JP2003009737A - 生分解性釣り糸およびその製造方法 - Google Patents

生分解性釣り糸およびその製造方法

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Tetsuya Yano
哲哉 矢野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性が高く人体や環境等に悪影響を及ぼさ
ない製品を目指してなされたもので、自然界での分解性
をもち、かつ、釣り糸に要求される諸特性、例えば実際
の使用に耐えうる機械的強度、及び柔軟性を有する釣り
糸、及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 下記一般式[1]で表されるモノマーユニ
ット組成を有するポリヒドロキシアルカノエートを少な
くとも含む原料を用いて釣り糸を紡糸する。 Am(1-m) [1] (ただし、A及びBは、それぞれ特定のモノマーユニッ
トからなる群から選択される少なくとも1種である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性樹脂を用
いた釣り糸、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、釣り糸には強度、紡糸性の良いポ
リアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化
ビニリデン等からなる合成繊維が主に使用されている。
しかしながらこれらの釣り糸は分解性がないため、使用
中に切断されて放置されたり、使用後に捨てられたりし
た場合は、その形状のまま半永久的に残存し、環境を汚
染する恐れがあるうえ、野生動物に被害を与えるケース
もある。
【0003】一方、環境保護の観点から、廃棄物の削減
と廃棄物の安全性の向上が世界的に叫ばれている現在、
人体に対して無害であり、かつ微生物等の作用により経
時的に分解可能な樹脂、すなわち、生分解性の樹脂の開
発が進められている。例えば、多くの微生物がポリエス
テル構造を有する生分解性樹脂(ポリヒドロキシアルカ
ノエート:以下PHAと略記する場合もある)を生産し、
菌体内に蓄積することが報告されている(「生分解性プ
ラスチックハンドブック」、生分解性プラスチック研究
会編、(株)エヌ・ティー・エス発行、P178−19
7、1995)。このようなPHAは、その生産に用いる
微生物の種類や培地組成、培養条件等により、様々な組
成や構造のものとなり得ることが知られており、これま
で主に物性の改良という観点から、生産されるPHAの
組成や構造の制御に関する研究がなされ、様々な医療、
農林水産、サニタリー、スポーツ・レジャー等の分野で
ディスポーザブル材料として用いられている。
【0004】その中で、生分解性樹脂を用いた釣り糸に
ついては、特開平3−183428号公報にはポリグリ
コール酸を使用した釣り糸が、特開平5−59611号
公報にはポリカプロラクトンを使用した釣り糸が開示さ
れている。
【0005】また、特開平8−188706号公報には
ポリカプロラクトンと微生物生産直鎖状ポリエステル樹
脂の混合物を含む分解性釣り糸が、特開平11−276
044号公報には、ラクトン樹脂単独若しくはラクトン
と他の生分解性樹脂(脂肪族ポリエステル、生分解性セ
ルロースエステル、ポリペプチド、ポリビニルアルコー
ル、澱粉、セルロース、カラギーナン、キチン・キトサ
ン質、天然直鎖状ポリエステル系樹脂)から成る分解性
釣り糸が開示されている。
【0006】更に、特開2001−40529には、ポ
リ乳酸重合体と脂肪族ポリエステルから成るモノフィラ
メントが開示され、釣り糸としての応用が記載されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、生分解性
樹脂の釣り糸への応用に関する発明は様々になされてき
ているが、その加工性、機械的強度、柔軟性といった物
性、安全性、及び生分解性の全てを十分に満たすような
優れた材料の開発が重要な課題である。
【0008】本発明は、安全性が高く人体や環境等に悪
影響を及ぼさない製品を目指してなされたもので、自然
界での分解性をもち、かつ、釣り糸に要求される諸特
性、例えば実際の使用に耐えうる機械的強度、及び柔軟
性を有する釣り糸、及びその製造方法を提供することを
課題とする。
【0009】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は、前記課
題を解決すべく鋭意検討したところ、特定のモノマーユ
ニット組成を有するポリヒドロキシアルカノエート(PH
A)を含有させた樹脂において、機械的強度、柔軟性、
生分解性等において、性能の良い釣り糸を形成すること
ができることを見出し、本発明に到達した。
【0010】即ち、本発明は、下記一般式[1]で表され
るモノマーユニット組成を有するポリヒドロキシアルカ
ノエート(PHA)を含有してなる釣り糸である。 Am(1-m) [1] (ただし、Aは下記一般式[2]から[7]で表されるモノ
マーユニットから選択される少なくとも1種類であり、
Bは下記一般式[8]あるいは[9]で表されるモノマーユ
ニットから選択される少なくとも1種類であり、mは
0.01以上、1以下である)
【0011】
【化15】 (ただし、式中bは0から7の整数のいずれかを表し、R
2は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C2
5及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つ
を表す。)
【0012】
【化16】 (ただし、式中cは1から8の整数のいずれかを表し、
R3は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−
25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1
つを表す。)
【0013】
【化17】 (ただし、式中dは0から7の整数のいずれかを表し、
R4は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−
25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1
つを表す。)
【0014】
【化18】 (ただし、式中eは1から8の整数のいずれかを表し、
R5は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−
25、−C37、−CH3、−C25及び−C37
らなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
【0015】
【化19】 (ただし、式中fは0から7の整数のいずれかを表す。)
【0016】
【化20】 (ただし、式中gは1から8の整数のいずれかを表す。)
【0017】
【化21】 (ただし、式中nは0〜10であり、kは3または5であ
る。) 上記ポリヒドロキシアルカノエートの数平均分子量は5,
000以上、1,000,000以下であることが好ましい。
【0018】また、本発明の釣り糸における上記ポリヒ
ドロキシアルカノエート樹脂含有率は好ましくは5%以
上、より好ましくは10%以上である。上記ポリヒドロ
キシアルカノエート以外の成分としては、上記ポリヒド
ロキシアルカノエート以外の生分解性樹脂及び樹脂添加
剤が利用でき、生分解樹脂としては脂肪族ポリエステ
ル、生分解性セルロースエステル、ポリペプチド、ポリ
ビニルアルコール等の合成高分子或いはデンプン、セル
ロース、カラギーナン、キチン、キトサン等の天然高分
子が挙げられ、樹脂添加剤としては、可塑剤、熱安定
剤、滑剤、ブロッキング防止剤、光分解剤、生分解促進
剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、難燃剤、
抗菌剤、防臭剤、充填材、着色剤が挙げられるが、これ
らの成分についての詳細は後述する。
【0019】また、本発明の釣り糸の引張強度は5.5
g/d以上、結節強度は4.5g/d以上であることが
好ましく、破断伸び率が10%以上であることが好まし
い。
【0020】更に本発明の他の態様は、上記ポリヒドロ
キシアルカノエートの少なくとも1種を含む紡糸用の原
料、例えば上記ポリヒドロキシアルカノエートと上記の
それ以外の成分を混合した混合物を調製する工程と、こ
の原料を紡糸する工程と、得られた未延伸糸を延伸する
工程と、を有することを特徴とする、釣り糸の製造方法
である。これら工程の詳細についても後述する。
【0021】本発明によれば、安全性が高く人体や環境
等に悪影響を及ぼさない製品を目指してなされたもの
で、自然界での分解性をもち、かつ、釣り糸に要求され
る諸特性、例えば実際の使用に耐えうる機械的強度、及
び柔軟性を有する釣り糸、及びその製造方法を提供する
ことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、好ましい実施の形態を挙
げて、本発明を更に詳細に説明する。
【0023】一般式[1]で表されるモノマーユニット組
成のPHAは、生分解性樹脂としての基本骨格を有してお
り、安全性が高く、人体や環境等に悪影響を及ぼさない
効果が期待できる。このPHAは、従来のプラスチックと
同様、溶融加工等により各種製品の生産に利用すること
ができるとともに、石油由来の合成高分子とは異なり、
生物により分解されうるという際立った特性を有してい
る。従って、廃棄した際、このPHAは生分解されること
により、自然界の物質循環に取り込まれるので、従来利
用されていた、多くの合成高分子化合物のように自然環
境に残留して汚染を引き起こすことがない。さらに、生
分解処理を行うことで、燃焼処理を行う必要もないた
め、大気汚染や地球温暖化を防止するという観点でも有
効な材料であり、環境保全型プラスチックとして利用す
ることができる。
【0024】更に具体的には、本発明において使用する
一般式[1]で示されるモノマーユニット組成を有するPH
Aは、3−ヒドロキシアルカノエートをモノマー単位と
するポリエステル樹脂であって、置換基としてフェニ
ル、フェノキシ、シクロヘキシル、ベンゾイル、チエニ
ル及びチエノイルの何れかの置換基を少なくとも1種類
含むものである。ここで、このような化合物を微生物に
より生産した場合、このPHAはR体のみからなるアイソ
タクチックなポリマーであるが、本発明の目的を達成し
うる物性であれば、特にアイソタクチックなポリマーで
ある必要はなく、アタクチックなポリマーについても利
用することが可能である。また、ポリヒドロキシアルカ
ノエート化合物の開環重合などを利用した化学合成法に
より一般式[1]のモノマー組成を有するPHAを得ること
も可能である。
【0025】一般式[1]における、Aで示すユニット
は、一般式[2]〜[7]で表される基から目的に応じて適
宜選択することが可能であり、更に、一般式[2]〜[5]
中に示す側鎖構造のR2〜R5としては、水素原子、フ
ッ素原子(F)、パーフルオロアルキル基(トリフルオ
ロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ
プロピル基)からなる群から選ばれる1種以上の官能基
を選択することが可能である。また、一般式[5]におけ
るR5はさらに炭素数3までのアルキル基からなる群か
ら選ばれる1種以上の原子あるいは官能基を選択するこ
とが可能である。また、これらの原子あるいは官能基
は、適宜組み合わせて用いることも可能である。更に、
一般式[2]〜[7]で表されるユニットの側鎖メチレンの
炭素数は1〜8までの整数から任意に選択することがで
きる。
【0026】一般式[1]におけるBは、一般式[8]及び
[9]で表されるモノマーユニットから選択された少なく
とも1種であり、式中のnは0〜10の整数、kは3ま
たは5のうちのいずれかである。
【0027】また、一般式[1]のA及びBの組成比は目
的に応じて適宜変化させることも可能であり、該AとB
の組成比、及びその構造を選択することにより、目的に
あった機械的強度、熱的特性、柔軟性等を有するポリヒ
ドロキシアルカノエート(PHA)を得ることが可能と
なる。
【0028】ここで、一般式[1]のモノマーユニット組
成を有するPHAを微生物により生産する場合、このPHAは
一般式[2]〜[7]で表されるモノマーユニットを複数種
含み得るが、必要とするポリマーの物性を考慮の上、適
当数を含むように設計すると良い。一般には10種類程
度までの一般式[2]〜[7]で表されるモノマーユニット
を含むことで本発明の目的を十分に達成することが期待
できる。さらに、微妙な物性の制御を望む場合、より多
くのモノマーユニットで構成することも可能である。
【0029】また、R2〜R5の置換位置については、
オルト、メタあるいはパラ位の何れにおいても対応する
モノマーユニットからなるポリヒドロキシアルカノエー
トを取得することが可能であるが、機能性、物性などが
何れの異性体においても大きな相違が無い場合、収率あ
るいはポリマー中への取り込まれ易さにおいてメタ位あ
るいはパラ位における置換体を好適に用い得る。
【0030】このPHAの微生物を用いた生産は、例えば
以下の培養工程/回収工程により行うことができる。 (培養工程)本発明にかかるポリヒドロキシアルカノエー
トの製造方法に用いる微生物は、一般式[1]で表される
モノマーユニット組成を有するPHAを生産しうる微生物
であれば如何なる微生物であってもよいが、その一例と
しては、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生
物が挙げられる。さらに詳しくは、微生物がシュードモ
ナス・チコリアイ YN2株(Pseudomonas cichorii Y
N2;FERM BP-7375)、シュードモナス・チコリ
アイ H45 株(Pseudomonas cichorii H45、FERM
BP-7374)、シュードモナス・ジェッセニイ P161株
(Pseudomonas jessenii P161、FERM BP-7376)、
シュードモナス・プチダP91株(Pseudomonas putida P
91、FERM BP-7373)が挙げられる。これら4種の
微生物は経済産業省 産業技術総合研究所(旧 通商産
業省 工業技術院)生命工学工業技術研究所に寄託され
ており、特願平11-371863号に記載されている
微生物である。
【0031】本発明にかかるポリヒドロキシアルカノエ
ートの製造方法に用いる微生物の通常の培養、例えば、
保存菌株の作成、ポリヒドロキシアルカノエートの生産
に必要とされる菌数や活性状態を確保するための増殖な
どには、用いる微生物の増殖に必要な成分を含有する培
地を適宜選択して用いる。例えば、微生物の生育や生存
に悪影響を及ぼすものでない限り、一般的な天然培地
(肉汁培地、酵母エキスなど)や、栄養源を添加した合成
培地など、いかなる種類の培地をも用いることができ
る。温度、通気、攪拌などの培養条件は、用いる微生物
に応じて適宜選択する。
【0032】前記したようなポリヒドロキシアルカノエ
ート生産微生物を用いて、目的とするポリヒドロキシア
ルカノエートを製造するためには、ポリヒドロキシアル
カノエート生産用の原料として、一般式[2]〜[7]で示
されるモノマーユニットに対応する、下記一般式[10]
で示される化合物と、微生物の増殖用炭素源とを少なく
とも含んだ無機培地などを用いることができる。
【0033】
【化22】 ここでRは以下の一般式[11]から[16]で表される残
基から選択される少なくとも1以上である。
【0034】
【化23】 (ただし、式中bは0から7の整数のいずれかを表し、R
2は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−C2
5及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つ
を表す。)
【0035】
【化24】 (ただし、式中cは1から8の整数のいずれかを表し、
R3は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−
25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1
つを表す。)
【0036】
【化25】 (ただし、式中dは0から7の整数のいずれかを表し、
R4は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−
25及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1
つを表す。)
【0037】
【化26】 (ただし、式中eは1から8の整数のいずれかを表し、
R5は水素原子(H)、フッ素原子(F)、−CF3、−
25、−C37、−CH3、−C25及び−C37
らなる群から選ばれたいずれか1つを表す。)
【0038】
【化27】 (ただし、式中fは0から7の整数のいずれかを表す。)
【0039】
【化28】 (ただし、式中gは1から8の整数のいずれかを表す。) 上記一般式[10]で示される化合物は、培地あたり 0.0
1%から1%(w/v)、更に好ましくは0.02%から0.2 %
の割合で含有していることが望ましい。一般式[10]で
示される化合物のなかには水溶性が良好でない化合物も
あるが、そのような場合にも、本発明に示す微生物を用
いれば、懸濁された状態であっても何ら問題は無い。ま
た、場合によっては1-ヘキサデセンや n-ヘキサデカン
のような溶媒に溶解或いは懸濁された形で培地中に含有
せしめることも可能である。この場合、該溶媒の濃度は
培地溶液に対して3%以下にすることが必要である。
【0040】増殖用基質としては、酵母エキスやポリペ
プトン、肉エキスといった栄養素を用いることが可能で
あり、更に、糖類、TCA回路中の中間体として生じる
有機酸(オキソ酸)及びTCA回路から一段階ないしは
二段階の生化学反応を経て生じる有機酸或いはその塩、
アミノ酸或いはその塩、アルカン酸或いはその塩等から
用いる菌株に対する基質としての有用性で適宜選択する
ことができる。
【0041】これらのうち、糖類としては、グリセロア
ルデヒド、エリスロース、アラビノース、キシロース、
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース
といったアルドース、グリセロール、エリスリトール、
キシリトール等のアルジトール、グルコン酸等のアルド
ン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸等のウロン酸、マ
ルトース、スクロース、ラクトースといった二糖等から
選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0042】また、有機酸或いはその塩としては、ピル
ビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸或いはそ
の塩から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用でき
る。
【0043】また、アミノ酸或いはその塩としては、グ
ルタミン酸、アスパラギン酸或いはその塩から選ばれる
1つ以上の化合物が好適に利用できる。
【0044】これらの中では、ポリペプトンや糖類を用
いるのが好ましく、また糖類の中ではグルコース、フル
クトース、マンノースからなる群から選択される少なく
とも一つであることがより好ましい。これらの基質は通
常培地あたり 0.1 %から5%(w/v)、更に好ましくは
0.2 %から2%の割合で含有していることが望ましい。
【0045】微生物にポリヒドロキシアルカノエートを
生産・蓄積させる方法としては、一旦十分に増殖させた
後に、塩化アンモニウムのような窒素源を制限した培地
へ菌体を移し、目的ユニットの基質となる化合物を加え
た状態で更に培養すると生産性が向上する場合がある。
具体的には、前記の工程を複数段接続した多段方式の採
用が挙げられる。
【0046】例えば、一般式[10]で示される化合物、
及びポリペプトンを含む培地中で微生物を培養する工程
(工程1−1)を対数増殖後期から定常期の時点まで続
け、菌体を遠心分離等で回収したのち、これに続く、一
般式[10]で示される化合物と有機酸或いはその塩とを
含み、窒素源を含まない培地中で、工程1−1で培養さ
れた微生物を更に培養する工程(工程1-2)を行う方
法、あるいは、一般式[10]で示される化合物、及び糖
類を含む培地中で微生物を培養する工程(工程1−3)を
対数増殖後期から定常期の時点まで続け、菌体を遠心分
離等で回収したのち、これに続く、一般式[10]で示さ
れる化合物と糖類とを含み、窒素源を含まない培地中
で、工程1-3で培養された微生物を更に培養する工程
(工程1-4)を行う方法等である。
【0047】培養温度としては上記の菌株が良好に増殖
可能な温度であれば良く、例えば 15〜 40℃、好ましく
は20〜35℃、更に好ましくは20℃〜 30℃程度が適当で
ある。
【0048】培養は液体培養、固体培養等該微生物が増
殖し、ポリヒドロキシアルカノエートを生産する培養方
法ならいかなる培養方法でも用いることができる。さら
に、バッチ培養、フェドバッチ培養、半連続培養、連続
培養等の種類も問わない。液体バッチ培養の形態として
は、振とうフラスコによって振とうさせて酸素を供給す
る方法、ジャーファーメンターによる攪拌通気方式の酸
素供給方法がある。
【0049】上記の培養方法に用いる無機培地として
は、リン源(例えば、リン酸塩など)、窒素源(例えば、
アンモニウム塩、硝酸塩など)等、当該微生物の増殖に
必要な成分を含んでいるものであればいかなるものでも
良く、例えば、MSB培地、M9培地等を挙げることが
できる。
【0050】本発明の一方法に用いた無機塩培地(M9
培地)の組成を以下に示す。
【0051】[M9培地] Na2HPO4 6.2 g KH2PO4 3.0 g NaCl 0.5 g NH4Cl 1.0 g (培地1リットル中、pH 7.0) 更に、良好な増殖及びポリヒドロキシアルカノエートの
生産のためには、上記の無機塩培地に以下に示す微量成
分溶液を 0.3 %(v/v)程度添加する必要がある。
【0052】[微量成分溶液] ニトリロ三酢酸:1.5g;MgSO4: 3.0g;MnS
4: 0.5g;NaCl: 1.0g;FeSO4: 0.1g;Ca
Cl2: 0.1g;CoCl2: 0.1g;ZnSO4: 0.1g;
CuSO4: 0.1g;AlK(SO4)2: 0.1g;H3
3: 0.1g;Na2MoO4: 0.1g;NiCl2: 0.1g
(溶液1リットル中、pH 7.0) (分離・回収工程)本発明において、上記のように培養
された微生物細胞から目的のPHAを分離する方法とし
ては、通常行なわれている方法を適用することができ
る。例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン
などの有機溶媒による抽出が最も簡便ではあるが、それ
以外にジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリ
ルが用いられる場合もある。また、有機溶媒が使用しに
くい環境中においては、SDS等の界面活性剤による処
理、リゾチーム等の酵素による処理、EDTA、過酸化
水素、次亜塩素酸ナトリウム、アンモニア等の薬剤によ
る処理によって、或いは超音波破砕法、ホモジナイザー
法、圧力破砕法、ビーズ衝撃法、摩砕法、擂潰法、凍結
融解法のいずれかの方法を用いて微生物細胞を物理的に
破砕することによって、PHA以外の菌体成分を除去し
て、PHAを回収する方法を用いることもできる。
【0053】なお、本発明の微生物の培養、本発明の微
生物によるPHAの生産と菌体内への蓄積、並びに、本
発明における菌体からのPHAの回収は、上記の方法に
限定されるものではない。
【0054】以上の方法で製造できる具体的な化合物と
して、例えば、下記化学式[17]で表される5-フェニ
ル吉草酸(PVA)から、下記化学式[18]で表される3
-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV)モノマーユ
ニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得
る微生物を培養することにより、3HPVモノマーユニ
ットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造するこ
とが可能である。
【0055】
【化29】 また、下記化学式[19]で表される5-(4-フルオロフ
ェニル)吉草酸(FPVA)から、下記化学式[20]で表
される3-ヒドロキシ-5-(4-フルオロフェニル)吉草酸
(3HFPV)モノマーユニットを含むポリヒドロキシア
ルカノエートを製造し得る微生物を培養することによ
り、3HFPVモノマーユニットを含むポリヒドロキシ
アルカノエートを製造することが可能である。
【0056】
【化30】 また、下記化学式[21]で表される5-(4-トリフルオ
ロメチルフェニル)吉草酸(CF3PVA)から、下記化学
式[22]で表される3-ヒドロキシ-5-(4-トリフルオ
ロメチルフェニル)吉草酸(3HCF3PV)モノマーユニ
ットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る
微生物を培養することにより、3HCF3PVモノマー
ユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造す
ることが可能である。
【0057】
【化31】 また、下記化学式[23]で表される5-フェノキシ吉草
酸(PxVA)から、下記化学式[24]で表される3-ヒド
ロキシ-5-フェノキシ吉草酸(3HPxV)モノマーユニ
ットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る
微生物を培養することにより、3HPxVモノマーユニ
ットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造するこ
とが可能である。
【0058】
【化32】 また、下記化学式[25]で表される5-(4−フルオロ
フェノキシ)吉草酸(FPxVA)から、下記化学式[2
6]で表される3-ヒドロキシ-5-(4−フルオロフェノ
キシ)吉草酸(3HFPxV)モノマーユニットを含むポ
リヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養
することにより、3HFPxVモノマーユニットを含む
ポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能で
ある。
【0059】
【化33】 また、下記化学式[27]で表される4-フェノキシ酪酸
(PxBA)から、下記化学式[28]で表される3-ヒドロ
キシ-4-フェノキシ酪酸(3HPxB)モノマーユニット
を含むポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生
物を培養することにより、3HPxBモノマーユニット
を含むポリヒドロキシアルカノエートを製造することが
可能である。
【0060】
【化34】 また、下記化学式[29]で表される4-シクロヘキシル
酪酸(CHBA)から、下記化学式[30]で表される3-
ヒドロキシ-4-シクロヘキシル酪酸(3HCHB)モノマ
ーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造
し得る微生物を培養することにより、3HCHBモノマ
ーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートを製造
することが可能である。
【0061】
【化35】 また、下記式[31]で表される5-ベンゾイル吉草酸(B
zVA)から、下記式[32]で表される3-ヒドロキシ-5
-ベンゾイル吉草酸(3HBzV)モノマーユニットを含む
ポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培
養することにより、3HBzVモノマーユニットを含む
ポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能で
ある。
【0062】
【化36】 また、下記式[33]で表される5-チエニル吉草酸(TV
A)から、下記式[34]で表される3-ヒドロキシ-5-チ
エニル吉草酸(3HTV)モノマーユニットを含むポリヒ
ドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培養する
ことにより、3HTVモノマーユニットを含むポリヒド
ロキシアルカノエートを製造することが可能である。
【0063】
【化37】 また、下記式[35]で表される5-チエノイル吉草酸(T
oVA)から、下記式[36]で表される3-ヒドロキシ-5
-チエノイル吉草酸(3HToV)モノマーユニットを含む
ポリヒドロキシアルカノエートを製造し得る微生物を培
養することにより、3HToVモノマーユニットを含む
ポリヒドロキシアルカノエートを製造することが可能で
ある。
【0064】
【化38】 以上、一般式[10]の化合物を原料とした、本発明で使
用するPHAの製造方法の例を挙げたが、本発明はこれら
に限定されるものではない。これらの化合物は、培養液
に添加するモノマー化合物、培養液組成、微生物培養条
件等をコントロールすることにより、それぞれ好適に製
造することが可能である。
【0065】一般式[1]のモノマーユニット組成を有す
るPHAの数平均分子量は、所望とする釣り糸としての機
械的な強度と溶融成形における操作性とのバランスから
は、通常5,000〜1,000,000であり、好ま
しくは10,000〜800,000である。
【0066】本発明において、一般式[1]のモノマーユ
ニット組成を有するPHAの分子量は、GPC(ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー)により測定した。具
体的なGPCの測定方法としては、予め一般式[1]のモ
ノマーユニット組成を有するPHAをクロロホルムに溶解
したサンプルを測定用に用い、標準ポリスチレン樹脂の
検量線から分子量分布を求めた。また、本発明において
は、上記のようにして測定した重量平均分子量(Mw)
と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)が、1
〜4の範囲内にある一般式[1]のモノマーユニット組成
を有するPHAを使用することが好ましい。
【0067】本発明において、一般式[1]のモノマーユ
ニット組成を有するPHAは20〜200℃の融点を持つ
か、または融点は持たないが20〜200℃、特に40
〜200℃のガラス転移点を持つことが好ましい。上記
融点が20℃未満または融点を持たずガラス転移点が2
0℃未満の場合は、流動性や、保存性に悪影響を与えや
すい。しかし、この様な熱的性質を満たさない場合で
も、疑似餌に要求される他の特性(機械的強度や透明
度、適度な撥水性等)に優れている場合は、炭素鎖長の
短い3HB(3−ヒドロキシ酪酸)や3HV(3−ヒド
ロキシ吉草酸)ユニットを多く含むPHAを適宜混合す
ることにより物性を調整することができる。一方、融点
が200℃を超えるかまたは融点を持たずガラス転移点
が200℃を超える場合は、利用できる溶融成形法が限
定されてくる。
【0068】この場合における融点Tmおよびガラス転
移点Tgの測定には、例えば、パーキンエルマー社製の
DSC−7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走
査熱量計を用いて測定を行えばよい。測定方法として
は、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明
においては、ガラス転移点Tgを測定する場合に、測定
試料を1回昇温して全履歴をとった後、急冷し、再度、
温度速度10℃/min、温度0〜200℃の範囲で昇
温させたときに測定されるDSC曲線を用いるとよい。
【0069】本発明の釣り糸を構成する樹脂としては、
一般式[1]で示されるモノマーユニット組成を有するPH
A単独、又は該ポリヒドロキシアルカノエート樹脂と他
の生分解性樹脂との混合物を用いることができ、必要に
応じてPHA単独あるいはPHAと他の生分解性樹脂との混合
物を紡糸用の原料として用いることができる。
【0070】上記他の生分解性樹脂としては、合成及び
/又は天然高分子が使用される。合成高分子としては、
ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドエステル、生分
解性セルロースエステル、ポリペプチド、ポリビニルア
ルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、又はこれら
の2以上の混合物が挙げられる。
【0071】上記合成ポリエステル樹脂としては、一般
式[1]で示されるモノマーユニット組成を有するPHA以
外のポリエステル樹脂である。以下、合成ポリエステル
樹脂を、単に、ポリエステル樹脂と略称し、天然に産出
されるものの場合にはその旨明記する。ポリエステル樹
脂としては、合成ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネー
ト、ポリブチレンサクシネート等の生分解性のポリエス
テル樹脂等が挙げられ、これらの1種以上を用いること
ができる。
【0072】生分解性セルロースエステルとしては、一
又は二酢酸セルロース、セルロースブチレート、セルロ
ースプロピオネート等の有機酸エステル;硝酸セルロー
ス、硫酸セルロース、リン酸セルロース等の無機酸エス
テル;セルロースアセテートブチレート、セルロースア
セテートフタレート、硝酸酢酸セルロース等の混成エス
テルが例示できる。これらのセルロースエステルは、単
独で又は二種以上混合して使用できる。これらのセルロ
ースエステルのうち有機酸エステル、特に酢酸セルロー
スが好ましい。また、ポリペプチドとしては、ポリグル
タミン酸等のポリアミノ酸及びポリアミドエステル等が
例示できる。ポリアミドエステルとしては、ε−カプロ
ポリヒドロキシアルカノエートとε−カプロラクタムよ
り合成される樹脂等が挙げられる。この場合の分子量
は、例えばポリ乳酸樹脂を例にすると、GPCによる標
準ポリスチレン換算で数平均分子量が10,000以上
1,000,000以下、好ましくは20,000以上
のものが使用できる。
【0073】天然高分子としては、澱粉、セルロース、
カラギーナン、キチン・キトサン質、天然直鎖状ポリエ
ステル系樹脂、又はこれらの混合物が挙げられる。上記
澱粉としては、生澱粉、加工澱粉及びこれらの混合物が
挙げられる。生澱粉としてはトウモロコシ澱粉、馬鈴箸
澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、キャッサバ澱粉、サゴ澱
粉、タピオカ澱粉、コメ澱粉、マメ澱粉、クズ澱粉、ワ
ラビ澱粉、ハス澱粉、ヒシ澱粉等が挙げられ、加工澱粉
としては、物理的変性澱粉(α−澱粉、分別アミロー
ス、湿熱処理澱粉等)、酵素変性澱粉(加水分解デキス
トリン、酵素分解デキストリン、アミロース等)、化学
分解変性澱粉(酸処理澱粉、次亜塩素酸酸化澱粉、ジア
ルデヒド澱粉等)、化学変性澱粉誘導体(エステル化澱
粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉、架橋澱粉等)な
どが挙げられる。上記の中、エステル化澱粉としては、
酢酸エステル化澱粉、コハク酸エステル化澱粉、硝酸エ
ステル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、尿素リン酸エス
テル化澱粉、キサントゲン酸エステル化澱粉、アセト酢
酸エステル化澱粉など;エーテル化澱粉としては、アリ
ルエーテル化澱粉、メチルエーテル化澱粉、カルボキシ
メチルエーテル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱
粉、ヒドロキシプロピルエーテル化澱粉など;カチオン
化澱粉としては、澱粉と2−ジエチルアミノエチルクロ
ライドの反応物、澱粉と2,3−エポキシプロピルトリ
メチルアンモニウムクロライドの反応物など;架橋澱粉
としては、ホルムアルデヒド架橋澱粉、エピクロルヒド
リン架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、アクロレイン架橋澱粉
などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができ
る。
【0074】本発明において、紡糸用原料には更に樹脂
添加剤を含有させることができる。樹脂添加剤としては
可塑剤、熱安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤、核剤、
光分解剤、生分解促進剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、
帯電防止剤、難燃剤、流滴剤、抗菌剤、防臭剤、充填
材、着色剤又はこれらの混合物が挙げられ、必要に応じ
てこれらの1種または2種以上を用いることができる。
【0075】可塑剤としては、脂肪族二塩基酸エステ
ル、フタル酸エステル、ヒドロキシ多価カルボン酸エス
テル、ポリエステル系可塑剤、脂肪酸エステル、エポキ
シ系可塑剤、又はこれらの混合物が例示される。具体的
には、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フ
タル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソデシル(D
IDP)等のフタル酸エステル、アジピン酸−ジ−2−
エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソデシル
(DIDA)等のアジピン酸エステル、アゼライン酸−
ジ−2−エチルヘキシル(DOZ)等のアゼライン酸エ
ステル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、
アセチルクエン酸トリブチル等のヒドロキシ多価カルボ
ン酸エステル、ポリプロピレングリコールアジピン酸エ
ステル等のポリエステル系可塑剤であり、これらは一種
または二種以上の混合物で用いられる。これら可塑剤の
添加量としては、一般にはポリヒドロキシアルカノエー
ト含有樹脂100重量部に対して、1〜20重量部の範
囲が好ましい。1重量部未満であると、破断伸びが低く
なり、また20重量部を超えると、破断強度の低下をま
ねく場合がある。
【0076】本発明で用いる熱安定剤としては、脂肪族
カルボン酸塩がある。脂肪族カルボン酸としては、特に
脂肪族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。脂肪族ヒドロ
キシカルボン酸としては、乳酸、ヒドロキシ酪酸等の天
然に存在するものが好ましい。塩としては、ナトリウ
ム、カルシウム、アルミニウム、バリウム、マグネシウ
ム、マンガン、鉄、亜鉛、鉛、銀、銅等の塩が挙げられ
る。これらは、一種または二種以上の混合物として用い
ることができる。添加量としては、ポリヒドロキシアル
カノエート含有樹脂100重量部に対して、0.1〜1
0重量部の範囲である。上記範囲で熱安定剤を用いる
と、破断伸び、破断強度のばらつきが小さくなる効果が
ある。
【0077】本発明で用いる滑剤としては、内部滑剤、
外部滑剤として一般に用いられるものが使用可能であ
る。たとえば、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂、パラフ
ィン、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪酸アミド、アル
キレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級ア
ルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂
肪酸ポリグリコールエステル、脂肪族アルコール、多価
アルコール、ポリグリコール、ポリクリセロール、金属
石鹸、変性シリコーンまたはこれらの混合物が挙げら
れ、これらは単独で、あるいは2種以上の組合せで用い
ることができる。これらの中では、好ましくは、脂肪酸
エステル、炭化水素樹脂等が挙げられる。滑剤を選択す
る場合には、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂やその
他の生分解性樹脂の融点に応じて、その融点以下の滑剤
を選択する必要がある。例えば、脂肪族ポリエステル樹
脂の融点を考慮して、脂肪酸アミドとしては180℃以
下の脂肪酸アミドが選ばれる。配合量は、ポリヒドロキ
シアルカノエート含有樹脂100重量部に対し、滑剤を
0.01〜5重量部を添加する。0.01重量部未満で
あると効果が充分でなく、5重量部を超えると物性も低
下する。環境汚染を防止する観点から、安全性が高く、
且つFDA(米国食品医薬品局)に登録されているエチ
レンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オ
レイン酸アミド、エルカ酸アミドが好ましい。
【0078】上記光分解促進剤としては、例えば、ベン
ゾイン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェ
ノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン
などのベンゾフェノンとその誘導体;アセトフェノン、
α,α−ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノ
ンとその誘導体;キノン類;チオキサントン類;フタロ
シアニンなどの光励起材、アナターゼ型酸化チタン、エ
チレン−ー酸化炭素共重合体、芳香族ケトンと金属塩と
の増感剤などが例示される。これらの光分解促進剤は、
1種又は2種以上併用できる。
【0079】上記生分解促進剤には、例えば、オキソ酸
(例えば、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リ
ンゴ酸、などの炭素数2〜6程度のオキソ酸)、飽和ジ
カルボン酸(例えば、修酸、マロン酸、コハク酸、無水
コハク酸、グルタル酸、などの炭素数2〜6程度の低級
飽和ジカルボン酸)などの有機酸;これらの有機酸と炭
素数1〜4程度のアルコールとの低級アルキルエステル
が含まれる。好ましい生分解促進剤には、クエン酸、酒
石酸、リンゴ酸などの炭素数2〜6程度の有機酸、及び
椰子殻活性炭等が含まれる。これらの生分解促進剤は1
種又は2種以上併用できる。
【0080】本発明の生釣り糸は、例えば以下の方法に
より製造することができる。
【0081】まず、原料となる樹脂ペレットを押出紡糸
機に供給し溶融紡出する。このときの押出紡糸機の条件
は、紡糸温度150℃〜250℃、押出圧力10〜50
0Kg/cm3 、口金孔径0.1〜3mm、紡糸速度1
〜50m/minなどの条件を適宜選択することができ
る。
【0082】押出紡糸機より紡出されたモノフィラメン
トは、10℃〜25℃の水浴中で冷却された後、1段目
の延伸工程に送られる。延伸および熱固定の雰囲気
(浴)としては、ポリエチレングリコール、グリセリン
およびシリコーンオイルなどの加熱した熱媒体、乾熱気
体浴、および温水浴などが用いられる。延伸倍率は、1
段目の延伸を2.5〜5.0倍の倍率に設定し、その後
全延伸倍率が6.0倍以上となる延伸倍率で2段目また
は2〜3段目の多段延伸を行う。ここで、1段目の延伸
倍率が2.5倍未満、および6.0以上では次工程での
糸切れが発生しやすくなるため好ましくない。また、全
延伸倍率が6.0倍未満では、得られるモノフィラメン
トの引張強度、結節強度が低くなるため好ましくない。
多段延伸後には、必要に応じて延伸歪みを除去すること
などを目的として、適度な定長、弛緩熱処理を行うこと
もできる。
【0083】このようにして得られる本発明の釣り糸
は、強度と適度な生分解性を兼備していることから、道
糸、ハリス、テーパ糸、フライフィッシング用のライン
やリーダーなど各種の釣り糸、特に環境に放置される可
能性の高い用途の釣り糸としてきわめて有用である。
【0084】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に詳細に説明するが、本実施例は、本発明をなんら限定
するものではない。また、以下の配合における部数は全
て重量部である。
【0085】
【実施例1】ポリペプトン0.5%と、5-フェニル吉草
酸(PVA)0.1%とを含むM9培地20Lにシュードモ
ナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii Y
N2、FERM BP-7375)を植菌し、30℃、8
0回転/分、通気量2.5L/分で通気攪拌培養した。48
時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノール
で一度洗浄の後、凍結乾燥して凍結乾燥ペレットを得
た。
【0086】この凍結乾燥ペレットを1Lのクロロホル
ムに懸濁し、60℃で20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルター
でろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、
濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを
回収して真空乾燥して12.5gのPHAを得た。
【0087】得られたPHAの組成は以下のようにして
分析した。すなわち、約10mgのPHAを25mL容
ナス型フラスコに入れ、クロロホルム2mLに溶解さ
せ、3%硫酸を含むメタノール溶液2mLを加えて、1
00℃で還流しながら3.5時間反応させた。反応終了
後、脱イオン水10mLを加えて激しく10分間振盪した
後に、2層に分離した下層のクロロホルム層を取り出
し、硫酸マグネシウムで脱水したのち、このクロロホル
ム層をガスクロマトグラフィー−質量分析装置(GC−
MS、島津QP−5050、カラム:DB−WAX(J
&W社、0.32mm×30m)、EI法)にかけて、PH
Aモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行っ
た。その結果、PHAモノマーユニットとしては、96
%が3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸(3HPV)であ
り、4%が3-ヒドロキシ酪酸のユニットであった。
【0088】また、このPHAの分子量をゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC;東ソー HLC−
8020、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MI
XED−C(5μm)、溶媒;(クロロホルム、ポリスチ
レン換算)により評価した結果、Mn=55,000、Mw=10
5,000であった。
【0089】
【実施例2】実施例1における、PVAの替わりに5-
(4-フルオロフェニル)吉草酸(FPVA)を用いた以外
は実施例1と全く同じ条件で、3-ヒドロキシ-5-(4-
フルオロフェニル)吉草酸(3HFPV)モノマーユニッ
トを含むPHAを合成したところ、10.3gのPHA
が得られた。
【0090】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、91%が3HFPVであり、9%が3-ヒドロキ
シ酪酸のユニットであった。また、分子量はMn=52,00
0、Mw=100,000であった。
【0091】
【実施例3】D-グルコース 0.5%と、5-(4-トリフル
オロメチルフェニル)吉草酸(CF3PVA)0.1%とを含
むM9培地 20Lにシュードモナス・チコリアイ・YN2
株(Pseudomonas cichorii YN2、FERM BP-73
75)を植菌し、30℃、80回転/分、通気量 2.5L/分で通気
攪拌培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収
し、D-グルコース 0.5%と、FPVA 0.1%とを含
み、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地 20Lに再懸濁
して、更に 30℃、80回転/分、通気量 2.5L/分で通気攪
拌培養した。48時間後、菌体を遠心分離によって回収
し、冷メタノールで一度洗浄の後、凍結乾燥して凍結乾
燥ペレットを得た。
【0092】この凍結乾燥ペレットを1Lのクロロホル
ムに懸濁し、60℃で20時間攪拌してPHAを抽出し
た。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルター
でろ過したのち、ロータリーエバポレーターで濃縮し、
濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを
回収して真空乾燥して12.5gのPHAを得た。
【0093】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、17%が3HCF3PVであり、83%が3-ヒドロキ
シ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオク
タン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデカ
ン酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以上のユニ
ットであり、CF3PVAに由来する所望のモノマーユ
ニットである3HCF3PVモノマーユニットが含まれ
るPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn=65,
200、Mw=117,000 であった。
【0094】
【実施例4】実施例1における、PVAの替わりに4−
シクロヘキシル酪酸(CHBA)を用いた以外は実施例1
と全く同じ条件で、3-ヒドロキシ-4−シクロヘキシル
酪酸(3HCHB)モノマーユニットを含むPHAを合成
したところ、8.6gのPHAが得られた。得られたP
HAについて実施例1と同様に分析評価を行ったとこ
ろ、PHAモノマーユニットとしては、98%が3HC
HB、2%が3-ヒドロキシ酪酸のユニットであり、若
干量のシクロヘキシルメタノールが混在していた。ま
た、分子量はMn=44,000、Mw=86,000であった。
【0095】
【実施例5】酵母エキス0.5%と、5-フェノキシ吉草
酸(PxVA)0.1%とを含むM9培地20Lにシュード
モナス・チコリアイ・H45株(Pseudomonas cichorii
H45、FERM BP-7374)を植菌し、30℃、80回
転/分、通気量2.5L/分で通気攪拌培養した。48時間
後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一
度洗浄の後、凍結乾燥して凍結乾燥ペレットを得た。こ
の凍結乾燥ペレットから実施例1と同様の方法でPHA
を回収し、2.3gのPHAを得た。
【0096】得られたPHAの構造は実施例1と同様の
GC−MS法で分析した。その結果、PHAモノマーユ
ニットとしては、99%以上が3-ヒドロキシ-5-フェ
ノキシ吉草酸(3HPxV)であった。また、得られたP
HAの分子量は実施例1と同様にGPC分析によって行
い、Mn=63000、Mw=115000であることがわかっ
た。
【0097】
【実施例6】実施例4における、PxVAの替わりに5
−(4−フルオロフェノキシ)吉草酸(FPxVA)を
用いた以外は実施例4と全く同じ条件で、3-ヒロキシ
−5−(4−フルオロフェノキシ)吉草酸(3HFPx
V)モノマーユニットを含むPHAを合成したところ、
1.8gのPHAが得られた。得られたPHAについて
実施例1と同様に分析評価を行ったところ、PHAモノ
マーユニットとしては、99%以上が3-ヒドロキシ-5
-(4−フルオロフェノキシ)吉草酸(3HFPxV)で
あり、分子量はMn=68,000、Mw=120,000であった。
【0098】
【実施例7】n−ノナン酸0.1%、4-フェノキシ酪
酸(PxBA)0.1%とを含むM9培地20Lシュードモ
ナス・ジェッセニイ P161株(Pseudomonas jessenii
P161、FERM BP-7376)を植菌し、30℃、80
回転/分、通気量2.5L/分で通気攪拌培養した。48時
間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで
一度洗浄の後、凍結乾燥して凍結乾燥ペレットを得た。
この凍結乾燥ペレットから実施例1と同様の方法でPH
Aを回収し、2.8gのPHAを得た。得られたPHA
について実施例1と同様に分析評価を行ったところ、P
HAモノマーユニットとしては、3−ヒドロキシ吉草酸
1.0%、3−ヒドロキシヘキサン酸1.0%、3−ヒ
ドロキシヘプタン酸26.0%、3−ヒドロキシオクタ
ン酸5.0%、3−ヒドロキシノナン酸63.0%、3
−ヒドロキシデカン酸2.0%、3-ヒドロキシ-4-フ
ェノキシ酪酸(3HPxB)2.0%であった。また、分
子量はMn=62,000、Mw=112,000であった。
【0099】
【実施例8】CF3PVAの替わりに5-ベンゾイル吉草
酸(BzVA)を用いた以外は実施例3と全く同じ条件
で、3-ヒドロキシ-5-ベンゾイル吉草酸(3HBzV)モ
ノマーユニットを含むPHAを合成したところ、11.
0gのPHAが得られた。得られたPHAについて実施
例1と同様に分析評価を行ったところ、PHAモノマー
ユニットとしては、88%が3HBzVであり、12%が3-
ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロ
キシオクタン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキ
シドデカン酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以
上のユニットであり、BzVAに由来する所望のモノマ
ーユニットである3HBzVモノマーユニットの比率が
高いPHAが高収率で得られた。また、分子量はMn=3
25,000、Mw=1,240,000 であった。
【0100】
【実施例9】CF3PVAの替わりに5-チエニル吉草酸
(TVA)を用いた以外は実施例3と全く同じ条件で、3
-ヒドロキシ-5-チエニル吉草酸(3HTV)モノマーユ
ニットを含むPHAを合成したところ、培地液量1L当
たり16.5gのPHAが得られた。
【0101】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、97%が3HTVであり、3%が3-ヒドロキシ酪
酸のユニットであり、TVAに由来する所望のモノマー
ユニットである3HTVモノマーユニットの比率が高い
PHAが高収率で得られた。また、分子量はMn=75,00
0、Mw=185,000 であった。
【0102】
【実施例10】CF3PVAの替わりに5-チエノイル吉
草酸(ToVA)を用いた以外は実施例3と全く同じ条件
で、3-ヒドロキシ-5-チエノイル吉草酸(3HToV)モ
ノマーユニットを含むPHAを合成したところ、3.0
gのPHAが得られた。
【0103】得られたPHAについて実施例1と同様に
分析評価を行ったところ、PHAモノマーユニットとし
ては、62%が3HToVであり、38%が3-ヒドロキシ酪
酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン
酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシドデカン
酸、3-ヒドロキシドデセン酸のうち1種以上のユニッ
トであり、ToVAに由来する所望のモノマーユニット
である3HToVモノマーユニットの比率が高いPHA
が高収率で得られた。また、分子量はMn=105,000、M
w=252,000 であった。
【0104】
【実施例11〜20】実施例1〜10で得られたPHA
と、ポリ乳酸(島津製作所製ラクティ#5000;Mw
=200,000,Tg=60℃、Tm=175℃)を
混合比7/3(質量比、以下同様)でブレンドポリマー
とし、エクストルーダー型複合紡糸機で200℃で溶融
し、孔径1.5mmの口金を通して紡糸し、さらに20
℃の水浴中で冷却した。
【0105】次に、この未延伸糸を70℃の温水1段目
延伸浴中で延伸した後、引続いて85℃の2段目乾熱浴
中で延伸し、更に80℃の乾熱浴中にて弛緩熱処理を施
すことによりモノフィラメントを得た。1段目、2段目
の各延伸における延伸倍率、得られたモノフィラメント
の直径を表1に示す。
【0106】このフィラメントについて、JIS L1
013に準じた引張強度及び結節強度を測定した。また
生分解試験に関しては、試料を土壌中に3か月間放置し
て取り出し、以下の基準にて評価した。 ・元の形状を失っている、又は引張強度が半分以下:○ ・引張強度が半分以上3/4以下:△ ・引張強度が3/4以上:× 以上の結果を表2に示す。
【0107】
【実施例21】実施例8で得られた3-ヒドロキシ-5-
ベンゾイル吉草酸(3HBzV)モノマーユニットを含む
PHA単独で、実施例11〜20と同様の方法で処理し
てフィラメントを得た。このときの延伸倍率、及び得ら
れたモノフィラメントの直径を表1に示す。更に、この
フィラメントについて実施例11〜16と同様の方法
で、直線引張強度及び結節強度試験、生分解試験を行っ
た結果を表2に示す。
【0108】
【実施例22】実施例1で得られた3-ヒドロキシ-5-
フェニル吉草酸(3HPV) モノマーユニットを含むP
HAと実施例11〜20で用いたものと同様のポリ乳酸
を混合比1/9でブレンドポリマーとしたものを、実施
例11〜20と同様の方法で処理してフィラメントを得
た。このときの延伸倍率、及び得られたモノフィラメン
トの直径を表1に示す。更に、このフィラメントについ
て実施例11〜20と同様の方法で、直線引張強度及び
結節強度試験、生分解試験を行った結果を表2に示す。
【0109】
【比較例1】バイオポールD400G(日本モンサント社製
3HB(92%)-3HV(8%)単独で、実施例11〜20と同様の
方法で処理してフィラメントを得た。このときの延伸倍
率、及び得られたモノフィラメントの直径を表1に示
す。更に、このフィラメントについて実施例11〜20
と同様の方法で、直線引張強度及び結節強度試験、生分
解試験を行った結果を表2に示す。
【0110】
【比較例2】実施例11〜20で用いたポリ乳酸を単独
で、実施例11〜20と同様の方法で処理してフィラメ
ントを得た。このときの延伸倍率、及び得られたモノフ
ィラメントの直径を表1に示す。更に、このフィラメン
トについて実施例11〜20と同様の方法で、直線引張
強度及び結節強度試験、生分解試験を行った結果を表2
に示す。
【0111】
【比較例3】バイオポールD400G(日本モンサント社製
3HB(92%)-3HV(8%))と実施例11〜20で用いたポリ
乳酸を混合比7/3で溶融混練したペレットから、実施
例11〜20と同様の方法で処理してフィラメントを得
た。このときの延伸倍率、及び得られたモノフィラメン
トの直径を表1に示す。このフィラメントについて同様
の方法で、直線引張強度及び結節強度試験、生分解試験
を行った結果を表2に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
【発明の効果】本発明によれば、適度な生分解性を備
え、かつ加工性に優れ、引張強度、結節強度とも実用上
十分な性能を有する釣り糸を製造することが可能であ
り、自然環境への負荷を低減させつつ高性能な釣り糸を
提供しうる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/16 D01F 6/84 303A D01F 6/84 303 6/92 307A 6/92 307 A01K 91/00 ZBPF (72)発明者 見目 敬 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 本間 務 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 矢野 哲哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2B107 CA01 CA20 4J002 AA00X AB01X AB02X AB04X AB05X AD03X AE053 BA013 BE02X CF03X CF18W CF20W CF23W CJ003 DE136 EC016 EC046 EC056 EE036 EE056 EF016 EF026 EF056 EF126 EH016 EH096 EH146 EN066 EP006 EV346 GC00 GK00 4J029 AA02 AB07 AC02 AD01 AE18 EB01 ED01 ED03 EE04 EF02 KE17 4L035 DD14 EE08 EE20 FF02

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式[1]で表されるモノマーユニ
    ット組成を有するポリヒドロキシアルカノエートの少な
    くとも1種を含有してなる釣り糸。 Am(1-m) [1] (ただし、Aは下記一般式[2]から[7]で表されるモノ
    マーユニットから選択される少なくとも1種であり、B
    は下記一般式[8]及び[9]で表されるモノマーユニット
    から選択される少なくとも1種であり、mは0.01以
    上、1以下である) 【化1】 (ただし、式中bは0から7の整数のいずれかを表し、R
    2は水素原子(H)、フッ素原子(F)、-CF3、-C2
    5及び-C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表
    す。) 【化2】 (ただし、式中cは1から8の整数のいずれかを表し、
    R3は水素原子(H)、フッ素原子(F)、-CF3、-C2
    5及び-C37からなる群から選ばれたいずれか1つを
    表す。) 【化3】 (ただし、式中dは0から7の整数のいずれかを表し、
    R4は水素原子(H)、フッ素原子(F)、-CF3、-C2
    5及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つ
    を表す。) 【化4】 (ただし、式中eは1から8の整数のいずれかを表し、
    R5は水素原子(H)、フッ素原子(F)、-CF3、-C2
    5、-C37、−CH3、−C25及び−C37からな
    る群から選ばれたいずれか1つを表す。 【化5】 (ただし、式中fは0から7の整数のいずれかを表す。) 【化6】 (ただし、式中gは1から8の整数のいずれかを表す。) 【化7】 (ただし、式中nは0〜10であり、kは3または5であ
    る。)
  2. 【請求項2】 該ポリヒドロキシアルカノエートの数平
    均分子量が5,000以上1,000,000以下である請求項1記載
    の釣り糸。
  3. 【請求項3】 該ポリヒドロキシアルカノエート樹脂含
    有率が5%以上である請求項1または2に記載の釣り
    糸。
  4. 【請求項4】 該ポリヒドロキシアルカノエート以外の
    成分として該ポリヒドロキシアルカノエート以外の生分
    解性樹脂及び樹脂添加剤を含有する請求項3に記載の釣
    り糸。
  5. 【請求項5】 該生分解性樹脂が、合成高分子及び/或
    いは天然高分子である請求項4に記載の釣り糸。
  6. 【請求項6】 合成高分子が、脂肪族ポリエステル、生
    分解性セルロースエステル、ポリペプチド、ポリビニル
    アルコール、或いはこれらの混合物からなる請求項5に
    記載の釣り糸。
  7. 【請求項7】 天然高分子が、デンプン、セルロース、
    カラギーナン、キチン、キトサン或いはこれらの混合物
    からなる請求項5に記載の釣り糸。
  8. 【請求項8】 樹脂添加剤が可塑剤、熱安定剤、滑剤、
    ブロッキング防止剤、光分解剤、生分解促進剤、酸化防
    止剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防
    臭剤、充填材、着色剤又はこれらの混合物である請求項
    4に記載の釣り糸。
  9. 【請求項9】 引張強度が5.5g/d以上、結節強度
    が4.5g/d以上である請求項1から8のいずれかに
    記載の釣り糸。
  10. 【請求項10】 破断伸び率が10%以上である請求項
    1から8のいずれかに記載の釣り糸。
  11. 【請求項11】 釣り糸の製造方法であって、ポリヒド
    ロキシアルカノエートを含む紡糸用の原料を調製する工
    程と、該原料を紡糸する工程と、得られた未延伸糸を延
    伸する工程と、を有し、前記ポリヒドロキシアルカノエ
    ートが、下記一般式[1]で表されるモノマーユニット組
    成を有するポリヒドロキシアルカノエートから選択され
    た少なくとも1種であることを特徴とする釣り糸の製造
    方法。 Am(1-m) [1] (ただし、Aは下記一般式[2]から[7]で表されるモノ
    マーユニットから選択される少なくとも1種であり、B
    は下記一般式[8]及び[9]で表されるモノマーユニット
    から選択される少なくとも1種であり、mは0.01以
    上、1以下である) 【化8】 (ただし、式中bは0から7の整数のいずれかを表し、R
    2は水素原子(H)、フッ素原子(F)、-CF3、-C2
    5及び-C37からなる群から選ばれたいずれか1つを表
    す。) 【化9】 (ただし、式中cは1から8の整数のいずれかを表し、
    R3は水素原子(H)、フッ素原子(F)、-CF3、-C2
    5及び-C37からなる群から選ばれたいずれか1つを
    表す。) 【化10】 (ただし、式中dは0から7の整数のいずれかを表し、
    R4は水素原子(H)、フッ素原子(F)、-CF3、-C2
    5及び−C37からなる群から選ばれたいずれか1つ
    を表す。) 【化11】 (ただし、式中eは1から8の整数のいずれかを表し、
    R5は水素原子(H)、フッ素原子(F)、-CF3、-C2
    5、-C37、−CH3、−C25及び−C37からな
    る群から選ばれたいずれか1つを表す。 【化12】 (ただし、式中fは0から7の整数のいずれかを表す。) 【化13】 (ただし、式中gは1から8の整数のいずれかを表す。) 【化14】 (ただし、式中nは0〜10であり、kは3または5であ
    る。)
  12. 【請求項12】 該ポリヒドロキシアルカノエートの数
    平均分子量が5,000以上1,000,000以下である請求項11
    記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 該ポリヒドロキシアルカノエート樹脂
    含有率が5%以上である請求項11または12に記載の
    製造方法。
  14. 【請求項14】 該ポリヒドロキシアルカノエート以外
    の成分として該ポリヒドロキシアルカノエート以外の生
    分解性樹脂及び樹脂添加剤を含有する請求項13に記載
    の製造方法。
  15. 【請求項15】 該生分解性樹脂が、合成高分子及び/
    或いは天然高分子である請求項14に記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 合成高分子が、脂肪族ポリエステル、
    生分解性セルロースエステル、ポリペプチド、ポリビニ
    ルアルコール、或いはこれらの混合物からなる請求項1
    5に記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 天然高分子が、デンプン、セルロー
    ス、カラギーナン、キチン、キトサン或いはこれらの混
    合物からなる請求項15に記載の製造方法。
  18. 【請求項18】 樹脂添加剤が可塑剤、熱安定剤、滑
    剤、ブロッキング防止剤、光分解剤、生分解促進剤、酸
    化防止剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌
    剤、防臭剤、充填材、着色剤又はこれらの混合物である
    請求項14に記載の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記釣り糸の引張強度が5.5g/d
    以上、結節強度が4.5g/d以上である請求項11か
    ら18のいずれかに記載の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記釣り糸の破断伸び率が10%以上
    である請求項11から18のいずれかに記載の製造方
    法。
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