JP2003028844A - コンクリート圧縮強度測定装置 - Google Patents

コンクリート圧縮強度測定装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 補修工事における補修方法および補修にかか
る工期・費用などを見積もるのに有益な測定結果が得ら
れるコンクリート圧縮強度測定装置を得る。 【解決手段】 コンクリート1に超音波を送信する信号
発生器11および第1の探触子2と、この第1の探触子
から送信されてコンクリート内を伝搬した超音波を受信
する第2の探触子3と、この第2の探触子が受信した超
音波に基づいて当該超音波がコンクリート内を伝搬する
のに要した伝搬時間を計測し、この計測された伝播時間
と第1および第2の探触子の位置とに基づいてコンクリ
ート内の音速分布を求め、その得られた音速分布に基づ
いてコンクリートの圧縮強度分布を推定する演算器12
とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、コンクリートの
圧縮強度を測定するコンクリート圧縮強度測定装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】図3は、例えば特開平3−13859号
公報に示された従来の超音波を用いたコンクリート圧縮
強度測定装置を示す構成図である。図において、1は被
試験体となるコンクリートであり、その厚みをDとす
る。2は送信器としての探触子、3は受信器としての探
触子、4、5は接触媒質、6はオシロスコープ、7は制
御装置、8は出力装置である。
【0003】次に、動作について説明する。コンクリー
ト1の両側に、適当な接触媒質4、5を介して探触子
2、3を対向する位置に配置する。接触媒質4、5はコ
ンクリート1と探触子2、3間における超音波の伝達効
率を向上させるためのものである。この構成において、
図3には示されていないが、適当な電気的駆動手段を用
いて、探触子2にパルス状の超音波を発生させる。探触
子2によって発生した超音波は、コンクリート1を伝搬
して探触子3に到達し、電気信号に変換される。
【0004】図4は、オシロスコープ6に表示されるイ
メージを示す図である。図において、9は探触子2の駆
動電気信号波形であり、10は探触子3が出力する受信
電気信号波形であり、図4の縦軸は信号強度、横軸は時
間を表す。図4から、超音波がコンクリート1を伝搬す
るのに要した時間を測定することができるので、厚みD
を前述の時間で除算すると、超音波がコンクリート1を
伝搬する速度(音速)を求めることができる。
【0005】次に、先に求めた音速からコンクリート1
の強度を推定する。例えば特開平3−13859号公報
では、縦波音速だけでなく、横波音速、縦波受信周波
数、および横波受信周波数もそれぞれ求めて、コンクリ
ート強度の推定精度を向上させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のコン
クリート圧縮強度測定装置は、以上のように構成されて
おり、音速の測定誤差がそのままコンクリート圧縮強度
の推定誤差となるので、音速測定誤差を軽減するために
信号対雑音比(S/N比)を大きくする必要がある。S
/N比を大きくするためには、コンクリートに含まれる
粗骨材平均粒径を考慮して超音波の周波数を最適に選ぶ
必要があるが、このような機能を有していなかった。
【0007】また、従来のコンクリート圧縮強度測定装
置では、探触子(送信器)と探触子(受信器)を結ぶほ
ぼ直線領域の平均的な圧縮強度推定値しか得らないた
め、圧縮強度低下部の大きさ、奥行き等の補修工事に必
要とされる情報が得られない問題点があった。
【0008】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたものであり、コンクリート圧縮強度推定
精度を決定する音速測定誤差を許容範囲内にできるS/
N比を確保しながら、コンクリート内部の圧縮強度分布
を推定できるコンクリート圧縮強度測定装置を得ること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係るコンクリ
ート圧縮強度測定装置は、コンクリートに超音波を送信
する送信手段と、該送信手段から送信されて上記コンク
リート内を伝搬した超音波を受信する受信手段と、該受
信手段が受信した超音波に基づいて当該超音波がコンク
リート内を伝搬するのに要した伝搬時間を計測する計測
手段と、該計測手段で計測された伝播時間と上記送信手
段および受信手段の位置とに基づいて上記コンクリート
内の音速分布を求める第1の信号処理手段と、該第1の
処理手段で得られた音速分布に基づいて上記コンクリー
トの圧縮強度分布を推定する第2の信号処理手段とを備
えたものである。
【0010】また、この発明に係るコンクリート圧縮強
度測定装置は、上記送信手段は、上記コンクリートの一
側に取り付けられた第1の探触子と、該第1の探触子を
駆動するための駆動信号を発生する信号発生器とからな
り、上記受信手段は上記コンクリートの他側に上記第1
の探触子と対向して取り付けられた第2の探触子からな
るものである。
【0011】また、この発明に係るコンクリート圧縮強
度測定装置は、上記第1および第2の探触子は、上記コ
ンクリートを伝搬する超音波の縦波音速を粗骨材平均直
径で除した値の1/2を中心周波数とし、超音波伝搬時
間測定における時間分解能の逆数を周波数帯域の上限と
する広帯域なものである。
【0012】また、この発明に係るコンクリート圧縮強
度測定装置は、上記信号発生器は、測定対象となる上記
コンクリートの厚みから減衰率を想定し、受信信号強度
が外来雑音強度および装置が発生する雑音強度よりも大
きくなるような周波数の駆動信号を発生するものであ
る。
【0013】また、この発明に係るコンクリート圧縮強
度測定装置は、上記信号発生器の駆動信号の発生は、超
音波の送出完了から次に超音波の送出を開始するまでの
時間が、先に上記コンクリート内に送出された超音波が
十分減衰するまでの時間となるように設定されているも
のである。
【0014】さらに、この発明に係るコンクリート圧縮
強度測定装置は、上記第1の信号処理手段は、音速分布
を求める範囲をより小さな領域に分割し、その領域にお
ける未知の音速は一定であると仮定し、各領域の音速の
逆数とその領域を通過する超音波走行距離の積の走行経
路にわたる総和が超音波伝搬時間となるよう行列方程式
を導出し、上記送信手段および受信手段の位置と音速分
布を求める範囲の大きさと分割のしかたを予め設定する
ことで、上記行列方程式の係数行列を決定するものであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
に基づいて説明する。 実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1による
コンクリート圧縮強度測定装置を示す構成図である。図
において、1は被試験体となるコンクリート、2は第1
の探触子、3は受信手段としての第2の探触子、4、5
はコンクリート1と探触子2、3間における超音波の伝
達効率を向上させるための接触媒質、11は探触子2を
駆動するための駆動信号を発生する信号発生器、12は
探触子3の出力と信号発生器11の出力から超音波伝搬
時間を演算し、得られた超音波伝搬時間と探触子2、3
の位置から音速分布を演算し圧縮強度分布を推定する演
算器、13は演算器12の出力を表示する表示器であ
る。
【0016】探触子2はコンクリート1の一側に接触媒
質4を介して取り付けられ、探触子3はコンクリート1
の他側に接触媒質4を介し且つ探触子2と対向して取り
付けられる。また、探触子2と信号発生器11とは、コ
ンクリート1に超音波を送信する送信手段を構成する。
また、ここでは、図示していないけれも、演算器12
は、探触子3が受信した超音波にからこの超音波がコン
クリート1内を伝搬するのに要した伝搬時間を計測する
計測手段と、この計測手段で計測された伝播時間と探触
子2および3の位置からコンクリート1内の音速分布を
求める第1の信号処理手段と、この第1の処理手段で得
られた音速分布からコンクリート1の圧縮強度分布を推
定する第2の信号処理手段とを含む。
【0017】次に、動作について説明する。探触子2、
3はコンクリートを伝搬する超音波の縦波音速を粗骨材
平均直径で除した値の1/2を中心周波数の上限とし、
超音波伝搬時間測定における時間分解能の逆数を周波数
帯域の上限とする広帯域なものを使用する。信号発生器
11はコンクリート1の厚みDから減衰率を想定し、受
信信号強度が外来雑音強度および装置が発生する雑音強
度よりも大きくなるような周波数の駆動信号を発生す
る。なお、この駆動信号の発生は、超音波の送出完了か
ら次に超音波の送出を開始するまでの時間が、先にコン
クリート1内に送出された超音波が十分減衰するまでの
時間となるように設定されている。
【0018】上記のように信号発生器11が出力する駆
動信号の周波数帯域を設定することで、所望のS/N比
を得ることができ、次に述べる超音波伝搬時間の測定誤
差を軽減できる。
【0019】超音波が送出された時刻と受信された時刻
との差から、超音波がコンクリート1を伝搬するのに要
した伝搬時間を測定することができる。この伝搬時間を
用いて、コンクリート内部の音速分布を求める。図2は
音速を求める範囲を示す図である。図2に示すように、
音速を求める範囲を分割し、分割された各領域では音速
は一定とする。図2に示すように、探触子2、3を配置
し、超音波は破線のように直進するものとする。分割さ
れた各領域の音速の逆数を各々χ1,χ2,〜,χ9とす
ると、伝搬時間tは、次式で表される。
【0020】 t=α2χ2+α4χ4+α5χ5+α7χ7 (1)
【0021】ただし、上記(1)式において、α2
α4,α5,α7は破線が各々の領域を横切る長さであ
り、音速を求める領域の大きさ、分割数、および、探触
子2、3の位置によって決まる既知の値となる。音速測
定の精度を高めるため、探触子2、3の位置を変更しな
がら多点計測を実施する。p回の多点計測を実施し、分
割された領域数がq個のとき上記式(1)は、p行q列
の係数行列A、伝搬時間測定結果からなるp行の列ベク
トルt、分割された各領域の音速の逆数からなる列ベク
トルχを用いて、下記の式(2)に示す連立1次方程式
の形に書き改めることができ、この式を解くことで、各
領域の音速を求めることができる。
【0022】 t=Aχ (2)
【0023】係数行列Aは、音速を求める領域の大き
さ、分割数、および探触子2、3の位置によって決まる
既知の値となるので、Aおよびその逆行列A-1を測定毎
に演算する必要はなく、演算処理時間を省くことができ
る。
【0024】最後に、上記で求めた各領域の音速v
j(ただし、j=1〜9)から、各領域の圧縮強度fj
推定する。本実施の形態では、下記の式(3)に示す建
築学会の推定式を採用し、最終的に求めたいコンクリー
ト内部の圧縮強度分布を得る。
【0025】 f=214v−620 (3)
【0026】演算器12は、超音波が送出された時刻と
受信された時刻との差から超音波がコンクリートを伝搬
するのに要した伝搬時間tを計測し(計測手段)、予め
設定されている音速を求める領域の大きさ、分割数、お
よび、探触子2、3の位置から、上記の各領域の音速を
演算し(第1の信号処理手段)、ついで、各領域の圧縮
強度を推定するよう動作する(第2の信号処理手段)。
表示器13は、演算器12の出力を表示するものであ
る。
【0027】上記のように、本実施の形態では、コンク
リート内部の圧縮強度分布を推定・表示することで、強
度低下部の広がり、奥行きがわかるので、補修工事にお
ける補修方法および補修にかかる工期・費用などを見積
もるのに有益な測定結果とすることができる。
【0028】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、コン
クリートに超音波を送信する送信手段と、該送信手段か
ら送信されて上記コンクリート内を伝搬した超音波を受
信する受信手段と、該受信手段が受信した超音波に基づ
いて当該超音波がコンクリート内を伝搬するのに要した
伝搬時間を計測する計測手段と、該計測手段で計測され
た伝播時間と上記送信手段および受信手段の位置とに基
づいて上記コンクリート内の音速分布を求める第1の信
号処理手段と、該第1の処理手段で得られた音速分布に
基づいて上記コンクリートの圧縮強度分布を推定する第
2の信号処理手段とを備えたので、補修工事における補
修方法および補修にかかる工期・費用などを見積もるの
に有益な測定結果が得られるという効果がある。
【0029】また、この発明によれば、上記送信手段
は、上記コンクリートの一側に取り付けられた第1の探
触子と、該第1の探触子を駆動するための駆動信号を発
生する信号発生器とからなり、上記受信手段は上記コン
クリートの他側に上記第1の探触子と対向して取り付け
られた第2の探触子からなるので、補修工事における補
修方法および補修にかかる工期・費用などを見積もるの
に有益な測定結果を得るのに寄与できるという効果があ
る。
【0030】また、この発明によれば、上記第1および
第2の探触子は、上記コンクリートを伝搬する超音波の
縦波音速を粗骨材平均直径で除した値の1/2を中心周
波数とし、超音波伝搬時間測定における時間分解能の逆
数を周波数帯域の上限とする広帯域なものであるので、
超音波伝搬時間の測定誤差を軽減できるという効果があ
る。
【0031】また、この発明によれば、上記信号発生器
は、測定対象となる上記コンクリートの厚みから減衰率
を想定し、受信信号強度が外来雑音強度および装置が発
生する雑音強度よりも大きくなるような周波数の駆動信
号を発生するので、超音波伝搬時間の測定誤差を軽減で
きるという効果がある。
【0032】また、この発明によれば、上記信号発生器
の駆動信号の発生は、超音波の送出完了から次に超音波
の送出を開始するまでの時間が、先に上記コンクリート
内に送出された超音波が十分減衰するまでの時間となる
ように設定されているので、超音波伝搬時間の測定誤差
の軽減に寄与できるという効果がある。
【0033】さらに、この発明によれば、上記第1の信
号処理手段は、音速分布を求める範囲をより小さな領域
に分割し、その領域における未知の音速は一定であると
仮定し、各領域の音速の逆数とその領域を通過する超音
波走行距離の積の走行経路にわたる総和が超音波伝搬時
間となるよう行列方程式を導出し、上記送信手段および
受信手段の位置と音速分布を求める範囲の大きさと分割
のしかたを予め設定することで、上記行列方程式の係数
行列を決定するので、係数行列およびその逆行列を測定
毎に演算する必要はなく、演算処理時間を省くことがで
きるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるコンクリート
圧縮強度測定装置を示す構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態1のコンクリート圧縮
強度測定装置における音速分布を求める範囲を示す図で
ある。
【図3】 従来のコンクリート圧縮強度測定装置を示す
構成図である。
【図4】 従来のコンクリート圧縮強度測定装置におけ
る送信信号および受信信号波形を示す図である。
【符号の説明】
1 コンクリート、2,3 探触子、11 信号発生
器、12 演算器、13表示器。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリートに超音波を送信する送信手
    段と、 該送信手段から送信されて上記コンクリート内を伝搬し
    た超音波を受信する受信手段と、 該受信手段が受信した超音波に基づいて当該超音波がコ
    ンクリート内を伝搬するのに要した伝搬時間を計測する
    計測手段と、 該計測手段で計測された伝播時間と上記送信手段および
    受信手段の位置とに基づいて上記コンクリート内の音速
    分布を求める第1の信号処理手段と、 該第1の処理手段で得られた音速分布に基づいて上記コ
    ンクリートの圧縮強度分布を推定する第2の信号処理手
    段とを備えたことを特徴とするコンクリート圧縮強度測
    定装置。
  2. 【請求項2】 上記送信手段は、上記コンクリートの一
    側に取り付けられた第1の探触子と、該第1の探触子を
    駆動するための駆動信号を発生する信号発生器とからな
    り、上記受信手段は上記コンクリートの他側に上記第1
    の探触子と対向して取り付けられた第2の探触子からな
    ることを特徴とする請求項1記載のコンクリート圧縮強
    度測定装置。
  3. 【請求項3】 上記第1および第2の探触子は、上記コ
    ンクリートを伝搬する超音波の縦波音速を粗骨材平均直
    径で除した値の1/2を中心周波数とし、超音波伝搬時
    間測定における時間分解能の逆数を周波数帯域の上限と
    する広帯域なものであることを特徴とする請求項2記載
    のコンクリート圧縮強度測定装置。
  4. 【請求項4】 上記信号発生器は、測定対象となる上記
    コンクリートの厚みから減衰率を想定し、受信信号強度
    が外来雑音強度および装置が発生する雑音強度よりも大
    きくなるような周波数の駆動信号を発生することを特徴
    とする請求項2または3記載のコンクリート圧縮強度測
    定装置。
  5. 【請求項5】 上記信号発生器の駆動信号の発生は、超
    音波の送出完了から次に超音波の送出を開始するまでの
    時間が、先に上記コンクリート内に送出された超音波が
    十分減衰するまでの時間となるように設定されているこ
    とを特徴とする請求項4記載のコンクリート圧縮強度測
    定装置。
  6. 【請求項6】 上記第1の信号処理手段は、音速分布を
    求める範囲をより小さな領域に分割し、その領域におけ
    る未知の音速は一定であると仮定し、各領域の音速の逆
    数とその領域を通過する超音波走行距離の積の走行経路
    にわたる総和が超音波伝搬時間となるよう行列方程式を
    導出し、上記送信手段および受信手段の位置と音速分布
    を求める範囲の大きさと分割のしかたを予め設定するこ
    とで、上記行列方程式の係数行列を決定することを特徴
    とする請求項1〜5のいずれかに記載のコンクリート圧
    縮強度測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015090281A (ja) * 2013-11-05 2015-05-11 パナソニックIpマネジメント株式会社 超音波測定方法および装置
CN109253921A (zh) * 2018-11-02 2019-01-22 厦门港湾咨询监理有限公司 一种检测混凝土试块强度评价方法
WO2022174480A1 (zh) * 2021-02-22 2022-08-25 郑州航空工业管理学院 纤维纳米混凝土的结构强度评价方法、装置、可读介质

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