JP2002541958A - シール付き膣検鏡 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 膣に挿入するための管状探針（６）を含む種類の膣検鏡であって、前記探針は、探針の先端から間隔をおいて、肉厚のドームシェル形をしたポリエチレンフォームの環状シーリング要素（１３）で囲まれており、このシーリング要素が、膣口を画定している内部組織の周辺領域だけをシールする。前記シーリング要素の外部表面は、回転面として成形されており、そのシーリング表面の直径が、シーリング要素の先端からの軸方向距離とともに漸進的に増加し、この増加率が前記軸方向距離とともに漸進的に減少する。したがって前記シールは、探針の膣中への挿入深さの限定された範囲と、探針の角度調整範囲において低圧シールを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 （技術分野） 本発明は、少なくとも膣の子宮頚部領域の少なくとも検査用に使用する膣検鏡
に関する。本質的に、そのような検鏡は、膣口中に延びる視線（ｌｉｎｅ ｏｆ
ｓｉｇｈｔ）を画定するために、膣口を経て膣腔内に挿入することができる管
状探針および関連する外部機器を備えている。

【０００２】 （背景技術） よく知られているように、検査は裸眼で行われるか、または光学もしくは電子
カメラを使って行われる。 これもよく知られているように、膣検鏡の好ましい実施形態は、例えば子宮頚
がんの発生検査に用いられる、いわゆるパパニコラウスミア試験用の細胞を集め
るための、組織標本採取器などの外科用機器のために、膣腔内部へのアクセスを
も可能にする。

【０００３】 子宮頚部の検査やそのような機器の操作を容易にするために、膣検鏡は、少な
くとも膣腔の子宮頚端部を、空気またはその他の透明流体で膨らませられるよう
にすべきであることが示唆されている。このためには、少なくとも膨らませよう
とする部分の膣腔をシールするための検鏡と、加圧流体のオーバフローを防止す
るための透明流体を漏らさない隔膜または栓と、その隔膜または栓の前方の検鏡
内腔か、あるいは直接膣腔のシールされた部分のどちらかに加圧流体を入れるた
めの流体供給手段の装備とが必要である。

【０００４】 したがって十分に機能しうる膣検鏡は複雑な機器であり、膣に進入する実際の
管状探針だけでなく、探針を操作するためのハンドピース、オペレータが探針の
ねらいと位置決めができるようにするアイピース、子宮頚部を照明する光源、カ
メラまたは少なくともカメラの装着手段、加圧透明流体、通常は空気を供給する
供給手段、膣腔内に空気またはその他の流体を圧力下で保留するためのシーリン
グ手段などを含む外部機器を備える。

【０００５】 少なくとも管状探針が、膣に挿入する前に無菌であることは、もちろん必須で
ある。したがって、管状探針を外部機器から容易に取外し、および取付け可能に
して、手術の間に消毒するか、あるいはさらに好ましくは手術が終わると廃棄し
て次の手術のために未使用の探針と交換するのが慣例である。

【０００６】 国際出願ＰＣＴ／ＡＵ９７／００７３２（Ｓｕｐｅｒｉｏｒ Ｓｐｅｃ Ｈｏ
ｌｄｉｎｇｓ Ｌｉｍｉｔｅｄ）（国際公開ＷＯ９８／１９５９０）には、上記
の様々な特徴の実施形態を示す既知の膣検鏡が記載されている。

【０００７】 その従来技術の検鏡は、探針の先端部に配置された膨張可能なシールを備える
、一回使用の使い捨て管状探針を含む。この従来技術の検鏡の医療試用において
は、概して満足できることがわかったが、シールの中央化効果があるために、膣
腔の中心をはずれた部分を検査するのが難しいことがわかった。実際、まれな例
では子宮頚部自体が、検査困難になるほど位置ずれすることがある。

【０００８】 （発明の開示） 本発明の目的は、管状探針の先端およびその近傍のシールに関連する問題を緩
和することである。 本発明は、管状探針を囲む膣シーリング要素を、管状探針の両端の中間に設け
ることによって達成し、前記シーリング要素は、膣口を画定している身体組織に
接触させてそれをシールする形状にする。このようにシールを配置することによ
って、既知のシールを使用する場合よりも、膣腔の多くの部分の検査が可能とな
り、さらに重要なことは、探針の先端の位置決めが容易となり、したがって子宮
頚部に対しての視線のねらいが容易となることである。本発明による検鏡のシー
リング要素は、膣腔の外側にある組織と接触するので、問題の組織は検査を受け
る女性の皮膚ではないが、以後これを膣外シールと呼ぶことにする。

【０００９】 いくぶん類似の状況で使用するシールが、肛門検鏡に関してドイツ特許明細書
Ｎｏ．ＤＥ４４０４２５３に開示されている。その例においては、概して半径方
向に拡がる縁を有するトランペットマウス形またはフレアスカート形のシールが
使用される。この例では、少なくともシーリング要素の半径方向に拡がる縁が、
検査を受ける人の肛門周辺の皮膚に接触するという点で、このシールは、本発明
の特徴を有する膣外シールよりも、さらに外部にある。本発明をもたらした実験
において、このドイツ特許明細書に開示された形状のシーリング要素は、膣検鏡
用としては実際の役に立たないことがわかった。

【００１０】 膣検鏡用の外部シールに関する問題は、個々の女性間に差があるのと同様に膣
口の大きさと形状にかなりの差があることから生じる。膣口の回りの皮膚に接触
してシールするように適合された半径方向に拡がる縁を有するシーリング要素を
使用する場合には、検鏡の探針が膣に進入する程度は、実際上シーリング要素に
よって決められることになる。しかしながら女性によって膣の内部寸法に差があ
るために、探針の先端を子宮頚部から適当な距離にまで近づけるのに、探針深さ
をオペレータが調整しなければならない。その女性の体格および膣の外観から、
熟練したオペレータは、どのような場合でも必要と思われる探針の長さをおよそ
見積もることはできるが、探針深さの正確な調整は挿入を行う（したがって汚損
されて探針の再使用ができなくなる）以前に決めることはできないというのが事
実である。したがってシールを探針の限られた深さ範囲で維持する必要があり、
これはシーリング要素の半径方向に拡がる縁と、膣口周辺の体外表面との間のシ
ールには不適合である。

【００１１】 本発明では、使用時に膣腔の外部にあって、前述のように膣口を画定する内部
組織の周辺領域のみでシールするように、管状探針上に配置したシーリング要素
を設けることで、上記の問題を克服する。その目的で、シーリング要素には半径
方向に拡がる縁がなく、回転面として成形されたシーリング表面を有し、このシ
ーリング表面の直径はシーリング要素の先端からの軸方向距離とともに漸進的に
増大し、かつこの増加割合は前記軸方向距離とともに漸進的に減少する。

【００１２】 本発明によるシーリング要素は、膣口の周囲のいわゆるＰＣ筋の自然な弾力に
依存して、膣口を拡げさせ、かつ接触させることにより、シーリング要素を膣口
中に進入させ、それによって限定された挿入深さ範囲にわたって、シールが維持
されるようにする。

【００１３】 したがって本発明は、膣に挿入するための管状探針を含む種類の膣検鏡であっ
て、前記探針は、探針の先端から間隔をおいて、環状シーリング要素で囲まれて
おり、このシーリング要素が、膣口を画定している内部組織の周辺領域だけをシ
ールし、かつこのシーリング要素は回転面として成形されており、そのシーリン
グ表面の直径が、シーリング要素の先端からの軸方向距離とともに漸進的に増加
し、この増加率が前記軸方向距離とともに漸進的に減少することを特徴とする膣
検鏡である。

【００１４】 より端的にいえば、シーリング要素の好ましい実施形態は、半径方向に広がる
端縁のない凸型のドームであり、その中央穴の中を管状探針が緊密に延びている
、といえる。 例として、上述の発明の実施形態を、添付の図面を参照して以下に記述する。

【００１５】 （発明の最良の実施形態） 図１に、膣検鏡の使い捨て管状探針６を示してある。探針６は、従来型のカラ
ー７、探針の操作用の従来型ハンドピース９（図２参照）に差し込むための、わ
ずかに傾斜をつけた後端差し口８、オペレータが探針のねらいをつけ、膣の頚部
領域を直接見るためのアイピース１０、および光源と空気ポンプ用の格納容器１
１によって構成されている。格納容器１１は、フレキシブルチューブ１２によっ
てハンドピースに接続されている。光ファイバケーブルがチューブ１２の中を延
びており、そのケーブルを伝わり、探針６の透明な壁を通過する光で、膣頚部を
照明することができるようになっている。加圧空気もポンプから、チューブ１１
に沿ってハンドピース９内部に流入し、次いで空気供給手段１３を介して探針６
の胴部へと流入する。空気の供給速度は、検鏡の使用者が調整することができる
。アイピース１０も、端部から空気の漏れを防ぐために、探針の後端をシールし
ている。

【００１６】 上記の範囲に限ると、図１および２の主題事項は既知であるが、図示した検鏡
は、従来技術に比較して重要な利点を提供する新規なシーリング要素１３をさら
に備える。 図５および図６は、膨らんだ膣腔１４を示しており、その内端には子宮頚部１
５、外端にはＰＣ筋として知られる呼腔管状括約筋１６で画定された膣口がある
。

【００１７】 本発明のこの実施形態によれば、要素１３は、密閉セルの高密度ポリエチレン
フォームの厚肉中空半球であって、その中央には穴があり、その穴の中を探針６
が緊密に延びている。シーリング要素１３が探針に沿って右側方向にすべるのを
、図１および図５でわかるように、探針６と一体の環状衝合部１７によって防止
している。

【００１８】 図５において、シーリング要素１２が、部分的にＰＣ筋中に押し込まれて、膣
口の前方部分を押し広げ、通常は膣口の内表面である環状領域１８とシール接触
することがわかるであろう。このシールは、シーリング要素の半径方向に広がる
フランジが、オペレータによって、膣口を囲む外部領域２０に強く押し付けすぎ
た場合に起こりえるような、高圧のシールではないことに言及しておかなくては
ならない。これは膣腔１４に対する過剰加圧に対する重要な安全対策となってい
る。過剰圧力がかかった場合には、単に領域１８がさらに拡張することによって
、加圧流体を逃がすことができる。

【００１９】 図６は、自然の差異によるか、あるいは加齢または過去の出産による筋肉の張
りの喪失によって、膣口が広がるか、またはＰＣ筋が通常よりも弛緩した膣を示
している。オペレータは、このような要因を考慮して、探針６（図６参照）に、
シーリング要素１３を組み付ける前に、１つまたは複数の環状スペーサ２１を配
置することができる。したがって、このような場合に、満足なシールを達成する
必要性から、シーリング要素１３の膣口への侵入量が大きくなっても、これを吸
収して探針６の先端が子宮頚部１５から要求距離を保つことができる。

【００２０】 さらに、シーリング要素１３の形状の結果として、視線を子宮頚部に合わせる
のに必要とされることがある、探針の角度調整範囲にわたって、低圧のシールが
維持される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 図１は、本発明による膣検鏡の特性を有する管状膣探針と外部シーリング要素
の縦方向断面図である。

【図２】 図２は、膣検鏡の典型的な従来型部品に組み付けた図１の探針とシーリング要
素の部分断面図である。

【図３】 図３は、スペーサの端面図である。

【図４】 図４は、スペーサの縦方向断面図である。

【図５】 図５は、膨らんだ膣と、それに挿入した本発明による検鏡の特性を有する管状
探針およびシーリング要素の断面図である。

【図６】 図６は、比較的大きな、あるいはより弛緩した膣口を有する膣の、図５と類似
の図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ，ＺＷ )，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ， ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＧ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ， ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，Ｃ Ｎ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＤＭ，ＤＺ，ＥＥ ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ， ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，Ｋ Ｐ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ ，ＬＶ，ＭＡ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ， ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，Ｓ Ｇ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ，ＺＡ，ＺＷ

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 膣に挿入するための管状探針を含む種類の膣検鏡であって、
   該探針は、探針の先端から間隔をおいて、環状シーリング要素によって囲まれて
   おり、該シーリング要素が、膣口を画定している内部組織の周囲領域だけをシー
   ルし、該シーリング要素が回転面として成形されており、そのシーリング表面の
   直径が、シーリング要素の先端からの軸方向距離とともに漸進的に増大し、この
   増加率が該軸方向距離とともに漸進的に減少することを特徴とする膣検鏡。
2. 【請求項２】 前記シーリング要素が、中央穴を有するドーム形シェルであ
   り、中央穴の中を前記管状探針が緊密にドームの軸方向に延びている請求項１に
   記載の膣検鏡。
3. 【請求項３】 前記シェルが独立気泡プラスチックフォームでできている請
   求項２に記載の検鏡。
4. 【請求項４】 前記プラスチックフォームがポリエチレンである請求項３に
   記載の検鏡。
5. 【請求項５】 管状探針上のシールの位置が、探針と一体の探針上の衝合部
   によって決まる請求項１に記載の検鏡。
6. 【請求項６】 前記シールと前記衝合部の間で、探針を囲む１つまたは複数
   のスペーサと組み合わせた請求項５に記載の検鏡。
7. 【請求項７】 実質上添付の図面を参照して本明細書において説明した検鏡
   。