JP2002538771A - Hiv−1の融合及び付着の相乗的阻害、そのための組成物および抗体 - Google Patents

Hiv−1の融合及び付着の相乗的阻害、そのための組成物および抗体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】HIV−1の融合及び付着の相乗的阻害、そのための組成物および抗体 【解決手段】本発明は、HIV-1感染を阻害するための組成物であって、HIV-1感染を阻害するために相乗的に有効な量の少なくとも二つの化合物を含有し、これら化合物の少なくとも一つは、HIV-1およびHIV-1融合の共同受容体の間の増殖的相互作用を阻害する組成物を提供する。本発明はまた、HIV-1またはHIV-1エンベロープ糖タンパク質細胞の標的細胞への融合を阻害する組成物であって、HIV-1またはHIV-1エンベロープ糖タンパク質+細胞の標的細胞への融合を阻害するために相乗的に有効な量の少なくとも二つの化合物を含有し、これら化合物の少なくとも一つは、HIV-1およびHIV-1融合の共同受容体の間の増殖的相互作用を阻害する組成物を提供する。本発明はまた、HIV-1に罹患した患者を治療する方法であって、前記患者に対して、前記組成物を投与することを含む方法を提供する。本発明はまた、患者がHIV-1に罹患するのを予防する方法であって、前記患者に対して、有効投与量の請求項1または2に記載の組成物を投与することを含む方法を提供する。本発明はまた、PA8、PA9、PA10、PA11、PA12、およびPA14からなる群から選択される抗CCR5モノクローナル抗体を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本願は、1998年12月16日に出願された米国出願第09/212,79
3号、及び1998年12月16日に出願された米国仮出願第60/112,5
32号の優先権を主張し、それらの内容を参考文献として本明細書に組み込む。
【0002】 本出願を通じて、様々な文献がアラビア数字によって参照される。これらの文
献の完全な引用は、特許請求の直前にある明細書の末尾に記載されているであろ
う。本発明が属する技術分野をより完全に記載するために、これらの文献の開示
内容を参考文献として本明細書に組み込む。
【0003】
【発明の背景】
ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)は、ウイルス−細胞膜融合を誘導し
て、標的細胞の中に侵入する(8、15、66)。ビリオンと細胞表面との最初
の高親和性の相互作用は、ウイルス表面糖タンパク質gp120のCD4抗原へ
の結合である(13、30、41、42)。続いて、これは、gp120の高次
構造の変化をもたらし、それにより、幾つかのケモカイン受容体のうちの1つと
相互作用することが可能となる(4、5、21、36)。CC−ケモカイン受容
体CCR5は、主要なマクロファージ指向性(R5)の株に対する補助受容体(
co−receptor)であり、HIV−1の性的伝染において決定的な役割
を果たしている(4、5、21、36)。T細胞系指向性(X4)ウイルスは、
CXCR4を使用して標的細胞に侵入し、通常(常にではない)、病状の進行し
た後期に出現するか、又は組織培養におけるウイルス増殖の結果として出現する
(4、5、21、36)。幾つかの一次HIV−1分離株は、常に同じ効率とい
うわけではないが、両補助受容体を使用することができるので(11、57)、
二重指向性(R5X4)である。突然変異導入実験をgp120コア結晶構造の
解析と組み合わせることによって、gp120上の補助受容体結合部位は、数個
の保存された残基を包含していることが実証された(32、53、65)。
【0004】 CCR5のアミノ末端ドメイン(Nt)中のチロシン及び負に帯電した残基が
、gp120の補助受容体への結合、及びHIV−1の融合と侵入に不可欠であ
ることが実証されている(6、18、20、22、28、31、52、54)。
CCR5の細胞外ループ(ECL;extracellular loop)1
〜3の中に存在する残基は、補助受容体の機能に不可欠というわけではないが、
ウイルスの融合と侵入を最適にするためには、CCR5のドメイン間立体配置が
、保持される必要がある(24)。これにより、gp120は、ECL上の拡散
性表面との相互作用を形成するか、又はECL中の残基との結合によって、Nt
の機能的な高次構造が維持されるという結論が導かれる。キメラ補助受容体と抗
CCR5モノクローナル抗体を用いた研究も、ウイルスの侵入おける、細胞外ル
ープの重要性を示している(5、54、64)。
【0005】 CCR5及びCXCR4に特異的に結合し、それらのリガンドとの相互作用を
遮断する分子は、補助受容体の構造機能相関をさらに探るための強力なツールで
ある。このような化合物を同定することは、補助受容体を介したウイルスの侵入
工程を標的とする効果的な治療剤をデザインするのにも役立ち得るであろう。こ
れまでに同定されたCCR5又はCXCR4補助受容体機能の阻害剤は、実際に
は多岐にわたり、小分子、ペプチド、ケモカインとそれらの誘導体、及びモノク
ローナル抗体(mABs)が含まれる。CXCR4補助受容体の機能を妨害する
ことによって、侵入を遮断する小分子の作用機序は、よく理解されていない(1
7、49、55、68)。このような阻害剤の1つである、陰イオン性の小分子
AMD3100は、CXCR4のECL2の中の残基及び第4膜貫通(TM;t
rans−membrane)ドメインに依存してウイルスの侵入を阻害するが
、gp120のCXCR4への結合を破壊することによって、ウイルスの侵入を
阻止するのか、膜融合に至る結合後の段階を妨害することによって、ウイルスの
進入を阻止するのかは定かでない(16、34、55)。これまでのところ、C
CR5を介したHIV1の侵入を特異的にブロックする小分子は報告されていな
い。ケモカインによるHIV−1の侵入の阻害は、gp120と補助受容体の相
互作用の妨害、及びケモカインと受容体の複合体の取り込みという少なくとも2
つの別個の機序によって媒介される(3、26、59、63)。変異形AOP−
ランテスは、CCR5の細胞表面へのリサイクルも阻害する(40、56)。ラ
ンテス9−68及びMet−ランテスのような変異形は、gp120/CCR5
相互作用を阻止するにすぎず、CCR5をダウンレギュレートするわけではない
(67)。SDF−1変異形は、おそらく、同様の機序を介して作用し、CXC
R4によって媒介されるウイルスの侵入をブロックする(12、27、39)。
抗ウイルス特性を有する抗CXCR4mAbとしては、12G5のみが同定され
ている。12G5によるウイルスの侵入阻害効率は、細胞と分離株の両者に依存
すると報告されている(43、58)。このmAbは、CXCR4のECL2に
結合するが、侵入を阻害する機序は不明である(7)。これまでに同定された抗
CCR5mAbには、HIV−1の侵入を効率的に阻止するものは殆ど存在しな
い(28、64)。興味深いことに、gp120結合部位を含有するCCR5の
Ntドメイン中にエピトープが存在するmAbは、エピトープがECL2に存在
するmAbである2D7よりも、効率的に、ウイルスの融合と侵入を阻害できな
い。2D7は、CC−ケモカイン活性も拮抗する(64)。
【0006】 PA8、PA9、PA10、PA11、PA12、及びPA14と表記される
一群の6つのマウスmAbを単離し、それらの性質を決定した。6つのmAbは
全て、異なる効率でCCR5細胞に特異的に結合し、その効率は細胞の種類に
依存していた。エピトープマッピング研究によって、mAbの結合に重要な残基
が同定され、CCR5細胞外ドメインの折り畳みと相互作用についての情報も明
らかとなった。全てのmAbは、HIV−1の融合と侵入を阻害したが、mAb
が融合と侵入を阻害する能力と、gp120/sCD4のCCR5細胞への結
合を阻害する能力の間には、全く相関関係は存在しなかった。
【0007】
【発明の概要】
本発明は、HIV−1感染を阻害するための組成物であって、HIV−1感染
を阻害するのに相乗的に有効な量の少なくとも2つの化合物を含み、前記化合物
のうちの少なくとも1つが、HIV−1とHIV−1融合補助受容体との増殖性
相互作用を妨げる組成物を提供する。
【0008】 本発明は、HIV−1又はHIV−1エンベロープ糖タンパク質細胞の標的
細胞への融合を阻害する組成物であって、HIV−1又はHIV−1エンベロー
プ糖タンパク質細胞の標的細胞への融合を阻害するのに相乗的に有効な量の少
なくとも2つの化合物を含み、前記化合物のうちの少なくとも1つが、HIV−
1とHIV−1融合補助受容体との増殖性相互作用を妨げる組成物も提供する。
【0009】 本発明は、HIV−1に罹患した患者を治療する方法であって、有効量の前記
組成物を前記患者に投与することを備えた方法も提供する。
【0010】 本発明は、対象がHIV−1に罹患するのを予防する方法であって、有効量の
前記組成物を前記対象に投与することを備えた方法も提供する。
【0011】 本発明は、PA8、PA9、PA10、PA11、PA12、及びPA14か
らなる群から選択される抗CCR5モノクローナル抗体も提供する。
【0012】
【発明の詳細な記述】
本発明は、HIV−1感染を阻害するための組成物であって、HIV−1感染
を阻害するのに相乗的に有効な量の少なくとも2つの化合物を含み、前記化合物
のうちの少なくとも1つが、HIV−1とHIV−1融合補助受容体との増殖性
相互作用を妨げる組成物を提供する。
【0013】 本明細書で使用する「組成物」とは、混合物を意味する。組成物には、患者へ
の経口、直腸、膣内、局所、鼻、眼、又は非経口投与に適したものが含まれるが
、それらに限定されない。本明細書で使用する「非経口」には、皮下、静脈内、
筋肉内、又は胸骨内注射又は注入手法が含まれるが、それらに限定されない。
【0014】 本明細書で使用する「HIV−1」とは、ヒト免疫不全ウイルス1型を意味す
る。HIV−1には、HIV−1に感染した細胞内に見出されるHIV−1の細
胞外ウイルス粒子及び形態が含まれるが、それらに限定されない。
【0015】 本明細書で使用する「HIV−1感染」とは、例えば、標的細胞膜のHIV−
1又はHIV−1エンベロープ糖タンパク質細胞との融合による、HIV−1
遺伝情報の標的細胞中への導入を意味する。標的細胞は、患者の身体の細胞であ
り得る。好ましい態様では、前記標的細胞は、ヒト患者からの身体の細胞である
【0016】 本明細書で使用する「HIV−1感染を阻害する」とは、前記組成物がない場
合に導入されるであろう量と比べて、標的細胞集団に導入されたHIV−1の遺
伝情報の量が減少することを意味する。
【0017】 本明細書で使用する「化合物」とは、ペプチド、ポリペプチド、及び他の有機
又は無機分子、及びそれらの組合せを含む(これらに限定されない)分子体(m
olecular entity)を意味する。
【0018】 本明細書で使用する「相乗的に有効な」とは、組み合わせて使用したときに、
化合物の総効果が、各別に使用したときのそれらの加算的効果よりも大きいこと
を意味する。
【0019】 本明細書で使用する「増殖性相互作用(productive intera
ction)」とは、HIV−1とHIV−1補助受容体の相互作用が、前記H
IV−1又はHIV−1エンベロープ糖タンパク質細胞と補助受容体を有する
膜との融合をもたらすであろうということを意味する。
【0020】 本明細書で使用する「増殖性相互作用を妨げる」とは、相互作用の量が、化合
物がない場合に生じるであろう量と比べて減少することを意味する。前記相互作
用は、補助受容体又はHIV−1上の相互作用領域をマスクし、若しくは変化さ
せることによって、又は補助受容体の発現、凝集、コンフォメーション、又は会
合状態を変化させることによって妨げられ得る。
【0021】 本明細書で使用する「HIV−1融合補助受容体」とは、前記受容体を発現す
る標的細胞とHIV−1又はHIV−1エンベロープ糖タンパク質細胞との融
合を媒介する細胞の受容体を意味する。HIV−1融合補助受容体には、CCR
5、CXCR4、及び他のケモカイン受容体が含まれるが、これらに限定されな
い。
【0022】 本発明は、HIV−1又はHIV−1エンベロープ糖タンパク質細胞の標的
細胞への融合を阻害する組成物であって、HIV−1又はHIV−1エンベロー
プ糖タンパク質細胞の標的細胞への融合を阻害するのに相乗的に有効な量の少
なくとも2つの化合物を含み、前記化合物のうちの少なくとも1つが、HIV−
1とHIV−1融合補助受容体との増殖性相互作用を妨げる組成物も提供する。
【0023】 本明細書で使用する「融合」とは、哺乳動物の細胞又はHIV−1のようなウ
イルス上に存在する脂質二重膜の併合(joining)又は合体(union
)を意味する。本工程は、HIV−1の標的細胞への付着(attachmen
t)とは異なる。付着は、HIV−1外部糖タンパク質のヒトCD4受容体(こ
れは、融合補助受容体ではない)への結合によって媒介される。
【0024】 本明細書で使用する「阻害する」とは、阻害物がない場合に起こるであろう量
と比べて、量が減少することを意味する。
【0025】 本明細書で使用する「標的細胞」とは、HIV−1又はHIV−1感染細胞に
よって感染され得る、又はHIV−1又はHIV−1感染細胞と融合し得る細胞
を意味する。
【0026】 本明細書で使用する「ケモカイン」とは、白血球の移動を刺激することができ
るサイトカインを意味する。それらは、アミノ末端の2つのシステイン残基が直
接隣接しているか、1つのアミノ酸によって隔てられているかに応じて、cys
−cys又はcys−X−cysの何れかと特定され得る。ランテス、MIP−
1α、MIP−1β、SDF−1、又はHIV−1感染をブロックする他のケモ
カインが含まれるが、それらに限定されない。
【0027】 上記組成物のある態様においては、前記補助受容体は、ケモカイン受容体であ
る。上記組成物の好ましい態様においては、前記ケモカイン受容体は、CCR5
又はCXCR4である。幾つかの他のケモカイン及び関連受容体は、CCR2、
CCR3、CCR8、STRL33、GPR−15、CX3CR1、及びAPJ
を含む(これらに限定されない)HIV補助受容体として機能することが知られ
ている(69)。
【0028】 本明細書で使用する「ケモカイン受容体」とは、ケモカインを結合する7回膜
貫通細胞表面タンパク質の相同なファミリーのメンバーを意味する。
【0029】 本明細書で使用する「CCR5」とは、ケモカインのC−C基のメンバーを結
合し、そのアミノ酸配列が、Genbank受付番号1705896に提供され
たアミノ酸配列を含むケモカイン受容体及び関連の多型変異種である。
【0030】 本明細書で使用する「CXCR4」とは、ケモカインのC−X−C基のメンバ
ーを結合し、そのアミノ酸配列が、Genbank受付番号400654に提供
されたアミノ酸配列を含むケモカイン受容体及び関連する多型変異種である。
【0031】 上記組成物のある態様では、少なくとも1つの化合物は、非ペプチド分子であ
る。ある態様では、前記非ペプチド分子は、二環(bicyclam)化合物A
MD3100である(16)。
【0032】 本明細書で使用する「非ペプチド分子」とは、その全体が、ペプチド結合によ
って連結されたアミノ酸の直鎖配列からならない分子を意味する。しかしながら
、非ペプチド分子は、1以上のペプチド結合を含有してもよい。
【0033】 上記組成物のある態様では、前記化合物のうちの少なくとも1つは、抗体であ
る。ある態様では、前記抗体は、モノクローナル抗体である。別の態様では、前
記抗体は、抗ケモカイン受容体抗体である。ある態様では、前記抗体は、抗CX
CR4抗体である。さらなる態様では、抗CXCR4抗体は、12G5である(
43)。好ましい態様では、前記抗体は、抗CCR5抗体である。前記抗CCR
5抗体には、PA8、PA9、PA10、PA11、PA12、PA14、及び
2D7が含まれるが、これらに限定されない。該組成物の中で、前記化合物は、
適切な比率である。前記比率は1:1〜1000:1にわたる。
【0034】 以下の受付番号:ATCC受付番号HB−12605(PA8)、ATCC受
付番号HB−12606(PA9)、ATCC受付番号HB−12607(PA
10)、ATCC受付番号HB−12608(PA11)、ATCC受付番号H
B12609(PA12)、ATCC受付番号HB−12610(PA14)で
、1998年12月2日、バージニア州20110−2209、マナサス、ユニ
バーシティー・ブルバード10801のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレ
クション(ATCC)に、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダ
ペスト条約の要件に従い、これを充足するために、モノクローナル抗体、PA8
、PA9、PA10、PA11、PA12、及びPA14を寄託した。
【0035】 上記組成物の別の態様では、2以上の上記化合物が抗体である。本発明のある
態様では、前記抗体には、PA8、PA9、PA10、PA11、PA12、P
A14、及び2D7が含まれるが、これらに限定されない。該組成物では、前記
抗体は、適切な比率である。前記比率は1:1〜50:1にわたる。
【0036】 本明細書で使用する「抗体」とは、2つの重鎖と2つの軽鎖を備え、抗原を認
識する免疫グロブリン分子を意味する。免疫グロブリン分子は、IgA、分泌型
IgA、IgG、及びIgMを含む一般的に知られたクラスの何れに由来しても
よいが、それらに限定されない。IgGサブクラスも、当業者に周知であり、ヒ
トIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4が含まれるが、それらに限定さ
れない。例えば、天然の抗体と非天然の抗体の両者が含まれる。具体的には、「
抗体」には、ポリクローナルとモノクローナル抗体が含まれ、1価及び2価のそ
れらの断片が含まれる。さらに、「抗体」には、キメラ抗体、完全な合成抗体、
単鎖抗体、及びそれらの断片が含まれる。必要に応じて、抗体には、検出可能な
マーカーを標識してもよい。検出可能なマーカーには、例えば、放射性のマーカ
ー又は蛍光マーカーが含まれる。前記抗体は、ヒト又は非ヒト抗体であり得る。
前記非ヒト抗体は、ヒトでの免疫原性を減少させるために、組換法によってヒト
化してもよい。抗体をヒト化する方法は、当業者に公知である。
【0037】 本明細書で使用する「モノクローナル抗体」は、mAbとも表記され、その一
次配列が、本質的に同一で、同一の抗原性特異性を示す抗体分子を表すために使
用される。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、トランスジェニッ
ク、又は当業者に公知である他の手法によって作成され得る。
【0038】 本明細書で使用する「抗ケモカイン受容体抗体」とは、ケモカイン受容体上の
エピトープを認識して結合する抗体を意味する。本明細書で使用する「抗CCR
5抗体」とは、CCR5ケモカイン受容体上のエピトープを認識して結合するモ
ノクローナル抗体を意味する。
【0039】 本明細書で使用する「適切な比率」とは、前記化合物が、相乗的に有効である
重量又はモル比を意味する。
【0040】 上記組成物のある態様では、少なくとも1つの化合物は、ケモカイン又はケモ
カイン誘導体である。ケモカインには、ランテス、MIP−1α、MIP−1β
、SDF−1、又はそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されない。本組
成物において、前記化合物は、適切な比率である。ケモカイン誘導体には、Me
t−ランテス、AOP−ランテス、ランテス 9−68、又はそれらの組合せが
含まれるが、それらに限定されない。
【0041】 本明細書で使用する「ケモカイン誘導体」とは、化学的に修飾されたケモカイ
ンを意味する。化学的な修飾には、アミノ酸の置換、付加、又は欠失、非ペプチ
ド性付加、又は酸化が含まれるが、これらに限定されない。当業者であれば、こ
のような誘導体を作成することができるであろう。
【0042】 上記組成物の別の態様では、少なくとも1つの抗体が抗体であり、少なくとも
1つの化合物がケモカイン又はケモカイン誘導体である。該組成物では、前記化
合物は、適切な比率である。前記比率は100:1〜1000:1にわたる。
【0043】 上記組成物の別の態様では、少なくとも1つの化合物は、HIV−1エンベロ
ープ糖タンパク質のgp41サブユニットに結合する。ある態様では、少なくと
も1つの化合物は、HIV−1の侵入のT−20ペプチド阻害剤である(70)
【0044】 上記組成物の別の態様では、少なくとも1つの化合物は、HIV−1の標的細
胞への付着を阻害する。ある態様では、少なくとも1つの化合物は、CD4を結
合する。ある態様では、少なくとも1つの化合物は、HIV−1エンベロープ糖
タンパク質である。ある態様では、少なくとも1つの化合物は、抗CD4抗体で
ある。ある態様では、少なくとも1つの化合物は、HIV−1エンベロープ糖タ
ンパク質に結合する。ある態様では、少なくとも1つの化合物は、HIV−1エ
ンベロープ糖タンパク質に対する抗体である。ある態様では、少なくとも1つの
化合物は、CD4をベースとするタンパク質である。ある態様では、少なくとも
1つの化合物は、CD4−IgG2である。
【0045】 上記組成物の別の態様では、少なくとも1つの化合物は抗体であり、少なくと
も1つの化合物はHIV−1エンベロープ糖タンパク質に結合する。ある態様で
は、前記化合物は、CD4をベースとするタンパク質である。ある態様では、前
記化合物は、CD4−IgG2である。該組成物では、前記化合物は、適切な比
率である。前記比率は、1:1〜10:1にわたる。
【0046】 本明細書で使用する「付着」とは、HIV−1エンベロープ糖タンパク質のヒ
トCD4受容体(これは、融合補助受容体ではない)への結合によって媒介され
る過程を意味する。
【0047】 本明細書で使用する「CD4」とは、細胞質ドメイン、疎水性膜貫通ドメイン
、及びHIV−1 gp120エンベロープ糖タンパク質に結合する細胞外ドメ
インを含む成熟した、ネイティブの、膜結合型CD4タンパク質を意味する。
【0048】 本明細書で使用する「HIV−1エンベロープ糖タンパク質」とは、gp12
0表面タンパク質、gp41膜貫通タンパク質、及びオリゴマー、並びにそれら
の前駆体を含む、HIV−1によってコードされたタンパク質を意味する。
【0049】 本明細書で使用する「CD4をベースとするタンパク質」とは、CD4がHI
V−1 gp120エンベロープ糖タンパク質と複合体を形成するのに必要とさ
れるCD4のその部分に対応する、少なくとも1つのアミノ酸残基の配列を備え
た任意のタンパク質を意味する。
【0050】 本明細書で使用する「CD4−IgG2」とは、ATCC受付番号75193
及び75194で寄託された発現ベクターによってコードされたヘテロ四量体の
CD4−ヒトIgG2融合タンパク質を意味する。
【0051】 上記組成物のある態様では、少なくとも1つの前記化合物は、CCR5エピト
ープに結合するポリペプチドを備える。ある態様では、前記エピトープは、N末
端、3つの細胞外ループ領域のうちの1つ、又はそれらの組合せの中に位置する
。ある態様では、前記エピトープは、N末端中に位置する。前記エピトープは、
N末端中にN13とY15を含み得る。前記エピトープは、N末端中にQ4を含
み得る。別の態様では、前記エピトープは、N末端と第2細胞外ループに残基を
含む。前記エピトープは、N末端にD2、Y3、Q4、S7、P8、及びN13
を、第2細胞外ループにY176及びT177を含み得る。前記エピトープは、
N末端にD2、Y3、Q4、P8、及びN13を、第2細胞外ループにY176
とT177を含み得る。前記エピトープは、N末端中にD2を、第2細胞外ルー
プにR168とY176を含み得る。ある態様では、前記エピトープは、前記第
2細胞外ループ中に位置する。前記エピトープは、第2細胞外ループ中にQ17
0とK171を含み得る。前記エピトープは、第2細胞外ループ中にQ170と
E172を含み得る。
【0052】 本明細書を通じて、特定のアミノ酸を表記するために、以下の標準的な略号を
使用する。
【0053】 A=ala=アラニン R=arg=アルギニン N=asn=アスパラギン D=asp=アスパラギン酸 C=cys=システイン Q=gln=グルタミン E=glu=グルタミン酸 G=gly=グリシン H=his=ヒスチジン I=ile=イソロイシン L=leu=ロイシン K=lys=リシン M=met=メチオニン F=phe=フェニルアラニン P=pro=プロリン S=ser=セリン T=Thr=トレオニン W=trp=トリプトファン Y=tyr=チロシン V=val=バリン 本明細書で使用する「ポリペプチド」とは、ペプチド結合によって連結された
2以上のアミノ酸を意味する。
【0054】 本明細書で使用する「エピトープ」とは、抗体又はその他の化合物を結合する
ための表面を形成する1又は複数の分子の部分を意味する。エピトープは、連続
した、若しくは連続していないアミノ酸、炭水化物、又は他の非ペプチド部分、
又はオリゴマー特異的な表面を有し得る。
【0055】 本明細書で使用する「N末端」とは、開始メチオニンと第1膜貫通領域にわた
るアミノ酸の配列を意味する。
【0056】 本明細書で使用する「第2細胞外ループ」とは、第4及び第5膜貫通領域にわ
たり、表面上に提示されるアミノ酸の配列を意味する。
【0057】 上記組成物のある態様では、少なくとも1つの前記化合物は、抗体の軽鎖を備
える。上記組成物の別の態様では、少なくとも1つの前記化合物は、抗体の重鎖
を備える。上記組成物の別の態様では、少なくとも1つの前記化合物は、抗体の
Fab部分を備える。上記組成物の別の態様では、少なくとも1つの前記化合物
は、抗体の可変ドメインを備える。別の態様では、前記抗体は、単一のポリペプ
チドとして、すなわち、介在するアミノ酸の配列を介して遺伝的に連結された重
鎖及び軽鎖可変ドメインを備えた「単鎖」抗体として作成される。上記組成物の
別の態様では、少なくとも1つの前記化合物は、抗体の1以上のCDR部分を備
える。
【0058】 本明細書で使用する「重鎖」とは、1つの可変ドメイン(VH)及び3若しく
は4つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3、及びCH4)又はそれらの断
片から構成される、抗体分子の大きい方のポリペプチドを意味する。
【0059】 本明細書で使用する「軽鎖」とは、1つの可変ドメイン(VL)及び1つの定
常ドメイン(CL)、又はそれらの断片から構成される、抗体分子の小さい方の
ポリペプチドを意味する。
【0060】 本明細書で使用する「Fab」とは、1つの軽鎖と重鎖の一部からなる、抗原
を結合する免疫グロブリンの1価断片を意味する。これは、パパインで短時間消
化することによって、又は組換え法によって得ることができる。
【0061】 本明細書で使用する「F(ab’)2断片」とは、両軽鎖と両重鎖の一部から
なる、抗原を結合する免疫グロブリンの2価断片を意味する。これは、ペプシン
で短時間消化することによって、又は組換え法によって得ることができる。
【0062】 本明細書で使用する「CDR」又は「相補性決定領域」とは、抗体の可変ドメ
イン中に存在する高度に可変的なアミノ酸の配列を意味する。
【0063】 本発明は、上記組成物と薬学的に許容される担体を提供する。薬学的に許容さ
れる担体は、当業者に周知である。このような薬学的に許容される担体には、水
性又は非水性溶液、懸濁物、及びエマルジョンが含まれ得るが、これらに限定さ
れない。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
オリーブ油のような植物油、及びオレイン酸エチルのような注射可能な有機エス
テルである。水性担体には、水、アルコール/水溶液、エマルジョン、又は懸濁
物、生理的食塩水、及び緩衝化された溶媒が含まれる。非経口溶媒には、塩化ナ
トリウム溶液、リンゲルのデキストロース、デキストロースと塩化ナトリウム、
乳酸加リンゲル溶液、又は不揮発性油が含まれる。静脈内溶媒には、リンゲルの
デキストロースをベースとしたものなどの液体及び栄養素補給剤、電解質補給剤
が含まれる。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなどのような
他防腐剤及びその他の添加物が存在してもよい。
【0064】 本発明は、HIV−1に罹患した患者を治療する方法であって、有効量の上記
組成物を前記患者に投与することを備えた方法を提供する。
【0065】 本明細書で使用する「患者」とは、HIVに感染し得る任意の動物又は人工的
に修飾を加えた動物を意味する。人工的に修飾を加えた動物には、ヒトの免疫系
を有するSCIDマウスが含まれるが、これに限定されない。前記動物には、マ
ウス、ラット、イヌ、モルモット、フェレット、ウサギ、及び霊長類が含まれる
が、これらに限定されない。好ましい態様では、患者はヒトである。
【0066】 本明細書で使用する「治療する」とは、HIV疾患の進行を遅くし、停止させ
、又は回復させることの何れかを意味する。好ましい態様では、「治療する」と
は、前記疾患がなくなる地点まで進行を回復させることを意味する。本明細書で
使用する「治療する」とは、ウイルスの感染数の減少、感染性ウイルス粒子の数
の減少、ウイルスに感染した細胞の数の減少、又はHIV−1に随伴する症状の
改善も意味する。
【0067】 本明細書で使用する「HIV−1に罹患した」とは、患者が、HIV−1に感
染した細胞を少なくとも1つ有することを意味する。
【0068】 本明細書で使用する「投与」は、当業者に公知である任意の方法を用いて、実
施又は実行し得る。該方法には、静脈内、筋肉内、又は皮下手段が含まれ得る。
【0069】 本発明の組成物の用量は、患者、使用される投与経路に応じて、変動するであ
ろう。用量は、0.1〜100,000μg/kgの範囲であり得る。前記組成
物に応じて、前記投与は、例えば連続ポンプによって連続的に与えてもよく、あ
るいは、例えば、1以上の間を置いた時点に、一定の間隔で与えてもよい。ある
組成物の複数回投与における所望の時間間隔は、当業者によって、過度の試行錯
誤なく決定できる。
【0070】 本明細書で使用する「有効量」とは、患者を治療するか、又は患者がHIV−
1に感染するのを阻止するのに十分な量を意味する。当業者であれば、患者を治
療するのにどの程度の量が必要かを決定するために、簡易な滴定実験を行うこと
ができる。
【0071】 本発明は、対象がHIV−1に罹患するのを予防する方法であって、有効量の
上記組成物を前記対象に投与することを備えた方法を提供する。
【0072】 本明細書で使用する「HIV−1に罹患する」とは、HIV−1に感染し、そ
の遺伝情報が宿主細胞中で複製し、及び/又は宿主細胞中に取り込まれることを
意味する。
【0073】 本発明は、抗CCR5モノクローナル抗体を提供する。該抗体には、以下のも
の:PA8(ATCC受付番号HB−12605)、PA9(ATCC受付番号
HB−12606)、PA10(ATCC受付番号HB−12607)、PA1
1(ATCC受付番号HB−12608)、PA12(ATCC受付番号HB−
12609)、及びPA14(ATCC受付番号HB−12610)が含まれる
が、これらに限定されない。
【0074】 本発明は、ヒト化された形態の上記抗体を提供する。
【0075】 本明細書で使用する「ヒト化」とは、CDR領域外のアミノ酸の幾つか、殆ど
、又は全てが、ヒト免疫グロブリン分子由来の対応するアミノ酸で置換された抗
体を記載する。ヒト化された形態の前記抗体のある態様では、CDR領域外のア
ミノ酸の幾つか、殆ど、又は全てが、ヒト免疫グロブリン分子由来のアミノ酸で
置換されているが、1以上のCDR領域内の幾つか、殆ど、又は全てのアミノ酸
は、変化していない。ある抗原を結合する抗体の能力が失われなければ、アミノ
酸の些細な付加、欠失、挿入、置換又は修飾は差し支えない。適切なヒト免疫グ
ロブリン分子には、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、および
IgM分子が含まれるであろう。「ヒト化」抗体は、元の抗体、すなわち本発明
の抗体と、類似の抗原特異性、CCR5結合能を保持しているであろう。
【0076】 本発明は、これらの抗CCR5モノクローナル抗体又はそれらのヒト化された
形態をコードする単離された核酸分子を提供する。核酸分子は、RNA、DNA
、又はcDNAであり得る。ある態様では、前記核酸分子は、軽鎖をコードする
。ある態様では、前記核酸分子は、重鎖をコードする。ある態様では、前記核酸
は、重鎖と軽鎖をともにコードする。ある態様では、1以上の核酸分子が、Fa
b部分をコードする。ある態様では、1以上の核酸分子は、CDR部分をコード
する。ある態様では、核酸分子は、可変ドメインをコードする。
【0077】 本発明は、以下に記載された実験の詳細によって、よりよく理解できるであろ
う。しかしながら、当業者であれば、記載されている具体的な方法と結果は、そ
の後に記載された特許請求の範囲で、より完全に記載される本発明を説明するも
のにすぎないことを容易に理解できるであろう。
【0078】
【実験の詳細】
<A>.方法と材料 1)試薬 mAb 2D7はPharmingen(San Diego,CA)より購
入し、CC−及びCXC−ケモカインはR&D Systems(Minnea
polis,MN)より得た。CD4−IgG2(1)、可溶性CD4(2)、
及び組換えHIV−1JR−FL gp120は、Progenics Pha
rmaceuticals,Inc.によって産生された(59)。
【0079】 2)抗CCR5 mAbの単離及び精製 5mMの酪酸ナトリウム(CCR5の発現を制御するサイトメガロウイルス(C
MV)プロモーターからの転写を活性化する)の存在下で、16時間、L1.2
−CCR5細胞(63)をインキュベートし、細胞表面の補助受容体の密度を
10倍増加させた。雌のBalb/cマウスの腹腔内に、3週間間隔で、10 個のL1.2−CCR5細胞を免疫し、脾摘出の3日前に、静脈内に10
のL1.2−CCR5細胞を追加免疫した。脾細胞をSp2/0セルラインと
融合させた。一次スクリーニングでは、10,000のハイブリドーマ培養物の
上清を試験した。以前記載したように(19,38)、そのうち120が、共鳴
エネルギー移動(RET)アッセイにおける、HIV−1エンベロープによって
媒介されるPM1細胞(10)(元来CCR5とCD4を発現している)とHe
La−EnvJR−FL 細胞との融合を阻害した。最も強力に阻害する上清を
産生するとともに、CCR5細胞を染色するハイブリドーマを、限界希釈法に
よってサブクローニングした。腹水液は、Harlan Bioproduct
s for Science,Inc.(Indianapolis,IN)が
、抗−CCR5 mAb(PA8、PA9、PA10、PA11、PA12、及
びPA14)を産生するハイブリドーマを注射したBalb/cマウスから調製
した。硫安沈殿の後、プロテインAクロマトグラフィーによって、95%を超え
る均一性になるように、前記mAbを各別に精製した。最終濃度が5mg/mL
になるように、リン酸緩衝生理的食塩水(PBS)に全てのmAbを再懸濁した
【0080】 3)抗−CCR5 mAbの蛍光活性化セルソーター(FACS)分析とエピト ープマッピング mAb PA8〜PA12及びPA14のCCR5との細胞表面反応性を検出
するために、フローサイトメトリーを用いた。50μLのDulbecco’s
PBS(DPBS)中の0.1%アジ化ナトリウム(NaN)の中で、4℃
で20分間、酪酸ナトリウムで処理したL1.2−CCR5細胞(10)を
、抗体0.25μgとともにインキュベートした。前記CCR5 mAb 2D
7をポジティブコントロールとして使用し、非特異的マウスIgG1をネガティ
ブコントロールとして使用した。前記細胞を遠心沈殿し、洗浄し、一次抗体のイ
ンキュベーションと同じ条件で、1:100に希釈したフィコエリトリン(PE
)標識ヤギ抗マウスIgG(Caltag,Burlingame,CA)と、
インキュベートした。最後に、フローサイトメトリーによって、細胞を分析した
。末梢血単核球(PBMC)を単離し、以前記述したように刺激し(60)、同
様の方法を用いて染色した。
【0081】 前記抗CCR5 mAbのエピトープマッピングに同様の手順を用いた。70
のCCR5点変異体群が記載されている(20,24,52)。pcDNA3.
1ベクター(Stratagene)(転写は、5’T7−ポリメラーゼプロモ
ーターによって、ここから誘導され得る)の中に、これらのタンパク質のコード
配列をサブクローニングする。前記CCR5変異体は、細胞可溶化液中の、又は
フローサイトメトリーによるタンパク質の検出のために、C−末端に9残基のヘ
マグルチニン(HA)タグを有する。OPTI−MEM(Life Techn
ologies,Gaithersburg,MD)の中で、リポフェクチン2
0μg/mL及び、等量の野生型又は変異体CCR5を発現するプラスミドとと
もに、HeLa細胞(2x10)を5時間インキュベートした。その後、CC
R5の発現を強化するために、前記細胞を、2x10プラーク形成単位(p.
f.u)のvTF7(23)に12時間感染させ、2mMエチレンジアミン四酢
酸(EDTA)入りPBS中で剥離し、結合緩衝液(1% BSA、0.05% NaN入りDPBS)で一度洗浄した。前パラグラフに記載したように、m
Abを用いて細胞(1x10)表面を標識し、前記インキュベーションバッフ
ァーで一度洗浄し、前記細胞膜を透過性にするために、1xFACSlyse入
り水(Becton Dickinson)1mL中に、30分間、室温で再懸
濁した。その後、前記細胞を遠心沈殿し、前記インキュベーションバッファーで
洗浄し、細胞内標識のために、フルオレセイン イソチオシアネート(FITC
)標識マウス抗−HA mAb(BabCo,Richmond,CA)4μg
/mLとともに、1時間37℃でインキュベートした。最後に、結合バッファー
で一度、DPBSで一度、細胞を洗浄し、1%ホルムアミド入りPBS中に再懸
濁し、フローサイトメトリーによって分析した。式(変異体CCR5 PE m
.f.i/wt CCR5 PE m.f.i)/(変異体CCR5 FITC m.f.i./wt CCR5 FITC m.f.i)x100%によって
、変異体CCR5へのmAbの結合程度を決定した。これにより、mAbの結合
が、変異型補助受容体の発現レベルについて標準化される。
【0082】 4)gp120/sCD4−結合アッセイ 製造業者の説明書に従って、NHS−ビオチン(Pierce,Rockfo
rd,IL)を用いて、gp120をビオチン化し、ダイアフィルトレーション
によって、結合していないビオチンを除去した。0.1%NaN入りDPBS
中、様々な濃度の抗−CCR5 mAb PA8〜PA12、PA14、2D7
、又は非特異的マウスIgG1の存在下で、sCD4及びビオチン化gp120
の等モル混合物、又は、1.25μg/mLのsCD4と2.5μg/mLのビ
オチン化gp120を様々に希釈したものとともに、酪酸ナトリウム処理したL
1.2−CCR5細胞を1時間室温でインキュベートした。前記インキュベー
ションバッファーで細胞を洗浄し、1:50に希釈したストレプトアビジン−P
E(Becton Dickinson)とともに、1時間室温でインキュベー
トした。最後に、結合バッファーで細胞を洗浄し、蛍光プレートリーダー(Pe
rspective Biosystems,Framingham,MA)を
用いて分析した。
【0083】 5)抗−CCR5 mAbによる、エンベロープによって媒介される細胞−細胞 融合及びHIV−1の侵入の阻害 HIV−1のエンベロープによって媒介される、HeLa−EnvJR−FL とPM1細胞の融合を、前記RETアッセイを用いて検出した。96ウェルプ
レート中の15%ウシ胎児血清入りDPBSに、フルオレセイン オクタデシル
エステル(F18)で標識したエンベロープ発現細胞とオクタデシル ローダ
ミン(R18)で標識したPM1細胞とを、同数(2x10)播種し、様々な
濃度の抗−CCR5 mAb、PA8〜PA12、PA14、2D7、又は非特
異的マウスIgG1の存在下において、4時間、37℃でインキュベートした。
Cytofluorプレートリーダー(PerSeptive Biosyst
ems)を用いて、蛍光RETを測定し、以前記述されたように(38)、%R
ETを決定した。以前記述したように(20)、JR−FL又はGun−1のエ
ンベロープ糖タンパク質が、トランスで相補されたNLlucenvウイル
スを作成した。様々な濃度の前記各mAbの存在下で、U87MG−CD4
CR5細胞(14)を、50〜100ng/mLのp24を含有するキメラの
レポーターウイルスに感染させた。37℃で2時間後、ウイルス含有培地を、新
鮮なmAb含有培地と交換した。抗体を含有しない新鮮な培地を、12時間後に
再び添加した。計72時間後、溶解バッファー(Promega)100μlを
前記細胞に添加し、記載したように(20)、ルシフェラーゼ活性(r.l.u
.)を測定した。HIV−1感染の%阻害を、[1−(抗体存在下でのr.l.
u./抗体非存在下でのr.l.u.)]x100%と定義する。
【0084】 6)カルシウムシグナル伝達アッセイ 酪酸ナトリウム処理したL1.2−CCR5細胞に、蛍光色素Indo−l
AM(Molecular Probes,Eugene,OR)を、最終濃度
5μMで添加した。37℃で30分間、インキュベートした後、前記細胞を一度
洗浄し、Hankの緩衝化した生理食塩水に再懸濁した。抗−CCR5 mAb
又はPBSで、次に60秒後ランテスで、順次細胞(10)を刺激した。mA
b PA8〜PA12とPA14は100μg/mL、2D7は20μg/mL
、ランテスは250ng/mLの濃度で使用した。(0〜100μg/mLにわ
たる)広範囲のmAb濃度で、PA14と2D7によるカルシウム流動の阻害も
試験した。Perkin−Elmer LS−50S蛍光分光光度計を用いて、
358nmで励起した後、402nm(結合した色素)及び486nm(遊離の
色素)での蛍光放射の比を測定することによって、細胞内カルシウムレベルをモ
ニターした。
【0085】 <B>.結果と考察 1)抗CCR5モノクローナル抗体 PA8、PA9、PA10、PA11、P A12、及びPA14の単離 CCR5の細胞外ドメインに対応するペプチドは、ネイティブの細胞表面受容
体に対する、特異的な高力価の抗体応答を効率的に惹起できないことが明らかと
されている(50)。それ故、L1.2−CCR5細胞で、Balb/Cマウ
スを免疫し、ハイブリドーマ培養上清が、RETアッセイで、JR−FLのエン
ベロープによって媒介されるCD4CCR5 PM1細胞との膜の融合を阻
害する能力を調べた(19,38)。優に100を超える上清が、細胞−細胞融
合を>50%阻害したにもかかわらず、フローサイトメトリーによる実証と同じ
く、特異的に、且つ強くL1.2−CCR5を染色したが、L1.2の親細胞
を染色しなかったのは、6つ(PA8、PA9、PA10、PA11、PA12
、及びPA14と表記する)にすぎなかった(データは示さず)。従前の経験に
基づき、おそらく、LFA−1のような細胞表面接着分子に対して、細胞−細胞
融合を阻害し得る他のmAbが作られると仮定した(37)。アイソタイピング
ELISA(Cappell,Durham,NC)によって、ハイブリドーマ
PA8〜PA12及びPA14が、IgG1 mAbを分泌することが分かった
。前記6つのハイブリドーマを注射したBalb/Cマウスから腹水液を調製し
、IgG1画分を精製した。PA8、PA9、PA11、PA12、及びPA1
4は、異なる等電点電気泳動のプロフィールを示したが、PA10は、PA9の
プロフィールと極めて類似したプロフィールを有していたので、同一のmAbを
別に単離したのかもしれない(データは示さず)。
【0086】 2)R5+細胞へのmAbの結合 精製された抗−CCR5 mAbは何れも、L1.2の親細胞株を染色しなか
った(データは示さず)。しかしながら、フローサイトメトリーによる測定と同
じく、mAb PA9〜PA12およびPA14は、90%を超えるL1.2−
CCR5細胞を染色し、PA8は約70%のL1.2−CCR5細胞を染色し
た。このことは、それらがCCR5を認識したことを示している(表1)。我々
の実験においてポジティブコントロールであった抗−CCR5 mAb 2D7
は、90%を超えるL1.2−CCR5細胞も染色した。PA8〜PA12及
びPA14は全てIgG1なので、ヤギ抗マウスIgGと、同じように良好に反
応するのに対して、2D7はIgG2aなので、レポーター抗体との反応性は異
なるかもしれない。それ故、mAb PA8〜PA12及びPA14を用いて測
定した平均蛍光強度(m.f.i.;mean fluorescenence
intensities)のみを直接比較することができる。平均蛍光強度(
m.f.i)は、PA12~ PA11> (2D7=) PA14〜 PA1
0~ PA9> PA8の順であった。PA12 m.f.i.とPA8 m.
f.iの間には3倍の差があった。PA8とその他のmAb間の染色強度の差は
、広い範囲の濃度にわたって、一定であり(データは示さず)、おそらくは、m
AbのCCR5への親和性の差と一致しない。このことは、PA8が、L1.2
−CCR5細胞の表面上に存在するCCR5分子のサブセットのみと相互作用
することをする。
【0087】 L1.2−CCR5+細胞と比較したところ、マイトジェンで刺激されたPB
MCは、前記抗−CCR5 mAbによって、異なる染色パターンを示した。2
D7及びPA14は20%を超えるPBMCを、PA11及びPA12は約10
%のPBMCを、PA8、PA9及びPA10は5%未満のPBMCを染色した
(表1)。各mAbとも、染色されたPBMCの平均蛍光強度は、L1.2−C
CR5細胞で得られた平均蛍光強度より約10倍低かった。それらの順番は、
(2D7>) PA14> PA12~ PA11~ PA10~ PA9~ PA
8であった。この場合も、これは、CCR5形質移入体で観察された反応性の順
序とは、多少相違していた。PA9のm.f.iとPA14のm.f.iには7
倍の差があった。他のグループも、抗−CCR5 mAbが安定なCCR5
胞株とPMBCを染色する能力に同じような差があることを観察している(28
)。これは、CCR5の高次構造、翻訳後修飾、又はオリゴマー化における細胞
特異的な相違に起因するものかもしれない。あるいは、他の細胞表面分子との会
合が、細胞ごとに異なるのかもしれない。このような分子の候補としては、まず
CD4細胞表面抗原(L1.2−CCR5細胞にはなく、PMBC上には存在
する)が考えられるので、我々は、PA8〜PA12、PA14、及び2D7が
、一過性にCCR5のみ、又はCCR5とCD4を発現するHeLa細胞を染色
する能力についても調べた。CD4の存在下で、任意の前記mAbが細胞表面C
CR5を染色する能力に差異は観察されなかった(データは示さず)。これらの
2つのタンパク質が会合するのであれば、我々が利用できる前記抗CCR5 m
Abによって認識されたエピトープは関与していない。あるいは、CCR5とC
D4との会合は、一次リンパ球上のみで起こるのかもしれない。
【0088】 3)CCR5アラニン変異体を用いた前記mAbのエピトープマッピング ウェスタンブロッティングによって、何れの抗体も、還元され、変性されたC
CR5タンパク質を検出できなかったということは、これらの抗体が、高次構造
が壊れやすいエピトープを認識しているということを示している(データは示さ
ず)。CCR5のNtとECL中に存在する残基をアラニンで点変異した70の
変異体群を用いて、mAbエピトープマッピング研究を行った。C−末端にHA
タグを付加した配列をコードする変異体又は野生型CCR5を、HeLa細胞に
リポフェクションし、補助受容体の発現を強化するために、vTF7(23)に
感染させた。その後、前記細胞を前記抗−CCR5 mAbとともにインキュベ
ートし、PEで標識されたヤギ抗マウスIgGによって、それらの結合を現出し
た。FITCで標識した抗HA mAb(BabCo)を用いて、第2の細胞内
染色を行った。この内部標準により、我々は、細胞表面上の変異型補助受容体の
発現レベルについて、前記抗CCR5 mAbによる染色を直接標準化すること
が可能となった。このため、各変異体へのmAb結合は、野生型CCR5への結
合パーセントとして表されている(表1)。
【0089】 ある点変異は、前記全ての抗体のCCR5への結合を>50%減少させた。一
般的に、システイン対C101AとC178A、Nt変異体 Y10A、D11
A、K25A、ECL1変異体 D95A、ECL2変異体 K171A/E1
72A、Q188A、K191A/N192A、及びECL3変異体 F263
AとF264Aを含むこのクラスの変異体によって、PA8〜PA12が最も影
響を受け、PA14と2D7は最も影響を受けなかった(図1)。一つの解釈と
しては、これらの残基は、それ自体はmAbのエピトープの一部ではないが、そ
れらをアラニンに変えることにより、全てのmAbの結合に対して共通の影響を
与える高次構造の擾乱が引き起こされるということが考えられる。我々は、ある
変異によって、各mAbの結合が75%を超えて低下し、それ以外の多くの抗体
の結合が低下しないのであれば、おそらくは、その残基が、前記mAbによって
認識されるエピトープに直接寄与していると仮定した。これらの厳密なガイドラ
インを用いることによって、7つの抗CCR5 mAbは、重複するが、異なる
エピトープを認識すると結論づけた(図1)。mAb PA8のCCR5への結
合は、Nt中のN13、及びY15に依存していた。mAb PA9及びPA1
0は、Nt中のD2、Y3、Q4、P8及びN13、並びにECL2中のY17
6及びT177を必要とした。mAb9はNt中のS7も必要とした。mAb
PA11及びPA12の結合は、Nt中のQ4に依存した。PA14は、Nt中
のD2、及びECL2中のR168とY176を必要とした。最後に、mAb
2D7は、CCR5に結合するために、ECL2中のQ170とK171/E1
72を必要とした。
【0090】 4)抗CCR5 mAb存在下でのケモカインシグナル伝達 ケモカイン受容体に結合する薬剤は、受容体によって媒介される細胞内シグナ
ル伝達のアンタゴニストとなり得、より可能性は少ないが、アゴニストともなり
得る。あるいは、それらは、シグナル伝達に対して何らの効果も有しないという
こともあり得る。CCR5は、3つのCC−ケモカイン、ランテス、MIP−1
α、及びMIP−1βを結合することができ、細胞質のカルシウムレベルを調節
するシグナルを伝達することができる。それ故、我々は、様々な濃度のmAb
PA8〜PA12、PA14及び2D7のアゴニスト/アンタゴニスト活性を調
べた。細胞内カルシウム濃度(Ca2+)iの変化を、Indo−lを与えたL
1.2−CCR5細胞中で測定した。前記mAbの何れも、(Ca2+)iの
変化を刺激しなかったということは、それらがCCR5のアゴニストではないこ
とを示している。PA8〜PA12が、100μg/mLという高い濃度でさえ
、ランテスによって誘導されたCa2+流動も阻害できなかった(図2a、及び
データは示さず)ということは、それらが、アンタゴニストでもないことを示し
ている。フローサイトメトリーとgp120/CCR5結合アッセイによって示
されたように(図3d及びデータは示さず)、前記mAbのL1.2−CCR5 細胞への結合は、これらの濃度で飽和する。しかしながら、効力が異なるとは
いえ、mAb PA14と2D7は、ランテスによって誘導されたカルシウムの
動員を遮断した(図2a,b)。PA14のカルシウム流動阻害のIC50は5
0μg/mLであり、2D7のIC50より約8倍高かった(図2b)。ランテ
ス、MIP−1α、及びMIP−1βによって誘導されたカルシウムの流動は、
それぞれ、同様の濃度のPA14によって阻害された(データは示さず)。前記
mAbは何れも、L1.2−CCR5細胞(内在性CXCR4を発現する)中
での、SDF−1によって誘導されるカルシウムの動員に影響を与えなかった(
データは示さず)。最後に、mAbとCC−ケモカインの何れも、L1.2の親
細胞の細胞質カルシウムレベルに影響を与えなかった(データは示さず)。
【0091】 5)mAbによるCCR5補助受容体機能の阻害 まず、それらがHIV−1エンベロープによって媒介される細胞−細胞融合を
阻害する能力に基づいて、mAb PA8〜PA12及びPA14を選択した。
精製したmAbについて、この活性を確認し、定量した。予想どおり、6つのm
Abは全て、mAb 2D7と同様、RETアッセイで、CD4CCR5
M1細胞とHeLa−EnvJR−FL 細胞との融合をブロックした。効力は
、2D7~ PA14> PA12> PA11> PA10~ PA9~ PA
8の順であった(図3a)。PA14と2D7のIC50値は、それぞれ1.7
μg/mLと1.6μg/mLであり、PA11とPA12では、それぞれ25
.5μg/mLと10.0μg/mLであった(表3)。PA8、PA9及びP
A10は、300μg/mLで、10〜15%しか融合を阻害しなかった。前記
mAbは何れも、PM1細胞とHeLa−EnvLAI 細胞(X4ウイルスの
完全長エンベロープタンパク質を発現している)の融合に影響を与えなかった(
データは示さず)。
【0092】 1回の複製、ルシフェラーゼベース侵入アッセイで、前記異なる抗CCR5
mAbが、プロトタイプのR5ウイルス、JR−FL、及びR5X4ウイルス、
Gun−1の侵入を阻害する能力も調べた。侵入アッセイにおける効力の順序は
、前記細胞−細胞融合アッセイで測定したものと類似していた(図3b)。PA
8〜PA11では、50%を超えてJR−FL又はGun−1の侵入を阻害する
ことはできなかった。PA12のIC50値は2.5μg/mLであった。しか
しながら、該mAbは、60%を超えて侵入を阻害することはできなかった。P
A14と2D7のJR−FL侵入阻害のIC50値は、それぞれ、0.024と
0.026μg/mLであり(表3)、融合アッセイで得られた値よりも60倍
低かった。二重指向性のGun−1の侵入は、抗CCR5 mAbによる阻害に
対して、JR−FLの侵入より2〜3倍感度が高かった(データは示さず)。
【0093】 抗補助受容体mAbは、直接前記gp120/CCR5相互作用に影響を及ぼ
すか、又は活性な融合複合体の形成に関与する結合後の段階を妨害するかの何れ
かにより、エンベロープによって媒介される融合を阻害するのかもしれない。P
A8〜PA12及びPA14によるウイルスの融合と侵入を阻害する機序を決定
するために、種々のmAbが前記gp120/CCR5相互作用をブロックする
能力を調べた。このために、sCD4と複合体を形成したビオチン化HIV−1 JR−FL gp120のL1.2−CCR5細胞への結合を検出するアッセイ
を用いた。sCD4又はCCR5の非存在下か、又はHIV−1LAIgp12
0を使用したときには、ビオチン化gp120の結合は観察されなかった(図3
c)。
【0094】 PA8を除く全てのmAbは、gp120/sCD4のL1.2−CCR5 への結合を阻害した(図3d)。約40%で飽和したPA8による阻害は、フロ
ーサイトメトリーのデータ(表1)と一致し、このmAbがL1.2−CCR5 細胞上のCCR5分子のサブセットのみと結合することを示唆する。mAb
PA9、PA10、PA11及びPA12は、それぞれ、0.24、0.13、
0.33、0.24μg/mLのIC50値で結合を阻害した(表3)。驚くべ
きことに、mAb PA14と2D7は、IC50値がそれぞれ1.58、1.
38μg/mLで、これら2つは、gp120/sCD4結合の阻害に最も効果
がなかった(表3)。それ故、mAbがgp120/CD4/CCR5によって
媒介される膜融合と侵入を阻害する能力とgp120/sCD4の補助受容体へ
の結合を遮断する能力の間には、相関はなかった。
【0095】 6)抗−CCR5 mAbと他のウイルス侵入抑制剤の組み合わせによるHIV −1融合の相乗的な阻害 補助受容体に特異的な薬剤は、組み合わせて使用すると、侵入過程の複数の段
階で作用して、非相加的効果を示し得る。臨床的な展望から、補助受容体に特異
的な薬剤候補の内在性ケモカインとの相互作用を測定することは重要であり、そ
れにより、多少のレベル、疾病の進行が保護されるかもしれない。それ故、CC
R5 mAbどうしを組み合わせて、又はランテス、若しくはCD4−IgG2
(HIV−1 gp120と結合し、標的細胞への付着を阻害する)と組み合わ
せて、CCR5 mAbをテストした。ウイルス融合及び侵入アッセイにおいて
、前記薬剤を各別に、及び組み合わせて使用し、用量応答曲線を得た。50%効
果則(9)を用いてデータを分析した。ある効果を生じるために必要な、単一薬
剤又はそれらの混合物の濃度を、組合せ指数(CI;Combination
Index)として知られている用語で、定量的に比較した。1より大きなCI
値は拮抗作用を示し、約1のCIは相加的効果を示し、1より小さなCIは相乗
的効果(この場合、1つの薬剤の存在が他の効果を増強する)を示す。
【0096】 PA12と2D7の組合せは、相乗作用が最も強力であり、CI値は、抗体の
割合に応じて0.02〜0.29の範囲にあった(図4及び表2)。相乗効果の
程度は、前記薬剤の化学量論に応じて変動することが知られている。ウイルスの
侵入及び融合アッセイは、高度に相乗的なPA12と2D7;中程度に相乗的な
PA12とPA14;相加的なPA11とPA12;若干拮抗的であるPA14
と2D7というmABの組合せの同定に概ね一致した。フローサイトメトリーに
よって決定されたように、これらのmAbが、CCR5細胞への結合を交叉競
合するのであれば、PA14と2D7の間に相乗効果がないことは驚くべきこと
ではない(データは示さず)。PA11とPA12で相加的効果が観察されたと
いうことは、これらのmAbがCCR5中の僅かに異なるエピトープに結合する
が、ともにNt中に存在するQ4残基に依存しているという証左であり得る。
【0097】 細胞−細胞融合の遮断において、mAb PA12、PA14、及び2D7が
ランテスと相乗的に共同し得る能力についても調べた。PA12とランテスの組
合せは、中程度の相乗効果を示した(表2)。PA14と2D7は、ランテスと
全く相乗効果を示さなかった。これは、これらのmAbがランテスの結合とシグ
ナル伝達に対して抑制的に働くことと一致する(図2a、b)。最後に、我々は
、mAb PA12、PA14、2D7及びCD4−IgG2(gp120と相
互作用する)の間の相乗効果を調べた。我々は、PA12とCD4−IgG2の
間で中程度の相乗効果を観察したが、PA14又は2D7とCD4−IgG2の
間では相乗効果を観察しなかった(表2)。
【0098】 <実験の考察> 6つのマウス抗CCR5 IgG1 mAbを単離し、性質決定した。PA8
、PA9、PA11、PA12及びPA14は、異なる分子種であるにもかかわ
らず、PA9とPA10は前記諸分析によって区別できないことから、おそらく
同一のmAbである。単離されたmAbは全て、ネイティブの細胞表面タンパク
質に対して産生されたmAbによくみられるように、複雑な高次構造のエピトー
プを認識する。全てのmAbについて、一群のCCR5アラニン点変異体を用い
て、エピトープマッピングを実施した。全てのmAbの結合に対して同様に影響
を与える残基は、前記補助受容体中の高次構造に擾乱を引き起こし、前記mAb
のエピトープの一部を構成しないと推測された。2つのこのような残基、Y10
とD11のみが、HIV−1の侵入に影響を与えることが示されている(20,
52)。前記PA8、PA11及びPA12エピトープは、もっぱらNtドメイ
ン中に位置する。この結果に一致して、PA8は、ELISAで、D2〜R31
の残基を含むビオチン化Ntペプチドを結合することが可能であった(データは
示さず)。しかしながら、PA11とPA12(これらの結合は、Q4のみに強
く依存する)は、溶液中では、Ntペプチドを結合しなかった(データは示さず
)。一つの可能性としては、前記Ntペプチドは、PA11とPA12によって
認識される固有の高次構造を有しないのに対して、PA8の結合は高次構造に対
する依存度が少ないであろうということである。あるいは、PA11とPA12
は、我々が変異させていない残基と相互作用するか、又はCCR5の他のドメイ
ン中に位置するアミノ酸と弱い結合を形成するか、又は突然変異誘発によってそ
の提示が変更されないかもしれないペプチド骨格の原子を結合するのかもしれな
い。抗体PA9、PA10及びPA14は、CCR5の前記NtとECL2ドメ
インの両者の中に存在する残基を含むエピトープを認識したのに対して、前記2
D7エピトープは、もっぱらECL2の中に位置した。
【0099】 前記PA14エピトープは、Nt中のD2とECL2中のR168をともに含
み、これら2つの残基が、mAbフットプリントに関して、互いに近接している
ことを示している。これらは、反対電荷を介して、互いに直接相互作用している
こともあり得る。
【0100】 mAb PA8〜PA12とPA14は、細胞のタイプに依存的に、異なる強
度で、CCR5細胞を染色した。PA8を除く全てのmAbは、90%を超え
るL1.2−CCR5細胞を染色し、最も高い平均蛍光強度は、PA11とP
A12で観察された。しかしながら、PA14と2D7は、PBMCを最も高い
パーセントで染色し、これらの細胞で最も高い平均蛍光強度が得られた。最近H
illら(28)は、トランスフェクトされた細胞を同様に染色する一群の抗C
CR5 mAbの性質を決定したが、8つのうち2つのみがPBMCを染色し、
一次単球は何れも染色しなかった。おそらく、2つのmAbが一次細胞と反応し
ないことは、CCR5に対する低い親和性によって、説明されるが、これは、他
の4つが反応できなかったことに対する説明とはなり得ないであろう。我々のm
Ab群では、エピトープがECL2の最初の10残基全体、又はその一部に位置
するmAb 2D7とPA14が、PMBCを最も強く染色することが観察され
る。しかしながら、Hillらは、前記Nt及びECL1に特異的なmAbはP
BMCを染色するが、ECL2とECL3に対するmAbはPBMCを染色しな
いと報告しているので、一貫した反応パターンは同定されていない。mAbによ
って、細胞の種類に特異的な染色がなされることに対する1つの説明は、活性化
されたPBMC(及び単球)が、細胞表面のCCR5に結合し、幾つかのmAb
エピトープを遮蔽するCC−ケモカインを分泌することであり得る。しかしなが
ら、このことは、ケモカインによって誘導されるカルシウム動員のアンタゴニス
トであり、おそらくはCCR5への結合をCC−ケモカインと競合するであろう
PA14と2D7に、とりわけ当てはまるであろう。それにもかかわらず、これ
らのmAbはPBMCを最も強く染色する。あるいは、CCR5のエピトープの
露出が異なるのは、細胞のタイプに特異的な受容体のオリゴマー化、他の細胞表
面分子との会合、又はグリコシル化のような様々な翻訳後修飾を反映しているの
かもしれない。我々は、mAb結合の差異が、おそらく細胞の種類に特異的なC
D4/CCR5相互作用の差異を反映していないことを示した。
【0101】 mAb PA8〜PA12は、CCR5細胞中で、CC−ケモカインによっ
て誘導されるカルシウムの動員を阻害せず、CCR5を介したシグナル伝達も媒
介しなかった。mAb 2D7とPA14は、CC−ケモカインによって誘導さ
れるカルシウムの動員の阻害剤であるが、2D7は、PA14と比べて、ほぼ1
桁強力であった。これは、前記PA14のエピトープが、2D7のエピトープと
比べて、CCR5上の前記CC−ケモカイン結合ドメインと重複する度合いが少
ないためかもしれない。全てのmAbは、HIV−1の侵入とエンベロープによ
って媒介される膜融合もブロックしたが、ある場合には、細胞−細胞融合の阻害
には、ウイルスの侵入をブロックするのに必要とされる量よりほぼ2桁多い抗体
が必要であった。おそらく、細胞と細胞の融合の間には、より多くのgp120
/CD4/CCR5の相互作用に加えて、接着分子間の相互作用が確立され、ウ
イルスと細胞の融合と比べて、協調的に作用しているために、阻害され難いので
あろう。このことは、LFA−1又はHIV−1エンベロープ糖蛋白質に対する
抗体に共通して観察される(45,51)。PA8、PA9及びPA10は、抗
体濃度が最も高いときでさえ、細胞−細胞融合を15%未満、ウイルスの侵入を
40%未満しか遮断することができなかった。しかしながら、PA11、PA1
2及びPA14を用いると、90%を超える融合の阻害を達成し、PA14を用
いると、90%を超える侵入の阻害を達成することができる。6つのmAbの中
で融合と侵入を最も強力に遮断するのはPA14であり、これは2D7と同程度
に有効であった。驚くべきことに、PA14と2D7は、gp120/sCD4
のL1.2−CCR5細胞への結合の阻害剤の中で最も効力が劣る阻害剤の1
つであったのに対して、PA9〜PA12は同じ程度の効力で遮断し、PA8は
、40%を超えてgp120/sCD4の結合を遮断することはできなかった。
これらの観察は、異なる細胞上に呈示されたCCR5分子の性質について、及び
ウイルスの融合と侵入の阻害機序についての問題を提起する。L1.2細胞上の
CCR5(mAbとgp120結合のアッセイで使用した)は、PBMC上のC
CR5(mAb結合アッセイで使用した)と、又はPM1及びU87MG細胞上
のCCR5(前記融合及び侵入アッセイで使用した)と同一の高次構造ではない
かもしれない。
【0102】 我々のmAbの中に、PBMCの染色が不良で、融合及び侵入の阻害が不完全
なものがあるということは、それらが一次リンパ球(PM1及びU87MG−C
D4CCR5細胞株)上に発現したCCR5分子のサブセットだけに結合で
きることを示す。それにもかかわらず、PA8以外のmAbは全て、90%を超
えるL1.2−CCR5細胞を染色することができ、これらの細胞への前記g
p120/sCD4複合体の結合を完全に遮断することができる。L1.2−C
CR5細胞と、我々が用いた他の細胞との少なくとも1つの差異は、細胞表面
上の補助受容体タンパク質の密度である。実際、我々は、前記L1.2−CCR
細胞が、PM1及びU87MG−CD4CCR5細胞より、細胞表面の
補助受容体を10〜100倍発現すると推定する。しかし、前記L1.2−CC
R5細胞株と同程度の補助受容体を一過性に発現するように、HeLa細胞を
加工しても、なおgp120/sCD4のそれらへの結合を検出することができ
ない(データは示さず)。それ故、他の細胞特異的な因子ともに、L1.2上の
CCR5を過剰発現すると、補助受容体は、顕著にNtを露出する高次構造をと
りやすくなり、mAbとgp120の両者により到達しやすくなるのかもしれな
い。このような高次構造は、受容体のオリゴマー化により、細胞表面タンパク質
との会合の減少又は変化により、又は受容体のGタンパク質との相互作用により
、誘導され得る(25,62)。CCR5の複数の高次構造が、前記細胞表面上
に共存し、それらは全てウイルスの侵入を許容するのであろうか?減少したレベ
ルにもかかわらず、gp120がL1.2−CCR5細胞に結合するのに必要
とされるエピトープを飽和するmAb濃度の存在下で、HIV−1侵入と融合が
起こり得るので、全mAb反応性のパターンは、これを示唆するであろう。L1
.2−CCR5細胞上に存在する前記補助受容体分子は、HIV−1が侵入可
能な高次構造を1つ有するのに対して、PBMC、PM1及びCCR5U87
MG上のCCR5分子は、異なるmAb反応性を示す複数の侵入可能な状態で存
在するという仮説を我々は支持する。PA14と2D7は全ての高次構造を認識
し得るのに対して、他のmABは認識し得ない。何故、L1.2細胞は、ある特
定の融合可能な高次構造になり得るのかということは、今後明らかにされねばな
らない。
【0103】 前記gp120結合ドメインは、前記CCR5のNtドメインの最初の20残
基中に存在することが最近実証された。CCR5上のgp120結合ドメインに
対するmAbは、この相互作用を強力に遮断するが、エピトープがこの領域の外
側に存在するPA14と2D7とほぼ同一の効率で、標的細胞中へのHIV−1
の融合と侵入を阻害するわけではない。PA14は、Ntの先端とECL2の残
基を認識するのに対して、2D7エピトープは、もっぱらECL2の中に位置し
ている。これらのmAbの作用機序は、推測の域を出ない。それらがECL2の
最初の2〜3個の残基に結合することによって、膜の融合を阻止する、補助受容
体中の高次構造の変化が誘導されるのかもしれない。あるいは、ECL2エピト
ープの閉塞は、補助受容体のオリゴマー化と融合可能なタンパク質複合体の形成
を妨げるのかもしれない。さらに別の可能性は、ECL2中の残基は、融合孔の
内部に面し、mAbの結合は、gp41が、形質膜の中に融合ペプチドを挿入す
るのを妨害することである。これに対して、mAb PA8−PA12は、おそ
らく、gp120/CD4複合体と直接結合を競合することのみによって、融合
と侵入を阻害する。エピトープの露出とCCR5に対する親和性以外のパラメー
ターが、これらのmAbによるウイルスの侵入の阻害の効力を決定しているかど
う、我々は分からない。gp120/補助受容体相互作用に続く工程を阻害する
ことが、何故、当該相互作用を直接遮断することよりも効率的なのかは不明であ
る。これを説明する1つの方法は、gp120のCCR5への結合における解離
速度が、mAbのCCR5への結合における結合速度に比べてずっと小さいと仮
定することである。この相互作用は、膜の融合をもたらすので、このため、mA
bが補助受容体分子から解離するごとに、ビリオンに付随するgp120分子は
、準不可逆的な態様でこれを置換する。抗CCR5mAbを組み合わせたときの
相乗効果は、それらが、おそらく、相互依存的な、連続するHIV−1の侵入工
程に関与する別個のエピトープと相互作用する結果である。抗HIV−1抗体(
33、35、61)、逆転写酵素阻害剤(29)、又はプロテアーゼ阻害剤(4
4)の組合せで、0.2未満のCI値が観察されることは稀なので、PA12と
2D7の間で観察された相乗効果の程度(多くの条件下でCI<0.1)は、尋
常ではない。その効力故に、PA12と2D7の組合せは、複数のアッセイ形式
と濃度比で調べたが、一貫して、高レベルの相乗効果が観察された。PA12を
PA14と組み合わせると、中程度の相乗効果が観察された。PA12とCD4
−IgG2の間でも、中程度の相乗効果が観察された。CD4/gp120複合
体は、準安定状態にあり、補助受容体と相互作用できなければ、非融合誘導状態
へと崩壊する(45−48)。PA12は、CCR5上のgp120結合部位を
直接遮断するので、その存在によって、平衡は、gp120/CD4複合体の不
活性化の方向にシフトするかもしれない。このことは、何故、融合と侵入の阻害
に関して、CD4−IgG2とmAb PA12の間で相乗効果が観察されるか
を説明するであろう。mAb PA14とCD4−IgG2の間に相乗効果が存
しないことは、それらが、ウイルスの侵入における2つの非連続的且つ独立した
工程に作用することを示唆する。ウイルスの融合と侵入の阻害に関する、様々な
化合物の相乗効果の正確な機序を決定するには、さらなる複数の研究が必要とな
ろう。
【0104】 上記の結果は、HIV−1の侵入が、受容体の結合、補助受容体の結合、及び
補助受容体を介した膜の融合を含む3つの異なる工程で起こるモデルと合致する
。モノクローナル抗体がgp120の結合を遮断する能力とHIV−1の融合/
侵入を遮断する能力の間に相関が存在しないことは、別個の補助受容体結合及び
融合現象を示唆している。さらに、観察される相乗効果のパターンから、融合中
の現象の時間的な順序が示唆される。PA12のような、中間段階(すなわちg
p120の結合)を強力に阻害する物質は、前工程とその後の工程の阻害剤と相
乗的に作用する。
【0105】
【参照文献】
【図面の簡単な説明】
【図1】 抗CCR5モノクローナル抗体のCCR5細胞への結合: L1.2−CCR5細胞及びPHA/IL−2刺激を受けた単離直後のPB
MCの表面上でのCCR5タンパク質の発現を検出するためにフローサイトメト
リーを使用した。飽和濃度の各mAbとともに細胞をインキュベートし、PEで
標識した抗マウスIgGレポーター抗体を用いて検出した。代表的な実験で得ら
れた結果が示されている。各mAbについての結果は、平均蛍光強度(m.f.
i.)とゲートを通過した細胞%の両者で表されている。PA8〜PA12とP
A14は、全てIgG1サブクラスに属するので、それらのm.f.i.は直接
比較することができる。2D7は、IgG2aである。
【図2】 様々な組合せのmAbとウイルス阻害剤のCI値: 様々な組合せのウイルス侵入阻害剤について、図7の説明に記載されているよ
うな実験を行った。抗CCR5mAbどうし、抗CCR5mAbとCC−ケモカ
イン、及びCD4−IgG2(HIV−1の標的細胞への接着を阻害する)を組
み合わせて、抗CCR5 mAbをテストした。PA11とPA12の濃度範囲
は、0〜250μg/mLであった;2D7とPA14の濃度範囲は、0〜25
μg/mLであった;ランテスの濃度範囲は、0〜250ng/mLであった;
CD4−IgG2の濃度範囲は、0〜25μg/mLであった。融合又は侵入を
50%及び90%阻害するのに必要とされる単一物質又はそれらの混合物の濃度
は、組合せ指数(CI;combination index)として知られる
用語で定量的に比較した。
【図3】 抗CCR5mAbによる、細胞−細胞融合、ウイルスの侵入、及びgp120 /sCD4結合の阻害に対するIC50 : 比較のため、抗CCR5mAbをテストした、異なるアッセイで得られたIC 50 値をまとめた。IC50値は、90%を超える融合、侵入、又は結合を阻害
することができたmAbに対してのみ算出した。
【図4】 抗CCR5 mAbsのエピトープマッピング: C末端にHAペプチドが付加された変異CCR5タンパク質へのmAbの結合
を評価するために、2色染色プロトコールを使用した。飽和濃度の各mAbとと
もに、CCR5点変異を発現しているHeLa細胞をインキュベートした後、P
E標識した抗マウスIgGを用いて検出した。細胞表面の補助受容体の発現は、
FITC標識した抗HA mAbを用いた細胞の二重染色によって測定した。4
つの枠は、CCR5の4つの細胞外ドメインに対応している。各枠の第1列は、
対応するCCR5の細胞外ドメインのアミノ酸配列を示している。各残基がアラ
ニンに変異された変異体への抗CCR5mAbの結合は、物質と方法に記載され
ているように、野生型CCR5への結合のパーセントとして表されている。
【図5A】 抗CCR5mAbによるCCR5細胞内へのカルシウム動員の阻害: L1.2−CCR5細胞にIndo−1AMを与え、抗CCR5mAb又は
PBSの後にランテスで、順次刺激した(a)。蛍光分光測定機で蛍光の変化を
測定した。追跡データは、代表的な実験からのものである。
【図5B】 広範囲にわたるmAb濃度に対して、PA14と2D7によるカルシウム流動
の阻害を調べた(b)。結果は、カルシウム流動の%阻害=[1−(mAbの存
在下での相対蛍光/mAbの非存在下での相対蛍光)×100%としてプロット
されており、独立した3つの実験から得られた値の平均である。
【図6A】 抗CCR5mAbによるCCR5補助受容体機能の阻害: RETアッセイで、抗CCR5mAbによる細胞−細胞融合の阻害を調べた(
a)。それぞれF18とR18で標識されたHela−EnvJR−FLとPM
1細胞の混合物に、0〜250μg/mLのPA8−PA12、又は0〜25μ
g/mLのPA14若しくは2D7を加えた。4時間インキュベートしてから、
蛍光RETを測定した。結果は、独立した3つの実験から得られた値の平均であ
り、融合の%阻害=[1−(mAbの存在下での%RET/mAbの非存在下で
の%RET)×100%として表されている。
【図6B】 1回複製、ルシフェラーゼベースの侵入アッセイで、抗CCR5mAbによる
HIV−1の侵入の阻害を調べた(b)。0〜250μg/mLのPA8−PA
12、又は0〜25μg/mLのPA14若しくは2D7の存在下で、U87−
CD4CCR5細胞を、JR−FLエンベロープを有するNLlucen
レポーターウイルスに感染させた。感染から72時間後に、細胞溶解物のル
シフェラーゼ活性(相対光ユニット、r.l.u.;relative lig
ht units)を測定した。結果は、代表的な実験から得られたものであり
、侵入の阻害%=[1−(mAbの存在下でのr.l.u./mAbの非存在下
でのr.l.u.)×100%として表されている。
【図6C】 ビオチン化された[b]gp120、sCD4、及びb−gp120−CD4
複合体のL1.2−CCR5細胞への結合(c)。R5ウイルスHIV−1 R−FL 由来のgp120が、等量のsCD4と複合体を形成したときに、強い
結合が観察される。sCD4の非存在下、又はX4ウイルスHIV−1LAI
来のgp120に対しては、結合は観察されない。全ての曲線からCCR5−L
1.2細胞へのバックグラウンド結合を差し引いた。
【図6D】 異なる濃度の各抗体の存在下で、L1.2−CCR5細胞へのgp120/
sCD4の結合の阻害を調べた(d)。96ウェルプレート中で、細胞を抗CC
R5mAbとプレインキュベートした後、飽和濃度のビオチン化gp120/s
CD4とともにインキュベートした。最後に、蛍光プレートリーダーを用いて、
PE標識したストレプトアビジンの細胞への結合を測定した。結果は、代表的な
実験からのものであり、gp120/sCD4結合の%阻害=[1−(mAb存
在下でのm.f.i./mAbの非存在下でのm.f.i.)×100%として
表されている。
【図7】 PA12と2D7による細胞−細胞融合の相乗的阻害: 個別に使用したmAb、及び組み合わせて使用したmABに関して、用量応答
曲線を得た。HeLa−EnvJR−FL とPM1細胞の混合物に、0〜50
μg/mLのPA12、0〜25μg/mLの2D7、又は2:1の比で両者を
組み合わせたものを加え、それぞれR18とF18で標識した。インキュベーシ
ョンから4時間後に蛍光RETを測定した。結果は、融合の阻害%として表し、
独立した3つの実験から得られた値の平均である。f=1/[1+(K/c) ](1)(ここで、fは感染したもの/阻害されたものの割合であり、cは濃度
であり、Kは50%の効果を得るために必要な物質の濃度であり、mは用量応答
曲線の形状を記述する経験的な係数である)と表すことができる50%効果測を
用いて、データを分析した。式(1)は、mが1である、ミカエリス−メンテン
の酵素速度論、ラングミュイールの吸着等温、及びヘンダーソン−ハッセルバル
ヒのイオン化平衡を記述する式を一般化したものである。本ケースでは、Kは、
IC50値に等しい。用量応答曲線にカーブフィッティングを行うことによって
、Kとmを決定し、あるfに対してcを計算できるように、式(1)を変形した
。Kとcの最適パラメーターは、PA12で8.8μg/mLと0.54、2D
7で0.36μg/mLと0.68、それらを組み合わせたもので0.11μg
/mLと1.1である。これらの曲線をプロットすると、実験と理論の間でかな
り良好なフィットが示される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 16/28 C12N 15/00 C // C12P 21/08 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),AU,CA,J P,MX Fターム(参考) 4B024 AA01 BA63 CA04 DA02 EA04 GA11 4B064 AG27 CA10 CA19 CA20 CC24 DA01 4C084 AA02 AA07 AA20 BA03 CA62 DC50 MA02 NA14 ZB332 ZC552 4C085 AA14 BB11 CC02 CC05 DD23 DD32 4H045 AA11 AA30 CA40 DA76 EA29 FA74

Claims (77)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 HIV-1感染を阻害するための組成物であって、HIV-1感染を阻
    害するために相乗的に有効な量の少なくとも二つの化合物を含有し、これら化合
    物の少なくとも一つは、HIV-1およびHIV-1融合の共同受容体の間の増殖的相互作
    用を阻害する組成物。
  2. 【請求項2】 HIV-1またはHIV-1エンベロープ糖+タンパク質細胞の標的細
    胞への融合を阻害する組成物であって、HIV-1またはHIV-1エンベロープ糖タンパ
    ク質細胞の標的細胞への融合を阻害するために相乗的に有効な量の少なくとも
    二つの化合物を含有し、これら化合物の少なくとも一つは、HIV-1およびHIV-1融
    合の共同受容体の間の増殖的相互作用を阻害する組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の組成物であって、前記共受容体は
    ケモカイン受容体である組成物。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の組成物であって、前記ケモカイン受容体は
    CCR5またはCXCR4である組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載の組成物であって、前記化合物の少
    なくとも一つは抗体である組成物。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の組成物であって、前記抗体はモノクローナ
    ル抗体である組成物。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の組成物であって、前記抗体は坑ケモカイン
    受容体抗体である組成物。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の組成物であって、前記抗体は坑CCR5抗
    体である組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1または2に記載の組成物であって、二以上の化合物
    が抗体である組成物。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の組成物であって、前記抗体はPA8、P
    A9、PA10、PA11、PA12、PA14、2D7またはこれらの組合せ
    である組成物。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の組成物であって、前記二以上の抗体は
    適切な比率である組成物。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の組成物であって、前記比率は1:1か
    ら50:1の範囲である組成物。
  13. 【請求項13】 請求項9に記載の組成物であって、前記抗体はPA8、P
    A9、PA10、PA11、PA12、PA14、2D7またはこれらの組合せ
    である組成物。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の組成物であって、前記二以上の抗体は
    適切な比率である組成物.
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の組成物であって、前記比率は1:1か
    ら50:1の範囲である組成物。
  16. 【請求項16】 請求項1または2に記載の組成物であって、少なくとも一
    つの化合物はケモカインまたはケモカイン誘導体である組成物。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の組成物であって、前記ケモカインはRA
    NTES、MIP-1α、MIP-1β、SDF-1またはこれらの組合せである組成物。
  18. 【請求項18】 請求項16に記載の組成物であって、前記ケモカイン誘導
    体はMet-PANTES、AOP-PANTES、またはPANTES 9-68またはこれらの組合せである
    組成物。
  19. 【請求項19】 請求項16に記載の組成物であって、前記二以上の化合物
    は適切な比率である組成物。
  20. 【請求項20】 請求項5に記載の組成物であって、少なくとも一つの化合
    物はケモカインまたはケモカイン誘導体である組成物。
  21. 【請求項21】 請求項20に記載の組成物であって、前記ケモカインはRA
    NTES、MIP-1α、MIP-1β、SDF-1またはこれらの組合せである組成物。
  22. 【請求項22】 請求項20に記載の組成物であって、前記ケモカイン誘導
    体はMet-PANTES、AOP-PANTES、またはPANTES 9-68またはこれらの組合せである
    組成物。
  23. 【請求項23】 請求項20に記載の組成物であって、前記化合物は適切な
    比率である組成物。
  24. 【請求項24】 請求項1または2に記載の組成物であって、前記化合物の
    少なくとも一つは非ペプチジル分子である組成物。
  25. 【請求項25】 請求項24に記載の組成物であって、前記非ペプチジル分
    子はビシクラムAMD3100である組成物。
  26. 【請求項26】 請求項1または2に記載の組成物であって、前記化合物の
    少なくとも一つは、標的細胞へのHIV-1の付着を阻害する組成物。
  27. 【請求項27】 請求項26に記載の組成物であって、前記化合物の少なく
    とも一つはCD4に結合する組成物。
  28. 【請求項28】 請求項27に記載の化合物であって、前記化合物の少なく
    とも一つはHIV-1エンベロープ糖タンパク質である組成物。
  29. 【請求項29】 請求項27に記載の組成物であって、前記化合物の少なく
    とも一つは坑CD4抗体である組成物。
  30. 【請求項30】 請求項26に記載の組成物であって、前記化合物の少なく
    とも一つはHIV-1エンベロープ糖タンパク質に結合する組成物。
  31. 【請求項31】 請求項26に記載の組成物であって、前記化合物の少なく
    とも一つはCD4ベースのタンパク質である組成物。
  32. 【請求項32】 請求項31に記載の組成物であって、前記化合物の少なく
    とも一つは坑CD4−IgG2である組成物。
  33. 【請求項33】 請求項26に記載の組成物であって、前記化合物の少なく
    とも一つはHIV-1エンベロープ糖タンパク質に対する抗体である組成物。
  34. 【請求項34】 請求項26に記載の組成物であって、前記二以上の化合物
    は適切な比率である組成物。
  35. 【請求項35】 請求項34に記載の組成物であって、前記比率は1:1か
    ら10:1の範囲である組成物。
  36. 【請求項36】 請求項5に記載の組成物であって、前記化合物の少なくと
    も一つは、標的細胞経のHIV-1の付着を阻害する組成物。
  37. 【請求項37】 請求項36に記載の組成物であって、前記化合物の少なく
    とも一つはCD4に結合する組成物。
  38. 【請求項38】 請求項37に記載の組成物であって、前記化合物の少なく
    とも一つはHIV-1エンベロープ糖タンパク質である組成物。
  39. 【請求項39】 請求項37に記載の組成物であって、前記化合物の少なく
    とも一つは坑CD4抗体である組成物。
  40. 【請求項40】 請求項36に記載の組成物であって、前記化合物の少なく
    とも一つは、HIV-1エンベロープ等タンパク質に結合する組成物。
  41. 【請求項41】 請求項36に記載の組成物であって、善意化合物の少なく
    とも一つはCD4ベースのタンパク質である組成物。
  42. 【請求項42】 請求項41に記載の組成物であって、前記化合物の少なく
    とも一つはCD4−IgG2である組成物。
  43. 【請求項43】 請求項36に記載の組成物であって、前記化合物の少なく
    とも一つは、HIV-1エンベロープ糖たんぱく質に対する抗体である組成物。
  44. 【請求項44】 請求項36に記載の組成物であって、前記二以上の化合物
    が適切な比率である組成物。
  45. 【請求項45】 請求項44に記載の組成物であって、前記比率は1:1〜
    10:1の範囲である組成物
  46. 【請求項46】 請求項1または2に記載の組成物であって、前記化合物の
    少なくとも一つは、CCR5エピトープに結合するポリペプチドからなる組成物。
  47. 【請求項47】 請求項46に記載の組成物であって、前記エピトープはN
    末端に位置する組成物。
  48. 【請求項48】 請求項46に記載の組成物であって、前記化合物はポリペ
    プチドである組成物。
  49. 【請求項49】 請求項47に記載の組成物であって、前記エピトープはN
    末端におけるN13およびY16からなる組成物。
  50. 【請求項50】 請求項46に記載の組成物であって、前記エピトープはN
    末端および第二細胞外ループにおける残基を含む組成物。
  51. 【請求項51】 請求項50に記載の組成物であって、前記エピトープはN
    末端におけるD2、Y3、Q4、S7、P8およびN13、並びに第二細胞外ループに
    おけるY176およびT177からなる組成物。
  52. 【請求項52】 請求項50に記載の組成物であって、前記エピトープはN
    末端におけるD2、Y3、Q4、P8およびN13、並びに第二細胞外ループにおける
    Y176およびT177からなる組成物。
  53. 【請求項53】 請求項47に記載の組成物であって、前記エピトープはN
    末端におけるQ4からなる組成物。
  54. 【請求項54】 請求項50に記載の組成物であって、前記エピトープはN
    末端におけるD2、並びに第二細胞外ループにおけるR168およびY176からなる
    組成物。
  55. 【請求項55】 請求項46に記載の組成物であって、前記エピトープは第
    二細胞外ループに位置する組成物。
  56. 【請求項56】 請求項55に記載の組成物であって、前記エピトープは第
    二細胞外ループにおけるQ170およびK171からなる組成物。
  57. 【請求項57】 請求項55に記載の組成物であって、前記エピトープは第
    二細胞外ループにおけるQ170およびE172からなる組成物。
  58. 【請求項58】 請求項55に記載の組成物であって、前記化合物の少なく
    とも一つは、抗体の軽鎖からなる組成物。
  59. 【請求項59】 請求項1または2に記載の組成物であって、前記化合物の
    少なくとも一つは、抗体の重鎖からなる化合物。
  60. 【請求項60】 請求項1または2に記載の組成物であって、前記化合物の
    少なくとも一つは、抗体のFab部分からなる組成物。
  61. 【請求項61】 請求項1または2に記載の組成物であって、前記化合物の
    少なくとも一つは、抗体の可変ドメインからなる組成物。
  62. 【請求項62】 請求項1または2に記載の組成物であって、前記化合物の
    少なくとも一つは、抗体の一以上のCDR部分からなる組成物。
  63. 【請求項63】 HIV-1に罹患した患者を治療する方法であって、前記患者
    に対して、有効投与量の請求項1または2に記載の組成物を投与することを含む
    方法。
  64. 【請求項64】 患者がHIV-1に罹患するのを予防する方法であって、前記
    患者に対して、有効投与量の請求項1または2に記載の組成物を投与することを
    含む方法。
  65. 【請求項65】 PA8(ATCC受付番号HB-12605)、PA9(ATCC受付番号HB
    -12606)、PA10(ATCC受付番号HB-12607)、PA11(ATCC受付番号HB-12608)
    、PA12(ATCC受付番号HB-12609)、およびPA14(ATCC受付番号HB-12610)か
    らなる群から選択される抗CCR5モノクローナル抗体。
  66. 【請求項66】 ヒト化形態である請求項65に記載の抗体。
  67. 【請求項67】 請求項66に記載の抗体であって、CDR領域外のアミノ酸
    の幾つか、大部分または全部がヒト免疫グロブリン分子由来のアミノ酸で置換さ
    れているが、一以上のCDR領域内の幾つか、大部分または全部のアミノ酸は変化
    していない抗体。
  68. 【請求項68】 請求項65、66または67のモノクローナル抗体の軽鎖
    をコードする単離された核酸分子。
  69. 【請求項69】 前記核酸分子はRNA分子、DNA分子、またはcDNA分子である
    請求項68に記載の核酸分子。
  70. 【請求項70】 請求項65、66または67のモノクローナル抗体の重鎖
    をコードする単離された核酸分子。
  71. 【請求項71】 前記核酸分子はRNA分子、DNA分子、またはcDNA分子である
    請求項70に記載の核酸分子。
  72. 【請求項72】 請求項65、66または67のモノクローナルク体のFab
    部分をコードする一以上の単離された核酸分子。
  73. 【請求項73】 前記核酸分子はRNA分子、DNA分子、またはcDNA分子である
    請求項72に記載の核酸分子。
  74. 【請求項74】 請求項65、66または67のモノクローナル抗体の一以
    上のCDR領域をコードする単離された核酸分子。
  75. 【請求項75】 前記核酸分子はRNA分子、DNA分子、またはcDNA分子である
    請求項74に記載の核酸分子。
  76. 【請求項76】 請求項65、66または67のモノクローナル抗体の可変
    ドメインをコードする一以上の単離された核酸分子。
  77. 【請求項77】 前記核酸分子はRNA分子、DNA分子、またはcDNA分子である
    請求項76に記載の核酸分子。
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