JP2003037061A - 半導体薄膜およびその形成方法並びに半導体装置 - Google Patents
半導体薄膜およびその形成方法並びに半導体装置Info
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- JP2003037061A JP2003037061A JP2001222986A JP2001222986A JP2003037061A JP 2003037061 A JP2003037061 A JP 2003037061A JP 2001222986 A JP2001222986 A JP 2001222986A JP 2001222986 A JP2001222986 A JP 2001222986A JP 2003037061 A JP2003037061 A JP 2003037061A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 一つの単結晶領域内の結晶欠陥がほとんど存
在しないような半導体薄膜を提供すると共に、粒界の位
置制御、直線性の改善することができる半導体薄膜の形
成方法を提供することにある。そして、上記半導体薄膜
を備えた半導体装置を提供する。 【解決手段】 非晶質シリコン薄膜にエネルギービーム
の照射により鋸歯状の溶融領域1を形成する。この溶融
領域1の頂部1aの内角θは略90度になっている。そ
して、非晶質シリコン薄膜をエネルギービームで走査し
て、非晶質シリコン薄膜を結晶化させる。このようにし
て得られるシリコン結晶薄膜は、平面状の亜粒界で接す
る矩形の複数の粒から構成される。そして、その複数の
粒の法線方向は全て[001]方向になっている。
在しないような半導体薄膜を提供すると共に、粒界の位
置制御、直線性の改善することができる半導体薄膜の形
成方法を提供することにある。そして、上記半導体薄膜
を備えた半導体装置を提供する。 【解決手段】 非晶質シリコン薄膜にエネルギービーム
の照射により鋸歯状の溶融領域1を形成する。この溶融
領域1の頂部1aの内角θは略90度になっている。そ
して、非晶質シリコン薄膜をエネルギービームで走査し
て、非晶質シリコン薄膜を結晶化させる。このようにし
て得られるシリコン結晶薄膜は、平面状の亜粒界で接す
る矩形の複数の粒から構成される。そして、その複数の
粒の法線方向は全て[001]方向になっている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体薄膜および
その形成方法並びに半導体装置に関する。
その形成方法並びに半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】非晶質基板上あるいは非晶質絶縁膜上
に、高性能ポリシリコン薄膜を形成し、薄膜トランジス
タ(Thin Film Transistor:TFT)を作製する技術
は、液晶ディスプレイヘの応用や、SRAM(スタティ
ック・ランダム・アクセス・メモリ)の負荷デバイス、
IC(集積回路)の配線遅延を防ぐためのリピーター、
3次元ICへの応用等利用範囲が極めて広く、活発に研
究されている。近年技術の進歩と共に、単結晶基板ある
いは、SOI(Silicon On Insulator)基板に匹敵する
高い移動度をねらえる結晶化技術が熱心に研究されてい
る。その結果、いわゆるSOI技術と、高性能多結晶シ
リコン形成技術との境界がやや曖昧になってきている。
に、高性能ポリシリコン薄膜を形成し、薄膜トランジス
タ(Thin Film Transistor:TFT)を作製する技術
は、液晶ディスプレイヘの応用や、SRAM(スタティ
ック・ランダム・アクセス・メモリ)の負荷デバイス、
IC(集積回路)の配線遅延を防ぐためのリピーター、
3次元ICへの応用等利用範囲が極めて広く、活発に研
究されている。近年技術の進歩と共に、単結晶基板ある
いは、SOI(Silicon On Insulator)基板に匹敵する
高い移動度をねらえる結晶化技術が熱心に研究されてい
る。その結果、いわゆるSOI技術と、高性能多結晶シ
リコン形成技術との境界がやや曖昧になってきている。
【0003】SOI技術としては、SOS(Silicon On
Sapphire)に始まり、SIMOX(Separation by Imp
lanted Oxygen)、及びウエハー貼り合わせ技術があ
り、30年以上の研究開発の歴史がある。これに対し、
レーザ光や電子ビームあるいはヒーター加熱により、局
所的にシリコン薄膜を溶融させた後、結晶化させる手法
(以下、これらを総称して“局所溶融結晶化法”と言
う)も広く研究されているが、一般的には、SIMO
X、貼り合わせ技術に比べて、結晶の完全性、均一性は
劣る。局所溶融結晶化法のなかでは、ZMR(Zone Mel
ting Recrystallization)法と呼ばれる手法が、最も欠
陥密度が低く、均一性も高いため、一部実用化されてい
る。しかし、基本的にZMR法は、基板全体が高温にさ
らされるため、石英等の高価な基板が要求され、大面積
基板が必要な応用には適用できない。これに対し、連続
発振レーザや電子ビームを用いる手法は、ヒーター加熱
と比較して、溶融時間が短いため、基板の温度上昇は軽
減されるが、それでもガラス基板にはダメージがある。
これに対して、パルスレーザを用いて結晶化する手法
は、溶融時間が極めて短時間のため、局所的に溶融され
た領域の温度が基板には伝わらず、安価なガラス基板が
利用できるから、大面積エレクトロニクスヘの応用には
最も適している。特に多結晶シリコン液晶ディスプレイ
の付加価値を高め、さまざまなシステムをパネル上に搭
載するための手法として、より高性能の多結晶シリコン
をガラス基板上に形成する技術が強く求められており、
エキシマレーザ等のパルスレーザを用いた手法が熱心に
研究されている。いずれにしても、基板全体が高温に曝
されるか、断熱的な加熱により比較的低温に保たれるか
の区別はあるとしても、レーザ、電子ビーム、ヒーター
等のエネルギービームを照射して溶融、結晶化させる手
法は、局所溶融結晶化法として、いくつかの共通点を持
っている。
Sapphire)に始まり、SIMOX(Separation by Imp
lanted Oxygen)、及びウエハー貼り合わせ技術があ
り、30年以上の研究開発の歴史がある。これに対し、
レーザ光や電子ビームあるいはヒーター加熱により、局
所的にシリコン薄膜を溶融させた後、結晶化させる手法
(以下、これらを総称して“局所溶融結晶化法”と言
う)も広く研究されているが、一般的には、SIMO
X、貼り合わせ技術に比べて、結晶の完全性、均一性は
劣る。局所溶融結晶化法のなかでは、ZMR(Zone Mel
ting Recrystallization)法と呼ばれる手法が、最も欠
陥密度が低く、均一性も高いため、一部実用化されてい
る。しかし、基本的にZMR法は、基板全体が高温にさ
らされるため、石英等の高価な基板が要求され、大面積
基板が必要な応用には適用できない。これに対し、連続
発振レーザや電子ビームを用いる手法は、ヒーター加熱
と比較して、溶融時間が短いため、基板の温度上昇は軽
減されるが、それでもガラス基板にはダメージがある。
これに対して、パルスレーザを用いて結晶化する手法
は、溶融時間が極めて短時間のため、局所的に溶融され
た領域の温度が基板には伝わらず、安価なガラス基板が
利用できるから、大面積エレクトロニクスヘの応用には
最も適している。特に多結晶シリコン液晶ディスプレイ
の付加価値を高め、さまざまなシステムをパネル上に搭
載するための手法として、より高性能の多結晶シリコン
をガラス基板上に形成する技術が強く求められており、
エキシマレーザ等のパルスレーザを用いた手法が熱心に
研究されている。いずれにしても、基板全体が高温に曝
されるか、断熱的な加熱により比較的低温に保たれるか
の区別はあるとしても、レーザ、電子ビーム、ヒーター
等のエネルギービームを照射して溶融、結晶化させる手
法は、局所溶融結晶化法として、いくつかの共通点を持
っている。
【0004】従来より、局所溶融結晶化法では、スタン
フォード大学のT.J.Stultzらによって、図1
1(a),(b),…に示すように、溶融領域101,
111,121,131のトレーリングエッジ(traili
ng edge)102,112,122,132の形状が、
形成される結晶粒の形状を決定する重要な要因であるこ
とが指摘されている。すなわち、図11(b),(d)
のトレーリングエッジ112,132のように、溶融領
域(走査方向)側に窪んだ形状のトレーリングエッジで
あると、結晶成長がビーム幅の中央部から外側へ向かっ
て起こり、ランダムな核発生が抑制されるため、大きな
単結晶領域が形成される。以下、上記トレーリングエッ
ジ112,132のように溶融領域側に窪んだ形状のト
レーリングエッジを“凹トレーリングエッジ(concave
trailing edge)”と言う。
フォード大学のT.J.Stultzらによって、図1
1(a),(b),…に示すように、溶融領域101,
111,121,131のトレーリングエッジ(traili
ng edge)102,112,122,132の形状が、
形成される結晶粒の形状を決定する重要な要因であるこ
とが指摘されている。すなわち、図11(b),(d)
のトレーリングエッジ112,132のように、溶融領
域(走査方向)側に窪んだ形状のトレーリングエッジで
あると、結晶成長がビーム幅の中央部から外側へ向かっ
て起こり、ランダムな核発生が抑制されるため、大きな
単結晶領域が形成される。以下、上記トレーリングエッ
ジ112,132のように溶融領域側に窪んだ形状のト
レーリングエッジを“凹トレーリングエッジ(concave
trailing edge)”と言う。
【0005】その後、1980年代にはいり、日本の通
産省の後援のもとにスタートした3次元回路素子の研究
開発において、活性層の形成手法として活発に研究さ
れ、連続発振レーザや電子ビームを用いた結晶化法で
は、この認識に基づいて凹トレーリングエッジを形成す
る数多くの手法が開発された。例えば、一本のビームを
光学的な手法で2本に分割し、中央部が周囲より強度分
布を形成する手法が開発された。また、特開昭58−3
9012号公報では、図12に示すように、くの字型ビ
ーム200を用いた手法が提案されている。この時代に
用いられたレーザは、安定性の観点から主として連続発
振のものであって、局所的な溶融時間がmsecオーダ
ーに及んでいたため、ガラスのような低歪点の基板に使
用できなかった。また、ZMR法においては、ヒーター
による加熱領域は、細長い矩形状であるが、局所的に
は、固液界面のファセット形成により、くの字型の凹ト
レーリングエッジが形成され、この範囲内で粒界のない
結晶が形成されている。
産省の後援のもとにスタートした3次元回路素子の研究
開発において、活性層の形成手法として活発に研究さ
れ、連続発振レーザや電子ビームを用いた結晶化法で
は、この認識に基づいて凹トレーリングエッジを形成す
る数多くの手法が開発された。例えば、一本のビームを
光学的な手法で2本に分割し、中央部が周囲より強度分
布を形成する手法が開発された。また、特開昭58−3
9012号公報では、図12に示すように、くの字型ビ
ーム200を用いた手法が提案されている。この時代に
用いられたレーザは、安定性の観点から主として連続発
振のものであって、局所的な溶融時間がmsecオーダ
ーに及んでいたため、ガラスのような低歪点の基板に使
用できなかった。また、ZMR法においては、ヒーター
による加熱領域は、細長い矩形状であるが、局所的に
は、固液界面のファセット形成により、くの字型の凹ト
レーリングエッジが形成され、この範囲内で粒界のない
結晶が形成されている。
【0006】これらの研究に対し、液晶ディスプレイヘ
の応用を考えた多結晶形成ではガラス基板の利用が前提
となり、連続発振のレーザのかわりにパルス発振のエキ
シマレーザを用いた手法が鮫島らにより始められた。連
続発振レーザを用いた場合の一定箇所での溶融時間はm
secオーダーにも及んでいたが、パルスレーザを用い
た場合の一定箇所での溶融時間はたかだが100nse
cオーダーであるので、パルスレーザではガラス基板に
ダメージが生じない。さらに、その約10年後には、パ
ルスレーザを用いた手法は実際に量産技術として実現す
ることとなる。しかし、そこでは凹トレーリングエッジ
の考え方は取り入れておらず、レーザによる溶融結晶化
は粒径の増大の目的で行なわれている。この場合、粒径
は量産レベルで0.3〜0.5μm、研究レベルで、1
〜2μm程度であり、n‐chTFTの移動度で、量産
レベルで〜100cm2/vs、研究レベルで200〜
300cm2/vsの値が得られている。
の応用を考えた多結晶形成ではガラス基板の利用が前提
となり、連続発振のレーザのかわりにパルス発振のエキ
シマレーザを用いた手法が鮫島らにより始められた。連
続発振レーザを用いた場合の一定箇所での溶融時間はm
secオーダーにも及んでいたが、パルスレーザを用い
た場合の一定箇所での溶融時間はたかだが100nse
cオーダーであるので、パルスレーザではガラス基板に
ダメージが生じない。さらに、その約10年後には、パ
ルスレーザを用いた手法は実際に量産技術として実現す
ることとなる。しかし、そこでは凹トレーリングエッジ
の考え方は取り入れておらず、レーザによる溶融結晶化
は粒径の増大の目的で行なわれている。この場合、粒径
は量産レベルで0.3〜0.5μm、研究レベルで、1
〜2μm程度であり、n‐chTFTの移動度で、量産
レベルで〜100cm2/vs、研究レベルで200〜
300cm2/vsの値が得られている。
【0007】そして、パルス発振のエキシマレーザを用
いた手法に、1980年代に開発された単結晶領域形成
手法をより積極的に取り組んでいこうとするアプローチ
が、1990年代に活発になってきた。考え方として
は、パルスレーザを用いながら、連続発振レーザの場合
と同じように、膜厚全体を溶融させるレーザパワーを投
入し、ラテラル成長を制御することにより、結晶粒の拡
大を図ろうとするものである。東京工業大学の松村ら
は、位相シフトマスクを用いてレーザの強度分布を加工
し、凹トレーリングエッジの原理に従って単結晶領域を
形成すると共に、基板への熱伝導を制御して、単結晶領
域の拡大を図っている。また、コロンビア大学のJ.
S.Imらは、金属マスクで整形したパルスレーザによ
る完全溶融照射を繰り返すことにより、一方向に細長く
成長した結晶粒を得て、結晶粒の長手方向にTFTのチ
ャネルを配置した場合、300〜500cm2/vsと
極めて高い特性が得られることを見出している(ただし
これと直交する方向では、特性は1/3程度になる)。
彼らは、この手法をSLS(Sequential Lateral Solid
ification)法と呼んでいる。このSLS法は、基本的
には、既存のパルスレーザによる結晶化とラテラル成長
というモードを組み合わせたものといえるが、パルスレ
ーザの1ショットによるラテラル成長の2〜3倍程度の
非常に細い状態にレーザ光を絞った所に新規性があるも
のと考えられる。さらに、J.S.Imらは、シェブロ
ン形のアパーチャ(chevron-shaped aperture)を用い
たり、鋸歯形状のマスクを用いてビームを整形し、ラテ
ラル成長と共に、良く知られた凹トレーリングエッジの
考え方を取り入れて、この領域を単結晶化する方法を見
出している。しかし、鋸歯ビームを用いた実験結果や、
具体的な鋸歯ビームあるいは、鋸歯形状溶融領域の数値
は規定されていない。
いた手法に、1980年代に開発された単結晶領域形成
手法をより積極的に取り組んでいこうとするアプローチ
が、1990年代に活発になってきた。考え方として
は、パルスレーザを用いながら、連続発振レーザの場合
と同じように、膜厚全体を溶融させるレーザパワーを投
入し、ラテラル成長を制御することにより、結晶粒の拡
大を図ろうとするものである。東京工業大学の松村ら
は、位相シフトマスクを用いてレーザの強度分布を加工
し、凹トレーリングエッジの原理に従って単結晶領域を
形成すると共に、基板への熱伝導を制御して、単結晶領
域の拡大を図っている。また、コロンビア大学のJ.
S.Imらは、金属マスクで整形したパルスレーザによ
る完全溶融照射を繰り返すことにより、一方向に細長く
成長した結晶粒を得て、結晶粒の長手方向にTFTのチ
ャネルを配置した場合、300〜500cm2/vsと
極めて高い特性が得られることを見出している(ただし
これと直交する方向では、特性は1/3程度になる)。
彼らは、この手法をSLS(Sequential Lateral Solid
ification)法と呼んでいる。このSLS法は、基本的
には、既存のパルスレーザによる結晶化とラテラル成長
というモードを組み合わせたものといえるが、パルスレ
ーザの1ショットによるラテラル成長の2〜3倍程度の
非常に細い状態にレーザ光を絞った所に新規性があるも
のと考えられる。さらに、J.S.Imらは、シェブロ
ン形のアパーチャ(chevron-shaped aperture)を用い
たり、鋸歯形状のマスクを用いてビームを整形し、ラテ
ラル成長と共に、良く知られた凹トレーリングエッジの
考え方を取り入れて、この領域を単結晶化する方法を見
出している。しかし、鋸歯ビームを用いた実験結果や、
具体的な鋸歯ビームあるいは、鋸歯形状溶融領域の数値
は規定されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、ガ
ラス基板上により多くの回路素子を集積しようとするよ
うな応用において、より高性能の多結晶シリコンを形成
しようとした場合、パルスレーザを用いて、ラテラル成
長を制御することにより、単結晶領域を形成するアプロ
ーチが極めて有望と考えられる。しかし、現存する手法
では、粒界位置の制御性が十分でないことや、結晶方位
を制御する方法が無い事が問題となっている。
ラス基板上により多くの回路素子を集積しようとするよ
うな応用において、より高性能の多結晶シリコンを形成
しようとした場合、パルスレーザを用いて、ラテラル成
長を制御することにより、単結晶領域を形成するアプロ
ーチが極めて有望と考えられる。しかし、現存する手法
では、粒界位置の制御性が十分でないことや、結晶方位
を制御する方法が無い事が問題となっている。
【0009】以下、特に、J.S.Imらが提案してい
るSLS法を例にとり、問題点を詳細に述べる。
るSLS法を例にとり、問題点を詳細に述べる。
【0010】通常のラインビームを用いたSLS法で
は、図13に示すように、ラインビームにより形成した
ライン形状の溶融領域301を矢印方向に走査して、結
晶粒302を得ている。この場合、粒界がレーザ走査方
向に概ね平行に形成されるが、厳密には平行ではなく、
10度前後の角度を持っていることが多く、平面状から
かなり乱れていることが多い。このようなSLS法を用
いてTFTを作製すると、場所により、TFT特性にば
らつきが生じてしまう。そのため、まずその粒界の直線
性を高め、粒界の位置を制御することが望まれる。その
ためには、適当な大きさの凹トレーリングエッジが連続
した形の固液界面を形成するのが有効であることが、1
980年代に培われた公知の事実から明らかである。ま
た、J.S.Imらの特許出願にも、図14に示すよう
に、鋸歯形状のマスクを用いて鋸歯形状の溶融領域を形
成して結晶粒402を得る手法が記載されているが、そ
の特許出願には、具体的な鋸歯ビームあるいは、鋸歯状
溶融領域の数値は規定されていない。さらに、J.S.
Imらの文献(J.S.Im,R.S.Sposili and M.A.Crowder,A
ppl.Phys.Lett.,70,3434(1997),"Single-crystal Si fi
lms for thin -film transistor devices")には、単独
の凹トレーリングエッジを形成して、単結晶領域を形成
したと主張されているが、文献内のTEM(透過型電子
顕微鏡)写真から、実際には粒内に多数の亜粒界が発生
しており、その粒に対して適切な値が選定されていない
ことがわかる。
は、図13に示すように、ラインビームにより形成した
ライン形状の溶融領域301を矢印方向に走査して、結
晶粒302を得ている。この場合、粒界がレーザ走査方
向に概ね平行に形成されるが、厳密には平行ではなく、
10度前後の角度を持っていることが多く、平面状から
かなり乱れていることが多い。このようなSLS法を用
いてTFTを作製すると、場所により、TFT特性にば
らつきが生じてしまう。そのため、まずその粒界の直線
性を高め、粒界の位置を制御することが望まれる。その
ためには、適当な大きさの凹トレーリングエッジが連続
した形の固液界面を形成するのが有効であることが、1
980年代に培われた公知の事実から明らかである。ま
た、J.S.Imらの特許出願にも、図14に示すよう
に、鋸歯形状のマスクを用いて鋸歯形状の溶融領域を形
成して結晶粒402を得る手法が記載されているが、そ
の特許出願には、具体的な鋸歯ビームあるいは、鋸歯状
溶融領域の数値は規定されていない。さらに、J.S.
Imらの文献(J.S.Im,R.S.Sposili and M.A.Crowder,A
ppl.Phys.Lett.,70,3434(1997),"Single-crystal Si fi
lms for thin -film transistor devices")には、単独
の凹トレーリングエッジを形成して、単結晶領域を形成
したと主張されているが、文献内のTEM(透過型電子
顕微鏡)写真から、実際には粒内に多数の亜粒界が発生
しており、その粒に対して適切な値が選定されていない
ことがわかる。
【0011】そこで、本発明の目的は、粒内(一つの単
結晶領域内)の結晶欠陥がほとんど存在しないような半
導体薄膜を提供すると共に、粒界の位置制御、直線性の
改善することができる半導体薄膜の形成方法を提供する
ことにある。そして、上記半導体薄膜を備えた半導体装
置を提供することにある。
結晶領域内)の結晶欠陥がほとんど存在しないような半
導体薄膜を提供すると共に、粒界の位置制御、直線性の
改善することができる半導体薄膜の形成方法を提供する
ことにある。そして、上記半導体薄膜を備えた半導体装
置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】以下、本発明者が行った
考察(1),(2),(3)について述べる。 (1)TFT特性の方向依存性 SLS法でシリコン薄膜を形成し、図15(a)に示す
ように、そのシリコン薄膜においてTFTを形成するた
めの素子形成領域515Aのチャネル部を亜粒界503
に平行に形成する場合と、図15(b)に示すように、
TFTを形成するための素子形成領域515Bのチャネ
ル部を亜粒界503に直角に形成する場合とでは、TF
T特性が大きく異なることが明らかになっている。例え
ば、粒界に平行にチャネルを形成したn―chのTFT
で最大移動度が450cm2/vsであるようなプロセ
スで、チャネル部を粒界に直角に形成すると、最大移動
度が150cm2/vs以下の値となることが知られて
いる。その理由として、一つには、平行なチャネルで
は、粒界を横切る確率が、直角の場合に比べて低いた
め、キャリアの散乱が起こりにくいことがある。
考察(1),(2),(3)について述べる。 (1)TFT特性の方向依存性 SLS法でシリコン薄膜を形成し、図15(a)に示す
ように、そのシリコン薄膜においてTFTを形成するた
めの素子形成領域515Aのチャネル部を亜粒界503
に平行に形成する場合と、図15(b)に示すように、
TFTを形成するための素子形成領域515Bのチャネ
ル部を亜粒界503に直角に形成する場合とでは、TF
T特性が大きく異なることが明らかになっている。例え
ば、粒界に平行にチャネルを形成したn―chのTFT
で最大移動度が450cm2/vsであるようなプロセ
スで、チャネル部を粒界に直角に形成すると、最大移動
度が150cm2/vs以下の値となることが知られて
いる。その理由として、一つには、平行なチャネルで
は、粒界を横切る確率が、直角の場合に比べて低いた
め、キャリアの散乱が起こりにくいことがある。
【0013】図15(a),(b)では、簡単化のた
め、亜粒界を完全な平面として図示しているが、実際に
は図4に示したように、亜粒界が完全に互いに平行とい
うことはあり得ず、傾いている。そのため、平行な配
置、つまり図15(a)の状態でも亜粒界によるキャリ
アの散乱は起きているはずであり、亜粒界の配置の仕方
だけでは、この大きな特性差は説明しにくい。そこで本
発明者がSLS薄膜の結晶方位を詳細に解析したとこ
ろ、以下のような事実が発見された。すなわち、図16
に示すように、粒界に平行な方向(X方向)は、ほとん
どの粒が、<100>に揃っているのに比べて、粒界に
直角な方向(Y方向)では、<100>の晶帯軸上の方
位がランダムに揺らいでいることが判明した。これによ
り、粒界に対して平行方向では極めて電子の移動度が高
くなり、粒界に対して直角方向では電子の移動度が低く
なることの大きな要因となっていることが判明した。
め、亜粒界を完全な平面として図示しているが、実際に
は図4に示したように、亜粒界が完全に互いに平行とい
うことはあり得ず、傾いている。そのため、平行な配
置、つまり図15(a)の状態でも亜粒界によるキャリ
アの散乱は起きているはずであり、亜粒界の配置の仕方
だけでは、この大きな特性差は説明しにくい。そこで本
発明者がSLS薄膜の結晶方位を詳細に解析したとこ
ろ、以下のような事実が発見された。すなわち、図16
に示すように、粒界に平行な方向(X方向)は、ほとん
どの粒が、<100>に揃っているのに比べて、粒界に
直角な方向(Y方向)では、<100>の晶帯軸上の方
位がランダムに揺らいでいることが判明した。これによ
り、粒界に対して平行方向では極めて電子の移動度が高
くなり、粒界に対して直角方向では電子の移動度が低く
なることの大きな要因となっていることが判明した。
【0014】すなわち、上記SLS法では、結晶薄膜の
1軸が極めて高く配向しているため、この方向におい
て、一般的なレーザ結晶化薄膜に比べて、極めて高い特
性のTFTが得られるが、それに直角な方向ではこのよ
うな配向が実現されていないため、高い特性が得られな
いことが判明した。シリコン基板を用いたICの回路設
計では、トランジスタのチャネルの方向(ソース領域か
らドレイン領域に向かう方向)は、一方向とこれに直角
な方向との両方を用いている。これは、トランジスタの
占める領域の面積をなるべく小さくするためである。
1軸が極めて高く配向しているため、この方向におい
て、一般的なレーザ結晶化薄膜に比べて、極めて高い特
性のTFTが得られるが、それに直角な方向ではこのよ
うな配向が実現されていないため、高い特性が得られな
いことが判明した。シリコン基板を用いたICの回路設
計では、トランジスタのチャネルの方向(ソース領域か
らドレイン領域に向かう方向)は、一方向とこれに直角
な方向との両方を用いている。これは、トランジスタの
占める領域の面積をなるべく小さくするためである。
【0015】一般にMOSトランジスタの作製において
は、シリコンウエハの表面は(001)面であり、チャ
ネルは、[110]あるいは[−110]方向に配置さ
れる。この2方向は、立方晶構造の結晶においては等価
な方向であるため、この2方向で特性は全く変わらな
い。従って、SLS薄膜では、方向により特性が大きく
違うことは、回路設計上の大きな障害となる。一つの回
避策として、素子のレイアウトはこの2方向に自由に行
うが、素子単位に、結晶粒を成長させる方向を変えるよ
うな結晶化の方法も考えられている。しかしこのような
手法では、試料ステージを走査するにしろ、マスクを含
む光学系の走査をするにせよ、直交する2方向の走査が
混在するため、結晶化装置としては、極めて複雑な対応
を余儀なくされる。 (2)粒内結晶欠陥 SLS法に限らず、局所溶融結晶化法に共通に見られる
現象であるが、結晶粒内の結晶欠陥の種類、密度がその
結晶粒の結晶方位に密接に関連していることが多いこと
が、本発明者らの解析により判明している。局所溶融結
晶化法によって形成されたシリコン結晶薄膜中では、転
位積層欠陥、双晶等が頻繁に観察される結晶欠陥である
が、例えば薄膜表面に垂直ではない{111}面上で双
晶が発生すると、結晶薄膜の表面方位も突然変化し、そ
れに伴い粒内の欠陥密度も突然変化することは、よく観
察される。このことは、結晶欠陥の発生が、照射するレ
ーザの揺らぎ等で発生するのみならず、形成される結晶
粒の結晶方位そのものに依存していることを示唆してい
る。これは、局所溶融結晶化法では、一般的に極めて大
きな温度勾配のため、形成された直後の結晶には、大き
なストレスがかかり、加熱に用いられたエネルギービー
ムの揺らぎがない状態においても、結晶方位により、特
定のすべり面に大きな分解せん断応力がかかり、結晶欠
陥が発生するものと考えられる。実験的には、あらゆる
方位の中で{100}面が最も結晶欠陥の発生が少ない
ことが確認されており、高品質な膜を形成する観点から
は、できるだけ{100}面に配向した膜の形成が望ま
れる。現在までに、シードを用いずに非晶質絶縁膜基板
上に、{100}面に配向したシリコン薄膜を形成する
ことは、ZMR法という高温を用いる手法によってのみ
実現されており、特にガラス基板の使用が可能な、低温
プロセスでは、実現されていない。 (3)ユニバーサルカーブ(Universal Curve) 結晶化手法に拘わらず、シリコンそのものが持つ結晶構
造の異方性から、薄膜の表面が{100}面であること
が、特に高い電界効果移動度を得るためには必要である
ことが指摘されている(N.Sasaki,Y.Mishima,A.Hara an
d M.Takei,"Poly-Si TFTs to realize a system panel
with a clock frequency above 100MHz",IDW'00,p223(2
00)参照)。
は、シリコンウエハの表面は(001)面であり、チャ
ネルは、[110]あるいは[−110]方向に配置さ
れる。この2方向は、立方晶構造の結晶においては等価
な方向であるため、この2方向で特性は全く変わらな
い。従って、SLS薄膜では、方向により特性が大きく
違うことは、回路設計上の大きな障害となる。一つの回
避策として、素子のレイアウトはこの2方向に自由に行
うが、素子単位に、結晶粒を成長させる方向を変えるよ
うな結晶化の方法も考えられている。しかしこのような
手法では、試料ステージを走査するにしろ、マスクを含
む光学系の走査をするにせよ、直交する2方向の走査が
混在するため、結晶化装置としては、極めて複雑な対応
を余儀なくされる。 (2)粒内結晶欠陥 SLS法に限らず、局所溶融結晶化法に共通に見られる
現象であるが、結晶粒内の結晶欠陥の種類、密度がその
結晶粒の結晶方位に密接に関連していることが多いこと
が、本発明者らの解析により判明している。局所溶融結
晶化法によって形成されたシリコン結晶薄膜中では、転
位積層欠陥、双晶等が頻繁に観察される結晶欠陥である
が、例えば薄膜表面に垂直ではない{111}面上で双
晶が発生すると、結晶薄膜の表面方位も突然変化し、そ
れに伴い粒内の欠陥密度も突然変化することは、よく観
察される。このことは、結晶欠陥の発生が、照射するレ
ーザの揺らぎ等で発生するのみならず、形成される結晶
粒の結晶方位そのものに依存していることを示唆してい
る。これは、局所溶融結晶化法では、一般的に極めて大
きな温度勾配のため、形成された直後の結晶には、大き
なストレスがかかり、加熱に用いられたエネルギービー
ムの揺らぎがない状態においても、結晶方位により、特
定のすべり面に大きな分解せん断応力がかかり、結晶欠
陥が発生するものと考えられる。実験的には、あらゆる
方位の中で{100}面が最も結晶欠陥の発生が少ない
ことが確認されており、高品質な膜を形成する観点から
は、できるだけ{100}面に配向した膜の形成が望ま
れる。現在までに、シードを用いずに非晶質絶縁膜基板
上に、{100}面に配向したシリコン薄膜を形成する
ことは、ZMR法という高温を用いる手法によってのみ
実現されており、特にガラス基板の使用が可能な、低温
プロセスでは、実現されていない。 (3)ユニバーサルカーブ(Universal Curve) 結晶化手法に拘わらず、シリコンそのものが持つ結晶構
造の異方性から、薄膜の表面が{100}面であること
が、特に高い電界効果移動度を得るためには必要である
ことが指摘されている(N.Sasaki,Y.Mishima,A.Hara an
d M.Takei,"Poly-Si TFTs to realize a system panel
with a clock frequency above 100MHz",IDW'00,p223(2
00)参照)。
【0016】以上のことを鑑みて、本発明者は、上記課
題を解決するための本発明を創作した。
題を解決するための本発明を創作した。
【0017】すなわち、上記課題を解決するため、本発
明の半導体薄膜は、平面状の亜粒界で接する矩形の複数
の粒から構成され、その複数の粒の法線方向は全て[0
01]方向になるように結晶化されていることを特徴と
している。
明の半導体薄膜は、平面状の亜粒界で接する矩形の複数
の粒から構成され、その複数の粒の法線方向は全て[0
01]方向になるように結晶化されていることを特徴と
している。
【0018】上記構成の半導体薄膜は、上記複数の粒の
法線方向が全て[001]方向になるように結晶化され
ているから、その複数の粒内では結晶欠陥がほとんど存
在しない。
法線方向が全て[001]方向になるように結晶化され
ているから、その複数の粒内では結晶欠陥がほとんど存
在しない。
【0019】本明細書において、亜粒界とは、任意の結
晶方位を持つ2つの結晶粒の間で、共通の結晶軸を1つ
選択することが可能で、この2つの結晶粒の間のミスオ
リエンテーションを、この共通の結晶軸のまわりを回転
させて求められるものである。今、2つの結晶粒が粒界
で接しており、そこでのミスオリエンテーションが15
度以下のものを亜粒界と呼び、それより大きいいわゆる
大傾角粒界と区別する。粒界ではキヤリアの散乱がおこ
り、移動度等の特性が劣化するが、亜粒界ではその効果
が小さいことが確認されている。
晶方位を持つ2つの結晶粒の間で、共通の結晶軸を1つ
選択することが可能で、この2つの結晶粒の間のミスオ
リエンテーションを、この共通の結晶軸のまわりを回転
させて求められるものである。今、2つの結晶粒が粒界
で接しており、そこでのミスオリエンテーションが15
度以下のものを亜粒界と呼び、それより大きいいわゆる
大傾角粒界と区別する。粒界ではキヤリアの散乱がおこ
り、移動度等の特性が劣化するが、亜粒界ではその効果
が小さいことが確認されている。
【0020】一実施形態の半導体薄膜は、上記亜粒界が
[110]方向に平行であり、膜厚が35nmより厚く
なっている。
[110]方向に平行であり、膜厚が35nmより厚く
なっている。
【0021】一実施形態の半導体薄膜は、上記亜粒界が
[100]方向に平行であり、膜厚が35nm以下にな
っている。
[100]方向に平行であり、膜厚が35nm以下にな
っている。
【0022】一実施形態の半導体薄膜は、上記亜粒界の
間隔が15μm以下である。
間隔が15μm以下である。
【0023】上記実施形態の半導体薄膜によれば、例え
ば転位等の結晶欠陥が結晶粒内に形成されるのを防ぐ観
点上、上記亜粒界の間隔が15μm以下が望ましい。
ば転位等の結晶欠陥が結晶粒内に形成されるのを防ぐ観
点上、上記亜粒界の間隔が15μm以下が望ましい。
【0024】本発明者は、上記亜粒界の間隔が15μm
を越える場合、ストレスにより、転位が発生しはじめ結
晶粒の完全性が劣化していくことを実験により確認して
いる。
を越える場合、ストレスにより、転位が発生しはじめ結
晶粒の完全性が劣化していくことを実験により確認して
いる。
【0025】また、上記課題を解決するため、本発明の
半導体薄膜の形成方法は、非晶質半導体薄膜をエネルギ
ービームで走査して、上記非晶質半導体薄膜を結晶化す
る半導体薄膜の形成方法において、上記エネルギービー
ムの照射により、上記非晶質半導体薄膜に鋸歯形状の溶
融領域を形成し、上記溶融領域の頂部の内角が略90度
である。
半導体薄膜の形成方法は、非晶質半導体薄膜をエネルギ
ービームで走査して、上記非晶質半導体薄膜を結晶化す
る半導体薄膜の形成方法において、上記エネルギービー
ムの照射により、上記非晶質半導体薄膜に鋸歯形状の溶
融領域を形成し、上記溶融領域の頂部の内角が略90度
である。
【0026】上記構成の半導体薄膜の形成方法によれ
ば、上記溶融領域の頂部の内角は、粒界の位置制御と共
に、後に述べる結晶方位制御の観点から、略90度に設
定する。
ば、上記溶融領域の頂部の内角は、粒界の位置制御と共
に、後に述べる結晶方位制御の観点から、略90度に設
定する。
【0027】上記亜粒界を所定の位置にかつ平面状に規
定するためだけなら、溶融領域の頂部の内角を30〜1
20度に設定してもよいが、その溶融領域の周辺部で転
位等の欠陥が発生しやすくなってしまう。
定するためだけなら、溶融領域の頂部の内角を30〜1
20度に設定してもよいが、その溶融領域の周辺部で転
位等の欠陥が発生しやすくなってしまう。
【0028】また、上記溶融領域の頂部の内角が略90
度であるから、結晶粒の結晶方位は全て同一になり、結
晶方位を完全に制御することができる。
度であるから、結晶粒の結晶方位は全て同一になり、結
晶方位を完全に制御することができる。
【0029】また、上記溶融領域における頂部と頂部と
の間隔は、間に形成される結晶粒内に、転位が集積した
ものが形成されない範囲として、15μm以下が望まし
い。上記間隔が15μmを越えると、ストレスにより、
転位が発生しはじめ結晶粒の完全性が劣化していくこと
が、本発明者らの実験により判明している。
の間隔は、間に形成される結晶粒内に、転位が集積した
ものが形成されない範囲として、15μm以下が望まし
い。上記間隔が15μmを越えると、ストレスにより、
転位が発生しはじめ結晶粒の完全性が劣化していくこと
が、本発明者らの実験により判明している。
【0030】また、上記溶融領域の頂部と頂部の間に位
置する谷部では依然として粒界が発生するが、隣り合う
結晶粒の結晶方位のズレは10゜以下の小さな値となる
ため、これらの粒界はすべて亜粒界となる。従って、粒
界は存在するものの、TFTの電気特性に対する悪影響
は、一般の粒界(大傾角粒界)に比べて小さいことが判明
している。
置する谷部では依然として粒界が発生するが、隣り合う
結晶粒の結晶方位のズレは10゜以下の小さな値となる
ため、これらの粒界はすべて亜粒界となる。従って、粒
界は存在するものの、TFTの電気特性に対する悪影響
は、一般の粒界(大傾角粒界)に比べて小さいことが判明
している。
【0031】また、上記構成の半導体薄膜の形成方法を
用いて、例えば非晶質絶縁膜基板上に35nmより厚い
結晶薄膜を形成した場合、その結晶薄膜の表面がほぼ
{100}に揃っており、幅が最大15μmにも及ぶ細
長い複数の単結晶領域が(長さには、原理的な制限は無
い)、<110>方向(膜厚が35nm以下の場合は、
<100>方向)に直線的に走る亜粒界を介して接す
る。この場合、上記亜粒界に平行な方向と、上記亜粒界
に直交する方向とは、共に<110>(膜厚が35nm
より薄い場合は、<100>方向)に揃っている。
用いて、例えば非晶質絶縁膜基板上に35nmより厚い
結晶薄膜を形成した場合、その結晶薄膜の表面がほぼ
{100}に揃っており、幅が最大15μmにも及ぶ細
長い複数の単結晶領域が(長さには、原理的な制限は無
い)、<110>方向(膜厚が35nm以下の場合は、
<100>方向)に直線的に走る亜粒界を介して接す
る。この場合、上記亜粒界に平行な方向と、上記亜粒界
に直交する方向とは、共に<110>(膜厚が35nm
より薄い場合は、<100>方向)に揃っている。
【0032】また、上記結晶薄膜を用いてTFTを形成
する場合、亜粒界はTFT特性にほとんど影響を及ぼさ
ないことから、TFTのチャネル方向(ソースからゲー
トへ向かう方向)を、亜粒界と平行あるいは直角にして
も、極めて高いTFT特性が得られ、方向の依存性が解
消される。通常の回路設計では、上記TFTのチャネル
部は、互いに直行する2つの方向に配置されるため、従
来のSLS法が持っていた、1方向のみTFT特性が高
くなるという制限を取り除くことができるという大きな
利点が得られる。
する場合、亜粒界はTFT特性にほとんど影響を及ぼさ
ないことから、TFTのチャネル方向(ソースからゲー
トへ向かう方向)を、亜粒界と平行あるいは直角にして
も、極めて高いTFT特性が得られ、方向の依存性が解
消される。通常の回路設計では、上記TFTのチャネル
部は、互いに直行する2つの方向に配置されるため、従
来のSLS法が持っていた、1方向のみTFT特性が高
くなるという制限を取り除くことができるという大きな
利点が得られる。
【0033】また、レーザ光等のエネルギービームの走
査方法も、単純な1方向のシフトの繰り返しでよく、簡
単に実行できる。もちろん、必要があれば、ブロックご
とに走査方向を、互いに直交する方向へ変更することは
自由にできる。
査方法も、単純な1方向のシフトの繰り返しでよく、簡
単に実行できる。もちろん、必要があれば、ブロックご
とに走査方向を、互いに直交する方向へ変更することは
自由にできる。
【0034】また、上記鋸歯状の溶融領域の頂部の内角
が略90度であることより、非晶質半導体薄膜を結晶化
させた結晶薄膜の表面を{100}面に規定することが
できる。このように、上記結晶薄膜の表面を{100}
面に制御できることは、結晶粒内の結晶欠陥の発生を防
ぐのに著しい効果があることが、本発明者らの解析で判
明している。{100}面は、あらゆる方位の中で唯
一、4種類の{111}面が、薄膜表面に対して等価な
配置となっており、ストレスが均等に分散される。従っ
て、転位、積層欠陥、双晶等の結晶欠陥が少ない高品質
の結晶粒の形成が可能となる。
が略90度であることより、非晶質半導体薄膜を結晶化
させた結晶薄膜の表面を{100}面に規定することが
できる。このように、上記結晶薄膜の表面を{100}
面に制御できることは、結晶粒内の結晶欠陥の発生を防
ぐのに著しい効果があることが、本発明者らの解析で判
明している。{100}面は、あらゆる方位の中で唯
一、4種類の{111}面が、薄膜表面に対して等価な
配置となっており、ストレスが均等に分散される。従っ
て、転位、積層欠陥、双晶等の結晶欠陥が少ない高品質
の結晶粒の形成が可能となる。
【0035】また、上記結晶薄膜の表面が{111}や
{110}に揃うよりも、{100}面に揃う方が、よ
り大きな電界効果移動度が得られる。
{110}に揃うよりも、{100}面に揃う方が、よ
り大きな電界効果移動度が得られる。
【0036】また、{100}面が表面である結晶薄膜
は、より多くの機能を例えばガラス基板上に集積しよう
場合や、高いTFT特性が要求される場合の利用に適し
ている。
は、より多くの機能を例えばガラス基板上に集積しよう
場合や、高いTFT特性が要求される場合の利用に適し
ている。
【0037】一実施形態の半導体薄膜の形成方法は、上
記溶融領域において走査方向と反対側のエッジであるト
レーリングエッジは、[100]方向に進行する部分
と、[010]方向に進行する部分とから構成され、上
記トレーリングエッジに隣接する領域の亜粒界と、上記
トレーリングエッジとが135度の角度で交わる。
記溶融領域において走査方向と反対側のエッジであるト
レーリングエッジは、[100]方向に進行する部分
と、[010]方向に進行する部分とから構成され、上
記トレーリングエッジに隣接する領域の亜粒界と、上記
トレーリングエッジとが135度の角度で交わる。
【0038】上記実施形態の半導体薄膜の形成方法で得
られる結晶薄膜の膜厚が35nmよりも厚い場合、上記
溶融領域のトレーリングエッジが、[100]方向に進
行する部分と、[010]方向に進行する部分とから構
成されていることにより、結晶薄膜の法線方向は必然的
に[001]方向に安定化する。すなわち、上記結晶薄
膜の法線方向を[001]方向に規定することができる。
られる結晶薄膜の膜厚が35nmよりも厚い場合、上記
溶融領域のトレーリングエッジが、[100]方向に進
行する部分と、[010]方向に進行する部分とから構
成されていることにより、結晶薄膜の法線方向は必然的
に[001]方向に安定化する。すなわち、上記結晶薄
膜の法線方向を[001]方向に規定することができる。
【0039】本明細書において、トレーリングエッジと
は次のようようなものである。図17に示すように、局
所溶融結晶化法において、局所的な溶融領域1001
が、移動していくことにより、固化、結晶化が起こる
が、この固液界面のうち、移動していく側の部分(これ
から溶融する領域1200と接している部分)がリーデ
ィングエッジ(leading edge)1003、既に結晶化し
た部分1100と接している側の部分がトレーリングエ
ッジ1002である。また、パルス的な加熱方法の場合
は、図18(a)に示すように、1ショットの溶融領域
2001での、トレーリングエッジとリーディングエッ
ジとの区分は明確ではないが、図18(b)に示すよう
に、次のショットによる加熱溶融、固化が終了した後も
保存される側の界面2002を、連続加熱の場合と同様
に、トレーリングエッジと定義することができる。
は次のようようなものである。図17に示すように、局
所溶融結晶化法において、局所的な溶融領域1001
が、移動していくことにより、固化、結晶化が起こる
が、この固液界面のうち、移動していく側の部分(これ
から溶融する領域1200と接している部分)がリーデ
ィングエッジ(leading edge)1003、既に結晶化し
た部分1100と接している側の部分がトレーリングエ
ッジ1002である。また、パルス的な加熱方法の場合
は、図18(a)に示すように、1ショットの溶融領域
2001での、トレーリングエッジとリーディングエッ
ジとの区分は明確ではないが、図18(b)に示すよう
に、次のショットによる加熱溶融、固化が終了した後も
保存される側の界面2002を、連続加熱の場合と同様
に、トレーリングエッジと定義することができる。
【0040】一実施形態の半導体薄膜の形成方法は、上
記溶融領域の走査方向と反対側のエッジであるトレーリ
ングエッジは、[110]方向に進行する部分と、[1
−10]方向に進行する部分とから構成され、上記トレ
ーリングエッジに隣接する領域の亜粒界と、上記トレー
リングエッジとが135度の角度で交わる。
記溶融領域の走査方向と反対側のエッジであるトレーリ
ングエッジは、[110]方向に進行する部分と、[1
−10]方向に進行する部分とから構成され、上記トレ
ーリングエッジに隣接する領域の亜粒界と、上記トレー
リングエッジとが135度の角度で交わる。
【0041】上記実施形態の半導体薄膜の形成方法で得
られる結晶薄膜の膜厚が35nm以下の場合、上記溶融
領域のトレーリングエッジが、[110]方向に進行す
る部分と、[1−10]方向に進行する部分とから構成
されていることにより、結晶薄膜の法線方向は必然的に
[001]方向に安定化する。すなわち、上記結晶薄膜
の法線方向を[001]方向に規定することができる。
られる結晶薄膜の膜厚が35nm以下の場合、上記溶融
領域のトレーリングエッジが、[110]方向に進行す
る部分と、[1−10]方向に進行する部分とから構成
されていることにより、結晶薄膜の法線方向は必然的に
[001]方向に安定化する。すなわち、上記結晶薄膜
の法線方向を[001]方向に規定することができる。
【0042】また、結晶粒間に形成される平面状の境界
も、膜厚が厚い場合と同様、結晶方位のズレが小さいた
め、亜粒界となる。
も、膜厚が厚い場合と同様、結晶方位のズレが小さいた
め、亜粒界となる。
【0043】また、上記課題を解決するため、本発明の
半導体装置は、上記半導体薄膜を備えたことを特徴とし
ている。
半導体装置は、上記半導体薄膜を備えたことを特徴とし
ている。
【0044】上記構成の半導体装置によれば、上記半導
体薄膜を備えているから、高い電界効果移動度を得るこ
とができる。
体薄膜を備えているから、高い電界効果移動度を得るこ
とができる。
【0045】一実施形態の半導体装置は、上記半導体薄
膜は、非晶質絶縁膜基板上に形成されて(001)面の
表面を有し、上記亜粒界が<110>方向と平行に存在
していて、上記半導体薄膜を用いて形成され、ソースお
よびドレインを有するトランジスタを備え、上記ソース
から上記ドレインへ向かう方向が<100>方向と平行
になるように、上記トランジスタが形成されている。
膜は、非晶質絶縁膜基板上に形成されて(001)面の
表面を有し、上記亜粒界が<110>方向と平行に存在
していて、上記半導体薄膜を用いて形成され、ソースお
よびドレインを有するトランジスタを備え、上記ソース
から上記ドレインへ向かう方向が<100>方向と平行
になるように、上記トランジスタが形成されている。
【0046】一実施形態の半導体装置は、上記半導体薄
膜は、非晶質絶縁膜基板上に形成されて(001)面の
表面を有し、上記亜粒界が<100>方向と平行に存在
していて、上記半導体薄膜を用いて形成され、ソースお
よびドレインを有するトランジスタを備え、上記ソース
から上記ドレインへ向かう方向が<110>方向と平行
になるように、上記トランジスタが形成されている。
膜は、非晶質絶縁膜基板上に形成されて(001)面の
表面を有し、上記亜粒界が<100>方向と平行に存在
していて、上記半導体薄膜を用いて形成され、ソースお
よびドレインを有するトランジスタを備え、上記ソース
から上記ドレインへ向かう方向が<110>方向と平行
になるように、上記トランジスタが形成されている。
【0047】一実施形態の半導体装置は、上記ソースか
ら上記ドレインへ向かうチャネル方向が互いに直交する
いくつかの上記トランジスタを有し、上記チャネル方向
が直交する上記トランジスタの特性は統計的な差がな
い。
ら上記ドレインへ向かうチャネル方向が互いに直交する
いくつかの上記トランジスタを有し、上記チャネル方向
が直交する上記トランジスタの特性は統計的な差がな
い。
【0048】上記実施形態の半導体装置によれば、上記
チャネル方向が互いに直交するいくつかのトランジスタ
の特性は統計的な差がないので、回路設計の自由度を大
きくすることができる。
チャネル方向が互いに直交するいくつかのトランジスタ
の特性は統計的な差がないので、回路設計の自由度を大
きくすることができる。
【0049】
【発明の実施の形態】以下、本発明の半導体薄膜および
その形成方法並びに半導体装置を図示の実施の形態によ
り詳細に説明する。
その形成方法並びに半導体装置を図示の実施の形態によ
り詳細に説明する。
【0050】(実施の形態1)非晶質絶縁膜上に、非晶
質半導体薄膜の一例である非晶質シリコン薄膜を堆積さ
せる。膜厚は、30nm〜100nmがTFTの作製に
好都合である。波長308nmのXeClレーザ装置の
出力を、ビームホモジナイザにより均一化した後、矩形
のエネルギービームに整形する。そして、上記エネルギ
ービームは、鋸歯形状のスリットが形成されたメタルマ
スクを経由して一部がカットされた後、集光レンズによ
って非晶質シリコン薄膜上に集光される。これにより、
上記非晶質シリコン薄膜において、図1に示すように、
スリットに相似な鋸歯状の溶融領域1が形成される。こ
の溶融領域1の頂部1aの内角θは略90度になってい
る。また、上記溶融領域1における頂部1aと頂部1a
の間隔pは15μm以下に設定されている。また、上記
溶融領域1のトレーリングエッジ2は複数の凹トレーリ
ングエッジからなっていて、1つの凹トレーリングエッ
ジの幅が15μm以下になるよう調節されている。
質半導体薄膜の一例である非晶質シリコン薄膜を堆積さ
せる。膜厚は、30nm〜100nmがTFTの作製に
好都合である。波長308nmのXeClレーザ装置の
出力を、ビームホモジナイザにより均一化した後、矩形
のエネルギービームに整形する。そして、上記エネルギ
ービームは、鋸歯形状のスリットが形成されたメタルマ
スクを経由して一部がカットされた後、集光レンズによ
って非晶質シリコン薄膜上に集光される。これにより、
上記非晶質シリコン薄膜において、図1に示すように、
スリットに相似な鋸歯状の溶融領域1が形成される。こ
の溶融領域1の頂部1aの内角θは略90度になってい
る。また、上記溶融領域1における頂部1aと頂部1a
の間隔pは15μm以下に設定されている。また、上記
溶融領域1のトレーリングエッジ2は複数の凹トレーリ
ングエッジからなっていて、1つの凹トレーリングエッ
ジの幅が15μm以下になるよう調節されている。
【0051】また、上記非晶質シリコン薄膜上でのエネ
ルギービームの強度分布は、光学系の解像度により、い
わゆるダレが生じるが、このダレが生じる部分は、結晶
方位制御にとって撹乱要因となってしまう。そのため、
図2に示すように、図中において点線で示すメタルマス
クの形状と溶融領域1の形状との間にズレが生じてしま
う。上記溶融領域1の頂部1aまたは谷部1bでのズレ
rが1μm以下となるような光学系を用いることが、良
好な結晶方位制御のためには望ましい。
ルギービームの強度分布は、光学系の解像度により、い
わゆるダレが生じるが、このダレが生じる部分は、結晶
方位制御にとって撹乱要因となってしまう。そのため、
図2に示すように、図中において点線で示すメタルマス
クの形状と溶融領域1の形状との間にズレが生じてしま
う。上記溶融領域1の頂部1aまたは谷部1bでのズレ
rが1μm以下となるような光学系を用いることが、良
好な結晶方位制御のためには望ましい。
【0052】また、上記XeClレーザ装置のレーザ出
力は、非晶質シリコン薄膜の膜厚全体に渡り溶融するよ
う調節する。ショット間で、1ショットの溶融領域内に
形成されるラテラル成長距離よりも小さい距離だけ、非
晶質シリコン薄膜あるいはエネルギービームを一定方向
に移動させ、次々と一方向に結晶を成長させていく。こ
のとき、上記溶融領域1の頂部1aの内角θが略90
度、つまり、凹トレーリングエッジ2を形成する2つの
部分が略直交しているから、非晶質シリコン薄膜の各部
分において<100>(シリコン膜厚が35nmより薄
い場合は、<110>)方向に結晶が成長し、結晶化し
た薄膜の表面は(001)面に規定される。また、上記
トレーリングエッジ2の1つの凹トレーリングエッジの
幅が15μm以下になるよう調節されているから、高密
度の転位が発生することなく単結晶粒が形成される。こ
のようにして、矩形の領域を、その一辺と平行に走る亜
粒界で区分された擬似単結晶薄膜を形成することができ
る。
力は、非晶質シリコン薄膜の膜厚全体に渡り溶融するよ
う調節する。ショット間で、1ショットの溶融領域内に
形成されるラテラル成長距離よりも小さい距離だけ、非
晶質シリコン薄膜あるいはエネルギービームを一定方向
に移動させ、次々と一方向に結晶を成長させていく。こ
のとき、上記溶融領域1の頂部1aの内角θが略90
度、つまり、凹トレーリングエッジ2を形成する2つの
部分が略直交しているから、非晶質シリコン薄膜の各部
分において<100>(シリコン膜厚が35nmより薄
い場合は、<110>)方向に結晶が成長し、結晶化し
た薄膜の表面は(001)面に規定される。また、上記
トレーリングエッジ2の1つの凹トレーリングエッジの
幅が15μm以下になるよう調節されているから、高密
度の転位が発生することなく単結晶粒が形成される。こ
のようにして、矩形の領域を、その一辺と平行に走る亜
粒界で区分された擬似単結晶薄膜を形成することができ
る。
【0053】上述のようにして結晶化したシリコン薄膜
を用いて、TFTを作製する際、TFTのチャネル部の
配置の仕方については、いくつかのアプローチの仕方が
ある。最も単純なものは、図3に示すように、平面状の
亜粒界3で接する矩形の複数の結晶粒4からなるシリコ
ン薄膜に対して、素子形成領域5A,5Bを形成する。
上記素子形成領域5AではTFTのチャネル部が亜粒界
3の方向と垂直になり、素子形成領域5BではTFTの
チャネル部が亜粒界3の方向と平行になる。本発明の半
導体薄膜の形成方法を用いて、結晶薄膜の方位制御を行
えば、素子形成領域5Aにおいてソースからドレインへ
向かうチャネル方向と、素子形成領域5Bにおいてソー
スからドレインへ向かうチャネル方向とは、結晶構造上
等価な方向となるため、素子形成領域5A,5Bに形成
するTFTにおいてほぼ同等の特性が得られるという利
点がある。ここで、上記亜粒界の方向は、図3の場合、
図中上下方向に相当する。また、「チャネル部が亜粒界
3の方向と平行」とは、TFTのソースからドレインへ
向かうチャネル方向が亜粒界3の方向と平行になってい
ることを意味する。
を用いて、TFTを作製する際、TFTのチャネル部の
配置の仕方については、いくつかのアプローチの仕方が
ある。最も単純なものは、図3に示すように、平面状の
亜粒界3で接する矩形の複数の結晶粒4からなるシリコ
ン薄膜に対して、素子形成領域5A,5Bを形成する。
上記素子形成領域5AではTFTのチャネル部が亜粒界
3の方向と垂直になり、素子形成領域5BではTFTの
チャネル部が亜粒界3の方向と平行になる。本発明の半
導体薄膜の形成方法を用いて、結晶薄膜の方位制御を行
えば、素子形成領域5Aにおいてソースからドレインへ
向かうチャネル方向と、素子形成領域5Bにおいてソー
スからドレインへ向かうチャネル方向とは、結晶構造上
等価な方向となるため、素子形成領域5A,5Bに形成
するTFTにおいてほぼ同等の特性が得られるという利
点がある。ここで、上記亜粒界の方向は、図3の場合、
図中上下方向に相当する。また、「チャネル部が亜粒界
3の方向と平行」とは、TFTのソースからドレインへ
向かうチャネル方向が亜粒界3の方向と平行になってい
ることを意味する。
【0054】上述のように、亜粒界3の位置を特定せず
に方向だけを認識して、素子のレイアウトを考えるやり
方もできるが、特性のより正確な制御のために以下のよ
うなやり方もできる。すなわち、上記非晶質シリコン薄
膜にエネルギービームをを照射する段階で、その非晶質
シリコン薄膜の一部にアライメントマークを形成してお
き、エネルギービームの照射をそのアライメントマーク
に基づいて行う。このような方法により、TFTのチャ
ネル長(L)、チャネル幅(W)と、亜粒界3の間隔に
より、チャネル中に含まれる亜粒界3の数を正確に制御
することができる。例えば、上記亜粒界3を5μm間隔
で形成している場合、L/W=4μm/4μmのTFT
を形成する。この場合、図4に示すような素子形成領域
15A,15Bすることができる。これにより、上記素
子形成領域15A,15Bを用いて形成するTFTのチ
ャネル部中に、亜粒界3が1本も含まれないように、素
子形成領域15A,15Bをレイアウトすることができ
る。また、上記亜粒界3の間隔が5μm、L/W=4μ
m/20μmの場合は、TFTのチャネル部を亜粒界3
の方向と直角にするなら、チャネル部中に亜粒界3が含
まれないようにレイアウトできるが、TFTのチャネル
部を亜粒界3の方向と平行にするなら、チャネル部中に
数本の亜粒界が含まれることになる。しかし、上記亜粒
界3はキャリアの流れに完全に並行であり、特性の劣化
に対する影響はほとんどないことがわかっている。
に方向だけを認識して、素子のレイアウトを考えるやり
方もできるが、特性のより正確な制御のために以下のよ
うなやり方もできる。すなわち、上記非晶質シリコン薄
膜にエネルギービームをを照射する段階で、その非晶質
シリコン薄膜の一部にアライメントマークを形成してお
き、エネルギービームの照射をそのアライメントマーク
に基づいて行う。このような方法により、TFTのチャ
ネル長(L)、チャネル幅(W)と、亜粒界3の間隔に
より、チャネル中に含まれる亜粒界3の数を正確に制御
することができる。例えば、上記亜粒界3を5μm間隔
で形成している場合、L/W=4μm/4μmのTFT
を形成する。この場合、図4に示すような素子形成領域
15A,15Bすることができる。これにより、上記素
子形成領域15A,15Bを用いて形成するTFTのチ
ャネル部中に、亜粒界3が1本も含まれないように、素
子形成領域15A,15Bをレイアウトすることができ
る。また、上記亜粒界3の間隔が5μm、L/W=4μ
m/20μmの場合は、TFTのチャネル部を亜粒界3
の方向と直角にするなら、チャネル部中に亜粒界3が含
まれないようにレイアウトできるが、TFTのチャネル
部を亜粒界3の方向と平行にするなら、チャネル部中に
数本の亜粒界が含まれることになる。しかし、上記亜粒
界3はキャリアの流れに完全に並行であり、特性の劣化
に対する影響はほとんどないことがわかっている。
【0055】以下、例えばトップゲート型のTFTの作
製プロセスを簡単に述べる。
製プロセスを簡単に述べる。
【0056】非晶質シリコン薄膜を結晶化させた後、素
子の活性層となる領域をエッチングにより規定する。そ
して、洗浄後、ゲート絶縁膜となるシリコン酸化膜、あ
るいはシリコン窒化膜、あるいはこれらの積層膜を堆積
する。
子の活性層となる領域をエッチングにより規定する。そ
して、洗浄後、ゲート絶縁膜となるシリコン酸化膜、あ
るいはシリコン窒化膜、あるいはこれらの積層膜を堆積
する。
【0057】次に、タンタル、モリブデン等の電極材料
を堆積し、図5に示すようなゲート電極6A,6Bの形
状にエッチングする。このゲート電極6A,6Bをマス
クとして、素子形成領域25A,25Bのソース・ドレ
イン領域に燐あるいはボロンを高濃度注入し、その燐あ
るいはボロンをアニールにより活性化させる。
を堆積し、図5に示すようなゲート電極6A,6Bの形
状にエッチングする。このゲート電極6A,6Bをマス
クとして、素子形成領域25A,25Bのソース・ドレ
イン領域に燐あるいはボロンを高濃度注入し、その燐あ
るいはボロンをアニールにより活性化させる。
【0058】その後、シリコン酸化膜を堆積し、これに
コンタクトホールを形成する。ここにAl、ITO等の
電極を形成し、基本的なTFTが完成する。このTFT
を液晶ディスプレイの駆動素子としての用いる場合は、
対向電極の形成や、ブラックマトリックスの形成等のプ
ロセスがこれに続くことになる。
コンタクトホールを形成する。ここにAl、ITO等の
電極を形成し、基本的なTFTが完成する。このTFT
を液晶ディスプレイの駆動素子としての用いる場合は、
対向電極の形成や、ブラックマトリックスの形成等のプ
ロセスがこれに続くことになる。
【0059】また、亜粒界を含めて、互いに直交するT
FTを完全に等価な配置にしたい場合は、図6に示すよ
うな素子形成領域35A,35Bを形成すればよい。す
なわち、平面状の亜粒界3の方向に対して、それぞれ4
5度の方向にキャリアが移動するようにTFTのチャネ
ル部分を配置する。この場合は、上記素子形成領域35
A,35BにおいてTFTのソースからドレインへ向か
うチャネル方向は、結晶構造上等価なうえに、亜粒界3
の影響も完全に等価になる。
FTを完全に等価な配置にしたい場合は、図6に示すよ
うな素子形成領域35A,35Bを形成すればよい。す
なわち、平面状の亜粒界3の方向に対して、それぞれ4
5度の方向にキャリアが移動するようにTFTのチャネ
ル部分を配置する。この場合は、上記素子形成領域35
A,35BにおいてTFTのソースからドレインへ向か
うチャネル方向は、結晶構造上等価なうえに、亜粒界3
の影響も完全に等価になる。
【0060】上記実施の形態1では、鋸歯形状の溶融領
域1を形成するためにXeClレーザ装置を用いたが、
XeCl以外のレーザ装置、例えば、ArF、KrF、
XeF等のエキシマレーザ装置を用いてもよい。
域1を形成するためにXeClレーザ装置を用いたが、
XeCl以外のレーザ装置、例えば、ArF、KrF、
XeF等のエキシマレーザ装置を用いてもよい。
【0061】また、結晶化されたシリコン薄膜の膜厚が
35nmよりも厚い場合は、図7に示すようなトレーリ
ングエッジ42を用いればよい。このトレーリングエッ
ジ42は、[100]方向に進行する部分42aと、
[010]方向に進行する部分42bとからなり、トレ
ーリングエッジ42に隣接する領域の亜粒界43と13
5度の角度で交わる。この場合、結晶化されたシリコン
薄膜の法線方向を[001]方向に規定することができ
る。
35nmよりも厚い場合は、図7に示すようなトレーリ
ングエッジ42を用いればよい。このトレーリングエッ
ジ42は、[100]方向に進行する部分42aと、
[010]方向に進行する部分42bとからなり、トレ
ーリングエッジ42に隣接する領域の亜粒界43と13
5度の角度で交わる。この場合、結晶化されたシリコン
薄膜の法線方向を[001]方向に規定することができ
る。
【0062】また、結晶化されたシリコン薄膜の膜厚が
35nm以下の場合は、図8に示すようなトレーリング
エッジ52を用いればよい。このトレーリングエッジ5
2は、[110]方向に進行する部分52aと、[1−
10]方向に進行する部分52bとからなり、トレーリ
ングエッジ52に隣接する領域の亜粒界53と135度
の角度で交わる。この場合、結晶化されたシリコン薄膜
の法線方向を[001]方向に規定することができる。
35nm以下の場合は、図8に示すようなトレーリング
エッジ52を用いればよい。このトレーリングエッジ5
2は、[110]方向に進行する部分52aと、[1−
10]方向に進行する部分52bとからなり、トレーリ
ングエッジ52に隣接する領域の亜粒界53と135度
の角度で交わる。この場合、結晶化されたシリコン薄膜
の法線方向を[001]方向に規定することができる。
【0063】上記[1−10]方向の内の「−1」は、
1のオーバーラインのことである。また、本明細書にお
ける[ ]内の「−1」も1のオーバーラインを示す。
1のオーバーラインのことである。また、本明細書にお
ける[ ]内の「−1」も1のオーバーラインを示す。
【0064】なお、図7および図8において矢印Sは、
エネルギービームの走査方向を示している。
エネルギービームの走査方向を示している。
【0065】(実施の形態2)実施の形態1では、光路
に遮光マスクを挿入して、所望の溶融領域の形状を得る
手法を説明したが、本実施の形態2では、通常の細長い
ラインビームをそのまま用い、試料構造により所望の溶
融領域の形状をえる方法を説明する。まずレーザ結晶化
装置は、実施の形態1で用いたレーザ装置から遮光マス
クを除いたものでよい。
に遮光マスクを挿入して、所望の溶融領域の形状を得る
手法を説明したが、本実施の形態2では、通常の細長い
ラインビームをそのまま用い、試料構造により所望の溶
融領域の形状をえる方法を説明する。まずレーザ結晶化
装置は、実施の形態1で用いたレーザ装置から遮光マス
クを除いたものでよい。
【0066】図9(a)に示すように、非晶質絶縁膜基
板の一例であるガラス基板60上に、非晶質半導体薄膜
の一例である非晶質シリコン薄膜61を堆積させてい
る。そして、上記非晶質シリコン薄膜61上にSiO2
膜を堆積し、そのSiO2膜をストライプ状にパターニ
ングすることにより、SiO2からなる反射防止膜62
をストライプ状に配置する。上記反射防止膜62の幅、
および、反射防止膜62と反射防止膜62との間の距離
は、1〜4μmが適当である。SiO2膜の膜厚は、反
射防止膜となるように設定する。上記非晶質シリコン薄
膜61に向けて照射するレーザ光の波長をλ、SiO2
膜の屈折率をr、任意の整数をnとすると、反射防止膜
62の膜厚はλ(2n+1)/4rとなる。XeClレ
ーザ装置を使用する場合、最も薄い反射防止膜62の膜
厚は54nmとなる。
板の一例であるガラス基板60上に、非晶質半導体薄膜
の一例である非晶質シリコン薄膜61を堆積させてい
る。そして、上記非晶質シリコン薄膜61上にSiO2
膜を堆積し、そのSiO2膜をストライプ状にパターニ
ングすることにより、SiO2からなる反射防止膜62
をストライプ状に配置する。上記反射防止膜62の幅、
および、反射防止膜62と反射防止膜62との間の距離
は、1〜4μmが適当である。SiO2膜の膜厚は、反
射防止膜となるように設定する。上記非晶質シリコン薄
膜61に向けて照射するレーザ光の波長をλ、SiO2
膜の屈折率をr、任意の整数をnとすると、反射防止膜
62の膜厚はλ(2n+1)/4rとなる。XeClレ
ーザ装置を使用する場合、最も薄い反射防止膜62の膜
厚は54nmとなる。
【0067】そして、上記反射防止膜62のない領域に
対して、非晶質シリコン薄膜61が深さ方向に完全に溶
融する強度のレーザ光、例えば50nmの非晶質シリコ
ン薄膜に対して400mJ/cm2のレーザ光を照射す
る。そうすると、上記非晶質シリコン薄膜61における
反射防止膜62下の領域では、溶融領域はさらに大きく
なり、図9(b)に示すよう鋸歯形状の溶融領域70が
形成されて、所望の凹トレーリングエッジを得ることが
できる。
対して、非晶質シリコン薄膜61が深さ方向に完全に溶
融する強度のレーザ光、例えば50nmの非晶質シリコ
ン薄膜に対して400mJ/cm2のレーザ光を照射す
る。そうすると、上記非晶質シリコン薄膜61における
反射防止膜62下の領域では、溶融領域はさらに大きく
なり、図9(b)に示すよう鋸歯形状の溶融領域70が
形成されて、所望の凹トレーリングエッジを得ることが
できる。
【0068】また、図9(c)に示すように、ガラス基
板60上に順次、非晶質シリコン薄膜61、全面のSi
O2反射防止膜63を積層した後、そのSiO2反射防
止膜63上にさらに50nmの非晶質シリコン薄膜を堆
積し、その非晶質シリコン薄膜をストライプ状にパター
ニングしてもよい。この場合、上記SiO2反射防止膜
63上のストライプシリコン膜64が、レーザ光の吸収
膜として働き、反射防止膜63のみの領域に対して温度
勾配を一層大きくすることができる。
板60上に順次、非晶質シリコン薄膜61、全面のSi
O2反射防止膜63を積層した後、そのSiO2反射防
止膜63上にさらに50nmの非晶質シリコン薄膜を堆
積し、その非晶質シリコン薄膜をストライプ状にパター
ニングしてもよい。この場合、上記SiO2反射防止膜
63上のストライプシリコン膜64が、レーザ光の吸収
膜として働き、反射防止膜63のみの領域に対して温度
勾配を一層大きくすることができる。
【0069】(実施の形態3)実施の形態1,2では、
結晶化したシリコン簿膜における亜粒界の方向、つまり
亜粒界が走る方向と、エネルギービームの走査方向とが
一致するような走査方法を用いることを前提としていた
が、図10に示すように、鋸歯形状のエネルギービーム
を走査方向Sに対し傾斜させて、鋸歯形状の溶融領域8
1を形成してもよい。または、結晶化すべき非晶質シリ
コン薄膜上に形成するのストライプ状の反射防止膜ある
いは反射膜に対してエネルギビームの走査方向を傾斜さ
せてもよい。
結晶化したシリコン簿膜における亜粒界の方向、つまり
亜粒界が走る方向と、エネルギービームの走査方向とが
一致するような走査方法を用いることを前提としていた
が、図10に示すように、鋸歯形状のエネルギービーム
を走査方向Sに対し傾斜させて、鋸歯形状の溶融領域8
1を形成してもよい。または、結晶化すべき非晶質シリ
コン薄膜上に形成するのストライプ状の反射防止膜ある
いは反射膜に対してエネルギビームの走査方向を傾斜さ
せてもよい。
【0070】これらの場合は、亜粒界83の走る方向
と、エネルギービームの走査方向Sとが一定の角度を成
す。そして、一定区間の走査が終了した後、この走査方
向Sと直交する方向にシフトし、エネルギービームの端
が既結晶化領域に重なるようにして、再び同じ方向に一
定区間走査を行うことを繰り返すことにより、結晶化領
域を広げていくことができる。
と、エネルギービームの走査方向Sとが一定の角度を成
す。そして、一定区間の走査が終了した後、この走査方
向Sと直交する方向にシフトし、エネルギービームの端
が既結晶化領域に重なるようにして、再び同じ方向に一
定区間走査を行うことを繰り返すことにより、結晶化領
域を広げていくことができる。
【0071】
【発明の効果】以上より明らかなように、本発明の半導
体薄膜の形成方法を用いれば、薄膜表面が{100}面
を有し、平面状の亜粒界が<100>あるいは<110
>方向に形成された例えば高品質の結晶シリコン薄膜
を、ガラス等の非晶質絶縁基板上に容易な走査方法で形
成することができ、高性能の薄膜トランジスタを作製す
ることができる。
体薄膜の形成方法を用いれば、薄膜表面が{100}面
を有し、平面状の亜粒界が<100>あるいは<110
>方向に形成された例えば高品質の結晶シリコン薄膜
を、ガラス等の非晶質絶縁基板上に容易な走査方法で形
成することができ、高性能の薄膜トランジスタを作製す
ることができる。
【図1】 図1は本発明の実施の形態1の半導体薄膜の
形成方法により形成される鋸歯形状の溶融領域の形状を
説明するための図である。
形成方法により形成される鋸歯形状の溶融領域の形状を
説明するための図である。
【図2】 図2は上記溶融領域の形状とマスク形状との
ズレを示す模式図である。
ズレを示す模式図である。
【図3】 図3はTFTのレイアウト例を示す図であ
る。
る。
【図4】 図4はTFTのレイアウト例を示す図であ
る。
る。
【図5】 図5はTFTの作製方法を説明するための図
である。
である。
【図6】 図6はTFTのレイアウト例を示す図であ
る。
る。
【図7】 図7はトレーリングエッジの模式図である
【図8】 図8はトレーリングエッジの模式図である。
【図9】 図9(a)は本発明の実施の形態2の半導体
薄膜の形成方法の工程断面図であり、図9(b)は図9
(a)の平面図であり、図9(c)は上記実施の形態2
の他の半導体薄膜の形成方法の工程断面図である。
薄膜の形成方法の工程断面図であり、図9(b)は図9
(a)の平面図であり、図9(c)は上記実施の形態2
の他の半導体薄膜の形成方法の工程断面図である。
【図10】 図10は本発明の実施の形態3の半導体薄
膜の形成方法を説明するための模式図である。
膜の形成方法を説明するための模式図である。
【図11】 図11はトレーリングエッジの模式図であ
る。
る。
【図12】 図12は従来の半導体薄膜の形成方法を説
明するための図である。
明するための図である。
【図13】 図13は他の従来の半導体薄膜の形成方法
により得られた結晶を示す図である。
により得られた結晶を示す図である。
【図14】 図14はさらに他の従来の半導体薄膜の形
成方法を説明するための図である。
成方法を説明するための図である。
【図15】 図15はTFTのレイアウト例を示す図で
ある。
ある。
【図16】 図16はSLS薄膜における結晶方位分布
を示す逆極天図である。
を示す逆極天図である。
【図17】 図17はトレーリングエッジとリーディン
グエッジを説明するための模式図である。
グエッジを説明するための模式図である。
【図18】 図18はトレーリングエッジとリーディン
グエッジを説明するための模式図である。
グエッジを説明するための模式図である。
1 鋸歯形状の溶融領域
2 トレーリングエッジ
3 平面状の亜粒界
5 結晶粒
フロントページの続き
Fターム(参考) 5F052 AA02 BA08 BA12 BB07 CA07
DA02 EA06 FA02 JA01
5F110 AA30 BB01 BB07 CC02 DD02
EE04 FF02 FF03 GG02 GG13
GG17 GG25 HJ01 HJ23 HL03
HL07 NN02 NN23 PP03 PP05
PP06 PP11 PP23 PP24
Claims (11)
- 【請求項1】 平面状の亜粒界で接する矩形の複数の粒
から構成され、その複数の粒の法線方向は全て[00
1]方向になるように結晶化されていることを特徴とす
る半導体薄膜。 - 【請求項2】 請求項1に記載の半導体薄膜において、 上記亜粒界が[110]方向に平行であり、膜厚が35
nmより厚くなっていることを特徴とする半導体薄膜。 - 【請求項3】 請求項1に記載の半導体薄膜において、 上記亜粒界が[100]方向に平行であり、膜厚が35
nm以下になっていることを特徴とする半導体薄膜。 - 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1つに記載の
半導体薄膜において、 上記亜粒界の間隔が15μm以下であることを特徴とす
る半導体薄膜。 - 【請求項5】 非晶質半導体薄膜をエネルギービームで
走査して、上記非晶質半導体薄膜を結晶化する半導体薄
膜の形成方法において、 上記エネルギービームの照射により、上記非晶質半導体
薄膜に鋸歯形状の溶融領域を形成し、上記溶融領域の頂
部の内角が略90度であることを特徴とする半導体薄膜
の形成方法。 - 【請求項6】 請求項5に記載の半導体薄膜の形成方法
において、 上記溶融領域において走査方向と反対側のエッジである
トレーリングエッジは、[100]方向に進行する部分
と、[010]方向に進行する部分とから構成され、 上記トレーリングエッジに隣接する領域の亜粒界と、上
記トレーリングエッジとが135度の角度で交わること
を特徴とする半導体薄膜の形成方法。 - 【請求項7】 請求項5に記載の半導体薄膜の形成方法
において、上記溶融領域の走査方向と反対側のエッジで
あるトレーリングエッジは、[110]方向に進行する
部分と、[1−10]方向に進行する部分とから構成さ
れ、 上記トレーリングエッジに隣接する領域の亜粒界と、上
記トレーリングエッジとが135度の角度で交わること
を特徴とする半導体薄膜の形成方法。 - 【請求項8】 請求項1に記載の半導体薄膜を備えたこ
とを特徴とする半導体装置。 - 【請求項9】 請求項8に記載の半導体装置において、 上記半導体薄膜は、非晶質絶縁膜基板上に形成されて
(001)面の表面を有し、 上記亜粒界が<110>方向と平行に存在していて、 上記半導体薄膜を用いて形成され、ソースおよびドレイ
ンを有するトランジスタを備え、 上記ソースから上記ドレインへ向かう方向が<100>
方向と平行になるように、上記トランジスタが形成され
ていることを特徴とする半導体装置。 - 【請求項10】 請求項8に記載の半導体装置におい
て、 上記半導体薄膜は、非晶質絶縁膜基板上に形成されて
(001)面の表面を有し、 上記亜粒界が<100>方向と平行に存在していて、 上記半導体薄膜を用いて形成され、ソースおよびドレイ
ンを有するトランジスタを備え、 上記ソースから上記ドレインへ向かう方向が<110>
方向と平行になるように、上記トランジスタが形成され
ていることを特徴とする半導体装置。 - 【請求項11】 請求項9または10に記載の半導体装
置において、 上記ソースから上記ドレインへ向かうチャネル方向が互
いに直交するいくつかの上記トランジスタを有し、 上記チャネル方向が直交する上記トランジスタの特性は
統計的な差がないことを特徴とする半導体装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001222986A JP2003037061A (ja) | 2001-07-24 | 2001-07-24 | 半導体薄膜およびその形成方法並びに半導体装置 |
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JP2001222986A JP2003037061A (ja) | 2001-07-24 | 2001-07-24 | 半導体薄膜およびその形成方法並びに半導体装置 |
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JP2001222986A Pending JP2003037061A (ja) | 2001-07-24 | 2001-07-24 | 半導体薄膜およびその形成方法並びに半導体装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2001
- 2001-07-24 JP JP2001222986A patent/JP2003037061A/ja active Pending
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US10020189B2 (en) | 2009-10-08 | 2018-07-10 | Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd. | Growing a III-V layer on silicon using aligned nano-scale patterns |
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