JP2003004075A - 車両用ブレーキ素子の寿命表示装置の修理方法 - Google Patents

車両用ブレーキ素子の寿命表示装置の修理方法

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JP2003004075A
JP2003004075A JP2001187851A JP2001187851A JP2003004075A JP 2003004075 A JP2003004075 A JP 2003004075A JP 2001187851 A JP2001187851 A JP 2001187851A JP 2001187851 A JP2001187851 A JP 2001187851A JP 2003004075 A JP2003004075 A JP 2003004075A
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controller
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wear
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Hideo Ogawa
秀夫 小川
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Akebono Brake Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パッド等のブレーキ素子の寿命を表示して、
運転者に不安感を与える事なく、制御器18が故障した
場合でも、上記ブレーキ素子の交換時期を確実に認識で
きる様にする。 【解決手段】 断線検知回路11aにより上記ブレーキ
素子のライニングが所定量摩耗した事を検知する。又、
距離測定手段12aにより、車両の走行距離を測定す
る。演算器13が、上記ライニングが所定量摩耗した時
点での残り厚さと、この所定量摩耗するまでの走行距離
とから、摩耗許容限度厚さに達するまでの寿命を求め
る。そして、表示器14が、この寿命を表示する。上記
演算器13を含む制御器18が故障した場合には、この
制御器18の記憶部20にそれまで蓄積したデータを、
新たに組み込む別の制御器の記憶部に移し替える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明の対象となる車両用
ブレーキ素子の寿命表示装置は、ドラムブレーキ用のブ
レーキシューアッセンブリ、或はディスクブレーキ用の
パッドとして、自動車等の車両の制動に使用するブレー
キ素子の寿命、言い換えれば交換までに走行可能な距離
を運転者に知らせる為のものである。特に、本発明は、
この様な車両用ブレーキ素子の寿命表示装置の制御器が
故障した場合に、故障するまでの間のデータを利用可能
にして、修理後に上記寿命の表示を可能にするものであ
る。尚、本明細書でブレーキ素子とは、ブレーキシュー
アッセンブリとパッドとを総称したものを表す。逆に言
えば、本明細書でブレーキシューアッセンブリとは、ド
ラムブレーキ用のブレーキ素子を指し、パッドとは、デ
ィスクブレーキ用のブレーキ素子を指す。
【0002】
【従来の技術】車両用のブレーキには、裏板にライニン
グを添着して成るブレーキ素子を組み込んでいる。制動
を行なう場合には、このライニングをドラム或はディス
ク等の制動用回転体に押し付ける。このライニングは、
制動の繰り返しにより次第に摩耗する為、或る程度摩耗
が進んだ場合に、新しいブレーキ素子と交換しなければ
ならない。ところが、上記ライニングの厚さを外部から
目視して判定する事は不可能若しくは困難である為、ウ
ェアインジケータと呼ばれるセンサをブレーキ素子に装
着し、上記ライニングが許容限度にまで摩耗した場合
に、上記ウェアインジケータからの信号に基づいて運転
席に設けた警報器から、ブレーキ素子の交換を促す旨の
指令を出す様にしている。
【0003】図4は、この様な目的を達する為に考えら
れた、実開平5−47562号公報に記載されたウェア
インジケータ付パッドの1例を示している。パッド1を
構成する裏板2の端部で、ライニング3の周縁から突出
した部分には、上記裏板2の表裏面を貫通する状態で取
付孔4を形成し、この取付孔4の内側にウェアインジケ
ータ5を、保持筒6と圧縮ばね7とを介して装着してい
る。このウェアインジケータ5は、合成樹脂製のホルダ
8中に、検出部である導線9を埋設して成る。この様な
ウェアインジケータ5を上記裏板2に支持した状態で上
記導線9の先端部は、上記ライニング3の摩耗許容限度
面Xに位置する。
【0004】制動の繰り返しに伴って上記ライニング3
が摩耗し、その厚さ寸法が小さくなると、先ずホルダ8
の先端部がディスク10との摩擦によって摩耗する。そ
して、更に摩耗が進むと、このホルダ8中に埋設された
導線9の先端部とディスク10の側面とが擦れ合って、
この導線9が、その先端部で破断する。導線9が破断し
た事は、図示しない検出回路により検出し、この検出回
路が運転席に設けた警報器に信号を送って、この警報器
により前記パッド1の交換を促す旨の指令を出す。
【0005】従来から知られているパッドの摩耗警報装
置は、単にパッドのライニングが残り少なくなっている
事を、何の予兆もなく突然知らせるのみである。この
為、一般的な運転者には不安を与える可能性がある。こ
れに対して、例えば特許2689272号公報等には、
ライニングの摩耗程度を複数段に分けて運転者に知らせ
る装置が記載されている。但し、この改良された装置に
しても、途中の段階でライニングの寿命、即ち、制動不
能になるまでに走行可能な距離を運転者に知らせる事は
できない。ブレーキ素子が、ドラムブレーキ用のブレー
キシューアッセンブリの場合でも同様である。
【0006】
【先発明の説明】この様な事情に鑑みて本発明者は先
に、ブレーキ装置に関する知識を持たない、一般的な運
転者にも、不安を与える事なく、しかもブレーキ素子の
交換時期を確実に知らせて、車両の安全運行を図れる、
車両用ブレーキ素子の寿命表示装置に関する発明を行な
った(特願2001−105984号)。先ず、この先
発明に係る車両用ブレーキ素子の寿命表示装置に就いて
説明する。
【0007】図5〜8は、上記先発明の実施の形態の第
1例を示している。先ず、図5は、先発明の車両用ブレ
ーキ素子の寿命表示装置の制御部を示すブロック図であ
る。この制御部は、断線検知回路11と、距離測定手段
12と、演算器13と、表示器14とを備える。このう
ちの断線検知回路11は、図6〜7に示す様なパッド1
を構成するライニング3の摩耗量が所定値に達した事を
検知する為のものである。この為に、上記パッド1に導
体15を設置し、この導体15が、上記ライニング3の
摩耗の過程で切断される様にしている。上記パッド1に
対する上記導体15の設置構造は特に問わない。前述の
図4に示した構造も、採用可能である。或は、トリミン
グ抵抗と呼ばれる、印刷された抵抗体も使用可能であ
る。この様なトリミング抵抗を使用する場合で、上記ラ
イニング3が導電性を有するものである場合には、絶縁
製フィルムにトリミング抵抗を印刷したものを、上記ラ
イニング3の周面に貼付する事が考えられる。
【0008】何れにしても上記導体15の先端部は、図
6に示す様に上記ライニング3の厚さ方向中間部の所定
位置に配置して、図6→図7に示す様にこのライニング
3が、予め設定された所定量T0 分摩耗した場合に、デ
ィスク10の側面との摩擦に伴って切断される様にして
いる。上記導体15が切断された場合には、上記断線検
知回路11に印加される電圧が変化するので、この断線
検知回路11が上記導体15が切断された事、即ち、上
記ライニング3が上記所定量T0 分摩耗した事を検知す
る。そして上記断線検知回路11が、上記導体15が切
断された事を表す断線信号を、上記演算器13に向けて
送り出す。一方、上記距離測定手段12は、車両の走行
距離を測定する。この様な距離測定手段12は、先発明
の車両用ブレーキ素子の寿命表示装置を構成する為に特
別に用意する必要はなく、車両の走行距離計をそのまま
使用できる。何れにしても上記距離測定手段12は、車
両の走行距離を表す距離信号を、上記演算器13に向け
て送り出す。
【0009】又、この演算器13は、上記断線検知回路
11から送り込まれる断線信号と、上記距離測定手段1
2から送り込まれる、上記導体15が切断されるまでの
走行距離を表す距離信号とに基づいて、この走行距離に
対する上記ライニング3の摩耗量の割合を表す摩耗比を
求める。更に、この摩耗比と、上記導体15が断線した
時点でのこのライニング3の残量(摩耗許容限度面Xま
での残りの厚さTX )とに基づいて、前記パッド1の寿
命を計算する。この点に就いて、図8により説明する。
【0010】図8のOs 点で新品に交換したパッド1に
組み込んだ上記導体15が、図8のα点で切断されたと
する。この場合に、このパッド1を交換した後、上記導
体15が切断されるまでの走行距離をL0 とする。又、
上記ライニング3の摩耗量は、前記所定量T0 である。
従って、上記パッド1を交換してから上記導体15が切
断されるまでの、上記走行距離に対するライニング3の
摩耗量の割合を表す摩耗比、即ち、図8の実線Os −α
の傾斜は、T0 /L0 となる。上記ライニング3が、そ
の後も同じ割合で摩耗し続けると仮定した場合、上記実
線Os −αをそのまま延長した鎖線と、ライニングの厚
さを表した縦軸に関する位置が上記ライニング3の摩耗
許容限度面Xの位置である、横軸とが交差する点Oe
で、上記パッド1が寿命に達する(パッド1の交換が必
要になる)ものと予想される。そこで、上記点Oe での
走行距離Le と上記導体15が切断されるまでの走行距
離L 0 との差「Le −L0 」を、上記導体15が切断さ
れた時点(上記α点)での、上記パッド1の寿命として
算出する。そして、この時点から自動車が走行したなら
ば、この時点からの走行距離Lx を、上記導体15が切
断された時点での寿命から引いた(減じた)値「Le
0 −Lx 」を、当該時点でのパッド1の寿命として算
出する。
【0011】又、前記表示器14は、上述の様にして前
記演算器13が計算した、上記パッド1の寿命を表示す
る。この様な表示器14としては、従来から車両のダッ
シュボード部分に設けられている、各種表示装置と同様
のものを採用できる。即ち、このダッシュボード部分
に、例えば「パッドが2/3まで摩耗しました」「パッ
ド交換まで後Xkm走行できます」等の文字を表示した
り、或は、針で摩耗程度を表すアナログ式のメータ等の
表示手段が採用可能である。
【0012】又、必要に応じて、上記ライニング3が摩
耗許容限度厚さまで摩耗したと推定される(上記点Oe
での走行距離Le に達した)場合には、音声やブザーに
よりパッド1の交換を促す警告を発する事もできる。更
に、上記摩耗許容限度厚さを越えて(これよりも薄くな
って)も上記パッド1を交換する事なく車両の運行を継
続する場合には、エンジン始動用のセルモータへの通電
を停止したり、始動時(更に必要に応じて走行時)に特
に大きな警告音を発する様な制御を行なう事も可能であ
る。
【0013】次に、図9〜20は、先発明の実施の形態
の第2例を示している。本例の場合には、複数(図示の
例では3本)の導体15a、15b、15cを、パッド
1を構成するライニング3の厚さ方向に関して互いに異
なる位置に設置している。即ち、新品のパッド1のライ
ニング3の摩擦面16を基準として、一段目の導体15
aをこの摩擦面16から厚さT1 分だけ裏板2側に寄っ
た部分に設置している。又、二段目の導体15bを、上
記一段目の導体15aよりも更に厚さT2 分だけ上記裏
板2側に寄った部分に設置している。更に、三段目の導
体15cを、上記二段目の導体15bよりも更に厚さT
3 分だけ上記裏板2側に寄った部分に設置している。上
記各厚さT1 、T2 、T3 は、互いに等しくても(T1
=T2 =T3 でも)良いが、それぞれの値が既知であれ
ば、必ずしも等しくする必要はない。又、上記三段目の
導体15cは、摩耗許容限度面XからT4 分、上記裏板
2から離れた側に設置している。
【0014】何れにしても、制動の繰り返しに伴って上
記ライニング3が次第に摩耗すると、上記各導体15
a、15b、15cが、このライニング3の摩耗量に応
じて順次切断される。本例の場合には、この様に複数の
導体15a、15b、15cを順次切断させる事で、断
線検知回路11aにより上記ライニング3の摩耗量を複
数段に分けて検知する。そして、何れかの導体15a
(又は15b、15c)が切断された事を表す断線信号
を、演算器13(図5参照)に向けて送り出す。又、こ
の演算器13は、上記断線検知回路11aから送り込ま
れる断線信号と、新たに導体が切断された時点とその直
前に別の導体が切断された時点との間の摩耗量と走行距
離とに基づいて、この走行距離に対する上記ライニング
3の摩耗量の割合を表す摩耗比を求める。そして、この
摩耗比と上記新たに導体が切断された時点での上記ライ
ニング3の残量とに基づいて、前記パッド1の寿命を計
算する。但し、新品のパッド1を装着後、第一段の導体
15aが切断されるまでの間は、予め設定した上記ライ
ニング3の摩耗量と走行距離との摩耗比と、距離測定手
段12(図5参照)から送り込まれる走行距離を表す信
号とに基づいて、上記パッド1の寿命を計算する。これ
らの点に就いて、図10〜20により説明する。
【0015】先ず、図10に示す様に、新品の(ライニ
ング3が摩耗していない)パッド1を装着した状態から
このパッド1の使用を開始した場合、予め設定した上記
ライニング3の摩耗量と走行距離との比率である標準摩
耗比と、上記距離測定手段12から送り込まれる走行距
離を表す信号とに基づいて、上記パッド1の寿命を計算
する。即ち、この場合には、標準的な使用状態を勘案し
て求めた上記標準摩耗比に基づいて、上記ライニング3
の摩耗量を推定する。図11は、この標準摩耗比により
設定した、走行距離とライニング3の摩耗量との関係
を、図12は、上記図11に示した関係に基づいて上記
パッド1の寿命を求め、更にこの求めた寿命を表示する
際の動作を、それぞれ示している。この様な標準摩耗比
を採用して上記パッド1の寿命を表示する事により、新
品のパッド1を装着した直後からこのパッド1の寿命表
示が可能になる。この為、何れは交換が必要になるパッ
ド1の存在を、運転者に早くから認識させる事ができ
る。
【0016】制動の繰り返しに伴って上記パッド1のラ
イニング3が摩耗すると、図13に示す様に、前記第一
段の導体15aが切断される。上記パッド1を交換した
後この第一段の導体15aが切断されるまでの走行距離
を、図14に示す様にL1 とし、交換後にこの第一段の
導体15aが切断されるまでの摩耗量T1 とする。この
条件の下で上記第一段の導線15aが切断されたなら
ば、上記走行距離L1 と摩耗量T1 とに基づいて、上記
ライニング3の摩耗量と走行距離との摩耗比、T 1 /L
1 を求める。そして、上記ライニング3が、その後も同
じ割合で摩耗し続けると仮定して、上記第一段の導体1
5aが切断された時点での、上記ライニング3の厚さが
摩耗許容限度厚さに摩耗するまでに走行可能な距離L1X
を求める。上記第一段の導体15aが切断された後に
は、図15に示す様に、第二段の導体15bが切断され
るまでは、切断後の走行距離L1X″を、上記第一段の導
体15aが切断された時点で走行可能な距離L1Xから減
じて、その減じた値L1X′を表示器14(図5参照)に
より表示する。
【0017】上記ライニング3が更に摩耗し、図16に
示す様に上記第二段の導体15bが切断された場合に
は、図17に示した、上記第一段の導体15aが切断さ
れてから上記第二段の導体15bが切断されるまでの摩
耗量T2 と走行距離L2 とに基づいて、この走行距離L
2 に対する上記ライニング3の摩耗量T2 の割合である
摩耗比T2 /L2 を求める。そして、上記ライニング3
が、その後も同じ割合で摩耗し続けると仮定して、上記
ライニング3の厚さが摩耗許容限度厚さに摩耗するまで
に走行可能な距離を求める。従って、同一のパッド1を
使用している途中で、車両の所有者が変わったり、或は
走行条件が変わる(郊外中心の走行と都市部中心の走行
との変更)等により、上記摩耗量と走行距離との関係が
大きく異なる様な事態が発生しても、これを修正して、
上記走行可能な距離を正しく求める事ができる。
【0018】上記第二段の導体15bが切断された後に
は、第三段の導体15cが切断されるまでは、この第二
段の導体15bの切断後の走行距離を、上記第二段の導
体15bが切断された時点で走行可能な距離から減じ
て、その減じた値を、パッド交換までに走行可能な距離
として、表示器により表示する。この場合の作用は、第
一段の導体15aが切断された後と同様である。
【0019】上記ライニング3が更に摩耗し、図18に
示す様に上記第三段の導体15cが切断された場合に
は、図19に示した、上記第二段の導体15bが切断さ
れてから上記第三段の導体15cが切断されるまでの摩
耗量T3 と走行距離L3 とに基づいて、この走行距離L
3 に対する上記ライニング3の摩耗量T3 の割合である
摩耗比T3 /L3 を求める。そして、上記ライニング3
が、その後も同じ割合で摩耗し続けると仮定して、上記
ライニング3の厚さが摩耗許容限度厚さに摩耗するま
で、即ち、このライニング3が図9のT4 分摩耗する間
に走行可能な距離L 4 (L3X)を求める。この場合の基
本的な作用は、上記第一段の導体15aが切断されてか
ら上記第二段の導体15bが切断されるまでの間の作用
と同様である。
【0020】但し、本例の場合には、上記第三段の導体
15cが最終段の導体である為、この第三段の導体15
cが切断された後は、図20のフローチャートに示す様
に、上記ライニング3の厚さが摩耗許容限度にまで達し
たか否かを判定する動作を行なう。そして、この厚さが
摩耗許容限度にまで達したならば、走行可能な距離(こ
の場合には0km)の表示を消滅させる代わりに、運転者
に直ちにパッド1の交換を行なう様に促す警告を発す
る。
【0021】尚、温度変化に基づくライニング3の摩耗
量の変化を補正する為には、図21に示す様に、パッド
1を構成する裏板2の端部でライニング3の周縁から突
出した部分に、サーミスタ等の温度センサ17を設ける
事も、先に考えた。この場合には、温度センサ17によ
ってディスク10の側面等の制動部の温度を検出し、上
記温度センサ17が検出する温度が高い程、演算器13
(図5参照)にパッド1の寿命を短く計算させる補正を
加える。上記ライニング3は、温度が高くなる程摩耗が
著しくなるので、上記温度センサ17の測定値に基づく
補正を加える事により、上記パッド1の寿命を、より正
確に算出できる様になる。
【0022】更に、ブレーキペダルが踏まれた回数を計
測する為のブレーキセンサを設け、このブレーキペダル
が踏まれた回数が多い程、上記演算器13に上記パッド
1等のブレーキ素子の寿命を短く計算させる補正を加え
る事もできる。前述した様に、上記ライニング3の摩耗
量は、走行パターンにより大きく変わる。従って、郊外
(或は高速道路)を走行する場合と都市部を走行する場
合との違いの様な場合に就いても、ブレーキペダルが踏
まれる回数に応じて摩耗量と走行距離との摩耗比T/L
に補正を加えれば、上記パッド1等のブレーキ素子の寿
命を、より正確に算出できる様になる。
【0023】
【本発明が解決しようとする課題】上述の様に構成し作
用する、先発明に係る車両用ブレーキ素子の寿命表示装
置は、運転者に不安感を与える事なくブレーキ素子の交
換時期を確実に知らせる事ができるが、演算器13を含
む制御器が故障してこれを修理した場合に就いては、特
に考慮していない。この為、この制御器が故障して、車
両用ブレーキ素子の寿命表示装置の修理の為に故障した
制御器を新たな制御器と交換した場合には、交換の前後
でブレーキ素子の寿命に関する計算に連続性がなくなっ
て、この寿命に関する表示が不正確になってしまう。具
体的には、上記制御器を交換した後に於ける、上記ブレ
ーキ素子の交換時期の表示が、この制御器と同時にブレ
ーキ素子を交換した如き表示になってしまう。この様な
状態は、運転者が未だライニングが十分に残っていると
考えているにも拘らず、ブレーキ素子が寿命に達する状
態に結び付く為、好ましくない。本発明は、この様な事
情に鑑み、制御器が故障した場合でも、ブレーキ素子の
交換時期の表示に大きな誤差が生じない様にすべく発明
したものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明の修理方法の対象
となる車両用ブレーキ素子の寿命表示装置は、前述した
先発明に係る車両用ブレーキ素子の寿命表示装置と同様
に、ブレーキ素子のライニングが摩耗する過程で切断さ
れる導体と、この導体が切断された事を検知して断線信
号を送り出す検知回路と、車両の走行距離を測定して距
離信号を送り出す距離測定手段と、これら断線信号と距
離信号とに基づいて上記ライニングの摩耗量と走行距離
との比である摩耗比を求め、更にこの摩耗比と距離信号
と上記導体が断線した時点でのこのライニングの残量と
に基づいて上記ブレーキ素子の寿命を計算する演算器
と、この演算器が計算した寿命を表示する表示器とを備
える。特に、本発明の車両用ブレーキ素子の寿命表示装
置の修理方法は、この車両用ブレーキ素子の寿命表示装
置を構成する、上記演算器を含む制御器の故障時に、故
障した制御器を新たな制御器と交換するものである。こ
の様な、本発明の車両用ブレーキ素子の寿命表示装置の
修理方法では、上記制御器内の記憶部に記憶されてい
る、上記走行距離に関するデータと、上記摩耗量と走行
距離との比に関するデータとを、上記故障した制御器か
ら上記新たな制御器に移し替える。そして、この新たな
制御器により、従前のデータを利用した寿命表示を可能
にする。
【0025】
【作用】上述の様な、本発明の対象となる車両用ブレー
キ素子の寿命表示装置によれば、前述した先発明の車両
用ブレーキ素子の寿命表示装置と同様に、ブレーキ素子
の交換時期を、寿命に達する直前に突然知らせるのでは
なく、予め連続的に知らせる事ができる。この為、一般
的な運転者にも不安を与える事がなくなる。更に、本発
明の車両用ブレーキ素子の寿命表示装置の修理方法の場
合には、演算器を含む制御器が故障して、この故障した
制御器を新たな制御器と交換した場合でも、故障までに
この制御器の記憶部に記憶しておいた、走行距離に関す
るデータと、上記摩耗量と走行距離との比に関するデー
タとを利用して、上記ブレーキ素子の寿命表示を行なえ
る。この為、上記制御器が故障した場合でも、ブレーキ
素子の寿命に関して、運転者に正確な情報を伝える事が
できる。
【0026】
【発明の実施の形態】図1〜2は、本発明の実施の形態
の1例を示している。尚、本発明の特徴は、前述の図5
〜21により説明した先発明に係る車両用ブレーキ素子
の寿命表示装置を構成する制御器18が故障してこの制
御器18を交換した場合でも、この制御器18による寿
命表示に誤差が生じない様にする点にある。その他の部
分の構成及び作用は、上記先発明の場合と同様であるか
ら、重複する図示並びに説明は省略し、以下、本発明の
特徴である、上記先発明に対する改良点を中心に説明す
る。
【0027】先ず、図1のブロック図に就いて説明す
る。制御器18に組み込んだ演算器13には、上記先発
明の場合と同様に、導体が切断された事を検知する断線
検知回路11aからの断線信号と、車両の走行距離を測
定する距離測定手段12aからの距離信号と、ブレーキ
センサ19からの、ブレーキペダルが踏まれた回数を表
す信号とを入力している。尚、上記断線検知回路11a
には温度センサとしての機能も持たせて、制動時のライ
ニングの摩擦面の温度に関係する部分の温度を検出自在
としている。この様な機能を持たせる事は、上記断線検
知回路11aを構成する抵抗体に、サーミスタ等の、温
度変化に応じて抵抗値を変化させるものを使用する事
で、特に独立した温度センサを用意しなくても行なえ
る。以上に述べた、上記各構成要素11a、12a、1
9からの信号に基づいて上記演算器13が上記ブレーキ
素子の残り寿命を算出し、表示器14に表示させる作用
は、上記先発明の場合と同様である。
【0028】特に、本発明の修理方法を実施可能にする
為に、本例の車両用ブレーキ素子の寿命表示装置の場合
には、上記制御器18に、この制御器18の記憶部20
との間でデータの受出しを行なわせる為のコネクタ21
を設けている。又、上記制御器18には、上記記憶部2
0に記憶されているデータをこのコネクタ21に送り出
す旨の信号を送り込む為の情報出力開始スイッチ22
と、このコネクタ21に送り込まれたデータを上記記憶
部20に取り込んでこの記憶部20に記憶させる旨の信
号を送り込む為の情報入力開始スイッチ23とを、それ
ぞれ接続自在としている。尚、図示の例では、これら情
報出力開始スイッチ22と情報入力開始スイッチ23と
を、別途設けた操作ボックス25に設置している。
【0029】本発明の車両用ブレーキ素子の寿命表示装
置の修理方法を実施する場合には、上述の様な、コネク
タ21と情報出力開始スイッチ22と情報入力開始スイ
ッチ23とを利用して、故障した制御器18の記憶部2
0に記憶しておいたデータを、新たな制御器18の記憶
部20に移し替える。このデータの移し替えは、例えば
図2に示す様にして行なう。即ち、データ通信用コード
24の一端を、故障して車両から取り外す(或は取り外
した)制御器18aのコネクタ21(図1参照)に、同
じく他端を新たに車両に組み込む(或は組み込んだ)制
御器18bのコネクタ21に、それぞれ接続する。又、
この状態でこれら両制御器18a、18bに通電して、
これら両制御器18a、18bを、少なくとも上記記憶
部20(図1参照)に関して、データの出し入れを可能
な状態とする。
【0030】又、別途設けた操作ボックス25にそれぞ
れの一端を接続した、情報出力指示信号用コード26と
情報入力指示信号用コード27とのうち、情報出力指示
信号用コード26の他端部を上記故障した制御器18a
に、情報入力指示信号用コード27の他端部を上記新た
な制御器18bに、それぞれ接続する。そして、上記操
作ボックス25に設けた、上記情報出力開始スイッチ2
2と情報入力開始スイッチ23とを操作する。このう
ち、情報出力開始スイッチ22の操作に基づいて、上記
故障した制御器18aの記憶部20に記憶されている、
走行距離に関するデータと、摩耗量と走行距離との比に
関するデータとが、上記コネクタ21を通じて上記デー
タ通信用コード24に送り出される。又、上記情報入力
開始スイッチ23の操作に基づいて、このデータ通信用
コード24から上記新たな制御器18bのコネクタ21
に送り込まれた上記各データが、この新たな制御器18
bの記憶部20に送り込まれる。
【0031】この様にして、上記新たな制御器18bの
記憶部20に、上記故障した制御器18aの記憶部20
に記憶されていた上記データを移し替える事で、上記新
たな制御器18bにより、それまで蓄積していた、上記
走行距離に関するデータと、上記摩耗量と走行距離との
比に関するデータとを利用して、ブレーキ素子の寿命表
示を行なえる。この為、上記制御器が故障した場合で
も、ブレーキ素子の寿命に関して、運転者に正確な情報
を伝える事ができる。
【0032】尚、上述の説明は、故障した制御器18a
から新たな制御器18bへのデータの移し替え作業を、
これら両制御器18a、18bをデータ通信用コード2
4により直接接続した状態で行なう場合に就いて説明し
た。これに対して、故障診断の為に故障した制御器を別
の場所に送った場合等、上記両制御器18a、18b同
士を上記データ通信用コード24により直接接続する事
ができない場合も考えられる。この様な場合には、上記
走行距離に関するデータと、上記摩耗量と走行距離との
比に関するデータとを、フレキシブルディスク(F
D)、書き込み自在なコンパクトディスク(CDR)、
書き換え自在なROM(EEPROM)等の記憶媒体を
介して行なわせる事もできる。
【0033】図3は、この様な記憶媒体を介して上記各
データを故障した制御器18aから新たな制御器18b
にデータを移し替える状態を示している。この様な移し
替え作業を行なう際には、上記故障した制御器18aの
本体部分、或はこの制御器18aに接続したドライブユ
ニット28aに記憶媒体29をセットする事によりこの
記憶媒体29に、この制御器18aの記憶部20(図1
参照)に記憶された上記各データを移し替える。そし
て、このデータを記録した上記記憶媒体29を、上記新
たな制御器18bの本体部分、或はこの制御器18bに
接続したドライブユニット28bに記憶媒体29をセッ
トする事により、この記憶媒体29に記録された上記各
データを、上記新たな制御器18bの記憶部20(図1
参照)に移し替える。この様にしてデータの移し替えを
行なった場合でも、上記制御器18aの故障に拘らず、
ブレーキ素子の寿命に関して、運転者に正確な情報を伝
える事ができる。
【0034】
【発明の効果】本発明の車両用ブレーキ素子の寿命表示
装置の修理方法は、以上に述べた通り構成し作用するの
で、制御器が故障した場合でも、ブレーキ素子の交換時
期に関する情報に誤差が生じる事を防止して、車両の安
全運行を、高次元で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例のブロック図。
【図2】故障した制御器から新たな制御器にデータを移
し替える状態の第1例を示すブロック図。
【図3】同第2例を示す斜視図。
【図4】従来から知られているウェアインジケータ付パ
ッドの1例を示す、部分断面図。
【図5】先発明の車両用ブレーキ素子の寿命表示装置の
制御部を示すブロック図。
【図6】ライニングの摩耗が進んでいない状態で示す、
先発明の実施の形態の第1例を構成する摩耗検知部の略
図。
【図7】同じく摩耗が進んだ状態で示す、摩耗検知部の
略図。
【図8】摩耗量と走行距離との関係に基づくパッドの寿
命計算を説明する為の線図。
【図9】先発明の実施の形態の第2例を構成する摩耗検
知部の略図。
【図10】ライニングの摩耗が進んでいない状態で示
す、先発明の実施の形態の第2例を構成する摩耗検知部
の略図。
【図11】第一段の導体が切断される以前に行なう、パ
ッドの寿命計算を説明する為の線図。
【図12】第一段の導体が切断される以前に行なう、パ
ッドの寿命計算のフローチャート。
【図13】第一段の導体が切断されるまでライニングの
摩耗が進んだ状態で示す摩耗検知部の略図。
【図14】第一段の導体が切断された後に行なう、パッ
ドの寿命計算を説明する為の線図。
【図15】第一段の導体が切断された後に行なう、パッ
ドの寿命計算のフローチャート。
【図16】第二段の導体が切断されるまでライニングの
摩耗が進んだ状態で示す摩耗検知部の略図。
【図17】第二段の導体が切断された後に行なう、パッ
ドの寿命計算を説明する為の線図。
【図18】第三段の導体が切断されるまでライニングの
摩耗が進んだ状態で示す摩耗検知部の略図。
【図19】第三段の導体が切断された後に行なう、パッ
ドの寿命計算を説明する為の線図。
【図20】第三段の導体が切断された後に行なう、パッ
ドの寿命計算と警告発生とのフローチャート。
【図21】先発明の実施の形態の第3例を構成する摩耗
検知部の略図。
【符号の説明】
1 パッド 2 裏板 3 ライニング 4 取付孔 5 ウェアインジケータ 6 保持筒 7 圧縮ばね 8 ホルダ 9 導線 10 ディスク 11、11a 断線検知回路 12、12a 距離測定手段 13 演算器 14 表示器 15、15a、15b、15c 導体 16 摩擦面 17 温度センサ 18、18a、18b 制御器 19 ブレーキセンサ 20 記憶部 21 コネクタ 22 情報出力開始スイッチ 23 情報入力開始スイッチ 24 データ通信用コード 25 操作ボックス 26 情報出力指示信号用コード 27 情報入力指示信号用コード 28a、28b ドライブユニット 29 記憶媒体

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキ素子のライニングが摩耗する過
    程で切断される導体と、この導体が切断された事を検知
    して断線信号を送り出す検知回路と、車両の走行距離を
    測定して距離信号を送り出す距離測定手段と、これら断
    線信号と距離信号とに基づいて上記ライニングの摩耗量
    と走行距離との比である摩耗比を求め、更にこの摩耗比
    と上記距離信号と上記導体が断線した時点でのこのライ
    ニングの残量とに基づいて上記ブレーキ素子の寿命を計
    算する演算器と、この演算器が計算した寿命を表示する
    表示器とを備えた車両用ブレーキ素子の寿命表示装置を
    構成する、上記演算器を含む制御器の故障時に、故障し
    た制御器を新たな制御器と交換する、車両用ブレーキ素
    子の寿命表示装置の修理方法であって、この制御器内の
    記憶部に記憶されている、上記走行距離に関するデータ
    と、上記摩耗量と走行距離との比に関するデータとを、
    上記故障した制御器から上記新たな制御器に移し替え
    て、この新たな制御器により、従前のデータを利用した
    寿命表示を可能にする、車両用ブレーキ素子の寿命表示
    装置の修理方法。
  2. 【請求項2】 上記故障した制御器から上記新たな制御
    器へのデータの移し替えを、これら両制御器のコネクタ
    に両端部を接続した情報伝達ケーブルを介して行なわせ
    る、請求項1に記載した車両用ブレーキ素子の寿命表示
    装置の修理方法。
  3. 【請求項3】 上記故障した制御器から上記新たな制御
    器へのデータの移し替えを、記憶媒体を介して行なわせ
    る、請求項1に記載した車両用ブレーキ素子の寿命表示
    装置の修理方法。
  4. 【請求項4】 車両用ブレーキ素子の寿命表示装置は、
    複数の導体をライニングの厚さ方向に関して互いに異な
    る位置に設置する事で、上記検知回路により上記ライニ
    ングの摩耗量を、複数段に分けて検知自在とし、上記演
    算器は、新たに導体が切断された時点とその直前に別の
    導体が切断された時点との間の摩耗量と走行距離とに基
    づいて、上記ライニングの摩耗量と走行距離との比を求
    め、この比と上記新たに導体が切断された時点での上記
    ライニングの残量とに基づいて上記ブレーキ素子の寿命
    を計算するものである、請求項1〜3の何れかに記載し
    た車両用ブレーキ素子の寿命表示装置の修理方法。
  5. 【請求項5】 車両用ブレーキ素子の寿命表示装置は、
    新品のブレーキ素子を装着後、最初に導体が切断される
    までの間は、予め設定した上記ライニングの摩耗量と走
    行距離との比と、上記距離測定手段から送り込まれる走
    行距離を表す信号とに基づいて上記ブレーキ素子の寿命
    を計算するものである、請求項1〜4の何れかに記載し
    た車両用ブレーキ素子の寿命表示装置の修理方法。
  6. 【請求項6】 車両用ブレーキ素子の寿命表示装置は、
    制動時のライニングの摩擦面の温度に関係する部分の温
    度を検出する為の温度センサを設け、この温度センサが
    検出する温度が高い程、上記演算器にブレーキ素子の寿
    命を短く計算させる補正を加えるものであり、前記故障
    した制御器から前記新たな制御器に移し替えるデータ中
    に、上記温度に基づく補正に関するデータを含ませる、
    請求項1〜5の何れかに記載した車両用ブレーキ素子の
    寿命表示装置の修理方法。
  7. 【請求項7】 車両用ブレーキ素子の寿命表示装置は、
    ブレーキペダルが踏まれた回数を計測する為のブレーキ
    センサを設け、このブレーキペダルが踏まれた回数が多
    い程、上記演算器にブレーキ素子の寿命を短く計算させ
    る補正を加えるものであり、前記故障した制御器から前
    記新たな制御器に移し替えるデータ中に、上記ブレーキ
    ペダルが踏まれた回数に基づく補正に関するデータを含
    ませる、請求項1〜6の何れかに記載した車両用ブレー
    キ素子の寿命表示装置。
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