JP3620514B2 - 筒内噴射式火花点火内燃機関 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒内噴射式火花点火内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
気筒内へ直接的に燃料を噴射することにより、点火時点において点火プラグ近傍だけに混合気を形成し、気筒内全体としては希薄な混合気の燃焼を可能にする成層燃焼が公知である。成層燃焼を実施する際には、一般的に、燃料噴射弁は、圧縮行程後半に設定された燃料噴射開始クランク角度から必要燃料量を噴射するのに要求される時間だけ開弁されるようになっている。こうして噴射された燃料は、ピストン頂面に形成された凹状の燃焼室内へ進入し、燃焼室壁面から熱を奪って気化しながら燃焼室形状によって点火プラグ方向へ偏向され、点火プラグ近傍に着火性の良好な混合気を形成することが意図されている。
【0003】
一般的な燃料噴射弁は、燃料を円錐状に集中して噴射するものである。それにより、燃料噴射末期に噴射された燃料が燃焼室壁面からの熱によって可燃混合気となるのに必要な時間が比較的長くなり、この時間を確保するために、燃料噴射終了時期を早めなければならない。それにより、圧縮行程後半において噴射可能な燃料量は必然的に少なくなり、必要燃料量が比較的多くなる高負荷時には成層燃焼を断念せざるを得なかった。燃料消費率の低減に有効である成層燃焼を、より広い機関運転状態で実施することが望まれている。
【0004】
特開平9−158736号公報には、スリット形状の噴孔を有する燃料噴射弁を使用して、燃料を比較的厚さの薄い平らな扇状に噴射することが提案されている。こうして噴射された燃料は広範囲の燃焼室壁面から熱を奪えるために、短時間で可燃混合気とすることができ、燃料噴射終了時期を遅らせることが可能となるために、圧縮行程後半において噴射可能な燃料量を増加することができ、成層燃焼領域を高負荷側に拡大することができるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来技術によって、燃料噴射終了時期を遅らせても、噴射された燃料を点火時点において確実に可燃混合気とすることができる。こうして形成された可燃混合気は、幅に比較して短い長さを有する平らな形状を有し、略長さ方向に上昇する。この可燃混合気が上昇中において点火プラグに接触している間に、点火時期を迎えなければならないが、この可燃混合気は長さが比較的短いために、上昇中において点火プラグに接触している時間は比較的短く、可燃混合気の形成時期の僅かなずれによって、点火時点において可燃混合気が点火プラグを既に通過している可能性があり、確実な着火性が確保できない。
【0006】
従って、本発明の目的は、燃料噴射弁から噴射された燃料をピストン頂面に形成された凹状のキャビティにより点火プラグ近傍へ偏向する筒内噴射式火花点火内燃機関において、確実な着火性を確保して確実に成層燃焼領域を高負荷側に拡大可能とすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関は、点火プラグと、気筒内へ直接的に燃料を噴射する燃料噴射弁とを具備し、前記燃料噴射弁から噴射された燃料はピストン頂面に形成された凹状のキャビティ内へ侵入して前記点火プラグ近傍を通過するように偏向され、クランク機構が、圧縮行程におけるクランク角速度を低下させるように、ピストン中心軸線に対してクランクシャフト中心を偏倚させられ、それにより、圧縮行程における燃料噴射時期が多少ずれても、ピストンの上昇速度が遅いために、ほぼ所望のピストン位置での燃料噴射を可能とすることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第一実施形態を示す概略縦断面図であり、図2は図1におけるピストンの平面図である。これらの図において、1は吸気ポート、2は排気ポートである。吸気ポート1は吸気弁3を介して、排気ポート2は排気弁4を介して、それぞれ気筒内へ通じている。5はピストンであり、6は気筒略中心上部に配置された点火プラグである。燃料噴射弁7は、燃料幅中心と気筒中心とを略一致させるように、燃料を比較的厚さの薄い平らな扇状に噴射するものである。
【0009】
燃料噴射弁7は、例えば、高い機関出力が必要な均一燃焼領域において、吸気行程で必要燃料量を噴射し、点火時点で気筒内に均一混合気を形成するようになっている。一方、成層燃焼領域においては、圧縮行程後半の機関運転状態毎に設定されたクランク角度から燃料噴射を開始して必要燃料量を噴射するようになっている。圧縮行程後半で噴射された燃料は、図1に示すように、ピストン5の頂面に形成された凹状のキャビティ8内へ進入し、キャビティ8の底壁81に衝突した後に、底壁81に沿って側壁82の方向に進行し、その後、側壁82に沿って手前上方向に偏向されて点火プラグ6へ向けられる。以下の説明を含めて手前とは、燃料噴射弁側である。
【0010】
キャビティ8の底壁81に衝突した後の燃料9は、燃料噴射弁7により噴射される燃料が比較的厚さの薄い平らな扇状であるために、図2にドットで示すように、キャビティ8の底壁81及び側壁82上をさらに燃料幅方向に拡がりながら進行し、燃料各部分は、キャビティ8から熱を良好に吸収するために短時間で着火性の良好な混合気(以下、可燃混合気と称する)となる。成層燃焼を実現するためには、少なくとも燃料噴射末期に噴射された燃料が点火時点において可燃混合気となっていなければならないが、このように比較的厚さの薄い平らな扇状に燃料を噴射することで、燃料噴射終了から点火までの時間を短くすることができ、すなわち、燃料噴射終了を遅らせることができ、比較的多量の燃料を点火時点において可燃混合気とすることが可能となる。
【0011】
こうして形成された可燃混合気は、従来において、図4(A)に実線で示すように、幅に比較して短い長さを有する平らな形状を有して、略長さ方向に上昇する。それにより、可燃混合気が距離L1を移動する間の比較的短い時間しか可燃混合気Mが点火プラグの点火位置Pと接触しておらず、この比較的短い時間で点火時期を迎えなければならない。こうして、燃料噴射時期の僅かなずれ等によって可燃混合気の形成時期に僅かなずれが発生すると、点火時期において、可燃混合気が点火プラグを既に通過している可能性があり、確実な着火性を確保することができない。
【0012】
本発明は、この問題を解決することを意図している。本実施形態におけるピストン5の頂面に形成されたキャビティ8の側壁82は、少なくとも燃料が到達する範囲において、上端部にはキャビティ8内方向に突出する返し部83を有し、曲率半径r1の水平方向の円弧形状を呈しており、この範囲における各側壁部分の縦断面形状は図3に示すようになっている。また、側壁82の燃料が到達する範囲における中心垂直平面N1と、燃料噴射弁7から噴射される燃料の中心垂直平面N2とは180°で交差し、すなわち、一直線上となっている。図3(A)は、図2のA−A断面図であり、気筒略中心上部に位置する点火プラグに最も近い中央側壁部分82aを示している。中央側壁部分82aは、返し部83を含めて曲率半径R1の円弧断面形状を有している。中央側壁部分82aにおける返し部83の突出長はL1である。また、図3(B)は、図2のB−B断面図であり、中央側壁部分82aの右側に位置する右側側壁部分82bを示している。右側側壁部分82bは、返し部83を含めて曲率半径R2の円弧断面形状を有している。右側側壁部分82bにおける返し部83の突出長はL2である。また、図3(C)は、図2のC−C断面図であり、中央側壁部分82aの左側に位置する左側側壁部分82cを示している。左側側壁部分82cは、返し部83を含めて曲率半径R3の円弧断面形状を有している。左側側壁部分82cにおける返し部83の突出長はL3である。各側壁部分における垂直方向の曲率半径及び返し部83の突出長の関係は、R1>R2>R3及びL1<L2<L3となっている。
【0013】
このように構成されたキャビティ8内に燃料が噴射されると、底壁81上を燃料幅方向に拡がりながら進行して側壁82に到達した燃料は、側壁82の水平方向の円弧形状によって燃料幅中心方向に偏向されると共に、各側壁部分の円弧断面形状によって手前上方向に偏向される。簡単のために、噴射された燃料を放射状に三つの燃料部分、すなわち、中央燃料部分9aと、右側燃料部分9bと、左側燃料部分9cとに分割して考えると、中央燃料部分9aは中央側壁部分82aによって、また、右側燃料部分9bは右側側壁部分82bによって、また、左側燃料部分9cは左側側壁部分82cによって、それぞれに、気筒略中心上部に位置する点火プラグ6の方向へ向けられる。こうして、キャビティ8の底壁81は、中央、右側、及び左側燃料部分9a,9b,9cを側壁81へ導くための中央、右側、及び左側燃料導き経路を構成し、中央、右側、及び左側側壁部分82a,82b,82cは、それぞれ、中央、右側、及び左側燃料部分9a,9b,9cを点火プラグ6近傍を通過させるように偏向する中央、右側、及び左側燃料偏向経路を構成している。
【0014】
各燃料偏向経路において、返し部83の突出長が短いほど、燃料通過に際して、経路長が短くて通過抵抗が低くなる。また、本実施形態のように、各側壁部分の垂直方向断面が、全体的な円弧形状を有している場合であっても、部分的な円弧形状を有している場合であっても、各燃料偏向経路において、円弧断面形状の曲率半径が大きいほど、燃料通過に際して、経路長が短くて通過抵抗が低くなる。それにより、本実施形態においては、各燃料偏向経路において、返し部83の突出長及び円弧断面形状における曲率半径に前述のような違いを持たせてあるために、中央燃料偏向経路上を通過する中央燃料部分9aは、最も早い時期にキャビティ8を離れると共に点火プラグ6へ向かう速度も最も速くなる。右側燃料偏向経路上を通過する右側燃料部分9bは、次に早い時期にキャビティ8を離れると共に点火プラグ6へ向かう速度も次に速くなる。また、左側燃料偏向経路上を通過する左側燃料部分9cは、最も遅い時期にキャビティ8を離れると共に点火プラグ6へ向かう速度も最も遅くなる。
【0015】
それにより、図4(B)に示すように、中央燃料部分9aにより形成される可燃混合気9a’は最も早く点火プラグ6近傍に達し、次いで、右側燃料部分9bにより形成される可燃混合気9b’が点火プラグ6に達し、最後に左側燃料部分9cにより形成される可燃混合気9c’が点火プラグ6に達するようになる。しかしながら、これらの可燃混合気は、連続的に拡がる燃料から形成されるために、互いに完全に独立して存在するようなことはなく、図4(B)に示すように互いに周囲部分において重なって繋がっている。
【0016】
このように、本実施形態によれば、燃料噴射弁から比較的厚さの薄い略扇状に噴射された燃料を放射状に複数の燃料部分に分割して考えた場合において、複数の燃料部分により形成される各可燃混合気を繋がった状態で連続的に点火プラグ6近傍を通過させるようにしている。すなわち、本実施形態においては、中央燃料部分9aによる可燃混合気9a’が点火位置Pに接触し始める時(図4(B)の実線で示す時)から左側燃料部分9cによる可燃混合気9c’が点火位置Pに依然として接触している時(図4(B)の点線で示す時)までの間で点火時期を迎えれば良い。言わば、点火プラグ6へ最も遅く到達する左側燃料部分9cによる可燃混合気9c’が距離L2を移動する間において点火が実施されれば良い。
【0017】
この可燃混合気9c’の移動速度は、前述したように遅くなり、図4(A)に示す従来の可燃混合気の移動速度よりも遅く、また、距離L2は、前述の距離L1に比較して十分に長いために、本実施形態によれば、可燃混合気が点火位置Pと比較的長い時間において接触し続け、燃料噴射時期の僅かなずれ等によって可燃混合気の形成時期に僅かなずれが発生しても、点火時期において、可燃混合気が点火プラグを既に通過している可能性はなく、確実な着火性を確保することができる。
【0018】
本実施形態及び以下に説明するいくつかの実施形態において、略扇状に噴射された燃料を三つの燃料部分に分割するものとして説明したが、少なくとも二つの燃料部分に分割し、各燃料部分により形成される可燃混合気を順次点火プラグ近傍を通過させるようにすれば、明かに着火性を向上させることができる。また、複数に分割された燃料部分により形成される可燃混合気の全てを点火プラグ近傍を通過させるようにする必要はなく、分割された燃料部分の少なくとも二つにより形成される可燃混合気を順次点火プラグ近傍を通過させるようにしても良い。
【0019】
さらに、第一側壁部分82a、第二側壁部分82b、及び第三側壁部分82cにおいて、円弧断面形状の曲率半径及び返し部83の突出長の少なくとも一つを、図2に示すように連続的に変化させるようにしても良い。これは、言わば、略扇状に噴射された燃料を非常に多数の燃料部分に分割し、各燃料部分により形成される可燃混合気を順次点火プラグ6近傍を通過させることになり、各燃料部分により形成される可燃混合気の繋がりが良好になり、火炎伝播を非常に良好とすることができる。また、以下に説明するいくつかの実施形態を含めて、本実施形態のように、点火プラグ6へ最初に到達する可燃混合気を形成する燃料部分の経路を点火プラグ6に最も近くすることで、この可燃混合気を早期に点火プラグ6へ到達させることができる。これにより、可燃混合気と点火プラグとの接触時間をさらに長くすることができ、さらに確実な着火性を確保することができる。
【0020】
図5は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第二実施形態を示す図2に相当するピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン5’の頂面に形成されたキャビティ8’は、以下に説明する以外については、第一実施形態のピストン5の頂面に形成されたキャビティ8と同じ形状を有している。このキャビティ8’の側壁82’は、少なくとも燃料が到達する範囲において、上端部に返し部83’を有し、この返し部83’の突出長は、いずれの位置においても同じとされている。図6(A)は図5のD−D断面図であり、図6(B)は図5のE−E断面図であり、図6(C)は図5のF−F断面図である。これらの図に示すように、キャビティ8’の側壁82’は、少なくとも燃料が到達する範囲において同じ曲率半径R4の円弧断面形状を部分的に有している。それにより、各燃料部分を点火プラグ6方向へ偏向する中央、右側、及び左側燃料偏向経路は、経路長及び通過抵抗が略同一となっている。しかしながら、図6に示すように、燃料衝突位置における中央燃料導き経路81a、右側燃料導き経路81b、及び左側燃料導き経路81cの傾斜角度は、互いに異なっており、中央燃料導き経路81aにおける燃料の衝突角度TH1が最も小さく、右側燃料導き経路81bにおける燃料の衝突角度TH2が次いで小さく、左側燃料導き経路81cにおける燃料の衝突角度TH3が最も大きくなっている。
【0021】
それにより、各燃料導き経路への衝突に際して、中央燃料部分9aのエネルギ損失が最も少なく、次いで右側燃料部分9bのエネルギ損失が少なく、左側燃料部分9cのエネルギ損失が最も大きい。こうして、第一実施形態と同様に、中央燃料部分9aにより形成される可燃混合気は最も早く点火プラグ6に達し、次いで、右側燃料部分9bにより形成される可燃混合気が点火プラグ6に達し、最後に、左側燃料部分9cにより形成される可燃混合気が点火プラグ6に達するようになり、前述同様な効果を得ることができる。本実施形態では、キャビティ8’において、各燃料導き経路における側壁近傍の深さH1は略同一であり、燃料衝突位置における傾斜の始点深さH4も略同一とされている。このようなキャビティ8’の底壁形状において、各燃料導き経路における傾斜角度を徐々に変化させることも可能である。それにより、前述同様に、良好に繋がる可燃混合気が形成されて良好な成層燃焼を実現できる。
【0022】
また、図7は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第三実施形態を示す図6に相当する図である。第二実施形態との違いについてのみ以下に説明する。図7(A)は図5のD−D断面図であり、図7(B)は図5のE−E断面図であり、図7(C)は図5のF−F断面図である。これらの図に示すように、燃料衝突位置における中央燃料導き経路81a’、右側燃料導き経路81b’、及び左側燃料導き経路81c’の傾斜角度は、互いに異なっており、中央燃料導き経路81a’における燃料の衝突角度TH1が最も小さく、右側燃料導き経路81b’における燃料の衝突角度TH4が次いで小さく、左側燃料導き経路81c’における燃料の衝突角度TH5が最も大きくなっている。
【0023】
それにより、各燃料導き経路への衝突に際して、中央燃料部分9aのエネルギ損失が最も少なく、次いで右側燃料部分9bのエネルギ損失が少なく、左側燃料部分9cのエネルギ損失が最も大きく、第二実施形態と同様な効果を得ることができる。本実施形態では、キャビティにおいて、各燃料導き経路における側壁近傍の深さH1は略同一であるが、中央燃料導き経路81a’における燃料衝突位置における傾斜の始点深さH4が最も浅く、次いで、右側燃料導き経路81b’における燃料衝突位置における傾斜の始点深さH5が浅く、左側燃料導き経路81c’における燃料衝突位置における傾斜の始点深さH6が最も深くなっている。このようなキャビティの底壁形状において、各燃料導き経路における傾斜角度を徐々に変化させることも可能である。それにより、前述同様に、良好に繋がる可燃混合気が形成されて良好な成層燃焼を実現できる。
【0024】
また、図8は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第四実施形態を示す図6に相当する図である。第二実施形態との違いについてのみ以下に説明する。図8(A)は図5のD−D断面図であり、図8(B)は図5のE−E断面図であり、図8(C)は図5のF−F断面図である。これらの図に示すように、本実施形態においては燃料衝突位置における各燃料導き経路の傾斜角度は略同一であるが、中央燃料導き経路81a”における側壁近傍の深さH1が最も浅く、次いで、右側燃料導き経路81b”における側壁近傍の深さH2が浅く、左側燃料導き経路81c”における側壁近傍の深さH3が最も深くなっている。
【0025】
それにより、中央燃料導き経路81a”の経路長が最も短くなり、次いで右側燃料導き経路81b”の経路長が短くなり、左側燃料導き経路81c”の経路長が最も長くなる。こうして、第一実施形態と同様に、中央燃料部分9aにより形成される可燃混合気は最も早く点火プラグ6に達し、次いで、右側燃料部分9bにより形成される可燃混合気が点火プラグ6に達し、最後に、左側燃料部分9cにより形成される可燃混合気が点火プラグ6に達するようになり、前述同様な効果を得ることができる。本実施形態においても各燃料導き経路における側壁近傍の深さを徐々に変化させ、良好に繋がる可燃混合気を形成することが可能である。
【0026】
図9は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第五実施形態を示す図5に相当するピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン5”の頂面に形成されたキャビティ8”は、以下に説明する以外については、第二実施形態のピストン5’の頂面に形成されたキャビティ8’と同じ形状を有している。本実施形態において、各燃料導き経路の燃料衝突位置における傾斜角度は略同一であるが、中央燃料導き経路上には、中央燃料部分の幅方向に延在する一つの凸状抵抗部10が設けられ、右側燃料導き経路上には、右側燃料部分の幅方向に延在する二つの凸状抵抗部10が設けられ、左側燃料導き経路上には、左側燃料部分の幅方向に延在する三つの凸状抵抗部10が設けられている。
【0027】
それにより、各燃料導き経路上の凸状抵抗部の数の違いによって、中央燃料導き経路の通過抵抗が最も小さく、次いで右側燃料導き経路の通過抵抗が小さく、左側燃料導き経路の通過抵抗が最も大きい。こうして、第一実施形態と同様に、中央燃料部分9aにより形成される可燃混合気は最も早く点火プラグ6に達し、次いで、右側燃料部分9bにより形成される可燃混合気が点火プラグ6に達し、最後に、左側燃料部分9cにより形成される可燃混合気が点火プラグ6に達するようになり、前述同様な効果を得ることができる。
【0028】
本実施形態において、凸状抵抗部は、各燃料導き経路上に設けられているが、もちろん、同様な考え方に基づき各燃料偏向経路上に設けることも可能である。また、抵抗部を凸状ではなく凹状にしても同様に通過抵抗を増加させることができる。また、凸状又は凹状の抵抗部の数を違えることに代えて又は加えて、凸状又は凹状の抵抗部の高さ又は深さを異ならせることによって各燃料導き経路の通過抵抗を変化させるようにしても良い。さらに、通過抵抗を最も小さくする燃料導き経路上及び燃料偏向経路上には、抵抗部を設けなくても良い。
【0029】
図10は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第六実施形態を示す図5に相当するピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン500の頂面に形成されたキャビティ800は、以下に説明する以外については、第二実施形態のピストン5’の頂面に形成されたキャビティ8’と同じ形状を有している。本実施形態において、キャビティ800の底壁には、中央、右側、及び左側燃料導き経路をそれぞれ区画するための四つのガイド突部20が設けられている。各ガイド突部20は、燃料の中心垂直平面N2に対して、略平行で略対称である。こうして区画された中央燃料導き経路は、中央燃料部分をほとんど偏向することなく中央燃料偏向経路に導くが、右側及び左側燃料導き経路は、右側及び左側燃料部分を水平方向に偏向して右側及び左側燃料偏向経路へ導くことになり、その分の通過抵抗を右側及び左側燃料部分へ与える。
【0030】
キャビティ800の側壁において、燃料が到達する範囲における水平方向の円弧形状の曲率半径r2は、第二実施形態のキャビティ8’の曲率半径r1に比較して小さくされており、それにより、右側及び左側燃料偏向経路は、右側及び左側燃料導き経路上で水平方向に偏向されて到達する燃料を良好に点火プラグ6近傍へ偏向するようになっている。こうして、中央燃料部分により形成される可燃混合気は最も早く点火プラグ6に達し、次いで、右側及び左側燃料部分により形成される可燃混合気が点火プラグ6に達し、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり前述同様な効果を得ることができる。
【0031】
本実施形態において、右側及び左側燃料導き経路における通過抵抗は略同一で、右側及び左側燃料部分により形成される可燃混合気はほぼ同時に点火プラグ6に到達するようになっている。しかしながら、例えば、左側燃料導き経路を区画するガイド突部20を燃料の中心垂直平面方向に傾斜させることで、左側燃料部分の水平方向の偏向度合いが大きくなり、右側燃料導き経路に比較して左側燃料導き経路における通過抵抗を大きくすることができ、これまでの実施形態のように、各燃料部分により形成される可燃混合気が順次点火プラグ近傍を通過するようにすることができる。
【0032】
図11は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第七実施形態を示す図10に相当するピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン501の頂面に形成されたキャビティ801は、以下に説明する以外については、第六実施形態のピストン500の頂面に形成されたキャビティ800と同じ形状を有している。本実施形態において、キャビティ801の底壁には、中央、右側、及び左側燃料導き経路をそれぞれ区画するための四つのガイド突部21が設けられている。各ガイド突部21は、燃料の中心垂直平面N2に対して内側に湾曲し、燃料の中心垂直平面N2に対して略対称である。また、燃料の中心垂直平面N2から離れるガイド突部ほど小さな曲率半径を有している。こうして区画された中央燃料導き経路は、中央燃料部分をほとんど偏向することなく中央燃料偏向経路に導くが、右側及び左側燃料導き経路は、右側及び左側燃料部分を水平方向に偏向して右側及び左側燃料偏向経路へ導くことになり、その分の通過抵抗を右側及び左側燃料部分へ与え、第六実施形態と同様に、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり前述同様な効果を得ることができる。本実施形態においても、第六実施形態と同様な考え方に基づき右側燃料導き経路と左側燃料導き経路の通過抵抗に違いを持たせ、各燃料部分により形成される可燃混合気が順次点火プラグ近傍を通過するようにすることができる。
【0033】
図12は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第八実施形態を示す図5に相当するピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン502の頂面に形成されたキャビティ802は、以下に説明する以外については、第二実施形態のピストン5’の頂面に形成されたキャビティ8’と同じ形状を有している。本実施形態において、キャビティ802の底壁の燃料衝突位置における傾斜角度は略同一であるが、底壁には略扇状に噴射される燃料を全体的に燃料幅左方向に偏向する複数の偏向ガイド突部22が設けられている。偏向側、すなわち、左側に位置する偏向ガイド突部22は、右側に位置する偏向ガイド突部22に比較して傾きが小さくされている。点火プラグ6’は、左側に少し偏心されている。
【0034】
こうして、偏向ガイド突部22によって偏向された燃料がキャビティ802の側壁によって手前上方向に偏向されると、この燃料により形成される可燃混合気Mは、図4(A)に相当する図14に示すように、左側に偏心された点火プラグ6に対して平面的には右下から斜め左上方向に移動する。可燃混合気Mの移動速度は、噴射された燃料が有する運動エネルギによるものであり、図4(A)に示す従来の場合と図14に示す本実施形態の場合においてほぼ等しいと考えられる。こうして、本実施形態によれば、可燃混合気Mが距離L3を移動する間において可燃混合気Mは点火位置Pに接触しており、距離L3は前述の距離L1に比較して十分に長いために、燃料噴射時期の僅かなずれ等によって可燃混合気の形成時期に僅かなずれが発生しても、点火時期において確実な着火性を確保することができる。
【0035】
本実施形態において、左側に位置する偏向ガイド突部22は、右側に位置する偏向ガイド突部22に比較して傾きが小さくされているために、キャビティ802の底壁において、燃料の左側は、あまり左方向に偏向されない。それにより、可燃混合気となって移動する際に、可燃混合気の左側は、左側方向へゆっくり移動するために、可燃混合気がシリンダボアに接触し難くなる。こうして、シリンダボアに燃料が付着してエンジンオイルの希釈させる等の問題を防止することができる。
【0036】
本実施形態において、偏向ガイド22は、キャビティの底壁、すなわち、燃料導き経路に設けられているが、キャビティの側壁、すなわち、燃料偏向経路上に設けるようにしても良い。この場合において、燃料偏向経路は、燃料を手前上方向に偏向するだけでなく、燃料幅左方向にも偏向することになる。以下の実施形態を含めて、本実施形態において、点火プラグは気筒略中心に配置することも可能である。この場合においては、前述した可燃混合気の斜め上方向への移動が垂直方向に近づくこととなるが、従来に比較して長い距離を移動する間において、可燃混合気は点火位置に接触するために、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり、点火時期における確実な着火性を確保することができる。
【0037】
図13は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第九実施形態を示す図5のG−G断面図に相当する図である。本実施形態におけるキャビティ803の底壁は、燃料の右側端部から左側端部の方向に傾斜している。それにより、底壁上を進行する燃料には左方向への偏向力が作用し、第八実施形態と同様に、可燃混合気は図14に示すように移動させ、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり、点火時期における確実な着火性を確保することができる。
【0038】
本実施形態において、キャビティ803の底壁における傾斜角度は、燃料の右端部における傾斜角度より左端部における方が小さくされており、キャビティ803の底壁において、燃料の左側は、あまり左方向に偏向されないようになっている。それにより、可燃混合気となって移動する際に、可燃混合気の左側は、左側方向へゆっくり移動するために、可燃混合気がシリンダボアに接触し難くなる。こうして、シリンダボアに燃料が付着してエンジンオイルの希釈させる等の問題を防止することができる。
【0039】
図15は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十実施形態を示す図2に相当するピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン504の頂面に形成されたキャビティ804は、以下に説明する以外については、第二実施形態のピストン5の頂面に形成されたキャビティ8と同じ形状を有しており、垂直方向軸線を中心に時計方向に所定角度回転させた構造となっている。本実施形態において、側壁の燃料が到達する範囲における中心垂直平面N1’と、燃料噴射弁7から噴射される燃料の中心垂直平面N2とは所定鈍角THで交差しており、点火プラグ6’は左方向に少し偏倚されている。
【0040】
このように構成された側壁は、燃料を中心垂直平面N1’に沿って上方向に偏向する。それにより、点火プラグ6’から見れば、燃料により形成される可燃混合気は、上昇するほど左方向に移動することになる。それにより、第八実施形態と同様に、可燃混合気は図14に示すように移動させ、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり、点火時期における確実な着火性を確保することができる。
【0041】
また、本実施形態において、側壁の燃料が到達する範囲における垂直方向の断面形状は、左側のJ−J断面が図3(C)に相当し、中央のI−I断面が図3(B)に相当し、右側のH−H断面が図3(A)に相当している。それにより、燃料の左側部分ほど上昇速度が遅くなり、点火時点において、この部分の点火プラグ6’に対する左方向の移動量が少なくなる。こうして、可燃混合気がシリンダボアに接触し難くなる。本実施形態において、側壁の燃料が到達する範囲は水平方向の一つの曲率半径を有する円弧状となっている。しかしながら、この範囲の側壁における左側部分を部分的に小さな曲率半径とすることで、燃料の左側部分の左方向への移動速度を低下させ、さらに確実に可燃混合気がシリンダボアに接触することを防止することができる。
【0042】
図16は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十一実施形態を示すピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン505の頂面に形成されたキャビティ805は、比較的厚さの薄い平らな扇状に噴射された燃料を手前上方向に偏向するものである。点火プラグ6’は左側に偏倚されている。本実施形態において、吸気ポートは気筒内に反時計水平方向のスワールを形成するように構成されている。また、ピストン505の頂面には、キャビティ805の側壁の燃料が到達する範囲に対応して隆起部50が形成されている。
【0043】
それにより、スワールの一部は、隆起部に沿って旋回し、手前上方向に偏向された燃料により形成される可燃混合気を左方向へ移動させる。それにより、第八実施形態と同様に、可燃混合気は図14に示すように移動させ、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり、点火時期における確実な着火性を確保することができる。
【0044】
図17は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十二実施形態を示すピストンの平面図である。本実施形態におけるピストン506の頂面に形成されたキャビティ806は、比較的厚さの薄い平らな扇状に噴射された燃料を手前上方向に偏向するものである。点火プラグ6’は左側に少し偏倚されている。本実施形態において、ピストン506の頂面には、主に、キャビティ806の側壁の燃料が到達する範囲に沿って左方向に移動するスキッシュを発生するスキッシュエリア60が形成されている。
【0045】
それにより、スキッシュは、手前上方向に偏向された燃料により形成される可燃混合気を左方向へ移動させる。それにより、第八実施形態と同様に、可燃混合気は図14に示すように移動させ、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり、点火時期における確実な着火性を確保することができる。
【0046】
図18は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十三実施形態を示す概略縦断面図である。図1の第一実施形態との違いについてのみ以下に説明する。本実施形態におけるキャビティ807の底壁には、燃料噴射弁7から噴射される燃料がピストン507の上昇に伴って順次衝突する第一、第二、及び第三段部807a,807b,807cが形成されている。また、ピストン507の頂面には、主に、燃料噴射弁7の対向側から燃料噴射弁方向に進行するスキッシュを発生させるスキッシュエリア70が設けられている。
【0047】
低負荷側で燃料噴射量が少ない時でも、燃料噴射弁から噴射される燃料は、必ず第一及び第二段部807a,807bに衝突するようになっている。第一及び第二段部807a,807bは、それぞれ、燃料を互いに略平行に上方向へ偏向し、少なくとも、こうして偏向される燃料は、点火プラグ6よりスキッシュ上流側へ向かうようになっている。第一及び第二段部807a,807bにより偏向された燃料は、それぞれ、良好に可燃混合気となるために、全体的には、前述した実施形態に比較して確実に厚さの厚い可燃混合気となって、スキッシュによって点火プラグ6方向へ移動される。それにより、本実施形態では、可燃混合気は点火プラグと厚さ方向に比較的長い時間接触し続け、従来に比較して可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなり、点火時期における確実な着火性を確保することができる。
【0048】
本実施形態において、高負荷側となって燃料噴射量が増加すると、第三段部807cにも燃料が衝突して上方向に偏向される。この燃料により形成される可燃混合気は、第二段部807bにより上方向へ偏向された燃料により形成される可燃混合気に隣接して位置するために、さらに可燃混合気の厚さを厚くし、厚さ方向に移動する可燃混合気と点火プラグとの接触時間がさらに長くなり、点火時期におけるさらに確実な着火性を確保することができる。
【0049】
図19は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十四実施形態を説明するための燃料噴射パターンである。同図において、点線は従来の燃料噴射パターンであり、本実施形態の燃料噴射パターンは、実線で示すように、燃料噴射初期の噴射率を高めると共に、燃料噴射末期の噴射率を低くしている。それにより、同じ噴射期間で同量の燃料を噴射することができる。こうして、燃料噴射末期の噴射率を低くすると、この時に噴射される燃料の運動エネルギが減少し、噴射されてから可燃混合気が点火プラグに到達するまでの時間を延長することができる。これは、言わば、可燃混合気の全体的な長さを長くすることになり、可燃混合気と点火プラグとの接触時間が長くなるために、点火時期における確実な着火性を確保することができる。
【0050】
本実施形態において、燃料噴射初期の噴射率を高めないことも可能である。それにより、燃料噴射期間は延長することになるが、噴射率を低くして噴射した燃料は、容易に気化して可燃混合気となり易く、すなわち、早期に可燃混合気となるために、燃料噴射終了時期が遅れても点火時点において噴射された燃料は全て可燃混合気となっており、特に問題とはならない。これは、燃料噴射初期の噴射率を高めれば、さらに多量の燃料が噴射可能であることを意味している。
【0051】
燃料噴射初期の噴射率を高めても、この時に噴射された燃料は、点火までの十分な時間によって良好な可燃混合気となることができる。燃料噴射弁は、一般的に、ニードルリフト量によって噴射率が変化する構造である。それにより、燃料噴射末期に噴射率を低くするためには、燃料噴射末期のニードルリフト量を小さく制御すれば良い。また、燃料噴射弁は、一般的に、小容量の燃料溜まりを介して高圧燃料を噴射するものであり、燃料噴射弁の開弁中には燃料供給通路により燃料溜まりへ燃料が供給されるようになっている。それにより、燃料供給通路に絞りを設ければ、燃料噴射初期には、燃料溜まり内の高圧の燃料が噴射されるが、燃料噴射末期には、燃料溜まり内の燃料圧力は低下するために、この時の噴射率を低くすることができる。
【0052】
図20は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十五実施形態を説明するためのクランク機構を示す概略図である。同図において、本実施形態のクランク機構900は、時計方向に回転し、回転中心900aがピストン508の中心軸線に対して左側に偏倚している。それにより、ピストン508が下降する時のクランク角速度は速くなるが、ピストン508が上昇する時のクランク角速度は遅くなる。本実施形態において、可燃混合気が点火プラグに接触している時間は延長されないが、圧縮行程における燃料噴射時期が多少ずれても、ピストンの上昇速度が遅いために、ほぼ所望のピストン位置で燃料を噴射することができ、確実な着火性を確保することができる。
【0053】
前述した第十四実施形態において、内燃機関は、燃料をピストン頂面のキャビティにより点火プラグ方向へ偏向するものに限定されず、燃料を飛行中に気化させて直接的に点火プラグ方向に向かわせるものでも、従来に比較して可燃混合気と点火プラグとの接触時間が延長し、確実な着火性を確保することができる。また、第十四及び第十五実施形態においては、燃料を略扇状に噴射するものにも限定されず、燃料を円錐状に噴射するものでも良い。これらの内燃機関においても、従来に比較して確実な着火性を確保することができる。
【0054】
【発明の効果】
このように、本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関は、点火プラグと、気筒内へ直接的に燃料を噴射する燃料噴射弁とを具備し、燃料噴射弁から噴射された燃料はピストン頂面に形成された凹状のキャビティ内へ侵入して点火プラグ近傍を通過するように偏向され、クランク機構が、圧縮行程におけるクランク角速度を低下させるように、ピストンの中心軸線に対してクランクシャフト中心を偏倚させるようになっているために、圧縮行程において、燃料噴射時期が多少ずれても、ほぼ所望のピストン位置で燃料噴射が実施され、確実な着火性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第一実施形態を示す概略縦断面図である。
【図2】図1のピストンの平面図である。
【図3】図2のキャビティ側壁部分の断面図であり、(A)はA−A断面図、(B)はB−B断面図、(C)はC−C断面図である。
【図4】可燃混合気の挙動を説明する図である。
【図5】図2に相当するピストンの平面図である。
【図6】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第二実施形態を示す図5のキャビティ側壁部分の断面図であり、(A)はD−D断面図、(B)はE−E断面図、(C)はF−F断面図である。
【図7】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第三実施形態を示す図5のキャビティ側壁部分の断面図であり、(A)はD−D断面図、(B)はE−E断面図、(C)はF−F断面図である。
【図8】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第四実施形態を示す図5のキャビティ側壁部分の断面図であり、(A)はD−D断面図、(B)はE−E断面図、(C)はF−F断面図である。
【図9】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第五実施形態を示すピストンの平面図である。
【図10】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第六実施形態を示すピストンの平面図である。
【図11】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第七実施形態を示すピストンの平面図である。
【図12】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第八実施形態を示すピストンの平面図である。
【図13】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第九実施形態を示す図5のG−G断面図である。
【図14】可燃混合気のもう一つの挙動を説明する図である。
【図15】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十実施形態を示すピストンの平面図である。
【図16】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十一実施形態を示すピストンの平面図である。
【図17】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十二実施形態を示すピストンの平面図である。
【図18】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十三実施形態を示す概略縦断面図である。
【図19】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十四実施形態を説明する燃料噴射パターンを示す図である。
【図20】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第十五実施形態を説明するクランク機構を示す図である。
【符号の説明】
5…ピストン
6…点火プラグ
7…燃料噴射弁
8…キャビティ
Claims (1)
- 点火プラグと、気筒内へ直接的に燃料を噴射する燃料噴射弁とを具備し、前記燃料噴射弁から噴射された燃料はピストン頂面に形成された凹状のキャビティ内へ侵入して前記点火プラグ近傍を通過するように偏向され、クランク機構が、圧縮行程におけるクランク角速度を低下させるように、ピストン中心軸線に対してクランクシャフト中心を偏倚させられ、それにより、圧縮行程における燃料噴射時期が多少ずれても、ピストンの上昇速度が遅いために、ほぼ所望のピストン位置での燃料噴射を可能とすることを特徴とする筒内噴射式火花点火内燃機関。
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