JP2003008342A - デュアルバンドアンテナおよびその構成方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 デュアルバンドアンテナを改良して、所望の
２つの周波数に同調させ得るようにする。 【解決手段】 導通パターン１ａ_１とフレーム１ａ_２と
によって電気的長さλ_{０ １}／４のＬ字形アンテナ素子が
形成されるとともに、導通パターン１ｂ_１とフレーム１
ｂ_２とによって電気的長さλ_０２／４のＬ字形アンテナ
素子が形成されている。一方、励振器５の出力端が、上
記２個のＬ字形アンテナ素子それぞれの開放端に対して
静電容量結合（ｃ_１，ｃ_２）されている。さらに、前期
励振器５の１部がグランド２に接続、対向してグランド
対向部５ｃが形成されている。このグランド対向部５ｃ
の形状，寸法を変化させて調節すると、デュアルバンド
アンテナの２つの同調周波数が制御される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、２種類の同調周波
数を有する低姿勢，内蔵形のデュアルバンドアンテナに
関するものである。上記の低姿勢とは、これを無線通信
機に装着した場合、該通信機のケース表面に垂直な方向
の寸法が、使用電波の波長に比して著しく短いことを意
味する。この種のアンテナは、無線通信機のケースから
突出させることなく、ケース内に内蔵するに好適であ
る。ただし、この場合の「内蔵」は本発明の構成を限定
するものではない。

【０００２】

【従来の技術】高性能であり、かつ低姿勢の優れた内蔵
形アンテナの最新の先行技術として、未公知の先願（特
願２０００−２３７６２９号）が有る。図７は、上記未
公知の先願に係る内蔵形アンテナの構成を示す原理図で
ある。電気的長さλ／４のＬ字形板状アンテナ１１の片
方の端がグランド２に接続されるとともに、該Ｌ字形板
状アンテナ１１の開放端１１ｃが励振器５の出力端５ｂ
に対向していて、両者の間に結合容量ｃが形成されてい
る。上記励振器５の電気的長さはλ／４で、その入力端
５ａは高周波回路３に接続されている。これにより、ア
ンテナ利得が高く、広帯域性の、小形，軽量の内蔵形ア
ンテナが低コストで構成される。内蔵形であって、ロッ
ド状部材を引き出したり押し込んだりする必要が無くて
取扱いに便利であり、摺動接触部分を有しないので作動
信頼性が高く、内蔵形であるから防水性に優れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記先頭に係る内蔵ア
ンテナは、小形，軽量，低コストで、しかも優れたアン
テナ性能特性を有しているが、この先願に係る内蔵アン
テナが同調する波長（周波数）は、Ｌ字形板状アンテナ
１１の形状寸法と励振器５の形状寸法とによってほぼ決
まる一つの波長λである。一方、電子機器および無線通
信技術の進歩に伴って、１個のアンテナが２つの波長
（周波数）に同調し得るデュアルバンドアンテナの開発
が要望されている。本発明は上述の事情に鑑みて為され
たもので、所望の２つの周波数に対して同調し得る、小
形，軽量，安価で、内蔵形アンテナとして好適な低姿勢
デュアルバンドアンテナを提供しようとするものであ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに創作した請求項１に係る発明の構成は、（図３参
照）２種類の波長λ_０１（周波数ｆ_０１）と、波長λ
_０２（周波数ｆ_０２）とに同調するデュアルバンドアン
テナを構成する方法において、電気的長さ約λ_０１／４
のＬ字形アンテナ素子（１ａ）の片方の端をグランド
（２）に接続するとともに、他方の端を開放状態とし、
電気的長さ約λ_０２／４のＬ字形アンテナ素子（１ｂ）
の片方の端をグランド（２）に接続するとともに、他方
の端を開放状態とし、かつ、励振器（５）の入力端を高
周波回路（３）に接続するとともに、その出力端（５
ｂ）を前記２個のアンテナ素子（１ａ，１ｂ）それぞれ
の開放端に対向せしめて、該励振器（５）の出力端を上
記２個のアンテナ素子（１ａ，１ｂ）それぞれに対して
静電容量結合することを特徴とする。以上に説明した請
求項１の発明方法によると、小形，軽量で、しかも同調
周波数帯域の広いデュアルバンドアンテナを低コストで
構成することができる。

【０００５】請求項２に係る発明方法の構成は、前記請
求項１に記載した発明方法の構成要件に加えて、（図４
参照）前記励振器（５）の入力端（５ａ）から出力端
（５ｂ）までの間の１部分（５ｃ）を、該出力端よりも
グランド（２）に接近，対向せしめて該１部分に容量を
与えることにより、上記の容量を与えない場合に比較し
て同調状態を変化させ、前記の接近，対向部（５ｃ）の
形状，寸法を調節して同調状態を制御し、所望の２種類
の周波数に対して同調せしめることを特徴とする。以上
に説明した請求項２の方法を適用して励振器の１部分に
容量を与えてローディングすると、アンテナ装置全体と
しての同調状態が変化するので、上記の容量を適宜に調
節して所望の２つの周波数に同調させることができる。

【０００６】請求項３に係る発明方法の構成は、前記請
求項１の発明方法の構成要件に加えて、（図６（Ｂ１，
Ｂ２）参照）前記グランド（２）の１部分を励振器
（５）に向けて膨出せしめて、該励振器５の１部分に容
量を与えることにより、上記の容量を与えない場合に比
して同調状態を変化させ、前記のグランド膨出部（９）
の形状，寸法を調節して同調状態を制御し、所望の２種
類の周波数に対して同調せしめることを特徴とする。以
上に説明した請求項３の方法を適用して励振器の１部分
に容量を与えてローディングすると、アンテナ装置全体
としての同調状態が変化するので、上記の容量を適宜に
調節して所望の２つの周波数に同調させることができ
る。

【０００７】請求項４に係る発明方法の構成は、前記請
求項１の発明方法の構成要件に加えて、（図６（Ｃ２）
参照）前記の励振器（５）を細長い板状に構成するとと
もに、その入力端から出力端までの間の１部分の幅を広
くし、もしくは、これに類似する手段により、該１部分
に容量を与えるローディング部（５ｄ）を形成し、上記
の容量を与えない場合に比軸して同調状態を変化させ、
前記ローディング部（５ｄ）の形状，寸法を調節して同
調状態を制御し、所望の２種類の周波数に対して同調せ
しめることを特徴とする。以上に説明した請求項４の方
法を適用して励振器の１部分に容量を与えてローディン
グすると、アンテナ装置全体としての同調状態が変化す
るので、上記の容量を適宜に調節して所望の２つの周波
数に同調させることができる。

【０００８】請求項５の発明に係るデュアルバンドアン
テナの構成は、（図３参照）２種類の波長λ_０１（周波
数ｆ_０１）と、波長λ_０２（周波数ｆ_０２）とに同調す
るデュアルバンドアンテナにおいて、片方の端をグラン
ド（２）に接続された電気的長さ約λ_０１／４のＬ字形
アンテナ素子（１ａ）と、片方の端をグランド（２）に
接続された電気的長さ約λ_０２／４のＬ字形アンテナ素
子（１ｂ）と、入力端（５ａ）を高周波回路（３）に接
続された励振器（５）とを具備し、前記電気的長さ約λ
_０１／４のアンテナ素子（１ａ）の開放端と、前記励振
器（５）の出力端（５ｂ）との間に静電結合容量ｃ_１が
形成されているとともに、この励振器出力端（５ｂ）
と、前記電気的長さ約λ_０２／４のアンテナ素子（１
ｂ）の開放端との間に静電結合容量ｃ_２が形成されてい
ることを特徴とする。以上に説明した請求項５のデュア
ルバンドアンテナによると、簡単な構造で、小形，軽量
で、しかも同調周波数帯域の広いデュアルバンドアンテ
ナを低コストで構成することができ、内蔵形アンテナと
して好適である。

【０００９】請求項６の発明に係るデュアルバンドアン
テナの構成は、前記請求項５の発明構成要件に加えて、
（図４参照）前記励振器（５）の入力端（５ａ）と出力
端（５ｂ）との間の一部分が、出力端（５ｂ）よりもグ
ランド（２）に接近してグランド対向部（５ｃ）を形成
し、このグランド対向部が励振器のローディングを構成
していることを特徴とする。以上に説明した請求項６の
発明によると、グランド対向部の形成によって励振器が
ローディングされるため、アンテナ装置全体としての同
調状態が変化し、かつ、グランド対向部の形状，寸法に
よって同調周波数が変化する。このため、グランド対向
部の形状，寸法を調節して、２つの同調周波数を制御可
能に設定することができる。

【００１０】請求項７の発明に係るデュアルバンドアン
テナの構成は、前記請求項５の発明の構成要件に加え
て、（図６（Ｂ１），（Ｂ２）参照）前記グランド
（２）の１部分が励振器５に向けて接近する形に膨出
し、該励振器（５）の入力端（５ａ）と出力端（５ｂ）
との間に対向するグランド膨出部（９）が形成されてお
り、前記励振器がグランド膨出部（９）に対向している
区域がローディングされていることを特徴とする。以上
に説明した請求項７の発明によると、励振器に対向する
グランド膨出部が設けられて該励振器の１部分がローデ
ィングされているので、アンテナ装置全体としての同調
状態が変わっている。そして、前記グランド膨出部の形
状，寸法によってローディング状態が変化し、これに伴
って同調周波数が変化する。このため、該グランド膨出
部の形状，寸法を調節して、二つの同調周波数を所望の
とおり設定することができる。

【００１１】請求項８の発明に係るデュアルバンドアン
テナの構成は、前記請求項５の発明の構成要件に加え
て、（図６（Ｃ２）参照）前記の励振器（５）が細長い
板状をなしており、その入力端（５ａ）と出力端（５
ｂ）との間の一部分の幅が広くなっており、もしくは、
これと類似した形状になっていて、この一部分が励振器
のローディングを構成していることを特徴とする。以上
に説明した請求項８の発明によると、励振器の１部分に
形成されたローディング部の形状，寸法を調節して同調
状態を変化させ、アンテナ装置全体としての２つの同調
周波数を制御可能に設定することができる。

【００１２】請求項９の発明に係るデュアルバンドアン
テナの構成は、前記請求項５ないし請求項８の発明の構
成要件に加えて、（図１，図３参照）基板（８）がグラ
ンド（２）に対してほぼ平行をなすように、１対の導電
性フレーム（１ａ_２，１ｂ_２）で支持されており、前記
基板（８）の面上に、イ．前記１対の導電性フレームの
片方（１ａ_２）に接続導通されて、電気的長さ約λ_０１
／４のＬ字形アンテナ素子（１ａ）を形成する導通パタ
ーン（１ａ_１）と、ロ．前記１対の導電性フレームの他
方（１ｂ_２）に接続導通されて、電気的長さ約λ_０２／
４のＬ字形アンテナ素子（１ｂ）を形成する導通パター
ン（１ｂ_１）とが形成されていることを特徴とする。以
上に説明した請求項９の発明によると、アンテナ素子の
要部を基板面上の導通パターンによって形成されている
ので、これらの構成部分を工業的に低コスト，高品質で
大量生産するに適している。その上、アンテナ素子をア
ンテナ装置の構成部材として組み付け、支持するについ
て、基板を位置決め設置すれば足り、組立作業性が良
い。その上、アンテナ素子が基板によって補強され支持
されるので機械的強度が大きくて衝撃や振動に耐え、信
頼性，耐久性が優れている。

【００１３】請求項１０の発明に係るデュアルバンドア
ンテナの構成は、前記請求項９の発明の構成要件に加え
て、（図５参照）前記イ項の導通パターン（１ａ_１）、
およびロ項の導通パターン（１ｂ_１）のそれぞれに対
向，離間せしめて、前記基板（８）の面上に、前記励振
器５の片方の端に接続されて励振器出力端を形成する導
通パターン（５ｂ_１）が形成されていることを特徴とす
る。以上に説明した請求項１０の発明によると、２個の
アンテナ素子（１ａ_１），（１ｂ_１）の要部、および励
振器の出力端が基板上に導通パターンとして形成されて
いるので、これらの構成部分相互の位置関係が容易にか
つ正確に規制され、特に静電結合容量が正確に構成さ
れ、かつ、使用に伴って経年変化する虞れが無い。この
ため、製品のアンテナ特性が均一であり、しかも耐久性
に優れている。

【００１４】請求項１１の発明に係るデュアルバンドア
ンテナの構成は、前記請求項９の発明の構成要件に加え
て、（図１参照）前記グランド（２）に対して励振器ホ
ルダ（７）が設置され、かつ、前記励振器（５）の入力
端の付近が該励振器ホルダ（７）に取り付けて支持され
ていて、該励振器（５）の「出力端の直近を除く出力端
近傍」が、前記基板（８）の下面に取り付けて支持され
ていることを特徴とする。以上に説明した請求項１１の
発明によると、励振器の入力端近傍および出力端近傍の
それぞれが確実に支持され固定されるので、該励振器の
機能が安定する。その結果、アンテナ装置全体としての
アンテナ性能が安定する。さらに、アンテナ装置全体を
構成する場合の組立作業性が良く、高品質の製品を高能
率で工業的に生産することができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】図２は、本発明の原理を説明する
ために示したもので、本発明の実施形態ではない（すな
わち、課題解決の為に欠くことのできない構成の全部は
描かれていない）。図２（Ａ）に示すように、励振器１
の入力端を高周波回路３の出力端に接続して、波長λ
_０１の電波に対して１／４波長で共振させるとともに、
波長λ_０２の電波に対して３／４波長で共振させること
は、公知技術によって可能である。この場合、反射損失
は図２（Ｂ）のごとくであって、デュアルバンドの励振
器として機能し得ることが分かる。この励振器１に対し
て、図２（Ｃ）に示したように、電気的長さλ_０１／４
のＬ字形アンテナ素子１ａと、電気的長さλ_０２／４の
Ｌ字形アンテナ素子１ｂとを組み合わせれば、デュアル
バンドアンテナが構成される。ところが、図２（Ａ）か
ら理解されるように、同調する２つの周波数ｆ_０１（波
長λ_０１）と、周波数ｆ_０２（波長λ_０２）との間には ３ｆ_０１＝ｆ_０２ という関係が有る。（３λ_０２＝λ_０１と表しても同じ
意味である） こうした事情により、図２に表した構成だけでは所望の
周波数に同調させることができない。そこで本発明は、
以下に述べるように特別の新規な構成を創作した。この
実施形態は、デュアルバンド無線ＬＡＮ（ローカルエリ
アネットワーク）を構成するため、２．４ＧＨｚと５．
０ＧＨｚとに同調する低姿勢内蔵形のデュアルバンドア
ンテナを構成したものである。

【００１６】図３は、本発明に係るデュアルバンドアン
テナの改良によって、任意の周波数に同調せしめるに至
った途中の段階における１例を示したものである。図３
（Ａ）に示すように、電気的長さλ_０１／４のＬ字形ア
ンテナ素子１ａの片方の辺の端をグランド２に接続する
とともに、他方の辺をグランド２に対して平行に支持す
る。そして、電気的長さλ_０２／４のＬ字形アンテナ素
子１ｂの片方の辺の端をグランド２に接続するととも
に、他方の辺をグランド２に対して平行に支持する。一
方、励振器５は、その片方の端を高周波回路３の出力端
に接続する。このようにして高周波回路に接続された端
部は励振器の入力端５ａとなり、その反対側の端は励振
器出力端５ｂとなる。上記励振器出力端５ｂを、前記の
電気的長さλ_０１／４のＬ字形アンテナ素子１ａの開放
端に対向，離開せしめて静電結合容量ｃ_１を形成させ
る。同様に前記励振器出力端５ｂを、電気的長さλ_０２
／４のＬ字形アンテナ素子１ｂの開放端に対向，離開せ
しめて静電結合容量ｃ_２を形成させる。このように構成
されたデュアルバンドアンテナのＶＳＷＲ特性は、本図
３（Ｂ）に示すごとくである。この実施形態において
は、先に述べた３ｆ_０１＝ｆ_０２という制約を脱し得な
いが、本図３（Ｂ）に見られるごとく、同調点付近にお
いて著しい広帯域同調性能が得られる。このようにし
て、小形，軽量で内蔵形アンテナとして好適な、広帯域
性のデュアルバンドアンテナが得られ、構造が簡単であ
るため製造コストが低廉である。

【００１７】図４は、前掲の図３に示した実施形態を更
に改善して、同調周波数を制御可能ならしめたデュアル
バンドアンテナの説明図である。本図４（Ａ）に示すよ
うに、励振器５の長手方向に関して入力端５ａ寄りの約
半分をグランド２に接近させて対向，離間させてグラン
ド対向部５ｃを形成する。これによって該グランド対向
部５ｃに容量が付与されてローディングされる。このロ
ーディングによって、デュアルバンドアンテナ装置全体
としての同調状態が変化する。図４（Ｂ）に示した周波
数ｆ_０１およびｆ_０２は、同調周波数の目標値（設計仕
様として与えられた数値）である。破線で示した反射損
失曲線は、前記グランド対向部５ｃが形成されていない
ときの反射損失を示したものであって、周波数ｆ_０１’
と同ｆ_０２’とに同調点を有している。これに対して、
前記のグランド対向部５ｃを形成すると、反射損失曲線
は実線のように変化する。本実施形態においては、量産
に先立つ試作段階において、グランド対向部５ｃの形
状，寸法を種々に変化させてローディング量を変化させ
ながら、これに伴って同調点が変化する状態を見極め、
所望の同調周波数ｆ_０１，ｆ_０２が得られるようなロー
ディング量を突き止め、このローディング量に基づいて
プロトタイプの試作品（そのまま量産に移行することを
予定した最終的試作品）を作成した。

【００１８】図１および図５は本発明に係るデュアルバ
ンドアンテナの１実施形態を描いたものである。金属板
製のグランド２に対して１対の金属フレーム１ａ_２，１
ｂ_２を設置するとともに、これらのフレームによって基
板８を支持する。上記の基板はプリント基板であって、
その面上に導通パターンが形成される。説明の便宜上、
パターン形成側を上面と呼び、その反対側を下面と呼
ぶ。この上下の呼称は、地球を基準とした上下を意味す
るものではないが、図１，図４において図面の上方，下
方と一致している。基板８は長方形をなし、その長手方
向について片方の端に寄せて導通パターン１ａ_１が形成
され、他方の端に寄せて導通パターン１ｂ_１が形成され
ている。前記導通パターン１ａ_１は、前記フレーム１ａ
_２に接続導通されて、電気的長さλ_０１／４のＬ字形ア
ンテナ素子（図４における符号１ａの部材に相当）を形
成する。一方、導通パターン１ｂ_１は、フレーム１ｂに
接続導通されて、電気的長さλ _０２／４のＬ字形アンテ
ナ素子（図４において符号１ｂ）を形成する。（図１，
図５参照）基板８上に、前記２個の導通パターン１
ａ_１，１ｂ_１の間に、これらの導通パターンに対向，離
間させて導通パターン５ｂ_１が形成されている。励振器
５の本体部分は細長い金属板で構成され、その片方の端
付近は励振器ホルダ７を介してグランド２に対して機械
的に接続，支持され、電気的に絶縁されている。そし
て、その反対側の端の先端は前記導通パターン５ｂ_１に
接続導通されて励振器出力端を形成している。上記励振
器を形成している細長い金属板の、前記反対側の先端に
直近の部分は基板８を厚さ方向に貫通し、この貫通部に
隣接する部分は基板８の下面に接着して支持されてい
る。符号５ｃを付して示したのは励振器のグランド対向
部である。６は同軸ケーブルであって、その芯線を励振
器の入力端に、その外部導体をグランド２に、それぞれ
接続導通されている。このように同軸ケーブルを接続し
ておくと、デュアルバンドアンテナ組立品が１個の商品
として市場流通性を持つようになる。すなわち、無線通
信機メーカーは本図１，図４に描かれた１組の機器の供
給を受けたとき、これを無線通信機の構成機器として迅
速，容易に組み込むことができ、デュアルバンドの無線
通信機が構成される。

【００１９】先に図４を参照して説明したように、本発
明においては、励振器の１部分をローディングして（容
量を持たせること）、同調周波数を制御可能に設定す
る。図６は、励振器５に容量を持たせるための具体的な
構成の３例を示している。図６（Ａ１），（Ａ２）は比
較対照するために示したもので、図６（Ａ１）は図４
（Ａ）を簡略化した図、図６（Ａ２）はその要部斜視図
である。符号を付した構成部分は図４（Ａ）を参照して
先に述べたとおりである。図６（Ｂ１）および図６（Ｂ
２）に示した実施例においては、グランド２の１部を膨
出せしめて、励振器５の１部分に近接，対向するグラン
ド膨出部９が設けられている。このように構成しても励
振器５の１部分に容量を付与してローディングすること
ができ、かつ、グランド膨出部９の形状，寸法を適宜に
変えてローディング量を調節することができる。図６
（Ｃ１）および図６（Ｃ２）に示した実施例において
は、励振器５の本体部分を金属板で構成した（特に励振
器の本体部分と断ったのは、例えば図１のようにして励
振器の出力端５ｂ_１を別途に構成して接続する場合が有
るからである）。そして、その１部分を広幅に形成して
ローディング部５ｄを構成した。このようにしてローデ
ィングしても、ローディング５ｄの形状，寸法を適宜に
変えてローディング量を調節することができる。図示を
省略するが上記と異なる実施例として、広幅部を設けて
ローディング部を構成する代りに、縁を折り曲げると
か、別体の導電性部材を取り付けるなどして容量を付与
することによってローディングすることもできる。

【００２０】

【発明の効果】以上に本発明の実施形態を挙げてその構
成作用を明らかならしめたように、請求項１の発明方法
によると、小形，軽量で、しかも同調周波数帯域の広い
デュアルバンドアンテナを低コストで構成することがで
きる。請求項２もしくは請求項３、又は請求項４の発明
方法を適用して励振器の１部分に容量を付与してローデ
ィングすると、アンテナ装置全体としての同調状態を変
化させて、所望の２つの周波数に同調させることができ
る。請求項５のデュアルバンドアンテナを適用すると、
簡単で小形，軽量で、しかも同調周波数帯域の広いデュ
アルバンドアンテナを低コストで構成することができ、
内蔵形アンテナとして好適である。請求項６もしくは請
求項７、または請求項８の発明によると、励振器の１部
分がローディングされてデュアルバンドアンテナ全体と
しての同調状態がローディング量に応じて変化する。こ
のため、ローディング量を適宜に調節することによっ
て、２つの同調周波数を制御可能に（すなわち所望の値
となるように）設定することができる。

【００２１】請求項９の発明によると、アンテナ素子の
要部が基板上の導通パターンで構成されているので、工
業的に低コスト、高品質で大量生産することができる。
その上、アンテナ素子をアンテナ装置に組み付ける作業
が容易かつ正確に行なわれ、しかもアンテナ素子支持機
構の機械的強度が大きい。請求項１０の発明によると、
アンテナ素子と励振器出力端との相対的な位置関係が容
易かつ正確に規制され、大量生産した場合にアンテナ性
能の均一性が保持される。請求項１１の発明によると、
励振器の１部に与えられるローディングの容量が正確に
規制され、励振器全体の支持も確実になるので、アンテ
ナ性能が安定する。その上、アンテナ装置全体に対する
励振器の組立作業性が良く、高品質のデュアルバンドア
ンテナを高能率で生産することができる。

【００２２】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るデュアルバンドアンテナの１実施
形態を描いた模式的な断面図である。

【図２】本発明の原理を説明するために示したもので、
（Ａ）は励振器の模式図、（Ｂ）は上記励振器の反射損
失図表、（ｃ）はＬ字形アンテナ素子の斜視図である。

【図３】本発明に係るデュアルバンドアンテナの、図１
と異なる実施形態を説明するために示したもので、
（Ａ）は模式図、（Ｂ）はＶＳＷＲ特性図表である。

【図４】前掲の図１と同様の実施形態を示し、（Ａ）は
模式図、（Ｂ）は反射損失図表である。

【図５】前掲の図１に示したと同様の実施形態の模式的
な斜視図である。

【図６】本発明における励振器の実施形態の３例を示
し、励振器を構成部材とするデュアルバンドアンテナの
模式図と、励振器の斜視図とを対比させて描いてある。

【図７】未公知の先願（特願２０００−２３７６２９
号）に係る内蔵形アンテナを示す模式図である。

【符号の説明】

１…励振器、１ａ…電気的長さλ_０１／４のＬ字形アン
テナ素子、１ａ_１…λ _０１／４アンテナ素子を形成する
導通パターン、１ａ_２…λ_０１／４アンテナ素子を形成
するフレーム、１ｂ…電気的長さλ_０２／４のＬ字形ア
ンテナ素子、１ｂ_１…λ_０２／４アンテナ素子を形成す
る導通パターン、１ｂ_２…λ_０２／４アンテナ素子を形
成するフレーム、２…グランド、３…高周波回路、５…
励振器、５ａ…励振器入力端、５ｂ…励振器出力端、５
ｂ_１…励振器出力端を形成する導通パターン、５ｃ…励
振器のグランド対向部、５ｄ…ローディング部、６…同
軸ケーブル、７…励振器ホルダ、８…基板、９…グラン
ド膨出部。

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２種類の波長λ_０１（周波数ｆ_０１）
   と、波長λ_０２（周波数ｆ_０２）とに同調するデュアル
   バンドアンテナを構成する方法において、 電気的長さ約λ_０１／４のＬ字形アンテナ素子（１ａ）
   の片方の端をグランド（２）に接続するとともに、他方
   の端を開放状態とし、 電気的長さ約λ_０２／４のＬ字形アンテナ素子（１ｂ）
   の片方の端をグランド（２）に接続するとともに、他方
   の端を開放状態とし、 かつ、励振器（５）の入力端を高周波回路（３）に接続
   するとともに、その出力端（５ｂ）を前記２個のアンテ
   ナ素子（１ａ，１ｂ）それぞれの開放端に対向せしめ
   て、該励振器（５）の出力端を上記２個のアンテナ素子
   （１ａ，１ｂ）それぞれに対して静電容量結合すること
   を特徴とする、低姿勢デュアルバンドアンテナの構成方
   法。
2. 【請求項２】 前記励振器（５）の入力端（５ａ）から
   出力端（５ｂ）までの間の１部分（５ｃ）を、該出力端
   よりもグランド（２）に接近，対向せしめて該１部分に
   容量を与えることにより、 上記の容量を与えない場合に比較して同調状態を変化さ
   せ、 前記の接近，対向部（５ｃ）の形状，寸法を調節して同
   調状態を制御し、所望の２種類の周波数に対して同調せ
   しめることを特徴とする、請求項１に記載した低姿勢デ
   ュアルバンドアンテナの構成方法。
3. 【請求項３】 前記グランド（２）の１部分を励振器
   （５）に向けて膨出せしめて、該励振器５の１部分に容
   量を与えることにより、 上記の容量を与えない場合に比して同調状態を変化さ
   せ、 前記のグランド膨出部（９）の形状、寸法を調節して同
   調状態を制御し、所望の２種類の周波数に対して同調せ
   しめることを特徴とする、請求項１に記載した低姿勢デ
   ュアルバンドアンテナの構成方法。
4. 【請求項４】 前記の励振器（５）を細長い板状に構成
   するとともに、その入力端から出力端までの間の１部分
   の幅を広くし、もしくは、これに類似する手段により、
   該１部分に容量を与えるローディング部（５ｄ）を形成
   し、 上記の容量を与えない場合に比軸して同調状態を変化さ
   せ、 前記ローディング部（５ｄ）の形状，寸法を調節して同
   調状態を制御し、所望の２種類の周波数に対して同調せ
   しめることを特徴とする、請求項１に記載したデュアル
   バンドアンテナの構成方法。
5. 【請求項５】 ２つの波長λ_０１（周波数ｆ_０１）と、
   波長λ_０２（周波数ｆ_０２）とに同調するデュアルバン
   ドアンテナにおいて、 片方の端をグランド（２）に接続された電気的長さ約λ
   _０１／４のＬ字形アンテナ素子（１ａ）と、 片方の端をグランド（２）に接続された電気的長さ約λ
   _０２／４のＬ字形アンテナ素子（１ｂ）と、 入力端（５ａ）を高周波回路（３）に接続された励振器
   （５）とを具備し、 前記電気的長さ約λ_０１／４のアンテナ素子（１ａ）の
   開放端と、前記励振器（５）の出力端（５ｂ）との間に
   静電結合容量（ｃ_１）が形成されるとともに、 この励振器出力端（５ｂ）と、前記電気的長さ約λ_０２
   ／４のアンテナ素子（１ｂ）の開放端との間に静電結合
   容量（ｃ_２）が形成されていることを特徴とするデュア
   ルバンドアンテナ。
6. 【請求項６】 前記励振器（５）の入力端（５ａ）と出
   力端（５ｂ）との間の一部分が、出力端（５ｂ）よりも
   グランド（２）に接近してグランド対向部（５ｃ）を形
   成し、このグランド対向部が励振器のローディングを構
   成していることを特徴とする、請求項５に記載したデュ
   アルバンドアンテナ。
7. 【請求項７】 前記グランド（２）の１部分が励振器
   （５）に向けて接近する形に膨出し、該励振器（５）の
   入力端（５ａ）と出力端（５ｂ）との間に対向するグラ
   ンド膨出部（９）が形成されており、 前記励振器がグランド膨出部（９）に対向している区域
   がローディングされていることを特徴とする、請求項５
   に記載したデュアルバンドアンテナ。
8. 【請求項８】 前記の励振器（５）が細長い板状をなし
   ており、その入力端（５ａ）と出力端（５ｂ）との間の
   一部分の幅が広くなっており、もしくは、これと類似し
   た形状になっていて、この一部分が励振器のローディン
   グを構成していることを特徴とする、請求項５に記載し
   たデュアルバンドアンテナ。
9. 【請求項９】 基板（８）がグランド（２）に対してほ
   ぼ平行をなすように、１対の導電性フレーム（１ａ_２，
   １ｂ_２）で支持されており、 前記基板（８）の面上に、 イ．前記１対の導電性フレームの片方（１ａ_２）に接続
   導通されて、電気的長さ約λ_０１／４のＬ字形アンテナ
   素子（１ａ）を形成する導通パターン（１ａ_１）と、 ロ．前記１対の導電性フレームの他方（１ｂ_２）に接続
   導通されて、電気的長さ約λ_０２／４のＬ字形アンテナ
   素子（１ｂ）を形成する導通パターン（１ｂ_１）とが形
   成されていることを特徴とする、請求項５ないし請求項
   ８の内の何れかに記載したデュアルバンドアンテナ。
10. 【請求項１０】 前記イ項の導通パターン（１ａ_１）、
    およびロ項の導通パターン（１ｂ_１）のそれぞれに対
    向，離間せしめて、前記基板（８）の面上に、前記励振
    器５の片方の端に接続されて励振器出力端を形成する導
    通パターン（５ｂ_１）が形成されていることを特徴とす
    る、請求項９に記載したデュアルバンドアンテナ。
11. 【請求項１１】 前記グランド（２）に対して励振器ホ
    ルダ（７）が設置され、かつ、前記励振器（５）の入力
    端の付近が該励振器ホルダ（７）に取り付けて支持され
    るとともに、該励振器（５）の「出力端の直近を除く出
    力端近傍」が、前記基板（８）の下面に取り付けて支持
    されていることを特徴とする、請求項５に記載したデュ
    アルバンドアンテナ。