JP2003040792A - リグニンの新規用途 - Google Patents

リグニンの新規用途

Info

Publication number
JP2003040792A
JP2003040792A JP2001222132A JP2001222132A JP2003040792A JP 2003040792 A JP2003040792 A JP 2003040792A JP 2001222132 A JP2001222132 A JP 2001222132A JP 2001222132 A JP2001222132 A JP 2001222132A JP 2003040792 A JP2003040792 A JP 2003040792A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lignin
vitamin
cones
plant
pinaceae plant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001222132A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Sakagami
宏 坂上
Kuniyasu Ochiai
邦康 落合
Kazue Sato
和恵 佐藤
Sen Kyo
宜 姜
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
WEST PARK KK
Original Assignee
WEST PARK KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by WEST PARK KK filed Critical WEST PARK KK
Priority to JP2001222132A priority Critical patent/JP2003040792A/ja
Publication of JP2003040792A publication Critical patent/JP2003040792A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 リグニンFと、ビタミンK2、ビタミン
3、EGCG、CGA、GA又は茶葉の水抽出物とを
有効成分とする抗癌剤。リグニンF及びEGCGを有効
成分とする抗微生物用医薬組成物、抗微生物/微生物除
去剤、家畜・家禽用微生物除去剤。リグニンFと、ビタ
ミンK2、ビタミンK3、EGCG、CGA、GA又は茶
葉の水抽出物とを成分として含有する健康食品。 【効果】 本発明のリグニンFは、ビタミンK2、ビタ
ミンK3、EGCG、CGA、GA又は茶葉の水抽出物
との併用により優れた腫瘍選択的細胞障害活性を発揮す
るので、癌治療において有用。また、EGCGとの併用
により抗微生物活性を発揮するので、微生物感染症の予
防治療等に有用。さらに、摂取量の安全域が高いことか
ら、健康食品の成分としても有用。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリグニンの新規用途
に関する。詳細には、本発明は、各種細胞障害活性物質
又は抗微生物活性物質との併用による、松かさ又は松の
実の殻由来リグニンの当該細胞障害活性又は抗微生物活
性の増強作用に基づく、医薬分野、家畜等の衛生管理、
環境衛生、及び食品分野への当該リグニンの応用に関す
る。
【0002】
【従来の技術】リグニンは、天然界に存在する主要なポ
リフェノールの一つであり、多糖が結合したフェニルプ
ロペノイドポリマーの不定形の構造をとる(Methods En
zymol., 161: 87-101, 1988)。リグニンは、抗腫瘍活
性、抗菌活性、抗ウイルス(エイズウイルス、インフル
エンザウイルス、ヘルペスウイルス)活性(直接的にウ
イルスの細胞への付着を阻止することによる)等の多彩
な生物活性を示す(In Vivo, 13: 155-171, 1999)。リ
グニンは、単球や多形核白血球等の貪食細胞のヨード化
(放射性ヨードの酸不溶性画分への取り込み)を促進し
たが、これは、ミエロペルオキシダーゼ・ハロゲン・過
酸化水素抗菌システムの活性化を示唆する。リグニン
は、マクロファージや単球による腫瘍壊死因子(TNF)
やインターロイキン-1(IL-1)の産生を促進するが、そ
の機構は不明である(Int. J. Oncol., 1: 283-287, 19
92)。
【0003】糖を含まない合成リグニン(フェニルプロ
ペノイドの脱水素重合体)は、抗菌活性と免疫増強活性
が低いことから、宿主を介する防御システムにおける多
糖の役割が示唆される(Anticancer Res., 11: 881-88
8, 1991)。
【0004】最近、本発明者らは、単独では細胞障害活
性を与えない濃度のリグニンが、アスコルビン酸ナトリ
ウム(ビタミンC)の細胞障害活性を強く促進すること
を見出した(Anticancer Res., 16: 2981-2986, 199
6)。このことは、リグニンが、他の生理活性物質との
併用により、相乗的に細胞障害活性、抗菌活性、抗ウイ
ルス活性等を増強させる可能性があることを示唆してい
る。ところが、従来、他の細胞障害活性物質等との併用
効果という観点でのリグニンの有用性に焦点を当てた研
究は殆ど皆無であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、リグニンとの併用により、単独で使用される場合よ
りもその細胞障害活性又は抗微生物活性が増強される、
好ましくは相乗的に増強される細胞障害活性物質又は抗
微生物活性物質を見出し、当該活性増強効果に基づい
て、より低用量でより強力な活性を示す新規な抗癌剤又
は抗微生物剤を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく、マツ科植物の球果(松かさ)又は種子
殻(松の実の殻)のアルカリ抽出液から単離されたリグ
ニン成分(以下、「リグニンF」という場合もある)
が、腫瘍細胞に対する種々の天然物(ビタミン、抗酸化
物質、ポリフェノール、茶抽出液等)の細胞障害活性を
促進するかどうかを調べた。その結果、本発明者らは、
リグニンFが、ビタミンK2、ビタミンK3、エピガロカ
テキンガレート(以下、EGCGともいう)、クロロゲ
ン酸(以下、CGAともいう)及び没食子酸(以下、G
Aともいう)の腫瘍細胞に対する細胞障害活性を増強す
ることを見出した。特に、リグニンFは、ビタミンK3
及びクロロゲン酸の腫瘍細胞障害活性を相乗的に増強し
た。また、本発明者らは、リグニンFが、茶葉の水抽出
物の腫瘍細胞、特に口腔上皮癌細胞に対する細胞障害活
性を増強することを見出した。さらに、本発明者らは、
リグニンFと抗微生物活性物質との併用効果についても
検討した結果、リグニンFがEGCGの抗微生物活性を
相乗的に増強することを見出した。
【0007】以上の知見に基づいて、本発明者らは、リ
グニンFとビタミンK2、ビタミンK3、EGCG、CG
A又はGA、あるいはリグニンFと茶葉の水抽出物とを
有効成分とする新規抗癌剤、リグニンFとEGCGとを
有効成分とする新規抗微生物剤、並びにリグニンFとビ
タミンK2、ビタミンK3、EGCG、CGA又はGA、
あるいはリグニンFと茶葉の水抽出物とを成分として含
有する新規健康食品の開発に成功して本発明を完成する
に至った。
【0008】すなわち、本発明は、リグニンF、及びビ
タミンK2、ビタミンK3、EGCG、CGA又はGAの
いずれかを有効成分とする抗癌剤を提供する。特に、ビ
タミンK3とCGAにおいてリグニンFの併用による抗
腫瘍活性の増強効果が顕著である。
【0009】また、本発明は、リグニンF及び茶葉の水
抽出物を有効成分とする抗癌剤を提供する。リグニンF
は、特に口腔上皮癌細胞に対する茶葉の水抽出物の細胞
障害活性を増強する。
【0010】また、リグニンFはEGCGの抗微生物活
性を相乗的に増強することから、別の本発明は、リグニ
ンF及びEGCGを有効成分とする抗微生物用医薬組成
物、又は抗微生物もしくは微生物除去剤を提供する。さ
らに、本発明は、有効量のリグニンF及びEGCGを非
ヒト動物に投与することを特徴とする当該動物の微生物
除去方法又は微生物感染症の予防及び治療方法、並びに
微生物に汚染された又は汚染されるおそれのある物体に
有効量のリグニンF及びEGCGを接触させることを特
徴とする当該物体の微生物除去方法又は微生物汚染防止
方法を提供する。
【0011】松かさや松の実の殻の抽出物は、例えば北
九州地方などで癌の民間療法において古くから服用され
ている。一方、ビタミンK2、ビタミンK3、EGCG、
CGA、GA及び茶葉の水抽出物は、いずれも食用もし
くは薬用植物中に含まれる天然成分であるから、これら
とリグニンFとの混合物は安全に食用として摂取するこ
とができる。従って、別の本発明は、リグニンFと、ビ
タミンK2、ビタミンK3、EGCG、CGA、GA又は
茶葉の水抽出物のいずれかとを成分として含有する健康
食品を提供する。このような健康食品は発癌予防効果を
有し、特にリグニンFとEGCGとを含む食品はさらに
顕著な抗微生物作用をも示すので、虫歯及び歯周病等の
予防、あるいは他の微生物感染症の予防に有効である。
【0012】
【発明の実施の形態】「リグニンF」とは、マツ科植物
の球果又は種子殻のアルカリ抽出物中に含まれる、フェ
ニルプロパン単位がランダムに重合したポリフェノール
に糖が結合した成分をいう。マツ科植物は、マツ属、カ
ラマツ属、トウヒ属等の10属からなり、現在約250
種の植物がこれに分類されているが、本発明のリグニン
Fは、上記の構造的特徴を満たし、且つ単独で腫瘍細胞
に対する細胞障害活性及び/又は抗微生物活性を有する
とともに、ビタミンK2、ビタミンK3、EGCG、CG
A又はGAとの共存下でこれらの物質の細胞障害活性及
び/又は抗微生物活性を増強し得るものである限り、い
ずれのマツ科植物から単離されるものであってもよい。
好ましくは、本発明のリグニンFは、マツ属(Pinus
に属する植物、例えば、五葉松、日本産のクロマツやア
カマツ、ブラジル産松(エリオッティー、カリバエ、タ
エダ松等)、欧州産アカマツなどの球果又は種子殻から
単離される。特に、種子(松の実)が食用となっている
五葉松から単離されるリグニンFが、本発明において好
ましく使用される。
【0013】リグニンFの抽出・単離方法としては、例
えば以下の方法が挙げられる。球果(松かさ)を出発材
料とする場合、直接アルカリ溶液で抽出してもよいが、
まずメタノール、エタノール等のアルコールで予め油分
を除去した後、(所望により、さらに熱水抽出等を行っ
て不純物を分離除去してもよい)残渣についてアルカリ
抽出を行うことがより好ましい。種子殻(松の実の殻)
を出発材料とする場合も同様の前処理を行うことができ
るが、球果に比べて油分等の不純物が少ないので直接ア
ルカリ抽出を行うこともまた好ましい。球果、種子殻と
も必要に応じて適当に乾燥させ、抽出を容易にするため
適当な粒度に粉砕して用いることができる。抽出溶媒の
アルカリ溶液としては、無機塩基、有機塩基のいずれも
使用することができ、例えば水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、アンモニア等の水溶液が使用できる。アルカ
リ溶液のpHは特に制限はないが、例えば、約9〜13
のものを使用することができる。使用するアルカリ溶液
の量は、球果又は種子殻に対して約5〜約20倍量であ
る。抽出温度及び抽出時間も特に制限はないが、例え
ば、約15〜約90℃で約30分間〜約6時間抽出する
ことができる。抽出完了後、濾過又は遠心分離等により
上清を回収することにより、リグニンF含有画分を得る
ことができる。
【0014】上記の方法は単なる例示であって、アルカ
リ溶液での抽出操作を含む限り他のいかなる方法も使用
することができ、当業者は、必要に応じて容易にそのよ
うな変更を行うことができる。
【0015】本発明のリグニンFは、上記の方法などに
より得られたアルカリ抽出液を、さらに濃塩酸等による
酸沈殿に付すことにより、さらに精製してから用いるこ
ともできる。
【0016】アルカリ抽出液は、必要に応じて、減圧濃
縮等によって適当な濃度まで濃縮した後、酸で適当なp
Hに調整し、乾燥又は凍結乾燥により粉末として調製す
ることもできる。
【0017】本発明の抗癌剤は、リグニンFに加えて、
ビタミンK2、ビタミンK3、EGCG、CGA又はGA
のいずれかを有効成分として含有する。これらの物質
は、いずれも単独で腫瘍細胞に対する細胞障害活性を示
す。
【0018】本発明において「ビタミンK2」とは、メ
ナキノン及びその誘導体並びに薬理学上許容されるそれ
らの塩であって、腫瘍細胞に対する細胞障害活性を有す
るものをいい、「ビタミンK3」とは、メナジオン及び
その誘導体並びに薬理学上許容されるそれらの塩であっ
て、腫瘍細胞に対する細胞障害活性を有するものをいう
ものとする。ビタミンK2及びK3は、いずれも従来公知
の方法により調製することができる。
【0019】「エピガロカテキンガレート(EGC
G)」は、緑茶に含まれる4種類のカテキンの1つであ
るが、本発明においては、腫瘍細胞に対する細胞障害活
性を有する限り、その誘導体(例えば、脂肪酸とのエス
テル誘導体、アルキレンオキシドとのアルキルエーテル
誘導体等)及び薬理学上許容されるそれらの塩(例え
ば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カル
シウム塩、亜鉛塩、バリウム塩、アルミニウム塩、アン
モニウム塩等)をも含む包括的な意味で用いるものとす
る。EGCGは、例えば、茶葉を熱水や親水性有機溶媒
で抽出して得られる抽出液からクロロホルム等によりカ
フェインを除去した後、さらに酢酸エチル等の有機溶媒
で抽出してカテキン混合物を得、これをアセトン等の親
水性有機溶媒を溶出剤とするカラムクロマトグラフィー
に付して他のカテキンと分離することにより得ることが
できる。もちろん、市販のEGCGを使用することもで
きる。
【0020】「クロロゲン酸(CGA)」は、多くの双
子葉植物の果実、葉(例えば、コーヒー豆、タバコ葉、
ナシ葉、リンゴ果肉、サツマイモ、桑、茶等)に含まれ
るモノ−またはジ−カフェイルキニン酸の総称である
が、本発明においては、腫瘍細胞に対する細胞障害活性
を有する限り、その誘導体(例えば、アルコールや脂肪
酸とのエステル誘導体、アルキレンオキシドとのアルキ
ルエーテル誘導体等)及び薬理学上許容されるそれらの
塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム
塩、カルシウム塩、亜鉛塩、バリウム塩、アルミニウム
塩、アンモニウム塩、硫酸塩、リン酸塩等)をも含む包
括的な意味で用いるものとする。CGAは、例えば、コ
ーヒー豆粉砕物を、水又は熱水、アルコール、アセト
ン、クロロホルム等の親水性有機溶媒、あるいはそれら
の混合溶媒で抽出し、陽イオン交換樹脂等を用いてカフ
ェインを除去した後、カラムクロマトグラフィーに付す
ことにより精製することができる。もちろん、市販のC
GAを使用することもできる。
【0021】「没食子酸(GA)」は、没食子(ブナ科
のナラ属植物の若枝にハチが産卵する時の刺激で生じる
虫瘤)、茶、五倍子(ウルシ科のヌルデの葉茎にフシム
シが寄生した刺激で生じる虫瘤)等の植物の根、茎、
葉、果実等に含まれる、タンニンの基本構成単位であ
る。本発明においては、腫瘍細胞に対する細胞障害活性
を有する限り、遊離酸だけでなく、その誘導体(例え
ば、アルコールや脂肪酸とのエステル誘導体、アルキレ
ンオキシドとのアルキルエーテル誘導体等)及び薬理学
上許容されるそれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリ
ウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、バリ
ウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩、硫酸塩、リ
ン酸塩等)をも含む包括的な意味で用いるものとする。
GAは上記の植物材料から周知の方法により抽出精製す
ることができる。また、GAは、タンニンの加水分解、
シキミ酸の脱水素、フェニルプロパノイドのβ酸化等に
よっても得ることができる。
【0022】本発明の抗癌剤の有効成分(補助有効成
分)であるリグニンFは、もう一方の有効成分(主有効
成分)であるビタミンK2、ビタミンK3、EGCG、C
GA又はGAの腫瘍細胞に対する細胞障害活性を増強す
る作用を示す。本発明の製剤により治療できる癌はヒト
をはじめとする哺乳動物に生じる癌であれば特に限定さ
れず、例えば、口腔、胃、大腸、肺、乳房、肝臓、食
道、子宮、骨髄、筋肉、血液等の癌が挙げられる。
【0023】主有効成分とリグニンFは、必要に応じて
医薬上許容される担体(例えば、賦形剤、希釈剤等)な
どの必要な成分と適宜混合し、液状製剤、粉末、顆粒、
錠剤、カプセル剤、シロップ剤、注射剤、エアロゾル剤
等の剤形で製剤化することができ、経口的または非経口
的に投与することができる。
【0024】医薬上許容される担体としては、例えば、
ショ糖、デンプン、マンニット、ソルビット、乳糖、グ
ルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭
酸カルシウム等の賦形剤、セルロース、メチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルピロ
リドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコ
ール、ショ糖、デンプン等の結合剤、デンプン、カルボ
キシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、
ナトリウム−グリコール−スターチ、炭酸水素ナトリウ
ム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の崩壊
剤、ステアリン酸マグネシウム、エアロジル、タルク、
ラウリル硫酸ナトリウム等の滑剤、クエン酸、メントー
ル、グリシルリジン・アンモニウム塩、グリシン、オレ
ンジ粉等の芳香剤、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナ
トリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等の保存
剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸等の安定剤、
メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン
酸アルミニウム等の懸濁剤、界面活性剤等の分散剤、
水、生理食塩水、オレンジジュース等の希釈剤、カカオ
脂、ポリエチレングリコール、白灯油等のベースワック
スなどが挙げられるが、それらに限定されるものではな
い。
【0025】好ましくは、本発明の製剤は経口用または
注射用製剤である。経口投与に好適な製剤は、水、生理
食塩水、オレンジジュースのような希釈液に、有効量
(単独で腫瘍細胞に対する細胞障害活性を発揮するのに
十分な量)の主有効成分と、有効量(主有効成分の腫瘍
細胞に対する細胞障害活性を増強させるのに十分な量)
のリグニンFを溶解させた液剤、有効量の両物質を固体
や顆粒として含んでいるカプセル剤、サッシェ剤または
錠剤、適当な分散媒中に有効量の両物質を懸濁させた懸
濁液剤、有効量の両物質を溶解させた溶液を適当な分散
媒中に分散させ乳化させた乳剤等である。
【0026】非経口的な投与に好適な製剤としては、水
性および非水性の等張な無菌の注射液剤があり、これに
は抗酸化剤、緩衝液、制菌剤、等張化剤等が含まれてい
てもよい。また、水性および非水性の無菌の懸濁液剤が
挙げられ、これには懸濁剤、可溶化剤、肥厚剤、安定化
剤、防腐剤等が含まれていてもよい。本発明の製剤は、
アンプルやバイアルのように単位投与量あるいは複数回
投与量ずつ容器に封入することができる。また、有効量
の主有効成分及び有効量のリグニンF並びに医薬上許容
される担体を凍結乾燥(フリーズドライ)し、使用直前
に適当な無菌のビヒクルに溶解または懸濁すればよい状
態で保存することもできる。
【0027】本発明の抗癌剤の投与量は、主有効成分で
あるビタミンK2、ビタミンK3、EGCG、CGA又は
GA、及び補助有効成分であるリグニンFの各有効量、
両物質の細胞毒性、癌の種類、病気の進行度、投与対象
の薬物受容性、体重、年齢等によって異なるが、例え
ば、経口投与の場合、リグニンFの量として、約1〜約
200mg/kg体重、主有効成分の量として、約0.
1〜約10mg/kg体重(ビタミンK2)、約0.0
1〜約1mg/kg体重(ビタミンK3)、約0.1〜
約20mg/kg体重(EGCG)、約0.1〜約20
mg/kg体重(CGA)、又は約0.1〜約20mg
/kg体重(GA)である。これらの量を1日1回また
は数回に分けて投与することができる。
【0028】本発明の抗癌剤の特に好ましい態様は、主
有効成分としてビタミンK3又はCGAを含有するもの
である。これらの物質は、リグニンFの作用によりその
腫瘍細胞に対する細胞障害活性が相乗的に増強される。
【0029】上記の主有効成分に対して抗腫瘍活性の増
強作用を示す一方で、リグニンFは、他の抗腫瘍活性物
質に対しては活性増強作用を示さないか、あるいは反対
に活性阻害作用を示す場合すらある。例えば、クルクミ
ン(ショウガ科のウコン根茎に含まれる黄色色素)やド
パミン(中枢性の神経伝達物質として作用するカテコー
ルアミン)の細胞障害活性は、リグニンFにより顕著に
抑制される。従って、リグニンFは、クルクミンやドパ
ミンの投与による副作用の緩和やドパミンの過剰分泌に
伴う症状の緩和に有効であるかもしれない。
【0030】本発明の別の抗癌剤は、リグニンFと茶葉
の水抽出物とを有効成分とする。リグニンFについて
は、上記と同様のものが好ましく使用される。「茶葉」
はチャノキ属(Thea)に属する植物の葉(茎を含む)を
飲用に加工したものであれば特に制限はなく、いわゆる
緑茶や、紅茶、ウーロン茶等の葉が挙げられる。好まし
くは、ウーロン茶等の半発酵茶、紅茶等の発酵茶が挙げ
られる。また、茶葉を成分として含む限り、香料等の他
の成分を含む加工茶もこれに包含される。
【0031】抽出溶媒の「水」は、水道水、蒸留水、脱
イオン水、ミネラルウォーター等のいずれであってもよ
い。使用する水の量は、茶葉に対して約2〜約10倍量
である。抽出温度及び抽出時間も特に制限はないが、例
えば、約15〜約90℃で約30分間〜約6時間抽出す
ることができる。抽出完了後、濾過及び/又は遠心分離
等を行って上清を回収することにより、茶葉の水抽出液
を得ることができる。該抽出液は、必要に応じて、減圧
濃縮等によって適当な濃度まで濃縮した後、乾燥又は凍
結乾燥により粉末として調製することもできる。
【0032】リグニンF及び茶葉の水抽出物は、必要に
応じて医薬上許容される担体(例えば、賦形剤、希釈剤
等)などの成分と適宜混合し、液状製剤、粉末、顆粒、
錠剤、カプセル剤、シロップ剤、注射剤、エアロゾル剤
等の剤形で製剤化することができ、経口的または非経口
的に投与することができる。医薬上許容される担体とし
ては、本発明の別の抗癌剤について上記したものが同様
に使用され得る。また、投与形態、投与経路についても
上記と同様のものが使用可能である。
【0033】リグニンFと茶葉の水抽出物とを有効成分
とする抗癌剤により治療される癌は、ヒトをはじめとす
る哺乳動物に生じる癌であれば特に限定されず、例え
ば、口腔、胃、大腸、肺、乳房、肝臓、食道、子宮、骨
髄、筋肉、血液等の癌が挙げられるが、好ましくは口腔
癌、特に口腔上皮細胞癌である。
【0034】リグニンFとEGCGは、それぞれ単独で
動物の種々の組織において微生物感染に対して抗微生物
作用を発揮することが知られているが(ここで「微生
物」とは、細菌、放線菌等の原核生物、酵母、糸状菌等
の真菌類、ウイルス等を包含するものである)、リグニ
ンFは、EGCGの当該抗微生物活性を相乗的に増強す
る作用を示す。従って、本発明はまた、EGCGを主有
効成分とし、リグニンFを補助有効成分とする抗微生物
用医薬組成物を提供する。
【0035】好ましくは、本発明の抗微生物用医薬組成
物は、虫歯や歯周病の原因菌である口腔細菌や、病原性
大腸菌等の腸内細菌、カンジダ酵母や白癬菌等の皮膚病
原菌、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイ
ルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、パルボ
ウイルス、ポックスウイルス等の病原ウイルスに対し
て、顕著な抗微生物活性及び微生物除去活性を有する。
【0036】本発明の抗微生物用医薬組成物において、
リグニンFとEGCGとは、必要に応じて医薬上許容さ
れる担体(例えば、賦形剤、希釈剤等)などの成分と適
宜混合し、液状製剤、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、
シロップ剤、注射剤、エアロゾル剤等の剤形で製剤化す
ることができ、経口的または非経口的に投与することが
できる。医薬上許容される担体としては、上記抗癌剤に
ついて例示されたものが同様に使用され得る。また、投
与形態、投与経路についても上記抗癌剤と同様のものが
使用可能である。
【0037】本発明の抗微生物用医薬組成物の投与量
は、主有効成分であるEGCG及び補助有効成分である
リグニンFの各有効量、細胞毒性、病原菌の種類、病気
の進行度、投与対象の薬物受容性、体重、年齢等によっ
て異なるが、例えば経口投与の場合、通常、リグニンF
の量として約0.2〜約2mg/kg体重、EGCGの
量として、約0.02〜約0.2mg/kg体重であ
り、これらの量を1日1回または数回に分けて投与する
ことができる。
【0038】本発明の抗微生物用医薬組成物の投与対象
はヒトに限定されず、当該製剤は、病原性微生物に感染
した、あるいは感染するおそれのある他の哺乳動物及び
鳥類にも有効に投与され得る。特に、ヒトの病原性微生
物感染の重要な感染経路の1つとして、ウシ、ブタ等の
家畜類、ニワトリ、アヒル等の家禽類の汚染が挙げられ
ることから、本発明の抗微生物用医薬組成物は、ヒトに
とっての病原性微生物を保有する家畜及び家禽類からの
当該微生物の除去、あるいは家畜及び家禽類の当該微生
物への感染予防に好ましく使用することができる。従っ
て、本発明はまた、有効量(抗微生物活性又は微生物除
去活性を発揮するのに十分な量)のEGCG及び有効量
(EGCGの抗微生物活性又は微生物除去活性を増強さ
せるのに十分な量)のリグニンFを非ヒト動物に投与す
ることを特徴とする、当該動物からの有害微生物の除去
方法又は微生物感染症の予防及び治療方法を提供する。
【0039】本発明の非ヒト動物用抗微生物用医薬組成
物は、従来広く使用されている家畜又は家禽用飼料と配
合して使用することができる。従って、本発明はまた、
有効量のリグニンF及び有効量のEGCGを配合してな
る家畜又は家禽用飼料を提供する。
【0040】リグニンFとEGCGの併用は、ヒト等の
動物における微生物感染の予防及び治療等のインビボで
の効果だけでなく、広く人間環境の微生物汚染の防御及
び除去にも有用である。従って、本発明はまた、微生物
に汚染された物体に有効量のリグニンF及び有効量のE
GCGを接触させることを特徴とする当該物体からの微
生物の除去方法、あるいは微生物に汚染されるおそれの
ある物体に予め有効量のリグニンF及び有効量のEGC
Gを接触させることを特徴とする当該物体の微生物汚染
防止方法、並びに当該方法に使用される、リグニンF及
びEGCGを有効成分とする抗微生物もしくは微生物除
去剤(以下、抗微生物/微生物除去剤ともいう)を提供
する。
【0041】本発明において「抗微生物もしくは微生物
除去剤(抗微生物/微生物除去剤)」とは、清掃用等の
医薬用途以外における使用のための組成物をいうものと
する。従って、本発明の抗微生物/微生物除去剤は、リ
グニンFとEGCGの各有効量を、当該分野で通常使用
される担体(例えば、賦形剤、希釈剤等)などの成分と
適宜混合し、液剤、粉末、顆粒、錠剤、噴霧剤等の適切
な形態にデザインすることができるが、ここで用いられ
る担体等は医薬上許容されるものに限定されない。ここ
で「EGCGの有効量」とは、少なくとも、本剤が適用
される物体上に存在する微生物の増殖を実質的に抑制す
るのに十分な量をいう。ここで「実質的に抑制する」と
は、本剤が適用される物体上の微生物量が、当該物体を
所定の目的に安全に使用できる程度に微生物の増殖を抑
制することをいう。また、「リグニンFの有効量」と
は、少なくとも、本剤が適用される物体上に存在する微
生物の増殖を実質的に抑制するのに十分な程度に、EG
CGの抗微生物/微生物除去活性を増強させるのに十分
な量をいう。具体的には、本発明の抗微生物/微生物除
去剤中のEGCGの濃度は約0.01〜約10mg/m
L、リグニンFの濃度は約0.1〜約100mg/mL
である。
【0042】本発明の抗微生物/微生物除去剤は、EG
CG及びリグニンFの抗微生物/微生物除去作用に不利
な影響を及ぼさない限り、使用目的に応じて他の殺菌
剤、界面活性剤、漂白剤、芳香剤等を適宜配合させるこ
とができる。
【0043】本発明の抗微生物/微生物除去剤が適用さ
れる物体は、微生物、特に病原性微生物に汚染される
か、あるいは汚染されるおそれのある物体であれば制限
はなく、例えば、食器その他の台所用品、流し台、衣
類、リネン類、トイレ、洗面台、浴室等が挙げられる。
あるいは、本発明の抗微生物/微生物除去剤はフィルム
やシート等の素材に浸透させることにより、抗微生物フ
ィルムもしくはシート等としての応用が可能である。
【0044】リグニンFは、従来より食用として安全に
摂取されている五葉松の松の実の殻や、癌の民間療法と
して服用されてきた松かさ抽出物由来の成分であり、投
与量に比べてLD50値が高く、安全域の広い物質であ
る。一方、ビタミンK2、ビタミンK3、EGCG、CG
A又はGA、あるいは茶葉の水抽出物は、いずれも食用
植物もしくは薬用植物由来の成分であり、同様に安全域
の広い物質である。従って、リグニンFとビタミン
2、ビタミンK3、EGCG、CGA又はGA、あるい
は茶葉の水抽出物との混合物は、上記のような医薬もし
くは医薬部外品としてだけではなく、単独で、又は許容
される食品添加物とともに、健康食品等の食品としても
利用することができる。即ち、本発明はまた、リグニン
Fと、ビタミンK2、ビタミンK3、EGCG、CGA又
はGA、あるいは茶葉の水抽出物とを成分として含有す
る食用品を提供する。許容される食品添加物としては、
通常使用される防腐剤、着色料、香料、安定剤等が挙げ
られる。また、糖分、蛋白質、脂質、アミノ酸、ビタミ
ン類、鉄分、カルシウム、マグネシウム、食物繊維等の
他の栄養素等と混合して多機能性栄養食品とすることも
できる。
【0045】本発明の食用品は、発癌予防、虫歯及び歯
周病予防、各種病原微生物による感染症の予防等の効果
を発揮するのに十分な量のビタミンK2、ビタミンK3
EGCG、CGA又はGA、あるいは茶葉の水抽出物
と、これらの物質の生理活性を増強するのに十分な量の
リグニンFとを含有する限り、いかなる形態の食品であ
ってもよい。しかしながら、上述のように、リグニンF
とEGCGとは虫歯及び歯周病菌等の口腔細菌に対して
強力な抗菌作用を示すので、本発明の食用品の好ましい
一実施態様としてチューイングガムが例示される。本発
明のチューイングガムの製造には当該分野で周知のいず
れの方法も使用することができる。例えば、以下の方
法:(1) 約70〜120℃の加熱温度でガムベースを可
塑剤または軟化剤あるいはこの両者と練り合わせて、所
定の硬さと粘度成形性を有する均質な混練物を形成さ
せ、(2) その後これを混練しながら、リグニンF及びE
GCG、及び必要に応じて甘味料、芳香剤、着色料、他
の機能性素材(例えば、アミノ酸、ビタミン類、鉄分、
カルシウム、マグネシウム、食物繊維等)などのうちか
ら選ばれた所定の添加剤が吸着されている顆粒状物質を
加え、(3) さらに混練しながら甘味料または着色料など
の所定の添加剤を加え、(4) 得られた混練物をミキサー
から取り出して成形する、を使用することができるが、
これに限定されない。
【0046】本発明のチューイングガムに含有されるリ
グニンF及びEGCGは、全体として虫歯及び歯周病の
予防効果を示すのに十分なそれぞれの量であれば特に限
定されないが、例えば、1g中にリグニンFが約0.2
〜50mg、EGCGが約0.02〜約5mgである。
【0047】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、これらは単なる例示であって本発明の範
囲を何ら限定するものではない。尚、以下の化合物は、
それぞれ記載された会社から購入した。ダルベッコ改変
イーグル培地(DMEM)(BRL社、Gland Island, NY);
胎児牛血清(FBS)(JRHBiosci社、Lenexa, KS);GA
(東京化成工業株式会社、東京);EGCG、CGA
(3-caffeoylquinic acid hemihydrate)、ジメチルス
ルホキシド(DMSO)、クルクミン(以上、和光純薬株式
会社、大阪);3-[4,5-dimethylthiazol-2-yl]-2,5-dip
henyltetrazolium bromide(MTT)、ドパミン(シグマ
社、St. Louis, MO);ビタミンK2 とK3は、エーザイ
株式会社より供与された。
【0048】実施例1 リグニンFの調製 中国産五葉松(Pinus parviflora Sieb. et Zucc.)の
球果250gをよく洗浄して汚れを落とした後、メタノ
ール、次いで85%エタノールで2回ずつ洗浄して油分
を除去した。次に、沸騰水で4時間、3回抽出を行っ
た。残渣に1%水酸化ナトリウム水溶液を加え、室温で
4時間抽出した。該抽出液を10,000×gで20分
間遠心して残渣を除いた後、上清に酢酸を加えてpHを
5.0に調整し沈殿物画分を得た。この画分を十分量の
水に対して透析し、凍結乾燥することによりリグニンF
の粉末を得た(Anticancer Res., 7: 1153-1160, 198
7)。
【0049】実施例2 茶葉の水抽出物の調製 日本茶(静岡県産)、中国緑茶(山東省産)、中国ジャ
スミン茶(山東省産)、ウーロン茶(台湾産)及び紅茶
(Hediars, パリ)の各種茶葉、並びに麦茶(常陸屋本
舗、東京)に4倍量の脱イオン水を加えて、80℃で2時
間抽出した。メッシュで濾過した後、濾液を遠心(8000
rpm,10分)し、その上清を凍結乾燥して茶葉(又は麦
茶)の水抽出物を得た。抽出物の収率は、それぞれ、7.
8、51.8、19.2、19.4、17.2、20.5%であった。
【0050】試験例1 各種細胞障害活性物質の腫瘍細
胞に対する細胞障害活性に及ぼすリグニンFの併用効果 試験細胞株として、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株(HSC-
2)、ヒト唾液腺腫瘍細胞株(HSG)、及びコントロール
としてヒト歯肉線維芽細胞(HGF)を、10%非働化FBSを
含むDMEM培養液中、5% CO2、95%湿度の環境下で37℃
にて培養し、継代培養7〜9回目の細胞を試験に用いた
Phytomedicine, 7(6): 483-491, 2000)。対数増殖期
の細胞を、種々の濃度の被験物質(ビタミンK2、ビタ
ミンK3、EGCG、CGA、GA、クルクミン又はド
パミン)及びリグニンFとともに24時間インキュベート
し、相対的な生細胞数(540 nmでの吸光度)をMTT法
により測定した(Phytomedicine, 7(6): 483-491, 200
0)。その結果を図1及び表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】リグニンFは、単独でヒト口腔癌細胞HSC-
2及びHSGの増殖を僅かに抑制したが、ヒト歯肉線維芽細
胞HGFの増殖を抑制しなかった(図1)。即ち、リグニ
ンFは腫瘍選択的な細胞障害活性を示すことがわかる。
リグニンFは、HSG細胞に対するビタミンK3とCGAの
細胞障害活性を相乗的に促進し、ビタミンK2、EGC
G及びGAの細胞障害活性を相加的に促進した(表
1)。対照的に、リグニンFは、濃度依存的にクルクミ
ンとドパミンの細胞障害活性を減少させた(表1)。ド
パミンの細胞障害活性に対するリグニンFの保護効果は
特に顕著であった。
【0053】試験例2 各種細胞障害活性物質のラジカ
ル強度に及ぼすリグニンFの併用効果 各種被験物質(ビタミンK3、EGCG、CGA又はG
A)をリグニンFと0.1M NaHCO3/Na2CO3緩衝液(pH 9.0
又は9.5)中で混合し、ラジカル強度を電子スピン共鳴
(ESR)スペクトル測定装置(JEOL JES RE1X, X-band,
100 kHz modulation frequency)により測定した(Anti
cancer Res., 17: 3479-3483, 1997; Anticancer Res.,
20: 2473-2476, 2000)。装置の各条件は以下の通りで
あった:center field, 336±5.0 mT; microwave powe
r, 8 mW; modulation amplitude,0.1 mT; gain, 400-63
0, time constant, 0.03 s, scanning time, 2 min。そ
の結果を図2に示す。
【0054】リグニンFは、アルカリ条件下でブロード
なラジカルを生成すること、リグニンFと、ビタミンK
3、EGCGあるいはGAとの併用は、ラジカル強度を
有意に増強させることが判明した(図2)。これは、リ
グニンFによる細胞障害活性の増強作用と一致する。し
かし、リグニンFの添加は、CGAのラジカル強度を増
強せず、CGAの多数のラジカルピークを、リグニン様
のESRシグナルパターンへと変換させた(図2)。麦
茶抽出物(negative control)はリグニンのラジカル強
度には何ら影響を与えなかったが(図2)、これは、麦茶
がリグニンの細胞障害活性に影響を与えないことと一致
する(後記試験例3;表2)。
【0055】試験例3 各種茶葉の水抽出物の腫瘍細胞
に対する細胞障害活性に及ぼすリグニンFの併用効果 試験例1において細胞障害活性物質として実施例2にて
調製した各種茶葉の水抽出物を用い、同様にして腫瘍細
胞に対する細胞障害活性に及ぼすリグニンFの併用効果
をMTT法により調べた。その結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】リグニンFは、HSC-2細胞に対する各種茶
葉抽出物の細胞障害活性を相加的に促進した(表2)。
麦茶の水抽出物は、単独では細胞障害活性を示さなかっ
た。
【0058】試験例4 EGCGの抗菌活性に及ぼすリ
グニンFの併用効果 大腸菌(Escherichia coli sp.)を、brain heart infu
sion agar(BHI, Difco laboratories, Detroit, MI)
中、37℃にて好気的条件で生育させた。抗菌活性は寒天
平板希釈法により測定した。その結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】EGCGは、単独で濃度依存的に大腸菌の
コロニー数を減少させた(表3)。リグニンFも単独で
抗菌活性を示したが、その効果はEGCGに比べて低か
った。EGCGとリグニンFとを併用すると、EGCG
の殺菌活性が更に増強された(表3)。
【0061】
【発明の効果】本発明のリグニンFは、ビタミンK2
ビタミンK3、EGCG、CGA又はGA、あるいは茶
葉の水抽出物との併用により、これらの物質の腫瘍選択
的細胞障害活性を増強するので、癌化学療法において新
たなアプローチを提供する。また、本発明のリグニンF
は、EGCGの抗微生物及び微生物除去活性を相乗的に
増強するので、これらを併用することは、ヒトを含む動
物の微生物感染の予防及び治療、家畜及び家禽類からの
有害微生物の除去、食器や台所用品等の微生物汚染防止
に有用である。さらに、本発明のリグニンF及びビタミ
ンK2、ビタミンK3、EGCG、CGA又はGA、ある
いは茶葉の水抽出物は、従来より安全に食用として摂取
されている植物由来の成分であるので、医薬品としてだ
けではなく、健康食品等の原料としても極めて有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】種々の濃度のリグニンFとともに24時間培養し
たヒト口腔扁平上皮癌細胞株(HSC-2)、ヒト唾液腺腫
瘍細胞株(HSG)及びヒト歯肉線維芽細胞(HGF)におけ
る相対的な生細胞数を示すグラフである。横軸はリグニ
ンF濃度(mg/mL)、縦軸は540 nmでの吸光度を示す。
各値は、4つの実験値の平均値±S.D.である。
【図2】各種細胞障害活性物質のラジカル強度に及ぼす
リグニンFの併用効果を示すESRスペクトル分析のチャ
ート図である。(A)左から、リグニンF (1 mg/mL)
(pH 9.0), ビタミンK3 (4 mM), リグニンF+ビタミン
3;(B)左から、リグニンF (1 mg/mL) (pH 9.0),
EGCG (5 mM), リグニンF+EGCG;(C)左か
ら、リグニンF (1 mg/mL) (pH 9.0), GA (4 mM), リ
グニンF+GA;(D)左から、リグニンF (1 mg/mL)
(pH 9.5), CGA (0.4 mM), リグニンF+CGA;
(E)左から、リグニンF (1 mg/mL) (pH 9.5), 麦茶
抽出物 (1 mg/mL), リグニンF+麦茶抽出物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/353 A61K 31/353 A61P 31/04 A61P 31/04 35/00 35/00 (72)発明者 姜 宜 アメリカ合衆国、ワシントン州 98195− 7720、シアトル、(番地なし) ユニヴァ ーシティ オヴ ワシントン、デパートメ ント オヴ メディシン、ザ マーキィ モレキュラー センター アンド ザ デ ィヴィジョン オヴ ヘマトロジー、シー /オー ドクター ペイ−ロン ワン Fターム(参考) 4B018 MD23 MD48 MD59 MD60 ME08 4C086 AA01 AA02 BA08 MA03 MA04 MA52 NA14 ZB26 ZB32 4C088 AB03 AB45 AC04 AC05 BA08 BA09 CA03 CA05 MA03 MA07 MA52 NA14 ZB26 ZB32 4C206 AA01 AA02 CB28 DB20 DB56 MA03 MA04 MA72 NA14 ZB26 ZB32

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マツ科植物の球果又は種子殻のアルカリ
    抽出物中のリグニン成分、並びにビタミンK2、ビタミ
    ンK3、エピガロカテキンガレート、クロロゲン酸及び
    没食子酸からなる群より選択される物質を有効成分とす
    る抗癌剤。
  2. 【請求項2】 マツ科植物の球果又は種子殻のアルカリ
    抽出物中のリグニン成分、及びビタミンK3又はクロロ
    ゲン酸を有効成分とする抗癌剤。
  3. 【請求項3】 マツ科植物がマツ属に属する植物である
    請求項1又は2記載の抗癌剤。
  4. 【請求項4】 癌が口腔癌である請求項1〜3のいずれ
    かに記載の抗癌剤。
  5. 【請求項5】 マツ科植物の球果又は種子殻のアルカリ
    抽出物中のリグニン成分及び茶葉の水抽出物を有効成分
    とする抗癌剤。
  6. 【請求項6】 茶葉が発酵茶又は半発酵茶である請求項
    5記載の抗癌剤。
  7. 【請求項7】 マツ科植物がマツ属に属する植物である
    請求項5又は6記載の抗癌剤。
  8. 【請求項8】 癌が口腔癌である請求項5〜7のいずれ
    かに記載の抗癌剤。
  9. 【請求項9】 マツ科植物の球果又は種子殻のアルカリ
    抽出物中のリグニン成分及びエピガロカテキンガレート
    を有効成分とする抗微生物用医薬組成物。
  10. 【請求項10】 マツ科植物がマツ属に属する植物であ
    る請求項9記載の抗微生物用医薬組成物。
  11. 【請求項11】 マツ科植物の球果又は種子殻のアルカ
    リ抽出物中のリグニン成分及びエピガロカテキンガレー
    トを有効成分とする抗微生物もしくは微生物除去剤。
  12. 【請求項12】 マツ科植物がマツ属に属する植物であ
    る請求項11記載の抗微生物もしくは微生物除去剤。
  13. 【請求項13】 マツ科植物の球果又は種子殻のアルカ
    リ抽出物中のリグニン成分及びエピガロカテキンガレー
    トを、微生物感染症の予防又は治療に有効な量、非ヒト
    動物に投与することを特徴とする、当該動物における微
    生物感染症の予防又は治療方法。
  14. 【請求項14】 マツ科植物がマツ属に属する植物であ
    る請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 ヒトの病原性微生物を保有する又は保
    有するおそれのある家畜もしくは家禽に、マツ科植物の
    球果又は種子殻のアルカリ抽出物中のリグニン成分及び
    エピガロカテキンガレートを、当該病原性微生物の除去
    又は感染防御に有効な量投与することを特徴とする、当
    該家畜もしくは家禽におけるヒトの病原性微生物の除去
    又は感染防御方法。
  16. 【請求項16】 マツ科植物がマツ属に属する植物であ
    る請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 微生物に汚染された又は汚染されるお
    それのある物体に、マツ科植物の球果又は種子殻のアル
    カリ抽出物中のリグニン成分及びエピガロカテキンガレ
    ートを、少なくとも当該微生物の増殖を実質的に抑制す
    るのに有効な量接触させることを特徴とする、当該物体
    における微生物の除去又は汚染防止方法。
  18. 【請求項18】 マツ科植物がマツ属に属する植物であ
    る請求項17記載の方法。
  19. 【請求項19】 マツ科植物の球果又は種子殻のアルカ
    リ抽出物中のリグニン成分、並びにビタミンK2、ビタ
    ミンK3、エピガロカテキンガレート、クロロゲン酸及
    び没食子酸からなる群より選択される物質を成分として
    含有する健康食品。
  20. 【請求項20】 マツ科植物の球果又は種子殻のアルカ
    リ抽出物中のリグニン成分、及びビタミンK3又はクロ
    ロゲン酸を成分として含有する健康食品。
  21. 【請求項21】 マツ科植物の球果又は種子殻のアルカ
    リ抽出物中のリグニン成分及び茶葉の水抽出物を成分と
    して含有する健康食品。
  22. 【請求項22】 マツ科植物の球果又は種子殻のアルカ
    リ抽出物中のリグニン成分及びエピガロカテキンガレー
    トを成分として含有する健康食品。
  23. 【請求項23】 チューイングガムである請求項22の
    健康食品。
  24. 【請求項24】 マツ科植物がマツ属に属する植物であ
    る請求項19〜23のいずれかに記載の健康食品。
JP2001222132A 2001-07-23 2001-07-23 リグニンの新規用途 Pending JP2003040792A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001222132A JP2003040792A (ja) 2001-07-23 2001-07-23 リグニンの新規用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001222132A JP2003040792A (ja) 2001-07-23 2001-07-23 リグニンの新規用途

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003040792A true JP2003040792A (ja) 2003-02-13

Family

ID=19055677

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001222132A Pending JP2003040792A (ja) 2001-07-23 2001-07-23 リグニンの新規用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003040792A (ja)

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004285033A (ja) * 2003-03-21 2004-10-14 Yoshihara Masaaki 農作物用散布材
WO2005007640A1 (ja) * 2003-07-22 2005-01-27 Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd. ウィルス感染症の予防または治療用組成物
JP2005206566A (ja) * 2004-01-26 2005-08-04 Iwamoto Shigemi 制癌予防食品
WO2005107731A1 (ja) * 2004-05-12 2005-11-17 Eisai R & D Management Co., Ltd. ビタミンk2を有効成分として含む治療剤
US7838052B2 (en) 2001-09-26 2010-11-23 Tampa Bay Research Institute Pine cone extracts and uses thereof
US7838046B2 (en) 2001-09-26 2010-11-23 Tampa Bay Research Institute Plant extracts and uses thereof
CN102697857A (zh) * 2012-05-29 2012-10-03 株洲千金药业股份有限公司 一种防治产褥感染的产妇巾药水及其制备方法
JP5766192B2 (ja) * 2010-08-17 2015-08-19 キリン株式会社 植物由来の新規な免疫賦活剤
CN105012912A (zh) * 2015-07-31 2015-11-04 青岛海之源智能技术有限公司 复方诺氟沙星缓释片及制备方法
CN105012911A (zh) * 2015-07-31 2015-11-04 青岛海之源智能技术有限公司 一种复方诺氟沙星组合物及制备方法
CN105056172A (zh) * 2015-07-31 2015-11-18 青岛海之源智能技术有限公司 复方诺氟沙星缓释胶囊及制备方法
CN111726993A (zh) * 2017-12-22 2020-09-29 绿色创新有限公司 木质素级分作为人和动物食品补充剂成分的用途
US20210115257A1 (en) * 2018-06-29 2021-04-22 Upm-Kymmene Corporation Organic-inorganic hybrid material comprising a metal and lignin, processes for preparing the same and uses thereof

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7838046B2 (en) 2001-09-26 2010-11-23 Tampa Bay Research Institute Plant extracts and uses thereof
US7838052B2 (en) 2001-09-26 2010-11-23 Tampa Bay Research Institute Pine cone extracts and uses thereof
JP2004285033A (ja) * 2003-03-21 2004-10-14 Yoshihara Masaaki 農作物用散布材
JPWO2005007640A1 (ja) * 2003-07-22 2006-08-31 協和醗酵工業株式会社 ウィルス感染症の予防または治療用組成物
US7332475B2 (en) 2003-07-22 2008-02-19 Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd. Preventive or therapeutic composition for viral infectious disease
WO2005007640A1 (ja) * 2003-07-22 2005-01-27 Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd. ウィルス感染症の予防または治療用組成物
JP4731321B2 (ja) * 2003-07-22 2011-07-20 協和発酵バイオ株式会社 ウィルス感染症の予防または治療用組成物
JP2005206566A (ja) * 2004-01-26 2005-08-04 Iwamoto Shigemi 制癌予防食品
JPWO2005107731A1 (ja) * 2004-05-12 2008-03-21 エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 ビタミンk2を有効成分として含む治療剤
WO2005107731A1 (ja) * 2004-05-12 2005-11-17 Eisai R & D Management Co., Ltd. ビタミンk2を有効成分として含む治療剤
JP5766192B2 (ja) * 2010-08-17 2015-08-19 キリン株式会社 植物由来の新規な免疫賦活剤
CN102697857A (zh) * 2012-05-29 2012-10-03 株洲千金药业股份有限公司 一种防治产褥感染的产妇巾药水及其制备方法
CN105012912A (zh) * 2015-07-31 2015-11-04 青岛海之源智能技术有限公司 复方诺氟沙星缓释片及制备方法
CN105012911A (zh) * 2015-07-31 2015-11-04 青岛海之源智能技术有限公司 一种复方诺氟沙星组合物及制备方法
CN105056172A (zh) * 2015-07-31 2015-11-18 青岛海之源智能技术有限公司 复方诺氟沙星缓释胶囊及制备方法
CN111726993A (zh) * 2017-12-22 2020-09-29 绿色创新有限公司 木质素级分作为人和动物食品补充剂成分的用途
US20210115257A1 (en) * 2018-06-29 2021-04-22 Upm-Kymmene Corporation Organic-inorganic hybrid material comprising a metal and lignin, processes for preparing the same and uses thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2009123183A1 (ja) 抗ウイルス剤および抗ウイルス用組成物
JP5670201B2 (ja) A型インフルエンザウイルス属のエンベロープウイルスに対する抗ウイルス剤および抗ウイルス用組成物
KR101733261B1 (ko) 지방 분해 촉진 조성물
KR101382400B1 (ko) 흰점박이꽃무지를 유효성분으로 포함하는 염증성 질환의 예방 및 치료용 조성물
JP2003040792A (ja) リグニンの新規用途
KR101260250B1 (ko) 패모 추출물을 포함하는 항 호흡기 바이러스용 조성물
JP2001342142A (ja) 泌尿器系疾患予防治療用組成物
KR101829637B1 (ko) 참옻나무 목심 추출물을 함유하는 항암치료 부작용에 따른 소화기능장애, 백혈구 감소증 및 골수부전증의 개선, 예방 또는 치료용 조성물
WO2021256473A1 (ja) 抗コロナウイルス剤
JP2001064172A (ja) Apc遺伝子の変異に起因する疾患の予防・治療剤
KR101316044B1 (ko) 오디 유래의 감염성 비만 억제용 약학 조성물 및 건강기능식품
KR101749967B1 (ko) 콩 발아배아 추출물을 포함하는 비만의 예방 또는 치료용 약학 조성물
KR102323400B1 (ko) 사포그릴레이트 및 빌베리 추출물을 유효성분으로 함유하는 난청 예방 또는 치료용 복합조성물
JPH04300836A (ja) 肝機能障害予防剤及び肝機能障害予防作用を有する機能性食品
JP6151419B2 (ja) ポリフェノール吸収促進剤
JP6975425B2 (ja) 抗ノロウイルス組成物及びその利用
US7332522B2 (en) Liver function protecting or ameliorating agent
KR20210003614A (ko) 감잎 유래 다당 분획물을 유효성분으로 함유하는 인플루엔자 바이러스 감염 질환의 개선, 예방 또는 치료용 조성물
TW201927326A (zh) 源自綠茶萃取物之發酵物的製造方法以及源自綠茶萃取物之麴發酵物、以及含有源自綠茶萃取物之麴發酵物的組成物
KR102255000B1 (ko) 박하 추출물을 유효성분으로 함유하는 골질환의 예방, 개선 또는 치료용 조성물
WO2002092110A1 (fr) Nouvelle utilisation de polyphenol de plantes naturelles et de medicaments et/ou de produits medicaux contenant du polyphenol de plantes naturelles
JP2008247797A (ja) 成人t細胞性白血病の予防剤、治療剤、及びその医薬品組成物
KR100839099B1 (ko) 오배자 및 목단피 추출물을 함유하는 돼지 유행성 설사바이러스의 치료 및 예방용 조성물
EP4151226A1 (en) Coronavirus therapeutic agent comprising zanthoxylum piperitum leaf extract as active ingredient
KR20230076953A (ko) 월견초 추출물을 포함하는 항바이러스용 조성물