JP2002540172A - 腫瘍治療の増強のためのスフィンゴミエリン含有調製物 - Google Patents

腫瘍治療の増強のためのスフィンゴミエリン含有調製物

Info

Publication number
JP2002540172A
JP2002540172A JP2000607665A JP2000607665A JP2002540172A JP 2002540172 A JP2002540172 A JP 2002540172A JP 2000607665 A JP2000607665 A JP 2000607665A JP 2000607665 A JP2000607665 A JP 2000607665A JP 2002540172 A JP2002540172 A JP 2002540172A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sphingomyelin
tumor
apoptosis
patient
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000607665A
Other languages
English (en)
Inventor
モドラック,デイヴィッド
Original Assignee
センター・フォー・モレキュラー・メディシン・アンド・イムノロジー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by センター・フォー・モレキュラー・メディシン・アンド・イムノロジー filed Critical センター・フォー・モレキュラー・メディシン・アンド・イムノロジー
Publication of JP2002540172A publication Critical patent/JP2002540172A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/70Carbohydrates; Sugars; Derivatives thereof
    • A61K31/7028Compounds having saccharide radicals attached to non-saccharide compounds by glycosidic linkages
    • A61K31/7034Compounds having saccharide radicals attached to non-saccharide compounds by glycosidic linkages attached to a carbocyclic compound, e.g. phloridzin
    • A61K31/704Compounds having saccharide radicals attached to non-saccharide compounds by glycosidic linkages attached to a carbocyclic compound, e.g. phloridzin attached to a condensed carbocyclic ring system, e.g. sennosides, thiocolchicosides, escin, daunorubicin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/495Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with two or more nitrogen atoms as the only ring heteroatoms, e.g. piperazine or tetrazines
    • A61K31/505Pyrimidines; Hydrogenated pyrimidines, e.g. trimethoprim
    • A61K31/513Pyrimidines; Hydrogenated pyrimidines, e.g. trimethoprim having oxo groups directly attached to the heterocyclic ring, e.g. cytosine
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/66Phosphorus compounds
    • A61K31/683Diesters of a phosphorus acid with two hydroxy compounds, e.g. phosphatidylinositols
    • A61K31/688Diesters of a phosphorus acid with two hydroxy compounds, e.g. phosphatidylinositols both hydroxy compounds having nitrogen atoms, e.g. sphingomyelins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K45/00Medicinal preparations containing active ingredients not provided for in groups A61K31/00 - A61K41/00
    • A61K45/06Mixtures of active ingredients without chemical characterisation, e.g. antiphlogistics and cardiaca
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P19/00Drugs for skeletal disorders
    • A61P19/02Drugs for skeletal disorders for joint disorders, e.g. arthritis, arthrosis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P29/00Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Rheumatology (AREA)
  • Orthopedic Medicine & Surgery (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Physical Education & Sports Medicine (AREA)
  • Pain & Pain Management (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 患者における細胞毒性の腫瘍治療は、スフィンゴミエリンの共投与により増強される。本発明は、全ての細胞区画でのスフィンゴミエリンのレベルを増加し、それにより、活性化スフィンゴミエリナーゼの十分な基質を提供することにより、腫瘍細胞がセラミド誘導アポトーシスを受ける能力を増強する。慢性関節リウマチの治療法も提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) 従来、多くの癌療法の効力は、化学療法または放射線誘導DNA傷害から得ら
れる細胞毒性から生じると考えられてきた。かかるDNA傷害は、アポトーシス
応答を引き起こすと考えられた。Eastmanら、Cancer Inves
t、10:229〜240(1992);Allan,D.J、Int.J.R
adiat.Biol.62:145〜152(1992)。アポトーシスは、
選択的ヌクレオソーム間リンカー部位で核クロマチンを切断するカルシウムおよ
びマグネシウム依存的エンドヌクレアーゼの活性化に至る、連続的な生化学的事
象の誘導性の予めプログラム化された経路として概念的に説明されている。影響
を受けた細胞膜で産生されたシグナルは、隣接細胞および浸潤マクロファージを
活性化して、死滅しかけている細胞およびその破壊しかけている核を貪食する。
【0002】 電離放射線(ionizing radiation)により生じた致死的傷害の性質に関する初
期の仮説は、哺乳動物の細胞死をもたらす最も一般的な種類の病変として、DN
Aの異種二本鎖亀裂を認識した。Radford,I.R.、Int.J.Ra
diat.Biol.49:611〜620(1986);Ward,J.F.
、Prog.Nucleic Acid Mol.Biol.35:95〜12
5(1988)。かかる病変は、X線との直接的相互作用により、または放射線
により細胞内で産生された反応性酸素中間体によりDNAで産生される。Ste
elら、Int.J.Radiat.Biol.56:525〜537(198
9)参照。哺乳動物細胞は、大半のDNA二本鎖亀裂の修復に堪能であるが、全
てのかかる病変を修復できるわけではない。Ward,J.F.、Prog.N
ucleic Acid Mol.Biol.35:95〜125(1988)
参照。残った非修復DNA病変は、有糸分裂後の細胞死をもたらし得る。Bed
ford,J.S.、Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Ph
ys.21:1457〜1469(1991)参照。それ故、近年まで、DNA
修復の無効が、放射線感受性に重要な役割を果たすと考えられた。
【0003】 同様に、いくつかの化学療法薬、例えばアントラサイクリン系ダウノルビシン
(DNR)が、薬物に誘導されるDNA傷害の結果として細胞毒性を誘導すると
考えられた。遺伝子物質に対する傷害は、キノン生成酸化還元活性から生じるフ
リーラジカルから、二本鎖ヘリックスのインターカレーションにより誘導される
歪みから、またはDNAとトポイソメラーゼIIの間に形成された切断可能な複
合体の安定化から生じ得ると示唆された。(Chabnerら、癌:腫瘍学の基
本および実践、J.B.Lippencott Co.、フィラデルフィア、P
A、349〜395項(1989)参照。)しかし、かかる傷害がアポトーシス
経路を誘導する機序は依然として不明である。
【0004】 近年、癌療法に由来する直接的なDNA傷害が誘導アポトーシスを媒介すると
いう代替の仮説が確立されている。アポトーシス誘導のためのスフィンゴミエリ
ンシグナル伝達経路は、電離放射線、腫瘍壊死因子α(TNF−α)およびダウ
ノルビシンを含む、多くの癌療法の第一の機序として出現した。Haimovi
tz−Friedmanら、J.Exp.Med.180:525〜535(1
994);Kolesnickら、Cell、77:325〜328(1994
);Jaffrezouら、Embo J.、15:2417〜2424(19
96);Boseら、Cell、82:405〜414(1995)参照。
【0005】 スフィンゴミエリンは、細胞、特に形質膜の主要な脂質クラスを構成するスフ
ィンゴ脂質の一種である。Merrillら、Toxicol.Appl.Ph
armcol.142:208〜225(1997)参照。スフィンゴミエリン
は、形質膜の2つの異なるプールに区画形成されている。Linardicら、
J.Biol.Chem.269:23530〜23537(1994)参照。
形質膜の内部分に局在するスフィンゴミエリンプールは、専ら細胞内シグナリン
グに従事するといわれている。形質膜の2つのプールのスフィンゴミエリンの間
のスフィンゴミエリン分子種の差異が全くないという観察は、シグナル伝達の区
画形成の重要性を示唆する。Fritzgeraldら、Lipids、30:
805〜809(1995)参照。
【0006】 多くの癌療法は、スフィンゴミエリンからセラミドへの迅速な加水分解を誘導
することによりスフィンゴミエリン経路を開始する。セラミドは、プログラム化
細胞死の調節を含む多種多様な細胞プロセスで重要な役割を果たす。Merri
llら、Toxicol.Appl.Pharmacol、142:208〜2
25(1997)参照。アポトーシスの二次メッセンジャーとしてのセラミドの
特異性は、細胞透過性セラミド類似体が、TNF−α、Fasおよび電離放射線
の効果を再現でき、アポトーシスを直接誘導できるが、他の脂質類似体二次メッ
センジャーはできなかったという事実により実証された。セラミドによるアポト
ーシスの誘導はまた、ジヒドロセラミドがアポトーシスを誘導できないことから
立体特異的であることがわかる。セラミドは、ストレス活性化プロテインキナー
ゼ経路を活性化することによりアポトーシスを開始すると提唱されている。Ve
rheijら、Nature、380:75〜79(1996)参照。
【0007】 多くの療法が、スフィンゴミエリン伝達経路の開始に成功しているが、誘導ア
ポトーシス応答は限定され得るか、または短いものでありうる。理由は明らかで
ないが、腫瘍細胞はスフィンゴミエリンを含む異常な脂質組成物を有する。腫瘍
組織は、典型的には、正常組織より高濃度のスフィンゴミエリンを有する;しか
し、いくつかの腫瘍細胞は、スフィンゴミエリン合成能が低下している可能性が
ある。Koizumiら、Biochim.Biophys.Acta.、64
9:393〜403(1991);Van Blitterswijkら、Bi
ochim.Biophys.Acta.、778:521〜529(1984
)参照。さらに、腫瘍細胞の脂質代謝の変化により、スフィンゴミエリンの細胞
内分布は変化し得る。形質膜内のかかる再分布は、細胞毒性の治療に応答してセ
ラミドを産生するのに関与するスフィンゴミエリン加水分解酵素により作用され
得ない誤って指示されたスフィンゴミエリンをもたらし得る。Bettaieb
ら、Blood、88:1465〜1472(1996)参照。結果として、形
質膜内のスフィンゴミエリン再構成は、セラミド誘導アポトーシスをもたらす腫
瘍細胞の能力を障害し、一定の療法に対する感受性の低下をもたらし得る。
【0008】 それ故、アポトーシス誘導のためのスフィンゴミエリン経路を使用した腫瘍治
療を最大化するために、腫瘍細胞の脂質代謝変化を克服する方法が依然として必
要である。
【0009】 (発明の要約) それ故、本発明の1つの目的は、アポトーシス誘導のためのスフィンゴミエリ
ン経路を使用して、腫瘍治療を増強する方法を提供することである。
【0010】 また、本発明の目的は、慢性関節リウマチを治療する方法を提供することであ
る。
【0011】 本発明のこれらおよび他の目的の達成において、本発明の1つの態様に従って
、細胞毒性の腫瘍治療に関連して使用するための、哺乳動物患者のアポトーシス
を増強するのに有効な量のスフィンゴミエリンを含む医薬組成物が提供される。
本発明の好ましい実施形態において、上記の調製物は、以下の1つ以上から選択
された腫瘍治療を増強するために使用し得る。化学療法、電離放射線(ionizing radiation)、免疫療法および放射線療法。
【0012】 本発明の1つの実施形態において、天然スフィンゴミエリン(C16:0)を
、腫瘍治療に関連して投与する。別の実施形態において、より短い側鎖(C2
15)を有するスフィンゴミエリン分子を使用する。
【0013】 本発明のさらに別の実施形態において、スフィンゴミエリンを患者に経口投与
し、他の実施形態では非経口投与する。
【0014】 別の実施形態において、患者に、療法と共に、アポトーシスを増強するのに有
効な量のスフィンゴミエリンを投与することを含む哺乳動物患者の細胞毒性腫瘍
治療を増強する方法が提供される。
【0015】 本発明の別の態様によると、患者に、増殖中の滑膜繊維芽細胞におけるセラミ
ド産生および生じるアポトーシスを増加させるに有効な量のスフィンゴミエリン
を投与することを含む、哺乳動物患者における慢性関節リウマチを治療する方法
が提供される。
【0016】 別の実施形態において、哺乳動物における増殖中の滑膜繊維芽細胞においてセ
ラミド産生および生じるアポトーシスを増加させるに有効な量のスフィンゴミエ
リンを含む医薬調製物が提供される。
【0017】 別の実施形態において、哺乳動物患者における細胞毒性治療法を増強するため
のスフィンゴミエリンの使用が提供され、ここで投与されるスフィンゴミエリン
の量は、アポトーシスを増強するのに有効な量である。また、細胞毒性腫瘍治療
に関連してアポトーシスを増強するのに使用する薬剤を調製するためのスフィン
ゴミエリンの使用が提供される。
【0018】 別の実施形態において、哺乳動物患者の慢性関節リウマチの治療のためのスフ
ィンゴミエリンの使用であって、ここで投与されるスフィンゴミエリンの量は、
増殖中の滑膜繊維芽細胞におけるセラミド産生および生じるアポトーシスを増加
させるのに有効な量である。また、増殖中の滑膜繊維芽細胞におけるアポトーシ
スを増強するために使用する薬剤を調製するためのスフィンゴミエリンの使用が
提供される。
【0019】 他の実施形態において、スフィンゴミエリンおよびスフィンゴミエリンの投与
を行なうための補助的な薬剤を含む、細胞毒性腫瘍治療を増強するために、およ
び慢性関節リウマチを処置するために有用なキットが提供される。
【0020】 本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなるだ
ろう。実施例は単に説明のために示されることを理解すべきである。なぜなら、
本発明の精神および範囲内の様々な変更および修飾が当業者には明らかとなるか
らである。
【0021】 (詳細な説明) 本発明は、腫瘍治療を増強するものである。本発明は、全ての細胞区画(cell
ular compartment)でスフィンゴミエリンのレベルを増加し、これによって活性
化されたスフィンゴミエリナーゼの十分な基質を提供することで、セラミド誘導
アポトーシスを受ける腫瘍細胞能力を増強すると考えられる。腫瘍細胞は、典型
的には、異常なスフィンゴミエリンの組成および区画形成を含む脂質代謝を変化
させた。多くの研究により、腫瘍組織は、スフィンゴミエリンの濃度を増加させ
ることが示唆される。大半の腫瘍細胞は、異常に高いレベルのスフィンゴミエリ
ンを有し得るが、スフィンゴミエリンの異常な細胞小器官の区画形成により、そ
の加水分解酵素であるスフィンゴミエリナーゼには利用できないだろう。スフィ
ンゴミエリン代謝の変化は、腫瘍細胞のセラミド産生能を障害し、一定の療法に
対する感受性の低下を引き起こし得る。驚くべきことに、および予期されなかっ
たことに、本発明は、追加のスフィンゴミエリンの投与は、腫瘍治療の殺腫瘍活
性を増加することを実証する。
【0022】 本発明の1つの態様によると、腫瘍治療の殺腫瘍活性は、患者に、治療に関連
して治療有効量のスフィンゴミエリンを投与することにより増加する。本発明は
提唱した機序に限定されないが、スフィンゴミエリンの投与は、アポトーシスの
誘導にスフィンゴミエリンシグナル伝達経路を使用する任意の療法を増強するよ
うである。これは、迅速で異常な増殖を制御または阻害することを要求する療法
を含むがこれに限定されない。例としては、腫瘍治療、例えば化学療法、電離放
射線、免疫療法および放射線免疫療法、および細胞媒介ウイルス感染療法を含む
がこれに限定されない。
【0023】 本発明の好ましい実施形態において、治療有効量のスフィンゴミエリンを、化
学療法と共に腫瘍治療を受けている患者に投与する。スフィンゴミエリンは、多
種多様の化学療法薬と共に投与できる。例は、エピポドフィロトキシン(例えば
エトポシド、テノポシド(tenoposide))、アントラサイクリン(例えばドキソ
ルビシン/アドリアマイシン、ダウノルビシン、イダルビシン)、ビンカアルカ
ロイド(例えばビンクリスチン、ビンブラスチン)、カンプトセシン、タキサン
(例えばタキソール)および代謝阻害剤(例えば5FU、ゲムシタビン(gemcit
abine))を含むがこれに限定されない。
【0024】 さらなる実施形態において、化学療法は、抗体または抗体断片を使用して腫瘍
細胞を標的化し得る。特異的標的腫瘍細胞への抗体、抗体断片、または受容体結
合ペプチドの使用により、殺腫瘍用量の化学療法の送達は増加し、正常組織への
毒性はかなり減少する。
【0025】 本発明の別の好ましい実施形態において、治療有効量のスフィンゴミエリンを
、電離放射線による腫瘍治療を受けている患者に投与する。様々な線源を使用し
て、腫瘍治療のための電離放射線を作成し得る。例は、外部ビーム放射線および
放射性粒子または一連の粒子の手術によるインプラントを含むがこれに限定され
ない。
【0026】 本発明のさらに別の好ましい実施形態において、治療有効量のスフィンゴミエ
リンを、免疫療法と共に腫瘍治療を受けている患者に投与する。コンジュゲート
していない抗体および抗体断片を使用したかかる処置は、選択した表面受容体、
例えばTNF受容体を架橋することによりアポトーシスを受けるように細胞を効
果的に誘導する。
【0027】 本発明のさらに別の好ましい実施形態において、治療有効量のスフィンゴミエ
リンを、放射線免疫療法と共に腫瘍処置を受けている患者に投与する。放射線免
疫療法は、より伝統的な形の癌処置に優る利点を与える魅力的な治療概念である
。この戦略は、正常組織への放射線毒性を減少させつつ、腫瘍細胞に殺腫瘍量の
放射線を送達することを要求する。放射線免疫療法は、特異的に腫瘍細胞を標的
化するための、抗体、抗体断片、または受容体結合ペプチドを使用する。抗体を
、例えば、腫瘍細胞を殺滅するのに十分な放射線を理想的に提供する放射性同位
体にコンジュゲートさせる。かかる放射標識抗体、並びに、受容体結合ペプチド
(例えばソマトスタチン類似体)は、動物モデルおよびヒトの癌細胞に標的化す
ることが示されている。Goldenberg,D.M.(編)、放射標識抗体
での癌イメージング、Kluwer Academic Publishers
、Boston(1990);Goldenberg,D.M.(編)、放射標
識抗体を用いた癌療法、CRCプレス:ボーカラトーン(1995);Kren
ningら、J.Nucl.Med.33:652〜658(1992)参照。
上記で議論したように、電離放射線は、スフィンゴミエリン伝達経路を使用して
アポトーシスを開始できる。それ故、放射線免疫療法に関連してスフィンゴミエ
リンを投与することにより、かかる治療の効力は増加するだろう。
【0028】 多種多様の腫瘍治療の殺腫瘍活性は、患者に、治療有効量のスフィンゴミエリ
ンを、療法と共に投与することにより増加できる。かかる療法の例は、酸素ラジ
カル(例えばO2 -、NO)、サイトカイン(例えばFAS、TNFα、TRAI
L)、プロテインホスファターゼ阻害剤(例えばオカダ酸)、レチノイド(例え
ばフェンレチニド(fenretinide))、ステロイド(例えばβ−シトステロール
)、ジメチルスフィンゴシン、Δ9−テトラヒドロカンナビノール、スラミン、
酪酸ナトリウム、白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン)、免疫調
節剤(例えばシクロスポリン、FK506)、毒素類(例えばヒガ、ベロ、シュ
ードモナスエンド)およびフタロシアニン4光線力学的療法を含むがこれに限定
されない。スフィンゴミエリンはまた、セラミドレベルおよび潜在的アポトーシ
スを増加する、多剤耐性調節物質(例えばSDZ PSC833、VX710)
と共に使用できる。
【0029】 本発明の別の実施形態において、治療有効量のスフィンゴミエリンを、慢性関
節リウマチに罹患する患者に投与する。疾病は、軟骨および骨破壊をもたらす滑
膜細胞の増殖および炎症細胞の浸潤を特徴とする。アポトーシスプロセス内の異
常事象は、リウマチ滑膜繊維芽細胞の増殖をもたらし得る。C2セラミドは、イ
ンビトロおよびインビボでリウマチ滑膜繊維芽細胞においてアポトーシスを誘導
することが示されている。Ichinoseら、J.Lab.Clin.Med
.131:410〜416(1998)参照。スフィンゴミエリンの投与は、セ
ラミド産生を増加させ、それ故、増殖中の滑膜繊維芽細胞のアポトーシスを促進
することにより、慢性関節リウマチの効果的な治療を提供できる。同様に、スフ
ィンゴミエリン投与は、アポトーシスの誘導のためのスフィンゴミエリンシグナ
ル伝達経路の利用が不可能であることから生じる他の自己免疫疾患を効果的に治
療できる。
【0030】 本発明の1つの実施形態において、天然スフィンゴミエリンを患者に投与して
、腫瘍治療の殺腫瘍活性を増強する。天然スフィンゴミエリンは、典型的には、
長い側鎖誘導体(C16〜C30N−アシル基類)を含む。かかるスフィンゴミエリ
ンは、市販されているものから得ることができ、通常、卵黄から得られ、主にパ
ルミトイル鎖類を含む。シグマケミカルズ社(セントルイス、MO)、カタログ
番号S0756参照。
【0031】 スフィンゴミエリンのデノボ生合成は、セリンおよびパルミトイル−CoAの
縮合により開始され、3−ケトスフィンガニン(3−ケトジヒドロスフィンゴシ
ン)が形成され、これは続いてジヒドロスフィンゴシンに還元される。Hann
un,Y.A.、J.Biol.Chem.269:3125〜3218(19
94)参照。ジヒドロセラミドは、脂肪質のアシル基のジヒドロスフィンゴシン
へのアミド結合により形成される。セラミドは、トランス−4,5二重結合の導
入によりジヒドロセラミドから形成され、他の全ての複合スフィンゴ脂質の前駆
体として役立つ。スフィンゴミエリンは、主に、ホスファチジルコリンからのコ
リンホスフェートの転移から、ホスファチジルコリン、セラミドコリンホスホト
ランスフェラーゼの作用により、セラミドへのホスホリルコリン頭状基の添加に
より形成される。
【0032】 本発明の別の実施形態において、修飾側鎖を有するスフィンゴミエリンを患者
に投与して、腫瘍治療の殺腫瘍活性を増強できる。例えば、C2〜C15側鎖を含
む、通常よりも短い側鎖を有するスフィンゴミエリン類似体を使用できる。アポ
トーシスの研究により、短い側鎖(C2、C8)を有するセラミド類似体は、効果
的にアポトーシスを誘導し、通常の長さの分子よりも迅速に作用し得ることが示
された。Boseら、Cell、82:405〜414(1995);Haim
ovitz−Friedmanら、J.Exp.Med.180;525〜53
5(1994)参照。同様に、通常よりも短い側鎖を有するスフィンゴミエリン
類似体は、腫瘍治療剤の殺腫瘍活性のさらなる増強を与える。別に、C24を含む
、通常より長い側鎖も有効であり得る。
【0033】 その構造を修飾することにより生物学的分子の活性を変化させる数多くの戦略
が知られている。一般に、天然化合物への修飾は、その生物活性を増加し、また
は適切な細胞組織によるその取込みを容易にすることができる。分子側鎖の長さ
を変化することの他に、追加の元素または官能基の取り込みは、天然化合物の性
能を増強できる。かかる置換基の例は、脂肪族基、例えばC1〜C6直鎖または分
枝鎖アルキルまたはシクロアルキル基、芳香族基、官能基、例えばシアノ、ニト
ロ、アジド、ハロおよびエポキシ基、および他の元素、例えば硫黄、セレン、ホ
ウ素および金属、並びに、例えば酸素または窒素原子の側鎖への挿入を含むがこ
れに限定されない。スフィンゴミエリン活性はまた、分子に二重または三重結合
を加えることにより増強できる。Kishidaら、J.Lipid Medi
at.Cell Signal、16:127〜137(1997)参照。
【0034】 本発明の1つの実施形態において、スフィンゴミエリンを患者に経口投与する
。他の実施形態において、スフィンゴミエリンを非経口投与する。非経口投与と
は、静脈内/動脈内、くも膜下、皮下および経皮パッチを介しての投与を含むが
これに限定されない、患者への化合物の様々な投与法を意味する。
【0035】 別の実施形態において、遺伝子療法を使用して、細胞毒性腫瘍治療を受けてい
る患者の標的細胞内のスフィンゴミエリン濃度を増加する。遺伝子療法は、スフ
ィンゴミエリンの合成に関与する酵素を含むベクターを標的細胞に導入する系を
必要とする。細胞中のスフィンゴミエリン濃度を増加する、哺乳動物、細菌また
は真菌起源の酵素を含む任意の酵素を使用できる。例は、セリンパルミトイルト
ランスフェラーゼ、セラミドシンターゼおよびスフィンゴミエリナーゼを含むが
これに限定されない。
【0036】 適切なベクターの作成は、外来DNAのベクターへの挿入により当分野で既知
の任意の方法を用いて達成できる。Sambrookら、1989、分子クロー
ニング、実験マニュアル、コールドスプリングハーバープレス、NY参照。さら
に、従来技術は、外来遺伝子を細胞にインビボで導入する様々な方法を教示する
。Rosenbergら、Science 242:1575〜1578(19
88);Wolffら、PNAS 86:9011〜9014(1989)参照
。送達経路は、全身投与およびインサイチュ投与を含む。既知の技術は、カチオ
ン性リポソームを用いた全身投与、およびウイルスベクターを用いたインサイチ
ュ投与を含む。Caplenら、Nature Med.1:39〜46(19
95);Zhuら、Science、261;209〜211(1993);B
erknerら、Biotechniques、6:616〜629(1988
);Trapnellら、Advanced Drug Delivery R
ev.12:185〜199(1993);Hodgsonら、BioTech
nology 13:222(1995)参照。外来遺伝子を特異的に標的細胞
に指向するベクターおよび遺伝子送達系が最も好ましい。標的遺伝子送達の将来
の発展は、この実施形態の意義を高めることが期待される。
【0037】 「治療有効」量のスフィンゴミエリンは、処置する疾病、損傷または疾患の有
害容態または症状の予防または寛解により決定できる。慣例により腫瘍治療と共
に患者に投与するスフィンゴミエリンの時期および投与量の最適化は、とりわけ
、患者の具体的な特徴および腫瘍発生の程度に適応させる。かかる適応は慣用的
であり、過度の実験または専門技術を必要としない。同様に、慢性関節リウマチ
の療法として患者に投与するスフィンゴミエリンの時期および投与量の最適化は
、とりわけ、患者の具体的特徴に適応させる。本発明の方法および医薬組成物は
、様々な哺乳動物を処置するために使用でき、最も好ましくはヒト並びに家畜お
よびペットなどの飼っている動物を処置するために使用する。
【0038】 本発明のリポソームを、ラクトース、油、マンニトールおよびデンプンなどの
不活性医薬添加剤と合わせて、医薬組成物/調製物を形成できる。かかる組成物
は、エリキシル、液剤、軟膏、ローション、静注液、アルコール、錠剤、カプセ
ル剤等などの投与形に製剤化できる。非経口、筋肉内、皮下および静脈内投与の
ために、リポソームを、不活性で非経口的に許容されるベヒクル、例えば水、食
塩水、ゴマ油、エタノール緩衝水媒体、プロピレングリコール等と共に製剤化で
きる。局所および経口投与のために、リポソームを、ワックス、油、緩衝水媒体
等と共に製剤化できる。これらの様々な投与形は、医薬分野で既知の方法により
調製される。
【0039】 別の実施形態において、スフィンゴミエリンおよびスフィンゴミエリンの投与
を行なうための補助的な薬剤を含む、細胞毒性の腫瘍治療を増強するのに有用な
キットが提供される。補助的な薬剤の例は、緩衝溶液および適用装置、例えばシ
リンジを含むがこれに限定されない。同様に、スフィンゴミエリンおよびスフィ
ンゴミエリンの投与を行なうための補助的な薬剤を含む、患者の慢性関節リウマ
チを処置するのに有用なキットが提供される。
【0040】 [I.試薬の調製] [スフィンゴミエリンの調製] 様々な形のスフィンゴミエリンを、シグマケミカルズ社(セントルイス、MO
)から粉末形で得ることができる。1gのスフィンゴミエリン粉末を、9.5m
lの滅菌食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)およびQSと混合し、10m
lとする。得られた懸濁液を80〜90℃の水浴で1時間超音波処理する。懸濁
液は、1時間以内の超音波処理で投与すべきであり、ほぼ室温(25〜30℃)
とすべきである。懸濁液は4℃で保存できるが、投与前30分間80〜90℃の
水浴で再度超音波処理すべきである。
【0041】 別に、本発明のリポソームは、押出装置を使用して調製することができる。か
かる装置は、様々な業者、例えばアミカ・コーポレイション、コロンビア、MD
から入手できる。これらの装置は、一定のサイズの小さな単ラメラ小胞/リポソ
ームを製造する。
【0042】 [II.腫瘍治療を増強する方法] [実施例1.GW39大腸腫瘍に対するスフィンゴミエリン療法のインビボでの
評価] スフィンゴミエリンによる化学療法増強は、マウスのGW39大腸腫瘍の5−
フルオロウラシル(5FU)処置に対するその効果を測定することにより評価し
た。ヌードマウスに、GW39腫瘍を皮下にインプラントした。腫瘍が約0.5
cm3に到達した後、マウスを10の群に分け、以下の療法の1つを投与した;
処置なし(●)、0.45mg/日の5−フルオロウラシルで5日間(黒い四角
)、10mg/日のスフィンゴミエリン(SM)で7日間(黒い三角)、または
0.45mg/日の5−フルオロウラシルで5日間および10mg/日のスフィ
ンゴミエリンで7日間(◆)。5−フルオロウラシルおよびスフィンゴミエリン
の両方を静注により投与した。5−フルオロウラシルおよびスフィンゴミエリン
の両方を受けた群に、5日間両方の療法を投与し、次いで、2日間スフィンゴミ
エリンの注射を続けた。各動物の腫瘍容積を、処置後、3週間、1週間間隔で評
価した。
【0043】 結果を図1に図解で示す。スフィンゴミエリン単独投与では、腫瘍増殖に全く
効果はなかった。5−フルオロウラシルでの治療は、最初は、腫瘍増殖速度を遅
延したが、増殖速度は第二週後に増加した。しかし、5−フルオロウラシルおよ
びスフィンゴミエリンの両方の共投与は、5−フルオロウラシル単独よりも腫瘍
増殖速度をはるかに大きな程度で、および長い時間低下させた。
【0044】 [実施例2.HT29大腸腫瘍に対するスフィンゴミエリン療法のインビボでの
評価] スフィンゴミエリンによる化学療法の増強を、マウスのHT29大腸腫瘍の5
−フルオロウラシル処置に対するその効果を測定することにより評価した。ヌー
ドマウスに、HT29腫瘍を皮下にインプラントした。腫瘍が約0.5cm3
達した後、マウスを、10の群に分け、以下の療法の1つを投与した:処置なし
(●)、0.45mg/日の5−フルオロウラシルで5日間(黒い四角)、10
mg/日のスフィンゴミエリンで7日間(黒い三角)、または0.45mg/日
の5−フルオロウラシルで5日間および10mg/日のスフィンゴミエリンで7
日間(◆)。5−フルオロウラシルおよびスフィンゴミエリンの両方を静注によ
り投与した。5−フルオロウラシルおよびスフィンゴミエリンの両方を受けてい
る群に、5日間両方の療法を投与し、2日間スフィンゴミエリンの注射を受け続
けた。各動物の腫瘍容積を、処置後、5週間、1週間間隔で評価し、スフィンゴ
ミエリン群のみは4週間評価した。各群からの平均データを、非直線回帰を使用
して指数増殖曲線に適合させた。曲線をANOVAを使用して比較した。
【0045】 結果を図2に図で示す。単独で投与したスフィンゴミエリンも5−フルオロウ
ラシルも、腫瘍増殖には効果がなかった(非処置群に比べて、各化合物について
p>0.1)。しかし、5−フルオロウラシルおよびスフィンゴミエリンの両方
の共投与は、腫瘍増殖速度を約250%低下させた(p<0.0002)。
【0046】 [実施例3 大腸腫瘍に対するスフィンゴミエリン療法のインビトロでの評価] スフィンゴミエリンによる化学療法の増強を、培養液中で増殖した大腸腫瘍の
5−フルオロウラシルまたはドキソルビシン(DOX)処置に対するその効果を
測定することにより評価した。細胞生存度は、24ウェルチャンバー形式で、ダ
イMTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニ
ルテトラゾリウムブロミド)を使用して測定した。Mosmann,T、J.I
mmunol.Methods、65:55〜63(1983)参照。HCT1
5、HT29、LoVo、LS174T、MOSER、SW480およびWiD
rヒト大腸腫瘍細胞を、10%のウシ胎児血清を補充したRPMI培地で維持し
た。プールしたドナーからのヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)(Clone
tics/BioWhittaker、サンディエゴ、CA)を対照として使用
した。細胞(104/ウェル)を、様々な濃度の薬剤およびスフィンゴミエリン
の存在下で播き、加湿インキュベーター中で増殖させた。追加の対照として、卵
黄ホスファチジルコリン(PC)(シグマ、セントルイス、MO)をスフィンゴ
ミエリンの代わりに細胞に加えた。薬剤および脂質を、播いた24時間後に、H
UVEC細胞に加えたが、その他は同じように処置した。4日後、培地を、0.
5mg/mlのMTTを含む培地と交換し、2〜4時間37℃でインキュベート
した。等量のイソプロパノール中0.04NのHClを加え、570nmでの吸
光度を測定した。3から7つの独立した実験からの、細胞生存度を50%減少さ
せるのに必要な薬剤の濃度と定義されたIC50値を平均し、ANOVAを使用し
て比較した。
【0047】 結果を図3および4に図解で示す。1mg/mlのSMの存在下で、HT29
細胞は、5FU(0.52±0.21μg/mlの培地、0.38±0.15μ
g/mlのSM、0.39±0.24μg/mlのPC)およびDOX(92±
64ng/mlの培地、67±23ng/mlのSM、139±63ng/ml
のPC)についてほぼ同じIC50を示した。スフィンゴミエリンは、5FUおよ
びDOXの両方に対して様々な程度で、他の6つの細胞系を感作した(図3およ
び4参照)。スフィンゴミエリンは、5FUおよびDOX感受性を、HCT15
(それぞれ140%および340%)、LS174T(それぞれ70%および7
0%)、MOSER(それぞれ90%および100%)およびSW480細胞(
それぞれ260%および180%)において増加させた。細胞系HT29、Lo
VoおよびWiDrは、インビトロでスフィンゴミエリンにより化学感作されな
かった。同様に、スフィンゴミエリンは、5FUまたはDOX療法に対してHU
VEC細胞を感作しなかった(データは示していない)。化学感受性の増強は、
スリンゴミエリンのセラミド部分の機能のようである。なぜなら、PCは、スフ
ィンゴミエリンと類似の効果を誘発しないからである。インビボとインビトロの
結果の間の差異は、腫瘍細胞が増殖する環境に起因し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、5−フルオロウラシルおよびスフィンゴミエリンの共投与は、5−フ
ルオロウラシル単独よりも、GW39腫瘍増殖速度を、はるかに大きな程度で、
長い時間に渡って減少させることを図解で実証する。
【図2】 図2は、スフィンゴミエリンの共投与は、HT29腫瘍の5−フルオロウラシ
ルによる処置を増強することを図解で示す。試験群は以下の通りであった。処置
なし(●)、0.45mgの5FU/日で5日間(黒い四角)、10mgのSM
/日で7日間(黒い三角)または同じ日に開始した5FUとSMの組合せ(◆)
【図3】 図3は、スフィンゴミエリンは、インビトロで、腫瘍細胞系に対する5FUの
化学感受性を変化させることを実証する。IC50値を、標準偏差を用いてグラフ
化する。以下の記号を使用する。mは培地(脂質なし)、SMはスフィンゴミエ
リン、PCはホスファチジルコリンである。3から6つの独立的な実験を編集し
て、ANOVAにより比較した。*はp<0.1、**はp<0.05、***
はp<0.01、****はp<0.005である。
【図4】 図4は、スフィンゴミエリンは、インビトロで、腫瘍細胞系に対するDOXの
化学感受性を変化させることを実証する。IC50値を標準偏差を用いてグラフ化
する。以下の記号を使用する。mは培地(脂質なし)、SMはスフィンゴミエリ
ン、PCはホスファチジルコリンである。3から6つの独立的な実験を編集して
、ANOVAにより比較した。*はp<0.1、**はp<0.05、***は
p<0.01、****はp<0.005である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 19/02 A61P 29/00 101 29/00 101 35/00 35/00 A61K 43/00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4C076 AA95 BB01 BB11 CC27 EE41 FF70 4C084 AA12 NA13 ZA961 ZB151 ZB261 4C086 AA01 AA02 BC43 DA42 EA10 MA52 MA55 NA13 NA14 ZA96 ZB15 ZB26

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞毒性の腫瘍治療に関連して使用するための、哺乳動物患
    者におけるアポトーシスを増強するのに有効な量のスフィンゴミエリンを含む医
    薬組成物。
  2. 【請求項2】 前記スフィンゴミエリンが、経口投与用の投与形で提供され
    る請求項1に記載の調製物。
  3. 【請求項3】 前記スフィンゴミエリンが、非経口投与用の投与形で提供さ
    れる請求項1に記載の調製物。
  4. 【請求項4】 哺乳動物患者における細胞毒性の腫瘍治療を増強する方法で
    あって、該患者に、該治療に関連して、アポトーシスを増強するのに有効な量の
    スフィンゴミエリンを投与することを含む方法。
  5. 【請求項5】 前記スフィンゴミエリンが前記腫瘍治療を行う前に投与され
    る請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記腫瘍治療が化学療法を含む請求項4に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記化学療法が、抗体または抗体断片を使用して腫瘍細胞を
    標的化する請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記腫瘍治療が、前記患者を電離放射線で処置することを含
    む請求項4に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記腫瘍治療が免疫療法を含む請求項4に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記腫瘍治療が放射線免疫療法を含む請求項4に記載の方
    法。
  11. 【請求項11】 前記療法が、モノクローナル抗体またはモノクローナル抗
    体断片である抗体または抗体断片を使用して腫瘍細胞を標的化する請求項9また
    は10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記化学療法が、5−フルオロウラシルの投与を含む請求
    項6に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記化学療法が、ドキソルビシンの投与を含む請求項6に
    記載の方法。
  14. 【請求項14】 哺乳動物患者における細胞毒性の腫瘍治療を増強するため
    のスフィンゴミエリンの使用であって、投与されたスフィンゴミエリンの量が、
    アポトーシスを増強するのに有効な量であることを特徴とする使用。
  15. 【請求項15】 アポトーシスを増強するために細胞毒性腫瘍治療に関連し
    て使用する薬剤を調製するためのスフィンゴミエリンの使用。
  16. 【請求項16】 哺乳動物における増殖中の滑膜繊維芽細胞においてセラミ
    ド産生および生じるアポトーシスを増加させるのに有効な量のスフィンゴミエリ
    ンを含む医薬調製物。
  17. 【請求項17】 哺乳動物患者における慢性関節リウマチを治療するための
    スフィンゴミエリンの使用であって、投与されるスフィンゴミエリンの量が、増
    殖中の滑膜繊維芽細胞においてセラミド産生および生じるアポトーシスを増加さ
    せるのに有効な量である使用。
  18. 【請求項18】 増殖中の滑膜繊維芽細胞のアポトーシスを増強するために
    使用する薬剤を調製するためのスフィンゴミエリンの使用。
  19. 【請求項19】 スフィンゴミエリンとスフィンゴミエリンの投与を行うた
    めの補助的な薬剤とを含む、細胞毒性の腫瘍治療を増強するのに有用なキット。
  20. 【請求項20】 前記キットが、細胞毒性抗腫瘍剤をさらに含む請求項21
    に記載のキット。
  21. 【請求項21】 スフィンゴミエリンおよびスフィンゴミエリンの投与を行
    うための補助的な薬剤を含む、患者の慢性関節リウマチを処置するのに有用なキ
    ット。
JP2000607665A 1999-03-25 2000-03-24 腫瘍治療の増強のためのスフィンゴミエリン含有調製物 Pending JP2002540172A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US12618999P 1999-03-25 1999-03-25
US60/126,189 1999-03-25
PCT/US2000/006431 WO2000057916A1 (en) 1999-03-25 2000-03-24 Sphingomyelin containing preparation for the enhancement of tumor therapy

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002540172A true JP2002540172A (ja) 2002-11-26

Family

ID=22423475

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000607665A Pending JP2002540172A (ja) 1999-03-25 2000-03-24 腫瘍治療の増強のためのスフィンゴミエリン含有調製物

Country Status (9)

Country Link
US (2) US6541462B1 (ja)
EP (2) EP1666045B1 (ja)
JP (1) JP2002540172A (ja)
AT (2) ATE512664T1 (ja)
AU (1) AU3740000A (ja)
CA (2) CA2707691C (ja)
DE (1) DE60029762T2 (ja)
ES (1) ES2269121T3 (ja)
WO (1) WO2000057916A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9186366B2 (en) 2005-09-22 2015-11-17 Megmilk Snow Brand Co., Ltd. Medicine, food and drink or feed containing sphingomyelin
JP2017505301A (ja) * 2014-01-08 2017-02-16 アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル 転移性播種を予防又は低減するための方法及び医薬組成物

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002540172A (ja) * 1999-03-25 2002-11-26 センター・フォー・モレキュラー・メディシン・アンド・イムノロジー 腫瘍治療の増強のためのスフィンゴミエリン含有調製物
US7683044B2 (en) * 1999-03-25 2010-03-23 Center For Molecular Medicine And Immunology Sphingomyelin therapy of autoimmune disease
US9056129B2 (en) * 2007-02-09 2015-06-16 Northeastern University Precision-guided nanoparticle systems for drug delivery
US20140205543A1 (en) 2013-01-24 2014-07-24 Memorial Sloan-Kettering Cancer Center Method for diagnosing or treating tumors using sphingomyelin containing liposomes
GB201414464D0 (en) * 2014-08-14 2014-10-01 Technion Res & Dev Foundation Compositions and methods for therapeutics prescreening

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5859912A (ja) * 1981-10-06 1983-04-09 Green Cross Corp:The 鎮痛消炎物質脂肪乳剤
PT742789E (pt) * 1994-02-02 2000-12-29 Liposome Co Inc Lipossomas e compostos farmaceuticamente activos e metodos para a sua utilizacao
US5543152A (en) * 1994-06-20 1996-08-06 Inex Pharmaceuticals Corporation Sphingosomes for enhanced drug delivery
US5800833A (en) * 1995-02-27 1998-09-01 University Of British Columbia Method for loading lipid vesicles
HU224814B1 (en) * 1995-12-28 2006-02-28 Mitsubishi Pharma Corp Use of propane-1,3-diol derivative for the preparation of a medicament useful for the topical treating of inflammatory and immune diseases
WO1998045463A1 (fr) * 1997-04-07 1998-10-15 Daiichi Pharmaceutical Co., Ltd. Composition pour l'introduction de genes dans des cellules
JP2002540172A (ja) * 1999-03-25 2002-11-26 センター・フォー・モレキュラー・メディシン・アンド・イムノロジー 腫瘍治療の増強のためのスフィンゴミエリン含有調製物

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN5002004795, MODRAK,D E, PROCEEDINGS OF THE AMERICAN ASSOCIATION FOR CANCER RESEARCH ANNUAL MEETING, 19990301, V40, P483−484 *
JPN5002004796, ELORZA,B, BIOCHIMICA ET BIOPHYSICA ACTA, 1993, V1153 N2, P135−142 *
JPN6010045106, CHEUNG, Benny C. L. et al, Biochimica et Biophysica Acta, 1998, Vol.1414, No.1−2, p.205−216 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9186366B2 (en) 2005-09-22 2015-11-17 Megmilk Snow Brand Co., Ltd. Medicine, food and drink or feed containing sphingomyelin
JP2017505301A (ja) * 2014-01-08 2017-02-16 アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル 転移性播種を予防又は低減するための方法及び医薬組成物

Also Published As

Publication number Publication date
EP1666045B1 (en) 2011-06-15
DE60029762T2 (de) 2007-10-18
AU3740000A (en) 2000-10-16
CA2368676A1 (en) 2000-10-05
WO2000057916A1 (en) 2000-10-05
CA2368676C (en) 2010-09-07
CA2707691A1 (en) 2000-10-05
EP1666045A1 (en) 2006-06-07
ATE512664T1 (de) 2011-07-15
US7288534B2 (en) 2007-10-30
US20030228257A1 (en) 2003-12-11
ES2269121T3 (es) 2007-04-01
ATE334686T1 (de) 2006-08-15
DE60029762D1 (de) 2006-09-14
EP1165137B1 (en) 2006-08-02
CA2707691C (en) 2013-09-03
US6541462B1 (en) 2003-04-01
EP1165137A1 (en) 2002-01-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7485627B2 (en) Method for treating inflammatory bowel disease and other forms of gastrointestinal inflammation
JP2021510380A (ja) 放射線感受性組織における細胞保護薬の選択的堆積およびその使用
JP4554684B2 (ja) 抗癌治療
US20060009413A1 (en) Methods and compositions for protecting or treating muscarinic receptors through administration of pyrophosphate analog in subjects exposed to toxic or carcinogenic metals or metal ions
JP4576005B2 (ja) 腫瘍および炎症性疾患を選択的に治療するために用いられる、壊死を引き起こす物質と、壊死により活性化される物質との組み合わせ
JP2019518040A (ja) 腫瘍に対して標的化されるナノキャリアの抗体媒介性自触反応的送達
JP6949859B2 (ja) Dbait分子の全身投与によるガンの処置
US20120219568A1 (en) Epidithiodioxopiprazines and uses thereof in treating cancer
US20240082436A1 (en) Synergistic cancer treatment
JP2023533485A (ja) 重症型の肺高血圧症の治療方法
Wang et al. Effective conversion of irinotecan to SN-38 after intratumoral drug delivery to an intracranial murine glioma model in vivo
JP2002540172A (ja) 腫瘍治療の増強のためのスフィンゴミエリン含有調製物
MXPA02006251A (es) Composiciones y metodos para l-nucleosidos, l-nucleotidos y sus analogos.
AU2004242498B2 (en) Sphingomyelin containing preparation for the enhancement of tumor therapy
JP6019118B2 (ja) 吸入に適した酸化型アビジンの医薬品組成物
JP2004525860A (ja) 併用化学療法剤の毒性を低下させる方法
US20190275003A1 (en) Encapsulation of phosphodiesterase inhibitors to treat alcoholic liver disease
JP2005520806A (ja) がん治療を改善する併用療法におけるキナゾリノン化合物
OA19187A (en) Polyglutamated antifolates and uses thereof.
NZ620202B2 (en) Pharmaceutical composition of oxidised avidin suitable for inhalation

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070320

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100810

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101110

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101217