JP2003001929A - インクジェット記録シートおよびその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録シートおよびその製造方法

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JP2003001929A
JP2003001929A JP2001192397A JP2001192397A JP2003001929A JP 2003001929 A JP2003001929 A JP 2003001929A JP 2001192397 A JP2001192397 A JP 2001192397A JP 2001192397 A JP2001192397 A JP 2001192397A JP 2003001929 A JP2003001929 A JP 2003001929A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インク吸収ムラに起因する画像品位の良好な普
通紙タイプのインクジェット記録シートおよびその製造
方法を提供する。 【解決手段】表面サイズプレス液として、主としてアル
デヒド基を生成官能基とした酸化澱粉を用いることを特
徴とするインクジェット記録シート。好ましくは、酸化
澱粉と共にカチオン性樹脂を併用する。表面サイズプレ
ス方式として、ゲートロールコーター方式を用い、酸化
澱粉の糊液濃度を10〜14質量%、ゲートロールコー
ターのメタリングロール回転比を60〜80%に調節す
ることにより製造することを特徴とするインクジェット
記録シートの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶性インクを用
いて記録するインクジェット記録方式において、画像品
位の良好なインクジェット記録シートおよびその製造方
法に関するものである。さらに詳しくは、普通紙タイプ
のインクジェット記録シートであって、インク吸収ムラ
に起因する画像品位の良好なインクジェット記録シート
およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、種々の作動
原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録
シートに付着させ、画像・文字などの記録を行なうもの
であるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターン
の融通性が大きい、現像−定着が不要などの特徴があ
り、漢字を含め各種図形およびカラー画像などの記録装
置として種々の用途において急速に普及している。さら
に、多色インクジェット方式により形成される画像は、
製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に
比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。ま
た、作成部数が少なくて済む用途においては、写真技術
によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分
野にまで広く応用されつつある。
【0003】インクジェット記録シートの形態として
は、所謂、上質紙・ボンド紙などに代表される普通紙タ
イプと上質紙などの紙、合成紙、合成樹脂フィルムなど
の支持体上にインク受理層を設けた塗工紙タイプに大別
される。
【0004】塗工紙タイプは、インクジェット記録され
た画像の品位に優れることから、高品質を要求される用
途において使用され、近年では光沢タイプのインクジェ
ット記録シートも上市され需要を伸ばしている。
【0005】一方、近年に至っては、コストの安い普通
紙タイプが、外見的にも取扱いとしても好ましく、また
電子写真方式の記録用紙として共用できることから、需
要は広がりつつある。しかし、これらの普通紙タイプの
インクジェット記録シートの場合、インク吸収層を持つ
塗工紙タイプと違い、パルプを主成分とする記録シート
で直接インクを吸収しなくてはならず、インク吸収ムラ
に起因する画像品位の低下が発生し、十分な記録画像が
得られていないのが現状である。
【0006】前記インク吸収ムラを改良するには、表面
サイズプレスの方式としてインクラインドサイズプレス
方式(以下、ISP方式と略す。)を用い、低濃度、低
粘度の表面サイズプレス液を塗布することにより、効果
があることが確認されている。しかしながら、ISP方
式では低濃度、低粘度の表面サイズプレス液のため、紙
切れの発生、乾燥負荷の増大、抄速の低下などの操業上
の問題が多い。
【0007】これに対し、GRC方式では、高濃度の表
面サイズプレス液を用いるため、ISP方式で見られる
操業上の問題は解消されるものの、紙中への糊液の浸透
が少なく用紙表面上に糊液が留まりやすいために、透気
性の悪化や澱粉塗膜の不均一性により、インクジェット
記録を行った際にインク吸収ムラが発生するという問題
がある。
【0008】しかしながら、操業性向上は製紙メーカー
のとって重要な課題であり、操業効率の高いGRC方式
により画像品位の優れたインクジェット記録シートを製
造できる技術の開発が必須であることは言うまでもな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したとおり、普通
紙タイプのインクジェット記録シートにおいて、インク
吸収ムラに起因する良好な画像品位と操業性は両立して
いないのが現状であり、GRC方式を用いた場合でも良
好な画像品位を得ることが本発明の課題である。また、
用途によってはインクジェット記録の画像耐水性を要求
されることがあり、この場合には、記録された画像が何
らかの理由により水に曝された場合や湿度が高い条件に
おいても、インク染料が流れ出さないことが必要とな
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記に鑑み
鋭意研究した結果、表面サイズプレス液の主成分として
特定の酸化澱粉を使用することにより、またカチオン性
樹脂を併用することにより、本発明のインクジェット記
録シートを発明するに至り、さらに表面サイズプレス液
の塗布方式を規定することにより、その製造方法を発明
するに至った。
【0011】即ち、本発明のインクジェット記録シート
は、表面サイズプレス液の糊液として、主としてアルデ
ヒド基を生成官能基とする酸化澱粉を用いることを特徴
とするものである。
【0012】また、本発明において、表面サイズプレス
液の糊液として上記酸化澱粉と共にカチオン性樹脂を併
用することを特徴とするものである。
【0013】また、本発明のインクジェット記録シート
の製造方法は、表面サイズプレスの方式としてゲートロ
ールコーター方式(以下、GRC方式と略す。)によ
り、主としてアルデヒド基を生成官能基とする酸化澱粉
を表面サイズプレス液の糊液とし、液濃度10〜14質
量%の該表面サイズプレス液を用いて、該GRC方式の
メタリングロール回転比を60〜80%の範囲で調節す
ることにより製造することを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明のインクジェット記
録シートおよびその製造方法について、詳細に説明す
る。
【0015】普通紙タイプのインクジェット記録シート
は、通常抄紙機上でパルプおよび填料を主成分とする紙
層を形成した後、抄紙機の後工程に設置されている表面
サイズプレス装置で澱粉などの水溶性バインダーを主成
分とする表面サイズプレス液を塗布して製造される。
【0016】本発明で用いられる表面サイズプレス液と
は、澱粉糊化液にサイズ性を付与する目的で添加される
表面サイズ剤と数種の添加剤が混合された液を総称する
ものである。通常、15質量%以上で糊化された糊液
に、表面サイズ剤が1質量%以下、その他の添加剤がp
pmオーダーで添加された澱粉糊化液を主成分とするも
のである。表面サイズプレス液の液濃度は、GRC方式
やISP方式などの表面サイズプレス方式、および目的
とする塗布量により、適宜15質量%以下に希釈して使
用される。
【0017】抄紙機については、近年の高速化に伴い、
表面サイズプレスの方式は、従来技術であるISP方式
から、GRC方式への切り替えが進んでいる。
【0018】ISP方式とは、2本のロール(アプリケ
ーターロール)間のニップに表面サイズプレス液を供給
し、その液溜まり部(以下、ポンドと略す。)に紙をど
ぶ浸けして通紙することにより両面塗布を行う方式であ
る。ISP方式では、ロール本数が2本のみであること
から、投資額と所用スペース、維持費が比較的少なくて
済むという利点があるが、短所について多くの指摘がな
されている。
【0019】ISP方式において、表面サイズプレス液
は、回転するロールによってニップに引き込まれるが、
ニップを通過する液量はニップ圧によって制限されるこ
とから、ニップを通過できない液は上方に逆流すること
になる。この逆流の速度は、流体力学的な力となり、抄
紙機械が高速になるほど大きくなって、ある速度以上に
なると表面サイズプレス液が、ポンドの液面を破っては
ね飛ぶ”ボイリング”と呼ばれる現象が発生する。
【0020】ボイリングが発生すると、表面サイズプレ
ス液の塗布量が幅方向不均一となったり、さらに、ポン
ドにおいて紙にかかる表面サイズプレス液の重量分布も
幅方向不均一となるため、紙切れの要因ともなる。ボイ
リングを防止するために、表面サイズプレス液の濃度を
2〜4質量%の低濃度に抑えて低粘度化することによ
り、流体力学的な力を抑えたり、ロール径を大きくした
りする対策が採られているが、過度の低濃度化は、IS
P方式がどぶ浸け方式であるため、紙中への低濃度液の
浸透が増大することとなり、紙力の大幅な低下による紙
切れや、サイズプレス後のアフタードライヤーでの乾燥
能力の不足という大きな問題を引き起こし、一般的には
800m/分がISP方式での速度の上限と言われてい
る。
【0021】また、ISP方式による塗布量の調整は、
ボイリングが発生しない範囲での表面サイズプレス液の
液濃度の調整と、若干のアプリケーターロール加圧力調
整のみであり、どぶ浸けのため、事実上の塗布量の微妙
な調整は困難である。
【0022】以上のようなISP方式での問題点を解決
するために登場したのが、GRC方式である。GRC方
式は、片側3本ずつの合計6本のロールからなり、表面
サイズプレス液は外側2本のロール(ファンテンロール
とメタリングロール)間の1次ニップに供給されてポン
ドを形成し、ついでメタリングロールと紙に接するアプ
リケーターロール間の2次ニップで液膜を均一にならさ
れた後、紙に転写塗布する方式である。
【0023】GRC方式による塗布量の調整は、表面サ
イズプレス液の液濃度の調整と、メタリングロール回転
比の調節との組み合わせによって、ISP方式に比較し
て広範囲にわたって微妙な変更が可能である。つまり、
表面サイズプレス液の液濃度が一定であればメタリング
ロール回転比の増減によって、さらにメタリングロール
回転比が一定であれば表面サイズプレス液の液濃度の増
減によって、塗布量を変化させることができる。ただ
し、表面サイズプレス液の液粘度の違いによりロールへ
の転写量が異なるため、メタリングロール回転比は液種
により微妙に変化する。
【0024】メタリングロール回転比には、ロール保護
やミスト発生、さらに均一な塗布面を得るために適正な
回転比が存在する。つまり、アプリケーターロールとの
間に回転比の差をつけることにより、激しい剪断力を受
けることになり、60%未満の過度の低回転比での操業
は、クラックの発生によるロール損傷が懸念される。し
かし、80%以下の回転比ではアプリケーターロールよ
り若干低い回転比とすることにより、表面サイズプレス
液を均一に練り上げロールに転写させることが可能とな
る。一方、80%より高い回転比では、この均一化は十
分でないため紙表面に均一に塗布することはできない。
さらに、80%以下に下げることによりファウンテンロ
ールとメタリングロール間のポンド部から発生するミス
トを抑制することが可能である。ミストの発生は、GR
C廻りの露溜まりや澱粉粕発生の原因となり、これらの
落下による紙切れの発生につながることもある。このこ
とから、本発明では、メタリングロール回転比は60〜
80%の範囲で調節するものとする。
【0025】GRC方式は、ISP方式と比較して紙部
でのポンドがないことから、幅方向において安定であ
る。また、転写塗布のため、表面サイズプレス液を10
〜14質量%に高濃度化することが可能となり、表面サ
イズプレス液の紙中への浸透が少ないことから、紙力の
低下がなく、アフタードライヤーでの乾燥負荷を軽減で
きる。このことは、GRC方式では紙切れが少なく、高
速塗布に適していることを示すものである。
【0026】以上のように、紙切れの抑制や、高速高濃
度塗布が可能であるなど、操業的な利点が多いことか
ら、現在多くの製紙メーカーではISP方式からGRC
方式への切り替えがなされている。
【0027】しかしながら、GRC方式はISP方式に
比較して、得られるインクジェット記録シートの特性は
劣るものであり、操業性で得られる効果とは相反する結
果となることが知られている。これは、ISP方式とG
RC方式の塗布方式の違いによるところが大きい。
【0028】ISP方式では、低濃度、低粘度の表面サ
イズプレス液によるどぶ浸け塗布のため、紙中への表面
サイズプレス液の浸透が増大されるのに対し、GRC方
式では、高濃度の表面サイズプレス液による転写塗布の
ため、紙中への表面サイズプレス液の浸透は少なく、紙
表面にフィルム状に表面サイズプレス液が留まった状態
となる。このフィルムは表面強度向上には寄与するが、
紙の透気性を低下させ、またフィルムの厚さも均一でな
いことから、インクジェット記録におけるインクの吸収
ムラを発生させることとなる。
【0029】以上のように、表面サイズプレス液の紙中
への浸透性を増さない限り、GRC方式においてISP
方式と同レベルのインクジェット記録適性が良好な紙を
得ることは非常に困難と言わざるを得ない。
【0030】また、表面サイズプレス液の主成分として
用いられる澱粉は、前記紙中への浸透性に対し密接な関
係を持っている。
【0031】従来、表面サイズプレス液の主成分として
用いられている酸化澱粉は、コーンスターチなどの澱粉
スラリーや澱粉糊化液を次亜塩素酸ソーダなどの酸化剤
を用いて酸化反応させる製造方法が一般的であり、いわ
ゆる水系スラリーでの反応処理により得られ、この酸化
反応により得られる生成官能基は、主としてカルボキシ
ル基であることが知られている(以下、従来用いられて
いる水系スラリー反応で得られる酸化澱粉を湿式酸化澱
粉と略す)。この湿式酸化澱粉は、糊液濃度の増加によ
る粘度の上昇が大きいことが知られており、GRC方式
に適した高い表面サイズプレス液の液濃度において高粘
度となることが、紙中への浸透性を低下させる要因であ
った。
【0032】GRC方式において、従来用いられている
湿式酸化澱粉を用いた表面サイズプレス液の糊液濃度を
下げて低粘度化し、浸透性を向上する方法も考えられ
る。しかし、GRC方式は、メタリングロール回転比に
よって付着量調節を行うため、事実上、浸透性が増す粘
度まで濃度を下げてしまうと、目標とする付着量を確保
するためのメタリングロール回転比は上限オーバーとな
り、事実上の操業は不可能である。ミストの発生防止、
ロール保護の点から、メタリングロール回転比は80%
が上限である。また、製紙メーカーで自製している低粘
度の自家変性澱粉を用いる方法では、糊液の老化が早く
高濃度での保存が困難であり、表面強度が劣るなどの問
題があることから、一般に塗布量の少ないコート原紙に
は用いられるが、インクジェット記録シートや電子写真
用転写紙のような紙に用いられることはない。
【0033】そこで本発明では、GRC方式のメタリン
グロール回転比の調節で、塗布可能な10〜14質量%
の濃度まで表面サイズプレス液の液濃度を高くしても増
粘せずに低粘度を維持し、紙中への浸透性が高く、さら
に従来通りの使い勝手の良さや面強度、サイズ性の維持
ができる澱粉を用いることが必要となる。
【0034】本発明では、各種澱粉について検討する課
程において、主としてアルデヒド基を生成官能基とした
酸化澱粉を用いることにより、高濃度でも増粘せずに低
粘度を維持し、紙中への浸透性が高い効果が得られるこ
とに着目した。
【0035】本発明における主としてアルデヒド基を生
成官能基とした酸化澱粉とは、湿式酸化澱粉のような水
系スラリーでの酸化還元反応を行わない乾式培焼法によ
り製造される酸化澱粉を示すものである(以下、この酸
化澱粉を乾式酸化澱粉と略す。)。一般には、コーンス
ターチなどの各種澱粉に、過酸化水素水などの酸化還元
物をスプレーなどにより散布、均一に混合含浸させた
後、ベルトドライヤーなどの乾式培焼装置により加熱反
応処理させるものである。この酸化反応により得られる
官能基は、主としてアルデヒド基であり、湿式酸化澱粉
のようにカルボシキル基生成まで進行していないという
特徴が知られている。
【0036】本発明で用いる乾式酸化澱粉は、特開20
01−64302号公報に記載されている澱粉誘導体で
あり、澱粉、過酸化水素および金属触媒を含有し、水分
含量30質量%以下の混合物を酸性条件下にて80〜1
80℃の温度範囲内で加熱焙焼反応して得られる澱粉誘
導体である。得られた澱粉誘導体のアルデヒド基は、澱
粉誘導体重量に対して0.05質量%以上である。
【0037】使用される澱粉は、アミロースおよび/ま
たはアミロペクチンで構成される天然の炭水化物、例え
ばトウモロコシ澱粉(コーンスターチ)、馬鈴薯澱粉、
タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、およびこれらを元に
した化工澱粉などが挙げられる。
【0038】一般に、乾式酸化澱粉は、同一濃度の湿式
酸化澱粉に較べてはるかに低粘度であり、糊液濃度が高
くなっても増粘が小さいという特徴がある。この増粘が
小さいことにより、表面サイズプレスの糊液として乾式
酸化澱粉を用いた場合に、高濃度を保ったままで紙中へ
の浸透性を上げることが可能となる。
【0039】乾式酸化澱粉では、紙中への浸透性が高い
ことから、湿式酸化澱粉のように紙表面にフィルム状に
留まりにくい。このことから、紙表面強度の低下が懸念
されやすいが、生成官能基であるアルデヒド基が架橋結
合し、強固な被膜を形成するため、湿式酸化澱粉におけ
る紙表面強度と較べても遜色ないレベルを維持できる。
【0040】乾式酸化澱粉の糊液は、従来から用いられ
ている湿式酸化澱粉の糊液と全く同様の糊化方法により
得ることができる。つまり、澱粉スラリーは、攪拌装置
を備えた加温容器により85〜95℃で一定時間保持す
るか、ジェットクッカーにより加熱蒸気を加え、130
〜160℃に加温しながら通過させることで簡単に糊化
できる。
【0041】本発明のインクジェット記録シートの製造
方法において、乾式酸化澱粉の糊液濃度が10%未満の
場合、目標の塗布量を得るためには、GRC方式のメタ
リングロール回転比が上限を越えてしまい、14質量%
を越える場合は、メタリングロール回転比が低くなりす
ぎるため、ロールの摩耗が早くなり操業上好ましくな
い。即ち、適切なメタリングロール回転比60〜80%
で操業するためには、乾式酸化澱粉の糊液濃度は10〜
14質量%となる。塗布量の制御をメタリングロール回
転比で行うか、糊液濃度で行うかの選択は、実際の製造
におけるミストの発生状況などの操業上の観点から、使
用者が判断すればよい。
【0042】本発明の乾式酸化澱粉を用いたインクジェ
ット記録シートは、操業性の良好なGRC方式において
特に効果を発揮するが、ISP方式で用いても何ら問題
ない。
【0043】本発明においては、インクジェット記録さ
れた画像の耐水性が必要な場合には、乾式酸化澱粉と共
にカチオン性樹脂を併用することができる。
【0044】インクジェット記録方式に用いられる直接
染料や酸性染料を含有する水溶性インクの画像耐水性を
向上させるためには、染料のアニオン性部分とカチオン
性物質の反応による染料の定着と耐水化処理が有効であ
ることは自明のことであり、通常インクジェット記録シ
ートに画像耐水性を付与させる方法としては、下記に示
すようなカチオン性樹脂を付着させる方法が採られる。
【0045】一般的に使用されるカチオン性樹脂は、水
に溶解したときに離解してカチオン性を呈する1級〜3
級アミンまたは4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴ
マー、ポリマーであり、好ましくは、オリゴマーまたは
ポリマーである。
【0046】本発明に使用されるカチオン性樹脂の種類
は特に限定されないが、ジメチルアミン・エピクロルヒ
ドリン重縮合物、アクリルアミド・ジアリルアミン共重
合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、
ジメチル・ジアリル・アンモニウムクロライドを主成分
とする化合物を例示することができる。
【0047】また、本発明の表面サイズプレス液中に
は、乾式酸化澱粉、カチオン性樹脂の他、表面サイズ
剤、消泡剤、着色剤、蛍光増白剤、防腐剤等の添加剤を
適宜配合することもできる。
【0048】本発明のインクジェット記録シートは、木
材繊維主体の紙、または木材繊維や合成繊維を主体とし
た不織布の如きシート状物質が挙げられ、紙の場合に使
用される木材パルプは、NBKP、LBKP、NBS
P、LBSP、GP、TMPなどの他に、古紙パルプが
挙げられ、必要に応じて単独或いは併用して用いられ
る。
【0049】なお、古紙パルプの原料としては、(財)
古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されて
いる、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、
模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新
聞、雑誌などが挙げられる。さらに具体例としては、情
報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感
圧紙などのプリンター用紙、およびPPC用紙などのO
A古紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙など
の塗工紙、或いは上質紙、色上質、ノート、便箋、包装
紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、ス
ーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン
などの非塗工紙などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ
紙、高歩留りパルプ含有紙などが使用されるが、印字、
複写、印刷、非印刷を問わず特に限定されるものではな
い。
【0050】また、インクジェット記録シートに使用さ
れる内添填料は、白色顔料として従来公知の顔料が用い
られ、単独或いは併用できるが、例えば、軽質炭酸カル
シウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タル
ク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸
化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸ア
ルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネ
シウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、
リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグ
ネシウムのような白色無機顔料、スチレン系プラスチッ
クピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポ
リエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹
脂のような有機顔料などが挙げられる。
【0051】さらに、本発明のインクジェット記録シー
トを抄造する際に使用される内添サイズ剤としては、中
性抄紙に用いられる中性ロジン系サイズ剤、アルケニル
無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマー(A
KD)、石油樹脂系サイズ剤などが使用できる。
【0052】本発明において、紙料中には、その他の添
加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡
剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色
顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐
剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増
強剤などを本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適
宜配合することもできる。
【0053】本発明の抄紙方法において、抄紙機は、長
網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄
紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機など製紙業界で公知
の抄紙機を適宜使用できる。
【0054】本発明におけるインクジェット記録シート
は、インクジェット記録シートとしての使用に留まら
ず、記録時に液状であるインクを使用するような記録シ
ートとして用いることもできる。さらに、複写機・プリ
ンターなどに広く使用されている電子写真記録方式のト
ナーを加熱定着する記録シートとして、本発明における
インクジェット記録シートを使用することも可能であ
る。
【0055】
【実施例】以下に、本発明の実施例を挙げて説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。また、実施例において示す「部」および「%」は、
特に明示しない限り、質量部および質量%を示す。
【0056】実施例1 濾水度450mlcsfのLBKP100部からなるパ
ルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(商品
名:TP−121、奥多摩工業社製)8部、両性澱粉
(商品名:Cato3210、王子ナショナル社製)
0.8部、硫酸バンド1部、中性ロジンサイズ剤(商品
名:NeuSize M−10、ハリマ化成社製)0.
35部、歩留まり向上剤(商品名:NR−11LS、ハ
イモ社製)0.02部を添加して、長網抄紙機で抄造
し、表面サイズプレス液の澱粉糊液として乾式酸化澱粉
(商品名:乾式酸化澱粉、王子コーンスターチ社製)を
液濃度10%、表面サイズ剤(商品名:ポリマロン13
08、荒川化学工業社製)を液濃度0.5%になるよう
調整し、塗布量が両面で1.5g/m2となるように塗布
を行いマシンカレンダー掛けをして坪量64g/m2の実
施例1のインクジェット記録シートを作製した。その時
のメタリングロールの回転比は80%であった。
【0057】実施例2 実施例1の乾式酸化澱粉の液濃度を12%とした以外
は、実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記
録シートを作製した。その時のメタリングロールの回転
比は69%であった。
【0058】実施例3 実施例1の乾式酸化澱粉の液濃度を14%とした以外
は、実施例1と同様にして実施例3のインクジェット記
録シートを作製した。その時のメタリングロールの回転
比は60%であった。
【0059】実施例4 実施例2の表面サイズプレス液に乾式酸化澱粉と併用し
て、カチオン性樹脂(商品名:パピオゲンP−105、
センカ社製)液濃度4%を使用し、両者トータルの塗布
量が2.0g/m2となるよう塗布を行った以外は、実施
例2と同様にして、実施例4のインクジェット記録シー
トを作製した。その時のメタリングロールの回転比は6
7%であった。
【0060】実施例5 実施例2の表面サイズプレス液に乾式酸化澱粉と併用し
て、カチオン性樹脂(商品名:スミレーズレジン100
1、住友化学工業社製)液濃度4%を使用し、両者トー
タルの塗布量が2.0g/m2となるよう塗布を行った以
外は、実施例2と同様にして、実施例5のインクジェッ
ト記録シートを作製した。その時のメタリングロールの
回転比は65%であった。
【0061】比較例1 表面サイズプレス液の澱粉糊液として、湿式酸化澱粉
(商品名:MS#3800、日本食品化工社製)を用
い、液濃度を12%とした以外は、実施例1と同様にし
て、比較例1のインクジェット記録シートを作製した。
その時のメタリングロールの回転比は63%であった。
【0062】比較例2 比較例1の澱粉糊液の液濃度を10%とした以外は、比
較例1と同様にして、比較例2のインクジェット記録シ
ートを作製した。その時のメタリングロールの回転比は
76%であった。
【0063】比較例3 比較例1の澱粉糊液の液濃度を8%とした以外は、比較
例1と同様にして、比較例3のインクジェット記録シー
トを作製した。但し、澱粉付着量調整のためメタリング
ロール回転比をアップするも上限オーバーとなり、85
%にて保持したことから澱粉付着量は1.2g/m2しか
塗布できなかった。
【0064】比較例4 表面サイズプレス液の澱粉糊液として、自家変性澱粉を
用い変性可能濃度である液濃度8%にてGRC方式にて
塗布を行った以外は、比較例1と同様にして、比較例4
のインクジェット記録シートを作製した。ただし、澱粉
付着量調整のためメタリングロール回転比をアップする
も上限オーバーとなり、85%にて保持したことから澱
粉付着量は1.0g/m2しか塗布できなかった。
【0065】上記により作製した実施例1〜5および比
較例1〜4のインクジェット記録シートについて、次に
記載した評価方法によって評価し、その結果を表1に示
した。
【0066】<ベタ均一性>EPSON製インクジェッ
トプリンターPM−780Cを用いて評価画像印字した
後、カラーインクのベタ印字部分の均一性について目視
の判定を行った。Aは特性が良好、Bは実用上問題ない
範囲で良好、Cは実用上問題あり、Dは特性が不良を示
す。
【0067】<フェザリング>EPSON製インクジェ
ットプリンターPM−780Cを用いて評価画像印字し
た後、黒インクの文字および罫線印字部分ついてインク
のにじみ具合を目視で判定を行った。Aは特性が良好、
Bは実用上問題ない範囲で良好、Cは実用上問題あり、
Dは特性が不良を示す。
【0068】<表面強度>デニソンワックス(粘着力の
異なるワックス棒、数字の大きいほど粘着力が強い)を
使用し、アルコールランプで溶かしたワックス棒を紙面
に立て、15分放冷後ワックス棒をはがした。紙面の状
態を見て紙むけの起こらない最高の番号で示すが、16
A以上のものは16Aとして表示した。通常14A以上
では問題なく、13A以下では実用上問題がある。
【0069】実施例4および実施例5は、上記の評価方
法の他、次に記す画像耐水性についても評価を行い、結
果を表2に示した。
【0070】<画像耐水性>EPSON製インクジェッ
トプリンターPM−780Cを用いて評価画像印字した
後、カラーインクの文字印字部分について、水滴を1滴
垂らし自然乾燥後、文字のにじみ具合を目視で判定し
た。Aは特性が良好、Bは実用上問題ない範囲で良好、
Cは実用上問題あり、Dは特性が不良を示す。
【0071】
【表1】
【0072】表1の結果から明らかなように、表面サイ
ズプレス液として乾式酸化澱粉を用いたインクジェット
記録シートは、表面強度を損なうことなく、ベタ均一
性、フェザリングが改善されていることがわかる。ま
た、乾式酸化澱粉の糊液濃度を10〜14%とすること
により、メタリングロール回転比も適正な範囲に入り、
特性に優れたインクジェット記録シートを製造すること
が可能となる。
【0073】湿式酸化澱粉の糊液濃度を低濃度化して紙
中への浸透性を増大させようとしても、メタリングロー
ル回転比は上限の80%をオーバーし、事実上の操業は
不可能であり、また澱粉付着量の確保もできず、表面強
度の低下を招く結果となり、インクジェット適性への効
果も充分ではない。これは比較例4の自家変性澱粉の場
合も同様である。
【0074】
【表2】
【0075】表2の結果から明らかなように、乾式酸化
澱粉と共にカチオン性樹脂を併用することにより、画像
耐水性に優れるインクジェット記録シートを得ることが
できる。
【0076】
【発明の効果】上述の通り、表面サイズプレス液とし
て、主としてアルデヒド基を生成官能基とした酸化澱粉
を用いることにより、ベタ均一性、フェザリングに優れ
るインクジェット記録シートを得ることができ、また乾
式酸化澱粉と共にカチオン性樹脂を併用することによ
り、画像耐水性に優れるインクジェット記録シートを得
ることができた。さらには、乾式酸化澱粉の糊液濃度を
10〜14質量%とすることにより、ゲートロールコー
ターのメタリングロール回転比も適正な範囲に入り、操
業性およびに特性に優れたインクジェット記録シートを
製造することが可能となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面サイズプレス液の糊液として、主と
    してアルデヒド基を生成官能基とする酸化澱粉を用いる
    ことを特徴とするインクジェット記録シート。
  2. 【請求項2】 酸化澱粉と共にカチオン性樹脂を併用す
    ることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録
    シート。
  3. 【請求項3】 インクジェット記録シートの製造方法に
    おいて、表面サイズプレスの方式としてゲートロールコ
    ーター方式(以下、GRC方式と略す。)により、主と
    してアルデヒド基を生成官能基とする酸化澱粉を表面サ
    イズプレス液の糊液とし、液濃度10〜14質量%の該
    表面サイズプレス液を用いて、該GRC方式のメタリン
    グロール回転比を60〜80%の範囲で調節することに
    より製造することを特徴とするインクジェット記録シー
    トの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006077357A (ja) * 2004-09-09 2006-03-23 Fuji Xerox Co Ltd 記録用紙およびこれを用いた画像形成方法
JP2006526497A (ja) * 2003-06-05 2006-11-24 メッツォ ペーパー インコーポレイテッド 紙又は板紙ウェブの表面サイジング用の方法及び装置
JP2007106109A (ja) * 2005-09-16 2007-04-26 Ricoh Co Ltd インクメディアセット、並びに、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法

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