JP2003012390A - 被覆粒子、およびそれを含有する配合肥料 - Google Patents

被覆粒子、およびそれを含有する配合肥料

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Abstract

(57)【要約】 【課題】鉄欠乏症の発生しやすいアルカリ土壌耕地の改
良において、経済的にも有効な鉄補給の為の植物栄養剤
の提供。 【解決手段】水溶性が1g/25℃純水100g以上で
ある鉄化合物を含有する粒子の表面を被膜材料で被覆し
て被覆粒子とする。そのようにして得られた被覆粒子と
肥料とを混合し配合肥料とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は被覆粒子、およびそ
れを含有する配合肥料に関する。
【0002】
【従来の技術】アルカリ土壌を用いて植物を栽培する場
合には鉄欠乏症が発生しやすく、該鉄欠乏症の対応策と
して、従来、キレート鉄の葉面散布や土壌への施用が行
われてきた。
【0003】
【発明が解決する課題】しかしながら、有機キレート鉄
は高価な資材である為その普及率は低い。今日、人口の
増加に対応できる食糧増産は人類の大きな課題であり、
鉄欠乏症の発生しやすいアルカリ土壌耕地の改良におい
て、経済的にも有効な鉄補給の為の植物栄養剤の開発が
熱望されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前述の従来
技術の課題に鑑み鋭意研究を重ねた。その結果、水溶性
鉄化合物を含有する粒子の表面が被膜材料で被覆された
被覆粒子であれば、鉄分の補給を比較的安価に達成する
ことができることを見出し、この知見に基づいて本発明
を完成させた。
【0005】本発明は以下の(1)〜(22)の構成を
有する。 (1)水溶性が1g/25℃純水100g以上である鉄
化合物を含有する粒子の表面が被膜材料で被覆された被
覆粒子。
【0006】(2)水溶性が10〜60g/25℃純水
100gの範囲である鉄化合物を含有する粒子の表面が
被膜材料で被覆された被覆粒子。
【0007】(3)鉄化合物を含有する粒子が、鉄化合
物を30〜100重量%含有する粒子である前記第1項
または第2項記載の被覆粒子。
【0008】(4)鉄化合物が水溶性第1鉄塩、水溶性
第2鉄塩およびキレート鉄化合物から選ばれた1種以上
である前記第1項または第2項記載の被覆粒子。
【0009】(5)鉄化合物が水溶性第1鉄塩である前
記第1項または第2項記載の被覆粒子。
【0010】(6)粒子がさらに陰イオン成分を含有
し、且つその含有割合が、該粒子が含有する鉄イオンの
1〜10倍当量の範囲である前記第1項または第2項記
載の被覆粒子。
【0011】(7)粒子がさらに陰イオン成分を含有
し、且つその含有割合が、該粒子が含有する鉄イオンの
1〜5倍当量の範囲である前記第1項または第2項記載
の被覆粒子。
【0012】(8)粒子がさらに陰イオン成分を含有
し、且つその含有割合が、該粒子が含有する鉄イオンの
1〜3倍当量の範囲である前記第1項または第2項記載
の被覆粒子。
【0013】(9)陰イオン成分が硫酸イオン、硫酸水
素イオン、燐酸イオン、燐酸1水素イオン、燐酸2水素
イオン、塩素イオン、硝酸イオン、およびカルボン酸イ
オンから選ばれた1種以上である前記第6〜8項の何れ
か1項記載の被覆粒子。
【0014】(10)陰イオン成分がカルボン酸イオン
である前記第6〜8項の何れか1項記載の被覆粒子。
【0015】(11)カルボン酸イオンが蟻酸イオン、
酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、クエン
酸イオン、およびシュウ酸イオンから選ばれた1種以上
である前記第10項に記載の被覆粒子。
【0016】(12)粒子が、さらに水溶性マンガン、
水溶性ホウ素、および水溶性亜鉛から選ばれた1種以上
を含有し、且つその含有割合が、水溶性鉄化合物に対し
て0.1〜20重量%の範囲である前記第1項または第
2項記載の被覆粒子。
【0017】(13)粒子が下記式(1)で求めた円形
度係数0.85以上の粒子である前記第1項または第2
項記載の被覆粒子。 式(1):円形度係数=(4π×粒子の投影面積)/(粒
子投影図の輪郭の長さ)
【0018】(14)被膜材料が樹脂を含有する被膜材
料である前記第1項または第2項記載の被覆粒子。
【0019】(15)樹脂がポリオレフィンである前記
第14項記載の被覆粒子。
【0020】(16)ポリオレフィンがポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチ
レン−一酸化炭素共重合体、エチレン−ヘキセン共重合
体、エチレン−ブテン共重合体、およびプロピレン−ブ
テン共重合体から選ばれた1種以上である前記第15項
記載の被覆粒子。
【0021】(17)被膜材料がフィラーを含有する被
膜材料である前記第1項〜第16項の何れか1項記載の
被覆粒子。
【0022】(18)前記第1項〜第17項の何れか1
項に記載の被覆粒子を含有する配合肥料。
【0023】(19)さらにマンガン化合物、亜鉛化合
物、およびホウ素化合物から選ばれた1種以上を含有す
る前記第18項記載の配合肥料。
【0024】(20)水溶性が1g/25℃純水100
g以上である鉄化合物を含有する粒子の表面に液状の被
膜材料を噴霧し、該粒子の表面に被膜を形成することを
特徴とする被覆粒子の製造方法。
【0025】(21)水溶性が10〜60g/25℃純
水100g以上である鉄化合物を含有する粒子の表面に
液状の被膜材料を噴霧し、該粒子の表面に被膜を形成す
ることを特徴とする被覆粒子の製造方法。
【0026】(22)液状被膜材料の粘度が0.5〜4
0[mPa・s]の範囲である前記第20項または第2
1項記載の被覆粒子の製造方法。
【0027】以下本発明を詳細に説明する。本発明に使
用する鉄化合物は、鉄化合物のうち水溶性(25℃の純
水100gに溶解する鉄化合物の質量(g))が1g/
25℃純水100g以上のものである。さらに、本発明
においては使用する鉄化合物の水溶性が10〜60g/
25℃純水100gの範囲であれば、被覆粒子からの鉄
分の溶出コントロールが比較的容易であり好ましい。
【0028】アルカリ土壌において植物を栽培した際に
発生する鉄欠乏症を防止するためには、水に溶解した鉄
分を植物の根に定常的に供給することが効果的である。
そのためには本発明の被覆粒子を植物の根圏に施用する
ことが好ましい。鉄分の溶出速度や溶出パターンは被膜
材料や造粒助材を選択することによりコントロールでき
るが、長期間に渡り植物の成長に適した溶出コントロー
ルを行う為には、水溶性が10g/25℃純水100g
以上の鉄化合物を用いることが好ましい。一方、60g
/25℃純水100gを越える鉄化合物は入手困難であ
るか、被覆操作に適さない物が多い。
【0029】鉄化合物としては、鉄塩、キレート鉄、鉄
錯体などを挙げることができる。鉄塩、キレート鉄、鉄
錯体としては塩化鉄(II)、塩化鉄(II)4水和物、塩
化鉄(III)、塩化鉄(III)6水和物、臭化鉄(II)6
水和物、臭化鉄(III)、臭化鉄(III)6水和物、硝酸
鉄(II)6水和物、硝酸鉄(II)9水和物、チオシアン
酸鉄(III)3水和物、ペンタシアノニトロシル鉄(II
I)酸カリウム2水和物、ペンタシアノニトロシル鉄(I
II)酸ナトリウム2水和物、ヨウ化鉄(II)4水和物、
硫酸鉄(II)4水和物、硫酸鉄(II)5水和物、硫酸鉄
(II)7水和物、硫酸鉄(III)9水和物、硫酸鉄(I
I)アンモニウム6水和物、硫酸鉄(II)アンモニウム
2水和物、およびアセチルアセトン鉄などを挙げること
ができる。
【0030】本発明に使用する鉄化合物は前述の水溶性
を有するものであれば特に限定されるものではないが、
安価でありかつ容易に入手できるという点から第1鉄塩
および第2鉄塩が本発明に好ましく使用することができ
る。更に、第1鉄塩は植物が容易に吸収できることから
本発明においてより好ましく使用することができる。
【0031】該鉄化合物を含有する粒子の組成は特に限
定されるものではなく、該鉄化合物のみで構成されるも
のであってもよく、それ以外の成分を含有するものであ
っても良い。
【0032】該粒子に含有することができる該鉄化合物
以外の成分としては、結合材、肥料、農薬、微量要素、
界面活性剤、陰イオン成分、硝酸化成抑制剤、およびウ
レアーゼインヒビターなどを挙げることができる。
【0033】結合材としては具体的に、クレー、カオリ
ン、タルク、ベントナイト、炭酸カルシウム、ポリビニ
ルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム、および澱粉類などを挙げることができる。
【0034】肥料としては、窒素質肥料、燐酸質肥料、
加里質肥料のほか、植物必須要素のカルシウム、マグネ
シウム、硫黄、鉄、微量要素やケイ素等を含有する肥料
を挙げることができる。具体的には、窒素質肥料として
硫酸アンモニア、尿素、硝酸アンモニアのほか、イソブ
チルアルデヒド縮合尿素、アセトアルデヒド縮合尿素等
が挙げられ、燐酸質肥料としては過燐酸石灰、熔成リン
肥、焼成リン肥等が挙げられ、加里質肥料としては硫酸
加里、塩化加里、けい酸加里肥料等が挙げられ、その形
態は特に限定されない。
【0035】また、肥料の三要素の合計成分量が30重
量%以上の高度化成肥料や配合肥料、更には、有機質肥
料でもよい。また、OMUP(クロチリデンジウレ
ア)、IBDU(イソブチリデンジウレア)やオキザマ
イド等の難水溶性肥料を挙げることができる。また、硝
酸化成抑制材や農薬を含有する肥料であっても本発明に
使用することができる。
【0036】農薬成分としては具体的に、病害防除剤、
害虫防除剤、有害動物防除剤、雑草防除剤、および植物
生長調節剤を挙げることができる。
【0037】微量要素としては具体的に、マンガン、ホ
ウ素、亜鉛、マグネシウム、およびモリブデンなどを挙
げることができ、その中でもマンガン、ホウ素、および
亜鉛はアルカリ土壌で欠乏症が発生し易いことから本発
明に好ましく使用することができる。該粒子に微量要素
を含有させる場合、該微量要素は水溶性が10〜60
[g/100g](25℃純水)の範囲のものであるこ
とが好ましい。
【0038】本発明において該粒子が、水溶性マンガ
ン、水溶性ホウ素、および水溶性亜鉛から選ばれた1種
以上を含有し、且つ、その含有割合が、水溶性鉄化合物
に対して0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量
%の範囲であれば、強アルカリ性石灰質土壌における植
物栽培であっても、鉄欠乏症を有効に防止できるのみで
なく、継続的にそれら微量要素も溶出が除放化され、十
分な供給ができる為に稔実を高めることができる。
【0039】硝酸化成抑制剤としては、ジシアンジアミ
ド、チオ尿素、2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピ
リミジン、2−メルカプトベンゾチアゾール、サルファ
ーチアゾール、グアニルチオウレア,N−2,5−ジク
ロロフェニルサクシナミド酸、4−アミノ−1,2,4
−トリアゾール塩酸塩、2−[(N−ニトロ)メチルア
ミノ−1,3,4−チアジアゾール、5−メルカプト−
1、3、4−トリアゾール、2−クロロ−6−(トリク
ロロメチル)ピリジン、トリクロロメチルメチルアミノ
トリアジン、2,4−ジクロロアニリン、および2−ト
リクロロメチルキノリンなどを挙げることができる。
【0040】ウレアーゼインヒビターとしては、N-(n
-ブチル)チオフォスフォリックトリアミド、N-(n-ブ
チル)フォスフォリックトリアミド、チオフォスフォリ
ルトリアミド、フェニルフォスフォロジアミデート、シ
クロヘキシルチオフォスフォリックトリアミド、シクロ
ヘキシルフォスフォリックトリアミド、フォリックトリ
アミド、ヒドロキノン、p−ベンゾキノン、アンモニウ
ムチオサルフェイト、ヘキサアミドシクロトリフォスフ
ァゼン、チオピリジン類、チオピリジミン類、チオピリ
ジン−N−オキサミド類、NN−ハロ−2−イミダゾリ
ジノン、N−ハロ−2−オキサゾリジノン、ホウ酸、N
−ヒドロカルビルチオフォスフォリックトリアミド、N
−ヒドロカルフォスフォリックトリアミド、N−ヒドロ
カルフォスフォリックトリチオアミド、メタルニトレイ
ト、N−ジアミノ(チオ)ホスフィニルサルフィナミ
ド、N−ジアミノ(チオ)ホスフィニルサルフォナミ
ド、O−ジアミノフォスフィニルオキシムなどを挙げる
ことができる。
【0041】界面活性剤としては、非イオン性界面活性
剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、
ポリオキシエチレンフェニルエーテル類、ポリエチレン
グリコールと脂肪酸のエステル類、ポリオキシエチレン
ソルビタン脂肪酸物エステル類、ポリオキシエチレンア
ミン類など、イオン性界面活性剤としては脂肪酸塩類、
高級アルコールサルフェート類、アルキルベンゼンスル
ホン酸塩類などを挙げることができる。界面活性剤を溶
出速度を調節する目的で用いる場合には、そのHLBが
6〜20の範囲であることが好ましく、さらに好ましく
は9〜16の範囲であることが好ましい。
【0042】本発明に好ましく使用することができる陰
イオン成分としては、硫酸イオン、硫酸水素イオン、燐
酸イオン、燐酸1水素イオン、燐酸2水素イオン、塩素
イオン、硝酸イオン、およびカルボン酸などを挙げるこ
とができる。さらにその中でもカルボン酸イオンは、他
の肥料成分を含まないことから土壌に適した施用量を設
定し易く、本発明に好ましく使用することが出来る。
【0043】さらに、カルボン酸イオンのなかでも、蟻
酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオ
ン、クエン酸イオン、およびシュウ酸イオンは、水溶性
が高い円を形成し易いので、本発明において特に好まし
く使用することができる。
【0044】該粒子に含有される該鉄化合物の割合は特
に限定されるものではないが、該粒子に対し30〜10
0重量%の範囲であることが好ましい。この範囲であれ
ば一度の栽培に必要な鉄分を含有する該鉄化合物を一度
に施用しても、施用量が多大にならず作業性の良い被覆
粒子を得ることができる。
【0045】該粒子が陰イオンを含有する場合、その含
有割合は特に限定されるものではないが、該粒子に含有
される鉄イオンの1〜10倍当量の割合であることが好
ましく、より好ましくは1〜5倍当量の割合であり、更
に好ましくは1〜3倍当量の割合である。この範囲であ
れば植物の生育が良好である。
【0046】該粒子のpHは特に限定されるものではな
いが、3〜6.5の範囲であることが好ましい。
【0047】本発明に使用する水溶性鉄化合物を含有す
る粒子を得る為の造粒方法は特に限定されるものではな
く通常使用されている方法が適用される。該造粒方法と
しては押出造粒法、流動層式造粒法、転動造粒法、圧縮
造粒法、被覆造粒法、吸着造粒法等を挙げることができ
る。本発明においては、これらの造粒方法のいずれを使
用しても良いが、押出造粒法が最も簡易である。
【0048】該粒子の粒径は特に限定されるものではな
いが、1〜10mmであることが好ましい。これらは篩
いを用いることにより、前記範囲内で任意の粒径を選択
することができる。
【0049】該粒子の形状は特に限定されるものではな
いが、高い精度で鉄分の溶出をコントロールしたい場合
や、後述の時限放出型の除放機能を発現させたい場合に
は、該粒子の形状は球状のものであることが好ましい。
具体的には、粒子の円形度合いを知るための尺度である
円形度係数を用いるとよく、式{(4π×粒子の投影面
積)/(粒子投影図の輪郭の長さ)}によって求められ
た値が0.7以上のものが好ましく、より好ましくは
0.75以上であり、更に好ましくは0.85以上であ
る。円形度係数の最大値は1であり、1に近づくほど粒
子は真円に近づき、粒子形状が真円から崩れるに従って
円形度係数は小さくなる。なお上記の円形度係数は、ピ
アス−IV(PIAS−IV 株式会社ピアス製)等の
市販の測定機器を用いることにより測定することができ
る。
【0050】本発明に使用する被膜材料の組成は特に限
定されるものではないが、樹脂を含有するものや硫黄な
どの無機物質を含有するものを挙げることができる。樹
脂を含有する被膜において、樹脂の含有割合は被膜重量
に対し、10〜100重量%の範囲であることが好まし
く、より好ましくは、20〜100重量%の範囲であ
る。また、無機物質を含有する被膜において、無機物質
の含有割合は被膜重量に対し、20〜100重量%の範
囲であることが好ましく、より好ましくは、50〜90
重量%の範囲である。
【0051】被膜材料に使用する樹脂は特に限定される
ものではなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エマルジ
ョン等を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては具
体的に、オレフィン系重合体、塩化ビニリデン系重合
体、ジエン系重合体、ワックス類、ポリエステル、石油
樹脂、天然樹脂、油脂およびその変性物、ウレタン樹脂
を挙げることができる。
【0052】オレフィン系重合体としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、
エチレン−一酸化炭素共重合体、エチレン−ヘキセン共
重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、ポリブテン、
ブテン−エチレン共重合体、ブテン−プロピレン共重合
体、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エ
チレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−
アクリル酸共重合体、およびエチレン−メタアクリル酸
エステル共重合体等を挙げることができ、塩化ビニリデ
ン系重合体としては、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重
合体を挙げることができる。
【0053】ジエン系重合体としては、ブタジエン重合
体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、ブタジエ
ン−スチレン共重合体、EPDM重合体、スチレン−イ
ソプレン共重合体などを挙げることができる。
【0054】ワックス類としては、密ロウ、木ロウ、パ
ラフィンなどを挙げることができ、ポリエステルとして
はポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステ
ルやポリエチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエス
テルを挙げることができ、天然樹脂としては、天然ゴ
ム、ロジン等が例示でき、油脂及びその変性物として
は、硬化物、固形脂肪酸および金属塩などを挙げること
ができる。
【0055】熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、
フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ケトン
ホルムアルデヒド樹脂、アミノ樹脂、アルキド樹脂、不
飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ウレタ
ン樹脂、および乾性油などを挙げることができる。これ
らの熱硬化性樹脂は数多くのモノマーの組み合わせが有
るが、本発明においては、モノマーの種類や組み合わせ
は限定されるものではない。また、モノマー同士の重合
物の他に、2量体あるいはポリマー化したもの、または
その混合物の重合物であっても良い。また、種類の異な
る複数の樹脂を配合したものであっても良い。
【0056】長期にわたる溶出コントロール、更には時
限放出型の溶出コントロールの達成には、粒子の表面を
透湿性の低い樹脂で完全に被覆し、水分の透過を極僅か
に抑えることができる被膜を形成させることが必要であ
る。つまり、ピンホールや亀裂の無い被膜を形成するこ
とが重要である。特に、時限放出型の溶出コントロール
において、長いd1が必要な場合には、粒子の表面に透
湿性の小さな被膜を形成させることが有効である。透湿
性の小さい樹脂被膜を該粒子表面に被覆することによ
り、外部に存在する水分を徐々に時間をかけて該粒子に
まで浸透させることができる。
【0057】そのためには、熱可塑性樹脂を含有する被
膜材料で該粒子を被覆することが有効であり、更に、熱
可塑性樹脂としてオレフィン重合体、オレフィン共重合
体、塩化ビニリデン重合体、塩化ビニリデン共重合体を
用いることが有効である。特にポリエチレン、ポリプロ
ピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−一
酸化炭素共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチ
レン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体及
びこれらの混合物を最も好ましい被膜材料として挙げる
ことができる。これらの被膜材料を用い、ピンホールや
亀裂のない被膜が形成されれば、水分の透過量は極僅か
となる。
【0058】本発明に使用する被膜材料は、さらに界面
活性剤を添加したものであってもよい。界面活性剤とし
ては、ポリオールの脂肪酸エステルに代表されるノニオ
ン界面活性剤を挙げることができる。
【0059】また、本発明に使用する被膜材料は、さら
にフィラーを添加したものであってもよい。フィラーと
しては、タルク、クレー、カオリン、ベントナイト、硫
黄、白雲母、金雲母、雲母状酸化鉄、金属酸化物、珪酸
質、ガラス、アルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩、およ
び澱粉などを挙げることができる。
【0060】本発明において、フィラーを含有する被膜
におけるフィラー分散の変動係数は50%以下であるこ
とが好ましく、より好ましくは35%以下である。該変
動係数が50%を越える場合には、被覆粒子の粒子間の
溶出機能のばらつきが大きくなる傾向にある。該変動係
数は0に近いほど好ましいが、5%に満たない場合に
は、下記の変動係数の測定方法では、フィラーの形状に
よる測定誤差のために測定が困難であることから、本発
明において該変動係数は、好ましくは5〜50%、より
好ましくは5〜35%である。
【0061】該被膜におけるフィラー分散の変動係数と
は、1粒子の被膜の切断面において、膜厚方向を縦、膜
表面に対して平行方向を横とし、1粒子の被膜の切断面
から任意に、縦×横=20μm×50μmの範囲を10
箇所、任意に抽出した20粒について走査型電子顕微鏡
で観察し、各箇所毎に存在するフィラー数を計測し、そ
の計測結果から求めた(該変動係数=標準偏差/平均値
×100)ものである。
【0062】本発明の被覆粒子は、該鉄化合物を含有す
る粒子を予め製造し、該粒子の表面を被膜材料で被覆す
ることによって製造することが出来る。該粒子の表面を
被膜材料で被覆する方法は、特に限定されるものではな
く、例えば、溶融させた被膜材料を該粒子表面に噴霧す
る方法、溶剤に被膜材料を溶解させた被膜材料溶解液を
該粒子表面に噴霧する方法、被膜材料の粉体を該粒子表
面に付着させ、その後溶融する方法、モノマーを該粒子
表面に噴霧し、該粒子表面で反応させ樹脂化(被膜化)
する方法、更に、被膜材料の溶融液ないし被膜材料溶解
液に、該粒子を浸すディップ法などを挙げることができ
る。
【0063】樹脂を含む被膜材料を該粒子に被覆する方
法としては、該被膜材料を溶剤に溶解させた被膜材料溶
解液を、噴霧により該粒子表面に付着させ、被膜を形成
させる方法(以下「溶解液噴霧法」と云う)、若しくは
該被膜材料を加熱により溶融させて得られた被膜材料溶
融液を、噴霧により該粒子表面に付着させ、被膜を形成
させる方法(以下「溶融液噴霧法」と云う)を挙げるこ
とができる。
【0064】本発明の被覆粒子は、どちらの方法で得ら
れたものであっても構わないが、生産効率の高さや、得
られる被膜の均一性などの面から、転動または流動状態
にある該粒子に該被膜材料溶解液を噴霧により付着さ
せ、その後に熱風に晒すことにより被膜を形成させる方
法が好ましい。その際の被膜材料溶解液の粘度は0.5
〜40[mPa・s]の範囲であることが好ましく、さ
らに好ましくは0.5〜30[mPa・s]の範囲であ
ることが好ましい。40[mPa・s]を超えるとフィ
ラーの分散性が低下する場合がある。また、0.5[m
Pa・s]以下であると、フィラーと溶剤の比重差によ
る分散性の悪化の影響が大きくなる。
【0065】これらの被覆過程に於いて透湿性の低い樹
脂や界面活性剤の添加、または被膜の厚みを調節するな
どの方法を用いて用途に合わせることによって、溶出速
度や溶出パターンの異なる被覆粒子を得ることができ
る。
【0066】本発明の配合肥料は、本発明の被覆粒子を
含有するものであれば、該被覆粒子と混ぜ合わせる肥料
の種類は特に限定されるものではない。本発明の配合肥
料に使用することが出来る肥料としては、窒素質肥料、
燐酸質肥料、加里質肥料のほか、植物必須要素のカルシ
ウム、マグネシウム、硫黄、鉄、微量要素やケイ素等を
含有する肥料を挙げることができる。具体的には、窒素
質肥料として硫酸アンモニア、尿素、硝酸アンモニアの
ほか、イソブチルアルデヒド縮合尿素、アセトアルデヒ
ド縮合尿素等が挙げられ、燐酸質肥料としては過燐酸石
灰、熔成リン肥、焼成リン肥等が挙げられ、加里質肥料
としては硫酸加里、塩化加里、けい酸加里肥料等が挙げ
られ、その形態は特に限定されない。
【0067】また、肥料の三要素の合計成分量が30%
以上の高度化成肥料や配合肥料、更には、有機質肥料で
もよく、更には、有機質肥料でもよい。また、OMUP
(クロチリデンジウレア)、IBDU(イソブチリデン
ジウレア)やオキザマイド等の難水溶性肥料を挙げるこ
とができる。また、硝酸化成抑制材や農薬を含有する肥
料であっても本発明の配合肥料に使用することができ
る。
【0068】本発明の配合肥料が、マンガン化合物、亜
鉛化合物、およびホウ素化合物から選ばれた1種以上の
微量要素を含有する肥料と本発明の被覆粒子との配合肥
料である場合には、該配合肥料を用いてアルカリ土壌に
おいて植物を栽培した場合であっても鉄欠乏症を起こさ
ないだけでなく植物が健全に成長し易い。該肥料と本発
明の被覆粒子との配合割合は特に限定されるものではな
いが、該肥料/該被覆粒子=0.01〜120重量比の
割合であることが好ましい。
【0069】マンガン化合物としては具体的に、硫酸マ
ンガン、塩化マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガ
ン、硝酸マンガン、酢酸マンガン(II)、およびマンガン
を含有する鉱石を粉砕物などを挙げることができる。
【0070】亜鉛化合物としては具体的に、硫酸亜鉛、
塩化亜鉛、ホウ酸亜鉛、および酢酸亜鉛などを挙げるこ
とができる。
【0071】ホウ素化合物としては具体的に、ホウ酸、
ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸アンモニ
ウム、ナトリウムボロハイドライド、過ホウ酸ナトリウ
ム、およびホウ素を含有する鉱石の粉砕物などを挙げる
ことができる。
【0072】マンガン化合物、亜鉛化合物、およびホウ
素化合物から選ばれた1種以上を含有する肥料として具
体的に下記の肥料を用いることが出来る。硫酸マンガン
肥料としては、40硫酸マンガン肥料(日本フェロー社
製、商品名)、24硫酸マンガン肥料(キンセイマテッ
ク社製、商品名)、ミネラルパワー(エーザイ生科研
製、商品名)などを挙げることができ、加工マンガン肥
料としてはダイケミ硫酸苦土マンガン肥料(ダイヤケミ
カル社製、商品名)などを挙げることができ、鉱さいマ
ンガンとしてアサヒ熔成マンガン肥料10号(朝日加工
社製、商品名)、10.0粒状いなほ熔成マンガン肥料
(いなほ加工社製、商品名)などを挙げることができ、
炭酸マンガンとしては菱マンガン工の粉砕品(日本フェ
ロー社製、商品名)を挙げることができる。
【0073】亜鉛化合物含有肥料としては、くみあいF
TE1号(日本フェロー社製、商品名)、アグリエース
E12号(日本フェロー社製、商品名)などを挙げるこ
とができる。
【0074】ホウ素化合物含有肥料としては、41.0
アサヒホウ酸塩肥料(朝日加工社製、商品名)、36.
0ほう酸塩肥料(キンセイマテック社製、商品名)、6
5ほう酸塩肥料(日本フェロー社製、商品名)、55.
5ほう酸肥料(日商岩井製?、商品名)、くみあい熔成
ほう素肥料B24号(日本フェロー社製、商品名)など
を挙げることができる。
【0075】この他、マンガン化合物、亜鉛化合物、お
よびホウ素化合物から選ばれた2種以上を含有する肥料
として、微量要素混合肥料28号(朝日加工社製、商品
名)、微量要素混合肥料291号(日本フェロー社製、
商品名)などを挙げることができる。
【0076】
【実施例】以下実施例を用いて本発明を詳細に説明す
る。 1.被覆粒子の製造(被覆粒子No. 1、3〜10) 1)粒子No.1、3〜10の造粒 粉砕機(サンプルミル SK−10型 共立理工株式会
社)により粉砕(各原料を100gずつ、100回転/
秒の回転速度で5分間粉砕)された各種原料を、表1に
示した組成に従って配合し、ヘンシェルミキサーFM2
0Bを用いて1160rpmで5分混合し、さらに粒子
No.8およびNo.9の場合は水を合計の噴霧量が1
0gとなるように加水し1分間混合して各原料組成物を
得た。得られた原料組成物1kgを直径45cmの糖衣
機に入れ、30rpmの回転速度で転動させ、また、粒
子No.1、3〜7、10の場合は廃糖蜜液(出水アル
コール社製)を合計の噴霧量が100gとなるように、
該原料組成物に向けて噴霧しながら粒子の造粒を行っ
た。次いで、得られた造粒物を回転円盤式整粒機(不二
パウダル株式会社製、マルメライザーQJ400)を用
いて球形状に整形し、次いで50℃の熱風の流動乾燥機
で2時間乾燥した。これを4メッシュパス−5.5メッ
シュオンの被被覆粒子として篩い分けした。この操作を
繰り返し、粒子No.1、3〜10を得た。 回転円盤整粒機運転条件 運転方式 :回分式 運転時間 :3min 目皿ピッチ:1mm 回転数 :788rpm/min 仕込量 :3kg(1回当たり)
【0077】2)粒子No.2の造粒 表1粒子No2記載の原料組成物を「1)粒子No.
1、3〜10の造粒」の粒子No.8の場合に準じて混
合し、混合物10kgをディスクペレッター(不二パウ
ダル株式会社製 F−5型スクリーン径2mmφ ダイ
ス厚7mm)で押出造粒により粒子No.2を得た。
【0078】3)粒子の円形度係数の測定 得られた粒子No1〜10の円形度係数は、株式会社ピ
アス製のピアス−IV(PIAS−IV)を用いて測定
した。測定はランダムに取り出した粒子100個を用い
て行った。
【0079】4)鉄化合物の水溶性の測定 表1に示した各鉄化合物1gを純水200mlビーカー
に入れた25℃の純水100g中に攪拌しながら加え
た。3分間攪拌し静置した後沈殿がある場合を不溶
(×)、沈殿がない場合を可溶(○)と判定し結果を表
2に示した。
【0080】5)鉄化合物の易溶性の測定 表1に示した各鉄化合物10gを純水200mlビーカ
ーに入れた25℃の純水100g中に攪拌しながら加え
た。3分間攪拌し静置した後沈殿がある場合を難溶
(×)、沈殿がない場合を易溶(○)と判定し結果を表
2に示した。
【0081】
【表1】 FeSO4・7H20:試薬品 Fe(OH)3:試薬品 EDTAFe(III):キレスト株式会社製 商品名 キレスト
Fe 金属含量13.0% EDTA:Ethylene Diamin Tetraacetic
Acid K2SO4:試薬品 (NH4)2SO4:試薬品 MgSO4・7H20:試薬品 MnS04・5H20:試薬品 ZnSO4:試薬品 H3BO3:試薬品 Na2MoO4・2H20:試薬品 ベントナイト:(株)豊順洋行製
【0082】
【表2】
【0083】6)粒子(No.1〜10)の被覆 下記方法にて、粒子No. 1〜10の被覆を行い、被覆粒
子No. 1〜10を得た。図1に示す噴流被覆装置におい
て本実施例の被覆粒子を作成した。1は噴流塔で塔径2
50mm、高さ2000mm、噴流用空気噴出オリフイ
ス径60mm、コニカル部円錐角50度で粒子投入口
2、および排ガス出口3を有する。噴流用空気はプロワ
ー10から送られオリフイス流量計9、熱交換器8を経
て噴流塔に至るが、流量は流量計、温度は熱交換器で管
理され排気は排ガスロから塔外に導出される。被覆処理
される粒子は該投入口2から所定の熱風を通しながら投
入して噴流を形成させた。熱風温度はT1、被覆中の該
粒子温度はT2、排気温度はT3の温度計で検出した。
T2が70℃に昇温したところで被覆材料溶解液(以下
「被覆液」と記載する。)を被覆液ポンプ6にてノズル
4より噴霧状で噴流状態にある粒子に吹き付けた。被覆
操作の間、被覆液は均一に保持する為被覆液タンク11
で攪拌しておいた。所定の被覆液を供給したらプロワー
を止めて被覆粒子を該剤抜出口7より抜き出し、被覆粒
子No.1〜10を得た。本実施例では下記の基本条件
を維持しつつ、被覆液を被覆粒子に対して被膜が10重
量%に至る量を噴霧した。
【0084】(1)被覆条件 ノズル:開口0.8mmのフルコーン型 熱風:100℃,4m3/min 被被覆粒子:10kg 被覆剤供給速度:0.6kg/min 被覆液供給時間:45min 目標被覆率:12wt% 溶解液温度:100〜110℃
【0085】(2)被覆液関係 被覆液組成(重量基準) ポリエチレン:メルトインディクス MI≒7[g/1
0min](ASTM D1238)、密度d=0.926[g/
cm3] (JIS K6760) 12重量% EVA:12重量% タルク:平均粒経10μm 75重量% 溶剤:テトラクロロエチレン 95重量% 溶出調節剤:界面活性剤 ポリオキシエチレン-n-アル
キルエーテル(親水性疎水性バランス H.L.B.:12
Atlas式計算法による)を、被覆液100重量部に対
して1重量部の割合で添加。尚、溶解液は被覆操作中1
00〜110℃に維持し、被覆液ポンプ5からノズルに
至る配管は被覆液が100℃以下に低下しないように二
重管にして外管部に蒸気を通しておいた。
【0086】7)溶出試験(被覆粒子No.1〜10から
の鉄分溶出速度測定) 上記の方法によって得られた被覆粒子No.1〜10のそ
れぞれについて、鉄分の溶出速度を測定した。200m
lの水が入った300mlのガラス容器に、被覆粒子1
0gを投入、浸漬し、ガラス製の蓋をして25℃の恒温
室に静置した。なお、該ガラス容器内の空気は窒素と置
換し窒素シールした。10日後、該ガラス容器内の水を
全量取り出し、該水中に含まれる鉄分の濃度を原子吸光
法で分析した。次いで、水を取り出した該ガラス容器に
新しい水を200ml投入し、さらに10日後、同様に
鉄分の濃度を測定した。この操作を繰り返し10日毎の
鉄分の溶出量の変化率が3%以下になった場合、測定し
ていた被覆粒子全量を乳鉢でつぶし100mlの純水で
鉄分を溶解し200mlにメスアップした後濃度を測定
して鉄残量とした。10日毎の測定値と鉄残量の総計を
水溶性鉄100%とし各10日毎に溶出した鉄の量の割
合を求めて期間溶出率とした。 期間溶出率=10日間に溶出した鉄の量/水溶性鉄の量
×100 該期間溶出率を加算した累計溶出率をグラフにプロット
した溶出曲線(横軸:日数、縦軸:累積溶出率)を作成
し、累計溶出率が80%に相当する日数をグラフ図より
求め、この日数を80%溶出日数として表3に示した。
【0087】
【表3】
【0088】8)配合肥料を混合した試験土の調製 混合機としてKYCベビーミキサ(光洋機械産業株式会
社製 KAB−2.5)を用い、石川県高岡市西山丘陵
地の貝化石土壌を0.05m3投入後、表4に示す配合
比で0.25m分の肥料を計量し該ミキサに加えて5
分間攪拌混合した。表4の配合肥料13、14用に付い
ては、MnSO4・5H2O、ZnSO4、H3BO3を200mlに溶解し
た後攪拌しながら徐々に添加した。その後10分間攪拌
して配合肥料1〜14を混合した試験土を得た。
【0089】2.栽培試験 1)栽培条件 1メートル四方(1m×1m)、深さ0.3mの木製の箱
(底に多穿孔)を正方形且つ同じ面積である22区画に
分けた。それぞれの区画に該供試土壌と表4に示す配合
肥料1〜14を混合したものを5区画づつ深さ20cmに
なるように充填し、各区画の中心に5粒播種した。さら
に軽く覆土し、潅水しハウス内にて発芽させた。発芽後
は1本を残して間引きして生育し、収穫した。 作物:ほうれん草、品種 強力オーライ 播種:9月4日 収穫:10月9日 栽培場所:熊本県水俣市袋圃場
【0090】
【表4】 LP40:チッソ旭肥料社製 LPコート40 K2SO4:試薬品 重焼リン:小野田化学工業社製 46重焼リン MnSO4・5H2O:試薬品 H3BO3:試薬品 ZnSO4:試薬品
【0091】2)栽培結果 栽培結果は、鉄欠乏症の有無と地上部新鮮重の比で比較
した。鉄欠乏症は各試験区の5区画に1個所以上葉に鉄
黄変が見られる場合を+とし、見られない場合を−とし
た。地上部新鮮重は、地上部の重量を測定し、各試験区
毎に5区画の平均を求め、試験区12の地上部新鮮重平
均値を100として他の試験区の地上部新鮮重平均値に
比率を表5に示した。
【0092】
【表5】
【0093】
【発明の効果】本発明の被覆粒子は、鉄欠乏症が顕著に
発現する強アルカリ土壌に於いて顕著な効果があり、通
常使用される肥料では生育しない場合でも農業生産が可
能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】噴流層のフローシートの図
【符号の説明】
1.噴流塔 2.粒剤投入口 3.排ガス出口 4.スプレーノズル 5.粒子 6.ポンプ 7.抜き出し口 8.熱交換器 9.オリフィス流量計 10.ブロアー 11.溶解槽 12.被膜材料の混合溶解液 T1.熱風温度計 T2.粒体温度計 T3.排気温度計 SL.スチーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G004 BA01 4H061 AA01 CC21 CC24 CC60 EE04 EE05 EE07 EE16 EE17 EE20 EE27 EE35 FF08 FF15 JJ01 LL13 LL14 LL30

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性が1g/25℃純水100g以上
    である鉄化合物を含有する粒子の表面が被膜材料で被覆
    された被覆粒子。
  2. 【請求項2】 水溶性が10〜60g/25℃純水10
    0gの範囲である鉄化合物を含有する粒子の表面が被膜
    材料で被覆された被覆粒子。
  3. 【請求項3】 鉄化合物を含有する粒子が、鉄化合物を
    30〜100重量%含有する粒子である請求項1または
    2記載の被覆粒子。
  4. 【請求項4】 鉄化合物が水溶性第1鉄塩、水溶性第2
    鉄塩およびキレート鉄化合物から選ばれた1種以上であ
    る請求項1または2記載の被覆粒子。
  5. 【請求項5】 鉄化合物が水溶性第1鉄塩である請求項
    1または2記載の被覆粒子。
  6. 【請求項6】 粒子がさらに陰イオン成分を含有し、且
    つその含有割合が、該粒子が含有する鉄イオンの1〜1
    0倍当量の範囲である請求項1または2記載の被覆粒
    子。
  7. 【請求項7】 粒子がさらに陰イオン成分を含有し、且
    つその含有割合が、該粒子が含有する鉄イオンの1〜5
    倍当量の範囲である請求項1または2記載の被覆粒子。
  8. 【請求項8】 粒子がさらに陰イオン成分を含有し、且
    つその含有割合が、該粒子が含有する鉄イオンの1〜3
    倍当量の範囲である請求項1または2記載の被覆粒子。
  9. 【請求項9】 陰イオン成分が硫酸イオン、硫酸水素イ
    オン、燐酸イオン、燐酸1水素イオン、燐酸2水素イオ
    ン、塩素イオン、硝酸イオン、およびカルボン酸イオン
    から選ばれた1種以上である請求項6〜8の何れか1項
    記載の被覆粒子。
  10. 【請求項10】 陰イオン成分がカルボン酸イオンであ
    る請求項6〜8の何れか1項記載記載の被覆粒子。
  11. 【請求項11】 カルボン酸イオンが蟻酸イオン、酢酸
    イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、クエン酸イ
    オン、およびシュウ酸イオンから選ばれた1種以上であ
    る請求項10に記載の被覆粒子。
  12. 【請求項12】 粒子が、さらに水溶性マンガン、水溶
    性ホウ素、および水溶性亜鉛から選ばれた1種以上を含
    有し、且つその含有割合が、水溶性鉄化合物に対して
    0.1〜20重量%の範囲である請求項1または2記載
    の被覆粒子。
  13. 【請求項13】 粒子が下記式(1)で求めた円形度係
    数0.85以上の粒子である請求項1または2記載の被
    覆粒子。式(1):円形度係数=(4π×粒子の投影面
    積)/(粒子投影図の輪郭の長さ)
  14. 【請求項14】 被膜材料が樹脂を含有する被膜材料で
    ある請求項1または2記載の被覆粒子。
  15. 【請求項15】 樹脂がポリオレフィンである請求項1
    4記載の被覆粒子。
  16. 【請求項16】 ポリオレフィンがポリエチレン、ポリ
    プロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン
    −一酸化炭素共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、
    エチレン−ブテン共重合体、およびプロピレン−ブテン
    共重合体から選ばれた1種以上である請求項15記載の
    被覆粒子。
  17. 【請求項17】 被膜材料がフィラーを含有する被膜材
    料である請求項1または2記載の被覆粒子。
  18. 【請求項18】 請求項1〜17の何れか1項に記載の
    被覆粒子を含有する配合肥料。
  19. 【請求項19】 さらにマンガン化合物、亜鉛化合物、
    およびホウ素化合物から選ばれた1種以上を含有する請
    求項18記載の配合肥料。
  20. 【請求項20】 水溶性が1g/25℃純水100g以
    上である鉄化合物を含有する粒子の表面に液状の被膜材
    料を噴霧し、該粒子の表面に被膜を形成することを特徴
    とする被覆粒子の製造方法。
  21. 【請求項21】 水溶性が10〜60g/25℃純水1
    00g以上である鉄化合物を含有する粒子の表面に液状
    の被膜材料を噴霧し、該粒子の表面に被膜を形成するこ
    とを特徴とする被覆粒子の製造方法。
  22. 【請求項22】 液状被膜材料の粘度が0.5〜40
    [mPa・s]の範囲である請求項20または21記載
    の被覆粒子の製造方法。
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