JP2003025055A - ダイカスト用プランジャ - Google Patents

ダイカスト用プランジャ

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JP2003025055A
JP2003025055A JP2001371100A JP2001371100A JP2003025055A JP 2003025055 A JP2003025055 A JP 2003025055A JP 2001371100 A JP2001371100 A JP 2001371100A JP 2001371100 A JP2001371100 A JP 2001371100A JP 2003025055 A JP2003025055 A JP 2003025055A
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plunger
plunger tip
tip
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injection sleeve
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剛男 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空度を確保できるダイカスト用プランジャ
を提供する。 【解決手段】 鋳型のキャビティに連通する射出スリー
ブ2内を待機位置Aと射出位置との間で摺動移動可能な
プランジャにおいて、前記プランジャチップ1の外周に
設けた環状溝4に挿入されて射出スリーブ2内に弾性を
持って摺接可能であり且つ待機位置Aにおいて潤滑通路
6から供給される潤滑剤を内部に浸潤して含有可能な環
状のシール材5を配置した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイカスト鋳造装
置におけるキャビティに溶湯を射出する際に使用される
ダイカスト用プランジャに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、鋳物の品質向上の為に、キャ
ビティ内を減圧させた状態で鋳造を行う減圧ダイカスト
法や真空ダイカスト法が採用されており、このような鋳
造法においては、射出スリーブ内を含めてキャビティ内
の減圧(真空)が行なわれる。
【0003】この真空度を確保するため、プランジャと
射出スリーブとの隙間を密封する必要がある。従来にお
ける一方法としては、溶湯に接触して損傷することを避
けて溶湯(溶融金属)と接触しない射出スリーブ後端(ス
リーブの開放端近傍)の内面にプランジャチップ外周と
接触するシール材を配置するものがあった。
【0004】このシール材には、プランジャチップの摺
動抵抗を低減させるため、および、プランジャチップの
磨耗防止のために、ポンプ式の供給装置から供給滴下さ
れる潤滑剤が浸潤され、プランジャチップ外周に潤滑剤
が塗布される。
【0005】また、他の真空度確保の方法としては、積
極的にはシール材を用いず、代わりにプランジャチップ
と射出スリーブとのクリアランスを所定以下に管理する
ことでシールするものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記前
者のシール材を用いる真空度の確保方式においては、プ
ランジャチップが溶湯射出動作を開始(前進)し、シール
材から抜け出た瞬間にプランジャチップと射出スリーブ
との間の隙間によりシール作用を失い、射出スリーブ内
およびキャビティ内の真空度が低下する虞があった。
【0007】また、後者のシール方法においても、プラ
ンジャチップが摺動により摩耗が進行することにより射
出スリーブとのクリアランスが拡大し、やはり真空度の
低下を免れない。
【0008】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、真空度を確保できるダイカスト用プランジ
ャを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、鋳型のキ
ャビティに連通する射出スリーブ内を待機位置と射出位
置との間で摺動移動可能なプランジャチップを備えるプ
ランジャにおいて、前記プランジャチップ後方のプラン
ジャロッド外周の取付け部に設けられて射出スリーブ内
の待機位置において供給される潤滑剤を内部に浸潤して
含有可能な環状のシール材を備えたことを特徴とする。
【0010】第2の発明は、鋳型のキャビティに連通す
る射出スリーブ内を待機位置と射出位置との間で摺動移
動可能なプランジャチップを備えるプランジャにおい
て、前記プランジャチップ外周の取付け部に設けられて
射出スリーブ内の待機位置において供給される潤滑剤を
内部に浸潤して含有可能な環状のシール材を備えたこと
を特徴とする。
【0011】第3の発明は、第1または第2の発明にお
いて、前記シール材は、繊維質材もしくは多孔質材で形
成されていることを特徴とする。
【0012】第4の発明は、第1または第2の発明にお
いて、前記シール材は取付け部に形成した環状溝に挿入
され、前記環状溝のキャビティと離れた側の壁面は、軸
方向に伸びる溝または穴により形成された外気への排出
通路が開口していることを特徴とする。
【0013】第5の発明は、第1、第3、第4の発明の
いずれかにおいて、前記プランジャロッド外周の取付け
部は、ロッドに固定されたネジ部品とネジ部品にねじ込
まれるネジ部材とで形成されていることを特徴とする。
【0014】第6の発明は、第2ないし第4の発明にお
いて、前記プランジャチップは、半径方向内方からシー
ル材を支持する軸状のチップホルダと、軸方向側方から
シール材を支持する筒状のチップリングおよびホルダ押
さえとの組合わせで形成されることを特徴とする。
【0015】
【発明の効果】したがって、第1の発明では、待機位置
で潤滑剤に浸潤され、射出スリーブとプランジャロッド
との間を密封するシール材をプランジャロッド外周の取
付け部に設けたため、溶湯の射出動作の全過程において
シール性能を持続でき、キャビティ内の真空度の低下が
防止でき、鋳物製品の品質を長期間にわたって維持でき
る。更に、シール材は潤滑剤を浸潤して含有するため、
潤滑剤の射出スリーブ内への吸い込み、および、鋳物へ
の巻き込みが防止でき、また、摺動移動により潤滑剤が
射出スリーブ内壁に適量塗布でき内壁を清浄に保持でき
る。
【0016】プランジャロッド外周の取付け部にシール
材が配置されているため、シール材の摩耗屑が発生して
もプランジャチップとの間の空間部に溜まり、プランジ
ャチップと射出スリーブとの隙間を経由しての成形品へ
の摩耗屑の金型キャビティへの巻込みの可能性を非常に
低く抑えることができる。
【0017】プランジャロッドにシール材を組み込む構
成のため、プランジャチップの構成が簡単化でき、シー
ル材から潤滑剤が洩れ出てもプランジャチップと射出ス
リーブとの隙間により金型キャビティ側に巻き込まれる
可能性も小さくできる。
【0018】第2の発明では、待機位置で潤滑剤に浸潤
され、射出スリーブとプランジャチップとの間を密封す
るシール材をプランジャチップの外周の取付け部に設け
たため、溶湯の射出動作の全過程においてシール性能を
持続でき、キャビティ内の真空度の低下が防止でき、鋳
物製品の品質を長期間にわたって維持できる。更に、シ
ール材は潤滑剤を浸潤して含有するため、潤滑剤の射出
スリーブ内への吸い込み、および、鋳物への巻き込みが
防止でき、また、摺動移動により潤滑剤が射出スリーブ
内壁に適量塗布でき内壁を清浄に保持できる。
【0019】第3の発明では、第1または第2の発明の
効果に加えて、シール材を繊維質材もしくは多孔質材で
形成したため、潤滑剤を確実に浸透させ、しかも、含有
させることができ、密封性能を向上できる。
【0020】第4の発明では、第1または第2の発明の
効果に加えて、取付け部に環状溝を形成してシール材を
収容し、環状溝のキャビティから離れた壁面に排出通路
が形成されているため、シール材に過度に潤滑剤が浸潤
されたとしても排出通路を介して外部に排出され、キャ
ビティ側へ吸い出されるのが防止でき、また、清掃時に
は射出スリーブ内への潤滑剤塗布量が安定し、鋳物製品
の品質を安定して向上できる。
【0021】また、潤滑通路からの供給量が安定してい
なくても、シール材への浸透量、含有量が安定している
ため、安価な潤滑剤供給装置でもよく、この点では設備
コストを低減できる。
【0022】第5の発明では、第1、第3、第4の発明
の効果に加えて、プランジャロッド外周の取付け部をロ
ッドに固定されたネジ部品とネジ部品にねじ込まれる部
材とで形成するため、劣化したシール材の交換が容易で
ある。
【0023】第6の発明では、第2ないし第4の発明の
効果に加えて、プランジャチップは、分割されて構成さ
れているため、劣化したシール材の交換が容易であり、
また、シール材に軸方向から接触しているチップリン
グ、および、ホルダ押さえの軸方向寸法が異なるものに
変更することでシール材の軸方向位置を変更可能であ
リ、潤滑剤供給管の位置が異なる射出スリーブを持つ鋳
造装置にも適用可能とできる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0025】図1は本発明を適用したダイカスト用プラ
ンジャの一例を示し、図1において、端部が図示された
射出スリーブ2内で最後退した射出待機位置Aにあり、
図示されていない左側に配置した油圧シリンダから伸び
たプランジャロッド3先端にはプランジャチップ1が連
結されている。
【0026】前記プランジャチップ1は矢印B方向に押
圧され、溶湯を図示していない図中右側の金型キャビテ
ィ内に射出させるよう機能する。プランジャチップ1
は、その外周が射出スリーブ2の内面に摺動自在に嵌合
している。プランジャチップ1は、外周に設けた溝4に
嵌合させて保持するシール材5の外周を射出スリーブ2
内面に接触させることで、キャビティと連なる射出スリ
ーブ2内を外部から密封する。
【0027】前記射出スリーブ2には、射出待機位置A
に位置するプランジャチップ1のシール材5の外周が接
触する内面に開口した潤滑通路6を備える。潤滑通路6
には潤滑剤供給装置7が接続され、潤滑剤が適宜供給さ
れる。
【0028】前記シール材5は、耐熱性、および、耐磨
耗性を備え、しかも、適度な弾性を有する繊維質構造
(例えば、カーボン繊維の織物)、若しくは、多孔質構
造(例えば、フッ素系ゴムの発砲体)からなるリング状
のシールである。シール材5は、プランジャチップ1外
周の取付け部40の溝4に装着されて射出スリーブ2に
嵌合される際に弾性変形されて射出スリーブ2内面に弾
接され、常時接触状態が維持される。前記シール材5に
は、潤滑通路6から供給された潤滑材が内部の隙間に浸
潤されると気体の通過を阻止して密封性が向上し、キャ
ビティと連なる射出スリーブ2内を確実に密封する。前
記浸潤された潤滑剤は、プランジャチップ1が射出スリ
ーブ2内で摺動移動される際に射出スリーブ2内面に塗
布され、射出スリーブ2内面を潤滑剤で湿潤する。
【0029】次に作動を説明する。図1はプランジャチ
ップ1が射出待機位置Aに位置した状態を示し、プラン
ジャチップ1のシール材5には潤滑通路6から潤滑剤が
供給され、シール材5は潤滑剤で浸潤されている。
【0030】この状態で、射出スリーブ2のプランジャ
チップ1の右側空間に図示しない貯湯部から溶湯が所定
量供給され射出準備される。
【0031】射出準備が整うと、プランジャロッド3に
よりプランジャチップ1は射出スリーブ2内を鎖線図示
のごとく前進され、供給された溶湯をキャビティ内に向
けて射出する。
【0032】このとき、シール材5はプランジャチップ
1と共に射出スリーブ2内を摺動し、射出スリーブ2と
シール材5とは常に接触しており、キャビティ内および
射出スリーブ2内の真空度はほとんど低下しない。
【0033】図2は、射出スリーブ2内の真空度の変化
を時間の経過にしたがって測定したグラフである。図2
に示すように、プランジャチップ1と射出スリーブ2と
の隙間を管理する従来においては、破線図示の線Cごと
く時間の経過と共に真空度が低下している。これに対
し、上記シール材5を採用した本実施の例では、実線D
で示すように真空度が殆ど低下しないものであった。な
お、図中鎖線Eで示すものは初期に付与した真空度を示
す。
【0034】上記射出動作が完了して溶湯がキャビティ
内で固化し始めると、金型が開かれ、鋳物製品が取り出
される。その後、プランジャチップ1は、一旦、射出待
機位置Aに後退され、待機位置Aでシール材5は潤滑通
路6から供給された潤滑剤で浸潤される。
【0035】次に、プランジャチップ1は射出スリーブ
2内の清掃のために往復動作を行い、シール材5からの
潤滑剤が射出スリーブ2内面に薄く、ムラなく塗布さ
れ、次の射出に備える。
【0036】この実施の態様においては、待機位置Aで
潤滑剤に浸潤され、射出スリーブ2内面とプランジャチ
ップ1との間を密封するシール材5をプランジャチップ
1の環状溝4に挿入して設けている。このため、溶湯の
射出動作の全過程においてシール性能を持続でき、キャ
ビティ内の真空度の低下が防止でき、鋳物製品の品質を
長期間にわたって維持できる。
【0037】シール材5は弾性をもって射出スリーブ2
内面に摺接するため、シール性能を長期にわたって維持
できる。シール材5は潤滑剤を浸潤して含有するため、
潤滑剤の射出スリーブ2内への吸い込み、および、鋳物
への巻き込みが防止でき、また、摺動移動により潤滑剤
が射出スリーブ2内壁に適量塗布でき内壁を清浄に保持
できる。
【0038】シール材5を繊維質材もしくは多孔質材で
形成したため、潤滑剤を確実に浸透させ、しかも、含有
させることができ、密封性能を向上できる。
【0039】図3は本発明を適用したダイカスト用プラ
ンジャの第2の実施の態様を示し、図1の実施の態様に
対し、プランジャチップ1のシール材5の後方(図中左
側、プランジャロッド3側)の外周に過剰な潤滑油の排
出溝8を設ける構成を追加したものである。即ち、排出
溝8は、シール材5を収容した取付け部40の溝4に一
端を連結し、他端をプランジャチップ1の端部まで軸方
向に伸ばして構成し、円周方向に等間隔に複数配置され
る。
【0040】シール材5は、外周側の潤滑通路6から供
給される潤滑剤がシール材5に浸潤される。シール材5
自体で保有できる許容量を超えると、図4に示すよう
に、排出溝8から潤滑剤が流れ出る。この場合、溝4の
プランジャロッド3側の堰を排出溝8で低くすること
で、排出溝8側に自動的に流れ出る。このため、過剰な
潤滑剤が真空度の高いキャビティ側へ吸い出されること
を防止できる。
【0041】前記潤滑剤の排出は、排出溝8によりプラ
ンジャチップ1外周から行うことのみに限定されない。
例えば、プランジャチップ1のプランジャロッド3側端
面からシール材5の溝4に開口するよう貫通配置した排
出穴9によって排出してもよい。
【0042】なお、図3の左側面図では、右半分を排出
溝8で構成したものを表示し、左半分は排出穴9で構成
したものを表示しているが、この両方の構成を採用する
ことも考えられるが、いずれか一方のみをプランジャチ
ップ1に配置するのが妥当である。
【0043】この構成では、プランジャチップ1が射出
スリーブ2内の清掃のために往復動作されるとき、シー
ル材5からの潤滑剤が射出スリーブ2内面に薄く、ムラ
なく塗布される。シール材5が過剰に潤滑剤を含んでい
る場合には、排出溝8、若しくは、排出穴9により、潤
滑剤の過剰分はキャビティとは反対の側へ排出される。
したがって、射出時に起こる潤滑剤の溶湯への巻き込み
を安定して少なくできる。
【0044】この実施の態様においては、図1の実施の
態様によって得られる効果に加えて、シール材5を収容
する環状溝4のキャビティから離れた壁面に排出溝8、
若しくは、排出穴9からなる排出通路が形成されてい
る。このため、シール材5に過度に潤滑剤が浸潤された
としても排出通路を介して外部に排出され、キャビティ
側へ吸い出されるのが防止できる。また、清掃時には射
出スリーブ2内への潤滑剤塗布量が安定し、鋳物製品の
品質を安定して向上できる。
【0045】潤滑通路6からの供給量が安定していなく
ても、浸透量、含有量が安定しているため、安価な潤滑
剤供給装置7でもよく、この点では設備コストを低減で
きる。
【0046】図5は本発明を適用したダイカスト用プラ
ンジャの第3の実施の態様を示し、図1、3の実施の態
様では一体形成のプランジャチップ1の外周にシール材
5取付け用の溝3を形成するが、本実施の態様において
は、プランジャチップ1を分解可能に構成したものであ
る。
【0047】図5において、プランジャチップ1は、チ
ップホルダ11と、射出スリーブ2内面と接するチップ
リング12と、チップリング12に隣接してリング状の
シール材5と、ホルダ押さえ13とから構成される。過
剰な潤滑剤の排出穴9は、ホルダ押さえ13に形成され
る。
【0048】図6に示すように、チップホルダ11にチ
ップリング12、シール材5、ホルダ押さえ13を嵌合
させた状態で、プランジャロッド3先端にねじ込む。こ
れにより、チップリング12、シール材5、および、ホ
ルダ押さえ13がプランジャロッド3とチップホルダ1
1との間に挟み込まれて一体化される。なお、図6で
は、排出穴9の表示が省略されている。
【0049】このように分割構造にすると、シール材5
が劣化等により新品と交換する際に交換作業が容易とな
る一方、チップリング12、および、ホルダ押さえ13
を伴に交換することでシール材5の位置を変更可能とで
きる。
【0050】チップホルダ11とホルダ押さえ13とは
キー溝14等により軸回りに位置ズレしないように構成
することで、プランジャロッド3からプランジャチップ
1がねじ結合の弛みが防止できる。
【0051】この実施の態様においては、プランジャチ
ップ1が分割されて構成されているため、劣化したシー
ル材5の交換が容易である。また、シール材5に軸方向
から接触しているチップリング12、および、ホルダ押
さえ13の軸方向寸法が異なるものに変更できるため、
シール材5の軸方向位置を変更可能であリ、潤滑通路6
の軸方向位置が異なる射出スリーブ2を持つ鋳造装置に
も適用可能とできる。
【0052】図7は本発明を適用したダイカスト用プラ
ンジャの第4の実施の態様を示し、図1〜6の実施の態
様では摩耗屑を生じ難いシール材を利用することを対象
としたものであるが、本実施の態様においては、摩耗屑
を生じるシール材も適用できるようにしたものである。
【0053】図7において、プランジャロッド3のプラ
ンジャチップ1に近接した外周部分に環状溝20により
形成した取付け部25を設け、この取付け部25の環状
溝20にシール材5を保持させる。環状溝20は、図8
に示すように、プランジャロッド3にナット21を固定
し、このナット21にネジ部品22をねじ込むことで形
成される。そして、ネジ部品22の軸部22Aの外周を
環状溝20の底部を構成し、ネジ部品22に設けたフラ
ンジ22Bとナット21の側面とが環状溝20の縁を構
成している。プランジャロッド3へのシール材5の環状
溝20の形成方法は、上記した構造に限られることな
く、図示しないが、ネジ部品22をプランジャロッド3
に固定し、ネジ部品22にナット21をねじ込むように
してもよい。また、ネジ部品22をプランジャチップ1
とは反対の側に配置し、プランジャチップ1側にナット
21を配置しているが、この配置に限定されることな
く、プランジャチップ1側にネジ部品22を配置するも
のであってもよい。そして、シール材5は、先に説明し
た各実施の態様と同様に、射出スリーブ2の内面に接触
して金型キャビティ内を外部から密封し、潤滑剤供給装
置7から潤滑通路6を介して潤滑材が供給されている。
【0054】シール材5はプランジャチップ1の後方に
空間Cを空けて配置されている。プランジャチップ1と
は反対側に発生するシール材5の摩耗屑はキャビティと
は逆側の外部であるためキャビティ側に紛れ込むことは
ない。シール材5からキャビティ側に発生する摩耗屑は
キャビティに紛れ込むことが予想される。しかし、シー
ル材5とプランジャチップ1との間に空間Cが配置され
ているため、摩耗屑は一時的にこの空間Cに貯留され
る。このため、シール材5の摩耗屑が直ちにキャビティ
への溶湯に紛れることは防止される。
【0055】射出工程を重ねてゆくと空間Cに貯留され
た摩耗屑がプランジャチップ1と射出スリーブ2との隙
間を経由してプランジャチップ1の前方に紛れる虞があ
る。このために、以下の清掃作動により摩耗屑の排出が
なされる。
【0056】先ず、溶湯の金型キャビティへの射出が完
了して成形品を取り出した後に、プランジャロッド3を
フルストローク分だけ後退させてシール材5を潤滑剤で
充分に湿潤する。
【0057】次いで、射出スリーブ2内の清掃のために
プランジャロッド3を往復動作させ、シール材5からの
潤滑剤を射出スリーブ2内に薄くムラなく塗布する。往
復動作の前端は金型の固定型・可動型の分割面の位置に
シール材5が到達するまでであり、シール材5のプラン
ジャチップ1側にある摩耗屑は固定型・可動型の間から
外部へ排出される。
【0058】なお、シール材5が過剰に潤滑剤を含む場
合には、図9に示すように、シール材5の環状溝20の
プランジャチップ1とは反対の側面に過剰な潤滑剤の排
出用の穴9Aを設けることで、図3の実施の態様と同様
に、プランジャチップ1と反対側に排出できる。この構
造とすることで、射出時に起こり得る潤滑剤の溶湯への
巻き込みは抑えることができる。なお、穴9Aに代えて
溝でもよい。
【0059】本実施の態様にあっては、図1〜6に示す
態様で奏する効果に加えて以下に記載する効果を奏す
る。即ち、プランジャロッド3に環状溝20に内蔵して
シール材5が配置されているため、シール材5の摩耗屑
が発生してもプランジャチップ1との間の空間Cに溜ま
り、プランジャチップ1と射出スリーブ2との隙間を経
由しての成形品への摩耗屑の金型キャビティへの巻込み
の可能性を非常に低く抑えることができる。
【0060】プランジャロッド3にシール材5を組み込
む構成のため、プランジャチップ1の構成が簡単化で
き、シール材5から潤滑剤が洩れ出てもプランジャチッ
プ1と射出スリーブ2との隙間により金型キャビティ側
に巻き込まれる可能性も小さくできる。
【0061】また、図8に示す例では、プランジャロッ
ド3の外周の環状溝20をプランジャロッド3に固定さ
れたネジ部品21とネジ部品21にねじ込まれるネジ部
材22とで形成するため、劣化したシール材5の交換が
容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すダイカスト用プラン
ジャチップの側面図。
【図2】射出スリーブ内の真空度の変化を時間の経過に
したがって測定したグラフ。
【図3】本発明の他の実施形態のダイカスト用プランジ
ャチップの左側面図(A)、正面図(B)、右側面図
(C)。
【図4】同じくシール材を拡大して示す断面図。
【図5】本発明のさらに他の実施形態のダイカスト用プ
ランジャチップを分解して示す左側面図(A)、正面図
(B)、右側面図(C)。
【図6】図5に示したダイキャスト用プランジャチップ
の組立状態の断面図。
【図7】本発明のさらに他の実施形態のダイカスト用プ
ランジャの側面図。
【図8】図7に示したシール保持部の分解図(A)、組
立図(B)、側面図(C)。
【図9】シール保持部の他の例を示す側面図(A)、正
面図(B)。
【符号の説明】
1 ダイカスト用プランジャチップ 2 射出スリーブ 3 プランジャロッド 4、20 溝(環状溝) 5 シール材 6 潤滑通路 7 潤滑剤供給装置 8 排出溝 9 排出穴 11 チップホルダ 12 チップリング 13 ホルダ押さえ 21 ナット(ネジ部品) 22 ネジ部品 25、40 取付け部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳型のキャビティに連通する射出スリー
    ブ内を待機位置と射出位置との間で摺動移動可能なプラ
    ンジャチップを備えるプランジャにおいて、 前記プランジャチップ後方のプランジャロッド外周の取
    付け部に設けられて射出スリーブ内の待機位置において
    供給される潤滑剤を内部に浸潤して含有可能な環状のシ
    ール材を備えたことを特徴とするダイカスト用プランジ
    ャ。
  2. 【請求項2】 鋳型のキャビティに連通する射出スリー
    ブ内を待機位置と射出位置との間で摺動移動可能なプラ
    ンジャチップを備えるプランジャにおいて、 前記プランジャチップ外周の取付け部に設けられて射出
    スリーブ内の待機位置において供給される潤滑剤を内部
    に浸潤して含有可能な環状のシール材を備えたことを特
    徴とするダイカスト用プランジャ。
  3. 【請求項3】 前記シール材は、繊維質材もしくは多孔
    質材で形成されていることを特徴とする請求項1または
    請求項2に記載のダイカスト用プランジャ。
  4. 【請求項4】 前記シール材は取付け部に形成した環状
    溝に挿入され、前記環状溝のキャビティと離れた側の壁
    面は、軸方向に伸びる溝または穴により形成された外気
    への排出通路が開口していることを特徴とする請求項1
    または請求項2に記載のダイカスト用プランジャ。
  5. 【請求項5】 前記プランジャロッド外周の取付け部
    は、ロッドに固定されたネジ部品とネジ部品にねじ込ま
    れるネジ部材とで形成されていることを特徴とする請求
    項1、3、4のいずれか一つに記載のダイカスト用プラ
    ンジャ。
  6. 【請求項6】 前記プランジャチップは、半径方向内方
    からシール材を支持する軸状のチップホルダと、軸方向
    側方からシール材を支持する筒状のチップリングおよび
    ホルダ押さえとの組合わせで形成されることを特徴とす
    る請求項2ないし請求項4のいずれか一つに記載のダイ
    カスト用プランジャ。
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JP2012066289A (ja) * 2010-09-24 2012-04-05 Toyota Motor Corp 減圧鋳造装置のシール構造
JP2012135771A (ja) * 2010-12-24 2012-07-19 Toyota Motor Corp プランジャチップ
EP3881951A1 (de) * 2020-03-20 2021-09-22 ae group ag Spritzgussmaschine und verfahren zum schmieren einer spritzgussmaschine

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