JP2003000271A - 新規ポリぺプチド、新規dna、新規抗体および新規遺伝子改変動物 - Google Patents

新規ポリぺプチド、新規dna、新規抗体および新規遺伝子改変動物

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JP2003000271A JP2001322357A JP2001322357A JP2003000271A JP 2003000271 A JP2003000271 A JP 2003000271A JP 2001322357 A JP2001322357 A JP 2001322357A JP 2001322357 A JP2001322357 A JP 2001322357A JP 2003000271 A JP2003000271 A JP 2003000271A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アポトーシス制御や糖代謝制御シグナルの異
常によって生じる胃癌、卵巣癌、乳癌、膵癌、前立腺癌
等の悪性腫瘍、糖尿病等の疾患に対する治療薬、予防薬
および診断薬、脳、心臓などの虚血時における細胞死抑
制剤、抗癌剤や放射線治療時における正常細胞の細胞死
からの保護剤、または既存の治療薬の効果を増強する薬
剤が求められている。 【解決手段】 細胞死を抑制する活性を有する新規ポリ
ぺプチド、該ポリぺプチドをコードするDNA、該ポリ
ペプチドを認識する抗体、該ポリペプチドに結合する物
質、該ポリペプチドと該ポリペプチドに結合する物質と
の特異的な結合を阻害する物質、該ポリペプチドをコー
ドする細胞死抑制遺伝子の発現を制御する物質、該物質
のスクリーニング法および該細胞死抑制遺伝子を欠損あ
るいは一部改変された動物とそれらの有効な用途を提供
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細胞死を抑制する
活性を有する新規ポリぺプチド、該ポリぺプチドをコー
ドするDNA、該DNAを含む組換え体DNA、該組換
え体DNAを保有する形質転換体、該ポリペプチドの製
造法、該ポリペプチドを認識する抗体、該ポリペプチド
に結合する物質、該ポリペプチドと結合して該ポリペプ
チドの活性を阻害する物質、該ポリペプチドをコードす
る遺伝子の発現を制御する物質、該物質のスクリーニン
グ法および該遺伝子の全部または一部が欠損または置換
された動物、及びそれらの利用に関する。
【0002】
【従来の技術】細胞死、特にアポトーシスは、本来生理
的条件下で細胞自らが積極的に引き起こす細胞死を意味
しており、発生過程での形態、組織の形成、ホメオスタ
シスの維持、生体防御に深く関わり、細胞分裂 (増殖)
と表裏一体となって個体の生命維持に重要な役割を持
つ。アポトーシスは、細胞外あるいは細胞内からの生理
的または病的な様々なシグナルによって誘発される。遺
伝子により制御されたこの死の過程に先天的あるいは後
天的に異常が生じると、アポトーシスが過剰に誘発され
たり抑制されたりして様々な疾患を引き起こすと考えら
れる。アポトーシスによる過剰な細胞死が発症に関わる
疾患としては、劇症肝炎やその他のウイルス疾患、アル
ツハイマー病などの神経変性疾患、放射線障害などがあ
げられる。逆にアポトーシス抑制が発症に関わる疾患と
しては、癌や自己免疫疾患などがあげられる。
【0003】また、放射線や薬物がアポトーシスを引き
起こすことを利用して、癌治療や免疫抑制療法が行われ
ている。逆に、生体で重要な役割を果たす細胞を死から
守るといった観点からは、例えば、脳、心臓などの虚血
時における細胞死抑制、抗癌剤や放射線治療時における
正常細胞の細胞死からの保護のために、アポトーシス抑
制を医学的な治療目的に利用することも考えられる。
【0004】細胞死を調節する細胞内因子として、これ
まで多くの遺伝子及び遺伝子産物が知られている。例え
ば、Bcl−2遺伝子ファミリー(Bcl−2、Bcl
−xL、Bcl−w、mcl−1、a1、bfl−1、
BHRF−1、LMW−5−HL、E1B19K等)、
baxサブファミリー(bax、bad、bak)、b
ikサブファミリー(bik、bid、bim、hr
k)が知られている。Bcl−2遺伝子ファミリーはア
ポトーシス抑制活性を有し、baxサブファミリーとb
ikサブファミリーは、アポトーシス促進活性を有す
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、細胞死に関
わる新規な遺伝子を提供することを目的とする。具体的
には、アポトーシス制御や糖代謝制御シグナルの異常に
よって生じる胃癌、卵巣癌、乳癌、膵癌、前立腺癌等の
悪性腫瘍、糖尿病等の疾患に対する治療薬、予防薬およ
び診断薬、脳、心臓などの虚血時における細胞死抑制
剤、抗癌剤や放射線治療時における正常細胞の細胞死の
抑制剤、または既存の治療薬の効果を増強する薬剤を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を行い、ヒト第16番染色体
に存在する遺伝子と相同性が高く、マウス由来の細胞死
に関わる新規な遺伝子(以下、アナモルシン遺伝子とも
いう)を取得し、該遺伝子がコードするポリペプチドが
細胞死を抑制する活性を有することを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は以下の(1)〜(54)に
関する。 (1)配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリ
ペプチド。 (2)配列番号2で示されるアミノ酸配列において一個
以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加
したアミノ酸配列を有し、かつ細胞死を抑制する活性を
有するポリペプチド。 (3)配列番号2で示されるアミノ酸配列と60%以上
の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつ細胞死を抑
制する活性を有するポリペプチド。 (4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載のポリペプ
チドをコードするDNA。 (5)配列番号1で示される塩基配列の40番目〜96
9番目で表される塩基配列を有するDNA。 (6)(4)又は(5)に記載のDNAから選ばれるD
NAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする
DNAであり、かつ細胞死を抑制する活性を有するポリ
ペプチドをコードするDNA。
【0008】(7)配列番号4で示されるアミノ酸配列
を有するポリペプチド。 (8)配列番号4で示されるアミノ酸配列において一個
以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加
したアミノ酸配列を有し、かつ細胞死を抑制する活性を
有するポリペプチド。 (9)(7)又は(8)記載のポリペプチドをコードす
るDNA。 (10)配列番号3で示される塩基配列を有するDN
A。 (11)(9)又は(10)に記載のDNAとストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、
かつ細胞死を抑制する活性を有するポリペプチドをコー
ドするDNA。 (12)(4)〜(6)、(9)〜(11)のいずれか
1項に記載のDNAから選ばれるDNAをベクターに組
み込んで得られる組換え体DNA。 (13)(12)記載の組換え体DNAを保有する形質
転換体。
【0009】(14)(13)記載の形質転換体を培地
に培養し、培養物中に(1)、(2)、(3)、(7)
又は(8)記載のポリペプチドを生成蓄積させ、該培養
物より該ポリペプチドを採取することを特徴とする
(1)、(2)、(3)、(7)又は(8)記載のポリ
ペプチドの製造法。 (15)(1)、(2)、(3)、(7)又は(8)記
載のポリぺプチドを認識する抗体またはその抗体断片。 (16)モノクローナル抗体またはその抗体断片であ
る、(15)記載の抗体またはその抗体断片。 (17)ハイブリドーマKM3048(FERM BP−7765)、ハ
イブリドーマKM3052(FERM BP-7766)またはハイブリド
ーマKM3057(FERM BP-7767)が生産するモノクローナル
抗体またはその抗体断片である、(16)記載の抗体ま
たはその抗体断片。 (18)(15)〜(17)のいずれか1項に記載の抗
体又はその抗体断片を用いる、(1)、(2)、
(3)、(7)又は(8)記載のポリペプチドの免疫学
的測定法。
【0010】(19)(18)記載の免疫学的測定法を
用いる、細胞死の抑制又は促進に起因する疾患の診断
法。 (20)細胞死の抑制又は促進に起因する疾患が、神経
変性疾患、劇症肝炎、ウイルス疾患、糖尿病、放射線障
害あるいは虚血時あるいは抗癌剤使用時の細胞死、悪性
腫瘍または自己免疫疾患である、(19)に記載の診断
法。 (21) (1)、(2)、(3)、(7)又は(8)
記載のポリペプチドと被験試料とを接触させ、被験試料
の中から(1)、(2)、(3)、(7)又は(8)記
載のポリペプチドに結合する物質を選択することを特徴
とする、(1)、(2)、(3)、(7)又は(8)記
載のポリペプチドに結合する物質のスクリーニング法。 (22)(21)記載の方法により得られる物質。 (23) (1)、(2)、(3)、(7)又は(8)
記載のポリペプチドと被験試料とを接触させ、被験試料
の中から(1)、(2)、(3)、(7)又は(8)記載のポリペ
プチドの活性を抑制させる物質を選択することを特徴と
する、(1)、(2)、(3)、(7)又は(8)記載
のポリペプチドの活性を抑制させる物質のスクリーニン
グ法。
【0011】(24)(23)記載の方法により得られ
る物質。 (25)(1)、(2)、(3)、(7)又は(8)記
載のポリぺプチドを発現する細胞と被験試料とを接触さ
せ、被験試料より(1)、(2)、(3)、(7)又は
(8)記載のポリぺプチドをコードする遺伝子の発現を
制御する物質を選択することを特徴とする、(1)、
(2)、(3)、(7)又は(8)記載のポリぺプチド
をコードする遺伝子の発現を制御する物質のスクリーニ
ング法。 (26)発現の制御を、(18)記載の測定法を用いて検
出することを特徴とする、(25)記載のスクリーニン
グ法。 (27)発現の制御を、(1)、(2)、(3)、
(7)又は(8)記載のポリぺプチドをコードするmR
NA量を測定することにより検出することを特徴とす
る、(25)記載のスクリーニング法。 (28)(25)〜(27)のいずれか1項に記載のス
クリーニング法により得られる物質。
【0012】(29)(1)、(2)、(3)、(7)
又は(8)記載のポリぺプチドをコードする遺伝子の転
写を制御する領域の下流にレポーター遺伝子の連結され
たDNAを含むプラスミドで形質転換された形質転換体
と被験試料とを接触させ、被験試料より(1)、
(2)、(3)、(7)又は(8)記載のポリぺプチド
をコードする遺伝子の発現を制御する物質を選択するこ
とを特徴とする、(1)、(2)、(3)、(7)又は
(8)記載のポリぺプチドをコードする遺伝子の発現を
制御する物質のスクリーニング法。 (30)(29)記載のスクリーニング法により得られ
る物質。 (31)(4)〜(6)、(9)〜(11)のいずれか
1項に記載のDNAを含む遺伝子の全部または一部が欠
損または置換され、細胞死を抑制する活性を有するポリ
ペプチドの発現量、時期または組織特異性が変化した遺
伝子欠失または置換非ヒト動物。 (32)発現量の変化が、発現が低下する変化または発
現しない変化である(31)記載の動物。 (33)非ヒト動物が非ヒトほ乳類動物であることを特
徴とする(31)または(32)記載の動物。 (34)非ヒトほ乳類動物がマウスであることを特徴と
する(33)記載の動物。 (35)(31)〜(34)のいずれか1項に記載の動
物、あるいは該動物の臓器、組織または細胞と被験試料
とを接触させ、被験試料の中から該動物、あるいは該動
物の臓器、組織または細胞の動態を変化させる物質を選
択することを特徴とする、細胞死の抑制あるいは促進に
起因する疾患の予防薬、診断薬又は治療薬のスクリーニ
ング法。 (36)(35)記載のスクリーニング法により得られ
る物質。
【0013】(37)(1)、(2)、(3)、(7)
又は(8)記載のポリぺプチドを含有する医薬。 (38)(4)〜(6)、(9)〜(11)のいずれか
1項に記載のDNAを含有する医薬。 (39)(12)に記載の組換え体DNAを含有する医
薬。 (40)(12)に記載の組換え体DNAが、細胞死を
抑制するための遺伝子治療用ベクターである、(39)
に記載の医薬。 (41)(13)に記載の形質転換体を含有する医薬。 (42)細胞死の促進に起因する疾患の予防、診断又は
治療のための、(37)〜(41)のいずれか1項に記
載の医薬。 (43)(22)、(24)、(28)、(30)およ
び(36)のいずれか1項に記載の物質を含有する医
薬。 (44)細胞死の抑制あるいは促進に起因する疾患の予
防、診断又は治療のための、(43)記載の医薬。 (45)(1)、(2)、(3)、(7)又は(8)記
載のポリぺプチドが有する活性を阻害する物質を含有す
る医薬。 (46)該物質が、(4)〜(6)、(9)〜(11)
のいずれか1項に記載のDNAの塩基配列に基づいて調
製したアンチセンス鎖DNAである、(45)記載の医
薬。
【0014】(47)該物質が、(15)記載の抗体ま
たはその抗体断片である、(45)記載の医薬。 (48)細胞死の抑制に起因する疾患の予防、診断又は
治療のための、(45)〜(47)のいずれか1項に記
載の医薬。 (49)細胞死の促進に起因する疾患が、神経変性疾
患、劇症肝炎、ウイルス疾患、放射線障害、糖尿病、又
は虚血時あるいは抗癌剤使用時の細胞死である、(4
2)又は(44)に記載の医薬。 (50)細胞死の抑制に起因する疾患が、悪性腫瘍又は
自己免疫疾患である、(44)又は(48)に記載の医
薬。 (51)(4)〜(6)、(9)〜(11)のいずれか
1項に記載のDNAの塩基配列に基づいて調製したアン
チセンス鎖DNAを用いて(1)、(2)、(3)、
(7)又は(8)に記載のポリペプチドの生産を抑制す
る方法。 (52)細胞内の(1)、(2)、(3)、(7)又は
(8)記載のポリペプチドが有する活性を制御する工程
を含む、細胞死の制御方法。 (53)インターロイキン3非存在下の培養で生存で
き、培養下の細胞外マトリックスに接着可能であること
を特徴とするマウスproB細胞由来のBa/F3−Ad細
胞。 (54)細胞内のH−Ras分子が活性化状態にあるこ
とを特徴とする、(53)に記載のBa/F3−Ad細胞。
【0015】本発明の細胞死を抑制する活性を有するポ
リペプチド(以下、本発明のポリペプチドとも表記す
る)は、新規なポリペプチドである。本発明のポリペプ
チドは、正常組織では、多種の臓器でその発現が見ら
れ、発生時期、例えばマウスでは胎生初期からその発現
が見られる。また、本発明のポリペプチドは、白血病や
悪性リンパ腫などの造血器由来の腫瘍細胞に強い発現が
見られる。一方、本発明のポリペプチドは、エリスロポ
イエチン、トロンボポイエチン、インターロイキン−3
(以下、IL−3と表記する)等のサイトカインにより
発現が誘導される。特に、Ras遺伝子産物を介した情
報伝達によりその発現が制御されていると考えられる。
本発明のポリペプチドの発現は、公知の抗アポトーシス
分子であるBcl−2の発現も維持することから、Bc
l−2の発現と関連したペプチドであると考えられる。
本発明における細胞死とは、ネクローシス(壊死)とア
ポトーシスの両方を包含する。本発明においては、好ま
しくはアポトーシスによる細胞死に関わる。
【0016】本発明のポリペプチドとしては、配列番号
2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、及び
配列番号2で示されるアミノ酸配列において一個以上の
アミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したア
ミノ酸配列を有し、かつ細胞死を抑制する活性を有する
ポリペプチドが挙げられる。更に、本発明のポリペプチ
ドとしては、配列番号4で示されるアミノ酸配列におい
て一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/また
は付加したアミノ酸配列を有し、かつ細胞死を抑制する
活性を有するポリペプチドも含む。
【0017】上記において1個以上のアミノ酸の欠失、
置換、挿入および/または付加とは、部位特異的突然変
異誘発法等の周知の方法により欠失、置換、挿入および
/または付加できる程度の数のアミノ酸が欠失、置換、
挿入若しくは付加されることを意味し、例えば1〜20
個、好ましくは1〜15個、より好ましくは1〜5個の
任意の数のアミノ酸の欠失、置換、挿入および/または
付加されたアミノ酸配列をあげることができる。
【0018】ポリペプチドのアミノ酸配列において1個
以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加
したアミノ酸配列を有し、かつ細胞死を抑制する活性を
有するペプチドは、Nucleic Acids Research, 10, 6487
(1982) 、Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 79, 6409 (1
982) 、Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 81,5662 (1984)
、Science,224, 1431 (1984)、WO85/00817(1985) 、Na
ture, 316, 601 (1985) 、Gene, 34, 315 (1985) 、Nuc
leic Acids Research, 13, 4431 (1985) 、Current Pro
tocols in Molecular Biology, John and Wily & Son
s (1987-1997)(以下、カレント・プロトコールズ・
イン・モレキュラー・バイオロジーと略す)等に記載の
方法に準じて該ポリペプチドをコードするDNAに含ま
れる塩基を欠失、置換、挿入および/または付加するこ
とで得られる変異DNAを用いて調製することができ
る。本発明のポリペプチドは、配列番号2で示されるア
ミノ酸配列と、好ましくは60%以上、より好ましくは
85%以上、更に好ましくは90%以上の相同性を有す
るポリペプチドも包含する。配列番号4に記載のアミノ
酸配列は、ヒト第16番染色体長腕に存在するオープン
リーディングフレーム(ORF)で、本発明の配列番号
2ので示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドと約
82%の相同性であるが、それらの機能については知ら
れていない。
【0019】本発明のDNAとしては、上記本発明のポ
リペプチドをコードするDNA、配列番号1で示される
塩基配列の40番目〜969番目で表される塩基配列を
有するDNA、及びこれら上記のDNAから選ばれるD
NAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする
DNAであり、かつ細胞死を抑制する活性を有するポリ
ペプチドをコードするDNAが挙げられる(いか、これ
らを本発明の細胞死抑制遺伝子とも表記する)。
【0020】上記においてストリンジェントな条件下で
ハイブリダイズし、かつ細胞死を抑制する活性を有する
ポリペプチドをコードするDNAとは、細胞死を抑制す
る活性を有するポリペプチドをコードするDNAまたは
その染色体遺伝子断片をプローブとして、コロニー・ハ
イブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼー
ション法あるいはサザン・ブロット・ハイブリダイゼー
ション法等を用いることにより得られるDNAを意味
し、具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDN
Aを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのN
aCl存在下、42〜68℃でハイブリダイゼーションを行
った後、0.1倍〜2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のS
SC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMク
エン酸ナトリウムよりなる)を用い、42〜68℃条件下で
フィルターを洗浄することにより同定できるDNAをあ
げることができる。ハイブリダイゼーションは、 Molec
ularCloning, A laboratory manual, Second Editio
n.(1989)(以下、モレキュラー・クローニング第2
版と略す)、カレント・プロトコールズ・イン・モレキ
ュラー・バイオロジー、DNA cloning1:Core Techniqu
es,APractical Approach, Second Edition, Oxford
University (1995)に記載されている方法に準じて行
うことができる。ハイブリダイズ可能なDNAとして具
体的には、BLAST〔J. Mol. Biol., 215, 403 (199
0)〕、FASTA〔Method inEnzymology, 183, 63 (199
0)〕等の解析ソフトを用いて計算したときに、配列番
号2又は4で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチ
ドをコードするDNAの塩基配列と少なくとも60%以
上、好ましくは80%以上、更に好ましくは95%以上
の相同性を有するDNAをあげることができる。
【0021】本発明のポリペプチドをコードするDNA
を含む組換え体DNAは、本発明のDNAから選ばれる
DNAをモレキュラー・クローニング 第2版記載の方
法に従ってベクターに連結することで得られる。本発明
のポリペプチドを製造する方法は、上記方法により作製
した組換え体DNAを用いてモレキュラー・クローニン
グ 第2版記載の方法に従って形質転換された細胞を、
該細胞が生育し得る適当な培養液中で培養し、該培養液
中に本発明のポリペプチドを生成蓄積させ、該培養液か
ら該ポリペプチドを採取する方法をあげることができ
る。また該培養液からポリペプチドを採取するには、ポ
リペプチドを可溶化後、イオン交換、ゲルろ過あるいは
疎水性クロマトグラフィー法等、またはこれらを組み合
わせることにより単離精製する方法があげられる。
【0022】本発明の抗体又はその抗体断片としては、
上記本発明のポリペプチドを認識する抗体又はその抗体
断片をあげることができる。上記本発明のDNAを連結
する遺伝子治療用のベクターDNAとしては、レトロウ
ィルスベクター、アデノウィルスベクターまたは該ウィ
ルスベクターの誘導体など、本発明のDNAから選ばれ
るDNAを動物細胞内に導入し、発現させることができ
るベクターをあげることができる。
【0023】本発明のポリペプチドと特異的に結合する
物質としては、本発明のポリペプチドと特異的に結合す
る物質であればいずれのものでもよい。本発明のポリペ
プチドから選ばれるポリペプチドの発現を制御(増強又
は抑制)させる化合物としては、該ポリペプチドをコー
ドするDNAの転写量を特異的に制御(増強又は抑制)
させる物質をあげることができる。
【0024】本発明の遺伝子改変非ヒト動物としては、
ヒト以外の動物であればいかなる動物でもよいが、好ま
しくはほ乳動物、例えばウシ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネ
コ、ハムスター、モルモット、マウス、ラットなどが用
いられる。特にゲッ歯類はライフサイクルが比較的短
く、また繁殖が容易であることからモデル動物としては
好ましく、とりわけラット、マウスが好ましい。該動物
を用いて作製される遺伝子改変非ヒト動物は、本発明の
DNA、および該DNAを含む染色体遺伝子を用いて、
本発明の細胞死を抑制する作用を有するポリペプチドを
コードするDNAを含む遺伝子の全部あるいは一部が欠
損あるいは置換した遺伝子を有する胚性幹細胞クローン
を作成し、キメラ法によって該胚性幹細胞クローンと正
常細胞を掛け合わせることでキメラ個体を作成後、該キ
メラ個体と正常個体を掛け合わせることにより、すべて
の細胞が該DNAに変異を有する個体を得たのち、該個
体同士の掛け合わせにより相同染色体双方に変異の入っ
たホモ個体を得る方法により作成できる。本発明のDN
Aを含む染色体DNAとしては本発明のDNAを含む染
色体遺伝子を断片をあげることができる。
【0025】また、細胞死抑制遺伝子の任意の位置へ変
異の導入が可能である。例えば細胞死抑制遺伝子の翻訳
領域中への塩基置換、欠失、挿入、付加等の変異を導入
することにより、その産物の活性を変化させた動物を作
ることができる。またその発現制御領域への同様な変異
の導入により、発現の程度、時期、組織特異性等を改変
させた動物の作成も可能である。さらにCre-loxP系〔
J. Clin. Invest., 98,600 (1996)〕との組合せによ
り、より積極的に発現時期、発現部位、発現量等を制御
することも可能である。このような例としては脳のある
特定の領域で発現されるプロモータを利用して、その領
域でのみ目的遺伝子を欠失させた例〔Cell, 87, 1317
(1996)〕やCreを発現するアデノウィルスを用いて、目
的の時期に、臓器特異的に目的遺伝子を欠失させた例
〔Science, 278, 5335 (1997)〕が知られている。従っ
て本発明の細胞死抑制遺伝子についてもこのように任意
の時期や組織で発現を制御できる、または任意の挿入、
欠失、置換および/または付加をその翻訳領域や、発現
制御領域に有する動物個体を作成することが可能であ
る。このような動物は任意の時期、任意の程度または任
意の部位で、細胞死と細胞死に伴って生ずる疾患等の種
々の疾患の症状を誘導することができる。従って細胞死
や細胞死に伴って生ずる疾患の診断、治療、予防におい
て極めて有用な動物モデルとなる。
【0026】本発明の遺伝子改変非ヒト動物を用いたス
クリーニング法は、動物、あるいは該動物の臓器、組織
または細胞と被験物質を接触させ、被験物質の中から該
動物、あるいは該動物の臓器、組織または細胞の動態を
変化させる被験物質を選択することを特徴とする、細胞
死の抑制あるいは促進に起因する疾患の予防薬、診断薬
又は治療薬のスクリーニング法である。具体的には、該
動物、あるいは該動物の臓器、組織または細胞を被験物
質で処理し、無処理の対照動物、あるいは該動物の臓
器、組織または細胞と比較し、該動物の各器官、組織、
細胞の動態の変化を観察することにより該物質の効果を
調べることができる。該動物、あるいは該動物の臓器、
組織または細胞を被験物質で処理する方法としては、該
動物に経口投与する、または静脈注射等により投与する
方法、臓器、組織または細胞を有する培養液等の液中に
被験物質を含有させる方法等があげられるが、特にこれ
らの方法に限られることはなく、用いられる被験物質の
性質により適宜選択することができる。
【0027】以下、本発明を詳細に説明する。 1.本発明の細胞死抑制遺伝子の生産 (1)細胞死を抑制する活性を有するポリペプチドをコ
ードするDNAの取得 本発明のポリペプチドをコードするDNAの取得方法とし
ては、由来の異なる二つのサンプル間で異なる発現形態
を取る遺伝子を取得する方法であるサブトラクション法
[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 5738-5742 (198
8)]、Representational difference analysis[Nucleic
Acids Research, 22, 5640-5648 (1994)]による方法、
発現クローニング法[新遺伝子工学ハンドブック(羊土
社)]などがあげられる。
【0028】サブトラクション法では、Ba/F3-Ad細胞よ
り作製したcDNAライブラリーを、対照細胞であるBa/F3
細胞より取得したmRNAを用いてサブトラクションを行
う。Ba/F3-Ad細胞に特異的な遺伝子を濃縮した差分化cD
NAライブラリーを調製した後、該差分化cDNAライブラリ
ーの挿入cDNA配列を5’末端側よりランダムに塩基配列
解析を行い、分泌シグナル配列を持つものだけを選択す
る(ランダム配列解析)。このようにして得られたcDNA
の塩基配列を決定する。
【0029】発現クローニング法では、Ba/F3-Ad細胞よ
り作製したcDNAライブラリーをレトロウィルスベクター
に組み込み、パッケージング細胞により高い力価のウィ
ルス液を作製し、該ウィルス液を対照細胞に感染させ
て、細胞のゲノムにDNAを組み込ませる。IL-3非依存的
に増殖する細胞を選択し、細胞内のゲノムを、ポリメラ
ーゼ・チェイン・リアクション(Polymerase Chain Rea
ction:以下、PCRと略記する)を行うことにより、該cDN
Aを増幅させ、該cDNA配列を決定する。レトロウィルス
ベクターとしては、pBabeX〔Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA, 92, 9146-9150 (1995)〕、pMXなどがあげられ
る。パッケージング細胞としては、BOSC23(ATCC
CRL 11554)などがあげられる。上記方法によ
り得られたcDNAの塩基配列としては、配列番号1で示さ
れる塩基配列があげられる。
【0030】PCRの条件は、該PCRに用いられるT
aqポリメラーゼの性質にあわせて適宜変更することが
好ましい。該PCR法により増幅したDNA断片の塩基
配列を、例えば、サンガー(Sanger)らのジデオキシ法
〔Proc. Natl. Acad. Sci.,USA, 74, 5463 (1977)〕あ
るいは、塩基配列自動分析装置、例えば、アプライド・
バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製373A
・DNAシークエンサー(Sequencer)等を用いて決定
する。
【0031】(2)細胞死を抑制する活性を有するポリペ
プチドをコードするDNA断片のクローン化 上記(1)で取得した、細胞死を抑制する活性を有する
ポリペプチドをコードするDNAを用いて、該DNA断
片を含む、より長い染色体遺伝子断片を、例えば染色体
遺伝子コスミドライブラリーから(1)で取得した該D
NA断片を含むコスミドクローンを選択することにより
取得することができる。
【0032】該選択法としては、(1)で取得したDN
Aをプローブにしたコロニー・ハイブリザイゼーション
法、プラーク・ハイブリザイゼーション法(モレキュラ
ー・クローニング 第2版記載)等、あるいは(1)で
取得した染色体DNA部分断片の塩基配列から選ばれる
配列を有する合成DNAをプライマーにしたPCRを利
用した方法等があげられる。
【0033】PCRを利用した具体的方法としては以下
に示す方法があげられる。(1)で取得した配列番号1
で示される塩基配列から選ばれる配列を有するプライマ
ーを合成する。プライマーとしては例えば配列番号7お
よび配列番号8で示される塩基配列を有するプライマー
のセットをあげることができる。該プライマーを用いて
PCR法により染色体遺伝子コスミドライブラリーをス
クリーニングする。染色体遺伝子コスミドライブラリー
はモレキュラー・クローニング 第2版記載の方法によ
り作製することもできるが、市販の染色体遺伝子コスミ
ドライブラリー(例えばKURABO社)を用いることもでき
る。取得される染色体DNAコスミドライブラリーから
PCRにより該遺伝子を含むクローンを選択する具体的
な方法としては、該プライマーを用いたPCRにより増
幅断片を与えるコスミドクローンを選択することにより
行われる。PCRの条件は、該プライマーを用いたPC
Rにより、特異的なDNA増幅を増幅できる条件であれ
ば特に限定されない。
【0034】次に、上記PCRによって増幅断片を与え
るクローンに含まれる染色体DNAについて制限酵素地図
を作成し、(1)で取得したcDNA全長をプローブとし
て用いたサザンハイブリダイゼーション法を組み合わせ
ることにより(1)でクローン化したDNAの染色体上
の位置、すなわち該染色体部分断片(エクソン領域)を
含んだ制限酵素切断断片を同定できる。マウスの場合に
は、マウス染色体DNAの制限酵素地図を常法にしたが
って作製できる。次に該マウス染色体DNAを適当な制
限酵素で消化したDNA断片に対し、配列番号1で示さ
れる塩基配列からなるDNA断片をプローブとしたサザ
ン解析を行い、該マウス染色体DNA上における配列番
号1で示されるDNAの位置を特定することで、エクソ
ン部位が決定できる。該エクソン領域を含む染色体DN
A断片について、(1)記載の常法により部分塩基配列
を決定し、公知の細胞死抑制遺伝子と相同性を比較する
ことにより、コスミドライブラリーから選択したコスミ
ドクローンに含まれるマウス染色体DNA断片は、マウ
ス細胞死抑制遺伝子を含む断片であることを確認する。
該部分塩基配列の例として配列番号1で示される塩基配
列をあげることができる。他の動物についても同様の方
法を用いて、細胞死抑制ポリペプチドの一部をコードす
るDNAを含む染色体DNA断片を取得することができ
る。
【0035】(3) 細胞死を抑制する活性を有するポリペ
プチドをコードするcDNAのクローン化 細胞死を抑制する活性を有するポリペプチドをコードす
るcDNAをクローニングする方法としては、上記
(2)に記載の方法により同定された、細胞死を抑制す
る活性を有するポリペプチドの一部をコードする、染色
体DNA上のエクソン部分の塩基配列から選ばれる配列
を有するDNAをプローブにしたサザンハイブリダイゼ
ーションまたはプラークハイブリダイゼーションにより
cDNAライブラリーをスクリーニングする方法、該染
色体DNA上のエクソン部の配列をもとにプライマーを
設計し、PCRによりcDNAライブラリーからスクリ
ーニングする方法等があげられる。
【0036】PCRを用いる方法としては、例えば配列
番号1で示される塩基配列を有するDNAに含まれる細
胞死抑制遺伝子のエクソン部分の塩基配列をもとにプラ
イマーセットを作成し、cDNAライブラリーをPCR法によ
りスクリーニングする方法があげられる。プライマーは
該細胞死抑制遺伝子のエクソン中の配列を特異的に増幅
できればどのような配列、組み合わせでもよいが、好適
には配列番号7および配列番号8で示される塩基配列を
有するDNAがあげられる。cDNAライブラリーは該
プライマーセットで特異的に増幅断片が出現するもの、
つまり、該細胞死抑制遺伝子を発現している組織であれ
ば限定されない。マウスの場合には19日齢胚を用いて作
製されるものがあげられる。cDNAライブラリーの作
製方法は、該胚を用いてモレキュラー・クローニング
第2版記載の方法によっても作製可能であるが、市販の
ものを購入してもよい。市販のcDNAライブラリーか
らのPCRによるスクリーニング法の具体的な好適な例
として、マウスの場合、19日齢胚ライブラリーをマイク
ロタイタープレートのウェルに小分割したものを用いた
方法をあげることができる〔RAPID-SCREENTM cDNA LIBR
ARY PANELS (OriGene Technologies, Inc)〕。
【0037】配列番号7および配列番号8で示される塩
基配列を有するプライマーのセットを用いた該タイター
プレートのウェル中の試料に対するPCRにより、増幅
断片が認められたウェルに対応するライブラリーのサブ
プールをさらにPCRによりスクリーニングする。PC
Rの条件は、用いたプライマーに特異的な増幅断片を与
える条件であれば特に限定されないが、好適には配列番
号7および配列番号8で示される塩基配列のプライマー
セットを用いた場合、95℃−9分,(95℃−30秒、6
5℃−30秒、72℃−30秒)の反応サイクルを33回、72℃
−5分保温の温度条件をあげることができる。つぎに陽
性ウェル、すなわち増幅断片を与えたウェル中のcDN
Aを含有する大腸菌のコロニーを寒天培地上に形成させ
た後、配列番号7および配列番号8で示される塩基配列
を有するプライマーセットを用いたコロニーPCR法に
より、増幅断片が認められるコロニーを選択し、含有す
るプラスミドを回収し、該プラスミドに含まれるcDN
A部分の遺伝子配列を(1)記載の常法により決定す
る。
【0038】上記細胞死抑制遺伝子のコードするポリペ
プチドとしては、例えば、配列番号2で示されるアミノ
酸配列を有するポリペプチドをあげることができる。
【0039】2.本発明のポリペプチド、組換え体DN
A、及び形質転換体の生産 上記のようにして得られる細胞死抑制遺伝子を宿主細胞
中で発現させ、本発明のポリペプチドを製造するために
は、モレキュラー・クローニング 第2版、カレント・
プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー等
に記載された方法を用いることができる。
【0040】即ち、本発明のDNAを適当な発現ベクタ
ーのプロモーター下流に挿入した組換え体DNAを造成
し、該ベクターを該ベクターに適合した宿主細胞中に導
入することにより、本発明のポリペプチドを発現する形
質転換体を取得し、該形質転換体を培養液中で培養し、
該培溶液に本発明のポリペプチドを生成蓄積させること
により製造できる。
【0041】本発明の組換え体DNAは、上述の本発明
のDNAから選ばれるDNAをベクターに組み込んで得
られる組換え体DNAである。本発明の形質転換体は、
宿主細胞中に上記本発明の組換え体DNAを保有する形
質転換体である。
【0042】宿主細胞としては、目的とする遺伝子を発
現できるものは全て用いることができる。例えば、エッ
シェリヒア属、セラチア属、コリネバクテリウム属、ブ
レビバクテリウム属、シュードモナス属、バチルス属、
ミクロバクテリウム属等に属する原核生物、クルイベロ
ミセス属、サッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス
属、トリコスポロン属、シワニオミセス属等に属する酵
母菌株や動物細胞宿主等をあげることができる。
【0043】発現ベクターとしては、上記宿主細胞にお
いて自立複製可能ないしは染色体中への組込みが可能
で、細胞死抑制遺伝子を転写できる位置にプロモーター
を含有しているものが用いられる。細菌等の原核生物を
宿主細胞として用いる場合は、細胞死抑制遺伝子発現ベ
クターは原核生物中で自立複製可能であると同時に、プ
ロモーター、リボソーム結合配列、細胞死抑制遺伝子、
転写終結配列、より構成されていることが好ましい。プ
ロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
【0044】発現ベクターとしては、例えば、pBTr
p2、pBTac1、pBTac2(いずれもベーリン
ガーマンハイム社より市販)、pSE280(インビト
ロジェン社製)、pGEMEX−1(Promega社製)、
pQE−8(QIAGEN社製)、pKYP10( 特開昭58
−110600)、pKYP200〔Agric. Biol. Che
m., 48, 669 (1984)〕、pLSA1〔Agric. Biol. Che
m., 53, 277 (1989)〕、pGEL1〔Proc. Natl. Aca
d. Sci., USA, 82, 4306 (1985)〕、pBluescript (STR
ATAGENE社)、pTrs30(FERM BP−540
7)、pTrs32(FERM BP−5408)、p
GHA2(FERM BP−400)、pGKA2(F
ERM B−6798)、pTerm2(特開平3−2
2979、US4686191、US4939094、
US5160735)、pKK233−2(Pharmacia
社製)、pGEX(Pharmacia社製)、pETシステム
(Novagen社製)、pSupex、pUB110、pT
P5、pC194等を例示することができる。
【0045】プロモーターとしては、大腸菌等の宿主細
胞中で発現できるものであればいかなるものでもよい。
例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター
(Pl ac)、PLプロモーター、PRプロモーター、PletI
ロモーター、PSEプロモーター等の、大腸菌やファージ
等に由来するプロモーター、SPO1プロモーター、S
PO2プロモーター、penPプロモーター等をあげる
ことができる。またPtrpを2つ直列させたプロモータ
ー(Ptrp x2)、tacプロモーターのように人為的に
設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
【0046】リボソーム結合配列としては、大腸菌等の
宿主細胞中で発現できるものであればいかなるものでも
よいが、シャイン−ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と
開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)
に調節したプラスミッドを用いることが好ましい。本発
明のDNAの発現には転写終結配列は必ずしも必要では
ないが、好適には構造遺伝子直下に転写終結配列を配置
することが望ましい。
【0047】宿主細胞としては、エシェリヒア属、セラ
チア属、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム
属、シュードモナス属、バチルス属、ミクロバクテリウ
ム属等に属する微生物、例えば、Escherichia coli XL1
-Blue 、Escherichia coli XL2-Blue 、Escherichia co
li DH1、Escherichia coli MC1000、Escherichia coliK
Y3276、Escherichia coli W1485 、Escherichia coli J
M109 、Escherichia coli HB101、Escherichia coli N
o.49 、Escherichia coli W3110 、Escherichiacoli NY
49、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefacine
s、Brevibacteriumammoniagenes、Brevibacterium imma
riophilum ATCC14068、Brevibacterium saccharolyticu
m ATCC14066、Brevibacterium flavum ATCC14067、Brev
ibacteriumlactofermentum ATCC13869、Corynebacteriu
m glutamicum ATCC13032、Corynebacterium acetoacido
philum ATCC13870 、Microbacterium ammoniaphilum AT
CC15354 等をあげることができる。
【0048】組換えベクターの導入方法としては、上記
宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用い
ることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法
〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69, 2110 (1972)〕、
プロトプラスト法(特開昭63-248394)、Gene, 17, 107
(1982)やMolecular & General Genetics, 168, 111 (1
979)に記載の方法等をあげることができる。
【0049】酵母菌株を宿主細胞として用いる場合に
は、発現ベクターとして、例えば、YEp13(ATCC37
115)、YEp24(ATCC37051)、YCp50(ATCC37
419)pHS19、pHS15等を例示することができ
る。プロモーターとしては、酵母菌株中で発現できるも
のであればいかなるものでもよい。例えば、PHO5プ
ロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモータ
ー、ADHプロモーター、gal 1プロモーター、g
al 10プロモーター、ヒートショック蛋白質プロモ
ーター、MFα1プロモーター、CUP 1プロモータ
ー等のプロモーターをあげることができる。
【0050】宿主細胞としては、サッカロミセス・セレ
ビシエ(Saccharomyces cerevisae)、シゾサッカロミ
セス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クリュ
イベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、ト
リコスポロン・プルランス(Trichosporon pullulan
s)、シュワニオミセス・アルビウス(Schwanniomyces
alluvius)等をあげることができる。
【0051】組換えベクターの導入方法としては、酵母
にDNAを導入する方法であればいずれも用いることが
でき、例えば、エレクトロポレーション法〔Methods. E
nzymol., 194, 182 (1990)〕、スフェロプラスト法〔Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA,84, 1929 (1978)〕、酢酸リ
チウム法〔ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J. B
acteriol.)、153, 163 (1983)〕、Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 75, 1929(1978)記載の方法等をあげることが
できる。
【0052】動物細胞を宿主細胞として用いる場合に
は、発現ベクターとして、例えば、pcDNAI、pcD
M8(フナコシ社より市販)、pAGE107〔特開平
3-22979 ;サイトテクノロジー(Cytotechnology)、3,
133, (1990)〕、pAS3−3(特開平2-227075)、p
CDM8〔ネイチャー(Nature)、329, 840, (198
7)〕、pcDNAI/Amp(インビトロジェン社
製)、pREP4(インビトロジェ ン社製)pAGE
103〔J. Biochem., 101, 1307(1987)〕、pAGE2
10等を例示することができる。
【0053】プロモーターとしては、動物細胞中で発現
できるものであればいずれも用いることができ、例え
ば、サイトメガロウイルス(ヒトCMV)のIE(imme
diateearly)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プ
ロモーターあるいはメタロチオネインのプロモーター、
レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロ
モーター、ヒートショックプロモーター、SRαプロモ
ーター等をあげることができる。また、ヒトCMVのI
E遺伝子のエンハンサーをプロモーターと共に用いても
よい。
【0054】宿主細胞としては、ナマルバ細胞、HBT
5637(特開昭63―299)、COS1細胞、CO
S7細胞、CHO細胞等をあげることができる。動物細
胞への組換えベクターの導入法としては、動物細胞にD
NAを導入できるいかなる方法も用いることができる。
例えば、エレクトロポーレーション法〔Cytotechnolog
y, 3, 133(1990)〕、リン酸カルシウム法(特開平2―
227075)、リポフェクション法〔Proc.Natl.Aca
d.Sci.,USA, 84, 7413(1987)〕、Virology, 52, 456 (1
973)に記載の方法等を用いることができる。形質転換体
の取得および培養は、特開平2−227075号公報あ
るいは特開平2−257891号公報に記載されている
方法に準じて行なうことができる。
【0055】昆虫細胞を宿主として用いる場合には、例
えばバキュロウイルス・イクスプレッション・ベクター
ズ ア・ラボラトリー・マニュアル(Baculovirus Expre
ssion Vectors, A Laboratory Manual)、カレント・プ
ロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー サ
プルメント1-34、Bio/Technology, 6, 47 (1988)等に
記載された方法によって、本発明のポリペプチドを発現
することができる。
【0056】即ち、組換え遺伝子導入ベクターおよびバ
キュロウイルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上
清中に組換えウイルスを得た後、さらに組換えウイルス
を昆虫細胞に感染させ、本発明のポリペプチドを発現さ
せることができる。該方法において用いられる遺伝子導
入ベクターとしては、例えば、pVL1392、pVL
1393、pBlueBacIII (ともにインビトロジ
ェン社製)等をあげることができる。
【0057】バキュロウイルスとしては、例えば、夜盗
蛾科昆虫に感染するウイルスであるアウトグラファ・カ
リフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス
(Autographa californica nuclear polyhedrosis viru
s) などを用いることができる。昆虫細胞としては、Spo
doptera frugiperdaの卵巣細胞であるSf9、Sf2
1〔バキュロウイルス・ エクスプレッション・ベクター
ズ、ア・ラボラトリー・マニュアル、ダブリュー・エイ
チ・フリーマン・アンド・カンパニー(W.H.Freeman an
d Company)、ニューヨーク(New York)、(1992)〕、T
richoplusia niの卵巣細胞であるHigh 5(インビ
トロジェン社製)等を用いることができる。
【0058】組換えウイルスを調製するための、昆虫細
胞への上記組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウ
イルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウ
ム法(特開平2-227075)、リポフェクション法〔Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 84,7413 (1987)〕等をあげるこ
とができる。遺伝子の発現方法としては、直接発現以外
に、モレキュラー・クローニング第2版に記載されてい
る方法等に準じて、分泌生産、融合タンパク質発現等を
行うことができる。
【0059】酵母、動物細胞または昆虫細胞により発現
させた場合には、糖あるいは糖鎖が付加されたポリペプ
チドを得ることができる。本発明のDNAを組み込んだ
組換え体DNAを保有する形質転換体を培地に培養し、
培養物中に本発明のポリペプチドを生成蓄積させ、該培
養物より該ポリペプチドを採取することにより、該ポリ
ペプチドを製造することができる。
【0060】該ポリペプチド製造用形質転換体が大腸菌
等の原核生物、酵母菌等の真核生物である場合、これら
生物を培養する培地は、該生物が資化し得る炭素源、窒
素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的
に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれでも
よい。炭素源としては、それぞれの微生物が資化し得る
ものであればよく、グルコース、フラクトース、スクロ
ース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプ
ン加水分解物等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有
機酸、エタノール、プロパノールなどのアルコール類が
用いられる。
【0061】窒素源としては、アンモニア、塩化アンモ
ニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸
アンモニウム、等の各種無機酸や有機酸のアンモニウム
塩、その他含窒素化合物、並びに、ペプトン、肉エキ
ス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水
分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体
およびその消化物等が用いられる。
【0062】無機塩としては、リン酸第一カリウム、リ
ン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシ
ウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫
酸銅、炭酸カルシウム等が用いられる。培養は、振盪培
養または深部通気攪拌培養などの好気的条件下で行う。
培養温度は15〜40℃がよく、培養時間は、通常16
〜96時間である。培養中pHは、3.0〜9.0に保
持する。pHの調整は、無機あるいは有機の酸、アルカ
リ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニアなどを用い
て行う。
【0063】また培養中必要に応じて、アンピシリンや
テトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよ
い。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた
発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときに
は、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよ
い。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで
形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−
β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)等を、tr
pプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微
生物を培養するときにはインドールアクリル酸(IA
A)等を培地に添加してもよい。
【0064】動物細胞を宿主細胞として得られた形質転
換体を培養する培地としては、一般に使用されているR
PMI1640培地〔The Journal of the American Me
dical Association, 199, 519 (1967)〕、Eagleの
MEM培地〔Science, 122,501 (1952)〕、DMEM培
地〔Virology, 8, 396 (1959)〕、199培地〔Proceed
ing of the Society for the Biological Medicine, 7
3, 1 (1950)〕またはこれら培地に牛胎児血清等を添加
した培地等が用いられる。
【0065】培養は、通常pH6〜8、30〜40℃、
5%CO2存在下等の条件下で1〜7日間行う。また、
培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン等の抗
生物質を培地に添加してもよい。昆虫細胞を宿主細胞と
して得られた形質転換体を培養する培地としては、一般
に使用されているTNM−FH培地〔ファーミンジェン
(Pharmingen)社製〕、Sf-900 II SFM培地(ギブコB
RL社製)、ExCell400 、ExCell40
5 〔いずれもJRHバイオサイエンシーズ(JRH Biosc
iences)社製〕、Grace's Insect Medium〔Grace, T.C.
C.,ネイチャー(Nature), 195, 788 (1962)〕等を用いる
ことができる。
【0066】pH6〜7、培養温度25〜30℃がよ
く、培養時間は、通常1〜5日間である。また、培養中
必要に応じて、ゲンタマイシン等の抗生物質を培地に添
加してもよい。本発明のポリペプチド製造用形質転換体
の培養物から、本発明のポリペプチドを単離精製するに
は、通常の酵素の単離、精製法を用いればよい。
【0067】例えば、本発明のポリペプチドが、細胞内
に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、細胞を遠
心分離により回収し水系緩衝液にけん濁後、超音波破砕
機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザ
ー、ダイノミル等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を
得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られ
た上清から、通常の酵素の単離精製法、即ち、溶媒抽出
法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿
法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロー
ス、DIAION HPA-75 (三菱化学社製)等レジンを用いた
陰イオン交換クロマトグラフィー法、S-Sepharose FF
(ファルマシア社製)等のレジンを用いた陽イオン交換ク
ロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセ
ファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィ
ー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロ
マトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点
電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合
わせて用い、精製標品を得ることができる。
【0068】また、該ポリペプチドが細胞内に不溶体を
形成して発現した場合は、同様に細胞を回収後破砕し、
遠心分離を行うことにより得られた沈殿画分より、通常
の方法により該ポリペプチドを回収後、該ポリペプチド
の不溶体をポリペプチド変性剤で可溶化する。該可溶化
液を、ポリペプチド変性剤を含まないあるいはポリペプ
チド変性剤の濃度がポリペプチドが変性しない程度に希
薄な溶液に希釈、あるいは透析し、該ポリペプチドを正
常な立体構造に構成させた後、上記と同様の単離精製法
により精製標品を得ることができる。
【0069】本発明のポリペプチドあるいはその糖修飾
体等の誘導体が細胞外に分泌された場合には、培養上清
に該ポリペプチドあるいはその糖鎖付加体等の誘導体を
回収することができる。即ち、該培養物を上記と同様の
遠心分離等の手法により処理することにより可溶性画分
を取得し、該可溶性画分から、上記と同様の単離精製法
を用いることにより、精製標品を得ることができる。
【0070】また、上記方法により発現させたポリペプ
チドを、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボ
ニル法)、tBoc法(t-ブチルオキシカルボニル法)等
の化学合成法によっても製造することができる。また、
桑和貿易(米国AdvancedchemTech社製)、パーキンエルマ
ージャバン(米国Perkin-Elmer社製)、ファルマシアバイ
オテク(スウューデンPharmacia Biotech社製)、アロカ
(米国Protein Technology Instrument社製)、クラボウ
(米国Synthecell-Vega社製)、日本パーセプティブ・リ
ミテッド(米国PerSeptive社製)、島津製作所等のペプチ
ド合成機を利用し合成することもできる。
【0071】3.本発明のポリペプチドを認識する抗体
又はその抗体断片の生産とその利用 本発明のポリペプチドまたは該ポリペプチドの部分断片
ポリペプチドの精製標品、あるいは本発明のポリペプチ
ドの一部のアミノ酸配列を有するペプチドを抗原として
用いることにより、ポリクローナル抗体、モノクローナ
ル抗体等、本発明のポリペプチドを認識する抗体または
その抗体断片を作製することができる。本発明のモノク
ローナル抗体としては、ハイブリドーマが生産するモノ
クローナル抗体、遺伝子組換え抗体などがあげられる。
ハイブリドーマとは、ヒト以外の哺乳動物に抗原を免疫
して取得されたB細胞と、マウスなどに由来するミエロ
ーマ細胞とを細胞融合させて得られる、所望の抗原特異
性を有したモノクローナル抗体を生産する細胞を意味す
る。遺伝子組換え抗体とは、ハイブリドーマが生産する
モノクローナル抗体をコードする遺伝子の一部または全
部を、遺伝子工学的手法を用いて作製した抗体を意味す
る。遺伝子組換え抗体としては、ヒト化抗体、ヒト抗体
等があげられる。
【0072】ヒト化抗体としては、ヒト型キメラ抗体及
びヒト型CDR移植抗体などがあげられる。ヒト型キメラ
抗体は、ヒト以外の動物の抗体重鎖可変領域(H鎖V領
域)(以下、HVまたはVHとも称す)および抗体軽鎖(L
鎖)V領域(以下、LVまたはVLとも称す)とヒト抗体のH
鎖定常領域(C領域)(以下、CHとも称す)およびヒト
抗体のL鎖C領域(以下、CLとも称す)とからなる抗体
を意味する。ヒト以外の動物としては、マウス、ラッ
ト、ハムスター、ラビット等、ハイブリドーマを作製す
ることが可能であれば、いかなるものも用いることがで
きる。ヒト型CDR移植抗体は、ヒト以外の動物の抗体のV
HおよびVLのCDRのアミノ酸配列をヒト抗体のVHおよびVL
の適切な位置に移植した抗体を意味する。ヒト抗体は、
元来、ヒト体内に天然に存在する抗体を意味するが、最
近の遺伝子工学的、細胞工学的、発生工学的な技術の進
歩により作製されたヒト抗体ファージライブラリーおよ
びヒト抗体産生トランスジェニック動物から得られる抗
体等も含まれる。抗体断片としては、Fab、Fab'、F(a
b')2、scFv(一本鎖抗体断片)、dsFv(ジスルフィド抗
体断片)、CDRを含むペプチドなどがあげられる。
【0073】Fabは、抗体を蛋白質分解酵素パパインで
処理して得られる断片のうち(H鎖の224番目のアミノ酸
残基で切断される)、H鎖のN末端側約半分とL鎖全体
がジスルフィド結合で結合した分子量約5万の抗原結合
活性を有する抗体断片である。F(ab')2は、IgGを蛋
白質分解酵素ペプシンで処理して得られる断片のうち
(H鎖の234番目のアミノ酸残基で切断される)、Fabが
ヒンジ領域のジスルフィド結合を介して結合されたもの
よりやや大きい、分子量約10万の抗原結合活性を有する
抗体断片である。Fab'は、上記F(ab')2のヒンジ領域の
ジスルフィド結合を切断した分子量約5万の抗原結合活
性を有する抗体断片である。
【0074】scFvは、一本のVHと一本のVLとを適当なペ
プチドリンカー(以下、Pと称す)を用いて連結した、V
H−P−VLないしはVL−P−VHポリペプチドを示す。本発
明で使用されるscFvに含まれるVHおよびVLは、ハイブリ
ドーマが産生する抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体のいずれ
をも用いることができる。
【0075】dsFvは、VHおよびVL中のそれぞれ1アミノ
酸残基をシステイン残基に置換したポリペプチドを該シ
ステイン残基間のジスルフィド結合を介して結合させた
ものをいう。システイン残基に置換するアミノ酸残基は
Reiterらにより示された方法[プロテイン・エンジニア
リング(Protein Engineering), 7, 697 (1994)]に従
って、抗体の立体構造予測に基づいて選択することがで
きる。本発明のdsFvに含まれるVHおよびVLはハイブリド
ーマが産生する抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体のいずれを
も用いることができる。CDRを含むペプチドは、H鎖また
はL鎖CDRの少なくとも1領域以上を含んで構成される。
複数のCDRは、直接または適当なペプチドリンカーを介
して結合させることができる。
【0076】(1)抗原の調製 抗原用部分ペプチドとしては、5〜30残基程度の蛋白質
部分配列があげられる。天然の構造を有する蛋白質を認
識する抗体を取得する方法としては、立体構造において
蛋白質の表面に存在している部分アミノ酸配列を抗原ペ
プチドとして選択する方法があげられる。立体構造にお
いて蛋白質の表面に存在する部分アミノ酸配列は、Kyte
とDoolittleの方法[ジャーナル・オブ・モレキュラー
・バイオロジー (Journal of Molecular Biology), 15
7, 105-132 (1982)]などにより、親水性の高い部分配
列を予測することができる。親水性の低い部分は立体構
造上蛋白質の内部に存在する場合が多く、親水性の高い
部分は蛋白質表面に存在する場合が多い。また、蛋白質
のN末端およびC末端は蛋白質表面に存在する場合が多
い。
【0077】さらに、Chou-Fasmanの方法[アドバンセ
ズ・イン・エンザイモロジー(Advances in Enzymology),
47, 45-147 (1978)]などによりアミノ酸配列から予測
した蛋白質二次構造において、ターン構造やランダムコ
イル構造を有する部分を抗原用ペプチドとする方法もあ
げられる。しかしながら、このように選択した部分ペプ
チドが目的通りの抗体を確立する抗原となるとは限らな
い。部分ペプチドには、蛋白質と架橋するためにシステ
インを末端に付加する。蛋白質の内部配列を選択した場
合には、必要に応じペプチドのN末端はアセチル化、C末
端はアミド化する。
【0078】部分ペプチドは一般的な液相、固相ペプチ
ド合成法およびそれらを適宜組み合わせる方法、または
それらに準じる方法によって合成することができる[イ
ンターナショナル・ジャーナル・オブ・ペプタイド・ア
ンド・プロテイン・リサーチ(International Journal o
f Peptide Protein Research), 35, 161-214 (1990)、
「ソリッド−フェーズ・ペプタイド・シンセシス (Soli
d-Phase Peptide Synthesis)」, メソッズ・イン・エン
ザイモロジー(Methods in Enzymology) 第289巻 、グ
レッグ・B・フィールズ (Gregg B. Fields) 編、アカデ
ミック・プレス(Academic Press)、(1997)、「ペプタイ
ド・シンセシス・プロトコール (Peptide Synthesis Pr
otocols)」, メソッズ・イン・モレキュラー・バイオロ
ジー(Methods in Molecular Biology) 第35巻 、マイ
ケル・W・ペニントン (Michael W.Pennington)、ベン・
M・ダン (Ben M. Dunn) 編、ヒューマナ・プレス (Huma
naPress)、(1994)]。
【0079】また、自動ペプチド合成機を用いることも
できる。ペプチド合成機によるペプチドの合成は、島津
製作所製ペプチド合成機、アドバンスト・ケムテック社
(Advanced ChemTech Inc., USA、以後 ACT社と略称す
る)製ペプチド合成機等の市販のペプチド合成機上で、
適当に側鎖を保護した Nα-Fmoc-アミノ酸あるいは Nα
-Boc-アミノ酸等を用い、それぞれの合成プログラムに
従って実施することができる。原料となる保護アミノ酸
および担体樹脂は、ABI 社、島津製作所、国産化学
(株)、ノバビオケム社(NovaBiochem)、渡辺化学
(株)、ACT 社、アナスペック社(AnaSpec Inc.)、ま
たはペプチド研究所(株)等から入手することができ
る。
【0080】(2)ポリクローナル抗体の作製 ウサギ、ヤギまたは3〜20週令のラット、マウスもし
くはハムスターに、上記2.で取得され、上記3.
(1)に従い調製される本発明の細胞死抑制ポリペプチ
ド全長または部分断片精製標品(抗原)を、50〜10
0μg/匹程、該動物の皮下、静脈内または腹腔内に、
適当なアジュバント〔例えば、フロインドの完全アジュ
バント(Complete Freund's Adjuvant)または、水酸化ア
ルミニウムゲルと百日咳菌ワクチンなど〕とともに投与
する。
【0081】該抗原の投与は、1 回目の投与の後1〜2
週間おきに3〜10回行う。各投与後、3〜7日目に眼
底静脈叢より採血し、該血清が免疫に用いた抗原と反応
することを酵素免疫測定法〔酵素免疫測定法(ELISA
法):医学書院刊 1976年、Antibodies, A Laboratory
Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (1988)〕な
どで確認する。
【0082】免疫に用いた抗原に対し、該血清が充分な
抗体価を示したウサギ、ヤギ、マウス、ラットまたはハ
ムスターより血清を取得し、該血清より、40〜50%
飽和硫酸アンモニウムによる塩析法、カプリル酸沈殿
法、DEAE−セファロースカラム、プロテインA−カ
ラムあるいはゲルろ過カラム等を用いたクロマト法等の
常法を用いて精製抗体を取得する。
【0083】(3)モノクローナル抗体の作製 (a)抗体産性細胞の調製 免疫に用いた本発明のポリペプチドまたはその部分断片
に対し、その血清が十分な抗体価を示したラットを抗体
産生細胞の供給源として供する。
【0084】該抗体価を示したラットに抗原物質を最終
投与した後3〜7日目に、脾臓を摘出する。該脾臓をM
EM培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほ
ぐし、1,200rpmで5分間遠心分離した後、上清
を捨てる。得られた沈殿画分の脾細胞をトリス−塩化ア
ンモニウム緩衝液(pH7.65)で1〜2分間処理し
赤血球を除去した後、MEM培地で3回洗浄し、得られ
た脾細胞を抗体産生細胞として用いる。
【0085】(b)骨髄腫細胞の調製 骨髄腫細胞としては、マウスまたはラットから取得した
株化細胞を使用する。たとえば、8-アザグアニン耐性マ
ウス(BALB/c由来)骨髄腫細胞株P3-X63Ag8-U1(以下、
P3−U1と略す)[カレント・トピックス・イン・ミ
クロバイオロジィ・アンド・イムノロジィ(Curr. Topi
cs Microbiol. Immunol.), 81, 1(1978)]、[ヨーロ
ピアン・ジャーナル・オブ・イムノロジィ(Europ. J. I
mmunol.),6, 511 (1976)]、SP2/0-Ag14(SP-2)[ネイチ
ャー(Nature), 276, 269 (1978)]、P3-X63-Ag8653(65
3)[ジャーナル・オブ・イムノロジィ(J. Immunol.), 1
23,1548 (1979)]、P3-X63-Ag8(X63)[ネイチャー(Natu
re), 256, 495 (1975)]等を用いることができる。これ
らの細胞株は、8−アザグアニン培地〔RPMI−16
40培地にグルタミン(1.5mmol/L)、2−メルカプト
エタノール(5×10-5M)、ジェンタマイシン(10μg/
ml)および牛胎児血清(FCS)(CSL社製、10
%)を加えた培地(以下、正常培地という)に、さらに
8−アザグアニン(15μg/ml)を加えた培地〕で
継代するが、細胞融合の3〜4日前に正常培地で培養
し、融合には該細胞を2×107個以上用いる。
【0086】(c)ハイブリドーマの作製 (a)で取得した抗体産生細胞と(b)で取得した骨髄腫細胞
をMEM培地またはPBS(リン酸二ナトリウム1.83
g、リン酸一カリウム0.21g、食塩7.65g、蒸留水1リ
ットル、pH7.2)でよく洗浄し、細胞数が、抗体産生
細胞:骨髄腫細胞=5〜10:1になるよう混合し、1,200
rpmで5分間遠心分離した後、上清を捨てる。
【0087】得られた沈澱画分の細胞群をよくほぐし、
該細胞群に、攪拌しながら、37℃で、108抗体産生細胞
あたり、ポリエチレングライコール−1000(PEG
−1000) 2g、MEM 2mlおよびジメチルスルホ
キシド(DMSO) 0.7mlを混合した溶液を 0.2〜1
ml添加し、更に1〜2分間毎にMEM培地 1〜2mlを
数回添加する。
【0088】添加後、MEM培地を加えて全量が50ml
になるように調製する。該調製液を900rpmで5分間遠
心分離後、上清を捨てる。得られた沈殿画分の細胞を、
ゆるやかにほぐした後、メスピペットによる吸込み、吹
出しでゆるやかにHAT培地〔正常培地にヒポキサンチ
ン(10-4M)、チミジン(1.5×10-5M)およびアミノ
プテリン(4×10-7M)を加えた培地〕100ml中に懸濁
する。
【0089】該懸濁液を96穴培養用プレートに100μ
l/穴ずつ分注し、5% CO2インキュベーター中、37
℃で7〜14日間培養する。培養後、培養上清の一部をと
りアンチボディイズ〔Antibodies, A Laboratorymanua
l, Cold Spring Harbor Laboratory, Chapter14(198
8)〕等に述べられている酵素免疫測定法により、本発明
のポリペプチドまたはその部分断片に特異的に反応する
ハイブリドーマを選択する。
【0090】酵素免疫測定法の具体的例として、以下の
方法をあげることができる。免疫の際、抗原に用いた本
発明のポリペプチドまたはその部分断片を適当なプレー
トにコートし、ハイブリドーマ培養上清もしくは後述の
(d)で得られる精製抗体を第一抗体として反応させ、さ
らに第二抗体としてビオチン、酵素、化学発光物質ある
いは放射線化合物等で標識した抗ラットイムノグロブリ
ン抗体を反応させた後に標識物質に応じた反応を行な
い、本発明のポリペプチドに特異的に反応するものを抗
細胞死抑制ポリペプチドモノクローナル抗体を生産する
ハイブリドーマとして選択する。
【0091】該ハイブリドーマを用いて、限界希釈法に
よりクローニングを2回繰り返し〔1回目は、HT培地
(HAT培地からアミノプテリンを除いた培地)、2回
目は、正常培地を使用する〕、安定して強い抗体価の認
められたものを抗細胞死抑制ポリペプチド抗体産生ハイ
ブリドーマ株として選択する。 (d)モノクローナル抗体の調製 プリスタン処理〔2,6,10,14−テトラメチルペ
ンタデカン(Pristane) 0.5mlを腹腔内投与
し、2週間飼育する〕した 8〜10週令のマウスまたはヌ
ードマウスに、(c)で取得した抗細胞死抑制ポリペプチ
ドモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞5〜20×1
06細胞/匹を腹腔内に注射する。10〜21日間でハイブリ
ドーマは腹水癌化する。
【0092】該腹水癌化したマウスから腹水を採取し、
3,000rpmで5分間遠心分離して固形分を除去する。得
られた上清を、40〜50%飽和硫酸アンモニウムによる塩
析法、カプリル酸沈殿法〔Antibodies , A Laboratory
manual, Cold Spring Harbor Laboratory, (1988)〕、
DEAE−セファロースカラム、プロテインA−カラム
あるいはセルロファインGSL2000(生化学工業社製)を
用いたカラムクロマト法等を用いて、IgGあるいはI
gM画分を集め、精製モノクローナル抗体として使用す
る。
【0093】抗体のサブクラスの決定は、マウスモノク
ローナル抗体タイピングキットまたはラットモノクロー
ナル抗体タイピングキットを用いて行う。蛋白質量は、
ローリー法あるいは280nmでの吸光度より算出する。
【0094】(4)遺伝子組換え抗体、各種抗体断片の
作製
【0095】本発明のヒト型キメラ抗体は、本発明のポ
リペプチドを認識するモノクローナル抗体を生産するハ
イブリドーマより、VHおよびVLをコードするcDNAを取得
し、ヒト抗体CHおよびヒト抗体CLをコードする遺伝子を
有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入してヒト
型キメラ抗体発現ベクターを構築し、該発現ベクターを
宿主細胞へ導入することにより発現させ、製造すること
ができる。ヒト型キメラ抗体のCHとしては、ヒトイムノ
グロブリン(以下、hIgと表記する)に属すればいかな
るものでもよいが、hIgGクラスのものが好適であり、更
にhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4とい
ったサブクラスのいずれも用いることができる。また、
ヒト型キメラ抗体のCLとしては、hIgに属すればいかな
るものでもよく、κクラスあるいはλクラスのものを用
いることができる。
【0096】本発明のヒト型CDR移植抗体は、ヒト以外
の動物の抗体のVHおよびVLのCDR配列を任意のヒト抗体
のVHおよびVLのCDR配列に移植したV領域をコードするcD
NAを構築し、ヒト抗体のCHおよびヒト抗体のCLをコード
する遺伝子を有するヒト型CDR移植抗体発現ベクターに
それぞれ挿入してヒト型CDR移植抗体発現ベクターを構
築し、該発現ベクターを宿主細胞へ導入することにより
ヒト型CDR移植抗体を発現させ、製造することができ
る。
【0097】本発明のヒト型CDR移植抗体のCHとして
は、hIgに属すればいかなるものでもよいが、hIgGクラ
スのものが好適であり、更にhIgGクラスに属するhIgG
1、hIgG2、hIgG3、hIgG4といったサブクラスのいずれも
用いることができる。また、該ヒト型CDR移植抗体のCL
としては、hIgに属すればいかなるものでもよく、κク
ラスあるいはλクラスのものを用いることができる。
【0098】ヒト体内に存在する抗体は、例えば、ヒト
末梢血リンパ球を単離し、EBウイルス等を感染させ不死
化、クローニングすることにより、該抗体を産生するリ
ンパ球を培養でき、培養物中より該抗体を精製すること
ができる。ヒト抗体ファージライブラリーは、ヒトB細
胞から調製した抗体遺伝子をファージ遺伝子に挿入する
ことによりFab、scFv等の抗体断片をファージ表面に発
現させたライブラリーである。該ライブラリーより、抗
原を固定化した基質に対する結合活性を指標として所望
の抗原結合活性を有する抗体断片を発現しているファー
ジを回収することができる。該抗体断片は、更に遺伝子
工学的手法により、2本の完全なH鎖および2本の完全なL
鎖からなるヒト抗体分子へも変換することができる。本
発明のFabは、上記抗体を蛋白質分解酵素パパインで処
理して得ることができる。または、該抗体のFabをコー
ドするDNAを発現ベクターに挿入し、該ベクターを宿主
細胞へ導入することにより発現させ、Fabを製造するこ
とができる。
【0099】本発明のF(ab')2は、上記抗体を蛋白質分
解酵素ペプシンで処理して得ることができる。または、
下記のFab'をチオエーテル結合あるいはジスルフィド結
合させ、作製することができる。本発明のFab'は、上記
F(ab')2を還元剤ジチオスレイトール処理して得ること
ができる。または、該抗体のFab'断片をコードするDNA
を発現ベクターに挿入し、該ベクターを宿主細胞へ導入
することによりFab'を発現させ、製造することができ
る。本発明のscFvは、上記抗体のVHおよびVLをコードす
るcDNAを取得し、scFvをコードするDNAを構築し、該DNA
を発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを宿主細胞へ
導入することによりscFvを発現させ、製造することがで
きる。
【0100】本発明のdsFvは、抗体のVHおよびVLをコー
ドするcDNAを取得し、dsFvをコードするDNAを構築し、
該DNAを発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを宿主
細胞へ導入することにより発現させ、dsFvを製造するこ
とができる。本発明のCDRを含むペプチドは、抗体のVH
およびVLをコードするcDNAを取得した後、該cDNAを発現
ベクターに挿入し、該発現ベクターを宿主細胞へ導入す
ることにより発現させ、CDRを含むペプチドを製造する
ことができる。また、CDRを含むペプチドは、Fmoc法
(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法
(t-ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法によっ
て製造することもできる。
【0101】(5)モノクローナル抗体を用いた免疫細
胞染色 付着細胞を用いて免疫細胞染色を行う場合には、予め下
記の処理をすることにより、培養フラスコより剥がした
細胞を用いることが好ましい。
【0102】即ち、培養付着細胞をPBS緩衝液で洗浄
し、0.05% トリプシン、0.02% EDTA(エチレンジ
アミン4酢酸)を含むPBS緩衝液3mlを加え、余分な
溶液を除いた後、37℃、5分間インキュベートすること
によりフラスコより細胞を剥がす(以下、この操作をト
リプシン−EDTA処理と呼ぶ)。浮遊細胞については
培養細胞をそのまま用いることができる。
【0103】免疫細胞染色を行う細胞を免疫細胞染色用
緩衝液(1% BSA、0.02% EDTA、0.05% アジ化
ナトリウムを含むPBS)等に懸濁し、1〜20×105個ず
つ丸底96穴プレートに分注する。該プレートに、
(c)で取得した抗細胞死抑制ポリペプチドモノクロー
ナル抗体産生ハイブリドーマの培養上清、(d)で取得
した精製モノクローナル抗体、もしくは該モノクローナ
ル抗体を公知の方法(酵素抗体法:学際企画刊1985年)
でビオチン標識した抗体を 0.1〜50μg/mlの濃度に
なるように免疫細胞染色用緩衝液あるいは10%動物血清
を含む免疫細胞染色用緩衝液を用いて希釈したものを20
〜500μl/穴となるように分注し、氷冷下で30分間放
置する。
【0104】上記において、(c)で取得した抗細胞死
抑制ポリペプチドモノクローナル抗体産生ハイブリドー
マの培養上清または(d)で取得した精製モノクローナ
ル抗体を用いた場合には、上記プレートに免疫細胞染色
用緩衝液を添加し、細胞を洗浄後、FITCあるいはフ
ィコエリスリン等の蛍光色素で標識した抗マウスイムノ
グロブリン抗体あるいは抗ラットイムノグロブリン抗体
を0.1〜50μg/ml程度の濃度で含む免疫細胞染色用
緩衝液を50〜500μl/穴ほど分注し、氷冷下で30分間
遮光して放置する。
【0105】ビオチン標識した該モノクロ−ナル抗体を
用いた場合には、上記プレートにストレプトアビジンを
50〜500μl/穴ほど分注し、氷冷下で30分間遮光して
放置する。両ケースとも、放置後、プレートに免疫細胞
染色用緩衝液を添加し、細胞を良く洗浄し、セルソータ
ーにより解析する。 (6)本発明のポリペプチドの免疫沈降 本発明のポリペプチドを発現するCHO細胞あるいは昆
虫細胞をシャーレ等の培養容器中で培養する。
【0106】該培養容器にPBSを添加し、細胞を洗浄
する。該培養容器に氷冷した1% Triton X100、 20mmol
/L Tris−HCl、150mmol/L NaClからなる緩
衝液(以後、緩衝液1と呼ぶ)等の細胞膜を可溶化する
緩衝液を100〜500μl添加し、氷上で30分間静
置した後、5分間隔でゆっくり振動させ、可溶化処理す
る。
【0107】該処理液を1.5ml用遠心チューブに回
収し、14,000rpmで30分間遠心分離する。得
られた上清に、上記で用いた緩衝液で平衡化させたプロ
テインG−セファロースもしくはプロテインA−セファ
ロースを10〜50μl添加し、4℃で1時間以上振盪
した後、5,000rpmで2分間遠心分離し、上清を
回収する。
【0108】該上清に、(c)で取得した抗細胞死抑制
ポリペプチドモノクローナル抗体産生ハイブリドーマの
培養上清または(d)で取得した精製モノクローナル抗
体を0.01〜50μg/mlとなるように添加し、4
℃で1時間以上振盪する。該振盪液にプロテインGーセ
ファロースもしくはプロテインAーセファロースを10
〜50μl添加し、4℃で1時間以上振盪後、5,00
0rpmで2分間遠心分離する。
【0109】得られた沈殿画分に200μlの上記の細
胞膜を可溶化する緩衝液を添加し、沈殿を懸濁させる。
同様の操作を3度以上繰り返し、沈殿画分を洗浄する。
該沈殿にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動用サ
ンプルバッファーを添加し、ヒートブロックを用いて加
熱した後、SDS−PAGEを行う。SDS−PAGE
終了後、得られたゲル中のポリペプチドをPVDF膜等
へ転写し、本発明の抗細胞死抑制ポリペプチドポリクロ
ーナル抗体等を用いたウエスタンブロッティング法等に
より細胞死抑制ポリペプチドを検出する。
【0110】4.本発明のポリぺプチドと特異的に結合
する物質のスクリーニング法 本発明のポリペプチドと被験試料とを接触させ、被験試
料の中から本発明のポリペプチドに結合する物質を選択
して、本発明のポリペプチドに結合する物質をスクリー
ニングすることにより、本発明のポリペプチドと特異的
に結合する物質をスクリーニングすることができる。
【0111】被験試料として、合成化合物、天然に存在
するまたは人工的に合成された抗体、タンパク質、ペプ
チド、非ペプチド性化合物、糖質、脂質、本発明のポリ
ペプチドをコードするDNAのアンチセンスDNAおよ
びそれらの修飾体、誘導体などの他に、例えば、哺乳動
物(例えばマウス、ラット、モルモット、ハムスター、
ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、サル、ヒトな
ど)の尿、体液、組織抽出物、細胞培養上清、細胞抽出
物、さらに発酵生産物、植物その他の生物の抽出物等を
挙げることができるが、それらに限定されない。
【0112】具体的には本来、本発明のポリペプチドを
発現していない細胞と、該細胞に本発明の細胞死抑制遺
伝子を導入発現させた細胞の両細胞に被験試料を接触さ
せ、例えば、細胞内カルシウム、cAMP、cGMP等
の細胞内情報伝達分子濃度の変化、細胞内蛋白質のリン
酸化、初期転写因子遺伝子の発現変化、細胞膜電位の変
化、細胞内pHの変化、細胞外情報伝達分子の遊離、細
胞の形態変化等、種々の細胞刺激活性を両細胞において
測定し、両細胞における差異を詳細に比較、解析するこ
とにより、該ポリペプチドに結合する物質をスクリーニ
ングすることができる。
【0113】また、被験試料がポリペプチドである場
合、宿主細胞の中に、本発明のポリペプチドをコードす
るDNAを含む発現ベクターとともに、被験試料である
ポリペプチドをコードするDNAを含む発現ベクターを
導入する。その導入した発現ベクターを発現させて、細
胞内で本発明のポリペプチドと被験試料であるポリペプ
チドを接触できるようにする。その細胞内で本発明のポ
リペプチドと被験試料であるポリペプチドが結合する
と、細胞自体の色が変化するように設定して、目視で本
発明のポリペプチドと被験試料であるポリペプチドの結
合が確認できるようにする。目視で確認できた細胞を取
り出して、被験試料であるポリペプチドをコードするD
NAを同定すれば、本発明のポリペプチドに結合する物
質をスクリーニングすることができる。
【0114】被験試料のうち、合成化合物、天然に存在
するあるいは人工的に合成された蛋白質、糖質、脂質お
よびそれらの修飾体、誘導体を、酵素、放射能等により
標識する。標識された被験試料の、本発明のポリぺプチ
ドを発現する細胞、該細胞膜画分、もしくはマイクロタ
イタープレート等へ固層化した本発明のポリぺプチドに
対する結合量を測定することにより、被験試料の本発明
のポリペプチドに結合する物質であるか否かの同定が可
能である。
【0115】また、本発明のポリぺプチド、該ポリペプ
チドの部分改変体又は部分ぺプチドを、BIAcore(Pharma
cia Biotech社製)のセンサーチップに共有結合させ被験
試料を接触させる方法〔Nature, 368, 558 (1994)〕に
より、該ポリペプチドに結合する物質を探索し、同定す
ることができる。更に、標識した本発明のポリぺプチ
ド、または非標識の本発明のポリぺプチドと該ポリぺプ
チドに対する標識抗体を用いて、該ポリぺプチドと特異
的に会合する該ポリペプチドに結合する物質を以下の方
法で探索し、同定することが可能である。
【0116】即ち、尿、体液、組織抽出物、細胞培養上
清、細胞抽出物などの被験試料を適当な分画を行った
後、ポリアクリルアミド電気泳動、アガロース電気泳
動、二次元電気泳動などの電気泳動や、HPLC等のカ
ラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等の
手法によりさらに分画し、本発明の細胞死抑制遺伝子を
発現している個体と発現していない個体、または本発明
の細胞死抑制遺伝子を発現している細胞と発現していな
い細胞等の間における差異を詳細に比較、解析すること
により、本発明の細胞死抑制遺伝子の発現と特異的に相
関して認められる(または消失する)バンドやスポット、
ピークを特定する。
【0117】該バンド、スポット、ピークより、ブロッ
ティングの手法を用いて、ゲルまたは薄層プレートから
ニトロセルロース膜、ナイロン膜、PVDF膜等の支持
体に写し取った後、標識した本発明の細胞死抑制遺伝子
ポリぺプチドまたは非標識の該ポリぺプチドと該ポリぺ
プチドに対する標識抗体を用いて、該ポリぺプチドと特
異的に結合するバンド、スポットを探索し、該バンド、
スポットより該ポリペプチドに結合する物質を抽出し、
同定することができる。
【0118】5.本発明のポリぺプチドの活性を抑制す
る物質のスクリーニング法 該スクリーニングにより得られる物質には、本発明のポ
リぺプチドの有する活性を阻害する活性を有する物質
(アンタゴニスト)が含まれる。
【0119】該物質のスクリーニング方法として、例え
ば、以下の方法をあげることができる。本発明の細胞死
抑制遺伝子を導入発現させた細胞もしくは本来本発明の
細胞死抑制遺伝子を発現している細胞に、被験試料を接
触させ、例えば、細胞内カルシウム、cAMP、cGM
P等の細胞内情報伝達分子濃度の変化、細胞内蛋白質の
リン酸化、初期転写因子遺伝子の発現変化、細胞膜電位
の変化、細胞内pHの変化、細胞外情報伝達分子の遊
離、細胞の形態変化、アポトーシス活性等の種々の細胞
刺激活性を測定することにより、本発明のポリぺプチド
の有する活性を阻害する物質を探索し、同定する方法を
あげることができる。
【0120】被験試料として、合成化合物、天然に存在
するまたは人工的に合成された抗体、タンパク質、ペプ
チド、非ペプチド性化合物、糖質、脂質、本発明のポリ
ペプチドをコードするDNAのアンチセンスDNAおよ
びそれらの修飾体、誘導体などの他に、例えば、哺乳動
物(例えばマウス、ラット、モルモット、ハムスター、
ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、サル、ヒトな
ど)の尿、体液、組織抽出物、細胞培養上清、細胞抽出
物、さらに発酵生産物、植物その他の生物の抽出物等を
挙げることができるが、それらに限定されない。
【0121】6.本発明のポリペプチドの発現を制御す
る物質(以下、発現制御物質と略す)のスクリーニング
法 (1)本発明のポリペプチドを認識する抗体を用いたス
クリーニング法 ここで、ポリペプチドの発現を制御するとは、その発現
を増強する場合とその発現を抑制する場合の両方を包含
する。本発明のポリペプチドを発現する細胞を被験試料
と接触させた後、本発明のポリペプチドを認識する抗体
を用いて、該ポリペプチドを定量することにより、発現
制御物質をスクリーニングすることができる。本発明の
ポリペプチドを発現する細胞として、例えば腫瘍細胞、
癌細胞、あるいはそれら細胞由来の細胞株(例えば、マ
ウスproB細胞由来のBa/F3−Ad細胞等)をあげる
ことができる。また、本発明のポリペプチドをコードす
るDNAが導入された本発明の形質転換体を用いること
ができる。
【0122】被験試料として、合成化合物、天然に存在
するまたは人工的に合成された抗体、タンパク質、ペプ
チド、非ペプチド性化合物、糖質、脂質、本発明のポリ
ペプチドをコードするDNAのアンチセンスDNAおよ
びそれらの修飾体、誘導体などの他に、例えば、哺乳動
物(例えばマウス、ラット、モルモット、ハムスター、
ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、サル、ヒトな
ど)の尿、体液、組織抽出物、細胞培養上清、細胞抽出
物、さらに発酵生産物、植物その他の生物の抽出物等を
挙げることができるが、それらに限定されない。
【0123】本発明のポリペプチドを発現する細胞を、
例えば該細胞の増殖することのできる培地に懸濁し、被
験試料を該培地に添加し、該細胞を接触させた後、該細
胞の発現したポリペプチド含量を、上記3.記載のポリ
クローナル抗体またはモノクローナル抗体を用い、上記
4.記載の方法に準じて定量する。被験試料を添加しな
い系と比較し、ポリペプチド含量を増加あるいは減少さ
せることのできた被験試料を探索することにより、発現
制御物質を同定することができる。
【0124】(2)本発明の細胞死抑制遺伝子の転写産
物の定量系を利用したスクリーニング法 本発明のポリペプチドを発現する細胞を被験試料と接触
させた後、本発明の細胞死抑制遺伝子の転写産物を定量
することにより発現制御物質を探索、同定することがで
きる。本発明のポリペプチドを発現する細胞および被験
試料として、上記(1)記載のものを用いることができ
る。
【0125】本発明のポリペプチドを発現する細胞を、
例えば該細胞の増殖することのできる培地に懸濁し、被
験試料を該培地に添加し、該細胞を接触させた後、該細
胞の発現した細胞死抑制遺伝子の転写産物の量を、通常
のノーザン・ブロット・ハイブリダイゼーション法、R
NAのドット・ブロット・ハイブリダイゼーション法、
RT−PCR法などを用い定量することができる。
【0126】ハイブリダイゼーション法等に用いること
のできるプローブおよびRT−PCR法等に用いること
のできるプライマーとして、本発明の細胞死抑制遺伝子
断片をあげることができ、具体的には配列番号7、8で
示される塩基配列から選ばれる配列を有するDNA断片
を好適に用いることができる。被験試料を添加しない系
と比較し、本発明の細胞死抑制遺伝子の転写産物含量を
増加あるいは減少させることのできる被験試料を探索す
ることにより、発現制御物質を同定することができる。
【0127】(3)レポーター遺伝子を利用したスクリ
ーニング法 本発明のポリぺプチドをコードする遺伝子の転写を制御
する領域(以下、転写制御領域と略す)の下流にレポー
ター遺伝子の連結されたDNAを含むプラスミドで形質
転換された形質転換体と被験試料とを接触させた後、レ
ポーター遺伝子によりコードされたポリペプチドの発現
量を定量することにより発現制御物質を探索、同定する
ことができる。
【0128】レポーター遺伝子としては、該遺伝子の翻
訳産物が細胞内で安定であり、該翻訳産物の存在量が容
易に定量できるものであればいかなるものでも用いるこ
とができ、例えば、クロラムフェニコールアセチルトラ
ンスフェラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダーゼ(β−
gal)、ルシフェラーゼ(luc)、グリーンフルオ
レッセントプロテイン(GFP)等をあげることができ
る。
【0129】被験試料として、上記(1)記載のものを
用いることができる。転写制御領域の下流に常法により
レポーター遺伝子を連結し、作製したプラスミドを用
い、常法により宿主細胞を形質転換する。該形質転換体
を、例えば該細胞の増殖することのできる培地に懸濁
し、被験試料を該培地に添加し、該細胞を接触させた
後、該細胞の発現したレポーター遺伝子の転写産物の量
を、該転写産物に適した方法で検出、定量する。
【0130】検出、定量法として、CATの場合には、
例えば、モレキュラー・クローニング 第2版,16
章,60頁に記載の方法を、β−galの場合には、例
えば、モレキュラー・クローニング 第2版,16章,
66頁に記載の方法を、lucの場合には、例えば、実
験医学別冊バイオマニュアルシリーズ4遺伝子導入と発
現・解析法, 81(1994)に記載の方法を、GFPの場合には、
例えば、Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 94, 4653 (199
7)記載の方法等をあげることができる。
【0131】被験試料を添加しない系と比較し、本発明
の細胞死抑制遺伝子の転写産物含量を増加又は減少させ
ることのできる被験試料を探索することにより、発現制
御物質を同定することができる。
【0132】7.本発明のポリペプチドおよびその関連
物質の医薬等への利用 (1)本発明の抗細胞死抑制ポリペプチド抗体またはそ
の抗体断片を用いる免疫学的測定法により、血液、臓器
の一部、細胞等のサンプルでの細胞死抑制ポリペプチド
の検出、定量を行うことができる。具体的に好適な手法
としてはマイクロタイタープレートを用いるELISA
法、蛍光抗体法、 ウェスタンブロット法などがあげら
れ、また病理組織切片を用いた免疫組織染色にも利用で
きる。従って該抗体は細胞死を抑制する活性を有するポ
リペプチド発現の増強又は低下に伴う、細胞死が促進さ
れて引き起こされる疾患(例えば、糖尿病、神経変性疾
患、劇症肝炎、ウイルス疾患、放射線障害、又は虚血時
あるいは抗癌剤使用時の細胞死)、細胞死が抑制されて
引き起こされる疾患(例えば、悪性腫瘍、又は自己免疫
疾患)の発生の可能性の診断に有用である。同様に該ポ
リペプチドを対象とした研究における研究用試薬として
も有用である。
【0133】(2)本発明のポリペプチドの全長または
部分断片を生体に投与することにより細胞死の抑制が可
能である。従って細胞死の進行に密接に関連して生ずる
種々の疾患、例えば、糖尿病、神経変性疾患、劇症肝
炎、ウイルス疾患、放射線障害、又は虚血時あるいは抗
癌剤使用時の細胞死等の治療薬、予防薬として有用であ
る。 (3)本発明の細胞死抑制遺伝子をレトロウィルス、ア
デノウィルス等のウィルスベクターやその他のベクター
に組み込み、遺伝子治療用ベクターとすることができ
る。この遺伝子治療用ベクターを用いることにより細胞
死が促進されて引き起こされる疾患の治療に用いること
ができる。
【0134】(4)本発明の細胞死抑制遺伝子を用い
て、ノーザンハイブリダイゼーション法またはPCR法
により、該遺伝子の発現量を測定し、細胞死が促進され
て引き起こされる疾患(例えば、糖尿病、神経変性疾
患、劇症肝炎、ウイルス疾患、放射線障害、又は虚血時
あるいは抗癌剤使用時の細胞死)、細胞死が抑制されて
引き起こされる疾患(例えば、悪性腫瘍、又は自己免疫
疾患)の発生の可能性の診断するとともに、該細胞死抑
制遺伝子を前記疾患の発症抑制に利用することができ
る。また、該細胞死抑制遺伝子の先天的な欠損により、
細胞死が促進され、細胞死が促進されて引き起こされる
疾患を生じやすくなった個体を、該細胞死抑制遺伝子を
用いたサザン・ブロット・ハイブリダイゼーションやP
CR法あるいはSSCP法により検出し、該検出された
個体の核酸配列情報を基に遺伝子診断を行うことができ
る。更に該細胞死抑制遺伝子は遺伝子研究用試薬として
も極めて有用である。
【0135】(5)本発明の組換え体DNAを含む形質
転換体は、本発明のポリペプチドの代替もしくは補助、
又は本発明のポリペプチドに結合する物質、本発明のポ
リペプチドの有する活性を阻害する物質などのスクリー
ニングなどに使用できる。
【0136】(6)本発明のポリぺプチドは、該ポリペ
プチドに結合する物質をスクリーニングするための試薬
として有用である。 (7)本発明のポリぺプチドと該ポリペプチドに結合す
る物質とを用いて、該ポリぺプチドと該ポリペプチドに
結合する物質の特異的結合を阻害する化合物のスクリー
ニングに用いることができる。
【0137】(8)本発明のポリぺプチドと該ポリペプ
チドに結合する物質を利用し、該ポリペプチドと該ポリ
ペプチドに結合する物質が結合した結果誘導される物質
を探索、同定することができる。 (9)本発明のポリペプチドに結合する物質、本発明の
ポリペプチドに結合して該ポリペプチドの有する活性を
阻害する物質、本発明のポリぺプチドと該ポリペプチド
に結合する物質との特異的結合を阻害する物質、本発明
のポリペプチドと該ポリペプチドに結合する物質が結合
した結果誘導される物質は、本発明のポリぺプチドの細
胞死抑制機能を代替もしくは補助、または阻害すると考
えられ、これら物質を含む薬剤は、細胞死が促進されて
引き起こされる疾患(例えば、糖尿病、神経変性疾患、
劇症肝炎、ウイルス疾患、放射線障害、又は虚血時ある
いは抗癌剤使用時の細胞死)、細胞死が抑制されて引き
起こされる疾患(例えば、悪性腫瘍、又は自己免疫疾
患)のための診断薬、予防薬あるいは治療薬として有用
である。
【0138】(10)本発明のポリペプチドをコードす
る細胞死抑制遺伝子の発現を制御(増加又は抑制)する
物質(発現制御物質)は、本発明のポリペプチド同様、
細胞死が促進されて引き起こされる疾患(例えば、糖尿
病、神経変性疾患、劇症肝炎、ウイルス疾患、放射線障
害、又は虚血時あるいは抗癌剤使用時の細胞死)、細胞
死が抑制されて引き起こされる疾患(例えば、悪性腫
瘍、又は自己免疫疾患)の治療、予防に有用である。
【0139】(11)本発明のポリペプチドの細胞死を
抑制する活性を阻害する物質としては、前述のスクリー
ニング法により得られた物質、本発明のDNAの塩基配
列に基づいて調製したアンチセンス鎖DNAあるいは本
発明の抗体またはその抗体断片などがあげられる。本発
明の抗体またはその抗体断片の調製方法については前述
のとおりである。本発明のDNAの塩基配列に基づいて
調製したアンチセンス鎖DNAは、以下の方法によって
調製できる。上述の方法で取得した本発明のDNAまた
はDNA断片を用いて、モレキュラー・クローニング第
2版等に記載の常法により、あるいは該DNAの塩基配
列情報よりDNA合成機により、本発明のDNAの一部
の配列を有するアンチセンス・オリゴヌクレオチド、セ
ンス・オリゴヌクレオチド等のオリゴヌクレオチドを調
製することができる。
【0140】該オリゴヌクレオチドとしては、上記DN
Aの有する塩基配列中の連続した5〜60塩基と同じ配
列を有するDNAまたは該DNAと相補的な配列を有す
るDNAをあげることができ、具体的には、配列番号1
又は3で表される塩基配列中の連続した5〜60塩基と
同じ配列を有するDNAまたは該DNAと相補的な配列
を有するDNAをあげることができる。センスプライマ
ーおよびアンチセンスプライマーとして用いる場合に
は、両者の融解温度(Tm)および塩基数が極端に変わ
ることのない上記記載のオリゴヌクレオチドが好まし
い。具体的には、配列番号7,8等に示された塩基配列
を有するオリゴヌクレオチドをあげることができる。
【0141】更に、これらオリゴヌクレオチドの誘導体
(以下、オリゴヌクレオチド誘導体という)も本発明の
アンチセンス鎖DNAとして利用することができる。該
オリゴヌクレオチド誘導体としては、オリゴヌクレオチ
ド中のリン酸ジエステル結合がホスフォロチオエート結
合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌク
レオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホ
スフォアミデート結合に変換されたオリゴヌクレオチド
誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエ
ステル結合がペプチド核酸結合に変換されたオリゴヌク
レオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC
−5プロピニルウラシルで置換されたオリゴヌクレオチ
ド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チ
アゾールウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導
体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニ
ルシトシンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オ
リゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シ
トシン(phenoxazine-modified cytosine)で置換された
オリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリ
ボースが2’−O−プロピルリボースで置換されたオリ
ゴヌクレオチド誘導体、あるいはオリゴヌクレオチド中
のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換さ
れたオリゴヌクレオチド誘導体等をあげることができる
〔細胞工学, 16, 1463 (1997)〕。
【0142】本発明のポリペプチドの細胞死を抑制する
活性を阻害する物質は、細胞死が抑制されて引き起こさ
れる疾患(例えば、悪性腫瘍、又は自己免疫疾患)の発
生の診断、予防あるいは治療に有用である。
【0143】8.細胞死抑制遺伝子が欠損または置換し
た遺伝子改変非ヒト動物、その作製法と利用法 細胞死抑制遺伝子の全部或いはその一部が欠損または置
換した、不活性型または置換型細胞死抑制遺伝子を含む
ベクターを用い胚性幹細胞(embryonic stem cell)にお
いて染色体上の細胞死抑制遺伝子を公知の相同組換えの
手法〔例えば、Nature, 326, 295 (1987)、Cell, 51, 5
03 (1987)等〕により不活化または任意の配列と置換し
た変異クローンを作成することができる〔例えば、Natu
re, 350, 243 (1991)〕。
【0144】具体的には図16で示した遺伝子断片を用
いることができる。ターゲティングベクターは以下のよ
うに造成できるが、これに限定するものではない。図1
6のSpeI-SpeI断片(short arm:約1.5kb)、PGKneobpAカ
セット〔PGKプロータ-ネオマイシン耐性遺伝子-ウシ成
長ホルモン遺伝子ポリアデニレーションシグナル配列か
らなるネオマイシン耐性遺伝子発現ユニット、 Cell,
64, 693 (1991)〕、図16のSmaI-KpnI断片(lomg arm:
約6kb)、MC1/DT-Aカセット〔MC1プロモータとジフテリ
ア毒素A鎖からなるジフテリア毒素A鎖発現ユニット、 A
nalytical biochemistry, 214, 77 (1993)〕を図16の
Targeting vectorに示したように連結した断片を含有す
るpBluescriptIISK(-)を造成する。該ベクターをNotIな
どで切断し線状化した後、TT2細胞[Analytical Biochem
istry, 214, 70 (1993)]などのES細胞株に導入する。
G418耐性を有するクローンよりPCR法またはサザンハイ
ブリダイゼーション法により、相同組換えを起こして本
細胞死抑制遺伝子のエクソン1部分が破壊されたクロー
ンを選択する。
【0145】このようにして作成した胚性幹細胞クロー
ンを用い、動物の受精卵の胚盤胞(blastocyst)への注入
キメラ法または集合キメラ法等の手法により胚性幹細胞
クローンと正常細胞からなるキメラ個体を作成すること
ができる。このキメラ個体と正常個体の掛け合わせによ
り、全身の細胞の本発明の細胞死抑制遺伝子に変異を有
する個体を得ることができ、さらにその個体の掛け合わ
せにより相同染色体の双方に変異が入った、ホモ個体を
得ることができる。
【0146】このようにして動物個体において、細胞死
抑制遺伝子の任意の位置へ変異の導入が可能である。例
えば細胞死抑制遺伝子の翻訳領域中への塩基置換、欠
失、挿入等の変異を導入することにより、その産物の活
性を変化させることができる。またその発現制御領域へ
の同様な変異の導入により、発現の程度、時期、組織特
異性等を改変させることも可能である。さらにCre-loxP
系〔 J. Clin. Invest.,98, 600 (1996)〕との組合せに
より、より積極的に発現時期、発現部位、発現量等を制
御することも可能である。このような例としては脳のあ
る特定の領域で発現されるプロモータを利用して、その
領域でのみ目的遺伝子を欠失させた例〔Cell, 87, 1317
(1996)〕やCreを発現するアデノウィルスを用いて、目
的の時期に、臓器特異的に目的遺伝子を欠失させた例
〔Science, 278, 5335 (1997)〕が知られている。
【0147】従って本発明の細胞死抑制遺伝子について
もこのように任意の時期や組織で発現を制御できる、ま
たは任意の挿入、欠失、置換および/または付加をその
翻訳領域や、発現制御領域に有する動物個体を作成する
ことが可能である。このような動物は任意の時期、任意
の程度または任意の部位で、細胞死と細胞死に伴って生
ずる、細胞死が促進されて引き起こされる疾患(例え
ば、糖尿病、神経変性疾患、劇症肝炎、ウイルス疾患、
放射線障害、又は虚血時あるいは抗癌剤使用時の細胞
死)の症状を誘導することができる。従って細胞死や上
記の種々の疾患の治療や予防において極めて有用な動物
モデルとなる。特にその治療薬、予防薬、また機能性食
品、健康食品等の評価用モデルとして非常に有用であ
る。
【0148】上記遺伝子改変非ヒト動物、あるいは該動
物の臓器、組織または細胞と被験化合物を接触させ、被
験化合物の中から該動物、あるいは該動物の臓器、組織
または細胞の動態を変化させる被験化合物を選択するこ
とにより、細胞死の抑制あるいは促進に起因する疾患の
予防薬、診断薬又は治療薬のスクリーニングを行うこと
ができる。上述の如く、これらスクリーニング方法によ
り得られる物質は、細胞死が促進されて引き起こされる
疾患(例えば、神経変性疾患、劇症肝炎、ウイルス疾
患、放射線障害、又は虚血時あるいは抗癌剤使用時の細
胞死)、細胞死が抑制されて引き起こされる疾患(例え
ば、糖尿病、悪性腫瘍、又は自己免疫疾患)の治療、予
防に有用である。
【0149】9.本発明のポリペプチドの活性を制御す
る細胞死の制御方法 本発明において、ポリペプチドの活性を制御するとは、
その活性を抑制する場合あるいは促進する場合を意味す
る。本発明のポリペプチドの活性を抑制する場合には、
上記本発明の抗体またはその抗体断片、上記アンチセン
ス鎖DNA、上記スクリーニングで得られた物質等を用
いて行うことができる。本発明のポリペプチドの活性を
促進する場合には、本発明のポリペプチド、本発明のD
NA、本発明の組換え体DNA、上記スクリーニングで
得られた物質等を用いて行うことができる。
【0150】10.本発明のマウスproB細胞由来の
Ba/F3−Ad細胞 Ba/F3−Ad細胞は、IL−3がなくとも培養下で生存
及び/又は増殖でき、培養下の培養器上の細胞外マトリ
ックスに接着可能な性質を有するマウスproB細胞由
来の細胞株である。このBa/F3−Ad細胞は、細胞内の
H−Ras分子が活性化状態にあることが好ましい。こ
れらのBa/F3−Ad細胞は、親株であるIL-3依存性マウ
スproB細胞株Ba/F3(理研ジーンバンク cell number:
RCB0805)細胞を培養している中で、培養器に接
着しているものを選択し、それを取りだして、更にIL-3
の非存在下で培養し、生存あるいは増殖する細胞を選択
することで作成することができる。具体的には、Ba/F3
細胞を通常の培地[0.1ng/mlマウスIL-3(R&Dsystems
社製)を添加した、10%FCS含有RPMI-1640(ナカライテス
ク社製)]で培養し、細胞皿に付着した細胞のみを分離
し、分離された細胞を10%FCS含有RPMI-1640で培養する
ことにより、Ba/F3-Ad細胞を単離することができる。本
発明のBa/F3−Ad細胞は、上記の如く、細胞死につい
ての研究、細胞接着のメカニズムの研究等の材料として
特に有用である。
【0151】11.本発明の医薬 本発明の医薬において、細胞死が促進されて引き起こさ
れる疾患、細胞死が抑制されて引き起こされる疾患とし
ては、以下の疾病があげられる。具体的には、アポトー
シスによる過剰な細胞死が発症に関わる疾患として、例
えば劇症肝炎やその他のウイルス疾患、アルツハイマー
病などの神経変性疾患、放射線障害などがあげられ、逆
にアポトーシス抑制が発症に関わる疾患として、例えば
胃癌、卵巣癌、乳癌、膵癌、前立腺癌等の悪性腫瘍や自
己免疫疾患などがあげられる。また、糖代謝制御シグナ
ルの異常によって生じる疾患として、糖尿病等があげら
れる。さらに、本発明の医薬は、脳、心臓などの虚血時
における細胞死抑制剤、抗癌剤や放射線治療時における
正常細胞の細胞死からの保護剤、または抗癌剤等の既存
の治療薬の効果を増強する薬剤として使用される。
【0152】抗癌剤としては、アルキル化剤、代謝拮抗
剤、抗腫瘍性抗生物質、植物アルカロイドがあげられ、
さらに具体的には、ブスルファン (busulfan)、シクロ
フォスファミド (cyclophosphamide)、イホスファミド
(ifosphamide)、メルファラン (melphalan)、ニトロソ
ウレア (nitrosourea)、アムサクリン (amsacrine)、カ
ルボプラチン (carboplatin)、シスプラチン (cisplati
n)、ダカルバジン (dacarbazine)、アザシチジン (azac
itidine)、クラドリビン (cladribine)、シタラビン (c
ytarabine)、フルダラビン (fludarabine)、フルオロウ
ラシル (fluorouracil)、ヒドロキシウレア (hydroxyur
ea)、ロイコボリン (leucovorin)、メトトレキサート
(methotrexate)、アクチノマイシンD (actinomycin
D)、ブレオマイシン (bleomycin)、ダウノルビシン (da
unorubicin)、ドキソルビシン (doxorubicin)、マイト
マイシンC (mitomycin C)、ミトキサントロン (mitoxan
trone)、エトポシド (etoposide)、パクリタキセル (pa
critaxel)、テニポシド (teniposide)、ビンブラスチン
(vinblastine)、ビンクリスチン (vincristine)、ビン
デシン (vindesine)、ゲルダナマイシンおよびラディシ
コールがあげられる。
【0153】これらの抗癌剤と同時に本発明の活性成分
を患者に投与することも可能であるし、別々の容器に封
入した組み合わせ(キット)として、スケジュールを決
めて別々に投与することも可能である。また、本発明の
活性成分に、スペーサーを介して上記の抗癌剤を結合さ
せて生体へ投与してもよい。患者への投与方法として
は、活性成分であるポリぺプチドをコードする遺伝子を
挿入させた遺伝子治療用に調製した組換えベクターを、
患者から取り出した細胞に導入させた後、細胞を生体内
に戻す方法、レトロウィルス、アデノウィルス、アデノ
随伴ウィルス、単純ヘルペスウィルス、レンチウィル
ス、センダイウィルス等のウィルスベクターに乗せて生
体に投与する方法、リポソームなどの人工的なビークル
構造に封入して生体に投与する方法、活性成分であるポ
リペプチドに細胞内への導入効率を高めるペプチド断
片、例えば実施例に記載されたTATペプチド [Science,
285, 1569-1572 (1999)] などを融合させて生体に投与
する方法などがあげられる。抗癌剤と本発明の活性成分
の投与比、投与スケジュールは、患者の年齢、体重、治
療すべき症状の性質もしくは重篤度を考慮して決定され
る。
【0154】本発明の活性成分は、医薬製剤として、単
独で、あるいは任意の他の治療のための有効成分との混
合物として含有することができる。また、それら医薬製
剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそ
れ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野におい
てよく知られている任意の方法により製造される。
【0155】投与経路は、治療に際し最も効果的なもの
を使用するのが望ましく、経口または、例えば静脈内な
どの非経口をあげることができる。
【0156】投与形態としては、錠剤、散剤、顆粒剤、
シロップ剤、注射剤などがある。
【0157】経口投与に適当な、例えばシロップ剤のよ
うな液体調製物は、水、蔗糖、ソルビット、果糖などの
糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール
などのグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油など
の油類、p-ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐
剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどのフレ
ーバー類などを使用して製造できる。また、錠剤、散剤
および顆粒剤などは、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニッ
トなどの賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊
剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、
ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面
活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いて製造でき
る。
【0158】非経口投与に適当な製剤は、好ましくは受
容者の血液と等張である活性化合物を含む滅菌水性剤か
らなる。例えば、注射剤の場合は、塩溶液、ブドウ糖溶
液または塩水とブドウ糖溶液の混合物からなる担体など
を用いて注射用の溶液を調製する。
【0159】また、これら非経口剤においても、経口剤
で例示した希釈剤、防腐剤、フレーバー類、賦形剤、崩
壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選
択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加するこ
ともできる。
【0160】本発明の活性成分の投与量および投与回数
は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性
質もしくは重篤度により異なるが、通常経口の場合、成
人一人当り0.01 mg〜1 g、好ましくは0.05〜50 mgを一
日一回ないし数回投与する。静脈内投与などの非経口投
与の場合、成人一人当り0.001〜100 mg、好ましくは0.0
1〜10 mgを一日一回ないし数回投与する。しかしなが
ら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種
々の条件により変動する。
【0161】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明の内
容がこれらに限定されるものではない。遺伝子操作的手
法は特に断らない限り公知のモレキュラー・クローニン
グ 第2版及び「実験医学別冊 新遺伝子工学ハンドブ
ック」(1996年、4月20日発行)(羊土社)に記
載されている方法により行った。本発明において使用し
たアミノ酸およびその保護基に関する略号は、生化学命
名に関するIUPAC-IUB委員会(IUPAC-IUB Joint Commiss
ion on Biochemical Nomenclature)の勧告〔ヨーロピ
アン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Europe
an Journal of Biochemistry),138 巻,9 頁(1984
年)〕に従った。以下の略号は、特に断わらない限り対
応する下記のアミノ酸を表す。
【0162】Ala: L-アラニン Asn: L-アスパラギン Asp: L-アスパラギン酸 Asx: L-アスパラギン酸またはL-アスパラギン Arg: L-アルギニン Cys: L-システイン Gln: L-グルタミン Glu: L-グルタミン酸 Glx: L-グルタミン酸またはL-グルタミン Gly: グリシン Ile: L-イソロイシン Leu: L-ロイシン Lys: L-リジン Phe: L-フェニルアラニン Pro: L-プロリン Ser: L-セリン Thr: L-スレオニン Met: L-メチオニン Val: L-バリン
【0163】以下の略号は、対応する下記のアミノ酸の
保護基および側鎖保護アミノ酸を表す。
【0164】Fmoc: 9-フルオレニルメチルオキシカルボ
ニル tBu: t-ブチル Trt: トリチル Boc: t-ブチルオキシカルボニル Pmc: 2, 2, 5, 7, 8-ペンタメチルクロマン-6-スルフォ
ニル Fmoc-Arg(Pmc)-OH: Nα-9-フルオレニルメチルオキシカ
ルボニル-Ng-2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スル
ホニル-L-アルギニン Fmoc-Asn(Trt)-OH: Nα-9-フルオレニルメチルオキシカ
ルボニル-Nγ-トリチル-L-アスパラギン Fmoc-Asp(OtBu)-OH: Nα-9-フルオレニルメチルオキシ
カルボニル-L-アスパラギン酸-β-t-ブチルエステル Fmoc-Cys(Trt)-OH: Nα-9-フルオレニルメチルオキシカ
ルボニル-S-トリチル-L-システイン Fmoc-Gln(Trt)-OH: Nα-9-フルオレニルメチルオキシカ
ルボニル-Nε-トリチル-L-グルタミン Fmoc-Glu(OtBu)-OH: Nα−9−フルオレニルメチルオキ
シカルボニル-L-グルタミン酸-γ-t-ブチルエステル Fmoc-Lys(Boc)-OH: Nα-9-フルオレニルメチルオキシカ
ルボニル-Nε-t-ブチルオキシカルボニル-L-リジン Fmoc-Ser(tBu)-OH: Nα-9-フルオレニルメチルオキシカ
ルボニル-O-t-ブチル-L-セリン Fmoc-Thr(tBu)-OH: Nα-9-フルオレニルメチルオキシカ
ルボニル-O-t-ブチル-L-スレオニン
【0165】以下の略号は、対応する下記の反応溶媒、
反応試薬等を表す。
【0166】HBTU: 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イ
ル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロ
ホスフェート HOBt: N-ヒドロキシベンゾトリアゾール DIEA: ジイソプロピルエチルアミン DMF: N,N-ジメチルホルムアミド TFA: トリフルオロ酢酸
【0167】以下の実施例において、化合物の理化学的
性質は次の方法により測定した。質量分析は、日本電子
JMS-HX110Aを用いFAB-MS法により、もしくはブルカー社
質量分析装置REFLEXを用いMALDI-TOFMS法により行っ
た。行った。アミノ酸分析は、コーエン(Cohen, S.
A.)らの方法[アナリティカル・バイオケミストリー(A
nalytical Biochemistry), 222, 19 (1994)]により行
った。加水分解は塩酸蒸気中110℃で20時間行い、加水
分解物のアミノ酸組成はウォーターズ・アキュ・タグ
(Waters AccQ-Tag)アミノ酸分析計(Waters社製)を
用い分析した。
【0168】実施例1.マウス遺伝子の単離 IL-3依存性マウスproB細胞株Ba/F3(理研ジーンバンク
cell number:RCB0805)から、IL-3非依存性増
殖能を示す亜株であるBa/F3-Ad細胞を分離し、樹立し
た。
【0169】Ba/F3細胞は、通常の培養に用いる培地[0.
1ng/mLマウスIL-3(R&D systems社製)を添加した10% F
CS RPMI-1640液(ナカライテスク株式会社製)中で培養
した。Ba/F3細胞は、通常は浮遊しているが、培養中培
養皿に付着している細胞が観察された。培養皿に付着し
た細胞のみを分離するために、浮遊している細胞及び培
地を培養皿から捨てた。分離された細胞を10%FCS RPMI-
1640液のみで培養することにより、親株のBa/F3から接
着性の細胞を分離、純化した。この接着性の細胞を亜株
Ba/F3-Ad細胞と命名した。亜株Ba/F3-Ad細胞は、培養皿
に付着する性質、詳しくは細胞外マトリックスであるフ
ィブロネクチンに結合する性質を有しており、培養皿に
付着しつつ増殖していた。また、IL-3非存在下で生存ま
たは増殖しているが、IL-3存在下では増殖が促進され
る。
【0170】Ba/F3-Ad株がIL-3非依存性細胞となった原
因遺伝子を調べるために、発現クローニング法(Expres
sion Cloning)(例えば、「実験医学別冊 新遺伝子工
学ハンドブック」(1996年、4月20日発行)、5
章、245〜249頁(羊土社)に記載の方法に従って
行うことができる)を行った。発現クローニング法は、
以下の手順で行う。すなわち、Ba/F3-Ad細胞から常法に
よりcDNAライブラリーを作製し、該cDNAライブラリー
をレトロウィルスベクターpBabeX(Proc. Natl.
Acad. Sci. USA: Vol. 92, 9146-9150, 1995)に組み込
み、パッケージング細胞により、高い力価のウィルス液
を作製した。該ウィルス液を親株Ba/F3に感染させるこ
とにより、Ba/F3-Ad細胞から得られた遺伝子(cDNA)
をBa/F3に導入することになる。その後、遺伝子導入し
たBa/F3細胞の培養液からIL-3を除去することにより、I
L-3非依存化させる遺伝子(cDNA)が導入された細胞
は、生き残るが、それ以外は、死んでいくことになる。
このようにして得られた生き残りBa/F3クローンから、
導入したcDNAを回収し、該cDNAの配列を解析すること
により、Ba/F3-Ad細胞がIL-3非依存性となった原因遺伝
子を単離した。得られた遺伝子配列をDNAデータベース
にて比較することによって、新規の遺伝子配列であるこ
とが判明した。
【0171】以下に実験方法の詳細を示す。 (1) cDNAライブラリーの作製:Ba/F3-Ad細胞から10
μgのmRNAを抽出し(RNA Maxiprep, Oligotex poly
AmRNA purification; Qiagen)、cDNAライブラリー作
製キット(cDNA Synthesis Kit; Stratagene)を用い
て、該mRNAよりライブラリーを作製した。5×105のクロ
ーンを含む平均長約1.5KbのcDNAライブラリーを作製し
た。 (2) ウィルス液の作製とBa/F3への感染:北村らの方
法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92, 9146-9150 (19
95)〕に準じ、Ba/F3-Ad細胞から作製したcDNAをレトロ
ウィルスベクターpBabeXに組み込み、BOSC23パッケージ
ング細胞(ATCC CRL 11554)を用いて、
ウィルス液を作製した。そのウィルス液を親株のBa/F3
細胞に感染させることにより、遺伝子導入をおこなっ
た。
【0172】(3) IL-3非依存性Ba/F3クローンの選
択:Ba/F3細胞は、IL-3依存性の細胞である。したがっ
て、Ba/F3細胞を培養している培地からIL-3を除去する
と、急速なアポトーシスにより、Ba/F3細胞は死ぬ。そ
こで、上記(2)で得られたウィルス液をBa/F3細胞に
感染させることにより、各種遺伝子を導入したBa/F3細
胞をIL-3を含まない培地に培養する。該培地からIL-3を
除去することにより、目的の遺伝子(cDNA)が導入された
Ba/F3細胞株は生き残るが、それ以外のBa/F3細胞はすべ
て死ぬ。この方法を用いることにより、IL-3非依存性と
なったBa/F3クローンを選択した。
【0173】(4) cDNAの単離と配列決定:cDNAをウィ
ルスベクターpBabeXに組み込んだ。組み込む際に、cDN
Aの組み込まれる位置は決まっているので、DNAを組み込
んだ両端の塩基配列をもとに、配列番号5および6で示
される塩基配列を有するプライマーを設計し、合成DNA
を作製した。IL-3非依存性となったBa/F3クローンか
ら、ゲノムDNAを抽出し、ゲノムDNAを鋳型として、PC
Rを行なった。増幅されたPCR産物であるcDNAを精製
し、direct sequenceを行なった(Applied Biosystem
s)。これにより、ポリA配列を除く1505塩基のcDNAの
塩基配列(そのうち、コード領域(coding region)は9
30塩基(終始コドンを含む)で、配列番号1の40番〜96
9番)が明らかとなった。その塩基配列を配列番号1
に、該塩基配列のコード領域にコードされたアミノ酸配
列を配列番号2にそれぞれ示す。配列番号1に示される
塩基配列について、DNAデータバンク(http://www.ddb
j.nig.ac.jp)サイトにて検索したところ、既知の遺伝
子とは一致せず、新規の遺伝子であった。また、ホモロ
ジー検索によって、シークエンスのみ行われ、機能が不
明であるヒトの遺伝子(16番染色体長腕上にある遺伝
子)と非常に相同性が高かった。本発明のポリペプチド
をアナモルシン(Anamorsin:以下、AMとも略記する)
と命名し、アナモルシンの遺伝子をAM遺伝子とも略記
する。
【0174】(5) 抗アポトーシス機能:上記(4)で
得られたcDNAを発現ベクターであるpCDNA3(Invitrogen
社製)に組み込んだ後、該発現ベクターをエレクトロポ
レーションにより、親株Ba/F3細胞に導入し、AM遺伝子
を強制発現させた。AM遺伝子を強制発現しているBa/F3
細胞(Ba/F3/AM)を用いて、培養培地からIL-3を除去し
た後の細胞について検討した。アポトーシスの指標とな
る、酵素キャスパーゼの活性状態を検査するキャスパー
ゼアッセイ(Caspase Assay)と、DNA量を検査する
PI染色(PI Staining)を行った。キャスパーゼアッ
セイは、キャスパーゼアッセイキット(医学生物学研究
所製)を用い、そのマニュアルに従って検査した。PI
染色は、通常の方法により、PI(Propidium iodide)
により細胞を染色した。それらの結果を図1と図2に示
す。図1と図2において左側の時間(0時間(Hr)か
ら48時間(Hr))は、培養からIL−3を抜いた時
からの経過時間を表す。
【0175】図1において、コントロールBa/F3細胞
(発現ベクターpCDNA3のみ導入したBa/F3細胞)は、I
L−3を抜いた当初から酵素キャスパーゼの活性状態で
あるのに対して、AM遺伝子を強制発現しているBa/F3細
胞(AM-gene transfected Ba/F3)は、しばらく酵素キ
ャスパーゼの不活性状態である。図2において、コント
ロールBa/F3細胞は、時間とともに低分子DNAが増加
しているのに対して、AM遺伝子を強制発現しているBa/F
3細胞は、低分子DNAが殆ど増加しない。従って、AM
遺伝子を強制発現しているBa/F3細胞は、コントロール
(発現ベクターpCDNA3のみ導入したBa/F3細胞)と比較
して、有意に細胞死が抑制され、その細胞死がアポトー
シスであることがわかった。
【0176】また、Ba/F3細胞と同様にIL-3依存性であ
るマウス骨髄系細胞32D(理研ジーンバンク cell numb
er: RCB1145)を用いて同様の検討を行なったところ、
やはりAM遺伝子を導入、強制発現させた32Dクロー
ン(32D/AM)では、IL-3除去後の細胞死が有意に抑制さ
れた。ただし、AM遺伝子は、いずれの細胞においても細
胞増殖を起こす機能は有さず、細胞死抑制すなわち、抗
アポトーシス機能を有していた。
【0177】配列番号2で示されるアミノ酸配列からな
る本発明のポリペプチドは、ヒトの第16染色体の長腕
に存在する遺伝子にコードされているポリペプチドとア
ミノ酸配列で約80%の相同性を示していた。本発明の
ポリペプチドは、細胞死を抑制する活性を有していた。
したがって、ヒトの第16染色体の長腕に存在する遺伝
子にコードされているポリペプチドは本発明のポリペプ
チドと同様の機能、すなわち細胞死を抑制する活性を有
するポリペプチドであると考えられる。
【0178】実施例2.アナモルシン(AM)の発現 (1)ノーザンブロッティングによる解析1 AM遺伝子の発現について、BamHIサイトで切り出したD
NA断片(BamHI−DNAと略記する)をプローブとして、
ノーザンブロッテイング(NB)解析を行なった。NB
解析は、「実験医学別冊 新遺伝子工学ハンドブック」
(1996年、4月20日、羊土社発行)に記載の方法
に準じて行った。プローブとして切り出したDNA断片
(BamHI−DNAと略記する)は、配列番号1の塩基294
番目〜603番目の配列からなるDNA断片を用いた。
各細胞からRNAをトリゾール(Trizol;Gibco BRL製)
により抽出し、それを上記プローブとハイブリッド形成
させた。ハイブリッド溶液としてRAPID HYB BUFFER(ア
マシャム社製)を用い、65℃で3時間ハイブリッド形
成させた。
【0179】まず最初に、Ba/F3細胞とBa/F3-Ad細胞で
のAM遺伝子の発現をみた。Ba/F3細胞とBa/F3-Ad細胞を
各培養培地中でそれぞれ培養し、Ba/F3細胞およびBa/
F3-Ad細胞からRNAを抽出した後、AM遺伝子の発現をノー
ザンブロッティングで確認した。その結果を図3に示
す。その結果両方ともAM遺伝子の発現が認められた。次
に、Ba/F3細胞とBa/F3-Ad細胞を各培養培地中でそれぞ
れ培養し、各培養培地中のIL-3を除去後12時間経過し
たBa/F3細胞およびBa/F3-Ad細胞からRNAを抽出した後、
AM遺伝子の発現をノーザンブロッティングで確認した。
Ba/F3細胞ではAM遺伝子の発現を示すバンドが消失した
のに対し、Ba/F3-Ad細胞ではAM遺伝子の発現が認められ
た。以上より、実施例1でクローニングされたAM遺伝
子がIL-3除去後のBa/F3細胞のアポトーシスを抑制する
活性を有することが示された。
【0180】(2)各種臓器や細胞でのAM遺伝子発現 (正常臓器でのAM遺伝子発現)正常臓器でのAM遺伝子発
現について、まず、ヒトの種々の臓器から得たmRNA
(クローンテック社製)を用いて、上記(1)と同様に
NB解析した。プローブとしては、配列番号1の塩基48
1番目〜745番目の配列からなるDNA断片を用い
た。その結果を図4に示す。図4に示すようにAM遺伝子
はユビキタスに発現しており、特に心臓、肝臓、膵臓に
おいて強い発現がみられた。
【0181】次に、マウスの種々の臓器(図5)あるい
はマウス胚(図6)から調製したcDNA(クローンテッ
ク社製)を用いて、RT-PCR法によりAM遺伝子発現を観察
した。RT-PCR法に用いたプライマーは、配列番号7およ
び8に示される塩基配列のプライマーを用いた。図5を
見るとマウスの種々の臓器でも、ヒトと同様にユビキタ
スに発現がみられた。また、図6を見ると、7日目のエ
ンブリオですでにAM遺伝子の発現が認められたことか
ら、胎生初期から発現している分子であることがわかっ
た。図4〜6におけるβ−アクチンとGAPDHは、イ
ンターナルコントロールである。
【0182】(造血系細胞株と造血器腫瘍患者から得ら
れた腫瘍細胞でのAM遺伝子発現)造血系細胞株と造血器
腫瘍患者から得られた腫瘍細胞から得たmRNAを用い
て、上記(1)と同様にNB解析した。プローブとして
は、配列番号1の塩基481番目〜745番目の配列か
らなるDNA断片を用いた。その結果を図7及び8に示
す。造血系細胞株としては、Ba/F3細胞(レーン1)、
UT−7細胞〔レーン2;Miura Y., et al., Prog. Cl
in. Biol. Res., 356, 259-270 (1990)〕、Mo7e細
胞〔レーン3;Avanzi GC., et al., (Br. J. Haemato
l., 69, 359-366, (1988)〕、TF−1細胞〔レーン
4;ECACC 93022307/ Exp. Cell Res., 208(1), 35,
(1993)〕、HL−60細胞(レーン5;ATCC CCL 24
0)、U937細胞(レーン6;ATCC CRL 1593)、TH
P−1細胞(レーン7;ATCC TIB 202)、K−562細
胞(レーン8;ATCC CCL 243)、HEL細胞〔レーン
9;Science, 2161233 (1982)〕、CMK細胞〔レーン
10; Sato T., et al., Br. J. Haematol., 72, 184-1
90 (1989)〕、Meg−01細胞〔レーン11;Ogura
M., et al.,Blood, 66, 1384-1392, (1985)〕、Jur
katt細胞(レーン12;ATCC TIB-152)、Molt
−4細胞(レーン13;ATCC CRL 1582)、YTC−3
細胞〔レーン14;Yodoi J., et al., J. Immunol, 13
4, 1623-1630 (1985)〕、Daudi細胞(レーン1
5;ATCC CCL 213)、Raji細胞(レーン16;ATCC
CCL86)、RPMI−8226細胞(レーン17;ATCC
CCL 155)、ARH−77細胞(レーン18;ATCC CRL
1621)、U266細胞(レーン19;ATCC TIB-19
6)、KM101細胞〔レーン20;Academy of Scienc
es of the United States of America, 82, 3477-3480
(1985)〕を用いた。
【0183】造血器腫瘍患者から得られた腫瘍細胞とし
ては、急性骨髄性白血病(AML)の腫瘍細胞(レーン
2〜4)、急性リンパ性白血病(ALL)の腫瘍細胞
(レーン5、6)、成人T細胞性白血病(ATL)の腫
瘍細胞(レーン7)、非ホジキン悪性リンパ腫(NH
L)の腫瘍細胞(レーン8、9)、骨髄異形成症候群
(MDS)からAMLへの移行例(MDS overt
AML)の腫瘍細胞(レーン10,11)、正常末梢
血単核球(PBMNC)の細胞(レーン12)を用い
た。参考としてBa/F3細胞(レーン1)を示した。
【0184】図7の結果から、造血系細胞株では、正常
細胞でのAM発現は弱いが、種々の造血器腫瘍細胞株(My
eloid, Erythroid, Megakaryocytic, T cell, B cell,
Plasma cell)では、強く発現している細胞株もあっ
た。また、図8の結果から、白血病、悪性リンパ腫など
の造血器腫瘍患者から得られた白血病細胞、悪性リンパ
腫細胞などで、強く発現している例を認めた。
【0185】実施例3.AM発現誘導 (1)H-RasによるAM発現誘導 Ba/F3-Ad細胞について、さらに解析をすすめたところ、
H-Ras分子が活性化されている状態であることが判明し
た。具体的には、Rasアッセイを、Methodsin Enzymo
logy, 238, 255-258(1994)に記載の方法に準じて行っ
た。具体的なRasアッセイの方法としては以下の方法
を用いた。Ba/F3細胞及びBa/F3-Ad細胞を32Pでラベル
されたオルソリン酸(1mCi)で1時間インキュベー
トした。次に、それぞれの細胞について0.1ng/m
lのIL−3存在下あるいはIL−3非存在下の培養液
でそれぞれ10分間培養した。各々の細胞を107細胞
ずつ採取し、それぞれの細胞を溶解させた。各細胞溶解
液において抗H−Ras抗体(Santa Cruz社製)1μg
/1検体を用いて、免疫沈降を行った。その免疫沈降検
体からGTPあるいはGDPを溶出し、その溶出液を薄
層クロマトグラフィーで展開し、最後にオートラジオグ
ラフィーを行った。その結果を図9に示す。図9を見る
と、Ba/F3-Ad細胞は、IL−3存在下あるいはIL−3
非存在下のいずれにおいてもGTPのシグナルが強いこ
とにより細胞内のH−Rasが活性状態であった。
【0186】IL-3、Epo、Tpo、SCFなどのサイトカイン
刺激によって、細胞内のH-Rasが活性化されることが知
られていることから、AMはH-Rasによって、発現誘導さ
れる可能性があると考えられた。そこで、H-RasによるA
Mの発現が誘導されるか否かを調べた。
【0187】これを証明するのに、constitutively act
ive H-Ras(Upstate Biotechnology社製)を強制発現さ
せた。具体的には、Blood, 93, 1540-1548(1999)に記載
の方法に準じて、constitutively active H-Rasの遺伝
子を発現プラスミドベクターに組み込み、上述のBa/F3
細胞に遺伝子導入し、強制発現させた。Ba/F3細胞の培
地からIL-3を除去したときのAM遺伝子発現を上記と同様
にNBにより解析を行った。その結果を図10に示す。図
10に示したように、その親株Ba/F3細胞(強制発現さ
せてないもの)では、IL-3除去後12時間で、AM遺伝子が
消失するのに対し、constitutively activeH-Ras を強
制発現させたBa/F3では、IL-3除去後36時間経過してもA
M遺伝子の発現が維持されていた。また、dominant-naga
tive H-Ras の発現をIPTG添加によって誘導できるBa/F3
細胞において、IL-3存在下で、dominant-nagative H-Ra
s の発現誘導を行い、AM遺伝子発現を上記と同様にNBに
より解析を行った。その結果を図11に示す。dominant
-nagative H-Ras の発現をIPTG添加によって誘導できる
Ba/F3細胞は、J Biol Chem, 275, 24096-24105, 2000に
記載の方法に従って作製した。Lac SwitchII 誘導発現
システム(Stratagene社製)を用い、IPTG添加によって
Ba/F3細胞にdominant-nagative H-Ras の発現誘導を行
った。図11に示したように、dominant-nagative H-Ra
s の発現誘導されたBa/F3細胞は、AM遺伝子の発現が時
間とともに減弱した。
【0188】(2)サイトカインによるAM発現誘導 IL-3を除去したBa/F3細胞を培養した培地に、再度IL-3
を添加したときのBa/F3細胞でのAM遺伝子の発現につ
いて、上記実施例2の(1)に示したNBの方法により
解析を行った。その結果を図12に示す。その結果、Ba
/F3細胞は、刺激後3時間頃より、AM遺伝子の発現が
みられはじめた。
【0189】次に、各種サイトカインによるAM遺伝子の
発現について、上記実施例2の(1)に示したNBにより
解析を行った。Ba/F3細胞に、ヒト エリスロポイエチ
ン(Epo)レセプター〔Blood, 76, 1-5(1990), Blood,
76, 24-30 (1990)〕、マウス トロンボポイエチン(Tp
o)レセプター〔EMBO J., 12, 2645-53 (1993), Oncoge
ne, 8, 2607-15 (1993)〕、Stem cell factor(SCF)レ
セプター〔Cell 63, 213-24 (1990), Cell 63, 203-11
(1990)〕、G-CSF/gp130キメラレセプター〔J. Biol. Ch
em., 269, 16297-304 (1994) , Immunity 5, 449-60 (1
996)〕をそれぞれ発現させたBa/F3細胞を作製した。
【0190】その細胞のIL-3除去した状態から、それぞ
れ、Epo 5μg/ml、Tpo(30ng/ml)、SCF
(100ng/ml)、G-CSF(100ng/ml)で
刺激した。そのNBの結果を図13に示す。図13の横
軸はIL-3刺激後の経過時間を表す。IL-3刺激と同様に刺
激後3時間頃より発現がみられた。以上より、AM遺伝子
は、種々のサイトカイン刺激によって、発現が誘導され
ることがわかった。以上のことから、種々のサイトカイ
ン刺激によるAM分子の発現は、H-Rasを介したシグナル
伝達によって、誘導されることが明らかとなった。ま
た、AM分子と関わるH-Rasは、細胞の増殖ばかりでな
く、AM分子を介し、細胞の生存にも関わっていると考え
られる。
【0191】実施例4.AM分子と既知の抗アポトーシス
分子Bcl-2との関係 AM分子が、抗アポトーシス作用を示す作用機序について
検討した。AM遺伝子を強制発現させたBa/F3細胞株(Ba/
F3/AM)および親株Ba/F3細胞の培地中のIL-3を除去して
から0、6,12,18、24、30、36時間後の、
既知の抗アポトーシス分子であるBcl-2についてノーザ
ンブロット解析(図14)とウェスターンブロット解析
(図15)を行った。ノーザンブロット解析とウェスタ
ーンブロット解析は、Blood, 93, 1540-1548 (1999)に
記載の方法に準じて行った。尚、ウェスタンブロット解
析で用いたBcl-2の抗体は、Transduction Laboratory社
製を用いた。
【0192】その結果を図14と15に示す。図14に
示したように、親株Ba/F3細胞では、IL-3除去後、Bcl-2
のmRNAは、どちらも12時間で完全に消失するが、Ba/F3
/AM細胞(AM-gene Transfected Ba/F3)では、36時間を
経過しても、Bcl-2のmRNA発現が維持されていた。ま
た、図15に示したように、Ba/F3細胞は、Bcl-2の蛋白
質は、どちらも24時間で消失するのに対して、Ba/F3/AM
細胞では、36時間を経過してもBcl-2の蛋白質が維持さ
れていた。以上のことから、AM分子のアミノ酸配列は、
そのホモロジー検索から、既知の抗アポトーシス分子で
あるBcl-2とホモロジーを示さないが、Bcl-2の発現を
維持することを介して、抗アポトーシス作用を示す可能
性が示唆された。
【0193】実施例5.遺伝子改変動物作成用のターゲ
ットベクターの調製 1.ゲノミックDNA(genomic DNA)の入手:λFIX II
(ファージ;Stratagene社製)にマウスゲノミックDNA
(マウスstrain;129SVJ、ゲノミックDNAの長さは、
9-23Kb)を挿入したファージライブラリー〔Kawagoe
K., et al. Genomics vol. 23, 566-574(1994)に記載の
方法に準じて作成した。〕から、non-RI(ジゴキシゲニ
ンシステム:Roche社製)でラベルしたAnamorsin-cDNA
全長をプローブとし、プラークハイブリダイゼーション
(方法は、バイオ実験イラストレイテッド4巻、第4
章、125-163ページ:秀潤社に準ずる。)によって、目
的遺伝子のマウスゲノミックDNA断片を含むファージを
スクリーニングし、3クローンのファージを得た。
【0194】2.Anamorsin-genomic DNAのシークエン
スと制限酵素地図の作成:得られた3クローンのファー
ジからゲノミックDNA断片(13−20Kbの長さ)をベ
クタープラスミドであるpBSIISK(+)(Stratagene社
製)に組み込み、BamH I、HindIII、SpeI、Sma I、Pst
I(Promega社製)などのさまざまな制限酵素によるdige
stionおよびnon-RI(ジゴキシゲニンシステム:Roche社
製)でラベルしたAnamorsin-cDNAをプローブに用いたサ
ザン法(方法は、バイオ実験イラストレイテッド2巻、
第8章、137-152ページ:秀潤社に準ずる。)による解
析、シークエンサー(Applied Biosystems社製)により
目的遺伝子のexonの位置関係と制限酵素サイトを決定
し、薬剤耐性遺伝子にて置換する領域(本実験では、ex
on1を欠失させることにした。)と、その前後で組換え
をおこさせる為の5'および3' 相同領域、および致死遺
伝子の挿入箇所、組換え体を選別するためのPCRプライ
マーとサザン法のプローブの位置を決定した。
【0195】3.ターゲットベクターの作製:薬剤耐性
遺伝子としてPGKneobpAカセット〔PGKプロータ-ネオマ
イシン耐性遺伝子-ウシ成長ホルモン遺伝子ポリアデニ
レーションシグナル配列からなるネオマイシン耐性遺伝
子発現ユニット、 Cell, 64, 693 (1991)〕、 致死遺
伝子としてMC1/DT-Aカセット〔MC1プロモータとジフテ
リア毒素A鎖からなるジフテリア毒素A鎖発現ユニット、
Analytical biochemistry, 214, 77 (1993)〕を使用
し、pBSIISK(+)をベースにつなぎ合わせ、ターゲッ
トベクター(targeting vector)を作製した(図16参
照)。以下、通常のノックアウトマウスを作製する方法
に準じてノックアウトマウスを作製することができる。
【0196】実施例6 マウスアナモルシン抗原ペプチ
ドの調製 1. 抗原の調製 蛋白配列を解析し、親水性の高い部分、N末端、C末端、
二次構造上ターン構造、ランダムコイル構造を有する部
分の中から、抗原として適当と考えられる部分アミノ酸
配列として、化合物1(mAd-1)、2(mAd-2)、3(mAd-3)、4
(hAM-1)、5(hAM-2)、6(hAM-3)を選択した。
【0197】1-1化合物1(mAd-1)(配列番号9)(H-Cy
s-Leu-Phe-Leu-Lys-Glu-Pro-Val-Glu-Thr-Ala-Glu-Val-
Asn-Asn-Asp-Lys-Met-Lys-Thr-Ala-Ser-Lys-Leu-NH2
の合成 化合物1は、配列番号2で示されるアミノ酸配列の92
〜115番目のアミノ酸配列に対応するペプチドであ
る。Fmoc-NH、17μmol が結合した担体樹脂(NovaSyn T
GR resin樹脂、ノバビオケム社製)80mg を自動合成機
(島津製作所)の反応容器に入れ、600μlのDMFを加え
て3分間攪拌し溶液を排出した後、島津製作所の合成プ
ログラムに従い次の操作を行った。
【0198】(a)30% ピペリジン-DMF 溶液500μl を加
えて混合物を 4 分間攪拌し、該溶液を排出し、この操
作をもう 1 回繰り返した。 (b)担体樹脂を 600μl の DMF で 1 分間洗浄し、該溶
液を排出し、この操作を5 回繰り返した。 (c)Fmoc-Leu-OH (168μmol)、HBTU (168μmol)、HOBt 1
水和物 (168μmol) およびDIEA (336μmol) を DMF (6
72μl)中で 3 分間攪拌し、得られた溶液を樹脂に加え
て混合物を 60 分間攪拌し、溶液を排出した。 (d)担体樹脂を600μl の DMF で 1 分間洗浄後溶液を排
出し、これを5回繰り返した。こうして、Fmoc-Leu-NH
が担体上に合成された。次に、(a) (b)の工程の後、(c)
の工程で Fmoc-Lys(Boc)-OH を用いて縮合反応を行い、
(d)の洗浄工程を経て、Fmoc-Lys(Boc)-Leu-NH が担体上
に合成された。
【0199】以下、工程(c)において、Fmoc-Ser(tBu)-O
H、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Thr(tBu)-OH、Fmoc-Lys(Boc)-O
H、Fmoc-Met-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Asp(OtBu)-O
H、Fmoc-Asn(Trt)-OH、Fmoc-Asn(Trt)-OH、Fmoc-Val-O
H、Fmoc-Glu(tBu)-OH、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Thr(tBu)-O
H、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Pro-OH、Fm
oc-Glu(OtBu)-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Leu-OH、Fm
oc-Phe-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Cys(Trt)-OHを順次用い
て、(a)〜(d)を繰り返した後、(a)(b)の脱保護、洗浄工
程を経て、メタノール、ブチルエーテルで順次洗浄し、
減圧下 12 時間乾燥して、側鎖保護ペプチドの結合した
担体樹脂を得た。これに、TFA(90%)、チオアニソール
(5%)および1,2-エタンジチオール(5%)からなる混合
溶液 1mlを加えて室温で2時間放置し、側鎖保護基を除
去するとともに樹脂よりペプチドを切り出した。樹脂を
濾別後、得られた溶液にエーテル約 10ml を加え、生成
した沈澱を遠心分離およびデカンテーションにより回収
し、粗ペプチドとして39mgを取得した。この粗生成物全
量を酢酸水溶液に溶解後、逆相カラム(資生堂製、CAPC
ELL PAK C18 30mmI.D. X 250mm)を用いた HPLC で精製
した。0.1% TFA 水溶液に、TFA 0.1% を含む 90% アセ
トニトリル水溶液を加えていく直線濃度勾配法で溶出
し、220nm で検出し、化合物1を含む画分を得た。この
画分を凍結乾燥して、化合物1を8.3mg 得た。
【0200】質量分析[TOFMS]; m/z = 2707 (M+H+) アミノ酸分析; Asx 2.3 (3), Glx 3.0 (3), Ser 1.1
(1), Thr 2.2 (2), Ala 2.2 (2), Pro 1.1 (1), Val 1.
9 (2), Met 1.2 (1), Leu 3.2 (3), Phe 0.9 (1),Lys
4.1 (4), Cys 1.0 (1)
【0201】1-2化合物2(mAd-2)(配列番号10)(H-
Cys-Arg-Val-Thr-Gly-Lys-Lys-Pro-Asn-Phe-Glu-Val-Gl
y-Ser-Ser-Ser-Gln-NH2)の合成 化合物2は、配列番号2で示されるアミノ酸配列の15
8〜172番目のアミノ酸配列に対応し、さらにN末端
にCys残基が付加されたペプチドである。
【0202】Fmoc-NH、17μmol が結合した担体樹脂(N
ovaSyn TGR resin樹脂、ノバビオケム社製)80mg を出
発物質として、上記1-1と同様にして、Fmoc-Gln(Trt)-
OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Ser(t
Bu)-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-O
H、Fmoc-Phe-OH、Fmoc-Asn(Trt)-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmo
c-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc
-Thr(tBu)-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Arg(Pmc)-OH、Fmoc-
Cys(Trt)-OHを順次縮合した後に、Fmoc基除去、洗浄、
乾燥を経て、側鎖保護ペプチドの結合した担体樹脂を得
た。これに、TFA(82.5%)、チオアニソール(5%)、水
(5%)、エチルメチルスルフィド(3%)、1,2-エタンジ
チオール(2.5%)およびチオフェノール(2%)からなる
混合溶液1ml を加えて室温で8時間放置し、側鎖保護基
を除去するとともに樹脂よりペプチドを切り出した。樹
脂を濾別後、得られた溶液にエーテル約 10ml を加え、
生成した沈澱を遠心分離およびデカンテーションにより
回収し、粗ペプチドとして31mgを取得した。この粗生成
物全量を酢酸水溶液に溶解後、逆相カラム(資生堂製、
CAPCELL PAK C18 30mmI.D. X 250mm)を用いた HPLC で
精製した。0.1% TFA水溶液に、TFA 0.1% を含む 90% ア
セトニトリル水溶液を加えていく直線濃度勾配法で溶出
し、220nm で検出し、化合物2を含む画分を得た。この
画分を凍結乾燥して、化合物2を3.1mg 得た。
【0203】質量分析[TOFMS]; m/z = 1822.9 (M+H+) アミノ酸分析; Asx 0.6 (1), Glx 2.0 (2), Ser 3.0
(3), Gly 2.3 (2), Arg 0.9 (1), Thr 1.0 (1), Pro 1.
0 (1), Val 1.9 (2), Phe 1.0 (1), Lys 1.8 (2),Cys
1.3 (1)
【0204】1-3化合物3(mAd-3)(配列番号11)(H-
Cys-Gly-Leu-Ala-Glu-Glu-Leu-Glu-Arg-Glu-Gln-Ser-Ly
s-Ala-Gln-Ser-Ser-Gln-Pro-Lys-Ser-Ala-NH2)の合成 化合物3は、配列番号2で示されるアミノ酸配列の24
9〜270番目のアミノ酸配列に対応するペプチドであ
る。
【0205】Fmoc-NH、17μmol が結合した担体樹脂(R
ink Amide MBHA resin樹脂、ノバビオケム社製)30mg
を出発物質として、上記1-1と同様にして、Fmoc-Ala-O
H、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Pro-O
H、Fmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Ser(tB
u)-OH、Fmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Lys(Bo
c)-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Gl
u(OtBu)-OH、Fmoc-Arg(Pmc)-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、F
moc-Leu-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、
Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-Cys(Tr
t)-OHを順次縮合した後に、Fmoc基除去、洗浄、乾燥を
経て、側鎖保護ペプチドの結合した担体樹脂を得た。こ
れに、TFA(82.5%)、チオアニソール(5%)、水(5
%)、エチルメチルスルフィド(3%)、1,2-エタンジチ
オール(2.5%)およびチオフェノール(2%)からなる混
合溶液 1ml を加えて室温で8時間放置し、側鎖保護基を
除去するとともに樹脂よりペプチドを切り出した。樹脂
を濾別後、得られた溶液にエーテル約 10ml を加え、生
成した沈澱を遠心分離およびデカンテーションにより回
収し、粗ペプチドとして42mgを取得した。この粗生成物
全量を酢酸水溶液に溶解後、逆相カラム(資生堂製、CA
PCELL PAK C18 30mmI.D. X 250mm)を用いた HPLC で精
製した。0.1% TFA 水溶液に、TFA 0.1% を含む 90% ア
セトニトリル水溶液を加えていく直線濃度勾配法で溶出
し、220nm で検出し、化合物3を含む画分を得た。この
画分を凍結乾燥して、化合物3を5.3mg 得た。
【0206】質量分析[TOFMS]; m/z = 2375.3 (M+H+) アミノ酸分析; Glx 6.9 (7), Ser 3.8 (4), Gly 1.1
(1), Arg 1.0 (1), Ala 3.2 (3), Pro 1.0 (1), Leu 2.
1 (2), Lys 2.0 (2), Cys 1.4 (1)
【0207】1-4化合物4(hAM-1)(配列番号12)(H-
Cys-Leu-Phe-Leu-Lys-Glu-Pro-Val-Glu-Thr-Ala-Val-As
p-Asn-Asn-Ser-Lys-Val-Lys-Thr-Ala-Ser-Lys-Leu-N
H2)の合成 化合物4は、配列番号4で示されるアミノ酸配列の92
〜115番目のアミノ酸配列に対応するペプチドであ
る。
【0208】Fmoc-NH、15μmol が結合した担体樹脂(N
ovaSyn TGR resin樹脂、ノバビオケム社製)70mg を出
発物質として、上記1-1と同様にして、Fmoc-Leu-OH、F
moc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Ala-OH、Fm
oc-Thr(tBu)-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Val-OH、Fmo
c-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Asn(Trt)-O
H、Fmoc-Asn(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OtBu)-OH、Fmoc-Val-O
H、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Thr(tBu)-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-O
H、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、Fm
oc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Phe-OH、Fmoc-Leu
-OH、Fmoc-Cys(Trt)-OHを順次縮合した後に、Fmoc基除
去、洗浄、乾燥を経て、側鎖保護ペプチドの結合した担
体樹脂を得た。これに、TFA(90%)、チオアニソール
(5%)および1,2-エタンジチオール(2.5%)からなる混
合溶液 1ml を加えて室温で2時間放置し、側鎖保護基を
除去するとともに樹脂よりペプチドを切り出した。樹脂
を濾別後、得られた溶液にエーテル約 10ml を加え、生
成した沈澱を遠心分離およびデカンテーションにより回
収し、粗ペプチドとして82mgを取得した。この粗生成物
全量を酢酸水溶液に溶解後、逆相カラム(資生堂製、CA
PCELL PAK C18 30mmI.D. X250mm)を用いた HPLC で精
製した。0.1% TFA 水溶液に、TFA 0.1% を含む 90%アセ
トニトリル水溶液を加えていく直線濃度勾配法で溶出
し、220nm で検出し、化合物4を含む画分を得た。この
画分を凍結乾燥して、化合物4を6.9mg 得た。 質量分析[TOFMS]; m/z = 2733.8 (M+H+)
【0209】1-5化合物5(hAM2)(配列番号13)(H-C
ys-Gln-Ile-Thr-Gly-Lys-Lys-Pro-Asn-Phe-Glu-Val-Gly
-Ser-Ser-Arg-Gln-NH2)の合成 化合物5は、配列番号4で示されるアミノ酸配列の15
8〜173番目のアミノ酸配列に対応し、さらにN末端
にCys残基が付加されたペプチドである。
【0210】Fmoc-NH、15μmol が結合した担体樹脂(N
ovaSyn TGR resin樹脂、ノバビオケム社製)70mg を出
発物質として、上記1-1と同様にして、Fmoc-Gln(Trt)-
OH、Fmoc-Arg(Pmc)-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Ser(t
Bu)-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-O
H、Fmoc-Phe-OH、Fmoc-Asn(Trt)-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmo
c-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc
-Thr(tBu)-OH、Fmoc-Ile-OH、Fmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-
Cys(Trt)-OHを順次縮合した後に、Fmoc基除去、洗浄、
乾燥を経て、側鎖保護ペプチドの結合した担体樹脂を得
た。これに、TFA(82.5%)、チオアニソール(5%)、水
(5%)、エチルメチルスルフィド(3%)、1,2-エタンジ
チオール(2.5%)およびチオフェノール(2%)からなる
混合溶液1ml を加えて室温で8時間放置し、側鎖保護基
を除去するとともに樹脂よりペプチドを切り出した。樹
脂を濾別後、得られた溶液にエーテル約 10ml を加え、
生成した沈澱を遠心分離およびデカンテーションにより
回収し、粗ペプチドとして32mgを取得した。この粗生成
物全量を酢酸水溶液に溶解後、逆相カラム(資生堂製、
CAPCELL PAK C18 30mmI.D. X 250mm)を用いた HPLC で
精製した。0.1% TFA水溶液に、TFA 0.1% を含む 90% ア
セトニトリル水溶液を加えていく直線濃度勾配法で溶出
し、220nm で検出し、化合物5を含む画分を得た。この
画分を凍結乾燥して、化合物5を7.0mg 得た。 質量分析[TOFMS]; m/z = 1878.3 (M+H+)
【0211】1-6化合物6(hAM3)(配列番号14)(H-C
ys-Gly-Leu-Ala-Glu-Glu-Leu-Glu-Lys-Glu-Lys-Ser-Arg
-Glu-Gln-Met-Ser-Ser-Gln-Pro-Lys-Ser-Ala-NH2)の合
成 化合物6は、配列番号4で示されるアミノ酸配列の25
1〜273番目のアミノ酸配列に対応するペプチドであ
る。
【0212】Fmoc-NH、15μmol が結合した担体樹脂(N
ovaSyn TGR resin樹脂、ノバビオケム社製)70mg を出
発物質として、上記1-1と同様にして、Fmoc-Ala-OH、F
moc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Pro-OH、Fm
oc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Ser(tBu)-O
H、Fmoc-Met-OH、Fmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-O
H、Fmoc-Arg(Pmc)-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Lys(Bo
c)-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-G
lu(OtBu)-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、Fmoc-
Glu(OtBu)-OH、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Gly-O
H、Fmoc-Cys(Trt)-OHを順次縮合した後に、Fmoc基除
去、洗浄、乾燥を経て、側鎖保護ペプチドの結合した担
体樹脂を得た。これに、TFA(82.5%)、チオアニソール
(5%)、水(5%)、エチルメチルスルフィド(3%)、1,
2-エタンジチオール(2.5%)およびチオフェノール(2
%)からなる混合溶液 1ml を加えて室温で8時間放置
し、側鎖保護基を除去するとともに樹脂よりペプチドを
切り出した。樹脂を濾別後、得られた溶液にエーテル約
10ml を加え、生成した沈澱を遠心分離およびデカンテ
ーションにより回収し、粗ペプチドとして47mgを取得し
た。この粗生成物全量を酢酸水溶液に溶解後、逆相カラ
ム(資生堂製、CAPCELL PAK C18 30mmI.D. X 250mm)を
用いた HPLC で精製した。0.1% TFA 水溶液に、TFA 0.1
% を含む 90% アセトニトリル水溶液を加えていく直線
濃度勾配法で溶出し、220nm で検出し、化合物6を含む
画分を得た。この画分を凍結乾燥して、化合物6を14.5m
g 得た。 質量分析[TOFMS]; m/z = 2565.88 (M+H+)
【0213】実施例7 アナモルシンを認識するモノク
ローナル抗体の作製 (1)免疫原の調製 実施例6で得られた化合物1〜3は、免疫原性を高める
目的で以下の方法でKLH(カルビオケム社製)とのコ
ンジュゲートを作製し、免疫原とした。すなわち、KL
HをPBSに溶解して10mg/mLに調整し、1/10容量の
25mg/mL MBS[N-(m-Maleimidobenzoyloxy)succinimi
de;ナカライテスク社]を滴下して30分間撹拌反応させ
る。あらかじめPBSで平衡化したセファデックスG−
25カラムなどのゲルろ過カラムでフリーのMBSを除
いて得られたKLH−MBS2.5mgを0.1Mりん酸ナトリ
ウムバッファー(pH7.0)に溶解したペプチド1mgと
混合し、室温で3時間、攪拌反応させた。反応後、PB
Sで透析したものを免疫原として用いた。
【0214】(2)動物の免疫と抗体産生細胞の調製 実施例7(1)で調製した化合物1〜3のKLHコンジ
ュゲート100μgをそれぞれ水酸化アルミニウムアジュバ
ント〔Antibodies - A Laboratory Manual, Cold Sprin
g Harbor Laboratory, p99、1988〕2 mgおよび百日咳ワ
クチン(千葉県血清研究所製)1×109細胞とともに4週
令雌SDラット各3匹に投与した。投与2週間後より、各
KLHコンジュゲート100μgを1週間に1回、計4
回投与した。該ラットの心臓より採血し、その血清抗体
価を以下に示す酵素免疫測定法で調べ、十分な抗体価を
示したラットから最終免疫3日後に脾臓を摘出した。脾
臓をMEM(Minimum Essential Medium)培地(日水製薬
社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、遠心分離(25
0 ×g、5分間)した。得られた沈殿画分にトリス−塩
化アンモニウム緩衝液(pH7.6)を添加し、1〜2分間
処理することにより赤血球を除去した。得られた沈殿画
分(細胞画分)をMEM培地で3回洗浄し、細胞融合に
用いた。
【0215】(3)酵素免疫測定法(バインディングE
LISA) アッセイ用の抗原には実施例1で得られた各化合物をサ
イログロブリン(以下、THYと略す。)とコンジュゲ
ートしたものを用いた。作製方法は実施例7(1)に記
した通りであるが、架橋剤にはMBSの代わりにSMC
C[4-(N-Maleimidomethyl)-cyclohexane-1-carboxylic
acid N-hydroxysuccinimido ester;シグマ社]を用い
た。96穴のEIA用プレート(グライナー社)に、上
記のように調製したコンジュゲートを10μg/mL,5
0μL/穴で分注し、4度で一晩放置して吸着させた。
該プレートを洗浄後、1% 牛血清アルブミン(BSA)/ダ
ルベッコりん酸バッファー(Phosphate buffered salin
e:PBS)を100 μL/穴加え、室温で1時間放置し、残
っている活性基をブロックした。放置後、1% BSA/PBS
を捨て、該プレートに被免疫ラット抗血清を50μL/
穴分注し、2時間放置した。該プレートを0.05% ポリオ
キシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート[(ICI社
商標Tween 20相当品:和光純薬社製)]/PBS(以下Tween
-PBSと表記)で洗浄後、ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗
ラットイムノグロブリン(DAKO社)を50 μL/穴加えて
室温、1時間放置した。該プレートをTween-PBSで洗浄
後、ABTS基質液〔2.2-アジノビス(3-エチルベンゾチア
ゾール-6-スルホン酸)アンモニウム、1mmol/L ABTS/
0.1mol/Lクエン酸バッファー(pH4.2)〕を添加し、発
色させOD415 nmの吸光度をプレートリーダー(Emax;Mo
lecularDevices社)を用いて測定した。
【0216】(4)マウス骨髄腫細胞の調製 8-アザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞株P3X63Ag8U.1(P
3-U1:ATCCより購入)を正常培地(10%ウシ胎児血清添
加RPMI培地)で培養し、細胞融合時に2×107個以上の細
胞を確保し、細胞融合に親株として供した。
【0217】(5)ハイブリドーマの作製 実施例7(2)で得られたラット脾細胞と実施例2
(4)で得られた骨髄腫細胞とを10:1になるよう混
合し、遠心分離(250 ×g、5分間)した。得られた沈
澱画分の細胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃
で、ポリエチレングリコール−1000(PEG-1000)2 g、M
EM培地2mLおよびジメチルスルホキシド0.7mLの混液
を108個のマウス脾細胞あたり0.5 mL加え、該懸濁
液に1〜2分間毎にMEM培地1mLを数回加えた後、M
EM培地を加えて全量が50 mLになるようにした。該懸濁
液を遠心分離(900 rpm、5分間)し、得られた沈澱画
分の細胞をゆるやかにほぐした後、該細胞を、メスピペ
ットによる吸込み吸出しでゆるやかにHAT培地〔10%ウ
シ胎児血清添加RPMI培地にHAT Media Supplement(ベー
リンガーマンハイム社製)を加えた培地〕100 mL中に
懸濁した。該懸濁液を96穴培養用プレートに200 μL/
穴ずつ分注し、5%CO2インキュベーター中、37℃で10〜
14日間培養した。
【0218】培養後、培養上清を実施例7(3)に記載
した酵素免疫測定法で調べ、抗原ペプチドに反応してコ
ントロールペプチドに反応しない穴を選び、そこに含ま
れる細胞から限界希釈法によるクローニングを2回繰り
返し、抗マウスアナモルシンモノクローナル抗体産生ハ
イブリドーマを確立した。化合物1を抗原に用いてKM30
46、KM3047、KM3048およびKM3049を、化合物2を抗原に
用いてKM3050、KM3051、KM3052、KM3053、KM3054および
KM3055を、化合物3を抗原に用いてKM3056およびKM3057
を取得した。ハイブリドーマKM3048、KM3052、KM3057
は、平成13年10月11日付で、独立行政法人産業技
術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市
東一丁目1番地中央第6)に、それぞれFERM BP
−7765、FERM BP−7766、FERM B
P−7767として寄託されている。図17に示すよう
に、いずれのモノクローナル抗体も免疫原に用いた化合
物に特異的な反応性を示した。
【0219】(6)モノクローナル抗体の精製 プリスタン処理した8週令ヌード雌マウス(BALB/c)に
実施例7(5)で得られたハイブリドーマ株を5〜20×1
06細胞/匹それぞれ腹腔内注射した。10〜21日後、ハイ
ブリドーマが腹水癌化することにより腹水のたまったマ
ウスから、腹水を採取(1〜8 mL/匹)した。該腹水を
遠心分離(1200 ×g、5分間)し固形分を除去した。精
製IgMモノクローナル抗体は、該腹水を50%硫酸アンモ
ニウムを用いて塩析し、塩化ナトリウム0.5 mol/Lを添
加したPBSで透析後、セルロファインGSL2000(生化学工
業社製)(ベットボリューム750 mL)のカラムに流速15
mL/時で通塔しIgM画分を集めることにより取得した。
精製IgGモノクローナル抗体は、カプリル酸沈殿法〔Ant
ibodies - A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor
Laboratory, 1988〕により精製することにより取得し
た。モノクローナル抗体のサブクラスはサブクラスタイ
ピングキットを用いたELISA法により表1に示すように
決定された。表1で○は反応性があったことを示す。
【0220】
【表1】
【0221】実施例8 抗マウスアナモルシン抗体を用
いたマウスアナモルシン蛋白質の検出 (1)ウェスタンブロッティングによるマウスアナモル
シン蛋白質の検出 実施例1(5)抗アポトーシス機能に記載の方法に従い
遺伝子導入したBaf3細胞及び無処置Baf3細胞をピペッテ
ィングにより回収した。これらの細胞をPBSで一回洗
浄後、細胞溶解用緩衝液(50mM Tris-HCl pH7.2, 1% Tri
tonX, 150mM NaCl,2mM MgCl2, 2mM CaCl2, 0.1% NaN3,
50mM iodoacetamide, 50mM N-ethylmaleimide, 1mg/ml
leupepcin, 0.1mM dithiothreitol)を5×107細胞に
1ml添加し、4℃、30分間放置後、遠心分離し、上
清を細胞可溶化液として取得した。上記のように調製し
た細胞可溶化液を10μL(1×105個)/レーンでSDS-PAG
E(5-20%グラジエントゲル、アトー社製)〔Antibodies
- A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laborato
ry, 1988〕にて分画した後、PVDF膜(ミリポア社製)に
ブロッティングした。
【0222】該膜を1% BSA-PBSでブロッキング後、該
膜に抗マウスアナモルシンモノクローナル抗体の培養上
清を原液で添加し、室温で2時間放置した。該膜をTwee
n-PBSでよく洗浄した後、第二抗体として1000倍希釈し
たペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ラットイムノグロブリ
ン抗体〔DAKO社製〕を添加し、室温で1時間放置した。
該膜をTween-PBSでよく洗浄した後、ECL kit(アマシャ
ムファルマシアバイオテク社製)を用いて検出した。図
18に示すように、抗マウスアナモルシンモノクローナ
ル抗体KM3046〜3057は、マウスアナモルシン蛋白質の分
子量に相当する40Kダルトン付近のバンドに特異的に
反応した。無処理のBaf3細胞にも内在性のアナモルシン
が存在する為、遺伝子導入細胞より弱いが、同位置にバ
ンドが検出された。
【0223】(2)蛍光抗体法(セルソーター解析)に
よるマウスアナモルシンの検出 実施例1(5)抗アポトーシス機能に記載の方法に従い
遺伝子導入したBaf3細胞及び無処置Baf3細胞をピペッテ
ィングにより回収した。PBSで洗浄した後、細胞膜の抗
体透過性を上げるため、100%メタノール(氷冷)に
て4℃で10分間処理した。PBSで洗浄後、10%正
常マウス血清にて4℃で30分ブロッキングした。1×
105個/チューブで分注した後、遠心分離を行い上清
を捨て、抗マウスアナモルシンモノクローナル抗体の培
養上清を加えて4℃で30分間反応させた。PBSで洗
浄後、FITC標識抗ラットイムノグロブリン抗体(ラット
イムノグロブリンに特異的なもの;CALTAG社製)を42
倍希釈30μL/チューブで分注し、4℃、30分間遮光
反応させた。よくPBSで洗浄した後、セルアナライザ
ー(コールター社;EPICS XLsystemII)にて解析し
た。化合物1より得られたKM3046、KM3047、KM3048およ
びKM3049、化合物2から得られたKM3052およびKM3055、
化合物3から得られたKM3056およびKM3057はBaf3発現マ
ウスアナモルシンを特異的に検出した。図19に、KM30
48、KM3052およびKM3057の結果を示す。縦軸は細胞数、
横軸は蛍光強度を示す。
【0224】(3)免疫沈降 実施例2(1)で調製したマウスアナモルシン遺伝子導
入Baf3細胞可溶化液を用い、免疫沈降を検討した。96
穴EIAプレートに抗ラットイムノグロブリン(DAKO
社)を100μL/穴ずつ分注し、4℃で一晩放置して
プレートにコートした後、BSA−PBSを200μL
/穴分注し、室温1時間放置してプレート上に残った蛋
白質との結合残基をブロック(ブロッキング)した。そ
の後、BSA−PBSを捨てコントロール抗体、KM3046
〜KM3057の各ハイブリドーマ培養上清を原液で100μ
L/穴ずつ分注し、室温で2時間反応させた。PBSでよ
く洗浄した後、上記のように調製した細胞可溶化液を1
00μL/穴で分注し、4℃で一晩反応させた。PBS
−Tweenでよく洗浄した後、SDS−PAGE用サ
ンプルバッファー(×5濃度)を20μL/穴で加え、
室温2時間プレートを振とうした後回収した。PBSに
て5倍希釈して常法によりSDS−PAGE、ウエスタ
ンブロッティングを行ない、実施例7(1)〜(4)で
得られた抗マウスアナモルシンモノクローナル抗体KM30
46〜KM3057のハイブリドーマ培養上清の混合液を用いて
抗体染色を行なったところ、KM3046、KM3047、KM3048、K
M3049、KM3052、KM3055、KM3056およびKM3057により、
抗マウスアナモルシンモノクローナル抗体ハイブリドー
マ培養上清混合液で検出される分子量40KDaの蛋白
が沈降されることがわかった。コントロール抗体を用い
た場合には、沈降蛋白質は検出されなかった。図20に
KM3048、KM3052およびKM3057の結果を示す。
【0225】(4)抗原液相系における抗原化合物に対
する反応性(インヒビションELISA) KM3046〜KM3057の液相系における抗原化合物に対する反
応性を、インヒビションELISAで調べた。実施例1
(3)に示したように抗原を固相化したプレートを準備
し、20μg/mLより5倍希釈で段階的に希釈した実
施例6の1で得られた化合物1、化合物2および化合物
3、ならびにそれぞれのヒトアナモルシンに相当するア
ミノ酸配列である化合物4、化合物5、化合物6を50μ
l/ウェルでそれぞれ分注後、KM3046〜KM3057の培養上
清を希釈して(希釈倍率;KM3046、KM3047、KM3048、KM
3049、KM3052、KM3055:×500、KM3050、KM3054:×
1000、KM3051:×2000、KM3053:×5、KM305
6、KM3057:×625)50μL/穴で分注し、ウェル内で
混合して室温で2時間反応させた。ウェルをTween−PBS
で洗浄後、希釈したペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ラッ
トイムノグロブリン(DAKO社)を50μL/穴で加えて室
温、1時間反応させ、Tween−PBSで洗浄後ABTS基質液
[2.2-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾール-6-スル
ホン酸)アンモニウム]を用いて発色させOD415nmの吸
光度をプレートリーダー(Emax;和光純薬)にて測定し
た。KM3046〜KM3049はいずれも液相系において化合物1
にのみ反応した。KM3047は化合物2にのみ反応した。KM
3052、KM3053およびKM3055は化合物2、化合物5に反応
した。KM3056およびKM3057は化合物3、化合物6に反応
した。図21にKM3048、KM3052およびKM3057の結果を示
す。
【0226】
【発明の効果】本発明は、細胞死を抑制する活性を有す
るポリぺプチド、該ポリぺプチドをコードするDNA、
該ポリペプチドを認識する抗体、該ポリペプチドに結合
する物質、該ポリペプチドと該ポリペプチドに結合する
物質との特異的な結合を阻害する物質、該ポリペプチド
をコードする細胞死抑制遺伝子の発現を制御する物質、
該物質のスクリーニング法および該細胞死抑制遺伝子を
欠損あるいは一部改変された動物とそれらの有効な用途
を提供する。
【0227】
【配列表フリーテキスト】配列番号5−人工配列の説
明:合成DNA 配列番号6−人工配列の説明:合成DNA 配列番号7−人工配列の説明:合成DNA 配列番号8−人工配列の説明:合成DNA 配列番号9−人工配列の説明:合成ペプチド 配列番号10−人工配列の説明:合成ペプチド 配列番号11−人工配列の説明:合成ペプチド 配列番号12−人工配列の説明:合成ペプチド 配列番号13−人工配列の説明:合成ペプチド 配列番号14−人工配列の説明:合成ペプチド
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> KYOWA HAKKO KOGYO CO., LTD. <120> NOVEL POLYPEPTIDE, NOVEL DNA, NOVEL ANTIBODY AND NOVEL GENE RECOMB INANT ANIMAL <130> P-37325-1 <150> JP 2001-88922 <151> 2001-03-26 <160> 14 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 1539 <212> DNA <213> Mouse <220> <221> CDS <222> (40)...(966) <400> 1 ggctcgagga agtcctttag gtccagcagc gcggcagga atg gag gag ttt ggg 54 Met Glu Glu Phe Gly 1 5 atc tcc cct ggc cag ctt gtg gca gtg ttc tgg gac aag tca tct cct 102 Ile Ser Pro Gly Gln Leu Val Ala Val Phe Trp Asp Lys Ser Ser Pro 10 15 20 gag gaa gcc cta aaa aag ctg gtg gct aga ctg caa gag tta act ggc 150 Glu Glu Ala Leu Lys Lys Leu Val Ala Arg Leu Gln Glu Leu Thr Gly 25 30 35 agc gag ggc cag gta ttc atg gaa aac gtc acc cag ctg ttg cag tct 198 Ser Glu Gly Gln Val Phe Met Glu Asn Val Thr Gln Leu Leu Gln Ser 40 45 50 tcg cat aag gaa tcc agc ttc gat gtc att ctg tcg ggt gta gtc cca 246 Ser His Lys Glu Ser Ser Phe Asp Val Ile Leu Ser Gly Val Val Pro 55 60 65 gga agc acc tct ctg cac agt gct gag gtt ctg gct gag atg gcc cgg 294 Gly Ser Thr Ser Leu His Ser Ala Glu Val Leu Ala Glu Met Ala Arg 70 75 80 85 atc ctc cgg cca ggg ggc tgt ctt ttt ctg aaa gaa cca gtg gag aca 342 Ile Leu Arg Pro Gly Gly Cys Leu Phe Leu Lys Glu Pro Val Glu Thr 90 95 100 gct gaa gtt aac aat gac aaa atg aag acg gcc tct aag cta tgt tca 390 Ala Glu Val Asn Asn Asp Lys Met Lys Thr Ala Ser Lys Leu Cys Ser 105 110 115 gcc ctg act ctt tct ggc ctc gtg gaa ata aaa gag ttg cag agg gag 438 Ala Leu Thr Leu Ser Gly Leu Val Glu Ile Lys Glu Leu Gln Arg Glu 120 125 130 gcc tta agc cct gag gag gta cag tcc gtg cag gag cac ctg ggc tac 486 Ala Leu Ser Pro Glu Glu Val Gln Ser Val Gln Glu His Leu Gly Tyr 135 140 145 cac agt gac agc ctg cgc tca gtc cgt gtc act ggc aag aag cca aac 534 His Ser Asp Ser Leu Arg Ser Val Arg Val Thr Gly Lys Lys Pro Asn 150 155 160 165 ttt gaa gtg ggt tct tct agc cag cta aag ctt ccc aac aag aag tct 582 Phe Glu Val Gly Ser Ser Ser Gln Leu Lys Leu Pro Asn Lys Lys Ser 170 175 180 tct tca gtg aag cct gtt gtg gat cct gct gct gcc aag ctc tgg acc 630 Ser Ser Val Lys Pro Val Val Asp Pro Ala Ala Ala Lys Leu Trp Thr 185 190 195 ctc tca gca aat gac atg gag gat gac agt gtg gat ctc att gac tca 678 Leu Ser Ala Asn Asp Met Glu Asp Asp Ser Val Asp Leu Ile Asp Ser 200 205 210 gac gag ctg ctt gat cca gag gat ttg aag agg cct gac cca gcc tcc 726 Asp Glu Leu Leu Asp Pro Glu Asp Leu Lys Arg Pro Asp Pro Ala Ser 215 220 225 ctg aag gct cct tca tgt ggg gaa ggg aaa aag agg aag gcc tgt aag 774 Leu Lys Ala Pro Ser Cys Gly Glu Gly Lys Lys Arg Lys Ala Cys Lys 230 235 240 245 aac tgc acc tgt ggc ctc gca gag gaa ctg gag cgg gag cag tcc aag 822 Asn Cys Thr Cys Gly Leu Ala Glu Glu Leu Glu Arg Glu Gln Ser Lys 250 255 260 gcg cag agc tct cag ccc aag tca gcc tgt gga aat tgc tac ctg ggt 870 Ala Gln Ser Ser Gln Pro Lys Ser Ala Cys Gly Asn Cys Tyr Leu Gly 265 270 275 gac gct ttc cgc tgt gcc aac tgc ccc tac ctc ggg atg cca gcc ttc 918 Asp Ala Phe Arg Cys Ala Asn Cys Pro Tyr Leu Gly Met Pro Ala Phe 280 285 290 aag cct ggc gag cag gtg ctc ctg agc aat agc aat ctc cag gat gcc 966 Lys Pro Gly Glu Gln Val Leu Leu Ser Asn Ser Asn Leu Gln Asp Ala 295 300 305 taggagggac ctcaagccca cacacctcct cctccagcaa ctcctgtcct cagctcctcc 1026 cacggcctcc tcccacctct ggtttcaggc gctctgaaaa cactcacagg gagaggcttg 1086 cagccgagcg agcgagcgaa gctgctgtgg gcagtggggt ggggtgctgc tgtgtcttga 1146 aagaccaagg attgagggga cctgtctctt agtgttaggg gaagagggtg gatgcgccta 1206 aggaactctg ctcctggtgt tacagtgctg tccctctcta cccttgagta tttatgctga 1266 gtaagctcca ggctccgctc agtgatgctg ccacctgctg gacttcctca ggatgtagtt 1326 cttggagcca tgggttagct gtcaaagggc ctcaggggca ccaaagaagt cactccccca 1386 gttgtgatcc atcttgtgtc cctctgcctt tctcacctca ccccgtttta ctgtagtgtt 1446 gtatctgtgt cctgttgtca tttctgttaa atggtattaa acttttgtgt ttttatgtca 1506 aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaa 1539 <210> 2 <211> 309 <212> PRT <213> Mouse <400> 2 Met Glu Glu Phe Gly Ile Ser Pro Gly Gln Leu Val Ala Val Phe Trp 1 5 10 15 Asp Lys Ser Ser Pro Glu Glu Ala Leu Lys Lys Leu Val Ala Arg Leu 20 25 30 Gln Glu Leu Thr Gly Ser Glu Gly Gln Val Phe Met Glu Asn Val Thr 35 40 45 Gln Leu Leu Gln Ser Ser His Lys Glu Ser Ser Phe Asp Val Ile Leu 50 55 60 Ser Gly Val Val Pro Gly Ser Thr Ser Leu His Ser Ala Glu Val Leu 65 70 75 80 Ala Glu Met Ala Arg Ile Leu Arg Pro Gly Gly Cys Leu Phe Leu Lys 85 90 95 Glu Pro Val Glu Thr Ala Glu Val Asn Asn Asp Lys Met Lys Thr Ala 100 105 110 Ser Lys Leu Cys Ser Ala Leu Thr Leu Ser Gly Leu Val Glu Ile Lys 115 120 125 Glu Leu Gln Arg Glu Ala Leu Ser Pro Glu Glu Val Gln Ser Val Gln 130 135 140 Glu His Leu Gly Tyr His Ser Asp Ser Leu Arg Ser Val Arg Val Thr 145 150 155 160 Gly Lys Lys Pro Asn Phe Glu Val Gly Ser Ser Ser Gln Leu Lys Leu 165 170 175 Pro Asn Lys Lys Ser Ser Ser Val Lys Pro Val Val Asp Pro Ala Ala 180 185 190 Ala Lys Leu Trp Thr Leu Ser Ala Asn Asp Met Glu Asp Asp Ser Val 195 200 205 Asp Leu Ile Asp Ser Asp Glu Leu Leu Asp Pro Glu Asp Leu Lys Arg 210 215 220 Pro Asp Pro Ala Ser Leu Lys Ala Pro Ser Cys Gly Glu Gly Lys Lys 225 230 235 240 Arg Lys Ala Cys Lys Asn Cys Thr Cys Gly Leu Ala Glu Glu Leu Glu 245 250 255 Arg Glu Gln Ser Lys Ala Gln Ser Ser Gln Pro Lys Ser Ala Cys Gly 260 265 270 Asn Cys Tyr Leu Gly Asp Ala Phe Arg Cys Ala Asn Cys Pro Tyr Leu 275 280 285 Gly Met Pro Ala Phe Lys Pro Gly Glu Gln Val Leu Leu Ser Asn Ser 290 295 300 Asn Leu Gln Asp Ala 305 <210> 3 <211> 939 <212> DNA <213> Homo Sapiens <400> 3 atg gca gat ttt ggg atc tct gct ggc cag ttt gtg gca gtg gtc tgg 48 Met Ala Asp Phe Gly Ile Ser Ala Gly Gln Phe Val Ala Val Val Trp 1 5 10 15 gat aag tca tcc cca gtg gag gct ctg aaa ggt ctg gtg gat aag ctt 96 Asp Lys Ser Ser Pro Val Glu Ala Leu Lys Gly Leu Val Asp Lys Leu 20 25 30 caa gcg tta acc ggc aat gag ggc cgc gtg tct gtg gaa aac atc aag 144 Gln Ala Leu Thr Gly Asn Glu Gly Arg Val Ser Val Glu Asn Ile Lys 35 40 45 cag ctg ttg caa tct gcc cac aaa gaa tcc agc ttt gac att att ttg 192 Gln Leu Leu Gln Ser Ala His Lys Glu Ser Ser Phe Asp Ile Ile Leu 50 55 60 tca ggt tta gtc cca gga agc acc act ctg cac agt gct gag att ttg 240 Ser Gly Leu Val Pro Gly Ser Thr Thr Leu His Ser Ala Glu Ile Leu 65 70 75 80 gct gaa atc gcc cgg atc ctt cgg cct ggt gga tgt ctt ttt ctg aag 288 Ala Glu Ile Ala Arg Ile Leu Arg Pro Gly Gly Cys Leu Phe Leu Lys 85 90 95 gag cca gta gag aca gct gta gat aac aat agc aaa gtg aag aca gca 336 Glu Pro Val Glu Thr Ala Val Asp Asn Asn Ser Lys Val Lys Thr Ala 100 105 110 tct aag ctg tgt tca gcc ctg act ctt tct ggt ctt gtg gaa gtg aaa 384 Ser Lys Leu Cys Ser Ala Leu Thr Leu Ser Gly Leu Val Glu Val Lys 115 120 125 gag ctg cag cgg gag ccc cta acc cct gag gaa gta cag tct gtt cga 432 Glu Leu Gln Arg Glu Pro Leu Thr Pro Glu Glu Val Gln Ser Val Arg 130 135 140 gaa cac ctt ggt cat gaa agt gac aac ctg ctg ttt gtt cag atc aca 480 Glu His Leu Gly His Glu Ser Asp Asn Leu Leu Phe Val Gln Ile Thr 145 150 155 160 ggc aaa aaa cca aac ttt gaa gtg ggt tct tct agg cag ctt aag ctt 528 Gly Lys Lys Pro Asn Phe Glu Val Gly Ser Ser Arg Gln Leu Lys Leu 165 170 175 tcc atc acc aag aag tct tct cct tca gtg aaa cct gct gtg gac cct 576 Ser Ile Thr Lys Lys Ser Ser Pro Ser Val Lys Pro Ala Val Asp Pro 180 185 190 gct gct gcc aag ctg tgg acc ctc tca gcc aac gat atg gag gac gac 624 Ala Ala Ala Lys Leu Trp Thr Leu Ser Ala Asn Asp Met Glu Asp Asp 195 200 205 agc atg gat ctc att gac tca gat gag ctg ctg gat cca gaa gat ttg 672 Ser Met Asp Leu Ile Asp Ser Asp Glu Leu Leu Asp Pro Glu Asp Leu 210 215 220 aag aag cca gat cca gct tcc ctg cgg gct gct tct tgt ggg gaa ggg 720 Lys Lys Pro Asp Pro Ala Ser Leu Arg Ala Ala Ser Cys Gly Glu Gly 225 230 235 240 aaa aag agg aag gcc tgt aag aac tgc acc tgt ggc ctt gct gaa gaa 768 Lys Lys Arg Lys Ala Cys Lys Asn Cys Thr Cys Gly Leu Ala Glu Glu 245 250 255 ctg gaa aaa gag aag tca agg gaa cag atg agc tcc caa ccc aag tca 816 Leu Glu Lys Glu Lys Ser Arg Glu Gln Met Ser Ser Gln Pro Lys Ser 260 265 270 gct tgt gga aac tgc tac ctg ggc gat gcc ttc cgc tgt gcc agc tgc 864 Ala Cys Gly Asn Cys Tyr Leu Gly Asp Ala Phe Arg Cys Ala Ser Cys 275 280 285 ccc tac ctt ggg atg cca gcc ttc aaa cct ggg gaa aag gtg ctt ctg 912 Pro Tyr Leu Gly Met Pro Ala Phe Lys Pro Gly Glu Lys Val Leu Leu 290 295 300 agt gat agc aat ctt cat gat gcc tag 939 Ser Asp Ser Asn Leu His Asp Ala *** 305 310 <210> 4 <211> 312 <212> PRT <213> Homo Sapiens <400> 4 Met Ala Asp Phe Gly Ile Ser Ala Gly Gln Phe Val Ala Val Val Trp 1 5 10 15 Asp Lys Ser Ser Pro Val Glu Ala Leu Lys Gly Leu Val Asp Lys Leu 20 25 30 Gln Ala Leu Thr Gly Asn Glu Gly Arg Val Ser Val Glu Asn Ile Lys 35 40 45 Gln Leu Leu Gln Ser Ala His Lys Glu Ser Ser Phe Asp Ile Ile Leu 50 55 60 Ser Gly Leu Val Pro Gly Ser Thr Thr Leu His Ser Ala Glu Ile Leu 65 70 75 80 Ala Glu Ile Ala Arg Ile Leu Arg Pro Gly Gly Cys Leu Phe Leu Lys 85 90 95 Glu Pro Val Glu Thr Ala Val Asp Asn Asn Ser Lys Val Lys Thr Ala 100 105 110 Ser Lys Leu Cys Ser Ala Leu Thr Leu Ser Gly Leu Val Glu Val Lys 115 120 125 Glu Leu Gln Arg Glu Pro Leu Thr Pro Glu Glu Val Gln Ser Val Arg 130 135 140 Glu His Leu Gly His Glu Ser Asp Asn Leu Leu Phe Val Gln Ile Thr 145 150 155 160 Gly Lys Lys Pro Asn Phe Glu Val Gly Ser Ser Arg Gln Leu Lys Leu 165 170 175 Ser Ile Thr Lys Lys Ser Ser Pro Ser Val Lys Pro Ala Val Asp Pro 180 185 190 Ala Ala Ala Lys Leu Trp Thr Leu Ser Ala Asn Asp Met Glu Asp Asp 195 200 205 Ser Met Asp Leu Ile Asp Ser Asp Glu Leu Leu Asp Pro Glu Asp Leu 210 215 220 Lys Lys Pro Asp Pro Ala Ser Leu Arg Ala Ala Ser Cys Gly Glu Gly 225 230 235 240 Lys Lys Arg Lys Ala Cys Lys Asn Cys Thr Cys Gly Leu Ala Glu Glu 245 250 255 Leu Glu Lys Glu Lys Ser Arg Glu Gln Met Ser Ser Gln Pro Lys Ser 260 265 270 Ala Cys Gly Asn Cys Tyr Leu Gly Asp Ala Phe Arg Cys Ala Ser Cys 275 280 285 Pro Tyr Leu Gly Met Pro Ala Phe Lys Pro Gly Glu Lys Val Leu Leu 290 295 300 Ser Asp Ser Asn Leu His Asp Ala 305 310 <210> 5 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence : Synthetic DNA <400> 5 cagccctcac tccttctc 18 <210> 6 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence : Synthetic DNA <400> 6 ggtggggtct ttcattcc 18 <210> 7 <211> <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence : Synthetic DNA <400> 7 ggcaagaagc caaacttt 18 <210> 8 <211> <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence : Synthetic DNA <400> 8 aggtgcagtt cttacagg 18 <210> 9 <211> 24 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic peptide <400> 9 Cys Leu Phe Leu Lys Glu Pro Val Glu Thr Ala Glu Val Asn Asn Asp 1 5 10 15 Lys Met Lys Thr Ala Ser Lys Leu 20 <210> 10 <211> 17 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic peptide <400> 10 Cys Arg Val Thr Gly Lys Lys Pro Asn Phe Glu Val Gly Ser Ser Ser 1 5 10 15 Gln <210> 11 <211> 22 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic peptide <400> 11 Cys Gly Leu Ala Glu Glu Leu Glu Arg Glu Gln Ser Lys Ala Gln Ser 1 5 10 15 Ser Gln Pro Lys Ser Ala 20 <210> 12 <211> 24 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic peptide <400> 12 Cys Leu Phe Leu Lys Glu Pro Val Glu Thr Ala Val Asp Asn Asn Ser 1 5 10 15 Lys Val Lys Thr Ala Ser Lys Leu 20 <210> 13 <211> 17 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic peptide <400> 13 Cys Gln Ile Thr Gly Lys Lys Pro Asn Phe Glu Val Gly Ser Ser Arg 1 5 10 15 Gln <210> 14 <211> 23 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic peptide <400> 14 Cys Gly Leu Ala Glu Glu Leu Glu Lys Glu Lys Ser Arg Glu Gln Met 1 5 10 15 Ser Ser Gln Pro Lys Ser Ala 20
【図面の簡単な説明】
【図1】 Ba/F3細胞とAM−gene transfected Ba/F3
細胞のキャスパーゼアッセイの結果を示す図である。
【図2】 Ba/F3細胞とAM−gene transfected Ba/F3
細胞のPI染色の結果を示す図である。
【図3】 Ba/F3細胞とBa/F3−Ad細胞においてAM遺
伝子の発現をノザンブロッティングを用いて検査した結
果を示す図である。
【図4】 ヒト正常臓器でのAM遺伝子の発現をノザン
ブロッティングを用いて検査した結果を示す図である。
【図5】 マウス正常臓器でのAM遺伝子の発現をRT
−PCR法を用いて検査した結果を示す図である。
【図6】 マウス胚でのAM遺伝子の発現をRT−PC
R法を用いて検査した結果を示す図である。
【図7】 造血系細胞株でのAM遺伝子の発現をノザン
ブロッティングを用いて検査した結果を示す図である。
【図8】 造血器腫瘍患者から得られた腫瘍細胞でのA
M遺伝子の発現をノザンブロッティングを用いて検査し
た結果を示す図である。
【図9】 Ba/F3細胞とBa/F3−Ad細胞においてH−R
asの活性状態を見るためにRasアッセイを行った時
の結果を示す図である。
【図10】 Ba/F3細胞とConstitutively active H-Ras
遺伝子を強制発現させたBa/F3細胞においてH−Ras
の活性化とAMの発現の関係を見るためにノザンブロッ
ティングを用いて検査した結果を示す図である。
【図11】 Ba/F3細胞とdominant-negative H-Ras遺伝
子を強制発現させたBa/F3細胞においてH−Rasの活
性化とAMの発現の関係を見るためにノザンブロッティ
ングを用いて検査した結果を示す図である。
【図12】 Ba/F3細胞においてIL−3刺激後のAM
遺伝子の発現をノザンブロッティングを用いて検査した
結果を示す図である。
【図13】 Ba/F3細胞においてサイトカイン刺激によ
るAM遺伝子の発現をノザンブロッティングを用いて検
査した結果を示す図である。
【図14】 Ba/F3細胞とAM−gene transfected Ba/F
3細胞において、IL−3除去後のbcl−2の発現と
AMの発現の関係を見るためにノザンブロッティングを
用いて検査した結果を示す図である。
【図15】 Ba/F3細胞とAM−gene transfected Ba/F
3細胞において、IL−3除去後のbcl−2の発現と
AMの発現の関係を見るためにウエスタンブロッティン
グを用いて検査した結果を示す図である。
【図16】 遺伝子改変動物作成用のターゲットベクタ
ーの構成を示す図である。
【図17】 ラット抗マウスアナモルシンモノクローナ
ル抗体の反応特異性を示す図である。
【図18】 ラット抗マウスアナモルシンモノクローナ
ル抗体のウエスタンブロッティングによるマウスアナモ
ルシンの検出を示す図である。
【図19】 ラット抗マウスアナモルシンモノクローナ
ル抗体の蛍光抗体法によるマウスアナモルシンの検出を
示す図である。
【図20】 ラット抗マウスアナモルシンモノクローナ
ル抗体の免疫沈降法によるマウスアナモルシンの検出を
示す図である。
【図21】 ラット抗マウスアナモルシンモノクローナ
ル抗体の抗原液相系における抗原化合物に対する反応性
を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61K 48/00 4C084 A61P 1/16 4C085 48/00 3/10 4C086 A61P 1/16 9/10 4C087 3/10 25/28 4H045 9/10 31/12 25/28 35/00 31/12 37/00 35/00 39/00 37/00 43/00 105 39/00 121 43/00 105 C07K 14/47 121 16/18 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/02 5/06 1/68 A 5/10 G01N 33/15 Z C12P 21/02 33/50 Z C12Q 1/02 33/53 D 1/68 M G01N 33/15 C12P 21/08 33/50 C12N 15/00 ZNAA 33/53 5/00 A E // C12P 21/08 A61K 37/02 (72)発明者 古谷 安希子 東京都町田市旭町3−6−6 協和醗酵工 業株式会社東京研究所内 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB01 BB10 BB20 BB46 BB48 BB50 CB01 DA13 DA36 FA29 FB01 FB02 FB03 FB06 GC10 4B024 AA01 AA11 BA43 BA80 CA04 CA09 CA11 DA01 DA02 DA05 DA11 EA01 EA02 EA03 EA04 FA02 GA03 GA11 HA01 HA12 HA15 4B063 QA01 QA08 QA18 QQ01 QQ05 QQ08 QQ13 QQ42 QQ52 QR08 QR33 QR42 QR55 QR59 QR62 QR74 QR77 QR80 QR82 QS05 QS25 QS34 QS36 QX02 4B064 AG01 AG27 CA01 CA10 CA19 CA20 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA57X AA87X AA91Y AB01 AB02 BA01 BA08 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA07 AA13 BA01 BA02 BA08 BA22 BA23 CA23 DC50 NA14 ZA011 ZA151 ZA361 ZA751 ZB021 ZB211 ZB261 ZB331 ZC351 ZC412 ZC751 ZC752 4C085 AA13 AA14 AA16 BB01 BB11 BB23 CC03 CC05 DD62 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 NA14 ZA01 ZA15 ZA36 ZA75 ZB02 ZB21 ZB26 ZB33 ZC35 ZC41 ZC75 4C087 AA01 AA02 BC83 CA12 NA14 ZA01 ZA15 ZA36 ZA75 ZB02 ZB21 ZB26 ZB33 ZC35 ZC41 ZC75 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 DA00 DA76 EA20 EA50 FA72 FA74

Claims (54)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号2で示されるアミノ酸配列を有
    するポリペプチド。
  2. 【請求項2】 配列番号2で示されるアミノ酸配列にお
    いて一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/ま
    たは付加したアミノ酸配列を有し、かつ細胞死を抑制す
    る活性を有するポリペプチド。
  3. 【請求項3】 配列番号2で示されるアミノ酸配列と6
    0%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつ細
    胞死を抑制する活性を有するポリペプチド。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポ
    リペプチドをコードするDNA。
  5. 【請求項5】 配列番号1で示される塩基配列の40番
    目〜969番目で表される塩基配列を有するDNA。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5に記載のDNAから選ば
    れるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイ
    ズするDNAであり、かつ細胞死を抑制する活性を有す
    るポリペプチドをコードするDNA。
  7. 【請求項7】 配列番号4で示されるアミノ酸配列を有
    するポリペプチド。
  8. 【請求項8】 配列番号4で示されるアミノ酸配列にお
    いて一個以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/ま
    たは付加したアミノ酸配列を有し、かつ細胞死を抑制す
    る活性を有するポリペプチド。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8記載のポリペプチドをコ
    ードするDNA。
  10. 【請求項10】 配列番号3で示される塩基配列を有す
    るDNA。
  11. 【請求項11】 請求項9又は10に記載のDNAとス
    トリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAで
    あり、かつ細胞死を抑制する活性を有するポリペプチド
    をコードするDNA。
  12. 【請求項12】 請求項4〜6、9〜11のいずれか1
    項に記載のDNAから選ばれるDNAをベクターに組み
    込んで得られる組換え体DNA。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の組換え体DNAを保
    有する形質転換体。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の形質転換体を培地に
    培養し、培養物中に請求項1、2、3、7又は8記載の
    ポリペプチドを生成蓄積させ、該培養物より該ポリペプ
    チドを採取することを特徴とする請求項1、2、3、7
    又は8記載のポリペプチドの製造法。
  15. 【請求項15】 請求項1、2、3、7又は8記載のポ
    リぺプチドを認識する抗体またはその抗体断片。
  16. 【請求項16】 モノクローナル抗体またはその抗体断
    片である、請求項15記載の抗体またはその抗体断片。
  17. 【請求項17】 ハイブリドーマKM3048(FERM BP−776
    5)、ハイブリドーマKM3052(FERM BP-7766)またはハ
    イブリドーマKM3057(FERM BP-7767)が生産するモノク
    ローナル抗体またはその抗体断片である、請求項16記
    載の抗体またはその抗体断片。
  18. 【請求項18】 請求項15〜17のいずれか1項に記
    載の抗体又はその抗体断片を用いる、請求項1、2、
    3、7又は8記載のポリペプチドの免疫学的測定法。
  19. 【請求項19】 請求項18記載の免疫学的測定法を用
    いる、細胞死の抑制又は促進に起因する疾患の診断法。
  20. 【請求項20】 細胞死の抑制又は促進に起因する疾患
    が、神経変性疾患、劇症肝炎、ウイルス疾患、糖尿病、
    放射線障害あるいは虚血時あるいは抗癌剤使用時の細胞
    死、悪性腫瘍または自己免疫疾患である、請求項19に
    記載の診断法。
  21. 【請求項21】 請求項1、2、3、7又は8記載のポ
    リペプチドと被験試料とを接触させ、被験試料の中から
    請求項1、2、3、7又は8記載のポリペプチドに結合
    する物質を選択することを特徴とする、請求項1、2、
    3、7又は8記載のポリペプチドに結合する物質のスク
    リーニング法。
  22. 【請求項22】 請求項21記載の方法により得られる
    物質。
  23. 【請求項23】 請求項1、2、3、7又は8記載のポ
    リペプチドと被験試料とを接触させ、被験試料の中から
    請求項1、2、3、7又は8記載のポリペプチドの活性
    を抑制させる物質を選択することを特徴とする、請求項
    1、2、3、7又は8記載のポリペプチドの活性を抑制
    させる物質のスクリーニング法。
  24. 【請求項24】 請求項23記載の方法により得られる
    物質。
  25. 【請求項25】 請求項1、2、3、7又は8記載のポ
    リぺプチドを発現する細胞と被験試料とを接触させ、被
    験試料より請求項1、2、3、7又は8記載のポリぺプ
    チドをコードする遺伝子の発現を制御する物質を選択す
    ることを特徴とする、請求項1、2、3、7又は8記載
    のポリぺプチドをコードする遺伝子の発現を制御する物
    質のスクリーニング法。
  26. 【請求項26】 発現の制御を、請求項18記載の測定
    法を用いて検出することを特徴とする、請求項25記載
    のスクリーニング法。
  27. 【請求項27】 発現の制御を、請求項1、2、3、7
    又は8記載のポリぺプチドをコードするmRNA量を測
    定することにより検出することを特徴とする、請求項2
    5記載のスクリーニング法。
  28. 【請求項28】 請求項25〜27のいずれか1項に記
    載のスクリーニング法により得られる物質。
  29. 【請求項29】 請求項1、2、3、7又は8記載のポ
    リぺプチドをコードする遺伝子の転写を制御する領域の
    下流にレポーター遺伝子の連結されたDNAを含むプラ
    スミドで形質転換された形質転換体と被験試料とを接触
    させ、被験試料より請求項1、2、3、7又は8記載の
    ポリぺプチドをコードする遺伝子の発現を制御する物質
    を選択することを特徴とする、請求項1、2、3、7又
    は8記載のポリぺプチドをコードする遺伝子の発現を制
    御する物質のスクリーニング法。
  30. 【請求項30】 請求項29記載のスクリーニング法に
    より得られる物質。
  31. 【請求項31】 請求項4〜6、9〜11のいずれか1
    項に記載のDNAを含む遺伝子の全部または一部が欠損
    または置換され、細胞死を抑制する活性を有するポリペ
    プチドの発現量、時期または組織特異性が変化した遺伝
    子欠失または置換非ヒト動物。
  32. 【請求項32】 発現量の変化が、発現が低下する変化
    または発現しない変化である請求項31記載の動物。
  33. 【請求項33】 非ヒト動物が非ヒトほ乳類動物である
    ことを特徴とする請求項31または32記載の動物。
  34. 【請求項34】 非ヒトほ乳類動物がマウスであること
    を特徴とする請求項33記載の動物。
  35. 【請求項35】 請求項31〜34のいずれか1項に記
    載の動物、あるいは該動物の臓器、組織または細胞と被
    験試料とを接触させ、被験試料の中から該動物、あるい
    は該動物の臓器、組織または細胞の動態を変化させる物
    質を選択することを特徴とする、細胞死の抑制あるいは
    促進に起因する疾患の予防薬、診断薬又は治療薬のスク
    リーニング法。
  36. 【請求項36】 請求項35記載のスクリーニング法に
    より得られる物質。
  37. 【請求項37】 請求項1、2、3、7又は8記載のポ
    リぺプチドを含有する医薬。
  38. 【請求項38】 請求項4〜6、9〜11のいずれか1
    項に記載のDNAを含有する医薬。
  39. 【請求項39】 請求項12に記載の組換え体DNAを
    含有する医薬。
  40. 【請求項40】 請求項12に記載の組換え体DNA
    が、細胞死を抑制するための遺伝子治療用ベクターであ
    る、請求項39に記載の医薬。
  41. 【請求項41】 請求項13に記載の形質転換体を含有
    する医薬。
  42. 【請求項42】 細胞死の促進に起因する疾患の予防、
    診断又は治療のための、請求項37〜41のいずれか1
    項に記載の医薬。
  43. 【請求項43】 請求項22、24、28、30および
    36のいずれか1項に記載の物質を含有する医薬。
  44. 【請求項44】 細胞死の抑制あるいは促進に起因する
    疾患の予防、診断又は治療のための、請求項43記載の
    医薬。
  45. 【請求項45】 請求項1、2、3、7又は8記載のポ
    リぺプチドが有する活性を阻害する物質を含有する医
    薬。
  46. 【請求項46】 該物質が、請求項4〜6、9〜11の
    いずれか1項に記載のDNAの塩基配列に基づいて調製
    したアンチセンス鎖DNAである、請求項45記載の医
    薬。
  47. 【請求項47】 該物質が、請求項15記載の抗体また
    はその抗体断片である、請求項45記載の医薬。
  48. 【請求項48】 細胞死の抑制に起因する疾患の予防、
    診断又は治療のための、請求項45〜47のいずれか1
    項に記載の医薬。
  49. 【請求項49】 細胞死の促進に起因する疾患が、神経
    変性疾患、劇症肝炎、ウイルス疾患、放射線障害、糖尿
    病、又は虚血時あるいは抗癌剤使用時の細胞死である、
    請求項42又は44に記載の医薬。
  50. 【請求項50】 細胞死の抑制に起因する疾患が、悪性
    腫瘍又は自己免疫疾患である、請求項44又は48に記
    載の医薬。
  51. 【請求項51】 請求項4〜6、9〜11のいずれか1
    項に記載のDNAの塩基配列に基づいて調製したアンチ
    センス鎖DNAを用いて請求項1、2、3、7又は8に
    記載のポリペプチドの生産を抑制する方法。
  52. 【請求項52】 細胞内の請求項1、2、3、7または
    8記載のポリペプチドが有する活性を制御する工程を含
    む、細胞死の制御方法。
  53. 【請求項53】 インターロイキン3非存在下の培養で
    生存でき、培養下の細胞外マトリックスに接着可能であ
    ることを特徴とするマウスproB細胞由来のBa/F3−
    Ad細胞。
  54. 【請求項54】 細胞内のH−Ras分子が活性化状態
    にあることを特徴とする、請求項53に記載のBa/F3−
    Ad細胞。
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