JP2003007520A - 磁気バイアス用磁石を有する磁気コアおよびそれを用いたインダクタンス部品 - Google Patents

磁気バイアス用磁石を有する磁気コアおよびそれを用いたインダクタンス部品

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JP2003007520A JP2001361355A JP2001361355A JP2003007520A JP 2003007520 A JP2003007520 A JP 2003007520A JP 2001361355 A JP2001361355 A JP 2001361355A JP 2001361355 A JP2001361355 A JP 2001361355A JP 2003007520 A JP2003007520 A JP 2003007520A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 磁路の少なくとも1箇所以上にギャップを有
する磁気コアに、該ギャップ両端から磁気バイアスを供
給するために、該ギャップ近傍に永久磁石を配してなる
磁気バイアス用磁石を有する磁気コアにおいて、優れた
直流重畳特性と、コアロス特性と、耐酸化性とを有する
磁気コアとそれを用いたインダクタンス部品とを提供す
ること。 【解決手段】 インダクタンス部品は、磁路の少なくと
も1箇所以上に約50〜10000μmのギャップ長を
有する磁気ギャップを有する磁気コアと、該磁気ギャッ
プ両端から磁気バイアスを供給するために、該磁気ギャ
ップ近傍に配した磁気バイアス用磁石と、該磁気コアに
少なくとも1ターン卷回されたコイル巻線とを有する。
前記磁気バイアス用磁石は、希土類磁石粉末を無機ガラ
スで被覆したものからなり、該希土類磁石粉末は、Sm
−Co磁石粉末、Nd−Fe−B磁石粉末、およびSm
−Fe−N磁石粉末の内から選ばれたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チョークコイルや
トランス等のインダクタンス部品の磁気コア(以下、単
に「コア」とも呼ぶ)に関するものであり、特に、磁気
バイアス用の永久磁石を備えた磁気コアに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えば、スイッチング電源な
どに用いられるチョークコイル及びトランスにおいて
は、通常、交流は直流に重畳して印加される。したがっ
て、これらチョークコイルやトランスに用いる磁気コア
は、この直流重畳に対して磁気飽和しない透磁率特性
(この特性を「直流重畳特性」と呼ぶ)の良好なことが
求められている。
【0003】高周波用の磁気コアとしてはフェライト磁
気コアや圧粉磁気コアが使用されているが、フェライト
磁気コアは初透磁率が高く飽和磁束密度が小さく、圧粉
磁気コアは初透磁率が低く飽和磁束密度が高い、という
材料物性に由来した特徴がある。従って、圧粉磁気コア
はトロイダル形状で用いられることが多い。他方、フェ
ライト磁気コアの場合には、例えばE型コアの中足に磁
気空隙(磁気ギャップ)を形成して直流重畳により磁気
飽和することを避けることが行われている。
【0004】しかし、近年の電子機器の小型化要請に伴
う電子部品の小型化の要求により、磁気コアの磁気ギャ
ップも小さくせざるを得ず、直流重畳に対してより高い
透磁率の磁気コアが強く求められている。
【0005】この要求に対しては、一般に、飽和磁化の
高い磁気コアを選択する事、つまり高磁界で磁気飽和し
ない磁気コアの選択が必須とされている。しかし、飽和
磁化は材料の組成で必然的に決まるものであり、無限に
高く出来るものではない。
【0006】その解決手段として、磁気コアの磁路に設
けた磁気ギャップに永久磁石を配置し、直流重畳による
直流磁界を打ち消す事、すなわち、磁気コアに磁気バイ
アスを与えることが古くから提案されている。
【0007】この永久磁石を用いた磁気バイアス方法
は、直流重畳特性を向上させるには優れた方法である
が、一方で金属焼結磁石を用いると磁気コアのコアロス
の増大が著しく、またフェライト磁石を用いると重畳特
性が安定しないなどとても実用に耐え得るものではなか
った。
【0008】これらを解決する手段として、例えば特開
昭50−133453は、磁気バイアス用永久磁石とし
て保磁力の高い希土類磁石粉末とバインダーとを混合し
圧縮成形したボンド磁石を用いること、これにより、直
流重畳特性およびコアの温度上昇が改善されたことを開
示している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし近年、電源に対
する電力変換効率向上の要求はますます厳しくなってお
り、チョークコイル用及びトランス用の磁気コアについ
ても単にコア温度を測定するだけでは優劣が判断不能な
レベルとなっている。そのため、コアロス測定装置によ
る測定結果の判断が不可欠であり、実際本発明者等が検
討を行った結果、特開昭50−133453に示された
抵抗率の値ではコアロス特性が劣化する事が明らかにな
った。
【0010】又、近年の電子機器の小型化に伴い、イン
ダクタンス部品の小型化がますます要求され、したがっ
て、磁気バイアス用磁石の薄型化も又要求されていると
ころである。
【0011】また近年、表面実装タイプのコイルが所望
されているが、表面実装のためにはコイルはリフローは
んだ処理に付される。このリフロー条件で、コイルの磁
気コアの特性が劣化しない事が望まれる。また、耐酸化
性の希土類磁石が必須である。
【0012】したがって、本発明の一技術的課題は、磁
路の少なくとも1箇所以上にギャップを有する磁気コア
に、該ギャップ両端から磁気バイアスを供給するため
に、該ギャップ近傍に永久磁石を配してなる磁気バイア
ス用磁石を有する磁気コアにおいて、上記を考慮して、
優れた直流重畳特性と、コアロス特性と、耐酸化性とを
有すると共に、リフロー条件でもコア特性が劣化しない
磁気コアを容易かつ安価に提供する事にある。
【0013】また、本発明のもう一つの技術的課題は、
小型インダクタンス部品の磁路の少なくとも1箇所以上
にギャップを有する磁気コアに、kのギャップ両端から
磁気バイアスを供給するために、このギャップ近傍に永
久磁石を配してなる磁気バイアス用磁石を有する磁気コ
アの小型化を可能とするために特に適した磁石を配置し
た磁気コアを提供することにある。
【0014】さらに、本発明のさらにもう一つの技術的
課題は、前記磁石及び磁気コアを用いたインダクタンス
部品を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、樹脂に
磁石粉末が分散されてなるボンド磁石であり、0.1Ω
・cm以上の比抵抗を有し、該磁石粉末は、固有保磁力
が5KOe以上、キュリー点Tcが300℃以上、粉末
粒径が150μm以下である粉末を無機ガラスで被覆し
たものからなることを特徴とする永久磁石が得られる。
【0016】また、本発明によれば、磁路の少なくとも
1箇所以上に磁気ギャップを有する磁気コアに、該ギャ
ップ両端から磁気バイアスを供給するために、該磁気ギ
ャップ近傍に配した磁気バイアス用磁石を有する磁気コ
アにおいて、前記磁気バイアス用磁石が、前記永久磁石
であることを特徴とする磁気バイアス用磁石を有する磁
気コアが得られる。
【0017】さらに、本発明によれば、磁路の少なくと
も1箇所以上に約50〜10000μmのギャップ長を
有する磁気ギャップを有する磁気コアと、該磁気ギャッ
プ両端から磁気バイアスを供給するために、該磁気ギャ
ップ近傍に配した磁気バイアス用磁石と、該磁気コアに
少なくとも1ターン卷回されたコイル巻線とを有し、半
田リフロー処理されるインダクタンス部品において、前
記磁気バイアス用磁石は、樹脂と該樹脂中に分散された
磁石粉末とを有する比抵抗1Ω・cm以上のボンド磁石
であり、この磁石粉末は、固有保磁力が10KOe以
上、キュリー点が500℃以上、最大粒径150μm、
平均粒径2.5〜50μmのSm−Co希土類磁石粉末
であり、無機ガラスによって被覆されているものからな
ることを特徴とするインダクタンス部品が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。
【0019】まず、本発明の1つの発明について具体的
に説明する。
【0020】本発明の1発明では、磁路の少なくとも1
箇所以上にギャップを有する磁気コアに、該ギャップ両
端から磁気バイアスを供給するために、該ギャップ近傍
に永久磁石を配してなる磁気バイアス用磁石を有する磁
気コアにおける上記課題を解決するために、前記永久磁
石が、10KOe以上の固有保磁力及び500℃以上の
キュリー温度を持つ粉末平均粒径が2.5〜50μmの
希土類磁石粉末と樹脂とからなるボンド磁石であり、前
記磁石粉末を無機ガラスで被覆した磁気バイアス用磁石
を有する磁気コアである。
【0021】前記磁気バイアス用磁石としてのボンド磁
石は、前記樹脂を体積比で30%以上含有し、比抵抗が
1Ωcm以上であることが好ましい。
【0022】前記無機ガラスは、軟化点が400℃以上
550℃以下であることが好ましい。
【0023】また、前記ボンド磁石は、前記磁石粉末を
被覆する前記無機ガラスは、重量比で、10%以下含有
することが好ましい。
【0024】又、本発明の一つの発明は、前記の磁気バ
イアス用磁石を有する磁気コアに、1ターン以上の巻線
を少なくともひとつ施してあるインダクタンス部品であ
る。
【0025】さらに、前記希土類磁石粉末はSmCo
17磁石粉末であることが好ましい。
【0026】なお、インダクタンス部品とは、コイル、
チョークコイル、トランス、その他一般に磁気コアと巻
き線とを必須とした部品を含むものとする。
【0027】本発明の1発明では、前記磁気コアに挿入
する永久磁石について検討した結果、磁石の比抵抗が1
Ωcm以上で、固有保磁力iHcが10KOe以上の永
久磁石を使用するとき優れた直流重畳特性が得られ、し
かもコアロス特性の劣化が生じない磁気コアを形成でき
る事を発見したものである。これは、優れた直流重畳特
性を得るのに必要な磁石特性はエネルギー積よりもむし
ろ固有保磁力であり、従ってエネルギー積の低い永久磁
石を使用しても固有保磁力が高ければ充分に高い直流重
畳特性が得られる事を見出したことによる。
【0028】比抵抗が高くしかも固有保磁力が高い磁石
は、一般的には希土類磁石粉末をバインダーとともに混
合して成形した希土類ボンド磁石で得られるが、保磁力
の高い磁石粉末であればどのような組成のものでも可能
である。希土類磁石粉末の種類はSmCo系、NdFe
B系、SmFeN系とある。
【0029】リフロー条件及び耐酸化性を考慮すると、
キュリー点Tcが500℃以上、固有保磁力iHcが1
0KOe以上の磁石が必要であり、現状では、Sm
系磁石に限定される。
【0030】チョークコイル用及びトランス用磁気コア
としては、軟磁気特性を有する材料であればなんでも有
効であるが、一般的にはMnZn系又はNiZn系フェ
ライト、圧粉磁気コア、珪素鋼板、アモルファス等が用
いられる。また、磁気コアの形状についても特に制限が
あるわけではなく、トロイダルコア、EEコア、EIコ
ア等あらゆる形状の磁気コアに本発明の適用が可能であ
る。これらコアの磁路の少なくとも1箇所以上にギャッ
プを設け、そのギャップに永久磁石を挿入配置する。
【0031】ギャップ長に特に制限はないがギャップ長
が狭すぎると直流重畳特性が劣化し、またギャップ長が
広すぎると透磁率が低下しすぎるので、おのずから挿入
するギャップ長は決まってくる。なお、磁気バイアス用
永久磁石の厚みは大きければバイアス効果を容易に得ら
れるが、磁気コアの小型化にとっては、磁気バイアス用
永久磁石は、薄いほどよい。しかしながら、50μmよ
り小さいと十分な磁気バイアスが得られない。したがっ
て、磁気バイアス用永久磁石を配置する磁気ギャップは
50μm以上であることが必要であり、コア寸法を抑え
るという点からは、10000μm以下が好ましい。
【0032】次にギャップに挿入される永久磁石に対す
る要求特性は、固有保磁力については10KOe以下で
は磁気コアに印可される直流磁界によって保磁力が消失
するのでそれ以上の保磁力が必要であり、また比抵抗は
大きいほど良いが、1Ω・cm以上であればコアロス劣
化の大きな要因にはならない。また、粉末の平均最大粒
径が50μm以上になるとコアロス特性が劣化するの
で、粉末の最大粒径は50μm以下である事が望まし
く、最小粒径が2.5μm以下になると磁石粉末の熱処
理及びコアやインダクタンス部品のリフロー時に磁石粉
末が酸化され、これにより磁化の減少が顕著になるため
2.5μm以上の粒径が必要で有る。
【0033】またコイルの発熱による熱減磁の問題があ
るが、トランスの想定される最高使用温度は200℃な
のでTcが500℃以上であれば実質的に問題とはなら
ない。また、コアロスを増大させないため樹脂の量は少
なくとも体積比で30%以上必要であり、耐酸化性を増
大させるための無機ガラスは軟化点が400℃以上であ
ればリフロー作業や、最高使用温度でもその被覆が破壊
されることがなく、一方550℃以下であれば被覆熱処
理時の粉末酸化の問題が顕著には現れない。また、無機
ガラスを添加することによって耐酸化性の効果が得られ
るが、添加量が10wt%を超えると非磁性物の量の増
加により、直流重畳特性の改善が小さくなるので、上限
を10wt%とするのがよい。
【0034】以下、本発明の第1発明の実施の形態につ
いて、説明する。
【0035】(第1の実施の形態)ガラス粉末として、
軟化点が約350℃のZnO−B−PbO
(1)、軟化点が約400℃のZnO−B−Pb
O(2)、軟化点が約450℃のB2O3−PbO、軟
化点が約500℃のKO−SiO−PbO、軟化点
が約550℃のSiO−B−PbO(1)、軟
化点が約600℃のSiO −B−PbO
(2)、の6種類のガラス粉末を用意した。各粉末は、
粒径が約3μmであった。
【0036】次に磁石粉末として、SmCo17磁石
粉末を焼結体から粉砕することによって製造した。すな
わち、SmCo17焼結体を通常の粉末冶金法で作製
した。その磁石特性は、(BH)maxは28MGOe
であり、保磁力は25KOeであった。この焼結体をジ
ョークラッシャーやディスクミルで粗粉砕し、ボールミ
ルで平均粒径約5.0μmに粉砕した。
【0037】この磁石粉末に前記した各々のガラス粉末
を1%混合し、ガラス粉末の軟化点よりも約50℃高い
温度にてAr中で熱処理することによって、磁石粉末の
表面をガラスにて被覆した。次にこうして被覆処理した
磁石粉末と、体積比で45vol%の熱可塑性樹脂とし
てポリフェニレンサルファイド(PPS)とを2軸式の
熱混練機によって330℃にて混練した。次に熱プレス
機で成形温度330℃、圧力1t/cmで高さ1.5
mmのシート状に無磁場中で成形し、ボンド磁石を作製
した。これらシート状ボンド磁石の比抵抗は全て1Ωc
m以上の値を示した。このシート状ボンド磁石は図1お
よび図2に示すフェライトコア33の中央磁脚と同一断
面形状に加工した。
【0038】ここでボンド磁石の磁石特性は、作製した
ボンド磁石のシートを必要枚数張り合わせる事により直
径φ10mmで厚みt10mmのテストピースを別途作
製し、直流BHトレーサーで測定した。その結果、全て
のボンド磁石について固有保磁力が約10KOe以上得
られている事が分かった。
【0039】フェライトコア33は、一般的なMn−Z
n系フェライト材で作製された磁路長7.5cm、実効
断面積0.74cmのEEコアで、その中央磁脚に1.
5mmのギャップ加工を施した。上記作製したボンド磁
石31を着磁磁場4Tでパルス着磁後、ガウスメーター
で表面磁束を測定後、コア33のギャップ部に挿入配置
した。次に、岩崎通信機製のSY−8232交流BHト
レーサーで100KHz、0.1Tにおけるコアロス特
性を室温で測定した。ここで測定に使用したフェライト
コアは、各ボンド磁石に対して、同一のものであり、被
覆されたガラスの種類だけが異なる磁石31を交換し
て、コアロスを測定した。その測定結果を、表1に、熱
処理前として示す。
【0040】次に、それらボンド磁石を最高温度が27
0℃であるリフロー炉に2回通した後、上記と全く同様
に表面磁束とコアロスを測定し、表1に、熱処理後とし
て示す。
【0041】
【表1】
【0042】表1から、被覆処理温度が650℃と60
0℃のデータからわかるように、被覆処理温度が600
℃を超えると表面磁束が小さくなる事がわかる。コアロ
スについては被覆処理温度が400℃すなわち軟化点が
350℃のガラス組成の被覆を用いたものは、リフロー
後に表面磁束が劣化することがわかった。これは、南下
点が350℃のガラス粉末は、一旦被覆処理された後、
樹脂との熱混練中に再融解してはがれたことによるもの
と考えられる。他方、軟化点が600℃を超えるガラス
については被覆処理温度が高すぎて、磁石粉末の酸化ま
たは被覆ガラス材との反応により磁石粉末の磁化寄与分
の減少が起こって減磁が生じたものと思われる。
【0043】次に、コイル(図2の35で示す)に直流
磁界として80(Oe)となる直流を重畳しながら、交
流信号を印加した時のインダクタンスLをLCRメータ
ーで測定し、コア定数(寸法)とコイルの巻線数から透
磁率を計算した。その結果は、軟化点が400℃(Zn
O−B−PbO(2))〜550℃(SiO
−PbO(1))のガラス粉末を用いて被覆し
た磁石粉末を含むボンド磁石を磁気ギャップに挿入配置
したコアの透磁率は50以上の値を示した。一方、比較
例として、磁気ギャップに磁石を挿入配置しない場合の
コアの透磁率、及び、軟化点が350℃のガラス粉末
(ZnO−B−PbO(1))及び600℃のガ
ラス粉末(SiO−B−PbO(2))で被覆
した磁石粉末を含むボンド磁石を磁気ギャップに挿入配
置したコアの透磁率は、いずれも15と著しく低い値を
示した。
【0044】以上の結果より、軟化点が400℃以上で
550℃以下のガラス粉末で被覆した磁石粉末を用いた
ボンド磁石であって、比抵抗が1Ω・cm以上の永久磁
石を磁気コアの磁気ギャップに挿入配置する時、直流重
畳特性に優れしかもコアロス特性の劣化が小さい優れた
磁気コアが得られる事が分かった。
【0045】(第2の実施の形態)第1の実施の形態で
使用したSmCo17磁石粉末と、軟化点が約500
℃の約3μmのSiO−B−PbOガラス粉末
を、後者の重量比が、0.1、0.5、1.0、2.
5、5.0、7.5、10、12.5wt%となるよう
に、それぞれ、混合し、550℃Ar中で熱処理して、
磁石粉末にガラス被覆処理をした。次にこれらガラス被
覆処理をした磁石粉末に、バインダーZnO−B
−PbO(2))としてポリイミド樹脂を体積比で50
vol%混合して、ドクターブレード法でシート状にし
た。その溶剤を乾燥後、熱プレスし、厚み0.5mmに
成形した。
【0046】このボンド磁石の磁気特性は、テストピー
スを別途作製し、第1の実施の形態と同様にして測定し
た。その結果、各ボンド磁石は、磁石粉末に混合したガ
ラス粉末の量によらず全て約10KOe以上の固有保磁
力を示した。また比抵抗を測定した結果、全てのボンド
磁石について1Ω・cm以上の値を示した。
【0047】次に第1の実施の形態と全く同様にシート
状ボンド磁石を着磁して、その表面磁束を測定後、図1
および2に示すフェライトのEEコア33の中央磁脚の
磁気ギャップに挟み込み、第1の実施の形態と同様に、
コイル35に交流と直流を重畳して印加し、直流重畳特
性を測定した。さらに、第1の実施の形態と全く同様の
リフロー炉(最高温度270℃)に2回通し、再度表面
磁束と直流重畳特性を測定した。その結果を表面磁束に
ついては表2に、直流重畳特性については表3に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】表2および表3に示す通り、ガラス粉末の
添加量が実質的に0を超え10wt%以下の時優れた特
性の耐酸化性の磁石が得られる事が分かる。
【0051】以上に説明したように、磁路の少なくとも
1箇所以上にギャップを有する磁気コアであって、その
磁気ギャップに挿入配置する磁気バイアス用磁石を、固
有保磁力iHcが10KOe以上、キュリー点Tcが5
00℃以上、粉末粒径が2.5〜50μmの希土類磁石
粉末を用いたボンド磁石とし、その磁石粉末表面を無機
ガラスで被覆し、その粉末と少なくとも体積比で30%
以上の樹脂からなる比抵抗が1Ωcm以上のボンド磁石
を用いることによって、直流重畳特性、コアロス特性、
耐酸化性に優れた磁気コアを実現できる。
【0052】次に本発明のもう一つの発明について説明
する。
【0053】本発明の第2発明では、磁路の少なくとも
1箇所以上にギャップを有する磁気コアに、該ギャップ
両端から磁気バイアスを供給するために、該ギャップ近
傍に永久磁石を配してなる磁気バイアス用磁石を有する
磁気コアにおける上記課題を解決するために、前記永久
磁石が、5KOe以上の固有保磁力及び300℃以上の
キュリー温度を持つ粉末平均粒径が2.0〜50μmの
希土類磁石粉末と樹脂とからなるボンド磁石であり、前
記磁石粉末を無機ガラスで被覆した磁気バイアス用磁石
を有する磁気コアである。
【0054】前記磁気バイアス用磁石としてのボンド磁
石は、前記樹脂を体積比で30%以上含有し、比抵抗が
1Ωcm以上であることが好ましい。
【0055】前記無機ガラスは、軟化点が200℃以上
550℃以下であることが好ましい。
【0056】また、前記ボンド磁石は、前記磁石粉末を
被覆する前記無機ガラスは、重量比で、10%以下含有
することが好ましい。
【0057】又、本発明によれば、前記の磁気バイアス
用磁石を有する磁気コアに、1ターン以上の巻線を少な
くともひとつ施してあることを特徴とするインダクタン
ス部品が得られる。
【0058】なお、インダクタンス部品とは、コイル、
チョークコイル、トランス、その他一般に磁気コアと巻
き線とを必須とした部品を含むものとする。
【0059】本発明は、前記課題を達成するべく挿入す
る永久磁石について検討した結果、磁石の比抵抗が1Ω
cm以上で、固有保磁力iHcが5KOe以上の永久磁
石を使用するとき優れた直流重畳特性が得られ、しかも
コアロス特性の劣化が生じない磁気コアを形成できる事
を発見したものである。これは、優れた直流重畳特性を
得るのに必要な磁石特性はエネルギー積よりもむしろ固
有保磁力であり、従ってエネルギー積の低い永久磁石を
使用しても固有保磁力が高ければ充分に高い直流重畳特
性が得られる事を見出したことによる。
【0060】比抵抗が高くしかも固有保磁力が高い磁石
は、一般的には希土類磁石粉末をバインダーとともに混
合して成形した希土類ボンド磁石で得られるが、保磁力
の高い磁石粉末であればどのような組成のものでも可能
である。希土類磁石粉末の種類はSmCo系、NdFe
B系、SmFeN系とある。
【0061】チョークコイル用及びトランス用磁気コア
としては、軟磁気特性を有する材料であればなんでも有
効であるが、一般的にはMnZn系又はNiZn系フェ
ライト、圧粉磁気コア、珪素鋼板、アモルファス等が用
いられる。また、磁気コアの形状についても特に制限が
あるわけではなく、トロイダルコア、EEコア、EIコ
ア等あらゆる形状の磁気コアに本発明の適用が可能であ
る。これらコアの磁路の少なくとも1箇所以上にギャッ
プを設け、そのギャップに永久磁石を挿入配置する。
【0062】ギャップ長に特に制限はないがギャップ長
が狭すぎると直流重畳特性が劣化し、またギャップ長が
広すぎると透磁率が低下しすぎるので、おのずから挿入
するギャップ長は決まってくる。なお、磁気バイアス用
永久磁石の厚みは大きければバイアス効果を容易に得ら
れるが、磁気コアの小型化にとっては、磁気バイアス用
永久磁石は、薄いほどよい。しかしながら、50μmよ
り小さいと十分な磁気バイアスが得られない。したがっ
て、磁気バイアス用永久磁石を配置する磁気ギャップは
50μm以上であることが必要であり、コア寸法を抑え
るという点からは、10000μm以下が好ましい。
【0063】次にギャップに挿入される永久磁石に対す
る要求特性は、固有保磁力については5KOe以下では
磁気コアに印可される直流磁界によって保磁力が消失す
るのでそれ以上の保磁力が必要であり、また比抵抗は大
きいほど良いが1Ω・cm以上であればコアロス劣化の
大きな要因にはならない。また、粉末の平均最大粒径が
50μm以上になるとコアロス特性が劣化するので、粉
末の最大粒径は50μm以下である事が望ましく、最小
粒径が2.0μm以下になると粉砕による粉末酸化によ
り磁化の減少が顕著になるため2.0μm以上の粒径が
必要で有る。
【0064】またコイルの発熱による熱減磁の問題があ
るが、トランスの想定される最高使用温度は200℃な
のでTcが300℃以上であれば実質的に問題とはなら
ない。また、コアロスを増大させないため樹脂の量は少
なくとも体積比で20%以上必要であり、耐酸化性を増
大させるための無機ガラスは軟化点が250℃以上であ
れば最高使用温度でもその被覆が破壊されることがな
く、一方550℃以下であればコーティング熱処理時の
粉末酸化の問題が顕著には現れない。また、無機ガラス
を添加することによって耐酸化性の効果があるが、添加
量が10wt%を超えると非磁性物の量の増加により、
直流重畳特性の改善が小さくなるので、上限を10wt
%とするのがよい。
【0065】以下、本第2発明の実施の形態について、
説明する。
【0066】(第3の実施の形態)ガラス粉末として、
軟化点が約350℃のZnO−B−PbO
(1)、軟化点が約400℃のZnO−B−Pb
O(2)、軟化点が約450℃のB2O3−PbO、軟
化点が約500℃のKO−SiO−PbO、軟化点
が約550℃のSiO−B−PbO(1)、軟
化点が約600℃のSiO2−B2O3−PbO
(2)、の6種類のガラス粉末を用意した。各粉末は、
粒径が約3μmであった。
【0067】次にSmCo17磁石粉末として、イン
ゴットを粉砕して一般的な粉末冶金法で作製した焼結体
を2.3μmに微粉砕したものを用意した。その磁石粉
末の磁気特性をVSMで測定した結果は、保磁力iHc
が約9KOeであった。
【0068】この磁石粉末に前記した各々のガラス粉末
を1%混合し、ガラス粉末の軟化点よりも約50℃高い
温度にてAr中で熱処理することによって、磁石粉末の
表面をガラスにて被覆した。次にこうして被覆処理した
磁石粉末と、体積比で45vol%の熱可塑性樹脂とし
て6ナイロンとを2軸式の熱混練機によって220℃に
て混練した。次に熱プレス機で成形温度220℃、圧力
0.05t/cmで高さ1.5mmのシート状に無磁
場中で成形し、ボンド磁石を作製した。これらシート状
ボンド磁石の比抵抗は全て1Ωcm以上の値を示した。
このシート状ボンド磁石は図1および図2に示すものと
同様のフェライトコア33の中央磁脚と同一断面形状に
加工した。
【0069】ここでボンド磁石の磁石特性は、作製した
ボンド磁石のシートを必要枚数張り合わせる事により直
径φ10mmで厚みt10mmのテストピースを別途作
製し、直流BHトレーサーで測定した。その結果、全て
のボンド磁石について固有保磁力が約9KOe得られて
いる事が分かった。
【0070】フェライトコア33は、一般的なMnZn
系フェライト材で作製された磁路長7.5cm、実効断
面積0.74cmのEEコアで、その中央磁脚に1.5
mmのギャップ加工を施した。そのギャップ部に、上記
作製したボンド磁石31を着磁磁場4Tでパルス着磁
後、ガウスメーターで表面磁束を測定後、挿入配置し
た。次に、岩崎通信機製のSY−8232交流BHトレ
ーサーで100KHz、0.1Tにおけるコアロス特性
を室温で測定した。ここで測定に使用したフェライトコ
アは、各ボンド磁石に対して、同一のものであり、被覆
されたガラスの種類だけが異なる磁石31を交換して、
コアロスを測定した。その測定結果を、表4に、熱処理
前として示す。次に、それらボンド磁石をトランスの想
定される最高使用温度である200℃の恒温槽に正味3
0分間保持し、上記と全く同様に表面磁束とコアロスを
測定し、表4に、熱処理後として示す。
【0071】
【表4】
【0072】表4から、被覆処理温度が650℃と60
0℃のデータからわかるように、被覆処理温度が600
℃を超えると表面磁束が小さくなる事がわかる。コアロ
スについてはどのガラス組成の被覆を用いた場合でも劣
化は見られなかった。従って、軟化点が600℃を超え
るガラスについては被覆処理温度が高すぎて、磁石粉末
の酸化または被覆ガラス材との反応により磁石粉末の磁
化寄与分の減少が起こって減磁が生じたものと思われ
る。
【0073】次に、コイル(図2の355で示す)に直
流磁界として80(Oe)となる直流を重畳品から、交
流信号を印加して時のインダクタンスLをLCRメータ
ーで測定し、コア定数(寸法)とコイルの巻線数から透
磁率を計算した。その結果は、軟化点が350℃(Zn
O−B−PbO(1))〜550℃(SiO
−PbO(1))のガラス粉末を用いて被覆し
た磁石粉末を含むボンド磁石を磁気ギャップに挿入配置
したコアの透磁率は50以上の値を示した。一方、比較
例として、磁気ギャップに磁石を挿入配置しない場合の
コアの透磁率、及び、軟化点が600℃のガラス粉末
(SiO−B−PbO(2))で被覆した磁石
粉末を含むボンド磁石を磁気ギャップに挿入配置したコ
アの透磁率は、いずれも15と著しく低い値を示した。
【0074】以上の結果より、ガラス粉末の軟化点が5
50℃以下のガラス粉末で被覆した磁石粉末を用いたボ
ンド磁石であって、比抵抗が1Ω・cm以上の永久磁石
を磁気コアの磁気ギャップに挿入配置する時、直流重畳
特性に優れしかもコアロス特性の劣化が小さい優れた磁
気コアが得られる事が分かった。
【0075】(第4の実施の形態)磁石粉末として還元
拡散法で作製されたSmFe粉末を3μmに微粉砕後、
窒化処理する事で得られたSmFeN粉末を用意した。
この磁石粉末の磁気特性をVSMで測定した結果は、保
磁力iHcが約8KOeであった。
【0076】次に、この磁石粉末と、軟化点が約350
℃の約3μmのZnO−B−PbO ガラス粉末
を、後者の重量比が、0.1、0.5、1.0、2.
5、5.0、7.5、10、12.5wt%となるよう
に、それぞれ、混合し、400℃Ar中で熱処理して、
磁石粉末にガラス被覆処理をした。次にこれらガラス被
覆処理をした磁石粉末に、バインダーとしてエポキシ樹
脂を体積比で30vol%混合して、図1及び2に示す
フェライトコア33の中央磁脚と同一の断面形状のシー
ト状に金型成形後、150℃で樹脂を硬化させ、ボンド
磁石を形成した。このボンド磁石の磁気特性は、テスト
ピースを別途作製し、第3の実施の形態と同様にして測
定した。その結果、各ボンド磁石は、磁石粉末に混合し
たガラス粉末の量によらず全て約8KOeの固有保磁力
を示した。また比抵抗を測定した結果、全てのボンド磁
石について1Ω・cm以上の値を示した。
【0077】次に第3の実施の形態と全く同様にシート
状ボンド磁石を着磁して、その表面磁束を測定後、図1
および2に示すフェライトのEEコア33の中央磁脚の
磁気ギャップに挟み込み、第3の実施の形態と同様に、
コイル35に交流と直流を重畳して印加し、直流重畳特
性を測定した。
【0078】さらに、第3の実施の形態と全く同様に2
00℃恒温槽に実質的に30分間保持し、再度表面磁束
と直流重畳特性を測定した。その結果を表面磁束につい
ては表5に、直流重畳特性については表6に示す。
【0079】
【表5】
【0080】
【表6】
【0081】表5および表6に示す通り、ガラス粉末の
添加量が実質的に0を超え10wt%以下の時優れた特
性の耐酸化性の磁石が得られる事が分かる。
【0082】以上に説明したように、本発明の第2発明
によれば、磁路の少なくとも1箇所以上にギャップを有
する磁気コアであって、その磁気ギャップに挿入配置す
る磁気バイアス用磁石を、固有保磁力iHcが5KOe
以上、キュリー点Tcが300℃以上、粉末粒径が2.
0〜50μmの希土類磁石粉末を用いたボンド磁石と
し、その磁石粉末表面を無機ガラスで被覆し、その粉末
と少なくとも体積比で20%以上の樹脂からなる比抵抗
が1Ωcm以上のボンド磁石を用いることによって、直
流重畳特性、コアロス特性、耐酸化性に優れた磁気コア
を実現できる。
【0083】次に本発明のさらにもう一つの発明につい
て説明する。
【0084】本発明の第3発明では、ポリアミドイミド
樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレン
サルファイト樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、
芳香族系ポリアミド、液晶ポリマーから選択された一種
類の樹脂に磁石粉末が分散されてなり、該樹脂含有量が
体積比で30%以上で、全体の厚みが500μm以下で
あることを特徴とする薄板磁石が得られる。
【0085】ここで、前記磁石粉末は、固有保磁力が1
0KOe以上、Tcが500℃以上、粉末平均粒径が
2.5〜50μmであることが好ましい。
【0086】また、薄板磁石においては、前記磁石粉末
は、希土類磁石粉末であり、また、表面のグロス(光沢
度)が25%以上であることが好ましい。
【0087】また、薄板磁石においては、成形圧縮率が
20%以上であることが好ましい。前記磁石粉末は、表
面活性剤でコーティングされている。
【0088】又、本発明の薄板磁石において、比抵抗が
0.1Ω・cm以上あることが好ましい。
【0089】又、本発明においては、磁路の少なくとも
1箇所以上に磁気ギャップを有する磁気コアに、該ギャ
ップ両端から磁気バイアスを供給するために、該磁気ギ
ャップ近傍に永久磁石を配してなる磁気バイアス用磁石
を有する磁気コアにおいて、前記永久磁石が、前記した
薄板磁石である磁気バイアス用磁石を有する磁気コアで
ある。
【0090】前記磁気ギャップは、約500μm以下の
ギャップ長を有し、前記磁気バイアス用磁石は該ギャッ
プ長以下の厚みを有し、厚み方向に磁化されていること
が好ましい。
【0091】更に又、本発明のインダクタンス部品は、
前記薄板磁石を磁気バイアス用磁石として備えた磁気コ
アに、1ターン以上の巻線を少なくともひとつ施して、
薄型で、直流重畳特性が良好で、コアロス低いインダク
タンス部品である。
【0092】即ち、本発明においては、磁気コアの磁気
ギャップに挿入配置する磁気バイアス用の永久磁石とし
て、500μm以下の厚みの薄板磁石の可能性について
検討した。その結果、特定樹脂の含有量が体積比で30
%以上の薄板磁石の比抵抗が0.1Ω・cm以上で固有
保磁力が10KOe以上の薄板磁石を使用した時優れた
直流重畳特性が得られ、しかもコアロス特性の劣化が生
じない磁気コアを形成できる事を発見した。これは、優
れた直流重畳特性を得るのに必要な磁石特性は、エネル
ギー積よりもむしろ固有保磁力であり、従って比抵抗の
高い永久磁石を使用しても固有保磁力が高ければ充分に
高い直流重畳特性が得られる事を見出したことによる。
【0093】比抵抗が高くしかも固有保磁力が高い磁石
は、一般的には希土類磁石粉末をバインダーとともに混
合して成形した希土類ボンド磁石で得られるが、保磁力
の高い磁石粉末であればどのような組成のものでも可能
である。希土類磁石粉末の種類はSmCo系、NdFe
B系、SmFeN系とあるが、リフロー等の使用時の熱
減磁を考えるとキュリー点Tcが500℃以上、固有保
磁力iHcが10KOe以上の磁石が必要である。
【0094】また、磁石粉末に表面活性材でコーティン
グすることにより成形体中での粉末の分散が良好となり
磁石の特性が向上するためさらに高特性の磁気コアが得
られる。
【0095】チョークコイル用及びトランス用磁気コア
としては軟磁気特性を有する材料であればなんでも有効
であるが、一般的にはMnZn系又はNiZn系フェラ
イト、圧粉磁気コア、珪素鋼板、アモルファス等が用い
られる。また、磁気コアの形状についても特に制限があ
るわけではなく、トロイダルコア、EEコア、EIコア
等あらゆる形状の磁気コアに本発明の適用が可能であ
る。これらコアの磁路の少なくとも1箇所以上にギャッ
プを設け、そのギャップに薄板磁石を挿入配置する。ギ
ャップ長に特に制限はないがギャップ長が狭すぎると直
流重畳特性が劣化し、またギャップ長が広すぎると透磁
率が低下しすぎるので、おのずから挿入するギャップ長
は決まってくる。磁気コア全体の寸法を小さくするため
に、ギャップ長を500μmに抑える。
【0096】次にギャップに挿入される薄板磁石に対す
る要求特性は、固有保磁力については10KOe以下で
は磁気コアに印可される直流重畳磁界によって保磁力が
消失するのでそれ以上の保磁力が必要であり、また比抵
抗は大きいほど良いが0.1Ω・cm以上であればコア
ロス劣化の大きな要因にはならない。また、粉末の平均
最大粒径が50μm以上になるとコアロス特性が劣化す
るので、粉末の最大粒径は50μm以下である事が望ま
しく、最小粒径が2.5μm以下になると粉末熱処理及
びリフロー時に粉末の酸化による磁化の減少が顕著にな
るため2.5μm以上の粒径が必要で有る。
【0097】以下、本第3発明の実施の形態について説
明する。
【0098】(第5の実施の形態)SmCo17磁石
粉末とポリイミド樹脂を熱混練機としてラボプラストミ
ルを用いて熱混練を行った。樹脂量としては15vol
%〜40vol%で変化させそれぞれ混練した。熱混練
で得たものを熱プレス機で0.5mmの薄板磁石の成形
を試みた。この結果、樹脂の添加量は30vol%以上
でないと成形できないことがわかった。また、本実施の
形態ではポリイミド樹脂薄板磁石の結果を示したが、こ
れ以外のエポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイト樹
脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族系ポリア
ミド、液晶ポリマーのそれぞれにおいても、同様の結果
が得られた。
【0099】(第6の実施の形態)各磁石粉末と各種樹
脂とを、それぞれ、下の表7に示す組成でラボプラスト
ミルを用いて熱混練を行った。ラボプラストミルの運転
時の設定温度は各樹脂の軟化点よりもそれぞれ5℃高い
温度とした。
【0100】
【表7】
【0101】ラボプラストミルで混練したものを、熱プ
レス機で無磁場中で金型成形する事によりそれぞれ0.
5mmの薄板磁石を作製した。この薄板磁石を図1,図
2に示すE型フェライトコア33の中央磁脚と同一断面
形状に切断した。
【0102】次に、図1,図2に示すように、一般的な
MnZn系フェライト材で作製された磁路長7.5c
m、実効断面積0.74cmのEEコアの中央磁脚に
0.5mmのギャップ加工をした。そのギャップ部に上
記作製した薄板磁石31を挿入配置して、磁気バイアス
磁石31を有する磁気コアを作製した。同図において、
31が薄板磁石、33がフェライトコアである。次に、
磁石31を、パルス着磁機でコア33の磁路方向に着磁
後、コア33にコイル35を巻き線し、HP製−428
4LCRメーターで、交流磁場周波数100kHz、重
畳磁場0〜200Oeの条件で、インダクタンスLを測
定した。この測定後、270℃でリフロー炉で30分保
持した後、インダクタンスLを再び測定し、この繰り返
しで5回測定した。この時の直流重畳による磁界の向き
が、磁気バイアス磁石の磁化の向きとは逆になるように
直流重畳電流を印可する。得られたインダクタンスL
と、コア定数(コア寸法等)と巻線数から透磁率を計算
して、直流重畳特性を得た。各コアの5回の測定に基づ
く直流重畳特性を図3〜図7に示す。
【0103】図7から、SmCo17磁石粉末をポリ
プロピレン樹脂に分散した薄板磁石を挿入配置したコア
は2回目以降直流重畳特性が大きく劣化していることが
わかる。これは、リフローで薄板磁石が変形してしまっ
た為である。保磁力が4kOeしかないBaフェライト
をポリイミド樹脂に分散した薄板磁石を挿入配置したコ
アでは、図6に見られるように、測定回数がすすむにつ
れ、直流重畳特性が大きく劣化することがわかる。逆
に、保磁力が10kOe以上の磁石粉末とポリイミドあ
るいはエポキシ樹脂とを用いた薄板磁石を挿入配置した
コアは、図3〜8に見られる通り、繰り返しの測定にお
いても大きな変化は無く、非常に安定した特性を示すこ
とが分かる。これらの結果よりBaフェライト薄板磁石
は保磁力が小さいために、薄板磁石に印可される逆向き
の磁界によって減磁、または磁化の反転が起こり、直流
重畳特性が劣化したものと推測できる。また、コアに挿
入する薄板磁石は保磁力が10kOe以上の薄板磁石に
おいて優れた直流重畳特性を示すことが分かった。ま
た、本実施の形態では示さなかったが、本実施の形態以
外の組み合わせでもポリフェニレンサルファイト樹脂、
シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族系ポリアミ
ド、液晶ポリマーから選択した樹脂で作製した薄板磁石
においても同様の効果が得られることを確認した。
【0104】(第7の実施の形態)ポリフェニレンサル
ファイト樹脂30vol%と、磁石粉末の粒径が1.0
μm、2.0μm、25μm、50μm、55μmのS
Co17磁石粉末とを、それぞれ、ラボプラストミ
ルを用いて熱混練を行った。ラボプラストミルで混練し
たものを、熱プレス機により無磁場中で金型成形する事
によりそれぞれ0.5mmの薄板磁石を作製した。次
に、第6の実施の形態と同様に、図1及び図2に示すよ
うに、この薄板磁石31をE型フェライトコア33の中
央磁脚と同一断面形状に切断し、図1及び図2に示すよ
うなコアを作製した。次に、薄板磁石31を、パルス着
磁機でコア33の磁路方向に着磁後、コア45にコイル
47を巻き線し、岩崎通信機製のSY−8232交流B
Hトレーサーで、300KHz、0.1Tにおけるコア
ロス特性を室温で測定した。その測定結果を表8に示
す。表8より薄板磁石に用いる磁石の粉末平均粒径が
2.5〜50μmではコアロス特性が優れていることが
わかった。
【0105】
【表8】
【0106】(第8の実施の形態)SmCo17磁石
粉末60vol%とポリイミド樹脂40vol%とをラ
ボプラストミルを用いてそれぞれ熱混練を行った。熱混
練で得たものを熱プレス機でプレス圧を変化させ0.3
mmの成形体を作製し、パルス着磁装置で4Tで着磁を
行い、薄板磁石を作製した。作製した薄板磁石のグロス
(光沢度)は、それぞれ15%〜33%でプレス圧が高
いほどグロスも高い値を示した。これらの成形体を1c
m×1cmに切断を行い、TOEI TDF−5 Di
gitalFluxmeterでフラックスを測定した
結果とグロスの測定結果を表9に並べて示す。
【0107】
【表9】
【0108】表9の結果から、グロスが25%以上の薄
板磁石では磁石特性が優れている。これは、作製した薄
板磁石のグロスが25%以上では薄板磁石の充填率が9
0%以上となるためである。また、本実施の形態ではポ
リイミド樹脂で実験を行った結果を示したが、これ以外
のエポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイト樹脂、シ
リコン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族系ポリアミド、
液晶ポリマーから選択された一種類の樹脂でも同様の結
果が得られた。
【0109】(第9の実施の形態)乾燥後の体積比がS
Co17磁石粉末60vol%、ポリイミド樹脂4
0vol%となるように、SmCo17磁石粉末と新
日本理化製リカコート(ポリイミド樹脂)に、溶剤とし
てγ−ブチロラクトンを加えて、円心脱泡機で5分攪拌
後、3本ロールで混練を行ってペーストを作製した。溶
剤の配合比は、Sm Co17磁石粉末と新日本理化製
リカコートを合わせて70重量部に対してγ−ブチロラ
クトンを10重量部とした。作製したペーストをドクタ
ーブレード法により500μmのグリーンシートを作製
し乾燥を行った。乾燥させたグリーンシートを1cm×
1cmに切断し、プレス圧を変化させ熱プレス機で熱プ
レスを行い、作製した成形体をパルス着磁装置で4Tで
着磁を行い、薄板磁石を作製した。比較として、熱プレ
スを行っていない成形体も着磁して薄板磁石にした。ま
た、今回は上記の配合比で作製したが、これ以外の成
分、配合比でも、グリーンシート作製可能なペーストが
得られるものであれば良い。また、混練のために三本ロ
ールミルを用いたが、これ以外にもホモジナイザーやサ
ンドミル等を用いても良い。作製した薄板磁石のグロス
(光沢度)は、それぞれ9%〜28%でプレス圧が高い
ほどグロスも高い値を示した。これらの薄板磁石のフラ
ックスをTOEI TDF−5 Digital Fl
uxmeterで測定した結果を表10に示す。また、
この時の薄板磁石の熱プレスによる圧縮率(=1−熱プ
レス後の厚さ/熱プレス前の厚さ)を測定した結果も並
べて示す。
【0110】
【表10】
【0111】以上の結果から、第8の実施の形態と同様
に、グロスが25%以上では良好な磁石特性が得られ
る。この理由もグロス25%以上では薄板磁石の充填率
が90%以上となるためである。また、圧縮率について
みると圧縮率20%以上で良好な磁石特性が得られるこ
とがわかった。
【0112】本実施の形態ではポリイミド樹脂で上記組
成、配合比で実験を行った結果を示したが、これ以外の
これ以外のエポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイト
樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族系ポリ
アミド、液晶ポリマーから選択された一種類の樹脂及び
配合比、においても同様の結果が得られた。
【0113】(第10の実施の形態)SmCo17
石粉末と、界面活性剤としてリン酸ナトリウムを0.5
wt%とを混合した。同様にして、SmCo17磁石
粉末と、カルボキシメチルセルロースナトリウム0.5
wt%とを混合、SmCo17磁石粉末と珪酸ナトリ
ウムとを、それぞれ混合した。これら混合した粉末の、
それぞれ、65vol%と、ポリフェニルサルファイト
樹脂35vol%とをラボプラストミルを用いてそれぞ
れ熱混練を行った。ラボプラストミルで混練したものを
熱プレスにより0.5mmに成型し、第6の実施の形態
と同一の、図1及び図2に示すE型フェライトコア33
の中央磁脚と同一断面形状に切断し、EEコア33の中
央磁脚ギャップ部に上記作製した薄板磁石31を挿入配
置し、図1及び図2に示すコアを作製した。次に、この
薄板磁石31をパルス着磁機でコア33の磁路方向に着
磁後、コア33にコイル35を巻き線し、岩崎通信機製
のSY−8232交流BHトレーサーにて、300KH
z、0.1Tにおけるコアロス特性を室温で測定した。
その測定結果を表11に示す。比較として、界面活性剤
を用いずに、SmCo17磁石粉末65vol%とポ
リフェニルサルファイト樹脂35vol%とをラボプラ
ストミルで混練したものを熱プレスにより0.5mmに
成型し、上記と同じフェライトEEコアの中央磁脚の磁
気ギャップ中に挿入配置し、これをパルス着磁機でコア
の磁路方向に着磁後に、コイルを巻き線し、コアロスを
測定した。その結果も表11に並べて示す。
【0114】
【表11】
【0115】表11より界面活性剤を添加したものは良
好なコアロス特性を示している。これは、界面活性剤を
添加することにより、1次粒子の凝集を防止し、渦電流
損を抑制したためである。本実施の形態ではリン酸塩を
添加した結果を示したがこれ以外の界面活性剤を添加し
ても同様に、コアロス特性が良好である結果が得られ
た。
【0116】(第11の実施の形態)SmCo17
石粉末とポリイミド樹脂とをラボプラストミルで熱混練
した後、熱プレス機で無磁場中でプレス成形する事によ
り厚さ0.5mmの薄板磁石を作製した。ここでポリイ
ミド樹脂の樹脂量を調節する事により、比抵抗が各々
0.05、0.1、0.2、0.5、1.0Ω・cmの
薄板磁石を作製した。その後、第6の実施の形態と同様
に、図1及び図2のE型フェライトコア45の中央磁脚
と同一断面形状に加工した。次にこのMnZn系フェラ
イト材で作製された磁路長7.5cm、実効断面積0.
74cmのEEコア45の中央磁脚の磁気ギャップに上
記作製した薄板磁石31を挿入配置し、電磁石で磁路方
向に着磁後、コイル35を巻き線し、岩崎通信機製のS
Y−8232交流BHトレーサーで、300KHz、
0.1Tにおけるコアロス特性を室温で測定した。ここ
で測定に使用したフェライトコアは同一のものであり、
磁石だけを比抵抗の異なるものと交換して、コアロスを
測定したその結果を表12に示す。
【0117】
【表12】
【0118】表12より比抵抗0.1Ω・cm以上の磁
気コアでは良好なコアロス特性を示していることがわか
る。これは、薄板磁石の比抵抗をあげることにより渦電
流損失を抑制できるためである。
【0119】(第12の実施の形態)各種磁石粉末と各
種樹脂とを各々表13に示す組成で、以下の記載した方
法で混練、成形、加工して厚さ0.5mmの試料を作製
した。ここでSmCo17系紛末とフェライト紛末は
焼結体の粉砕粉末であり、SmFe17N紛末は還元
拡散法で作製したSmFe17紛末を窒化処理した紛
末であり、各粉末は平均粒径で約5μmであった。芳香
族系ポリアミド樹脂(6Tナイロン)とポリプロピレン
樹脂はラボプラストミルを用いてAr中300℃(ポリ
アミド)、250℃(ポリプロピレン)で熱混練後、熱
プレス機で成形し試料を作製した。可溶性ポリイミド樹
脂は溶剤としてγ−ブチロラクトンを加えて遠心脱泡機
で5分間攪拌してペーストを作製後、ドクターブレード
法により出来あがりが500μmになるようにグリーン
シートを作製し、乾燥後、熱プレスによって試料を作製
した。エポキシ樹脂はビーカーで攪拌混合後金型成形し
適当なキュア条件により試料を作製した。これら試料の
比抵抗は全て0.1Ωcm以上であった。
【0120】この薄板磁石を以下に説明するフェライト
コアの中芯断面形状に切断した。コアは一般的なMnZ
n系フェライト材で作製された磁路長5.9cm、実効
断面積0.74cmのEEコアであり中芯には0.5m
mのギャップ加工をした。そのギャップ部に上記作製し
た薄板磁石を挿入し、図1及び図2に示すように配置し
た(31が薄板磁石、33がフェライトコア、35は巻
き線部)。
【0121】次にパルス着磁機で磁路方向に着磁後、H
ewlet Packard製HP−4284A LC
Rメーターで直流重畳特性を交流磁場周波数100KH
z、直流重畳磁場35 Oeの実効透磁率を測定した。
【0122】次にこれらコアを270℃のリフロー炉で
30分間保持した後、再び直流重畳特性を全く同じ条件
で測定した。
【0123】比較例として、ギャップに磁石を挿入しな
いものについても同様に測定し、これはリフロー前後で
特性の変化はなく、実効透磁率μeは70であった。
【0124】これらの結果を表13に、また結果の1例
として図7に試料とと比較例との直流重畳特性を示
す。また直流バイアス磁界の向きは、挿入時に着磁した
磁石の磁化の向きとは逆になるように重畳電流を印可す
るのはもちろんのことである。
【0125】なおポリプロピレン樹脂の薄板磁石を挿入
したコアは、磁石が著しく変形したため測定出来なかっ
た。
【0126】保磁力が4KOeしかないBaフェライト
の薄板磁石を挿入したコアではリフロー後、直流重畳特
性が大きく劣化することがわかる。またSmFe17
Nの薄板磁石を挿入したコアでもリフロー後、直流重畳
特性が大きく劣化することがわかる。逆に、保磁力が1
0KOe以上でTcが770℃と高いSmCo17
薄板磁石を挿入したコアは、特性の劣化が認められず、
非常に安定した特性を示すことが分かる。
【0127】これらの結果よりBaフェライト薄板磁石
は保磁力が小さいために、薄板磁石に印可される逆向き
の磁界によって減磁、または磁化の反転が起こり、直流
重畳特性が劣化したものと推測でき、またSmFeN磁
石は保磁力が高いもののTcが470℃と低いために熱
減磁が生じ、それに逆向きの磁界による減磁の相乗効果
により特性が劣化したと推測される。従って、コアに挿
入する薄板磁石は保磁力が10KOe以上でTcが50
0℃以上の薄板磁石において優れた直流重畳特性を示す
ことが分かった。
【0128】また、本実施の形態では示さなかったが、
本実施の形態以外の組み合わせでも、請求の範囲で示し
た樹脂で作製した薄板磁石においても同様の効果が得ら
れることを確認した。
【0129】
【表13】
【0130】(第13の実施の形態)第12の実施の形
態と全く同じSmCo17系磁石粉末(iHc=15
kOe)と可溶性ポリアミドイミド樹脂(東洋紡バイロ
マックス)を加圧ニーダーで混練後、プラネタリーミキ
サーで希釈混練したものを遠心脱泡機で5分間攪拌して
ペーストを作製した。ペーストはドクターブレード法に
より乾燥後の厚みが約500μmになるようにグリーン
シートを作製し、乾燥後、熱プレス、次に厚さ0.5m
mに加工し、薄板磁石試料とした。ここでポリアミドイ
ミド樹脂の樹脂量は、比抵抗が各々0.06、0.1、
0.2、0.5、1.0Ω・cmとなるように表14の
とおりに調製した。これらの薄板磁石を第5の実施の形
態と全く同じコアの中芯断面形状に切断し、測定試料と
した。
【0131】次に、第12の実施の形態と全く同じ0.
5mmのギャップ長を有するEEコアに上記作製した薄
板磁石を挿入し、パルス着磁機で磁石を着磁した。これ
らのコアについて、岩崎通信機製のSY−8232交流
BHトレーサーを用いて300KHz、0.1Tにおけ
るコアロス特性を室温で測定した。ここで測定に使用し
たフェライトコアは同一のものであり、比抵抗の異なる
磁石だけを交換、挿入し再びパルス着磁機で着磁後コア
ロス特性を測定した。
【0132】その結果を表14に示す。比較例として、
全く同じギャップ付のEEコアの、同じ測定条件でのコ
アロス特性は520(KW/m)であった。表14か
ら、比抵抗0.1Ωcm以上の磁気コアで良好なコアロ
ス特性を示している。これは薄板磁石の比抵抗をあげる
と渦電流損失を抑制できるためと推測される。
【0133】
【表14】
【0134】(第14の実施の形態)Sm(Co
0.742Fe0.20Cu0.055
0.0297.7組成の焼結磁石(iHc=15K
Oe)から、粉砕時間を変えて平均粒径の異なるものを
用意し、次に径の異なるふるいを通じで最大粒径を調整
した。
【0135】乾燥後の体積比がSmCo17磁石粉末
60vo1%とポリイミド樹脂40vol%となるよう
に、Sm2Co17磁石粉末と新日本理化製リカコート
(ポリイミド樹脂)に溶剤としてγ−ブチロラクトンを
加えて円心脱泡機で5分攪拌してペーストを作製した。
溶剤の配合比は、Sm2Co17磁石粉末と新日本理化
製リカコートを合わせて70重量部に対してγ−ブチロ
ラクトンを10重量部とした。作製したペーストをドク
クーブレード法により500μmのグリーーンシートを
作製し乾燥、熱プレスを行った。これをフェライトコア
の中芯形状に切断後、パルス着磁装置を使用して4Tで
着磁を行い、薄板磁石を作製した。これらの薄板磁石の
フラックスをTOEI TDF−5 Digital
Fluxmeter で測定した結果を表15に示す。
さらに第12の実施の形態と同様にフェライトコアには
さんで直流重畳特性を測定し、次にバイアス量を測定し
た。バイアス量は透磁率と重畳磁界の大きさの積で求め
た。
【0136】
【表15】
【0137】平均粒径が2.1μmの試料はフラック
スが低下しており、バイアス量が小さい。これは作製工
程中で磁石粉末の酸化が進行しているためと考えられ
る。また平均粒径が大きい試料は、粉末充填率が低い
ためフラックスが低く、また磁石の表面粗さが粗いた
め、コアとの密着性が悪くパーミアンス係数が低下する
ため、バイアス量が低下していると考えられる。また、
粒径が小さいものでも、プレス圧が充分でなく表面粗さ
の大きい試料は、粉末の充填率が低いためフラックス
が低下しており、バイアス量が小さい。また粗大粒が混
ざっている試料は表面粗さが粗いため、バイアス量が
低下していると考えられる。
【0138】これらの結果より、磁性粉の平均粒径が2
5μm以上で、かつ最大粒径が50μmであり、中心線
平均粗さが10μm以下の薄板磁石を挿入したとき、薄
板磁石そ挿入したときに、優れた直流重畳特性を示すこ
とがわかった。
【0139】(第15の実施の形態)SmCo17
でZr量が0.01at%で組成がSm(Co0.78
Fe 0.11Cu0.10Zr0.018.2の俗に
第2世代SmCo17磁石と呼ばれる組成のインゴッ
トを粗粉砕後に熱処理した磁石紛末と、Zr量が0.0
29at%で組成がSm(Co0.0742Fe
0.20Cu0.055Zr 0.0298.2の俗に
第3世代Sm2Co17磁石と呼ばれる組成のインゴツ
ドを粗粉砕後に熱処理した磁石粉末を用いた。上記第2
世代SmCo17磁石粉末は800℃で1.5Hrの
時効熱処理を行い、第3世代SmCo17磁石は80
0℃で10Hrの時効熱処理を行った。これによってV
SMで測定された磁石粉末の保磁力は、第2世代か8K
Oeで第3世代が20KOeであった。これらの粗粉砕
粉末を、有機溶媒中でボールミルにより平均粒径5.2
μmに微粉砕し、さらに目開き45μmの篩を通し、磁
石粉末を得た。次にこれら作製した磁石粉末にそれぞれ
バインダーとしてエポキシ樹脂を35vo1%混合し、
第12の実施の形態と全く同しEEコアの中芯形状と厚
み0.5mmのボンド磁石を金型成形により作製した。
ここで磁石特注はφ10×t10のテストピースを別途
作製し、直流BHトレーサーで測定した。
【0140】保磁力は粗粉砕粉末とほほ同様の値であっ
た。次にこれら磁石を第12の実施の形態と全く同じE
Eコアに挿入後、パルス着磁、巻き線後、LCRメータ
で40Oe直流重畳時の100KHzにおける実効透磁
率を測定した。次に、これらコアをリフロー炉の条件で
ある270℃の恒温槽で1Hr保持した後、上記と同様
に直流重畳特性を測定した。その結果も表16に示す。
【0141】
【表16】
【0142】表16より保磁力の高い第3世代Sm
17磁石粉末を使用した場合、リフロー後も良好な直
流重畳特性が得られることがわかった。なお、Smと遷
移金属の比で保磁力のピークを有することが知られてい
るが、この最適値の組成比は合金に含有される酸素量に
よって変動することが知られており、焼結体は7.0〜
8.0でインゴットは8.0〜8.5の間で変動するこ
とを確認している。以上より組成が第3世代であるSm
(Cobal.Fe0.15−0.25Cu
.05−0.06Zr0.02−0.03
7.0−8.5でリフロー条件でも直流重畳特性が良好
であることがわかった。
【0143】(第16の実施の形態)第14の実施の形
態の試料で作製した、組成がSm(Co0.742
.20Cu0.055Zr0.0297.7で粒
径が平均で5μm、最大粒径で45μmの磁石紛末を用
いた。その磁石粉末の表面にZn、無機ガラス(ZnO
−B−PbO)軟化点400℃、Zn後更に無機
ガラス(ZnO‐B−PbO)を被覆した薄板磁
石を第13の実施の形態の試料と全く同様の方法で作
製し、それを挿入したMn‐Zn系フェライトコアの直
流重畳特性は第12の実施の形態と全く同様に測定後バ
イアス量を求め、コアロス特性は第13の実施の形態と
全く同様の方法で測定し、比較を行った結果を表17に
示す。
【0144】ここでZnは磁石粉末と混合後、500
℃,Ar雰囲気下で2時間熱処理を施した。ZnO−B
−PbOは熱処理温度が450℃以外は全く同じ
方法で熱処理した。一方、複合層を形成するためには始
めにZnと磁石粉末とを混合し500℃で熱処理し、こ
こで一旦炉から取り出してこの粉末とZnO−B
−PbO粉末を混合後、450℃で熱処理する。これら
紛末は総体積の45vol%に当たる量のバインター
(エポキシ樹脂)を混合した後、無磁場中で金型成形を
行った。成形体は第12の実施の形態と全く同じフェラ
イトコアの中芯断面形状でかつ高さ0.5mmでありコ
アに挿入後約10Tのパルス磁場で着磁して、第12の
実施の形態と同じ方法で直流重畳特性と第13の実施の
形態と同じ方法でコアロス特性とを測定した。次にこれ
らコアを270℃の恒温糟で30分間保持した後、同様
に直流重畳特性、コアロス特性を測定した。比較例とし
て被覆していない粉末でも全く同じ方法で成形体を作製
後、特性を測定した結果も表17に示す。
【0145】未被覆のものは熱処理により大きく直流重
畳特性、コアロス特性が劣化するが、Zn、無機ガラ
ス、及びその複合体を被覆したものは未被覆のものに比
へ、熱処理における劣化率は非常に小さいことが分か
る。これは被覆により磁石粉末の酸化が抑制されたため
と推測できる。
【0146】また被覆材を10vo1%以上混合したも
のについては実効透磁挙が低く、磁石によるバイアス磁
界の大きさが他のものに比へ非常に小さくなっているこ
とか分かる。これは被覆材の量が増大したために、磁石
粉末の割合が減少したため、もしくは磁石粉末と被覆材
が反応し磁化の大きさが減少したためと考えられる。従
って被覆する量は0.1〜10wt%の範囲で非常に優
れた特性を示すことが分かった。
【0147】
【表17】
【0148】(第17の実施の形態)第14の実施の形
態の試料のSmCo17磁石劾末を用い、バインダ
ーとしてエポキシ樹脂を50vo1%混合した後、2T
の磁場中で中足上下方向に金型成形し異方性の磁石を作
製した。また、比較例として無磁場中で金型成形したも
のも同様に作製した。次にこれらの各ボンド磁石を第1
2の実施の形態と同様にMnZn系フェライト材に挿入
し、パルス着磁、巻き線を施し、LCRメーターで直流
重畳特性を測定し、コア定数と巻線数から透磁率を計算
した。その結果を表18に示す。
【0149】また、測定が終わった試料をリフローの条
件である270℃の恒温糟で1Hr保持し常温まで冷却
し上記と同様にLCRメーターて直流重畳特注を測定し
た。その結果も表18に示す。
【0150】表18よりリフロー前後とも無磁場磁石に
比べ良好な結果が得られることがわかった。
【0151】
【表18】
【0152】(第18の実施の形態)第14の実施の形
態の試料のSmCo17磁石粉末を用い、バインダ
ーとしてエポキシ樹脂を50vo1%混合した後、無磁
場中で金型成形し0.5mm厚の磁石を作製したところ
までは第20の実施の形態と全く同じである。次に第1
2の実施の形態と同様にMnZn系フェライト材に挿入
し着磁を行った。このときの磁場を1T、2T、25
T、3T、5T、10Tで着磁を行った。1T、2T、
25Tは、電磁石で着磁し、3T、5T、10Tはパル
ス着磁機で着磁した。その後、LCRメーターで直流重
畳物性を測定し、コア定数と巻線数から透磁率を計算し
た。その結果から第17の実施の形態で求めた方法でバ
イアス量を求めその結果を図9に示す。
【0153】図9より25T以上でないと良好な重畳特
性が得られないことがわかった。
【0154】(第19の実施の形態)図10及び図11
を参照すると、本発明の第19の実施の形態による薄板
磁石を適用したインダクタンス部品において、使用する
コア39は、MnZn系フェライト材で作製され磁路長
2.46、実効断面積0.394cmのEE型磁芯を
形成する。図11のように、E型コア39に、モールド
コイル(樹脂封止された巻線(巻回数4ターン))41
を組み込んだ後、さらにE型コア39の中脚断面積と同
形状に加工された、厚み0.16mmの薄板磁石43
を、コアキャップ部に配置して、もう片側のコア39に
より挾みこんでインダクタンス部品として機能するもの
である。
【0155】薄型磁石43の着磁方向は、モールドコイ
ルが作る磁界と逆向きに着磁されているものとする。
【0156】薄型磁石を適用した場合の直流重畳インダ
クタンス特性と、比較として薄型磁石を適用しない場合
の直流重畳インダクタンス特性を測定し、結果を図12
の45(前者)と47(後者)に示す。
【0157】またリフロー炉(ピーク温度270℃)に
通した後、上記同様直流重畳インダクタンス特性を測定
し、その結果、リフロー前の結果と同様である事を確認
した。
【0158】(第20の実施の形態)図13及び図14
を参照すると、本発明の第20の実施の形態において、
使用するコアは第19の実施の形態と同様、MnZn系
フェライト材で作製され磁路長2.46cm、実効断面
積0.394cmの磁芯を形成するが、EI型磁芯を形
成してインダクタンス部品として機能する。組立工程も
第19の実施の形態と同様であるが、片側のフェライト
コア53の形状は、I型である。
【0159】薄型磁石を適用した直流重畳インダクタン
ス特性、及びリフロー炉に通した後の直流重畳インダク
タンス特性は、第19の実施の形態と変化はない。
【0160】(第21の実施の形態)図15及び図16
を参照すると、本発明の第21の実施の形態による薄板
磁石を適用したインダクタンス部品においては、使用す
るコア65はMnZn系フェライト材で作製され磁路長
0.02m、実効断面積5×10−6cmのUU型磁芯
を形成する。図16のように、ボビン63にコイル67
を巻回し、一対のU型コア65を組み込む際、U型コア
65の断面積(接合部)と同形状に加工された、厚み0
2mmの薄板磁石69を、コアギャップ部に配置する。
これにより、透磁率4×10−3H/mのインダクタン
ス部品として機能するものである。
【0161】薄型磁石69の着磁方向は、コイルが作る
磁界と逆向きに着磁されているものとする。
【0162】薄型磁石を適用した場合の直流重畳インダ
クタンス特性と、比較として薄型磁石を適用しない場合
の直流重畳インダクタンス特性を測定し、結果を図17
の71(前者)と73(後者)に示す。
【0163】上記直流重畳インダクタンス特性の結果
は、一般に磁芯を形成するコアの使用磁束密度(△B)
の拡大を示していることと等価であり(図18により補
足,図18の75は従来のインダクタンス部品に対する
コアの使用領域を示し、図18の77は本発明による薄
板磁石を連用したインダクタンス部品のコアの使用領域
を示す。これらの図は、前記直流重畳インダクタンス特
性の結果71と77と73と75の各々対応する)イン
ダクタンス部品の一般的な理論式は次の数1式により表
わされる。
【0164】
【数1】
【0165】この数1式より、前記使用磁束密度(△
B)拡大の効果は、巻回数Nと磁芯の実効断面積Aeの
逆数に比例し、前者はインダクタンス部品の巻回数を減
らすことで銅損失低減の効果とインダクタンス部品の小
型化をもたらし、後者は、磁芯を形成するコアの小型化
に寄与して、前記巻回数低減による小型化と併せて、イ
ンダクタンス部品の小型化に大きく寄与することか明ら
かである。トランスにおいては一次及び二次コイル巻回
数を低減できるため、その効果は絶大である。
【0166】さらに出力電力に関する式を数2式に示す
が、この式から使用磁束密度(△B)拡大効果は、出力
電力拡大の効果にも作用していることが言える。
【0167】
【数2】
【0168】また、インダクタンス部品の信頼性に関
し、リフロー炉(ピーク温度270℃)に通した後、上
記同様直流重畳インダクタンス特性を測定し、その結
果、リフロー前の結果と同様である事を確認した。
【0169】(第22の実施の形態)図19及び図20
を参照すると、本発明の第22の実施の形態による薄板
磁石を適用したインダクタンス部品では、使用するコア
は第21の実施の形態と同様、MnZn系フェライト材
で作製され磁路長0.02m、実効断面積5×10
の磁芯を形成するか、UI型磁芯を形成してインダ
クタンス部品として機能する。図20のように、ボビン
85にコイル83を巻回し、I型コア87をボビン85
に組み込んだ後、U型コア89の断面積(接合部)と同
形状に加工された、厚み0.1mmの薄板磁石91を、
コイルを巻回したボビンの両翼部(I型コア87がボビ
ンからはみ出す部分)に各1枚(両翼で2枚)づつ配置
して、U型コア89を組み込んで完成する。
【0170】薄型磁石を適用した直流重畳インダクタン
ス特性、及びリフロー炉投入後の直流重畳インダクタン
ス特性は、第21の実施の形態と変化はない。
【0171】(第23の実施の形態)図21及び図22
を参照すると、本発明の第23の実施の形態による薄板
磁石を適用したインダクタンス部品においては、使用す
る4本のI型コア95は珪素鋼で作製され、磁路長0.
2m、実効断面積1×10−4の口の字型磁芯を形
成する。図21のように、絶縁紙97を備えた2つのコ
イル99に、各1本ずつI型コア95を挿入し、口の字
の磁路を形成するように、もう2本のI型コア95を組
む。その接合部に本発明による薄板磁石123を配置し
て、透磁率2×10−2H/mの口の字型の磁路を形成
してインダクタンス部品として機能する。
【0172】薄型磁石101の着磁方向は、コイルが作
る磁界と逆向きに着磁されているものとする。
【0173】薄型磁石を適用した場合の直流重畳インダ
クタンス特性と、比較として薄型磁石を適用しない場合
の直流重畳インダクタンス特性を測定し、結果を図23
の1103(前者)と105(後者)に示す。
【0174】上記直流重畳インダクタンス特性の結果
は、一般に磁芯を形成するコアの使用磁束密度(△B)
の拡大を示していることと等価であり(図24により補
足,図24の107は従来のインダクタンス部品に対す
るコアの使用領域を示し、図24の109は本発明によ
る薄板磁石を適用したインダクタンス部品のコアの使用
領域を示す。これらの図は、前記直流重畳インダクタン
ス特性の結果103と105、109と107の各々対
応する)、インダクタンス部品の一般的な理論式は次の
数3式により表わされる。
【0175】
【数3】
【0176】この数3式より、前記使用磁束密度(△
B)拡大の効果は、巻回数Nと磁芯の実効断面積Aeの
逆数に比例し、前者はインダクタンス部品の巻回数を減
らすことで銅損失低減の効果とインダクタンス部品の小
型化をもたらし、後者は、磁芯を形成するコアの小型化
に寄与して、前記巻回数低減による小型化と併せて、イ
ンダクタンス部品の小型化に大きく寄与することか明ら
かである。トランスにおいては一次及び二次コイル巻回
数を低減できるため、その効果は絶大である。
【0177】さらに出力電力に関する式を数4式に示す
が、この式から使用磁束密度(△B)拡大効果は、出力
電力拡大の効果にも作用していることが言える。
【0178】
【数4】
【0179】また、インダクタンス部品の信頼性に関
し、リフロー炉(ピーク温度270℃)に通した後、上
記同様直流重畳インダクタンス特性を測定し、その結
果、リフロー前の結果と同様である事を確認した。
【0180】(第24の実施の形態)図25及び図26
を参照すると、本発明の第24の実施の形態による薄板
磁石を適用したインダクタンス部品においては、凹状の
くぼみを有する口の字型コア113とI型コア115、
コイル117が巻線されたボビン119及び薄板磁石1
21で構成される。図26のように、薄板磁石121
は、口の字型コア113の凹状くぼみ部、すなわち口の
字型コア113とI型コア115の接合部に配置され
る。
【0181】ここで使用の口の字型コア113及びI型
コア115は、MnZn系フェライト材で、磁路長6.
0cm、実効断面積0.1cmの日の字型磁芯を形成
する。
【0182】また、薄板磁石121は、厚み0.25m
m、断面積0.1cmであって、コイルが作る磁界と
逆向きに着磁されているものとする。
【0183】コイル117は18ターン巻回されてお
り、本インダクタンス部品の直流重畳インダクタンス特
性と、比較として薄型磁石を適用しない場合の直流重畳
インダクタンス特性を測定し、結果を図27の123
(前者)と125(後者)に示す。
【0184】またリフロー炉(ピーク温度270℃)に
通した後、上記同様直流重畳インダクタンス特性を測定
し、その結果、リフロー前の結果と同様である事を確認
した。
【0185】(第25の実施の形態)図28及び図29
を参照すると、本発明の第25の実施の形態による薄板
磁石を適用したインダクタンス部品は、凸状コア135
にコイル131が巻線され凸状コア135の凸部上面
に、この凸部上面と同形状(0.07mm)で、厚み1
20μmの薄板磁石133を配置して、円筒状のキャッ
プコア129を被せて構成されているものである。
【0186】ここで使用の凸状コア135及び円筒状の
キャップコア129は、NiZn系フェライト材で、磁
路長1.85cm、実効断面積0.07cmの磁芯を
形成する。
【0187】また薄板磁石133は、コイルが作る磁界
と逆向きに着磁されているものとする。
【0188】コイル131は15ターン巻回されてお
り、本インダクタンス部品の直流重畳インダクタンス特
性と、比較として薄型磁石を適用しない場合の直流重畳
インダクタンス特性を測定し、結果を図30の139
(前者)と141(後者)に示す。
【0189】またリフロー炉(ピーク温度270℃)に
通した後、上記同様直流重畳インダクタンス特性を測定
し、その結果、リフロー前の結果と同様である事を確認
した。
【0190】以上説明したように、本発明の3発明によ
れば、500μm以下の薄板磁石が得られ、この薄型磁
石を磁気バイアス磁石として使用することにより、小型
で、高周波における磁気コアの直流重畳特性が向上した
且つリフロー温度でも特性の劣化のない磁気コア及び、
この磁気コアを用いて、リフローにて特性の劣化の恐れ
なく表面実装を可能としたインダクタンス素子を提供す
ることができる。
【0191】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、磁路の少なくとも1箇所以上にギャップを有する磁
気コアであって、その磁気ギャップに挿入配置する磁気
バイアス用磁石を、固有保磁力iHcが10KOe以
上、キュリー点Tcが500℃以上、粉末粒径が2.5
〜50μmの希土類磁石粉末を用いたボンド磁石とし、
その磁石粉末表面を無機ガラスで被覆し、その粉末と少
なくとも体積比で30%以上の樹脂からなる比抵抗が1
Ωcm以上のボンド磁石を用いることによって、直流重
畳特性、コアロス特性、耐酸化性に優れた磁気コアを提
供することができる。
【0192】また、本発明においては、磁路の少なくと
も1箇所以上にギャップを有する磁気コアであって、そ
の磁気ギャップに挿入配置する磁気バイアス用磁石を、
固有保磁力iHcが5KOe以上、キュリー点Tcが3
00℃以上、粉末粒径が2.0〜50μmの希土類磁石
粉末を用いたボンド磁石とし、その磁石粉末表面を無機
ガラスで被覆し、その粉末と少なくとも体積比で20%
以上の樹脂からなる比抵抗が1Ωcm以上のボンド磁石
を用いることによって、直流重畳特性、コアロス特性、
耐酸化性に優れた磁気コアを提供することができる。
【0193】また、本発明においては、500μm以下
の薄板磁石が得られ、この薄型磁石を磁気バイアス磁石
として使用することにより、小型で、高周波における磁
気コアの直流重畳特性が向上した且つリフロー温度でも
特性の劣化のない磁気コア及び、この磁気コアを用い
て、リフローにて特性の劣化の恐れなく表面実装を可能
としたインダクタンス部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の1実施の形態によるチョークコ
イルのコイル巻回前の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のチョークコイルの側面図である。
【図3】本発明の第6の実施の形態におけるSmCo
17磁石とポリイミド樹脂からなる薄板磁石の直流重畳
特性の測定データを示す図である。
【図4】本発明の第6の実施の形態におけるSmCo
17磁石とエポキシ樹脂からなる薄板磁石の直流重畳特
性の測定データを示す図である。
【図5】本発明の第6の実施の形態におけるSmCo
17N磁石とポリイミド樹脂からなる薄板磁石の直流重
畳特性の測定データを示す図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態におけるBaフェラ
イト磁石とポリイミド樹脂からなる薄板磁石の直流重畳
特性の測定データを示す図である。
【図7】本発明の第6の実施の形態におけるSmCo
17磁石とポリプロピレン樹脂からなる薄板磁石の直流
重畳特性の測定データを示す図である。
【図8】本発明の第12の実施の形態における試料2お
よび4からなる薄板磁石を用いた場合と、薄板磁石を用
いない場合について、リフロー前後における直流重畳特
性の測定データを示す図である。
【図9】本発明の第18の実施の形態におけるSm2C
o17磁石−エポキシ樹脂薄板磁石の着磁磁界と直流重
畳特性を示す図である。
【図10】本発明の第19の実施の形態による薄板磁石
を適用したインダクタンス部品を示す外観斜視図であ
る。
【図11】図10のインダクタンス部品の分解組立斜視
図である。
【図12】本発明の第19の実施の形態の薄型磁石を適
用した場合の直流重畳インダクタンス特性と、比較とし
て薄型磁石を適用しない場合の直流重畳インダクタンス
特性の測定結果を示す図である。
【図13】本発明の第20の実施の形態による薄板磁石
を適用したインダクタンス部品を示す外観斜視図であ
る。
【図14】図13のインダクタンス部品の分解組立斜視
図である。
【図15】本発明の第21の実施の形態による薄板磁石
を適用したインダクタンス部品を示す外観斜視図であ
る。
【図16】図15のインダクタンス部品の分解組立斜視
図である。
【図17】本発明の第21の実施の形態の薄型磁石を適
用した場合の直流重畳インダクタンス特性と、比較とし
て薄型磁石を適用しない場合の直流重畳インダクタンス
特性の測定結果を示す図である。
【図18】(a)は従来のインダクタンス部品のコア使
用領域を示す図である。(b)は本発明の第22の実施
の形態による薄型磁石を適用した場合のインダクタンス
部品のコア使用領域を示す図である。
【図19】本発明の第22の実施の形態による薄板磁石
を適用したインダクタンス部品を示す外観斜視図であ
る。
【図20】図19のインダクタンス部品の分解組立斜視
図である。
【図21】本発明の第23の実施の形態による薄板磁石
を適用したインダクタンス部品を示す外観斜視図であ
る。
【図22】図21のインダクタンス部品の分解組立斜視
図である。
【図23】図23は薄型磁石を適用した場合の直流重畳
インダクタンス特性と、比較として薄型磁石を適用しな
い場合の直流重畳インダクタンス特性の測定結果を示す
図である。
【図24】(a)は従来のインダクタンス部品に対する
コアの使用領域を示す図である。(b)は本発明の第2
3の実施の形態による薄板磁石を適用したインダクタン
ス部品のコアの使用領域を示す図である。
【図25】本発明の第24の実施の形態による薄板磁石
を適用したインダクタンス部品を示す外観斜視図であ
る。
【図26】図25のインダクタンス部品の磁路を形成す
るコアと薄板磁石の構成斜視図である。
【図27】本発明の薄板磁石を適用した場合のインダク
タンス特性と、比較として薄型磁石を適用しない場合の
直流重畳インダクタンス特性を測定結果を示す図であ
る。
【図28】本発明の第25の実施の形態による薄板磁石
を適用したインダクタンス部品の断面図を示す図であ
る。
【図29】図28のインダクタンス部品の磁路を形成す
るコアと薄板磁石の構成斜視図である。
【図30】図30は本発明の第25の実施の形態による
インダクタンス部品の直流重畳インダクタンス特性と、
比較として薄型磁石を適用しない場合の直流重畳インダ
クタンス特性の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
31 磁石 33 コア 35 コイル 37 インダクタンス部品 39 コア 41 コイル 43 磁石 51 インダクタンス部品 53 コア 55 コア 59 磁石 61 インダクタンス部品 63 ボビン 65 コア 67 巻線(コイル) 69 磁石 81 インダクタンス部品 83 コイル 85 ボビン 87 コア 89 コア 91 磁石 93 インダクタンス部品 95 コア 97 絶縁紙 101 磁石 111 インダクタンス部品 113 コア 115 コア 117 コイル 119 ボビン 121 磁石 127 インダクタンス部品 129 コア 131 コイル 133 磁石 135 コア 137 端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 保志 晴輝 宮城県仙台市太白区郡山六丁目7番1号 株式会社トーキン内 (72)発明者 磯谷 桂太 宮城県仙台市太白区郡山六丁目7番1号 株式会社トーキン内 (72)発明者 伊藤 透 宮城県仙台市太白区郡山六丁目7番1号 株式会社トーキン内 (72)発明者 安保 多美子 宮城県仙台市太白区郡山六丁目7番1号 株式会社トーキン内 Fターム(参考) 5E040 AA19 BC01 CA01

Claims (64)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂に磁石粉末が分散されてなるボンド
    磁石であり、0.1Ω・cm以上の比抵抗を有し、該磁
    石粉末は、固有保磁力が5KOe以上、キュリー点Tc
    が300℃以上、粉末粒径が150μm以下である粉末
    を無機ガラスで被覆したものからなることを特徴とする
    永久磁石。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の永久磁石において、前
    記永久磁石は、前記無機ガラスを重量比で10%以下含
    有することを特徴とする永久磁石。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の永久磁石において、前
    記磁石粉末の平均粒径が2.0〜50μmであることを
    特徴とする永久磁石。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の永久磁石において、前
    記磁石粉末の平均粒径が2.5〜25μmで、最大粒径
    が50μmであることを特徴とする永久磁石。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の永久磁石において、前
    記無機ガラスは、軟化点が220℃〜500℃であるこ
    とを特徴とする永久磁石。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載の永久磁石において、前
    記樹脂含有量が体積比で20%以上であることを特徴と
    する永久磁石。
  7. 【請求項7】 請求項2に記載の永久磁石において、前
    記磁石粉末は、希土類磁石粉末であることを特徴とする
    永久磁石。
  8. 【請求項8】 請求項2に記載の永久磁石において、成
    形圧縮率が20%以上であることを特徴とする永久磁
    石。
  9. 【請求項9】 請求項2に記載の永久磁石において、比
    抵抗が1Ω・cm以上であることを特徴とする永久磁
    石。
  10. 【請求項10】 請求項2に記載の永久磁石において、
    前記磁石粉末の平均粒径が2.5〜50μmであること
    を特徴とする永久磁石。
  11. 【請求項11】 請求項2記載の永久磁石において、該
    磁石粉末は、固有保磁力が10KOe以上、キュリー点
    Tcが500℃以上であることを特徴とする永久磁石。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の永久磁石におい
    て、前記無機ガラスは、軟化点が400℃〜550℃で
    あることを特徴とする永久磁石。
  13. 【請求項13】 請求項11に記載の永久磁石におい
    て、前記樹脂含有量が体積比で30%以上であることを
    特徴とする永久磁石。
  14. 【請求項14】 請求項11に記載の永久磁石におい
    て、前記磁石粉末は、希土類磁石粉末であることを特徴
    とする永久磁石。
  15. 【請求項15】 請求項11に記載の永久磁石におい
    て、成形圧縮率が20%以上であることを特徴とする永
    久磁石。
  16. 【請求項16】 請求項11に記載の永久磁石におい
    て、比抵抗が1Ω・cm以上であることを特徴とする永
    久磁石。
  17. 【請求項17】 請求項2に記載の永久磁石において、
    全体の厚みが10000μm以下であることを特徴とす
    る永久磁石。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載の永久磁石におい
    て、全体の厚みが500μm以下であることを特徴とす
    る永久磁石。
  19. 【請求項19】 請求項2に記載の永久磁石において、
    その着磁磁場が、2.5Tであることを特徴とする薄板
    磁石。
  20. 【請求項20】 請求項2に記載の永久磁石において、
    中心線平均粗さRaが10μm以下であることを特徴と
    する永久磁石。
  21. 【請求項21】 請求項2に記載の永久磁石において、
    金型成形によって製造されたことを特徴とする永久磁
    石。
  22. 【請求項22】 請求項2に記載の永久磁石において、
    熱プレスによって製造されたことを特徴とする永久磁
    石。
  23. 【請求項23】 請求項2に記載の永久磁石において、
    樹脂と磁石粉末との混合塗料からドクターブレード法、
    印刷法などの成膜法によって製造されたことを特徴とす
    る永久磁石。
  24. 【請求項24】 請求項2に記載の永久磁石において、
    表面のグロス(光沢度)が25%以上であることを特徴
    とする永久磁石。
  25. 【請求項25】 請求項2に記載の永久磁石において、
    前記樹脂は、ポリプロピレン樹脂、6−ナイロン樹脂、
    12−ナイロン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹
    脂、エポキシ樹脂から選択された少なくとも一種である
    ことを特徴とする永久磁石。
  26. 【請求項26】 請求項2に記載の永久磁石において、
    前記樹脂は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、
    エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、シリ
    コン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、
    液晶ポリマーから選択された少なくとも1種であること
    を特徴とする永久磁石。
  27. 【請求項27】 請求項7に記載の永久磁石において、
    前記磁石粉末は、SmCo、NdFeB、SmFeNか
    ら選択された希土類磁石粉末であることを特徴とする永
    久磁石。
  28. 【請求項28】 請求項27に記載の永久磁石におい
    て、前記磁石粉末は、Sm−Co磁石であることを特徴
    とする永久磁石。
  29. 【請求項29】 請求項28に記載の永久磁石におい
    て、前記SmCo希土類磁石粉末は、Sm(Cobal
    Fe0.15〜0.25Cu0.05〜0.0 Zr
    0.02〜0.037.0〜8.5で表される合金粉
    末であることを特徴とする永久磁石。
  30. 【請求項30】 磁路の少なくとも1箇所以上に磁気ギ
    ャップを有する磁気コアに、該ギャップ両端から磁気バ
    イアスを供給するために、該磁気ギャップ近傍に配した
    磁気バイアス用磁石を有する磁気コアにおいて、前記磁
    気バイアス用磁石が、請求項1に記載の永久磁石である
    ことを特徴とする磁気バイアス用磁石を有する磁気コ
    ア。
  31. 【請求項31】 磁路の少なくとも1箇所以上に磁気ギ
    ャップを有する磁気コアに、該ギャップ両端から磁気バ
    イアスを供給するために、該磁気ギャップ近傍に配した
    磁気バイアス用磁石を有する磁気コアにおいて、前記磁
    気ギャップは約50〜10000μmのギャップ長を有
    し、前記磁気バイアス用磁石が、請求項17に記載の永
    久磁石であることを特徴とする磁気コア。
  32. 【請求項32】 請求項31に記載の磁気バイアス用磁
    石を有する磁気コアにおいて、前記磁気ギャップは約5
    00μmより大きなギャップ長を有し、前記磁気バイア
    ス用磁石は該磁気ギャップ長に対応した厚さを有するこ
    とを特徴とする磁気コア。
  33. 【請求項33】 請求項31に記載の磁気バイアス用磁
    石を有する磁気コアにおいて、前記磁気ギャップは約5
    00μm以下のギャップ長を有し、前記磁気バイアス用
    磁石は該磁気ギャップ長に対応した厚さを有することを
    特徴とする磁気コア。
  34. 【請求項34】 請求項31に記載の磁気バイアス用磁
    石を有する磁気コアに、1ターン以上の巻線を少なくと
    も1つ施してあることを特徴とするインダクタンス部
    品。
  35. 【請求項35】 磁路の少なくとも1箇所以上に約50
    〜10000μmのギャップ長を有する磁気ギャップを
    有する磁気コアと、該磁気ギャップ両端から磁気バイア
    スを供給するために、該磁気ギャップ近傍に配した磁気
    バイアス用磁石と、該磁気コアに少なくとも1ターン卷
    回されたコイル巻線とを有するインダクタンス部品にお
    いて、 前記磁気バイアス用磁石は、樹脂と該樹脂中に分散され
    た磁石粉末とを有する比抵抗1Ω・cm以上のボンド磁
    石であり、 該磁石粉末は、固有保磁力が5KOe以上、キュリー点
    が300℃以上、最大粒径150μm、平均粒径2〜5
    0μmの希土類磁石粉末を無機ガラスで被覆したものか
    らなり、該希土類磁石粉末は、Sm−Co磁石粉末、N
    d−Fe−B磁石粉末、およびSm−Fe−N磁石粉末
    の内から選ばれたものであることを特徴とするインダク
    タンス部品。
  36. 【請求項36】 請求項35に記載のインダクタンス部
    品において、前記バイアス用永久磁石は、金型成形によ
    って成形されていることを特徴とするインダクタンス部
    品。
  37. 【請求項37】 請求項36に記載のインダクタンス部
    品において、前記バイアス永久磁石は、成形圧縮率が2
    0%以上であることを特徴とするインダクタンス部品。
  38. 【請求項38】 請求項35に記載のインダクタンス部
    品において、前記バイアス用永久磁石は、その表面に耐
    熱温度120℃以上の耐熱樹脂または耐熱塗料を被覆し
    ていることを特徴とするインダクタンス部品。
  39. 【請求項39】 請求項35に記載のインダクタンス部
    品において、前記無機ガラスは軟化点が220℃〜55
    0℃であることを特徴とするインダクタンス部品。
  40. 【請求項40】 請求項35に記載のインダクタンス部
    品において、前記無機ガラスを、重量比で10%以下含
    有することを特徴とするインダクタンス部品。
  41. 【請求項41】 請求項35に記載のインダクタンス部
    品において、前記樹脂の含有量は、体積比で20%以上
    であり、該樹脂は、ポリプロピレン樹脂、6−ナイロン
    樹脂、12−ナイロン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチ
    レン樹脂、エポキシ樹脂から選択された少なくとも一種
    であることを特徴とするインダクタンス部品。
  42. 【請求項42】 磁路の少なくとも1箇所以上に約50
    〜10000μmのギャップ長を有する磁気ギャップを
    有する磁気コアと、該磁気ギャップ両端から磁気バイア
    スを供給するために、該磁気ギャップ近傍に配した磁気
    バイアス用磁石と、該磁気コアに少なくとも1ターン卷
    回されたコイル巻線とを有し、半田リフロー処理される
    インダクタンス部品において、 前記磁気バイアス用磁石は、樹脂と該樹脂中に分散され
    た磁石粉末とを有する比抵抗1Ω・cm以上のボンド磁
    石であり、 該磁石粉末は、固有保磁力が10KOe以上、キュリー
    点が500℃以上、最大粒径150μm、平均粒径2.
    5〜50μmのSm−Co希土類磁石粉末であり、無機
    ガラスによって被覆されているものからなることを特徴
    とするインダクタンス部品。
  43. 【請求項43】 請求項42に記載のインダクタンス部
    品において、前記バイアス用永久磁石は、金型成形によ
    って成形されていることを特徴とするインダクタンス部
    品。
  44. 【請求項44】 請求項43に記載のインダクタンス部
    品において、前記バイアス永久磁石は、成形圧縮率が2
    0%以上であることを特徴とするインダクタンス部品。
  45. 【請求項45】 請求項42に記載のインダクタンス部
    品において、前記バイアス用永久磁石は、その表面に耐
    熱温度270℃以上の耐熱樹脂または耐熱塗料を被覆し
    ていることを特徴とするインダクタンス部品。
  46. 【請求項46】 請求項42に記載のインダクタンス部
    品において、前記SmCo希土類磁石粉末が、Sm(C
    balFe0.15〜0.25Cu0.0
    5〜0.06Zr0.02〜0.037.0〜8.5
    で表される合金粉末であることを特徴とするインダクタ
    ンス部品。
  47. 【請求項47】 請求項42に記載のインダクタンス部
    品において、前記無機ガラスは、軟化点が220℃〜5
    00℃であることを特徴とするインダクタンス部品。
  48. 【請求項48】 請求項42に記載のインダクタンス部
    品において、前記無機ガラスを重量比で10%以下含有
    することを特徴とするインダクタンス部品。
  49. 【請求項49】 請求項42に記載のインダクタンス部
    品において、前記樹脂の含有量は体積比で30%以上で
    あり、該樹脂は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹
    脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、
    シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族ポリアミド樹
    脂、液晶ポリマーから選択された少なくとも1種である
    ことを特徴とするインダクタンス部品。
  50. 【請求項50】 磁路の少なくとも1箇所以上に約50
    0μm以下のギャップ長を有する磁気ギャップを有する
    磁気コアと、該磁気ギャップ両端から磁気バイアスを供
    給するために、該磁気ギャップ近傍に配した磁気バイア
    ス用磁石と、該磁気コアに少なくとも1ターン卷回され
    たコイル巻線とを有するインダクタンス部品において、 前記磁気バイアス用磁石は、樹脂と該樹脂中に分散され
    た磁石粉末とを有する比抵抗0.1Ω・cm以上、厚さ
    500μm以下のボンド磁石であり、 該磁石粉末は、固有保磁力が5KOe以上、キュリー点
    が300℃以上、最大粒径150μm、平均粒径2.0
    〜50μmの希土類磁石粉末であり、該希土類磁石粉末
    は、Sm−Co磁石粉末、Nd−Fe−B磁石粉末、お
    よびSm−Fe−N磁石粉末の内から選ばれたものであ
    るとともに、無機ガラスによって被覆されものからなる
    ことを特徴とするインダクタンス部品。
  51. 【請求項51】 請求項50に記載のインダクタンス部
    品において、前記バイアス用永久磁石は、樹脂と磁石粉
    末の混合物からドクターブレード法および印刷法等の成
    膜法によって成形されていることを特徴とするインダク
    タンス部品。
  52. 【請求項52】 請求項50に記載のインダクタンス部
    品において、前記バイアス永久磁石は、成形圧縮率が2
    0%以上であることを特徴とするインダクタンス部品。
  53. 【請求項53】 請求項50に記載のインダクタンス部
    品において、前記バイアス用永久磁石は、その表面に耐
    熱温度120℃以上の耐熱樹脂または耐熱塗料を被覆し
    ていることを特徴とするインダクタンス部品。
  54. 【請求項54】 請求項50に記載のインダクタンス部
    品において、前記無機ガラスは、軟化点が220℃〜5
    00℃であることを特徴とするインダクタンス部品。
  55. 【請求項55】 請求項50に記載のインダクタンス部
    品において、前記永久磁石は前記無機ガラスを重量比で
    10%以下含有することを特徴とするインダクタンス部
    品。
  56. 【請求項56】 請求項50に記載のインダクタンス部
    品において、前記樹脂の含有量は、体積比で20%以上
    であり、該樹脂は、ポリプロピレン樹脂、6−ナイロン
    樹脂、12−ナイロン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチ
    レン樹脂、エポキシ樹脂から選択された少なくとも一種
    であることを特徴とするインダクタンス部品。
  57. 【請求項57】 磁路の少なくとも1箇所以上に約50
    0μm以下のギャップ長を有する磁気ギャップを有する
    磁気コアと、該磁気ギャップ両端から磁気バイアスを供
    給するために、該磁気ギャップ近傍に配した磁気バイア
    ス用磁石と、該磁気コアに少なくとも1ターン卷回され
    たコイル巻線とを有し、半田リフロー処理されるインダ
    クタンス部品において、 前記磁気バイアス用磁石は、樹脂と該樹脂中に分散され
    た磁石粉末とを有する比抵抗0.1Ω・cm以上、厚さ
    500μm以下のボンド磁石であり、 該磁石粉末は、固有保磁力が10KOe以上、キュリー
    点が500℃以上、最大粒径150μm、平均粒径2.
    5〜50μmのSm−しげるCo希土類磁石粉末である
    とともに無機ガラスによって被覆されたものからなるこ
    とを特徴とするインダクタンス部品。
  58. 【請求項58】 請求項57に記載のインダクタンス部
    品において、前記バイアス用永久磁石は、樹脂と磁石粉
    末の混合物からドクターブレード法あるいは印刷法等の
    成膜法によって成形されていることを特徴とするインダ
    クタンス部品。
  59. 【請求項59】 請求項57に記載のインダクタンス部
    品において、前記バイアス永久磁石は、成形圧縮率が2
    0%以上であることを特徴とするインダクタンス部品。
  60. 【請求項60】 請求項57に記載のインダクタンス部
    品において、前記無機ガラスは軟化点が220℃〜50
    0℃であることを特徴とするインダクタンス部品。
  61. 【請求項61】 請求項57に記載のインダクタンス部
    品において、前記永久磁石は、前記無機ガラスを重量比
    で、10%以下含有することを特徴とするインダクタン
    ス部品。
  62. 【請求項62】 請求項57に記載のインダクタンス部
    品において、前記バイアス用永久磁石は、その表面に耐
    熱温度270℃以上の耐熱樹脂または耐熱塗料を被覆し
    ていることを特徴とするインダクタンス部品。
  63. 【請求項63】 請求項57に記載のインダクタンス部
    品において、前記SmCo希土類磁石粉末が、Sm(C
    balFe0.15〜0.25Cu0.0
    5〜0.06Zr0.02〜0.037.0〜8.5
    で表される合金粉末であることを特徴とするインダク
    タンス部品。
  64. 【請求項64】 請求項57に記載のインダクタンス部
    品において、前記樹脂の含有量は体積比で30%以上で
    あり、該樹脂は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹
    脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、
    シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族ポリアミド樹
    脂、液晶ポリマーから選択された少なくとも1種である
    ことを特徴とするインダクタンス部品。
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