JP2003039823A - インクジェット記録用フィルム - Google Patents

インクジェット記録用フィルム

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JP2003039823A
JP2003039823A JP2001303268A JP2001303268A JP2003039823A JP 2003039823 A JP2003039823 A JP 2003039823A JP 2001303268 A JP2001303268 A JP 2001303268A JP 2001303268 A JP2001303268 A JP 2001303268A JP 2003039823 A JP2003039823 A JP 2003039823A
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ink jet
ink
jet recording
recording film
layer
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JP2001303268A
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Kazuo Totani
和夫 戸谷
Satoshi Matsuura
諭 松浦
Hiroshi Tsukamoto
浩史 塚本
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Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インクジェットプリンター等のインクジェット
記録方式において、インク吸収能力に優れ、高品位の画
像をプリントすることができ、印字濃度が高く、にじみ
がないインクジェット記録用フィルムを提供する。 【解決手段】熱可塑性樹脂40〜80重量%、無定型シ
リカ15〜50重量%、およびインク定着剤5〜20重
量%を含有する混合物を延伸したインクジェット記録用
フィルムである。また、熱可塑性樹脂と無機顔料を含有
し、延伸された基材層の片面あるいは両面に、上記のイ
ンクジェット記録用フィルムを表面層として有するイン
クジェット記録用フィルムである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像記録や印字等
に用いられるインクジェット記録用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】高速にカラーハードコピーを作成するイ
ンクジェットカラープリンターの技術進歩により、鮮明
な画像と優れた印字品位を得ることが可能となってき
た。しかし、一方でプリントの品位、彩度、外観、画像
を更に改良するために、より高度な特性を持つ記録材が
要求されるようになってきた。特にプリント速度、解像
度、彩度などの向上によって被記録材に対してもインク
の速乾性、高吸収容量、ドット径およびにじみの制御
等、より高度な特性が要求されるようになり、各種記録
用シートが開発されている。特開昭56−148585
号公報等にはインクの吸収を良くするために基材の上に
多孔質無機顔料からなる受容層を設けることが開示され
ている。
【0003】一方、近年インクジェットプリンターは、
従来の書類等の印字用途から壁紙やポスター等の広幅印
字用途へと広まっている。インクジェットプリンターは
操作が非常に簡単であり、また製版等の印刷と違い少量
印刷が可能であるため必要に応じた画像を素早く必要量
だけ印字する事が可能である。また、壁紙や広告等の印
字にはワイドフォーマットプリンター等と呼ばれる広幅
印字可能なものが通常使用さている。これらのワイドフ
ォーマットプリンターは壁紙および広告用途であるため
遠くからでも画像が鮮明に確認できる必要があり、しか
も長期掲示においても鮮明な画像を保ち続ける必要があ
る。
【0004】しかし、従来から使用されているインクジ
ェット用のインクは染料インクであり、長期掲示におい
て紫外線、オゾン等により酸化され、画像が退色し見栄
えが悪化するという問題があった。このような問題を解
決するために、プロッターのインクに染料インクに比べ
耐光性に優れた顔料インクを用いることが特開平9−1
57559号公報、特開平9−132740号公報等に
開示されている。
【0005】また、従来から使用されているインクジェ
ット記録用紙は、紙を支持体としている為、水に触れた
際に、支持体が波打つコックリングと呼ばれる現象が発
生したり、あるいは破けたりし、見栄えが悪化するとい
う問題があった。このような問題を解決するために、特
開平6−143800号公報等にフィルムを支持体とし
た上に塗工層を設けたインクジェット用紙が開示されて
いる。
【0006】フィルムを支持体としても、従来のフィル
ムの上に塗工層を設けたインクジェット用紙の場合は、
水に濡れた時に堅いものが擦過する事により塗工層が破
損する場合があり、長期間掲示する壁紙やポスターとし
て使用するのには、問題があった。このような問題を解
決するために、特開2000−71368号公報等にフ
ィルムの空孔率を高くして、インク吸収性を向上させ
た、塗工層を設けないタイプの多層樹脂延伸フィルムが
開示されている。
【0007】しかし、インク吸収性能を向上させる為
に、空孔を多くした多層樹脂延伸フィルムが特開200
0−71368号公報に開示されているが、空孔だけで
は、インク吸収性能が不十分であり、インク吐出量の多
いワイドフォーマットプリンターで印字した場合ににじ
みが発生する。また、特開2001−72812号公報
では、アンチブロッキング剤として無定型シリカがポリ
プロピレン樹脂フィルムの材料として使用されている
が、カチオン性樹脂が含有されていない為、インクジェ
ット用インクが定着せず、にじみが発生する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、インクジェ
ットプリンター等のインクジェット記録方式において、
インク吸収能力に優れ、高品位の画像をプリントするこ
とができ、印字濃度が高く、にじみがないインクジェッ
ト記録用フィルムを提供するものである。また、本発明
は、特に印字耐候性に優れる顔料タイプインクを使用し
た記録性に優れた被記録材であり、特に産業用途などの
ように印字耐水性や印字耐擦過性が求められる用途に好
適で、湿潤時の耐擦過性に優れる被記録体を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性樹脂
40〜80質量%、無定型シリカ15〜50質量%、お
よびインク定着剤5〜20質量%を含有する混合物を延
伸したインクジェット記録用フィルムである。該インク
ジェット記録用フィルムは、表面層として、熱可塑性樹
脂と無機顔料を含有し、延伸された基材層の片面あるい
は、両面に設けることが好ましい。即ち、熱可塑性樹脂
と無機顔料を含有し、延伸された基材層、熱可塑性樹脂
40〜80質量%、無定型シリカ15〜50質量%、お
よびインク定着剤5〜20質量%を含有し、延伸された
表面層を有するインクジェット記録用フィルムである。
前記基材層は熱可塑性樹脂40〜80質量%および無機
顔料20〜60質量%を含有することが好ましい。
【0010】前記熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹
脂であることが好ましい。中でもポリプロピレン系樹脂
が好ましい。前記無定型シリカは、吸油量が200ml
/100g以上であることが好ましい。また、無定型シ
リカは、平均粒子径が1μm〜5μmであることが好ま
しい。前記インク定着剤は、カチオン性樹脂であること
が好ましい。中でもカチオン性樹脂は、コロイド滴定法
により測定したカチオン強度が1.5m当量/g〜4m
当量/g以下であることが好ましい。前記インクジェッ
ト記録用フィルムに、発色成分として顔料を含有するイ
ンク液滴を付与することにより記録するインクジェット
記録方法により記録を行うインクジェット記録用フィル
ムである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、(1)熱可塑性樹脂4
0〜80質量%、無定型シリカ15〜50質量%、およ
びインク定着剤5〜20質量%を含有する混合物を延伸
したインクジェット記録用フィルムである。また本発明
は、(2)熱可塑性樹脂と無機顔料を含有し、延伸され
た基材層の片面あるいは両面に、熱可塑性樹脂40〜8
0質量%、無定型シリカ15〜50質量%、およびイン
ク定着剤5〜20質量%を含有し、延伸された表面層を
有するインクジェット記録用フィルムである。
【0012】(1)は単層のインクジェット記録用フィ
ルムであり、(2)は複数層のインクジェット記録用フ
ィルムである。両者は、インクジェット記録を行う面
(表面)が、熱可塑性樹脂40〜80質量%、無定型シ
リカ15〜50質量%、およびインク定着剤5〜20質
量%を含有する混合物を延伸したフィルム(フィルム
層)であることで共通する。本発明は、インクジェット
記録を行う面を特定の材料を配合した延伸フィルムであ
ることが特徴である。
【0013】本発明のインクジェット記録用フィルム
は、単層のインクジェット記録用フィルムの場合は、熱
可塑性樹脂40〜80質量%、無定型シリカ15〜50
質量%、およびインク定着剤5〜20質量%を含有する
混合物を溶融押出し、一軸乃至二軸延伸することにより
得られたフィルムである。複数層のインクジェット記録
用フィルムの場合は、基材層用として熱可塑性樹脂と無
機顔料を混合、好ましくは熱可塑性樹脂40〜80質量
%および無機顔料20〜60質量%の割合で混合し、他
方表面層用として熱可塑性樹脂40〜80質量%、無定
型シリカ15〜50質量%、およびインク定着剤5〜2
0質量%を混合し、基材層を溶融押出し、その表面に表
面層を溶融押出して積層した後、二軸延伸するか、基材
層を溶融押出し、縦方向に延伸した後、表面層を溶融押
出して積層した後、横方向に延伸する方法等が採用でき
る。なお、複数層のインクジェット記録用フィルムの場
合は、基材層の両面に表面層を形成することもできる。
【0014】単層のフィルム、または複数層のフィルム
の表面層では、熱可塑性樹脂を40〜80質量%、無定
型シリカを15〜50質量%、インク定着剤を5〜20
質量%配合する。無定型シリカの量が50質量%を超え
ると、均一に延伸することが困難になり、製造される延
伸フィルムの表面膜に裂け目がが生じやすくなり、強度
が低下し実用性がなくなる。またシリカの量が15質量
%未満では、十分なインク吸収性得られず、インク乾燥
性が悪くなってしまう。また、インク定着剤の配合量が
5質量%未満であるとインクを定着することができずに
じみが発生する恐れがあり、20質量%を越えるとイン
クの乾燥性が低下するおそれもある。更に顔料インクの
凝集が発生し印字濃度が低下するおそれがある。
【0015】複数層のフィルムの基材層は、熱可塑性樹
脂を40〜80質量%、無機顔料を20〜60質量%配
合することが好ましい。無機顔料の量が60質量%を超
えると厚さが均一な多層樹脂延伸フィルムを形成するこ
とが困難になり、更に、多層樹脂延伸フィルムの強度が
弱くなる。20質量%未満では、不透明度が低下する。
【0016】基材層に使用する無機顔料の種類は特に制
限されない。無機顔料としては、無定型シリカ、重質炭
酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、クレー、タルク、
酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウ
ム、珪藻土、酸化珪素等を例示することができる。基材
層には、上記の無機顔料の中から1種を選択してこれを
単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わ
せて使用してもよい。
【0017】単層のフィルム、または複数層のフィルム
の基材層および表面層に使用する熱可塑性樹脂の種類は
特に制限されない。例えば、ポリオレフィン系樹脂;ナ
イロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,T等の
ポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやその
共重合体、ポリブチレンテレフタレートやその共重合
体、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹
脂;ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、
シンジオタクティックポリスチレン等を使用することが
できる。
【0018】中でも非極性のポリオレフィン系樹脂を用
いることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、
例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペ
ンテン、3−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜8の
α−オレフィンの単独重合体、およびこれらのα−オレ
フィン2〜5種の共重合体が挙げられる。共重合体は、
ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。具体
的には密度が0.89〜0.97g/cm、メルトフ
ローレート(190℃、2.16kg荷重)が1〜10
g/10分の分枝ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン;
メルトフローレート(230℃,2.16kg荷重)が
0.2〜8g/10分のプロピレン単独重合体、プロピ
レン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重
合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、プ
ロピレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピ
レン・3−メチル−1−ペンテン共重合体、ポリ(1−
ブテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、プロピ
レン・エチレン・3−メチル−1−ペンテン共重合体な
どが挙げられる。これらの中でもプロピレン単独重合
体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、高密度ポ
リエチレンが、安価で成形加工性が良好であるため好ま
しい。
【0019】上記熱可塑性樹脂の中から1種類を選択し
て単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合
わせて使用してもよい。また、複数層のフィルムの場合
は、基材層および表面層には同一の熱可塑性樹脂を使用
してもよいし、異なる熱可塑性樹脂を使用してもよい。
それぞれの層に求められる特性に応じて、熱可塑性樹脂
は適宜選択することができる。
【0020】単層のフィルムおよび複数層のフィルムの
表面層には、特に、インク吸収性が良好な品質が得られ
る無定型シリカが使用される。無定型シリカの好ましい
平均粒子径の範囲は1〜5μmである。因みに、平均粒
子径が5μmより大きくなると表面層の平滑度に影響が
でる。また、平均粒子径が1μmより小さくなると、光
隠蔽性および軽量性が得られなくなる。
【0021】単層のフィルムおよび複数層のフィルムの
表面層に使用する無定型シリカは、平均吸油量200m
l/100g以上のものが好ましい。因みに、平均吸油
量が200ml/100g未満であるとインク吸収性が
低下する傾向がある。シリカの吸油量に上限はないが、
400ml/100g程度まで入手することができる。
なお、単層のフィルムおよび複数層のフィルムの表面層
には、無定型シリカの作用効果を阻害しない範囲で、不
透明度を高めるなどの目的で酸化チタン、硫酸バリウム
などの無機顔料を併用してもよい。
【0022】単層のフィルムおよび複数層のフィルムの
表面層に使用するインク定着剤としては、インクジェッ
トインクのにじみを防止する機能等を有する材料であ
り、カチオン性樹脂の使用が好ましい。
【0023】カチオン性樹脂としては、ポリエチレンイ
ミン、ポリビニルピリジン、ポリジアルキルアミノエチ
ルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリ
レート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミ
ド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリ
エポキシアミン、ポリアミドアミン、ジシアンジアミド
−ホルマリン縮合物、ジシアンジアミドポリアルキル−
ポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリジアリルジメチ
ルアンモニウム塩酸塩等のジアリルジメチルアンモニウ
ム塩重合物塩、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、
ポリアリルアミン塩、ポリビニルアミン塩、ポリ(オキ
シエチル−1−メチレン)アミン塩、ポリビニルベンジ
ルアミン塩、ポリアクリルアミドプロピルメチルアミン
塩、ポリジアリルアミン塩、アクリルアミド・ジアリル
アミン塩共重合体、モノアリルアミン・ジアリルアミン
塩共重合体、ポリアミンジシアン重合体、等の化合物お
よびこれらの変性物等が例示できる。更に、ポリジアリ
ルジメチルアンモニウム塩酸塩等のポリジアリルジメチ
ルアンモニウム塩を使用することでより塗膜強度に優れ
るインクジェット記録用フィルムを得ることができる。
【0024】これらカチオン樹脂の中でも、カチオン性
樹脂のコロイド滴定法により測定したカチオン強度が
1.5〜4m当量/gであるカチオン性樹脂を使用する
と、顔料インクを用いたインクジェット記録において、
発色および印字後の耐擦過性の優れたインクジェット記
録用フィルムとなるので好ましい。
【0025】ここでいうコロイド滴定法とは、コロイド
粒子間のイオン会合反応を利用する滴定法である。即
ち、分子構造が既知であるイオン性高分子を溶解した溶
液を規定液とし、既知試料と反対のイオン性を有する未
知高分子試料のイオン強度(当量/g:試料1g当たり
におけるイオン量)を測定する方法である(「コロイド
滴定法」、千手著、昭和41年11月20日、南江堂参
照)。前記滴定法において、規定液にアニオン性高分子
を用いることで、カチオン性樹脂のカチオン強度を測定
することが可能である。
【0026】前記測定法により測定されたカチオン強度
が1.5〜4m当量/gであるカチオン性樹脂を使用す
ることで、顔料インクを用いたインクジェット記録にお
いて印字の発色性およびインク乾燥性、にじみがなぜ良
好であるかは、定かではないが以下のように推測され
る。
【0027】顔料インクを用いたインクジェット記録
は、染料インク同様、インク液滴を受容層に吐出させ画
像を形成する記録方法であり、そのためインクの吸収性
の違いが印字品位に大きな影響を与える。受容層の塗工
量が多くなるに従いインクの吸収性は向上するものの、
同時に顔料成分が内部に取り込まれ印字濃度が低下する
傾向にあった。一方、顔料成分を表面に存在させるため
に受容層の塗工量を下げたところ、にじみが悪化し、し
かもインク溶媒が受容層に十分吸収されないため顔料粒
子が溶媒と共に移動し、そのため受容層表面における顔
料粒子の存在が不均一となり印字部に受容層の白部が露
呈され、印字濃度が下がる結果となった。染料インクで
は染料分子が非常に小さいため、溶媒と共に移動する際
に染料は受容層に結合し着色される。そのため受容層の
吸収容量が低い場合、印字濃度が向上する傾向にある
が、顔料インクではこのような現象が全く起こらなかっ
た。即ち、顔料インクの発色機構は染料インクの発色機
構とは全く違うものであった。顔料インクを用いた記録
方法においては、顔料粒子を受容層表層部に均一に“並
べる”または“敷き詰める”ことで印字濃度を向上させ
ることができ、更に、顔料インク用インクジェット記録
用フィルムに必要とされる特性は、顔料成分を受容層表
層部に均一に存在させ、かつインクの溶媒を受容層内部
に速やかに吸収することである。
【0028】インク内の顔料は、インク溶液内に均一に
分散されるために化学的にイオン性を付与されている。
特にカルボン酸等のアニオン性基を付与することが通常
実施されており、そのためカチオン性物質とイオン的に
結合することが可能となっている。カチオン性物質が高
分子の場合、複数の顔料粒子と高分子の凝集体を形成す
ることがあり、特にカチオン強度が高い高分子ほど凝集
は起こりやすいと推測される。ところで、カチオン強度
が4m当量/gを超えるカチオン性樹脂のみを表面層に
含有した場合、顔料インクが表面層に着弾した際に表面
層表面で顔料粒子がカチオン性樹脂と結合、凝集し、そ
のため顔料粒子が均一に受容層を覆うことができなくな
り、部分的に白抜け部が発生し印字濃度が低下すると考
えられ、更に表面層表面で凝集した顔料インクは擦過に
より剥離しやすくなる。
【0029】一方、カチオン強度が1.5m当量/g未
満のカチオン性樹脂を使用した場合、イオン性による凝
集が起こらないため、表面層でインクの顔料成分を補足
することができず、そのためにじみが発生すると考えら
れる。従って、本発明では顔料インクの発色性向上、お
よび印字部耐擦過性等の前記の効果を得るために、表面
層に使用する主たるカチオン性樹脂として、カチオン強
度が1.5m当量/g〜4m当量/gのカチオン樹脂を
含有させる。
【0030】なお、無定型シリカを含む無機顔料を熱可
塑性樹脂中に配合混練する際に、必要に応じて分散剤、
酸化防止剤、相溶化剤、難燃剤、紫外線安定剤、着色顔
料等を添加することができる。本発明によって製造され
る多層樹脂延伸フィルムを耐久資材として使用する場合
には、酸化防止剤や紫外線安定剤等を添加しておくのが
好ましい。このようにして調製した混合物は、例えば、
押出機などで押し出すことによってフィルム状にするこ
とができる。押し出しの条件は、混合物の組成や調製す
るフィルムの形状などに応じて適宜設定することができ
る。
【0031】調製した基材層用の無延伸フィルムと表面
層用の無延伸フィルムは、次に積層工程と延伸工程に付
する。表面層は基材層の片面に積層してもよいし、両面
に積層してもよい。両面に積層する場合は、2つの表面
層の組成は同一であっても異なっていてもよい。積層工
程と延伸工程の順序は特に制限されない。本発明の延伸
工程は、1軸延伸または、2軸延伸することによって行
う。延伸の具体的な方法は、特に制限されない。延伸方
法としては、ロール群の周速差を利用したロール間延
伸、テンターオーブンを利用したクリップ延伸などを挙
げることができる。
【0032】本発明を構成するインクジェット記録用フ
ィルムの厚さは特に制限されず、プリンターなど出力装
置の適性、記録後の用途などによって、適宜選択でき
る。一般的には60〜250μm程度である。なお、複
数層のインクジェット記録用フィルムの場合、基材層の
厚みが表面層の厚みよりも厚い方が、インクジェット記
録用フィルムの強度が優れるので望ましい。
【0033】本発明のインクジェット記録用フィルム
は、そのまま使用に供してもよいし、さらに別の熱可塑
性フィルム等に積層して使用してもよい。さらに積層す
る場合には、例えばポリエステルフィルム、ポリアミド
フィルム、ポリオレフィンフィルム等の透明または不透
明なフィルムに積層することができる。また、本発明の
インクジェット記録用フィルムの厚さは特に制限されな
い。更に、裏面に粘着剤層と剥離シートを積層した所謂
粘着加工、裏面に磁気記録層を形成する所謂磁気加工、
カード基材に積層する所謂カード加工等、公知の加工を
施すことも可能である。また、紙もしくはフィルムの両
面に本発明のインクジェット記録用フィルムを積層し、
両面をインクジェット記録可能にすることも可能であ
る。また、例えば、建築装飾用の壁紙、ポスター、看
板、化粧合板用化粧紙、床材、自動車の内装材等に有効
である。
【0034】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、勿論本発明はこれによって限定されるも
のではない。尚、以下において部および%とあるのは、
すべて質量部および質量%を示す。
【0035】実施例1 基材層用混合物の作製 熱可塑性樹脂(融点160℃のプロピレンモノマー)5
0部と炭酸カルシウム(平均粒子径:1.0μm、吸油
量:47ml/100g、商品名:TP−121、奥多
摩工業社製)50部を混合し、基材層用混合物を得た。
【0036】表面層用混合物の作製 熱可塑性樹脂(融点160℃のプロピレンモノマー)5
0部と無定型シリカ(平均粒子径:4.3μm、吸油
量:260ml/100g、商品名:ファインシールX
−45、トクヤマ社製)40部、インク定着剤としてカ
チオン性樹脂(カチオン強度:3.5m当量/g、物質
名:ジアリルジメチルアンモニウム塩酸塩、商品名:ユ
ニセンスCP−91、センカ社製)10部を混合し、表
面層用混合物を得た。
【0037】得られた基材層用混合物と表面層用混合物
を200℃に設定された3台の押出し機で、溶融混錬
し、表面層/基材層/表面層となるように、基材層を2
層の表面層が挟み込む形で、積層して押出し形成した
後、縦方向にロール間で1軸延伸し、3層の延伸インク
ジェット記録用フィルムを得た。なお、表面層は両方と
も15μmであり、基材層の厚みは80μmであった。
【0038】実施例2 実施例1の表面層に使用している熱可塑性樹脂(プロピ
レンモノマー、融点160℃)を50部から70部に変
更し、無定型シリカを40部から20部に変更した以外
は実施例1と同様にしてインクジェット記録用フィルム
を得た。
【0039】比較例1 実施例1の表面層に使用している熱可塑性樹脂(プロピ
レンモノマー、融点160℃)を50部から30部に変
更し、無定型シリカを40部から60部に変更した以外
は実施例1と同様にしてインクジェット記録用フィルム
を得た。
【0040】比較例2 実施例1の表面層に使用している熱可塑性樹脂(プロピ
レンモノマー、融点160℃)を50部から90部に変
更し、無定型シリカを40部から0部に変更した以外は
実施例1と同様にしてインクジェット記録用フィルムを
得た。
【0041】実施例3 実施例1の表面層に使用しているカチオン性樹脂を、カ
チオン性樹脂(カチオン強度:3.2m当量/g、物質
名:ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン、商品名:
ネオフィックスE−117、日華化学社製)に変更した
以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用フィ
ルムを得た。
【0042】実施例4 実施例1の表面層に使用しているカチオン性樹脂を、カ
チオン性樹脂(カチオン強度:2.9m当量/g、物質
名:ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン、商品名:
ネオフィックスRP−70、日華化学社製)に変更した
以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用フィ
ルムを得た。
【0043】実施例5 実施例1の表面層に使用しているカチオン性樹脂を、カ
チオン性樹脂(カチオン強度:1.7m当量/g、物質
名:メラミン樹脂酸コロイド、商品名:スミレーズレジ
ン8%AC、住友化学社製)に変更した以外は実施例1
と同様にしてインクジェット記録用フィルムを得た。
【0044】実施例6 実施例1の表面層に使用しているカチオン性樹脂を、カ
チオン性樹脂(カチオン強度:5.1m当量/g、物質
名:ジアリルジメチルアンモニウム塩酸塩、商品名:ユ
ニセンスCP−101、センカ社製)に変更した以外は
実施例1と同様にしてインクジェット記録用フィルムを
得た。
【0045】実施例7 実施例1の表面層に使用している無定型シリカを、無定
型シリカ(平均粒子径:12μm、吸油量:180ml
/100g;商品名:サイリシア470、富士シリシア
社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジ
ェット記録用フィルムを得た。
【0046】実施例8 実施例1の表面層に使用している無定型シリカを、無定
型シリカ(平均粒子径:7.2μm、吸油量:225m
l/100g、商品名:カープレックスBS312A
M、塩野義製薬社製)に変更した以外は実施例1と同様
にしてインクジェット記録用フィルムを得た。
【0047】比較例3 実施例1の表面層に使用しているカチオン性樹脂を用い
なかった以外は実施例1と同様にしてインクジェット記
録用フィルムを得た。
【0048】比較例4 実施例1の表面層に使用しているカチオン性樹脂を10
部から30部に変更した以外は実施例1と同様にしてイ
ンクジェット記録用フィルムを得た。
【0049】比較例5 実施例1の表面層に使用している無定型シリカ40部
を、炭酸カルシウム(平均粒子径:1.0μm、吸油
量:47ml/100g、商品名:TP−121、奥多
摩工業社製)50部に変更した以外は実施例1と同様に
してインクジェット記録用フィルムを得た。
【0050】実施例9 熱可塑性樹脂(融点160℃のプロピレンモノマー)5
0部と無定型シリカ(平均粒子径:4.3μm、吸油
量:260ml/100g、商品名:ファインシールX
−45、トクヤマ社製)40部、インク定着剤としてカ
チオン性樹脂(カチオン強度:3.5m当量/g、物質
名:ジアリルジメチルアンモニウム塩酸塩、商品名:ユ
ニセンスCP−91、センカ社製)10部を混合し、イ
ンクジェット記録用フィルム用混合物を得た。得られた
インクジェット記録用フィルム用混合物を200℃に設
定された押出し機で、溶融混錬し、単層にて押出し形成
した後、縦方向にロール間で1軸延伸し、1層の延伸イ
ンクジェット記録用フィルムを得た。厚みは110μm
であった。
【0051】得られた各インクジェット記録用フィルム
の評価結果を表1に示す。
【0052】カチオン性樹脂のカチオン強度(g当たり
のカチオン当量):0.4g/lのカチオン樹脂溶液1
0mlにトルイジンブルー指示薬を2滴加え、N/40
0のポリビニル硫酸カリウム(PVSK)溶液で滴定を
行い、溶液が青色から赤紫色に変色した滴定量を読み、
下記計算式からカチオン樹脂のカチオン強度を求めた。 カチオン強度(m当量/g)=[{1/400(当量/l)×PVSK滴
定量(ml)×PVSKファクター}÷{0.4(g/l) ×10(ml)}]×
1000 今回使用したPVSKのファクターは1.108 であった。また
インクジェット記録適性は以下の方法で評価した。
【0053】印字濃度(発色性):インクジェットワイ
ドフォーマットプリンター(ヒューレットパッカード社
製 デザインジェット 2500CP顔料インク)を用
い、ブラック100%、イエロー100%、マゼンタ1
00%、シアン100%の各印字濃度を官能評価した。 ◎・・・印字濃度が優れる ○・・・印字濃度が良好 △・・・印字濃度がやや低い ×・・・極めて印字濃度が低い
【0054】にじみ:前記ワイドフォーマットプリンタ
ー(ヒューレットパッカード社製 デザインジェット
2500CP顔料インク)を用い、シアン100%とマ
ゼンタ100%の200%重色印字部分のにじみを官能
評価した。 ◎・・・にじみがなく優れている ○・・・にじみが殆どなく良好 △・・・にじみが認められる ×・・・不良であり実用上問題有り
【0055】表面強度:セロハンテープ(ニチバン社
製)剥離試験を行い、官能で評価した。 ◎・・・強度が優れる ○・・・強度良好 △・・・強度がやや劣る ×・・・強度が劣る
【0056】塗膜耐水性:表面に、水滴を1cc滴下
し、10秒後に指で擦り、表面層が剥がれるかどうかを
官能評価した。 ◎・・・剥離が全くなく非常に優れる ○・・・実用上問題のないものの若干悪いもの ×・・・不十分なもの
【0057】外観:表面を目視にて観測し官能にて評価
した。 ◎・・・表面の外観が非常に滑らかで非常に良好 ○・・・外観が滑らかで良好 ×・・・表面が荒れている
【0058】
【表1】
【0059】表1から明らかなように、実施例により得
られたインクジェット記録用フィルムは、印字の発色
性、にじみおよび塗膜強度、塗膜耐水強度のいずれに関
しても非常に優れている。これに対して比較例により得
られたインクジェット記録用フィルムは、印字の発色
性、にじみにおいて良好な結果は得られなかった。
【0060】
【発明の効果】本発明のインクジェット記録用フィルム
は、顔料インク用インクジェット記録用紙として印字の
発色性、にじみおよび塗膜強度、塗膜耐水強度に優れて
いる。
フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA13 FC06 2H086 BA01 BA15 BA19 BA24 BA33 BA34 BA41 BA45 BA47

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂40〜80質量%、無定型シ
    リカ15〜50質量%、およびインク定着剤5〜20質
    量%を含有する混合物を延伸したインクジェット記録用
    フィルム。
  2. 【請求項2】熱可塑性樹脂と無機顔料を含有し、延伸さ
    れた基材層の片面あるいは両面に、請求項1に記載のイ
    ンクジェット記録用フィルムを表面層として有するイン
    クジェット記録用フィルム。
  3. 【請求項3】無定型シリカの吸油量が200ml/10
    0g以上である請求項1又は2記載のインクジェット記
    録用フィルム。
  4. 【請求項4】無定型シリカの平均粒子径が1〜5μmで
    ある請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェット
    記録用フィルム。
  5. 【請求項5】インク定着剤がカチオン樹脂である請求項
    1〜4の何れか一項に記載のインクジェット記録用フィ
    ルム。
  6. 【請求項6】カチオン性樹脂のコロイド滴定法により測
    定したカチオン強度が1.5〜4m当量/g以下である
    請求項5記載のインクジェット記録用フィルム。
  7. 【請求項7】請求項1〜6の何れか一項に記載のインク
    ジェット記録用フィルムに、発色成分として顔料を含有
    するインク液滴を付与することにより記録するインクジ
    ェット記録方法により記録を行うインクジェット記録用
    フィルム。
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