JP2003031862A - 高温超伝導体接合装置の製造方法 - Google Patents

高温超伝導体接合装置の製造方法

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JP2003031862A
JP2003031862A JP2001215033A JP2001215033A JP2003031862A JP 2003031862 A JP2003031862 A JP 2003031862A JP 2001215033 A JP2001215033 A JP 2001215033A JP 2001215033 A JP2001215033 A JP 2001215033A JP 2003031862 A JP2003031862 A JP 2003031862A
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temperature superconductor
high temperature
heat treatment
electrode layer
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Masahiro Horibe
雅弘 堀部
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Fujitsu Ltd
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温超伝導体接合装置の製造方法に関し、制
御性、再現性および均一性のよい高温超伝導体接合を作
製する。 【解決手段】 高温超伝導体電極の接合界面の結晶構造
を変化させて障壁層5とした表面改質型接合および超伝
導回路の完成後に、加熱手段6を用いて接合作製中にお
ける最高温度あるいはそれ以上の温度で決められた時間
熱処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高温超伝導体接合装
置の製造方法に関するものであり、例えば、高温超伝導
回路装置を構成するジョセフソン接合を表面改質型接合
を形成する際の臨界電流値を再現性良く任意に設定する
ための工程に特徴のある高温超伝導体接合装置の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の高温超伝導接合の作製方法には、
大きく分けて二つの方法がある。一つは、絶縁体あるい
は常伝導体を下部電極層上に堆積させ、上部電極層をそ
の上に堆積させることで接合を形成する方法である。
【0003】この方法で作製される接合の特性制御は、
障壁層となる材料の抵抗率を変化させるか、あるいはそ
の障壁層の厚さを変化させることにより実現していた。
しかしながら、この接合は、下部電極層と障壁層との濡
れ性等により障壁層を均一な厚さで成膜することが困難
であるため、接合特性の均一性の悪化が著しいという問
題があり、大規模な高温超伝導回路に用いるには望まし
くないといえる。
【0004】一方、下部電極層に損傷を与え接合界面を
非晶質化し、熱処理を行い非晶質化層を再結晶化して障
壁層を形成したのち、上部電極層を堆積することにより
表面改質型接合と称する接合を形成することが提案され
ているので、図7乃至図10を参照して説明する。な
お、図においては、図示を簡単にするために単一の接合
を図示する。
【0005】まず、図7を参照して、従来のランプエッ
ジ型の表面改質型接合の製造工程を説明する。 図7(a)参照 まず、MgO基板31上に、スパッタリング法を用いて
YBa1.95La0.05Cu3 x 組成のLa−YBCO下
部電極層32及びPrGaO3 層33を順次堆積させ
る。
【0006】図7(b)参照 次いで、レジストパターン34をマスクとしてArイオ
ン35を用いてイオンミリングを施すことによってラン
プエッジ(ramp−edge)を形成するとともに、
ランプエッジ部におけるLa−YBCO下部電極層32
の表面にダメージを与えて非晶質層36を形成する。
【0007】図7(c)参照 次いで、例えば、1×10-4PaのAr+O2 雰囲気中
で680℃で熱処理することによって、非晶質層36を
再結晶化して再結晶化層37とする。
【0008】図7(d)参照 次いで、レーザアブレーション法を用いて、例えば、7
50℃の成膜温度でLa−YBCO下部電極層38を堆
積させる。この750℃のLa−YBCO下部電極層3
8の堆積工程においては再結晶化層37はさらに薄くな
って臨界電流特性を示す厚さと接合抵抗を有する障壁層
39となる。
【0009】次に、図8を参照して、従来のメサ型の表
面改質型接合の製造工程を説明する。 図8(a)参照 まず、MgO基板41上に、スパッタリング法を用いて
YBa1.95La0.05Cu3 x 組成のLa−YBCO下
部電極層42を堆積させたのち、Arイオン43を照射
することによってLa−YBCO下部電極層42の表面
にダメージを与えて非晶質層44を形成する。
【0010】図8(b)参照 次いで、例えば、1×10-4PaのAr+O2 雰囲気中
で680℃で熱処理することによって、非晶質層44を
再結晶化して再結晶化層45とする。
【0011】図8(c)参照 次いで、レジストパターン46をマスクとしてArイオ
ン35を用いてイオンミリングを施すことによって再結
晶化層45をエッチングしてメサ構造を構成した後、再
び、スパッタリング法を用いてメサ構造の側部にPrG
aO3 層47を堆積させる。
【0012】図8(d)参照 次いで、レジストパターン46を除去したのち、レーザ
アブレーション法を用いて、例えば、750℃の成膜温
度でLa−YBCO下部電極層48を堆積させる。この
750℃のLa−YBCO下部電極層48の堆積工程に
おいては再結晶化層45はさらに薄くなって臨界電流特
性を示す厚さと接合抵抗を有する障壁層49となる。
【0013】この様な表面改質型接合の特性は、いずれ
のタイプにおいても試料内において比較的均一であるこ
とから、高温超伝導回路に用いる接合として期待されて
いる。
【0014】この方法で所望の臨界電流密度および規格
化抵抗を有する接合を作製する際、下部電極への損傷条
件および再結晶化の際の熱処理条件および上部電極成膜
条件といった、複数の接合作成上の条件を調整する必要
であることが、アプライド・スーパーコンダクティビテ
ィ・カンファレンス(Applied Superco
nductivity Conference,IEC
−06,2000)において定量的に開示されており、
周知の事実となっている(必要ならば、IEEE Tr
ansaction on Applied Supe
rconductivity,march,2001参
照)。
【0015】例えば、表面改質型接合の臨界電流値を制
御するためには、下部電極層の接合界面にダメージを与
える際のArイオンの加速電圧およびイオン照射時間に
よって、接合界面に形成される障壁層の厚さが異なるこ
とになる。
【0016】図9(a)参照 図9(a)に示すように、加速電圧が高くなるほど、障
壁層は厚くなり、黒丸で示す臨界電流が小さくなるとと
もに白丸で示す接合抵抗は大きくなる。
【0017】図9(b)参照 また、図9(b)に示すように、エッチング時間、即
ち、イオン照射時間が長くなるほど、障壁層は厚くな
り、臨界電流が小さくなるとともに接合抵抗は大きくな
る。
【0018】図10(a)及び(b)参照 また、上部電極層を形成する前処理として熱処理工程を
行っているが, この熱処理工程における酸素圧力が高
く、温度が高い場合には作製された接合の障壁層は薄く
なり、臨界電流密度は大きくなる。
【0019】図10(c)参照 また、上部電極層の堆積温度が高い場合にも、接合の障
壁層は薄くなり接合の臨界電流密度は非常に大きくなる
といった傾向にある。
【0020】さらに、表面改質型接合の再現性について
接合作製条件との関係が、インターナショナル・シンポ
ジウム・オン・スーパーコンダクテイビティ(Inte
rnational Symposium on Su
perconductivity、FD−24、200
0)において示されている。ダメージを与える際のイオ
ン加速電圧が高く、イオン照射時間が短いほど再現性が
乏しくなることが示されている。
【0021】一方、応用物理学会学術講演会(応用物理
学会学術講演会講演予稿集6P−ZL−3,2000)
においては、接合界面の加熱処理時の酸素圧力と接合特
性の均一性について明確に示されており、低酸素圧力下
における加熱処理により接合界面の平坦性を向上させ、
接合特性の均一性を向上させていることが示されてい
る。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】超伝導回路における接
合の臨界電流値および抵抗値は、その値が設計値通りに
作製されることが回路動作を保証する上では重要であ
る。しかし、現在の状況では前記の通り、表面改質型接
合の特性は接合作製直後には作製時の処理条件により既
に決まっているため、設計値に近い臨界電流値を有する
接合を作製することはできるものの、最終的な接合特性
の調整はすることができないという問題がある。
【0023】この様な超伝導回路において接合の臨界電
流値の設計値からのずれは、回路の動作を著しく阻害す
ることになるため、高温超伝導回路において、設計値よ
り臨界電流値の高い接合においては、動作温度を調整す
ることにより臨界電流値を設計値に調整している。
【0024】一方、設計値より低い臨界電流の場合にお
いても、動作温度を低温側に調整することで対処できる
ものの、冷却機構も含めた装置全体の冷却能力に限りが
ある場合がほとんどであるため, 回路動作温度を調整す
ることは本質的な解決にはならない。従って, 超伝導回
路においては接合の特性を調整する技術が必要となる。
【0025】従来の方法では、複数の接合作製条件によ
り接合特性の制御を行っていたが、接合が完成した時に
は既に接合特性が定まってしまっている。根本的に接合
特性の制御には複数の接合作製条件の調整が必要不可欠
となるため、結果として接合の特性制御が複雑となり、
接合特性の制御性の向上を困難にしている一つの原因と
なっているといえる。
【0026】これに加え、前記のようにダメージを与え
る際のイオン加速電圧とイオン照射時間の関係が接合特
性の再現性に大きく影響を与えていることや、接合界面
の熱処理時における酸素圧力が試料内における接合特性
の均一性に大きく影響を及ぼしていることから、接合特
性の制御性、再現性および均一性をすべて考慮して、接
合特性制御のための接合作製条件の組み合わせを決める
ことは難しいといえる。
【0027】したがって、本発明は、従来技術の欠点を
克服し、超伝導接合および超伝導回路を熱処理する方法
を適用し、制御性、再現性および均一性のよい接合を作
製する方法および接合特性の調整方法を提案し、その方
法を実現する装置の基本構造を提案することを目的とし
ている。
【0028】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理的構
成図であり、この図1を参照して本発明における課題を
解決するための手段を説明する。なお、図において、符
号1はMgO等の基板であり、符号3はPrGaO3
の上下の高温超伝導体電極層2,4の短絡を防止する絶
縁層である。
【0029】図1参照 上記の目的を達成するために、本発明は、高温超伝導体
電極の接合界面の結晶構造を変化させて障壁層5とした
ジョセフソン接合を用いた超伝導回路を作製する方法に
おいて、接合および超伝導回路の完成後に、ヒーター等
の加熱手段6を用いて接合作製中における最高温度ある
いはそれ以上の温度で決められた時間熱処理を行うこと
を特徴とする。また、接合特性の所望の値への制御・調
整は、熱処理中の接合抵抗を観測することで実現してい
る。
【0030】上記の方法では、常に同じ作製条件で再現
性および均一性の優れた臨界電流のない障壁層5の厚い
接合を作製し、完成した後に熱処理により障壁層5の厚
さを調整することにより、所望の接合の臨界電流密度お
よび規格化抵抗を得ることができる。即ち、所望する接
合の臨界電流値によらず、接合の各作製工程における作
製条件を変化させることなく接合を作製できるため、接
合作製条件を定める際に、特性制御を考慮する必要がな
くなり、接合特性の均一性および再現性にのみ着目した
接合作製が可能となるといった利点がある。
【0031】また、高温超伝導回路においては、接合の
臨界電流値が設計値より低くなった場合には、前記の方
法を用いることにより回路全体の臨界電流値を増加さ
せ、調整することができる利点がある。
【0032】この場合、レーザ光等のエネルギービーム
を用いることにより、回路中に存在する任意の接合の特
性のみを変化させ調整することができる利点もある。こ
れら接合特性の制御および調整は、接合あるいは超伝導
回路完成後に熱処理を行うことで実現しているが、この
熱処理中に接合抵抗を観測することにより、障壁層5の
厚さの変化も観測することになる。即ち、接合の超伝導
特性を間接的に観測しつつ特性制御ができるといった利
点を有する。
【0033】また、最終的な熱処理条件を超伝導電流が
流れない状態を保つように設定することによって、表面
改質型接合により抵抗素子を形成しても良いものであ
り、それによって、従来のAu抵抗体に比べて小面積で
大きな抵抗値を有する抵抗体を構成することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】ここで、図2及び図3を参照し
て、本発明の第1の実施の形態の表面改質型接合の製造
工程を説明する。 図2(a)参照 まず、単結晶のMgO基板11上に、スパッタリング法
を用いて、厚さが100〜200nm、例えば、200
nmのYBa2 Cu3 7-X 組成のYBCO下部電極層
12、及び、厚さが200〜600nm、例えば、40
0nmのPrGaO3 層13を順次堆積させる。なお、
YBCO下部電極層12の堆積工程においてスパッタリ
ング法を用いることによって、表面モフォロジーが良好
になり、平坦性に優れた膜が得られる。
【0035】図2(b)参照 次いで、レジストパターン14をマスクとしてArイオ
ン15を用いてイオンミリングを施すことによってラン
プエッジを形成する。なお、図示を省略しているが、こ
のイオンミリング工程においても、YBCO下部電極層
12の露出傾斜面の表面にダメージによる非晶質層が形
成される。
【0036】図2(c)参照 次いで、ランプエッジ部に対して100〜1300V、
例えば、500Vの加速電圧でArイオン16を、5〜
30分、例えば、20分間照射することによって、YB
CO下部電極層12の露出傾斜面の表面に厚さが、例え
ば、10〜20nmの非晶質層17が形成される。な
お、このイオン照射工程によって、YBCOを構成する
Cu原子が飛散し、非晶質層17の組成比は、大凡、
Y:Ba:Cu≒1:1:1となる。
【0037】図3(d)参照 次いで、例えば、50%のO2 を含む10PaのAr雰
囲気中で、600〜800℃、例えば、600℃の温度
で熱処理を、15分〜2時間、例えば、30分間行うこ
とによって非晶質層17を再結晶化して再結晶化層18
を形成する。この再結晶化層18は、ペロブスカイト構
造ではなく、立方晶構造となる。
【0038】図3(e)参照 次いで、成膜速度の大きなレーザアブレーション法を用
いて、例えば、50%のO2 を含む10PaのAr雰囲
気中で、YBa2 Cu3 7-X がc軸配向する温度以上
の温度、例えば、700℃の温度でYBa2 Cu3
7-X を堆積させ、所定の形状にパターニングすることに
よって、YBCO上部電極層19を形成する。
【0039】図4(a)参照 図4(a)は、図3(e)の段階における表面改質型接
合の電流−電圧特性であり、図に示すように超伝導電流
が流れない状態にある。これは、再結晶化層18の厚さ
が10〜20nm程度と厚く、且つ、接合抵抗が大きい
ので超伝導接合になっていないためである。
【0040】再び、図3(f)参照 次いで、MgO基板11をヒーター20上に載置して、
例えば、50%のO2を含む10PaのAr雰囲気中
で、YBCO上部電極層19の堆積温度以上の温度で、
例えば、720℃の温度で熱処理を、15分〜2時間、
例えば、30分間行うことによって再結晶化層18の厚
さを3nm以下にして障壁層21とする。
【0041】図4(b)参照 図4(b)は、図3(f)の段階における表面改質型接
合の電流−電圧特性であり、図に示すように臨界電流特
性が現れる。これは、熱処理によって、再結晶化層18
の厚さが3nm以下と薄くなるとともに、接合抵抗が小
さくなったためであり、この熱処理における、熱処理温
度、時間、雰囲気中の酸素分圧等を制御することによっ
て障壁層21の厚さ及び接合抵抗を任意の値に設定する
ことができ、それによって、任意の値の臨界電流値に設
定することができる。この場合、雰囲気中の酸素分圧を
ある程度高くしているので、YBCO中のO 2 が遊離し
て超伝導電極の劣化が生ずることはない。
【0042】この様に、本発明の第1の実施の形態にお
いては、上部電極層の形成後にアニールを行うことによ
って、接合に超伝導接合特性を付与しているので、上部
電極層の接合形成時までの製造条件を緩和することがで
きるので、所望する接合の臨界電流値によらず、接合の
各作製工程における作製条件を変化させることなく接合
を作製でき、したがって、接合作製条件を定める際に、
特性制御を考慮する必要がなくなり、接合特性の均一性
および再現性にのみ着目した接合作製が可能になる。
【0043】また、超伝導接合の特性決定は、最終段階
のアニール条件を制御することによって行っているの
で、再現性良く所定の値の臨界電流値を有する高温超伝
導体接合を形成することができる。
【0044】次に、図5を参照して、本発明の第2の実
施の形態の製造工程を説明する。 図5参照 上記の第1の実施の形態における図2(a)乃至図3
(e)の工程と全く同様の工程で、超伝導電流の流れな
い厚さの再結晶化層からなる障壁層21を有する高温超
伝導体接合を形成したのち、MgO基板11をヒーター
20上に載置して、例えば、50%のO2 を含む10P
aのAr雰囲気中で、YBCO上部電極層19の堆積温
度以上の温度で、例えば、720℃の温度で熱処理を行
う。
【0045】この熱処理工程において、YBCO下部電
極層12とYBCO上部電極層19との間に電圧源22
から所定の電圧を印加し、YBCO下部電極層12とY
BCO上部電極層19との間に流れる電流を電流計23
によって測定することによって接合抵抗を観測しながら
熱処理を行うものであり、所定の接合抵抗が得られた時
点で熱処理を終了するものである。
【0046】これは、接合の単位断面積当たりの接合抵
抗、即ち、規格化接合抵抗の値と臨界電流密度が、図9
及び図10から明らかなように熱処理条件に依存してい
るためであり、規格化抵抗値を所定の値にすることによ
って、所定の値の臨界電流密度を有する高温超伝導接合
を形成することができる。
【0047】なお、この様な接合抵抗値を観測しながら
の熱処理は、上記の図3(f)の熱処理工程後に行って
も良いものであり、それによって、実際に得られた臨界
電流密度の値が熱処理条件によって規定された臨界電流
密度の値より低い場合に、その臨界電流密度の値を設定
値に調整することができる。
【0048】次に、図6を参照して、本発明の第3の実
施の形態の製造工程を説明する。 図6参照 上記の第1の実施の形態における図3(f)の熱処理工
程後に、例えば、50%のO2 を含む10PaのAr雰
囲気中で、障壁層21の近傍にレーザ光24を局所的に
照射して、障壁層21の厚さを変化させて、臨界電流密
度を局所的に制御するものであり、それによって、高温
超伝導回路装置を互いに異なった臨界電流密度を有する
ジョセフソン接合素子によって構成することができる。
【0049】以上、本発明の各実施の形態を説明した
が、本発明は各実施の形態に記載した構成及び条件に限
られるものではなく、各種の変更が可能である。例え
ば、上記の各実施の形態においては、基板として、YB
COと格子整合するとともに低誘電率のMgOを用いて
るが、MgOに限られるものではなく、MgOと同様に
YBCOと格子整合するとともに低誘電率のLSAT、
即ち、〔LaAlO3 0.3 〔Sr(Al,Ta)
3 0.7 を用いても良いものである。
【0050】さらに、基板としては、LSAT以外にY
BCOと格子整合するSrTiO3を用いても良いが、
この場合には、誘電率が他の材料に比べて大きくなる。
【0051】また、上記の各実施の形態においては、下
部電極層と上部電極層との間の短絡を防止するための絶
縁層としてPrGaO3 を用いているが、PrGaO3
に限られるものではなく、LSAT,Sr(Al,T
a)O3 ,Sr(Al,Nb)O3 ,SrTiO3 ,C
eO2 等を用いても良いものである。この場合、CeO
2 は、YBCOにO2 を供給するという特徴がある。
【0052】また、上記の各実施の形態においては、下
部電極層及び上部電極層としてYBa2 Cu3 7-X
用いているが、YBa2 Cu3 7-X に限られるもので
はなく、REBa2 Cu3 7-X を用いても良いもので
ある。なお、REBa2 Cu3 7-X におけるREはP
r及びCe以外のランタノイド元素であり、これが単独
或いは複数混合してRE:Ba:Cu=1:2:3の比
で含まれるものである。
【0053】また、上記の各実施の形態においては、ダ
メージによって非晶質層を形成する際に、Arイオンを
用いているが、Arイオンに限られるものではなく、例
えば、O2 イオンを用いても良いものである。このO2
イオンを用いた場合には、ダメージは入りにくくなるも
のの、表面のモフォロジーは向上する。
【0054】また、上記の各実施の形態においては、再
結晶化の際の雰囲気として、50%のO2 を含むArガ
スを用いているが、O2 の含有比率は任意であり、10
0%O2 雰囲気中でアニールを行っても良いものであ
り、さらには、O2 の代わりにO3 を混合させたArガ
ス雰囲気中でアニールを行っても良いものである。
【0055】また、上記の第1の実施の形態において
は、図3(e)の工程においては、超伝導電流が全く流
れない条件で上部電極層を堆積しているが、この堆積工
程或いは図3(d)のアニール工程において若干の超伝
導電流が流れても良いものでああり、最終的段階のアニ
ール工程で設定が得られるようにアニール条件を設定す
れば良い。
【0056】また、上記の第2の実施の形態において
は、接合抵抗値を観測しながら熱処理を行い、超伝導接
合特性を付与しているが、この段階で超伝導接合特性を
付与せず、所定の抵抗値を有する抵抗素子としても良い
ものであり、それによって、通常のAu抵抗体に比べて
小面積で大きな抵抗値を有する抵抗素子を構成すること
ができる。なお、この場合、抵抗素子とする接合以外の
接合に対しては、レーザ光を選択的に照射して超伝導接
合特性を付与すれば良い。
【0057】また、上記の第3の実施の形態において
は、超伝導接合特性を付与するためにレーザ光を照射し
ているが、レーザ光に限られるものではなく、電子ビー
ム或いはキセノンランプ光等のフラッシュランプ光等の
他のエネルギービームを照射しても良いものである。
【0058】また、上記の第3の実施の形態において
は、エネルギービームを局所的に照射しているが、基板
全体に照射して、全ての接合に超伝導接合特性を付与し
ても良いものであり、それによって、ヒーター等の加熱
手段は不要になる。
【0059】また、エネルギービームを照射する際に
も、上記第2の実施の形態と同様に下部電極層と上部電
極層との間に電圧を印加し、下部電極層と上部電極層と
の間に流れる電流を測定することによって、規格化接合
抵抗値を観測しながらエネルギービーム照射を行うよう
にしても良いものである。
【0060】また、上記の各実施の形態においてはラン
プエッジ型の接合として説明しているが、ランプエッジ
型の接合に限られるものではなく、図8に示したメサ型
の接合等の他の構造の接合にも適用されるものである。
【0061】ここで、再び、図1を参照して、本発明の
詳細な特徴を説明する。 再び、図1参照 (付記1) 高温超伝導体下部電極層2をイオンを用い
たエッチングによりその表面に損傷を与えたのち、高温
超伝導体上部電極層4の成膜時より低酸素圧力或いは同
じ酸素圧力中で且つ高温熱処理を行う工程、高温超伝導
体上部電極層4を堆積することにより超伝導電流が流れ
ないだけ十分に厚い障壁層5を有する高温超伝導体接合
を形成する工程を備えたことを特徴とする高温超伝導体
接合装置の製造方法。 (付記2) 上記高温超伝導体接合に熱処理を施すこと
により、上記障壁層5の厚さを制御し、超伝導臨界電流
密度および接合断面積あたりの接合抵抗を制御すること
を特徴とする付記1記載の高温超伝導体接合装置の製造
方法。 (付記3) 上記高温超伝導体接合に熱処理を施す工程
が、高温超伝導体上部電極層4の堆積工程の直後に行う
臨界電流特性付与工程であることを特徴とする付記2記
載の高温超伝導体接合装置の製造方法。 (付記4) 上記高温超伝導体接合に熱処理を施す工程
が、臨界電流特性付与工程後に行う高温超伝導体接合の
特性を適正値あるいは設計値に調整する工程であること
を特徴とする付記2記載の高温超伝導体接合装置の製造
方法。 (付記5) 上記高温超伝導体接合装置を構成する一部
の高温超伝導体接合にエネルギービームを照射して熱処
理を行うことにより、高温超伝導体接合の特性を局所的
に調節する工程を有することを特徴とする付記1乃至4
のいずれか1に記載の高温超伝導体接合装置の製造方
法。 (付記6) 上記高温超伝導体接合に熱処理を施す工程
が、超伝導電流が流れない状態を保持しつつ、熱処理あ
るいはエネルギービームの照射のいずれかによる局所的
な熱処理により接合抵抗のみを変化させて抵抗値を制御
する工程であることを特徴とする付記2乃至5のいずれ
か1に記載の高温超伝導体接合装置の製造方法。 (付記7) 上記高温超伝導体接合に熱処理を施す工程
において、熱処理中の接合抵抗を観測することにより、
高温超伝導体接合の臨界電流密度および規格化抵抗ある
いは抵抗体の抵抗値を調整することを特徴とする付記2
乃至6のいずれか1に記載の高温超伝導体接合装置の製
造方法。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、成膜工程において超伝
導接合特性を付与せずに、成膜工程後のアニール工程に
よって超伝導接合特性を付与しているので、所望する接
合の臨界電流値によらず、接合の各作製工程における作
製条件を変化させることなく接合を作製できるため、接
合作製条件を定める際に、特性制御を考慮する必要がな
くなり、それによって、所定の臨界電流密度等を有する
高温超伝導接合を精度良く且つ再現性良く形成すること
ができ、ひいては、高温超伝導回路装置の高性能化及び
信頼性向上に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の途中までの製造工
程の説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の図2以降の製造工
程の説明図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における電流−電圧
特性の説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の製造工程の説明図
である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の製造工程の説明図
である。
【図7】従来のランプエッジ型の表面改質型接合の製造
工程の説明図である。
【図8】従来のメサ型の表面改質型接合の製造工程の説
明図である。
【図9】従来のランプエッジ型の表面改質型接合の特性
のArイオン照射条件依存性の説明図である。
【図10】従来のランプエッジ型の表面改質型接合の特
性の熱処理条件及び上部電極層堆積条件依存性の説明図
である。
【符号の説明】
1 基板 2 高温超伝導体電極層 3 絶縁層 4 高温超伝導体電極層 5 障壁層 6 加熱手段 11 MgO基板 12 YBCO下部電極層 13 PrGaO3 層 14 レジストパターン 15 Arイオン 16 Arイオン 17 非晶質層 18 再結晶化層 19 YBCO上部電極層 20 ヒーター 21 障壁層 22 電圧源 23 電流計 24 レーザ光 31 MgO基板 32 La−YBCO下部電極層 33 PrGaO3 層 34 レジストパターン 35 Arイオン 36 非晶質層 37 再結晶化層 38 La−YBCO上部電極層 39 障壁層 41 MgO基板 42 La−YBCO下部電極層 43 Arイオン 44 非晶質層 45 再結晶化層 46 レジストパターン 47 PrGaO3 層 48 La−YBCO上部電極層 49 障壁層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温超伝導体下部電極層をイオンを用い
    たエッチングによりその表面に損傷を与えたのち、高温
    超伝導体上部電極層の成膜時より低酸素圧力或いは同じ
    酸素圧力中で且つ高温熱処理を行う工程、高温超伝導体
    上部電極層を堆積することにより超伝導電流が流れない
    だけ十分に厚い障壁層を有する高温超伝導体接合を形成
    する工程を備えたことを特徴とする高温超伝導体接合装
    置の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記高温超伝導体接合に熱処理を施すこ
    とにより、上記障壁層の厚さを制御し、超伝導臨界電流
    密度および接合断面積あたりの接合抵抗を制御すること
    を特徴とする請求項1記載の高温超伝導体接合装置の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 上記高温超伝導体接合装置を構成する一
    部の高温超伝導体接合にエネルギービームを照射して熱
    処理を行うことにより、高温超伝導体接合の特性を局所
    的に調節する工程を有することを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の高温超伝導体接合装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記高温超伝導体接合に熱処理を施す工
    程が、超伝導電流が流れない状態を保持しつつ、熱処理
    あるいはエネルギービームの照射のいずれかによる局所
    的な熱処理により接合抵抗のみを変化させて抵抗値を制
    御する工程であることを特徴とする請求項2または3に
    記載の高温超伝導体接合装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記高温超伝導体接合に熱処理を施す工
    程において、熱処理中の接合抵抗を観測することによ
    り、高温超伝導体接合の臨界電流密度および規格化抵抗
    あるいは抵抗体の抵抗値を調整することを特徴とする請
    求項2乃至4のいずれか1項に記載の高温超伝導体接合
    装置の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015146208A1 (ja) * 2014-03-28 2015-10-01 住友重機械工業株式会社 Sns型ジョセフソン接合素子の製造方法及びsns型ジョセフソン接合素子製造装置
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