JP2003040727A - 毛髪化粧料 - Google Patents

毛髪化粧料

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JP2003040727A
JP2003040727A JP2001230857A JP2001230857A JP2003040727A JP 2003040727 A JP2003040727 A JP 2003040727A JP 2001230857 A JP2001230857 A JP 2001230857A JP 2001230857 A JP2001230857 A JP 2001230857A JP 2003040727 A JP2003040727 A JP 2003040727A
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hair
keratin
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peptide
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JP2001230857A
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Masato Yoshioka
正人 吉岡
Hiroshi Shintani
博 新谷
Yoshie Matsukawa
愛絵 松川
Takashi Adachi
敬 安達
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Seiwa Kasei Co Ltd
Original Assignee
Seiwa Kasei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 毛髪への収着性に優れ、毛髪に対して優れた
セット力、艶、潤い、はりを付与し、しかも毛髪をなめ
らかにして毛髪の櫛通り性を改善し、毛髪をしなやかな
感触に仕上げることができる毛髪化粧料を提供する。 【解決手段】 ケラチンの酸化物を蛋白質分解酵素で加
水分解して得られたゲル濾過分析での重量平均分子量が
20,000〜40,000のケラチン酸化物の酵素分
解ペプチドを含有させて毛髪化粧料を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、毛髪セット剤、整
髪料、パーマネントウェーブ用剤、シャンプー、ヘアリ
ンス、ヘアコンディショナー、染毛剤、染毛料などの毛
髪化粧料に関し、さらに詳しくは、毛髪への収着性に優
れ、毛髪に対して優れたセット力、艶、潤い、はりを付
与し、毛髪をなめらかにして毛髪の櫛通り性を改善し、
かつ毛髪をしなやかな感触に仕上げることができる整髪
性に優れた毛髪化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、コラーゲン、ケラチン、絹、
大豆、小麦などの天然物由来の蛋白質を加水分解するこ
とによって得られる加水分解ペプチドやその誘導体を毛
髪化粧品に含有させることが行われている。これは、そ
れらの加水分解ペプチドやその誘導体が毛髪への収着性
がよく、毛髪の損傷を防止し、損傷した毛髪を回復さ
せ、かつ毛髪をなめらかにして櫛通り性を改善する作用
を有し、しかも、それらの加水分解ペプチドやその誘導
体のペプチド部分が天然蛋白質由来であって、毛髪や皮
膚に対する刺激が少なく、安全性が高いという理由によ
るものである。
【0003】上記のタンパク源の中で、特にケラチンは
シスチン含有量が高く、加水分解ケラチンは毛髪ケラチ
ン中のシスチンと結合しやすく、そのため毛髪への収着
性が優れ、毛髪の損傷防止作用や損傷毛の回復作用が大
きいことから、既に各種の毛髪化粧品に用いられてい
る。
【0004】しかしながら、一般に毛髪化粧品に用いら
れている加水分解ケラチンやその誘導体は、ペプチド部
分の数平均分子量が200〜2000位のものがほとん
どであって、毛髪への収着性はよいが、被膜形成能や光
沢の付与作用に関しては加水分解コラーゲンや加水分解
シルクに劣るという問題があった。毛髪化粧品に用いら
れる加水分解ケラチンの分子量を上記の範囲に限定する
理由は、分子量が小さすぎると、被膜形成能が低くなっ
て、毛髪保護作用が低下し、逆に分子量が大きくなる
と、毛髪に適用した際に毛髪がごわついたり、水への溶
解性が低下して沈殿しやすくなったり、化粧品処方中の
他の成分と会合して保存中に濁りや沈殿を生じやすくな
るからである。
【0005】上記のような加水分解ケラチンは、一般に
ケラチンを酸、アルカリまたは酵素によって加水分解し
たものであるが、それとは別にケラチンを酸化すること
によって得られるα−ケラトースやγ−ケラトース(ケ
ラチンの酸化分解物)をシャンプー、ヘアリンスなどの
毛髪化粧品に配合することも提案されている(例えば、
特公昭59−9600号公報特公昭、特公昭61−60
807号公報、特公平2−38563号公報、特開昭1
0−77209号公報など)。
【0006】しかしながら、上記公報に記載のα−ケラ
トースは、ケラチンを酸化分解し、酸性側で等電点沈殿
によって得られるもののため分子量分布の分布範囲が広
く、毛髪に適用したときに毛髪にごわつき感を与えると
共に化粧品に配合したときに濁りや沈殿などを生じやす
く、保存安定性に欠けるという問題があり、また、γ−
ケラトースは、ケラチンの酸化分解物より塩基性側、酸
性側の水不溶物を除去したものであるため、製造工程が
煩雑になる上に収率が非常に低く、製造コストが高くな
るという問題があり、共にほとんど利用されていないの
が現状である。
【0007】そのため、本発明者らは、ケラチンを酸化
する前にアルカリ剤で部分分解し、その後酸化処理した
ケラチンの酸化部分分解物またはその塩を製造し、化粧
品に適用して上記の問題点の解決を図ってきた(例え
ば、特開2000−281539号公報、特開2000
−281541号公報、特開2000−302652号
公報、特開2000−327545号公報など)。
【0008】しかしながら、上記のケラチンの酸化部分
分解物またはその塩は、毛髪化粧品に配合したとき、α
−ケラトースより優れた効果を発揮し、その製造も容易
でかつ収率が高いものの、分子量分布がやや広いため
か、毛髪に適用したときに、毛髪にややごわつきが感じ
られる、毛髪のしなやかさに欠けるという使用者側から
の声があり、充分に満足できるものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、上
記のような従来技術における問題点を解決するととも
に、上記のような使用者からの要望に応えるべく、従来
の加水分解ケラチンやケラトース類よりも毛髪への収着
性が良好で、毛髪のセット力、艶、潤い、はりの付与作
用に優れ、毛髪をなめらかにして毛髪の櫛通り性を向上
させ、かつ毛髪をしなやかな感触に仕上げることができ
る毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ケラチンの酸化
分解物をさらに蛋白質分解酵素で加水分解して得られ、
ゲル濾過分析での重量平均分子量が20,000〜4
0,000のケラチン酸化分解物の酵素分解ペプチド
が、毛髪に艶、潤い、はりを付与し、かつ毛髪をなめら
かにして毛髪の櫛通り性を改善し、毛髪をしなやかな感
触に仕上ることができることを見出し、本発明を完成す
るにいたった。
【0011】なお、本発明におけるゲル濾過による重量
平均分子量は、下記の方法により測定して得られた値で
ある。
【0012】 〔重量平均分子量の測定条件〕 ゲル濾過用カラム:東ソー(株)製、G2000SW 移動相 :0.1Mリン酸緩衝液−0.3MNaCl(=4:1) 流速 :0.5mL/min. 検出器 :紫外線検出器(210nm) 標準試料(分子量マーカー)及び分子量 γ−グロブリン (MW 15,5000) 牛血清アルブミン (MW 67,000) オボアルブミン (MW 45,000) β−ラクトグロブリン(MW 37,000) チトクロームC (MW 12,000) アプロチニン (MW 6,500)
【0013】重量平均分子量(Mw)は下記のように求
められる。すなわち、吸光度を縦軸とし、横軸を溶離液
量として紫外部吸収曲線を記録するが、横軸の溶離液量
は上記標準試料をもとに作成した分子量検量線により分
子量も表す。溶離液量iでの検量線より求めた分子量を
Mwiとし、その時の吸光度(吸光度曲線での縦軸の高
さ)をNiとすると、吸収曲線全体の重量平均分子量は
下式で表される。
【0014】
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の毛髪化粧料に含有させる
ゲル濾過分析での重量平均分子量が20,000〜4
0,000のケラチン酸化分解物の酵素分解ペプチド
は、ケラチンの酸化分解物を蛋白質分解酵素で加水分解
することで得られるが、ケラチン酸化分解物の酵素分解
ペプチドの出発原料となるケラチンとしては、例えば、
羊毛、羽毛、毛髪、角、爪、蹄などを構成するケラチン
がいずれも使用可能であるが、入手が容易であるという
観点から羊毛が特に好ましい。
【0016】ケラチン酸化分解物の酵素分解ペプチド
は、例えば、羊毛などのケラチンを酸化剤で酸化処理
後、濾過により分離し、アンモニア水溶液等のアルカリ
剤に浸漬した後、不溶部を除去し、次いで塩酸などの酸
で溶液ををpH3〜4に調整することによって生じたケ
ラチンの酸化分解物を洗浄後、蛋白質分解酵素によって
分解することにより得られるが、工程が煩雑になる上、
得られた分解物の分子量分布がやや広くなるため、特開
2000−281539号公報に記載のケラチンの酸化
部分分解物の塩を酵素分解するのが、得られるケラチン
酸化分解物の酵素分解ペプチドの分子量分布が狭く、毛
髪に適用したときの効果が優れより好ましい。
【0017】この方法を具体的に説明すると、例えば、
羊毛を水酸化ナトリウムなどのアルカリ剤水溶液中で8
0℃で1〜6時間加水分解した後、過酸化水素水や過蟻
酸などの酸化剤で酸化し、濾過後、濾液に塩酸、硫酸な
どの酸を加えてpHを3〜4に調整して不溶物を沈殿さ
せて分離する。この不溶物は食塩水などで洗浄後、水酸
化ナトリウム、アンモニア水、アルカノールアミンなど
の塩基性物質でpHを6〜8にして溶解し、次いで、蛋
白質分解酵素によりゲル濾過分析での重量平均分子量が
20,000〜40,000になるように分解する。
【0018】蛋白質分解酵素としては、例えば、パパイ
ン、ブロメライン、サーモライシン、トリプシン、プロ
ナーゼ、キモトリプシン、ズブチリシン、スタフィロコ
ッカスプロテアーゼなどの中性ないしアルカリ性蛋白質
分解酵素が用いられる。また、ペプシン、プロクターゼ
A、プロクターゼBなどの酸性蛋白質分解酵素も使用で
きるが、ケラチンの酸化分解物あるいはケラチンの酸化
部分分解物は酸性側で不溶のため、酵素分解初期の分解
速度が遅いので、中性ないしアルカリ性蛋白質分解酵素
を用いるのが好ましい。
【0019】酵素分解の時間や反応温度は、使用する酵
素の種類や量により異なるが、反応温度は30〜60℃
が好ましく、40〜55℃がより好ましい。反応時間と
してはゲル濾過分析での重量平均分子量が20,000
〜40,000になるようにするためには反応温度にも
影響されるが、一般に3〜8時間が採用される。
【0020】酵素分解後、酵素を失活させ、そのまま、
あるいはイオン交換樹脂や電気透析などで脱塩精製した
後、pHや濃度を調整して毛髪化粧料に含有させて使用
に供される。また、pHを調整後、噴霧乾燥、凍結乾燥
することにより、粉体化して得ることもできる。
【0021】本発明の毛髪化粧料には、毛髪セット剤、
整髪料、パーマネントウェーブ用剤、シャンプー、ヘア
リンス、ヘアコンディショナー、染毛剤、染毛料などが
含まれる。そして、本発明の毛髪化粧料中のケラチン酸
化分解物の酵素分解ペプチドの含有量(毛髪化粧料中へ
の配合量)は、毛髪への適用後に洗い流すタイプや洗い
流さないタイプなど毛髪化粧料の使用方法によっても多
少異なるが、毛髪化粧料中0.05〜20重量%が好ま
しく、特に0.5〜15重量%が好ましい。ケラチン酸
化分解物の酵素分解ペプチドの毛髪化粧料中における含
有量が上記範囲より少ない場合は、毛髪にはりを与える
作用が充分に発揮できなくなる上に毛髪に艶や潤いを付
与する作用が低下するおそれがあり、逆に、ケラチン酸
化分解物の酵素分解ペプチドの毛髪化粧料中における含
有量が上記範囲より多くなると、毛髪にごわつき感やべ
たつき感を与えるおそれがあるからである。
【0022】本発明の毛髪化粧料は、ゲル濾過分析での
重量平均分子量が20,000〜40,000のケラチ
ン酸化分解物の酵素分解ペプチドを必須成分として調製
されるが、そのケラチン酸化分解物の酵素分解ペプチド
の特性を損なわない範囲で適宜他の成分を添加すること
ができる。
【0023】そのような成分としては、例えば、ラウリ
ル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸エタノールアミンなど
のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル硫酸塩、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム
などのアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチ
レントリデシルエーテル酢酸などのポリオキシエチレン
アルキルエーテル酢酸塩、ヤシ油脂肪酸−L−グルタミ
ン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウムな
どのN−アシルアミノ酸塩、コラーゲン、ケラチン、フ
ィブロイン、セリシン、カゼイン、大豆、小麦、トウモ
ロコシなどの動植物由来のタンパク加水分解物や酵母、
キノコ類などの微生物由来のタンパク加水分解物を炭素
数8〜20の脂肪酸でアシル化したアシル化加水分解タ
ンパクまたはその塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸
ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸
ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル
リン酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチ
レンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオレイン酸
グリセリル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、
ポリオキシエチレンセチルステアリルジエーテル、ポリ
オキシエチレンソルビトールラノリン脂肪酸、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエ
チレンラノリンアルコール、ポリオキシプロピレンステ
アリルエーテル、アルキルグリコシド、アルキルポリグ
リコシドなどのノニオン性界面活性剤、2−アルキル−
N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾ
リニウムベタイン、ウンデシル−N−ヒドロキシエチル
−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、N
−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル−DL−
ピロリドンカルボン酸塩、ヤシ油脂肪酸アミドプロピル
ベタイン、N−アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインな
どの両性界面活性剤、塩化ステアリルトリメチルアンモ
ニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステ
アリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化オレイルベ
ンジルジメチルアンモニウム、塩化ミンク油アルキルア
ミドプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、
塩化γ−グルコンアミドプロピルジメチルヒドロキシア
ンモニウム、アルキルピリジニウム塩などのカチオン性
界面活性剤、カチオン化セルロース、カチオン化ヒドロ
キシエチルセルロース、ポリ塩化ジアリルジメチルアン
モニウム、ポリビニルピロリドンなどのカチオン性ポリ
マー、両性ポリマー、アニオン性ポリマーなどの合成ポ
リマー、イソステアリン酸ジエタノールアミド、ラウリ
ン酸ジエタノールアミド、ラノリン脂肪酸ジエタノール
アミドなどの増粘剤、動植物抽出物、ポリサッカライド
またはその誘導体、動植物および微生物由来のタンパク
質の加水分解ペプチドやそのペプチドエステル誘導体、
動植物および微生物由来のタンパク質の加水分解ペプチ
ドのN−第4級アンモニウム誘導体、プロピレングリコ
ール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどの
保湿剤、エタノール、メタノール、プロピルアルコール
などの低級アルコール類、L−アスパラギン酸ナトリウ
ム、DL−アラニン、グリシン、L−アルギニン、L−
システインなどのアミノ酸、ワックス、パラフィン、脂
肪酸エステル、グリセライド、動植物油などの油脂類、
鎖状または環状のメチルポリシロキサン、メチルフェニ
ルポリシロキサン、アミノ変成シリコーンオイルなどの
シリコーン誘導体、各種染料や顔料、防腐剤、香料など
を挙げることができる。
【0024】
【発明の効果】本発明の毛髪化粧料は、ゲル濾過分析で
の重量平均分子量が20,000〜40,000のケラ
チン酸化分解物の酵素分解ペプチドを含有するものであ
り、そのケラチン酸化分解物の酵素分解ペプチドが従来
の加水分解ケラチンよりも毛髪への収着性が優れ、毛髪
に対して優れたセット力、艶、潤い、はりを付与し、毛
髪をなめらかにして毛髪の櫛通り性を改善し、かつ毛髪
をなめらかな感触に仕上げることができる。
【0025】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。なお、実施例に先立ち、ゲル濾
過分析での重量平均分子量が20,000〜40,00
0のケラチン酸化分解物の酵素分解ペプチドの製造方法
を参考例として示す。また、以下の参考例、比較参考
例、実施例、比較例などにおいて、溶液や分散液などの
濃度を示す%はいずれも重量%である。
【0026】参考例1 内容積5リットルのビーカーに水1000gと水酸化ナ
トリウム25gを入れ、攪拌しながら粉砕羊毛250g
を添加し、80℃で5時間攪拌を続けて羊毛を加水分解
した。加水分解後室温まで冷却し、35%過酸化水素水
150gを添加して1時間攪拌を続けた後24時間放置
して分解液を酸化した。酸化終了後溶液を濾過して不溶
物を除去し、濾液に36%塩酸40gを添加して溶液の
pHを3.5に調整して不溶物を浮遊沈殿として分離し
た。下層の水層を除去し、不溶物を0.5%食塩水30
0gで2度洗浄した。洗浄後不溶物は水酸化ナトリウム
水溶液に溶解し、pH7に調整して固形分20%のケラ
チン酸化部分分解物のナトリウム塩の水溶液を600g
得た。
【0027】上記のようにして得られたケラチンの酸化
部分分解物のナトリウム塩の水溶液250gを内容積1
リットルのビーカーにとり、溶液のpHを水酸化ナトリ
ウム水溶液で10に調整し、蛋白質分解酵素としてナガ
セ生化学工業(株)製プロテアーゼ原末(商品名)(9
5万単位)63mgを添加し、50℃の湯浴上で4時間
攪拌分解した。分解終了後、溶液のpHを6N塩酸で7
に調整した後、80℃に加熱して酵素を失活させた。酵
素の失活後、溶液を室温まで冷却して電気透析により精
製し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを6.5に合わせ
た後、濃縮により濃度を調整して、固形分濃度20%の
ケラチンの酸化分解物の酵素分解ペプチドの水溶液を2
25g得た。
【0028】この溶液を前記の条件でゲル濾過分析を行
ったところ、重量平均分子量は27,850であった。
【0029】参考例2 内容積5リットルのビーカーに水1000gと水酸化ナ
トリウム17gを入れ、攪拌しながら粉砕羊毛250g
を添加し、80℃で6時間攪拌を続けて羊毛を加水分解
した。加水分解後室温まで冷却し、35%過酸化水素水
150gを添加して1時間攪拌を続けた後24時間放置
して分解液を酸化した。酸化終了後溶液を濾過して不溶
物を除去し、濾液に36%塩酸28gを添加して溶液の
pHを3.5に調整して不溶物を浮遊沈殿として分離し
た。下層の水層を除去し、不溶物を0.5%食塩水35
0gで2度洗浄した。洗浄後不溶物を水酸化ナトリウム
水溶液に溶解し、濃度を調整して固形分20%のケラチ
ン酸化部分分解物のナトリウム塩の水溶液を560g得
た。
【0030】上記のようにして得られたケラチンの酸化
部分分解物のナトリウム塩の水溶液250gを内容積1
リットルのビーカーにとり、溶液のpHを水酸化ナトリ
ウム水溶液で10に調整し、蛋白質分解酵素としてナガ
セ生化学工業(株)製プロテアーゼ原末(商品名)(9
5万単位)63mgを添加し、50℃の湯浴上で3時間
攪拌分解した。分解終了後、溶液のpHを6N塩酸で7
に調整した後、80℃に加熱して酵素を失活させた。酵
素の失活後、溶液を室温まで冷却して電気透析により精
製し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを6.5に合わせ
た後、濃縮により濃度を調整して、固形分濃度20%の
ケラチンの酸化分解物の酵素分解ペプチドの水溶液を2
30g得た。
【0031】この溶液を前記の条件でゲル濾過分析を行
ったところ、重量平均分子量は32,084であった。
【0032】参考例3 内容積5リットルのビーカーに水1000gと水酸化ナ
トリウム10gを入れ、攪拌しながら粉砕羊毛250g
を添加し、80℃で3時間攪拌を続けて羊毛を加水分解
した。加水分解後室温まで冷却し、35%過酸化水素水
150gを添加して1時間攪拌を続けた後24時間放置
して分解液を酸化した。酸化終了後溶液を濾過して不溶
物を除去し、濾液に36%塩酸20gを添加して溶液の
pHを3.5に調整して不溶物を浮遊沈殿として分離し
た。下層の水層を除去し、不溶物は0.5%食塩水35
0gで2度洗浄した。洗浄後不溶物は水酸化ナトリウム
水溶液に溶解し、pH7に調整して20%水溶液を67
7g得た。
【0033】上記のようにして得られたケラチンの酸化
部分分解物のナトリウム塩の水溶液250gを内容積1
リットルのビーカーにとり、溶液のpHを水酸化ナトリ
ウム水溶液で10に調整し、蛋白質分解酵素としてナガ
セ生化学工業(株)製プロテアーゼ原末(商品名)(9
5万単位)55mgを添加し、50℃の湯浴上で3時間
攪拌分解した。分解終了後、溶液のpHを6N塩酸で7
に調整した後、80℃に加熱して酵素を失活させた。酵
素の失活後、溶液を室温まで冷却して電気透析により精
製し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを6.5に合わせ
た後、濃縮により濃度を調整して、固形分濃度20%の
ケラチンの酸化分解物の酵素分解ペプチドの水溶液を2
18g得た。
【0034】この溶液を前記の条件でゲル濾過分析を行
ったところ、重量平均分子量は34,907であった。
【0035】比較参考例1 羊毛100gを5000gの8%過酢酸水溶液に室温で
24時間浸漬して酸化した。酸化処理後、浸漬した羊毛
は濾過により分離し、水洗した後、5リットルの0.1
Nアンモニア水溶液に室温で12時間浸漬した。濾過に
より不溶部を除去し、濾液に2N塩酸を加えてpH4.
0に調整し、不溶物(α−ケラトース)を析出させた。
生じた不溶物を濾過により分離し、アセトンで洗浄した
後、乾燥し、乾燥物を水酸化ナトリウム水溶液に溶解し
てpH7に調整し、α−ケラトースのナトリウム塩の2
0%水溶液を186g得た。
【0036】この溶液を前記の条件でゲル濾過分析を行
ったところ、重量平均分子量は63,500であった。
【0037】比較参考例2 氷酢酸と35%過酸化水素水の8:2(重量比)混合溶
液1000g中に脱脂羊毛100gを入れ、攪拌しなが
ら羊毛ケラチンを60℃で3時間加水分解した。つぎに
加水分解された羊毛ケラチンを取り出し、水で洗浄し、
これを50℃に保温した0.5モルのアンモニア水10
00gによく攪拌しながら溶解させた。濾過布で不溶物
を除去した後、濾過液を硫酸でpH4に調整し、遠心分
離で上澄みを分離した。この上澄み液を水酸化ナトリウ
ム水溶液でpH7に調整し、濃縮により濃度を調整して
γ−ケラトースのナトリウム塩の10%水溶液を190
g得た。
【0038】この溶液を前記の条件でゲル濾過分析を行
ったところ、重量平均分子量は36,800であった。
【0039】実施例1および比較例1〜2 表1に示す組成の3種類の毛髪セット剤を調製して毛髪
に適用したときの毛髪セット保持力を比較し、さらにそ
の毛髪の艶、潤い、しなやかさ、櫛通り性およびウェー
ブの感触を評価した。なお、表1中の各成分の配合量は
いずれも重量部によるものであり、配合量が固形分量で
ないものについては、成分名のあとに括弧書きで固形分
量を示している。これらは、以降の組成を示す表4、表
7、表9、表11、表13、表16などにおいても同様
である。
【0040】実施例1では参考例1で製造したケラチン
酸化分解物の酵素分解ペプチドを用い、比較例1では窒
素量とアミノ態窒素量より求めた数平均分子量(以下、
数平均分子量とは窒素量とアミノ態窒素量より求めた値
を言う)が1,000の加水分解ケラチンを用い、比較
例2はN−メタクロイルオキシエチルN,N−ジメチル
アンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メ
タクリル酸アルキルエステル共重合体液を用いている。
【0041】
【表1】
【0042】試験ではあらかじめ2%ポリオキシエチレ
ン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄
し、水道水流水中でゆすいで室温で風乾させた重さ2.
5gで長さ30cmの毛束を用い、この毛束に上記実施
例1および比較例1〜2の毛髪セット剤をそれぞれ別々
に1gずつ塗布し、一定の張力で毛束をカールできるよ
うに毛束の毛先側に57gの錘を付け、直径30mmで
長さ200mmのロッドに10mm間隔で毛束を巻き付
け、両端を輪ゴムで固定し、50℃の乾燥器中で20分
間乾燥した。
【0043】乾燥後、毛束をロッドから外し、毛束の根
元から先端までの長さを測定し、これを処理後の長さと
した。この際、2〜3本の浮いた毛髪は長さの測定上で
は無視した。つぎに、毛髪用ブラシで根元から毛先まで
ゆっくりと10回ブラッシングし、ブラッシング後の長
さを測定し、ブラッシングによる伸びを算出した。これ
らの結果を表2に示す。なお、処理直後およびブラッシ
ング後の毛束の長さの数値が小さいほどウェーブ率が高
いことを表し、ブラッシングによる毛束の伸びの数値が
小さいほどウェーブが良く保持されていることを表す。
【0044】
【表2】
【0045】表2に示すように、実施例1の毛髪セット
剤で処理した毛束は、処理直後の長さが、合成高分子の
N−メタクロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモ
ニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリ
ル酸アルキルエステル共重合体液を含有させた比較例2
の毛髪セット剤で処理した毛束より少し長かったが、実
施例1の毛髪セット剤で処理した毛束のブラッシング後
の伸びは、比較例2の毛髪セット剤で処理した毛束のブ
ラッシング後の伸びの約73%、加水分解ケラチンを含
有させた比較例1の毛髪セット剤で処理した毛束のブラ
ッシング後の伸びの約60%で、実施例1の毛髪セット
剤で付与されたウェーブがブラッシングによっても崩れ
にくく、ウェーブがよく保持されることが明らかであっ
た。
【0046】これは、N−メタクロイルオキシエチル
N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボ
キシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体
液のような合成高分子では、毛髪同士を接着させること
によって高いウェーブ力を得ているのに対し、実施例1
に含有させたケラチンの酸化分解物の酵素分解ペプチド
では、毛髪一本一本にウェーブ力を付与することを表し
ていて、比較例2のような合成高分子を用いた場合に
は、カール後の櫛通しやブラッシングによって毛髪のウ
ェーブ力が失われやすいが、実施例1に使用したケラチ
ンの酸化分解物の酵素分解ペプチドでは毛髪一本一本に
ウェーブ力を付与するので、カール後に櫛通しやブラッ
シングを行った場合でもセット力が失われにくいことを
表している。
【0047】つぎに、上記のウェーブ保持力の試験後の
毛束の毛髪の艶、潤い、しなやかさ、櫛通り性およびウ
ェーブの感触を10人の女性パネラーに、最も良いもの
を〔2点〕とし、2番目に良いものを〔1点〕とし、悪
いものを〔0点〕として評価させた。表3にその結果を
10人の平均値で示す。
【0048】
【表3】
【0049】表3に示すように、ケラチン酸化分解物の
酵素分解ペプチドを含有させた実施例1の毛髪セット剤
は、加水分解ケラチンを含有させた比較例1の毛髪セッ
ト剤やN−メタクロイルオキシエチルN,N−ジメチル
アンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メ
タクリル酸アルキルエステル共重合体液を含有させた比
較例2の毛髪セット剤に比べて、いずれも評価値が高
く、実施例1の毛髪セット剤に含有させたケラチン酸化
分解物の酵素分解ペプチドが毛髪によく収着して、毛髪
に艶、潤い、しなやかさ、櫛通り性および良好なウェー
ブの感触を付与することが明らかであった。
【0050】実施例2および比較例3〜4 表4に示す3種類のパーマネントウェーブ用第1剤を調
製し、それぞれのパーマネントウェーブ用第1剤と、下
記のパーマネントウェーブ用第2剤を用いて毛束にパー
マネントウェーブ処理を施し、毛髪のウェ−ブ率を調べ
た。
【0051】実施例2においては、参考例2で製造した
ケラチン酸化分解物の酵素分解ペプチドを用い、比較例
3では比較参考例1で製造したゲル濾過分析での重量数
平均分子量が63,500のα−ケラトースを用い、比
較例4では比較参考例2で製造したゲル濾過分析での重
量数平均分子量が36,800のγ−ケラトースを用い
ている。
【0052】
【表4】
【0053】上記第1剤に対し、第2剤は実施例2およ
び比較例3〜4とも共通で、下記の配合からなるもので
ある。ただし、配合量は重量部である。
【0054】 パーマネントウェーブ用第2剤 臭素酸ナトリウム 7.0 ポリオキシエチレンセチルエーテル(20EO) 0.5 エデト酸二ナトリウム 0.1 ラノリン、ポリオキシエチレンラノリン、塩化セチル 5.0 トリメチルアンモニウム、流動パラフィン混合物〔山 栄化学(株)製、EMACOL SLA(商品名)〕 滅菌イオン交換水 計100とする
【0055】上記パーマネントウェーブ用第1剤での処
理に先立ち 長さ30cmに揃えた毛髪を40℃の0.
5%ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナ
トリウム水溶液に30分間浸漬して洗浄し、温水の流水
中で1分間ゆすいだ後、さらにイオン交換水中に30分
間浸漬してゆすぎ、ヘアドライヤーで乾燥した。このよ
うに洗浄した毛髪40本からなる毛束を作製し、毛根側
は接着剤で固定し、根元側から30mmの位置にネイル
エナメルで印を付けてこの点をAとし、さらにその位置
から200mmの位置にも印を付けてこの点をB点とし
た。この毛束を、一定の張力でロッドに巻き付けられる
ように毛先側に50gの錘を付け、直径12mmで長さ
80mmのロッドに根元側をロッドに輪ゴムで止め、毛
束を吊り下げながら、毛髪が重ならないようにロッドに
巻き付けた。このように作製した毛束に、上記実施例2
および比較例3〜4のパーマネントウェーブ第1剤をそ
れぞれ0.5mメスピペットを使用して均一に塗布し
た。ロッドをラップで覆い、15分間放置後、流水で静
かに30秒間洗浄し、タオルで余分な水分を除去し、つ
いでパーマネントウェーブ用第2剤を0.5m塗布
し、15分間放置後、流水で30秒間洗浄した。洗浄後
毛束をロッドよりはずし、タオルで余分な水分を除去し
た後、根元側を上にして垂直に吊し、AB間の距離を測
定した。
【0056】上記のように、パーマネントウェーブ処理
前のAB間の長さは200mmであるので、ウェーブ率
は次式により求められる。
【0057】
【0058】さらに、ウェーブ率を測定した毛束の毛先
側に3gの錘を付け、室温で1週間吊り下げ、錘をはず
した後、毛束を25℃の水道水中に5分間浸漬し、タオ
ルで余分な水分を除去した後、AB間の距離を測定し、
1週間荷重をかけた後のウェーブ率も上式より求めた。
それらの結果を表5に示す。
【0059】
【表5】
【0060】表5に示すように、実施例2のパーマネン
トウェーブ用第1剤で処理した毛髪は、比較例3のパー
マネントウェーブ用第1剤で処理した毛髪に比べるとウ
ェーブ率はやや高い程度であるが、1週間荷重後でも実
施例2のパーマネントウェーブ用第1剤で処理した毛髪
は14%以上のウェーブ率を保っていて、比較例3や比
較例4のパーマネントウェーブ用第1剤で処理した毛髪
に比べてウェーブ率が55〜75%も高く、実施例2に
含有させたケラチン酸化分解物の酵素分解ペプチドが、
比較例3に含有させたα−ケラトースや比較例4に含有
させたγ−ケラトースよりウェーブ率を高め、しかもそ
のウェーブ効果が持続することが明らかであった。
【0061】つぎに、上記のウェーブ保持力の試験後の
毛束の毛髪の艶、潤い、はりおよびしなやかさを10人
の女性パネラーに、実施例1と同様の評価基準で評価さ
せた。表6にその結果を10人の平均値で示す。
【0062】
【表6】
【0063】表6に示すように、ケラチン酸化分解物の
酵素分解ペプチドを含有させた実施例2のパーマネント
ウェーブ用第1剤で処理した毛髪は、α−ケラトースを
含有させた比較例3のパーマネントウェーブ用第1剤や
γ−ケラトースを含有させた比較例4のパーマネントウ
ェーブ用第1剤で処理した毛髪に比べていずれも評価値
が高く、実施例2の毛髪パーマネントウェーブ用第1剤
に含有させたケラチン酸化分解物の酵素分解ペプチドが
毛髪によく収着して、毛髪に艶、潤い、はりおよびしな
やかさを付与することが明らかであった。
【0064】実施例3および比較例5 表7に示す組成の2種類のヘアリキッドを調製して毛髪
に適用したときの毛髪のまとまりやすさ、艶、潤い、は
り、櫛通り性、手触り感を評価した。
【0065】実施例3では参考例3で製造したケラチン
酸化分解物の酵素分解ペプチドを用い、比較例5では前
記特開平2000−281539号公報記載の製造法で
製造したゲル濾過分析で重量平均分子量64,039の
ケラチンの酸化部分分解物を用いている。
【0066】
【表7】
【0067】上記2種類のヘアリキッドについて、10
人の男性パネラ−に、毎日一回、最初の5日間は、比較
例5のヘアリキッドで処理させ、次の5日間は実施例3
のヘアリキッドで処理させた。
【0068】処理の方法は、ヘアリキッドを1〜3g手
のひらに取り(量は頭髪量によって異なる)、手でヘア
リキッドを頭髪に擦り込むように塗布し、ヘアドライヤ
−で乾燥することによって行った。
【0069】10日間の使用期間後(すなわち、実施例
3のヘアリキッドの5日間使用後)、毛髪のまとまりや
すさ、艶、潤い、はり、櫛通り性および毛髪の手触り感
が、比較例5のヘアリキッドを使用していた時より良く
なったか、悪くなったか、あるいは変わらなかったかを
回答させた。その結果を表8に示す。
【0070】
【表8】
【0071】表8に示すように、ケラチン酸化分解物の
酵素分解ペプチドを配合した実施例3のヘアリキッドの
使用後は、その使用前(比較例5を使用していたとき)
に比べて、毛髪のまとまりやすさ、艶、潤い、櫛通り性
および手触り感が良くなったと答えた人数が多く、実施
例3のヘアリキッドに含有させたケラチン酸化分解物の
酵素分解ペプチドが毛髪に収着して、毛髪にまとまりや
すさ、艶、潤いを付与し、櫛通り性、手触り感を向上さ
せる作用を有することが明らかであった。また、毛髪の
はりに関しては、実施例3と比較例5の評価がほぼ同じ
になったが、大多数のパネラーが、比較例5のヘアリキ
ッドで毛髪を処理すると毛髪にややごわつき感が残ると
答えていた。
【0072】実施例4および比較例6〜7 表9に示す組成の3種類のシャンプーを調製し、それぞ
れのシャンプーで毛束を洗浄し、乾燥後の毛髪のはりを
比較し、毛髪の艶、潤い、しなやかさおよび櫛通り性を
評価した。
【0073】実施例4においては、参考例1で製造した
ケラチン酸化分解物の酵素分解ペプチドを用い、比較例
6では数平均分子量1,000の加水分解ケラチンを用
い、比較例7は数平均分子量1,000加水分解コラー
ゲンを用いている。
【0074】
【表9】
【0075】上記シャンプーによる処理は次のようにし
て行った。すなわち、長さ15cmで重さ1gの毛束に
対して、上記実施例4および比較例6〜7のシャンプー
をそれぞれ2gずつ用いて毛束を1分間洗浄し、お湯の
流水中で30秒間ゆすいだ。このシャンプー洗浄とゆす
ぎ処理を5回繰り返した後、毛髪の艶、潤い、しなやか
さおよび櫛通り性を10人の女性パネラ−に実施例1と
同様の評価基準で評価させた。つぎに、官能評価後の各
毛束よりそれぞれ14本の毛髪を抜き取り、下記の要領
で毛髪のはりの評価試験を行った。
【0076】毛髪のはりの評価試験は、上記各毛束より
抜き取った毛髪のほぼ中央部位に図1のように軽く結び
目(ノット)を作り、毛先側(図1では、下側)に10
gの錘を付けて、室温で相対湿度58%の恒湿槽中に1
分間吊し、その後、毛先側の錘を外してさらに同恒湿槽
に1時間吊した。この毛髪に作成したノットを走査型電
子顕微鏡で撮影し、その撮影画像をもとに毛髪のノット
の大きさ(長径)を画像処理装置で測定した〔走査型電
子顕微鏡には日本電子(株)製、JSM−5800LV
を用い、画像処理は同社製、SemAfore(商品
名)を使用した〕。一試料につき14本の毛髪のノット
の大きさを測定し、測定結果の最も大きいものから2つ
と最も小さいものから2つの4試料の結果は除外し、1
0本の結果について平均値を求め、それを各試料のノッ
トの大きさの平均値とした。それらの結果を表10に平
均値で示す。
【0077】
【表10】
【0078】表10に示すように、実施例4のシャンプ
ーで処理した毛髪は、比較例6〜7のシャンプーで処理
した毛髪に比べて、毛髪の艶、潤い、はり、しなやかさ
および櫛通り性のいずれの評価項目においても評価値が
高く、ケラチン酸化分解物の酵素分解ペプチドを含有さ
せた実施例4のシャンプーは、従来の加水分解ケラチン
を含有させた比較例6のシャンプーや加水分解コラーゲ
ンを含有させた比較例7のシャンプーに比べて、洗髪後
の毛髪に艶や潤いを付与し、毛髪の櫛通り性を改善する
作用が優れていた。
【0079】また、毛髪のはりを評価するノットの大き
さは、ケラチン酸化分解物の酵素分解ペプチドを含有す
る実施例4のシャンプーで処理した毛髪が最も大きく、
加水分解ケラチンを含有する比較例6のシャンプーで処
理した毛髪の約1.5倍、加水分解コラーゲンを含有す
る比較例7のシャンプーで処理した毛髪の約1.3倍
で、ケラチン酸化分解物の酵素分解ペプチドが毛髪には
りを与えることが明らかにされていた。
【0080】実施例5および比較例8 表11に示す組成の2種類の酸化型染毛剤の第1剤を調
製し、染毛処理後の毛髪の艶、潤い、櫛通り性およびな
めらかさを比較した。
【0081】実施例5では参考例2で製造したケラチン
酸化分解物の酵素分解ペプチドを用い、比較例8では数
平均分子量1,000の加水分解ケラチンを用いてい
る。
【0082】
【表11】
【0083】上記酸化型染毛剤第1剤に対し、第2剤は
実施例5および比較例8とも共通で、下記の配合からな
るものである。ただし、配合量は重量部である。
【0084】 第2剤 ステアリン酸 1.0 モノステアリン酸グリセリン 1.5 ポリオキシエチレンオレイルエーテル 1.0 過酸化水素水(35%) 15.0 精製水 計100とする
【0085】上記酸化型染毛剤による毛髪の処理は下記
のように行った。すなわち、長さ15cmで重さ1gの
毛束を2%ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル
硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、水道水の流水中でゆす
いだ後、風乾し、この毛束を2本用い、それらの毛束に
実施例5および比較例8の第1剤と第2剤を同量ずつ混
合したそれぞれの染毛剤2gを均一に塗付した後、30
分間放置し、お湯でゆすぎ、ついで2%ポリオキシエチ
レン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液で洗
浄し、さらに水道水の流水中でゆすいだ。その後、各毛
束をヘアードライヤーで乾燥し、乾燥後の毛髪の艶、潤
い、櫛通り性およびなめらかさを10人のパネラー(女
性7人、男性3人)に、どちらが優れているかを評価さ
せた。その結果を表12に実施例5または比較例8が優
れていると答えた人数、あるいは、どちらとも言えない
と答えた人数で示す。
【0086】
【表12】
【0087】表12に示すように、パネラー全員が、ケ
ラチン酸化分解物の酵素分解ペプチドを含有させた実施
例5の酸化型染毛剤で染毛した毛髪は、加水分解ケラチ
ンを含有させた比較例8の酸化型染毛剤で染毛した毛髪
より、毛髪の艶、潤い、櫛通り性およびなめらかさに優
れていると答えていて、実施例5に含有させたケラチン
酸化分解物の酵素分解ペプチドは比較例8に含有させた
加水分解ケラチンより毛髪に収着し、毛髪に艶、潤い、
櫛通り性およびなめらかさを付与する効果が高いことが
明らかであった。
【0088】実施例6および比較例9 表13に示す組成の2種類の酸性染毛料を調製し、染毛
処理後の毛髪の艶、潤い、櫛通り性およびなめらかさを
比較し、さらに毛髪のはりを評価した。
【0089】実施例6では参考例3で製造したケラチン
酸化分解物の酵素分解ペプチドを用い、比較例9では数
平均分子量が2,000の加水分解コラーゲンを用いて
いる。
【0090】
【表13】
【0091】上記酸性染毛料による毛髪の処理は下記の
ように行った。すなわち、長さ15cmで重さ1gの毛
束を2本用意し、それらの毛束を2%ポリオキシエチレ
ン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄
し、水道水の流水中でゆすいだ後、脱色度および損傷度
を均一にするため、5%の過酸化水素水を含む5%アン
モニア水溶液に毛束を5分間浸漬してブリーチ処理を行
い、水洗後、風乾して染毛処理に供した。染毛処理は、
実施例6および比較例9の酸性染毛料2gずつをそれぞ
れの毛束に塗付し、15分間放置後、加水分解ペプチド
やその誘導体を含まない市販のシャンプーで洗浄し、さ
らに40℃以下の温水でゆすいだ後、ヘアドライヤーで
乾燥した。毛髪の乾燥後、実施例6および比較例9の毛
髪の艶、潤い、櫛通り性およびなめらかさを10人のパ
ネラー(女性7人、男性3人)に、どちらが優れている
かを評価させた。その結果を表14に実施例6または比
較例9が優れていると答えた人数、あるいは、どちらと
も言えないと答えた人数で示す。
【0092】
【表14】
【0093】表14に示すように、パネラー全員が、ケ
ラチン酸化分解物の酵素分解ペプチドを含有させた酸性
染毛料で染毛した毛髪は、加水分解コラーゲンを含有さ
せた比較例9の酸性染毛料で染毛した毛髪より、毛髪の
艶、潤い、櫛通り性およびなめらかさに優れていると答
えていて、実施例6に含有させたケラチンの酸化分解物
の酵素分解ペプチドが比較例9に含有させた加水分解コ
ラーゲンより毛髪に収着し、毛髪に艶、潤い、櫛通り性
およびなめらかさを付与する効果が高いことが明らかで
あった。
【0094】つぎに、各毛束より14本の毛髪を抜き取
り、実施例4と同様の方法で毛髪のノットの大きさを測
定して毛髪のはりを評価した。その結果を表15に平均
値で示す。
【0095】
【表15】
【0096】表15に示す結果から明らかなように、毛
髪のはりの評価結果を示すノットの大きさは、ケラチン
酸化分解物の酵素分解ペプチドを含有させた実施例6の
酸性染毛料で染毛した毛髪が、加水分解コラーゲンを含
有させた比較例9の酸性染毛料で染毛した毛髪より約
1.3倍大きく、ケラチン酸化物の酵素分解ペプチドの
方が加水分解コラーゲンより毛髪にはりを付与する作用
が優れていることが明らかであった。
【0097】実施例7および比較例10〜11 表16に示す組成の3種類のヘアリンスを調製し、それ
ぞれのヘアリンスを、シャンプーで洗浄した毛髪に使用
して、毛髪のはり、艶、潤い、しなやかさ、櫛通り性お
よびまとまりやすさ(整髪性)を評価した。
【0098】実施例7おいては、参考例1で製造したケ
ラチンの酸化分解物の酵素分解ペプチドを用い、比較例
10では比較参考例2で製造したゲル濾過分析での重量
数平均分子量が36,800のγ−ケラトースを用い、
比較例11では数平均分子量1,000の加水分解ケラ
チンを用いている。
【0099】
【表16】
【0100】上記ヘアリンスによる処理に先立ち、長さ
15cmで重さ1gの毛束を3本用意し、加水分解ペプ
チドやその誘導体を含まない市販のシャンプーで洗浄
し、お湯でゆすいだ。この洗浄後の毛束に対して、上記
実施例7および比較例10〜11のヘアリンスをそれぞ
れ2gずつ用いて処理し、お湯でゆすいだ。このシャン
プー洗浄とリンス処理を5回繰り返した後、毛髪のは
り、艶、潤い、しなやかさ、櫛通り性およびまとまりや
すさを10人の女性パネラーに実施例1と同様の評価基
準で評価させた。その結果を表17に平均値で示す。
【0101】
【表17】
【0102】表17に示すように、実施例7のヘアリン
スで処理した毛髪は、比較例10〜11のヘアリンスで
処理した毛髪に比べて、毛髪のはり、艶、潤い、はり、
しなやかさ、櫛通り性、まとまりやすさのいずれにおい
ても、評価値が高く、ケラチンの酸化分解物の酵素分解
ペプチドを配合した実施例7のヘアリンスは、従来のγ
−ケラトースや加水分解ケラチンを配合した比較例10
〜11のヘアリンスに比べて、毛髪をまとまりやすく
し、毛髪のコンディショニングを容易にし、毛髪には
り、艶や潤いを付与し、毛髪の櫛通り性を改善する作用
が優れていた。特に、しなやかさの評価では、パネラー
の大多数が、実施例7のヘアリンスで処理した毛髪は、
はりがあるにもかかわらず、すべり感を有するしなやか
さがあると答えていた。
【0103】
【図面の簡単な説明】
【図1】毛髪のはりの評価での毛髪のノット(結び目)
を模式的に示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 7/11 A61K 7/11 7/13 7/13 (72)発明者 安達 敬 大阪府東大阪市布市町1丁目2−14 株式 会社成和化成内 Fターム(参考) 4C083 AA122 AB312 AB352 AB412 AC022 AC072 AC102 AC122 AC152 AC182 AC242 AC302 AC312 AC352 AC392 AC442 AC472 AC482 AC522 AC532 AC542 AC552 AC642 AC712 AC772 AC792 AD092 AD282 AD441 AD442 CC23 CC32 CC36 CC38 CC39 DD23 EE21 EE26

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケラチンの酸化分解物を蛋白質分解酵素
    で加水分解して得られるゲル濾過分析で重量平均分子量
    が20,000〜40,000のケラチン酸化分解物の
    酵素分解ペプチドを含有することを特徴とする毛髪化粧
    料。
  2. 【請求項2】 ケラチン酸化分解物の酵素分解ペプチド
    の含有量が0.05〜20重量%である請求項1記載の
    毛髪化粧料。
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