JP2003007238A - ビームセパレータおよび反射電子顕微鏡 - Google Patents

ビームセパレータおよび反射電子顕微鏡

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JP2003007238A JP2001189820A JP2001189820A JP2003007238A JP 2003007238 A JP2003007238 A JP 2003007238A JP 2001189820 A JP2001189820 A JP 2001189820A JP 2001189820 A JP2001189820 A JP 2001189820A JP 2003007238 A JP2003007238 A JP 2003007238A
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Nobuo Iida
信雄 飯田
Katsushige Tsuno
勝重 津野
Atsushi Matsumoto
温 松本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一次ビームと二次ビームの一方のビームを直
進させ、他方のビームを90°曲げることができるビー
ムセパレータおよび反射電子顕微鏡を実現する。 【解決手段】 Z方向から上部の2極子24,25を通
過してビームセパレータ内に入射した一次電子ビーム
は、重畳場内をほぼ直進し、下部の2極子26,27を
通過してビームセパレータから出射する。一方、下部の
2極子26,27を通過してビームセパレータ内に入射
した二次電子ビーム(反射電子ビーム)は、一次電子ビ
ームとエネルギーがほぼ等しい場合であっても、ビーム
セパレータ内の重畳場によりほぼ90°曲げられ、ドー
ナツ状に形成された左側の4極子28内を通過してビー
ムセパレータから出射するように、ビームセパレータ内
に磁界と電界の重畳場を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体検査装置と
してスループットの向上が大きく期待される反射電子顕
微鏡に用いて最適なビームセパレータおよび反射電子顕
微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】走査電子顕微鏡では、試料上に電子ビー
ムを細く集束すると共に、試料上の所定範囲を電子ビー
ムで走査するようにしている。試料に電子ビームを照射
することによって2次電子が発生するが、この2次電子
を検出し、この検出信号を一次電子ビームの走査と同期
した陰極線管に供給し、試料の走査像を表示するように
している。
【0003】半導体検査装置のスループットを格段に向
上させるものとして期待されている。これに対して反射
電子顕微鏡は、電子銃から発生した一次電子ビームを被
検査試料の所定の領域に照射し、この照射領域から反射
された電子を結像し像として観察するものであり、この
反射電子顕微鏡には縦型と横型のものが考えられ、それ
ぞれについて図を参照して説明する。図1は縦型の反射
電子顕微鏡の一例を示したもので、電子銃1から発生し
た一次電子ビーム2はプローブフォーミングレンズ群3
に入射し、適宜な径のビームとされる。電子銃の種類と
しては、LaB6やタングステンフィラメントを使用し
たもの、あるいは、電界放射型電子銃を使用したものな
どいずれのタイプの電子銃を用いても良い。
【0004】プローブフォーミングレンズ群3を出射し
た一次電子ビーム2は、ビームセパレータ4に入射す
る。一次電子ビーム2は、ビームセパレータ4によって
偏向され、垂直方向に90°曲げられる。その進路を9
0°曲げられた一次電子ビーム2は、試料6の前面に所
定の径で照射される。なお、一次電子ビーム2は、対物
レンズ5によって試料6の前面に焦点が合わされる。
【0005】試料6は移動ステージ7の上に載置されて
いるが、試料6には電源8より負の電圧が印加されてお
り、その結果、試料6の前面に焦点を合わされた一次電
子ビームは、試料6の表面に形成された電界により反射
される。反射電子は、試料表面の形状に基づいて形成さ
れている電界についての情報を含んでおり、この反射電
子は対物レンズ5によって上方に取り出される。なお、
ステージ7は駆動機構9によって2次元的に移動可能に
されており、駆動機構9は制御回路10によって制御さ
れる。
【0006】対物レンズ5の上方に取り出された反射電
子は、ビームセパレータ4内を直進し、中間レンズ群1
1によって試料の反射電子像が拡大される。試料表面の
形状の情報を含む反射電子は、アパーチャ12を通って
オメガフィルタ13に入射する。オメガフィルタ13で
は、反射電子の内特定のエネルギーの反射電子のみがエ
ネルギー選択スリット14を透過し、他のエネルギーの
反射電子はスリット14によってカットされる。
【0007】この例では反射電子のエネルギーの選択を
オメガフィルタを用いて行ったが、オメガフィルタは必
須の構成要素ではなく、他のフィルタを用いてもよく、
また、場合によってはフィルタを用いずとも良い。
【0008】オメガフィルタ13によってエネルギー選
択が行われた反射電子は、投影レンズ群15に入射す
る。投影レンズ群15は、エネルギー選択が行われた反
射電子をCCDカメラ16の受光面上に投影する。この
結果、試料6の反射電子像はCCDカメラ16によって
撮像される。カメラ16によって得られた映像信号は、
イメージプロセッサ17に供給され、像の解析処理が行
われる。なお、18はイメージプロセッサ17やステー
ジ7の駆動機構9を制御する制御回路10を制御するた
めのコンピュータである。
【0009】上述した図1の装置では、試料6の特定領
域に所定断面積の一次電子ビーム2を照射し、負の電圧
が印加された試料6によって反射された電子に基づく像
を拡大し、更にエネルギー選択を行ってCCDカメラ1
6によってその像を撮像するようにしている。この得ら
れた像により、所定範囲の半導体試料表面の形状等の情
報が同時に得られ、この情報を処理することにより、高
いスループットで半導体試料の検査を行うことができ
る。
【0010】図2は横型の反射電子顕微鏡を示してお
り、図1の縦型の反射電子顕微鏡と同一ないしは類似の
構成要素には同一番号を付してその詳細な説明は省略す
る。この図2の構成では、電子銃1からの一次電子ビー
ム2は試料6に対して垂直方向から照射され、そのため
一次電子ビーム2はビームセパレータ4を直進して試料
6に照射される。
【0011】試料6への所定の径を有した一次電子ビー
ム2の照射によって得られた反射電子は、ビームセパレ
ータ4によってその進行方向を90°曲げられる。90
°曲げられた反射電子は、投影レンズ15によってカメ
ラ16の受光面に照射される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述した反射電子顕微
鏡で重要な構成要素の一つとしてビームセパレータ4を
挙げることができる。このビームセパレータの重要な役
割としては、図2の横型反射電子顕微鏡では、一次電子
ビームに影響を及ぼさないようにして、反射電子を2次
側のビームとして曲げ、像形成を行えるようにすること
である。また、図1の縦型反射電子顕微鏡では、反射電
子に影響を及ぼさないようにして、一次電子ビームを曲
げ、試料に照射することである。
【0013】従来、この種のビームセパレータとして
は、ウィーンフィルタが多く用いられている。しかしな
がら、ウィーンフィルタは、電極と磁極とが同一平面に
位置しているため、像形成のための反射電子を90°方
向に曲げられない点や、電極形状を独立に決められない
欠点を有している。反射電子顕微鏡では、一次ビームの
照射系と二次ビームの結像系とが90°の関係で結合さ
れていることが装置製作上有利な点が多い。例えば、投
影側のワーキングデスタンスを短くできるため、像の倍
率の設定に自由度が出るとか、収差を小さくできる等で
ある。
【0014】また、先願の発明(特願平8−83853
号)では、荷電粒子ビームの光軸に沿って、電界を発生
する第1の一対の電極と、磁界を発生する一対の磁極
と、電界を発生する第2の一対の電極とを配置し、電界
と磁界の強さを荷電粒子ビームが直進する条件に設定
し、二次ビームを曲げて一次ビームと二次ビームとをセ
パレートするようにしている。しかしながら、この先願
の発明では、二次ビームを90°曲げられず二次ビーム
は斜め方向にしか取り出せない。
【0015】本発明は、このような点に鑑みてなされた
もので、その目的は、一次ビームと二次ビームの一方の
ビームを直進させ、他方のビームを90°曲げることが
できるビームセパレータおよび反射電子顕微鏡を実現す
るにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に基づく
ビームセパレータは、X−Y−Zの三次元空間におい
て、一対の磁極子をその形成される磁界の方向がY軸と
なるように配置し、X−Z平面に磁極子を挟むようにし
て2組の第1の電極対をその光軸の方向がX軸に沿うよ
うに配置し、X−Z平面に磁極子を挟むようにして2組
の第2の電極対をその光軸の方向がZ軸に沿うように配
置したビームセパレータであって、一方の第1の電極対
から入射した一次電子ビームがビームセパレータ内の磁
界と電界の重畳場内をほぼ直進して、他方の第1の電極
対から出射し、他方の第1の電極対から入射した二次電
子ビームがビームセパレータ内の重畳場によってほぼ9
0°曲げられ、第2の電極対の一方から出射するよう
に、磁界の向きと強さ、電界の向きと強さが調整されて
いることを特徴としている。
【0017】請求項1の発明では、一対の磁極子が形成
する磁界と、第1の電極対と第2の電極対とが形成する
電界との重畳場により、エネルギーがほぼ等しい2種の
電子ビームの一方の一次電子ビームを直進させ、他方の
二次電子ビームをほぼ90°曲げる。
【0018】請求項2の発明に基づくビームセパレータ
は、X−Y−Zの三次元空間において、一対の磁極子を
その形成される磁界の方向がY軸となるように配置し、
X−Z平面に磁極子を挟むようにして2組の第1の電極
対をその光軸の方向がX軸に沿うように配置し、X−Z
平面に磁極子を挟むようにして2組の第2の電極対をそ
の光軸の方向がZ軸に沿うように配置したビームセパレ
ータであって、一方の第2の電極対から入射した一次電
子ビームがビームセパレータ内の磁界と電界の重畳場内
でほぼ90°曲げられ、他方の第1の電極対から出射
し、他方の第1の電極対から入射した二次電子ビームが
ビームセパレータ内の重畳場内をほぼ直進し、第1の電
極対の一方から出射するように、磁界の向きと強さ、電
界の向きと強さが調整されていることを特徴としてい
る。
【0019】請求項2の発明では、一対の磁極子が形成
する磁界と、第1の電極対と第2の電極対とが形成する
電界との重畳場により、エネルギーがほぼ等しい2種の
電子ビームの一方の一次電子ビームを90°曲げ、他方
の二次電子ビームをほぼ直進させる。
【0020】請求項3の発明では、請求項1又は2記載
のビームセパレータにおいて、第1の電極対として4極
子あるいは4の整数倍の数の電極子を用いた。請求項4
の発明では、請求項1又は2記載のビームセパレータに
おいて、第2の電極対として2極子あるいは2の整数倍
の数の電極子を用いた。
【0021】請求項5の発明では、請求項4記載のビー
ムセパレータにおいて、第2の電極対は2極子あるいは
2の整数倍の数の電極子であり、当該第2の電極対が2
段以上設けられていることを特徴としている。
【0022】請求項6の発明では、請求項1又は2記載
のビームセパレータにおいて、一対の磁極子の光軸に面
する端面が球状に形成されていることを特徴としてい
る。請求項7の発明に基づく反射電子顕微鏡は、電子銃
と、電子銃からの一次電子ビームが入射するビームセパ
レータと、ビームセパレータを通過した一次電子ビーム
を集束するための対物レンズと、試料に負の電圧を印加
するための電源と、試料表面で反射された反射電子ビー
ムをビームセパレータに入射させ、ビームセパレータを
出射した反射電子ビームに基づいて反射電子像を形成す
るための手段とを備えており、ビームセパレータは、X
−Y−Zの三次元空間において、一対の磁極子をその形
成される磁界の方向がY軸となるように配置し、X−Z
平面に磁極子を挟むようにして2組の第1の電極対をそ
の光軸の方向がX軸に沿うように配置し、X−Z平面に
磁極子を挟むようにして2組の第2の電極対をその光軸
の方向がZ軸に沿うように配置されており、各電極対に
よって形成される電界と一対の磁極子によって形成され
る磁界の向きと強さは、一次電子ビームがビームセパレ
ータ内を直進し、反射電子ビームがビームセパレータ内
でほぼ90°曲げられるように設定されたことを特徴と
している。
【0023】請求項7の発明では、一次電子ビームをビ
ームセパレータ内を直進させて試料に照射し、試料から
の反射電子ビームをビームセパレータで90°曲げ、セ
パレータから出射した反射電子ビームに基づいて反射電
子像を取得する。
【0024】請求項8の発明に基づく反射電子顕微鏡
は、電子銃と、電子銃からの一次電子ビームが入射する
ビームセパレータと、ビームセパレータを通過した一次
電子ビームを集束するための対物レンズと、試料に負の
電圧を印加するための電源と、試料表面で反射された反
射電子ビームをビームセパレータに入射させ、ビームセ
パレータを出射した反射電子ビームに基づいて反射電子
像を形成するための手段とを備えており、ビームセパレ
ータは、X−Y−Zの三次元空間において、一対の磁極
子をその形成される磁界の方向がY軸となるように配置
し、X−Z平面に磁極子を挟むようにして2組の第1の
電極対をその光軸の方向がX軸に沿うように配置し、X
−Z平面に磁極子を挟むようにして2組の第2の電極対
をその光軸の方向がZ軸に沿うように配置されており、
各電極対によって形成される電界と一対の磁極子によっ
て形成される磁界の向きと強さは、一次電子ビームがビ
ームセパレータ内でほぼ90°曲げられ、反射電子ビー
ムがビームセパレータ内を直進するように設定されたこ
とを特徴としている。
【0025】請求項8の発明では、一次電子ビームをビ
ームセパレータ内でほぼ90°曲げて試料に照射し、試
料からの反射電子ビームをビームセパレータ内を直進さ
せ、セパレータから出射した反射電子ビームに基づいて
反射電子像を取得する。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。図3は、本発明に基づくビ
ームセパレータの概念図であり、図2に示した横型の反
射電子顕微鏡に用いられる構造を有している。図中21
は一対の磁極子であり、コイル22,23に所望の電流
+I、−Iを流すことにより、所望の磁界が形成され
る。この磁界は、Y軸(紙面に垂直方向)に形成される
が、図では一対の磁極子(磁極片)21aのみ図示され
ており、他方の磁極子21bは示されていない。
【0027】X−Z平面において、この磁極子21を挟
むようにして、磁極子21の上部には、第1と第2の2
極子24,25が配置され、また、磁極子21の下部に
は、第1と第2の2極子26,27が配置されている。
それぞれの2極子24,25、26,27には、図に示
すように、所望の電圧+V2、−V2が印加されるが、
各2極子の光軸はZ軸(一次電子ビーム2の光軸)に一
致されている。なお、2極子は2段構成とされている。
【0028】X−Z平面において、この磁極子21を挟
むようにして、左側に4極子28が、右側には4極子2
9が配置される。それぞれの4極子28,29はリング
状に形成されており、各電極には、図に示すように、所
望の電圧+V1、−V1が印加されるが、各4極子の光
軸はZ軸と垂直なX軸(ビームセパレータによって90
°曲げられたビームの光軸)に一致されている。
【0029】ビームセパレータによって曲げられた反射
電子は、静電型のフォーカスレンズ30によって収束さ
れ、投影レンズ群15に向けられる。フォーカスレンズ
の真ん中の電極30bは接地電位とされ、入射側の電極
30aには電圧+V3が印加され、出射側の電極30cに
は電圧ーV4が印加される。投影レンズ群15を構成す
る各コイル15a、15b、15cにはそれぞれ電流I2,
I3,I4が流されている。
【0030】図4〜図6は、図3に示したビームセパレ
ータの概念図をより詳細に示したもので、図4は上面
図、図5は正面図、図6は側面図である。これらの図か
ら明らかなように、一次電子ビーム2の照射によって試
料から反射された2次の反射電子ビームと平行に配置さ
れている磁極対の形状が、箱形ではなく、端面が球状に
えぐられている。このような工夫を施した理由は、ビー
ムの収束を磁極の端部近傍でも取りやすくするためであ
る。
【0031】さて、上記した磁極子21による磁界の強
さ、2極子24〜27に印加する電圧の値V1、4極子
28,29に印加する電圧の値V2を適宜選択すること
により、ビームセパレータ内には磁界と電界の重畳場が
形成される。ここで、Z方向から上部の2極子24,2
5を通過してビームセパレータ内に入射した一次電子ビ
ームは、重畳場内をほぼ直進し、下部の2極子26,2
7を通過してビームセパレータから出射する。
【0032】一方、下部の2極子26,27を通過して
ビームセパレータ内に入射した二次電子ビーム(反射電
子ビーム)は、一次電子ビームとエネルギーがほぼ等し
い場合であっても、ビームセパレータ内の重畳場により
ほぼ90°曲げられ、ドーナツ状に形成された左側の4
極子28内を通過してビームセパレータから出射する。
【0033】この一次電子ビームがビームセパレータ内
で直進し、二次電子ビームが90°曲げられる理由は、
ビームの進行方向に対しての磁界と電界の向きによる。
また、一次電子ビームを直進させ、二次電子ビームを9
0°曲げるためには、磁界の強さと電界の強さの調整が
必要となる。
【0034】図3および図4〜図6に示したビームセパ
レータを構成する磁極子(磁極片)、2極子、4極子の
位置関係と、このビームセパレータによる一次ビームと
二次ビームのセパレーションの状態を図7と図8のシミ
ュレーション図に示す。この図7と図8のシミュレーシ
ョン図は、横型の反射電子顕微鏡に適用した場合であ
り、図7はZ−X平面における状態、図8はX−Y平面
における状態である。これらの図において、ビームセパ
レータ領域を囲むようにして、シールド板32が配置さ
れている。
【0035】このシミュレーション図において、一次の
電子ビーム2と試料からの二次の反射電子ビームRは、
ビームセパレータ内でほぼ90°異なる方向の軌道を有
している。また、図7のZ−X平面、図8のX−Y平面
のいずれにおいても、各ビームのフォーカスが取れてい
る。
【0036】ここで再度図7,図8を用いてビームセパ
レータを構成する各要素の配置とそれらの動作について
述べる。一次電子ビーム2の光軸をZ方向とすると、そ
れに対して水平方向および垂直方向に設けた電極対(2
極子および4極子)が存在する。この水平方向(X軸方
向)に設けられた電極対が4極子28,29であり、垂
直方向(Z軸方向)に設けられた電極対が2極子24,
26である。更に、X軸方向に対称に磁極対21a、2
1bが設けられている。
【0037】これらの構成要素は、ビームの出入り穴を
除いてシールド板で囲まれている。また、電極対(2極
子および4極子)は、それぞれ円筒形を分割したドーナ
ツ状の形状とされている。
【0038】さて、上記したビームセパレータの構造
は、先願の発明(特願平8−83853号)の構造に比
べて、横の両側に4極子を配置している点と、反射電子
の検出側にフォーカス用のレンズを設けている点で異な
る。このような新規な構成とすることにより、先願の発
明では二次ビームを斜め方向にして曲げられないもの
が、90°方向に曲げることが可能となる。
【0039】上記した本発明の実施の形態において、セ
パレートされたビームの収差の影響を確認するために、
光軸に平行に丸くビームを入射させた場合のビームセパ
レータからの出射ビームの形状のシミュレーション結果
を図9に示す。この図9から明らかなように、ビームセ
パレータを通過した一次電子ビーム2の断面形状F2は
ほとんど変形しないことが分かる。また、二次反射電子
ビームRとしてフォーカスレンズを出射後のビーム形状
Frもほぼ丸に近く、歪みの少ない像形成が可能である
ことが理解できる。
【0040】以上の本発明の実施の形態の説明は、ビー
ムセパレータを図2の横型の反射電子顕微鏡に適用した
場合を例にして行ったが、本発明のビームセパレータ
は、図1に示すような縦型の反射電子顕微鏡にも適用が
可能である。図10に図7から一次電子ビーム側と反射
電子側とを入れ替えた場合のビームセパレーションのシ
ミュレーション図を示す。
【0041】この場合、前記したように、磁極子21に
よる磁界の強さ、2極子24〜27に印加する電圧の値
V1、4極子28,29に印加する電圧の値V2を適宜選
択することにより、ビームセパレータ内には磁界と電界
の重畳場が形成される。ここで、X方向から左側の4極
子28を通過してビームセパレータ内に入射した一次電
子ビームは、重畳場内でほぼ90°曲げられ、下部の2
極子26,27を通過してビームセパレータから出射す
る。
【0042】一方、下部の2極子26,27を通過して
ビームセパレータ内に入射した二次電子ビーム(反射電
子ビーム)は、一次電子ビームとエネルギーがほぼ等し
い場合であっても、ビームセパレータ内の重畳場内をほ
ぼ直進し、上部の2極子24,25を通過してビームセ
パレータから出射する。
【0043】この一次電子ビームがビームセパレータ内
で90°曲げられ、二次電子ビームがほぼ直進する理由
は、ビームの進行方向に対しての磁界と電界の向きによ
る。また、一次電子ビームを90°曲げ、二次電子ビー
ムを直進させるためには、磁界の強さと電界の強さの調
整が必要となる。
【0044】この図10のシミュレーション図から明ら
かなように、一次電子ビームと反射電子ビームRとは確
実に分離され、本発明に基づくビームセパレータが縦型
の反射電子顕微鏡にも使用可能であることが証明され
る。なお、この図11のケースでは、二次側の反射電子
ビームはビームセパレータ内を直進し、一次電子ビーム
2が90°曲げられる。この反射電子ビームが直進する
ことにより、反射電子に基づく像形成の際に収差が少な
くなり、低収差像の形成には縦型の反射電子顕微鏡が有
利であるといえる。
【0045】なお、一次電子ビームを90°曲げ、二次
反射電子ビームRを直進させる条件は、図5に示した横
型の構成要素の配置に対して、次の3つの動作が必要と
なる。まず第1にフォーカスレンズの電圧を遮断するこ
とである。第2に磁極の磁場の向きを反転させることで
ある。第3に4極子と2極子の電圧比を変化させること
である。しかしながら、これらの全ては電気的な調整の
みで可能であり、機械的な変更は一切必要とならない。
【0046】以上本発明の実施の形態を説明したが、各
シミュレーションにおいて、一次電子ビーム2と二次反
射電子ビームのエネルギーは両者共に3keVであり、各
電極へ印加される電圧は4から5kV程度を用いた。ま
た、本発明はこの実施の形態に限定されない。例えば、
ビームセパレータにおける各ビームの収差をより小さく
するために、電極対を2極子や4極子以外に、それらの
整数倍である6極子や8極子などを用いることができ
る。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明で
は、一対の磁極子が形成する磁界と、第1の電極対と第
2の電極対とが形成する電界との重畳場により、エネル
ギーがほぼ等しい2種の電子ビームの一方の一次電子ビ
ームを直進させ、他方の二次電子ビームをほぼ90°曲
げるように構成した。その結果、二次電子ビームの収差
を著しく小さくすることができると共に、各種電極形状
を独立に決定することができる効果を有する。
【0048】請求項2の発明では、一対の磁極子が形成
する磁界と、第1の電極対と第2の電極対とが形成する
電界との重畳場により、エネルギーがほぼ等しい2種の
電子ビームの一方の一次電子ビームを90°曲げ、他方
の二次電子ビームをほぼ直進させるように構成した。そ
の結果、一次電子ビームと二次電子ビームの収差を共に
著しく小さくすることができると共に、各種電極形状を
独立に決定することができる効果を有する。
【0049】請求項3の発明では、請求項1〜2記載の
ビームセパレータにおいて、第1の電極対として4極子
あるいは4の整数倍の数の電極子を用いたので請求項1
および2と同様の効果が達成できる。
【0050】請求項4の発明では、請求項1〜2記載の
ビームセパレータにおいて、第2の電極対として2極子
あるいは2の整数倍の数の電極子を用いたので請求項1
および2と同様の効果が達成できる。
【0051】請求項5の発明では、請求項4記載のビー
ムセパレータにおいて、第2の電極対は2極子あるいは
2の整数倍の数の電極子であり、当該第2の電極対が2
段以上設けられていることを特徴としており、請求項4
と同様の効果が達成される。
【0052】請求項6の発明では、請求項1〜2記載の
ビームセパレータにおいて、一対の磁極子の光軸に面す
る端面が球状に形成されていることを特徴としており、
請求項1および2の発明と同様の効果が達成される。
【0053】請求項7の発明では、一次電子ビームをビ
ームセパレータ内を直進させて試料に照射し、試料から
の反射電子ビームをビームセパレータで90°曲げ、セ
パレータから出射した反射電子ビームに基づいて反射電
子像を取得するように構成したので、反射電子像の収差
による影響を著しく低減することができる。また、反射
電子像の結像系の構成を一次電子ビームの照射系に対し
て90°の関係で結合させることができるため、装置製
作が容易となる。
【0054】請求項8の発明では、一次電子ビームをビ
ームセパレータ内でほぼ90°曲げて試料に照射し、試
料からの反射電子ビームをビームセパレータ内を直進さ
せ、セパレータから出射した反射電子ビームに基づいて
反射電子像を取得するように構成したので、反射電子像
の収差による影響を著しく低減することができる。ま
た、反射電子像の結像系の構成を一次電子ビームの照射
系に対して90°の関係で結合させることができるた
め、装置製作が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】縦型の反射電子顕微鏡の一例を示す図である。
【図2】横型の反射電子顕微鏡の一例を示す図である。
【図3】本発明に基づくビームセパレータの概念図であ
る。
【図4】本発明に基づくビームセパレータの上面図であ
る。
【図5】本発明に基づくビームセパレータの正面図であ
る。
【図6】本発明に基づくビームセパレータの側面図であ
る。
【図7】本発明に基づくビームセパレータによる一次ビ
ームと二次ビームの分離の状態のシミュレーション図で
ある。
【図8】本発明に基づくビームセパレータによる一次ビ
ームと二次ビームの分離の状態のシミュレーション図で
ある。
【図9】本発明に基づくビームセパレータを通過したビ
ームの形状のシミュレーション図である。
【図10】本発明に基づくビームセパレータを縦型の反
射電子顕微鏡に適用した場合の一次ビームと二次ビーム
の分離の状態のシミュレーション図である。
【符号の説明】
21 磁極子 24,25,26,27 2極子 28,29 4極子 30 フォーカスレンズ
フロントページの続き (72)発明者 松本 温 東京都昭島市武蔵野三丁目1番2号 日本 電子株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X−Y−Zの三次元空間において、一対
    の磁極子をその形成される磁界の方向がY軸となるよう
    に配置し、X−Z平面に磁極子を挟むようにして2組の
    第1の電極対をその光軸の方向がX軸に沿うように配置
    し、X−Z平面に磁極子を挟むようにして2組の第2の
    電極対をその光軸の方向がZ軸に沿うように配置したビ
    ームセパレータであって、一方の第1の電極対から入射
    した一次電子ビームがビームセパレータ内の磁界と電界
    の重畳場内をほぼ直進して、他方の第1の電極対から出
    射し、他方の第1の電極対から入射した二次電子ビーム
    がビームセパレータ内の重畳場によってほぼ90°曲げ
    られ、第2の電極対の一方から出射するように、磁界の
    向きと強さ、電界の向きと強さが調整されていることを
    特徴とするビームセパレータ。
  2. 【請求項2】 X−Y−Zの三次元空間において、一対
    の磁極子をその形成される磁界の方向がY軸となるよう
    に配置し、X−Z平面に磁極子を挟むようにして2組の
    第1の電極対をその光軸の方向がX軸に沿うように配置
    し、X−Z平面に磁極子を挟むようにして2組の第2の
    電極対をその光軸の方向がZ軸に沿うように配置したビ
    ームセパレータであって、一方の第2の電極対から入射
    した一次電子ビームがビームセパレータ内の磁界と電界
    の重畳場内でほぼ90°曲げられ、他方の第1の電極対
    から出射し、他方の第1の電極対から入射した二次電子
    ビームがビームセパレータ内の重畳場内をほぼ直進し、
    第1の電極対の一方から出射するように、磁界の向きと
    強さ、電界の向きと強さが調整されていることを特徴と
    するビームセパレータ。
  3. 【請求項3】 第1の電極対は4極子あるいは4の整数
    倍の数の電極子である請求項1又は2記載のビームセパ
    レータ。
  4. 【請求項4】 第2の電極対は2極子あるいは2の整数
    倍の数の電極子である請求項1又は2記載のビームセパ
    レータ。
  5. 【請求項5】 第2の電極対は2極子あるいは2の整数
    倍の数の電極子であり、当該第2の電極対が2段以上設
    けられている請求項4記載のビームセパレータ。
  6. 【請求項6】 一対の磁極子の光軸に面する端面が球状
    に形成されている請求項1又は2記載のビームセパレー
    タ。
  7. 【請求項7】 電子銃と、電子銃からの一次電子ビーム
    が入射するビームセパレータと、ビームセパレータを通
    過した一次電子ビームを集束するための対物レンズと、
    試料に負の電圧を印加するための電源と、試料表面で反
    射された反射電子ビームをビームセパレータに入射さ
    せ、ビームセパレータを出射した反射電子ビームに基づ
    いて反射電子像を形成するための手段とを備えており、
    ビームセパレータは、X−Y−Zの三次元空間におい
    て、一対の磁極子をその形成される磁界の方向がY軸と
    なるように配置し、X−Z平面に磁極子を挟むようにし
    て2組の第1の電極対をその光軸の方向がX軸に沿うよ
    うに配置し、X−Z平面に磁極子を挟むようにして2組
    の第2の電極対をその光軸の方向がZ軸に沿うように配
    置されており、各電極対によって形成される電界と一対
    の磁極子によって形成される磁界の向きと強さは、一次
    電子ビームがビームセパレータ内を直進し、反射電子ビ
    ームがビームセパレータ内でほぼ90°曲げられるよう
    に設定された反射電子顕微鏡。
  8. 【請求項8】 電子銃と、電子銃からの一次電子ビーム
    が入射するビームセパレータと、ビームセパレータを通
    過した一次電子ビームを集束するための対物レンズと、
    試料に負の電圧を印加するための電源と、試料表面で反
    射された反射電子ビームをビームセパレータに入射さ
    せ、ビームセパレータを出射した反射電子ビームに基づ
    いて反射電子像を形成するための手段とを備えており、
    ビームセパレータは、X−Y−Zの三次元空間におい
    て、一対の磁極子をその形成される磁界の方向がY軸と
    なるように配置し、X−Z平面に磁極子を挟むようにし
    て2組の第1の電極対をその光軸の方向がX軸に沿うよ
    うに配置し、X−Z平面に磁極子を挟むようにして2組
    の第2の電極対をその光軸の方向がZ軸に沿うように配
    置されており、各電極対によって形成される電界と一対
    の磁極子によって形成される磁界の向きと強さは、一次
    電子ビームがビームセパレータ内でほぼ90°曲げら
    れ、反射電子ビームがビームセパレータ内を直進するよ
    うに設定された反射電子顕微鏡。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013172365A1 (ja) * 2012-05-15 2013-11-21 株式会社日立ハイテクノロジーズ 電子ビーム応用装置および電子ビーム調整方法

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