塑性
樹脂組成物が得られる。詳細な機構はわからないが、特
に本発明の有機リン系化合物を少量添加することにより
他の添加剤の効果を顕著に発揮させることが推測され
る。嵩密度が2.00cm3/g以下、好ましくは1.
82cm3/g以下にすることにより、熱可塑性樹脂へ
の均一混合が容易となることも1要因と考えられる。
【0061】さらに本発明の有機リン系化合物は単独で
ポリオレフィン系の重合開始剤としても有効である。ま
た通常のラジカル開始剤と併用することにより更に効果
が顕著となる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン
の重合にも寄与する。
【0062】
【実施例】次に本発明を実施例を用いて具体的に説明す
るが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものでは
ない。なお、各例中「部」「%」はいずれも重量基準で
ある。また、本発明における嵩密度は、試験管に計量し
た1gの微粉末DOPをいれて、その時の容積を読み取
り、それを嵩密度とした。
【0063】実施例1−1(DOP組成物の合成) 純度95%の粗オルソフェニルフェノール(OPP)1
000部にトルエン4.9部を添加して室温で約1時間
攪拌し、上澄み液を除去した。次いで、オルソフェニル
フェノール1000部と三塩化リン1009部を、モル
比1:1.25の割合で反応釜に添加し、室温で1時間
混合後、5時間かけて150℃まで昇温させると塩化水
素が発生した。これに塩化亜鉛5.9部を添加し、20
0℃で4時間反応させて、6−クロロ−(6H)−ジベ
ンゾ−(c,e)(1,2 )−オキサホスホリン(DO
P−X)を得た。得られたDOP−Xにトルエン500
部を添加して室温で約1時間攪拌し、上澄み液を除去し
て、DOP−Xの精製を行った。さらに、これにオルソ
フェニルフェノールとのモル比で1:1となるように水
77部を添加し、またトルエン1000部を添加して加
水分解を還流状態下に行うとともに、発生する塩化水素
ガスを除去した。次いで50〜60℃の温水2000部
を添加し、攪拌した後、水層を分離し、さらに水100
0部で水洗浄を5回行った。その後、油層中の水分を共
沸脱水した後、活性炭処理を行い、次いで、これに水2
000部を添加し溶解して冷却した後に、固形物を取り
出し、さらに水1000部で洗浄した。これを130℃
で、13.3kPaの減圧下で、脱水して粉末状の6−
オキソ−(6H)−ジベンゾ−(c,e)(1,2 )−
オキサホスホリン(DOP)を得た。なお、ろ液からも
さらにDOPを回収できた。DOP組成物が含む亜鉛金
属含有量、塩素原子含有量は、原子吸光分析およびイオ
ンクロマト測定法により測定した。不純物の有機化合物
の含有量は、NMR分析、IR分析により定量した。ま
た嵩密度等の測定結果を表1に示す。
【0064】実施例2−1 実施例1−1において、DOP−Xを製造した後にトル
エンによる処理を施すことなく加水分解反応まで実施例
1−1と同様の操作を行った。その後、生成物を冷却し
て白色粒状物を分離した。次いで、8%水酸化ナトリウ
ム水溶液8000部を加え、しかもこの液を中性になる
ようにした。これを活性炭でろ過し、ろ液にさらに20
%硫酸水溶液を徐々に添加して白色結晶を得た。これを
130℃で、13.3kPaの減圧下で、脱水して粉末
状のDOP組成物を得た。DOP組成物が含む亜鉛金属
含有量、塩素原子含有量、不純物の有機化合物の含有量
を表1に示す。
【0065】実施例3−1 実施例1−1において、DOP−Xを製造した後にトル
エンによる洗浄を2回繰り返した以外は、実施例1−1
と同様にして粉末状のDOP組成物を得た。DOP組成
物が含む亜鉛金属含有量、塩素原子含有量、不純物の有
機化合物の含有量を表1に示す。
【0066】実施例4−1 実施例1−1において、DOP−Xを製造した後にトル
エンによる処理を施すことなく加水分解反応まで実施例
1−1と同様の操作を行い、しかもその後の水洗浄の回
数を2回に変更した以外は実施例1−1と同様にして粉
末状のDOP組成物を得た。DOP組成物が含む亜鉛金
属含有量、塩素原子含有量、不純物の有機化合物の含有
量を表1に示す。
【0067】実施例5−1 実施例1−1において、OPPにトルエンによる処理を
施すことなく、しかもDOP−Xを製造した後にトルエ
ンによる処理を施さないこと以外は実施例1−1と同様
の加水分解反応を行った。その後、生成物を冷却して白
色粒状物を分離した。次いで、8%水酸化ナトリウム水
溶液8000部を加え、しかもこの液を中性になるよう
にした。これを活性炭でろ過し、ろ液にさらに20%硫
酸水溶液を徐々に添加して白色結晶を得た。これを13
0℃で、13.3kPaの減圧下で、脱水して塊状のD
OP組成物を得た。DOP組成物が含む亜鉛金属含有
量、塩素原子含有量、不純物の有機化合物の含有量を表
1に示す。
【0068】実施例6−1 実施例1−1において、OPPにトルエンによる処理を
施さないこと以外は実施例1−1と同様の加水分解反応
を行った。その後、生成物を冷却して白色粒状物を分離
した。次いで、8%水酸化ナトリウム水溶液8000部
を加え、しかもこの液を中性になるようにした。これを
活性炭でろ過し、ろ液にさらに20%硫酸水溶液を徐々
に添加して白色結晶を得た。これを130℃で、13.
3kPaの減圧下で、脱水して粉末状のDOP組成物を
得た。DOP組成物が含む亜鉛金属含有量、塩素原子含
有量、不純物の有機化合物の含有量を表1に示す。
【0069】
【比較例】比較例1−1 実施例1−1において、DOP−Xを製造した後にトル
エンによる精製を行わなかったこと以外は実施例1−1
と同様の加水分解反応を行った。その後、生成物にトル
エン1000部を添加して冷却した。次いで生成物を冷
却して固形生成物をろ過して取り出した後、トルエン3
00部で洗浄し、粉末状のDOP組成物を得た。DOP
組成物が含む亜鉛金属含有量、塩素原子含有量、不純物
の有機化合物の含有量を表1に示す。
【0070】比較例2−1 実施例1−1において、DOP−Xの製造までは同様の
操作を行った。次いで、水8000部を加え、過剰の水
の存在下に加水分解を還流状態下に行った。その後、生
成物を冷却して、白色粒状物をろ過した。次いで、8%
水酸化ナトリウム水溶液8000部を加え、しかもこの
液を中性になるようにした。これを活性炭でろ過し、ろ
液にさらに20%硫酸水溶液を徐々に添加して白色結晶
を得た。これを130℃で、13.3kPaの減圧下
で、脱水して塊状のDOP組成物を得た。DOP組成物
が含む亜鉛金属含有量、塩素原子含有量、不純物の有機
化合物の含有量を表1に示す。
【0071】実施例1−2〜6−2(DOPの添加) 実施例1−1〜6−1で得られたDOPをブライトのポ
リエステルへ5重量部混合して、バンバリミキサーおよ
びロールミルを使用してペレットを作成し、これをスク
リュウタイプ射出成型機で試験片を作成し、ASTM−
D−1003の方法に従って、全光線透過率を測定し
た。その結果を表1に示した。また、ブライトのポリプ
ロピィレンにDOPを0.5部とキマソーブ944L
D、DSTDT、IR1425WLを各々0.1重量部
添加混合して、バンバリーミキサーおよびロールミルを
使用してエステルと同様の方法でペレットを作成したも
のをPP−Aとした。また、同様にして、DSTDT、
IR1010を各々0.1重量部添加混合したものをP
P−Bとした。
【0072】比較例1−2〜2−2 比較例1−1,1−2のDOPを使用して実施例1−1
〜6−1と同様のサンプルを作成して全光線透過率を測
定した。以上の実施例、比較例の結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】表1の結果からも明らかなように、本発明
は、嵩密度が2.00cm3/g以下の微粉末状有機リ
ン系組成物を用いることにより、均一混合が可能とな
り、ポリエステル、ポリプロピレンに対する透過率が、
改善されることができ、透明性とともに耐着色性にも優
れているので、産業界に寄与すること大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 秀夫 大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡 績株式会社本社内 Fターム(参考) 4H048 AA01 AA03 AB02 AB40 AB48 AB49 AB80 VA66 VB20 4H050 AA01 AA03 AB02 AB40 AB48 AB49 AB50 AB60 AB80 4J002 AC081 BB001 BC031 BC041 BC051 BC061 BG031 BG101 BN151 CD051 CD061 CD111 CD131 CF061 CF071 CF161 CG001 CG041 CL001 CM041 CN031 DA107 EW136 EW146 FD026 FD136 FD186

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1): 【化1】 (式中、R1 及びR2 は有機基又はハロゲン原子を示
    し、m及びnは0〜4の整数を示し、mまたはnが2〜
    4の整数の場合にR1 及びR2 はそれぞれ同一又は異な
    っていてもよい。)で表される有機リン系化合物を主成
    分として含有してなる有機リン系組成物であって、該有
    機リン系組成物の嵩密度が2.00cm3/g以下であ
    ることを特徴とする有機リン系組成物。
  2. 【請求項2】有機リン系化合物以外の化合物として、当
    該有機リン系化合物に対し、二価金属量として、二価金
    属量≦30ppmの範囲の二価金属化合物を含有してな
    る請求項1記載の有機リン系組成物。
  3. 【請求項3】二価金属が亜鉛である請求項1記載の有機
    リン系組成物。
  4. 【請求項4】ハロゲン化合物の含有量が、前記有機リン
    系化合物に対し、ハロゲン原子量として、250ppm
    以下である請求項1〜3のいずれかに記載の有機リン系
    組成物。
  5. 【請求項5】前記有機リン系化合物以外に実質的に有機
    化合物を含有しない請求項1〜4記載の有機リン系組成
    物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の有機リ
    ン系組成物中の有機リン系化合物を、一般式(4): 【化2】 (式中、R1 及びR2 は有機基又はハロゲン原子を示
    し、m及びnは0〜4の整数を示し、mまたはnが2〜
    4の整数の場合にR1 及びR2 はそれぞれ同一又は異な
    っていてもよい。また、AはR1 及びR2 と同一又は異
    なる有機基を示す。)で表される有機リン系化合物に誘
    導してなる有機リン系組成物。
  7. 【請求項7】請求項1〜6に記載の有機リン系組成物を
    含有する透明性、着色性の優れた熱可塑性樹脂組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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