JP2002537366A - スチレン含有混合物からスチレンを連続的に取得する方法 - Google Patents

スチレン含有混合物からスチレンを連続的に取得する方法

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    • B01D3/322Reboiler specifications

Abstract

(57)【要約】 n個の蒸留塔のカスケード中で混合物を蒸留することによりスチレン含有混合物からスチレンを連続的に取得する方法を記載しており、その際、(i)第1の塔中に、安定剤系を含有する供給物を供給し、かつ/または第nの蒸留塔の前に接続された蒸留塔の少なくとも1個に安定剤系を添加し、その際、安定剤系はN−オキシルラジカルを含み;(ii)第nの蒸留塔の底部に、安定剤系を含有し、スチレンよりも高い沸点を有する高沸点フラクションを富化させ;(iii)高沸点フラクションの分流を戻し供給し、かつ第nの蒸留塔の前に接続された蒸留塔の少なくとも1つに添加し;(iv)高沸点フラクションの残量を方法から排出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、複数個の蒸留塔のカスケード中で蒸留することによりスチレン含有
混合物からスチレンを連続的に取得する方法に関する。
【0002】 脱水素化によりエチルベンゼンからスチレンを製造する場合、粗製スチレン、
すなわちスチレンおよびエチルベンゼンを含有する粗製混合物が得られる。精製
スチレンは蒸留によりこれから取得される。温度が高まると多くの不飽和化合物
がラジカル重合する傾向があることは公知である。したがって、スチレンのよう
なビニル芳香族化合物は好適な化合物で安定化して、大工業的に得られる粗製生
成物を蒸留により精製する際の早すぎる重合を防ぐ必要がある。通常、これらの
安定剤または重合抑制剤は蒸留すべき粗製生成物に、精製工程の前またはその間
に添加する。この処理にもかかわらず、ある程度のオリゴマーまたはポリマーが
得られる。個々には、特には運転の中止では、精製または蒸留の間にモノマー装
入物の完全な重合が生じうる。これは、広範な精製の手間および製造の欠損によ
り高い経費をもたらす。
【0003】 ソビエト特許SU−1027150、SU−1558888およびSU−11
39722には、ニトロキシル−またはビス−ニトロキシル化合物の使用による
スチレンの安定化が記載されている。
【0004】 WO−96/16921は、痕跡量の酸素により活性化されるビニル芳香族化
合物と立体障害ニトロキシル化合物とからなる混合物を開示している。
【0005】 JP平1−165534からスチレンのための重合抑制剤としてのピペリジル
オキシ誘導体が公知である。
【0006】 US−PS5254760およびDE−19622498には、精製または蒸
留の間にビニル芳香族化合物を安定化させるためのニトロキシル−およびニトロ
化合物の混合物が記載されている。
【0007】 ビニル基含有化合物、例えばスチレンならびにN−オキシル化合物および鉄化
合物からなる早すぎる重合を抑制する混合物を含有する物質混合物をDE196
51307は記載している。この混合物は、精製または蒸留の間の早すぎる重合
に対して有効に安定化される。
【0008】 不所望な重合に対して十分な安定化を達成するために、スチレン含有混合物に
対して約5〜1000ppmの量で前記の安定剤を使用する。安定剤は通常、各
塔の底部に富化し、その場合、精製スチレンは頭部から取り出される。そこに溶
解した安定剤も含む蒸留残留物は通常、廃棄される。
【0009】 US−PS−4272344はビニル芳香族化合物の蒸留方法を記載しており
、その際、重合抑制剤として2,6−ジニトロ−p−クレゾールを使用する。一
部の蒸留残留物を蒸留系に戻し供給して、蒸留の間に次第に消費される安定剤の
必要量を最小にすることができることが示されている。方法を実際に実施する場
合には、蒸留残留物は高い割合のスチレンポリマーを含有し、したがって高粘度
もしくは樹脂状粘度を有することにより、戻し供給の可能性は限られる。したが
って戻し供給は非常に少量にのみ限られ、それにより蒸留塔中のスチレンポリマ
ーの濃度は甘受できない高い値には達しない。大量の2,6−ジニトロ−p−ク
レゾール−抑制剤が蒸留の間に、自然に生じるスチレンラジカルとの反応により
不可逆的に消費される。戻し供給によっても単に消費されなかった分の安定剤が
利用されるだけである。消費された安定剤から、ラジカル捕捉剤として有効な種
を新たに、または再形成する再活性化は行われていない。US−4272344
による方法では戻し供給される蒸留残留物中の活性安定剤の残分が変動しうるの
で、有効な安定化を保証するために、十分な量の新たな安定剤を添加する必要が
ある。総じて、安定剤の節減はUS−4272344による方法での戻し供給で
は低下する。
【0010】 したがって本発明の課題は、安定剤を可能な限り有効に使用する、安定剤の存
在下に蒸留によりスチレン含有混合物からスチレンを連続的に取得する方法であ
る。
【0011】 意外にも、有効な重合抑制剤であるN−オキシルラジカルは活性化可能である
か、または反応性であり、かつ他の安定剤を用いて可能である規模よりも大規模
に、蒸留系に戻し供給することができることを発見した。
【0012】 したがって本発明の課題は、n個の蒸留塔のカスケード中で混合物を蒸留する
ことによりスチレン含有混合物からスチレンを連続的に取得する方法であって、
その際、 (i) 第1の塔中に、安定剤系を含有する供給物を供給し、かつ/または第n
の蒸留塔の前に接続された蒸留塔の少なくとも1個に安定剤系を添加し、その際
、安定剤系はN−オキシルラジカルを含み; (ii) 第nの蒸留塔の底部に、安定剤系を含有し、スチレンよりも高い沸点
を有する高沸点フラクションを富化させ; (iii) 高沸点フラクションの分流を戻し供給し、かつ第nの蒸留塔の前に
接続された蒸留塔の少なくとも1個に添加し; (iv) 高沸点フラクションの残量を方法から排出させる。
【0013】 本発明の方法で使用されるスチレン含有混合物は一般的に、それから蒸留によ
りスチレンを単離することができる通常の大工業で生じる任意の生成物混合物で
ある。有利な例は粗製スチレン、即ちエチルベンゼンからスチレンを製造する際
に生じる、スチレンの他にエチルベンゼン、少量のトルエン、ベンゼン、クメン
および/またはα−メチル−スチレンを含有する粗製混合物である。この他に粗
製スチレンは典型的には、スチレンよりも高い沸点を有する成分(いわゆる高沸
点物質)、例えばスチルベン、スチレンオリゴマーおよび−ポリマーならびにジ
フェニルエタンおよび2−フェニルナフタリンをスチレンに対して3質量%まで
、例えば0.5〜1.2質量%含有する。
【0014】 本発明の方法によりそれからスチレンを取得することができる典型的な混合物
は例えば次の組成を有する:ベンゼン1%、トルエン2%、エチルベンゼン40
%、スチレン56%および高沸点物質1%。
【0015】 スチレンおよびエチルベンゼンの近接している沸点(大気圧でそれぞれ145
℃、136℃)ならびにスチレンの純度に対する高い要求の故に、その純粋な取
得は高い蒸留経費を必要とする。精製を本発明では、n個の蒸留塔のカスケード
中での蒸留により行い、その際、1つの蒸留塔の底部取り出し口から、後続の蒸
留塔へとそれぞれ供給する。供給は好ましくは塔中央部で行う。第1の塔には供
給物としてスチレン含有混合物を供給する。パラメーターnは≧2の正の整数で
あり、かつカスケード中の蒸留塔の数を示している。一般に、nは2〜4、例え
ば2または3であるのが有利である。第nの蒸留塔では通常、精製スチレンを頭
部から取り出し、第nの塔の前に接続された蒸留塔では、粗製スチレンの、スチ
レンよりも低い沸点を有する成分を頭部から取り出す。第nの塔の底部取り出し
物はスチレンおよび/またはメチルスチレンの残量を単離するために濃縮器、例
えば薄膜型蒸発器またはフラッシュ蒸発器に供給する。この際に取得される低沸
点成分は後処理塔で更に分離することができる。本発明の方法を実施するための
個々の蒸留塔の順序および接続は当業者には簡単に、その専門的な判断により決
定することができる。
【0016】 スチレンの工業的蒸留のための典型的な装置はKunststoff-Handbuch, Band 4(
Polystyrol), Kap.2.3.1.4 30ff(Muenchen 1996)に記載されている。本発明で使
用可能な蒸留装置を図1に示したが、これは例えば主にスチレン、エチルベンゼ
ン、ベンゼンおよびトルエンからなる混合物1aが供給される例えばいわゆるベ
ンゼン−(トルエン−)塔1、エチルベンゼン2aの分離および再取得に役立つ
いわゆるエチルベンゼン塔2および最後に精製スチレン3aがそれから取得され
るいわゆるスチレンカラム塔からなっていてよい。エチルベンゼン塔2およびス
チレン塔3はそれぞれ、加熱装置(Aufkochern)2bもしくは3bを備えていて
よい。即ち、これらは加熱可能な底部を有する。
【0017】 本発明では、塔3の底部から例えば分流を取って、塔1および/または2への
供給物に添加する。有利な実施態様では塔3の頭部取り出し物を、主に装置4お
よび5からなる装置に供給する。その際、4は、例えば薄膜型蒸発器またはフラ
ッシュ蒸発器として形成されている濃縮器であり、その中で、塔底部3から取り
出された生成物流から低沸点物質を除去する。低沸点物質は後処理塔(図示され
ていない)で更にスチレンとα−(β−)メチルスチレンとに分離することがで
きる。4から得られ、かつ5で中間的に貯蔵された濃縮物を次いで戻し供給する
【0018】 図2は広げられた蒸留装置を示しており、この場合、本発明方法の有利な実施
態様により高沸点フラクションの濃縮物を酸素で処理する。熱交換器6で、活性
化のために好適な温度を生じさせることができる。
【0019】 本発明では、N−オキシルラジカルを含む安定剤系の存在下にスチレン含有混
合物の蒸留を行う。N−オキシルラジカルは、時には不変または永久ラジカルと
も称される安定な遊離のラジカルである。これらは1個または複数個の不対電子
を有する。これらは通常、純物質として製造することができ、かつ数年にわたり
分解することなく貯蔵安定である。これらは、ラジカル開始される重合を引き起
こすことはない。これらは、例えばエチレン不飽和化合物の蒸留の際に自然に生
じる有機ラジカルを活発に捕捉する。通常、N−オキシルラジカルは立体障害さ
れている。即ちこれらは、オキシル基が有する窒素原子に対してα−位のその水
素原子が全てアルキル基に置換されている2級アミンから誘導されている。
【0020】 安定剤系はN−オキシルラジカルのほかに更なる成分、例えば後記の重合遅延
剤または活性化剤を含有してよい。
【0021】 好適なN−オキシルは例えば次の構造:
【0022】
【化1】
【0023】 [式中、Rは24個までのC原子を有する同じかまたは異なるアルキル−、シク
ロアルキル−、アラルキル−またはアリール基であり、その際に2個のR基は対
になって結合して環系になってよく、かつX、YおよびZは相互に無関係にCR
´、CR´OH、CR´(COOH)、O、S、COまたは化学結合であるが
、但し、最高で基X、YまたはZはOまたはSであり、かつ最高で基X、Yまた
はZは化学結合である]を有する。R´は水素あるいは24個までのC原子を有
するアルキル−、シクロアルキル−、アラルキル−またはアリール基である。例
えば、RはC〜C20−、殊にはC〜C−アルキル基、C−またはC −シクロアルキル基、ベンジル基またはフェニル基である。X−Y−Zは例えば
、−(CH−または−(CH−、−CH−CH(OH)−CH −、−CH−CO−O−または−CH−O−である。
【0024】 更に、次の構造:
【0025】
【化2】
【0026】 のような芳香族置換基を有するN−オキシル化合物もこれに該当し、その際、芳
香族環はそれぞれ1〜3個の不活性な置換基、例えばC〜C−アルキル、C 〜C−アルコキシ、エステル、アミドまたはシアノを含有してよい。
【0027】 好ましくは、環中にもう1つの複素原子、例えば窒素、酸素またはイオウを含
有してよい(その際、これらの複素原子はアミン窒素に隣接しない)環式アミン
、例えばピペリジン−またはピロリジン化合物から誘導されるN−オキシルラジ
カルを使用する。立体障害はアミン窒素の両隣の置換基により与えられ、その際
、置換基として、α−CH基の4個の水素原子全てを置換する炭化水素基が該
当する。例えば置換基として、フェニルC〜C−シクロアルキル、ベンジル
、ことにC〜C−アルキル基を挙げることができ、その際、これらは同じα
−C原子に結合しているアルキル基と相互に結合して5−または6−環となって
よい。好ましくは、N−オキシル立体障害アミンとして、2,2,6,6−テト
ラアルキルピペリジンの誘導体を使用する。
【0028】 有利なN−オキシル化合物は一般式(II)または(II´):
【0029】
【化3】
【0030】 [式中、RおよびRは相互に無関係にそれぞれC〜C−アルキル、フェ
ニルを表すか、またはRおよびRはそれらが結合しているC原子と一緒にな
って、O、SまたはNから選択される複素原子1または2個ならびにケト基1ま
たは2個を含有してよい置換されていてもよい5−または6−員の飽和炭化水素
環を表し、 Rは水素、ヒドロキシ、アミノ、SOH、SOM、PO、PO
M、PO、ケイ素有機基または好ましくは1〜36個の原子を有する、炭
素、酸素または窒素を介して結合している一価の有機基をあらわし、その際、M
はアルカリ金属、好ましくはLi、NaおよびKであり、 Rは水素、C〜C12−アルキル、C〜C12−アルコキシを表すか、ま
たは RおよびRは一緒になって酸素を表すか、または RおよびRはそれらが結合しているC原子と一緒になって、O、SまたはN
から選択される複素原子1または2個ならびにケト基1または2個を含有してよ
い置換されていてもよい5−または6−員の飽和環を形成し、 Qは好ましくは2〜10000原子、殊には4〜2000原子を有し、炭素、酸
素または窒素を介して結合しているm価の有機基を表し、 mは2〜100、好ましくは2〜3を表す]のものである。
【0031】 RおよびRはC〜C−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロ
ピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、s−ブチルまたはt−ブチル
であってよいか、またはこれらは一緒にテトラ−またはペンタメチレン基を形成
してよい。好ましくはRおよびRはメチル基である。
【0032】 Rとしては例えば、水素、前記のC〜C−アルキル基ならびにペンチル
、s−ペンチル、t−ペンチル、ネオペンチル、2,3−ジメチル−ブチ−2−
イル、ヘキシル、2−メチルペンチル、ヘプチル、2−メチルヘキシル、2−エ
チルヘキシル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、2−メ
チルノニル、イソノニル、2−メチルオクチル、デシル、イソデシル、2−メチ
ルノニル、ウンデシル、イソウンデシル、ドデシルおよびイソドデシルがこれに
該当する。
【0033】 有利な基Rは水素、 C〜C20−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロ
ピル、n−ブチル、イソ−ブチル、ペンチル、 ヒドロキシ、 C〜C20−アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシおよびt
−ブトキシ、
【0034】
【化4】
【0035】 [式中、RはC〜C12−アルキル、C〜C12−アリールまたはC
14−アラルキルを表す]ならびに式:
【0036】
【化5】
【0037】 [式中、基Tは相互に同じかまたは異なってよく、かつC〜C12−アルキル
またはフェニルを表す]のケイ素有機基である。
【0038】 このようなケイ素有機基の例は−Si(CHおよび−Si(C である。
【0039】
【化6】
【0040】 有利な基Qは例えば次の基:
【0041】
【化7】
【0042】 [式中、RはC〜C12−アルキルを表し、 Rは水素またはC〜C18−アルキルを表し、 xは1〜12を表す]である。
【0043】 他の好適なN−オキシルは、ポリマー主鎖としてポリシロキサンを有し、かつ
側鎖で、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジンから誘導されるN−オキシ
ル基で置換されているオリゴマーまたはポリマー化合物である。この場合、好ま
しいN−オキシル基として2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキ
シル基を使用する。このような本発明で使用すべきN−オキシルの例は、WO−
69/17002に見つけることができる。更にこの文献中には、N−オキシル
をベースとする網の化合物の合成の例が記載されている。
【0044】 本発明で好適な他のN−オキシルラジカルは、DE19651307中にそこ
で開示されている物質混合物の成分として挙げられているN−オキシルラジカル
である。この文献はその内容全体を参照することができる。
【0045】 好ましいニトロキシル化合物は次である: 1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、 1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール、 1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、 1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセテー
ト、 1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−2−エチ
ルヘキサノエート、 1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−ステアレ
ート、 1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−ベンゾエ
ート、 1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−(4−t
−ブチル)ベンゾエート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−
スクシネート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−
アジペート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−
セバケート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−
n−ブチルマロネート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−
フタレート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−
イソフタレート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−
テレフタレート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−
ヘキシルヒドロテレフタレート、 N,N´−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4
−イル)−アジピンアミド、 N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−
カプロラクタム、 N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−
ドデシルスクシンイミド、 2,4,6−トリス−[N−ブチル−N−(1−オキシル−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン−4−イル]−s−トリアジン、 N,N´−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4
−イル)−N,N´−ビス−ホルミル−1,6−ジアミノヘキサン、 4,4´−エチレンビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペラ
ジン−3−オン)および トリス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン−4−イ
ル)−ホスフィット。
【0046】 本発明で使用されるN−オキシルラジカルの製造は様々な自体公知の合成工程
により可能である。好ましい製造法では、そのNH基が酸化により相応するN−
オキシル基に移行する2級アミンの酸化が用いられる。酸化剤としては、過酸化
物、例えばH、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシ
ド、過酸、例えばメタクロロ過安息香酸、α−クロロ過安息香酸、過酢酸、パラ
ニトロ過安息香酸、過安息香酸またはマグネシウムモノペルオキシフタレートが
該当する。酸化は不活性溶剤、例えばCHCl、石油エーテル、トルエン、
キシレンまたはベンゼン中で行うことができる。
【0047】 ベースとなる2級アミンは文献公知であるか、または有機化学合成の当業者な
らば自体公知の方法を変更することによって簡単に製造することができる。DE
19651307は本発明に好適な様々なN−オキシルラジカルの製造を開示し
ている。
【0048】 第1の蒸留塔に供給物としてスチレン含有混合物を供給する。これには既にN
−オキシルラジカルを含む安定剤系が添加されていてよい。例えば、スチレン含
有混合物の製造の際に、スチレン含有気体状反応混合物が安定剤含有液体粗製混
合物と一緒に凝縮されている場合に、このケースが通常生じる。もしくは、また
は付加的に安定剤系を第nの蒸留塔の前に接続されている蒸留塔の少なくとも1
個に添加することができる。安定剤系は有利には蒸留塔の供給物に混合するか、
または塔の底部に添加することができる。
【0049】 N−オキシルラジカルおよび安定剤系の任意の成分は、難揮発性化合物である
。したがって、第nの蒸留塔の底部に安定剤系を含有する高沸点フラクションが
富化する。通常、高沸点フラクションはスチレン含有混合物および/または蒸留
の際に少規模に生じるスチレンオリゴマーの高沸点成分からなる。個々には、高
沸点フラクション中に富化し、かつ安定剤系のための担体として役立つスチレン
よりも高い沸点を有する溶剤をスチレン含有混合物に、蒸留の前に更に混合する
ことができる。
【0050】 本発明では、第nの蒸留塔の底部に富化した高沸点フラクション中の安定剤系
の溶液の分流を戻し、かつ第nの蒸留塔の前に接続された蒸留塔の少なくとも1
個への供給物に添加する。戻し供給された流を分割して、複数のポイントで、例
えば第1の塔の供給物に、かつ第2の塔の供給物に添加することができる。3個
の連続する蒸留塔中での蒸留の好ましいケースでは、好ましくは戻し供給される
高沸点フラクションの50〜100質量%を第1の蒸留塔の供給物に添加し、か
つ戻し供給される高沸点フラクションの0〜50質量%を第2の蒸留塔の供給物
に添加する。有利には、戻し供給される安定剤溶液を、前に接続されている蒸留
塔の供給物に混入する;戻し供給される溶液はしかし、そのまま前に接続された
蒸留塔の底部に添加することもできる。
【0051】 通常、第nの蒸留塔の底部から取り出された高沸点フラクションを戻し供給す
る前に、もしくは導出する前に濃縮する、即ちそれから低沸点物質を除去するこ
とが好ましい。このために例えば、薄膜型蒸発器またはフラッシュ蒸発器などの
装置が好適である。この場合に得られる低沸点物質フラクションを後処理塔で更
に、スチレンとα−またはβ−メチルスチレンに分離することができる。戻し供
給される安定剤溶液中のα−メチルスチレンの含有率が3質量%未満、例えば0
.01〜2質量%であるのが好ましい。戻し供給される安定剤溶液中のより高い
αメチルスチレン割合によって場合によっては、第nの蒸留塔の頭部から取り出
される精製スチレンフラクション中のα−メチルスチレン割合が不所望に高まる
ことがある。戻し供給する前に高沸点フラクションを前記のように濃縮すること
により、α−メチルスチレン割合を前記の値まで簡単に低下させることができる
。濃縮の後に、高沸点フラクション中のN−オキシルラジカルの濃度は一般に0
.2〜100g/lである。
【0052】 第1の塔への供給物と共に、または塔への添加により断続的にまたは連続的に
新たな量のN−オキシルラジカルを含有する安定剤系を補充して、高沸点フラク
ションの排出された一部量と共に第nの蒸留塔の底部から取り出された安定剤系
の量に代える。補充量のN−オキシルラジカルおよび場合により安定剤系の更な
る成分は塊状で、または溶剤、例えば水、C〜C−アルカノール、例えばメ
タノール、エタノール、プロパノールならびにn−、i−、t−ブタノール中の
溶液で、水、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケ
トン、メチルブチルケトン、ジオール、例えばグリコールまたはプロピレングリ
コールならびにそれらのアルキルモノ−およびジエーテル、オリゴマーまたはポ
リマーのエチレングリコールおよびプロピレングリコールならびにそのアルキル
エーテル、ジアミン、例えばエチレンジアミンまたはプロピレンジアミンならび
にそのアルキルモノ−または−ジイミノエーテル、オリゴマーまたはポリマーの
エチレンジアミンならびにそのアルキルイミノエーテルとの混合物として添加す
ることができる。しかし好ましくは、精製すべきスチレン含有混合物を安定剤系
のための溶剤または懸濁剤として使用する。例えば、主にスチレン、エチルベン
ゼン、トルエンならびに他の置換された芳香族物質からなる、エチルベンゼンを
脱水素する際に生じる混合物をこの目的のために使用することができる。有利に
は、安定剤系の溶液を、第nの蒸留塔の前に接続された蒸留塔への供給物に添加
する、例えばこれに混入する。例えば、第1および/または第2の蒸留塔の供給
物に、新規のN−オキシルラジカル溶液を連続的に配量導入する。
【0053】 好ましくは、各蒸留塔の底部でのN−オキシルラジカルの濃度が最低0.1p
pm、殊には1〜500ppm、好ましくは5〜150ppmであるような量で
、N−オキシルラジカルを使用する。蒸留塔の底部での量は、戻し供給される量
および新規に添加される量のN−オキシルラジカルからなる。
【0054】 本発明で使用されるN−オキシルラジカルはスチレン重合の有効な抑制剤であ
り、かつ蒸留の間のスチレンポリマーの形成を著しく抑制する。第nの塔中の高
沸点フラクションはしたがって、濃縮の後にも望ましい低い粘度を有するので、
問題なくより多い量を戻し供給することができる。第nの蒸留塔の底部では通常
、前に接続された塔の底部においてよりも高い温度が支配している。それという
のも、前に接続された塔では、スチレンよりも低い沸点を有するフラクションを
留去し、他方で、第nの塔ではスチレンを頭部から取り出すためである。第nの
蒸留塔の底部では、N−オキシルラジカルの部分的な活性が生じると思われる。
この活性化は次の式で示すことができる:
【0055】
【化8】
【0056】 [式中、Rは1個または複数個のスチレン基を含有する有機基である]。基R とニトロキシルラジカルとの結合は高温では可逆的である。温度が上昇すると
平衡反応で、対で組み合わせられる遊離Rラジカルの一定濃度が生じ、その際
、ニトロキシルラジカルが再び遊離される。
【0057】 高沸点フラクションの戻し供給流中に含有されているN−オキシルラジカルの
本発明の戻し供給のための尺度として、N−オキシルラジカルが第(n−1)の
蒸留塔を平均して通過するサイクル数Zを規定することができる。サイクル数Z
は次の式で、第nの蒸留塔の底部で生じる高沸点フラクションの全量に対する、
戻し供給される量の高沸点フラクションの割合xに関連している:
【0058】
【外1】
【0059】 好ましくはN−オキシルラジカルは第(n−1)の蒸留塔を平均して少なくと
も1.4回、好ましくは2.0回、殊には2.5回、特に好ましくは3回、通過
する。前記のサイクル数には一般的に、戻し供給される安定剤溶液の0.3、好
ましくは0.5、殊には0.6、特に好ましくは0.67の割合が一致する。一
般に、第nの蒸留塔の底部で生じる高沸点フラクションの10〜90質量%、好
ましくは30〜85質量%、殊には50〜80質量%の戻し供給が有利である。
【0060】 ESR調査により、戻し供給前の分流を130℃を上回る温度に加熱すると、
戻し供給される安定剤溶液を特に良好に活性化することができることが判明した
。したがって本発明の方法の有利な1実施態様では、安定剤系の溶液の分流を、
戻し供給する前に130℃を上回る温度、殊には135〜160℃の温度に加熱
する。この加熱を好適には1〜300分間、好ましくは10〜60分間にわたり
実施することができる。
【0061】 本発明の方法のもう1つの有利な実施態様では、安定剤系は更に少なくとも1
種の重合遅延剤を含有する。ラジカルにより開始されるスチレンモノマーの重合
を完全には阻止しないが、重合速度を低下させる物質を重合遅延剤と称する。N
−オキシルラジカルの濃度が、有効な抑制のために必要な限界値未満に低下する
運転障害で、系に存在するモノマー量の突然生じる重合が起こらないという利点
を、本発明で使用すべきN−オキシルラジカルと少なくとも1種の重合遅延剤と
の組み合わせは有する。むしろ、オリゴマー−もしくはポリマー含有率の緩慢な
上昇が生じるので、必要な対策をとることができる。N−オキシルラジカルと重
合遅延剤との組み合わせは更に、相乗効果を有する。このことは、別の作用メカ
ニズムが付け加えられることにおいて認めることができ、その際、N−オキシル
ラジカルと重合遅延剤との組み合わせを使用する安定剤系の同じ全体濃度で、N
−オキシルラジカルまたは重合遅延剤を別々に使用した場合よりも高い重合抑制
効果が得られる。好ましくは、重合遅延剤をスチレンに対して50〜2000p
pmの量で使用する。N−オキシルラジカルと重合遅延剤との質量比は好ましく
は、1:20〜20:1である。
【0062】 重合遅延剤としては殊に、芳香族ニトロ化合物、殊には式III:
【0063】
【化9】
【0064】 [式中、R、RおよびRは相互に無関係にそれぞれ水素、C〜C−ア
ルキル、ハロゲンまたは式:CN、SCN、NCO、OH、NO、COOH、
CHO、SOHまたはSOHの基を表し、芳香環はベンゾ融合していてよい
]の芳香族ニトロ化合物が好適である。
【0065】 該当する化合物は例えば、1,3−ジニトロベンゼン、1,4−ジニトロベンゼ
ン、2,6−ジニトロ−4−メチルフェノール、2−ニトロ−4−メチルフェノール
、2,4,6−トリニトロフェノール、2,4−ジニトロ−1−ナフトール、2
,4−ジニトロ−6−メチルフェノール、2,4−ジニトロクロロベンゼン、2
,4−ジニトロフェノール、2,4−ジニトロ−6−s−ブチルフェノール、4
−シアノ−2−ニトロフェノールまたは3−ヨード−4−シアノ−5−ニトロフ
ェノールである。好ましくは、芳香族ニトロ化合物、例えば2,6−ジニトロ−
4−メチルフェノール、2−ニトロ−4−メチルフェノール、2,4−ジニトロ
−6−s−ブチルフェノールもしくは2,4−ジニトロ−6−メチルフェノール
を使用する。
【0066】 本発明の方法での安定剤系は場合により更に、芳香族ニトロソ化合物、フェノ
チアジン、キノン、ヒドロキノンおよびそのエーテル、フェノールおよびそのエ
ーテル、ヒドロキシルアミンならびにフェニレンジアミンからなる群からの1種
または複数種の共安定剤を含有してよい。
【0067】 他の共安定剤は置換されたフェノールまたはヒドロキノン、例えば次: 4−t−ブチルカテコール、メトキシヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェノール、n−オクタデシル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3−トリス−(2−メチル−
4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ブタン、1,3,5−トリメチル
−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
−ベンゼン、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)−イソシアヌレート、1,3,5−トリス−[β−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニルオキシエチル−イソシアヌ
レート、1,3,5−トリス−(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−
ブチルベンジル)−イソシアヌレートまたはペンタエリトリット−テトラキス−
[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオネー
ト]であってよい。
【0068】 本発明の方法の有利な1実施態様では、安定剤系は本発明で使用されるN−オ
キシルラジカルのほかに更に活性化剤を含有する。例えばラジカルコンビネーシ
ョン反応を触媒することによりN−オキシルラジカルの効果を高めうる化学化合
物を活性化剤と称する。
【0069】 好ましくは、活性化剤をN−オキシルラジカルに対して0.01〜20質量%
の量で使用する。
【0070】 活性化剤としては、殊に鉄化合物または他の遷移金属化合物、殊には様々な原
子価段階で存在しうるものが好適である。
【0071】 活性化剤として有利で好適な鉄化合物は a)鉄カルボニルおよびカルボニル鉄酸塩、 b)金属有機鉄カルボニル化合物、 c)非置換および置換フェロセン化合物、 d)供与体原子として単独の、または混合して酸素、窒素、イオウまたはリンを
含有するリガンドを伴う鉄化合物、 e)ハロゲン化鉄および擬ハロゲン化鉄化合物 からなる群から選択される。
【0072】 群a)には例えば、極性または非極性媒体中に全て可溶性のペンタカルボニル
鉄、Fe(CO)、ノナカルボニル二鉄、Fe(CO)、ドデカカルボニ
ル三鉄、Fe(CO)12またはオクタデカカルボニル六鉄、Fe(CO)18 などの化合物が該当する。更にこの場合、MFe(CO)、MFe (CO)およびMFe(CO)11などのカルボニル鉄酸塩を挙げること
ができ、その際、Mは当量のアルカリ金属またはアルカリ土類金属である。好ま
しくは相応するNa化合物を使用する。
【0073】 群b)の金属有機鉄カルボニル化合物は例えば式:
【0074】
【化10】
【0075】 [式中、L〜Lは水素、C〜C−アルキル、例えばメチル、エチル、プ
ロピルまたはt−ブチルを表し、 L、Lは−(CH−または−CO−を表し、この際、LおよびL に関してnは相互に無関係に0、1、2または3を表す]の化合物である。
【0076】 好適な化合物は例えば次である:
【0077】
【化11】
【0078】 更に、これらの群から本発明では、二核のFe化合物、例えば[HFe
(CO)、[(HC)Fe(CO)ならびにこれらから誘
導される鉄酸塩M[Fe(CO)]およびM[Fe(CO)(H C)]を使用することができ、その際、この場合もMは当量のアルカリ金
属またはアルカリ土類金属であり、かつ有利には相応するNa化合物を使用する
【0079】 群c)の本発明で使用される化合物にはフェロセン自体ならびに1つまたは両
方のシクロペンタジエニル環のところで置換された誘導体が挙げられる。更に、
ダイマーのフェロセン誘導体を使用することができる。個々のフェロセン単位の
結合はこの場合、シクロペンタジエニル環のそれぞれのC原子を介して、化学的
結合またはメチレン−、エチレン−、プロピレン−、ブチレン−またはフェニル
ホスフィン橋により生じる。
【0080】 シクロペンタジエニル環の置換基として、C〜C−アルケニル基、C
10−アロイル、C〜C−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロ
ピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチルまたはt−ブチルが
該当する。更に、これらの置換基中で、1個または2個のCH−またはCH 基がO、NH、NCHまたはOH、NHで置換されていてよい。これらのヘ
テロ原子またはヘテロ原子含有フラグメントの結合はこの場合、C原子に対して
生じる。更に、1個または2個のCH基もCOに、または1個または2個のC
−基がCNによって置換されていてよい。この他に更に、場合により前記の
基のほかにジフェニルホスフィン基がシクロペンタジエニル環の所の置換基とし
て機能してよい。
【0081】 本発明で使用されるフェロセン誘導体の例は次である:
【0082】
【化12】
【0083】 群d)の化合物として例えば、O含有リガンド、例えばスルフェート、アセテ
ート、オキサレート、シトレート、タルトレート、ラクテート、グルコネートま
たはアセチルアセトネート(acac)を伴うFe(II)/Fe(III)の
錯体または塩、即ち次の化合物を使用することができる:
【0084】
【化13】
【0085】 更に専ら、または主にFe(II)またはFe(III)のためのO含有リガ
ンドは多重環式エーテル、例えばスフェランド(Sphaeranden)、クリプタンド
、クリプタスフェランド、ヘミスフェランド、コロナンド(Coronanden)または
これらのエーテルの開鎖代表物質であってよい。
【0086】 更に、N含有キレートリガンド、例えばエチレンジアミン(en)、1,10
−フェナントロリン(phen)、1,8−ナフトピリジン(napy)、2,
2´−ビピリジン(bipy)およびジ−ベンゾ[b,i]−1,4,8,11
−テトラアザ−(14)アヌレン(taa)、即ち次の化合物:
【0087】
【化14】
【0088】 を有する錯体、更に、文献から公知であるような様々な置換されたポルフィリン
リガンドを伴う鉄の錯体(例えば、B.Mennier, Chem. Rev., Vol 92(8), p.1411
-1456, 1992)を使用することができる。他のN含有リガンドはフタロシアニン
およびその誘導体、例えば:
【0089】
【化15】
【0090】 である。
【0091】 基Lは相互に無関係に、水素、ハロゲン、SOH、SONH、SO NH(C〜C12−アルキル)、SON(C〜C12−アルキル)、C
ONH、CONH(C〜C12−アルキル)、CON(C〜C12−アル
キル)、シアノ、ヒドロキシ、C〜C12−アルキル、C〜C12−アル
コキシまたはC〜C12−アルキルチオを表してよい。有利なハロゲンはCl
およびBrである。
【0092】 N,O−含有リガンド、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)また
はニトリロ三酢酸(NTA)では次のような化合物:
【0093】
【化16】
【0094】 が生じ、8−ヒドロキシキノリン(chin)または5−メチル−8−ヒドロキ
シキノリン(HC−chin)では次のような化合物:
【0095】
【化17】
【0096】 が生じ、これらも使用することができる。
【0097】 他の本発明で使用されるFe−化合物はサリチルアルデヒドのシッフ塩基を伴
うFe−錯体である。これらのN,O−含有リガンドの製造は公知であり、かつ
通常は芳香族またはへテロ芳香族α−ヒドロキシアルデヒドと脂肪族または芳香
族ジアミンまたは多重アミンとの縮合により生じる。引き続き、水溶液でリガン
ドとFe−塩とを反応させる。
【0098】 S−含有リガンドを伴う他の使用可能なFe−化合物は例えば:
【0099】
【化18】
【0100】 または[Fe(SR) /3 、更にジチオカルバメートRNC
を伴うFe(II)/Fe(III)の錯体、例えば[Fe(SCNR(R=CH、C)である。
【0101】 更に、群e)の化合物も使用することができる。好ましくは、Feハロゲン化
物ではClおよびBrのFe(II)−およびFe(III)−塩ならびに錯体
化合物FeX /2 (X=Cl、Br)を使用する。本発明で使用すべきF
e擬ハロゲン化化合物には例えば、[Fe(CN) /[Fe(CN) ならびに一連のチオシアネート錯体[Fe(SCN) −x(HO) +xx−(x=0、1、2)を挙げることができる。
【0102】 前記の負に帯電した錯体イオンの全ての対イオンとして有利にはH、Na 、KおよびアンモニウムイオンNH ならびにN(CH を、しかし
ヘキサシアノ鉄酸塩ではKの他に[Fe(CN) の場合Fe を、
かつ[Fe(CN)] の場合Fe を使用することができる。
【0103】 前記の正に帯電した錯体イオンでは有利に対イオンとして、Cl、Br
、SO 、HCCO 、CrO 、BF ならびにB(C を使用する。
【0104】 本発明の方法のもう1つの有利な実施態様では、安定剤系の溶液の分流を戻し
供給する前に酸素で処理する。酸素での処理は温度20〜200℃、好ましくは
50〜170℃および殊には100〜150℃で行うことができる。酸素での処
理は有利には酸素含有ガス混合物で、殊には酸素含有率が3〜10容量%である
主に酸素および窒素からなるガス混合物を用いて行うことができる。好適な酸素
含有ガス混合物は例えば、いわゆる貧空気(Magerluft)である。この処理は常
圧または大気圧を上回る圧力で行うことができる。酸素での処理により、遊離の
N−オキシルラジカルの効果的な再生がもたらされる。
【0105】 酸素処理を実施するために、液体、殊には粘性の液体とガスとを接触させる装
置の全て、例えば液体にガスを泡で通過させるための、液体流中にガス流を押し
込むための装置等が好適である。好適な混合容器、例えば攪拌混合溶液も装備さ
れてよい。酸素処理を伴う本発明の方法を実施するために好適な装置は図2に示
した。
【0106】 本発明の方法を次の例で詳述する。
【0107】 例1および比較例1 100kg/hの速度で、図1に示されているような蒸留装置中で下記の組成
の粗製スチレンを蒸留した。濃縮器4としては、薄膜型蒸発器を使用した。第1
の塔の供給物に、粗製スチレン中の下記のN−オキシル基の溶液を配量導入して
、第1の塔の底部でのN−オキシルラジカルの濃度を常に、5〜100mg/k
gにした。
【0108】 粗製スチレン−組成: ベンゼン 1質量%、 トルエン 2質量%、 エチルベンゼン 40質量%、 スチレン 56質量%、 高沸点物質 1質量%。
【0109】
【化19】
【0110】 薄膜型蒸発器からの高沸点物質成分を廃棄するか(比較例1)、もしくは高沸
点物質成分の65%の分流をエチルベンゼン塔2に戻し供給した(例1)。下記
の表に、薄膜型蒸発器からの高沸点成分の粘度ならびにスチレン−およびポリマ
ー含有率を記載した。粘度はHaake Messtechnik社(Karlsruhe, ドイツ)の粘度
計VT02を用いて計測した(定格回転数62.5分 ;回転体3)。ポリマ
ー含有率はASTM D2121−95に相応して確定した。
【0111】 高沸点成分を本発明により戻し供給する際に、粘度およびポリマー含有率を安
定な、所望の低い水準に保持することができることをこのことは示している。高
沸点成分を本発明により戻し供給することを伴う例1では、戻し供給を伴わない
比較例に対して約15%のN−オキシル安定剤を節約することができる。
【0112】
【表1】
【0113】 例2および比較例2 例1を繰り返したが、但しこの場合、安定剤として下記式のN−オキシルラジ
カルを、活性化剤としての鉄−ジベンゾ[b,i]−1,4,8,11−テトラ
アザ−(14)アヌレンの形の鉄化合物と共に使用した。N−オキシルラジカル
およびこの鉄化合物を質量比99.9対0.1で使用した。
【0114】
【化20】
【0115】 薄膜型蒸発器からの高沸点成分中の粘度ならびにスチレンおよびポリマー含有
率を次の第2表に記載した。
【0116】
【表2】
【0117】 粘度およびポリマー含有率を例1よりも更に低下させることができたことを、
このことは示している。
【0118】 例3 比較例1を繰り返したが、但しこの際、安定剤として下記式のN−オキシルを
使用した。
【0119】
【化21】
【0120】 薄膜型蒸発器で生じた高沸点フラクションから試料を取り、かつESR分光器
で調べた。この測定は、Magnettech GmbH社(Berlin、ドイツ)のESR−Sp
ectrometer Miniscope MS100(実験室実施用)を用
いて実施した。この装置を予め較正溶液を用いて、N−オキシルラジカルの公知
の濃度に較正した。
【0121】 試料を1時間、140℃に加熱し、再びESR分光器で測定した。活性なN−
オキシルラジカルの算出された含有率を次の第3表に記載した。
【0122】
【表3】
【0123】 130℃を上回る温度に加熱することにより、高沸点物質成分中に含有される
N−オキシルラジカルを活性化することができることを第3表の結果は明らかに
示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法による1実施例を実施するための装置を示す図。
【図2】 本発明の方法による1実施例を実施するための装置を示す図。
【符号の説明】
1 ベンゼン塔、 2 エチルベンゼン塔、 2a エチルベンゼン、 3
スチレン塔、 3a 精製スチレン、 4 濃縮器、 6 熱交換器
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年2月21日(2001.2.21)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4D076 AA16 AA22 BB23 EA12Z FA31 GA03 JA02 4H006 AA02 AB46 AD11 AD40 AD41 BC51 BD21 BD40 BD53 BD84

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 n個の蒸留塔のカスケード中で混合物を蒸留することにより
    スチレン含有混合物からスチレンを連続的に取得する方法において、 (i) 第1の塔中に、安定剤系を含有する供給物を供給し、かつ/または第n
    の蒸留塔の前に接続された蒸留塔の少なくとも1個に安定剤系を添加し、その際
    、安定剤系はN−オキシルラジカルを含み; (ii) 第nの蒸留塔の底部に、安定剤系を含有し、スチレンよりも高い沸点
    を有する高沸点フラクションを富化させ; (iii) 高沸点フラクションの分流を戻し供給し、かつ第nの蒸留塔の前に
    接続された蒸留塔の少なくとも1個に添加し; (iv) 高沸点フラクションの残量を方法から排出させることを特徴とする、
    スチレン含有混合物からスチレンを連続的に取得する方法。
  2. 【請求項2】 高沸点フラクションが、スチレン含有混合物の高沸点成分お
    よび/またはスチレンオリゴマーである、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 戻し供給する前に、高沸点フラクションを濃縮する、請求項
    1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 N−オキシルラジカルを第(n−1)の蒸留塔に平均して少
    なくとも1.4回、通過させる、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 戻し供給の前に分流を130℃を上回る温度に加熱する、請
    求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 安定剤系が更に重合遅延剤を含有する、請求項1から5まで
    のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 重合遅延剤が芳香族ニトロ化合物である、請求項6に記載の
    方法。
  8. 【請求項8】 安定剤系が更に活性化剤を含有する、請求項1から7までの
    いずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 活性化剤が鉄化合物である、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 戻し供給する前に、分流を酸素で処理する、請求項1から
    9までのいずれか1項に記載の方法。
JP2000600952A 1999-02-26 2000-02-25 スチレン含有混合物からスチレンを連続的に取得する方法 Withdrawn JP2002537366A (ja)

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