JP2002539766A - NF−κBの活性化を調節する化合物および方法 - Google Patents

NF−κBの活性化を調節する化合物および方法

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Abstract

(57)【要約】 核因子κB(nuclear factor κB)(NF−κB)の活性化を調節する組成物及び方法が提供される。本組成物は、リン酸化IκBαおよび/またはIκBβのユビキチン化を調節する一以上の薬剤からなる。このような組成物は、NF−κBの活性化に関連する病気の処置に使用される。調節剤としては、ヒトのE3ユビキチンリガーゼ、これらに対する抗体及びこれらの変異体、さらには関連タンパク質が挙げられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 技術分野 本発明は、一般的に、核因子κB(nuclear factor κB)(NF−κB)の活性
化を調節する組成物及び方法に関するものである。本発明は、さらに詳しくは、
リン酸化IκBαおよび/またはIκBβのユビキチン化を調節する薬剤におよ
びNF−κBの活性化に関連する病気の処置方法に関するものである。本発明に
包含される調節剤としては、E3ユビキチンリガーゼ類、ならびにこれらの一部
及び変異体が挙げられる。
【0002】 発明の背景 NF−κBは、インターロイキン1、インターロイキン8、腫瘍壊死因子及び
ある細胞接着因子などの、免疫、炎症及び急性期応答遺伝子で観察される非常に
特異的なパターンの遺伝子の発現に重要な役割を果たす転写因子である。転写活
性化因子のRel群の他のものと同様、NF−κBは、ほとんどの細胞型の細胞
質で不活性な形態で隔離される。マイトジェン、サイトカイン、抗原、ストレス
誘発因子、UV光及びウィルス性タンパク質等の様々な細胞外刺激因子は、最終
的にNF−κBの放出及び活性化を引き起こすシグナル伝達経路を開始する。
【0003】 NF−κBの活性化の重要な調節因子は、非刺激細胞の細胞質中のNF−κB
と会合する(associate)(これにより、不活性化する)、タンパク質性阻害剤で
ある、IκBαおよびIκBβの(本明細書中では、IκBと称する)である。
NF−κBの活性化及び核転座は、IκBのシグナルで誘導されるリン酸化の後
に起こり、これにより、ユビキチン経路を介したタンパク分解が生じる。IκB
αに関しては、32及び36番目のセリンでの刺激因子で誘導されるリン酸化に
より、阻害剤が21及び22番目のリシンでのユビキチン化のターゲットとなり
、これにより分解が起こる。同様にして、19及び23番目のセリンでのIκB
βのリン酸化により、阻害剤が9番目のリシンでのユビキチン化のターゲットと
なる。しかしながら、IκBの認識を仲介するユビキチンシステムの成分は同定
されていなかった。
【0004】 ユビキチン経路を介したタンパク質の分解は、以下の2種の別の連続した段階
によって進む:(a)タンパク質基質への複数のユビキチン分子の共有結合、お
よび(b)26Sプロテアソーム(proteasome)複合体による標的タンパク質の分
解。ユビキチン経路は、協調してかつ階層的に作用する数種の成分から構成され
る(レビューとして、Ciechanover, Cell 79:13, 1994; Hochestrasser, Curr.
Op. Cell. Biol. 7:215, 1995; Jentsch and Schlenker, Cell 82:881, 1995; D
eshaies, Trends Cell Biol. 5:428, 1995を参照)。このような成分の一つであ
る、シングルE1酵素は、ユビキチンの活性化を行なう。E2酵素の幾つかの主
要なものは、哺乳動物細胞、植物、及び酵母で特徴が明らかにされている。E2
酵素は、おそらく、リガーゼE3に結合し(Reiss and Hersko, J. Biol. Chem.
265:3685, 1990; Dohmen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7351, 1991
)、各E2酵素は一以上のE3タンパク質と共に作用できると考えられる(Nube
r et al., J. Biol. Chem. 271:2795; Orian et al., J. Biol. Chem. 270:2170
7, 1995; Stancovski et al., Mol. Cell. Biol. 15:7106, 1995; Gonen et al.
, J. Biol. Chem. 271:302, 1996)。
【0005】 少数のE3酵素(ユビキチンリガーゼ)のみが記載されている。哺乳動物のE
3α(酵母でのUBR1)及びE3βが、遊離N−末端アミノ酸残基を介してタ
ンパク質基質を認識する(「N−末端ルール(N-end rule)」;Varshavsky, Cell
69:725, 1992; Hershko and Ciechanover, Ann. Rev. Biochem. 61:761, 1992
)。Cdc53は、おそらく、リン酸化G1サイクリン(cyclin)を標的にするの
に関わりのあるE3である(Willems et al., Cell 86:453, 1996)。E6−A
Pはp53の認識にかかわりがあり(Scheffner et al., Cell 75:495, 1993)
、一連の独特なE6−Ap相同タンパク質が同定された(Huibregtse et al., P
roc. Natl. Acad. Sci. USA 92:2563, 1995)。Nedd4は上皮のNa+チャン
ネルの分解に関わりがあり(Staub et al., Embo J. 15:2371, 1996)、RSP
5(NIP1)はパーミアーゼGap1及びFur1を標識するのに関わりがあ
る(Hein et al., Mol. Microbiol. 18:77, 1995)一方、Pub1はCdc25
を標的にする(Nefsky and Beach, EMBO J. 15:1301, 1996)。近年、単離され
た数種の他のE3酵素は、c−Fos、筋肉タンパク質のサブセットの分解に、
さらにはp105、NF−κB前駆体のプロセシングに関わりがあると考えられ
る(Orian et al., J. Biol. Chem. 270:21707, 1995; Stancovski et al., Mol
. Cell. Biol. 15:7106, 1995; Gonen et al., J. Biol. Chem. 271:302, 1996
)。したがって、これらのリガーゼは大きな、ほとんど解明された酵素群を表わ
し、「N−末端ルール(N-end rule)」リガーゼの認識の形態以外は、ユビキチン
システムのすべての他の既知の基質のモチーフは同定されていないと考えられる
【0006】 したがって、当該分野において、ユビキチン経路を介したIκBの分解をより
理解し、さらにNF−κBの活性化に関連する病気を処置するのに使用されるこ
の分解プロセスの調節因子を同定する必要性がある。本発明は、これらの必要性
を満足するものであり、さらに他の関連する利点を提供するものである。
【0007】 発明の要約 簡単に述べると、本発明は、リン酸化IκBαおよび/またはIκBβのユビ
キチン化を調節することによって核因子κB(nuclear factor κB)(NF−κB
)の活性化を調節する組成物および方法を提供するものである。一態様において
は、本発明は、単離されたヒトのE3ユビキチンリガーゼポリペプチドを提供す
るものである。このようなポリペプチドは、このポリペプチドが(a)リン酸化
IκBのユビキチン化を促進する若しくは(b)リン酸化IκBに結合してリン
酸化IκBのユビキチン化を阻害するような、配列番号16に列挙されるような
ヒトのE3ユビキチンリガーゼ配列、または一以上のアミノ酸の置換、挿入、欠
失および/または付加により異なるこの一部若しくは変異体からなってもよい。
特定の実施態様においては、このようなポリペプチドは、このポリペプチドがリ
ン酸化IκBのユビキチン化を促進するような、配列番号16に列挙される配列
または配列番号16の20%以下のアミノ酸残基で一以上のアミノ酸の欠失、挿
入若しくは置換により異なるこの変異体を有していてもよい。さらなる実施態様
においては、このようなポリペプチドは、一部がリン酸化IκBに結合してリン
酸化IκBのユビキチン化を阻害する、ヒトのE3ユビキチンリガーゼの一部、
またはこのような一部の変異体からなってもよい。
【0008】 本発明はさらに、一態様においては、上記したようなポリペプチドをコード化
する単離されたポリヌクレオチドを提供するものである。特定の実施態様におい
ては、このようなポリヌクレオチドは、上記したような、ヒトのE3ユビキチン
リガーゼの一部、またはこのような一部の変異体をコード化してもよい。このよ
うなポリヌクレオチドと相補的である少なくとも10個の連続したヌクレオチド
からなるアンチセンスポリヌクレオチドもまた提供される。このようなポリヌク
レオチドからなる発現ベクター、およびこのような発現ベクターが形質転換また
はトランスフェクションされた宿主細胞がさらに提供される。
【0009】 さらなる態様においては、本発明は、上記したようなポリペプチドまたはポリ
ヌクレオチドを生理学的に許容できる担体と組合わせてなる薬剤組成物を提供す
るものである。
【0010】 他の態様においては、本発明は、配列番号16に列挙された配列を有するヒト
のE3ユビキチンリガーゼに結合する、単離された抗体、およびこの抗原結合断
片を提供するものである。このような抗体はモノクローナルである。
【0011】 さらなる態様においては、上記したような抗体またはこの断片を生理学的に許
容できる担体と組合わせてなる、薬剤組成物が提供される。
【0012】 本発明はさらに、上記したような薬剤組成物を患者に投与することからなる。
患者のNF−κB活性の調節方法を提供するものである。
【0013】 さらなる態様においては、本発明は、治療上有効な量の上記したような薬剤組
成物を患者に投与することにより、NF−κBの活性化に関連する疾患を処置す
ることからなる、NF−κBの活性化に関連する疾患に苦しめられる患者の処置
方法を提供するものである。このような疾患としては、炎症性疾患、自己免疫疾
患、癌及びウィルス感染が挙げられる。
【0014】 さらなる態様においては、本発明は、(a)ポリペプチド及び候補薬剤間の相
互作用を可能にするのに十分な条件下及び時間、候補薬剤を、ポリペプチドがリ
ン酸化IκBのユビキチン化を促進するような、配列番号16に列挙される配列
または一以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失若しくは付加により異なるこの一部
若しくは変異体からなる、ヒトのE3ユビキチンリガーゼポリペプチドと接触さ
せ;さらに(b)その後、候補薬剤の不存在下でリン酸化IκBのユビキチン化
を促進する当該ポリペプチドの所定の能力に対する、リン酸化IκBのユビキチ
ン化を促進する当該ポリペプチドの能力を評価し;これによりNF−κB活性を
調節する薬剤を同定する段階からなる、NF−κB活性を調節する薬剤をスクリ
ーニングする方法を提供するものである。このようなスクリーニングに使用され
る候補薬剤としては、以下に制限されるものではないが、コンビナトリアルライ
ブラリー(combinatorial library)内に存在する小分子が挙げられる。
【0015】 本発明のこれらの及び他の態様は、下記詳細な説明および添付図面を参照して
明らかになるであろう。本明細書に開示されるすべての引例は、それぞれを個々
に導入して完全な状態で参考によって取り入れられる。
【0016】 図面の簡単な説明 図1A〜1Dは、様々なIκB E3認識モチーフの存在下で及び不存在下で
行なわれるユビキチン化アッセイのSDS−PAGE分析の結果を示すオートラ
ジオグラムである。特記しない限り、基質は、リン酸化されかつNF−κB複合
体が会合した35S−標識された(labelled)、HA−標識(HA-tagged)IκBポリ
ペプチドであった。
【0017】 図1Aにおいて、レーン1は、32及び36番目の位置にアラニン残基を含む
IκBαポリペプチド(S32/36A;配列番号13)のユビキチン化を示し
、およびレーン2は、非リン酸化野生型IκBαポリペプチド(配列番号12)
のユビキチン化を示す。レーン3〜14において、ユビキチン化基質は、野生型
IκBα(配列番号12)であった。レーン3において、ユビキチン化はATP
の不存在下で行なわれ;さらに、レーン4〜14においては、反応は、IκB
E3認識モチーフまたは他のペプチドを用いて(レーン5〜14)または用いず
に(レーン4)、ATPγSの存在下で行なわれた。示されるこれらのペプチド
は以下のとおりである:400μM c−Fosホスホペプチド(ppFos(
配列番号10)、レーン5);400μM 32及び36番目のセリンをアラニ
ンに置換したIκBαペプチド(pp21S/A(配列番号11)、レーン6)
;40μM 2箇所リン酸化した(doubly phosphorylated)IκBαペプチド(
pp21(配列番号9)、レーン7);400μM 非リン酸化IκBαペプチ
ド(p21(配列番号9)、レーン8);100μM 1箇所リン酸化した(sin
gly phosphorylated)IκBαペプチド(pp32(配列番号9)、レーン9;
ppS36(配列番号9)、レーン10);および40μM より短い、2箇所
リン酸化した(doubly phosphorylated)IκBαペプチド(pp19(配列番号
8)、レーン11;pp15(配列番号7)、レーン12);pp11(配列番
号6)、レーン13;pp7(配列番号5)、レーン14)。
【0018】 図1Bにおいて、ユビキチン化基質は、遊離した野生型IκBα(配列番号1
2、レーン1〜3)または遊離したS32/36A置換IκBα(配列番号13
、レーン4〜6)であった。反応は、ATPγSの不存在下で(レーン1及び4
)または存在下で(レーン2、3、5及び6)行なわれた。40μMの2箇所リ
ン酸化したIκBαペプチド(pp21(配列番号9))をレーン3及び6に示
されるサンプルで結合(conjugation)反応混合物に添加した。
【0019】 図1Cには、HeLa抽出物中のバルク細胞タンパク質のユビキチン化が示さ
れる。レーン1はATPの不存在下でのユビキチン化を示し、レーン5はATP
の存在下でのユビキチン化を示す。レーン3〜5では、IκB E3認識モチー
フまたは他のペプチドが以下のように添加された:40μMの2箇所リン酸化し
たIκBαペプチド(pp21(配列番号9)、レーン2);400μM c−
Fosホスホペプチド(ppFos(配列番号10)、レーン3);および40
0μM 非リン酸化IκBαペプチド(p21(配列番号9)、レーン4)。
【0020】 図1Dでは、ユビキチン化基質は、リン酸化(レーン2〜7)または非リン酸
化(レーン1)野生型IκBβ(配列番号14)であった。反応は、ATPγS
の不存在下で(レーン2)または存在下で(レーン1、3〜7)、さらにIκB
E3認識モチーフまたは下記の他のペプチドを用いて(レーン4〜7)または
用いずに(レーン1〜3)行なわれた。示されるこれらのペプチドは以下のとお
りである:40μM 2箇所リン酸化したIκBαペプチド(pp21(配列番
号9)、レーン4);400μM c−Fosホスホペプチド(ppFos(配
列番号10)、レーン5);40μM 2箇所リン酸化したIκBαペプチド(
pp19(配列番号8)、レーン6);および400μM 非リン酸化IκBα
ペプチド(p21(配列番号9)、レーン7)。
【0021】 図2は、刺激されたHeLa細胞からの抽出物を用いて行なわれたインビトロ
のユビキチン依存性分解の結果を示すオートラジオグラムである。SDS−PA
GEの各レーンにおいて、分解アッセイ後のリン酸化(上のバンド)及び非リン
酸化(下のバンド)HA−標識IκBαポリペプチド(配列番号12)のレベル
が示される。レーン1は、ATPを使用せずに行なわれた分解アッセイ後のこれ
らのポリペプチドのレベルを示すものである。レーン2〜6では、ATPを反応
混合物中に含ませた。40μMの候補調節剤をレーン3〜6に示される反応に添
加した:2箇所リン酸化したIκBαペプチド(pp21(配列番号9)、レー
ン3);2箇所リン酸化したIκBαペプチド(pp19(配列番号8)、レー
ン4);c−Fosホスホペプチド(ppFos(配列番号10)、レーン5)
;および非リン酸化IκBαペプチド(p21(配列番号9)、レーン6)。
【0022】 図3Aは、調節剤カラムで分画されたHeLa細胞溶解産物のフロー−スリュ
ー(flow-through)フラクションを用いて行なわれたユビキチン化アッセイのSD
S−PAGE分析の結果を示すオートラジオグラムである。それぞれの場合で、
基質は、リン酸化されかつNF−κB複合体が会合した35S−標識された(label
led)、HA−標識(HA-tagged)IκBポリペプチド(配列番号12)であった。
レーン1は、非分画抽出物を用いたユビキチン化のレベルを示すものである。レ
ーン2〜9では、抽出物をペプチド−セファロース(登録)(SepharoseR)カラム
で分画した。使用したペプチドは以下の通りであった:c−Fosホスホペプチ
ド(ppFos(配列番号10)、レーン2);32、36番目のセリンをアラ
ニンに置換したIκBαポリペプチド(pp21S/A(配列番号11)、レー
ン3);2箇所リン酸化したIκBαペプチド(pp21(配列番号9)、レー
ン4〜6);および2箇所リン酸化したIκBαペプチド(pp19(配列番号
8)、レーン7〜9)。さらに、網状赤血球のフラクションII(160μg)
をレーン5及び8に示されるユビキチン化反応に加え、さらにフラクションI(
160μg)をレーン6及び9に示されるユビキチン化反応に加えた。
【0023】 図3Bは、HeLa細胞抽出物のバルク細胞タンパク質のユビキチン化を示す
オートラジオグラムである。レーン1はATPの不存在下でのユビキチン化を示
し、およびレーン2は候補調節剤を用いずにATPの存在下でのユビキチン化を
示す。レーン3〜6では、下記候補調節剤を添加した:40μM 2箇所リン酸
化したIκBαペプチド(pp19(配列番号8)、レーン3);400μM
c−Fosホスホペプチド(ppFos(配列番号10)、レーン4);400
μM 32、36番目のセリンをアラニンに置換したIκBαポリペプチド(p
p21S/A(配列番号11)、レーン5);および40μM 2箇所リン酸化
したIκBαペプチド(pp21(配列番号9)、レーン6)。
【0024】 図4A〜4Fは、核NF−κB転座への候補調節剤の効果を示す顕微鏡写真で
ある。図4A〜Cでは、pp21(図4A及び4B)またはppFos(図4C
)を、HeLa細胞の細胞質中にマイクロインジェクションした。次に、細胞を
TNFαで即座に活性化し、抗p65抗体で免疫処置した。図4D〜Fでは、p
p21(図4D)またはppFos(図4F)をヒトの血管内皮細胞(HUVE
C)の細胞質中に注入した。次に、細胞をTNFαで即座に活性化し、抗E−セ
レクチン(E-selectin)抗体で免疫処置した。図4Eは、図4Dの位相差写真であ
る。各顕微鏡写真において、注入された細胞は、大きな矢印で記される。注入さ
れないE−セレクチン(E-selectin)ネガティブ細胞は、図4D及び4Eにおいて
小さな矢印で記される。
【0025】 図4G及び4Hは、図4A〜4Fで示されるマイクロインジェクション実験の
要約を表わすグラフである。図4Gには、核p65染色を発揮するHeLa細胞
の割合(%)が示される。90個及び42個の細胞に、それぞれ、pp21及び
ppFosをマイクロインジェクションした。図4Hは、E−セレクチンを発揮
するHUVECの割合(%)を示す。160個及び36個の細胞に、それぞれ、
pp21及びppFosをマイクロインジェクションした。各グラフについて、
カラム1は、IκB E3認識モチーフまたは他のペプチド及びTNFα活性化
の不存在下でのレベルを示す。カラム2〜4は、ペプチドの不存在下での(カラ
ム2)またはpp21(カラム3)若しくはppFos(カラム4)の存在下で
のTNFα活性化後のレベルを示すものである。
【0026】 図5は、TNFαで活性化された細胞からのpIκBα会合ユビキチンリガー
ゼ活性の免疫沈降を示すウェスタンブロット分析の結果を示すオートラジオグラ
ムである。pIκBα/NF−κB複合体を、プロテアソームで阻害し、TNF
αで刺激されたまたは刺激されないHeLa細胞から免疫沈降し、これについて
ユビキチン、ATP−γS及び下記成分の添加時にインビトロのユビキチン化を
行なった:レーン1、UBC5C;レーン2、UBC5C及びE1;レーン3、
なし;レーン4〜6、示されるようなUBC5C及びE1;レーン7、UBC5
C、E1及びpIκBαペプチド;レーン8、UBC5C、E1及びセリンが置
換されたIκBαペプチド;レーン9、TNFαで刺激されたHeLa溶解産物
のサンプル。細胞刺激は、TNFα列で示される。単量体及びユビキチン結合I
κBαを、図の左、下部及び上部に記す。
【0027】 図6は、DSGLDS(配列番号8及び19)部位でのIκBαのIKK−リ
ン酸化後の、IκBα/NF−κB複合体とのユビキチンリガーゼの会合を示す
オートラジオグラムである。非活性化細胞から免疫精製された(immunopurified)35 Sで標識されたIκBα/NF−κB複合体を、IKK−2EE(上部に+で
記される)によってリン酸化され、E3源として非活性化HeLa溶解産物と共
にインキュベートされ、洗浄され、さらにATPγS、ユビキチン、E1、UB
C5C(排除された成分がAbst Ub-Enzで示される場合を除く)の存在下でのイ
ンビトロのユビキチン化を行なった。レーン2〜7はIKKによるリン酸化を示
す;レーン1及び3〜7はHeLa溶解産物によるインキュベーションの効果を
示す;レーン4では、pIκBαペプチドをHeLa溶解産物とのインキュベー
ション中に添加した;レーン5では、セリンが置換されたIκBαペプチドをH
eLaインキュベーション中に添加した;レーン6では、E1をユビキチン化段
階で使用しなかった;およびレーン7では、UBC5Cをユビキチン化中使用し
なかった。
【0028】 図7A及び7Bは、ユビキチンリガーゼ活性と関連するIκBα−結合タンパ
ク質の同定を示すものである。図7Aは、IκBα/NF−κB及び関連タンパ
ク質を含む免疫精製された(immunopurified)フラクションのSDS−ポリアクリ
ルアミドゲルサンプルのコロイドブルー染色(Colloidal Blue staining)を示す
写真である。IκBα/NF−κB複合体を、IKK−2EEでリン酸化し(レ
ーン2、3)または擬似的にリン酸化し(mock-phosphorylated)、これを用いて
HeLa溶解産物由来のユビキチンリガーゼを吸着した(レーン1、2)。分子
量マーカー(κD)を右側に示す。質量分析によって同定されたタンパク質を左
側に示す。ユビキチンリガーゼ活性(p54及びp58)と関連するバンドに相
当するゲル部分を括弧で左側に記す。図7Bは、35Sで標識されたHeLa細胞
由来のpIκBα/NF−κB上に吸着されたタンパク質のオートラジオグラム
である。放射線標識されたHeLa溶解産物をIKK−リン酸化抗体が固定化さ
れたIκBα/NF−κB複合体と共にインキュベートした。次に、この免疫複
合体を洗浄、溶出して、SDS−PAGE及びオートラジオグラフィで分析した
。レーン1は、HeLa溶解産物とインキュベートされた非リン酸化IκBα/
NF−κB複合体を示し;レーン2〜4は、IκBα−ペプチドの不存在下で(
レーン2)若しくは存在下で(レーン3)またはセリンが置換されたIκBα−
ペプチドの存在下で(レーン4)HeLa溶解産物とインキュベートされたリン
酸化IκBα/NF−κB複合体を示す。分子量マーカー(κD)、Rel A
及びIκBαバンドが左側に示される;4種のpIκBα−会合バンドが右側に
示され、これらのうち3種はpIκBαペプチドで置換された(矢印)。
【0029】 図8A〜8Dは、ユビキチンリガーゼ会合p54の質量スペクトル分析の結果
を示すものである。図8Aは、リガーゼポジティブレーン(図7Bのレーン2に
等しい)から切り出された54κDのゲルバンドからの未分離のトリプシンペプ
チド(trypic peptide)混合物のナノエレクトロスプレー(nanoelectrospray)質量
スペクトルを示すものである。矢印で示されるピークはフラグメント化され、β
−TrCP由来のペプチドとして同定された。横棒はCで拡大された領域を示す
。図8B及び8Cは、ユビキチンリガーゼ活性と関連する(C)及び関連しない
(B)54κDバンドのナノエレクトロスプレー(nanoelectrospray)スペクトル
の比較を表わすものである。m/z 714.38でのペプチドは配列決定用に
選択された。図8Dは、図8Cで同定されたペプチドの断片化スペクトルである
。配列タグは、一連の2重に荷電された断片イオンから集められ、マッチングパ
ターン用のnrdbデータベースで調査された。読み出されたβ−TrCP配列
:AAVNVVDFDDKYIVSASGDR(配列番号20)について算出さ
れた断片の質量を、完全な断片化スペクトルと比較したところ、一致が確認され
た。予想された断片イオンと一致するピークを丸で記す。
【0030】 図9A及び9Bは、ヒトのE3ユビキチンリガーゼ(配列番号15)をコード
化するポリヌクレオチドの配列を表わすものである。
【0031】 図10は、ヒトのE3ユビキチンリガーゼのタンパク質配列(配列番号16)
を表わすものである。
【0032】 図11A〜11Cは、E3ユビキチンリガーゼ群のものの結合及びユビキチン
化特異性を示すウェスタンブロットである。これらの図において、mβ−TrC
Pはマウスのβ−TrCPを示し、hβ−TrCPはヒトのβ−TrCPを示し
、Δβ−TrCPはFボックス領域が欠損したヒトのβ−TrCPを示し、Sl
imbはドロソフィラ スライム(Drosophila Slimb)タンパク質を示すものであ
る。図11Aは、pIκBαへの選択的な結合を示すものである。タンパク質は
、トランスフェクトされた293T細胞由来のFLAGエピトープを介して免疫
沈降され、予め示されるように処置された(−/+IKK)、免疫精製された(i
mmunopurified)IκBα/NF−κB複合体と共にインキュベートされ、さらに
結合材料は示された抗体によるウェスタンブロッティングによって分析された。
上部のパネルは特異的なpIκBα結合を示す;真中のパネルは基質のフロー−
スリュー(flow-through)の10%を示す;下部のパネルは免疫沈降されたタンパ
ク質のブロットである;および分子量のサイズマーカー(kD)を左側に示す。
図11Bは、β−TrCP−pIκBα結合が、関連した非リン酸化ペプチド(
pS/A)によってではなく、pIκBα分解モチーフ(pp10)を表示する
ホスホペプチドによって阻害されることを示す。図11Cは、E3群のもののタ
ンパク質によるpIκBαのインビトロのユビキチン化を示すものである。免疫
精製されたFLAG−標識タンパク質を、35Sで標識されたIκBα/NF−κ
B複合体と共にインキュベートし、示されるように処置され(−/+IKK)、
さらにATPγS、ユビキチン、E1、UBC5Cの存在下でユビキチン化を行
なった。IκBα基質(全長及び2種の分解産物から構成される)、pIκBα
−ポリユビキチン結合体及び分子量サイズマーカーを左側に示す。
【0033】 図12A及び12Bは、Δβ−TrCP、優性のネガティブ分子の過剰発現に
よるIκBα分解及びNF−κB活性化の阻害を示すものである。図12Aは、
κB−Lucレポータープラスミド及び示される発現ベクター(即ち、左から右
方向に、ベクター単独、ヒトのβ−TrCPをコード化するベクター、Fボック
ス領域が欠損したヒトのβ−TrCPをコード化するベクター及びドロソフィラ
スライム(Drosophila Slimb)タンパク質をコード化するベクター)がトランス
フェクションされたP/I−刺激ジャーカット細胞(Jurkat cell)におけるκB−
依存性ルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。NF−κB活性は相
対的な(倍)ルシフェラーゼ活性として示され、この際、刺激されなかった空の
FLAGベクターを対照(1倍)とした。図12Bは、空のFLAGベクターま
たはΔβ−TrCPがトランスフェクションされたホルボールエステル(phorbol
-ester)及びCa++イオノホア[P/I]−刺激及び非刺激ジャーカット細胞(Ju
rkat cell)のIκBαのウェスタンブロット分析を結果を示すものである。刺激
後の間隔(分)を示す。
【0034】 発明の詳細な説明 上述したように、本発明は、一般的に、核因子κB(nuclear factor κB)(N
F−κB)の活性化を調節するのにおよびこのような活性化に関連する病気を処
置するのに有用である組成物及び方法に関するものである。特に、本発明は、リ
ン酸化IκB(即ち、IκBαおよび/またはIκBβ)のユビキチン化を調節
する薬剤に関するものである。このようなユビキチン化により、NF−κBの放
出及び活性化が生じる。
【0035】 本発明は、部分的に、リン酸化されかつNF−κBと会合するIκBを認識す
るヒトのE3ユビキチンリガーゼの同定及び特徴付けに基づくものである。この
E3ユビキチンリガーゼ、さらにはこの一部及び他の変異体からなるポリペプチ
ドは、インビトロでまたは患者のNF−κB活性を調節するのに使用される。こ
のようなポリペプチドはまた、例えば、NF−κB活性を調節する、および異常
なNF−κB活性化に関連する疾患を処置するのに使用される薬剤(小分子など
)を同定するのにも使用される。
【0036】 ヒトのE3ユビキチンリガーゼポリペプチドおよびポリヌクレオチド 本発明の明細書において、54kDタンパク質として移動するヒトのE3ユビ
キチンリガーゼは、リン酸化IκBα(リン酸化IκBαはまた本明細書中では
pIκBαとも称される)に結合し、このpIκBαのユビキチン化を促進する
ことが分かった。ヒトのE3ユビキチンリガーゼをコード化するポリヌクレオチ
ドの配列は、図9及び配列番号15に提供される;さらに、全長のヒトのE3ユ
ビキチンリガーゼのタンパク質配列は、図10及び配列番号16に提供される。
ヒトのE3ユビキチンリガーゼはまた、本発明の明細書において、β−TrCP
(Margottin et al., Mol. Cell 1:565-574, 1998)及びドロソフィラ スライム(
Drosophila Slimb)タンパク質(Jiang and Struhl, Nature 391:493-496, 1998を
参照)を含むFボックス/WDタンパク質の群の一員であることが分かった。下
記により詳細に説明するが、この群の他のものはE3の特定の性質を共有し、こ
のようなタンパク質及びこれらの変異体はE3について本明細書中に提供される
ある方法中で使用されてもよい。
【0037】 本発明に包含されるヒトのE3ユビキチンリガーゼポリペプチドとしては、天
然のヒトのE3ユビキチンリガーゼ(本明細書では、「E3」とも称する)、さ
らにはこの一部及び変異体が挙げられる。E3の変異体は、変異体が本明細書に
記載されるようにIκBポリペプチドに結合してこのポリペプチドのユビキチン
化を促進する限り、本明細書に記載されるように、一以上のアミノ酸の置換、欠
失、付加および/または挿入により天然のE3とは配列が異なるものであっても
よい。好ましくは、E3の変異体は、配列番号16に列挙される残基の、20%
以下の、好ましくは15%以下の、より好ましくは10%以下のアミノ酸置換を
含む。変異体としてはさらに、切断(truncated)ポリペプチド及びポリペプチド
の活性に最小限の影響を与えるさらなるアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げ
られる。ヒトのE3ユビキチンリガーゼポリペプチドは、列挙される性質を保持
する限り、いずれの長さであってもよい。換言すると、このようなポリペプチド
は、オリゴペプチド(即ち、ペプチド結合によって結合した、8〜10残基等の
、比較的少数のアミノ酸残基から構成される)、全長のタンパク質(若しくはそ
の変異体)または中間の大きさのポリペプチド(例えば、20、50、200若
しくは400アミノ酸残基)であってもよい。
【0038】 特定の変異体としては、同類置換を含むものがある。「同類置換」は、アミノ
酸が同様の性質を有する他のアミノ酸に置換されるものであり、この際、ペプチ
ド化学の分野における当業者は実質的に変化のないポリペプチドの二次構造及び
水治療性質(hydropathic nature)を実質的に変化させないことを予想できるであ
ろう。アミノ酸置換は、通常、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性およ
び/または両親媒性が同等であることに基づいてなされる。例えば、ネガティブ
に荷電されたアミノ酸としては、アスパラギン酸及びグルタミン酸があり;ポジ
ティブに荷電されたアミノ酸としては、リシン及びアルギニンがあり;さらに、
同等の親水性値を有する非荷電の極性ヘッド基を有するアミノ酸としては、ロイ
シン、イソロイシン及びバリン;グリシン及びアラニン;アスパラギン及びグル
タミン;ならびにセリン、トレオニン、フェニルアラニン及びチロシンがある。
保守的変更を表わすアミノ酸の他の基としては、(1)ala、pro、gly
、glu、asp、gln、asn、ser、thr;(2)cys、ser、
tyr、thr;(3)val、ile、leu、met、ala、phe;(
4)lys、arg、his;および(5)phe、tyr、trp、his。
変異体はまた、あるいはこれに代えて、非保守的変更を有するものであってもよ
い。変異体はまた(あるいはこれに代えて)、例えば、ポリペプチドの免疫原性
、二次構造及び水治療性(hydropathic nature)に最小限の影響を与えるアミノ酸
の欠失または付加によって、修飾されてもよい。
【0039】 上述したように、特定のE3ポリペプチドは、アミノおよび/またはカルボキ
シ末端にさらなるアミノ酸配列を含むものであってもよい。例えば、E3配列が
、タンパク質の転移を翻訳と同時に(co-translationally)または翻訳後に行なう
タンパク質のN末端にシグナル(またはリーダー)配列に結合されてもよい。ポ
リペプチドはまた、あるいはこれに代えて、ポリペプチド(例えば、ポリ−Hi
s)の合成、精製または同定を容易にするために、または固体支持体へのポリペ
プチドの結合を促進するためにリンカーまたは他の配列に結合されてもよい。例
えば、ポリペプチドは免疫グロブリンFc領域に結合されてもよい。
【0040】 E3ポリペプチドのリン酸化IκBへの結合能は、当該分野における通常の知
識を有するものに既知の結合アッセイを用いて容易に測定される。例えば、pI
κBα/NF−κB複合体を、固定化E3ポリペプチドと共にインキュベートし
、IκBα結合レベルを抗IκBα抗体を(例えば、ウェスタンブロットに)用
いて評価してもよい。このようなアッセイでは、E3ポリペプチドはIκBαに
検出可能で結合しなければならない;好ましくは、E3ポリペプチドは、天然の
ヒトのE3に対して実質的に減少しないレベルで結合する。換言すると、変異体
のリン酸化及び複合化IκBαへの検出可能な状態での結合能は、天然のポリペ
プチドに対して、促進されても若しくは変化がなくてもよく、または天然のポリ
ペプチドに対して、50%未満、好ましくは20%未満で減少してもよい。他の
適当な基質がこのようなアッセイにおいてpIκBα/NF−κB複合体の代わ
りに使用されてもよいことは明らかである。
【0041】 E3ポリペプチドのリン酸化IκBのユビキチン化の促進能は、本明細書中に
記載されるように、ATPγS、ユビキチンE1及びユビキチンE2に加えて、
pIκBα/NF−κB複合体と共にポリペプチドをインキュベートし、IκB
αに特異的な抗体を用いたウェスタンブロットによってゆっくり移動するIκB
α−ユビキチン結合体を検出することによって評価される。通常、E3ポリペプ
チドにより、このようなアッセイにおいてユビキチンの検出可能なレベルを生じ
る;好ましくは、ユビキチンのレベルは、同量の天然のヒトのE3によって生じ
るユビキチンのレベルに対して実質的に減少しない。
【0042】 リン酸化IκBへの結合能を保持するが、IκBのユビキチン化の促進能を保
持しないE3の一部または他の変異体からなるポリペプチドペプチドもまた、本
発明に包含される。このようなポリペプチドは、本明細書中で提供される結合ア
ッセイ及びユビキチン化アッセイを用いて容易に同定され、IκBのユビキチン
化を阻害するのに一般的に使用される。このようなポリペプチドとしては、その
Fボックス領域(即ち、ユビキチンカスケードの1以上の成分と相互作用するタ
ンパク質の領域)が既に検出されたものが挙げられる。Fボックス領域は、通常
、機能により(即ち、Fボックス領域の欠失により、末端を切断してユビキチン
機構部(machinery)の適当な成分を漸増する(recruit)タンパク質が得られる)及
びFボックス領域の共通配列(Patton et al., Trends in Genet. 14:236-243, 1
998を参照)の存在に基づいて同定される。このようなポリペプチドによっては、
配列番号16の122〜168番目のアミノ酸の欠失を含む。特定の実施態様に
おいては、E3の一部は、配列番号16に列挙される配列の10〜374番目の
連続したアミノ酸残基、好ましくは50〜250番目の連続したアミノ酸残基か
らなる。
【0043】 本発明はさらに、本明細書中に提供されるE3ポリペプチドをコード化するポ
リヌクレオチドを提供するものである。このようなポリペプチド、または本明細
書中に記載されるようなこの一部若しくは変異体をコード化するポリヌクレオチ
ドが本発明に包含される。このようなポリヌクレオチドは、1本鎖(コーディン
グ若しくはアンチセンス)または2本鎖であってもよく、DNA(ゲノム、cD
NA若しくは合成)またはRNA分子であってもよい。さらなるコーディングま
たは非コーディング配列は、必ずしも必要ではないものの、本発明のポリヌクレ
オチド内に存在してもよく、ポリヌクレオチドは、必ずしも必要ではないものの
、他の分子および/または支持材料に連結してもよい。
【0044】 ヒトのE3、またはこの一部をコード化する天然のDNA配列は、当該分野に
おける通常の知識を有するものには既知である、様々なハイブリダイゼーション
または増幅技術を用いて単離される。このような技術において、プローブまたは
プライマーは、本明細書で提供されるE3配列に基づいて設計されてもよく、購
入または合成されてもよい。適当な組織からのライブラリーをスクリーニングし
てもよい。次に、増幅された部分または部分的なcDNA分子を用いて、既知の
技術を用いて、ゲノムDNAライブラリーからまたはcDNAライブラリーから
全長の遺伝子を単離してもよい。または、全長の遺伝子を、複数のPCR断片か
ら構築してもよい。このような配列を有する部分的な及び全長のポリヌクレオチ
ド、全長のポリヌクレオチドの他の部分、およびこのような全長の分子のすべて
または一部に相補的な配列は、特に本発明に包含されるものである。さらに、他
の種由来の同族体は特に包含され、通常、本明細書に記載されるのと同様にして
調製される。
【0045】 列挙された配列を有するポリヌクレオチド変異体は、1以上の置換、欠失、挿
入および/または付加で天然のE3ポリペプチドと異なってもよい。好ましい変
異体は、ヌクレオチド位置の20%以下、好ましくは10%以下のヌクレオチド
の置換、欠失、挿入および/または付加を含む。特定の変異体は、天然の遺伝子
、またはこの一部若しくは補体と実質的に相同性を有する。このようなポリヌク
レオチドの変異体は、E3タンパク質(または相補的な配列)をコード化する天
然に発生するDNA配列に適度にストリンジェントな条件下でハイブリッド形成
できる。適当な適度にストリンジェントな条件とは、5×SSC、0.5%SD
S、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中で予め洗浄し;50℃〜65
℃で、5×SSCで一晩ハイブリッド形成した後;2×、5×及び0.2×の0
.1%SDSを含むSSCのそれぞれで20分間、65℃で2回ずつ洗浄するこ
とからなる。このようなハイブリッド形成DNA配列もまた本発明の概念に含ま
れる。
【0046】 遺伝暗号の縮重の結果、本明細書中に記載されるポリペプチドをコード化する
多くのヌクレオチド配列が存在することは、当該分野における通常の知識を有す
るものに考えられるであろう。これらのポリヌクレオチドによっては天然の遺伝
子のヌクレオチド配列に対して最小限の相同性を有するものもある。にもかかわ
らず、コドンの使用の相違により異なるポリヌクレオチドは特に本発明に包含さ
れる。
【0047】 上述したように、本発明はさらに、アンチセンスポリヌクレオチド及び上記い
ずれかの配列の一部を提供するものである。このようなポリヌクレオチドは、通
常、例えば、固相ホスホルアミダイト化学合成(phosphoramidite chemical synt
hesis)等の当該分野で既知の方法によって調製される。または、RNA分子は、
適当なRNAポリメラーゼプロモーター(T3、T7またはSP6など)を下流
に有するベクター中に組み入れられるDNA配列のインビトロまたはインビボの
転写によって得てもよい。ポリヌクレオチドの特定の一部を用いて、本明細書中
に記載されるような、コード化されたポリペプチドを調製してもよい。これに加
えて、またはこれの代わりに、一部がプローブ(例えば、サンプル中のE3発現
を検出するための)として機能してもよく、放射性核種、蛍光色素及び酵素等の
、様々なレポーター基によって標識されてもよい。このような一部は、好ましく
は少なくとも10ヌクレオチド長、より好ましくは少なくとも20ヌクレオチド
長である。特定の好ましい実施態様においては、プローブとして使用される一部
がE3遺伝子に独特である配列を有する。コーディング配列に相補的である配列
(即ち、アンチセンスポリヌクレオチド)の一部もまたプローブとしてまたは遺
伝子の発現を調節するのに使用されてもよい。アンチセンスRNAに転写されう
るDNA構築物を、アンチセンスRNAの製造を容易にするために細胞または組
織中に導入してもよい。
【0048】 ポリヌクレオチドはさらにインビボの安定性を増すために修飾されてもよい。
可能な修飾としては、以下に制限されるものではないが、5’および/または3
’末端でのフランキング配列の付加;主鎖におけるホスホジエステラーゼではな
いホスホロチオエートまたは2’O−メチル結合の使用;および/またはイノシ
ン、クエオシン(queosine)及びワイブトシン(wybutosine)、さらにはアセチル−
、メチル−、チオ−及び他の修飾形態のアデニン、シチジン、グアニン、チミジ
ン及びウリジンなどの非伝承性の塩基の混入(inclusion)が挙げられる。
【0049】 本明細書中に記載されるポリヌクレオチドは、確立された組換DNA技術を用
いて様々な他のヌクレオチド配列に結合させてもよい。例えば、ポリヌクレオチ
ドを、プラスミド、ファージミド、ラムダファージ誘導体及びコスミドなどの、
様々なクローニングベクターのいずれかにクローニングしてもよい。特に有用な
ベクターとしては、発現ベクター、複製ベクター、プローブ形成ベクター(probe
generation vector)及び配列決定用ベクター(sequencing vector)が挙げられる
。通常、ベクターは、少なくとも一の有機体で機能する複製のオリジン、簡便な
制限エンドヌクレアーゼ部位及び一以上の選択マーカーを含むであろう。例えば
、簡単に発現するベクターの構築を容易にするさらなる開始、終結および/また
は介在DNA配列を存在させてもよい。適当なベクターは、市販により得てもあ
るいは当該分野において既知の方法によって記載される配列から組み立ててもよ
い。ベクター中に存在してもよい他の要素は所望の用途によって異なるであろう
し、また、当該分野における通常の知識を有するものには明らかであろう。
【0050】 本明細書中に記載されるベクターは、通常、当該分野における既知の方法によ
って、哺乳動物細胞等の、適当な宿主細胞中にトランスフェクトされる。このよ
うな方法としては、リン酸カルシウム沈降、エレクトロポレーション及びマイク
ロインジェクションが挙げられる。
【0051】 E3ポリペプチドは、通常、標準的な自動合成技術を用いてまたは所望のポリ
ペプチドをコード化する組換DNAの発現によって調製される。通常、ペプチド
は、アミノ酸および/またはアミノ酸類似体を導入する、標準的な技術を用いて
合成により調製される。合成中は、アミノ酸および/またはアミノ酸類似体の活
性基は、必要であれば、例えば、t−ブチルジカルボネート(t−BOC)基ま
たはフルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)基を用いて保護されてもよい
。アミノ酸およびアミノ酸類似体は、市販により(例えば、シグマケミカルカン
パニー(Sigma Chemical Co.);アドバンストケムテック(Advanced Chemtec))購
入されてもあるいは当該分野において既知の方法を用いて合成されてもよい。ペ
プチドは、ペプチドを、すべて市販されている、4−メチルベンズヒドリルアミ
ン(MBHA)、4−(オキシメチル)−フェニルアセトアミドメチル−及び4
−(ヒドロキシメチル)フェノキシメチル−コポリ(スチレン−1%ジビニルベ
ンゼン)(ワング樹脂(Wang resin))等の樹脂に、またはDe Grado and Kaiser,
J. Org. Chem. 47:3258, 1982に記載されるのと同様にして合成できるp−ニト
ロベンゾフェノンオキシムポリマー(オキシム樹脂)に結合させる、固相法を用
いて合成されてもよい。当業者は、アミノ酸および/またはアミノ酸類似体の選
択は、部分的に、所望の物理的、化学的または生物的特性に依存するであろうこ
とを気付くであろう。このような特性は、一部、投与方法及び患者内での標的位
置によって決定される。
【0052】 ペプチドの反応性基の選択的な修飾はまた、所望の特性を付与できる。ペプチ
ドを樹脂に結合させたまま操作して、アセチル化ペプチド等のN−末端が修飾さ
れた化合物を得ることもでき、またはフッ化水素若しくは同等の切断剤を用いて
樹脂から除去した後修飾してもよい。C−末端カルボキシ基を含む合成化合物(
ワング樹脂(Wang resin))を、樹脂から切断した後、または場合によっては、液
相合成(solution phase synthesis)前に、修飾してもよい。ペプチドのN−末端
またはC−末端の修飾方法は当該分野において既知であり、例えば、N−末端の
アセチル化またはC−末端のアミド化方法が挙げられる。同様にしてアミノ酸お
よび/またはアミノ酸類似体の側鎖の修飾方法は、ペプチド合成の分野における
当業者には既知である。ペプチドに存在する反応性基になされる修飾方法の選択
は、所望の特性によって決定されるであろう。
【0053】 E3ポリペプチドはまた環状ペプチドであってもよい。環状ペプチドは、例え
ば、ペプチドのN−末端のアミノ基及びC−末端のカルボキシル基間の共有結合
の形成を誘導することによって得ることができる。または、環状ペプチドは、末
端の反応性基及び反応性のアミノ酸側鎖間のまたは2種の反応性側鎖間の共有結
合を形成することによって得ることができる。環状ペプチドは所望の性質に従っ
て選択されることは当業者には明らかであろう。例えば、環状ペプチドによって
、安定性の増加、溶解度の増加、免疫原性の減少またはインビボのクリアランス
の減少が得られる。
【0054】 新たに合成されたペプチドは、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HP
LC)または大きさ若しくはチャージによる他の分離方法などの方法を用いて精
製できる。さらに、精製されたペプチドは、アミノ酸分析や質量分析等の上記及
び他の既知の方法を用いて特徴が明らかにできる。
【0055】 または、ポリペプチドは、通常、既知の技術を用いて所望のポリペプチドをコ
ードする核酸から調製されてもよい。内因性タンパク質を調製するために、単離
されたcDNAを使用してもよい。変異ポリペプチドを調製するために、オリゴ
ヌクレオチドの特定部位の突然変異誘発(oligonucleotide-directed site-speci
fic mutagenesis)等の、標準的な突然変異誘発技術が使用され、さらにDNA配
列のセクションを除去することによって、切断された(truncated)ポリペプチド
が調製されてもよい。
【0056】 通常、当該分野における通常の知識を有するものに既知の様々な発現ベクター
を用いて、本発明の組換ポリペプチドを発現してもよい。発現は、組換ポリペプ
チドをコード化するDNA配列を含む発現ベクターで形質転換されたまたはトラ
ンスフェクションされた適当な宿主細胞中で達成される。適当な宿主細胞として
は、原核生物、酵母、バキュロウイルスで感染させた昆虫細胞及び動物細胞が挙
げられる。発現後、培養液中に組換タンパク質またはポリペプチドを分泌する宿
主/ベクターシステムからの上清をまず市販のフィルターを用いて濃縮する。濃
縮後、濃縮液を、アフィニティマトリックス等の適当な精製用マトリックスまた
はイオン交換樹脂にのせてもよい。1以上の逆相HPLC段階を用いることによ
り、組換ポリペプチドをさらに精製することができる。
【0057】 通常、本明細書中に記載されるポリペプチド及びポリヌクレオチドは単離され
る。「単離された」ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、その本来の環境か
ら除去されるものである。例えば、天然に生じるタンパク質は、天然のシステム
において一緒に存在する材料のいくつかまたはすべてから分離されると、単離さ
れる。好ましくは、本明細書で提供されるポリペプチドは、少なくとも80重量
%の純度にまで、より好ましくは少なくとも95重量%の純度にまで、最も好ま
しくは少なくとも99重量%の純度にまで単離される。通常、このような精製は
、例えば、硫酸アンモニウム分画、SDS−PAGE電気泳動、及びアフィニテ
ィクロマトグラフィーを用いて達成される。ポリヌクレオチドは、例えば、天然
の環境の一部でないベクター中にクローニングされると、単離されたと考えられ
る。
【0058】 抗体 本発明はさらに、E3ポリペプチドに特異的に結合する、抗体、およびこの抗
原結合断片を提供するものである。本明細書で使用される、抗体、または抗原結
合断片は、ポリペプチドと検出可能なレベル(例えば、ELISAで)で反応し
、関連しないタンパク質とは検出上は反応しない場合には、ポリペプチドに「特
異的に結合する」と称される。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルで
あってもよい。好ましい抗体としては、E3活性を阻害または遮断しかつ本明細
書中に記載されるユビキチン化アッセイにおける上記抗体がある。他の好ましい
抗体(例えば、イムノキナーゼアッセイに使用される)としては、本明細書中で
提供されるアッセイ等の、標準的なアッセイを用いて測定される場合の、活性E
3を免疫沈降するものがある。
【0059】 抗体は、当該分野における通常の知識を有するものに既知の様々な技術によっ
て調製される(例えば、Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual,
Cold Spring Harbor Laboratory, 1988を参照)。このような一技術においては、
ポリペプチドを含む免疫原を、好ましくは一以上の追加免疫処置を含む所定のス
ケジュールに従って、まず適当な動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツ
ジ及びヤギ)に注射し、動物を定期的に飼育する。次に、ポリペプチドに特異的
なポリクローナル抗体を、例えば、適当な固体支持体にカップリングされたポリ
ペプチドを用いたアフィニティクロマトグラフィーによって、このような抗血清
から精製される。
【0060】 モノクローナル抗体は、例えば、Kohler and Milstein, Eur. J. Immunol. 6:
511-519, 1976の技術、及びこれの改良方法を用いて調製される。簡単にいうと
、これらの方法は、所望の特異性(即ち、有用なポリペプチドとの反応性)を有
する抗体を産生できる不死の(immortal)細胞系の調製に関わる。このような細胞
系は、例えば、上記したようにして免疫処置された動物から得られた脾細胞から
生産される。次に、脾細胞は、例えば、ミエローマ細胞融合パートナー、好まし
くは免疫処置された動物と同系であるものとの融合によって、不死化する(immor
talize)。例えば、脾細胞及びミエローマ細胞を、数分間、非イオン性界面活性
剤と共に合わせた後、ミエローマ細胞ではなく、ハイブリッド細胞の成長を支持
する選択培地に低密度で播種する。好ましい選択技術は、HAT(ヒポキサンチ
ン、アミノプテリン、チミジン)選択を使用するものである。十分な時間、一般
的には1〜2週間、経過後に、ハイブリッドのコロニーが観察される。単一のコ
ロニーを選択して、これについてポリペプチドに対する結合活性を試験する。高
い反応性及び特異性を有するハイブリドーマが好ましい。
【0061】 モノクローナル抗体は、生育したハイブリドーマコロニーの上清から単離され
る。加えて、マウス等の、適当な脊椎動物宿主の腹腔中にハイブリドーマ細胞系
を注射するなどの、様々な技術が、収率を促進するのに使用される。次に、モノ
クローナル抗体は、腹水または血液から集められる。コンタミは、クロマトグラ
フィー、ゲル瀘過、沈降、及び抽出などの、公知の技術によって抗体から除去さ
れる。
【0062】 特定に実施態様においては、抗体の抗原結合断片の使用が好ましい。このよう
な断片としては、Fab断片があり、これは標準的な技術を用いて調製される。
簡潔には、免疫グロブリンを、プロテインAビーズカラムによるアフィニティク
ロマトグラフィーによってウサギの血清から精製し(Harlow and Lane, Antibodi
es: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)、これをパ
パインで消化して、Fab及びFc断片を得る。Fab及びFc断片は、例えば
、プロテインAビーズカラムによるアフィニティクロマトグラフィーによって分
離される。
【0063】 ユビキチン化アッセイ 上述したように、E3ポリペプチドのリン酸化IκBのユビキチン化の調節能
は、ATPγS、ユビキチンE1及びユビキチンE2に加えて、IκBα/NF
−κB複合体(または他の適当な基質)と共にポリペプチドをインキュベートし
、例えば、IκBαに特異的な抗体を用いたウェスタンブロットによってIκB
α−ユビキチン結合体を検出することによって評価される。本明細書中に記載さ
れるようなユビキチン化アッセイに使用されるIκBポリペプチドは、天然のヒ
トのIκBα(配列番号1)若しくはIκBβ(配列番号3)であってもよく、
または天然のタンパク質の変異体であってもよい。IκBのポリペプチド変異体
は、通常、本明細書中に記載されるような変異体のユビキチン化アッセイにおけ
るリン酸化及びユビキチン化能が実質的に減少しないように修飾される。IκB
ポリペプチドは標識されてもよい。例えば、35Sを、標準的な技術を用いて、35 S−メチオニンの存在下でポリペプチドのインビトロ翻訳によってIκBポリペ
プチド中に導入してもよい。
【0064】 IκBポリペプチドは、通常、培養宿主細胞におけるDNAの発現によってま
たは小麦胚抽出物等のインビトロシステムを用いた翻訳によってポリペプチドを
コード化するDNAから調製される。宿主細胞を使用する際には、このような細
胞は細菌、酵母、バキュロウイルスで感染させた昆虫細胞または動物細胞である
ことが好ましい。組換DNAは、当該分野における通常の知識を有するものに既
知の技術を用いて、宿主細胞内で使用されるのに適当な発現ベクター中にクロー
ニングされる。ポリペプチドのインビトロ翻訳は、通常、製造社の指示に従って
製造される。
【0065】 発現させたIκBポリペプチドは、インビトロ翻訳後は精製せずに使用しても
よい。または、ポリペプチドを実質的に純粋な形態で単離してもよい。IκBポ
リペプチドは、少なくとも80重量%の純度にまで、好ましくは少なくとも95
重量%の純度にまで、より好ましくは少なくとも99重量%の純度にまで単離さ
れてもよい。通常、このような精製は、例えば、本明細書中に記載される代表的
な精製方法または硫酸アンモニウム分画、SDS−PAGE電気泳動、及びアフ
ィニティクロマトグラフィーの標準的な技術を用いて達成される。
【0066】 特定のユビキチン化アッセイは、E3活性を有する調節因子の特徴を明らかに
するために細胞性のE3を使用する。このようなアッセイでは、刺激を受けたま
たは刺激を受けないジャーカット(Jurkat)、HeLa、THP−1または内皮細
胞からの細胞抽出物を、ATP及びホスファターゼ阻害剤であるオカダイックア
シッド(okadaic acid)の存在下でIκBポリペプチドと共にインビトロでインキ
ュベートする。細胞抽出物は、通常、Alkalay et al., Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 92:10599, 1995の方法に従って調製される。インキュベーションは、Iκ
Bポリペプチドのリン酸化(IκBα及びその変異体では32及び36番目のセ
リンでのならびにこの変異体)および細胞性の誘導されたNF−κB複合体との
リン酸化ポリペプチド(pIκB)の会合を生じるのに十分な条件下で行なわれ
る。例えば、IκBポリペプチドをHeLaまたはジャーカット細胞抽出物、A
TP及びオカダイックアシッド(okadaic acid)と共にインキュベートする。30
℃で90分間のインキュベーションが、通常、IκBポリペプチドのリン酸化を
するのに十分である。このインキュベーション後、pIκBα/NF−κB複合
体を、Alkalay et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:10599, 1995に記載さ
れるようにして、例えば、抗p65抗体で免疫精製し、細胞を含まないシステム
でインビトロのユビキチン化を行なう。次に、ユビキチン化のレベルは、オート
ラジオグラフィ後に、SDS−PAGEの既知の技術を用いて評価される。
【0067】 これらの条件下で、野生型の35S−pIκBαポリペプチドは、ATPγSの
存在下で複数のユビキチン化物質を生成する(図1A、レーン4を参照)。Iκ
Bαの35Sで標識されたS32/36A変異体(レーン1)も非リン酸化野生型
35S−IκBα(レーン2)もユビキチン化されない。しかしながら、遊離形
態の変異体または野生型のIκBαは容易に結合する(図1B)。同様にして、
IκBαの遊離(しかし、複合体と会合しない)リシン21、22変異体は、イ
ンビトロでユビキチン化されうる。ゆえに、遊離IκBポリペプチドを用いて行
なわれるユビキチン化アッセイとは異なり、本明細書で提供されるユビキチン化
アッセイは、複合体を会合し、適当にリン酸化されるIκBポリペプチドのみを
標的とする。
【0068】 本明細書中に記載されるユビキチン化アッセイは、IκBのユビキチン化を調
節する物質の同定に使用される。調節剤としては、抗体(例えば、モノクローナ
ル)、ペプチド、小分子(例えば、コンビナトリアルライブラリー由来)及びI
κBαおよび/またはIκBβポリペプチドのユビキチン化を刺激する、または
好ましくは阻害する他の薬剤が挙げられる。通常、このような薬剤は、上記した
ようにして行なわれてもよいが、候補調節剤をユビキチン化反応に含ませ、ユビ
キチン化のレベルに関する薬剤の効果を評価することによって同定される。この
ようなアッセイに使用される候補薬剤の適当な濃度は、通常、約0.1μM〜約
1mMの範囲である。ペプチドの候補薬剤では、ベスタチン(40μg/mL)
等のペプチド阻害剤を添加してもよく、ペプチドの量は約10μM〜約1mMの
範囲であることが好ましい。ユビキチン化のレベルに統計学的に有意な効果をも
たらす候補薬剤は、本発明に包含される調節剤である。
【0069】 薬剤はさらに、適当な細胞(例えば、HeLa細胞またはヒトの血管内皮初代
細胞)中に薬剤(例えば、約5mg/mLのペプチド薬剤)をマイクロインジェ
クションすることによって評価されてもよい。マイクロインジェクション後、細
胞を(例えば、TNFαで)刺激し、インキュベートしてNF−κB活性化を行
なう。HeLa細胞では、TNFαは、核中へのNF−κBの迅速な核転座を誘
導し、これはp65に特異的な抗体で染色することによって検出される。調節剤
は、NF−κB転座を統計学的に有意な減少を誘導し、このような転座を検出不
可能なレベルにまで減少する。
【0070】 ヒトの血管内皮初代細胞(HUVEC)は、ICAM−1、V−CAM−1及
びE−セレクチンなどのNF−κBで調節される付着タンパク質の表面での発現
によるTNFα刺激に応答する(Read et al., Immunity 2:493, 1995; Chen et
al., J. Immunol. 155:3538, 1995)。E−セレクチンの発現は、特に、NF−κ
B依存性であり、初期の好中球付着及び活性化内皮における回旋運動(rolling)
に対する主要な誘導可能な内皮付着分子である。刺激された細胞を固定、染色す
ることによって、一以上のNF−κBで調節される付着タンパク質の発現を検出
する。ポリペプチドまたは他の調節剤のマイクロインジェクションにより、この
ような発現の統計学的を有意な阻害はするが、ICAM2等のNF−κBに非依
存性の付着タンパク質の発現には影響を及ぼさない。
【0071】 治療への用途 上述したように、本明細書中に記載される特定のE3ポリペプチド、ポリペプ
チド、抗体及び他の薬剤は、通常、細胞性のNF−κBの機能を特異的に阻害す
るまたは促進する調節剤として使用される。調節剤はまた、患者のIκBαおよ
び/またはIκBβのユビキチン化を調節することにより、インビボにおけるN
F−κBの細胞機能を調節するのに使用される。本明細書中に使用される、「患
者」は、ヒトを含む、いずれの哺乳動物であってもよく、NF−κB活性化に関
連する病気に苦しめられていてもよく、または検出可能な病気にかかっていなく
てもよい。したがって、処置は、現在ある病気に対してでもよくあるいは予防的
なものであってもよい。NF−κB活性化に関連する病気としては、以下に制限
されるものではないが、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌及びウィルス感染が挙げ
られる。
【0072】 処置は、本明細書中に記載される調節剤の投与を意味する。患者への投与につ
いては、通常、一以上のこのような化合物を薬剤組成物として配合する。薬剤組
成物は、さらに生理学上許容できる担体(即ち、活性成分の活性を妨げない無毒
な材料)を含む、滅菌水溶液若しくは非水溶液、懸濁液または乳濁液であっても
よい。当該分野における通常の知識を有するものに既知の適当な担体を、本発明
の薬剤組成物中に使用してもよい。代表的な担体としては、生理食塩水、ゼラチ
ン、水、アルコール類、天然若しくは合成油、糖類溶液、グリコール類、オレイ
ン酸エチル等の注射可能な有機エステル類またはこのような材料の組合わせが挙
げられる。必要であれば、薬剤組成物は、さらに、保存剤および/または例えば
、抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤および/または不活性ガス等の他の添加剤、
および/または他の活性成分を含ませてもよい。
【0073】 または、薬剤組成物は、生理学上許容できる担体と組合わせて調節剤をコード
化するポリヌクレオチド(この調節剤はin situで生成するように)を含
んでもよい。このような薬剤組成物では、ポリヌクレオチドは、核酸、細菌及び
ウィルスの発現システム、さらにはリポソーム等のコロイド分散システムなどの
、当該分野における通常の知識を有するものに既知の様々なデリバリーシステム
内に存在してもよい。適当な核酸発現システムは、患者における発現に必要なポ
リヌクレオチド配列(例えば、適当なプロモーターや終結シグナル)を含む。D
NAはまた、例えば、Ulmer et al., Science 259:1745-1749, 1993に記載され
るように、「裸で(naked)」あってもよい。
【0074】 標的とされた患者の細胞中に核酸を導入するのに使用できる様々なウィルスベ
クターとしては、以下に制限されるものではないが、ワクシニア若しくは他のポ
ックスウイルス、ヘルペスウィルス、レトロウィルス、またはアデノウィルスが
挙げられる。このようなベクター中にDNAを取り込む技術は当該分野における
通常の知識を有するものに既知である。好ましくは、レトロウィルスベクターは
、以下に制限されるものではないが、マウスモロニー白血病ウイルス(Moloney m
urine leukemia virus)(MoMuLV)、マウスハーベイ肉腫ウイルス(Harvey
murine sarcoma virus)(HaMuSV)、マウス乳腺癌ウイル(MuMTV)
、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)などのマウスまたはトリのレトロウィルス
の誘導体である。レトロウィルスベクターはさらに、選択マーカー用の遺伝子(
形質導入細胞の同定及び選択を補助するための)および/または特定の標的細胞
のレセプターに対するリガンドをコード化する遺伝子(ベクターターゲットを特
異的にするための)を転移させるまたは取り込ませてもよい。例えば、レトロウ
ィルスベクターが、糖、糖脂質、またはタンパク質をコード化するヌクレオチド
配列を挿入することによってターゲットを特異的にしてもよい。ターゲッティン
グはまた、当該分野における通常の知識を有するものに既知の方法によって、抗
体を用いて達成されてもよい。
【0075】 ウィルスベクターは、具体的には、感染ベクター粒子を生産するために補助を
必要とする、非病原性(欠損)、複製コンピテントウィルスである。この補助は
、例えば、LTR内の調節配列の制御を受けてレトロウィルスの構造遺伝子のす
べてをコード化するが、パッケージングメカニズムが封入のためのRNA転写物
を認識できるようにするヌクレオチド配列を欠失している、プラスミドを含むヘ
ルパー細胞系を用いることによって、提供されうる。このようなヘルパー細胞系
としては、(以下に制限されるものではないが)、Ψ2、PA317及びPA1
2が挙げられる。このような細胞中に導入されたレトロウィルスベクターはパッ
ケージングされて、ベクタービリオンが生産できる。さらに、この方法によって
生産されたベクタービリオンを用いて、NIH 3T3細胞等の、組織細胞系を
感染させることによって、多量のキメラレトロウィルスビリオンを生産できる。
【0076】 ポリヌクレオチドに関する他の標的デリバリーシステムとしては、コロイド分
散システム(colloidal dispersion system)がある。コロイド分散システムとし
ては、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、及び水中油系エ
マルジョン、ミセル、混合ミセル、及びリポソーム等の脂質を基にしたシステム
が挙げられる。インビトロ及びインビボでのデリバリーベヒクルとして使用され
る好ましいコロイドシステムは、リポソーム(即ち、人工膜ベヒクル)である。
0.2〜4.0μmの大きさを有する、大きな単層ベヒクル(LUV)が実質的
な割合の大きな高分子を含む水性バッファーを封入できることが示された。RN
A、DNA及び無傷のビリオンが、水性内部に封入されて、生物学的に活性のあ
る形態で細胞にデリバーされうる(Fraley et al., Trends Biochem. Sci. 6:77,
1981)。哺乳動物細胞に加えて、リポソームは、植物、酵母及び細菌細胞中への
ポリヌクレオチドのデリバーに使用された。リポソームを効果的な遺伝子転移ベ
ヒクルとするためには、下記特性が存在しなければならない:(1)その生物学
的な活性を低下させることなく高効率での有用な遺伝子の封入;(2)非標的細
胞に比して標的細胞への好ましい及び実質的な結合;(3)高効率での標的細胞
の細胞質へのベヒクルの水性内容物のデリバー;および(4)遺伝子情報の正確
かつ効果的な発現(Mannino et al., Biotechniques 6:882, 1988)。
【0077】 リポソームのターゲッティングは、解剖学的及び機械的な因子に基づいて分類
されうる。解剖学的な分類は、選択性のレベルに基づき、例えば、器官特異的、
細胞特異的、および/またはオルガネラ特異的であってもよい。機械的なターゲ
ッティングは、受動的または能動的であるかによって区別されうる。受動的なタ
ーゲッティングは、洞様毛細血管を含む器官の網内皮系(RES)の細胞に分布
するリポソームの天然の傾向を利用するものである。これに対して、能動的なタ
ーゲッティングは、モノクローナル抗体、糖、糖脂質、若しくはタンパク質等の
特定のリガンドにリポソームをカップリングすることによって、または局在化の
部位を天然に生じる以外の器官及び細胞型を標的とするためにリポソームの組成
若しくは大きさを変更することによってリポソームを変更することに関わる。
【0078】 投与の経路及び頻度、さらには投与量は、患者ごとに異なるであろう。通常、
薬剤組成物は、静脈内に、腹腔内に、筋肉内に、皮下に、キャビティー内にまた
は経皮的に投与される。1〜6回の投与量が毎日投与される。NF−κB活性化
に関連する病気に苦しめられる患者の症状の改善を示すのに十分な量が適当な投
与量である。このような改善は、炎症応答(例えば、浮腫、移植片拒絶、感覚過
敏)をモニターすることによってまたは病気に関連する臨床的な症状の改善を介
して検出される。通常、1回の投与量に存在する、または1回の投与量に存在す
るDNAによってin situで製造される調節剤の量は、約1μg〜約10
0mg/kg宿主の範囲である。適当な投与量の大きさは、患者の大きさによっ
て異なるであろうが、具体的には、10〜60kgの動物に対して約10mL〜
約500mLの範囲であろう。
【0079】 下記実施例を詳細に説明するために記載するが、これは本発明を制限するもの
ではない。
【0080】 実施例 実施例1 ユビキチン化アッセイを用いたIκB E3認識モチーフの同定 本実施例は、代表的なユビキチン化アッセイを詳細に説明するものであり、こ
のようなアッセイの使用はペプチドについてIκBのユビキチン化の阻害能を評
価するためものである。
【0081】 A.インビトロのユビキチン化アッセイ HA−標識IκBαまたはHA−標識IκBβ cDNA(Haskill et al., C
ell 65:1281-1289, 1991)を、製造社の指示(Promega, Madison, WI)に従って、3 5 S−メチオニンの存在下で小麦胚抽出物中でインビトロで翻訳した。IκBα
またはIκBβをリン酸化するために、1μlの標識タンパク質を含む抽出物を
、30μlの最終容積を有する、100μgのHeLaまたはジャーカット細胞
抽出物(Alkalay et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:10599, 1995によっ
て記載されるのと同様にして調製)、2mM ATP及び1μM オカダイック
アシッド(okadaic acid)を含む反応混合物中で、30℃で90分間、インキュベ
ートした。このインキュベーション中、標識されたIκBポリペプチドを32及
び36番目のセリンでリン酸化し、内因性のNF−κB複合体と会合した(デー
タ示さず)。
【0082】 インキュベーション後、1μlの抗p65血清を添加し、NF−κB免疫複合
体をプロテインA−セファロース(登録)(Protein A-SepharoseR)カラムに固定
化し、Alkalay et al.によって記載されるのと同様にして、HeLa細胞抽出物
でインビトロのユビキチン化を行なった。ユビキチン化されたタンパク質を、S
DS−PAGEによって分離し、オートラジオグラフィによって可視化した。
【0083】 図1Aに示されるように、野生型の35S−pIκBαのみが複数のユビキチン
化物質を生じた(レーン4)。IκBαの35S−標識S32/36A変異体(レ
ーン1)及び非リン酸化野性型35S−pIκBα(レーン2)の双方ともユビキ
チン化されず、また、pIκBαのユビキチン化はATPの不存在下では見られ
なかった(レーン3)。
【0084】 このアッセイの生理学的な関係をさらに、複合体と会合した(complex-associa
ted)リン酸化基質に対する遊離35S−IκBのインビトロのユビキチン化の比較
によって文書で証明した。複合体と会合した(complex-associated)S32/36
A変異体にはインビボでの宿命に従ってユビキチン結合がなされなかったが、遊
離形態の変異型または野生型のIκBαは容易に結合した(図1B)。同様にし
て、IκBαの複合体と会合したものではない、遊離したリシン21、22変異
体のみがインビトロでユビキチン化した(データ示さず)。したがって、遊離I
κBαが識別不可能な状態でユビキチンシステムによって認識されるのに対して
、複合体と会合した阻害剤は適切にリン酸化されない限りマスクされる。
【0085】 B.IκBα−ユビキチンリガーゼ認識モチーフの同定 IκBα−ユビキチンリガーゼ認識モチーフを同定するために、様々なペプチ
ドを、ペプチダーゼ阻害剤であるベスタチン(40μg/ml)の存在下で反応
混合物に様々な濃度で添加した。ペプチドは、タンパク質のN−末端のシグナル
ドメインをスパンし、一方の若しくは双方のセリン残基(32及び36番目)で
リン酸化された、または修飾されなかった若しくはセリン置換された。これらの
ペプチドを異なる濃度でユビキチン化反応に含ませ、これについてpIκBαに
特異的なユビキチン化を試験した。遊離IκBαの結合がモニターされたら、翻
訳タンパク質をこの結合反応混合物に直接添加した。
【0086】 32及び36番目のセリン双方でリン酸化されたペプチド(pIκBαペプチ
ド)のみが効果的にpIκBαユビキチン化を阻害した(図1A、レーン7、1
11〜14)。c−Fosホスホペプチド(ppFos、レーン5)、32及び
36番目のセリンがアラニンに置換されたIκBαペプチド(p21 S/A、
レーン6)及び非リン酸化ペプチド(p21、レーン8)は、400μMの濃度
でpIκBαのユビキチン化に関する検出可能な効果を示さなかった。リン酸化
IκBαペプチドのIC50を算出し、代表的な阻害濃度を図1Aに示す。2箇所
にリン酸化されたIκBαペプチドは、5μMのIC50でpIκBα結合反応を
阻害した(レーン7、11〜14)。これらのペプチドの配列は、上記表1に、
及び配列番号5〜9に提供される。これに対して、1箇所リン酸化されたペプチ
ド(レーン9、10)は、400μMのIC50でpIκBα結合を阻害した。シ
グナルリン酸化部位をスパンするのみである、最小サイズの試験ペプチド(pp
7、レーン14)は、幾分より高いIC50(10μM)でであるが、ユビキチン
化を効率良く阻害するのに十分であった。ゆえに、配列番号1の21〜41番目
の残基を有するペプチドは、E3ユビキチンリガーゼに関する認識ドメインを含
む。興味深いことに、21及び22番目のリシンは阻害に必須ではないことから
、ユビキチンシステムの認識部位は実際の結合部位から離れていることが示唆さ
れる。
【0087】 ペプチドの特異性を、以下の2種の他のユビキチン結合反応で試験した:遊離
野生型(図1B、レーン1〜3)またはS32/36A変異型IκBα(図1B
、レーン4〜6)の結合およびHeLa抽出物における細胞タンパク質のバルク
へのユビキチン結合(Alkalay et al.に従って125I−標識ユビキチンによって
検出、図1C)。反応は、IκBα−ユビキチンリガーゼ認識モチーフまたはコ
ントロールペプチドの添加によって影響を受けなかった。
【0088】 IκBα−ユビキチンリガーゼ認識モチーフを有するペプチドは、pIκBα
に関連する基質であるpIκBβのユビキチン化を阻害することが分かった(図
1D)。pIκBαの結合と同様に、pIκBβの特異的な結合もまた、会合N
F−κB複合体(示さず)及びIκBα相同性残基である19及び23番目のS
erでの前リン酸化を必要とした。ホスファターゼ阻害剤の不存在下で調製され
たIκBβ基質はユビキチン化されなかった(図1D、レーン1)。ペプチドは
、pIκBαで観察されるのと同様のIC50でのpIκBβユビキチン化に影響
を与えた(図1D、レーン4〜7)。ゆえに、同様の酵素がユビキチン依存性分
解について双方のIκBを標的にすると考えられる。
【0089】 阻害pIκBαペプチドを、相補的ユビキチン依存性インビトロ分解アッセイ
(Orian et al., J. Biol. Chem. 270:21707, 1995; Stancovski et al., Mol. C
ell. Biol. 15:7106, 1995)で試験した。このアッセイを用いると、刺激細胞由
来のpIκBαのみがユビキチンに依存してインビトロで分解されるが、同じ細
胞抽出物由来の非リン酸化IκBαは分解されない。分解アッセイに結合阻害ホ
スホペプチドを取り込むことによって、pIκBα基質が安定化された(図2、
レーン3、4)が、非リン酸化ペプチド剤またはコントロールのホスホ−Fos
ペプチドは特異的なpIκBα分解に効果がなかった(レーン5、6)。21/
22番目のLysでのペプチドのトリミングは分解阻害効果を減少しなかった(
レーン4)ことから、これらのペプチドは結合可能な基質としてユビキチン−プ
ロテアソームシステムを使い尽くすことによってpIκBα分解を阻害しないこ
とが示された。
【0090】 実施例2 基質の認識に関わるユビキチンシステム成分の同定 本実施例は、pIκBαポリペプチドの認識に応答する特異的なE3の同定を
詳細に説明するものである。
【0091】 pIκBα−ユビキチン結合及び分解は下記ユビキチンシステム酵素の全補体
が必要である:E1、ユビキチンシステムフラクションI、E2F1(Alkalay e
t al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:10599, 1995; Chen et al., Cell 84:8
53, 1996)由来の特異的なE2およびフラクションII−成分E3。基質の認識
に関わるユビキチンシステム成分を同定するために、HeLa溶解産物を、Iκ
Bαホスホペプチドカラムで分画し、フロー−スリュー(flow-through)フラクシ
ョンについてpIκBα結合をアッセイした。ペプチドを、2mg/mlの濃度
で製造社の指示に従ってNHS−セファロース(登録)(SepharoseR)カラム(Pha
rmacia)にカップリングさせた。100μgのHeLa抽出物を、4℃で1時間
、0.1%NP40及び3%オボアルブミンの存在下で2.5μlのカップリン
グ樹脂と共にインキュベートした。この樹脂を捨てて、非結合材料を上記ユビキ
チン化アッセイで試験した。
【0092】 コントロールのホスホペプチドカラム及びS32/36Aペプチドカラムから
のフロー−スリューフラクションは全IκBα結合能を保持した(図3A、レー
ン2、3)が、2種の異なるpIκBαペプチドからのフロー−スリューフラク
ションはそのIκBα特異的結合能を失っていた(レーン4、7)。失われた結
合活性は、E3酵素(Ciechanover, Cell 79:13, 1994)のすべての既知のものを
含む網状赤血球フラクションII(レーン5、8)によって補足された。補完は
、フラクションIまたはフラクションI及びE1(それぞれ、レーン6及び9)
の添加によっては得られなかったことから、ペプチドカラムはE2またはE1で
はなくE3を消耗していたことが示された。繰り返すが、IκBαの21及び2
2番目のリシン残基はE3を保持するために必ずしも必要でなかった(図3A、
レーン7〜レーン4を比較)ことから、基質の認識及び結合部位の区別が強調さ
れる。ペプチドカラムの消耗は、すべてのフロー−スリューフラクションがラン
ダムなHeLaタンパク質結合において全活性を維持した(125Iユビキチンの
結合を測定することによって検出される際の、図3B)ので、IκB E3に特
異的であることが分かった。これから、特異的なE3は同定モチーフとしてのp
IκBαの認識を応答可能であることが示される。
【0093】 実施例3 細胞性NF−κB活性化に関する代表的なペプチドの効果 本実施例は、IκBα−ユビキチンリガーゼ認識モチーフからなるペプチドの
マイクロインジェクションによるNF−κB活性化の阻害を詳細に説明するもの
である。
【0094】 HeLa細胞を、マイクロインジェクションする18時間前にグリッドカバー
ガラス(Cellocate, Eppendorf)に播いた。マイクロインジェクションは、半自動
化装置(Eppendorf)を用いて22アミノ酸pIκBαペプチド(pp21;表1
及び配列番号9)またはコントロールのホスホ−Fosペプチド(配列番号10
)を用いて行なわれた。ペプチドを、100mM KCl、5mM Na2HP
4(pH7.2)において5mg/mlの濃度で細胞の細胞質中に注射した直
後に、20分間(NF−κB転座では)または3時間(E−セレクチン発現では
)、TNFα(200単位/mL)で活性化した。活性化後、細胞を固定化し、
p65特異的抗体(Mercurio et al., Genes & Dev. 7:705, 1993; Santa Cruz)
または抗E−セレクチンモノクローナル抗体(R & D Systems)で染色した。
【0095】 ペプチドの不存在下では、TNFαは、90%の細胞のp65核染色によって
示されるように、核中にNF−κBの迅速な核転座を誘導する(図4G、カラム
2を参照)。pp21ペプチドは、幾つかの実験において50%〜70%のマイ
クロインジェクションされた細胞でTNFαで刺激されたNF−κB活性化を阻
害した(図4A及び4B;および図4G、カラム3の代表的な分野を参照)。こ
れに対して、コントロールのpp−Fosペプチドバンドは、マイクロインジェ
クションされなかった細胞に比して、NF−κBで誘導される核転座の速度に影
響がなかった(図4C及び4G、カラム4)。
【0096】 NF−κB阻害の機能的な結果をさらに評価するために、IκB−E3阻害ペ
プチドをヒトの初期血管内皮細胞(HUVEC;Chen et al., J. Immunol. 155
:3538, 1995)中にマイクロインジェクションした。これらの細胞は、E−セレ
クチン等の、NF−κBで調節される付着タンパク質の表面での発現によるTN
Fα刺激に応答する。HUVEC細胞を、上記したようにして播種、マイクロイ
ンジェクション、及び刺激した。刺激してから3時間後に、細胞を固定化し、N
F−κBに依存性のE−セレクチンの発現を目的として染色した。75%〜85
%のHUVEC細胞を、幾つかの実験においてTNFαによる刺激後にE−セレ
クチンについてよく染色した。pp21ペプチドのマイクロインジェクションに
よって、70%〜80%のマイクロインジェクションされた細胞でE−セレクチ
ンの発現が阻害された(図4D;及び図4H、カラム3)。これに対して、コン
トロールのpp−Fosペプチドは、マイクロインジェクションされなかった細
胞に比して、E−セレクチンの発現に効果がなかった(図4F及び4H、カラム
4)。コントロール、S32/36A置換されたIκBαペプチドのマイクロイ
ンジェクションは、E−セレクチンの発現の速度に効果がなかった。
【0097】 これらの結果から、シグナルで誘導されるリン酸化IκBα及びIκBβのサ
ブユニットに特異的な分解が特異的なE3によって仲介されることが示される。
E3ユビキチンリガーゼに関する認識ドメインは、第一の生物学的に関連のある
E3認識モチーフで代表される、双方のIκBで保存される2種のシグナル獲得
ホスホセリン(signal-acquired phophoserine)の周辺を中心にした、短い配列で
ある。IκB認識における特異性はリン酸化基質の内容によって支持される:会
合した細胞複合体は非特異的なE3由来の基質をマスクする。この特徴により、
特異的なリガーゼに部位特異的なリン酸化事象を介して暴露される、刺激後段階
にNF−κB阻害剤の分解が制限される。NF−κB活性化及びそれにより得ら
れる機能は、本明細書で提供される調節剤を用いることにより、IκBリガーゼ
のインビボの阻害によって特異的に阻害されうる。
【0098】 実施例4 IκBαのユビキチン化のさらなる特徴付け 本実施例は、IκBαのユビキチン化と会合するユビキチンリガーゼの特徴付
けを詳細に説明するものである。
【0099】 A.サイトカインの刺激がpIκBα及び特異的なユビキチンリガーゼ間の会 合を促進する リン酸化IκBα複合体によるユビキチン機構部(machinery)の成分の漸増を
さらに研究するために、pIκBα/NF−κB複合体を、プロテアソームで阻
害され、TNFαで刺激されたHeLa細胞から精製し、そのユビキチン化能を
評価した。HeLa細胞を、プロテアソーム阻害剤であるALLN(150μM
)と共に1時間、予めインキュベートした後、TNFαで10分間刺激した。p
IκBα/NF−κB複合体を、ヤギ抗RelA(p65)抗体(Santa Cruz Bi
otechnology, Inc., Santa Cruz, CA)及び、同起源のp65ペプチド(ELFP
LIFPAEPAQASGP(配列番号21)、これは、合成でありかつAlfa-D
iagnostic, Inc.から購入した後、HPLCで精製し、質量分析で分析し、予想
された構造を確認し、85%超の純度であることが分かっていた)免疫アフィニ
ティで精製した。
【0100】 免疫精製されたフラクションに、様々なユビキチンシステムの成分を補足し、
インビトロのユビキチン化を行なった。特に、このフラクションに0.2μgの
精製E1及び1μgの精製組換UBC5C(Jensen et al., J. Biol. Chem. 270
:30408-30414, 1995)を補足し、50mM Tris(pH7.6)、2mM
MgCl2、1mM DTT、20nM オカダイックアシッド(okadaic acid)
、1mg/ml ウシのユビキチン(Sigma)及び5mM ATPγS(Sigma)を含
む反応バッファー中で37℃で90分間、インキュベートした。次に、この反応
混合物をSDS−バッファ中で沸騰し、サンプルをSDS−PAGE(8.5%
)及びホスホ−イメージング(phosho-imaging)によって分析した。
【0101】 ユビキチン、精製E1及び特定のE2である、UBC5Cの添加は、IκBα
に特異的な抗血清と反応する高分子量物質の蓄積で明らかである、十分なIκB
α−ユビキチン結合活性能を生じる(図5、レーン2)のに十分であることが分
かった。この活性は、E1依存性であり(レーン1および2を比較)、非刺激H
eLa細胞からの相当する免疫精製されたフラクションによっては提供されなか
った(レーン4、5、6を比較)。刺激HeLaフラクションはリン酸化及び非
リン酸化IκBαの双方を含んでいたため、観察された結合体はいずれかのIκ
B物質由来で有り得る。
【0102】 IκBα結合体の源を決定するために、ユビキチン化反応を、pIκBαペプ
チド(pp12;CDRHDS[PO3]GLDS[PO3];配列番号22)
(レーン7)またはセリン/グルタミン酸置換IκBαペプチド(p12S/E
)(レーン8)の存在下で行なった。双方のペプチドとも、合成であり、Alfa-D
iagnostic, Inc.から購入した後、HPLCで精製し、質量分析で分析し、予想
された構造を確認し、85%超の純度であることが分かっていた。IκBαペプ
チドを、ペプチダーゼ阻害剤である、ベスタチン(40μg/ml)の存在下で
この反応混合物中に所定の濃度で添加した。pp12のみがポリユビキチン−I
κBα結合体の形成を阻害したことから、ユビキチン化はpIκBαに特異的で
あることが示された(Yaron et al., EMBO J. 16:6486-6494, 1997)。
【0103】 B.リン酸化は、特定のユビキチン化−リガーゼ活性を漸増するのに必要かつ 十分である E1及びE2は刺激HeLaフラクションのpIκBα−結合を特異的に補足
したが、非刺激フラクションは補足しなかったという知見は、以下のようにして
幾つかで説明されうる:a)HeLa刺激は特定のpIκBα−ユビキチンリガ
ーゼを活性化する、b)HeLa刺激は基質を修飾することにより、ユビキチン
化されやすくする、またはc)HeLa刺激は基質及びリガーゼ双方を修飾する
のに必要である。これらの可能性を識別するために、組換、構成上活性のあるI
KK2タンパク質(IKK2−EE)を使用した(Mercurio et al., Science 27
8:860-66, 1997)。このタンパク質は、TNFαで活性化されたIKK−複合体
と同様、32/36番目のセリンでIκBαをリン酸化する。
【0104】 組換35Sで標識されたIκBαと共に予めインキュベートされた非刺激HeL
a溶解産物由来の35Sで標識されたIκBα/NF−κB複合体の免疫精製後、
この複合体を組換IKK2−EEによってリン酸化し、p65同起源ペプチドで
溶出し、インビトロのユビキチン化を行なった。IKK2−EEと共にインキュ
ベートした後、ほとんどすべての35S−IκBをリン酸化した。しかしながら、
ユビキチン、E1及びUBC5Cの添加によっては、pIκBαのリン酸化は起
こらなかった(図6、レーン2)。したがって、IKKによるIκBのリン酸化
は、E1及びE2の存在下でのユビキチン化を促進するのに十分でなかった。お
そらく、pIκBαのユビキチン化は、非刺激細胞から同時に免疫精製され(co-
immunopurified)なかったHeLa溶解産物の更なる成分を必要とする。
【0105】 この仮定を確認するために、免疫結合したIκBα/NF−κB複合体を、I
KK2−EEによるリン酸化と同時にまたは後に、非刺激HeLa溶解産物と共
にインキュベートし、高塩バッファー(high-salt buffer)でよく洗浄し、p65
ペプチドで溶出した。この際、HeLa溶解産物との、非リン酸化IκB複合体
(レーン1)ではなく、リン酸化IκB複合体(図6、レーン3)のインキュベ
ーションが、pIκBα結合に必要なpIκB−リガーゼ成分を提供した。E1
またはE2を反応から除外するとシグナルは得られなかったことから、ゲルの上
部のシグナルはポリユビキチンIκBα−結合体を表わす(レーン5、6)こと
が確認された。TNFαで刺激されたHeLa溶解産物は、必要なリガーゼ成分
を提供するという点で非刺激溶解産物に比して優れていなかった。
【0106】 pIκBα−ユビキチン化に関するpp12の阻害効果(図5)から、必須な
HeLa成分はインキュベーション期間中pIκBα認識モチーフと特異的にか
つ安定して会合した後、pIκB−ユビキチン結合で機能することが示唆された
。この仮説を試験するために、我々は、フラクションを溶出する前に、HeLa
溶解産物と一緒に除去された、pp12またはコントロールペプチドであるp1
2S/Eをインキュベーション段階に含ませた。p12S/E(レーン5)では
なく、pp12(図6、レーン4)の添加によって、基質の完全性を維持したま
ま、pIκBα−複合体に関連したユビキチンリガーゼ活性がなくなった。これ
は、ペプチドで処理されたフラクションがE3源としての網状赤血球フラクショ
ンIIの存在下でユビキチン化を受けられたことで明らかになった(Alkalay et
al., Mol. Cell Biol. 15:1294-301, 1995)。いくつかの結論がこの実験から導
かれる。
【0107】 1)pIκBαユビキチン化に必須なユビキチンリガーゼ成分は、IKKによ
るリン酸化後のHeLa溶解産物由来のIκBα/NF−κB複合体によって漸
増される。
【0108】 2)この結合促進成分は、非刺激HeLa溶解産物中に含まれることから、T
NF刺激によってユビキチンリガーゼを活性化する必要がない。
【0109】 3)この必須なリガーゼ成分は、特異的であると考えられ、pIκB認識モチ
ーフとの直接の相互作用を介してIκBと会合する(pIκBα−結合のpp1
2阻害によって示される)。
【0110】 C.pIκBαを認識する特異的なユビキチンリガーゼ成分の単離 HeLa抽出物(250mg)を250μlの抗p65イムノビーズ(immunob
ead)と共にインキュベートした。バッファーA(1M KCl、0.5% NP
40、50mM Trisバッファー pH7.6、1mM DTT)で4回洗
浄及びバッファーB(50mM Trisバッファー、pH7.6、1mM D
TT)で1回洗浄した後、ビーズの半分についてIKKによるインビトロのリン
酸化を行ない、半分に擬似的にリン酸化を行なった。ビーズをバッファーAで2
回及びバッファーBで1回洗浄し、25℃で30分間、1μmのオカダイックア
シッド(okadaic acid)の存在下で100mgのHeLa抽出物と攪拌し、バッフ
ァーAで4回及びバッファーAで1回洗浄し、1mg/mlのp65ペプチドで
溶出した。同様の実験を、10mgの35S−代謝的に標識されたHeLa細胞溶
解産物(100μCi/ml Met/Cysで8時間)及び25μlのp65
イムノビーズを用いて行なった。加熱及び冷却溶解産物双方由来の溶出液フラク
ションを混合し、SDS−サンプルバッファー中で沸騰させ、7.5%SDS−
PAGE及びオートラジオグラフィで分析した。オートラジオグラムシグナルに
相当するゲルスライスを切り出して、そのタンパク質バンドについて、下記に記
載されるように、質量分析によって配列決定した。
【0111】 以下の3種の免疫アフィニティで精製されたフラクションをSDS−PAGE
分析によって比較した(図7):1)IKK2−EEによってリン酸化されなか
ったが、HeLa溶解産物と共にインキュベートされたpIκBα/NF−κB
複合体を含むフラクション;2)IKK2−EEによってリン酸化された後、H
eLa溶解産物と共にインキュベートされたフラクション;3)IKK2−EE
によってリン酸化されたが、HeLa溶解産物と共にインキュベートされなかっ
たフラクション。すべてのインキュベーションを、イムノビーズで固定化された
複合体上で行なった後、よく洗浄し、p65ペプチドで溶出した。
【0112】 これら3種のフラクションのSDS−PAGE分析によって、IKKによるリ
ン酸化によるまたはpIκBα/NF−κBタンパク質のさらなる免疫吸着によ
るパターンの変化が明らかになったが、IKKによるリン酸化後のIκBα−複
合体に対して漸増したタンパク質を識別しなかった。タンパク質の染色の複雑さ
によって、免疫精製されたタンパク質に沿って移動する漸増したタンパク質(rec
ruited protein)の存在が不明瞭になりうる。漸増したタンパク質を同定するた
めに、質量分析をフラクション1及び2由来の1ダースのコロイドブルーで染色
された(Colloidal Blue-stained)バンドで行なった。この分析から、Rel群の
タンパク質及びIκBαのほとんど完全なスペクトルの存在が明らかになった:
NF−κB1(p105)、NF−κB2(p100)、RelA(p65)、
p50、p49、C−Rel、IκBα及びIκBε。数種の他のタンパク質の
みが、IκBα/NF−κB複合体、特にGRP78/Bip、Hsp70及び
Hsc70と共に同時に免疫沈降した(co-immunoprecipitated)。
【0113】 推定のpIκB−ユビキチンリガーゼの可能性のあるマスキングを回避するた
めに、我々は、35S−生合成により標識されたHeLa溶解産物でリガーゼ源を
置換し、SDS−PAGE分析及びオートラジオグラフィによってIκBαと会
合したタンパク質を追跡した(図7B)。平行して、様々なフラクションについ
て、そのユビキチンリガーゼ能を試験した。活性フラクションのバンドパターン
(レーン2)を、非活性フラクションのもの(レーン1)と比較した。54、5
8、61及び64kDの分子量を有する4種の35S−タンパク質バンドがレーン
2で識別された。これらのタンパク質バンドのうちいくつかはpIκBαを直接
認識するユビキチンリガーゼの成分を表わすが、他のものはpIκBαと間接的
にまたはIKKでリン酸化された複合体の他の成分と会合したかもしれない。p
IκBαを直接認識するリガーゼ成分を分類するために、pp12またはコント
ロールペプチドであるp12S/Eを放射線標識されたHeLa溶解産物に添加
した後、免疫結合した(immuno-bound)IκBα−NF−κB複合体と共にインキ
ュベートした。溶出フラクションの比較によって、フラクション2でのみ存在す
る4種の特有のバンドのうち、3種のバンドが特定のpp12ペプチド(p54
、p58及びp61)によって除外されたが、64kDのバンドのみがpp12
の存在下で残っていた(図7B、レーン2及び3を比較)。コントロールペプチ
ドは、pIκBαとの特有のタンパク質のいずれの会合に影響を与えなかった(
レーン4)。pIκBαと相互作用するタンパク質の2種である、p58及びp
54は、首尾一貫して存在し、常に特定のユビキチンリガーゼ活性と関連してい
た。
【0114】 実施例5 ヒトのE3ユビキチンリガーゼの同定 本実施例は、ヒトのE3ユビキチンリガーゼの単離及び特徴付けを詳細に説明
するものである。
【0115】 前記実施例で記載された54及び58kDのバンドをリガーゼポジティブ及び
リガーゼネガティブ(非リン酸化IκBα複合体と共にインキュベートされたH
eLa溶解産物)レーンから切出し、タンパク質をin situで消化し(She
vchenko et al., Anal. Chem. 68:850-858, 1996)、このよにして得られたトリ
プシンペプチドについて、ナノエレクトロスプレー(nanoelectrospray)質量分析
によって配列を決定した(Wilm et al., Nature 379:466-469, 1996)。タンパク
質バンドをゲル中で還元し、上記したのと同様にして、S−アルキル化し、過剰
のトリプシンでゲル中で消化した(室温で一晩)(Shevchenko et al., Anal. Ch
em. 68:850-858, 1996; Wilm et al., Nature 379:466-469, 1996)。ゲルの切片
を抽出して、得られたペプチド混合物を、50nlのポロスR2(Poros R2)材料
(Perceptive Biosystems, Framingham, MA)を含むミクロカラムを用いて、濃縮
し、脱塩した。ペプチドを、ナノエレクトロスプレー(nanoelectrospray)針中に
直接1μlの60%メタノール、5%ギ酸で溶出した。ナノエレクトロスプレー
スペクトルを、4極子飛行時間質量分析計(quadrupole time-of-flight mass sp
ectrometer)(QqTOF、Parkin-Elmer Sciex, Tronto, Canada)で記録した。
ペプチド配列タグ(Mann and Wilm, Anal. Chem. 66:4390-4399, 1994)を断片化
スペクトルから集め、プログラムPeptideSearch(Mann and Wilm, Anal. Chem. 6
6:4390-4399, 1994)を用いてEuropean BioInformatics Institute(EBI, Hinxton
Park, England)で維持される非多重複タンパク質配列データベース(non redund
ant protein sequence database)(nrdb)で検索した。
【0116】 54kDのゲルバンドの質量スペクトルから、いくつかのペプチドが断片化で
選択された複合ペプチド混合物(図8A)が示された。ペプチド配列タグ検索(M
ann and Wilm, Anal. Chem. 66:4390-4399, 1994)によって同定されたタンパク
質は、NF−κB1(p50)、IκBキナーゼα、IκBε、RelB、チュ
ーブリンベータ−1鎖、及び甲状腺レセプターイニシエーター結合タンパク質を
含んでいた。E3活性と関連するタンパク質を同定するために、少量で存在する
、さらなるペプチドを、活性フラクションからの54kDのバンドのスペクトル
を非活性フラクションからの同様のバンドのスペクトルを比較することによって
配列決定用に選択した(図8B)。ペプチド配列タグ(1587.81)VVN
V(配列番号23)(1999.09)を図8Cで示される断片化スペクトルか
ら導き、AAVNVVDFDDKYIVSAS(配列番号24)として明確に同
定した。さらに、スペクトルは、ペプチド、LEGHEELBR(配列番号25
)、LVVSGSSDNTIR(配列番号26)、IQDIETIESNWR(
配列番号27)及びVISEGMLWK(配列番号28)を同定した。始めの4
個の断片は、ヒトのFボックス/WDタンパク質であるβ−TrCP内に存在す
る配列を有する(Margottin et al., Mol. Cell 1:565-574, 1998)。しかしなが
ら、5番目のペプチド(VISEGMLWK(配列番号28))は、ヒトのβ−
TrCPと非常に相同性のある、ドロソフィラ スライム(Drosophila Slimb)タ
ンパク質由来のペプチドのものと一致する(Jiang and Struhl, Nature 391:493
-496, 1998を参照)。さらに、配列決定により、図9で提供されるヒトのE3ユ
ビキチンリガーゼヌクレオチド配列(配列番号15)が同定され、予想されたタ
ンパク質配列を図10に示す(配列番号16)。したがって、ヒトのE3ユビキ
チンリガーゼは、相同タンパク質のβ−TrCP/スライム(Slimb)群の新規な
ものであると考えられる。
【0117】 実施例6 E3ユビキチンリガーゼ活性のさらなる特徴付け 本実施例は、β−TrCP及びスライム(Slimb)のヒトのE3ユビキチンリガ
ーゼ群のもののユビキチンリガーゼ活性を詳細に説明するものである。
【0118】 これらのタンパク質のpIκBαへの特異的な結合能及びユビキチン化の補助
能を、細胞を含まないシステムで試験した。IκBα/NF−κB複合体をHe
La細胞から免疫精製し、免疫複合体を上記したのと同様にしてIKK2−EE
でリン酸化したまたは擬似的にリン酸化した。次に、これを、トランスフェクト
された293個の細胞から免疫沈降された下記固定化FLAG−標識E3群のも
のと共にインキュベートした:マウスのβ−TrCP(mβ−TrCP)、ヒト
のβ−TrCP(hβ−TrCP)、122から168番目のFボックス領域残
基が欠失したヒトのβ−TrCP(Δβ−TrCP)及びドロソフィラ スライ
ム(Drosophila Slimb)タンパク質。結合材料を抗IκBα及び抗FLAG抗体に
よるウェスタンブロッティングによって分析した。これらのタンパク質はすべて
、擬似的にリン酸化されたではなく、IKKでリン酸化されたIκBαにのみ結
合した(図11Aを参照)。しかしながら、ヒト及びマウスのβ−TrCPは、
非常に相同性のあるドロソフィラタンパク質に比べてかなり良好にIκBαに結
合した(レーン2、4、6及び8を比較)。Δβ−TrCPは、野生型のタンパ
ク質に比して良好にpIκBαに結合したことから、Fボックス領域は結合に必
ずしも必要でないであることが示された。さらに、β−TrCP結合は、コント
ロールペプチドによってではなく(レーン4)、pIκBα認識モチーフ(pp
10;DRHDS(PO3)GLDS(PO3)M(配列番号29);図11B、
レーン3を参照)を表わすペプチドによって阻害されることから、保存されたD
S(PO3)GLDS(PO3)(配列番号30)配列のpIκBαの認識部位が
特定された。
【0119】 ユビキチン化への結合の効果を評価するために、E3群のもの及び欠失変異体
をpIκBαユビキチン化においてE3活性の源として使用した。E1及びE2
(UBC5C)の存在下では、野生型のβ−TrCPタンパク質は、非リン酸化
IκBαのではなく、pIκBαのユビキチン化を容易にした(図11C、レー
ン1〜4を参照)。Fボックスタンパク質−タンパク質の相互作用モデュールが
欠失した、Δβ−TrCPは、その結合能(図11A、レーン6)にもかかわら
ず、ユビキチン化を促進しなかった(レーン7及び8)。スライム(Slimb)はp
IκBαのユビキチン化によっては容易にしたが、ヒト及びマウスのβ−TrC
Pに比べて少なくとも10倍効果が低く(同様のFLAG−タグ発現レベルを基
に)、これはより低い活性に相当した。
【0120】 これらの群のもののモジュラー設計及び本明細書中で記載されるインビトロの
分析から、Fボックスの欠失によりインビボで優性なネガティブ分子として機能
するタンパク質が得られることが示唆された。事実、Δβ−TrCPの一時的な
過剰な発現は、刺激されたジャーカット細胞における内因性のIκBαの分解を
阻害し、これによりpIκBαが蓄積した(図12B)。その結果、NF−κB
の活性化が阻害された(図12B)。NF−κBの活性化は、Δβ−TrCPが
NF−ATレポーターの活性化に影響を与えなかったので、特異的であった。N
F−κBの阻害が野生型のスライム(Slimb)でも観察されたが、野生型のヒトの
β−TrCPの発現は抑制性ではなかった(図12B)という事実が特筆すべき
ものである。したがって、野生型のスライム(Slimb)の過剰な発現は、おそらく
その比較的低いpIκBαのユビキチン化活性に関連する、NF−κBの活性化
に対する優性のネガティブな効果を有する(図11B)。
【0121】 前記から、本発明の特定の実施態様が詳細な説明を目的として本明細書で記載
されてきたが、様々な修飾が本発明の精神及び概念から逸脱しない限りなされる
と考えられるであろう。したがって、本発明は添付された特許請求の範囲によっ
て以外は制限されない。
【0122】 配列表の要約 配列番号1は、IκBαのアミノ酸配列である。
【0123】 配列番号2は、IκBαのDNA配である。
【0124】 配列番号3は、IκBβのアミノ酸配列である。
【0125】 配列番号4は、IκBβのDNA配列である。
【0126】 配列番号5は、pp7のアミノ酸配列である。
【0127】 配列番号6は、pp11のアミノ酸配列である。
【0128】 配列番号7は、pp15のアミノ酸配列である。
【0129】 配列番号8は、pp19のアミノ酸配列である。
【0130】 配列番号9は、pp21のアミノ酸配列である。
【0131】 配列番号10は、ホスホ−Fosペプチドのアミノ酸配列である。
【0132】 配列番号11は、pp21 S/Aのアミノ酸配列である。
【0133】 配列番号12は、HAで標識されたIκBαのアミノ酸配列である。
【0134】 配列番号13は、HAで標識されたS32、36 IκBαのアミノ酸配列で
ある。
【0135】 配列番号14は、HAで標識されたIκBβのアミノ酸配列である。
【0136】 配列番号15は、ヒトのE3ユビキチンリガーゼのDNA配列である。
【0137】 配列番号16は、ヒトのE3ユビキチンリガーゼの予想されたアミノ酸配列で
ある。
【0138】 配列番号17は、ヒトのβ−TrCPのDNA配列である。
【0139】 配列番号18は、ヒトのE3 β−TrCPのアミノ酸配列である。
【0140】 配列番号19は、IκBαのリン酸化部位である。
【0141】 配列番号20は、読み出された(retrieved)β−TrCP配列である。
【0142】 配列番号21は、同起源のp64ペプチドのアミノ酸配列である。
【0143】 配列番号22は、pIκBαペプチドpp12のアミノ酸配列である。
【0144】 配列番号23は、ヒトのE3ユビキチンリガーゼのペプチド配列タグである。
【0145】 配列番号24は、ヒトのE3ユビキチンリガーゼ由来のペプチドである。
【0146】 配列番号25は、ヒトのE3ユビキチンリガーゼ由来のペプチドである。
【0147】 配列番号26は、ヒトのE3ユビキチンリガーゼ由来のペプチドである。
【0148】 配列番号27は、ヒトのE3ユビキチンリガーゼ由来のペプチドである。
【0149】 配列番号28は、ヒトのE3ユビキチンリガーゼ由来のペプチドである。
【0150】 配列番号29は、pIκBα認識モチーフのアミノ酸配列である。
【0151】 配列番号30は、保存されたpIκBα配列である。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1A〜1Dは、様々なIκB E3認識モチーフの存在下で及び不存在下で
行なわれるユビキチン化アッセイのSDS−PAGE分析の結果を示すオートラ
ジオグラムである。
【図2】 図2は、刺激されたHeLa細胞からの抽出物を用いて行なわれたインビトロ
のユビキチン依存性分解の結果を示すオートラジオグラムである。
【図3】 図3Aは、調節剤カラムで分画されたHeLa細胞溶解産物のフロー−スリュ
ー(flow-through)フラクションを用いて行なわれたユビキチン化アッセイのSD
S−PAGE分析の結果を示すオートラジオグラムである。図3Bは、HeLa
細胞抽出物のバルク細胞タンパク質のユビキチン化を示すオートラジオグラムで
ある。
【図4】 図4A〜4Fは、核NF−κB転座への候補調節剤の効果を示す顕微鏡写真で
ある。図4G及び4Hは、図4A〜4Fで示されるマイクロインジェクション実
験の要約を表わすグラフである。
【図5】 図5は、TNFαで活性化された細胞からのpIκBα会合ユビキチンリガー
ゼ活性の免疫沈降を示すウェスタンブロット分析の結果を示すオートラジオグラ
ムである。
【図6】 図6は、DSGLDS(配列番号8及び19)部位でのIκBαのIKK−リ
ン酸化後の、IκBα/NF−κB複合体とのユビキチンリガーゼの会合を示す
オートラジオグラムである。
【図7】 図7A及び7Bは、ユビキチンリガーゼ活性と関連するIκBα−結合タンパ
ク質の同定を示すものである。
【図8】 図8A〜8Dは、ユビキチンリガーゼ会合p54の質量スペクトル分析の結果
を示すものである。
【図9】 図9A及び9Bは、ヒトのE3ユビキチンリガーゼ(配列番号15)をコード
化するポリヌクレオチドの配列を表わすものである。
【図10】 図10は、ヒトのE3ユビキチンリガーゼのタンパク質配列(配列番号16)
を表わすものである。
【図11】 図11A〜11Cは、E3ユビキチンリガーゼ群のものの結合及びユビキチン
化特異性を示すウェスタンブロットである。
【図12】 図12A及び12Bは、Δβ−TrCP、優性のネガティブ分子の過剰発現に
よるIκBα分解及びNF−κB活性化の阻害を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 A61P 31/12 4C084 A61P 29/00 35/00 4C085 31/12 37/00 4C086 35/00 C07K 16/40 4H045 37/00 C12N 1/15 C07K 16/40 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 9/00 1/21 C12Q 1/25 5/10 C12P 21/08 9/00 C12N 15/00 ZNAA C12Q 1/25 5/00 A // C12P 21/08 A61K 37/60 ZCC (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 マニング,アンソニー,エム. アメリカ合衆国,カリフォルニア 92129, サン ディエゴ,ゴールドフィッシュ コ ート 12333 (72)発明者 メルキュリオ,フランク アメリカ合衆国,カリフォルニア 92130, サン ディエゴ,カーメル ビュー ロー ド 3674 (72)発明者 アミット,シャロン イスラエル,エルサレム 91042,ピー. オー.ボックス 4279,イスーム リサー チ デベロップメント カンパニー オブ ザ ヘブライ ユニバーシティ オブ エルサレム (72)発明者 ベン−ネリアー,イノン イスラエル,シオン 90805,メヴォ ダ ブデヴァン 5 (72)発明者 デーヴィス,マッティー イスラエル,エルサレム 97890,パリア ム ストリート 40 (72)発明者 ハツバイ,アダ イスラエル,エルサレム 91042,ピー. オー.ボックス 4279,イスーム リサー チ デベロップメント カンパニー オブ ザ ヘブライ ユニバーシティ オブ エルサレム (72)発明者 ラヴォン,イリス イスラエル,メヴァセレット シオン 90805,ハーモン ストリート 38 (72)発明者 ヤロン,アブラハム イスラエル,エルサレム 93107,エミル ゾラ 1 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA07 BA44 CA04 DA02 DA05 DA11 EA04 GA11 HA01 HA11 4B050 CC03 CC04 DD07 LL01 LL03 4B063 QA01 QQ01 QQ08 QR20 QR33 QR59 QR77 QR80 QS05 QS25 QX07 4B064 AG27 CA10 CA20 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA57X AA87X AA88Y AB01 AB02 BA02 BA04 BA08 CA27 CA44 4C084 AA01 AA02 AA07 AA13 BA22 CA18 CA27 DC28 MA01 MA17 MA22 MA23 MA55 MA66 NA14 ZB022 ZB112 ZB262 ZB332 4C085 AA13 AA14 AA32 BB01 CC22 CC23 EE01 EE07 GG02 GG03 GG04 GG06 KA04 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 MA01 MA05 MA56 MA66 ZB02 ZB11 ZB26 ZB33 4H045 AA11 AA20 AA30 CA40 DA76 EA20 FA72 FA74

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリペプチドがリン酸化IκBのユビキチン化を促進するよ
    うな、配列番号16に列挙される配列または配列番号16の20%以下の残基で
    一以上のアミノ酸の欠失、挿入または置換により異なるこの変異体を有する単離
    されたポリペプチド。
  2. 【請求項2】 配列番号16に列挙されるヒトのE3ユビキチンリガーゼ配
    列の一部またはこの変異体からなり、該一部がリン酸化IκBに結合しかつリン
    酸化IκBのユビキチン化を阻害する単離されたポリペプチド。
  3. 【請求項3】 全長のヒトのE3ユビキチンリガーゼをコード化しない、請
    求項1に記載のポリペプチドをコード化する単離されたポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載のポリペプチドをコード化する単離されたポ
    リヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載のポリヌクレオチドに相補的な少なくとも1
    0個の連続したヌクレオチドからなるアンチセンスポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 請求項3〜5のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドから
    なる発現ベクター。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の発現ベクターで形質転換されたまたはトラ
    ンスフェクションされた宿主細胞。
  8. 【請求項8】 (a)ポリペプチドがリン酸化IκBのユビキチン化を促進
    するような、配列番号16に列挙される配列または配列番号16の20%以下の
    残基で一以上のアミノ酸の挿入、欠失、付加若しくは置換により異なるこの一部
    若しくは変異体からなる、ヒトのE3ユビキチンリガーゼポリペプチド;および (b)生理学的に許容できる担体 からなる薬剤組成物。
  9. 【請求項9】 (a)ポリペプチドがリン酸化IκBに結合しかつリン酸化
    IκBのユビキチン化を阻害するような、配列番号16に列挙される配列の一部
    、または一以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失若しくは付加により異なるこの変
    異体からなる、ヒトのE3ユビキチンリガーゼポリペプチド;および (b)生理学的に許容できる担体 からなる薬剤組成物。
  10. 【請求項10】 (a)ポリペプチドがリン酸化IκBのユビキチン化を促
    進するような、配列番号16に列挙される配列または配列番号16の20%以下
    の残基で一以上のアミノ酸の挿入、欠失、付加若しくは置換により異なるこの一
    部若しくは変異体からなる、ヒトのE3ユビキチンリガーゼポリペプチドをコー
    ド化するポリヌクレオチド;および (b)生理学的に許容できる担体 からなる薬剤組成物。
  11. 【請求項11】 (a)ポリペプチドがリン酸化IκBに結合しかつリン酸
    化IκBのユビキチン化を阻害するような、配列番号16に列挙される配列の一
    部、または一以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失若しくは付加により異なるこの
    変異体からなる、ヒトのE3ユビキチンリガーゼポリペプチドをコード化するポ
    リヌクレオチド;および (b)生理学的に許容できる担体 からなる薬剤組成物。
  12. 【請求項12】 (a)請求項5に記載のアンチセンスポリヌクレオチド;
    および (b)生理学的に許容できる担体 からなる薬剤組成物。
  13. 【請求項13】 配列番号16に列挙されるヒトのE3ユビキチンリガーゼ
    配列に結合する、単離された抗体、またはこれの抗原結合断片。
  14. 【請求項14】 該抗体はモノクローナル抗体である、請求項13に記載の
    抗体またはその断片。
  15. 【請求項15】 請求項13に記載の抗体またはその断片を生理学的に許容
    できる担体と組合わせてなる薬剤組成物。
  16. 【請求項16】 患者のNF−κBの活性を調節するための薬剤の製造にお
    ける使用を目的とする、薬剤の製造に使用される、請求項8〜12のいずれか一
    項または請求項15に記載の患者用薬剤組成物。
  17. 【請求項17】 NF−κBの活性化に関連する疾患に苦しめられる患者を
    処置するための薬剤の製造における使用を目的とする、薬剤の製造に使用される
    、請求項8〜12のいずれか一項または請求項15に記載の薬剤組成物。
  18. 【請求項18】 該疾患は炎症性疾患、自己免疫疾患、癌及びウィルス感染
    からなる群より選ばれる、請求項17に記載の組成物。
  19. 【請求項19】 (a)ポリペプチド及び候補薬剤間の相互作用を可能にす
    るのに十分な条件下及び時間、候補薬剤を、ポリペプチドがリン酸化IκBのユ
    ビキチン化を促進するような、ポリペプチドが配列番号16に列挙される配列ま
    たは一以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失若しくは付加により異なるこの一部若
    しくは変異体からなる、ヒトのE3ユビキチンリガーゼポリペプチドと接触させ
    ;さらに (b)その後、候補薬剤の不存在下でリン酸化IκBのユビキチン化を促進す
    る当該ポリペプチドの所定の能力に対する、リン酸化IκBのユビキチン化を促
    進する当該ポリペプチドの能力を評価し; これによりNF−κB活性を調節する薬剤を同定する段階からなる、 NF−κB活性を調節する薬剤をスクリーニングする方法。
  20. 【請求項20】 該候補薬剤はコンビナトリアルライブラリー内に存在する
    小分子である、請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 ポリペプチドがリン酸化IκBのユビキチン化を促進する
    ような、β−TrCPタンパク質(配列番号18)、または配列番号18の20
    %以下の残基で一以上のアミノ酸の挿入、欠失、付加若しくは置換により異なる
    この一部若しくは変異体からなるポリペプチドを患者に投与し、これにより患者
    のNF−κB活性を調節することからなる、患者のNF−κB活性の調節方法。
  22. 【請求項22】 NF−κBの活性化に関連する疾患に苦しめられる患者を
    処置するための薬剤の製造における使用を目的とする、薬剤の製造に使用される
    、治療上有効な量の、ポリペプチドがリン酸化IκBのユビキチン化を促進する
    ような、β−TrCPタンパク質(配列番号18)、または配列番号18の20
    %以下の残基で一以上のアミノ酸の挿入、欠失、付加若しくは置換により異なる
    この一部若しくは変異体からなるポリペプチド。
  23. 【請求項23】 該疾患は炎症性疾患、自己免疫疾患、癌及びウィルス感染
    からなる群より選ばれる、請求項22に記載のポリペプチド。
  24. 【請求項24】 (a)ポリペプチド及び候補薬剤間の相互作用を可能にす
    るのに十分な条件下及び時間、候補薬剤を、ポリペプチドがリン酸化IκBのユ
    ビキチン化を促進するような、β−TrCPタンパク質(配列番号18)、また
    は配列番号18の20%以下の残基で一以上のアミノ酸の挿入、欠失、付加若し
    くは置換により異なるこの一部若しくは変異体からなるポリペプチドと接触させ
    ;さらに (b)その後、候補薬剤の不存在下でリン酸化IκBのユビキチン化を促進す
    るポリペプチドの所定の能力に対する、リン酸化IκBのユビキチン化を促進す
    る当該ポリペプチドの能力を評価し; これによりNF−κB活性を調節する薬剤を同定する段階からなる、 NF−κB活性を調節する薬剤をスクリーニングする方法。
  25. 【請求項25】 該候補薬剤はコンビナトリアルライブラリー内に存在する
    小分子である、請求項24に記載の方法。
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