JP2003039106A - 冷間圧延用複合ワークロールの製造方法およびワークロール - Google Patents

冷間圧延用複合ワークロールの製造方法およびワークロール

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JP2003039106A JP2001226974A JP2001226974A JP2003039106A JP 2003039106 A JP2003039106 A JP 2003039106A JP 2001226974 A JP2001226974 A JP 2001226974A JP 2001226974 A JP2001226974 A JP 2001226974A JP 2003039106 A JP2003039106 A JP 2003039106A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 冷間圧延用ワークロール外層内部の硬度アッ
プを図り、圧延使用後の廃棄径に至るまで安定した耐摩
耗性を維持し、安定した長時間連続圧延を実現する冷間
圧延用ワークロールロールを提供する。 【解決手段】 鋳鋼または鍛鋼からなる芯材の周囲に、
ハイス系材料からなる外層を連続鋳掛け肉盛り法により
形成後、低周波漸進誘導加熱装置の上下方向に設けた加
熱コイルで低周波漸進誘導加熱後、水焼入れを行い、そ
の後、焼き戻しを施して製造される冷間圧延用複合ワー
クロールの製造方法において、前記低周波漸進誘導加熱
時、前記上段の加熱コイルでの投入電力P1 と下段の加
熱コイルでの投入電力P2 とをP1 <P2 となるように
制御して外層における内部温度が外層の表面温度より高
くなるようにした後、水焼入れを行い、その後、500
〜600℃での高温焼き戻しを行うことを特徴とする冷
間圧延用複合ワークロールの製造方法およびワークロー
ル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄鋼の冷間圧延に
用いられる複合ワークロールの製造方法および複合ワー
クロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄鋼の冷間圧延用ワークロールと
しては、5〜7%Crを含む鍛鋼が適用されてきた。近
年では、例えば特開平10−66421号公報に開示さ
れた、連続鋳掛け肉盛り法により、芯材の周囲に耐摩耗
性、耐疵入り性を有する外層を形成した冷間圧延用複合
ロールが使用されてきている。前記冷間圧延用複合ロー
ルでは、外層に十分な耐摩耗性、耐疵入り性等を確保さ
せるため、ショア硬さ90以上の高硬度を必要とする。
このような高硬度を得るために、高温加熱、急速冷却が
可能である、例えば実公平3−39482号公報や実開
昭62−118160号公報に開示されているような低
周波漸進誘導加熱・焼入れ方法が一般に適用されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に、ロール等の焼
入れにおいて、焼入れ後の硬度は、冷却前の加熱温度が
高く、冷却速度が大きいほど、高くなることが知られて
いる。前記低周波漸進誘導加熱・焼入れ方法では、高温
加熱、急速冷却が可能であり、ロールの断面方向におい
ては、ロール外面から内部に向かう程、加熱温度は低
く、冷却速度は遅くなっていく。そのため、前記低周波
漸進誘導加熱・焼入れ方法によって焼き入れされたロー
ルでは、その硬さは内部に向かう程低下し、数回の研削
および圧延再使用により径の小さくなった廃棄径付近に
至るまでには、外層表面の硬度からショア硬さで5°以
上低下し、それにより、耐摩耗性、耐疵入り性等が、大
幅に低下する。
【0004】一方、実際の鉄鋼の圧延操業においては、
ロールの使用時の径によって、ロールの1回転あたりの
圧延量が左右されるため、複数台有するスタンド毎で、
このロールの径が相違すると、圧延量がばらつくため、
ロールの摩耗したスタンドにおいて、ロールの中途換え
が必要となるなど、保守も大変であり、安定した長時間
連続圧延が難しいという課題がある。以上の従来技術の
課題に鑑み、本発明の目的は、冷間圧延用ワークロール
の外層における内部方向への硬度低下を極力小さく、す
なわち、外層内部の硬度アップを図り、圧延使用開始後
廃棄径に至るまで安定した耐摩耗性を維持できると共
に、それにより実際の鉄鋼の圧延操業における保守を容
易にし、安定した長時間連続圧延を実現する冷間圧延用
ワークロールの製造方法およびロールを提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
を達成するためのものであり、その発明の要旨とすると
ころは、以下の通りである。 (1)鋳鋼または鍛鋼からなる芯材の周囲に、ハイス系
材料からなる外層を連続鋳掛け肉盛り法により形成後、
低周波漸進誘導加熱装置の上下方向に設けた加熱コイル
で低周波漸進誘導加熱後、水焼入れを行い、その後、焼
き戻しを施して製造される冷間圧延用複合ワークロール
の製造方法において、該低周波漸進誘導加熱時、上記上
段の加熱コイルでの投入電力P1 と下段の加熱コイルで
の投入電力P2 とをP1 <P2 となるように制御して外
層における内部温度が外層の表面温度より高くなるよう
にした後、水焼入れを行い、その後、500〜600℃
での高温焼き戻しを行うことを特徴とする冷間圧延用複
合ワークロールの製造方法。
【0006】(2)鋳鋼または鍛鋼からなる芯材の周囲
に、ハイス系材料からなる外層を連続鋳掛け肉盛り法に
より形成後、低周波漸進誘導加熱装置の上下方向に設け
た加熱コイルで低周波漸進誘導加熱後、水焼入れを行
い、その後、焼き戻しを施して製造される冷間圧延用複
合ワークロールにおいて、該低周波漸進誘導加熱時、上
記上段の加熱コイルでの投入電力P1 と下段の加熱コイ
ルでの投入電力P2 とをP 1 <P2 となるように制御し
て外層における内部温度が外層の表面温度より高くなる
ようにした後、水焼入れを行い、その後、500〜60
0℃での高温焼き戻しを行ない、前記外層の表面から前
記ワークロールでの使用される限界径である廃棄径まで
の硬度低下幅がショア硬度5以下となることを特徴とす
る冷間圧延用複合ワークロール。
【0007】(3)外層の化学成分が質量%で、C:
0.9〜1.5%、Si:0.2〜2.5%、Mn:
0.2〜2.5%、Cr:4.0〜10.0%、Mo:
2.0〜8.0%、V :0.5〜5.0%含有し、残
部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする
前記(2)に記載の冷間圧延用複合ワークロール。 (4)外層がさらに質量%で、Ni:0.1〜5.0
%、W:0.2〜5.0%、Co:0.2〜5.0%か
ら選ばれる1種以上を含むことを特徴とする前記(3)
記載の冷間圧延用複合ワークロールにある。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の芯材について説明
する。本発明に係る芯材の材質としては、苛酷な冷間圧
延における大きな圧延反力に耐え得るものが良く、鋳鋼
またはSCM、SNCM等の鍛鋼からなる芯材にすると
よい。次に、本発明の外層材について説明する。本発明
の外層材としては、冷間圧延用複合ワークロールとして
必要な高硬度を有すること、および該高硬度を付与させ
るための低周波漸進誘導加熱・焼入れに耐えられるとい
うことを主要な選定理由として、基本的に例えば特開平
5−271867号公報や特開平11−254007号
公報に開示されているハイス系材料がよく、外層材の成
分系としては、以下の範囲にあることが望ましい。
【0009】ここで化学成分を限定した理由を以下に述
べる。Cは、硬さを得るための重要な元素である。C量
が0.9%より少ないと基地に固溶するCが不足し、十
分なマトリックス硬さが得られなくなると同時に、高合
金化が難しくなる。しかし、1.5%を超えると炭化物
が粗大化し、強度が低下するので上限を1.5%とし
た。Siは、脱酸作用を目的として添加する。0.2%
未満であるとその効果が不十分であり、2.5%を超え
ると靱性を低下させるため、その範囲を0.2〜2.5
%とする。
【0010】Mnは、脱酸、脱硫作用を目的として添加
する。0.2%未満であるとその効果が不十分であり、
2.5%を超えると靱性を低下させるため、その範囲を
0.2〜2.5%とする。Crは、Cと結合しやすくM
7 3 系炭化物を構成し、耐摩耗性を確保する上で必要
な元素であるが、少ないと十分な耐摩耗性が確保でき
ず、一方、多すぎると炭化物が粗大化しネット状に発達
する傾向があり靱性が低下する。その最適な範囲は、
4.0%以上10.0%以下である。
【0011】Moは、硬質の炭化物が得られ、また高温
で焼き戻しを行う場合、その二次硬化に強く寄与する元
素である。2.0%未満の場合、炭化物としての析出が
不十分である。しかし、8.0%を超えるとネット状の
粗大な炭化物となるため、その最適な範囲を2.0%以
上8.0%以下とした。Vは、硬度の極めて高いMC系
炭化物を形成するため、最も強く耐摩耗性に寄与する元
素である。しかし、0.5%未満であるとその効果は小
さく、一方、5.0%を超えると研削性が阻害されるた
め、その範囲を0.5%以上5.0%以下とした。
【0012】本発明材の基本成分は、上記の通りである
が、適用を対象とするロールのサイズ、要求されるロー
ルの使用特性等により、その他の化学成分として、上記
した本発明の化学成分に加えて、さらに以下の成分を適
宜選択添加すると良い。Niは、マトリックス中に固溶
され、基地のオーステナイトを安定化して焼入れ性を向
上する。そのため、0.1%以上の少量を含有させる
が、5.0%を超えて含有させた場合、オーステナイト
が安定化しすぎてオーステナイトの残留を来たし、硬度
の確保が困難になったり、圧延使用中の変形等を起こす
ことがある。なお、前記Ni添加の選択有無について
は、例えば、製造を対象とする圧延ロールのサイズ、硬
度等を考慮し、その添加の要否を適宜判断すると良い。
【0013】Wは、Moと同様、硬質の炭化物が得ら
れ、特に耐摩耗性が要求される場合に添加すると効果的
な元素である。5.0%を超えて添加すると炭化物が粗
大化するため、その適正な範囲を5.0%以下とした。
Coは、その殆どがマトリックス中に固溶され基地の硬
度及び強度を向上させる作用を有している。0.2%未
満ではその効果は不十分であり、5.0%を超えてはそ
の効果が飽和するため、経済性の観点からも5.0%以
下が望ましい。Co添加の選択有無については、例え
ば、使用特性上の高温硬度や摩擦係数低減等を考慮し、
その添加の要否を適宜判断するとよい。
【0014】Bは、0.001%以上で、焼入れ性が高
まり、また、靱性の低下を防ぐことができる。しかし、
過剰になると、靱性が低下するため、0.50%以下に
抑える必要がある。Al,Ti,Zrは、溶湯中で酸化
物を生成して、溶湯中の酸素含有量を低下させ、製品の
健全性を向上させると共に、生成した酸化物が結晶核と
して作用するために凝固組織の微細化に効果がある。
0.001%でその効果があるが、余り多く含有させる
と介在物となって製品中に残存することになるために、
その上限は、各々0.50%となるようにする。
【0015】Cuは、基地組織を強化し高温硬度を向上
させるため、後述する本発明のMg、Caと共に主要な
化学成分である。0.001%以下では、その効果がな
く、一方、0.50%を超えると、耐摩耗性、耐クラッ
ク性が低下すると共に、ロールの表面性状が劣化するた
め、その上限を0.50%とすると良い。
【0016】本発明の冷間圧延用複合ワークロールにお
ける基本的な考え方は、低周波漸進誘導加熱・焼入れに
おける加熱時に、ロール内部の加熱温度が外面より高く
なるよう加熱・制御し、その後、冷却し、さらに500
〜600℃での高温焼き戻しを行うことによりロール内
部の硬度アップを図り、該ロールの新製作径から、該ロ
ールの使用限界径である廃棄径において、硬度低下幅の
低下が極めて少ない安定した断面硬度を実現しようとす
るものである。
【0017】前記加熱時の投入電力を独立に制御できる
低周波漸進誘導加熱・焼入れ装置としては、2コイル方
式の加熱コイルが必要であり、それに適する装置の一例
を図1、図2、図3にそれぞれに示す。各図において
2、2´は、各々上下の加熱コイルであり、冷却前のロ
ールは、前記2つの加熱コイル2、2´での投入電力バ
ランスを制御することにより、ロール内部の温度ピーク
位置を任意に設定するとよい。中でも、図3に示す低周
波漸進誘導加熱・焼入れ装置は、この図に示すようにパ
ルス幅変調(PWM)インバータを有するものであり、
この場合、両加熱コイル2、2´間において周波数の相
互干渉がなく、加熱温度の制御が一段と精密に制御可能
となるため焼入れを対象とするロールの用途に応じて適
宜使い分けるとよい。
【0018】前記の本発明の基本的な作用を検証するた
め、本発明者らは、以下に記載する種々の試験を行い、
本発明を完成した。以下にその結果について説明する。
先ず、2つの加熱コイルでの投入電力とロール断面での
温度分布測定試験として、 試験用の装置 図1に示す2つの加熱コイルを有する実機ロール用の低
周波漸進誘導加熱・焼入れ装置の下加熱装置の容量を一
部増強して、次の仕様とし、この試験に流用使用した。 上加熱コイル電力:MAX1000KW可変 下加熱コイル電力:MAX1000KW可変 コイル移動速度:10〜100mm/min可変
【0019】試験素材 連続鋳掛け肉盛り法により製作され、圧延に未使用の実
機向冷間圧延用複合ワークロール1本を使用した。な
お、ロール径はφ600mm、芯材の材質は、SCM4
40で外層はハイス材であり、その化学成分は表1に示
す。 試験要領および試験結果 前記実際の圧延用ロールを使用し、前記の装置において
2つの加熱コイルでのコイル移動速度を30mm/mi
nとし、投入電力バランスを下記の通り変え、その時の
該ロールの深さ方向の加熱温度分布を測定した。その結
果を図4に示す。
【0020】
【表1】
【0021】図4において、曲線Bは、従来の加熱方
式、すなわち、上加熱コイルでの投入電力を500K
W、下加熱コイルでの投入電力を300KWとした場合
のロールの深さ方向の加熱温度分布を示す。一方、曲線
Aは、本発明における加熱方式、すなわち、上加熱コイ
ルでの投入電力を300KW、下加熱コイルでの投入電
力を500KWとした場合のロールの深さ方向の加熱温
度分布を示す。図4から明らかなように、従来の加熱方
式である曲線Bにおけるロールの深さ方向の加熱温度分
布は、ロールの外層において内部の方に行くにつれて加
熱温度が低下している。一方、本発明における加熱方式
である曲線Aにおけるロールの深さ方向の加熱温度分布
は、ロールの外層において内部の方に行くにつれて加熱
温度が上昇している。
【0022】このように、2つの上下コイルでの加熱電
力の投入バランスを変えることによって、ロールの断面
温度分布を制御することが可能である。ロールの誘導加
熱焼入れにおいては、芯材の加熱温度は、高いと組織が
粗大化し、芯材の強度が低下するため低い方が好まし
い。そのため、ロール断面の温度分布は表面から内部に
向かうにつれて高くなり、廃棄径相当位置で、温度ピー
クを迎え、その後、温度が急激に低くなるような分布が
好ましい。
【0023】温度ピーク位置は、前記の通り、2つの加
熱コイルでの加熱電力の投入バランスでも調整できる
が、さらに、ロールの移動(下降)速度を変えることに
より、より繊細な温度ピーク位置の調整が容易になる。
移動(下降)速度が大きい程、温度ピーク位置を浅く、
逆に移動速度が小さいと温度ピーク位置を深くすること
ができる。なお、前記の試験結果において、対象とした
ロールは、1種類であるが、該ハイス材の熱伝導率は、
通常25〜30W/(m・K)位であり、本発明材の化
学成分の範囲では、その熱伝導率の値は微少な違いであ
り、従って、前記の作用は同じものである。
【0024】次に、断面温度分布の相違による硬度深さ
に確認試験として、前記した試験結果により、ロールの
深さ方向の加熱温度分布として、ロール外層の内部の方
に行くにつれて、加熱温度を上昇させる方法が確立した
ため、次のステップとして前記試験ロールと同じ成分、
サイズ、外層厚のロールを、その後前述した曲線Aおよ
び曲線Bと同様に加熱した後、共に同じ要領で、水焼入
れを行い、その後該ロールを台車炉に搬入し、530℃
での高温焼き戻しを行った。
【0025】その結果を図5に示す。図5において、曲
線B´は、前記曲線Bの従来の方法で加熱したものであ
り、一方、曲線A´は、前記曲線Aの本発明の方法で加
熱したものである。図5から明らかなように、従来の曲
線B´では、ロールの外部から内部の廃棄径迄にその硬
度の低下が約ショア6度の低下を起こしている。一方、
本発明の曲線A´では、硬度の低下は、約2度程度であ
り、ロールの有効径範囲での効果は、極めて少なく本発
明の効果が確実に現れている。
【0026】なお、本発明におけるロールの加熱・水焼
き入れ後に行う焼き戻しの温度範囲としては、500〜
600℃での温度焼き戻しが適している。すなわち、焼
き戻し温度が500℃を下回ると二次硬化が得られず、
ショア硬度90以上を確保することができない。一方、
600℃を超えると、なまし作用によって硬度が大きく
低下する。さらに望ましくは、ショア硬度92以上を確
保するには、焼き戻し温度は、500〜560℃の間に
するとより好ましい。
【0027】前記各種の試験により、本発明の成立性を
十分に確証することができたため、本発明の方法を適用
して実際の圧延ロールを作製し、その後実際の圧延操業
に適用した。以下に説明する。実機ロールの製作および
圧延操業への適用結果については、SCM440材から
なる芯材を用いて、連続鋳掛け肉盛り法により、焼入れ
時の寸法で外径φ500mm、肉厚50mmのロール用
素材を作製し、低周波漸進誘導加熱・焼入れを行った。
このロールの廃棄径はφ420mmである。
【0028】外層の化学成分は、ハイス系材料であっ
て、表2に示す通りである。低周波漸進誘導加熱装置と
して2つの加熱コイルでの投入電力を任意に設定できる
前記の試験と同じ、実ロール用を改造した2電源2コイ
ル方式の加熱装置を用いた。低周波漸進誘導加熱・焼入
れの方法は、前記の試験と同じで、上加熱コイルでの投
入電力を250KW、下加熱コイルでの投入電力を40
0KWとし、コイル移動速度30mm/minにて加熱
・焼入れを行った。その後、前記の試験と同様に、その
後該ロールを台車炉に搬入し、530℃での高温焼き戻
しを行った。
【0029】
【表2】
【0030】従って、その断面温度分布は、前記試験と
同様な表面より廃棄径近辺の方が高い温度となる断面温
度分布を得ることができていると想定される。その後、
仕上げ加工を行い、実際の圧延に長期間供した。前記ロ
ール製作時の表面硬さがショア硬さ97に対し、約6ケ
月間使用した廃棄径φ420mmでの硬さはショア硬さ
95と硬質低下が十分に小さく、また、圧延成績も図6
に示す通り、本開発ロールは従来のロールと比べて新製
径から廃棄径までの性能(T/回)の低下が極めて小さ
く、安定した圧延操業を実現できた。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば新製
径から廃棄径まで硬さが大きく低下することなく、安定
した耐摩耗性を発揮できる複合ロールの製造が可能とな
り、ロール原単位の改善、安定した長時間圧延の実現と
いった効果が期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低周波漸進誘導加熱・焼入れに使用す
る第1の装置の概略図、
【図2】本発明の低周波漸進誘導加熱・焼入れに使用す
る第2の装置の概略図、
【図3】本発明の低周波漸進誘導加熱・焼入れに使用す
る第3の装置の概略図、
【図4】ロールの断面における加熱温度分布を示す図、
【図5】ロールの断面におけるショア硬度分布を示す
図、
【図6】ロール研削1回当たりの連続圧延トン数を示す
図である。
【符号の説明】
1 圧延用ロール 2 上加熱コイル 2´ 下加熱コイル 3 パルス幅(PWM)インバータ 4 電源変圧器 5 高圧電磁接触器 6 周波数同期制御器 7 サイリスタインバータ 8 整合コンデンサー 9 整合トランス 10 可変リアクトル
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/00 302 C22C 38/00 302E 38/38 38/38 38/58 38/58 (72)発明者 橋本 光生 福岡県北九州市戸畑区大字中原46−59 新 日本製鐵株式会社エンジニアリング事業本 部内 Fターム(参考) 4E016 CA09 DA03 EA02 FA03 FA04 4K042 AA20 BA02 BA03 CA02 CA04 CA05 CA06 CA07 CA08 CA10 CA13 DA01 DA02 DB01 DC05 DD02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳鋼または鍛鋼からなる芯材の周囲に、
    ハイス系材料からなる外層を連続鋳掛け肉盛り法により
    形成後、低周波漸進誘導加熱装置の上下方向に設けた加
    熱コイルで低周波漸進誘導加熱後、水焼入れを行い、そ
    の後、焼き戻しを施して製造される冷間圧延用複合ワー
    クロールの製造方法において、該低周波漸進誘導加熱
    時、上記上段の加熱コイルでの投入電力P1 と下段の加
    熱コイルでの投入電力P2 とをP1 <P2 となるように
    制御して外層における内部温度が外層の表面温度より高
    くなるようにした後、水焼入れを行い、その後、500
    〜600℃での高温焼き戻しを行うことを特徴とする冷
    間圧延用複合ワークロールの製造方法。
  2. 【請求項2】 鋳鋼または鍛鋼からなる芯材の周囲に、
    ハイス系材料からなる外層を連続鋳掛け肉盛り法により
    形成後、低周波漸進誘導加熱装置の上下方向に設けた加
    熱コイルで低周波漸進誘導加熱後、水焼入れを行い、そ
    の後、焼き戻しを施して製造される冷間圧延用複合ワー
    クロールにおいて、該低周波漸進誘導加熱時、上記上段
    の加熱コイルでの投入電力P1 と下段の加熱コイルでの
    投入電力P2 とをP1 <P2 となるように制御して外層
    における内部温度が外層の表面温度より高くなるように
    した後、水焼入れを行い、その後、500〜600℃で
    の高温焼き戻しを行ない、前記外層の表面から前記ワー
    クロールでの使用される限界径である廃棄径までの硬度
    低下幅がショア硬度5以下となることを特徴とする冷間
    圧延用複合ワークロール。
  3. 【請求項3】 外層の化学成分が質量%で、 C :0.9〜1.5%、 Si:0.2〜2.5%、 Mn:0.2〜2.5%、 Cr:4.0〜10.0%、 Mo:2.0〜8.0%、 V :0.5〜5.0%、 含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなることを
    特徴とする請求項2に記載の冷間圧延用複合ワークロー
    ル。
  4. 【請求項4】 外層がさらに質量%で、Ni:0.1〜
    5.0%、W:0.2〜5.0%、Co:0.2〜5.
    0%から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求
    項3記載の冷間圧延用複合ワークロール。
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