JP2003001479A - 高エネルギー密度ビームによる溶接方法 - Google Patents

高エネルギー密度ビームによる溶接方法

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JP2003001479A
JP2003001479A JP2001179008A JP2001179008A JP2003001479A JP 2003001479 A JP2003001479 A JP 2003001479A JP 2001179008 A JP2001179008 A JP 2001179008A JP 2001179008 A JP2001179008 A JP 2001179008A JP 2003001479 A JP2003001479 A JP 2003001479A
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energy density
high energy
welding
density beam
welding surface
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Masayuki Ishikawa
昌幸 石川
Seiichiro Kimura
盛一郎 木村
Yoshinobu Makino
吉延 牧野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製品の精度や品質を向上させることができ、且
つ安価な装置により被溶接材の板厚方向の全域に亘って
溶接を行うことにある。 【解決手段】二つ被溶接材11の溶接面13に高エネル
ギー密度ビーム17の入射側から溶接面の適宜位置まで
の領域部分を溶接面に対して平行に、且つ突合せ溶接面
を基準に高エネルギー密度ビームの直径以下で、ビーム
直径の1/4以上の大きさに切削して段差部12をそれ
ぞれ形成し、被溶接材11の突合せ溶接面15を突合せ
た状態で、段差部12により形成されるスリット16を
通して高エネルギー密度ビーム17により突合せ溶接面
15を溶融・凝固させ、次いでこの突合せ溶接面の溶接
時の凝固収縮作用により段差部が消失して突合せられる
部分を高エネルギー密度ビームにより溶融・凝固させて
被溶接材11の溶接面全域を溶接する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は二つ被溶接材の溶接
面を突合せ、この突合せ溶接面に前記被溶接材の厚み方
向を一回では溶接できない程度の出力を有する高エネル
ギー密度ビームを入射して両溶接面を接合する高エネル
ギー密度ビームによる溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のアーク溶接による金属材料の溶接
方法は、図7(a)に示すように二つの被溶接材1の接
合端部に溶接開先と呼ばれる広い開口部2を設け、この
開口部2に同図(b)に示すようにアーク溶接により溶
融金属3を多層盛りにして両者を接合している。
【0003】しかし、このような溶接方法においては、
二つの被溶接材1の接合端部に設けられた開口部2に多
層多盛りのアーク溶接を行なわなければならず、全板厚
の溶接が完了するまでの間に多くの溶融金属3が溶融・
凝固を繰り返すため、接合部に凝固収縮による大きな溶
接ひずみが発生し、製品の精度や品質の点で多々問題が
発生している。
【0004】そこで、上記のような多層多盛りアーク溶
接に代わる溶接方法として、高エネルギー密度ビームに
よる溶接方法がある。
【0005】この高エネルギー密度ビームによる金属材
料の溶接方法は、図8(a)に示すように二つの被溶接
材5の接合端部に溶接開先を設けず、溶接面6を突合せ
てこの突合せ溶接面に向けて高エネルギー密度ビーム7
による溶接を施行して両者を接合している。
【0006】しかし、この高エネルギー密度ビームによ
る溶接方法は、溶融金属の量が少なく、溶接ひずみを小
さく抑えることができるが、被溶接材5に開口部を設け
ていないので、低出力のビーム発生装置では、高エネル
ギー密度ビーム7が被溶接材5の溶接面の下部まで到達
せず、図8(b)に示すように溶融・凝固部8が板厚方
向の途中の領域までしか達せず、未溶接部9が残ってし
まう。
【0007】従って、被溶接材5の板厚方向の全域に亘
って溶接を行なうためには、極めて高価な大出力のビー
ム発生装置が必要となり、経済的な面で不利である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように従来のアー
ク溶接による溶接方法では、溶接ひずみが大きいため、
製品の精度や品質の上で問題があり、また高エネルギー
密度ビームによる溶接方法では、溶接装置のコストが高
価になるため、経済的な面で問題があった。
【0009】本発明は上記のような問題を解消するため
なされたもので、製品の精度や品質を向上させることが
でき、且つ安価な装置により被溶接材の板厚方向の全域
に亘って溶接を行うことができる高エネルギー密度ビー
ムによる溶接方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するため、次のような方法により高エネルギー密度ビ
ームによる溶接を行うものである。
【0011】請求項1に対応する発明は、二つ被溶接材
の溶接面に高エネルギー密度ビームの入射側から溶接面
の予め決められた位置までの領域部分を溶接面に対して
平行に、且つ突合せ溶接面を基準に高エネルギー密度ビ
ームの直径以下で、ビーム直径の1/4以上の大きさに
切削して段差部をそれぞれ形成し、前記被溶接材の突合
せ溶接面を突合せた状態で、前記段差部により形成され
るスリット部を通して高エネルギー密度ビームにより前
記突合せ溶接面を溶融・凝固させ、次いでこの突合せ溶
接面の冷却時の凝固収縮作用によりスリット部が突合せ
られる部分を高エネルギー密度ビームにより溶融・凝固
させて前記被溶接材の溶接面全域を溶接することを特徴
とする。
【0012】請求項2に対応する発明は、二つ被溶接材
の一方の溶接面に高エネルギー密度ビームの入射側から
溶接面の予め決められた位置までの領域部分を溶接面に
対して平行に、且つ突合せ溶接面を基準に高エネルギー
密度ビームの直径の2倍以下で、ビーム直径の1/2以
上の大きさに切削して段差部を形成し、前記被溶接材の
突合せ溶接面を突合せた状態で、前記段差部により形成
されるスリット部を通して高エネルギー密度ビームによ
り前記突合せ溶接面を溶融・凝固させ、次いでこの突合
せ溶接面の冷却時の凝固収縮作用によりスリット部が突
合せられる部分を前記高エネルギー密度ビームの照射に
より溶融・凝固させて前記被溶接材の溶接面全域を溶接
することを特徴とする。
【0013】請求項3に対応する発明は、二つの被溶接
材の溶接面に高エネルギー密度ビームの入射側から溶接
面の予め決められた位置までの領域部分を溶接面に対し
て平行に、且つ突合せ溶接面を基準に高エネルギー密度
ビームの直径以下で、ビーム直径の1/4以上の大きさ
に切削して第1の段差部をそれぞれ形成するとともに、
この第1の段差部の溶接面と平行な面を基準に高エネル
ギー密度ビームの直径以下で、ビーム直径の1/4以上
の大きさに切削して第2の段差部をそれぞれ形成し、以
下同様に順次直前の段差部の溶接面と平行な面を基準に
高エネルギー密度ビームの直径以下で、ビーム直径の1
/4以上の大きさに切削した新たな段差部を複数形成
し、次に、前記被溶接材の突合せ溶接面を突合せた状態
で、前記段差部により形成されるスリット部を通して高
エネルギー密度ビームにより突合せ溶接面を溶融・凝固
させ、次いでこの突合せ溶接面の冷却時に凝固収縮作用
により前記突合せ溶接面真上のスリット部が衝突される
ことにより、この新たに突合される部分を前記高エネル
ギー密度ビームの照射により溶融・凝固させるプロセス
を、順次各段差部に対して繰返すことにより多層溶接を
行うことを特徴とする。
【0014】請求項4に対応する発明は、二つ被溶接材
の一方の溶接面に高エネルギー密度ビームの入射側から
溶接面の予め決められた位置までの領域部分を溶接面に
対して平行に、且つ突合せ溶接面を基準に高エネルギー
密度ビームの直径の2倍以下で、ビーム直径の1/2以
上の大きさに切削して第1の段差部を形成するととも
に、この第1の段差部の溶接面と平行な面を基準に高エ
ネルギー密度ビームの直径の2倍以下で、ビーム直径の
1/2以上の大きさに切削して第2の段差部を形成し、
以下同様に順次直前の段差部の溶接面と平行な面を基準
に高エネルギー密度ビームの直径の2倍以下で、ビーム
直径の1/2以上の大きさに切削した新たな段差部を階
段状に形成し、次に、前記被溶接材の突合せ溶接面を突
合せた状態で、前記段差部により形成されるスリット部
を通して高エネルギー密度ビームにより突合せ溶接面を
溶融・凝固させ、次いでこの突合せ溶接面の冷却時に凝
固収縮作用により前記突合せ溶接面真上のスリット部が
突合されることにより、この新たに突合される部分を前
記高エネルギー密度ビームの照射により溶融・凝固させ
るプロセスを、順次各段差部に対して繰返すことにより
多層溶接を行うことを特徴とする。
【0015】請求項5に対応する発明は、請求項1乃至
請求項4のいずかに対応する発明の高エネルギー密度ビ
ームによる溶接方法において、前記2つの被溶接材は、
金属板、金属円柱体、金属管のいずれか一つの同一形状
同士、又はいずれか二つの異なる形状間の組合せであ
る。
【0016】請求項6に対応する発明は、請求項1乃至
請求項4のいずかに対応する発明の高エネルギー密度ビ
ームによる溶接方法において、前記2つの被溶接材は、
非金属材料である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照して説明する。
【0018】図1は本発明の高エネルギー密度ビームに
よる溶接方法を説明するための第1の実施の形態を示す
断面図である。
【0019】図1(a)において、11は適宜板厚の金
属板からなる二つの被溶接材で、これら被溶接材11の
溶接面13に高エネルギー密度ビームの入射側から板厚
深さ方向の適宜位置までの領域部分を溶接面13に対し
て平行に切削して段差部12をそれぞれ形成する。この
場合、段差部12の段差寸法14は、溶接面13を基準
に使用する高エネルギー密度ビームの直径以下で、ビー
ム直径の1/4以上の大きさに設定される。
【0020】そして、段差部12以外の残りの溶接面1
3を突合せ溶接面15とする構成の二つの被溶接材11
の突合せ溶接面15を突合せると、図1(b)に示すよ
うに突合せ溶接面15の上部にそれぞれの段差部12に
よりスリット部16が形成される。
【0021】このような状態に配置された二つの被溶接
材11のスリット部16に向けて図示しない高エネルギ
ー密度ビーム発生装置より高エネルギー密度ビーム17
を入射することで、溶接が開始される。ここで、高エネ
ルギー密度ビーム発生装置としては、二つの金属板の全
板厚を貫通できるだけの出力を有していない低出力の電
子ビーム発生装置やレーザ発生装置が用いられる。
【0022】まず、高エネルギー密度ビーム17を被溶
接材11のスリット部16から突合せ溶接面15に焦点
を合わせて照射すると、この部分が溶融し被溶接材11
同士の溶接、すなわち突合せ溶接面15の溶接が開始さ
れる。高エネルギー密度ビーム17は溶接面13の長手
方向(図1紙面垂直方向)に沿って移動しながら溶接を
進めて行くため、溶接部分は刻々と次の領域が移って行
く。一方、高エネルギー密度ビーム17で溶接された部
分は、溶融状態から自然に冷却され凝固して行くが、そ
の際に収縮が起こる。そのため、高エネルギー密度ビー
ム17が通り過ぎた部分のスリット部16は、突合せ溶
接面15の収縮力によりあたかもスリット16が存在し
なかったかのようになる。
【0023】図2は、その様子を模式的に表したもの
で、高エネルギー密度ビーム17が通り過ぎた部分の突
合せ溶接面15は溶融・凝固部18となっているが、そ
の上のもとのスリット部16は、スリット16は存在し
ないが、溶接はされていない、いわゆる突合せ面になっ
ている。
【0024】そして、このように突合せ溶接面15の全
ての溶接が完了すると、図1(c)に示すように、突合
せ溶接面15は全て1層目の溶融・凝固部18となると
ともに、スリット16も全て閉じて上記したようにあた
かも突合せ面のように形成されることになる。
【0025】次に、高エネルギー密度ビーム17を被溶
接材11の表面に焦点を合わせ、もとのスリット部16
が消失して新たに形成された突合せ面に沿って溶接を開
始する。すると高エネルギー密度ビーム17は突合せ面
を溶融して、1層目の溶融・凝固部18まで到達して、
継ぎ目の無い溶接を行なうとともに、1層目と同様のプ
ロセスをたどり、図1(d)に示すように2層目の溶融
・凝固部19を形成する。そして、被溶接材11の溶接
面全体が溶接される。
【0026】なお、段差部12をどの程度の深さにする
かは、被溶接材の種類と使用する高エネルギー密度ビー
ムの出力に応じて、実験等で求めておく。
【0027】このように第1の実施の形態では、二つの
被溶接材11の溶接面13に高エネルギー密度ビームの
入射側から板厚深さ方向の適宜位置までの領域部分を溶
接面13に対して平行に、且つ突合せ溶接面15を基準
に高エネルギー密度ビームの直径以下で、ビーム直径の
1/4以上の大きさに切削して形成した段差部12をそ
れぞれ設け、この段差部12により形成されるスリット
部16を通して高エネルギー密度ビームにより突合せ溶
接面を溶融・凝固し、次いでこの突合せ溶接面の冷却時
の凝固収縮作用により段差部が消滅して突合せられる部
分を溶融・凝固する多層溶接を行うことにより、低出力
の高エネルギー密度ビーム発生装置を用いて被溶接材1
1の板厚方向全域を溶接することができる。
【0028】従って、溶接設備に要する費用を安価に、
且つ製品の精度及び品質の高い溶接を行うことができ
る。
【0029】次に、本発明の高エネルギー密度ビームに
よる溶接方法の第2の実施の形態を図3を用いて説明す
る。
【0030】本実施の形態では、図3に示すように溶接
面に段差部のない被溶接材21と、溶接面に平行で、且
つ高エネルギー密度ビーム17の直径の2倍以下、直径
の1/2以上の大きさの段差寸法の段差部24を設けた
被溶接材25の突合せ溶接面22を突合せて配設し、前
述同様に高エネルギー密度ビームにより溶接を行うよう
にしたものである。
【0031】すなわち、二つの被溶接材21と25との
突合せ溶接面22を突合せたとき段差部24により形成
されるスリット23に向けて図示しない高エネルギー密
度ビーム発生装置より高エネルギー密度ビーム17を入
射することで、突合せ溶接面22の全領域に亘って一層
目の溶融・凝固部が形成され、その凝固の際に作用する
収縮により被溶接材25の突合せ溶接面上方の段差部2
4が消失し、スリット23の存在しない突合わせ状態と
なる。
【0032】続いて、一層目の溶融・凝固部の上方に段
差部24の消失により形成された突合せ面に焦点を合わ
せて高エネルギー密度ビーム17を照射すると、このビ
ームは突合せ面を溶融し一層目の溶融・凝固部に到達
し、この部分から突合せ面を溶融・凝固させるプロセス
を前述同様に繰返すことにより、一層目の溶融・凝固部
の上方に2層目の溶融・凝固部が形成され、二つの被溶
接材21と25の溶接面全体が溶接される。
【0033】この第2の実施の形態のような溶接方法に
おいても、第1の実施の形態と同様の作用効果が得られ
ることは勿論のこと、一方の被溶接材25に段差部24
を設けるだけでよいので、二つの被溶接材に段差部を設
ける場合と比較してその切削加工に要する手間と時間を
軽減できる。
【0034】次に、本発明の高エネルギー密度ビームに
よる溶接方法の第3の実施の形態を図4を用いて説明す
る。
【0035】本実施の形態は、図4に示すように適宜板
厚からなる二つの被溶接材31の突合せ溶接面32に平
行で1段の段差寸法が高エネルギー密度ビーム17の直
径以下で、直径の1/4以上となる大きさの連続した複
数の段差部33、34、35をそれぞれ設け、被溶接材
31の突合せ面から各段差部間の突合せ溶接を高エネル
ギー密度ビーム17により連続して行なうようにしたも
のである。
【0036】すなわち、高エネルギー密度のビーム17
が段差部33、34、35によりそれぞれ形成された各
スリット36,37,38を通して被溶接材31の突合
せ溶接面32に照射されると、突合せ溶接面32の全領
域に亘って1層目の溶融・凝固部が形成され、その凝固
の際に作用する収縮により被溶接材31の突合せ溶接面
の真上の段差部35が消失し、スリット38の存在しな
い突合わせ状態となる。
【0037】続いて、高エネルギー密度のビーム17を
段差部33,34により形成されたスリット36,37
及び段差部35が消失した突合せ面を溶融しつつ1層目
の溶融・凝固部に到達し、この部分から突合せ面を溶融
・凝縮し、このとき作用する凝固収縮により段差部34
が消失し、スリット37の存在しない突合せ状態とな
り、1層目の溶融・凝固部の上方に2層目の溶融・凝固
部が形成される。
【0038】以下段差部34が消失して突合せられる突
合せ面、段差部33に対しても前述同様に溶融・凝縮、
凝固収縮させるプロセスを繰返すことにより、2層目の
溶融・凝固部の上方に3層目の溶融・凝固部が形成さ
れ、3層目の溶融・凝固部の上方に4層目の溶融・凝固
部が形成され、二つの被溶接材27の溶接面全体が溶接
される。
【0039】このような第3の実施の形態においても、
第1の実施の形態と同様の作用効果が得られることは勿
論のこと、厚み寸法の大きな被溶接材であっても厚さ方
向に設けられる段差部の数を増加することで溶接面全体
の溶接を行うことができる。
【0040】次に本発明の高エネルギー密度ビームによ
る溶接方法の第4の実施の形態を図5を用いて説明す
る。
【0041】本実施の形態においては、図5に示すよう
に二つの円柱状の金属棒である被溶接材41の溶接面の
外周部を突合せ溶接面42に平行で、高エネルギー密度
ビーム17の直径以下で、直径の1/4以上の大きさの
段差寸法で切削して環状の段差部43をそれぞれ形成
し、中央部に存する円板状の突合せ溶接面42を突合せ
た状態で、被溶接材41を図示しない回転機構によりそ
の中心軸線を中心に回転させながら、高エネルギー密度
ビーム17による突合せ溶接を行えるようにしたもので
ある。
【0042】この場合、突合せ溶接面42の突合せると
その外周部には、高エネルギー密度ビーム7の直径の2
倍以下、直径の1/2以上の大きさの環状のスリット4
4が形成される。
【0043】すなわち、二つの被溶接材41の突合せ溶
接面42を突合せた状態で、被溶接材41を図示しない
回転機構によりその中心軸線を中心に回転させながら、
高エネルギー密度ビーム17が環状のスリット44を通
して突合せ溶接面42に照射されると、突合せ溶接面4
2の全領域に亘って1層目の溶融・凝固部が形成され、
その凝固の際に作用する収縮により被溶接材41の突合
せ溶接面外周の段差部43が消失し、スリット44の存
在しない突合わせ状態となる。
【0044】次いで一層目の溶融・凝固部の外周に形成
された突合せ面に向けて高エネルギー密度のビーム17
を照射すると、このビームは突合せ面を溶融しつつ一層
目の溶融・凝固部に到達し、この部分から突合せ面が溶
融・凝縮して一層目の溶融・凝固部の外周に2層目の溶
融・凝固部が形成され、二つの円柱状の被溶接材41の
溶接面全体が溶接される。
【0045】このように第4の実施の形態によれば、二
つの円柱状の被溶接材であっても、第1の実施の形態と
同様に高エネルギー密度ビームによる溶接に適した突合
せ溶接を行うことができる。
【0046】なお、上記実施の形態において、二つの被
溶接材の両溶接面に、平行で1段差の大きさが高エネル
ギ密度ビームの直径以下、直径の1/4以上となる連続
した複数の段差部を設け、これら突合せ溶接面と各段差
部の溶接面を前述したプロセスを繰返しながら多層溶接
を行うようにしてもよい。
【0047】また、上記実施の形態では、二つの円柱状
の被溶接材41の双方に環状の段差部43をそれぞれ形
成して多層溶接を行う場合について述べたが、段差部の
ない被溶接材41と溶接面に平行で高エネルギ密度ビー
ムの直径の2倍以下、直径の1/2以上の大きさの段差
部43を形成した被溶接材41とを突合わせて多層溶接
しても前述同様の作用効果を得ることができる。
【0048】次に本発明の高エネルギー密度ビームによ
る溶接方法の第5の実施の形態を図6を用いて説明す
る。
【0049】第5の実施の形態では、図6に示すように
金属管からなる二つの被溶接材51の接続端部の外周を
切削して両溶接面に、溶接面に平行で高エネルギ密度ビ
ームの直径以下、直径の1/4以上の大きさの段差部5
2を形成し、その突合せ溶接面53を突合せた状態で、
図示しない回転機構により高エネルギ密度ビーム17を
回転させながら、前述同様に多層溶接を行うようにした
ものである。
【0050】この場合、突合せ溶接面53を突合せると
その外周部には、高エネルギー密度ビーム17の直径の
2倍以下、直径の1/2以上の大きさの環状のスリット
54が形成される。
【0051】この第5の実施の形態のような溶接方法に
おいても、第1の実施の形態と同様の作用効果が得られ
る。
【0052】なお、上記実施の形態において、二つの被
溶接材の両溶接面に、平行で1段差の大きさが高エネル
ギ密度ビームの直径以下で、直径の1/4以上となる連
続した複数の段差部を設け、これら突合せ溶接面と各段
差部の溶接面を前述したプロセスを繰返しながら多層溶
接を行うようにしてもよい。
【0053】また、上記実施の形態では、二つの金属管
からなる被溶接材51の双方の接続端部の外周を切削し
て両溶接面に段差部52をそれぞれ形成して多層溶接を
行う場合について述べたが、接続端部の外周に段差部の
ない被溶接材51と溶接面に平行で高エネルギ密度ビー
ムの直径の2倍以下で、直径の1/2以上の大きさの段
差部52を形成した被溶接材51とを突合わせて多層溶
接しても前述同様の作用効果を得ることができる。
【0054】前述した各実施の形態では同一形状の被溶
接材を多層溶接する場合について述べたが、形状の異な
る被溶接材、例えば金属板と円柱体、円柱体と管あるい
は管と金属板とを溶接する場合でも、前述同様に多層溶
接を行うことができる。
【0055】また、上記各実施の形態では、金属材料を
被溶接材とする場合について述べたが、セラミックス、
非金属材料の溶接に対しても高エネルギー密度ビーム1
7により前述同様の多層溶接を行うことができる。
【0056】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、製品
の精度や品質を向上させることができ、且つ安価な装置
により被溶接材の板厚方向の全域に亘って溶接を行うこ
とができる高エネルギー密度ビームによる溶接方法を提
供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高エネルギー密度ビームによる溶接方
法を説明するための第1の実施の形態を模式的に示す断
面図
【図2】同実施の形態において、溶接プロセス途中での
溶接状態を模式的に示す斜視図。
【図3】本発明の高エネルギー密度ビームによる溶接方
法を説明するための第2の実施の形態を模式的に示す断
面図。
【図4】本発明の高エネルギー密度ビームによる溶接方
法を説明するための第3の実施の形態を模式的に示す断
面図。
【図5】本発明の高エネルギー密度ビームによる溶接方
法を説明するための第4の実施の形態を模式的に示す斜
視図。
【図6】本発明の高エネルギー密度ビームによる溶接方
法を説明するための第5の実施の形態を模式的に示す断
面図。
【図7】従来の開先溶接による金属板の溶接方法をを説
明するための一例を模式的に示す断面図。
【図8】従来の高エネルギ密度ビームによる金属板の溶
接方法を説明するための一例を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
11,21,25,31,41,51…被溶接材 12,24,33,34,35,43…段差部 15,22,32,53…突合せ溶接面 16,23,44,54…スリット 17…高エネルギー密度ビーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧野 吉延 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 4E066 CA03 CA08 CA13 4E068 BA01 BE03 DA14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二つ被溶接材の溶接面に高エネルギー密
    度ビームの入射側から溶接面の予め決められた位置まで
    の領域部分を溶接面に対して平行に、且つ突合せ溶接面
    を基準に高エネルギー密度ビームの直径以下で、ビーム
    直径の1/4以上の大きさに切削して段差部をそれぞれ
    形成し、前記被溶接材の突合せ溶接面を突合せた状態
    で、前記段差部により形成されるスリット部を通して高
    エネルギー密度ビームにより前記突合せ溶接面を溶融・
    凝固させ、次いでこの突合せ溶接面の冷却時の凝固収縮
    作用によりスリット部が突合せられる部分を高エネルギ
    ー密度ビームにより溶融・凝固させて前記被溶接材の溶
    接面全域を溶接することを特徴とする高エネルギー密度
    ビームによる溶接方法。
  2. 【請求項2】 二つ被溶接材の一方の溶接面に高エネル
    ギー密度ビームの入射側から溶接面の予め決められた位
    置までの領域部分を溶接面に対して平行に、且つ突合せ
    溶接面を基準に高エネルギー密度ビームの直径の2倍以
    下で、ビーム直径の1/2以上の大きさに切削して段差
    部を形成し、前記被溶接材の突合せ溶接面を突合せた状
    態で、前記段差部により形成されるスリット部を通して
    高エネルギー密度ビームにより前記突合せ溶接面を溶融
    ・凝固させ、次いでこの突合せ溶接面の冷却時の凝固収
    縮作用によりスリット部が突合せられる部分を前記高エ
    ネルギー密度ビームの照射により溶融・凝固させて前記
    被溶接材の溶接面全域を溶接することを特徴とする高エ
    ネルギー密度ビームによる溶接方法。
  3. 【請求項3】 二つの被溶接材の溶接面に高エネルギー
    密度ビームの入射側から溶接面の予め決められた位置ま
    での領域部分を溶接面に対して平行に、且つ突合せ溶接
    面を基準に高エネルギー密度ビームの直径以下で、ビー
    ム直径の1/4以上の大きさに切削して第1の段差部を
    それぞれ形成するとともに、この第1の段差部の溶接面
    と平行な面を基準に高エネルギー密度ビームの直径以下
    で、ビーム直径の1/4以上の大きさに切削して第2の
    段差部をそれぞれ形成し、以下同様に順次直前の段差部
    の溶接面と平行な面を基準に高エネルギー密度ビームの
    直径以下で、ビーム直径の1/4以上の大きさに切削し
    た新たな段差部を複数形成し、 次に、前記被溶接材の突合せ溶接面を突合せた状態で、
    前記段差部により形成されるスリット部を通して高エネ
    ルギー密度ビームにより突合せ溶接面を溶融・凝固さ
    せ、次いでこの突合せ溶接面の冷却時に凝固収縮作用に
    より前記突合せ溶接面真上のスリット部が衝突されるこ
    とにより、この新たに突合される部分を前記高エネルギ
    ー密度ビームの照射により溶融・凝固させるプロセス
    を、順次各段差部に対して繰返すことにより多層溶接を
    行うことを特徴とする高エネルギー密度ビームによる溶
    接方法。
  4. 【請求項4】 二つ被溶接材の一方の溶接面に高エネル
    ギー密度ビームの入射側から溶接面の予め決められた位
    置までの領域部分を溶接面に対して平行に、且つ突合せ
    溶接面を基準に高エネルギー密度ビームの直径の2倍以
    下で、ビーム直径の1/2以上の大きさに切削して第1
    の段差部を形成するとともに、この第1の段差部の溶接
    面と平行な面を基準に高エネルギー密度ビームの直径の
    2倍以下で、ビーム直径の1/2以上の大きさに切削し
    て第2の段差部を形成し、以下同様に順次直前の段差部
    の溶接面と平行な面を基準に高エネルギー密度ビームの
    直径の2倍以下で、ビーム直径の1/2以上の大きさに
    切削した新たな段差部を階段状に形成し、 次に、前記被溶接材の突合せ溶接面を突合せた状態で、
    前記段差部により形成されるスリット部を通して高エネ
    ルギー密度ビームにより突合せ溶接面を溶融・凝固さ
    せ、次いでこの突合せ溶接面の冷却時に凝固収縮作用に
    より前記突合せ溶接面真上のスリット部が突合されるこ
    とにより、この新たに突合される部分を前記高エネルギ
    ー密度ビームの照射により溶融・凝固させるプロセス
    を、順次各段差部に対して繰返すことにより多層溶接を
    行うことを特徴とする高エネルギー密度ビームによる溶
    接方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずかに記載の
    高エネルギー密度ビームによる溶接方法において、前記
    2つの被溶接材は、金属板、金属円柱体、金属管のいず
    れかの同一形状同士、又はいずれか二つの異なる形状間
    の組合せであることを特徴とする高エネルギー密度ビー
    ムによる溶接方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項4のいずかに記載の
    高エネルギー密度ビームによる溶接方法において、前記
    2つの被溶接材は、非金属材料であることを特徴とする
    高エネルギー密度ビームによる溶接方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007263106A (ja) * 2006-03-03 2007-10-11 Daikin Ind Ltd 圧縮機
JP2013018038A (ja) * 2011-07-12 2013-01-31 Kobe Steel Ltd 厚鋼材のレーザ溶接方法
JP2016016420A (ja) * 2014-07-08 2016-02-01 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 被溶接板材の突合せレーザ溶接方法
CN106457472A (zh) * 2014-06-18 2017-02-22 Ntn株式会社 对接焊接方法、对接焊接联轴器、等速万向联轴器的外侧联轴器构件

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