JP2003024756A - 保鮮用ガス選択透過膜 - Google Patents

保鮮用ガス選択透過膜

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JP2003024756A JP2001217879A JP2001217879A JP2003024756A JP 2003024756 A JP2003024756 A JP 2003024756A JP 2001217879 A JP2001217879 A JP 2001217879A JP 2001217879 A JP2001217879 A JP 2001217879A JP 2003024756 A JP2003024756 A JP 2003024756A
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林  俊一
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素及び二酸化炭素に対して高い選択透過性
を有し、酸素透過度、e値(二酸化炭素透過度/酸素透
過度)、及びガラス転移温度(Tg)の各値を適当な値
に操作できる保鮮用ガス選択透過膜を提供する。 【解決手段】 イソシアネートと、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレ
ングリコール等のポリオールと、ポリシロキサンカルビ
ノール変性等のシリコン型ポリオールとを重合して得ら
れ、ガラス転移温度0〜40℃の範囲で酸素及び二酸化
炭素に対する選択透過性が大きく変化することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、野菜等の青果物を新鮮
に長期保存することができる酸素及び二酸化炭素に対し
て選択透過性を有するガス選択透過膜に関する。
【0002】
【従来技術】野菜、果物、生花等の貯蔵、栽培、輸送等
の流通過程は、鮮度ニーズ、国内産地の衰退、輸入品の
増加、安全性への配慮などの面から、そのシステムが大
きく変化している。近年では、CA(Controlled Atmos
phere)と呼ばれるガス組成や濃度等の積極的な雰囲気
コントロールが重要視されており、例えば、特開平8−
164590号公報に開示されている水蒸気透過膜が開
発されている。この水蒸気透過膜は、そのガラス転移温
度(Tg)を0〜40℃の範囲の任意に選ばれた1点の
温度に設定できることから、流通段階において野菜貯蔵
容器内の温度が上昇することにより野菜の呼吸作用や蒸
散作用が盛んな時に透湿度が大きくなり、貯蔵段階にお
いて野菜貯蔵容器内の温度が低温に安定した時や野菜の
収納量が少なくて野菜からの水分の蒸散が少ない時に透
湿度が小さくなるといった湿度制御をすることができ
る。
【0003】一方、野菜等は暗所で酸素を吸収し二酸素
炭素を放出するため、上記のような水蒸気透過膜の他
に、酸素及び二酸素炭素のガス選択透過膜の開発も望ま
れている。しかし、その選択透過性や、ガラス転移温度
(Tg)前後での透過度変化について、野菜等の包装用
に実施するのに十分な物性を有するガス選択透過膜は未
だ開発されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸素及び二
酸化炭素に対して高い選択透過性を有し、酸素透過度、
e値(二酸化炭素透過度/酸素透過度)、及びガラス転
移温度(Tg)の各値を適当な値に操作できる保鮮用ガ
ス選択透過膜を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の保鮮用ガス選択透過膜は、イソシアネート
とポリオールとシリコン型ポリオールとを重合して得ら
れ、ガラス転移温度0〜40℃の範囲で酸素及び二酸化
炭素に対する選択透過性が大きく変化することを特徴と
する。このような組成により、嵩が高い構造として知ら
れるシリコンを、重合して得られるポリウレタンの分子
鎖中に導入することができる。ポリウレタンのガス透過
には、ポリオールの分子量と化学構造が大きく関与して
いる。したがって、化学構造に由来する立体障害を、ポ
リウレタン中の低分子(ガス)が拡散できる無定型領域
に導入し、まわりのポリマー鎖をゆがめることによっ
て、酸素透過度、二酸化炭素透過度を酸素透過度で割っ
て得られるe値、及びガラス転移温度(Tg)の各値を
コントロールすることが可能となる。ここで、目標とす
る酸素透過度は10〜10,000cm3/m2/24h
r/atmの範囲で、e値は1〜10の範囲である。
【0006】上記ポリオールとしては、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメ
チレングリコールからなる群から選ばれる1つ又は2以
上の組み合わせを用いることができる。その重量平均分
子量は好ましくは300〜5000、より好ましくは4
00〜3000の範囲とすることができる。上記シリコ
ン型ポリオールとしては、ポリシロキサンカルビノール
変性などのジメチルシロキサン基を有するポリオールを
用いることができる。シリコン型ポリオールは、ポリオ
ールに対して重量比で好ましくは1〜70wt%、より
好ましくは2〜4wt%を配合することができる。ま
た、本発明は、上記に記載したガス選択透過膜を、冷蔵
庫の野菜室用の調湿膜や、冷蔵又は冷凍用のショーケー
スカバー、食品保鮮フィルムなどの青果物保鮮用透過膜
として用いることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について詳細
に説明する。本発明に係るガス選択透過膜は、イソシア
ネートとポリオールとシリコン型ポリオールとを重合し
て得られるシリコン導入ポリウレタンであることを特徴
とする。上記ポリオールとしては、特に限定されない
が、その構造にメチレン鎖(−CH2−)が増えると酸
素透過度は増加し、また、側鎖にメチル基(−CH3
があると酸素透過度は増加する傾向があることを考慮し
て選定することができる。例えば、ポリエチレングリコ
ール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PP
G)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等を
用いることができる。
【0008】ポリオールの重量平均分子量(Mw)は、
特に限定されないが、分子量が大きくなると酸素透過度
及びe値が増加する傾向があることを考慮して選定する
ことができる。分子量は300〜5000が好ましく、
さらに400〜3000が好ましい。分子量が5000
を超えると反応性が低くなり、一方、分子量が300未
満となると反応性が高くなるため、安定したポリマーの
重合が困難である。また、分子量が300未満の場合、
酸素透過度が低すぎて実用化できない。一方、5000
を超えると、ポリオールの特性が強くなり、ポリウレタ
ン本来の特性を損なうため好ましくない。
【0009】上記シリコン型ポリオールとしては、シリ
コン(Si)を含有するポリオールであれば特に限定さ
れないが、ジメチルシロキサン基を有するポリオール
や、トリメチルシリル基を有するポリオールなどを用い
ることができる。分子量は特に限定されないが、ポリマ
ー重合の反応性を良くするため、分子量2000未満の
ものが好ましい。上記ジメチルシロキサン基を有するポ
リオールとしては、例えば、以下の化学式で示されるポ
リシロキサンカルビノール変性(PSi)がある。
【0010】
【化1】
【0011】シリコン型ポリオールは、ポリオールに対
して重量比で好ましくは1〜70wt%、より好ましく
は2〜4wt%を配合することができる。配合量が1w
t%未満の場合、得られるガス選択透過膜のシリコン含
有量が少なくなるため、嵩高い構造のシリコンがポリマ
ー鎖をゆがめることによって得られる酸素透過度の増加
効果が、ガス選択透過膜に十分に反映されず好ましくな
い。一方、配合量が70wt%を超えると、ポリオール
よりシリコン型ポリオールの酸素透過度やe値等の物性
がガス選択透過膜に反映されることになり好ましくな
い。
【0012】上記イソシアネートとしては、特に限定さ
れないが、例えば、4,4−ジフェニルメタンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエン
ジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどを用
いることができる。また、鎖延長剤としては、特に限定
されないが、例えば、エチレングリコール、1,4−ブ
チレングリコール、1,6−ヘキセングリーコールなど
を用いることができる。
【0013】上記のようにして得られたシリコン導入ポ
リウレタンは、酸素及び二酸化炭素に対して高い選択透
過性を有するため、ガス選択透過膜として用いることが
できる。また、このガス選択透過膜は、そのガラス転移
温度(Tg)より高温であるゴム状態の場合に酸素透過
度が高くなり、Tgより低温であるガラス状態の場合に
酸素透過度が低くなるという性質を有する。このため、
野菜等の青果物は流通段階で温度が上昇することにより
酸素を必要とする呼吸作用が盛んになるが、この時にガ
ス選択膜の透過度は大きくなる一方、貯蔵段階で温度が
低温に安定して青果物の呼吸が少なくなる時に、ガス選
択膜の透過度が小さくなる。すなわち、本発明に係るガ
ス選択透過膜を青果物の包装に使用することによって、
温度が0〜40℃の範囲で変化しても包装内の酸素と二
酸化炭素の濃度を制御することができる。包装用途とし
ては、例えば、冷蔵庫の野菜室用の調湿膜や、冷蔵又は
冷凍用のショーケースカバー、食品保鮮フィルムなどが
ある。また、本発明に係るガス選択透過膜に、Tgを境
とした温度依存性を有する水蒸気透過膜の機能も加える
ことで、湿度も同時にコントロールできることから、青
果物の鮮度をより良く保つことができる。
【0014】
【実施例】実験例1 ガス選択透過膜の原料であるポリオールについて、重量
平均分子量(Mw)及び化学構造の違いの点から、表1
に示す9種類のポリオールを選定し、物性測定試験を行
った。
【0015】
【表1】
【0016】ガス選択透過膜の重合を以下の方法によっ
て実施した。まず、重合の主原料としては、上記9種類
のポリオールモノマーと、鎖延長剤モノマー、イソシア
ネートモノマーを用いた。溶媒としては、ジメチルホル
ムアミド(DMF)を用いた。添加剤としては、ヒンダ
ードアミン系樹脂安定剤(日本ヒドラジン株式会社製H
N−130)を用いた。触媒としては、錫ラウレート系
触媒(旭電化工業株式会社製BT−11)を用いた。重
合は上記9種類のポリオールに対して全て、ポリマー固
形分250g、溶媒分650〜750gのスケールで実
施した。
【0017】先ず、1LのセパラブルフラスコにDM
F、添加剤、ポリオールの順で投入し、完全に相溶させ
た。次に、イソシアネートを投入し、40℃で30分、
プレポリマー化反応を行った。そして、30gのDMF
で希釈した鎖延長剤モノマー(エチレングリコール)を
滴下ロートで30分かけて滴下し、ポリマー化反応を行
った。さらに、90℃に昇温し、先に投入したイソシア
ネート量の2〜3%とDMF100〜150gを交互に
投入し、規定の固形分、粘度に調整した。最後に、約6
0℃まで温度を下げ、30gのDMFで希釈したエタノ
ール2.5gを投入し、反応を停止させた(約30
分)。これによって、上記9種類のポリオールについ
て、ポリマー溶液を得た。
【0018】ポリマーの製膜条件としては、ガラス板に
リンテック株式会社製離型紙を貼り、上記により得られ
た溶液をそれぞれコンマコーターにて均一に塗布した
後、オーブン中で乾燥させた。乾燥条件は70℃で2時
間と、100℃で4時間とし、乾燥後にフィルム膜厚が
約50μmとなるように製膜した。
【0019】ガス透過測定としては、JIS K 71
26(差圧法)に準拠し、ガス・蒸気透過率測定装置
(ヤナコ社製GTR−30XAM)を用い、温度23℃
の下で、酸素および二酸化炭素のガス透過度を測定し
た。引張り試験は、JIS K 6301に準拠して行
った。Tgは、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス
社製)により測定した。これらによって得られた各ポリ
マーの物性値及びポリマー組成を表2および図1に示
す。酸素および二酸化炭素の透過度は、フィルム膜厚を
30μmとした場合の換算値とした。また、酸素透過率
(酸素透過係数)とは、酸素透過度に試験片の厚さを乗
じて、単位当りの透過量に換算したものをいい、単位は
cm3(標準状態)・cm/cm2/sec/cmHgで
表される。
【0020】
【表2】
【0021】図1は、PEGの分子量(Mw)の変化に
対する酸素透過度及びe値を表す。図1に示すように、
PEGの分子量の増大により、酸素透過度およびe値が
それぞれ増加することがわかった。ポリオール分子量の
増大は、ソフトセグメント(フレキシビリティーの高い
構造)の増加につながる。このため、ポリマー分子間隙
も大きくなり、ガス透過性が向上すると考えられる。一
方、分子間隙が大きくなることは、透過するガス分子の
大小や極性等によらず一様にガスを透過させてしまうた
め、ガス選択分離能は低くなる(すなわちe値は大きく
なる)と考えられる。
【0022】また、ポリオール構造の違いに対するガス
透過度及びe値を表したものとして図2を示す。構造の
違いを検討するため、分子量(Mw)は全て1000の
ものである。図2に示すように、PEGはメチレン鎖
(−CH2−)を2つ有し、PTMGはメチレン鎖を4
つ有すことから、ポリオールのメチレン鎖が増加するに
つれて、酸素透過度が増加することがわかった。一方、
e値は、構造の違いによらず10前後の値となった。ま
た、側鎖にメチル基(−CH3)を有するPPGは、メ
チレン鎖が同数で側鎖の無いPEGに比べて、酸素透過
度が大きくなり、e値は小さい値となった。側鎖による
立体障害が酸素透過度、e値に大きく影響することがわ
かった。
【0023】酸素透過度を大きくするのには、メチレン
鎖を長くする又は側鎖を導入するのが有効であるが、e
値を小さく(選択分離性を向上)するのには有効ではな
い。e値を小さくするには分子量を下げるのが有効であ
ることは、図1からわかっているが、これでは酸素透過
度が小さくなる。そこで、立体障害に着目し、ポリマー
鎖にシリコンのような嵩高い構造を導入することによっ
て、酸素透過に必要な空隙とガス選択性に必要な障害と
を、重合によって同時に導入することができることがわ
かった。
【0024】実験例2 実験例1で重合したポリマー組成の中から、PEG分子
量400及び600のものに対して、測定環境の温度を
変化させ、ガラス転移温度(Tg)前後での酸素透過係数
(PO2)の変化を測定する試験を行った。測定は、実
験例1と同様にJIS K 7126(差圧法)に準拠
して行った。装置の構成上、測定温度は5〜60℃の範
囲とし、テストガス圧力は0.5kgf/cm2に固定
して測定を行った。測定により得られた結果を図3に示
す。
【0025】図3に示すように、PEG600(K−1
6)では、K−16のTgである10℃付近に変曲点は
見られなかったが、PEG400(K−400)では、
Tgである40℃付近に変曲点が見られた。K−16で
変曲点が見られなかった理由として、Tg(10.3
℃)と測定可能温度下限(5℃)が近く、ガラス状態の
温度範囲について十分に測定データが得られなかったこ
とや、正確に温度制御できなかった(低温雰囲気のコン
トロールは測定装置チラー性能による)等が考えられ
る。一方、K−400では、Tg(41.6℃)の前後
の温度範囲で多くの測定データが得られたため、Tg付
近に変曲点を観察できたと考えられる。図3に示すよう
に、Tgを境に低温側と高温側では酸素透過係数の傾き
が異なった。低温側のガラス領域では、ポリマー及び酸
素の分子運動性が低温のため抑制され、ガス透過係数の
傾きが小さくなると考えられ、一方、高温側のゴム領域
では、ポリマー及び酸素の分子運動性が高温のため活発
となり、ガス透過係数の傾きが大きくなったと考えられ
る。
【0026】ここで、本発明に係るガス選択透過膜の特
徴を説明するため、温度変化に対するK400及び塩化
ビニル(PVC)の酸素透過係数を表したものを図4に
示す。但し、PVCの酸素透過係数は文献からの値であ
る。PVCでは温度と酸素透過係数の関係は直線である
のに対し、K−400では変曲点を有した。これは、形
状記憶ポリマー特有のミクロブラウン運動と呼ばれる熱
振動状態が、Tg前後の温度で大きく異なるためである
と考えられる。ポリマーの場合、Tgを境にしてポリマ
ーのガラス領域とゴム領域が変化する中間に、遷移領域
と呼ばれるガラス状態でもゴム状態でも無い状態が存在
し、その温度幅が20℃程度あることが一般に知られて
いる。表2に示した透過度の測定値は、室温である23
℃で固定して行われているため、ポリマーによってガラ
ス状態、遷移状態、ゴム状態で測定されているため、単
純には比較できない。
【0027】また、温度変化に対するPEG400(K
400)の酸素透過係数及びe値を表したものを図5に
示す。酸素透過係数には変曲点が見られたが、e値には
変曲点が見られず、6.0前後の値を保った。これは、
温度を上げても透過してくる酸素と二酸化炭素の比率は
変わらないことを示している。つまり、ガス選択透過膜
をTg以上の温度で使用することによって、ガス選択分
離能を変えずに酸素透過度を大きくすることができるこ
とがわかった。
【0028】実施例1と参考例1 シリコン導入ポリウレタン重合体を得るため、シリコン
型ポリオールとして、分子量(Mw)が1000である
ポリシロキサンカルビノール変性(PSi1000)を
用いた。ポリオールとしては、PEG400、PEG6
00、PEG1000、PEG3000及びPTMG1
000を用いた。PSi1000の導入量は、ポリオー
ルに対して重量比で約3wt%(2.3〜3.4wt
%)とした。以上の条件の他は実験例1と同様にして重
合を行った。得られた実施例であるポリマーについて、
実験例1と同様に物性測定試験を行った。その結果を表
3に示す。また、シリコン導入前後の酸素透過度とTg
についてまとめたものを表4に示す。また、参考例とし
て、PSi1000のみを上記と同様に重合した。得ら
れたポリマーについても、同様に物性測定試験を行っ
た。その結果を表3及び表5に示す。
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】表3及び表4に示したデータから、PEG
の分子量の変化に対する酸素透過度及びe値を表したも
のが図6である。図6に示すように、分子量の増大によ
り、酸素透過度は増加した。一方、e値は5前後の値を
保持した。また、表4に示すように、PEGのシリコン
導入後の酸素透過度は、シリコン導入前に比べ1.2倍
〜9倍と増加している。シリコン導入後のTgも、シリ
コン導入前に比べ1℃〜5℃高くなった。また、表3及
び表4に示したデータから、シリコン導入後のポリオー
ル構造に対するガス透過度及びe値を表したものが図7
である。構造の違いを検討するため、分子量は両方とも
1000のものである。図2と図7を比較すると、PE
Gではシリコン導入前に対して酸素透過度が増加したの
に対し、PTMGでは減少した。また、シリコン導入後
のe値は、PEGもPTMGも5以下となり、シリコン
導入前に比べて高いガス選択性を示した。
【0033】ここで、図8は、温度変化に対するK40
0とK16の酸素透過係数を表した図に、K400Si
とK16Siの酸素透過係数を示した図である。K40
0SiはK400に比べて酸素透過係数が微増したが、
測定温度は23℃であり、K400SiのTgが約40
℃であることから、ガラス状態での測定であった。一
方、K600SiはK16に比べて酸素透過係数が増大
したが、測定温度は23℃であり、K600SiのTg
が約10℃であることから、ゴム状態での測定であっ
た。
【0034】したがって、シリコン導入によって、ガラ
ス状態では酸素透過係数を低く抑えることができ、ゴム
状態では酸素透過係数をより高くすることができる(図
8のK400Siの温度依存性曲線(推定)を参照)。
これは、PEG1000Si及びPEG3000Siが
ガラス状態の測定で酸素透過係数が増大し、PP700
Siがゴム状態の測定で酸素透過係数がほぼ同じであっ
たことから裏付けられる。ここで、P1000Siはゴ
ム状態での測定で酸素透過係数が減少しているが、これ
は、PTMG直鎖のメチレン数が4とPEGに比べて長
く、シリコン導入で形成されるポリマー鎖の歪みがうま
く形成されず、酸素透過に必要な空隙ができていないた
めであり、PEGとは単純に比較できないと考えられ
る。
【0035】シリコンの導入は、Tgが上がる方向にも
関わらず(つまり、常温ではポリマーがよりガラス状態
へと近づく)、酸素透過度およびガス選択性(e値)向
上に効果を示した。ポリマーの立体構造や分子鎖長に手
を加えることで、非多孔質膜でもこのような効果がある
ことがわかった。
【0036】
【発明の効果】上記説明したように、本発明によれば、
酸素及び二酸化炭素に対して高い選択透過性を有し、酸
素透過度、e値(二酸化炭素透過度/酸素透過度)、及
びガラス転移温度(Tg)の各値を適当な値に操作でき
る保鮮用ガス選択透過膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PEGの重量平均分子量の変化に対する酸素透
過度及びe値を表した図である。
【図2】ポリオール構造の違いに対するガス透過度及び
e値を表した図である。
【図3】温度変化に対するK400及びK16の酸素透
過係数を表した図である。
【図4】温度変化に対するK400及びPVCの酸素透
過係数を表した図である。
【図5】温度変化に対するK400の酸素透過係数及び
e値を表した図である。
【図6】シリコン導入ポリウレタンのPEG分子量の変
化に対する酸素透過度及びe値を表した図である。
【図7】PEG1000SiとPTMG1000Siの
ガス透過度及びe値を表した図である。
【図8】温度変化に対するK400及びK16の酸素透
過係数を表した図に、K400Si及びK16Siの酸
素透過係数を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08G 18/65 C08G 18/65 D // B65D 81/24 B65D 81/24 D 85/50 85/50 C G (72)発明者 三輪 典生 愛知県名古屋市中村区岩塚町字九反所60番 地の1 中菱エンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 3E035 AA11 BC02 BD10 3E067 AB08 AB09 BA17A BB14A CA30 FC01 GD01 3E086 AD13 AD28 AD30 BA02 BA15 BB03 CA17 4D006 GA41 MA03 MB04 MC32X MC33X MC51X MC65X PB17 PB62 PB64 PC80 4J034 BA07 BA08 CA04 CB03 CB07 CC03 CC08 DA01 DB04 DB07 DG03 DG04 DG06 DM01 FA01 FB01 FC03 FD01 HA01 HA07 HC03 HC12 HC17 HC22 HC46 HC52 HC61 HC67 HC71 HC73 QA05 QB03 QC08 RA01 RA06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イソシアネートとポリオールとシリコン
    型ポリオールとを重合して得られ、ガラス転移温度0〜
    40℃の範囲で酸素及び二酸化炭素に対する選択透過性
    が大きく変化することを特徴とする保鮮用ガス選択透過
    膜。
  2. 【請求項2】 上記ポリオールは、ポリエチレングリコ
    ール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレ
    ングリコールからなる群から選ばれる1つ又は2以上の
    組み合わせであって、その重量平均分子量は300〜5
    000の範囲であることを特徴とする請求項1記載の保
    鮮用ガス選択透過膜。
  3. 【請求項3】 上記シリコン型ポリオールは、ポリシロ
    キサンカルビノール変性であって、ポリオールに対して
    重量比で1〜70wt%を配合することを特徴とする請
    求項1又は2記載の保鮮用ガス選択透過膜。
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