JP2003040880A - 新規生理活性物質rs−k3574とその製造方法 - Google Patents

新規生理活性物質rs−k3574とその製造方法

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Tomio Takeuchi
富雄 竹内
Hironobu Iinuma
寛信 飯沼
Ryuichi Sekizawa
隆一 関澤
Susumu Matsui
侑 松井
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Microbial Chemistry Research Foundation
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TAKARA AGURI KK
Microbial Chemistry Research Foundation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ユビキチン活性化酵素の阻害活性ならびに細
胞内タンパク質のユビキチン化の阻害活性および抗腫瘍
活性を示す新しい分子骨格を有する生理活性物質を提供
する。 【解決手段】 次式(I) 〔式中、2位、3位、4位および7位の立体配置はそれ
ぞれS、S、R、Sである)で表される化合物である、
RS-K3574物質が新規生理活性物質としてヒラタケ科カワ
キタケ属アラゲカワキタケ(Panus rudis)K-3574株(FERM
P-18397)の培養により得られた。RS-K3574物質はユビ
キチン活性化酵素の阻害活性ならびに細胞内タンパク質
のユビキチン化の阻害活性、抗腫瘍活性および抗炎症活
性ならびに抗ウィルス活性を有する生理活性物質であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ユビキチン活性化
酵素に対する阻害活性ならびに細胞内タンパク質のユビ
キチン化に対する阻害活性および抗腫瘍活性を示す新規
な生理活性物質RS-K3574に関する。また、本発明は生理
活性物質RS-K3574の製造法に関する。さらに本発明は、
生理活性物質RS-K3574を有効成分として含有することを
特徴とする、ユビキチン活性化酵素の阻害剤、ならびに
細胞内タンパク質のユビキチン化の阻害剤、抗腫瘍剤、
抗炎症剤および抗ウィルス剤に関する。また、本発明
は、新規生理活性物質RS-K3574を生産する特性を持つキ
ノコとしてヒラタケ科カワキタケ属アラゲカワキタケ
Panus rudis)K-3574株を包含する。
【0002】
【従来の技術】種々な多数の酵素阻害剤が知られてお
り、また種々な多数の生理活性物質が知られている。こ
れらを、様々な疾病の治療薬として応用するための取り
組みがなされている。また細胞の増殖、分化、生育なら
びに細胞死などにおける極めて重要かつ必須の制御機構
の一つとして、細胞内のタンパク質のユビキチン化反応
があることが挙げられる。この細胞内タンパク質のユビ
キチン化反応を抑制できる活性をもつ物質は、疾病の治
療と予防に広く応用されることが期待されるが、現在ま
で、その細胞内タンパク質のユビキチン化反応を阻害で
きる活性をもつ物質は発見されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】癌細胞や免疫細胞での
細胞増殖や細胞死、また急性または慢性の炎症、免疫過
敏や免疫不全などの免疫応答、アルツハイマー症を含む
神経疾患、ならびにHIVウィルスを含む病原ウィルスの
感染や増殖、さらに卵子の受精や発生など、正常な分化
が起きる際に、極めて重要かつ必須な役割を果たす機構
の一つとして、ユビキチンを活性化する酵素が関与する
ところの細胞内タンパク質のユビキチン化機構が挙げら
れる。
【0004】例えば、HIV-1ウィルスまたはHIV-2ウィル
スが感染している細胞内では、これらHIVウイルスの出
芽(budding)、成熟化、感染力獲得にタンパク質のユビ
キチン化が関与することが知られ、また細胞内に在る酵
素であるユビキチン活性化酵素がユビキチンの活性化に
関与することが知られる。さらにHIVウィルスが感染し
ている細胞内で、プロテアソームを阻害することによっ
て、HIV由来のユビキチン化されたタンパク質の限定的
な分解を止めると、HIVウィルスの出芽、成熟化、感染
力獲得、増殖を阻害できることが知られる〔PNAS, 97巻
24号13057〜13062頁(2000年11月)〕。
【0005】他方、細胞内のタンパク質のユビキチン化
反応を直接に阻害できる活性をもつ物質は、現在のとこ
ろ未だ発見されていない。細胞内のタンパク質をユビキ
チン化する機構を阻害できる新しい物質を提供すること
ができるならば、従来知られているまたは使用されてい
るところの既知の抗腫瘍性化合物、消炎・鎮痛性化合
物、抗リウマチ薬、抗悪疫質剤、免疫抑制物質または免
疫活性化物質、抗ウィルス薬、抗痴ほう薬、抗心筋症
薬、抗肥満薬、抗糖尿病薬、臓器不全対処薬とは、異な
る作用点を有し且つ新規な化学構造を有した化合物を創
製できることが期待される。そのための研究が行われて
いる。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、上記の
要望に応えることができる細胞内ユビキチン活性化酵素
の阻害活性ならびに細胞内タンパク質のユビキチン化の
阻害活性をもつと共に、抗腫瘍活性および抗ウィルス活
性を持つ新規な物質を提供することを目的に、従来よ
り、有用な生理活性物質の開発と実用化の研究を促進し
てきた。その結果、ヒラタケ科カワキタケ属に属するア
ラゲカワキタケの一菌株が新しい構造骨格を有する生理
活性物質を生産していることを見い出した。この新規生
理活性物質を単離することに成功し、下記の式(I)で示
した化学構造を有することを確認し、生理活性物質RS-K
3574と命名した。更に、この新規な生理活性物質RS-K35
74がユビキチン活性化酵素に対する阻害活性および細胞
内タンパク質のユビキチン化に対する阻害活性、ならび
に抗腫瘍活性および抗炎症活性および抗ウィルス活性を
有すことを見い出した。
【0007】すなわち、第1の本発明においては、次式
(I): 〔式中、2位、3位、4位および7位の立体配置はそれ
ぞれS、S、R、Sである〕で表される化合物であり、
しかも比旋光度〔α〕D 26 -62.3°(c 1.0, ジクロロメ
タン)を示す無色粘稠な油状物質であって、また本RS-K3
574物質のメタノール溶液中で測定した紫外線吸収スペ
クトルにおける主なピークはλmax nm(ε); 209(830
0)および241(5700)にあり;赤外線吸収スペクトル(K
Br錠剤法)における主な吸収帯はνmax(cm-1); 3300
〜3500、2979、2911、1681、1446、1379、1043、995、8
50、817、570にあり; 1H-NMRスペクトル(重クロロホ
ルム中/内部標準テトラメチルシラン)は添付図面の図
5に示すとおりであり; 13C-NMRスペクトル(重クロロ
ホルム中/内部標準テトラメチルシラン)は添付図面の
図6に示すとおりであることを特徴とする、生理活性物
質RS-K3574が提供される。
【0008】次に、本発明の生理活性物質RS-K3574の理
化学的性状を記載する。 A)外観及び性質:無色粘稠な油状物質 B)比旋光度[α]D 26 −62.3°(c 1.0、ジクロロメ
タン) C)TLCのRf値:0.39 シリカゲル(Art.105715、メルク社製)の薄層クロマト
グラフィーで展開溶媒としてクロロホルム−メタノール
(10:1)で展開して測定した場合 D)FABマススペクトル(m/z):233(M+Na)+ なお、M+は観察されず、(M-18)+が観察された。
【0009】E)分子式:C11144 F)紫外線吸収スペクトル (i)メタノール溶液中で測定した紫外線吸収スペクト
ルは添付図面の図1に示す。主なピークは次のとおりで
ある。 λmax nm(ε): 209(8300)、241(5700) (ii)メタノール−HCl溶液中で測定した紫外線吸収ス
ペクトルは添付図面の図2に示す。主なピークは次のと
おりである。 λmax nm(ε): 205(14200)、240(sh 5500) (iii)メタノール−NaOH溶液中で測定した紫外線吸収
スペクトルは添付図面の図3に示す。主なピークは次の
とおりである。 λmax nm(ε): 206(16400)、240(sh 5300)、304(240
0) G)赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を添付図面
の図4に示す。主な吸収帯は次のとおりである。 νmax(cm-1): 3300〜3500、2979、2911、1681、1446、1
379、1043、995、850、817、570 H)1H-NMRスペクトル(重クロロホルム中/内部標準テ
トラメチルシラン)を添付図面の図5に示す。 I)13C-NMRスペクトル(重クロロホルム中/内部標準
テトラメチルシラン)を添付図面の図6に示す。
【0010】なお、本発明のRS-K3574物質の立体構造
は、上記の式(I)に示すとおりであることは、RS-K3574
物質からの或る誘導体の結晶を粉末X線回析法で分析す
ることによって確認できたのである。
【0011】因みに、次式(A) で表わされるパネポキシドン(panepoxydone)がNF-κB因
子を阻害できることが知られる〔Biochemical and Biop
hysical Research Commu. 226号214〜221頁(1996)〕
が、パネポキシドン分子の立体構造の研究は、Helvetic
a Chimica Acta, 53巻Fasc.7(1970), 第186号1577〜159
7頁に記載されてあり、この文献1578頁の表2および157
9頁の記載によればパネポキシドンは比旋光度[α]D 20
−61°(溶媒、ジクロロメタン)を示す淡黄色の粘稠
な油状物質である。本発明の生理活性物質RS-K3574は、
既知の物質パネポキシドンの新しい立体異性体(7-エピ
マー)(もしくはエナンチオマーの可能性もある)である
と認められる。
【0012】さらに、本発明の生理活性物質RS-K3574の
生物学的性質を次に記載する。 A)ユビキチン活性化酵素の阻害活性の測定 本発明による生理活性物質RS-K3574のユビキチン活性化
酵素に対する阻害活性は、RS-K3574物質の100μg/ml以
上の濃度でユビキチン活性化酵素を完全に阻害する。ユ
ビキチン活性化酵素に対するRS-K3574物質の阻害活性
は、以下のようにして測定した。すなわち、ヒト由来の
ユビキチン活性化酵素を、組換遺伝子法で大腸菌に発現
させ、この大腸菌からユビキチン活性化酵素を採取およ
び精製することによってユビキチン活性化酵素試料を調
製した。またウシ由来のユビキチンをビオチン化するこ
とによって調製されたビオチン化ユビキチンを基質とし
て用いた。前記の酵素と基質をATP(アデノシン−5’
−3リン酸)とともに、供試のRS-K3574物質の存在下、
または非存在下で37℃にて15分間反応させた。得られた
反応液をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけて、ゲ
ル内の分画されたところの、ビチオン化ユビキチンと結
合した酵素タンパク質を、エレクトロブロットによりポ
リビニリデンジフロライド膜に吸着させた。この膜上の
ビオチン化ユビキチンに結合した酵素タンパク質の量を
ECL法(「Clin. Chem.」25巻、1531〜1546頁(1979年)
参照)を用いて検定した。RS-K3574物質の存在下に酵素
反応を行った試験区において検出されたビオチン化ユビ
キチンに結合した酵素タンパク質の量と、RS-K3574物質
の非存在下で酵素反応を行った対照試験区において検出
されたビオチン化ユビキチンに結合した酵素タンパク質
の量との比較によって、ビオチン化ユビキチンとユビキ
チン活性化酵素との結合生成物の生成量がRS-K3574物質
によって抑制される程度を判定した。
【0013】B)細胞内タンパク質のユビキチン化阻害
活性の測定 細胞内におけるタンパク質ユビキチン化に対する本発明
による生理活性物質RS-K3574の阻害活性は、2μg/ml以
上の濃度のRS-K3574物質によって細胞内に惹起されるユ
ビキチン化タンパク質の生成を完全に阻害する。この細
胞内でのユビキチン化タンパク質の生成は次のようにし
て検出した。すなわち、ヒト乳癌細胞MCF7を含む培地中
にあらかじめRS-K3574物質を各種濃度で添加した。その
添加から30分経過後、さらに癌細胞内のプロテアソーム
に対する阻害物質であるMG-132を1μMの濃度で培地添
加した(MG-132の添加により、プロテアソームを完全に
阻害し、このことにより、プロテアソームにより分解さ
れるべきユビキチン化タンパク質が細胞に蓄積でき
る)。3時間癌細胞を培養した後に、細胞を可溶化し
た。得られた細胞可溶性画分をポリアクリルアミドゲル
電気泳動にかけた。ゲル内の分画されたタンパク質をエ
レクトロブロットによりポリビニリデンジフロライド膜
に吸着させ、この膜上の吸着されてあるユビキチン化さ
れたタンパク質を、抗ユビキチン抗体と反応させること
により選択的に検出した。検出にはECL法(「Clin. Che
m.」25巻、1531〜1546頁(1979年)参照)を用いた。ま
た、乳癌細胞MCF7を含む培地にRS-K3574物質を添加する
ことなく、上記と同様に試験した。この対照試験のよう
に、RS-K3574物質の非存在下で試験した場合には、ユビ
キチン化されたタンパク質が蓄積してくるが、前記の培
地にRS-K3574を添加してその存在下に試験を行った場合
に、RS-K3574物質の存在下でその濃度に依存して、ユビ
キチン化されたタンパク質の蓄積が抑えられたことが確
認された。このことから明らかなように、RS-K3574物質
は、細胞内でユビキチン化されることによって直接また
は間接的に制御される性質をもつ機能性の細胞内タンパ
ク質の生成を抑制することに有効である。
【0014】C)癌細胞増殖抑制活性 本発明による生理活性物質RS-K3574が各種癌細胞の増殖
を50%抑制する濃度(IC50値)を、MTT法(「Journal o
f Immunological Methods」65巻、55〜60頁(1983年)
参照)で測定した。その結果を表1に示す。
【0015】
【0016】表1の結果から明らかなように、本発明に
よる生理活性物質RS-K3574は、各種の癌細胞の増殖を抑
制する抗腫瘍活性を有するのであり、このことから抗腫
瘍剤として有用である。
【0017】D)制癌活性 本発明による生理活性物質RS-K3574は、エーリッヒ(Eh
rlich)腹水癌を移植したマウスに対して延命効果を有
する。この担癌マウスにRS-K3574物質を250μg/mouseで
9日間投与した場合、RS-K3574物質を投与しない場合に
比べて延命効果が200%に達する。この延命効果は以下
のようにして判定した。すなわち、4週齢のICRマウス
にEhrlich癌細胞の2×106個を腹腔に移植し、翌日から
生理活性物質RS-K3574を1日あたり250または62.5μg/
匹の投与量で腹腔に9日間毎日投与し続けた。無投与群
では、腹腔内にEhrlich癌に誘因された腹水が溜まり約
2週間後に死亡した。そこでRS-K3574物質を投与した処
理群の生存日数を、無投与群の生存日数で除した商の値
で延命効果を評価した。RS-K3574物質による処理群で
は、腹水の蓄積が顕著に抑制され、その結果250μg/mou
seの投与量で9日間投与した場合に200%の延命効果
が、また62.5μg /mouseの投与量で9日間投与した場合
でも160%以上の延命効果が認められた。この結果から
明らかなように、生理活性物質RS-K3574は生体での癌の
悪性化に対する抑制効果を有するのであり、このことか
ら、抗腫瘍剤、抗炎症剤、または抗悪疫質剤として有用
である。
【0018】さらに第2の本発明によれば、前記の式
(I)で表される生理活性物質RS-K3574を生産するヒラタ
ケ科カワキタケ属に属する菌株を栄養培地に培養し、培
養物から生理活性物質RS-K3574を採取することを特徴と
する、生理活性物質RS-K3574の製造法が提供される。
【0019】第2の本発明の方法で使用できる生理活性
物質RS-K3574の生産菌の一例としては、ヒラタケ科カワ
キタケ属アラゲカワキタケ(Panus rudis)K-3574株が
ある。尚、本菌株は約10年以上前に、財団法人発酵研究
所から分譲されたアラゲカワキタケ菌糸を、以後約10年
間以上にわたりポテト・デキストロース・アガー培地上
でタカラアグリ(株)にて、継代培養された菌株であ
る。本菌株は、前記継代中に変異し、財団法人発酵研究
所より平成12年7月に分譲を受けたPanus rudisIFO 899
4株に比べ生理活性物質RS-K3574の生産量が多く、また
他の代謝物の組成も異なることから、Panus rudis IFO
8994株とは別異の菌株である。
【0020】アラゲカワキタケK-3574株は、独立行政法
人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに2001年6
月26日に寄託申請し、寄託番号FERM P-18397として寄託
を受理された。
【0021】なお、アラゲカワキタケは既知のキノコで
あり、ほとんど世界中に分布して生えるが、日本ではブ
ナ科の樹木に比較的普通に発生する。アラゲカワキタケ
のキノコ菌学的性状は次のとおりである。その子実体の
傘は径1.5〜5cm、初めは饅頭形、後に開いてやや漏斗形
となり、強じんな肉質〜やや革質、表面は粗い毛を密生
し、初め褐紫色、ときにやや紫色を帯びる。縁はほぼ平
坦であり、柄は一般に短く(0.5〜2cm)、偏心性〜中心
性、まれに側性、表面はほぼ傘と同様である。胞子紋は
白色である。胞子は4.5〜5.5×2〜2.5μm、挟楕円形で
あり、担子器は4胞子性である。厚膜シスチジアは53〜
70×9.5〜14μm、棍棒形〜円柱形、または紡錘形であ
る。hyphal pegはない。肉組織の菌糸構成はdimiticで
ある(「原色日本新菌類図鑑(1)」)32頁、今関六
也、本郷次雄、保育社、昭和62年6月30日発行)。
【0022】第2の本発明の方法を実施するに当たって
は、ヒラタケ科カワキタケ属に属する生理活性物質RS-K
3574の生産菌を栄養培地に接種し、培養する。ここで用
いる栄養培地は、前記の生産菌が資化できる炭素源と窒
素源を栄養成分として含有するものである。
【0023】その培地の栄養源としては、通常キノコ菌
の栄養源として通常に使用されるもの、例えば炭素源、
窒素源、無機塩などの同化できる栄養源を使用できる。
例えば、ぶどう糖、麦芽糖、糖蜜、デキストリン、グリ
セリン、澱粉などの炭水化物や、大豆油、落花生油など
の油脂のごとき炭素源、ならびにペプトン、肉エキス、
綿実粉、大豆粉、酵母エキス、カゼイン、コーン・スチ
ープ・リカー、NZ−アミン、硫酸アンモニウム、硝酸
アンモニウム、塩化アンモニウムなどの窒素源を使用で
き、さらに燐酸二カリウム、燐酸ナトリウム、食塩、炭
酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガンなどの
無機塩が配合できる。必要により微量金属例えばコバル
ト、鉄などを添加することができる。栄養源としては、
その他、生理活性物質RS-K3574を生産するのに、使用さ
れるRS-K3574生産菌が利用しうるものであれば、いずれ
の公知の栄養源でも使用できる。
【0024】培地における上記のごとき栄養源の配合割
合は特に制約されるものでなく、広範囲に亘って変える
ことができ、使用するRS-K3574物質生産菌によって、最
適の栄養源の組成及び配合割合は、当事者であれば簡単
な小規模実験により容易に決定することができる。ま
た、上記の栄養源からなる栄養培地は、培養に先立ち殺
菌することができ、この殺菌の前又は後で、培地のpHを
5〜7の範囲、特にpH5.5〜6.5の範囲に調節するのが有利
である。
【0025】かかる栄養培地でのRS-K3574物質生産菌の
培養は、一般のキノコによる生理活性物質の製造におい
て通常使用されている方法に準じて行なうことができ
る。通常は好気条件下に培養するのが好適であり、通
常、攪拌しながら及び/又は通気しながら培養を行なう
ことができる。また、培養方法としては静置培養、振と
う培養、通気攪拌をともなう液体培養のいずれも使用可
能であるが、液体培養がRS-K3574の大量生産に適してい
る。
【0026】使用しうる培養温度はRS-K3574物質生産菌
の発育が実質的に阻害されず、該生理活性物質RS-K3574
を生産しうる範囲であれば、特に制限されるものではな
く、使用する生産菌に応じて適宜選択できるが、特に好
ましいのは25〜30℃の範囲内の温度を挙げることができ
る。培養は通常はRS-K3574物質が十分に蓄積するまで継
続することができる。その培養時間は培地の組成や培養
温度、使用生産菌株などにより異なるが、通常14〜30日
間の培養で目的の生理活性物質を得ることができる。
【0027】培養中の生理活性物質RS-K3574の蓄積量は
上記したユビキチン活性化酵素の阻害活性の測定方法に
よって定量することができる。
【0028】かくして、培養物中に蓄積されたRS-K3574
物質は、これを培養物から採取する。培養後、必要によ
り、濾過、遠心分離などのそれ自体公知の分離方法によ
って菌体を除去した後、その培養濾液を、有機溶媒、特
に酢酸ブチルなどを用いた溶媒抽出や、吸着やイオン交
換能を利用したクロマトグラフィー、ゲルろ過、向流分
配を利用したクロマトグラフィーを単独でまたは、組み
合わせて処理することにより、RS-K3574物質を単離精製
して採取することができる。吸着や、イオン交換能を有
するクロマトグラフィーに用いる担体としては、活性
炭、シリカゲル、多孔性ポリスチレン−ジビニルベンゼ
ン樹脂もしくは各種のイオン交換樹脂を用いることがで
きる。かくして、前記した特性を有する新規生理活性物
質RS-K3574が得られる。
【0029】さらに、第3の本発明では、前記の式(I)
で表わされる生理活性物質RS-K3574を有効成分とするユ
ビキチン活性化酵素の阻害剤が提供される。
【0030】さらにまた、第4の本発明では、前記の生
理活性物質RS-K3574を有効成分とする、細胞内タンパク
質のユビキチン化の阻害剤が提供される。
【0031】さらに、第5の本発明では、前記の生理活
性物質RS-K3574を有効成分とする抗腫瘍剤が提供され
る。
【0032】さらに、第6の本発明では、前記の生理活
性物質RS-K3574を有効成分とする抗炎症剤が提供され
る。
【0033】また、第7の本発明においては、前記の生
理活性物質RS-K3574を有効成分とする抗ウィルス剤が提
供される。
【0034】第3の本発明によるユビキチン活性化酵素
の阻害剤、第4の本発明による細胞内タンパク質のユビ
キチン化阻害剤、第5の本発明による抗腫瘍剤、および
第6の本発明による抗炎症剤ならびに第7の本発明によ
る抗ウィルス剤は、それぞれ、その有効成分であるRS-K
3574物質を、製薬学的に許容できる常用の固体または液
体担体、例えばエタノール、水、デンプン、結晶セルロ
ース等と混和されてなる組成物の形であることができ
る。
【0035】さらに、本発明の生理活性物質RS-K3574
は、抗リウマチ薬、抗悪疫質剤、免疫抑制剤または免疫
活性化物質、抗痴ほう薬、抗心筋症薬、抗肥満薬、抗糖
尿病薬などとしても利用できることが期待される。
【0036】また、第8の本発明では、新規な微生物と
して、上記の式(I)のRS-K3574物質を生産する特性をも
つヒラタケ科カワキタケ属アラゲカワキタケ(Panus rud
is)K-3574株が提供される。
【0037】
【発明の実施の形態】次に実施例により、本発明の生理
活性物質RS-K3574の製造例を更に詳細に説明するが、本
発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0038】実施例1 生理活性物質RS-K3574の製造 グルコース1%、ポリペプトン0.5%、酵母エキス0.3
%、KH2P04 0.3%、MgSO4・7H2O 0.1%、を含む液体培
地(pH無調整)を振盪フラスコ(500ml容)に200mlずつ分注
し、常法により120℃で20分滅菌したものに、寒天斜面
培地に培養したヒラタケ科カワキタケ属アラゲカワキタ
ケ(Panus rudis)K-3574株(FERM P-18397)を接種した。
その後に、液体培地中で、27℃で3日間静置培養した。
その後27℃で2日間回転攪拌培養した。この培養液を種
母培養液とした。
【0039】グルコース1%、ポリペプトン0.5%、酵母
エキス0.3%、KH2PO4 0.3%、MgSO4・7H2O 0.1%、を含
む液体培地(pH無調整)を振盤フラスコ(500ml容)に200ml
ずつ分注し、常法により120℃で20分間滅菌した。その
後、滅菌された液体培地に、上記種母培養液をそれぞれ
7mlずつ接種し、27℃で15日間静置培養した。
【0040】このようにして得られた培養液10L(リット
ル)をろ過し、培養ろ液を分離した。培養ろ液を酢酸エ
チルで抽出し、その酢酸エチル層を減圧乾固した。得ら
れた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(80
g)に付し、クロロホルム−メタノール(200:1〜100:1)に
より溶出した。RS-K3574物質を含む画分を濃縮乾固して
粗精製物1.17gを得た。これを、さらにクロロホルム−
メタノール−水(5:6:4)からなる液相を用いた液々遠
心分配クロマトグラフィー(250mL容)に付し分離した。R
S-K3574物質を含む画分を減圧下で濃縮乾固して、精製
された本発明のRS-K3574物質の716mgを得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】RS-K3574物質のメタノール溶液中の紫外線吸収
スペクトルである。
【図2】RS-K3574物質のメタノールーHCl溶液中の紫外
線吸収スペクトルである。
【図3】RS-K3574物質のメタノール溶液中−NaOHの紫外
線吸収スペクトルである。
【図4】RS-K3574物質のKBr錠剤法で測定した赤外線吸
収スペクトルである。
【図5】RS-K3574物質の重クロロホルム溶液(内部標準:
テトラメチルシラン)にて測定したプロトン核磁気共鳴
スペクトルである。
【図6】RS-K3574物質の重クロロホルム溶液(内部標準:
テトラメチルシラン)にて測定した炭素13核磁気共鳴ス
ペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 111 A61P 43/00 111 C07D 301/32 C07D 301/32 C12N 1/14 C12N 1/14 9/99 9/99 C12P 17/02 C12P 17/02 (72)発明者 飯沼 寛信 神奈川県横浜市緑区白山4丁目61番17号 (72)発明者 関澤 隆一 神奈川県横浜市神奈川区栄町22番地10 キ ャッスル松弥502号 (72)発明者 松井 侑 滋賀県草津市野路町2257番地 タカラアグ リ株式会社内 Fターム(参考) 4B064 AC12 BA03 BG01 BG10 BH01 BH02 BH04 BH05 BH06 BH20 CA07 CE08 CE10 DA01 4B065 AA71X CA05 CA44 4C048 AA04 BB01 BC04 BC15 BC16 CC01 UU01 XX03 XX04 4C086 AA02 AA03 AA04 BA02 MA01 MA04 NA14 ZB11 ZB26 ZB33 ZC20

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I) 〔式中、2位、3位、4位および7位の立体配置はそれ
    ぞれS、S、R、Sである〕で表される化合物であり、
    しかも比旋光度〔α〕D 26 -62.3°(c 1.0, ジクロロメ
    タン)を示す無色粘稠な油状物質であって、また本RS-K3
    574物質のメタノール溶液中で測定した紫外線吸収スペ
    クトルにおける主なピークはλmax nm(ε); 209(830
    0)および241(5700)にあり;赤外線吸収スペクトル(K
    Br錠剤法)における主な吸収帯はνmax(cm-1); 3300
    〜3500、2979、2911、1681、1446、1379、1043、995、8
    50、817、570にあり; 1H-NMRスペクトル(重クロロホ
    ルム中/内部標準テトラメチルシラン)は添付図面の図
    5に示すとおりであり; 13C-NMRスペクトル(重クロロ
    ホルム中/内部標準テトラメチルシラン)は添付図面の
    図6に示すとおりであることを特徴とする、生理活性物
    質RS-K3574。
  2. 【請求項2】 ヒラタケ科カワキタケ属に属する、請求
    項1に記載の生理活性物質RS-K3574の生産菌を栄養培地
    に培養し、その培養物から生理活性物質RS-K3574を採取
    することを特徴とする、請求項1に記載の生理活性物質
    RS-K3574の製造法。
  3. 【請求項3】 生理活性物質RS-K3574の生産菌として、
    独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター
    にFERM P-18397の寄託番号で寄託されてあるヒラタケ科
    カワキタケ属アラゲカワキタケ(Panus rudis)K-3574
    株を用いる、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の生理活性物質RS-K3574
    を有効成分とする、ユビキチン活性化酵素の阻害剤。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の生理活性物質RS-K3574
    を有効成分とする、細胞内タンパク質のユビキチン化の
    阻害剤。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の生理活性物質RS-K3574
    を有効成分とする抗腫瘍剤。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の生理活性物質RS-K3574
    を有効成分とする抗炎症剤。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の生理活性物質RS-K3574
    を有効成分とする抗ウィルス剤。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の生理活性物質RS-K3574
    を生産する特性を持つヒラタケ科カワキタケ属アラゲカ
    ワキタケ(Panus rudis)K-3574株。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004065607A1 (ja) * 2003-01-22 2004-08-05 Zaidan Hojin Biseibutsu Kagaku Kenkyu Kai 新規生理活性物質rs−k3574とその製造方法
WO2005037845A1 (en) * 2003-10-17 2005-04-28 Rigel Pharmaceuticals, Inc. Benzothiazole and thiazole[5,5-b] pyridine compositions and their use as ubiquitin ligase inhibitors
KR20220156334A (ko) * 2021-05-18 2022-11-25 경북대학교 산학협력단 네오판에폭시돈 또는 이소판에폭시돈 화합물을 유효성분으로 포함하는 미세먼지로 인한 호흡기 질환 예방 또는 치료용 조성물

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