JP2003012915A - 帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物

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JP2003012915A
JP2003012915A JP2002119080A JP2002119080A JP2003012915A JP 2003012915 A JP2003012915 A JP 2003012915A JP 2002119080 A JP2002119080 A JP 2002119080A JP 2002119080 A JP2002119080 A JP 2002119080A JP 2003012915 A JP2003012915 A JP 2003012915A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、帯電防止性能に優れ、且つ
透明性、色相、成形耐熱性、耐乾熱性、耐湿熱疲労性の
良好な帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 (A)ポリカーボネート樹脂(a成分)
100重量部、(B)ベンゼンスルホン酸ホスホニウム
塩(b成分)0.05〜5重量部および(C)(C−
1)カルボン酸化合物(c−1成分)と(C−2)無水
カルボン酸化合物(c−2成分)からなる群より選択さ
れた少なくとも一種の化合物(c成分)0.005〜1
重量部よりなる帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止性ポリカ
ーボネート樹脂組成物に関する。更に詳しくは帯電防止
性能に優れ、さらに透明性、色相、成形耐熱性、耐乾熱
性、耐湿熱疲労性に優れた帯電防止性ポリカーボネート
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は、優れた透明
性、耐熱性、機械的強度等を有するがゆえに電気、機
械、自動車、医療用途等に幅広く使用されている。しか
しながら、ポリカーボネート樹脂は表面固有抵抗が大き
く、接触や摩擦などで誘起された静電気が消失し難く、
成形品表面への埃の付着、人体への電撃による不快感、
更にはエレクトロニクス製品におけるノイズの発生や誤
動作を生じる等の問題がある。
【0003】特に、最近では自動車用途の素通しヘッド
ランプレンズ内面や内装透明カバー内面、車両用樹脂窓
ガラスにおいて、使用するにつれて埃が付着し透明性を
損なうということが問題となっている。このような部位
において透明性を損なうことは、外観上の問題だけでな
く走行時の安全を確保する上でも大きな問題となってい
る。
【0004】従来、ポリカーボネート樹脂の帯電を防止
する方法としてスルホン酸のアルカリ金属塩を配合する
方法、スルホン酸のホスホニウム塩を配合する方法(特
開昭62−230835号公報)、スルホン酸のホスホ
ニウム塩と亜リン酸エステルを配合する方法(特開平1
−14267号公報)、スルホン酸のアミン塩とリン酸
エステルを配合する方法(特開平3−64368号公
報)等が提案されている。しかしながら、これらの方法
で得られるポリカーボネート樹脂は、成形板にすると透
明性、成形耐熱性、色相、耐乾熱性が大きく低下する等
の問題があった。
【0005】一方、透明性、成形耐熱性、色相、耐乾熱
性を改善する目的でスルホン酸ホスホニウムとともに亜
燐酸を添加する方法(特開平11−80532号公報)
も提案されているが、この方法では成形時のポリカーボ
ネートの分子量低下が大きく、また成形品の耐湿熱疲労
性が著しく劣るなどの問題があった。
【0006】一方、これまでに光学用ポリカーボネート
樹脂成形材料において脂肪族カルボン酸を配合すること
により成形した光ディスク基盤の内部欠陥を低減する方
法(特開平4−41550号公報)や溶融重縮合法にお
いて触媒のアルカリ化合物を中和させる目的で酸性化合
物を添加する耐熱性、成形滞留安定性などに優れたポリ
カーボネートの製造方法(特開平4−175368号公
報)が示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、帯電
防止性能に優れ、且つ透明性、色相、成形耐熱性、耐乾
熱性、耐湿熱疲労性の良好な帯電防止性ポリカーボネー
ト樹脂組成物を提供することにある。
【0008】本発明者は、上記目的を達成せんとして鋭
意研究を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂とベンゼン
スルホン酸ホスホニウム塩からなる樹脂組成物におい
て、特定の化学構造を有するカルボン酸化合物または無
水カルボン酸化合物を特定量使用することによって、驚
くべきことに帯電防止性能に優れ、且つ色相、成形耐熱
性、耐乾熱性の劣化も大幅に抑制され、さらに成形時の
分子量低下や耐湿熱疲労性の劣化も抑制できることを究
明し、本発明を完成した。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、(A)ポリカーボネート樹脂(a成分)100重量
部、(B)下記一般式(I)で表されるベンゼンスルホ
ン酸ホスホニウム塩(b成分)0.05〜5重量部およ
び(C)(C−1)下記一般式(II)で表されるカル
ボン酸化合物(c−1成分)と(C−2)下記一般式
(III)で表される無水カルボン酸化合物(c−2成
分)からなる群より選択された少なくとも一種の化合物
(c成分)0.005〜1重量部よりなる帯電防止性ポ
リカーボネート樹脂組成物が提供される。
【0010】
【化5】
【0011】(式中、R1は水素原子、炭素数1〜35
のアルキル基、炭素数6〜20のアラルキル基または炭
素数5〜15のアリール基を示し、R2は水素原子、炭
素数1〜7のアルキル基、炭素数6〜20のアラルキル
基または炭素数5〜15のアリール基を示し、R3
4、R5およびR6はそれぞれ独立して、水素原子、炭
素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜20のアラルキル
基または炭素数5〜15のアリール基を示す。)
【0012】
【化6】
【0013】(式中、R7は炭素数1〜35のアルキル
基、炭素数6〜20のアラルキル基または炭素数5〜1
5のアリール基を示す。)
【0014】
【化7】
【0015】(式中、R8、R9はそれぞれ炭素数1〜3
5のアルキル基、炭素数6〜20のアラルキル基または
炭素数5〜15のアリール基を示す。) 本発明でa成分として使用されるポリカーボネート樹脂
は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重合
法または溶融法等の方法で反応させて得ることができ
る。ここで使用される二価フェノールの代表的な例とし
ては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ビ
フェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン(略称ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4′−(p−フ
ェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4′
−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノー
ル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イ
ソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スル
フィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシ
ド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エステル、2,2−ビス(3,5−ジブ
ロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,
5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビ
ス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィ
ド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフ
ェニル)フルオレン等が挙げられる。好ましい二価フェ
ノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンで
あり、なかでもビスフェノールAが特に好ましい。
【0016】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメート等が使用
され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートま
たは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられ
る。
【0017】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重合法によってポリカーボネート樹脂を製造する
に当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェ
ノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカー
ボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共
重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族
または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエ
ステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られ
たポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物で
あってもよい。
【0018】界面重合法による反応は、通常二価フェノ
ールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶
媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては例えば水酸
化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化
物、ピリジン等が用いられる。
【0019】有機溶媒としては例えば塩化メチレン、ク
ロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。
【0020】また、反応促進のために例えば第三級アミ
ンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることがで
き、分子量調節剤として例えばフェノール、p−ter
t−ブチルフェノール、p−クミルフェノール等の末端
停止剤を用いるのが好ましい。
【0021】反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数
分〜5時間、反応中のpHは通常10以上に保つのが好
ましい。
【0022】溶融法による反応は、通常二価フェノール
と炭酸ジエステルとのエステル交換反応であり、不活性
ガスの存在下に二価フェノールと炭酸ジエステルを混合
し、減圧下通常120〜350℃で反応させる。減圧度
は段階的に変化させ、最終的には133Pa以下にして
生成したフェノール類を系外に除去させる。反応時間は
通常1〜4時間程度である。
【0023】炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニ
ルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフ
ェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチ
ルカーボネートおよびジブチルカーボネート等が挙げら
れ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0024】重合速度を速めるために重合触媒を使用す
ることができ、重合触媒としては、例えば水酸化ナトリ
ウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類
金属の水酸化物、ホウ素やアルミニウムの水酸化物、ア
ルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第4級アンモニウ
ム塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシ
ド、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩、亜鉛
化合物、ホウ素化合物、ケイ素化合物、ゲルマニウム化
合物、有機錫化合物、鉛化合物、アンチモン化合物、マ
ンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等の
通常エステル化反応やエステル交換反応に使用される触
媒があげられる。触媒は単独で使用しても良いし、二種
類以上を併用して使用しても良い。
【0025】また、重合反応において、フェノール性の
末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了
後に、例えば2−クロロフェニルフェニルカーボネー
ト、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネ
ートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカ
ーボネート等の化合物を加えることが好ましい。
【0026】上記以外の反応形式の詳細についても、成
書及び特許公報などで良く知られている。
【0027】本発明におけるポリカーボネート樹脂の分
子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜10
0,000が好ましく、12,000〜45,000が
より好ましく、15,000〜40,000がさらに好
ましく、21,000〜30,000が特に好ましい。
かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂
は、十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も
良好であり成形歪みが発生せず好ましい。かかる粘度平
均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート
樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度
(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。 ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83c=0.7
【0028】本発明において、b成分として上記一般式
(I)で示されるベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩
が、帯電防止剤として使用される。
【0029】上記一般式(I)中、R1は水素原子、炭
素数1〜35のアルキル基、炭素数6〜20のアラルキ
ル基または炭素数5〜15のアリール基を示す。
【0030】炭素数1〜35のアルキル基としては、直
鎖または分岐状のアルキル基であってよい。例えば、メ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチ
ル基、イソブチル基、ペンチル基、2−エチルブチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチル
ヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラ
デシル基、オクタデシル基、エイコシル基等が挙げられ
る。
【0031】炭素数6〜20のアラルキル基としては、
ベンジル基、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチ
ルベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナ
フチルメチル基および2−フェニルイソプロピル基等が
挙げられる。
【0032】炭素数5〜15のアリール基としては、フ
ェニル基、トリル基、ナフチル基およびピリジニル基等
が挙げられる。
【0033】R1としては、これらの中で炭素数1〜3
5のアルキル基が好ましく、炭素数5〜20のアルキル
基がより好ましく、炭素数10〜15のアルキル基がさ
らに好ましい。特に、ポリカーボネート樹脂との相溶
性、樹脂中の分子分散性の観点からドデシル基が好まし
い。
【0034】上記一般式(I)中、R2は水素原子、炭
素数1〜7のアルキル基、炭素数6〜20のアラルキル
基または炭素数5〜15のアリール基を示す。
【0035】炭素数1〜7のアルキル基としては、直鎖
または分岐状のアルキル基であってよい。例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、ペンチル基、2−エチルブチル基、
ヘキシル基およびヘプチル基等が挙げられる。
【0036】炭素数6〜20のアラルキル基としては、
ベンジル基、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチ
ルベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナ
フチルメチル基および2−フェニルイソプロピル基等が
挙げられる。
【0037】炭素数5〜15のアリール基としては、フ
ェニル基、トリル基、ナフチル基およびピリジニル基等
が挙げられる。
【0038】R2としては、これらの中で水素原子また
は炭素数1〜7のアルキル基が好ましく、水素原子が特
に好ましい。
【0039】R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立し
て、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜
20のアラルキル基または炭素数5〜15のアリール基
を示す。
【0040】炭素数1〜5のアルキル基としては、直鎖
または分岐状のアルキル基であってよい。例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基およびペンチル基等が挙げられる。
【0041】炭素数6〜20のアラルキル基としては、
ベンジル基、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチ
ルベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナ
フチルメチル基および2−フェニルイソプロピル基等が
挙げられる。
【0042】炭素数5〜15のアリール基としては、フ
ェニル基、トリル基、ナフチル基およびピリジニル基等
が挙げられる。
【0043】R3、R4、R5およびR6としては、これら
の中で炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数2
〜5のアルキル基がより好ましく、ブチル基が特に好ま
しい。
【0044】かかるベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩
は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0
5〜5.0重量部、好ましくは0.1〜3.0重量部、
より好ましくは0.5〜2.5重量部の範囲で使用され
る。0.05重量部未満では充分な帯電防止効果が得ら
れず、5.0重量部を越えると成形して得られるポリカ
ーボネート樹脂成形品の機械的物性が劣り、透明性及び
外観も低下するため好ましくない。
【0045】かかる帯電防止剤は、本発明の目的を損ね
ない範囲であれば製造時の未反応物や不純物が極少量混
入していてもよい。
【0046】また、本発明の樹脂組成物には、帯電防止
剤として更に有機スルホン酸アルカリ金属塩(d成分)
が併用できる。かかる併用は、より良好な帯電防止性能
を樹脂組成物に発揮させるか、または帯電防止性能を維
持しつつ、樹脂組成物の分解抑制効果の向上を可能にさ
せる。
【0047】かかるd成分の有機スルホン酸アルカリ金
属塩における、有機スルホン酸としては特に限定される
ものではなく、例えば次のものが例示される。即ち、モ
ノマーまたはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸、
芳香族ケトンのスルホン酸、複素環式スルホン酸、芳香
族スルフィドのスルホン酸、モノマーまたはポリマー状
の芳香族エーテルスルホン酸、脂肪族またはオレフィン
系スルホン酸、モノマーまたはポリマー状のフェノール
エステルスルホン酸、およびモノマーまたはポリマー状
の芳香族スルホン酸などを挙げることができる。これら
の有機スルホン酸はその水素原子の一部がフッ素原子な
どのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0048】有機スルホン酸アルカリ金属塩の中でもヘ
ッドランプレンズなどに求められる良好な耐候性(紫外
線による変色など)を与えることができる点から、下記
一般式(IV)で表されるベンゼンスルホン酸アルカリ
金属塩(d−1成分)が併用でき、かかる併用が好まし
い。
【0049】
【化8】
【0050】上記一般式(IV)中、R10は水素原子、
炭素数1〜35のアルキル基、炭素数6〜20のアラル
キル基または炭素数5〜15のアリール基を示す。
【0051】炭素数1〜35のアルキル基としては、直
鎖または分岐状のアルキル基であってよい。例えば、メ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチ
ル基、イソブチル基、ペンチル基、2−エチルブチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチル
ヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラ
デシル基、オクタデシル基、エイコシル基等が挙げられ
る。
【0052】炭素数6〜20のアラルキル基としては、
ベンジル基、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチ
ルベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナ
フチルメチル基および2−フェニルイソプロピル基等が
挙げられる。
【0053】炭素数5〜15のアリール基としては、フ
ェニル基、トリル基、ナフチル基及びピリジニル基等が
挙げられる。
【0054】R10としては、これらの中で炭素数1〜3
5のアルキル基が好ましく、炭素数5〜20のアルキル
基がより好ましく、炭素数10〜15のアルキル基がさ
らに好ましい。特に、ポリカーボネート樹脂との相溶
性、樹脂中の分子分散性の観点からドデシル基が好まし
い。
【0055】また、上記一般式(IV)中、R11は水素
原子、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数6〜20のア
ラルキル基または炭素数5〜15のアリール基を示す。
【0056】炭素数1〜7のアルキル基としては、直鎖
または分岐状のアルキル基であってよい。例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、ペンチル基、2−エチルブチル基、
ヘキシル基およびヘプチル基等が挙げられる。
【0057】炭素数6〜20のアラルキル基としては、
ベンジル基、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチ
ルベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナ
フチルメチル基および2−フェニルイソプロピル基等が
挙げられる。
【0058】炭素数5〜15のアリール基としては、フ
ェニル基、トリル基、ナフチル基およびピリジニル基等
が挙げられる。
【0059】R11としては、これらの中で水素原子また
は炭素数1〜7のアルキル基が好ましく、水素原子が特
に好ましい。
【0060】上記一般式(IV)中、Mはアルカリ金属
を示す。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウ
ム、カリウム、ルビジウム、セシウム、およびフランシ
ウムが挙げられる。
【0061】かかる有機スルホン酸アルカリ金属塩(d
成分)は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して
好ましくは0.001〜0.2重量部、より好ましくは
0.005〜0.15重量部、さらに好ましくは0.0
1〜0.1重量部の範囲で使用される。
【0062】かかるベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩
(d−1成分)は、ポリカーボネート樹脂100重量部
に対して好ましくは0.001〜0.2重量部、より好
ましくは0.005〜0.15重量部、さらに好ましく
は0.01〜0.1重量部の範囲で使用される。ベンゼ
ンスルホン酸アルカリ金属塩を含有することにより、さ
らにポリカーボネート樹脂組成物の帯電防止性能が向上
する。
【0063】さらに、本発明の帯電防止性ポリカーボネ
ート樹脂組成物には、前記ベンゼンスルホン酸ホスホニ
ウム塩およびベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩以外の
帯電防止剤を併用して使用することができる。
【0064】かかる他の帯電防止剤としては、例えばベ
ンゼンスルホン酸カルシウム、ベンゼンスルホン酸マグ
ネシウム、およびベンゼンスルホン酸バリウム等のベン
ゼンスルホン酸アルカリ土類金属塩、脂肪酸エステル化
合物、カーボン、グラファイト、並びに金属粉末等が挙
げられる。かかる帯電防止剤の使用量は、ポリカーボネ
ート樹脂組成物100重量部に対して0.01〜1重量
部が好ましい。
【0065】本発明において、c成分として上記一般式
(II)で示されるカルボン酸化合物(c−1成分)お
よび上記一般式(III)で示される無水カルボン酸化
合物(c−2成分)からなる群より選択された少なくと
も一種の化合物が、熱安定剤として使用される。
【0066】上記一般式(II)中、R7は炭素数1〜
35のアルキル基、炭素数6〜20のアラルキル基また
は炭素数5〜15のアリール基を示す。
【0067】炭素数1〜35のアルキル基としては、直
鎖または分岐状のアルキル基であってよい。例えば、メ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチ
ル基、イソブチル基、ペンチル基、2−エチルブチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチル
ヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラ
デシル基、オクタデシル基、エイコシル基等が挙げられ
る。
【0068】炭素数6〜20のアラルキル基としては、
ベンジル基、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチ
ルベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナ
フチルメチル基および2−フェニルイソプロピル基等が
挙げられる。
【0069】炭素数5〜15のアリール基としては、フ
ェニル基、トリル基、ナフチル基およびピリジニル基等
が挙げられる。
【0070】R7としては、これらの中で炭素数1〜3
5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル
基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに
好ましい。特に酢酸が好ましく用いられる。
【0071】上記一般式(III)中、R8、R9はそれ
ぞれ炭素数1〜35のアルキル基、炭素数6〜20のア
ラルキル基または炭素数5〜15のアリール基を示す。
【0072】炭素数1〜35のアルキル基としては、直
鎖または分岐状のアルキル基であってよい。例えば、メ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチ
ル基、イソブチル基、ペンチル基、2−エチルブチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチル
ヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラ
デシル基、オクタデシル基、エイコシル基等が挙げられ
る。
【0073】炭素数6〜20のアラルキル基としては、
ベンジル基、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチ
ルベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナ
フチルメチル基および2−フェニルイソプロピル基等が
挙げられる。
【0074】炭素数5〜15のアリール基としては、フ
ェニル基、トリル基、ナフチル基およびピリジニル基等
が挙げられる。
【0075】R8、R9としては、それぞれこれらの中で
炭素数1〜35のアルキル基が好ましく、炭素数1〜1
0のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキ
ル基がさらに好ましい。特に無水酢酸が好ましく用いら
れる。
【0076】かかるカルボン酸化合物および無水カルボ
ン酸化合物からなる群より選択された少なくとも一種の
化合物は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して
0.005〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重
量部、より好ましくは0.02〜0.2重量部の範囲と
なる量で使用される。0.005重量部未満では充分な
熱安定性の効果が得られず、1重量部を越えると成形し
て得られるポリカーボネート樹脂成形品の成形耐熱性が
劣り、透明性及び機械物性も低下するため好ましくな
い。
【0077】かかるカルボン酸化合物および無水カルボ
ン酸化合物は、本発明の目的を損ねない範囲であれば製
造時の未反応物や不純物を極少量混入していてもよい。
【0078】本発明において、帯電防止性ポリカーボネ
ート樹脂組成物の色相、成形耐熱性、耐乾熱性の劣化抑
制に加え、分子量低下や耐湿熱疲労性の劣化も抑制でき
る理由は次のように考えられる。
【0079】ポリカーボネート樹脂に帯電防止剤として
配合されるベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩は、通常
不安定な物質であり、熱分解反応や酸化反応により分解
しやすい。さらに、分解反応により生成した副生物の中
には、着色物やポリカーボネート樹脂と副反応を起こす
物質が存在するため、加熱溶融して成形したり、成形品
に熱履歴が生じると成形品の変色による色相悪化や分子
量低下などが起こる。特に、塩基性雰囲気になるとスル
ホン酸基への求核反応が起こり易くなるため、容易にポ
リカーボネート樹脂の分解が起こると考えられる。かか
る分解をできるだけ少なくするには、樹脂組成物の酸性
度を調整し、求核反応による分解を抑制するのが最も良
い方法と考えられる。
【0080】この目的で用いられる酸性度調整剤として
は、弱酸性領域にpK(酸の解離定数の逆数の対数)を
持つ様々な酸性化合物が考えられるが、その中でも好ま
しいpKの範囲は4〜7、特に好ましくは4.5〜5.
5である。pK4未満では樹脂組成物の酸性度が強すぎ
るため成形時に帯電防止剤の分解が起こりやすく、さら
に成形品表面での帯電防止剤の解離も少なくなるため帯
電防止性能が弱くなり易い。pK7を越えると樹脂組成
物の酸性度が弱すぎるため、帯電防止剤のスルホン酸基
やポリカーボネートのカーボネート結合が求核攻撃を受
け、分解し易くなる。
【0081】さらに、弱酸性を示す酸性化合物の中で
も、カルボン酸化合物や無水カルボン酸化合物は、分解
副生物と考えられるベンゼンスルホン酸誘導体とエステ
ル様構造を形成し安定化すると考えられ、更なる副反応
によるポリカーボネートの分解を抑制する効果もあると
考えられる。
【0082】本発明では、上記帯電防止剤の分解抑制効
果、分解物の副反応抑制効果、ポリカーボネート樹脂の
分解抑制効果の相乗効果によって、本発明の樹脂組成物
が帯電防止性能に優れ、且つ色相、成形耐熱性、耐乾熱
性の劣化も大幅に抑制され、さらに成形時の分子量低下
や耐湿熱疲労性の劣化も抑制されるものと考える。
【0083】本発明の帯電防止性ポリカーボネート樹脂
組成物には、成形時における分子量の低下や色相の悪化
を防止するために、さらにりん系熱安定剤を使用するこ
とができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン
酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル
等が挙げられる。
【0084】具体的には、トリフェニルホスファイト、
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホ
スファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデ
シルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイ
ト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロ
ピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニル
ホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モ
ノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス
(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メ
チレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)
オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタ
エリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホス
ファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスフ
ァイト、
【0085】トリブチルホスフェート、トリエチルホス
フェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホス
フェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェー
ト、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、
ジイソプロピルホスフェート、
【0086】テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピ
ルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイ
ト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−
4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’
−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニ
レンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−ter
t−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホス
ホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピル
フェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、
テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,
4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,
6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフ
ェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t
ert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジ
ホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブ
チルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイ
ト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−
フェニル−フェニルホスホナイト、
【0087】ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホ
スホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が
挙げられ、なかでもトリス(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ
−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレ
ンジホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−
ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが
好ましい。
【0088】これらの熱安定剤は、1種もしくは2種以
上を混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の使用量
は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0
01〜0.15重量部が好ましい。
【0089】本発明の帯電防止性ポリカーボネート樹脂
組成物には、帯電防止剤の樹脂中での分散効率を良くし
濃度分布を小さくする目的や、成形時に成形品表面への
帯電防止剤の移行性を向上させる目的、さらに成形時の
金型からの離型性を付与する目的等で脂肪酸エステル化
合物を使用することができる。
【0090】かかる脂肪酸エステルとしては、炭素原子
数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数1
0〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステ
ルであるのが好ましい。かかる一価または多価アルコー
ルと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとし
ては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグ
リセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸
モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタ
エリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトー
ルテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペ
ラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレー
ト、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテー
ト、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロ
ピルパルミテート、ビフェニルビフェネート、ソルビタ
ンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート
等が挙げられ、なかでも、ステアリン酸モノグリセリ
ド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトー
ルテトラステアレートが好ましく用いられる。かかる脂
肪酸エステルの使用量は、ポリカーボネート樹脂組成物
100重量部に対して0.001〜0.5重量部が好ま
しい。
【0091】かかる脂肪酸エステル化合物をポリカーボ
ネート樹脂に使用する場合、あらかじめ脂肪酸エステル
化合物中に帯電防止剤を均一に分散させたマスターを作
成し、これをポリカーボネート樹脂に配合し成形する方
法が帯電防止剤の樹脂中での分散性、濃度の均一性、成
形品表面への移行性の観点からより望ましい。
【0092】本発明のポリカーボネート樹脂組成物に
は、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を使用す
ることができる。かかる酸化防止剤としては、例えばペ
ンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピ
オネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラ
ウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステ
アリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−
ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキ
サンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペ
ンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベ
ンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイ
ド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメ
チル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチ
ル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,
5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の使
用量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して
0.001〜0.05重量部が好ましい。
【0093】本発明のポリカーボネート樹脂組成物に
は、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるた
めに、本発明の目的を損なわない程度で離型剤を使用す
ることができる。かかる離型剤としては、前記脂肪酸エ
ステル、ポリオルガノシロキサン、パラフィンワック
ス、蜜蝋等が挙げられる。かかる離型剤の使用量は、ポ
リカーボネート樹脂組成物100重量部に対して0.0
01〜0.5重量部が好ましい。
【0094】本発明のポリカーボネート樹脂組成物に
は、紫外線吸収剤を使用することができる。紫外線吸収
剤化合物は、具体的に、ベンゾフェノン系では、2,4
−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクト
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキ
シベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5
−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メ
トキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾ
フェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベ
ンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ
メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−
4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾ
フェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2
−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n
−ドデシルオキシベンソフェノン、2−ヒドロキシ−4
−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等が挙げ
られる。
【0095】ベンゾトリアゾール系では、2−(2−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,
5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,
2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメ
チルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−
イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−
ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2
−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−
tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オク
トキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチ
レンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニ
ル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾ
オキサジン−4−オン)、2−[2−ヒドロキシ−3−
(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)
−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾールが挙げられ
る。
【0096】紫外線吸収剤化合物は、具体的に、ヒドロ
キシフェニルトリアジン系では、2−(4,6−ジフェ
ニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキ
シルオキシフェノール、および2−(4,6−ビス
(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジ
ン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなどを
挙げることができる。
【0097】また本発明の帯電防止性ポリカーボネート
樹脂組成物は、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,
6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テト
ラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレー
ト、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−
4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカル
ボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラ
メチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,
4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジル)イミノ]}、およびポリメチル
プロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラ
メチル)ピペリジニル]シロキサンなどに代表されるヒ
ンダードアミン系の光安定剤も含むことができる。
【0098】上記紫外線吸収剤および光安定剤は単独あ
るいは2種以上の混合物で用いることができる。かかる
紫外線吸収剤および光安定剤の使用量は、ポリカーボネ
ート樹脂組成物100重量部に対して0.01〜2重量
部が好ましい。
【0099】本発明のポリカーボネート樹脂成形品に
は、発明の目的を損なわない範囲でブルーイング剤を使
用することができる。ブルーイング剤は、ポリカーボネ
ート樹脂成形品の黄色味を消すために有効である。とく
に耐候性を付与した成形品の場合は、一定量の紫外線吸
収剤が使用されているため「紫外線吸収剤の作用や色」
によって樹脂製品が黄色味を帯びやすい現実があり、特
にシート等の成形品に自然な透明感を付与するためには
ブルーイング剤の使用は非常に有効である。
【0100】本発明におけるブルーイング剤の使用量
は、ポリカーボネート樹脂成形品に対して0.05〜2
ppmが好ましく、0.5〜1.5ppmがより好まし
い。使用量が多すぎると樹脂製品の青みが強くなって視
感透明度が低下する場合がある。
【0101】ブルーイング剤としては代表例として、バ
イエル社のマクロレックスバイオレットBやサンド社の
トリアゾールブルーRLS等が挙げられる。
【0102】本発明の帯電防止性ポリカーボネート樹脂
組成物には、発明の目的を損なわない範囲で上記ブルー
イング剤以外にも各種の染顔料を使用することができ
る。特に透明性を維持する点から、染料が好適である。
ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染
料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺
青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系
染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソ
インドリノン系染料、およびフタロシアニン系染料など
を挙げることができる。更にビスベンゾオキサゾリル−
スチルベン誘導体、ビスベンゾオキサゾリル−ナフタレ
ン誘導体、ビスベンゾオキサゾリル−チオフェン誘導
体、およびクマリン誘導体などの蛍光増白剤を使用する
ことができる。これら染料および蛍光増白剤の使用量
は、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、0.0
001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重
量部がより好ましい。
【0103】本発明のポリカーボネート樹脂組成物に
は、本発明の目的が損なわれない量の難燃剤を使用する
ことができる。難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノ
ールAのポリカーボネート型難燃剤、有機塩系難燃剤、
芳香族リン酸エステル系難燃剤、あるいは、ハロゲン化
芳香族リン酸エステル型難燃剤等が挙げられ、それらを
一種以上使用することができる。
【0104】具体的にハロゲン化ビスフェノールAのポ
リカーボネート型難燃剤は、テトラブロモビスフェノー
ルAのポリカーボネート型難燃剤、テトラブロモビスフ
ェノールAとビスフェノールAとの共重合ポリカーボネ
ート型難燃剤等である。
【0105】具体的に有機塩系難燃剤は、ビス(2,6
−ジブロモ−4−クミルフェニル)リン酸カリウム、ビ
ス(4−クミルフェニル)リン酸ナトリウム、ビス(p
−トルエンスルホン)イミドカリウム、ビス(ジフェニ
ルリン酸)イミドカリウム、ビス(2,4,6−トリブ
ロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(2,4−ジブロ
モフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−ブロモフェニ
ル)リン酸カリウム、ジフェニルリン酸カリウム、ジフ
ェニルリン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン
酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウムあるいはカリウ
ム、ヘキサデシル硫酸ナトリウムあるいはカリウム等で
ある。
【0106】具体的にハロゲン化芳香族リン酸エステル
型難燃剤は、トリス(2,4,6−トリブロモフェニ
ル)ホスフェート、トリス(2,4−ジブロモフェニ
ル)ホスフェート、トリス(4−ブロモフェニル)ホス
フェート等である。
【0107】具体的に芳香族リン酸エステル系難燃剤
は、トリフェニルホスフェート、トリス(2,6−キシ
リル)ホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)
レゾルシンジホスフェート、テトラキス(2,6−キシ
リル)ヒドロキノンジホスフェート、テトラキス(2,
6−キシリル)−4,4’−ビフェノールジホスフェー
ト、テトラフェニルレゾルシンジホスフェート、テトラ
フェニルヒドロキノンジホスフェート、テトラフェニル
−4,4’−ビフェノールジホスフェート、芳香環ソー
スがレゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基
を含まない芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレ
ゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基を含む
芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロキノン
とフェノールでありフェノール性OH基を含まない芳香
族ポリホスフェート、同様のフェノール性OH基を含む
芳香族ポリホスフェート、(以下に示す「芳香族ポリホ
スフェート」は、フェノール性OH基を含む芳香族ポリ
ホスフェートと含まない芳香族ポリホスフェートの両方
を意味するものとする)芳香環ソースがビスフェノール
Aとフェノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環
ソースがテトラブロモビスフェノールAとフェノールで
ある芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレゾルシ
ンと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェー
ト、芳香環ソースがヒドロキノンと2,6−キシレノー
ルである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがビス
フェノールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリ
ホスフェート、芳香環ソースがテトラブロモビスフェノ
ールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフ
ェート等である。
【0108】本発明の帯電防止性ポリカーボネート樹脂
組成物には、他の樹脂やエラストマーを本発明の目的が
損なわれない範囲で少割合使用することもできる。
【0109】かかる他の樹脂としては、例えばポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、
ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコー
ン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレン
スルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹
脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹
脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合
体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0110】また、エラストマーとしては、例えばイソ
ブチレン/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴ
ム、エチレン/プロピレンゴム、アクリル系エラストマ
ー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラス
トマー、コアシェル型のエラストマーであるMBS(メ
タクリル酸メチル/ステレン/ブタジエン)ゴム、MA
S(メタクリル酸メチル/アクリロニトリル/スチレ
ン)ゴム等が挙げられる。
【0111】本発明の帯電防止性ポリカーボネート樹脂
組成物には、各種無機充填材、流動改質剤、抗菌剤、光
触媒系防汚剤、赤外線吸収剤、およびフォトクロミック
剤などを配合することができる。
【0112】本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製
造するには、任意の方法が採用される。例えばポリカー
ボネート樹脂パウダー、帯電防止剤、リン系安定剤およ
び所望の添加剤を、タンブラー、V型ブレンダー、スー
パーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサ
ー、混練ロール、押出機等で混合する方法が適宜用いら
れる。こうして得られるポリカーボネート樹脂組成物
は、そのまま又は溶融押出機で一旦ペレット状にしてか
ら、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の通常知ら
れている方法で成形品にすることができる。更に本発明
の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形
品には、各種の表面処理を行うことが可能である。表面
処理としては、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外
線吸収コート、赤外線吸収コート、並びにメタライジン
グ(蒸着など)などの各種の表面処理を行うことができ
る。
【0113】添加剤のブレンドにあたっては、一段階で
実施してもよいが、二段階以上に分けて実施してもよ
い。二段階に分けて実施する方法には、例えば、あらか
じめ帯電防止剤と添加剤をブレンドした後、ポリカーボ
ネート樹脂パウダーとブレンドする方法や、配合予定の
ポリカーボネート樹脂パウダーの一部と添加剤とを先に
ブレンドした後、つまり、添加剤をポリカーボネート樹
脂パウダーで希釈して添加剤のマスターバッチとした
後、このマスターバッチとポリカーボネート樹脂パウダ
ーをブレンドする方法も採用できる。
【0114】本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、
帯電防止性に加え、透明性、色相、耐熱性に優れること
より、ヘッドランプレンズ、照明灯カバー、有機窓ガラ
ス(車両用や建材用)に好適である。特に、本発明のポ
リカーボネート樹脂組成物は、成形時の色相劣化、分子
量低下が少なく、耐湿熱疲労性の劣化も少ないことか
ら、ヘッドランプレンズとして好適に使用される。
【0115】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお特に説明が無い限り実施例中の部は重量部、%
は重量%である。なお、評価は下記の方法によった。
【0116】(1)帯電防止性能(乾燥前の表面抵抗
率):成形板表面の固有抵抗を、東亜電波工業(株)製
SM−8210極限絶縁計により測定した。数値が小さ
いほど帯電防止性能が優れていることを示す。
【0117】(2)透明性(ヘイズ):透明性は、厚さ
2.0mmの成形板のヘイズを日本電色(株)製NDH
−300Aにより測定した。ヘイズの数値が大きいほど
光の拡散が大きく、透明性に劣ることを示す。
【0118】(3)色相(YI値):日本電色(株)製
色差計Z−1001DP型を用いて測定したX,Y,Z
からASTM−E1925に基づき、下記式を用いて算
出した。YI値が大きいほど成形板の黄色味が強いこと
を示す。 YI=[100(1.28X−1.06Z)]/Y
【0119】(4)成形耐熱性 (i)分子量低下量:射出成形機を用いてペレットを成
形温度310℃、1分サイクルで「滞留前の色相測定用
平板」(70mm×50mm×2mm)に成形した。さ
らに、シリンダー中に樹脂を10分間滞留させた後、成
形し「滞留後の色相測定用平板」を得た。滞留前後の平
板の分子量を測定し、その差を求めた。値が小さいほど
成形耐熱性が優れることを示す。
【0120】(ii)ΔE(色相変化):上記滞留試験
において、滞留前後の平板の色相を色差計により測定
し、次式により色差△Eを求めた。表に示した値(△
E)が小さいほど成形耐熱性が優れることを示す。 ΔE=((L−L')2+(a−a')2+(b−b')2
1/2 滞留前の色相:L、a、b 滞留後の色相:L'、a'、b'
【0121】(5)耐乾熱性(ΔYI):厚さ2.0m
mの成形板を温度設定115℃の乾燥機中に1000時
間保管した。保管前に対する保管後の成形板YI値の差
であるΔYI値を算出した。ΔYI値が小さいほど成形
板の色変化が小さく、耐乾熱性に優れることを示す。
【0122】(6)耐湿熱疲労性:図1に示したいわゆ
るC型の測定用サンプルを用いて、80℃、90%RH
の雰囲気で、正弦波で振動数1Hz、最大荷重2kgの
条件で、疲労試験機[(株)島津製作所製 島津サーボ
パルサー EHF−EC5型]を用いて、測定用サンプ
ルが破断するまでの回数を測定した。表に示した値(破
断するまでの回数)が大きいほど、耐湿熱疲労性に優れ
ることを示す。
【0123】[実施例1〜5、比較例1〜3]ビスフェ
ノールAとホスゲンから界面重合法により製造された分
子量22000(ポリマー0.7gを100mlの塩化
メチレンに溶解し、20℃で測定した比粘度が0.4
0)のポリカーボネート樹脂100部に、表1記載のB
成分(帯電防止剤)及びC成分として酢酸(pKa=
4.56)又は無水酢酸を表1記載の量配合し、更に他
の熱安定剤としてテトラキス(2,4−ジ−tert−
ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト0.0
35部、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−フェニル−フェニルホスホナイト0.008部、
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホス
ファイト0.008部、酸化防止剤として3,5−ビス
(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼン
プロピオン酸オクタデシルエステル0.03部、ブルー
イング剤としてバイエル(株)製マクロレックスバイオ
レットを0.00015部配合し、ブレンダーにて混合
した後、ベント式単軸押出し機を用いて溶融混練しペレ
ットを得た。得られたペレットを射出成形機を用いて、
シリンダー温度305℃の条件で、厚さ2mmの50m
m角板および測定用サンプルを成形した。得られた成形
板の各評価結果を表1に示した。なお、表1中記号表記
のB成分(帯電防止剤)は下記の通りである。また、実
施例1〜4の組成物より得たペレットを用い、公知方法
に従いヘッドランプレンズを作成した。このヘッドラン
プレンズは、色相、透明性等外観が良好であった。
【0124】(b成分の帯電防止剤) B−1;ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホス
ホニウム塩 (d成分(d−1成分)の帯電防止剤) B−2;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩 B−3;ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム塩
【0125】[比較例4]実施例1において、酢酸の代
わりに亜燐酸を使用した以外は実施例1と同様の方法に
よりペレットを得た。得られたペレットを実施例1と同
様の方法により成形した。得られた成形板の評価結果を
表2に示した。
【0126】[比較例5]実施例1において、酢酸の代
わりに蟻酸(pK=3.55)を使用した以外は実施例
1と同様の方法によりペレットを得た。得られたペレッ
トを実施例1と同様の方法により成形した。得られた成
形板の評価結果を表2に示した。
【0127】[比較例6]実施例1において、酢酸の代
わりにクエン酸(pK1=2.90)を使用した以外は
実施例1と同様の方法によりペレットを得た。得られた
ペレットを実施例1と同様の方法により成形した。得ら
れた成形板の評価結果を表2に示した。
【0128】[参考例1]実施例1にて用いたポリカー
ボネート樹脂を、実施例1と同様の方法によりペレット
化した。得られたペレットを実施例1と同様の方法によ
り成形した。得られた成形板の評価結果を表2に示し
た。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
【発明の効果】本発明の帯電防止性ポリカーボネート樹
脂組成物は、帯電防止性能に優れ、且つ色相、成形耐熱
性、耐乾熱性の劣化も大幅に抑制され、さらに成形時の
分子量低下や湿熱疲労性の劣化も抑制できるので、特に
ヘッドランプレンズ用途において極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐湿熱疲労性を評価するために使用した、いわ
ゆるC型サンプルの正面図である。なおサンプルの厚み
は3mmである。符号6で示される孔の部分に試験機の
治具を通し、符号7で示される垂直方向に所定の荷重を
かけて試験を行う。
【符号の説明】
1 C型形状の二重円の中心 2 二重円の内側円の半径(20mm) 3 二重円の外側円の半径(30mm) 4 治具装着用孔の位置を示す中心角(60°) 5 サンプル端面の間隙(13mm) 6 治具装着用孔(直径4mmの円であり、サンプル
幅の中央に位置する) 7 疲労試験時におけるサンプルに課される荷重の方

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリカーボネート樹脂(a成分)
    100重量部、(B)下記一般式(I)で表されるベン
    ゼンスルホン酸ホスホニウム塩(b成分)0.05〜5
    重量部および(C)(C−1)下記一般式(II)で表
    されるカルボン酸化合物(c−1成分)と(C−2)下
    記一般式(III)で表される無水カルボン酸化合物
    (c−2成分)からなる群より選択された少なくとも一
    種の化合物(c成分)0.005〜1重量部よりなる帯
    電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。 【化1】 (式中、R1は水素原子、炭素数1〜35のアルキル
    基、炭素数6〜20のアラルキル基または炭素数5〜1
    5のアリール基を示し、R2は水素原子、炭素数1〜7
    のアルキル基、炭素数6〜20のアラルキル基または炭
    素数5〜15のアリール基を示し、R3、R4、R5およ
    びR6はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜5の
    アルキル基、炭素数6〜20のアラルキル基または炭素
    数5〜15のアリール基を示す。) 【化2】 (式中、R7は炭素数1〜35のアルキル基、炭素数6
    〜20のアラルキル基または炭素数5〜15のアリール
    基を示す。) 【化3】 (式中、R8、R9はそれぞれ炭素数1〜35のアルキル
    基、炭素数6〜20のアラルキル基または炭素数5〜1
    5のアリール基を示す。)
  2. 【請求項2】 さらに、ポリカーボネート樹脂100重
    量部に対して(D)有機スルホン酸アルカリ金属塩(d
    成分)0.001〜0.2重量部を含む請求項1記載の
    帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 さらに、ポリカーボネート樹脂100重
    量部に対して(D)下記一般式(IV)で表されるベン
    ゼンスルホン酸アルカリ金属塩(d−1成分)0.00
    1〜0.2重量部を含む請求項1記載の帯電防止性ポリ
    カーボネート樹脂組成物。 【化4】 (式中、R10は水素原子、炭素数1〜35のアルキル
    基、炭素数6〜20のアラルキル基または炭素数5〜1
    5のアリール基を示し、R11は水素原子、炭素数1〜7
    のアルキル基、炭素数6〜20のアラルキル基または炭
    素数5〜15のアリール基を示し、Mはアルカリ金属を
    示す)
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯
    電防止性ポリカーボネート樹脂組成物より形成されるヘ
    ッドランプレンズ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101024016B1 (ko) 2003-10-28 2011-03-29 다케모토 유시 가부시키 가이샤 합성고분자 재료용 대전방지제, 그의 제조방법 및합성고분자 재료 조성물

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