JP2003013739A - 筒内噴射式火花点火内燃機関 - Google Patents

筒内噴射式火花点火内燃機関

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浩八 田中
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    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
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  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 確実な着火性を確保して確実に成層燃焼領域
を高負荷側に拡大可能とする筒内噴射式火花点火内燃機
関を提供する。 【解決手段】 点火プラグと、気筒内へ直接的に燃料を
噴射する燃料噴射弁とを具備し、燃料噴射弁から噴射さ
れた燃料は直接的に又は偏向されて点火プラグ近傍を通
過するようにされ、燃料噴射弁の燃料噴射末期における
噴射率を低下させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、筒内噴射式火花点
火内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】気筒内へ直接的に燃料を噴射することに
より、点火時点において点火プラグ近傍だけに混合気を
形成し、気筒内全体としては希薄な混合気の燃焼を可能
にする成層燃焼が公知である。成層燃焼を実施する際に
は、一般的に、燃料噴射弁は、圧縮行程後半に設定され
た燃料噴射開始クランク角度から必要燃料量を噴射する
のに要求される時間だけ開弁されるようになっている。
こうして噴射された燃料は、ピストン頂面に形成された
凹状の燃焼室内へ進入し、燃焼室壁面から熱を奪って気
化しながら燃焼室形状によって点火プラグ方向へ偏向さ
れ、点火プラグ近傍に着火性の良好な混合気を形成する
ことが意図されている。
【0003】一般的な燃料噴射弁は、燃料を円錐状に集
中して噴射するものである。それにより、燃料噴射末期
に噴射された燃料が燃焼室壁面からの熱によって可燃混
合気となるのに必要な時間が比較的長くなり、この時間
を確保するために、燃料噴射終了時期を早めなければな
らない。それにより、圧縮行程後半において噴射可能な
燃料量は必然的に少なくなり、必要燃料量が比較的多く
なる高負荷時には成層燃焼を断念せざるを得なかった。
燃料消費率の低減に有効である成層燃焼を、より広い機
関運転状態で実施することが望まれている。
【0004】特開平9−158736号公報には、スリ
ット形状の噴孔を有する燃料噴射弁を使用して、燃料を
比較的厚さの薄い平らな扇状に噴射することが提案され
ている。こうして噴射された燃料は広範囲の燃焼室壁面
から熱を奪えるために、短時間で可燃混合気とすること
ができ、燃料噴射終了時期を遅らせることが可能となる
ために、圧縮行程後半において噴射可能な燃料量を増加
することができ、成層燃焼領域を高負荷側に拡大するこ
とができるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術によっ
て、燃料噴射終了時期を遅らせても、噴射された燃料を
点火時点において確実に可燃混合気とすることができ
る。こうして形成された可燃混合気は、幅に比較して短
い長さを有する平らな形状を有し、略長さ方向に上昇す
る。この可燃混合気が上昇中において点火プラグに接触
している間に、点火時期を迎えなければならないが、こ
の可燃混合気は長さが比較的短いために、上昇中におい
て点火プラグに接触している時間は比較的短く、可燃混
合気の形成時期の僅かなずれによって、点火時点におい
て可燃混合気が点火プラグを既に通過している可能性が
あり、確実な着火性が確保できない。
【0006】従って、本発明の目的は、燃料を比較的厚
さの薄い平らな扇状に噴射する筒内噴射式火花点火内燃
機関において、確実な着火性を確保して確実に成層燃焼
領域を高負荷側に拡大可能とすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による請求項1に
記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、点火プラグと、
気筒内へ直接的に燃料を噴射する燃料噴射弁とを具備
し、前記燃料噴射弁から噴射された燃料は直接的に又は
偏向されて前記点火プラグ近傍を通過するようにされ、
前記燃料噴射弁の燃料噴射末期における噴射率を低下さ
せることを特徴とする。
【0008】また、本発明による請求項2に記載の筒内
噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射
式火花点火内燃機関において、燃料噴射末期における前
記燃料噴射弁のニードルリフト量を小さくすることによ
り噴射率を低下させることを特徴とする。
【0009】また、本発明による請求項3に記載の筒内
噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射
式火花点火内燃機関において、前記燃料噴射弁は、小容
量の燃料溜まりを介して高圧燃料を噴射するものであ
り、前記燃料溜まりへの燃料供給経路には絞りが設けら
れていることにより、燃料噴射末期における噴射率を低
下させることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明による筒内噴射式火
花点火内燃機関の第一実施形態を示す概略縦断面図であ
り、図2は図1におけるピストンの平面図である。これ
らの図において、1は吸気ポート、2は排気ポートであ
る。吸気ポート1は吸気弁3を介して、排気ポート2は
排気弁4を介して、それぞれ気筒内へ通じている。5は
ピストンであり、6は気筒略中心上部に配置された点火
プラグである。燃料噴射弁7は、燃料幅中心と気筒中心
とを略一致させるように、燃料を比較的厚さの薄い平ら
な扇状に噴射するものである。
【0011】燃料噴射弁7は、例えば、高い機関出力が
必要な均一燃焼領域において、吸気行程で必要燃料量を
噴射し、点火時点で気筒内に均一混合気を形成するよう
になっている。一方、成層燃焼領域においては、圧縮行
程後半の機関運転状態毎に設定されたクランク角度から
燃料噴射を開始して必要燃料量を噴射するようになって
いる。圧縮行程後半で噴射された燃料は、図1に示すよ
うに、ピストン5の頂面に形成された凹状のキャビティ
8内へ進入し、キャビティ8の底壁81に衝突した後
に、底壁81に沿って側壁82の方向に進行し、その
後、側壁82に沿って手前上方向に偏向されて点火プラ
グ6へ向けられる。以下の説明を含めて手前とは、燃料
噴射弁側である。
【0012】キャビティ8の底壁81に衝突した後の燃
料9は、燃料噴射弁7により噴射される燃料が比較的厚
さの薄い平らな扇状であるために、図2にドットで示す
ように、キャビティ8の底壁81及び側壁82上をさら
に燃料幅方向に拡がりながら進行し、燃料各部分は、キ
ャビティ8から熱を良好に吸収するために短時間で着火
性の良好な混合気(以下、可燃混合気と称する)とな
る。成層燃焼を実現するためには、少なくとも燃料噴射
末期に噴射された燃料が点火時点において可燃混合気と
なっていなければならないが、このように比較的厚さの
薄い平らな扇状に燃料を噴射することで、燃料噴射終了
から点火までの時間を短くすることができ、すなわち、
燃料噴射終了を遅らせることができ、比較的多量の燃料
を点火時点において可燃混合気とすることが可能とな
る。
【0013】こうして形成された可燃混合気は、従来に
おいて、図4(A)に実線で示すように、幅に比較して
短い長さを有する平らな形状を有して、略長さ方向に上
昇する。それにより、可燃混合気が距離L1を移動する
間の比較的短い時間しか可燃混合気Mが点火プラグの点
火位置Pと接触しておらず、この比較的短い時間で点火
時期を迎えなければならない。こうして、燃料噴射時期
の僅かなずれ等によって可燃混合気の形成時期に僅かな
ずれが発生すると、点火時期において、可燃混合気が点
火プラグを既に通過している可能性があり、確実な着火
性を確保することができない。
【0014】本発明は、この問題を解決することを意図
している。本実施形態におけるピストン5の頂面に形成
されたキャビティ8の側壁82は、少なくとも燃料が到
達する範囲において、上端部にはキャビティ8内方向に
突出する返し部83を有し、曲率半径r1の水平方向の
円弧形状を呈しており、この範囲における各側壁部分の
縦断面形状は図3に示すようになっている。また、側壁
82の燃料が到達する範囲における中心垂直平面N1
と、燃料噴射弁7から噴射される燃料の中心垂直平面N
2とは180°で交差し、すなわち、一直線上となって
いる。図3(A)は、図2のA−A断面図であり、気筒
略中心上部に位置する点火プラグに最も近い中央側壁部
分82aを示している。中央側壁部分82aは、返し部
83を含めて曲率半径R1の円弧断面形状を有してい
る。中央側壁部分82aにおける返し部83の突出長は
L1である。また、図3(B)は、図2のB−B断面図
であり、中央側壁部分82aの右側に位置する右側側壁
部分82bを示している。右側側壁部分82bは、返し
部83を含めて曲率半径R2の円弧断面形状を有してい
る。右側側壁部分82bにおける返し部83の突出長は
L2である。また、図3(C)は、図2のC−C断面図
であり、中央側壁部分82aの左側に位置する左側側壁
部分82cを示している。左側側壁部分82cは、返し
部83を含めて曲率半径R3の円弧断面形状を有してい
る。左側側壁部分82cにおける返し部83の突出長は
L3である。各側壁部分における垂直方向の曲率半径及
び返し部83の突出長の関係は、R1>R2>R3及び
L1<L2<L3となっている。
【0015】このように構成されたキャビティ8内に燃
料が噴射されると、底壁81上を燃料幅方向に拡がりな
がら進行して側壁82に到達した燃料は、側壁82の水
平方向の円弧形状によって燃料幅中心方向に偏向される
と共に、各側壁部分の円弧断面形状によって手前上方向
に偏向される。簡単のために、噴射された燃料を放射状
に三つの燃料部分、すなわち、中央燃料部分9aと、右
側燃料部分9bと、左側燃料部分9cとに分割して考え
ると、中央燃料部分9aは中央側壁部分82aによっ
て、また、右側燃料部分9bは右側側壁部分82bによ
って、また、左側燃料部分9cは左側側壁部分82cに
よって、それぞれに、気筒略中心上部に位置する点火プ
ラグ6の方向へ向けられる。こうして、キャビティ8の
底壁81は、中央、右側、及び左側燃料部分9a,9
b,9cを側壁81へ導くための中央、右側、及び左側
燃料導き経路を構成し、中央、右側、及び左側側壁部分
82a,82b,82cは、それぞれ、中央、右側、及
び左側燃料部分9a,9b,9cを点火プラグ6近傍を
通過させるように偏向する中央、右側、及び左側燃料偏
向経路を構成している。
【0016】各燃料偏向経路において、返し部83の突
出長が短いほど、燃料通過に際して、経路長が短くて通
過抵抗が低くなる。また、本実施形態のように、各側壁
部分の垂直方向断面が、全体的な円弧形状を有している
場合であっても、部分的な円弧形状を有している場合で
あっても、各燃料偏向経路において、円弧断面形状の曲
率半径が大きいほど、燃料通過に際して、経路長が短く
て通過抵抗が低くなる。それにより、本実施形態におい
ては、各燃料偏向経路において、返し部83の突出長及
び円弧断面形状における曲率半径に前述のような違いを
持たせてあるために、中央燃料偏向経路上を通過する中
央燃料部分9aは、最も早い時期にキャビティ8を離れ
ると共に点火プラグ6へ向かう速度も最も速くなる。右
側燃料偏向経路上を通過する右側燃料部分9bは、次に
早い時期にキャビティ8を離れると共に点火プラグ6へ
向かう速度も次に速くなる。また、左側燃料偏向経路上
を通過する左側燃料部分9cは、最も遅い時期にキャビ
ティ8を離れると共に点火プラグ6へ向かう速度も最も
遅くなる。
【0017】それにより、図4(B)に示すように、中
央燃料部分9aにより形成される可燃混合気9a’は最
も早く点火プラグ6近傍に達し、次いで、右側燃料部分
9bにより形成される可燃混合気9b’が点火プラグ6
に達し、最後に左側燃料部分9cにより形成される可燃
混合気9c’が点火プラグ6に達するようになる。しか
しながら、これらの可燃混合気は、連続的に拡がる燃料
から形成されるために、互いに完全に独立して存在する
ようなことはなく、図4(B)に示すように互いに周囲
部分において重なって繋がっている。
【0018】このように、本実施形態によれば、燃料噴
射弁から比較的厚さの薄い略扇状に噴射された燃料を放
射状に複数の燃料部分に分割して考えた場合において、
複数の燃料部分により形成される各可燃混合気を繋がっ
た状態で連続的に点火プラグ6近傍を通過させるように
している。すなわち、本実施形態においては、中央燃料
部分9aによる可燃混合気9a’が点火位置Pに接触し
始める時(図4(B)の実線で示す時)から左側燃料部
分9cによる可燃混合気9c’が点火位置Pに依然とし
て接触している時(図4(B)の点線で示す時)までの
間で点火時期を迎えれば良い。言わば、点火プラグ6へ
最も遅く到達する左側燃料部分9cによる可燃混合気9
c’が距離L2を移動する間において点火が実施されれ
ば良い。
【0019】この可燃混合気9c’の移動速度は、前述
したように遅くなり、図4(A)に示す従来の可燃混合
気の移動速度よりも遅く、また、距離L2は、前述の距
離L1に比較して十分に長いために、本実施形態によれ
ば、可燃混合気が点火位置Pと比較的長い時間において
接触し続け、燃料噴射時期の僅かなずれ等によって可燃
混合気の形成時期に僅かなずれが発生しても、点火時期
において、可燃混合気が点火プラグを既に通過している
可能性はなく、確実な着火性を確保することができる。
【0020】本実施形態及び以下に説明するいくつかの
実施形態において、略扇状に噴射された燃料を三つの燃
料部分に分割するものとして説明したが、少なくとも二
つの燃料部分に分割し、各燃料部分により形成される可
燃混合気を順次点火プラグ近傍を通過させるようにすれ
ば、明かに着火性を向上させることができる。また、複
数に分割された燃料部分により形成される可燃混合気の
全てを点火プラグ近傍を通過させるようにする必要はな
く、分割された燃料部分の少なくとも二つにより形成さ
れる可燃混合気を順次点火プラグ近傍を通過させるよう
にしても良い。
【0021】さらに、第一側壁部分82a、第二側壁部
分82b、及び第三側壁部分82cにおいて、円弧断面
形状の曲率半径及び返し部83の突出長の少なくとも一
つを、図2に示すように連続的に変化させるようにして
も良い。これは、言わば、略扇状に噴射された燃料を非
常に多数の燃料部分に分割し、各燃料部分により形成さ
れる可燃混合気を順次点火プラグ6近傍を通過させるこ
とになり、各燃料部分により形成される可燃混合気の繋
がりが良好になり、火炎伝播を非常に良好とすることが
できる。また、以下に説明するいくつかの実施形態を含
めて、本実施形態のように、点火プラグ6へ最初に到達
する可燃混合気を形成する燃料部分の経路を点火プラグ
6に最も近くすることで、この可燃混合気を早期に点火
プラグ6へ到達させることができる。これにより、可燃
混合気と点火プラグとの接触時間をさらに長くすること
ができ、さらに確実な着火性を確保することができる。
【0022】図5は本発明による筒内噴射式火花点火内
燃機関の第二実施形態を示す図2に相当するピストンの
平面図である。本実施形態におけるピストン5’の頂面
に形成されたキャビティ8’は、以下に説明する以外に
ついては、第一実施形態のピストン5の頂面に形成され
たキャビティ8と同じ形状を有している。このキャビテ
ィ8’の側壁82’は、少なくとも燃料が到達する範囲
において、上端部に返し部83’を有し、この返し部8
3’の突出長は、いずれの位置においても同じとされて
いる。図6(A)は図5のD−D断面図であり、図6
(B)は図5のE−E断面図であり、図6(C)は図5
のF−F断面図である。これらの図に示すように、キャ
ビティ8’の側壁82’は、少なくとも燃料が到達する
範囲において同じ曲率半径R4の円弧断面形状を部分的
に有している。それにより、各燃料部分を点火プラグ6
方向へ偏向する中央、右側、及び左側燃料偏向経路は、
経路長及び通過抵抗が略同一となっている。しかしなが
ら、図6に示すように、燃料衝突位置における中央燃料
導き経路81a、右側燃料導き経路81b、及び左側燃
料導き経路81cの傾斜角度は、互いに異なっており、
中央燃料導き経路81aにおける燃料の衝突角度TH1
が最も小さく、右側燃料導き経路81bにおける燃料の
衝突角度TH2が次いで小さく、左側燃料導き経路81
cにおける燃料の衝突角度TH3が最も大きくなってい
る。
【0023】それにより、各燃料導き経路への衝突に際
して、中央燃料部分9aのエネルギ損失が最も少なく、
次いで右側燃料部分9bのエネルギ損失が少なく、左側
燃料部分9cのエネルギ損失が最も大きい。こうして、
第一実施形態と同様に、中央燃料部分9aにより形成さ
れる可燃混合気は最も早く点火プラグ6に達し、次い
で、右側燃料部分9bにより形成される可燃混合気が点
火プラグ6に達し、最後に、左側燃料部分9cにより形
成される可燃混合気が点火プラグ6に達するようにな
り、前述同様な効果を得ることができる。本実施形態で
は、キャビティ8’において、各燃料導き経路における
側壁近傍の深さH1は略同一であり、燃料衝突位置にお
ける傾斜の始点深さH4も略同一とされている。このよ
うなキャビティ8’の底壁形状において、各燃料導き経
路における傾斜角度を徐々に変化させることも可能であ
る。それにより、前述同様に、良好に繋がる可燃混合気
が形成されて良好な成層燃焼を実現できる。
【0024】また、図7は本発明による筒内噴射式火花
点火内燃機関の第三実施形態を示す図6に相当する図で
ある。第二実施形態との違いについてのみ以下に説明す
る。図7(A)は図5のD−D断面図であり、図7
(B)は図5のE−E断面図であり、図7(C)は図5
のF−F断面図である。これらの図に示すように、燃料
衝突位置における中央燃料導き経路81a’、右側燃料
導き経路81b’、及び左側燃料導き経路81c’の傾
斜角度は、互いに異なっており、中央燃料導き経路81
a’における燃料の衝突角度TH1が最も小さく、右側
燃料導き経路81b’における燃料の衝突角度TH4が
次いで小さく、左側燃料導き経路81c’における燃料
の衝突角度TH5が最も大きくなっている。
【0025】それにより、各燃料導き経路への衝突に際
して、中央燃料部分9aのエネルギ損失が最も少なく、
次いで右側燃料部分9bのエネルギ損失が少なく、左側
燃料部分9cのエネルギ損失が最も大きく、第二実施形
態と同様な効果を得ることができる。本実施形態では、
キャビティにおいて、各燃料導き経路における側壁近傍
の深さH1は略同一であるが、中央燃料導き経路81
a’における燃料衝突位置における傾斜の始点深さH4
が最も浅く、次いで、右側燃料導き経路81b’におけ
る燃料衝突位置における傾斜の始点深さH5が浅く、左
側燃料導き経路81c’における燃料衝突位置における
傾斜の始点深さH6が最も深くなっている。このような
キャビティの底壁形状において、各燃料導き経路におけ
る傾斜角度を徐々に変化させることも可能である。それ
により、前述同様に、良好に繋がる可燃混合気が形成さ
れて良好な成層燃焼を実現できる。
【0026】また、図8は本発明による筒内噴射式火花
点火内燃機関の第四実施形態を示す図6に相当する図で
ある。第二実施形態との違いについてのみ以下に説明す
る。図8(A)は図5のD−D断面図であり、図8
(B)は図5のE−E断面図であり、図8(C)は図5
のF−F断面図である。これらの図に示すように、本実
施形態においては燃料衝突位置における各燃料導き経路
の傾斜角度は略同一であるが、中央燃料導き経路81
a”における側壁近傍の深さH1が最も浅く、次いで、
右側燃料導き経路81b”における側壁近傍の深さH2
が浅く、左側燃料導き経路81c”における側壁近傍の
深さH3が最も深くなっている。
【0027】それにより、中央燃料導き経路81a”の
経路長が最も短くなり、次いで右側燃料導き経路81
b”の経路長が短くなり、左側燃料導き経路81c”の
経路長が最も長くなる。こうして、第一実施形態と同様
に、中央燃料部分9aにより形成される可燃混合気は最
も早く点火プラグ6に達し、次いで、右側燃料部分9b
により形成される可燃混合気が点火プラグ6に達し、最
後に、左側燃料部分9cにより形成される可燃混合気が
点火プラグ6に達するようになり、前述同様な効果を得
ることができる。本実施形態においても各燃料導き経路
における側壁近傍の深さを徐々に変化させ、良好に繋が
る可燃混合気を形成することが可能である。
【0028】図9は本発明による筒内噴射式火花点火内
燃機関の第五実施形態を示す図5に相当するピストンの
平面図である。本実施形態におけるピストン5”の頂面
に形成されたキャビティ8”は、以下に説明する以外に
ついては、第二実施形態のピストン5’の頂面に形成さ
れたキャビティ8’と同じ形状を有している。本実施形
態において、各燃料導き経路の燃料衝突位置における傾
斜角度は略同一であるが、中央燃料導き経路上には、中
央燃料部分の幅方向に延在する一つの凸状抵抗部10が
設けられ、右側燃料導き経路上には、右側燃料部分の幅
方向に延在する二つの凸状抵抗部10が設けられ、左側
燃料導き経路上には、左側燃料部分の幅方向に延在する
三つの凸状抵抗部10が設けられている。
【0029】それにより、各燃料導き経路上の凸状抵抗
部の数の違いによって、中央燃料導き経路の通過抵抗が
最も小さく、次いで右側燃料導き経路の通過抵抗が小さ
く、左側燃料導き経路の通過抵抗が最も大きい。こうし
て、第一実施形態と同様に、中央燃料部分9aにより形
成される可燃混合気は最も早く点火プラグ6に達し、次
いで、右側燃料部分9bにより形成される可燃混合気が
点火プラグ6に達し、最後に、左側燃料部分9cにより
形成される可燃混合気が点火プラグ6に達するようにな
り、前述同様な効果を得ることができる。
【0030】本実施形態において、凸状抵抗部は、各燃
料導き経路上に設けられているが、もちろん、同様な考
え方に基づき各燃料偏向経路上に設けることも可能であ
る。また、抵抗部を凸状ではなく凹状にしても同様に通
過抵抗を増加させることができる。また、凸状又は凹状
の抵抗部の数を違えることに代えて又は加えて、凸状又
は凹状の抵抗部の高さ又は深さを異ならせることによっ
て各燃料導き経路の通過抵抗を変化させるようにしても
良い。さらに、通過抵抗を最も小さくする燃料導き経路
上及び燃料偏向経路上には、抵抗部を設けなくても良
い。
【0031】図10は本発明による筒内噴射式火花点火
内燃機関の第六実施形態を示す図5に相当するピストン
の平面図である。本実施形態におけるピストン500の
頂面に形成されたキャビティ800は、以下に説明する
以外については、第二実施形態のピストン5’の頂面に
形成されたキャビティ8’と同じ形状を有している。本
実施形態において、キャビティ800の底壁には、中
央、右側、及び左側燃料導き経路をそれぞれ区画するた
めの四つのガイド突部20が設けられている。各ガイド
突部20は、燃料の中心垂直平面N2に対して、略平行
で略対称である。こうして区画された中央燃料導き経路
は、中央燃料部分をほとんど偏向することなく中央燃料
偏向経路に導くが、右側及び左側燃料導き経路は、右側
及び左側燃料部分を水平方向に偏向して右側及び左側燃
料偏向経路へ導くことになり、その分の通過抵抗を右側
及び左側燃料部分へ与える。
【0032】キャビティ800の側壁において、燃料が
到達する範囲における水平方向の円弧形状の曲率半径r
2は、第二実施形態のキャビティ8’の曲率半径r1に
比較して小さくされており、それにより、右側及び左側
燃料偏向経路は、右側及び左側燃料導き経路上で水平方
向に偏向されて到達する燃料を良好に点火プラグ6近傍
へ偏向するようになっている。こうして、中央燃料部分
により形成される可燃混合気は最も早く点火プラグ6に
達し、次いで、右側及び左側燃料部分により形成される
可燃混合気が点火プラグ6に達し、可燃混合気と点火プ
ラグとの接触時間が長くなり前述同様な効果を得ること
ができる。
【0033】本実施形態において、右側及び左側燃料導
き経路における通過抵抗は略同一で、右側及び左側燃料
部分により形成される可燃混合気はほぼ同時に点火プラ
グ6に到達するようになっている。しかしながら、例え
ば、左側燃料導き経路を区画するガイド突部20を燃料
の中心垂直平面方向に傾斜させることで、左側燃料部分
の水平方向の偏向度合いが大きくなり、右側燃料導き経
路に比較して左側燃料導き経路における通過抵抗を大き
くすることができ、これまでの実施形態のように、各燃
料部分により形成される可燃混合気が順次点火プラグ近
傍を通過するようにすることができる。
【0034】図11は本発明による筒内噴射式火花点火
内燃機関の第七実施形態を示す図10に相当するピスト
ンの平面図である。本実施形態におけるピストン501
の頂面に形成されたキャビティ801は、以下に説明す
る以外については、第六実施形態のピストン500の頂
面に形成されたキャビティ800と同じ形状を有してい
る。本実施形態において、キャビティ801の底壁に
は、中央、右側、及び左側燃料導き経路をそれぞれ区画
するための四つのガイド突部21が設けられている。各
ガイド突部21は、燃料の中心垂直平面N2に対して内
側に湾曲し、燃料の中心垂直平面N2に対して略対称で
ある。また、燃料の中心垂直平面N2から離れるガイド
突部ほど小さな曲率半径を有している。こうして区画さ
れた中央燃料導き経路は、中央燃料部分をほとんど偏向
することなく中央燃料偏向経路に導くが、右側及び左側
燃料導き経路は、右側及び左側燃料部分を水平方向に偏
向して右側及び左側燃料偏向経路へ導くことになり、そ
の分の通過抵抗を右側及び左側燃料部分へ与え、第六実
施形態と同様に、可燃混合気と点火プラグとの接触時間
が長くなり前述同様な効果を得ることができる。本実施
形態においても、第六実施形態と同様な考え方に基づき
右側燃料導き経路と左側燃料導き経路の通過抵抗に違い
を持たせ、各燃料部分により形成される可燃混合気が順
次点火プラグ近傍を通過するようにすることができる。
【0035】図12は本発明による筒内噴射式火花点火
内燃機関の第八実施形態を示す図5に相当するピストン
の平面図である。本実施形態におけるピストン502の
頂面に形成されたキャビティ802は、以下に説明する
以外については、第二実施形態のピストン5’の頂面に
形成されたキャビティ8’と同じ形状を有している。本
実施形態において、キャビティ802の底壁の燃料衝突
位置における傾斜角度は略同一であるが、底壁には略扇
状に噴射される燃料を全体的に燃料幅左方向に偏向する
複数の偏向ガイド突部22が設けられている。偏向側、
すなわち、左側に位置する偏向ガイド突部22は、右側
に位置する偏向ガイド突部22に比較して傾きが小さく
されている。点火プラグ6’は、左側に少し偏心されて
いる。
【0036】こうして、偏向ガイド突部22によって偏
向された燃料がキャビティ802の側壁によって手前上
方向に偏向されると、この燃料により形成される可燃混
合気Mは、図4(A)に相当する図14に示すように、
左側に偏心された点火プラグ6に対して平面的には右下
から斜め左上方向に移動する。可燃混合気Mの移動速度
は、噴射された燃料が有する運動エネルギによるもので
あり、図4(A)に示す従来の場合と図14に示す本実
施形態の場合においてほぼ等しいと考えられる。こうし
て、本実施形態によれば、可燃混合気Mが距離L3を移
動する間において可燃混合気Mは点火位置Pに接触して
おり、距離L3は前述の距離L1に比較して十分に長い
ために、燃料噴射時期の僅かなずれ等によって可燃混合
気の形成時期に僅かなずれが発生しても、点火時期にお
いて確実な着火性を確保することができる。
【0037】本実施形態において、左側に位置する偏向
ガイド突部22は、右側に位置する偏向ガイド突部22
に比較して傾きが小さくされているために、キャビティ
802の底壁において、燃料の左側は、あまり左方向に
偏向されない。それにより、可燃混合気となって移動す
る際に、可燃混合気の左側は、左側方向へゆっくり移動
するために、可燃混合気がシリンダボアに接触し難くな
る。こうして、シリンダボアに燃料が付着してエンジン
オイルの希釈させる等の問題を防止することができる。
【0038】本実施形態において、偏向ガイド22は、
キャビティの底壁、すなわち、燃料導き経路に設けられ
ているが、キャビティの側壁、すなわち、燃料偏向経路
上に設けるようにしても良い。この場合において、燃料
偏向経路は、燃料を手前上方向に偏向するだけでなく、
燃料幅左方向にも偏向することになる。以下の実施形態
を含めて、本実施形態において、点火プラグは気筒略中
心に配置することも可能である。この場合においては、
前述した可燃混合気の斜め上方向への移動が垂直方向に
近づくこととなるが、従来に比較して長い距離を移動す
る間において、可燃混合気は点火位置に接触するため
に、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり、
点火時期における確実な着火性を確保することができ
る。
【0039】図13は本発明による筒内噴射式火花点火
内燃機関の第九実施形態を示す図5のG−G断面図に相
当する図である。本実施形態におけるキャビティ803
の底壁は、燃料の右側端部から左側端部の方向に傾斜し
ている。それにより、底壁上を進行する燃料には左方向
への偏向力が作用し、第八実施形態と同様に、可燃混合
気は図14に示すように移動させ、可燃混合気と点火プ
ラグとの接触時間が長くなり、点火時期における確実な
着火性を確保することができる。
【0040】本実施形態において、キャビティ803の
底壁における傾斜角度は、燃料の右端部における傾斜角
度より左端部における方が小さくされており、キャビテ
ィ803の底壁において、燃料の左側は、あまり左方向
に偏向されないようになっている。それにより、可燃混
合気となって移動する際に、可燃混合気の左側は、左側
方向へゆっくり移動するために、可燃混合気がシリンダ
ボアに接触し難くなる。こうして、シリンダボアに燃料
が付着してエンジンオイルの希釈させる等の問題を防止
することができる。
【0041】図15は本発明による筒内噴射式火花点火
内燃機関の第十実施形態を示す図2に相当するピストン
の平面図である。本実施形態におけるピストン504の
頂面に形成されたキャビティ804は、以下に説明する
以外については、第二実施形態のピストン5の頂面に形
成されたキャビティ8と同じ形状を有しており、垂直方
向軸線を中心に時計方向に所定角度回転させた構造とな
っている。本実施形態において、側壁の燃料が到達する
範囲における中心垂直平面N1’と、燃料噴射弁7から
噴射される燃料の中心垂直平面N2とは所定鈍角THで
交差しており、点火プラグ6’は左方向に少し偏倚され
ている。
【0042】このように構成された側壁は、燃料を中心
垂直平面N1’に沿って上方向に偏向する。それによ
り、点火プラグ6’から見れば、燃料により形成される
可燃混合気は、上昇するほど左方向に移動することにな
る。それにより、第八実施形態と同様に、可燃混合気は
図14に示すように移動させ、可燃混合気と点火プラグ
との接触時間が長くなり、点火時期における確実な着火
性を確保することができる。
【0043】また、本実施形態において、側壁の燃料が
到達する範囲における垂直方向の断面形状は、左側のJ
−J断面が図3(C)に相当し、中央のI−I断面が図
3(B)に相当し、右側のH−H断面が図3(A)に相
当している。それにより、燃料の左側部分ほど上昇速度
が遅くなり、点火時点において、この部分の点火プラグ
6’に対する左方向の移動量が少なくなる。こうして、
可燃混合気がシリンダボアに接触し難くなる。本実施形
態において、側壁の燃料が到達する範囲は水平方向の一
つの曲率半径を有する円弧状となっている。しかしなが
ら、この範囲の側壁における左側部分を部分的に小さな
曲率半径とすることで、燃料の左側部分の左方向への移
動速度を低下させ、さらに確実に可燃混合気がシリンダ
ボアに接触することを防止することができる。
【0044】図16は本発明による筒内噴射式火花点火
内燃機関の第十一実施形態を示すピストンの平面図であ
る。本実施形態におけるピストン505の頂面に形成さ
れたキャビティ805は、比較的厚さの薄い平らな扇状
に噴射された燃料を手前上方向に偏向するものである。
点火プラグ6’は左側に偏倚されている。本実施形態に
おいて、吸気ポートは気筒内に反時計水平方向のスワー
ルを形成するように構成されている。また、ピストン5
05の頂面には、キャビティ805の側壁の燃料が到達
する範囲に対応して隆起部50が形成されている。
【0045】それにより、スワールの一部は、隆起部に
沿って旋回し、手前上方向に偏向された燃料により形成
される可燃混合気を左方向へ移動させる。それにより、
第八実施形態と同様に、可燃混合気は図14に示すよう
に移動させ、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長
くなり、点火時期における確実な着火性を確保すること
ができる。
【0046】図17は本発明による筒内噴射式火花点火
内燃機関の第十二実施形態を示すピストンの平面図であ
る。本実施形態におけるピストン506の頂面に形成さ
れたキャビティ806は、比較的厚さの薄い平らな扇状
に噴射された燃料を手前上方向に偏向するものである。
点火プラグ6’は左側に少し偏倚されている。本実施形
態において、ピストン506の頂面には、主に、キャビ
ティ806の側壁の燃料が到達する範囲に沿って左方向
に移動するスキッシュを発生するスキッシュエリア60
が形成されている。
【0047】それにより、スキッシュは、手前上方向に
偏向された燃料により形成される可燃混合気を左方向へ
移動させる。それにより、第八実施形態と同様に、可燃
混合気は図14に示すように移動させ、可燃混合気と点
火プラグとの接触時間が長くなり、点火時期における確
実な着火性を確保することができる。
【0048】図18は本発明による筒内噴射式火花点火
内燃機関の第十三実施形態を示す概略縦断面図である。
図1の第一実施形態との違いについてのみ以下に説明す
る。本実施形態におけるキャビティ807の底壁には、
燃料噴射弁7から噴射される燃料がピストン507の上
昇に伴って順次衝突する第一、第二、及び第三段部80
7a,807b,807cが形成されている。また、ピ
ストン507の頂面には、主に、燃料噴射弁7の対向側
から燃料噴射弁方向に進行するスキッシュを発生させる
スキッシュエリア70が設けられている。
【0049】低負荷側で燃料噴射量が少ない時でも、燃
料噴射弁から噴射される燃料は、必ず第一及び第二段部
807a,807bに衝突するようになっている。第一
及び第二段部807a,807bは、それぞれ、燃料を
互いに略平行に上方向へ偏向し、少なくとも、こうして
偏向される燃料は、点火プラグ6よりスキッシュ上流側
へ向かうようになっている。第一及び第二段部807
a,807bにより偏向された燃料は、それぞれ、良好
に可燃混合気となるために、全体的には、前述した実施
形態に比較して確実に厚さの厚い可燃混合気となって、
スキッシュによって点火プラグ6方向へ移動される。そ
れにより、本実施形態では、可燃混合気は点火プラグと
厚さ方向に比較的長い時間接触し続け、従来に比較して
可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり、点火
時期における確実な着火性を確保することができる。
【0050】本実施形態において、高負荷側となって燃
料噴射量が増加すると、第三段部807cにも燃料が衝
突して上方向に偏向される。この燃料により形成される
可燃混合気は、第二段部807bにより上方向へ偏向さ
れた燃料により形成される可燃混合気に隣接して位置す
るために、さらに可燃混合気の厚さを厚くし、厚さ方向
に移動する可燃混合気と点火プラグとの接触時間がさら
に長くなり、点火時期におけるさらに確実な着火性を確
保することができる。
【0051】図19は本発明による筒内噴射式火花点火
内燃機関の第十四実施形態を説明するための燃料噴射パ
ターンである。同図において、点線は従来の燃料噴射パ
ターンであり、本実施形態の燃料噴射パターンは、実線
で示すように、燃料噴射初期の噴射率を高めると共に、
燃料噴射末期の噴射率を低くしている。それにより、同
じ噴射期間で同量の燃料を噴射することができる。こう
して、燃料噴射末期の噴射率を低くすると、この時に噴
射される燃料の運動エネルギが減少し、噴射されてから
可燃混合気が点火プラグに到達するまでの時間を延長す
ることができる。これは、言わば、可燃混合気の全体的
な長さを長くすることになり、可燃混合気と点火プラグ
との接触時間が長くなるために、点火時期における確実
な着火性を確保することができる。
【0052】本実施形態において、燃料噴射初期の噴射
率を高めないことも可能である。それにより、燃料噴射
期間は延長することになるが、噴射率を低くして噴射し
た燃料は、容易に気化して可燃混合気となり易く、すな
わち、早期に可燃混合気となるために、燃料噴射終了時
期が遅れても点火時点において噴射された燃料は全て可
燃混合気となっており、特に問題とはならない。これ
は、燃料噴射初期の噴射率を高めれば、さらに多量の燃
料が噴射可能であることを意味している。
【0053】燃料噴射初期の噴射率を高めても、この時
に噴射された燃料は、点火までの十分な時間によって良
好な可燃混合気となることができる。燃料噴射弁は、一
般的に、ニードルリフト量によって噴射率が変化する構
造である。それにより、燃料噴射末期に噴射率を低くす
るためには、燃料噴射末期のニードルリフト量を小さく
制御すれば良い。また、燃料噴射弁は、一般的に、小容
量の燃料溜まりを介して高圧燃料を噴射するものであ
り、燃料噴射弁の開弁中には燃料供給通路により燃料溜
まりへ燃料が供給されるようになっている。それによ
り、燃料供給通路に絞りを設ければ、燃料噴射初期に
は、燃料溜まり内の高圧の燃料が噴射されるが、燃料噴
射末期には、燃料溜まり内の燃料圧力は低下するため
に、この時の噴射率を低くすることができる。
【0054】図20は本発明による筒内噴射式火花点火
内燃機関の第十五実施形態を説明するためのクランク機
構を示す概略図である。同図において、本実施形態のク
ランク機構900は、時計方向に回転し、回転中心90
0aがピストン508の中心軸線に対して左側に偏倚し
ている。それにより、ピストン508が下降する時のク
ランク角速度は速くなるが、ピストン508が上昇する
時のクランク角速度は遅くなる。本実施形態において、
可燃混合気が点火プラグに接触している時間は延長され
ないが、圧縮行程における燃料噴射時期が多少ずれて
も、ピストンの上昇速度が遅いために、ほぼ所望のピス
トン位置で燃料を噴射することができ、確実な着火性を
確保することができる。
【0055】前述した第十四実施形態において、内燃機
関は、燃料をピストン頂面のキャビティにより点火プラ
グ方向へ偏向するものに限定されず、燃料を飛行中に気
化させて直接的に点火プラグ方向に向かわせるもので
も、従来に比較して可燃混合気と点火プラグとの接触時
間が延長し、確実な着火性を確保することができる。ま
た、第十四及び第十五実施形態においては、燃料を略扇
状に噴射するものにも限定されず、燃料を円錐状に噴射
するものでも良い。これらの内燃機関においても、従来
に比較して確実な着火性を確保することができる。
【0056】
【発明の効果】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機
関は、点火プラグと、気筒内へ直接的に燃料を噴射する
燃料噴射弁とを具備し、燃料噴射弁から噴射された燃料
は直接的に又は偏向されて点火プラグ近傍を通過するよ
うにされ、燃料噴射弁の燃料噴射末期における噴射率を
低下させるようになっているために、燃料噴射末期に噴
射された燃料により形成される可燃混合気の移動速度が
低下し、それにより、点火プラグに可燃混合気が接触し
続ける時間が延長し、点火時期の制御範囲の拡大と確実
な着火性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第
一実施形態を示す概略縦断面図である。
【図2】図1のピストンの平面図である。
【図3】図2のキャビティ側壁部分の断面図であり、
(A)はA−A断面図、(B)はB−B断面図、(C)
はC−C断面図である。
【図4】可燃混合気の挙動を説明する図である。
【図5】図2に相当するピストンの平面図である。
【図6】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第
二実施形態を示す図5のキャビティ側壁部分の断面図で
あり、(A)はD−D断面図、(B)はE−E断面図、
(C)はF−F断面図である。
【図7】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第
三実施形態を示す図5のキャビティ側壁部分の断面図で
あり、(A)はD−D断面図、(B)はE−E断面図、
(C)はF−F断面図である。
【図8】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第
四実施形態を示す図5のキャビティ側壁部分の断面図で
あり、(A)はD−D断面図、(B)はE−E断面図、
(C)はF−F断面図である。
【図9】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第
五実施形態を示すピストンの平面図である。
【図10】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の
第六実施形態を示すピストンの平面図である。
【図11】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の
第七実施形態を示すピストンの平面図である。
【図12】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の
第八実施形態を示すピストンの平面図である。
【図13】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の
第九実施形態を示す図5のG−G断面図である。
【図14】可燃混合気のもう一つの挙動を説明する図で
ある。
【図15】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の
第十実施形態を示すピストンの平面図である。
【図16】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の
第十一実施形態を示すピストンの平面図である。
【図17】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の
第十二実施形態を示すピストンの平面図である。
【図18】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の
第十三実施形態を示す概略縦断面図である。
【図19】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の
第十四実施形態を説明する燃料噴射パターンを示す図で
ある。
【図20】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の
第十五実施形態を説明するクランク機構を示す図であ
る。
【符号の説明】
5…ピストン 6…点火プラグ 7…燃料噴射弁 8…キャビティ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02M 61/14 310 F02M 61/14 310S 310Z (72)発明者 服部 文昭 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 羽島 孝志 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 北東 宏之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 柏倉 利美 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 神田 睦美 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 田中 浩八 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 松下 宗一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 安部 静生 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 村松 伸幸 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3G023 AA00 AA01 AA04 AB01 AB03 AC05 AD02 AD08 AD09 AG01 3G066 AA02 AA03 AA05 AB02 AD12 BA13 BA14 CC06T CC14 CC32 CC34 CC70 CE13 DA12 DA16 3G301 HA04 HA16 JA00 JA21 JA23 KA08 KA09 LB04 MA27

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 点火プラグと、気筒内へ直接的に燃料を
    噴射する燃料噴射弁とを具備し、前記燃料噴射弁から噴
    射された燃料は直接的に又は偏向されて前記点火プラグ
    近傍を通過するようにされ、前記燃料噴射弁の燃料噴射
    末期における噴射率を低下させることを特徴とする筒内
    噴射式火花点火内燃機関。
  2. 【請求項2】 燃料噴射末期における前記燃料噴射弁の
    ニードルリフト量を小さくすることにより噴射率を低下
    させることを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火
    花点火内燃機関。
  3. 【請求項3】 前記燃料噴射弁は、少容量の燃料溜まり
    を介して高圧燃料を噴射するものであり、前記燃料溜ま
    りへの燃料供給経路には絞りが設けられていることによ
    り、燃料噴射末期における噴射率を低下させることを特
    徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機
    関。
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